説明

オイルクーラ

【課題】フィンプレート11の流路抵抗の異方性を相殺して、オイルの流れの均等化を図る。
【解決手段】オイルクーラのコア部は、基本的な形状が共通の多数の第1のコアプレートと第2のコアプレート6とを交互に積層することで、各コアプレートの間に、オイル流路7と冷却水流路とが交互に構成される。オイル流路7には、それぞれフィンプレート11が挟み込まれているが、このフィンプレート11は、多数の破線状に並んだ脚部44からなるので、X方向の流路抵抗がY方向の流路抵抗よりも小さい。オイル入口となるオイル連通孔12aのY方向に沿った近傍に、第1のコアプレートに膨出部31が形成され、2枚のコアプレートの間隔が局部的に拡がっているため、通路抵抗が低減する。これにより、2つのオイルの流れ53,54が均等化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば内燃機関の潤滑油や自動変速機の作動油の冷却等に用いられる所謂多板積層型のオイルクーラに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば内燃機関の潤滑油や自動変速機の作動油のためのオイルクーラとして、特許文献1あるいは特許文献2に開示されているように、多数のコアプレートを積層してオイル流路と冷却水流路とを交互に構成するようにした所謂多板積層型の水冷式オイルクーラが知られている。
【0003】
そして、2枚のコアプレートの間に構成されるオイル流路内には、熱交換効率を高めるためにいわゆるオフセット型コルゲートフィンなどからなるフィンプレートが積層されており、このフィンプレートにより形成される微細な流路を通して、一方のオイル連通孔から他方のオイル連通孔へと高温のオイルが流れるようになっている。
【0004】
さらに特許文献2には、オイル流路内にさらに細長い邪魔壁を設け、一方のオイル連通孔から他方のオイル連通孔へ向かうオイルの流れの一部をフィンプレートの外周側へ案内することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−183903号公報
【特許文献2】特開2007−278614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば上記のような多板積層型のオイルクーラに多く用いられているオフセット型コルゲートフィンからなるフィンプレートは、コルゲートの折曲線に沿った方向とこれに直交する方向とで流路抵抗が互いに異なる異方性を有する。そして、上記の2つの互いに直交する方向に対し45°の角度をなす方向に一対のオイル連通孔を配置した場合には、オイル流路へのオイル入口となる一方のオイル連通孔から流路抵抗の小さい方向へ多くのオイルが流れようとするため、一対のオイル連通孔を通る直線を中心として一方の側と他方の側とでオイルの流れの分布が不均一となり、コアプレート全面を有効利用することができない。
【0007】
なお、特許文献2では、フィンプレートの流路抵抗が小さい方向に沿って一対のオイル連通孔を配置しており、従って、両者間を直線的にオイルが流れようとし、好ましくない。また、邪魔壁を設けた部分では、フィンプレートが切り欠かれるため、それだけ熱交換効率が低下してしまい、全体的な熱交換効率の向上は期待できない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、多数のコアプレートを積層し、各々の間にオイル流路と冷却水流路とを交互に構成するとともに、上記オイル流路となるコアプレート間にフィンプレートを介在させてなるオイルクーラにおいて、
上記コアプレートは、その平面図上において、中心を通る互いに直交する第1基準線および第2基準線を仮想したときに、上記第1基準線および第2基準線に対し45°となる方向に、各オイル流路についてのオイル入口となる第1のオイル連通孔とオイル出口となる第2のオイル連通孔とを有し、
上記フィンプレートは、上記第1基準線と平行な方向の流路抵抗が上記第2基準線に平行な方向の流路抵抗よりも小さい異方性を有し、
上記オイル流路の各々を構成する2枚のコアプレートの少なくとも一方には、上記第2基準線と平行な方向で上記第1のオイル連通孔に隣接し、該第1のオイル連通孔の下流側となる位置に、オイル流路から見て外側へ膨出した膨出部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
