説明

エージェントキャラクタ表示を利用した表示システム

【課題】 例えば運転支援情報やアプリケーション情報などの表示情報が車室内に配置されている複数のディスプレイに表示されるものにおいて、利便性を高める。
【解決手段】 運転支援情報が運転席ディスプレイ6に表示されていると共にアプリケーション情報が助手席ディスプレイ9や後部席ディスプレイ12に表示されているときに、助手席搭乗者が助手席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の中で運転支援情報を助手席ディスプレイ9に表示させる旨の表示要求を行ったり後部席搭乗者が後部席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の中で運転支援情報を後部席ディスプレイ12に表示させる旨の表示要求を行ったりすると、運転席ディスプレイ6に表示されている運転支援情報が助手席ディスプレイ9や後部席ディスプレイ12にも表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば運転支援情報やアプリケーション情報などの表示情報が車室内に配置されている複数のディスプレイに表示される際の表示態様を制御するエージェントキャラクタ表示を利用した表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車室内における表示システムの一つとして、例えば運転者のための運転席ディスプレイがインストルメントパネルの脇に配置され、後部席搭乗者のための後部席ディスプレイが運転席と助手席との間の中央後方に配置され、これら運転席ディスプレイと後部席ディスプレイとが独立されて配置されている構成が実用化されている。このものでは、例えばナビゲーションに係る経路案内情報などの運転支援に関係する運転支援情報が運転席ディスプレイに表示されると共にDVDの映像などの運転支援に関係しないアプリケーション情報が後部席ディスプレイに表示されることにより、運転支援情報を運転者に提供すると共にアプリケーション情報を後部席搭乗者に提供することができる。
【0003】
ところで、この場合、例えば後部席搭乗者により所定のボタン操作が行われることにより、運転席ディスプレイに表示される運転支援情報が後部席ディスプレイにも表示され、運転支援情報が運転者のみならず後部席搭乗者にも提供されるようになっている。しかしながら、このような構成では、後部席搭乗者が運転支援情報を後部席ディスプレイに表示させるためには所定のボタン操作を行わなければならず、そのボタン操作が面倒であり、利便性に劣るという問題がある。
【0004】
一方、下記の特許文献1,2には、ユーザとディスプレイに表示されるエージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行う構成が開示されている。
【特許文献1】特開2004−051074号公報
【特許文献2】特開2004−163232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、下記の特許文献1,2に記載されているものでは、上記したような利便性に劣るという問題を解決するには至っていない。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、例えば運転支援情報やアプリケーション情報などの表示情報が車室内に配置されている複数のディスプレイに表示されるものにおいて、利便性を高めることができるエージェントキャラクタ表示を利用した表示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、表示制御手段は、一の表示情報及び一のエージェントキャラクタを複数の表示手段のうち一の表示手段に表示させると共に他の表示情報及び他のエージェントキャラクタを複数の表示手段のうち他の表示手段に表示させる。ここで、表示制御手段は、一のユーザと一の表示手段に表示されている一のエージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容から他の表示情報を一の表示手段に表示させる旨の表示要求が対話内容検出手段により検出されると、他の表示情報を一の表示手段に表示させる。
【0008】
これにより、例えばナビゲーションに係る経路案内情報などの運転支援情報が運転席表示手段に表示されていると共にDVDの映像などのアプリケーション情報が後部席表示手段に表示されているときに、後部席搭乗者が後部席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の中で運転支援情報を後部席表示手段に表示させる旨の表示要求を行うと、運転席表示手段に表示されている運転支援情報が後部席表示手段にも表示されることになるので、従来のものとは異なって、後部席搭乗者が後部席エージェントキャラクタとの間で対話を行うことにより、後部席搭乗者が面倒なボタン操作を行う必要がなく、運転支援情報を後部席搭乗者にも提供することができ、利便性を高めることができる。
