説明

オイルクーラ

【課題】取付基部をコア部とロウ付け接合可能な構成としつつ、取付基部の薄肉化と強度の確保とを両立する。
【解決手段】オイルクーラは、オイルと冷却水との熱交換を行うコア部1と、コア部1の底面にロウ付け接合される板状の取付基部2と、を備え、この取付基部2の外周部でボルトによりシリンダブロック3に固定される。取付基部2を、合わせ面30で互いにロウ付け接合される2枚の分割プレート31,32に分割構成する。両プレート間に強度の高い鉄製の補強プレート33を挟み込む。この補強プレート33が嵌合するプレート収容部34における合わせ面30との隅角部分に、補強プレート33から離間する方向へ窪んだ凹部35を形成して、この凹部35内にロウ付けフィレットを形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば内燃機関の潤滑油や自動変速機の作動油等の冷却に用いられるオイルクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば内燃機関の潤滑油や自動変速機の作動油のためのオイルクーラとして、多数のコアプレートを積層してオイル流路と冷却水流路とを交互に構成するようにしたコア部を有する水冷式オイルクーラが開示されている。このオイルクーラは、コア部の底面に取付基部としての板状のベースプレートがロウ付け接合され、このベースプレートの外周部で複数のボルトによりシリンダブロック側へ締結される。オイルクーラを構成するコアプレートやベースプレートは、軽量かつロウ付けが可能なアルミ合金等の材質の材料で形成されている。
【0003】
オイルは、ベースプレートに貫通形成されたオイル連通路を通してシリンダブロック側よりコア部へ供給され、コア部内のオイル流路を通流する間に冷却水通路との間で熱交換が行われた後、同じくベースプレートに貫通形成されたオイル連通路を通してシリンダブロック側へ戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−332818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように従来の構成のオイルクーラにおけるベースプレートは、外周部でシリンダブロックにボルトで固定され、この固定位置よりも中央寄りの位置に貫通形成されたオイル連通路にオイルが流れる構造となっているため、このオイル連通路の部分に高いオイル圧力が作用すると、ベースプレートの中央部を押し上げるような応力が発生し、これによりベースプレートにたわみが生じると、オイル漏れや固定力の低下などの不具合を招くおそれがある。特に、上記特許文献1のように、ベースプレートが取り付けられるシリンダブロック側の取付座面にオイルフィルタの収容室が凹設されているような場合には、ベースプレートの受圧面積が大きくなり、上述したベースプレートのたわみを生じ易くなる。また、ベースプレートにおけるボルト固定位置がコア部から大きく離れている場合にも、ベースプレートのたわみを生じ易い。
【0006】
このようなベースプレートのたわみを防止するために、ベースプレートの板厚を過度に厚くすると、オイルクーラの高さ方向寸法が増加するとともに、材料コストが増加してしまう。また、ベースプレートをアルミ合金よりも強度に優れた鉄やステンレス鋼などの材質の材料により形成すると、コア部を構成するアルミ合金とロウ付け接合することができなくなる。
【0007】
そこで、この発明は、取付基部をコア部にロウ付け接合可能としつつ、この取付基部の薄肉化と強度の確保とを両立し得る新規なオイルクーラを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明は、多数のコアプレートを積層し、各々の間にオイル流路と冷却水流路とを交互に構成するコア部と、上記コア部の底面に接合面でロウ付け接合される板状の取付基部と、を有し、この取付基部の外周部で複数のボルトによりオイルが使用される装置の取付座面に締結されてなるオイルクーラにおいて、上記取付基部が、上記接合面の直交方向に沿う合わせ面で互いにロウ付け接合される2枚の分割プレートと、上記2枚の分割プレートよりも強度の高い材料からなる補強プレートと、を有し、この補強プレートは、上記2枚の分割プレートの合わせ面に凹設されたプレート収容部に嵌合した状態で、上記2枚の分割プレートの間に挟み込まれていることを特徴としている。
【0009】
2枚の分割プレート同士のロウ付け接合を確実なものとするために、好ましくは、上記プレート収容部における合わせ面との隅角部分に、上記補強プレートから離間する方向へ窪んだ凹部が形成されている。この場合、補強プレートから離間する凹部の部分で、2枚の分割プレートのみがロウ付け接合される適宜なフィレット(隅肉部)が形成されることなり、2枚の分割プレート同士をより確実にロウ付け接合することができる。また、プレート収容部における凹部の形成されていない部分では、補強プレートが実質的に隙間無く嵌合することで、補強プレートをぐらつくことなくしっかりと保持することができる。
