説明

オキサゾリジン化合物、オキサゾリドン化合物およびその中間体の製造方法

【課題】含窒素環状β−アミノアルコール化合物の位置選択的な製造方法の提供。
【解決手段】式(IV)で示される化合物とアジド化合物とを反応させて得た化合物を加水分解し、


次いで、該化合物のアミノ基を保護して、酸の存在下に該化合物と、ケトン化合物またはアセタール化合物とを反応させ、式(X)で示される化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキサゾリジン化合物、オキサゾリドン化合物およびその中間体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含窒素環状β−アミノアルコールは、医農薬の合成中間体や各種化学品として有用であり、環状アミンに縮合したオキサゾリジン化合物またはオキサゾリドン化合物は、その等価体として有用である。含窒素環状β−アミノアルコール化合物の製造方法としては、例えば、エポキシド化合物とアジド化合物等の窒素求核剤とを反応させる工程を含む方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、かかる方法は、反応の位置選択性の点で、必ずしも工業的に満足できる方法とはいえなかった。
【特許文献1】特表2007−518721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明者らは、含窒素環状β−アミノアルコール化合物の位置選択的な製造方法について、鋭意検討を行ったところ、その等価体であるオキサゾリジン化合物およびオキサゾリドン化合物の位置選択的な製造方法を見出した。すなわち、適当な位置に保護された水酸基または保護されたアミノ基を有するβ−ヒドロキシカルボン酸化合物を出発原料として、該β−ヒドロキシカルボン酸化合物をクルチウス転位反応に付し、得られたオキサゾリドン化合物を必要によりオキサゾリジン化合物に変換することにより、含窒素環状β−アミノアルコール化合物の等価体であるオキサゾリジン化合物およびオキサゾリドン化合物の中間体を得ることができる。これを、さらに官能基変換させることにより、含窒素環状β−アミノアルコール化合物の等価体であるオキサゾリジン化合物およびオキサゾリドン化合物が位置選択的に得られることを見出し、本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明は以下の[1]〜[16]を提供するものである。
[1]式(IV)

(式中、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わし、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わす。ただし、Aが−NRのとき、Aは−ORである。ここで、RおよびRはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表わす。RおよびRはそれぞれ独立してアミノ基の保護基を表わし、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子を表わすか、あるいはRとRまたはRとRが結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成していてもよい。ただし、アミノ基の保護基と水酸基の保護基が同一であることはない。Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。nは1または2を表わす。)
で示されるヒドロキシカルボン酸化合物とアジド化合物とを反応させて式(V)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物を加水分解して式(VI)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるアミノアルコール化合物を得、次いで、該アミノアルコール化合物のアミノ基を保護して式(VII)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Rはアミノ基の保護基を表わす。)
で示されるN−保護アミノアルコール化合物を得、次いで、酸の存在下に該N−保護アミノアルコール化合物と、式(VIII)

(式中、RおよびR10はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表わすか、互いに結合して炭素数4〜6のアルキレン基を表わす。)
で示されるケトン化合物または式(IX)

(式中、RおよびR10はそれぞれ上記と同じ意味を表わし、R11およびR12はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表わすか、互いに結合して炭素数2〜4のアルキレン基を表わす。)
で示されるアセタール化合物とを反応させる式(X)

(式中、A、A、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物の製造方法。
[2]AとAが、それぞれ−ORと−ORで示される基であって、さらに、式(X)で示されるオキサゾリジン化合物から水酸基の保護基を脱離させて式(XI)

(式中、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物の水酸基をスルホニル化して式(XII)

(式中、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物と式(XIII)

(式中、R13はアミノ基の保護基を表わす。)
1級アミン化合物とを反応させて式(XIV)

(式中、R、R〜R10、R13およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得る工程を含む[1]項に記載の製造方法。
[3]Aが−NR(Rはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子である。)で示される基であるか、またはAが−NR(Rはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子である。)で示される基であって、さらに、式(X)で示されるオキサゾリジン化合物から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれ式(XV-1)または式(XV-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物の水酸基をスルホニル化して、それぞれ式(XVI-1)または式(XVI-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物と塩基とを反応させて、それぞれ式(XVII-1)または式(XVII-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得る工程を含む[1]項に記載の製造方法。
[4]Aが−NR(RとRは結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している)であるか、またはAが−NR(RとRが結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している)で示される基であって、さらに、式(X)で示されるオキサゾリジン化合物におけるイミド環をアミノ基に変換させて、それぞれ式(XVIII-1)または式(XVIII-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物のアミノ基を保護して、それぞれ式(XIX-1)または式(XIX-2)

(式中、R、R、R〜R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれ式(XV-1)または式(XV-2)

(式中、R、R、R、R〜Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物の水酸基をスルホニル化して、それぞれ式(XVI-1)または式(XVI-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物と塩基とを反応させて、それぞれ式(XVII-1)または式(XVII-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得る工程を含む[1]項に記載の製造方法。
[5]さらに、式(XIV)においてR13で示される基、式(XVII-1)においてRで示される基または式(XVII-2)においてRで示される基を脱離させて式(XX)

(式中、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得る工程を含む[2]項〜[4]項のいずれかに記載の製造方法。
[6]式(XIV)におけるR13で示される基、式(XVII-1)におけるRで示される基または式(XVII-2)におけるRで示される基がアルキル基(該アルキル基の1位はアリール基で置換されている。)であり、各式におけるRで示される基がアルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基であって、さらに、式(XIX)、式(XVII-1)または式(XVII-2)で示されるオキサゾリジン化合物を水素添加反応に付して式(XX)

(式中、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得る工程を含む[2]項〜[4]項のいずれかに記載の製造方法。
[7]Rが、tert−ブトキシカルボニル基である[1]項〜[6]項のいずれかに記載の製造方法。
[8]RとR10が、ともにメチル基である[1]項〜[7]項のいずれかに記載の製造方法。
[9]式(IV)

(式中、Aは−ORで示される基を表わし、Aは−ORで示される基を表わす。ここで、RおよびRはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表わす。Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。nは1または2を表わす。)
で示されるヒドロキシカルボン酸化合物とアジド化合物とを反応させて式(V)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物から水酸基の保護基を脱離させて式(XXI)

(式中、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物の水酸基をスルホニル化して式(XXII)

(式中、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物と式(XIII)

(式中、R13はアミノ基の保護基を表わす。)
1級アミン化合物とを反応させる式(XXIII)

(式中、R、R13およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物の製造方法。
[10]
式(IV)

(式中、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わし、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わす。ただし、Aが−NRのとき、Aは−ORであり、Aが−ORのとき、Aは−NRである。ここで、RおよびRはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表わす。RおよびRはそれぞれ独立してアミノ基の保護基を表わし、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子を表わす。ただし、アミノ基の保護基と水酸基の保護基が同一であることはない。Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。nは1または2を表わす。)
で示されるヒドロキシカルボン酸化合物とアジド化合物とを反応させて式(V)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれ式(XXIV-1)または式(XXIV-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物をスルホニル化して、それぞれ式(XXV-1)または式(XXV-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物と塩基とを反応させる式(XXVI-1)または式(XXVI-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
でそれぞれ示されるオキサゾリドン化合物の製造方法。
[11]
式(IV)

(式中、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わし、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わす。ただし、Aが−NRのとき、Aは−ORであり、Aが−ORのとき、Aは−NRである。ここで、RおよびRはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表わす。RとRまたはRとRが結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している。Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。nは1または2を表わす。)
で示されるヒドロキシカルボン酸化合物とアジド化合物とを反応させて式(V)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物におけるイミド環をアミノ基に変換させて、式(XXVII-1)または式(XXVII-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物のアミノ基を保護して、それぞれ式(XXVIII-1)または式(XXVIII-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、RおよびRはそれぞれ独立してアミノ基の保護基を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれ式(XXIV-1)または式(XXIV-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物をスルホニル化して、それぞれ式(XXV-1)または式(XXV-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物と塩基とを反応させる式(XXVI-1)または式(XXVI-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
でそれぞれ示されるオキサゾリドン化合物の製造方法。
[12]
さらに、式(XXIII)においてR13で示される基、式(XXVI-1)においてRで示される基または式(XXVI-2)においてRで示される基を脱離させて式(XXIX)

(式中、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得る工程を含む[9]項〜[11]項のいずれかに記載の製造方法。
[13]RまたはRが、ベンジル基である[1]項〜[12]項のいずれかに記載の製造方法。
[14]式(IV)で示されるヒドロキシカルボン酸化合物が、式(IVa)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なヒドロキシカルボン酸化合物である[1]項〜[13]項のいずれかに記載の製造方法。
[15]式(IV)で示されるヒドロキシカルボン酸化合物が、置換基を有していてもよい環状2級アミンの存在下で式(I)

(式中、Aは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるアルデヒド化合物と式(II)

