説明

オキサセファロスポリンの改良合成法

【課題】重要な薬理活性を有する7−メトキシ−1−オキサセファロスポリンの改良合成法を提供する。
【解決手段】式1で表わされる




7β−(フッ素化メチルチオアセタミド)−7α−メトキシ−3−(1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチル−1−デチア−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸誘導体(式中、R1aは水素又はフルオロ、Rは水素等である)を製造するための方法であって、1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールのアルカリ/アルカリ土類金属塩と3−クロロメチル−1−オキサ−セフェムを縮合処理等を経て合成する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
発明の分野
本発明は、式(I)の7β−(フッ素化メチルチオアセタミド)−7α−メトキシ−3−(1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチル−1−デチア−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸誘導体:
【化1】



(上記式中、
1aは水素またはフルオロであり、
は水素であるか、またはプロドラッグを形成する塩またはエステルを形成する対イオンである)
を製造するための簡便且つ効率的な方法を提供するものである。
【0002】
本発明は、また、式(II)の新規な7β−(フッ素化メチルチオアセタミド)−7α−メトキシ−3−(1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチル−1−デチア−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸誘導体:
【化2】



(上記式中、R1aは水素またはフルオロであり、Rは穏和な条件下で除去することができるカルボキシ保護基であり、R1bは穏和な条件下で定量的に除去することができ、且つ、式(III):
【化3】



によって表されるアルコール保護基である
(上記式中、R、R、Rは同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ、アリール(C〜C)アルコキシまたは置換アリール(C〜C)アルコキシ基であり、アリール基は5員または6員の芳香族環を表す))
を提供するものである。
【0003】
本発明は、また、式(II)の化合物を製造するための簡単且つ効率的な方法を提供する。
【0004】
本発明は、また、式(IV)の1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオール:
【化4】



(上記式中、R、R、Rは同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ、アリール(C〜C)アルコキシまたは置換アリール(C〜C)アルコキシ基を表し、アリール基は5員または6員の芳香族環を表す)
を製造するための簡単且つ効率的な方法を提供するものである。
【0005】
式(IV)の1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールは、式(II)の1−オキサセファロスポリンの製造における中間体として有用である。
【0006】
式(I)の7−メトキシ−1−オキサセファロスポリンは、ヒト、動物、植物、腐敗しやすい物での微生物の増殖阻害剤として有用である。それらは、感受性グラム陽性菌またはグラム陰性菌によって引き起こされるヒト、家畜または家禽の感染症の治療または予防に有用である。それらは、他のβ−ラクタム抗生物質に耐性菌に対して安定であり、有効である。
【0007】
発明の背景
式(I)の7−メトキシ−1−オキサセファロスポリンの重要な薬理活性ゆえに、様々な製造方法が報告されている(Tsuji, T.; Narisada, M.; Hamashima, Y.; Yoshida, T. J. Antibiot. 1985, 38(4), 466; 米国特許第4,532,233号明細書、米国特許第4,529,722号明細書、および英国特許第2 144 119号明細書)。ほとんどの場合に、一般式(V)の3−クロロメチル−1−オキサセフェムを、式(VI)の1−(2−(ヒドロキシエチル)−1H−テトラゾール−5−チオールで処理して、式(VII)の縮合生成物を得て、これを不活性条件下にて式(VIII)の4−メチルベンジルオキシカルボニルクロリドで処理し、ヒドロキシ基が「カーボネート」として保護されている式(IX)の化合物を得ている。式(IX)の保護中間体を更に数工程で修飾し、最後に脱保護して、式(I)の7α−メトキシ−1−オキサセファロスポリンを得る。この開示されている方法は、工程図−Iに示される通りである。
【化5】



【0008】
あるいはまた、一般式(V)の3−クロロメチル−1−オキサセフェムを、不活性条件下にて式(X)の1−(2−(4−メチルベンジルオキシカルボニルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールと縮合して、式(IX)の化合物を得た後、数工程の処理を行って、式(I)の7α−メトキシ−1−オキサセファロスポリンを生じた。この方法は、下記の工程図−IIに示される通りである。
【化6】



