説明

オイルクーラ

【課題】通路抵抗を増大させずに熱交換効率の向上を図る。
【解決手段】オイルクーラのコア部1は、基本的な形状が共通の多数の第1のコアプレート5と第2のコアプレート6とを交互に積層することで、各コアプレート5,6の間に、オイル流路7と冷却水流路8とが交互に構成される。オイル流路7には、それぞれフィンプレート11が挟み込まれている。オイル流路7から見て外側へ膨らむように第1のコアプレート5には第1の突条部31が、第2のコアプレート6には第2の突条部32がそれぞれ設けられ、オイルの流れに対し交互に位置する。これにより、オイルの流れは矢印35のように蛇行し、コアプレート5,6表面の温度境界層が小さくなって熱交換効率が向上する。各々の突条部31,32の部位では、フィンプレート11との間に隙間33が生じ、通路抵抗が低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば内燃機関の潤滑油や自動変速機の作動油の冷却等に用いられる所謂多板積層型のオイルクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば内燃機関の潤滑油や自動変速機の作動油のためのオイルクーラとして、特許文献1あるいは特許文献2に開示されているように、多数のコアプレートを積層してオイル流路と冷却水流路とを交互に構成するようにした所謂多板積層型の水冷式オイルクーラが知られている。
【0003】
そして、2枚のコアプレートの間に構成されるオイル流路内には、熱交換効率を高めるためにいわゆるオフセット型コルゲートフィンなどからなるフィンプレートが積層されており、このフィンプレートにより形成される微細な流路を通して、一方のオイル連通孔から他方のオイル連通孔へと高温のオイルが流れるようになっている。
【0004】
また特許文献2には、オイル流路内にさらに細長い邪魔壁を設け、一方のオイル連通孔から他方のオイル連通孔へ向かうオイルの流れの一部をフィンプレートの外周側へ案内することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−183903号公報
【特許文献2】特開2007−278614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のフィンプレートは、オイル流路を各々構成する2枚のコアプレートとその中を流れるオイルとの間の熱伝達の向上に寄与しているが、コア部の断面で見ると、2枚のコアプレートで構成される狭い間隙からなるオイル流路内をオイルは直線的に流れるため、コアプレート表面近傍に温度境界層が生じ、この温度境界層が熱交換効率を損なう要因となっている。この温度境界層を小さくするためには、例えば、フィンのピッチをより細かくして微細な流路における流速を高めることが有効であるが、フィンの過度の微細化は通路抵抗の増大を招くため、自ずから限界がある。
【0007】
また上記特許文献2の邪魔壁も、オイルの実質的な通路長が長くなることから、同様に通路抵抗の増大を伴う。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、多数のコアプレートを積層し、各々の間にオイル流路と冷却水流路とを交互に構成するとともに、上記オイル流路となるコアプレート間にフィンプレートを積層し、互いにロー付け接合してなるオイルクーラにおいて、
上記コアプレートは、その平面図上において中心を挟んで互いに反対側となる2箇所に、それぞれオイル連通孔を有し、
上記オイル流路の各々を構成する2枚のコアプレートの少なくとも一方に、上記一対のオイル連通孔を結ぶ直線と交差する方向に延びた複数本の突条部が形成され、この突条部は、隣接するコアプレートに接しない範囲でオイル流路から見て外側へ膨出していることを特徴としている。
【0009】
上記のように突条部が設けられている部位では、2枚のコアプレートの間に形成されるオイル流路が局部的に膨らんだ形となるため、一方のオイル連通孔から他方のオイル連通孔へと流れるオイルは、断面で見たときに、複数の突条部により僅かに蛇行しながら流れる。これにより、コアプレート表面の温度境界層が小さくなり、熱交換効率が高くなる。
