説明

エンロフロキサシン並びに風味剤および/または芳香化物質を含む錠剤

本発明は、動物用の錠剤に関し、その錠剤は、エンロフロキサシン並びに風味剤および/または芳香化物質を含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、動物用の錠剤に関し、その錠剤は、エンロフロキサシン(enrofloxacin)並びに風味剤および/または芳香化物質を含む。
【0002】
錠剤を動物に投与することは、錠剤は動物にとって少しも魅力的ではなく、通例、非自発的にしか彼らに摂取されないので、問題を構築する。通常、錠剤は、彼らに投与するために、飼料中にまとめられなくてはならない。これを行うと、薬剤を完全に、そして結果的に正しい投与量で投与できると、常に保証されるわけではない。医薬の放出プロフィールも、飼料中で投与されると、変化し得る。
【0003】
原則として、適する芳香および/または風味剤を添加することにより、嗜好性を増大できることが既に知られている。しかしながら、これらの物質を頻繁に添加することは、実用上許容できない程度まで錠剤の機械的特性を損なう。
従って、許容し得る機械的特性を有する、容易に嗜好に合う錠剤への要望がある。
【0004】
本発明は、
20ないし45重量%のエンロフロキサシン、
18ないし35重量%のラクトース、
5ないし10重量%の微結晶性セルロース、および、
5ないし20重量%の肉風味料、
を含む錠剤に関する。
重量パーセントの値は、錠剤の総重量をベースとする。
【0005】
エンロフロキサシンは、20ないし45重量%、好ましくは23ないし42重量%の量で使用する。
【0006】
エンロフロキサシンは、1−シクロプロピル−7−(4−エチル−1−ピペラジニル)−6−フルオロ−1,4−ジヒドロ−4−オキソ−3−キノリンカルボン酸の系統的名称を有し、以下の構造式を有する:
【化1】

【0007】
本発明によると、エンロフロキサシンは、その医薬的に利用し得る塩および水和物の形態で使用でも使用できる。
【0008】
適する塩は、医薬的に利用し得る酸付加塩および塩基性塩である。
医薬的に利用し得る塩は、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、グリコール酸、乳酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、エンボン酸、グルタミン酸およびアスパラギン酸の塩であると理解される。加えて、エンロフロキサシンは、酸性または塩基性イオン交換剤に結合させることもできる。医薬的に利用し得る言及し得る塩基性塩は、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウム塩またはカルシウム塩、亜鉛塩、銀塩およびグアニジン塩である。
【0009】
水和物は、エンロフロキサシン自体の水和物およびその塩の水和物の両方を意味するものと理解される。
【0010】
ラクトースは、購入できる医薬補助剤であり、スプレー乾燥などの様々な形態で、または無水ラクトースとして、入手できる。本発明によると、ラクトース一水和物(例えば、DMV International の高品質乳糖(Milchzucker fein))を使用することが好ましい。本発明による錠剤は、錠剤の総重量をベースとして、18ないし35重量%、好ましくは19ないし30重量%のラクトースを含む。
【0011】
微結晶性セルロースは、購入できる医薬補助剤である(例えば、FMC の Avicel(登録商標) PH 101)。本発明による錠剤は、錠剤の総重量をベースとして、5ないし10重量%、好ましくは5.5ないし8重量%を含む。
【0012】
ウシ、家禽、ヒツジまたはブタ由来、好ましくは家禽およびブタ由来の乾燥肝臓粉末、並びに他の風味調製物は、肉風味料として使用するのに適する。Artificial Beef Flavor および BAYOPAL(登録商標)の名称で購入でき、Pharma Chemie (Artificial Beef Flavor) および Haarmann and Reimer (BAYOPAL(登録商標)) の会社により供給されている風味剤は、ことさら特に適する。
【0013】
