説明

オイルレベルゲージガイド、該オイルレベルゲージガイド成形用金型及びオイルレベルゲージガイドの成形方法

【課題】製造工程が複雑である。
【解決手段】ガイドパイプ1の下端部位の2箇所に第1、2拡径部2、3を形成すると共
に、該第1、2拡径部2、3間にOリング4を嵌め込み、第2拡径部3より上端側部位に
第3拡径部6を形成すると共に、第2、3拡径部3、6間部位を円盤状のシール材7の中
心に貫通させ、該シール材7の外周部に撓曲自在部9、9aを形成する。1箇所余分に第3
拡径部6を形成すると共に、Oリング4及びシール材7を単に嵌め込むだけの作業で完成
可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダーブロック下部のエンジンブロックに連結してオイルレベルゲージ
を収容するオイルレベルゲージガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、かかるオイルレベルゲージガイドにあっては、パイプを適宜形状に屈曲して形成
され、下端部をエンジンブロックに連結すると共に上端側を固定し、内部にオイルレベル
ゲージが差し込まれている。
そして、エンジンブロックに連結する下端部は、オイル漏れ防止と連結容易性の観点か
ら、弾性を有するOリング及びシール材を用い、オイルレベルゲージガイドの下端側にO
リングを取り付けると共に、該Oリングより上端側にシール材を設けて、Oリングをエン
ジンブロック側の取付穴の内周面に密着させると共に、シール材で上方開口部を閉鎖する
様にしている。
例えば、図5、6に示す従来例1、2の様に、ガイドパイプaの下端側の2箇所に設け
た第1、2拡径部b、b’間の部位にOリングcを収容し、図5に示す従来例1の様に加
硫ゴム塊であるシール材dをガイドパイプaに一体化したり、図6に示す従来例2の様に
円盤状のシール材eの中央をガイドパイプaを貫通させると共に、該シール材eの上方に
ストッパーfを設けている。尚、第1、2拡径部b、b’にあっては、ガイドパイプaを
長手方向に圧縮し座屈させることで形成する様にしている。
【0003】
研究開発段階や出願段階で先行技術調査を行っておらず、記載すべき先行技術文献を知
りません。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術における前者のものにあっては、型にガイドパイプaをセットし
た後にゴムを流し込んでシール材dを成形せねばならず、又後者のものにあっては、スト
ッパーfをガイドパイプaを溶接等により一体化せねばならず、よって両者共に製造工程
が複雑になるなど解決せねばならない課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく、製造工程が複雑化する課題に鑑み、ガイドパイプの
下端部位の2箇所に第1、2拡径部を形成すると共に、該第1、2拡径部間にOリングを
嵌め込み、第2拡径部より上端側部位に第3拡径部を形成すると共に、第2、3拡径部間
部位を円盤状のシール材の中心に貫通させ、該シール材外周面に周設した溝の上下部を撓
曲自在部としたことによって、1箇所余分に拡径部を形成すると共に、Oリング及びシー
ル材を単に嵌め込むだけの作業で完成可能にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、ガイドパイプの下端部位の2箇所に第1、2拡径部を形成すると共
に、該第1、2拡径部間にOリングを嵌め込み、第2拡径部より上端側部位に第3拡径部
を形成すると共に、第2、3拡径部間部位を円盤状のシール材の中心に貫通させ、該シー
ル材外周面に周設した溝の上下部を撓曲自在部としたので、第2拡径部と同様に第3拡径
部、即ちシール材のストッパーを形成出来るため、一連の製造工程で第2、3拡径部を形
成出来、よって製造工程の簡略化を図ることが出来る。
【0007】
ベースに設けた収容凹部内の奥側に第2成形型を、開口側に第1成形型をスライド可能
に収容し、該第1、2成形型及びベースに貫設した同径のパイプ挿通部位にパイプのチャ
ッキング手段を設け、第1成形型の第2成形型側及び第2成形型のベース側に凹部を、該
凹部の中央に挿通部位が位置する様に形成した成形用金型におけるパイプ挿通部位内をパ
イプを挿通させチャッキングしてセットした後、第1、2成形型を順次収容凹部の奥側へ