【0009】
請求項2に記載した発明によれば、表示制御手段は、一の表示手段に表示させている表示情報を一の表示情報から他の表示情報に切替えて他の表示情報を一の表示手段に表示させる場合には、一の表示情報から他の表示情報に切替える旨のガイダンス情報を報知手段から報知させる。
【0010】
これにより、例えばナビゲーションに係る経路案内情報などの運転支援情報が運転席表示手段に表示されていると共にDVDの映像などのアプリケーション情報が後部席表示手段に表示されているときに、後部席搭乗者が後部席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の中で運転支援情報を後部席表示手段に表示させる旨の表示要求を行うと、運転席表示手段に表示されている運転支援情報が後部席表示手段にも表示される前に、アプリケーション情報から運転支援情報に切替える旨のガイダンス情報が報知されることになるので、アプリケーション情報から運転支援情報に切替える旨を予め知らせることができる。
【0011】
請求項3に記載した発明によれば、表示制御手段は、運転者と運転席表示手段に表示されている運転席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容から運転支援に関係しないアプリケーション情報を運転席表示手段に表示させる旨の表示要求が対話内容検出手段により検出された場合であっても、車両が走行状態である旨が走行状態検出手段により検出されると、アプリケーション情報を運転席表示手段に表示させる旨を禁止する。
【0012】
これにより、運転者が運転席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の中でアプリケーション情報を運転席表示手段に表示させる旨の表示要求を行ったとしても、車両が走行状態であれば、アプリケーション情報が運転席表示手段に表示される旨が禁止されることになるので、車両が走行状態にあるときに運転に支障を来たす可能性があるアプリケーション情報が運転席表示手段に表示されてしまうことを未然に回避することができ、安全性を適切に確保することができる。
【0013】
請求項4に記載した発明によれば、表示制御手段は、車両の挙動変化が発生する旨が挙動変化検出手段により検出されると、その車両の挙動変化を予告する運転支援情報を助手席表示手段や後部席表示手段に表示させる。これにより、例えば車両が右折しようとすると、車両が右折しようとする旨を予告する運転支援情報が助手席表示手段や後部席表示手段にも表示されることになるので、車両が右折しようとする旨を予告する運転支援情報を助手席搭乗者や後部席搭乗者にも提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を、車室内に搭載される車載表示システムに適用した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、車載表示システムの全体構成を機能ブロック図として示している。車載表示システム1は、制御部2(本発明でいう表示制御手段、対話内容検出手段、走行状態検出手段、挙動変化検出手段)、運転席表示制御IF(インタフェース)部3、助手席表示制御IF部4及び後部席表示制御IF部5を備えて構成されている。
【0015】
運転席表示制御IF部3は、運転席ディスプレイ6(本発明でいう表示手段、報知手段)、運転席マイクロホン7及び運転席スピーカ8が接続されており、運転席ディスプレイ6における表示情報や運転席エージェントキャラクタの表示態様を制御する。また、運転席表示制御IF部3は、運転者が運転席エージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行うに際して運転者から運転席マイクロホン7に入力された音声を検出すると共に運転席スピーカ8から運転者へ向けて出力する音声を生成する。
【0016】
助手席表示制御IF部4は、助手席ディスプレイ9(本発明でいう表示手段、報知手段)、助手席マイクロホン10及び助手席スピーカ11が接続されており、助手席ディスプレイ9における表示情報や助手席エージェントキャラクタの表示態様を制御する。また、助手席表示制御IF部4は、助手席搭乗者が助手席エージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行うに際して助手席搭乗者から助手席マイクロホン10に入力された音声を検出すると共に助手席スピーカ11から助手席搭乗者へ向けて出力する音声を生成する。
【0017】
