説明

エーロゲルと繊維バットの複合材料

【課題】軽量で柔軟性、耐久性等に優れたエーロゲル複合材料を提供する。
【解決手段】補強用繊維とエーロゲルマトリックスを有する複合材料であり、前記補強用繊維はロフティーな繊維構造物(即ちバット12)、好ましくは不規則に配向している個々の短い微細繊維と組み合わされた繊維が基になった構造物の形態である。該エーロゲル複合材料は、柔軟性、ドレープ、耐久性、耐焼結性、熱伝導性、電気伝導性、RFI−EMI減衰および/または耐焼け落ち性の1つまたは全部に関して向上した性能を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明の分野はエーロゲル複合材料(aerogel composite materials)である。より詳細には、本発明は、結果として生じた複合材料が従来のエーロゲル複合材料製品に比べて下記の性質:エーロゲルが焼結する度合が低いこと;より高い温度性能(higher temperature performance);柔軟性およびドレープ適性(drapeability)が向上していること;耐久性が向上していること;エーロゲル粒子の放出(shedding)が低下していること;x−y面の熱伝導率が高いこと;x−y面の導電率が高いこと;無線干渉(RFI)および/または電磁干渉(EMI)減衰が向上していること;赤外線(IR)隠蔽力が向上していること;そして/または耐焼け落ち性(burn−through resistance)が向上していること;の中の1つ以上に関して向上した性能を示すエーロゲル複合材料に向けたものである。そのような繊維補強材(fiber reinforcement)は好適にはロフティーな(lofty)繊維構造物(バット)と不規則に配向している短い個々の微細繊維(microfibers)と伝導層の組み合わせである。より詳細には、両方の繊維補強材とも有機(例えば熱可塑性ポリエステル)または耐火性(例えばシリカ)繊維のいずれかが基になっている。
【背景技術】
【0002】
いろいろな物理的問題を解決しようとして絶縁材料が開発されてきた。堅い重合体の発泡体およびファイバーグラス絶縁板は冷蔵、建築構造および加熱装置などの分野で低温および高温用途用の絶縁材として良く知られている。柔軟なバット、例えばファイバーグラスで作られたバットなどは、柔軟性があり、低密度でありかつ空隙空間部、例えば建築構造などの空隙空間部を満たすように膨張し得ることが要求される用途で用いられてきた。両方の種類の材料の強度を一緒にすることを探求して、エーロゲル、より具体的にはエーロゲル複合材料が開発された。
【0003】
エーロゲルは、構造、即ち密度が低く、連続気泡構造を有し、大きな表面積(しばしば900m/g以上)を有しかつナノメートル以下の大きさの孔サイズを有することが基になった種類の材料を記述するものである。そのような材料の脆い気泡から流体を抽出する目的で通常は超臨界および臨界未満の流体抽出技術が用いられる。多種多様なエーロゲル組成物が知られており、それらは無機または有機であり得る。無機エーロゲルは一般に金属のアルコキサイドが基になっており、それにはシリカ、炭化物およびアルミナなどの如き材料が含まれる。有機エーロゲルには炭素エーロゲルおよび重合体エーロゲル、例えばポリイミドなどが含まれる。
【0004】
シリカが基になった低密度(0.02−0.2g/cc)のエーロゲルは最良の硬質発泡体よりも良好な優れた絶縁体であり、それが大気圧下100度Fで示す熱伝導率は10mW/m・K以下である。エーロゲルは主に伝導率を最小限にし[低密度であり、ナノ構造物を貫く伝熱路が曲がりくねっている]、対流を最小限にし[孔の大きさが非常に小さいことから対流が最小限である]および放射線を最小限にする[IRを隠蔽するドーパント(dopants)をエーロゲルマトリックス(matrix)全体に渡って容易に分散させることができる]ことで熱絶縁体として機能する。これらは配合に応じて550℃以上の温度で充分に機能し得る。しかしながら、それらがモノリス(monolithic)状態の時には脆くて壊れやすい傾向があり、従って、実験室外の大部分の用途で用いるにはあまり適さない。
【0005】
特許文献1(Ramamurthi他)には、バルク(bulk)なエーロゲルの中に繊維が分散しているバルクなエーロゲルのエーロゲルマトリックス複合材料そしてこのようなエーロゲルマトリックス複合材料を製造する方法が開示されている。その繊維はいろいろな太さを有する長もしくは短繊維、ホイスカ、鉱ウール、ガラスウールおよび粒子であってもよい。その補強用材料の組成は酸化物、例えばSiOおよびAl(繊維、ホイスカおよびウール)など、そして炭素、金属およびいろいろな酸化物(粒子)である。好適な繊維はガラスウールおよびロックウールである。これらの繊維を不規則に分布させるか或は配列させてもよい。それらはまた個々の繊維、繊維の束、マット(mats)またはシート、織物または不織物の形態であってもよい。そのようなエーロゲルマトリックス複合材料は実質的に亀裂を生じないことに加えて実質的に体積収縮も起こさない。そのような複合材料の製造は、織物または不織物のいずれかである繊維プレフォーム(fibrous pre−forms)にゲル前駆体を染み込ませた後にその湿った状態のゲルを超臨界条件下で乾燥させることで行われる。そのような製品を約3−7時間の規模で得ることができるが、弾性係数が高いことから製造したままの製品は極めて堅いと言った主要な欠点を有する。特許文献1の製品は、使用時の柔軟性が向上している、と言うのは、これはエーロゲルマトリックスドメイン(domains)の中に亀裂を生じるからである。2番目の欠点は、そのようなエーロゲルマトリックス複合材料が示す熱伝導率もまた本発明の好適な態様のそれ(周囲条件下で8.6から14mW/m・K)に比べて相対的に高い(周囲条件下で18から21mW/m・k)点にある。
【0006】
特許文献2(Frank他)は明らかに特許文献1の構造物をこれの鋳型から取り出した後の特許文献1の構造物と同じ構造物を記述しているが、この特許文献2の複合材料では故意に制御様式で亀裂が入るようにしている。そのように亀裂を制御した様式で起こさせると結果として生じる複合材料に追加的柔軟性が与えられると述べられている。適切な繊維は不規則または規則的に位置させた個々の繊維、好適には長さが少なくとも1cmの繊維である。このような繊維をまたウエブ(webs)またはマットの形態で用いることも可能である。多数のウエブまたはマットを互いの上に重ねてもよい。マットを層の状態で配置させる場合には、1つの層から次の層で方向を変えるのが有利であると思われている。説明および請求の範囲に「繊維をゾルに添加する」段階(b)を包含する製造方法が開示されてはいるが、その実施例に示されているのは繊維を含有しないゾルをポリエステルまたはガラス繊維のウエブに添加することのみである。不規則に分布させた個々の繊維を繊維のウエブと一緒に用いることは行われていない。
【0007】
特許文献3(Sander)は極めて薄いプレストレスト(pre−stressed)繊維補強エーロゲルハニカム触媒モノリスに向けたものである。エーロゲル、キセロゲル、ゼオライトおよび他の低密度材料から作られた薄いパネルまたはモノリスにプレストレスト繊維による補強を三次元の中の二次元で受けさせる。金属のアルコキサイドと水と触媒の混合物を、プレテンションド(pre−tensioned)補強用繊維をこれらが互いに垂直に決めた間隔で位置するように入れておいた気体透過性鋳型の中に注ぎ込んだ後、それに重合そして超臨界乾燥を受けさせている。
【0008】