(式中、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるアルデヒド化合物とを反応させて式(III)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるヒドロキシアルデヒド化合物を得、次いで、該ヒドロキシアルデヒド化合物を酸化して得られるヒドロキシカルボン酸化合物である[1]項〜[13]項のいずれかに記載の製造方法。
[16]環状2級アミンが、光学活性な環状2級アミンである[15]項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、含窒素環状β−アミノアルコール化合物の等価体であるオキサゾリジン化合物およびオキサゾリドン化合物を位置選択的に製造できるため、工業的に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
まず、本発明における置換基について説明する。
【0008】
は−ORまたは−NRで示される基を表わし、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わす。ここで、RおよびRで示される水酸基の保護基としては、例えば、ベンジル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、2−メチル−1−フェニルプロピル基、1−フェニルペンチル基、2−メチル−1−フェニルブチル基、3−メチル−1−フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基等のアルキル基(該アルキル基の1位はアリール基で置換されている。);メチル基、tert−ブチル基、1−エトキシエチル基、3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル基、1−メトキシ−1−メチルエチル基、メトキシメチル基、2−メトキシエトキシメチル基等のエーテル結合を有していてもよいアルキル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基等の三置換シリル基;アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、イソブタノイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、4−ニトロベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、4−メチルベンゾイル基、4−tert−ブチルベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−クロロベンゾイル基、4−ブロモベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、3−メトキシベンゾイル基、3−メチルベンゾイル基、3−tert−ブチルベンゾイル基、3−フルオロベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−ブロモベンゾイル基、2−ニトロベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−tert−ブチルベンゾイル基、2−フルオロベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−ブロモベンゾイル基、3,5−ジニトロベンゾイル基、3,5−ジメトキシベンゾイル基、3,5−ジメチルベンゾイル基、3,5−ジ−tert−ブチルベンゾイル基、3,5−ジフルオロベンゾイル基、3,5−ジクロロベンゾイル基、3,5−ジブロモベンゾイル基、2,4−ジニトロベンゾイル基、2,4−ジメトキシベンゾイル基、2,4−ジメチルベンゾイル基、2,4−ジ−tert−ブチルベンゾイル基、2,4−ジフルオロベンゾイル基、2,4−ジクロロベンゾイル基、2,4−ジブロモベンゾイル基、2,5−ジニトロベンゾイル基、2,5−ジメトキシベンゾイル基、2,5−ジメチルベンゾイル基、2,5−ジ−tert−ブチルベンゾイル基、2,5−ジフルオロベンゾイル基、2,5−ジクロロベンゾイル基、2,5−ジブロモベンゾイル基、4−フェニルベンゾイル基、2−フェニルベンゾイル基、4−メトキシカルボニルベンゾイル基、3−メトキシカルボニルベンゾイル基、2−メトキシカルボニルベンゾイル基等の置換されていてもよいアシル基;等が挙げられる。なかでもアルキル基(該アルキル基の1位はアリール基で置換されている。)が好ましく、ベンジル基がより好ましい。
【0009】
およびRで示されるアミノ基の保護基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ベンジル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、2−メチル−1−フェニルプロピル基、1−フェニルペンチル基、2−メチル−1−フェニルブチル基、3−メチル−1−フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基等のアルキル基(該アルキル基の1位はアリール基で置換されている。);tert−ブトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、トルイルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;等が挙げられる。アルキル基(該アルキル基の1位はアリール基で置換されている。)が好ましく、なかでもベンジル基が好ましい。また、RとRまたはRとRが結合し、それらが結合している窒素原子とともに形成するイミド環としては、例えば、フタルイミド環、マレイミド環、コハク酸イミド環等が挙げられる。
【0010】
で示される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状または分枝状のアルキル基が挙げられる。
【0011】
で示されるアミノ基の保護基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ベンジル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、2−メチル−1−フェニルプロピル基、1−フェニルペンチル基、2−メチル−1−フェニルブチル基、3−メチル−1−フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基等のアラルキル基;tert−ブトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、トルイルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;等が挙げられる。アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基が好ましく、tert−ブトキシカルボニル基がより好ましい。
【0012】
およびR10で示される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。また、それらが結合してなる炭素数4〜6のアルキレン基としては、例えば、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。RとR10は、ともにメチル基であることが好ましい。
【0013】
11およびR12で示される炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。また、それらが結合してなる炭素数2〜4のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。RとR10の両方がメチル基であることが好ましい。
【0014】
13で示されるアミノ基の保護基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基;ベンジル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、1−フェニルブチル基、2−メチル−1−フェニルプロピル基、1−フェニルペンチル基、2−メチル−1−フェニルブチル基、3−メチル−1−フェニルブチル基、ジフェニルメチル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基等の1位がアリール基で置換されたアルキル基;tert−ブトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、メトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基等のアラルキルオキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、トルイルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;等が挙げられる。アルキル基(該アルキル基の1位はアリール基で置換されている。)が好ましく、なかでもベンジル基が好ましい。
【0015】
で示されるアルカンスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等が挙げられる。パーフルオロアルカンスルホニル基としては、例えば、トリフルオロメタンスルホニル基、ペンタフルオロエタンスルホニル基等が挙げられる。置換されていてもよいベンゼンスルホニル基としては、例えば、トルエンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、ペンタフルオロベンゼンスルホニル基等が挙げられる。
【0016】
次に、上記式(IV)で示されるヒドロキシカルボン酸化合物(以下、ヒドロキシカルボン酸(IV)と略記する。)について説明する。
【0017】
ヒドロキシカルボン酸(IV)は、例えば、特開2004−107315号公報等に記載の公知の方法により製造して用いることができ、その製造方法は特に限定されないが、その好ましい製造方法としては、置換基を有していてもよい環状2級アミンの存在下で上記式(I)で示されるアルデヒド化合物(以下、アルデヒド(I)と略記する。)と上記式(II)で示されるアルデヒド化合物(以下、アルデヒド(II)と略記する。)とを反応させて上記式(III)で示されるヒドロキシアルデヒド化合物(以下、ヒドロキシアルデヒド(III)と略記する。)を得、次いで、該ヒドロキシアルデヒド化合物(III)を酸化する方法が挙げられる。
【0018】
アルデヒド(I)およびアルデヒド(II)は、市販のものを用いてもよいし、対応するヒドロキシアルデヒドまたはアミノアルデヒドの水酸基またはアミノ基をそれぞれ保護したものを用いてもよいし、対応するジオールの一方の水酸基を保護した後にもう一方の水酸基を酸化して得られたものを用いてもよいし、対応するアミノアルコールのアミノ基を保護した後に水酸基を酸化して得られたものを用いてもよい。
【0019】
環状2級アミンとは、1以上の>NH基(「>」は2本の結合手を表わす。)を有する3〜8員環化合物であれば特に限定されず、環構成原子として他に窒素原子、酸素原子または硫黄原子を有していてもよい。例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン,ピペラジン等が挙げられ、なかでも、ピロリジンまたはピペリジンが好ましい。これらの環状2級アミン上に置換していてもよい基としては、例えば、フェニル基;炭素数1〜6のアルキル基(該アルキル基は、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基、アセチルアミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基またはハロゲン原子で置換されていてもよい。);保護されていてもよい水酸基(保護基としては、上記RおよびRで示される水酸基の保護基と同じ基が挙げられる。);カルボキシ基;等が挙げられる。カルボキシ基が好ましく、かかるカルボキシ基が環状2級アミンの>NH基に隣接する炭素原子に結合していることがより好ましい。
【0020】
置換されていてもよい環状2級アミン(以下、単に環状2級アミンと略記する。)としては、式(XXX)

(式中、XおよびXはそれぞれ独立して水素原子または保護されていてもよい水酸基を表わす。)
で示される置換基を有する環状2級アミン(以下、環状2級アミン(XXX)と略記する。)がさらに好ましい。式(XXX)においてXおよびXで示される保護されていてもよい水酸基における保護基としては、上記のRおよびRで示される水酸基の保護基と同じ基が挙げられる。XとXは、ともに水素原子であることが特に好ましい。すなわち、最も好ましい環状2級アミンはプロリンである。
【0021】
ヒドロキシカルボン酸(IV)として、上記式(IVa)で示される光学活性なヒドロキシカルボン酸化合物(以下、光学活性ヒドロキシカルボン酸(IVa)と略記する。)を得ることを所望する場合には、環状2級アミンとして光学活性な環状2級アミンを用いればよい。本発明において光学活性な化合物とは、単独の鏡像異性体のみならず、いずれかの異性体が過剰でさえあれば鏡像異性体の混合物であってもよい。本発明において、光学活性な環状2級アミンとは、環状2級アミン上の置換基を有する炭素原子を光学活性点とする置換された環状2級アミンをいう。式(XXXa)