後部席表示制御IF部5は、後部席ディスプレイ12(本発明でいう表示手段、報知手段)、後部席マイクロホン13及び後部席スピーカ14が接続されており、後部席ディスプレイ12における表示情報や後部席エージェントキャラクタの表示態様を制御する。また、後部席表示制御IF部5は、後部席搭乗者が後部席エージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行うに際して後部席搭乗者から後部席マイクロホン13に入力された音声を検出すると共に後部席スピーカ14から後部席搭乗者へ向けて出力する音声を生成する。
【0018】
この場合、図2に示すように、運転席ディスプレイ6は、車室内にあって運転者が運転席ディスプレイ6を容易に視認可能となるように例えばインストルメントパネルの脇に配置され、助手席ディスプレイ9は、車室内にあって助手席搭乗者が助手席ディスプレイ9を容易に視認可能となるように例えばダッシュボードの上に配置され、後部席ディスプレイ8は、車室内にあって後部席搭乗者が後部席ディスプレイ12を容易に視認可能となるように例えば運転席と助手席との間の中央後方に配置されている。また、運転席マイクロホン7及び運転席スピーカ8は運転席ディスプレイ6に一体的に配置され、助手席マイクロホン10及び助手席スピーカ11は助手席ディスプレイ9に一体的に配置され、後部席マイクロホン13及び後部席スピーカ14は後部席ディスプレイ12に一体的に配置されている。
【0019】
制御部2は、車載表示システム1の動作全般を制御するものであり、運転支援情報エージェント2a、アプリケーション情報エージェント2b、対話内容検出部2c及び車両状態検出部2dを備えて構成されている。運転支援情報エージェント2aは、ナビゲーション装置15から入力された例えば経路案内情報や目的地情報などの運転支援情報を運転席ディスプレイ6や助手席ディスプレイ9や後部席ディスプレイ12に表示する場合の表示動作を制御する。アプリケーション情報エージェント2bは、DVDプレーヤ16から入力された当該DVDプレーヤ16にて再生されたDVD17の映像やテレビチューナ18から入力されたテレビ映像などのアプリケーション情報を運転席ディスプレイ6や助手席ディスプレイ9や後部席ディスプレイ12に表示する場合の表示動作を制御する。
【0020】
対話内容検出部2cは、運転者と運転席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容、助手席搭乗者と助手席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容及び後部席搭乗者と後部席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容を検出する。車両状態検出部2dは、車両ECUから車両状態入力部19を介して入力された各種信号を解析して車両状態を検出する。具体的には、車両状態検出部2dは、車両が走行状態であるか停止状態であるか駐車状態であるかを検出すると共に、車両が走行状態にあるときには車両の挙動変化(例えば右左折や急停止や急発進など)が発生するか否かを検出する。
【0021】
この場合、運転席エージェントキャラクタ、助手席エージェントキャラクタ及び後部席エージェントキャラクタは、図3に示すように、例えば経路案内の画面や映画などのエンターテイメントの画面と共に表示される擬人化されたアイコン(図3中「A」参照)により表現されるものであり、運転者、助手席搭乗者及び後部席搭乗者は、各々のエージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行うことにより、各々のディスプレイ6,9,12に表示される表示情報を制御することが可能となっている。
【0022】
具体的に説明すると、例えば経路案内の画面が運転席ディスプレイ6に表示されているときに、運転者が「目的地を変更する」旨を運転席エージェントキャラクタに指示すると、その対話内容が対話内容検出部2cにより検出され、制御部2とナビゲーション装置15とが連携することにより、目的地を変更するための画面が運転席ディスプレイ6に表示されるようになっている。また、例えばDVD17が再生されて映画などのエンターテイメントの画面が助手席ディスプレイ9や後部席ディスプレイ12に表示されているときに、助手席搭乗者や後部席搭乗者が「再生を一時停止する」旨を助手席エージェントキャラクタや後部席エージェントキャラクタに指示すると、その対話内容が対話内容検出部2cにより検出され、制御部2とDVDプレーヤ16とが連携することにより、DVD17の再生を一時停止するための画面が助手席ディスプレイ9や後部席ディスプレイ12に表示されるようになっている。
【0023】
この場合、各々のエージェントキャラクタは、その表示態様が人の動きを表現するように制御されても良いし、また、必要な場合にのみ(ユーザとの対話を受付可能な場合にのみ)表示されても良いし、さらに、その表示がナビゲーションの画面や映画などのエンターテイメントの画面の妨げとならないように透過されて表示されても良い。