特許文献4および特許文献5(Coronado他)は、有機前駆体、例えばホルムアルデヒドなどを繊維プレフォームに染み込ませることで生じさせたエーロゲル複合材料が記述されている。その結果として得た複合材料は機械的安定性を有すると述べられている。図に記述されている補強用繊維は縦方向に位置しており、その図には平らな構造であることが示されている。このような製品は高い熱負荷下の空気中では熱安定性が相対的に低いばかりでなく数多くの用途で柔軟性が充分でないと言った欠点を有する。
【0009】
特許文献6(Ryu他)にエーロゲル複合材料が開示されており、これはAspen Systems,Inc.によって既に製造販売されている。この製品のエーロゲル内容
物はエーロゲルモノリスではなくエーロゲル粉末であった。このように、この製品は曲げられると結果として粉末が有意な量で放出されてしまう。その熱性能(thermal performance)はエーロゲルモノリス単独に比べて有意に低下していた。このような従来の製品は堅くて容易に崩壊または断片化していた。
【0010】
このように、従来のエーロゲル複合材料は、柔軟性が低いこと、耐久性が低いこと、エーロゲルが熱にさらされた時に過度の焼結を起こすこと、熱伝導率が理想以下であること、x−y方向の熱および/または電気伝導率が充分でないこと、RFI−EMI減衰が劣ることそして/または耐焼け落ち性が充分でないこと、の中の1つ以上が理由で数多くの用途で用いるに適さなかった。
【0011】
本発明はそのような問題を解決する方向の研究でもたらされた発明である。従って、本発明の目的は、下記の特性:焼結を起こす度合が低く/温度性能がより高いこと;柔軟性、例外的に低い熱伝導率、ドレープ適性または順応性が向上していること;x−y方向の熱および/または電気伝導率が向上していること;RFI−EMI減衰が向上していること;そして/または耐焼け落ち性が向上していること;の中の1つ以上を示すように改良を受けさせたエーロゲル複合材料構造物を製造することにある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5,306,555号
【特許文献2】米国特許第5,789,075号
【特許文献3】米国特許第5,972,254号
【特許文献4】米国特許第5,973,015号
【特許文献5】米国特許第6,087,407号
【特許文献6】米国特許第6,068,882号
【発明の概要】
【0013】
(発明の要約)
本発明は、従来のエーロゲル複合材料に比べて柔軟性、耐久性、エーロゲルの焼結、x−y方向の熱および/または電気伝導率、RFIおよびEMI減衰および耐焼け落ち性の領域の1つ以上に関して向上した性能を示すエーロゲル複合材料に向けたものである。
【0014】
より具体的には、本発明は、2つの部分、即ち補強用繊維とエーロゲルマトリックスを有する複合材料に向けたものであり、前記補強用繊維はロフティーな繊維構造物(即ちバット)、好適には熱可塑性ポリエステルまたはシリカのいずれかの繊維、より好適には不規則に分布している個々の短い繊維(微細繊維)と組み合わされた前記繊維が基になった構造物の形態である。前記ロフティーなバット補強材を用いると支持されていないエーロゲルの体積が最小限になると同時に一般にエーロゲルの熱性能が向上する(従来技術の場合のように低下するのではなく)。その上、エーロゲルマトリックスにロフティーなバット材料、特に非常に小さいデニールの繊維で構成させた連続不織バット(continuous non−woven batting)による補強を受けさせると、その結果として生じる複合材料は柔軟性が高くてドレープ性(drapeable)形態のモノリス型(monolithic)エーロゲルの熱特性を少なくとも維持することから、このような複合材料は例えば布用途で用いるに適する。
【0015】
モノリス型エーロゲルは、非常に高い熱負荷、例えば気体/酸素トーチ(torch)の炎を表面に直接衝突させた時に発生する熱負荷などによって数秒以内に迅速に焼結して収縮し得る。このようなエーロゲルに、本発明の1つの態様に示すように、ロフティーな繊維バットと微細繊維の組み合わせによる補強を受けさせると、そのような絶縁構造物の
収縮、焼結および極限破壊(ultimate failure)の速度が一桁以上の大きさの時間遅くなり得る、即ち焼け落ちが数秒から数時間にまで長くなり得る。
【0016】
更により具体的には、エーロゲル複合材料に更に熱伝導性層も含有させるとこれは前記複合材料の熱性能の向上に役立つことを見いだした。例えば、ある複合材料の中心部に炭素繊維の布または単一方向の炭素繊維で出来ている2つの層を直角に置くと、高い熱負荷下で起こる熱漏出(thermal break−through)を遮断し、高い度合のIR不透過性を示しかつ熱を逸散する層構造物(熱がこの複合材料のx−y面の中に広がって出て行く)が得られる。より具体的には、このエーロゲル複合材料の厚み方向の中央部に位置させる熱伝導層をこれがこの複合材料の堅さに対して示す影響が最小限であるように選択することができる。その上、望まれるならば、結果として得るエーロゲル複合材料が順応性を示すようにする目的で、そのような層に柔順性または固有の順応性を持たせてもよく、例えば銅線のメッシュを本エーロゲル複合材料製品の層間に位置させることで、本複合材料が曲げられた時に順応しかつ変形し得るようにしてもよい。そのような伝導性メッシュは加うるにまたRFIおよびEMI抵抗も与える。
【0017】
本発明の前記およびさらなる態様を以下により詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1に、本発明の一般的加工方法を示す。
【図2】図2は、本発明のエーロゲル複合材料の図である。
【図3】図3は、本発明で補強用材料として用いるに有用な3層積層物の分解図である。
【図4】図4は、本発明で補強用材料として用いるに有用な代替3層積層物の分解図である。
【図5】図5は、エーロゲル複合材料の分解部分図であり、これは、この複合材料がマクロレベルでは繊維バットで補強されておりかつミクロレベルでは個々のフィラメントで補強されていることを示している。
【図6】図6は、本発明で用いるに有用な代替5層積層物の分解図である。
【図7】図7は、本発明の製造した5種類のエーロゲル複合材料がある範囲の温度に渡って示す熱伝導率のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(好適な態様の説明)
エーロゲルは、高分子材料によって支えられている連続気泡を有するゲル構造物の孔から格子間の可動溶媒相をこの溶媒の臨界点より高い温度および圧力下で除去することで生じさせた種類の材料である。この溶媒抽出過程の全体に渡って前記溶媒相の圧力および温度を臨界圧力および温度より高く保持すると、非常に小さい孔から液体が蒸発することによって発生する強力な毛細管力(これによって収縮および孔の崩壊がもたらされる)が発生しなくなる。エーロゲルは典型的に低いかさ密度(約0.15g/cc以下、好適には約0.03から0.3g/cc)、非常に高い表面積(一般に約400から1,000m/g以上、好適には約700から1000m/g)、高い間隙率(約95%以上、好適には約97%以上)、および相対的に大きな細孔容積(約3.8mL/g以上、好適には約3.9mL/g以上)を有する。そのような非晶質構造が有する特性の組み合わせによって、如何なる凝集性(coherent)固体状材料でも最も低い熱伝導値(1気圧下37℃で9から16mW/m・K)をもたらす。
【0020】
エーロゲルの最も魅力的な使用の1つは、ある物体とこれの周囲の間で一定の温度または有意なデルタ温度(delta temperature)のいずれかを可能な最も低いエネルギー費用で維持する受動絶縁本体(passive insulation b