上記のように膨出部を形成した部位では、2枚のコアプレートの間に構成されるオイル流路の通路断面積が局部的に増加し、通路抵抗が低くなるため、オイル入口となる第1のオイル連通孔からオイル流路へ流れ出るオイルが、この膨出部の方向へ流れ易くなる。従って、フィンプレートの本来の異方性と相殺され、第1のオイル連通孔から第1基準線と平行な方向へ流れるオイルの流れと第2基準線と平行な方向へ流れるオイルの流れとが均等化し、コアプレートならびにフィンプレートの全面をより有効に熱交換に利用できる。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、コアプレートならびにフィンプレートの全面をより均等に利用してオイルと冷却水との間で熱交換することができ、また、膨出部の部分でもフィンプレートが切り欠かれるようなことがないので、全体として熱交換効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明に係るオイルクーラの基本的構成を示す分解斜視図。
【図2】第1のコアプレートの平面図。
【図3】第2のコアプレートの平面図。
【図4】フィンプレートの拡大斜視図。
【図5】図3のA−A線に沿った組立状態での断面図。
【図6】図5のB−B線に沿ったフィンプレートの拡大断面図。
【図7】図2のC−C線に沿った組立状態での要部の断面図。
【図8】図7のD−D線に沿った断面での流れの説明図。
【図9】第2の実施例における第1のコアプレートの平面図。
【図10】この第2の実施例における図8と同様の流れの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明では、理解を容易にするために、図1の姿勢を基準として「上」「下」「頂部」「底部」等の用語を用いることとするが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
始めにオイルクーラ全体の基本的な構成を説明すると、このオイルクーラは、図1の分解斜視図に示すように、オイルと冷却水との熱交換を行うコア部1と、このコア部1の上面に取り付けられる比較的厚肉の頂部プレート2と、コア部1の下面に取り付けられる底部プレート3,4とから大略構成されている。
【0014】
上記コア部1は、基本的な形状が共通の多数の第1のコアプレート5と第2のコアプレート6とを交互に積層し、各コアプレート5,6の間に、オイル流路7と冷却水流路8とを交互に構成(図5参照)したものである。図示例では、第1のコアプレート5の下面と第2のコアプレート6の上面との間にオイル流路7が構成され、第2のコアプレート6の下面と第1のコアプレート5の上面との間に冷却水流路8が構成される。各オイル流路6には、それぞれ略正方形のフィンプレート11が挟み込まれている。
【0015】
上記第1のコアプレート5および第2のコアプレート6は、アルミニウム合金の薄い母材をプレス成形したものであって、図2,図3にも示すように、全体として略正方形をなし、その対角線上の2箇所にオイル連通孔12が開口形成されているとともに、異なる対角線上の2箇所に、冷却水連通孔13が開口形成されている。そして、第1のコアプレート5では、オイル連通孔12の周囲がボス部14として冷却水流路8側へ突出するように一段高く形成されており、第2のコアプレート6では、冷却水連通孔13の周囲がボス部15としてオイル流路7側へ突出するように一段高く形成されている。従って、これらの2種類のコアプレート5,6が交互に組み合わされることで、各コアプレート5,6間に流路7,8となる一定の間隔が保持されている。
【0016】
ここで、第1のコアプレート5におけるオイル連通孔12周囲のボス部14は、隣接する第2のコアプレート6のオイル連通孔12の周囲に各々接合されており、これにより、上下2つのオイル流路7が互いに連通するとともに、両者間の冷却水流路8から隔絶される。このようにして、多数のコアプレート5,6が接合された状態では、多数のオイル連通孔12を介して、各オイル流路7同士が連通するとともに、全体としてコア部1内をオイルが上下方向に通流し得るようになっている。
【0017】