【0010】
オイルクーラの好適な一例では、上記2枚の分割プレートと補強プレートに、上記コア部の底面に開口するコア側オイル通路と上記装置の取付座面に開口する装置側オイル通路とを連通するオイル連通路が貫通形成されている。この場合、オイル連通路内のオイルの高い圧力に起因して、ベースプレートのたわみを生じるおそれがあるが、本発明によれば、補強プレートを用いることでたわみに対する十分な強度を確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、取付基部を構成する2枚の分割プレートの間に強度の高い補強プレートを挟み込んでいるために、取付基部の板厚を過度に厚くすることなく、強度を向上することができ、取付基部の薄肉化と強度の確保とを両立することができる。また、補強プレートは合わせ面に凹設されたプレート収容部に嵌合した状態で保持されているために、2枚の分割プレートをコア部とともにロウ付け接合することができ、補強プレートを別途接合する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の一実施例に係るオイルクーラを示す断面図。
【図2】上記実施例の下側分割プレートを単体で示す上面図。
【図3】図1の凹部近傍を拡大して示す断面図。
【図4】本発明の他の実施例に係る凹部の近傍を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の好ましい実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の一実施例に係るオイルクーラを示している。このオイルクーラは、オイルが使用される装置としての内燃機関のシリンダブロック3に直接取り付けるように構成したものであって、オイルと冷却水との熱交換を行うコア部1と、このコア部1の底部に位置する板状の取付基部2と、を備えている。
【0014】
コア部1は、多数のコアプレート5を積層し、各コアプレート5の間に、オイル流路6と冷却水流路7とを交互に構成してある。具体的には、コアプレート5は、全体として略矩形をなし、その対角線上の2箇所にオイル連通孔8が開口形成されているとともに、異なる対角線上の2箇所に、コア部1の上部に取り付けられた冷却水パイプ9に連通する図示せぬ冷却水連通孔が開口形成されている。そして、コアプレート5は、上記のオイル連通孔8や冷却水連通孔の周囲がボス部10として一段高く形成されているものと、平坦なものとの2種類があり、これらの2種類のコアプレート5が交互に組み合わされることで、各コアプレート5間に流路となる一定の間隔が保持されている。そして、隣接した2枚のコアプレート5の間では、それぞれのオイル連通孔8は、互いに一致した位置にあり、上記ボス部10の周囲が、各オイル連通孔8を囲むように隣接するコアプレート5と接合されている。これにより、多数のオイル連通孔8を介して、各オイル流路6同士が連通するとともに、全体としてコア部1内をオイルが上下方向に通流し得るようになっている。図1には、冷却水連通孔は図示されていないが、全く同様の構成となっており、コア部1内を上下に冷却水が通流するとともに、各冷却水流路7内を流れるようになっている。
【0015】
各オイル流路6には、それぞれフィンプレート11が挟み込まれている。コアプレート5の周縁部5aは、テーパ状をなし、各コアプレート5を積層した状態では、各周縁部5aが互いに密に接するようになっている。また、各コアプレート5の中央部には、略円錐形に突出したテーパ筒状部5bが設けられており、多数のテーパ筒状部5bが順次重なることで、コア部1を上下に貫通する中央オイル通路14が構成されている。この中央オイル通路14は、各コアプレート5間のオイル流路6とは連通していない。
【0016】
上記コア部1の最上部のコアプレート5の上には、頂部プレート15が積層されている。この頂部プレート15は、上記の冷却水パイプ9が取り付けられるとともに、一方のオイル連通孔8を閉塞している。そして、頂部プレート15は、一方の対角線に沿った膨出部15aを有し、これにより、他方のオイル連通孔8と中央オイル通路14の上端とを連通する上部連通路16が構成されている。
【0017】
また、最下部のコアプレート5の下には、十分な剛性を有する比較的厚い板状の取付基部2が積層されている。この取付基部2は、コアプレート5よりも外側へ延びた外周部にフランジ部17を有し、該フランジ部17において、複数本のボルト18によってシリンダブロック3の平坦な取付座面3aに締結・固定されるようになっている。
【0018】