odies)に関する使用である。モノリス型(monolithic)エーロゲル構造物が示す破壊までの柔軟性は一般に小さい(例えば、シリカエーロゲルモノリスの場合、密度が0.1g/ccの時の曲げ係数は0.5MPaである)。
【0021】
本発明のエーロゲル複合材料は2相含んで成る。1番目の相は低密度のエーロゲルマトリックスでありそして2番目の相は補強用相である。この補強用相を主にロフティーな繊維材料、好適にはロフティーなバットと厚み、長さおよび/またはアスペクト比が有意に異なる1種以上の繊維材料の組み合わせで構成させる。アスペクト比が高くて短い微細繊維(ある繊維材料)をエーロゲルマトリックスの全体に渡って分散させてそれをロフティーな連続繊維バット(2番目の繊維材料)に染み込ませると、2種類の繊維材料系の好適な組み合わせがもたらされる。
【0022】
本発明を図1−6で理解することができるであろう。図1に本発明の加工方法を示し、この方法では、ある種の束縛用鋳型タイプの構造物10の中に入れておいた補強用バット12にゲル前駆体11を加える。図2に、無機もしくは有機バット21とエーロゲルマトリックスを用いて生じさせた本発明のエーロゲル複合材料20を示す。図3に、図4に示す複合材料が生じるようにロフティーな連続繊維バット材料の中に流し込む微細繊維材料混合ゲル前駆体を示す。
【0023】
本発明のエーロゲルマトリックスは有機、無機またはこれらの混合物であってもよい。本エーロゲルを生じさせる時に用いる湿った状態のゲルの調製は、本分野の技術者に良く知られたゲル形成(gel−forming)技術のいずれを用いて行われてもよく、その例には、希釈された金属酸化物ゾルのpHおよび/または温度をゲル化が起こる点まで調整することが含まれる[R.K.Iler、「Colloid Chemistry of Silica and Silicates」、1954、6章;R.K.Iler、「The Chemistry of Silica」、1979、5章、C.J.BrinkerおよびG.W.Scherer、「Sol−Gel Science」、1990、2および3章]。無機エーロゲルを生じさせる時に用いるに適した材料は、酸化物になり得る金属の大部分、例えばケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、バナジウムなどの酸化物である。特に好適なゲルは、加水分解を受けさせたケイ酸エステルのアルコール溶液から主に生じさせたゲルである、と言うのは、それらは容易に入手可能でありかつ低コストであるからである[アルコゲル(alcogel)]。
【0024】
また、有機エーロゲルをポリアクリレート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリイミド、ポリフルフラールアルコール、フェノールフルフリルアルコール、メラミンホルムアルデヒド、レゾルシノールホルムアルデヒド、クレゾールホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、ポリビニルアルコールジアルデヒド、ポリシアヌレート、ポリアクリルアミド、いろいろなエポキシ、寒天、アガロースなどから生じさせることができることも本分野の技術者に良く知られている(例えばC.S.Ashley、C.J.BrinkerおよびD.M.Smith、「Journal of Non−Crystalline Solids、285巻、2001を参照)。しかしながら、このような材料は酸素が入っている雰囲気の中で高温で絶縁品として用いると焼失する可能性があり、従って本発明の目的では好適でない。
【0025】
便利さの目的で、以下に行う本発明の説明では無機エーロゲルを生じさせる時にアルコゲルルートを用いるが、これは本発明を特定種のエーロゲルおよび/または製造方法に限定することを意図するものでない。本発明は他のエーロゲルおよび製造方法にも適用可能である。
【0026】
無機エーロゲルを生じさせる基本的な合成ルートは、一般に、適切な金属アルコキサイドに加水分解および縮合を受けさせるルートである。最も適切な金属アルコキサイドは、各アルキル基の炭素原子数が約1から6、好適には炭素原子数が1−4のアルコキサイドである。そのような化合物の具体例には、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラ−n−プロポキシシラン、アルミニウムイソプロポキサイド、アルミニウムs−ブトキサド、セリウムイソプロポキサイド、ハフニウムt−ブトキサド、マグネシウムアルミニウムイソプロポキサイド、イットリウムイソプロポキサイド、チタンイソプロポキサイド、ジルコニウムイソプロポキサイドなどが含まれる。シリカ前駆体の場合には、この材料に加水分解をある程度受けさせた後、ポリケイ酸エステル、例えばポリジエトキシシロキサンなどの重合体として低いpHで安定化を受けさせる。このような材料はアルコール溶液として商業的に入手可能である[例えばシリカ含有量が40%のSilbond(商標)40、Silbond Corporation]。本発明のエーロゲル複合材料製品では特に前以て重合させておいたシリカ前駆体が好適である。
【0027】
低温で用いられるエーロゲルを生じさせる時に用いるに適した材料は、酸化物を生じる金属が基になった非耐火性金属のアルコキサイドである。好適なそのような金属はケイ素およびマグネシウムばかりでなくこれらの混合物である。温度が高い方の用途に適したアルコキサイドは、一般に、酸化物を生じる耐火性金属のアルコキサイド、例えばジルコニア、イットリア、ハフニア、アルミナ、チタニア、セリアなどばかりでなくこれらの混合物、例えばジルコニアとイットリアの混合物などである。また、非耐火性金属と耐火性金属の混合物、例えばケイ素および/またはマグネシウムとアルミニウムの混合物なども使用可能である。2種以上の金属の酸化物であるマトリックス材料をエーロゲル構造物で用いる利点は、幅広い範囲の波長の光線を吸収する化学的官能基を与えることによってIR不透過性を向上させることができる点にある。
【0028】
ドーパント、例えばカーボンブラック、チタニア、酸化鉄、炭化ケイ素、ケイ化モリブデン、酸化マンガン、ポリジアルキルシロキサン(アルキル基が炭素原子を1から4個含有する)などを添加して微分散させて製品のIR不透過性を高めることで、より高い温度における熱性能を向上させることも可能である。そのようなドーパントの適切な量は一般に完成複合材料の約1から20重量%、好適には約2から10%の範囲である。
【0029】
無機エーロゲル生成過程における主要な変数には、アルコキサイドの種類、溶液のpHおよびアルコキサイド/アルコール/水の比率が含まれる。このような変数を制御することで「ゾル」状態から「ゲル」状態への転換全体に渡ってマトリックス種の成長および凝集を制御することができる。結果として生じるエーロゲルの特性は前駆体溶液のpHおよび反応体のモル比の影響を大きく受けるが、本発明ではゲルの生成をもたらす如何なるpHも如何なるモル比も使用可能である。
【0030】
このような溶媒は一般に低級アルコール、即ち炭素原子数が1から6、好適には2から4のアルコールであるが、本技術分野で公知の如き他の液体を用いることも可能である。他の有用な液体の例には、これらに限定するものでないが、酢酸エチル、アセト酢酸エチル、アセトン、ジクロロメタンなどが含まれる。
【0031】
別法として、本発明のエーロゲル複合材料製品を製造する時に下記の方法のいずれも利用可能であるが、密度が最も低くそして/または熱絶縁が最も良好な製品を得ることを可能にする方法が好適である。例えば、ゲルを生じさせる1番目の代替実施では、水に可溶な塩基性金属酸化物前駆体を水に入れた後に酸性にすることでゲル化を起こさせてヒドロゲルを生じさせてもよい。この目的でケイ酸ナトリウムが幅広く用いられてきた。結果として生じたゲルにイオン交換を受けさせそして/または水で洗浄することで副生成物であ