【0010】
本発明の好ましい一つの形態では、上記オイル流路の各々を構成する2枚のコアプレートの双方に、上記の突条部がそれぞれ形成されており、かつ一方のコアプレートの突条部と他方のコアプレートの突条部とが交互に配置されている。これにより、コアプレートの双方に向かってより確実に蛇行しながらオイルが流れるようになり、各々のコアプレートとの間での熱交換効率が高くなる。
【0011】
また上記突条部の部位においては、フィンプレートの形式にもよるが、通常は、フィンプレートとコアプレートとがロー付け接合されずに隙間が残存することとなる。そのため、通路抵抗が低減する。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、オイルの流れに対する通路抵抗を増大させることなく熱交換効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明に係るオイルクーラの基本的構成を示す分解斜視図。
【図2】第1のコアプレートの平面図。
【図3】第2のコアプレートの平面図。
【図4】2種のコアプレートを重ねたときの突条部の配置を投影して示す平面図。
【図5】図4のA−A線に沿った組立状態での断面図。
【図6】図4のB−B線に沿った組立状態での断面図。
【図7】フィンプレートの拡大斜視図。
【図8】図5のC−C線に沿ったフィンプレートの拡大断面図。
【図9】コア部の断面におけるオイルの流れの説明図。
【図10】第2実施例における第1のコアプレートの平面図。
【図11】第2実施例における第2のコアプレートの平面図。
【図12】第2実施例における図4と同様の平面図。
【図13】第3実施例における第1のコアプレートの平面図。
【図14】第3実施例における第2のコアプレートの平面図。
【図15】第3実施例における図4と同様の平面図。
【図16】第4実施例における第1のコアプレートの平面図。
【図17】第4実施例における第2のコアプレートの平面図。
【図18】第4実施例における図4と同様の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、理解を容易にするために、図1の姿勢を基準として「上」「下」「頂部」「底部」等の用語を用いることとするが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
始めにオイルクーラ全体の基本的な構成を説明すると、このオイルクーラは、図1の分解斜視図に示すように、オイルと冷却水との熱交換を行うコア部1と、このコア部1の上面に取り付けられる比較的厚肉の頂部プレート2と、コア部1の下面に取り付けられる底部プレート3,4とから大略構成されている。
【0016】
上記コア部1は、基本的な形状が共通の多数の第1のコアプレート5と第2のコアプレート6とを交互に積層し、各コアプレート5,6の間に、オイル流路7と冷却水流路8とを交互に構成(図5,6参照)したものである。図示例では、第1のコアプレート5の下面と第2のコアプレート6の上面との間にオイル流路7が構成され、第2のコアプレート6の下面と第1のコアプレート5の上面との間に冷却水流路8が構成される。各オイル流路6には、それぞれ略正方形のフィンプレート11が挟み込まれている。
【0017】
上記第1のコアプレート5および第2のコアプレート6は、アルミニウム合金の薄い母材をプレス成形したものであって、図2,図3に示すように、全体として略正方形をなし、その対角線上の2箇所にオイル連通孔12が開口形成されているとともに、異なる対角線上の2箇所に、冷却水連通孔13が開口形成されている。そして、第1のコアプレート5では、オイル連通孔12の周囲がボス部14として冷却水流路8側へ突出するように一段高く形成されており、第2のコアプレート6では、冷却水連通孔13の周囲がボス部15としてオイル流路7側へ突出するように一段高く形成されている。従って、これらの2種類のコアプレート5,6が交互に組み合わされることで、各コアプレート5,6間に流路7,8となる一定の間隔が保持されている。
【0018】