【0024】
さて、制御部2は、運転支援情報及びアプリケーション情報を各々のディスプレイ6,9,12に表示させるに際して、車両が走行状態、停止状態及び駐車状態のいずれであるかに応じて表示を許可または禁止する(制限する)ようになっている。具体的に説明すると、図4に示すように、制御部2は、運転支援情報については、車両が走行状態、停止状態及び駐車状態のいずれの場合であっても全てのディスプレイ6,9,12への表示を許可する。これに対して、制御部2は、アプリケーション情報については、車両が駐車状態であれば、全てのディスプレイ6,9,12への表示を許可するものの、車両が停止状態であれば、助手席ディスプレイ9及び後部席ディスプレイ12への表示を許可する一方で運転席ディスプレイ6への表示を禁止し、車両が走行状態であれば、後部席ディスプレイ12への表示を許可する一方で運転席ディスプレイ6及び助手席ディスプレイ9への表示を禁止する。これは、車両が停止状態にあるときにアプリケーション情報が助手席ディスプレイ9に表示されたり、車両が走行状態にあるときにアプリケーション情報が運転席ディスプレイ6や助手席ディスプレイ9に表示されたりすると、運転者の運転に対する注意が疎かになってしまうからである。
【0025】
次に、上記した構成の作用について、図5ないし図10を参照して説明する。
制御部2は、各々のエージェントキャラクタを各々のディスプレイ6,9,12に表示させているときには、運転者と運転席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容、助手席搭乗者と助手席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容及び後部席搭乗者と後部席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容を判定する。
【0026】
ここで、制御部2は、後部席搭乗者と後部席ディスプレイ12に表示されている後部席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容から後部席搭乗者からの表示情報の表示要求が発生した旨を検出すると(ステップS1にて「YES」)、その表示情報の表示要求がアプリケーション情報の表示要求であるか運転支援情報の表示要求であるかを判定する(ステップS4)。
【0027】
そして、制御部2は、その表示情報の表示要求がアプリケーション情報の表示要求である旨を検出すると、後部席ディスプレイ12におけるアプリケーション情報の表示については何ら制限がないことから、車両が走行状態であるか停止状態であるか駐車状態であるかを判定することなく、アプリケーション情報を後部席ディスプレイ12に表示させる(ステップS5)。
【0028】
これに対して、制御部2は、その表示情報の表示要求が運転支援情報の表示要求である旨を検出すると、後部席ディスプレイ12における運転支援情報の表示についても何ら制限がないことから、車両が走行状態であるか停止状態であるか駐車状態であるかを判定することなく、運転支援情報を後部席ディスプレイ12に表示させる(ステップS6)。
【0029】
以上に説明した一連の処理により、後部席搭乗者は、後部席ディスプレイ12に表示されている後部席エージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行い、運転支援情報やアプリケーション情報の表示要求を行うことにより、車両が走行状態であるか停止状態であるか駐車状態であるかに関係なく、運転支援情報やアプリケーション情報を見ることが可能となる。
【0030】
また、制御部2は、助手席搭乗者と助手席ディスプレイ9に表示されている助手席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容から助手席搭乗者からの表示情報の表示要求が発生した旨を検出すると(ステップS2にて「YES」)、この場合も、その表示情報の表示要求がアプリケーション情報の表示要求であるか運転支援情報の表示要求であるかを判定する(ステップS7)。
【0031】
そして、制御部2は、その表示情報の表示要求がアプリケーション情報の表示要求である旨を検出すると、助手席ディスプレイ9におけるアプリケーション情報の表示については車両状態に因る制限があることから、車両が走行状態であるか停止状態であるか駐車状態であるかを判定する(ステップS8)。そして、制御部2は、車両が停止状態または駐車状態である旨を検出すると、アプリケーション情報を助手席ディスプレイ12に表示させ(ステップS5)、一方、車両が走行状態である旨を検出すると、アプリケーション情報を助手席ディスプレイ9に表示させることはない(表示を禁止する)。