る塩をケイ酸塩前駆体から除去してもよい。極性有機溶媒、例えばエタノール、メタノールまたはアセトンなどを用いた交換を通して前記ゲルの孔から水を除去することができる。乾燥の結果として得たエーロゲルは、同じ有機溶媒中で生じさせたゲルに超臨界抽出を受けさせることで直接生成させた構造に類似した構造を有する。2番目の代替方法は、表面のヒドロキシル基をトリ−メチルシリルエーテルに変化させる(例えば米国特許第5,877,100号を参照)ことによる化学的修飾をマトリックス材料に湿ったゲルの状態で受けさせることによって溶媒/孔界面の所の有害な毛細管圧力を低くしてエーロゲル材料を溶媒の臨界点より低い温度および圧力下で乾燥させることを伴う。
【0032】
シリカエーロゲルに低温用絶縁体(low temperature insulation)を含有させる場合に用いるに現在のところ好適な材料はテトラエトキシシラン(ETEO)と水とエタノール(EtOH)である。TEOSと水の好適な比率は約0.2−0.5:1であり、TEOSとEtOHの好適な比率は約0.02−0.5:1であり、そして好適なpHは約2から9である。これらの材料の溶液の自然なpHは約5である。pHがより低い溶液を得る目的で如何なる酸も使用可能であるが、HCl、HSOまたはHFが現在のところ好適な酸である。より高いpHを生じさせようとする時にはNHOHが好適な塩基である。
【0033】
本特許の目的で、バルク(bulk)である程度の弾性[完全なバルク回復(bulk
recovery)を伴うか或は伴わない]特性を示す繊維材料であるとしてロフティーなバットを定義する。好適な形態はそのような材料の軟質ウエブ(soft web)である。ロフティーなバットである補強用材料を用いると支えられていないエーロゲルの体積が最小限になる一方で、エーロゲルの熱性能の実質的な低下が回避される。バットは、好適には、繊維材料で出来ている層またはシートを指し、これらは通常はキルトのライニング(lining)またはスタッフィングもしくはパッケージング(stuffing or packaging)で用いられるか或は熱絶縁体のブランケット(blanket)として用いられる。
【0034】
本発明で用いる補強用繊維材料は、ロフティーな繊維バットの1層以上の層である。ロフティーなバットである補強材を用いると支えられていないエーロゲルの体積が最小限になる一方で、エーロゲルの熱性能の実質的な低下が回避される。「バット」は一般に繊維の軟質ウエブがシート形態で生じるように繊維をカーディング(carding)またはガーネッティング(Garnetting)することでもたらされた製品であるが、本発明の目的で、「バット」にまたシート形態でないウエブ、例えばAlbany InternationalのPrimaloft(商標)製品などを包含させるが、但しそれらが「ロフティー(lofty)」であるに充分なほど開放(open)されていることを条件とする。バットは、通常は、キルトのライニングまたはスタッフィングもしくはパッケージングで通常用いられるか或は熱絶縁体のブランケットとして通常用いられる繊維材料を指す。このバットを生じさせる時に用いるに適した繊維は比較的細く、一般にデニールが15以下、好適には10以下の繊維である。このようなウエブが示す柔らかさは、この繊維ウエブを生じさせる時に用いる繊維が比較的細くて多方向に配向していることの副産物である。
【0035】
バットに含まれている個々のフィラメント(または繊維)の数がこれで補強された複合材料の熱特性がこれと同じ材料で出来ているが補強されていないエーロゲル本体のそれに比べて大きくは変化しないほど少ない場合、そのようなバットは本発明の目的で「ロフティーである」。このことは、一般に、最終的なエーロゲル複合材料の断面を見た時に繊維の断面積がその断面の全断面積の10%未満、好適には8%未満、最も好適には5%未満であることを意味する。このようなロフティーなバットが室温および圧力下で示す熱伝導率は熱伝導率が低いエーロゲル複合材料の生成が助長されるように好適には50mW/m
・K以下である。
【0036】
バットが本発明の範囲内で充分にロフティーであるか否かを決定する別の方法は、それの圧縮性と弾性を評価する方法である。本ケースのロフティーなバットは、(i)それの自然な厚みの少なくとも50%、好適には少なくとも65%、最も好適には少なくとも80%圧縮可能でありそして(ii)数秒間の圧縮後にそれが元々の厚みの少なくとも70%、好適には少なくとも75%、最も好適には少なくとも80%にまで回復するに充分な弾性を示すバットである。このような定義により、ロフティーなバットは、空気(バルク)が除去されるように圧縮可能であるが実質的にそれの元々の大きさおよび形状にはね戻り得るバットである。例えば、Holofil(商標)バットは、元々の1.5”の厚みから最低の約0.2”にまで圧縮可能でありかつ負荷を取り除いた後にそれの元々の厚みにまではね戻り得る。このようなバットは空気(バルク)を1.3”と繊維を0.2”含有すると見なすことができる。これは87%圧縮可能でありそしてそれの元々の厚みの本質的に100%にまで回復する。家庭用絶縁で用いられるガラス繊維のバットは同様な度合にまで圧縮可能でありそしてそれの元々の厚みの約80%にまではね戻り得るが、その速度は極めて遅い。
【0037】
本明細書で用いるに有用なバットは実質的に繊維のマット(fibrous mat)とは異なる。繊維のマットは、「濃密に織られたか或は濃密に絡み合った塊」、即ち隣接する繊維間の開放空間(もしあれば)が最小限の濃密で相対的に堅い繊維構造物である。マットの密度は一般に25ポンド/立方フィート(0.41g/cc)を超えるが、本明細書で用いるに有用なロフティーなバットの密度はずっと低い、即ち約0.1から16ポンド/立方フィート(0.001−0.26g/cc)、好適には約2.4から6.1ポンド/立方フィート(0.04から0.1g/cc)の範囲である。マットの場合にはこれを圧縮することができるとしても一般に約20%未満であり、ほとんどから全く弾性を示さない。マットである補強材を用いて生じさせたエーロゲル複合材料では、マットの繊維の断面積は全断面積の30−50%以下であり得る。
【0038】
そのようなバットは、好適には、これの中にゲル形成液を注ぎ込んだ後にそれの厚みの少なくとも50%を保持する。
【0039】
本明細書で用いる補強用繊維材料の中に間隙が存在する必要があることを理解する方法は、繊維補強材がz軸(熱流の方向)に沿って配列する傾向があることから熱導管として働くことで結果として生じた複合材料の熱伝導率を有意に高くするであろうことを認識する方法である。特にx−y水平面に高度に整列(真っすぐに)した繊維を有するバットは、密度は同じであるが繊維が曲がっているか或は波形であることから3軸全部の方向に位置する典型的なロフティーなバットよりも堅い。z方向に流れる熱流を最小限にする(大部分の絶縁材料で望まれるように)には、そのようなバットのz軸(熱流の方向)に沿って流れる熱流を低くすべきである。このように、適切なバットは繊維がz軸に沿ってロフト(loft)を維持するに充分なほど多い量であるが結果として生じる複合材料の絶縁特性がそのような繊維によって危うくなるほどの量でない量で配列しているバットである。z軸に沿って位置させる繊維をxおよびy軸に位置させる繊維の材料とは異なる材料(好適にはより低い熱伝導率を示す材料)にすることも可能である。また、z軸の繊維の方がx−y方向の繊維に比べて熱伝導にとって曲がりくねった路を示すように、それらをより遠回り(circuitous)させることも可能である。あらゆる軸方向の熱伝導率を最小限にする試みでバット全体に渡って同じ繊維材料および方法を用いることも可能であるが、しかしながら、数多くの絶縁用途で提言されるのは特定方向の熱流であり、そのような材料および方法を用いると結果として生じる複合材料の柔軟性が危うくなる可能性がある。理想的なロフティーなバットは、けん縮を受けた(crimped)細い繊維が複合材料の全体に渡ってむらなく分布しているバットである。