ここで、第1のコアプレート5におけるオイル連通孔12周囲のボス部14は、隣接する第2のコアプレート6のオイル連通孔12の周囲に各々接合されており、これにより、上下2つのオイル流路7が互いに連通するとともに、両者間の冷却水流路8から隔絶される。このようにして、多数のコアプレート5,6が接合された状態では、多数のオイル連通孔12を介して、各オイル流路7同士が連通するとともに、全体としてコア部1内をオイルが上下方向に通流し得るようになっている。
【0019】
尚、図1では、各コアプレート5,6のオイル連通孔12が上下に整列した位置に描かれているが、実際には、コア部1軸方向の中間の適宜位置にある1つあるいは複数のコアプレート5,6において、一対のオイル連通孔12の中の一方が閉塞されており、オイルが全体として左右にUターンしつつ流れるようになっている。つまり、各オイル流路7においては、一対のオイル連通孔12の一方がオイル入口となり、他方がオイル出口となる。
【0020】
また、冷却水連通孔13についても、オイル連通孔12と同様の構成となっており、第2のコアプレート6における冷却水連通孔13周囲のボス部15が、隣接する第1のコアプレート5の冷却水連通孔13の周囲に各々接合されており、これにより、上下2つの冷却水流路8が互いに連通するとともに、両者間のオイル流路7から隔絶される。従って、多数のコアプレート5,6が接合された状態では、多数の冷却水連通孔13を介して、各冷却水流路8同士が連通するとともに、全体としてコア部1内を冷却水が上下方向に通流し得るようになっている。
【0021】
各コアプレート5,6の周縁部5a,6aは、外側に拡がったテーパ状をなし、各コアプレート5,6を積層した状態では、各周縁部5a,6aが互いに密に接するようになっている。また、各コアプレート5,6の中央部には、略円錐形に突出したテーパ筒状部5b,6bが設けられており、多数のテーパ筒状部5b,6bが順次重なることで、コア部1を上下に貫通する中央オイル通路17が構成されている。この中央オイル通路17は、各コアプレート5,6間のオイル流路7とは直接には連通していない。
【0022】
さらに、上記第1のコアプレート5の適宜位置には、冷却水流路8側つまり上方へ突出する複数個の円錐台形のディンプル16Aが膨出形成されており、上記第2のコアプレート6には、これらのディンプル16Aに対応する位置に、冷却水流路8側つまり下方へ突出する複数個の円錐台形のディンプル16Bが膨出形成されている。これらのディンプル16A,16Bは、2枚のコアプレート5,6の間に必要な間隔の半分の高さをそれぞれ有し、組立状態では、図5,図6に示すように、各々の頂部が互いにロー付けにより接合されている。このように柱状に接合したディンプル16A,16Bは、冷却水の流れに乱流を生成し、熱交換効率を向上させる機能を有するとともに、コア部1全体の剛性向上に寄与する。なお、図1では、このようなコアプレート5,6の細部は図示省略されている。
【0023】
上記オイル流路7に挟み込まれるフィンプレート11は、その対角線上の4箇所に、上記オイル連通孔12および上記冷却水連通孔13にそれぞれ対応する開口部18が開口形成されているととともに、中心部に上記中央オイル通路17(テーパ筒状部5b,6b)に対応する貫通孔19が形成されている。上記開口部18は、上記ボス部15に対し若干の余裕を有するように、各連通孔12,13よりも僅かに大きく開口している。なお、図1におけるフィンプレート11は、模式的に描かれたものであり、実際は全体が図7に示すようなオフセット型コルゲートフィンとして形成されている。
【0024】
コア部1の最上部には、さらに上記の頂部プレート2が積層されている。この頂部プレート2は、コア部1最上部の一対の冷却水連通孔13の一方に連通する冷却水導入管21と他方に連通する冷却水排出管22とを備えている。また、頂部プレート2は、一方の対角線に沿った膨出部23を有し、この膨出部23によって、コア部1最上部の一方のオイル連通孔12と中央オイル通路17の上端とを互いに連通する連通路(図示せず)が構成されている。
【0025】