【0009】
上記方法の限界は、4−メチルベンジルオキシカルボニルクロリドが市販されておらず、また、その生産には有害であり且つ環境に優しくない「ホスゲン」の大規模な使用を伴うので、通常の製造設備では製造することができないことである。また、この輸送は、爆発の危険なしには行うことができない。この化合物は、低温であっても安定性が極めて低く、この商業的規模での使用はできない。
【0010】
必然的に、4−メチルベンジルオキシカルボニルクロリドの代替試薬としてベンジルオキシカルボニルクロリドを使用することが、ヒドロキシ基を保護する目的で文献に開示されている。本発明者らは、脱保護を行って7α−メトキシ−1−オキサセファロスポリンを得るには、これもまた大規模で使用するには扱いにくい危険な試薬が必要となることを確認している。過剰のトリフルオロ酢酸と組み合わせた塩化第二スズ/塩化アルミニウム/四塩化チタンのような試薬だけが有効であり、ゼリー状混合物を生じるが、オキサセフェムの単離は常に困難で、低収量且つ低品質のものしか得られない。本発明者らは、更に上記の有害な試薬はいずれも単一で用いる場合には有効ではなく、組合せが必須であることも確認している。
【0011】
4−メチルベンジルオキシカルボニルクロリド代替試薬としてのベンジルオキシカルボニルクロリドの使用は、ヒドロキシ基を保護する目的で文献に開示されている。本発明者らは、脱保護を行って7α−メトキシ−1−オキサセファロスポリンを得るには、これもまた大規模で使用するには扱いにくい危険な試薬が必要となることを確認している。過剰のトリフルオロ酢酸と組み合わせた塩化第二スズ/塩化アルミニウム/四塩化チタンのような試薬だけが有効であり、ゼリー状混合物を生じるが、オキサセフェムの単離は常に困難で、低収量且つ低品質のものしか得られない。本発明者らは、更に上記の有害な試薬はいずれも単一のものを用いる場合には有効ではなく、組合せが必須であることも確認している。
【0012】
従って、本発明者らは、オキサセファロスポリン合成に用いる目的で、様々な保護基を有する1−(2−(ヒドロキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールについて検討した。アルコール保護基のほとんどに関しては、1以上の下記の工程、すなわち、アルコール保護基を有する1−(2−(ヒドロキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールと一般式(V)で示される3−クロロメチル−1−オキサセフェムとの結合、7α−メトキシ誘導体を得るために高塩基性pH下でナトリウムメトキシド(またはリチウムメトキシド)を用いるものであるメトキシ化、高温にて第三アミンと五塩化リンとを用いる脱アシル化、酸性pHにおけるアシル化、カルボキシ保護基およびアルコール保護基を両方とも除去する最終的な脱保護において、満足な転換は達成できなかった。
【0013】
本発明者らが研究を継続して鋭意検討を行ったところ、式(IV)の1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−テトラゾール−5−チオールを用いることを特徴とする、式(II)の本発明の標題化合物を製造するための優れた方法を最終的に確認した。この方法は合成工程図の総ての工程において良好に進行し、また最終工程における脱保護も円滑に行われ、最終生成物である一般式(I)の7α−メトキシ−1−オキサセファロスポリンが良好な純度および収率で得られるものであることが分かった。
【0014】
発明の目的
本発明の主要な目的は、式(I)の7β−(フッ素化メチルチオアセタミド)−7α−メトキシ−3−(1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチル−1−デチア−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸の製造方法を提供することである。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、式(I)の7β−(フッ素化メチルチオアセタミド)−7α−メトキシ−3−(1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチル−1−デチア−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸の商業的に実現可能な製造方法であって、工業規模での実行が容易であることを特徴とする方法を提供することである。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、追加の有害な無機試薬および高沸点のニトロメタンを用いることなく、トリフルオロ酢酸のみまたは塩化第二スズのみのような単一試薬を用いて、式(I)の7β−(フッ素化メチルチオアセタミド)−7α−メトキシ−3−(1−ヒドロキシアルキル−5−テトラゾリル)チオメチル−1−デチア−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸を得るための、式(II)の化合物の簡単な脱保護方法を提供することである。
【0017】
本発明のもう一つの目的は、式(IV)の新規な1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールを提供することである。
【0018】
本発明の更にもう一つの目的は、商業的に実施可能であり、かつ、高収率の式(IV)の1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールの製造方法を提供することである。
【0019】
本発明のもう一つの目的は、式(I)のオキサセファロスポリンの製造に使用する式(XI)、(XII)、(XIII)および(II)の新規中間体を提供することである。
【0020】
本発明のもう一つの態様によれば、新規な触媒を用いた式(V)の化合物の製造において有用な中間体である式(XVIII)のエピオキサゾリノアゼチジノン:
【化7】



の製造方法が提供される。
【0021】
報告されている中間体は、オキサセフェム製造の総ての工程を通して安定であり、さらに最終工程において、穏和な条件下にて容易で完全かつ定量的な脱保護を行うことができる。
【発明の概要】
【0022】
従って、本発明は、式(I):
【化8】



で表わされる7β−(フッ素化メチルチオアセタミド)−7α−メトキシ−3−(1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチル−1−デチア−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸誘導体
(上記式中、
1aは水素またはフルオロであり、Rは水素であるか、またはプロドラッグを形成する塩またはエステルを形成する対イオンである)
を製造するための簡単且つ効率的な方法であって、
(i) 式(IV)の1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールのアルカリ/アルカリ土類金属塩と、式(V)の3−クロロメチル−1−オキサ−セフェムとを、有機溶媒中、−50℃〜80℃の範囲の温度で30分〜4時間縮合して、式(XI)の3−(1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)−チオメチルセフェムを生成し、
(ii) 式(XI)の3−(1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチルセフェムを、有機溶媒中、ハロゲン化剤を用いて式(XII)の化合物に転換した後、−100℃〜0℃の範囲の温度でアルカリ/アルカリ土類金属メトキシドで処理し、
(iii) 式(XII)の7β−アシルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチルセフェムを、有機溶媒中、有機塩基と五塩化リンのような塩素化剤を用いて、−50℃〜40℃の範囲の温度で脱アシル化し、−50℃〜40℃の範囲の温度でヒドロキシル溶媒を用いて反応を停止させ、式(XIII)の7β−アミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチルセフェムを生成させ、
(iv) 式(XIII)の7β−アミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)セフェムを、有機溶媒中、有機塩基および活性化剤の存在下にて−50℃〜40℃の範囲の温度で、式(XIV)のチオ酢酸にてアシル化して、式(II)の7β−アシルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)セフェムを生成させ、
(v) 式(II)の7β−アシルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)セフェムの両保護基を、−40℃〜20℃の範囲の温度で30分〜3時間、有機溶媒中、トラッピング剤の存在下ハロゲン化酸を用いて脱保護し、有機溶媒を加えることによって生成物を沈澱させ、その生成物を濾過し、式(I)の7β−アシルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)セフェムを単離すること
を含んでなる、上記方法を提供するものである。
【0023】
上記の方法は、工程図III:
【化9】



に示される通りである。
【0024】
本発明のもう一つの態様によれば、式(II)の7β−(フッ素化メチルチオアセタミド)−7α−メトキシ−3−(1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチル−1−デチア−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸誘導体:
【化10】



(上記式中、
1aは水素またはフルオロであり、Rは穏和な条件下で除去することができるカルボキシ保護基であり、R1bはアルコール保護基であって、穏和な条件下で完全に除去することができ、かつ、式(III):
【化11】



(上記式中、
、R、Rは同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ、アリール(C〜C)アルコキシまたは置換アリール(C〜C)アルコキシ基を表し、アリール基は5員または6員の芳香族環を表す)
によって表されるものである)
を提供することである。
【0025】
本発明のもう一つの態様では、式(XI)で表される新規な中間体:
【化12】



(上記式中、
は穏和な条件下で除去することができるカルボキシ保護基であり、
1bはアルコール保護基である)
が提供される。
【0026】
本発明のもう一つの態様によれば、式(XII)で表される新規な中間体:
【化13】