【0032】
これに対して、制御部2は、その表示情報の表示要求が運転支援情報の表示要求である旨を検出すると、助手席ディスプレイ9における運転支援情報の表示については何ら制限がないことから、車両が走行状態であるか停止状態であるか駐車状態であるかを判定することなく、運転支援情報を助手席ディスプレイ12に表示させる(ステップS6)。
【0033】
以上に説明した一連の処理により、助手席搭乗者は、助手席ディスプレイ9に表示されている助手席エージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行い、運転支援情報の表示要求を行うことにより、車両が走行状態であるか停止状態であるか駐車状態であるかに関係なく、運転支援情報を見ることが可能となり、また、アプリケーション情報の表示要求を行うことにより、車両が停止状態または駐車状態であれば、アプリケーション情報を見ることが可能となる。
【0034】
さらに、制御部2は、運転者と運転席ディスプレイ6に表示されている運転席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容から運転者からの表示情報の表示要求が発生した旨を検出すると(ステップS3にて「YES」)、この場合も、その表示情報の表示要求がアプリケーション情報の表示要求であるか運転支援情報の表示要求であるかを判定する(ステップS9)。
【0035】
そして、制御部2は、その表示情報の表示要求がアプリケーション情報の表示要求である旨を検出すると、運転席ディスプレイ6におけるアプリケーション情報の表示については車両状態に因る制限があることから、車両が走行状態であるか停止状態であるか駐車状態であるかを判定する(ステップS10)。そして、制御部2は、車両が駐車状態である旨を検出すると、アプリケーション情報を運転席ディスプレイ6に表示させ(ステップS5)、一方、車両が停止状態または走行状態である旨を検出すると、アプリケーション情報を運転席ディスプレイ6に表示させることはない(表示を禁止する)。
【0036】
これに対して、制御部2は、その表示情報の表示要求が運転支援情報の表示要求である旨を検出すると、運転席ディスプレイ6における運転支援情報の表示については何ら制限がないことから、車両が走行状態であるか停止状態であるか駐車状態であるかを判定することなく、運転支援情報を運転席ディスプレイ6に表示させる(ステップS6)。
【0037】
以上に説明した一連の処理により、運転者は、運転席ディスプレイ6に表示されている運転席エージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行い、運転支援情報の表示要求を行うことにより、車両が走行状態であるか停止状態であるか駐車状態であるかに関係なく、運転支援情報を見ることが可能となり、また、アプリケーション情報の表示要求を行うことにより、車両が駐車状態であれば、アプリケーション情報を見ることが可能となる。
【0038】
ここで、図6は、上記した一連の処理の一例として、例えば運転支援情報が運転席ディスプレイ6に表示されていると共にアプリケーション情報が助手席ディスプレイ9及び後部席ディスプレイ12に表示されているときに、助手席搭乗者が助手席エージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行って運転支援情報の表示要求を行うと共に後部席搭乗者が後部席エージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行って運転支援情報の表示要求を行った場合を示しており、この場合は、運転席ディスプレイ6に表示されている運転支援情報が助手席ディスプレイ9及び後部席ディスプレイ12にも表示されることになる。
【0039】
尚、このような表示情報の切替制御は、運転支援情報エージェント2aとアプリケーションエージェント2bとが連携して制御する。すなわち、図7に示すように、アプリケーション情報から運転支援情報へ表示情報を切替える場合を例にして説明すると、アプリケーション情報エージェント2bは、アプリケーション情報をいずれかのディスプレイに表示させているときには、エージェントキャラクタを表示し、ユーザから発せられた音声を音声認識し、対話内容が反映されたスクリプトを生成し、スクリプトによる処理を行うものであるが、このようにしてアプリケーション情報を表示させているときにいずれかのユーザから運転支援情報の表示要求が発生した旨を検出すると、運転支援情報の表示要求を運転支援情報エージェント2aへ通知する。
【0040】