(式中、XおよびXはそれぞれ独立して水素原子または保護されていてもよい水酸基を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性な環状2級アミン(以下、光学活性環状2級アミン(XXXa)と略記する。)が好ましい。式(XXXa)においてXとXは、ともに水素原子であることが特に好ましい。すなわち、最も好ましい光学活性な環状2級アミンはL−プロリンまたはD−プロリンである。
【0022】
本反応は、アルデヒド(I)とアルデヒド(II)と環状2級アミンとを混合することにより実施され、その混合順序は、特に制限されない。例えば、アルデヒド(I)と環状2級アミンの混合物中にアルデヒド(II)を加えていく方法、化合物(II)と環状2級アミンの混合物中にアルデヒド(I)を加えていく方法、環状2級アミンにアルデヒド(I)とアルデヒド(II)とを同時に加えていく方法、アルデヒド(I)とアルデヒド(II)の混合物中に環状2級アミンを加えていく方法、またそれらを部分的に組み合わせた方法等により実施することができる。なかでも、反応の選択率の点において、アルデヒド(I)と環状2級アミンの混合物中にアルデヒド(II)を加えていく方法、または、化合物(II)と環状2級アミンの混合物中にアルデヒド(I)を加えていく方法が好ましい。
【0023】
アルデヒド(II)の使用量は特に限定されず、アルデヒド(I)に対してアルデヒド(II)を大過剰量用いてもよいし、その逆であってもよいが、経済的な観点から、アルデヒド(I)1モルに対して、通常0.1〜10モル、好ましくは0.3〜3モルである。
【0024】
環状2級アミンの使用量は、アルデヒド(I)とアルデヒド(II)のうち使用量の少ない方の化合物を基準として決めることができ、該化合物1モルに対して、通常0.1〜1モル、好ましくは0.15〜0.4モルである。使用量がこの範囲より少ないと、反応時間が長くなる傾向があり、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0025】
本反応は、通常、溶媒の存在下に実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族溶媒;テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジn−ヘキシルエーテル、ジn−ヘプチルエーテル、ジn−オクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、イソペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、イソヘキシルアルコール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、イソペプチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノtert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノtert−ブチルエーテル等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル等のエステル溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン等の非プロトン性極性溶媒;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。非プロトン性極性溶媒が好ましく、なかでもN,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドがより好ましい。
【0026】
溶媒として、アルデヒド(I)とアルデヒド(II)のうち使用量の少ない方の化合物を基準として決めることができ、該化合物1kgに対して、1〜100L、好ましくは、3〜30Lである。溶媒量がこの範囲よりも多いと、反応時間が長くなる傾向があり、経済的にも不利になりやすい。また、前述のとおり、アルデヒド(I)とアルデヒド(II)のうち、溶媒を兼ねて、いずれか一方を大過剰用いてもよい。
【0027】
反応温度は、通常−30〜80℃、好ましくは−10〜40℃である。さらに好ましくは、−5〜25℃である。反応時間は、反応温度や試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0028】
反応終了後の混合物中には、ヒドロキシアルデヒド(III)が含まれており、これをそのまま次の酸化反応に供してもよいが、通常、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後に次の酸化反応に供する。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付した後に次の酸化反応に供してもよいし、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付した後に次の酸化反応に供してもよい。
【0029】
環状2級アミンとして、光学活性な環状2級アミンを用いた場合には、通常、ヒドロキシアルデヒド(III)として、式(IIIa)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なヒドロキシアルデヒド(以下、光学活性ヒドロキシアルデヒド(IIIa)と略記する。)が得られる。
【0030】
ヒドロキシアルデヒド(III)の酸化反応は、通常、ヒドロキシアルデヒド(III)と酸化剤とを混合することにより実施される。かかる酸化剤としては、例えば、亜塩素酸ナトリウム、亜臭素酸ナトリウム、亜塩素酸カルシウム等の亜ハロゲン酸塩;次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等の次亜ハロゲン酸塩;クロム酸ナトリウム等のクロム酸塩;過マンガン酸ナトリウム等の過マンガン酸塩;等が挙げられる。なかでも、反応性および経済性の点から、亜ハロゲン酸塩が好ましく、亜塩素酸ナトリウムがより好ましい。これらの酸化剤は水溶液として用いてもよい。
【0031】
酸化剤の使用量は、ヒドロキシアルデヒド(III)1モルに対して、通常1〜8モル、好ましくは1.5〜4モルである。使用量がこの範囲より少ないと、反応時間が長くなる傾向があり、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0032】
酸化剤として亜ハロゲン酸塩を用いる場合は、水の存在下でpH調整剤を用いることが好ましい。かかるpH調整剤としては、例えば、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素一カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素一ナトリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素一アンモニウム等のリン酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩;等が挙げられる。反応性の点から、リン酸塩が好ましく、なかでもリン酸二水素一ナトリウムが好ましい。pH調整剤の使用量は、ヒドロキシアルデヒド(III)1モルに対して、通常0.5〜10モル、好ましくは1.5〜5モルである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が遅くなりやすく、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。pH調整剤をこの範囲で用いれば、通常、反応中の水層のpHは2〜9の範囲となり、酸や塩基を用いてpHを調整することなく反応を行うことができる。もちろん、塩酸、硫酸等の酸や水酸化ナトリウム水溶液等の塩基を用いて、水層のpHを適宜調整しながら反応を行ってもよい。
【0033】
酸化剤として亜ハロゲン酸塩を用いる場合は、さらにオレフィン化合物を用いることが好ましい。かかるオレフィン化合物としては、2−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−2−ペンテン、2,3−ジメチル−2−ブテン、2−メチル−2−ペンテン等が挙げられる。なかでも、反応性および経済性の点から2−メチル−2−ブテンが好ましい。オレフィン化合物の使用量は、ヒドロキシアルデヒド(III)1kgに対して、通常0.5〜20kg、好ましくは1〜10kgである。使用量がこの範囲より少ないと、反応が十分に進行しないおそれがあり、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0034】
本反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;tert−ブタノール等の3級アルコール溶媒;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。3級アルコール溶媒を用いることが好ましく、tert−ブタノールと水を同時に用いることが特に好ましい。溶媒の使用量は、ヒドロキシアルデヒド(III)1kgに対して、通常、4〜100L、好ましくは5〜80Lである。ヒドロキシアルデヒド(III)1kgに対して、tert−ブタノール3〜50Lと水1〜50Lを同時に用いることがより好ましく、tert−ブタノール5〜30Lと水1L〜30Lを同時に用いることがさらに好ましい。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0035】
本反応は、ヒドロキシアルデヒド(III)と酸化剤とを混合させることにより実施され、その混合順序は特に限定されない。酸化剤として亜ハロゲン酸塩を用いる場合に好ましい混合順序としては、ヒドロキシアルデヒド(III)と溶媒の混合物中にpH調整剤を加え、得られた混合物中にオレフィン化合物を加え、そこに亜ハロゲン酸塩を加えていく方法が好ましい。
【0036】
反応温度は、通常−30〜60℃、好ましくは−10〜20℃である。反応時間は、反応温度や試薬の使用量等にもよるが、通常1〜24時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0037】
反応終了後の混合物中には、ヒドロキシカルボン酸(IV)が含まれており、これをそのまま次のアジド化合物との反応に供してもよいが、通常、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後に次のアジド化合物との反応に供する。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付した後に次のアジド化合物との反応に供してもよいし、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付した後に、次のアジド化合物との反応に供してもよい。
【0038】
ヒドロキシカルボン酸(IV)としては、例えば、4−(ベンジルオキシ)−2−(2−(ベンジルオキシメチル)−3−ヒドロキシブタン酸、2−(ベンジルオキシメチル)−4−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン酸、2−(ベンジルオキシ)−2−((1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)メチル)−3−ヒドロキシブタン酸、4−(ベンジルオキシ)−2−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−3−ヒドロキシブタン酸、2−(2−ベンジルオキシ)エチル)−4−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン酸、4−(ベンジルオキシ)−2−(2−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)エチル)−3−ヒドロキシブタン酸、5−ベンジルオキシ−2−((R)−2−ベンジルオキシ)−1−ヒドロキシエチル)ヘキサン酸、2−((R)−2−(ベンジルオキシ)−1−(ヒドロキシエチル)−5−(1,3−ジオキ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ヘキサン酸、4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−(2−(ベンジルオキシ)メチル)−3−ヒドロキシブタン酸、4−(ベンジルオキシ)−2−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−3−ヒドロキシブタン酸、2−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−ヒドロキシブタン酸、4−(ベンジルオキシ)−2−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−3−ヒドロキシブタン酸等が挙げられる。
【0039】
ヒドロキシアルデヒド(III)として、光学活性ヒドロキシアルデヒド(IIIa)を用いた場合には、通常、ヒドロキシカルボン酸(IV)として、上記式(IVa)で示される光学活性なヒドロキシカルボン酸(以下、光学活性ヒドロキシカルボン酸(IVa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性ヒドロキシカルボン酸(IVa)としては、例えば、(2S,3R)−4−(ベンジルオキシ)−2−(2−(ベンジルオキシメチル)−3−ヒドロキシブタン酸、(2S,3R)−2−(ベンジルオキシメチル)−4−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン酸、(2S,3R)−2−(ベンジルオキシ)−2−((1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)メチル)−3−ヒドロキシブタン酸、(2S,3R)−2−(ベンジルオキシ)−2−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−3−ヒドロキシブタン酸、(2S,3R)−2−(2−ベンジルオキシ)エチル)−4−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン酸、(2S,3R)−4−(ベンジルオキシ)−2−(2−(1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル)エチル)−3−ヒドロキシブタン酸、(2S,5S)−5−ベンジルオキシ−2−((R)−2−ベンジルオキシ)−1−ヒドロキシエチル)ヘキサン酸、(2S,5R)−2−((R)−2−(ベンジルオキシ)−1−(ヒドロキシエチル)−5−(1,3−ジオキシ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)ヘキサン酸、(2S,3R)−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−(2−(ベンジルオキシ)メチル)−3−ヒドロキシブタン酸、(2S,3R)−4−(ベンジルオキシ)−2−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−3−ヒドロキシブタン酸、(2S,3R)−2−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−4−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−3−ヒドロキシブタン酸、(2S,3R)−4−(ベンジルオキシ)−2−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−3−ヒドロキシブタン酸等が挙げられる。
【0040】
次に、ヒドロキシカルボン酸(IV)とアジド化合物とを反応させて、上記式(V)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン化合物(V)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0041】
アジド化合物としては、例えば、アジ化水素;ナトリウムアジド等の金属アジド塩;ジフェニルホスホリルアジド、トリメチルシリルアジド等の有機アジド化合物;等が挙げられる。有機アジド化合物が安全性の観点から好ましく、特にジフェニルホスホリルアジドが好ましい。
【0042】
アジド化合物の使用量は、ヒドロキシカルボン酸(IV)1モルに対して、通常0.9〜5モル、好ましくは1〜2モルである。使用量が、この範囲より多いと、経済的に不利になりやすく、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0043】
本反応は、通常、塩基の存在下に実施される。かかる塩基としては、例えば、トリエチルアミン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基;等が挙げられる。有機塩基が好ましく、なかでもトリエチルアミンが好ましい。
【0044】
塩基の使用量は、ヒドロキシカルボン酸(IV)1モルに対して、通常0.9〜5モル、好ましくは1〜2モルである。使用量が、この範囲より多いと、経済的に不利になりやすく、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0045】
本反応は、通常、溶媒の存在下に実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、tert−ブタノール等のアルコール溶媒;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。芳香族炭化水素溶媒が好ましく、トルエンがより好ましい。溶媒の使用量は、ヒドロキシカルボン酸(IV)1kgに対して、通常3〜50L、好ましくは、5〜30Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0046】
本反応は、ヒドロキシカルボン酸(IV)とアジド化合物と必要により塩基と溶媒とを混合することにより実施され、その混合順序は特に限定されない。ヒドロキシカルボン酸(IV)と塩基とを混合し、該混合物中にアジド化合物を加えることが好ましい。
【0047】
反応温度は、通常−30〜150℃、好ましくは10〜100℃である。反応時間は、反応温度や試薬の使用量等にもよるが、通常1〜8時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0048】
反応終了後の混合物中には、オキサゾリドン化合物が含まれており、これをそのまま次の加水分解反応に供してもよいが、通常、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後に次の加水分解反応に供する。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付した後に次の加水分解反応に供してもよいし、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付した後に次の加水分解反応に供してもよい。オキサゾリドン化合物(V)を目的物として取り出す場合は、上記の通常の後処理や単離処理により取り出せばよい。得られたオキサゾリドン化合物(V)は、上記の通常の精製処理により精製されてもよい。
【0049】
かくして得られるオキサゾリドン化合物(V)としては、例えば、4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、2−((4−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン、2−((5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン、4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−5−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、2−((4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン、2−(2−(5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル)イソインドリン−1,3−ジオン、4−((S)−3−(ベンジルオキシ)ブチル)−5−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、2−((R)−4−(5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)ブタン−2−イル)イソインドリン−1,3−ジオン、ベンジル (4−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル (5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、ベンジル (4−(ベンジルオキシ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル (5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチルカーバメート等が挙げられる。
【0050】
ヒドロキシカルボン酸(IV)として、光学活性ヒドロキシカルボン酸(IVa)を用いた場合には、通常、オキサゾリドン化合物(V)として、上記式(Va)で示される光学活性なオキサゾリドン化合物(以下、光学活性オキサゾリドン化合物(Va)と略記する。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリドン化合物(Va)としては、例えば、(4S,5R)−4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、2−(((4S,5S)−4−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン、2−(((4S,5R)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン、(4S,5R)−4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−5−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、2−(((4S,5S)−4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン、2−(2−((4S,5R)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル)イソインドリン−1,3−ジオン、(4S,5R)−4−((S)−3−(ベンジルオキシ)ブチル)−5−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、2−((R)−4−((4S,5R)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)ブタン−2−イル)イソインドリン−1,3−ジオン、ベンジル ((4S,5S)−4−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4S,5R)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4S,5S)−4−(ベンジルオキシ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4S,5R)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチルカーバメート等が挙げられる。
【0051】
次に、オキサゾリドン化合物(V)の加水分解して、上記式(VI)で示されるアミノアルコール化合物(以下、アミノアルコール(VI)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0052】
本反応は、通常、水の存在下でオキサゾリドン化合物(V)に塩基または酸を接触させることにより実施され、その混合順序は特に限定されない。
【0053】
水の使用量は、オキサゾリドン化合物(V)1モルに対して、通常1モル以上であれば特に限定されず、溶媒を兼ねて大過剰量用いてもよい。操作性および容積効率の観点から、オキサゾリドン化合物(V)1kgに対して1〜150L用いることが好ましい。
【0054】
塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等の金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の金属炭酸塩;等が挙げられる。酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸;ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸;等が挙げられる。これらの塩基や酸は、市販のものを用いることができ、そのまま用いてもよいし、水溶液として用いてもよい。塩基を用いることが好ましく、なかでも金属水酸化物がより好ましく、水酸化リチウムがさらに好ましい。
【0055】
塩基または酸の使用量は、オキサゾリドン化合物(V)1モルに対して、通常0.9〜50モル、好ましくは1〜40モルである。使用量が、この範囲より多いと、経済的に不利になりやすく、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0056】
本反応は、水以外の溶媒の存在下で実施されてもよい。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等のアルコール溶媒;テトラヒドロフラン、tert−ブチルメチルエーテル等のエーテル溶媒;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。溶媒の使用量は、オキサゾリドン化合物(V)1kgに対して、通常1〜150L、好ましくは2〜100Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0057】
反応温度は、通常−30〜120℃、好ましくは10〜100℃である。反応時間は、反応温度や試薬の使用量等にもよるが、通常1〜12時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0058】
反応終了後の混合物中には、アミノアルコール(VI)が含まれており、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付すことにより、アミノアルコール(VI)を取り出すことができる。得られたアミノアルコール(VI)は、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理により精製されてもよい。
【0059】
かくして得られるアミノアルコール(VI)としては、例えば、3−アミノ−1,4−ビス(ベンジルオキシ)ブタン−2−オール、2−(3−アミノ−4−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシブチル)イソインドリン−1,3−ジオン、2−(2−アミノ−4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブチル)イソインドリン−1,3−ジオン、3−アミノ−1,5−ビス(ベンジルオキシ)ペンタン−2−オール、2−(3−アミノ−5−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンチル)イソインドリン−1,3−ジオン、2−(3−アミノ−5−(ベンジルオキシ)−4−ヒドロキシペンチル)イソインドリン−1,3−ジオン、(6S)−3−アミノ−1,6−ビス(ベンジルオキシ)ヘプタン−2−オール、2−(6R)−5−アミノ−7−(ベンジルオキシ)−6−ヒドロキシヘプタン−2−イル)イソインドリン−1,3−ジオン、ベンジル 3−アミノ−4−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシブチルカーバメート、ベンジル 2−アミノ−4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブチルカーバメート、ベンジル 3−アミノ−5−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンチルカーバメート、ベンジル 3−アミノ−5−(ベンジルオキシ)−4−ヒドロキシペンチルカーバメート等が挙げられる。
【0060】
オキサゾリドン化合物(V)として、光学活性オキサゾリドン化合物(Va)を用いた場合には、通常、アミノアルコール(VI)として、式(VIa)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なアミノアルコール化合物(以下、光学活性アミノアルコール(VIa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性アミノアルコール(VIa)としては、例えば、(2R,3S)−3−アミノ−1,4−ビス(ベンジルオキシ)ブタン−2−オール、2−((2S,3S)−3−アミノ−4−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシブチル)イソインドリン−1,3−ジオン、2−((2S,3R)−2−アミノ−4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブチル)イソインドリン−1,3−ジオン、(2S,3R)−3−アミノ−1,5−ビス(ベンジルオキシ)ペンタン−2−オール、2−((2S,3S)−3−アミノ−5−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンチル)イソインドリン−1,3−ジオン、2−((3S,4R)−3−アミノ−5−(ベンジルオキシ)−4−ヒドロキシペンチル)イソインドリン−1,3−ジオン、(2R,3S,6S)−3−アミノ−1,6−ビス(ベンジルオキシ)ヘプタン−2−オール、2−((2R,5S,6R)−5−アミノ−7−(ベンジルオキシ)−6−ヒドロキシヘプタン−2−イル)イソインドリン−1,3−ジオン、ベンジル (2S,3S)−3−アミノ−4−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシブチルカーバメート、ベンジル (2S,3R)−2−アミノ−4−(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブチルカーバメート、ベンジル (2S,3S)−3−アミノ−5−(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンチルカーバメート、ベンジル (3S,4R)−3−アミノ−5−(ベンジルオキシ)−4−ヒドロキシペンチルカーバメート等が挙げられる。
【0061】
次に、アミノアルコール(VI)のアミノ基を保護して、上記式(VII)で示されるN−保護アミノアルコール化合物(以下、N−保護アミノアルコール(VII)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0062】
本反応は、アミノアルコール(VI)とアミノ基保護化剤とを混合することにより実施され、その混合順序は特に制限されない。また、本反応は通常、溶媒および塩基の存在下で実施され、アミノアルコール(VI)と溶媒との混合物に塩基を加えて混合し、そこにアミノ基保護化剤を加えて混合することが好ましい。
【0063】
アミノ基保護化剤としては、例えば、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、1−フェニルエチルクロリド、1−フェニルエチルブロミド、1−フェニルプロピルブロミド、ジフェニルメチルクロリド、ジフェニルメチルブロミド、ナフチルメチルクロリド、ナフチルメチルブロミド、1−ナフチルエチルクロリド、1−ナフチルエチルブロミド等のハロゲン原子とアリール基が炭素数1〜3のアルカンの同一炭素原子上に結合したアラルキルハライド;クロロ蟻酸tert−ブチル、クロロ蟻酸エチル、クロロ蟻酸メチル、クロロ蟻酸ベンジル等の炭素数2〜5のハロ蟻酸エステル;ジ炭酸ジtert−ブチル、ジ炭酸ジエチル、ジ炭酸ジメチル等の炭素数4〜10のジ炭酸ジエステル;アセチルクロリド、アセチルブロミド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、ベンゾイルクロリド、ベンゾイルブロミド、4−クロロベンゾイルクロリド、4−メチルベンゾイルクロリド等の炭素数1〜8のハロゲン化アルキル、置換基を有していてもよい炭素数2〜8のカルボン酸ハライド;等が挙げられる。ハロ蟻酸エステルまたはジ炭酸ジエステルが好ましく、ジ炭酸ジtert−ブチルがより好ましい。
【0064】
アミノ基保護化剤の使用量は、アミノアルコール(VI)1モルに対して、通常0.9〜10モル、好ましくは1〜6モルである。使用量が、この範囲より多いと、経済的に不利になりやすく、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0065】
溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族溶媒;テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジn−ヘキシルエーテル、ジn−ヘプチルエーテル、ジn−オクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル等のエステル溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン等の非プロトン性極性溶媒;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。エーテル溶媒、エステル溶媒、芳香族溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒および水が好ましい。
【0066】
溶媒の使用量は、アミノアルコール(VI)1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは、2〜50Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0067】
塩基としては、例えば、エチルジイソプロピルアミン、ジエチルアニリン、トリエチルアミン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基;等が挙げられ、有機塩基が好ましい。
【0068】
塩基の使用量は、アミノアルコール(VI)1モルに対して、通常0.9〜10モル、好ましくは1〜6モルである。使用量がこの範囲より多いと、経済的に不利になりやすく、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0069】
反応温度は、通常−30〜100℃、好ましくは−10〜70℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜24時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0070】
反応終了後の混合物中には、N−保護アミノアルコール(VII)が含まれており、これをそのまま次のオキサゾリジン化反応に供してもよいが、通常、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後に次のオキサゾリジン化反応に供する。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付した後に次のオキサゾリジン化反応に供してもよいし、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付した後に次のオキサゾリジン化反応に供してもよい。
【0071】
かくして得られるN−保護アミノアルコール(VII)としては、例えば、tert−ブチル 1,4−ビス(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、ベンジル 1,4−ビス(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、N−(−1,4−ビス(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブタン−2−イル)アセトアミド、tert−ブチル 4−(ベンジルオキシ)−1−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、ベンジル 4−(ベンジルオキシ)−1−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、N−(4−(ベンジルオキシ)−1−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒロドキシブタン−2−イル)アセトアミド、tert−ブチル 1−(ベンジルオキシ)−4−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、ベンジル 1−(ベンジルオキシ)−4−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、N−1−(ベンジルオキシ)−4−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒロドキシブタン−2−イル)アセトアミド、tert−ブチル 1,5−ビス(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、ベンジル 1,5−ビス(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、N−(1,5−ビス(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンタン−3−イル)アセトアミド、tert−ブチル (1−(ベンジルオキシ)−5−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、ベンジル 1−(ベンジルオキシ)−5−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、N−1−(ベンジルオキシ)−5−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒロドキシペンタン−3−イル)アセトアミド、tert−ブチル 5−(ベンジルオキシ)−5−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、ベンジル 5−(ベンジルオキシ)−1−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、N−5−(ベンジルオキシ)−1−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒロドキシペンタン−3−イル)アセトアミド等が挙げられる。
【0072】
アミノアルコール(VI)として、光学活性アミノアルコール(VIa)を用いた場合には、通常、N−保護アミノアルコール(VII)として、式(VIIa)