(上記式中、
は穏和な条件下で除去することができるカルボキシ保護基であり、
1bはアルコール保護基である)
が提供される。
【0027】
本発明のもう一つの態様によれば、式(XIII)で表される新規な中間体:
【化14】



(上記式中、
は穏和な条件下で除去することができるカルボキシ保護基であり、
1bはアルコール保護基である)
が提供される。
【0028】
本発明のもう一つの態様によれば、式(IV)の新規な1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオール:
【化15】



(上記式中、
、R、Rは同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ、アリール(C〜C)アルコキシまたは置換アリール(C〜C)アルコキシ基を表し、アリール基は5員または6員の芳香族環を表す)
が提供される。
【0029】
本発明のもう一つの態様によれば、式(IV)の新規な1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールの製造方法であって、
(i) エタノールアミンと塩基から調製したエタノールアミンのアルカリ/アルカリ土類金属塩と、式(XV)のハロゲン化置換アリールメチル(上記式中、R、R、Rは上記で定義した通りであり、Lはフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどのハロゲン、トシレート、メシレートまたはトリフレートのような脱離基である)とを、有機溶媒中−10〜120℃の範囲の温度で15分〜2時間処理して、一般式(XVI)の2−(置換アリールメトキシ)エチルアミンを生成させ、
(ii) 一般式(XVI)の2−(置換アリールメトキシ)エチルアミンと、二硫化酸素とを、三級アミンの存在下、水性有機溶媒中0℃〜40℃の範囲の温度で処理し、生成物をメチル化剤で処理して一般式(XVII)のジチオカルバメートを生成させ、
(iii) 式(XVIII)のジチオカルバメートを、アジドを用いて溶媒系中にて環化し、式(IV)の1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールを生成させること
を含んでなる、上記方法が提供される。
【0030】
式(IV)の1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールの合成方法は、工程図IV:
【化16】



に示される通りである。
【0031】
本発明の更にもう一つの態様によれば、式(XVII)の新規なメチル2−(置換アリールメトキシベンジルオキシエチル)−ジチオカルバメート:
【化17】



(上記式中、R、R、Rおよびアリールは上記で定義した通りである)
が提供される。
【0032】
本発明のもう一つの態様によれば、式(V)の化合物の有用な合成中間である、式(XIX)のエピオキサゾリノアゼチジノン:
【化18】



(上記式中、Rがカルボキシ保護基であり、Rがアリール、アリールメチル、またはアリールオキシメチルである)
の製造方法であって、
式(XIX)の6−エピペニシラン酸スルホキシド誘導体:
【化19】



(上記式中、R5はカルボキシ保護基であり、R6はアリール、アリールメチルまたはアリールオキシメチルである)を原料として、
式(XX)のアルキルスルホン酸またはアリールスルホン酸:
【化20】