尚、図1では、各コアプレート5,6のオイル連通孔12が上下に整列した位置に描かれているが、実際には、コア部1軸方向の中間の適宜位置にある1つあるいは複数のコアプレート5,6において、一対のオイル連通孔12の中の一方が閉塞されており、オイルが全体として左右にUターンしつつ流れるようになっている。つまり、各オイル流路7においては、一対のオイル連通孔12の一方がオイル入口となり、他方がオイル出口となる。
【0018】
また、冷却水連通孔13についても、オイル連通孔12と同様の構成となっており、第2のコアプレート6における冷却水連通孔13周囲のボス部15が、隣接する第1のコアプレート5の冷却水連通孔13の周囲に各々接合されており、これにより、上下2つの冷却水流路8が互いに連通するとともに、両者間のオイル流路7から隔絶される。従って、多数のコアプレート5,6が接合された状態では、多数の冷却水連通孔13を介して、各冷却水流路8同士が連通するとともに、全体としてコア部1内を冷却水が上下方向に通流し得るようになっている。
【0019】
各コアプレート5,6の周縁部5a,6aは、外側に拡がったテーパ状をなし、各コアプレート5,6を積層した状態では、各周縁部5a,6aが互いに密に接するようになっている。また、各コアプレート5,6の中央部には、略円錐形に突出したテーパ筒状部5b,6bが設けられており、多数のテーパ筒状部5b,6bが順次重なることで、コア部1を上下に貫通する中央オイル通路17が構成されている。この中央オイル通路17は、各コアプレート5,6間のオイル流路7とは直接には連通していない。
【0020】
さらに、上記第1のコアプレート5には、冷却水流路8側つまり上方へ突出する多数の突起部16(いわゆるディンプル)が膨出形成されている。この突起部16は、円錐台形をなし、その高さが上述したボス部14の高さと等しく、従って、組立状態では、図5に示すように、その頂部が第2のコアプレート6の下面にロー付けにより接合されている。この突起部16は、冷却水の流れに乱流を生成し、熱交換効率を向上させる機能を有するとともに、コア部1全体の剛性向上に寄与する。
【0021】
上記オイル流路7に挟み込まれるフィンプレート11は、その対角線上の4箇所に、上記オイル連通孔12および上記冷却水連通孔13にそれぞれ対応する開口部18が開口形成されているととともに、中心部に上記中央オイル通路17(テーパ筒状部5b,6b)に対応する貫通孔19が形成されている。上記開口部18は、上記ボス部15に対し若干の余裕を有するように、各連通孔12,13よりも僅かに大きく開口している。尚、図1におけるフィンプレート11は、模式的に描かれたものであり、実際は全体が図4に示すようなオフセット型コルゲートフィンとして形成されている。
【0022】
コア部1の最上部には、さらに上記の頂部プレート2が積層されている。この頂部プレート2は、コア部1最上部の一対の冷却水連通孔13の一方に連通する冷却水導入管21と他方に連通する冷却水排出管22とを備えている。また、頂部プレート2は、一方の対角線に沿った膨出部23を有し、この膨出部23によって、コア部1最上部の一方のオイル連通孔12と中央オイル通路17の上端とを互いに連通する連通路(図示せず)が構成されている。
【0023】
コア部1の下部には、上述したように、十分な剛性を有する比較的厚肉の底部プレート3,4が積層されている。これらの底部プレート3,4は、コア部1最下部のオイル連通孔12の一方に対応して開口したオイル入口25を備えるとともに、上記中央オイル通路17に対応して開口したオイル出口26を備えており、各々をシールするガスケット27,27を介して、図示せぬシリンダブロック等に取り付けられるようになっている。
【0024】
従って、オイルの流れとしては、内燃機関の各部を潤滑して高温となったオイルが、底部プレート3,4のオイル入口25からコア部1のそれぞれのオイル流路7へ導入され、隣接する冷却水流路8を流れる冷却水と熱交換して冷却された上で、頂部プレート2の膨出部23による連通路を経由して中央オイル通路17へと流れ、最終的に、底部プレート3,4のオイル出口26から内燃機関側へ戻される。尚、オイルの流れを逆にして、高温のオイルを中央オイル通路17に導入し、コア部1で熱交換した後に最下部のオイル連通孔12から内燃機関へ戻すように構成することも可能である。また、冷却水は、冷却水導入管21から上下に並んだ冷却水連通孔13を通して各冷却水流路8へ分配され、かつ各々の冷却水流路8内を一方の冷却水連通孔13から他方の冷却水連通孔13へ向かって流れ、最終的に冷却水排出管22へと流れ出る。