好ましくは、肉風味料は、5%ないし20%、好ましくは7%ないし15%、特に好ましくは9%ないし11%の量で使用する。これに関して、パーセントの数字は、完成された錠剤の重量による割合である。
【0014】
上述の成分に加えて、本発明による錠剤は、さらなる通例の医薬賦形剤および補助剤も含むことができる。
【0015】
生理的に耐容される全ての固体不活性物質は、賦形剤として言及され得る。この目的で無機および有機物質を使用し得る。無機物質の例は、塩化ナトリウム、炭酸カルシウムなどの炭酸塩類、炭酸水素類、酸化アルミニウム類、珪酸類、粘土質土壌、沈殿状またはコロイド状二酸化ケイ素およびリン酸塩類である。
【0016】
本発明による錠剤は、好ましくは、二酸化ケイ素、特にコロイド状無水二酸化ケイ素を、錠剤の総重量をベースとして0.05ないし0.3重量%、特に0.1ないし0.2重量%の量で含む。
【0017】
有機物質の例は、糖、セルロース、乳粉、肉粉(carcass meals)、小麦粉および粗挽き粉(coarse meals)などの食糧および飼料、並びにデンプンである。
【0018】
本発明による錠剤は、好ましくは、トウモロコシデンプンなどのデンプンを、さらなる賦形剤として、特に、錠剤の総重量をベースとして通常10ないし40重量%、好ましくは15ないし30重量%、特に好ましくは18ないし26重量%の量で含む。
【0019】
錠剤は、さらなる通例の医薬補助剤を含むことができる。例として言及し得るものは:ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクおよびベントナイト類などの滑沢剤(lubricant)および潤滑剤(glidant);デンプン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたは架橋ポリビニルピロリドンなどの崩壊促進性物質;デンプン、ゼラチン、セルロースエーテルまたは直鎖ポリビニルピロリドンなどの結合剤、また、微結晶性セルロースなどの乾燥結合剤である。
【0020】
本発明による錠剤は、好ましくは、滑沢剤、特にステアリン酸マグネシウムを、錠剤の総重量をベースとして、0.4ないし1.0重量%、好ましくは0.5ないし0.8重量%の量で含む。
【0021】
本発明による錠剤は、好ましくは、結合剤、特にポリビニルピロリドン(例えばポリビドン(polyvidone))を、特に、錠剤の総重量をベースとして、1.5ないし4重量%、好ましくは2ないし3重量%の量で含む。
【0022】
本発明による錠剤は、以下を含む方法を利用して製造できる;
(a)エンロフロキサシン、ラクトース、適するならば肉風味料、およびまた、適するならばさらなる補助剤を混合し、
(b)添加した水またはさらなる補助剤の水性溶液の存在下で混合物を造粒し、
(c)この混合物を乾燥させ、
(d)乾燥後、微結晶性セルロースおよび、適するならば、さらなる補助剤、およびまた肉風味料(但し、これは段階(a)で加えられなかったものである)を混合し、
(e)そして、混合物を続いて錠剤に打錠する。
【0023】
デンプン、特にトウモロコシデンプンは、好ましくは、段階(a)でさらなる補助剤として添加する。用いるデンプンの全量の一部のみをこの時点で添加するのが、特に有利である。
【0024】
ポリビニルピロリドンの水性溶液は、好ましくは、さらなる補助剤として段階(b)で添加する。
【0025】
段階(c)の乾燥に関して、残存する水分を、5%より少なく、好ましくは1ないし4%(乾燥時の損失として測定される)に維持することが有利であると見出されている。
【0026】
デンプン、コロイド状二酸化ケイ素およびステアリン酸マグネシウムは、好ましくは、さらなる補助剤として段階(d)で添加する。デンプンの一部を既に段階(a)で添加した限りでは、全量の第2の部分を段階(d)で混合する。
【0027】
エンロフロキサシンの抗生作用スペクトルが知られている。本発明による医薬は、従って、対応する細菌性疾患および細菌様生物に起因する疾患の予防および処置に適する。本発明による組成物は、一般的に、生産用動物、繁殖用動物、動物園の動物、研究所の動物、実験用動物および愛玩動物の場合の、動物の管理および動物の飼育における使用に適する。当然に好ましいのは、肉風味料の添加が嗜好性を改善することが期待できる動物の場合に、それらを使用することである。