(上記式中、R、R7a、およびR7bは、同一であるかまたは異なり、水素、ヒドロキシ、メチルまたはハロゲンを表し、Rは水素またはアルカリ/アルカリ土類金属であり、nは1から3まで変化することができ、アルキルは(C〜C)の線状または分岐鎖状アルキル基を表し、アリールはフェニルまたはベンジル基を表す)
を用いるものであり、
式(IV)の6−エピペニシラン酸スルホキシドと三価のリン化合物とを、有機溶媒中、触媒量の式(II)のスルホン酸誘導体の存在下にて30℃〜160℃の範囲の温度で30分〜4時間反応させて、式(I)のエピオキサゾリノアゼチジン化合物を得ることを含んでなる、方法が提供される。
【発明の具体的説明】
【0033】
本発明の一態様において、Rで表される対イオンは、アルカリ金属イオンであり、好ましくはナトリウムである。
【0034】
本発明の更にもう一つの態様によれば、Rで表されるプロドラッグエステルは、イン・ビボで加水分解可能な適当なエステル基であって、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、α−アセトキシエチル、α−ピバロイルオキシエチルのようなアシルオキシアルキル基、エトキシカルボニルオキシメチルおよびα−エトキシカルボニルオキシエチルのようなアルコキシカルボニルオキシアルキル基、ジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、ジメチルアミノエチルのようなジアルキルアミノアルキル基、2−(エトキシカルボニル)ブト−2−エニルのような2−アルコキシカルボニル)−2−アルケニル基が挙げられる。
【0035】
本発明のもう一つの態様によれば、Rで表されるカルボキシ保護基は、ジフェニルメチル、4−メトキシベンジル、2−メトキシベンジル、または2−クロロベンジル4−ニトロベンジル、4−メチルベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、2,4−ジメトキシベンジル、2,4,6−トリメトキシベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、ペンタメチルベンジル、3,4−メチレンジオキシベンジル、第三ブチル、第三アミル、トリチル、メトキシ置換トリチル、ベンズヒドリル、トリメチルシリル、第三ブチルジメチルシリル、アリル、シンナミルである。これらの基の他の例は、Theodora W.Greene, Wuts著、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」, John Wiley and Sons, New York, 1981, 第5章に記載されている。誘導体化したカルボン酸が、環系の他の位置におけるその後の(複数の)反応の条件に対して安定であり、且つ、分子の他の部分に障害を与えることなく適当な点で除去することができる限り、用いられるカルボキシ保護基の種類は決定的なものではない。
【0036】
本発明のもう一つの態様によれば、5員または6員の芳香族基は、フェニル、ピリジル、フリル、チオフェニル、ピロリルなどから選択される。
【0037】
本発明の更にもう一つの態様によれば、R、R、およびRによって表されるアルコール保護基は同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ、アリール(C〜C)アルコキシ、置換アリール(C〜C)アルコキシ基、または置換アミノ基を表す。
【0038】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(i)で用いられる有機溶媒は、DMSO、DMF、DMAc、アセトニトリル、アセトン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、THF、またはそれらの混合物から選択される。
【0039】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(i)の縮合は、好ましくは−20℃〜−30℃の範囲の温度で行われる。
【0040】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(ii)で用いられるハロゲン化剤は、第三ブトキシクロリド、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、臭素、または塩素から選択される。
【0041】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(ii)で用いられる有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、またはエチレンクロリドから選択される。
【0042】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(ii)で用いられるアルカリ/アルカリ土類金属メトキシドは、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、またはカリウムメトキシドから選択される。
【0043】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(ii)は、0℃〜−100℃、好ましくは−50℃〜−90℃の範囲の温度で行われる。
【0044】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(iii)で用いられる有機塩基は、ピリジン、キノリン、イソキノリン、トリエチルアミン、DBU、DBN、またはジイソプロピルエチルアミンから選択される。
【0045】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(iii)で用いられるヒドロキシル溶媒は、メタノール、イソプロパノール、エタノール、1,3−ブタンジオール、およびエチレングリコール、またはそれらの混合物から選択される。
【0046】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(iii)で用いられる有機溶媒は、ジクロロメタン、ジクロロエタン、DMF、アセトニトリル、THF、DMAcなどから選択される。
【0047】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(iv)で用いられる有機塩基は、ピリジン、キノリン、イソキノリン、トリエチルアミン、またはジイソプロピルエチルアミンから選択される。
【0048】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(iv)で用いられる溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、THF、DMF、ジオキサン、アセトニトリル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、水、トルエン、アセトン、またはそれらの混合物から選択される。
【0049】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(iv)で用いられるチオ酢酸は、ジフルオロチオ酢酸、フルオロチオ酢酸から選択される。
【0050】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(iv)で用いられる活性剤は、POCl、SOCl、PCl、オキサリルクロリド、ジフェニルクロロホスホリデート、ジアルキルクロロホスホリデート、メルカプトベンゾチアゾール、またはビス−(2−オキソ−オキサゾリジニル)ホスホン酸クロリドから選択される。
【0051】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(v)で用いられるトラッピング剤は、アニソール、チオアニソール、N,N−ジメチルアニリン、またはエタンジチオールから選択され、有機溶媒はジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、THF、アセトニトリル、またはギ酸から選択される。
【0052】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(v)で用いられるハロゲン化酸は、トリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、塩化第二スズ、またはクロロジフルオロ酢酸から選択される。
【0053】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(v)で沈澱のために用いられる溶媒は、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、THF、クロロホルム、ジクロロエタン、またはトルエンから選択される。
【0054】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(i)で式(IV)の化合物の製造に用いられる溶媒は、DMSO、DMF、DMAc、アセトニトリル、アセトン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、THF、またはそれらの混合物から選択される。
【0055】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(i)で式(IV)の化合物の製造に用いられるハロゲン化置換アリールメチルは、4−メトキシベンジルクロリド、2−メトキシベンジルクロリド、2,4−ジメトキシベンジルクロリド、3,4,5−トリメトキシベンジルクロリド、4−メトキシベンジルブロミド、または2−クロロベンジルクロリドから選択される。
【0056】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(i)で式(IV)の化合物の製造における縮合は、−10℃〜+120℃の範囲の温度で行われる。
【0057】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(i)で式(IV)の化合物の製造に用いられる塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、またはカリウム第三ブトキシドのようなアルカリ/アルカリ土類金属水酸化物、または相当する水素化物、または相当するアルコキシドから選択される。
【0058】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(ii)で式(IV)の化合物の製造に用いられる第三アミンは、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、エチルジイソプロピルアミン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジンなどから選択される。
【0059】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(ii)で式(IV)の化合物の製造に用いられる有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、またはそれらの混合物から選択される。
【0060】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(ii)で式(IV)の化合物の製造に用いられるメチル化剤は、ヨードメタン、硫酸ジメチル、TMSI、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート、メチルトリフレート、ジアゾメタンなどから選択される。
【0061】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(iii)で式(IV)の化合物の製造に用いられるアジドは、無機アジドまたは有機アジドから選択される。
【0062】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(iii)で式(IV)の化合物の製造で環化に用いられる無機アジドは、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム、またはアジ化カルシウムから選択される。
【0063】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(iii)で式(IV)の化合物の製造で環化に用いられる有機アジドは、テトラ−n−ブチルアンモニウムアジド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムアジド、テトラエチルアンモニウムアジド、またはテトラ−n−ブチルホスホニウムアジドのような第四アンモニウムまたはホスホニウムアジドから選択される。
【0064】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(iii)で式(IV)の化合物の製造での無機アジドによる環化に用いられる溶媒系は、水性有機溶媒である。
【0065】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(iii)で式(IV)の化合物の製造に用いられる水性有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、THF、ジエチレングリコールジメチルエーテル、またはそれらの混合物である。
【0066】
本発明のもう一つの態様によれば、工程(iii)で式(IV)の化合物の製造において有機アジドを用いる環化に使用する溶媒系は、二相性媒質である。
【0067】
本発明の更にもう一つの態様によれば、工程(iii)で式(IV)の化合物の製造において二相性媒質に用いられる有機溶媒は、ジクロロメタン、クロロホルム、 ジクロロエタン、またはトルエンから選択される。
【0068】
本発明の一態様によれば、Rで表される置換基は、ジフェニルメチル、4−メトキシベンジル、2−メトキシベンジル、2−クロロベンジル、4−ニトロベンジル、またはベンジルから選択されるカルボキシ保護基である。
【0069】
本発明のもう一つの態様によれば、Rで表される置換基は、フェニルのようなアリール、ベンジルまたはアリールオキシメチルのようなアリールメチルから選択される。
【0070】
更にもう一つの態様によれば、式(XVIII)のエピオキサゾリノアゼチジノンの製造方法に用いられる式(XX)の触媒は、4,6−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、 2−ヒドロキシ−1,3,5−ベンゼントリスルホン酸、1,3−ブタンジスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など、またはカリウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウムまたはマグネシウムのような相当するアルカリ/アルカリ土類金属のそれらの塩から選択される。
【0071】
本発明の更にもう一つの態様によれば、式(XVIII)のエピオキサゾリノアゼチジノンの製造方法に用いられる溶媒は、トルエン、キシレン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエタン、またはジオキサンから選択される。
【0072】
更にもう一つの態様によれば、式(XVIII)のエピオキサゾリノアゼチジノンの製造方法に用いられる三価のリン化合物は、トリフェニルホスフィン、またはトリ−n−ブチルホスフィン、またはトリ(o−トリル)ホスフィンから選択される。
【0073】
本発明のもう一つの態様によれば、反応の好ましい温度は80℃〜120℃である。
【0074】
本発明の出発材料であるハロゲン化置換アリールメチルおよびエタノールアミンは、市販されており、廉価である。
【0075】
本発明の出発材料である一般式(V)の3−クロロメチル−1−オキサセフェムは、式(XVIII)のエピオキサゾリノアゼチジノンから下記の工程図V:
【化21】