コア部1の下部には、上述したように、十分な剛性を有する比較的厚肉の底部プレート3,4が積層されている。これらの底部プレート3,4は、コア部1最下部のオイル連通孔12の一方に対応して開口したオイル入口25を備えるとともに、上記中央オイル通路17に対応して開口したオイル出口26を備えており、各々をシールするガスケット27,27を介して、図示せぬシリンダブロック等に取り付けられるようになっている。
【0026】
従って、オイルの流れとしては、内燃機関の各部を潤滑して高温となったオイルが、底部プレート3,4のオイル入口25からコア部1のそれぞれのオイル流路7へ導入され、隣接する冷却水流路8を流れる冷却水と熱交換して冷却された上で、頂部プレート2の膨出部23による連通路を経由して中央オイル通路17へと流れ、最終的に、底部プレート3,4のオイル出口26から内燃機関側へ戻される。尚、オイルの流れを逆にして、高温のオイルを中央オイル通路17に導入し、コア部1で熱交換した後に最下部のオイル連通孔12から内燃機関へ戻すように構成することも可能である。また、冷却水は、冷却水導入管21から上下に並んだ冷却水連通孔13を通して各冷却水流路8へ分配され、かつ各々の冷却水流路8内を一方の冷却水連通孔13から他方の冷却水連通孔13へ向かって流れ、最終的に冷却水排出管22へと流れ出る。
【0027】
上述した多数のコアプレート5,6、フィンプレート11、頂部プレート2、および底部プレート3,4は、ロー付けによって互いに接合され一体化されている。詳しくは、これらの各部品は、アルミニウム合金の基材の表面にロー材層を被覆したいわゆるクラッド材を用いて形成されており、各部を所定の位置に仮組付した状態で炉内で加熱することにより、一体にロー付けされる。
【0028】
なお、コア部1の最上部および最下部に位置するコアプレート5,6は、頂部プレート2や底部プレート3,4との関係から、コア部1の中間部に位置する一般的なコアプレート5,6とは多少異なる構成を有している。
【0029】
次に、本発明の要部であるオイル流路7内のオイルの流れ、ならびに、このオイルの流れを上下に蛇行させるための突条部31,32について説明する。
【0030】
図7に示したように、上記フィンプレート11は、1枚の母材を一定ピッチ毎に矩形ないしU字形に折り曲げてなるコルゲートフィンであり、特に、ある幅毎に、半ピッチずつコルゲートの位置がずれたオフセット型コルゲートフィンからなる。説明の都合上、フィンプレート11の平面における互いに直交する2つの方向を、図7に示すように、X方向、Y方向と定義するものとすると、母材はY方向に送られながらピッチP毎にそれぞれ反対側に折り曲げられてコルゲート加工が行われるが、X方向の幅L毎にY方向に沿ったスリットが間欠的に設けられ、かつ幅L毎に半ピッチずつずれて折り曲げ加工がなされる。例えば、図示する折曲線41aと折曲線41bとは、半ピッチずつY方向にオフセットしている。なお、これらの折曲線41a,41bは、いずれもX方向に沿っており、互いに平行である。
【0031】
従って、フィンプレート11は、図示するように、X方向にはジクザグに連続するがY方向には不連続な頂部壁42と、同じくX方向にはジクザグに連続するがY方向には不連続な底部壁43と、これらの頂部壁42と底部壁43とを連結した多数の脚部44と、から構成されている。なお、頂部壁42と底部壁43は、実質的に同じものである。両者間の多数の脚部44は、X方向に沿った破線状に列をなし、かつ相補の破線が隣接するような形で、Y方向に多数の列が並んでいる。ここで、このフィンプレート11が第1のコアプレート5と第2のコアプレート6との間に接合された状態では、頂部壁42は第1のコアプレート5に密接し、底部壁43は第2のコアプレート6に密接しているので、実質的には、第1のコアプレート5と第2のコアプレート6との間に、多数の脚部44が熱交換用のフィンとして存在し(図8参照)、この脚部44がオイル流路7を横切る形となる。そのため、このフィンプレート11は、コアプレート5,6の面に沿った方向ではオイルの流れを蛇行させる機能を有するが、コアプレート5,6の断面で見ると、オイルは基本的に直線的に通過しようとする。
【0032】