【0040】
ロフティーなバットを用いて生じさせた複合材料は柔軟で耐久性があって低い熱伝導率を示しかつ焼結に対して良好な抵抗を示すが、このようなエーロゲル複合材料に微細繊維、特に耐焼結性に役立つと同時に耐久性を向上させかつ粉じん発生を低下させる微細繊維を添加して不規則に分布させると前記複合材料の性能が実質的に向上し得る。このような短い繊維である補強材(微細繊維)が複合材料の性能に与える効果は、数多くの変数、例えば繊維の配列、直径、長さ、アスペクト比(繊維の長さ/繊維の直径)、強度、引張り応力、破壊に至る歪み、熱膨張率、そして繊維とマトリックスの間の界面の強度などに依存するであろう。このような微細繊維をゲル前駆体液の中に分散させた後、この液を用いて、これをロフティーなバットに染み込ませることを通して、これらを前記複合材料の中に取り込ませる。
【0041】
本明細書で用いるに有用な適切な微細繊維は、典型的に、直径が0.1から100μmの範囲であり、高いアスペクト比(L/d>5、好適にはL/d>100)を示しかつ複合材料の全体に渡って比較的均一に分布する微細繊維である。アスペクト比が高ければ高いほど複合材料の性能が向上することから、できるだけ長い微細繊維が望まれる。しかしながら、本明細書で用いる繊維の長さは、微細繊維を入れておいたゲル前駆体を選択したロフティーなバットの中に注入する時にそれがいくらか濾過されることがないようにする(または少なくとも最小限にする)ことで制限される。そのような微細繊維はロフティーなバットによる濾過が最小限であるに充分なほど短くあるべきであるが、結果として生じる複合材料の熱および機械的性能に対する効果ができるだけ最大になるほどの長さであるべきである。このような微細繊維が示す熱伝導率は熱伝導率が低いエーロゲル複合材料の生成が助長されるように好適には200mW/m・K以下である。
【0042】
このような微細繊維をゾルの中に分散させる時、それらはしばしば迅速に沈降する。このような問題を克服する目的で、ゲル生成に有害な影響を与えない懸濁剤もしくは分散剤を前記ゾルに添加すべきである。適切な懸濁/分散剤には、顔料に親和性を示す基を有する高分子量のブロック共重合体(BYK−ChemieのDisperbyk−184および192)の溶液などが含まれる。このような作用剤は、少なくとも、前記微細繊維をゲル前駆体の中に分散させる時とゾルをゲル化させる時の間の時間に渡って効果を示す必要がある。
【0043】
特定のエーロゲル複合材料の中で用いる微細繊維の量、種類および/または大きさおよびアスペクト比は特定の作業性を満足させるように多様であり得る。例えば、ある用途は、連続エーロゲル複合材料を用いていろいろな温度の領域を絶縁することを伴う可能性があり、そのような複合材料は、高温領域に接触するであろう複合材料領域の中に微細繊維がより多い量で存在するように製造可能である。同様に、最良の絶縁性能が要求されるそのような領域にいろいろな微細繊維(例えば異なる材料、異なるアスペクト比、大きさ)を組み込んでもよい。そのような微細繊維による修飾は、いろいろな懸濁剤および/または微細繊維を用いて前記微細繊維を複合材料の中にいろいろな速度、従っていろいろな場所に沈降させることで達成可能である。
【0044】
ロフティーなバットおよび微細繊維の両方を生じさせる時に用いるに適した繊維材料には如何なる繊維形成材料も含まれる。特に適切な材料には、ファイバーグラス、石英、ポリエステル(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリベンズイミダゾール(PBI)、ポリフェニレンベンゾ−ビスオキサゾール(PBO)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリ−メタフェニレンジアミン(Nomex)、ポリ−パラフェニレンテレフタルアミド(Kevlar)、超高分子量のポリエチレン(UHMWPE)、例えばSpectra(商標)など、ノボロイド樹脂(Kynol)、ポリアクリロニトリル(PA
N)、PAN/炭素および炭素繊維が含まれる。
【0045】
バットと微細繊維の両方に同じ繊維材料を用いてもよいが、異なる材料の組み合わせを用いることも可能である。そのような1つの組み合わせは、ロフティーなファイバーグラスバットの全体に渡って分散させた炭素微細繊維である。
【0046】
示したように、バットと微細繊維による補強の組み合わせを用いると耐焼結性が向上することを見いだした。これは、適切な材料の微細繊維、例えば炭素フィラメントなどをゲル前駆体(一般的には適切な非反応性分散剤と組み合わせた)の中に混合した後に前記ゲル前駆体をロフティーなバットの上に注ぎ込むことで達成可能である。図5は、そのようなエーロゲル複合材料の分解図であり、この複合材料はマクロレベル(macro level)では繊維バット51による補強を受けておりそしてミクロレベルでは炭素繊維フィラメント52による補強を受けている。炭素微細繊維をシリカマトリックスの中に分散させると、IR不透過性とミクロスケール(microscale)の強化が組み合わされることで非耐火性金属酸化物、例えばシリカなどが高い方の温度で示す熱性能および機械的性能が、強化されていなくて不透明なシリカのそれに比べて大きく向上する。
【0047】
本発明の別の態様では、補強用のロフティーな繊維バットを図3、4および6に示す如き多層積層物の形態で用いる。この積層物に、繊維材料のバットを含めることに加えて、最終的複合材料構造に特定の特性を与えるに役立つ材料の層を含めてもよい。例えば、x−y面に金属層、例えば銅メッシュなどを含めると、x−y方向の熱および/または電気伝導率が向上し、RFI−EMI減衰が向上し、この複合材料を支持体構造物につなぎ止める能力が向上し、そして/または追加的な物理的強度が得られる。如何なる金属を用いて金属メッシュを生じさせてもよいが、現在のところ銅およびステンレス鋼が好適である。直径が約0.001から0.1インチ、好適には約0.01から0.05インチの範囲のワイヤーを用いて適切なメッシュを生じさせ、そしてワイヤーの間隔をウインドースクリーン(window screen)のように密な状態から0.3インチに至る範囲にしてもよい。
【0048】
そのような追加的層を熱伝導率が高い(>1W/m・K)材料、例えば炭素繊維、炭化ケイ素または金属で構成させると、結果として生じる複合材料は多層複合材料のx−y面全体に渡って熱を迅速に逸散する有意に向上した能力を示すことで、複合材料が高い熱負荷下で示す耐久性が更に向上することを見いだした。
【0049】
図3に、ロフティーな繊維バットの層32と微細な銅のメッシュ31と2番目のロフティーな繊維バットの層32で構成させた3層積層物を示す。図4に、ロフティーな繊維バットの層42と炭素繊維織物41と2番目の繊維バットの層42で構成させた別の3層積層物を示す。これらの積層物は対称的構造物であるように示し、この方が好適ではあるが、必須ではない。
【0050】
金属のメッシュを1層以上の中心層として用いると、これはまたひだを付けることができるか或は柔軟性であるばかりでなくまた順応性を示す、即ち曲げられた後に形状を保持し得るエーロゲル複合材料がもたらされると言った利点も得られる。
【0051】