に示される当該技術分野で周知の方法によって製造することができる。
【0076】
上記の手法は、商業的観点並びに製造の観点のいずれからも極めて有利であることが見出され、良好な品質の式(II)の7β−アシルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)セフェムを生じる。
【0077】
開示した発明を様々な手法に応用することによって、または発明を開示の範囲において修飾するとによって、多くの他の有益な結果を得ることができる。
【0078】
本発明を下記の例によって説明するが、これらの例は例示のためにのみ提供されるものであり、発明の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
【0079】
例1:7β−ジフルオロメチルチオアセチルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(I)の製造
工程(i):7α−ベンズアミド−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(XI)の製造:
7α−ベンズアミド−3−クロロメチル−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(5g)を乾燥DMFに溶解した冷却溶液に、ナトリウム=1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオエート(4gの1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールから調製したものである)のDMF溶液を加え、反応混合物を−25℃〜−27℃で十分攪拌した。反応を完了した後、反応混合物を冷水に加えてクウェンチ(quench)し、酢酸エチルで抽出し、酢酸エチルを留去して、7α−ベンズアミド−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(7.2g)を得た。
【0080】
工程(ii):7β−ベンズアミド−7α−メトキシ−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(XII)の製造:
上記工程(i)で得た7α−ベンズアミド−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(5g)を、乾燥条件下にてジクロロメタン(50ml)に溶解し、この溶液を攪拌下、<−70℃に冷却した。冷却した反応混合物に対して、この温度において、第三ブトキシクロリド(5%溶液、1.4mL)をジクロロメタン(5mL)に溶解したものを加えた。攪拌溶液に、リチウムメトキシド(0.62g)をメタノール(15mL)に溶解したものを加え、反応混合物を反応が完了するまで攪拌した。反応が完了した後、反応混合物を氷酢酸で処理し、冷水を加えて激しく攪拌した。その生成物をジクロロメタンで抽出し、チオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を乾燥して、濃縮し、7β−ベンズアミド−7α−メトキシ−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチルを得て、これを更に精製することなく次の工程で用いた。
【0081】
工程(iii):7β−アミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(XIII)の製造:
(ii)に記載の方法に従って得た7β−ベンズアミド−7α−メトキシ−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル) -1H-テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(15g)を、ジクロロメタンに乾燥条件下28℃にて溶解し、反応混合物0〜5℃に冷却した。冷却溶液にピリジン(3.8mL)と五塩化リン(9.0g)を加え、温度を30℃まで上げた。1時間十分に攪拌した後、反応混合物を30℃まで冷却し、メタノールで処理した。反応が完了した後、反応混合物を重炭酸ナトリウムの溶液で処理して反応を停止させ、生成物をジクロロメタンで抽出した。有機層を希HClで洗浄した後、重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥して、溶媒を留去し、7β−アミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチルを得て、これを更に精製することなく次の工程で用いた。
【0082】
工程(iv):7β−ジフルオロメチルチオアセチルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(II)の製造:
上記工程(iii)で得た7β−アミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチルをジクロロメタン(150mL)に乾燥条件下にて溶解し、溶液を−40℃まで冷却した。この透明溶液に、攪拌下この温度にてピリジン(7.0mL)、ジフルオロメチルチオ酢酸(3.64g)とオキシ塩化リン(2.2ml)を加え、生成する反応混合物を1時間攪拌した。反応が完了した後、反応混合物を水で洗浄し、溶媒を真空留去し、7β−ジフルオロメチルチオアセチルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチルを得た。これは更に精製する必要なしに次の工程で用いることができる。
【0083】
工程(v):7β−ジフルオロメチルチオアセチルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)−1−オキサ−3−セフェム−4−カルボン酸ナトリウム(I)の製造:
7β−ジフルオロメチルチオアセチルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)セフェム−4−カルボン酸ジフェニルメチル(4g)をジクロロメタン(20mL)に28℃で乾燥条件下にて溶解し、透明溶液を−20℃まで冷却した。この冷却した攪拌溶液に、アニソール(3.2mL)、トリフルオロ酢酸(8mL)をこの温度で加え、3時間十分に攪拌した。反応が完了した後、反応混合物をジイソプロピルエーテルに加え、沈澱生成物を濾取した。濾取した固形物を、冷酢酸エチル、2−ブタノンおよび希HClの混合物に溶解した。有機層を分離し、冷重炭酸ナトリウム水溶液で抽出した。水性層を酸性にして、酢酸エチルと2−ブタノンの混合物で抽出した。有機層を濃縮し、残渣を重炭酸ナトリウム水溶液に溶解し、ジクロロメタンで洗浄し、凍結乾燥して、7β−ジフルオロメチルチオアセチルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルメチル)セフェム−4−カルボン酸ナトリウムを得た。
【0084】
例2:1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールの製造
工程(i):2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチルアミン(XVI)の製造:
水素化ナトリウム(4.4g,60%)のジメチルスルホキシド(60mL)懸濁液に、エタノールアミン(7.8g)を20〜25℃にて滴加した。生成するスラリーに、4−メトキシベンジルクロリド(10g)を1〜2時間で滴加し、2時間激しく攪拌した。反応が完了した後、反応混合物を水に注いでクウェンチした。水性層をジクロロメタンで抽出した。溶媒を真空留去し、生成物の2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチルアミンを高真空下で蒸留した(9.5〜11.0g)。