また、この取付基部2は、第1オイル連通路19と第2オイル連通路20とが板厚方向に貫通形成されている。第1オイル連通路19は、シリンダブロック3の取付座面3aに開口する第1オイル通路(装置側オイル通路)21とコア部1の底面に開口する中央オイル通路(コア側オイル通路)14とを連通しており、第2オイル連通路20は、シリンダブロック3の取付座面3aに開口する第2オイル通路(装置側オイル通路)22とコア部1の底面に開口するオイル連通孔(コア側オイル通路)8とを連通している。内燃機関の各部を潤滑して高温となったオイルは、第1オイル通路21から第1オイル連通路19を通してコア部1へ導入され、中央オイル通路14及び連通路16を経由して一方のオイル連通孔8から多数のオイル流路6へ流れて、冷却水流路7を流れる冷却水と熱交換して冷却された上で、他方のオイル連通孔8から第2オイル連通路20を経由して最終的に第2オイル通路22へと流れる。
【0019】
なお、上記第1オイル通路21の開口周縁部ならびに第2オイル通路22の開口周縁部には、オイルの漏洩を防止するシールリング23,24がそれぞれ設けられている。
【0020】
次に、本実施例の特徴的な構成である取付基部2の構造について、図1〜図3を参照して説明する。この取付基部2は、コア部1の底面と接合する接合面2aに対して直交方向、つまり板厚直交方向(図1の左右方向)に沿う合わせ面30で互いにロウ付け接合される下側分割プレート31と上側分割プレート32とに分割構成されており、これら2枚の分割プレート31,32の間に、分割プレート31,32よりも強度の高い鉄あるいはステンレス鋼の材質を主体とする材料からなる板状の補強プレート33が挟み込まれる構造となっている。
【0021】
分割プレート31,32は、同じ外郭形状をなす薄板状のもので、上記のコアプレート5などと同様、ロウ付けが可能なアルミ合金の材質により形成されている。すなわち、上述した多数のコアプレート5,フィンプレート11,頂部プレート15,冷却水パイプ9,及び分割プレート31,32は、アルミ合金又はその表面にロウ材層が形成されたクラッド材からなり、炉内でロウ付けを行うことで、各部が一体的に接合されるようになっている。
【0022】
なお、上記のボルト18が貫通するボルト孔18aは、両分割プレート31,32のフランジ部17にそれぞれ貫通形成されており、上記のオイル連通路19,20は、両分割プレート31,32と補強プレート33とに貫通形成されており、補強プレート33を挟んで両分割プレート31,32を接合した状態でそれぞれが一本の孔・連通路を構成するようになっている。
【0023】
各分割プレート31,32には、補強プレート33が嵌合するプレート収容部34が合わせ面30に凹設されている。この実施例では、双方の分割プレート31,32に、浅皿型のプレート収容部34a,34bが形成されている。補強プレート33が上下にぐらつくことのないように、両プレート収容部34a,34bの板厚方向の深さ(高さ)寸法の合計は、補強プレート33の板厚方向寸法と実質的に同等、より詳しくは僅かに大きな寸法に設定されている。
【0024】
下側分割プレート31に形成される一方の第1プレート収容部34aは、補強プレート33が実質的に隙間なく嵌合するように、補強プレート33の外郭形状と同等、より正確には僅かに大きな寸法に形成されている。一方、上側分割プレート32に形成される他方の第2プレート収容部34bは、上記の第1プレート収容部34aや補強プレート33の外郭形状よりも一回り大きな寸法に形成されている。この結果、図3に示すように、第2プレート収容部34bにおける内壁面37が第1プレート収容部34aにおける内壁面36よりも補強プレート33から離間する方向に後退する形となり、上側分割プレート32の第2プレート収容部34bにおける合わせ面30との隅角部分に、補強プレート33から離間する方向へ窪んだ凹部35が形成されている。
【0025】
これによって、凹部35には、補強プレート33から離れた位置で下側分割プレート31と上側分割プレート32とが直接的に接触する隅角部分が形成され、この隅角部分にロウ付けの際に適宜なロウ付けフィレット38が形成される。このようなロウ付けフィレット38によって、ロウ付けされることのない補強プレート33の影響を受けることなく、2枚の分割プレート31,32を確実にロウ付け接合することができる。また、凹部35のない下側分割プレート31の第1プレート収容部34aに補強プレート33が実質的に隙間無く嵌合することで、ロウ付け接合後に補強プレート33がプレート収容部34内でぐらつくことなく所定位置に保持され、各分割プレート31,32や補強プレート33に形成されたオイル連通路19,20の位置がずれることもない。
【0026】
そして、取付基部2を構成する2枚の分割プレート31,32の間に強度の高い補強プレート33を挟み込んでいるために、取付基部2の板厚を過度に厚くすることなく、その強度を向上することができ、取付基部2の薄肉化と強度の確保とを両立することができる。これによって、中央の第1オイル通路21内の通流するオイルから高い圧力を受けても、取付基部2のたわみを抑制し、シールリング23,24を介したシリンダブロック3の取付座面3aとのシール性を良好に保つことができる。
【0027】