スライドさせて、第1、2成形型における凹部内でパイプを外側へ膨出させて鍔状の第2
、3拡径部を形成する様にしたので、単にパイプ挿通部位内にパイプを挿通させるだけで
、パイプの3箇所を同時にチャッキングして加工することが可能になることから、自動的
且つ一連的に2箇所の第2、3拡径部を形成することが出来るため、寸法精度の向上を図
ることが出来ると共に、作業工程の削減に伴う作業時間の短縮化及び加工コストの低減化
を図ることが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係るオイルレベルゲージガイドの一実施例を図面に基づき説明する。
本発明に係るオイルレベルゲージガイドにあっては、図1〜3に示す様に、適宜形状に
屈曲されたガイドパイプ1の下端をテーパー状の拡径部2とし、ガイドパイプ1の中間部
の下端部近傍を鍔状に座屈させて拡径部3を形成し、かかる拡径部2、3間部位をOリン
グ4の嵌合溝5としている。
ガイドパイプ1における拡径部3より上端側部位に、該拡径部3と同様の拡径部6を形
成すると共に、拡径部3、6間部位に円盤状且つリング状のシール材7を外嵌し、該シー
ル材7はガイドパイプ1に密着しているが、該ガイドパイプ1に対しスライド可能に成っ
ている。
又、シール材7の外周面に溝8を周設してその上下部を撓曲自在部9、9aとし、少なく
とも下方の撓曲自在部9aが上方に捲くれ上がって、エンジンブロックP側の取付穴Hの内
周面に密着することで、シール材7により取付穴Hを閉口する様に成っている。尚、取付
穴Hの上部を上方拡開テーパー部とすると共に下部を段部を介した減径部としている。
【0009】
上記ガイドパイプ1を製造する金型10にはベース11に対しスライド可能に設けた第1、
2成形型12、13を有し、ベース11の一端面の中央に収容凹部14を形成し、該収容凹部14の
奥側に第2成形型13を、開口側に第1成形型12をスライド可能に収容している。又、第1
、2成形型12、13及びベース11に貫設した同径のパイプ挿通部位15、15a 、15b を同軸線
上に形成している。第1成形型12の他端側、即ち第2成形型13側と、第2成形型13の他端
側、即ちベース11側に凹部16、17を、該凹部16、17の中央に挿通部位15a 、15b が位置す
る様に形成している。又、第1成形型12におけるパイプ挿通部位15の一端面側開口部をテ
ーパー状に拡開して、第1拡径部2の係止部18としている。尚、ガイドパイプ1は、パイ
プ挿通部位15、15a 、15b にてチャッキングする様にしている。
【0010】
ベース11と第2成形型13の間に圧縮スプリング19、19a …を設けると共に収容凹部14の
周面にストッパー20を内方突設して、圧縮スプリング19、19a …により第2成形型13をス
トッパー20に当接させる様にし、且つ当接状態において第2成形型13をストッパー20に押
圧付勢すると共に、ベース11と第2成形型13は離間状態と成っている。
又、第1成形型12とストッパー20間に圧縮スプリング21、21a …を設けている。
【0011】
第1、2成形型12、13は、スライド方向に長いほど安定したスライドを確保し易いが、
ガイドパイプ1における第1、2拡径部2、3間及び第2、3拡径部3、6間は狭いこと
から、凹部16、17及び係止部18を近接状態で形成する必要がある。
そこで、第1成形型12の他端面、即ち第2成形型13側の端面の中央に挿入凹部22を形成
すると共に、該挿入凹部22の奥側底面の中央に上記凹部16を形成し、他方第2成形型13の
先端部位23を段差部24を介して細くして上記挿入凹部22にスライド可能に挿嵌している。
又、第2成形型13の他端面、即ちベース11側の端面に挿入凹部25を形成すると共に、該
挿入凹部25の奥側底面の中央に上記凹部17を形成し、他方ベース11収容凹部14の奥側底面
の中央に、上記挿入凹部25への挿嵌部位26を一体突設している。
よって、上記構成にすれば、第1、2成形型12、13をスライド方向に長くしても、凹部
16、17が第1、2成形型12、13の先端面に近づくことになる。
尚、第2成形型13における第1成形型12及びベース11との摺接面に油溝を形成して潤滑
性を確保するのが好ましい。
【0012】
そして、図4に示す様に、パイプ1aをパイプ挿通部位15、15a 、15b 内を挿通させチャ
ッキングして金型10にセットした後、第1、2成形型12、13を順次収容凹部14の奥側へス