1H NMR (CDCl3, Bruker 400 MHz Avance): δ2.78 (t, 2H), 3.49 (t, 2H), 3.79 (s, 3H), 4.46 (s, 2H), 6.87−7.28 (4H);
質量スペクトルm/e (M+1): 182.0。
【0085】
工程(ii):メチル=4−メトキシベンジルオキシエチルジチオカルバメート(XVII)の製造
工程(i)で得た2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチルアミン(9.0g)を、メタノール(45mL)および水(9mL)に30〜32℃で加え、10〜15℃まで冷却した。トリエチルアミン(7.0g)と二硫化炭素(5.5g)を加え、1〜1.5時間攪拌した。ヨードメタン(9.0g)を加えて、反応が完了するまで十分に攪拌した。反応が完了した後、メタノールを真空留去した。得られた残渣を水で希釈し、生成物をジクロロメタンで抽出した。溶媒を真空留去し、生成物を高真空下にて蒸留して、メチル=4−メトキシベンジルオキシエチルジチオカルバメートを得て、これは更に精製することなく次の工程で用いた。
【0086】
工程(iii):1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオール(IV)の製造:
工程(ii)で得たメチル=4−メトキシベンジルオキシエチルジチオカルバメートを、メタノール(100mL)および水(14.8mL)に加えた。透明な反応マスに、アジ化ナトリウム(5.1g)を加えた。反応混合物を60〜65℃で攪拌し、反応が完了するまでこの温度に保持した。反応が完了した後、メタノールを真空留去し、生成物を常法で単離し、1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオール(X)を10.0〜12.5g得た。
1H NMR (CDCl3, Bruker 400 MHz Avance): δ3.76 (s, 3H), 3.92 (dd, 2H), 4.83 (s, 2H), 4.84 (dd, 2H), 6.82−7.27 (4H);
質量スペクトルm/e (M+1): 267.2
10.0-12.5。
【0087】
例3:1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールの製造
工程(i):2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチルアミンの製造:
カリウム第三ブトキシド(53.75g)をジメチルスルホキシド(200mL)に懸濁したスラリーに、エタノールアミン(31.20g)を20〜24℃で加えた。4−メトキシベンジルクロリド(50g)をジメチルスルホキシドに溶解したものを、23〜27℃にて滴加した。この反応混合物を更に30分間攪拌し、HPLCによって観察した。反応が完了した後、反応マスを25±2℃の水に加え、15分間攪拌し、2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチルアミンをジクロロメタン(500mL)で抽出した。溶媒を真空留去し、生成物の2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチルアミンを高真空下にて蒸留した(53±2g)。この粗製材料を、更に精製することなく次の段階で用いた。
【0088】
工程(ii):メチル=4−メトキシベンジルオキシエチルジチオカルバメートの製造:
工程(i)で得た2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチルアミン(53±2g)を、水(25mL)とメタノール(150mL)の混合物に溶解し、トリエチルアミン(31.41g)を加え、10〜15℃まで冷却した。この反応混合物に、二硫化炭素(23.63g)を10〜15℃で加え、10〜15℃で攪拌した。ジメチルスルホキシド(37.28g)を10〜15℃で加え、更に30分間攪拌し、HPLCで観察した。反応が完了した後、反応マスを冷水に加え、生成物をジクロロメタン125mLで抽出した。ジクロロメタン層を23±2℃で減圧蒸留し、メチル=4−メトキシベンジルオキシエチルジチオカルバメート(75〜79g)を得た。この粗精製物は、更に精製することなく次の工程で用いた。
【0089】
工程(iii):1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールの製造:
メチル=4−メトキシベンジルオキシエチルジチオカルバメート(75〜79g)をメタノール(700mL)および水(70mL)の混合物に溶解した透明溶液に、アジ化ナトリウム(26g)を30℃で加えた。反応混合物を65℃まで加熱し、反応が完了するまでこの温度に保持した。反応が完了した後、メタノールを30〜40℃で減圧蒸留した。このようにして得たスラリーに、25±2℃に冷却した水(700mL)を加え、ジクロロメタン(500mL)で洗浄した。水性層を、炭(charcoal:7g)で処理した。炭素を濾過して、水(100mL)で洗浄した。ジクロロメタン(300mL)を水性層に加え、25±2℃まで冷却し、溶液のpHを2.6±0.5に調整した。ジクロロメタン層を分離した。ジクロロメタン層を42〜45℃で蒸留し、50〜55gの1−(2−(4−メトキシベンジルオキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオール(X)を得て、冷却して固形材料を得た。反応の経過中に生成したメチルメルカプタンは、窒素雰囲気下、次亜塩素酸ナトリウム(過剰量)を用いてトラップした。
【0090】
例4:式(XVIII;R=ジフェニルメチル;R=フェニル)のエピオキサゾリノ−アゼチジノン化合物の製造
Dean-Stark水分離装置を設置した状態で、27〜30℃で攪拌下、ジフェニルメチル=6α−ベンズアミドペニシラネート−1−オキシド(5g)をトルエン(100mL)に加えた。トリフェニルホスフィン(2.87g)および4,6−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸二ナトリウム(75mg)を加え、生成する混合物を100〜110℃で30〜60分間加熱した。反応混合物をこの温度で3〜4時間保持し、反応の進行を観察した。反応が完了した後、反応混合物を冷却して、水で洗浄した。溶媒を真空留去し、得られた残渣をアセトニトリルで処理した。不均一混合物を濾過し、濃縮して、溶媒を除去した。残渣をイソプロピルエーテルとイソプロピルアルコールで処理し、純粋な式(I;R=ジフェニルメチル;R=フェニル)のエピオキサゾリノアゼチジノンを75〜90%の収率で得た。
【0091】
例5:式(XVIII);R=ジフェニルメチル;R=フェニル)のエピオキサゾリノ−アゼチジノン化合物の製造
Dean-Stark水分離装置を設置して、27〜30℃で攪拌下、ジフェニルメチル=6α−ベンズアミドペニシラネート−1−オキシド(10g)をトルエン(200mL)に加えた。トリフェニルホスフィン(5.8g)とp−トルエンベンゼンスルホン酸ナトリウム(100mg)を加え、生成する混合物を100〜110℃まで30〜60分間加熱した。反応混合物をこの温度に3〜4時間保持し、反応の進行を観察した。反応が完了した後、反応混合物を冷却し、水で洗浄した。溶媒を真空留去し、得られた残渣をアセトニトリルで処理した。不均一混合物を濾過し、濃縮して溶媒を除去した。残渣をイソプロピルエーテルとイソプロピルアルコールで処理し、式(I;R=ジフェニルメチル;R=フェニル)のエピオキサゾリノアゼチジノンを75〜90%の収率で得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】