高伝導率の層を複合材料の中に組み込む他のアプローチでは金属シートを含め、そのシートの一部を切断して面を曲げる。そのようにして曲げた部分は複合材料の伝導層と残りの部分の間のアンカー(anchor)として働く。金属箔片も同様に使用可能であり、そのような材料の組み合わせも同様に使用可能である。
【0052】
そのような伝導層は数多くの二次的利点を与える。伝導性金属層を含有させたエーロゲ
ル複合材料はある形状に順応するように変形可能でありかつその形状を保持し得る。図3の複合材料は簡単な湾曲および複雑な湾曲の両方に変形可能である。それがはね戻る度合は限られた度合であるばかりでなくまた可塑的に有効に変形してある形状を保持し得る。そのような伝導層の別の利点は、これが一般に構造繊維、即ち強い連続繊維で構成されている点にある。このような伝導層はつなぎ止め材料として働く可能性があり、それによって、機械的留め具を打ち込むことができる。そのような留め具は複合材料または伝導層自身に強く付着するであろう。
【0053】
本複合材料が受ける機械的負荷は伝導性金属層を通して留め具および他の構造物の中に伝達され得る。これの一例は、本エーロゲル複合材料を車のシャーシに固定してそれを熱遮断具として働かせる例である。その補強材が充分に磁気を帯びる場合には、それを機械的留め具の必要なしに鉄または磁気構造物に付着させることができる。そのような伝導層によって伝達された熱を環境および/または吸熱器に放出させ(輻射、対流)てもよいか或は二次的過程を進行させる目的で用いてもよい。例えば、余分な熱を直接用いてもよい(水の加熱などで)か或はPeltierエレメントなどを用いて電気エネルギーに変化させてもよい。このようなエーロゲル複合材料の設計は、ブランケット(blanket)の熱い側の表面近くに伝導層を位置させて熱流束がPeltierエレメントを置いた地点のブランケットの冷えた側のみに向かうようにした設計であってもよい。高い熱伝導率を示す繊維の例にはグラファイト、炭化ケイ素、銅、ステンレス鋼、アルミニウムなどが含まれる。
【0054】
図6は、繊維バット層61と炭化ケイ素フェルト層62と微細銅メッシュ63と炭化ケイ素フェルト層62と繊維バット層61で構成させた積層物の分解図である。
【0055】
調製すべきエーロゲルを同定した後、適切な金属アルコキサイド−アルコール溶液を調製する。エーロゲルを生じる溶液の調製は本技術分野で良く知られている。例えばS.J.Teichner他、「Inorganic Oxide Aerogel,Advances in Colloid and Interface Science」、5巻、1976、245−273頁およびL.D.LeMay他、「Low−Density Microcellular Materials」、MRS Bulletin、15巻、1990、19頁を参照。
【0056】
用いるアルコキサイド−アルコール溶液は一般に1種類のみであるが、混合酸化物エーロゲルを加工する目的で2種以上のアルコキサイド−アルコール溶液の組み合わせを用いることも可能である。このアルコキサイド−アルコール溶液を生じさせた後、水を添加して加水分解を起こさせることで、金属の水酸化物を「ゾル」状態で存在させる。この加水分解反応は、一例としてテトラ−エトキシシランを用いると、
Si(OC+4HO→Si(OH)+4(COH) (1)
である。次に、このゾル状態のアルコキサイド溶液を縮合反応(式2に示す如き)が起こって前駆体が生じるに充分な時間(通常は一晩)熟成させることでエーロゲルモノリスを生じさせ、それに超臨界乾燥を受けさせるとエーロゲルが生じる。
Si(OH)→SiO+2HO (2)
【0057】
本発明のさらなる詳細および説明を下記の具体的実施例に見ることができ、本実施例に本発明に従うエーロゲル複合材料の製造およびそれを用いて得た試験結果を記述する。部およびパーセントは特に明記しない限り全部重量部および重量パーセントである。
【0058】
(実施例)
【実施例1】
【0059】
3M CompanyのポリエステルThinsulate(商標)Lite Loft絶縁体の断片(2’x3’x1/4”)を壁付き容器の中に入れた。前以て加水分解を受けさせておいた市販のシリカ前駆体(Silbond H−5)を1300ml用いて、これを1700mlの変性アルコール(denatured alcohol)(95%)と混合する。この溶液を15分間撹拌する。次に、この溶液を撹拌しながらこれにHF(全溶液の2体積%)をゆっくり添加することでゲル化を起こさせる。その結果として得た溶液を容器の中に前以て入れておいたブランケットの上に注ぎ込む。ゲル化が数分以内に起こる。この新鮮な「ブランケット−ゲル」を50℃のエタノール浴に入れて密封した状態で一晩熟成させる。臨界未満および超臨界CO抽出を用いて、前記ゲルに捕捉されているアルコールを4日間かけて除去する。
【0060】
結果として得たエーロゲル複合材料の密度は約0.1g/ccである。このエーロゲル複合材料の熱伝導率をThin Heater Thermal Conductivity Test(ASTM C1114−98)で測定した結果、16.6mW/m°Kであった。同じ材料源および製造方法を用いて生じさせた純粋なエーロゲルモノリスが示した熱伝導率は17.4mW/m°Kであった。
【0061】
このエーロゲル複合材料は極めて柔軟である。人の腕を用いてそれにひだを顕微的破壊なしに付けることができる。この「ドレープテスト(drape test)」は、湾曲の半径を約2”にして180°曲げることに相当する。
【0062】
前記ブランケットは熱伝達に対して有意な抵抗を示しかつプロパン、液化石油とメチルアセチレン−プロパジエン(MAPP)ガスの組み合わせおよびオキシアセチレントーチ炎にさらされた時に熱劣化/焼結に対して有意な耐性を示す。このブランケットの一方の面を炎による熱にさらした時、もう一方の面を素手(bare skin)で損傷なしに触れることができる。そのようなポリエステルバットを単独で炎に直接さらすと急速に劣化する。このポリエステルバットによる補強を受けさせたエーロゲル複合材料に入っているポリエステルはずっと大きな度合で熱劣化に耐える[厚みが1/4”のサンプルをプロパントーチ炎にさらした時の焼け落ち(burn−through)が瞬時であるのに対比して約40秒間]。このポリエステルがエーロゲルマトリックスの中に残存する限り、その複合材料は柔軟性なままでありかつ低い度合の熱伝導率を示す。炎をエーロゲル複合材料にあまりにも近づけると焼け落ちが起こるであろう。
【実施例2】
【0063】
ポリエステル繊維バットの代わりに密度が65g/mのロフティーなシリカ繊維構造物(Saint−Gobain QuartzのQuartzel)を結合剤であるポリビニルアルコールと一緒に用いる以外は実施例1の手順を繰り返す。
【0064】
結果として得たシリカバット/シリカエーロゲル複合材料にガーデッドホットプレート(guarded hotplate)(ASTM C−177)を用いた試験を受けさせた時にそれが示した熱伝導率は15.0mW/m・Kである。この複合材料の柔軟性は実施例1のエーロゲル−ポリエステルブランケットのそれよりも低かったが、それでも有意である。これは極めて柔軟であるが、同じ度合ではひだが付かない。このエーロゲル複合材料の密度は0.113g/ccであった。この複合材料の厚みは約3mmであった。この複合材料を開放炎(open flame)にさらした時、実施例1の生成物に比べてずっと良好に熱劣化に抵抗する。
【0065】
繊維を存在させるとエーロゲルの焼結が最小限になると思われる。炎の先端がブランケットの下側に当たるようにオキシアセチレントーチをサンプルの下方5−6”の所に置く。このサンプルを5時間さらした後の下部表面に見られる焼結は最小限である。この試験
