説明

エーロゲル含有断熱性物品の製造方法

【課題】手作業による断熱材料の取扱いを最小限にし、得られる断熱性物品の最大限の熱伝導特性を達成する断熱性物品の製造方法を提供する。
【解決手段】断熱性物品を製造する本発明の方法は、大気圧より低い第1の空気圧の下で、エーロゲル粒子を含む密封第1の容器を用意することを含む。第1の空気圧より高い第2の空気圧の下で、第1空気圧のエーロゲル分子の非制約体積は、エーロゲル分子の非制約体積より少ない。密封第1の容器は、次いで第2の容器内に配置され、そして、密封第1の容器は破られ、第2の空気圧の第1および第2の容器の間の気圧を等しくして、エーロゲル粒子の体積を増大させ、それにより断熱性物品を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は断熱性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
断熱性物品は断熱層を与えるため、多様な分野で使用されている。例えば、多くはパネルの形状を呈する断熱性物品が低温の内部と高温の外部との間に必要な断熱を可能にするため、冷蔵装置に使用されている。断熱性物品は多様な方法で形成されるが、多くの場合、パネルやその他の空洞に断熱性の繊維や粉末を充填することによって形成される。しかし、このような製造方法は多くの場合、煩雑であり、最適熱伝導率を有する断熱性物品が得られない。
【0003】
特に、容器への断熱材料充填は手作業を必要とする場合が多い。このような断熱材料の扱いに伴う難点として、健康を害する危険性や使用者にとっての不便さなどが挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は手作業による断熱材料の取扱いを最小限にし、得られる断熱性物品の最大限の熱伝導特性を達成する断熱性物品の製造方法を提供する。
【0005】
本発明の上記及びその他の利点と、上記以外の特徴を以下に説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の断熱性物品の製造方法は、先ず大気圧よりも低い第1の空気圧においてエーロゲル粒子を含む密封された第1の容器を用意する。第1の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積は、第1の空気圧よりも高い第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積よりも小さい。密封された第1の容器を第2容器内に配置し、密封された第1の容器を破ることにより、第1及び第2容器の空気圧を第2の空気圧に等しくしてエーロゲル粒子の体積を増大させ、これにより断熱性物品を形成する。
【0007】
本発明は断熱性物品の製造方法を提供する。断熱性物品の製造方法は密封された第1の容器及び第容器を用意するステップを含む。密封された第1の容器は大気圧よりも低い第1の空気圧においてエーロゲル粒子を収容している。第1の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積は、第1の空気圧よりも高い第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積よりも小さい。次いで、密封された第1の容器を密封された第1の容器内の空気圧よりも高い空気圧においてある第2容器内に配置する。密封された第1の容器を破ると、第1及び第2容器の空気圧が第2の空気圧に等しくされる。従って、エーロゲル粒子の体積が増大して第2容器を満たして、断熱性物品を形成する。
【0008】
本発明は、以下の態様[1]〜[14]を包含することができる。
【0009】
[1] 断熱性(insulation)物品の製造方法であって、
(a)大気圧よりも低い第1の空気圧においてエーロゲル粒子を含む密封された第1の容器を用意し(providing)、第1の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約(unrestrained)体積が、第1の空気圧よりも高い第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積よりも小さいものであり、
(b)密封された第1の容器を第2容器内に配置し、
(c)密封された第1の容器を破る(breaching)ことにより、第1及び第2容器の空気圧を第2の空気圧に等しくして、エーロゲル粒子の体積を増大させ、これにより断熱性物品を形成する、
ことを含む、前記製造方法。
【0010】
[2] 第2の空気圧が大気圧よりも低い[1]に記載の製造方法。
【0011】
[3] 第2の空気圧が大気圧である[1]に記載の製造方法。
【0012】
[4] 第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積が第2容器の体積と実質的に同じである[3]に記載の製造方法。