(上記式中、
1aは水素またはフルオロであり、
は水素、または塩を形成する対イオンまたはプロドラッグを形成するエステルである)
の製造方法であって、
(i) 式(IV)の1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールのアルカリ/アルカリ土類金属塩:
【化2】



と、式(V)の3−クロロメチル−1−オキサ−セフェム:
【化3】



とを、有機溶媒中−50℃〜80℃の範囲の温度で30分〜4時間縮合して、式(XI)の3−(1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)−チオメチルセフェム:
【化4】



を生成させ、
(ii) 式(XI)の3−(1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチルセフェムを、有機溶媒中でハロゲン化剤を用い、さらに0℃〜−100℃の範囲の温度でアルカリ/アルカリ土類金属メトキシドで処理し、式(XII)の化合物:
【化5】



に転換し、
(iii) 式(XII)の7β−アシルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチルセフェムを、有機溶媒中、有機塩基および五塩化リンのような塩素化剤で−50℃〜40℃の範囲の温度にて脱アシル化し、
−50℃〜40℃の範囲の温度にてヒドロキシル溶媒で反応を停止して、式(XIII)の7β−アミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−アリールメトキシエチル)−1H−5−テトラゾリル)チオメチルセフェム:
【化6】



を生成させ、
(iv) 式(XIII)の7β−アミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルメチル)セフェムを、有機溶媒中、有機塩基および活性剤の存在下にて−50℃〜40℃の範囲の温度で、式(XIV):
【化7】



のチオ酢酸を用いてアシル化して、式(II)の7β−アシルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)セフェムを生成させ、さらに
(v) 式(II)の7β−アシルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)セフェム:
【化8】



の保護基を両方とも、有機溶媒中、−40℃〜20℃の範囲の温度で30分〜3時間トラッピング剤の存在下にてハロゲン化酸を用いて脱保護し、
該生成物を有機溶媒を加えることによって沈澱させ、該生成物を濾過し、
式(I)の7β−アシルアミノ−7α−メトキシ−3−(1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−イルチオメチル)セフェムを単離すること
を含んでなる、方法。
【請求項2】
によって表される対イオンが、好ましくはナトリウムイオンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
で表されるプロドラッグエステルが、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチル、α−アセトキシエチル、α−ピバロイルオキシエチルのようなアシルオキシアルキル基、エトキシカルボニルオキシメチルおよびα−エトキシカルボニルオキシエチルのようなアルコキシカルボニルオキシアルキル基、ジメチルアミノメチル、ジエチルアミノメチル、ジメチルアミノエチルのようなジアルキルアミノアルキル基、2−(エトキシカルボニル)ブト−2−エニルのような2−(アルコキシカルボニル)−2−アルケニル基である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(ii)で用いられるアルカリ/アルカリ土類金属メトキシドが、ナトリウムメトキシド、リチウムメトキシドまたはカリウムメトキシドから選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(i)で用いられる溶媒が、DMSO、DMF、DMAc、アセトニトリル、アセトン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、THF、またはそれらの混合物から選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程(ii)で用いられる有機溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、THF、エチレンクロリド、アセトニトリルから選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程(ii)で用いられるハロゲン化剤が、t−ブトキシクロリド、N−クロロスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、臭素または塩素から選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(ii)の好ましい反応温度が、−50℃〜−90℃の範囲であるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程(iii)で用いられる有機塩基が、ピリジン、キノリン、イソキノリン、トリエチルアミン、DBU、DBNまたはジイソプロピルエチルアミンから選択され、かつ、用いられる溶媒が、ジクロロメタン、ジクロロエタン、DMF、アセトニトリル、THF、DMAcなどから選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(iii)で用いられるヒドロキシル溶媒が、メタノール、イソプロパノール、エタノール、1,3−ブタンジオールおよびエチレングリコール、またはそれらの混合物から選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程(iv)で用いられる溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、THF、ジオキサン、アセトニトリル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、またはトルエンから選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程(iv)で用いられる有機塩基が、ピリジン、キノリン、イソキノリン、トリエチルアミン、またはジイソプロピルエチルアミンから選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程(v)で用いられる有機溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、THF、アセトニトリル、アセトン、四塩化炭素 またはギ酸から選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(v)で用いられるハロゲン化酸が、トリフルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、塩化第二スズまたはクロロジフルオロ酢酸から選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
沈澱のために工程(v)で用いられる溶媒が、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、THF、クロロホルム、ジクロロエタンまたはトルエンから選択されるものである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
式(I)の新規なオキサセファロスポリン化合物:
【化9】



(上記式中、R1aは水素またはフルオロであり、Rは穏和な条件で除去することができるカルボキシ保護基であり、R1bはアルコール保護基である)。
【請求項17】
で表されるカルボキシ保護基が、ジフェニルメチル、4−メトキシベンジル、2−メトキシベンジル、または2−クロロベンジルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
アルコール保護基R1bが、式(II):
【化10】



(上記式中、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ基、アリール(C〜C)アルコキシ基、または置換アリール(C〜C)アルコキシ基であり、ここで、アリール基は5員または6員の芳香族環を表す)
によって表される、請求項16に記載の化合物。
【請求項19】
式の化合物:
【化11】



(上記式中、R1bは穏和な条件下で定量的に除去することができ、且つ、式(II):
【化12】



によって表されるアルコール保護基である
(上記式中、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ基、アリール(C〜C)アルコキシ基、または置換アリール(C〜C)アルコキシ基であり、ここでアリール基は5員または6員の芳香族環を表す))。
【請求項20】
式の化合物:
【化13】