運転支援情報エージェント2aは、アプリケーション情報エージェント2bから運転支援情報の表示要求が通知されると、エージェント間の認証を行い、認証結果が正であれば、運転支援情報をアプリケーション情報エージェント2bから指定されたディスプレイに表示し、これ以降、エージェントキャラクタを表示し、ユーザから発せられた音声を音声認識し、対話内容が反映されたスクリプトを生成し、スクリプトによる処理を行う。以下、運転支援情報エージェント2a及びアプリケーション情報エージェント2bがこれらを繰返して行うことにより、表示情報の切替制御が行われる。
【0041】
ところで、以上は、運転者、助手席搭乗者及び後部席搭乗者のいずれかが各々のエージェントキャラクタとの間で擬似的な対話を行って表示情報の表示要求を行ったことにより、運転支援情報及びアプリケーション情報のいずれかを表示する場合を説明したものであるが、車両が走行状態にあるときに挙動変化が発生することに応じて運転支援情報が表示される構成であっても良い。
【0042】
具体的に説明すると、図8に示すように、例えば運転支援情報が運転席ディスプレイ6に表示されていると共にアプリケーション情報が助手席ディスプレイ9及び後部席ディスプレイ12に表示されているときに、例えば車両が交差点を右折しようとすると、車両が交差点を右折しようとする旨の信号(例えば右折ウィンカの点滅を表す信号)が車両ECUから通知されることにより、車両が交差点を右折しようとする旨を予告する運転支援情報(例えば進行方向を示す矢印図形)が助手席ディスプレイ9及び後部席ディスプレイ12にも表示される構成であっても良い。また、このとき、図9に示すように、アプリケーション情報の表示が継続されながら例えば「もうすぐ右折します」というガイダンス情報のみが助手席ディスプレイ9及び後部席ディスプレイ12に表示される構成であっても良い。
【0043】
また、助手席ディスプレイ9及び後部席ディスプレイ12に表示されている表示情報がアプリケーション情報から運転支援情報に切替わる場合に、その旨の例えば「画面が切替わります」というガイダンス情報が表示される構成であっても良いし、そのガイダンス情報に相当する音声情報がいずれかのスピーカから出力される構成であっても良い。
【0044】
さらに、以上は、運転席ディスプレイ6、助手席ディスプレイ9及び後部席ディスプレイ12が独立して配置されている場合を説明したものであるが、図10に示すように、運転者と助手席搭乗者とが例えばインストルメントパネルの脇に配置されている1つのフロントディスプレイ20を共有し、その表示領域が分割され、各々の表示領域が運転席表示領域(図10中「P」にて示す領域)及び助手席表示領域(図10中「Q」にて示す領域)として制御される構成であっても良い。
【0045】
以上に説明したように本実施形態によれば、車載表示システム1において、例えば運転支援情報が運転席ディスプレイ6に表示されていると共にアプリケーション情報が助手席ディスプレイ9や後部席ディスプレイ12に表示されているときに、助手席搭乗者が助手席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の中で運転支援情報を助手席ディスプレイ9に表示させる旨の表示要求を行ったり後部席搭乗者が後部席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の中で運転支援情報を後部席ディスプレイ12に表示させる旨の表示要求を行ったりすると、運転席ディスプレイ6に表示されている運転支援情報が助手席ディスプレイ9や後部席ディスプレイ12にも表示されるように構成したので、助手席搭乗者や後部席搭乗者が面倒なボタン操作を行う必要がなく、運転支援情報を助手席搭乗者や後部席搭乗者にも提供することができ、利便性を高めることができる。
【0046】
また、運転者が運転席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の中でアプリケーション情報を運転席ディスプレイ6に表示させる旨の表示要求を行ったとしても、車両が走行状態であれば、アプリケーション情報が運転席ディスプレイ6に表示される旨を禁止するように構成したので、車両が走行状態にあるときに運転に支障を来たす可能性があるアプリケーション情報が運転席ディスプレイ6に表示されてしまうことを未然に回避することができ、安全性を適切に確保することができる。
【0047】
さらに、例えば車両が右折しようとすると、車両が右折しようとする旨を予告する運転支援情報が助手席ディスプレイ9や後部席ディスプレイ12にも表示されるように構成したので、車両が右折しようとする旨を予告する運転支援情報を助手席搭乗者や後部席搭乗者にも提供することができる。
【0048】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のように変形または拡張することができる。
各々のディスプレイに表示される表示情報は、運転支援情報やアプリケーション情報に限らず、例えば空調装置などの車載機器の設定に関する情報などであっても良い。