【0013】
[5] 第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積が第2容器の体積よりも大きい[1]に記載の製造方法。
【0014】
[6] 第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積が第2容器の体積よりも約10%以上大きい[5]に記載の製造方法。
【0015】
[7] 実質的に全てのエーロゲル粒子が約5mm以上の直径を有する[6]に記載の製造方法。
【0016】
[8] 実質的に全てのエーロゲル粒子が約5mm以下の直径を有する[7]に記載の製造方法。
【0017】
[9] エーロゲル粒子がシリカ・エーロゲル粒子である[8]に記載の製造方法。
【0018】
[10] 断熱性物品が約80%以上の光線透過率/厚さ(cm)を有する[9]に記載の製造方法。
【0019】
[11] 密封された第1の容器を破った後、第2容器を密封するステップをも含む[1]に記載の製造方法。
【0020】
[12] 密封された第1の容器を破る前にまたは破ると同時に、第2容器を密封するステップをも含む[1]に記載の製造方法。
【0021】
[13] 密封された第1の容器を、これを加熱することによって破る[1]に記載の製造方法。
【0022】
[14] 第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積が第2容器の体積よりも大きく、第2の空気圧が大気圧であり、エーロゲル粒子が約0.5mm〜約5mmの直径を有するシリカ・エーロゲル粒子である[1]に記載の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
第1及び第2容器としては、任意の適当な容器を使用することができる。特に、第1の容器は大気圧よりも低い空気圧においてエーロゲル粒子を収容できるものでなければならない。第1の容器はまた、より高い第1及び第2容器間の等しく空気圧において置かれるのと同時にエーロゲル粒子の体積が膨張できるように、破ることができるものでなければならない。第1の容器を第2容器内に配置することができるように、第2容器は第1の容器よりも大きい。第2容器は密封可能(sealable)でなくてもよいが、密封された第1の容器が破れ、より高い第1及び第2容器間の等しく空気圧において置かれて体積が膨張するエーロゲル粒子を第2容器内に保持するには密封可能であることが望ましい。第1及び第2容器は適当な任意の材料で形成することができ、剛性であっても可撓性であってもよい。第1の容器は穿刺や加熱によって容易に破ることができる比較的薄いフィルムに近い材料またはフィルム、例えば、ポリエステルまたは収縮包装フィルムを含むことが望ましい。第2容器は第1の容器なら破れるようなレベルの熱でも破れず、これと同じ熱で密封されるような材料の比較的厚いフィルムを含むことが望ましい。
【0024】
エーロゲルとしては、適当なエーロゲルを任意に選択できる。「ゲル」とはコロイド粒子の凝集した(coherent)、剛性の、連続した立体的な網目構造を意味する。ゲルは(中和塩が存在しない場合、多くは酸性条件下で)コロイド粒子を凝集させて立体的なゲル微小構造を形成することによって製造される。凝集状態のゲル微小構造を保持する手段、例えば、臨界超過乾燥によってゲルを乾燥させると(即ち、間隙から液体を除去すると)、低密度ゲル、即ち、「エーロゲル」が形成される。エーロゲルの好適な製造方法は米国特許第3,122,520号に記載されている。エーロゲルは金属酸化物エーロゲル、特にシリカ・エーロゲルであることが好ましい。
【0025】
エーロゲル粒子は、透明性、極めて低い密度、極めて低い熱伝導率などのような非常に好ましい性質を有する。従って、エーロゲル粒子は断熱材料として有用である。エーロゲル粒子の直径は適当な範囲内であればよい。個々のエーロゲル粒子が実質的に全て約0.5mm以上(例えば、約1mm以上)の直径を有することが好ましい。個々のエーロゲル粒子が実質的に全て約0.5mm以下(例えば、約0.5または1mm〜約5mm)の直径を有することがより好ましい。エーロゲル粒子は適当な密度を有すればよいが、約0.05g/cm3〜約0.15g/cm3の密度を有することが好ましい。エーロゲル粒子の表面積も適当であればよいが、少なくとも約200m2/gであることが好ましい。ここにいう表面積とは、Brunauer−Emmett−Teller(BET)モデルに従い、0.05〜0.25atmの範囲に亙る5通りの相対圧において吸着されるチッソの量に基づいて算出される値である(Gregg,S.J., and Sing, K.S.W.,"Adsorption, Surface Area and Porosity", p.285, Academic Press, New York (1991)。