ライドさせると、第1、2成形型12、13における凹部16、17内でパイプ1aが、第1、2成
形型12、13のストローク分の長さを縮めるべく外側へ膨出して、鍔状の第2、3拡径部3
、6が形成されたガイドパイプ1が製造される。
具体的には、第1成形型12のスライドして第2成形型13に当接することで第2拡径部3
が形成され、その後第1成形型12と共に第2成形型13がスライドしてベース11に当接する
ことで第3拡径部6が形成される。
その後、成形時の成形圧力を解除すると、圧縮状態の圧縮スプリング19、19a …の弾性
復元力により第2成形型13の段差部24をストッパー20に当接させ初期位置に自動的に復帰
させると共に、圧縮スプリング21、21a …の弾性復元力により第1成形型12を初期位置に
自動的に復帰させる様にして、金型10における第1、2成形型12、13から第2、3拡径部
3、6が自動的に離型する様に成っている。
つまり、パイプ1aの金型10へのセット時に、3箇所のパイプ挿通部位15、15a 、15b で
パイプ1aをチャッキングするため、第1、2成形型12、13を順次ストロークさせれば、自
動的且つ一連的に第2、3拡径部3、6が形成される様になっている。
【0013】
次に、本発明に係るオイルレベルゲージガイドの作用について説明する。
上記オイルレベルゲージガイドの下端部をエンジンブロックP側の取付穴Hに差し込む
と、先ずOリング4が圧縮変形して取付穴Hの中間部に密着し、次にシール材7が取付穴
Hの口縁部に当接した後、取付穴H内に収容されるべく捲くれ上がる様に撓曲自在部9aが
変形して、該撓曲自在部9aの外周部が取付穴Hの上方拡開テーパー部の内周面に密着し、
最終的にはガイドパイプ1の下端部が取付穴Hの段部に当接する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係るオイルレベルゲージガイドの正面図である。
【図2】図1のオイルレベルゲージガイドの先端部の縦断面の拡大図である。
【図3】図1のオイルレベルゲージガイドの取付状態を示す断面図である。
【図4】図1のオイルレベルゲージガイドの製造過程を示す断面図である。
【図5】従来例1のオイルレベルゲージガイドの先端部の縦断面の拡大図である。
【図6】従来例2のオイルレベルゲージガイドの先端部の縦断面の拡大図である。
【符号の説明】
【0015】
1 ガイドパイプ
2 第1拡径部
3 第2拡径部
4 Oリング
6 第3拡径部
7 シール材
9、9a 撓曲自在部
11 ベース
14 収容凹部
13 第2成形型
12 第1成形型
15、15a 、15b パイプ挿通部位
16、17 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドパイプの下端部位の2箇所に第1、2拡径部を形成すると共に、該第1、2拡径
部間にOリングを嵌め込み、第2拡径部より上端側部位に第3拡径部を形成すると共に、
第2、3拡径部間部位を円盤状のシール材の中心に貫通させ、該シール材外周面に周設し
た溝の上下部を撓曲自在部としたことを特徴とするオイルレベルゲージガイド。
【請求項2】
ベースに設けた収容凹部内の奥側に第2成形型を、開口側に第1成形型をスライド可能
に収容し、該第1、2成形型及びベースに貫設した同径のパイプ挿通部位にパイプのチャ
ッキング手段を設け、第1成形型の第2成形型側及び第2成形型のベース側に凹部を、該
凹部の中央に挿通部位が位置する様に形成したことを特徴とするオイルレベルゲージガイ
ド成形用金型。
【請求項3】
パイプをパイプ挿通部位内を挿通させチャッキングして金型にセットした後、第1、2
成形型を順次収容凹部の奥側へスライドさせて、第1、2成形型における凹部内でパイプ
を外側へ膨出させて鍔状の第2、3拡径部を形成する様にしたことを特徴とするオイルレ
ベルゲージガイドの成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−132460(P2006−132460A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323338(P2004−323338)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(391023172)大橋鉄工株式会社 (10)
【Fターム(参考)】