(式中、A、A、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なN−保護アミノアルコール化合物(以下、光学活性N−保護アミノアルコール(VIIa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性N−保護アミノアルコール(VIIa)としては、例えば、tert−ブチル (2R,3S)−1,4−ビス(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、ベンジル (2R,3S)−1,4−ビス(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、N−((2R,3S)−1,4−ビス(ベンジルオキシ)−3−ヒドロキシブタン−2−イル)アセトアミド、tert−ブチル (2R,3S)−4−(ベンジルオキシ)−1−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、ベンジル (2R,3S)−4−(ベンジルオキシ)−1−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、N−((2R,3S)−4−(ベンジルオキシ)−1−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒロドキシブタン−2−イル)アセトアミド、tert−ブチル (2R,3R)−1−(ベンジルオキシ)−4−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、ベンジル (2R,3R)−1−(ベンジルオキシ)−4−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒドロキシブタン−2−イルカーバメート、N−(2R,3R)−1−(ベンジルオキシ)−4−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−3−ヒロドキシブタン−2−イル)アセトアミド、tert−ブチル (2S,3R)−1,5−ビス(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、ベンジル (2S,3R)−1,5−ビス(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、N−((2S,3R)−1,5−ビス(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンタン−3−イル)アセトアミド、tert−ブチル (2S,3R)−1−(ベンジルオキシ)−5−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、ベンジル (2S,3R)−1−(ベンジルオキシ)−5−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、N−(2S,3R)−1−(ベンジルオキシ)−5−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒロドキシペンタン−3−イル)アセトアミド、tert−ブチル (2R,3R)−5−(ベンジルオキシ)−5−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、ベンジル (2R,3R)−5−(ベンジルオキシ)−1−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート、N−(2R,3R)−5−(ベンジルオキシ)−1−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)−2−ヒロドキシペンタン−3−イル)アセトアミド等が挙げられる。
【0073】
次に、酸の存在下にN−保護アミノアルコール(VII)と、上記式(VIII)で示されるケトン化合物(以下、ケトン(VIII)と略記する。)または上記式(IX)で示されるアセタール化合物(以下、アセタール(IX)と略記する。)とを反応させて、上記式(X)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(X)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0074】
本反応は、酸の存在下で、N−保護アミノアルコール(VII)と、ケトン(VIII)またはアセタール(IX)とを混合することにより実施され、それらの混合順序は特に制限されない。また、本反応は通常、溶媒の存在下で実施され、溶媒とN−保護アミノアルコール(VII)との混合物中に酸を加えて混合し、そこに、ケトン(VIII)またはアセタール(IX)を加えて混合することが好ましい。
【0075】
本反応に用いる酸としては、例えば、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機酸や、塩酸、硫酸等の無機酸が挙げられる。有機酸が好ましく、なかでもスルホン酸がより好ましい。
【0076】
酸の使用量は、N−保護アミノアルコール(VII)1モルに対して、通常0.01〜5モル、好ましくは0.1〜1モルである。使用量がこの範囲より多いと、経済的に不利になりやすく、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0077】
ケトン(VIII)としては、例えば、アセトン、3−ペンタノン、4−ヘプタノン、2−ブタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。アセタール(IX)としては、例えば、2,2−ジメトキシプロパン、2,2−ジメトキシブタン、2,2−ジエトキシプロパン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン等が挙げられる。2,2−ジメトキシプロパンが好ましい。
【0078】
ケトン(VIII)またはアセタール(IX)の使用量は、N−保護アミノアルコール(VII)1モルに対して、通常1〜25モル、好ましくは1〜10モルである。使用量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと経済的に不利になりやすい。
【0079】
溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族溶媒;テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジn−ヘキシルエーテル、ジn−ヘプチルエーテル、ジn−オクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル等のエステル溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン等の非プロトン性極性溶媒;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。エーテル溶媒、芳香族溶媒および水が好ましい。
【0080】
溶媒の使用量は、N−保護アミノアルコール(VII)1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは2〜50Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0081】
反応温度は、通常−30〜100℃、好ましくは−10〜80℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜24時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0082】
反応終了後の混合物中には、オキサゾリジン(X)が含まれており、これをそのまま次の反応に供してもよいが、通常、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後に次の反応に供する。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付した後に次の反応に供してもよいし、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付した後に次の反応に供してもよい。オキサゾリジン(X)を目的物として取り出す場合は、上記の通常の後処理や単離処理により取り出せばよい。得られたオキサゾリジン(X)は、上記の通常の精製処理により精製されてもよい。
【0083】
かくして得られるオキサゾリジン(X)としては、例えば、tert−ブチル 4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、1−(4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−イル)エタノン、tert−ブチル 4−(ベンジルオキシメチル)−5−((1,3−ジオキソインドリン−2−イル)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 4−(ベンジルオキシメチル)−5−((1,3−ジオキソインドリン−2−イル)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、2−((3−アセチル−4−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−5−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン、tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、1−(4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−イル)エタノン、tert−ブチル 5−(ベンジルオキシメチル)−4−(2−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)エチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 5−(ベンジルオキシメチル)−4−(2−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)エチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、2−(2−(3−アセチル−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−4−イル)エチル)イソインドリン−1,3−ジオン、tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシエチル)−5−((1,3−ジオキソインドリン−2−イル)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 4−(2−(ベンジルオキシエチル)−5−((1,3−ジオキソインドリン−2−イル)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、2−(2−(3−アセチル−4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−5−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン等が挙げられる。
【0084】
N−保護アミノアルコール(VII)として、光学活性N−保護アミノアルコール(VIIa)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(X)として、式(Xa)