そこで、本発明では、コアプレート5,6の断面方向にオイルの流れを蛇行させるために、コアプレート5,6に比較的浅い複数の突条部31,32がプレス加工されている。
【0033】
上述したように、オイルが流れるオイル流路7は、コアプレート5,6の間、詳しくは第1のコアプレート5の下面と第2のコアプレート6の上面との間に構成されているが、図5,図6に示すように、相対的に上方に位置する第1のコアプレート5には、冷却水流路8側つまり上方へ突出する複数本の細長い第1の突条部31が膨出形成されている。この第1の突条部31は、長手方向と直交する断面において比較的緩い円弧形に膨らんでおり、かつその高さは、上方に隣接する第2のコアプレート6と接しない範囲、より具体的には、ディンプル16Aよりも僅かに低いものとなっており、冷却水流路8の流れを閉塞することはない。
【0034】
同様に、相対的に下方に位置する第2のコアプレート6には、冷却水流路8側つまり下方へ突出する複数本の細長い第2の突条部32が膨出形成されている。この第2の突条部32は、第1の突条部31と同様に、長手方向と直交する断面において比較的緩い円弧形に膨らんでおり、かつその高さは、下方に隣接する第1のコアプレート5と接しない範囲、より具体的には、ディンプル16Bよりも僅かに低いものとなっており、やはり冷却水流路8の流れを閉塞することはない。
【0035】
図2および図3は、複数の突条部31,32の配置の一例を示しているが、この例では、第1の突条部31の各々は、一対のオイル連通孔12を結ぶ直線Mに直交する直線状に延び、かつ5本(但し、中央の1本は、テーパ筒状部5bにより2個に分割されている)の突条部31がそれぞれ平行に形成されている。
【0036】
同様に、第2の突条部32の各々は、一対のオイル連通孔12を結ぶ直線Mに直交する直線状に延び、かつ6本(但し、中央部の2本は、テーパ筒状部6bによりそれぞれ2個に分割され、その両側の各1本は、ディンプル16Bを挟んでそれぞれ3個に分割されている)の突条部32がそれぞれ平行に形成されている。
【0037】
そして、第1のコアプレート5における第1の突条部31の位置(図2)と、第2のコアプレート6における第2の突条部32の位置(図3)と、は、互いに相補の関係となっており、両者を重ねたときの配置を投影して示す図4に明らかなように、直線Mに沿って第1の突条部31と第2の突条部32とが交互に位置している。また、両者を投影したときに、互いに重なり合わない範囲で互いに近接して配置されており、かつ、正方形をなすコアプレート5,6の四隅のオイル連通孔12および冷却水連通孔13を除く中央の大部分に、これらの突条部31,32が拡がっている。
【0038】
これらの突条部31,32を備えたコアプレート5,6は、上述したようにオフセット型コルゲートフィンからなるフィンプレート11とともに炉内でロー付け接合されるが、上記の突条部31,32においては、突条部31,32がオイル流路7から見て外側へ膨らんでいることから、フィンプレート11とはロー付けされることがなく、図9に拡大して示すように、フィンプレート11との間に隙間33が残存している。
【0039】
上記のような構成においては、一方のオイル連通孔12から各々のオイル流路7内に流入したしたオイルは、基本的には、上記の直線Mに沿うような形で他方のオイル連通孔12へとコアプレート5,6間のオイル流路7を流れていくが、図9にオイルの流れを矢印35として示すように、第1の突条部31と第2の突条部32とが交互に配置されていることから、オイルは上下に蛇行して流れる。これにより、コアプレート5,6表面近傍の温度境界層が小さくなり、各々のコアプレート5,6との間での熱交換効率が向上する。また、各々の突条部31,32では、フィンプレート11との間に隙間33が生じていることから、通路抵抗が局部的に小さくなる。従って、フィンプレート11内を上下に蛇行しながら通流するにも拘わらず、通路抵抗の増大はなく、むしろオイルクーラ全体として通路抵抗を低減することができる。
【0040】