(上記式中、R1bは穏和な条件下で定量的に除去することができ、且つ、式(II):
【化14】



によって表わされる、アルコール保護基である(上記式中、R、R、およびRは同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ基、アリール(C〜C)アルコキシ基、または置換アリール(C〜C)アルコキシ基であり、ここで、アリール基は5員または6員の芳香族環を表す))。
【請求項21】
式の化合物:
【化15】



(上記式中、R1bは穏和な条件下で定量的に除去することができ、且つ、式(II):
【化16】



によって表されるアルコール保護基である(上記式中、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ基、アリール(C〜C)アルコキシ基であり、ここで、アリール基は5員または6員の芳香族環を表す))。
【請求項22】
式(I):
【化17】



の新規1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオール
(上記式中、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ基、アリール(C〜C)アルコキシ基、または置換アリール(C〜C)アルコキシ基であり、ここで、アリール基は5員または6員の芳香族環を表す)。
【請求項23】
式(I)の新規な1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールの製造方法であって、
(i) エタノールアミンと塩基から調製したエタノールアミンのアルカリ/アルカリ土類金属塩と、式(XV)のハロゲン化置換アリールメチル:
【化18】



(上記式中、R、R、およびRは上記で定義した通りであり、Lはフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードなどのハロゲン、トシレート、メシレートまたはトリフレートのような脱離基である)
とを、有機溶媒中、−10〜120℃の範囲の温度で15分〜2時間処理して、一般式(XVI)の2−(置換アリールメトキシ)エチルアミン:
【化19】



を生成させ、
(ii) 一般式(XVI)の2−(置換アリールメトキシ)エチルアミンを、三級アミンの存在下にて水性有機溶媒中二硫化炭素で0℃〜40℃の範囲の温度で処理し、該生成物をヨードメタンで処理して、一般式(XVII)のジチオカルバメート:
【化20】



を生成させ、
(iii) 式(XVII)のジチオカルバメートを溶媒系中にてアジドを用いて環化し、式(IV)の1−(2−(アリールメトキシ)エチル)−1H−テトラゾール−5−チオールを生成させること
を含んでなる、方法。
【請求項24】
工程(i)の反応温度が、好ましくは20℃〜30℃の範囲である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(i)で用いられる有機溶媒が、DMSO、DMF、DMAC、アセトニトリル、アセトン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、THF、またはそれらの混合物から選択されるものである、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
工程(i)で用いられる塩基が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、またはカリウム第三ブトキシドから選択されるものである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
工程(ii)で用いられる溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、THF、ジオキサン、アセトニトリル、またはそれらの混合物から選択されるものである、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
工程(ii)で用いられる三級アミンが、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、 エチルジイソプロピルアミン、N−メチルピロリジンまたはN−メチルピペリジンから選択されるものである、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
工程(iii)で用いられるアジドが、無機アジドまたは有機アジドであるものである、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
用いられる無機アジドが、アジ化ナトリウム、アジ化カリウム、またはアジ化カルシウムから選択されるものである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
用いられる有機アジドが、テトラ−n−ブチルアンモニウムアジド、トリ−n−ブチルベンジルアンモニウムアジド、テトラエチルアンモニウムアジド、またはテトラ−n−ブチルホスホニウムアジドのような四級アンモニウムまたはホスホニウムアジドから選択されるものである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
無機アジドを用いる環化に使用する溶媒系が、水性有機溶媒である、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
用いられる水性有機溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトンまたはそれらの混合物である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
有機アジドを用いる環化に使用する溶媒系が、二相性媒質である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
工程(iv)での二相性媒質に用いられる溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、またはトルエンから選択されるものである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
下記の式で表される新規化合物:
【化21】



(上記式中、R、R、およびRは、同一であるかまたは異なり、独立して水素、(C〜C)アルコキシ基、アリール(C〜C)アルコキシ基、または置換アリール(C〜C)アルコキシ基を表し、ここで、アリール基は5員または6員の芳香族環を表す)。
【請求項37】
式(I)の化合物:
【化22】



(上記式中、Rがカルボキシ保護基であり、Rがフェニルのようなアリール、ベンジルまたはアリールオキシメチルのようなアリールメチルである)
の改良された製造方法であって、
式(IV)の6−エピペニシラン酸スルホキシド:
【化23】



(上記式中、RおよびRは上記で定義した通りである)
と三価のリン化合物とを、有機溶媒中、触媒量の式(II)のスルホン酸誘導体:
【化24】



(上記式中、R、R7a、およびR7bは、同一であるかまたは異なり、水素、ヒドロキシ、メチルまたはハロゲンを表し、さらにRは水素またはアルカリ/アルカリ土類金属であり、nは1から3まで変化することができ、アルキルは(C〜C)の線状または分岐鎖状アルキル基を表し、アリールはフェニルまたはベンジル基を表す)
の存在下、30℃〜160℃の範囲の温度にて30分〜4時間反応させ、式(I)のエピオキサゾリノアゼチジノン化合物を得ることを含んでなる、方法。
【請求項38】
前記スルホン酸が、4,6−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2−ヒドロキシ−1,3,5−ベンゼントリスルホン酸、1,3−ブタンジスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など、またはカリウム、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、またはマグネシウムのようなアルカリ/アルカリ土類金属の前記スルホン酸の塩から選択されるものである、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記方法に用いられる溶媒が、トルエン、キシレン、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、ジクロロエタンまたはジオキサンから選択されるものである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記方法に用いられる三価のリン化合物が、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィンまたはトリ−n−ブチルホスフィンから選択されるものである、請求項37に記載の方法。

【公開番号】特開2004−168775(P2004−168775A)
【公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2003−379107(P2003−379107)
【出願日】平成15年11月7日(2003.11.7)
【出願人】(503410247)オーキッド ケミカルズ アンド ファーマシューティカルズ リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ORCHID CHEMICALS & PHARMACEUTICALS LTD.
【Fターム(参考)】