(式中、A、A、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリジン化合物(以下、光学活性オキサゾリジン(Xa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリジン(Xa)としては、例えば、(4R,5S)−tert−ブチル 4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−ベンジル 4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、1−((4R,5S)−4,5−ビス(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−イル)エタノン、(4R,5R)−tert−ブチル 4−(ベンジルオキシメチル)−5−((1,3−ジオキソインドリン−2−イル)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−ベンジル 4−(ベンジルオキシメチル)−5−((1,3−ジオキソインドリン−2−イル)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、2−(((4R,5R)−3−アセチル−4−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−5−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−ベンジル 4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、1−((4R,5S)−4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−イル)エタノン、(4R,5S)−tert−ブチル 5−(ベンジルオキシメチル)−4−(2−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)エチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−ベンジル 5−(ベンジルオキシメチル)−4−(2−(1,3−ジオキソインドリン−2−イル)エチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、2−(2−((4R,5R)−3−アセチル−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−4−イル)エチル)イソインドリン−1,3−ジオン、(4R,5R)−tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシエチル)−5−((1,3−ジオキソインドリン−2−イル)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−ベンジル 4−(2−(ベンジルオキシエチル)−5−((1,3−ジオキソインドリン−2−イル)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、2−(2−((4R,5R)−3−アセチル−4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−5−イル)メチル)イソインドリン−1,3−ジオン等が挙げられる。
【0085】
次に、AとAが、それぞれ−ORと−ORで示される基である場合に、オキサゾリジン(X)から水酸基の保護基を脱離させて、上記式(XI)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XI)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0086】
本反応において、RとRを脱離させる順序は、特に制限がなく、先にRを脱離させ、次いで、得られた化合物からRを脱離させる等、段階的にそれらを脱離させてもよいし、1段階でそれらを脱離させてもよく、RとRの種類により適宜選択すればよいが、それらが同じ基である場合は、通常、1段階でそれらを脱離させる。RとRの除去は、当業者に公知の方法に従って、それらの種類毎に適した条件で処理することにより行えばよい。以下、それらの種類毎に適した条件を説明する。
【0087】
またはRがアルキル基(該アルキル基の1位はアリール基で置換されている。)の場合、それらを脱離させる方法としては、例えば、オキサゾリジン(X)を接触水素還元する方法や、オキサゾリジン(X)と酸とを反応させる方法が挙げられる。RまたはRがエーテル結合を有していてもよいアルキル基の場合、それらを脱離させる方法としては、例えば、オキサゾリジン(X)と酸とを反応させる方法が挙げられる。RまたはRが三置換シリル基の場合、それらを脱離させる方法としては、例えば、オキサゾリジン(X)と酸とを反応させる方法や、オキサゾリジン(X)とイオン性フッ素化合物とを反応させる方法が挙げられる。RまたはRがアシル基の場合、それらを脱離させる方法としては、例えば、オキサゾリジン(X)と酸とを反応させる方法や、オキサゾリジン(X)と塩基とを反応させる方法が挙げられる。
【0088】
接触水素還元は、通常、貴金属触媒存在下で、オキサゾリジン(X)と水素とを接触させることにより実施される。貴金属触媒としては、例えば、パラジウム炭素や水酸化パラジウム等が挙げられる。貴金属触媒の使用量は、オキサゾリジン(X)1kgに対して、貴金属の量として、通常0.1〜500g、好ましくは1〜100gである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が遅くなりやすく、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0089】
水素としては、通常、水素ガスを用いる。水素圧は、通常0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜1MPaである。水素圧がこの範囲より低いと、反応が十分に進行しないおそれがあり、この範囲より高いと、特殊な設備が必要となる。
【0090】
接触水素還元は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、ジグリム等のエーテル溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;酢酸、プロピオン酸等の有機酸;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。溶媒の使用量は、オキサゾリジン(X)1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは1.2〜40Lである。使用量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0091】
接触水素還元の反応温度は、通常0〜120℃、好ましくは10〜60℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0092】
また、オキサゾリジン(X)と酸との反応に用いる酸としては、例えば、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン等のルイス酸;塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のプロトン酸;アンバーライト(登録商標)、アンバーリスト(登録商標)、ダウエックス(登録商標)等の酸性イオン交換樹脂;等が挙げられる。
【0093】
ルイス酸を使用する場合、その使用量は、オキサゾリジン(X)の保護された水酸基1モルに対して、通常0.8〜5モル、好ましくは1〜3モルである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が遅くなる傾向があり、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0094】
プロトン酸を使用する場合、その使用量は、オキサゾリジン(X)の保護された水酸基1モルに対して、通常0.01〜5モル、好ましくは0.05〜1モルである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が遅くなりやすく、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0095】
酸性イオン交換樹脂を使用する場合、その使用量は、オキサゾリジン(X)1kgに対して、通常50〜500g、好ましくは100〜300gである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が遅くなる傾向があり、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0096】
オキサゾリジン(X)と酸との反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン等の水溶性溶媒や水等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。溶媒の使用量は、オキサゾリジン(X)1kgに対して、通常0.5〜100L、好ましくは1〜40Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0097】
オキサゾリジン(X)と酸との反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは30〜90℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0098】
また、オキサゾリジン(X)とイオン性フッ素化合物との反応に用いるイオン性フッ素化合物としては、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリドやフッ化水素等が挙げられる。その使用量は、オキサゾリジン(X)の保護された水酸基1モルに対して、通常0.8〜3モル、好ましくは1〜2モルである。使用量がこの範囲より少ないと、反応が十分に進行しないおそれがあり、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0099】
オキサゾリジン(X)とイオン性フッ素化合物との反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグリム等のエーテル溶媒が挙げられる。溶媒の使用量は、オキサゾリジン(X)1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは5〜30Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0100】
オキサゾリジン(X)とイオン性フッ素化合物との反応温度は、通常−30〜80℃、好ましくは−10〜50℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常0.5〜24時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0101】
また、オキサゾリジン(X)と塩基との反応に用いる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸塩;炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;等の無機塩基が挙げられる。その使用量は、オキサゾリジン(X)の保護された水酸基1モルに対して、通常0.8〜5モル、好ましくは1〜3モルである。使用量がこの範囲より少ないと、反応時間が長くなる傾向があり、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0102】
オキサゾリジン(X)と塩基との反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン等の水溶性溶媒や水等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。溶媒の使用量は、オキサゾリジン(X)1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは3〜40Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0103】
オキサゾリジン(X)と塩基との反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは30〜90℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0104】
上記の各方法により得られる各反応混合物中には、オキサゾリジン(XI)が含まれており、これをそのまま次の反応に供してもよいが、通常、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後に次の反応に供する。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付した後に次の反応に供してもよいし、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付した後に次の反応に供してもよい。
【0105】
かくして得られるオキサゾリジン(XI)としては、例えば、tert−ブチル 4,5−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 4,5−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、1−(4,5−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−イル)エタノン、tert−ブチル 4−(2−ヒドロキシエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 4−(2−ヒドロキシエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、1−(4−(2−ヒドロキシエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−イル)エタノン等が挙げられる。
【0106】
オキサゾリジン(X)として、光学活性オキサゾリジン(Xa)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XI)として、式(XIa)