中、前記サンプルの上部を素手で触れることができた。このエーロゲル複合材料の上部の温度はブランケットと炎源の間の距離を基にして150−230℃で多様である。このブランケットの下部はオレンジ−黄色に輝いている。このブランケット下部の黄色部分の温度をピロメーター(pyrometer)で1回読み取った結果、1100℃である。
【実施例3】
【0066】
補強用繊維バットをポリエステル/炭化ケイ素/−16銅メッシュ/炭化ケイ素/ポリエステルの5層繊維積層物に置き換える以外は実施例1および2の手順を繰り返す。
【0067】
熱伝導率(ASTM C−177に従って試験)は12.5mW/m・K(平均)である。この複合材料はあまり柔軟ではない。この積層物の厚みは10.3mmである。銅メッシュを用いると点負荷がより広い面積に広がることによってx−yの熱伝導率が向上する。この銅メッシュはまたEMI−RFI遮蔽も与える。補強用ポリエステルおよび炭化ケイ素繊維を存在させるとエーロゲルの焼結が最小限になると思われる。
【実施例4】
【0068】
補強材をポリエステルバットと一方向炭素繊維(高分子量結合剤を伴う)と軽い銅メッシュとロフティーなポリエステルバットの4層積層物で構成させる以外は実施例3の手順を繰り返す。
【0069】
熱伝導率(ASTM C−177に従って試験)は14.1mW/m・K(平均)である。この複合材料はほとんど柔軟性を示さない。この積層物の厚みは8.0mmである。補強用繊維を存在させるとエーロゲルの焼結が最小限になる。
【実施例5】
【0070】
補強材をシリカフェルトとステンレス鋼メッシュとシリカフェルトの3層積層物で構成させて1つの面に約6”存在させる以外は実施例3の手順を繰り返す。また、ステンレス鋼の代わりに銅メッシュを用いた2番目の補強エーロゲル複合材料も調製する。
【0071】
熱伝導率(ASTM C−177に従って試験)は12.4mW/m・K(平均)である。この複合材料はいくらか柔軟性があり、これを曲げた時にその形状を保持する点で順応性がある。この積層物の厚みは5.3mmである。補強用繊維を存在させると、衝突領域(赤色−オレンジ色に輝く)の直径が約2インチになるように複合材料下部からの距離を6”に設定したオキシアセチレントーチを用いた炎試験で、エーロゲルの焼結が最小限になると思われる。この複合材料の縁(上部を貫いて鋼メッシュに付着させた熱電対)の所の温度は120℃であったが、この衝突領域の中心から2インチ以上離れた所(それでも炎の直ぐ上)の測定温度は定常状態で60℃である。
【0072】
ステンレス鋼メッシュの代わりに銅メッシュを用いたエーロゲル複合材料も同じ効果を示す。
【実施例6】
【0073】
2種類の追加的材料をシリカゾルに加える以外は実施例2の手順を繰り返す。1番目の材料は小さいデニールの炭素繊維[Pyrograf Products(Zenia、OH)のPyragraf III、Grade PR−11−AG]である。2番目の材料は分散剤(BYK−ChemieのDisperbyk 184)である。1000mlのビーカーにエタノールを750ml入れて、これに炭素繊維を2グラムおよび分散剤を6グラム加える。このビーカーを氷浴に入れて、これにMisonix 2020音波処理装置(sonicator)による音波処理を全出力で1時間受けさせることで、繊維の塊を壊して懸濁液を生じさせたが、この懸濁液は目で見て少なくとも1時間に渡っ
て安定である。ガラススライドの上に前記懸濁液の滴を置いて板状にした時、前記繊維は迅速には塊にならない。
【0074】
その結果として得たシリカバット/炭素繊維/シリカエーロゲル複合材料が示した熱伝導率は14.8mW/m・K(ASTM C−177)である。この複合材料の柔軟性は実施例2のエーロゲルブランケット(ブランケット#2)のそれよりも若干低いが、それでも有意である。このエーロゲルマトリックスを強く引っ張った時、顕微様式で亀裂が入る傾向がある。このエーロゲル複合材料の密度は約0.12g/ccである。この複合材料の厚みは約3mmである。
【0075】
この複合材料が開放炎にさらされた時に示す耐熱劣化性は実施例2のエーロゲルブランケットのそれよりもずっと良好である。
【0076】
MAPPガストーチを炎源として用いる。このトーチを石英バット単独に当てた時、このバットにしわが寄って、これは最終的に溶融した。そのMAPPガストーチを用いて、ブランケット#2が示す同様な効果を示す。トーチのノズルをブランケット#2の近くに置いた時、最終的に劣化/焼結および焼け落ちが起こる。この実施例のエーロゲルバットに短炭素繊維を加えると、正に下部表面以外の場所には劣化が見られない。MAPPガストーチを用いた時にそれは焼け落ちを起こし得ない。このサンプルの上部を試験中に素手で触ることができた。このブランケットの下部は置いたトーチからの距離に応じてオレンジ色−黄色−白色に輝く。エーロゲルの焼結は最小限であると思われる。マクロ繊維とミクロ繊維による補強組み合わせはマクロ繊維による補強単独よりもずっと良好に働く。
【実施例7】
【0077】
いろいろな補強システムが本発明の1つ以上の態様のエーロゲル複合材料に対して示す効果を評価する目的で、補強材を変える以外は実施例1の手順に従って一連の複合材料を調製した。ロフティーな補強材に適切なゾルを染み込ませた後に超臨界乾燥を受けさせることでエーロゲル複合材料を調製する。図7に、下記のサンプルが示した熱性能の結果を温度に対比させて示す。
【0078】
サンプルAでは2デニール未満のロフティーなポリエステルバットを用い、繊維の断面積がエーロゲル複合材料の全断面積の15%未満になるようにし、そしてこのロフティーなバットを圧縮した後、元々の厚みの75%にまで回復した。
【0079】
サンプルBでは9μmの繊維を用いて生じさせた石英ウールを用い、バットの密度を0.005g/ccにし、そしてこのロフティーなバットを圧縮した後、元々の厚みの75%にまで回復した。
【0080】
サンプルCでは、サンプルBのバットをドーパントであるカーボンブラックが乾燥複合材料の総重量を基準にして5重量%になりかつ炭素微細繊維が3%(同じ基準)になるようにそれらと組み合わせて用いた。前記カーボンブラックはCobot Vulcanカーボンブラックであった。前記炭素微細繊維は直径が0.1から100μmで長さが約1−2mmであった。Disperbyk 184分散剤を用いた。
【0081】
サンプルDでは、サンプルBのバットをドーパントであるカーボンブラックが乾燥複合材料の総重量を基準にして6重量%になりかつ炭素微細繊維が4%(同じ基準)になるようにそれらと組み合わせて用いた。前記カーボンブラックはCobot Vulcanカーボンブラックであった。前記炭素微細繊維は直径が0.1から100μmで長さが約1−2mmであった。Disperbyk 184分散剤を用いた。
【0082】
サンプルEでは、サンプルBのバットをドーパントであるカーボンブラックが乾燥複合材料の総重量を基準にして6重量%になりかつ炭素微細繊維が4%(同じ基準)になりかつドーパントであるポリジメチルシロキサンが10重量%になるようにそれらと組み合わせて用いた。前記カーボンブラックはCobot Vulcanカーボンブラックであった。前記炭素微細繊維は直径が0.1から100μmで長さが約1−2mmであった。Disperbyk 184分散剤を用いた。
【0083】
サンプルEは100,000を超える曲げサイクルに耐え、この材料はこれ自身の上に熱性能の損失なしに二つ折りされた。
【0084】
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
【0085】
1.エーロゲルと補強用構造物を含んで成っていて柔軟で耐久性のある軽量絶縁製品として働く複合材料製品であって、前記補強用構造物が、前記エーロゲルの熱性能を同じ材料で出来ているが補強されていないエーロゲル本体と比較した時に実質的に低下させないロフティーな繊維バットを含んで成ることを特徴とする複合材料製品。