【0026】
密封された第1の容器内のエーロゲル粒子は、(エーロゲル粒子を収容している密封第1の容器が準備された場所の高度によっても異なるが)一般的には約100kPaと考えられる大気圧よりも低い第1の空気圧においてある。第1の容器内の空気圧、即ち、第1の空気圧は適当な方法、例えば、公知の装置を利用して第1の容器内に少なくとも部分真空状態を発生させることによって得られる。第1の容器内の空気圧は約50kPa以下(例えば、約10−50kPa)であることが望ましく、好ましくは約20kPa以下(例えば、約1−20kPa)、より好ましくは約10kPa以下(例えば、約1kPa以下または約0.1kPa以下)である。
【0027】
第2容器内の空気圧、即ち、第2の空気圧も適当な方法で得られる。第2容器内の空気圧は大気圧(例えば、約100kPa)であることが望ましいが、第2容器内の空気圧は大気圧とは異なる場合がある。即ち、大気圧よりも高いか、または低い場合がある。
【0028】
第1の空気圧においてある密閉第1の容器内におけるエーロゲル粒子の非制約体積は、第1の空気圧よりも高い第2の空気圧においてあるエーロゲル粒子の非制約体積よりも小さい。「非制約」とは容器による如何なる制約作用をも受けない状態での、従って、粒子空気圧だけの作用下にあるエーロゲル粒子の体積を意味する。第1の容器内のエーロゲル粒子は多くの場合、ほぼ大気圧に近い空気圧下での非制約体積よりも小さい非制約体積を有し、ほぼ大気圧に相当するこの空気圧は断熱性物品を製造する最終ステップにおいてエーロゲル粒子に作用する第2の空気圧である。
【0029】
第2の空気圧下でのエーロゲル粒子の非制約体積は第2容器の体積より小さくても、大きくても、実質的に同じでもよい。換言すると、第2容器に対して、第2容器の体積よりも少ないか、多いか、または同じ体積のエーロゲル粒子を充填することができる。望ましくは、第2の空気圧下でのエーロゲル粒子の非制約体積が第2容器の体積と実質的に同じになるか、より好ましくはそれよりも大きくなるように、エーロゲル粒子を第2容器一杯に充填するか、または溢れる程度に充填することが好ましい。得られる断熱性物品の断熱特性を高めるという点では、溢れる程度に充填することが好ましい。即ち、第2の空気圧下でのエーロゲル粒子の非制約体積は第1の容器の体積よりも約10%以上(例えば、約10−30%)大きいことが好ましい。このように第2容器に対して溢れる程度に充填するには、第2の空気圧下でのエーロゲル粒子の非制約体積が第2容器の体積よりも大きく、第1の空気圧下でのエーロゲル粒子の実体積を第1の容器内の空気圧を低くすることによって充分小さくし、必要ならば(例えば、第1の容器自体によって)エーロゲル粒子の体積を制約し、エーロゲル粒子を収容している密封第1の容器を第2容器内に嵌入できるようにすればよい。密封第1の容器を破ってこれに充填されているエーロゲル粒子に第2の空気圧を作用させると、エーロゲル粒子が膨張して第2容器をその容量一杯に(好ましくは溢れる程度に)満たす。
【0030】
断熱性物品を形成するには第2容器を密封する必要はないが、密封することが望ましい。その場合、密封第1の容器を破る前に、または破った後に、または破るのと同時に、第2容器を密封すればよい。第2容器に対してエーロゲル粒子を溢れる程度に充填することが望ましいから、密封第1の容器を破る前に、または破るのと同時に第2容器を密封することが望ましい。
【0031】
密封第1の容器を破る方法は特に規定されない。好適な方法としては、物理的な手段で密封第1の容器を穿刺したり、密封第1の容器を加熱したりする方法がある。なかでも、密封第1の容器を加熱することによって破る方法が好ましい。即ち、加熱は密封第1の容器が密封第2容器(即ち、密封第1の容器が破られるまで密封されている第2容器)内に存在する状態で行われるからである。第1の容器を加熱して破る場合、例えば、ソニックまたはマイクロウェーブ・エネルギーなど、適当な技術を利用すればよい。第2容器を密封する方法が、密封第1の容器を破る方法を兼ねることも可能である。即ち、例えば、第2容器が溶着可能なものなら、第2容器を密封するのに利用される熱を、密封第1の容器を破るのに、好ましくは同一ステップで利用することができる。
【0032】
第1及び第2容器はエーロゲル粒子の他に種々の物質を含むことができる。例えば、特定用途の断熱性物品の断熱特性を高めるため、第1及び/または第2容器が数層の熱反射層を含むことができる。同様に、特定用途の断熱性物品の断熱特性を高めるため、第1及び/または第2容器がカーボンブラックのような不透明材料を含むことができる。
【0033】