(式中、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリジン(以下、光学活性オキサゾリジン(XIa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリジン(XIa)としては、例えば、(4R,5S)−tert−ブチル 4,5−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−ベンジル 4,5−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、1−((4R,5S)−4,5−ビス(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−イル)エタノン、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−ヒドロキシエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−ベンジル 4−(2−ヒドロキシエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、1−((4R,5S)−4−(2−ヒドロキシエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−イル)エタノン等が挙げられる。
【0107】
次に、オキサゾリジン(XI)の水酸基をスルホニル化して、上記式(XII)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XII)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0108】
該スルホニル化は、塩基の存在下でオキサゾリジン(XI)とスルホニル化剤とを混合することにより実施され、それらの混合順序は特に限定されないが、必要により溶媒の存在下で、オキサゾリジン(XI)とスルホニル化剤とを混合し、そこに塩基を加える方法が好ましい。
【0109】
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基;が挙げられ、有機塩基が好ましい。塩基の使用量は、オキサゾリジン(XI)の水酸基1モルに対して、通常0.9〜15モル、好ましくは1〜10モルである。使用量がこの範囲より多いと経済的に不利になりやすく、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0110】
スルホニル化剤としては、例えば、メタンスルホニルクロリド、エタンスルホニルクロリド等のアルカンスルホニルクロリド;トリフルオロメタンスルホニルクロリド等のパーフルオロアルカンスルホニルクロリド;トルエンスルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド等の置換基を有してもよいベンゼンスルホニルクロリド;無水メタンスルホン酸、無水エタンスルホン酸等の無水アルカンスルホン酸;無水トリフルオロメタンスルホン酸等の無水パーフルオロアルカンスルホン酸;無水ベンゼンスルホン酸、無水トルエンスルホン酸等の置換基を有してもよい無水ベンゼンスルホン酸;等が挙げられる。アルカンスルホニルクロリドが好ましく、メタンスルホン酸がより好ましい。
【0111】
スルホニル化剤の使用量は、オキサゾリジン(XI)の水酸基1モルに対して、通常0.9〜15モル、好ましくは1〜10モルである。使用量がこの範囲より多いと経済的に不利になりやすく、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0112】
反応温度は、通常−30〜60℃、好ましくは−10〜20℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜24時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0113】
本反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族溶媒;テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジn−ヘキシルエーテル、ジn−ヘプチルエーテル、ジn−オクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル等のエステル溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン等の非プロトン性極性溶媒;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。エーテル溶媒、エステル溶媒、芳香族溶媒およびハロゲン化炭化水素溶媒が好ましい。
【0114】
溶媒の使用量は、オキサゾリジン(XI)1kgに対して、通常3〜80L、好ましくは、5〜50Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0115】
反応終了後の混合物中には、オキサゾリジン(XII)が含まれており、これをそのまま次の反応に供してもよいが、通常、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後に次の反応に供する。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付した後に次の反応に供してもよいし、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付した後に次の反応に供してもよい。
【0116】
かくして得られるオキサゾリジン(XII)としては、例えば、tert−ブチル 2,2−ジメチル−4,5−ビス((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 2,2−ジメチル−4,5−ビス((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(3−アセチル−2,2−ジメチルオキサゾリン−4,5−ジイル)ビス(メチレン)ジメタンスルホネート、tert−ブチル 2,2−ジメチル−4,5−ビス((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 2,2−ジメチル−4,5−ビス((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(3−アセチル−2,2−ジメチルオキサゾリン−4,5−ジイル)ビス(メチレン)ジトルエンスルホネート、tert−ブチル 2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(3−アセチル−2,2−ジメチルオキサゾリン−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−5−イル)メチルメタンスルホネート、tert−ブチル 2,2−ジメチル−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、ベンジル 2,2−ジメチル−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(3−アセチル−2,2−ジメチルオキサゾリン−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−5−イル)メチルトルエンスルホネート等が挙げられる。
【0117】
オキサゾリジン(XI)として、光学活性オキサゾリジン(XI)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XII)として、式(XIIa)

(式中、R、R〜R10、nおよびSはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリジン化合物(以下、光学活性オキサゾリジン(XIIa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリジン(XIIa)としては、例えば、(4R,5S)−tert−ブチル 2,2−ジメチル−4,5−ビス((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−ベンジル 2,2−ジメチル−4,5−ビス((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、((4R,5S)−3−アセチル−2,2−ジメチルオキサゾリン−4,5−ジイル)ビス(メチレン)ジメタンスルホネート、(4R,5S)−tert−ブチル 2,2−ジメチル−4,5−ビス((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−ベンジル 2,2−ジメチル−4,5−ビス((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、((4R,5S)−3−アセチル−2,2−ジメチルオキサゾリン−4,5−ジイル)ビス(メチレン)ジトルエンスルホネート、(4R,5S)−tert−ブチル 2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−ベンジル 2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、((4R,5S)−3−アセチル−2,2−ジメチルオキサゾリン−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−5−イル)メチルメタンスルホネート、(4R,5S)−tert−ブチル 2,2−ジメチル−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−ベンジル 2,2−ジメチル−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、((4R,5S)−3−アセチル−2,2−ジメチルオキサゾリン−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−5−イル)メチルトルエンスルホネート等が挙げられる。
【0118】
次に、オキサゾリジン(XII)と、上記式(XIII)で示される1級アミン化合物(以下、1級アミン(XIII)と略記する。)とを反応させて、上記式(XIV)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XIV)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0119】
1級アミン(XIII)としては、例えば、ベンジルアミン、1−フェニルエチルアミン、1−フェニルプロピルアミン、1−フェニルブチルアミン、2−メチル−1−フェニルプロピルアミン、1−フェニルペンチルアミン、2−メチル−1−フェニルブチルアミン、3−メチル−1−フェニルブチルアミン、ジフェニルメチルアミン、1,1−ジフェニルエチルアミン、トリフェニルメチルアミン、ナフチルメチルアミン、1−ナフチルエチルアミン等のアラルキルアミン化合物;tert−ブチルカーバメート、エチルtert−ブチルカーバメート、メチルtert−ブチルカーバメート、ベンジルtert−ブチルカーバメート等のカーバメート化合物;等が挙げられる。アラルキルアミン化合物が好ましく、なかでもベンジルアミンがより好ましい。
【0120】
1級アミン(XIII)の使用量は、オキサゾリジン(XII)1モルに対して通常0.9〜30モル、好ましくは1〜15モルである。使用量がこの範囲より多いと経済的に不利になりやすく、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0121】
オキサゾリジン(XII)と1級アミン(XIII)との反応は、溶媒の存在下で実施されてもよい。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族溶媒;テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジn−ヘキシルエーテル、ジn−ヘプチルエーテル、ジn−オクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル等のエステル溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン等の非プロトン性極性溶媒;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。エーテル溶媒、芳香族溶媒およびハロゲン化炭化水素溶媒が好ましい。
【0122】
溶媒の使用量は、オキサゾリジン(XII)1kgに対して、通常3〜50L、好ましくは5〜30Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0123】
本反応は、オキサゾリジン(XII)と1級アミン(XIII)とを混合することにより実施され、それらの混合順序は、特に制限されない。溶媒とオキサゾリジン(XII)との混合物中に1級アミン(XIII)を加えて混合することが好ましい。
【0124】
反応温度は、通常−10〜150℃、好ましくは10〜100℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜24時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0125】
反応終了後の混合物中には、オキサゾリジン(XIV)が含まれており、これをそのまま次の反応に供してもよいが、通常、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後に次の反応に供する。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付した後に次の反応に供してもよいし、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付した後に次の反応に供してもよい。オキサゾリジン(XIV)を目的物として取り出す場合は、上記の通常の後処理や単離処理により取り出せばよい。得られたオキサゾリジン(XIV)は、上記の通常の精製処理により精製されてもよい。
【0126】
かくして得られるオキサゾリジン(XIV)としては、例えば、tert−ブチル 5−ベンジル−2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH)−カルボキシレート、ベンジル 5−ベンジル−2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH)−カルボキシレート、1−(5−ベンジルー2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH,4H,5H,6H,6aH)−イル)エタノン、tert−ブチル 5−(4−メトキシベンジル)−2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH)−カルボキシレート、5−ベンジル 3−tert−ブチル 2,2−ジメチルジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3,5(6H,6aH)−カルボキシレート、tert−ブチル 5−ベンジル−2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート、ベンジル 5−ベンジル−2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート、(1−(5−ベンジル−2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−イル)エタノン、tert−ブチル 5−(4−メトキシベンジル)−2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート、5−ベンジル 1−tert−ブチル 2,2−ジメチルテトラヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1,5(2H,6H)−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0127】
オキサゾリジン(XII)として、光学活性オキサゾリジン(XIIa)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XIV)として、式(XIVa)