【0086】
2.エーロゲルと補強用構造物を含んで成っていて柔軟で耐久性のある軽量絶縁製品として働く複合材料製品であって、前記補強用構造物が、この複合材料の断面に見える前記バットの繊維の断面積が前記断面の全面積の10%未満であるに充分なほどロフティーな繊維バットを含んで成ることを特徴とする複合材料製品。
【0087】
3.更に直径が約0.1から100μmでアスペクト比が5を超える微細繊維も含有する1−2.記載の複合材料製品。
【0088】
4.更に1W/m・kに等しいか或はそれ以上の熱伝導率を示す1種以上の高熱伝導性材料も含有する1−3.記載の複合材料製品。
【0089】
5.前記ロフティーな繊維バットが熱伝導率が50mW/m・K未満の繊維で本質的に構成されていることを特徴とする1−4.記載の複合材料。
【0090】
6.前記ロフティーなバットがこれのz軸方向に繊維をこれがロフトを与えるに充分な量であるが熱伝導体として働く前記z軸の繊維によってこの複合材料の絶縁特性が危うくなるほど多くない量で有することを特徴とする1−5.記載の複合材料。
【0091】
7.更に微分散しているドーパントもこの複合材料の総重量の約1−20重量%の量で含有する1−6.記載の複合材料。
【0092】
8.前記ロフティーな繊維バットの繊維が約0.1から100μmの直径を有するけん縮を受けた繊維でありそして前記繊維がこの複合材料の全体に渡ってむらなく分散していることを特徴とする1−7.記載の複合材料。
【0093】
9.前記バットがこれの厚みの少なくとも65%圧縮可能でありそして約5秒間の圧縮後にこれの元々の厚みの少なくとも75%にまで回復するに充分な弾性を示すことを特徴とする1−8.記載の複合材料。
【0094】
10.前記バットが約0.04から0.1g/ccの密度を有する1−2.記載の複合材料。
【0095】
11.前記微細繊維が示す熱伝導率が約200mW/m・K未満であることを特徴とする
3.記載の複合材料。
【0096】
12.前記微細繊維が前記ロフティーな繊維バットに比べて焼結に大きく抵抗するか、前記ロフティーな繊維バットに比べてこの複合材料を通る赤外線の透過率を低くするか、無線周波数波を減衰させるか或は電磁波を減衰させる材料で構成されていることを特徴とする3および11.記載の複合材料。
【0097】
13.この複合材料の空間位置の中で下記の特性:微細繊維の材料;微細繊維の大きさ;微細繊維のアスペクト比;および微細繊維の量;の中の少なくとも1つが多様であることを特徴とする3−12.記載の複合材料。
【0098】
14.前記高熱伝導性材料がこの複合材料にこの複合材料が曲げられた後にこの複合材料がこれの形状を保持し得ると言った順応性を与えるに充分なほどの柔順性を示す金属であることを特徴とする4−13.記載の複合材料。
【0099】
15.この複合材料がx−y水平面とz垂直面を有しそして前記高熱伝導性材料が主にこの複合材料のx−y面の中に配列していることを特徴とする4−14.記載の複合材料。
【0100】
16.前記高熱伝導性材料が局所的熱負荷から熱を伝導で取り除きそしてそれを吸熱器で環境に放出させるか或は熱エネルギーが直接利用される過程に伝達させることを特徴とする4−15.記載の複合材料。
【0101】
17.前記高熱伝導性材料が金属または炭素の繊維であることを特徴とする4−16.記載の複合材料。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟で軽量の絶縁用複合材料製品であって、(a)その厚みの少なくとも65%圧縮可能でありそして5秒間の圧縮後に元々の厚みの少なくとも75%にまで回復するロフティーな繊維バットシート、および(b)前記バットを通る連続エーロゲルを含んでなる、上記複合材料製品。
【請求項2】
ロフティーな繊維バットシートおよび前記バットを通る連続エーロゲルを含んで成る柔軟で軽量の絶縁用複合材料製品であって、この複合材料製品の断面図において前記ロフティーな補強用繊維バットシート構造物が前記断面図の全面積の10%未満を構成することを特徴とする複合材料製品。
【請求項3】
更に0.1から100μmの直径を有しかつ5を超えるアスペクト比を示す微細繊維も含有することを特徴とする請求項1−2のいずれか1に記載の複合材料製品。
【請求項4】
熱伝導率が1W/m・kに等しいか或はそれ以上である高熱伝導性材料を含んで成る1種以上の要素を更に含有することを特徴とする請求項1−3のいずれか1に記載の複合材料製品。
【請求項5】
前記繊維バットが50mW/m・K未満の熱伝導率を示す繊維で構成されていることを特徴とする請求項1−4のいずれか1に記載の複合材料。
【請求項6】
前記繊維バットが10以下のデニールを有する繊維から作られたバットであることを特徴とする請求項1−5のいずれか1に記載の複合材料。
【請求項7】
更に微分散しているドーパントもこの複合材料の総重量の1−20重量%の量で含有する請求項1−6のいずれか1に記載の複合材料。
【請求項8】
前記繊維バットの繊維が約0.1から100μmの直径を有しそしてこれらがこの複合材料の全体に渡ってむらなく分散しているけん縮を受けた繊維であることを特徴とする請求項1−7のいずれか1に記載の複合材料。
【請求項9】
前記バットが0.04から0.1g/ccの密度を有する請求項1−8のいずれか1に記載の複合材料。
【請求項10】
前記微細繊維が示す熱伝導率が200mW/m・K未満であることを特徴とする請求項3記載の複合材料。
【請求項11】
前記微細繊維が前記繊維バットが焼結に抵抗する度合よりも高い度合で焼結に抵抗する材料で出来ていることを特徴とする請求項3および10のいずれか1に記載の複合材料。
【請求項12】
前記微細繊維が前記繊維バットがこの複合材料を通る赤外線の透過率を低くする度合よりも大きな度合で低くする材料で出来ていることを特徴とする請求項3および10のいずれか1に記載の複合材料。
【請求項13】
前記高熱伝導性材料が柔順性のある金属であり、前記柔順性のある金属が、この複合材料に、この複合材料が曲げられた後にこの複合材料がこれの形状を保持し得ると言った順応性を与えていることを特徴とする請求項4−12のいずれか1に記載の複合材料。
【請求項14】
この複合材料がx−y水平面とz垂直面を有しそして前記高熱伝導性材料がこの複合材
料のx−y面の中に配列している度合の方がz垂直面の中に配列している度合よりも大きいことを特徴とする請求項4−13のいずれか1に記載の複合材料。
【請求項15】
前記高熱伝導性材料が局所的熱負荷から熱を伝導で取り除きそしてそれを環境に放出させることを特徴とする、環境における熱負荷近くの熱絶縁体として用いられる請求項4−14のいずれか1に記載の複合材料。
【請求項16】
前記高熱伝導性材料が金属であるかまたは炭素繊維であることを特徴とする請求項4−15のいずれか1に記載の複合材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−182135(P2012−182135A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52980(P2012−52980)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【分割の表示】特願2002−553559(P2002−553559)の分割
【原出願日】平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願人】(503177454)アスペン・エアロジエルズ・インコーポレーテツド (2)
【Fターム(参考)】