次に、図10〜図12は、突条部31,32の形状(レイアウト)を変更した第2実施例を示している。図10は第1のコアプレート5における第1の突条部31の配置を示し、図11は第2のコアプレート6における第2の突条部32の配置を示し、図12は、両者を重ねた状態を投影して示している。ここで、図の左下側のオイル連通孔12aがオイル流路7に対するオイル入口となり、図の右上側のオイル連通孔12bがオイル流路7に対するオイル出口となる。この第2実施例は、オイル入口12aから矢印36,37のように放射状に拡がって流れるオイルの流れに対し、突条部31,32の各部ができるだけ直角に近い角度で交差するように、各々の突条部31,32が緩い円弧形に湾曲した形状をなしている。より詳しくは、オイル入口12aへ向かって凹となった湾曲形状をなしている。なお、5本の第1の突条部31と6本の第2の突条部32とが、交互にかつ平行に配置されている点は、前述した第1実施例と同様である。
【0041】
次に、図13〜図15は、突条部31,32の形状(レイアウト)を変更した第3実施例を示している。図13は第1のコアプレート5における第1の突条部31の配置を示し、図14は第2のコアプレート6における第2の突条部32の配置を示し、図15は、両者を重ねた状態を投影して示している。ここで、図の左下側のオイル連通孔12aがオイル流路7に対するオイル入口となり、図の右上側のオイル連通孔12bがオイル流路7に対するオイル出口となる。この第3実施例は、前述した第2実施例と同じく、オイル入口12aから矢印36,37のように放射状に拡がって流れるオイルの流れに対し、突条部31,32の各部ができるだけ直角に近い角度で交差するように、各々の突条部31,32が緩い円弧形に湾曲した形状をなしているものであるが、特に、オイル出口12bへ向かって収束するように流れる流れの後半部分を考慮して、円弧の向きを流れの前半部分(つまり図の左下側部分)と後半部分(つまり図の右上部分)とで対称に配置してある。つまり、オイル入口12a寄りの突条部31,32は該オイル入口12aへ向かって凹となった湾曲形状をなし、オイル出口12b寄りの突条部31,32は該オイル出口12bへ向かって凹となった湾曲形状をなしている。
【0042】
さらに、図16〜図18は、突条部31,32の形状(レイアウト)を変更した第4実施例を示している。図16は第1のコアプレート5における第1の突条部31の配置を示し、図17は第2のコアプレート6における第2の突条部32の配置を示し、図18は、両者を重ねた状態を投影して示している。ここで、図の左下側のオイル連通孔12aがオイル流路7に対するオイル入口となり、図の右上側のオイル連通孔12bがオイル流路7に対するオイル出口となる。この第4実施例は、フィンプレート11が有する流路抵抗の異方性を相殺するように、突条部31,32の長手方向を、一対のオイル連通孔12を結ぶ直線Mに対し一方に傾斜させたものである。
【0043】
すなわち、上述したようなオフセット型コルゲートフィンにおいては、図8の拡大断面図(コアプレート5,6の面と平行にオイル流路7を横切る断面に沿って、フィンプレート11の脚部44を断面している)に示すように、上述したオフセットのための幅Lは、母材の板厚tよりも大きいので、脚部44の断面形状はX方向(図7参照)に細長い形状をなす。そして、上述したように、複数の脚部44が破線状に一列に並び、かつ隣接する脚部44の列は、互いに相補の関係となり、全体として千鳥状に脚部44が並んでいる。そのため、X方向に沿ってオイルが流れる際には、隣接する脚部44の列の間を矢印46のように直線的にオイルが流れ得るので、流路抵抗が比較的小さい。これに対し、Y方向に沿ってオイルが流れる際には、隣接する列の脚部44が重なり合うので、オイルは直線的に流れることはできず、矢印47のように蛇行して流れるため、流路抵抗が比較的大きくなる。つまり、流路抵抗がX方向とY方向とで互いに異なる異方性を有し、X方向への流路抵抗が相対的に小さい。
【0044】
さらに、上記のX方向およびY方向は、略正方形をなすフィンプレート11やコアプレート5,6の各々の辺の方向に対応しており、例えば、図18に付記したX方向およびY方向にフィンプレート11が組み合わされる。そのため、オイル入口12aとなるオイル連通孔12からオイル流路7に流れ出たオイルは、オイル入口12aからX方向へは流れやすいものの、Y方向へは流れにくく、矢印36,37のように流れる流れの分布が不均一となる傾向がある。