(式中、R、R〜R10、R13およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリジン化合物(以下、光学活性オキサゾリジン(XIVa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリジン(XIVa)としては、例えば、(3aR,6aR)−tert−ブチル 5−ベンジル−2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH)−カルボキシレート、(3aR,6aR)−ベンジル 5−ベンジル−2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH)−カルボキシレート、1−((3aR,6aR)−5−ベンジルー2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH,4H,5H,6H,6aH)−イル)エタノン、(3aR,6aR)−tert−ブチル 5−(4−メトキシベンジル)−2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH)−カルボキシレート、(3aR,6aR)−5−ベンジル 3−tert−ブチル 2,2−ジメチルジヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3,5(6H,6aH)−カルボキシレート、(3aR,7aR)−tert−ブチル 5−ベンジル−2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート、(3aR,7aR)−ベンジル 5−ベンジル−2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート、(1−((3aR,7aR)−5−ベンジル−2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−イル)エタノン、(3aR,7aR)−tert−ブチル 5−(4−メトキシベンジル)−2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート、(3aR,7aR)−5−ベンジル 1−tert−ブチル 2,2−ジメチルテトラヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1,5(2H,6H)−ジカルボキシレート等が挙げられる。
【0128】
次に、Aが−NR(Rはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子である。)で示される基であるか、またはAが−NR(Rはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子である。)で示される基であるか、いずれかの場合に、オキサゾリジン(X)から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれ上記式(XV-1)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XV-1)と略記する。)または上記式(XV-2)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XV-2)と略記する。)を得る方法について、説明する。以下、オキサゾリジン(XV-1)とオキサゾリジン(XV-2)を総称して、オキサゾリジン(XV)と記載することもある。
【0129】
かかる方法は、AとAが、それぞれ−ORと−ORで示される基である場合に、オキサゾリジン(X)から水酸基の保護基を脱離させる方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0130】
本反応により得られるオキサゾリジン(XV)としては、例えば、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−4−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−4−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、 tert−ブチル 4−(アセトアミドメチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−4−(2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−4−(2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(2−アセトアミドエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート等が挙げられる。
【0131】
オキサゾリジン(X)として、光学活性オキサゾリジン(Xa)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XV)として、式(XV-1a)または式(XV-2a)

(式中、R、R、R、R〜Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリジン化合物(以下、それぞれ光学活性オキサゾリジン(XV-1a)、光学活性オキサゾリジン(XV-2a)と略記する。また、それらを総称して、光学活性オキサゾリジン(XVa)と記載することもある。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリジン(XVa)としては、例えば、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−4−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−4−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、 (4R,5R)−tert−ブチル 4−(アセトアミドメチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−4−(2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−4−(2−ヒドロキシエチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−アセトアミドエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート等が挙げられる。
【0132】
次に、オキサゾリジン(XV-1)またはオキサゾリジン(XV-2)の水酸基をスルホニル化して、それぞれ上記式(XVI-1)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XVI-1)と略記する。)または上記式(XVI-2)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XVI-2)と略記する。)を得る方法について説明する。以下、オキサゾリジン(XVI-1)とオキサゾリジン(XVI-2)を総称して、オキサゾリジン(XVI)と記載することもある。
【0133】
かかる方法は、オキサゾリジン(XI)の水酸基をスルホニル化してオキサゾリジン(XII)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0134】
本反応により得られるオキサゾリジン(XVI)としては、例えば、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−4−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−4−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−2,2−ジメチル−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(2−アセトアミドエチル)−2,2−ジメチル−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−2,2−ジメチル−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(2−アセトアミドエチル)−2,2−ジメチル−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート等が挙げられる。
【0135】
オキサゾリジン(XV)として、光学活性オキサゾリジン(XV-1a)または光学活性オキサゾリジン(XV-1a)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XVI)として、それぞれ式(XVI-1a)または式(XVI-2a)

(式中、R、R、R、R〜R10、nおよびSはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリジン化合物(以下、それぞれ光学活性オキサゾリジン(XVI-1a)、光学活性オキサゾリジン(XVI-2a)と略記する。また、それらを総称して、光学活性オキサゾリジン(XVIa)と記載することもある。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリジン(XVIa)としては、例えば、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−4−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−4−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−2,2−ジメチル−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−アセトアミドエチル)−2,2−ジメチル−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−(アセトアミドメチル)−2,2−ジメチル−4−(2−(トルエンスルホニルオキシ)エチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−2,2−ジメチル−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−アセトアミドエチル)−2,2−ジメチル−5−((トルエンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート等が挙げられる。
【0136】
次に、オキサゾリジン(XVI-1)またはオキサゾリジン(XVI-2)と塩基とを反応させて、それぞれ、上記式(XVII-1)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XVII-1)と略記する。)または上記式(XVII-2)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XVII-2)と略記する。)を得る方法について説明する。以下、オキサゾリジン(XVII-1)とオキサゾリジン(XVII-2)を総称して、オキサゾリジン(XVII)と記載することもある。
【0137】
本反応は、オキサゾリジン(XVII-1)と塩基とを混合することにより実施され、それらの混合順序は特に限定されない。必要により溶媒の存在下で、オキサゾリジン(XVII-1)に塩基を加えて混合する方法が好ましい。
【0138】
塩基としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等の金属アルコキシド;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の金属水素化物;n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミン、リチウムヘキサメチルジジラザン等のアルキル金属化合物;等が挙げられる。金属水素化物が好ましく、水素化ナトリウムがより好ましい。
【0139】
塩基の使用量は、オキサゾリジン(XVI)1モルに対して、通常0.9〜5モル、好ましくは1〜2モルである。使用量が、この範囲より多いと経済的に不利になるおそれがあり、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0140】
本反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族溶媒;テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジn−ヘキシルエーテル、ジn−ヘプチルエーテル、ジn−オクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル等のエステル溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン等の非プロトン性極性溶媒;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。エーテル溶媒、エステル溶媒、芳香族溶媒およびハロゲン化炭化水素溶媒が好ましい。
【0141】
溶媒の使用量は、オキサゾリジン(XVI)1kgに対して、通常3〜50L、好ましくは5〜30Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0142】
反応温度は、通常−50〜150℃、好ましくは−30〜100℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0143】
反応終了後の混合物中には、オキサゾリジン(XVII)が含まれており、これをそのまま次の反応に供してもよいが、通常、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後に次の反応に供する。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付した後に次の反応に供してもよいし、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付した後に次の反応に供してもよい。オキサゾリジン(XVII)を目的物として取り出す場合は、上記の通常の後処理や単離処理により取り出せばよい。得られたオキサゾリジン(XVII)は、上記の通常の精製処理により精製されてもよい。
【0144】
かくして得られるオキサゾリジン(XVII)としては、上述のオキサゾリジン(XIV)と同じ化合物が挙げられる。
【0145】
オキサゾリジン(XVI)として、光学活性オキサゾリジン(XVI-1a)または光学活性オキサゾリジン(XVI-1a)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XVII)として、それぞれ式(XVII-1a)または式(XVII-2a)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリジン化合物(以下、それぞれ光学活性オキサゾリジン(XVII-1a)、光学活性オキサゾリジン(XVII-2a)と略記する。また、それらを総称して、光学活性オキサゾリジン(XVIIa)と記載することもある。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリジン(XVIIa)としては、上述の光学活性オキサゾリジン(XIVa)と同じ化合物が挙げられる。
【0146】
次に、Aが−NR(RとRは結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している)であるか、またはAが−NR(RとRが結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している)で示される基であるか、いずれかの場合に、オキサゾリジン(X)におけるイミド環をアミノ基に変換させて、それぞれ、上記式(XVIII-1)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XVIII-1)と略記する。)または上記式(XVIII-2)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XVIII-2)と略記する。)を得る方法について、説明する。以下、オキサゾリジン(XVIII-1)とオキサゾリジン(XVIII-2)を総称して、オキサゾリジン(XVIII)と記載することもある。
【0147】
イミド環をアミノ基に変換させる方法としては、任意の公知の方法により実施することができ、特に制限されない。オキサゾリジン(X)と塩基とを反応させることによりイミド環をアミノ基に変換させる方法が好ましい。
【0148】
塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属;メチルアミン、エチルアミン等の一級アミン化合物;ヒドラジン、フェニルヒドラジン等のヒドラジン化合物;等が挙げられる。ヒドラジン化合物が好ましい。
【0149】
塩基の使用量は、オキサゾリジン(X)1モルに対して、通常0.9〜20モル、好ましくはル〜10モルである。使用量がこの範囲より多いと経済的に不利になるおそれがあり、使用量がこの範囲より少ないと反応が十分には進行しないおそれがある。
【0150】
本反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、tert−ブチルシクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、モノフルオロベンゼン、α,α,α−トリフルオロメチルベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等の芳香族溶媒;テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジn−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジn−ヘキシルエーテル、ジn−ヘプチルエーテル、ジn−オクチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸tert−ブチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル等のエステル溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジメチルスルホキシド、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリジノン等の非プロトン性極性溶媒;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。エーテル溶媒、エステル溶媒および芳香族溶媒からなる群から選ばれる溶媒と水とを混合して用いることが好ましい。
【0151】
溶媒の使用量は、オキサゾリジン(X)1kgに対して、通常1〜200L、好ましくは、3〜1000Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0152】
反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは30〜90℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0153】
反応終了後の混合物中には、オキサゾリジン(XVIII)が含まれており、これをそのまま次の反応に供してもよいが、通常、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付した後に次の反応に供する。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付した後に次の反応に供してもよいし、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付した後に次の反応に供してもよい。
【0154】
かくして得られるオキサゾリジン(XVIII)としては、例えば、tert−ブチル 5−(アミノメチル)−4−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−(アミノメチル)−4−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(アミノメチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(アミノメチル)−5−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−(アミノメチル)−4−(2−(ベンジルオキシエチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(2−アミノメチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(2−アミノメチル)−5−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート等が挙げられる。
【0155】
オキサゾリジン(X)として、光学活性オキサゾリジン(X)を用いた場合には、通常、式(XVIII-1a)または式(XVIII-2a)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリジン化合物(以下、それぞれ光学活性オキサゾリジン(XVIII-1a)、光学活性オキサゾリジン(XVIII-2a)と略記する。また、それらを総称して、光学活性オキサゾリジン(XVIIIa)と記載することもある。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリジン(XVIIIa)としては、例えば、(4R,5R)−tert−ブチル 5−(アミノメチル)−4−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−(アミノメチル)−4−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 4−(アミノメチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 4−(アミノメチル)−5−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−(アミノメチル)−4−(2−(ベンジルオキシエチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−アミノメチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−アミノメチル)−5−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート等が挙げられる。
【0156】
次に、オキサゾリジン(XVIII-1)またはオキサゾリジン(XVIII-2)のアミノ基を保護して、それぞれ、上記式(XIX-1)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XIX-1)と略記する。)または上記式(XIX-2)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XIX-2)と略記する。)を得る方法について、説明する。以下、オキサゾリジン(XIX-1)とオキサゾリジン(XIX-2)を総称して、オキサゾリジン(XIX)と記載することもある。
【0157】
かかる方法は、アミノアルコール(VI)のアミノ基を保護してN−保護アミノアルコール(VII)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0158】
本反応により得られるオキサゾリジン(XIX)としては、例えば、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−4−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−4−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシエチル)−5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−4−(2−(1−エトキシエトキシ)エチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、 tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシエチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−5−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート等が挙げられる。
【0159】
オキサゾリジン(XVIII)として、光学活性オキサゾリジン(XVIII-1a)または光学活性オキサゾリジン(XVIII-2a)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XIX)として、それぞれ式(XIX-1)または式(XIX-2)