【0025】
上述した多数のコアプレート5,6、フィンプレート11、頂部プレート2、および底部プレート3,4は、ロー付けによって互いに接合され一体化されている。詳しくは、これらの各部品は、アルミニウム合金の基材の表面にロー材層を被覆したいわゆるクラッド材を用いて形成されており、各部を所定の位置に仮組付した状態で炉内で加熱することにより、一体にロー付けされる。
【0026】
なお、コア部1の最上部および最下部に位置するコアプレート5,6は、頂部プレート2や底部プレート3,4との関係から、コア部1の中間部に位置する一般的なコアプレート5,6とは多少異なる構成を有している。
【0027】
次に、本発明の要部であるオイル流路7内のオイルの流れ、ならびに、このオイルの流れを調整するためのオイル連通孔12近傍の膨出部31について説明する。
【0028】
図4に示したように、上記フィンプレート11は、1枚の母材を一定ピッチ毎に矩形ないしU字形に折り曲げてなるコルゲートフィンであり、特に、ある幅毎に、半ピッチずつコルゲートの位置がずれたオフセット型コルゲートフィンからなる。説明の都合上、フィンプレート11の平面における互いに直交する2つの方向を、図4に示すように、X方向、Y方向と定義するものとすると、母材はY方向に送られながらピッチP毎にそれぞれ反対側に折り曲げられてコルゲート加工が行われるが、X方向の幅L毎にY方向に沿ったスリットが間欠的に設けられ、かつ幅L毎に半ピッチずつずれて折り曲げ加工がなされる。例えば、図示する折曲線41aと折曲線41bとは、半ピッチずつY方向にオフセットしている。なお、これらの折曲線41a,41bは、いずれもX方向に沿っており、互いに平行である。
【0029】
従って、フィンプレート11は、図示するように、X方向にはジクザグに連続するがY方向には不連続な頂部壁42と、同じくX方向にはジクザグに連続するがY方向には不連続な底部壁43と、これらの頂部壁42と底部壁43とを連結した多数の脚部44と、から構成されている。なお、頂部壁42と底部壁43は、実質的に同じものである。両者間の多数の脚部44は、X方向に沿った破線状に列をなし、かつ相補の破線が隣接するような形で、Y方向に多数の列が並んでいる。ここで、このフィンプレート11が第1のコアプレート5と第2のコアプレート6との間に接合された状態では、頂部壁42は第1のコアプレート5に密接し、底部壁43は第2のコアプレート6に密接しているので、実質的には、第1のコアプレート5と第2のコアプレート6との間に、多数の脚部44が熱交換用のフィンとして存在し、この脚部44がオイル流路7を横切る形となる。
【0030】
図6は、コアプレート5,6の面と平行にオイル流路7を横切る断面に沿って、上記フィンプレート11の脚部44を拡大して示したものであり、上述したオフセットのための幅Lは、母材の板厚tよりも大きいので、脚部44の断面形状はX方向に細長い形状をなす。そして、上述したように、複数の脚部44が破線状に一列に並び、かつ隣接する脚部44の列は、互いに相補の関係となり、全体として千鳥状に脚部44が並んでいる。そのため、X方向に沿ってオイルが流れる際には、隣接する脚部44の列の間を矢印46のように直線的にオイルが流れ得るので、流路抵抗が比較的小さい。これに対し、Y方向に沿ってオイルが流れる際には、隣接する列の脚部44が重なり合うので、オイルは直線的に流れることはできず、矢印47のように蛇行して流れるため、流路抵抗が比較的大きくなる。つまり、流路抵抗がX方向とY方向とで互いに異なる異方性を有し、X方向への流路抵抗が相対的に小さい。
【0031】
さらに、上記のX方向およびY方向は、略正方形をなすフィンプレート11やコアプレート5,6の各々の辺の方向に対応している。例えば、図2、図3に示すように、コア部1の平面図上において、正方形の中心を通り、かつ各辺に平行となる互いに直交した第1基準線51および第2基準線52を仮想したときに、上記第1基準線51がX方向に沿ったものとなり、第2基準線52がY方向に沿ったものとなる。一対のオイル連通孔12は、これらの第1基準線51おおび第2基準線52に対し、45°の方向に対称に位置している。図2の例では、図の右上に位置するオイル連通孔12aがオイル流路7に対するオイル入口となり、図の左下に位置するオイル連通孔12bがオイル流路7に対するオイル出口となる。