【0045】
このようなフィンプレート11の流路抵抗の異方性を考慮して、この第4実施例では、突条部31,32が傾斜している。突条部31,32に斜めに衝突した流れは、この突条部31,32を乗り越えつつもこの突条部31,32の長手方向に沿って案内されるので、図18のY方向へオイルが流れやすくなる。従って、フィンプレート11の基本的な流路抵抗の異方性が相殺され、コアプレート5,6およびフィンプレート11の全面に亘って、より均等にオイルが流れるようになり、全体的な熱交換が向上する。なお、突条部31,32をさらに第2実施例のように湾曲形状とすることも可能である。
【0046】
以上、この発明の一実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限られず、種々の変更が可能である。例えば、上記実施例では、コアプレート5,6の双方に突条部31,32を形成しているが、いずれか一方のみに突条部を設けるようにしてもよく、また突条部の形状(レイアウト)としても、上記実施例に限定されずに、種々の変更が可能である。さらに、本発明は特にコアプレート5,6やフィンプレート11が略正方形である場合に有用であるが、例えば円形、長円形、長方形等のコアプレートやフィンプレートについても同様に適用できる。また、一対のオイル連通孔の中で、どちらがオイル入口でどちらがオイル出口となるかは、上記実施例に限られずに任意に選択できる。
【符号の説明】
【0047】
1…コア部
5…第1のコアプレート
6…第2のコアプレート
7…オイル流路
8…冷却水流路
11…フィンプレート
12…オイル連通孔
13…冷却水連通孔
31…第1の突条部
32…第2の突条部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のコアプレートを積層し、各々の間にオイル流路と冷却水流路とを交互に構成するとともに、上記オイル流路となるコアプレート間にフィンプレートを積層し、互いにロー付け接合してなるオイルクーラにおいて、
上記コアプレートは、その平面図上において中心を挟んで互いに反対側となる2箇所に、それぞれオイル連通孔を有し、
上記オイル流路の各々を構成する2枚のコアプレートの少なくとも一方に、上記一対のオイル連通孔を結ぶ直線と交差する方向に延びた複数本の突条部が形成され、この突条部は、隣接するコアプレートに接しない範囲でオイル流路から見て外側へ膨出していることを特徴とするオイルクーラ。
【請求項2】
上記オイル流路の各々を構成する2枚のコアプレートの双方に、上記の突条部がそれぞれ形成されており、かつ一方のコアプレートの突条部と他方のコアプレートの突条部とが交互に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のオイルクーラ。
【請求項3】
上記突条部が、上記直線に直交する直線状に延び、かつ複数の突条部がそれぞれ平行に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のオイルクーラ。
【請求項4】
上記フィンプレートがオフセット型コルゲートフィンからなり、上記突条部においては、このフィンプレートとコアプレートとがロー付け接合されずに隙間が残存していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオイルクーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−7410(P2011−7410A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150658(P2009−150658)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000151209)株式会社マーレ フィルターシステムズ (159)
【Fターム(参考)】