本発明の断熱性物品は種々の好適な性質、例えば、熱伝導率、光線透過率、取扱い利便性などを具えることができる。例えば、断熱性物品は2.5℃及び/または12.5℃において約20mw/mk以下(例えば、約19mw/mk以下、または約18mw/mk以下)の熱伝導率を有することが好ましい。断熱性物品はまた、断熱性物品の厚さに対して約50%以上(例えば、約70%以上、または約80%以上)の光線透過率/cmを有することが望ましい。断熱性物品に望まれるその他の特性は当業者に周知であり、断熱性物品の最終使用目的に合わせてこれらの望ましい特性を具えるように本発明の断熱性物品を構成することができる。
【0034】
下記の例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明の範囲を制限するものでないことは云うまでもない。
【実施例】
【0035】
例1
本例はエーロゲル粒子の非抑制体積に対する空気圧減圧の影響を実証するものである。
【0036】
大気圧においてエーロゲル粒子(特にシリカ・エーロゲル粒子)試料の体積を測定した。次いで、密封(即ち、気密)容器にエーロゲル粒子を充填し、この容器の真空度を徐々に上昇させることにより、このエーロゲル粒子試料に作用する空気圧を徐々に降下させた。降下させた種々の圧力下でのエーロゲル粒子の体積を測定し、大気圧下でのエーロゲル粒子の体積と比較した。低下させたこれらの圧力下で測定されたエーロゲルの体積縮小率を算出した。得られたデータを下記の表2に示す。
【0037】
表1
【表1】

【0038】
表1に示すデータから明らかなように、エーロゲル粒子に加わる空気圧が大気圧から降下するに従って、エーロゲル粒子の非抑制体積が著しく増大した。具体的には、エーロゲル粒子に作用する空気圧が大気圧(この場合、約99kPa)から約20kPa以下まで降下すると、エーロゲル体積が最大で37体積%(体積=0.63x大気圧下での初期体積)まで縮小した(即ち、エーロゲル粒子が収縮した)。また、一端降下させた空気圧を大気圧まで上昇させると、エーロゲル粒子は再び大気圧での初期体積に戻った。
【0039】
従って、この例から明らかなように、エーロゲル粒子の体積はこれに作用する空気圧を降下させることによって縮小させることができる。また、エーロゲル粒子体積の縮小は空気圧の上昇と共に可逆的である。
【0040】
例2
本例は断熱性物品中のエーロゲル粒子の断熱特性に対するエーロゲル充填態様の影響を実証するものである。
【0041】
エーロゲル粒子の非抑制体積が容器の体積と同じになるように、即ち、エーロゲル粒子が容器の体積以上となって容器がエーロゲル粒子の体積を抑制することがないように、容器にエーロゲル粒子(具体的にはシリカ・エーロゲル粒子)を充填した。このようにして断熱性物品を製造し、2.5℃及び12.5℃において断熱性物品の見かけ熱伝導率を測定した。次に、容器の体積を超えるエーロゲル粒子を超過程度を変えながら容器に充填し、得られたそれぞれの断熱性物品の見かけ熱伝導率を2.5℃及び12.5℃において測定した。測定結果を下記の表2に示す。
【0042】
表2
【表2】

【0043】
表2に示すデータから明らかなように、容器にその体積を超えるエーロゲル粒子を充填することによって最適熱伝導率を得ることができる。具体的には、エーロゲル粒子の非抑制体積が約10%以上、特に容器体積の約10−30%である場合、得られる断熱性物品は2.5℃においても12.5℃においても最適熱伝導率を達成する。
【0044】
本例はエーロゲル粒子が優れた断熱材料となることを実証する。本例はまた、エーロゲル粒子を含む容器の体積に対するエーロゲル粒子の非抑制体積を調整することによって、得られる断熱性物品の断熱特性を最適化できることを実証する。
【0045】
引用の出版物、特許出願及び特許などのような参考文献はいずれも、個々の参考文献を個別に且つ具体的に指摘し、全体に亙って記載するのと同様に、参照することによりここに取り込む。
【0046】
本願明細書の記述(特に後記する特許特許請求の範囲の記述)において使用されている不定冠詞(aおよびan)および定冠詞などは、特に断らない限り、または文脈と矛盾しない限り、単数、複数の双方を含むと解釈さるべきである。明細書中に数値範囲を記述したが、特に断らない限り、記述されている数値範囲に該当する個々の数値を記述するのを省略するための方便に過ぎず、個々の数値が記載されているのと同じである。上述した製造方法はいずれも、特に断らない限り、または文脈と矛盾しない限り、適当な任意の手順で実施することができる。特に断らない限り、上記の実施例または例示語(例えば、「such as」)は本発明を説明するためのものであって本発明の範囲を制限するものではない。明細書中のいかなる語も、本発明の実施に不可欠でありながら特許請求の対象とはならない要素を示す語であると解釈すべきではない。
【0047】