【0028】
生産用動物および繁殖用動物には、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ラクダ、スイギュウ、ロバ、ウサギ、ダマジカ、トナカイ、並びに、ミンク、チンチラおよびアライグマなどの毛皮動物などの哺乳動物が含まれる。
【0029】
研究所の動物および実験用動物には、マウス、ラット、モルモット、ゴールデンハムスター、イヌおよびネコが含まれる。
愛玩動物には、イヌおよびネコが含まれる。
本発明による組成物は、特に好ましくは、イヌおよびネコ、特にイヌに使用される。
【0030】
動物の細菌性疾患には、例えば、ブタ赤痢;ウシ、ブタ、ウマおよびイヌのレプトスピラ症;ウシのカンピロバクター腸炎;ヒツジおよびブタのカンピロバクター流産;皮膚の感染;イヌの膿皮症;外耳炎;ウシ、ヒツジおよびヤギの乳腺炎;連鎖球菌性乳腺炎;ウマの、ブタの、そして他の動物種の、連鎖球菌感染;仔ウシの、そして他の動物種の、肺炎球菌感染;鼻疽;結膜炎;腸炎(enteritides);肺炎;ウシ、ヒツジおよびブタのブルセラ症;ブタの萎縮性鼻炎;ウシ、ウマ、ヒツジおよび他の動物種のサルモネラ症;敗血症;仔ブタの大腸菌感染;子宮炎−乳腺炎−無乳症(metritis-mastitis-agalactia;MMA)症候群;クレブシエラ属感染;偽結核症;感染性胸膜肺炎(pleuropneumonia);原発性パスツレラ症(primary pasteurelloses);関節の病気;ウシの、そして家畜の、壊死杆菌症(necrobacillosis);レプトスピラ症;ブタおよび他の動物種の丹毒、リステリア症;炭疽病、クロストリジウム症(clostridioses);破傷風感染、ボツリヌス中毒;コリネバクテリウム・ピオゲネス(Corynebacterium pyogenes)感染;ウシ、ヒツジおよび他の動物種の結核;反芻動物のパラ結核(paratuberculosis);ノカルジア症;Q熱;鳥類病−オウム病;脳脊髄炎;ウシおよび他の動物のマイコプラズマ病、ブタの地方病性肺炎が含まれる。
【0031】
本発明による錠剤は、比較的低い硬度である(例えば、実施例(1)に記載の錠剤は、直径5mmであり、ほぼ20−30N程度の硬度である);これは、風味料を添加された錠剤で知られている問題である。驚くべきことに、本発明による錠剤は、それらの低硬度と比較して相対的に高い耐摩耗性を特徴とし、このことは、これらを容易に実際に使用できることを意味する。薬局方(例えばPh EurまたはUSP)は、錠剤の耐摩耗性を試験する方法およびその最低限の要件を記載している。
【0032】
実施例
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
20ないし45重量%のエンロフロキサシン
18ないし35重量%のラクトース
5ないし10重量%の微結晶性セルロース、および、
5ないし20重量%の肉風味料
を含む錠剤。
【請求項2】
請求項1に記載の錠剤の製造方法であって、
(a)エンロフロキサシン、ラクトース、適するならば肉風味料、およびまた、適するならばさらなる補助剤を混合し、
(b)添加した水またはさらなる補助剤の水性溶液の存在下で混合物を造粒し、
(c)この混合物を乾燥させ、
(d)乾燥後、微結晶性セルロースおよび、適するならば、さらなる補助剤、およびまた肉風味料(但し、段階(a)で加えられなかった場合)を混合し、
(e)そして、混合物を続いて錠剤に打錠する、
方法。

【公表番号】特表2007−506658(P2007−506658A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515918(P2006−515918)
【出願日】平成16年6月14日(2004.6.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006370
【国際公開番号】WO2005/000275
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】