【0032】
図8は、オイル流路7における上述したフィンプレート11の多数の脚部44とオイル連通孔12a,12bとの位置関係を図示した説明図であり、一方のオイル連通孔12aから他方のオイル連通孔12bへと向かうオイルの流れは、同図に矢印53として示すように図の左上の領域を通る流れと、矢印54として示すように図の右下の領域を通る流れとに大別される。ここで、前者の流れ53は、オイル連通孔12aを出たときにX方向に沿って流れる必要があり、後者の流れ54は、オイル連通孔12aを出たときにY方向に沿って流れる必要がある。前述したように、フィンプレート11のそもそもの流路抵抗の特性としては、その異方性により、X方向への流路抵抗の方が相対的に小さいので、基本的には、X方向に沿って流れ出る流れ53は流れやすく、Y方向に沿って流れ出る流れ54は流れにくく、そのままでは、流れの分布が不均一となる。特に、符号Aで示す図右下の領域を流れるオイルが少なくなり、この領域付近での熱交換が不十分となる。
【0033】
このようなフィンプレート11の流路抵抗の異方性を考慮して、本実施例では、図2に示すように、第1のコアプレート5のオイル入口となるオイル連通孔12aの近傍に、長円形の膨出部31が設けられている。この膨出部31は、Y方向に沿って上記オイル連通孔12aに隣接し、かつY方向に沿った流れの方向でオイル連通孔12aのすぐ下流となる位置に配置されており、図7に示すように、冷却水流路8側つまり上方へ僅かに膨出している。この膨出部31は、突起部16の高さよりは低く、第2のコアプレート6の下面には接触しない。また、この膨出部31は、X方向に細長い長円形をなしているが、オイル連通孔12aからY方向へ流れ出るオイルの流れのほぼ全てが膨出部31を横切るように、オイル連通孔12aのX方向の寸法に対応して形成されている。
【0034】
このように膨出部31を設けた部位では、図7に明らかなように、2枚のコアプレート5,6の間に構成されるオイル流路7の通路断面積が局部的に増加し、通路抵抗が低くなる。そのため、オイル入口となる第1のオイル連通孔12aからY方向へ流れ出るオイルの流れに対する流路抵抗が低下し、このY方向へ向かってオイルが流れ易くなる。従って、フィンプレート11の本来の異方性と相殺され、図8に示すように、第1のオイル連通孔12aからX方向へ流れ出て図の左上の領域を通る流れ53と、第1のオイル連通孔12aからY方向へ流れ出て図の右下の領域を通る流れ54とが均等化し、略正方形をなすコアプレート5,6ならびにフィンプレート11の全面をより有効に熱交換に利用できる。特に、符号Aで示す図右下の領域へオイルが確実に流れ、この領域A付近での熱交換が向上する。つまり、膨出部31付近でY方向へ流れやすくなるため、図右下の領域を通るオイルの流れ54が、より外側を通るように案内され、領域Aを通過する流れが増加する。
【0035】
そして、膨出部31は、図7のように、フィンプレート11とは逆の冷却水流路8側へ突出するので、フィンプレート11を切り欠く必要がなく、熱交換を損なうことがない。
【0036】
なお、この実施例では、多数の突起部16を備えた第1のコアプレート5に膨出部31が設けられているが、これに代えて第2のコアプレート6に膨出部31を設けるようにしてもよく、あるいは双方のコアプレート5,6に浅い膨出部31を各々形成してもよい。また、膨出部31の形状や大きさとしては図示例に限られるものではなく、オイルの流れがより均等となるように適宜に設定することが可能である。
【0037】
次に、図9は、本発明の第2の実施例を示し、特に、その第1のコアプレート5を示している。この実施例では、上述した膨出部31に加えて、第1のコアプレート5のオイル出口となるオイル連通孔12bの近傍に、第2の膨出部32が設けられている。この第2の膨出部32は、Y方向に沿って上記オイル連通孔12bに隣接し、かつY方向に沿った流れの方向でオイル連通孔12bのすぐ上流となる位置に配置されており、前述した膨出部31と同じく、冷却水流路8側へ僅かに膨出している。この第2の膨出部32は、膨出部31と同じくX方向に細長い長円形をなしているが、膨出部31に比べて相対的に小さく、オイル連通孔12bへY方向に沿って流入するオイルの流れの一部が第2の膨出部32を横切るように形成されている。