発明者が最良と考える態様を含めて、本発明の好ましい実施態様を上記した。以上の説明を読めば、これらの好ましい実施態様に種々の変更を加え得ることは、当業者にとって明白となることは云うまでもない。発明者は、当業者が適当な変更実施態様を採用することを期待し、本発明が明細書に具体的に記述した態様以外の態様で実施されることを予期するものである。従って、本発明は特許法の許容範囲内で、後記する特許特許請求の範囲に記載されている発明の変更及び等価実施態様を全て包含する。また、特に断らない限り、または記述内容と矛盾しない限り、上述した要素の可能なあらゆる組合せも本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)エーロゲル粒子と、
(b)破られた第1の容器であって;破られる前に、該第1の容器が、大気圧より低い第1の空気圧においてエーロゲル粒子によって満たされた体積を有するものと、
(c)第2の空気圧における第2の容器であって;その中に、エーロゲル粒子と破られた第1の容器が配置されており、第2の空気圧が第1の空気圧より高く、且つ、第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積が、第1の容器の体積より約10〜30%大きいものと、を含む断熱性システム。
【請求項2】
(a)ある空気圧および体積を有する容器と、
(b)該容器内に配置されたエーロゲル粒子であって;該空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積が、前記容器の体積より約10〜30%大きいものと、を含む断熱性物品(article)。
【請求項3】
断熱性物品の製造方法により製造された断熱性物品であって;該方法が、
(a)大気圧よりも低い第1の空気圧においてエーロゲル粒子を含む密封された第1の容器を用意し(providing)、第1の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約(unrestrained)体積が、第1の空気圧よりも高い第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積よりも小さいものであり、
(b)密封された第1の容器を第2容器内に配置し、
(c)密封された第1の容器を破る(breaching)ことにより、第1及び第2容器の空気圧を第2の空気圧に等しくして、エーロゲル粒子の体積を増大させ、これにより断熱性物品を形成する、ことを含む方法である物品。
【請求項4】
断熱性物品の製造方法であって;該方法が、
(a)大気圧よりも低い第1の空気圧においてエーロゲル粒子を含む密封された第1の容器を用意し、第1の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積が、第1の空気圧よりも高い第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積よりも小さいものであり、
(b)密封された第1の容器を第2容器内に配置し、
(c)密封された第1の容器を破ることにより、第1及び第2容器の空気圧を第2の空気圧に等しくして、エーロゲル粒子の体積を増大させ、これにより断熱性物品を形成する、ことを含み、且つ、
第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積が、第2容器の体積と実質的に同じか、またはより大きい方法。
【請求項5】
断熱性物品の製造方法であって;該方法が、
(a)大気圧よりも低い第1の空気圧においてエーロゲル粒子を含む密封された第1の容器を用意し、第1の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積が、第1の空気圧よりも高い第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積よりも小さいものであり、
(b)密封された第1の容器を第2容器内に配置し、
(c)密封された第1の容器を破ることにより、第1及び第2容器の空気圧を第2の空気圧に等しくして、エーロゲル粒子の体積を増大させ、これにより断熱性物品を形成する、ことを含み、且つ、
第2の空気圧におけるエーロゲル粒子の非制約体積が第2容器の体積よりも大きく、第2の空気圧が大気圧であり、エーロゲル粒子が約0.5mm〜約5mmの直径を有するシリカ・エーロゲル粒子である方法。

【公開番号】特開2010−107046(P2010−107046A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−276710(P2009−276710)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【分割の表示】特願2003−556718(P2003−556718)の分割
【原出願日】平成14年12月20日(2002.12.20)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】