ディスプレイとして、フロントウィンドウに映像が投影されるヘッドアップディスプレイが用いられる構成であっても良い。
エージェントキャラクタの表示態様がディスプレイ毎に異なる構成であっても良い。
車両の挙動変化として急停止や急発進などが発生する場合に、その旨を予告する運転支援情報が表示される構成であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態を示す機能ブロック図
【図2】運転席ディスプレイ、助手席ディスプレイ及び後部席ディスプレイの配置態様を概略的に示す図
【図3】運転席エージェントキャラクタ、助手席エージェントキャラクタ及び後部席エージェントキャラクタを概略的に示す図
【図4】運転支援情報及びアプリケーション情報の表示許可または表示禁止の条件を示す図
【図5】フローチャート
【図6】表示情報の各々のディスプレイにおける表示態様を概略的に示す図
【図7】エージェントによる表示切替の流れを概略的に示す図
【図8】図6相当図
【図9】図6相当図
【図10】ディスプレイの配置態様及び表示情報の各々の表示領域における表示態様を概略的に示す図
【符号の説明】
【0050】
図面中、1は車載表示システム(表示システム)、2は制御部(表示制御手段、対話内容検出手段、走行状態検出手段、挙動変化検出手段)、6は運転席ディスプレイ(表示手段、報知手段)、9は助手席ディスプレイ(表示手段、報知手段)、12は後部席ディスプレイ(表示手段、報知手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示手段と、
一の表示情報及び一のエージェントキャラクタを前記複数の表示手段のうち一の表示手段に表示させると共に他の表示情報及び他のエージェントキャラクタを前記複数の表示手段のうち他の表示手段に表示させる表示制御手段と、
ユーザと前記表示手段に表示されているエージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容を検出する対話内容検出手段とを備え、
前記表示制御手段は、一のユーザと前記一の表示手段に表示されている一のエージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容から他の表示情報を前記一の表示手段に表示させる旨の表示要求が前記対話内容検出手段により検出された場合には、他の表示情報を前記一の表示手段に表示させることを特徴とするエージェントキャラクタ表示を利用した表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載したエージェントキャラクタ表示を利用した表示システムにおいて、
前記表示制御手段は、前記一の表示手段に表示させている表示情報を一の表示情報から他の表示情報に切替えて他の表示情報を前記一の表示手段に表示させる場合には、一の表示情報から他の表示情報に切替える旨のガイダンス情報を報知手段から報知させることを特徴とするエージェントキャラクタ表示を利用した表示システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載したエージェントキャラクタ表示を利用した表示システムにおいて、
車両が走行状態であるか否かを検出する走行状態検出手段を備え、
前記表示制御手段は、運転者と運転席表示手段に表示されている運転席エージェントキャラクタとの間の擬似的な対話の内容から運転支援に関係しないアプリケーション情報を前記運転席表示手段に表示させる旨の表示要求が前記対話内容検出手段により検出された場合であっても、車両が走行状態である旨が前記走行状態検出手段により検出された場合には、アプリケーション情報を前記運転席表示手段に表示させる旨を禁止することを特徴とするエージェントキャラクタ表示を利用した表示システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載したエージェントキャラクタ表示を利用した表示システムにおいて、
車両が走行状態にあるときに車両の挙動変化が発生するか否かを検出する挙動変化検出手段を備え、
前記表示制御手段は、車両の挙動変化が発生する旨が前記挙動変化検出手段により検出された場合には、その車両の挙動変化を予告する運転支援情報を助手席表示手段や後部席表示手段に表示させることを特徴とするエージェントキャラクタ表示を利用した表示システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−335231(P2006−335231A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162895(P2005−162895)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】