【0038】
図10は、このように第2の膨出部32を設けた第2実施例でのオイルの流れを示しているが、上記第2の膨出部32によって、符号Bで示す図10の左上の領域からオイル連通孔12bへ向かってY方向へ流れるオイルの流れに対する流路抵抗が低下する。従って、この領域Bに確実にオイルが流れるようになり、この領域Bでの熱交換が向上する。換言すれば、図左上の領域を通るオイルの流れ53が、より外側を通るように案内される形となり、領域Bを通過する流れが増加する。
【0039】
上記の第2の膨出部32についても、第1のコアプレート5ではなく第2のコアプレート6側に形成することができ、あるいは、コアプレート5,6の双方に形成するようにしてもよい。
【0040】
以上、この発明の一実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限られず、種々の変更が可能である。例えば、フィンプレート11としては、上記のオフセット型コルゲートフィンに限定されず、流路抵抗がX方向とY方向とで異なる種々の形式のフィンプレート11と組み合わせて本発明を適用することが可能である。また、本発明は特にコアプレート5,6やフィンプレート11が略正方形である場合に有用であるが、例えば円形、長円形、長方形等のコアプレートやフィンプレートについても同様に適用できる。さらに、上記実施例では、第1および第2のコアプレートの対角線上の2箇所にオイル連通孔を開口形成し、かつ異なる対角線上の2箇所に冷却水連通孔を開口形成したものを示したが、オイル連通孔および冷却水連通孔は、必ずしも対角線上に配置する必要はなく、各々コアプレートに平行な配置となるように開口形成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1…コア部
5…第1のコアプレート
6…第2のコアプレート
7…オイル流路
8…冷却水流路
11…フィンプレート
12…オイル連通孔
13…冷却水連通孔
31…膨出部
32…第2の膨出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のコアプレートを積層し、各々の間にオイル流路と冷却水流路とを交互に構成するとともに、上記オイル流路となるコアプレート間にフィンプレートを介在させてなるオイルクーラにおいて、
上記コアプレートは、その平面図上において、中心を通る互いに直交する第1基準線および第2基準線を仮想したときに、上記第1基準線および第2基準線に対し45°となる方向に、各オイル流路についてのオイル入口となる第1のオイル連通孔とオイル出口となる第2のオイル連通孔とを有し、
上記フィンプレートは、上記第1基準線と平行な方向の流路抵抗が上記第2基準線に平行な方向の流路抵抗よりも小さい異方性を有し、
上記オイル流路の各々を構成する2枚のコアプレートの少なくとも一方には、上記第2基準線と平行な方向で上記第1のオイル連通孔に隣接し、該第1のオイル連通孔の下流側となる位置に、オイル流路から見て外側へ膨出した膨出部が設けられていることを特徴とするオイルクーラ。
【請求項2】
上記オイル流路の各々を構成する2枚のコアプレートの少なくとも一方に、上記第2基準線と平行な方向で上記第2のオイル連通孔に隣接し、該第2のオイル連通孔の上流側となる位置に、オイル流路から見て外側へ膨出した第2の膨出部がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のオイルクーラ。
【請求項3】
上記フィンプレートは、コルゲートの折曲線が上記第1基準線と平行で、かつ破線状の脚部が出現するように、この脚部の長さに対応する幅毎に、第2基準線の方向に各コルゲートがオフセットしているオフセット型コルゲートフィンからなることを特徴とする請求項1または2に記載のオイルクーラ。
【請求項4】
上記コアプレートおよび上記フィンプレートは、外縁がほぼ正方形をなし、上記のオイル連通孔がこの正方形の対角線上に位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオイルクーラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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