また、補強プレート33は合わせ面30に凹設されたプレート収容部34に嵌合した状態で保持されているために、2枚の分割プレート31,32をコア部1とともにロウ付け接合することができ、補強プレート33を別途接合する必要がなく、その製造が極めて容易である。
【0028】
更に、鉄等の高強度材質からなる補強プレート33は、外部に露出した場合、アルミ合金との接触部位で電位差により腐食を招き易いものの、本実施例では、補強プレート33が外部に露出することなく2枚の分割プレート31,32の間に液密に内包されており、かつ、上記の凹部35に形成されるロウ付けフィレット38によりプレート収容部34への水等の浸入が確実に遮断されているために、補強プレート33の腐食を招くことがない。
【0029】
図4は、プレート収容部及び凹部の他の実施例を示している。この実施例では、一方の下側分割プレート31にのみ、プレート収容部41が形成されており、他方の上側分割プレート32の合わせ面30は平坦面となっている。このため、下側分割プレート31がプレート収容部41の分、上側分割プレート32よりも厚肉なものとなっている。
【0030】
そして、プレート収容部41における合わせ面30との隅角部分に、補強プレート33から離間する方向に窪んだ凹部42が形成されている。つまり、プレート収容部41の内壁面を階段状に段付形成することで凹部42を形成している。
【0031】
この場合であっても、上記図1〜図3の実施例と同様、凹部42における2枚の分割プレート31,32同士が接する隅角部分に、適宜なロウ付けフィレット43が形成されることになり、両分割プレート31,32を堅牢にロウ付け接合することができ、プレート収容部41への水等の浸入を確実に遮断することができる。
【0032】
以上のように本発明を具体的な実施例に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種々の変形,変更を含むものである。例えば、上記実施例とはオイルの流れを逆にして、第2オイル通路22からコア部1へオイルを導入し、第1オイル通路21へと排出するように構成することも可能である。
【0033】
更に、上記実施例では、コア部1へのオイルの導入,排出を取付基部2に第1,第2オイル連通路を設けて行っていたが、オイル連通路を頂部プレート15側に形成し、冷却水及びオイルの導入,排出を取付プレート15側で集中的に行う場合であっても、取付基部2にオイル,冷却水等からの振動が加わると、やはり取付基部を肉厚にする必要があり、この場合にも振動対策として本発明を有効に実施することができる。
【0034】
また、上記実施例では、取付基部2を固定するボルト孔18aは、取付基部2における補強プレート33を避けるような位置に貫通形成されていたが、補強プレート内にボルト孔を貫通形成するように補強プレートを拡大形成しても良い。この場合、ボルトによる締結力を更に増加することができる。
【符号の説明】
【0035】
1…コア部
2…取付基部
3…シリンダブロック
5…コアプレート
6…オイル流路
7…冷却水流路
8…オイル連通孔(コア側オイル通路)
14…中央オイル通路(コア側オイル通路)
18…ボルト
19…第1オイル連通路
20…第2オイル連通路
21…第1オイル通路(装置側オイル通路)
22…第2オイル通路(装置側オイル通路)
31…下側分割プレート
32…上側分割プレート
33…補強プレート
34…プレート収容部
35…凹部
41…プレート収容部
42…凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のコアプレートを積層し、各々の間にオイル流路と冷却水流路とを交互に構成するコア部と、上記コア部の底面に接合面でロウ付け接合される板状の取付基部と、を有し、この取付基部の外周部で複数のボルトによりオイルが使用される装置の取付座面に締結されてなるオイルクーラにおいて、
上記取付基部が、
上記接合面の直交方向に沿う合わせ面で互いにロウ付け接合される2枚の分割プレートと、
上記2枚の分割プレートよりも強度の高い材料からなる補強プレートと、を有し、
この補強プレートは、上記2枚の分割プレートの合わせ面に凹設されたプレート収容部に嵌合した状態で、上記2枚の分割プレートの間に挟み込まれていることを特徴とするオイルクーラ。
【請求項2】
上記プレート収容部における合わせ面との隅角部分に、上記補強プレートから離間する方向へ窪んだ凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のオイルクーラ。
【請求項3】
上記2枚の分割プレートと補強プレートには、上記コア部の底面に開口するコア側オイル通路と上記装置の取付座面に開口する装置側オイル通路とを連通するオイル連通路が貫通形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のオイルクーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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