(式中、R、R、R〜R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリジン化合物(以下、それぞれ光学活性オキサゾリジン(XIX-1a)、光学活性オキサゾリジン(XIX-2a)と略記する。また、それらを総称して、光学活性オキサゾリジン(XIXa)と記載することもある。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリジン(XIXa)としては、例えば、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−4−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−4−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシエチル)−5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5R)−tert−ブチル 5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−4−(2−(1−エトキシエトキシ)エチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、 (4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシエチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート、(4R,5S)−tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−5−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート等が挙げられる。
【0160】
次に、オキサゾリジン(XIX-1)またはオキサゾリジン(XIX-2)から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれオキサゾリジン(XV-1)またはオキサゾリジン(XV-2)を得る方法について説明する。
【0161】
かかる方法は、AとAが、それぞれ−ORと−ORで示される基である場合に、オキサゾリジン(X)から水酸基の保護基を脱離させて、オキサゾリジン(XI)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0162】
オキサゾリジン(XIX)として、光学活性オキサゾリジン(XIX-1a)または光学活性オキサゾリジン(XIX-2a)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XV)として、それぞれ光学活性オキサゾリジン(XV-1a)または光学活性オキサゾリジン(XV-2a)が得られる。
【0163】
かくして得られるオキサゾリジン(XV)の水酸基をスルホニル化してオキサゾリジン(XVI)を得る方法、および、該オキサゾリジン(XVI)と塩基とを反応させてオキサゾリジン(XVII)を得る方法は、それぞれ上述のとおりである。
【0164】
次に、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)から、それぞれR13、RまたはRで示されるアミノ基の保護基を脱離させて、上記式(XX)で示されるオキサゾリジン化合物(以下、オキサゾリジン(XX)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0165】
13、RまたはRがアルキル基(該アルキル基の1位はアリール基で置換されている。)の場合、それらを脱離させる方法としては、例えば、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)を接触水素還元する方法や、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)と酸とを反応させる方法が挙げられる。R13、RまたはRがアルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基の場合、それらを脱離させる方法としては、例えば、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)と塩基とを反応させる方法が挙げられる。
【0166】
接触水素還元は、通常、貴金属触媒存在下で、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)と水素とを接触させることにより実施される。貴金属触媒としては、例えば、パラジウム炭素や水酸化パラジウム等が挙げられる。貴金属触媒の使用量は、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)1kgに対して、貴金属の量として、通常0.1〜500g、好ましくは1〜100gである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が遅くなりやすく、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0167】
水素としては、通常、水素ガスを用いる。水素圧は、通常0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜1MPaである。水素圧がこの範囲より低いと、反応が十分に進行しないおそれがあり、この範囲より高いと、特殊な設備が必要となる。
【0168】
接触水素還元は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、ジグリム等のエーテル溶媒;メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等のアルコール溶媒;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル溶媒;酢酸、プロピオン酸等の有機酸;水;等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。溶媒の使用量は、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)1kgに対して、通常1〜100L、好ましくは1.2〜40Lである。使用量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0169】
接触水素還元の反応温度は、通常0〜120℃、好ましくは10〜60℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0170】
また、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)と酸との反応に用いる酸としては、例えば、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、四塩化チタン等のルイス酸;塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のプロトン酸;アンバーライト(登録商標)、アンバーリスト(登録商標)、ダウエックス(登録商標)等の酸性イオン交換樹脂;等が挙げられる。
【0171】
ルイス酸を使用する場合、その使用量は、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)の保護されたアミノ基1モルに対して、通常0.8〜5モル、好ましくは1〜3モルである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が遅くなる傾向があり、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0172】
プロトン酸を使用する場合、その使用量は、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)の保護されたアミノ基1モルに対して、通常0.01〜5モル、好ましくは0.05〜1モルである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が遅くなりやすく、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0173】
酸性イオン交換樹脂を使用する場合、その使用量は、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)1kgに対して、通常50〜500g、好ましくは100〜300gである。使用量がこの範囲より少ないと、反応速度が遅くなる傾向があり、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0174】
オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)と酸との反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン等の水溶性溶媒や水等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。溶媒の使用量は、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)1kgに対して、通常0.5〜100L、好ましくは1〜40Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0175】
オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)と酸との反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは30〜90℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜48時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0176】
また、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)と塩基との反応に用いる塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基が挙げられる。その使用量は、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)の保護されたアミノ基1モルに対して、通常0.1〜50モル、好ましくは0.5〜20モルである。使用量がこの範囲より少ないと反応時間が長くなる傾向があり、この範囲より多いと経済的に不利になりやすい。
【0177】
オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)と塩基との反応は、通常、溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒は、反応を阻害しないものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジオキサン等の水溶性溶媒や水等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を同時に用いてもよい。溶媒の使用量は、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)1kgに対して、通常0.5〜100L、好ましくは1〜40Lである。溶媒量がこの範囲よりも少ないと攪拌が不十分になる傾向があり、この範囲よりも多いと反応時間が長くなる傾向がある。
【0178】
オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)と塩基との反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは20〜100℃である。反応時間は、反応温度、試薬の使用量等にもよるが、通常1〜24時間である。反応の進行は、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等の通常の手段により確認できる。
【0179】
上記の各方法により得られる各反応混合物中には、オキサゾリジン(XX)が含まれており、該混合物を、中和、抽出、水洗等の通常の後処理に付すことにより、オキサゾリジン(XX)を単離することができる。もちろん、上記後処理後の混合物を、蒸留や結晶化等の通常の単離処理に付してオキサゾリジン(XX)を単離してもよい。単離されたオキサゾリジン(XX)を、さらに、再結晶;抽出精製;蒸留;活性炭、シリカ、アルミナ等の吸着処理;シリカゲルカラムクロマトグラフィー等のクロマトグラフィー法;等の通常の精製処理に付して精製してもよい。
【0180】
かくして得られるオキサゾリジン(XX)としては、例えば、tert−ブチル 2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH)−カルボキシレート、ベンジル 2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH)−カルボキシレート、1−(2,2−ジメチル−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH,4H,5H,6aH)−イル)エタノン、(tert−ブチル 2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート、ベンジル 2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート、(2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−イル)エタノン等が挙げられる。
【0181】
オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)として、それぞれ光学活性オキサゾリジン(XIXa)、光学活性オキサゾリジン(XVII-1a)または光学活性オキサゾリジン(XVII-2a)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XX)として、式(XXa)

(式中、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリジン化合物(以下、光学活性オキサゾリジン(XXa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリジン(XXa)としては、例えば、(3aR,6aR)−tert−ブチル 2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH)−カルボキシレート、(3aR,6aR)−ベンジル 2,2−ジメチルテトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH)−カルボキシレート、1−((3aR,6aR)−2,2−ジメチル−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−3(3aH,4H,5H,6aH)−イル)エタノン、(3aR,7aR)−tert−ブチル 2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート、(3aR,7aR)−ベンジル 2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート、((3aR,7aR)−2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−イル)エタノン等が挙げられる。
【0182】
次に、AとAが、それぞれ−ORと−ORで示される基である場合に、オキサゾリドン(V)から水酸基の保護基を脱離させて、上記式(XXI)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXI)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0183】
かかる方法は、AとAが、それぞれ−ORと−ORで示される基である場合に、オキサゾリジン(X)から水酸基の保護基を脱離させて、オキサゾリジン(XI)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0184】
本反応により得られるオキサゾリドン(XXI)としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエチル)−5−(ヒドロキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、5−(ヒドロキシメチル)−4−(2−ヒドロキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、4−(2−ヒドロキシブチル)−5−(ヒドロキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、5−(ヒドロキシエチル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−4−(3−ヒドロキシブチル)−5−(ヒドロキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−5−(ヒドロキシメチル)−4−(3−ヒドロキシペンチル)オキサゾリジン−2−オン等が挙げられる。
【0185】
オキサゾリドン(V)として、光学活性オキサゾリドン(Va)を用いた場合には、通常、オキサゾリドン(XXI)として、式(XXIa)

(式中、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリドン化合物(以下、光学活性オキサゾリドン(XXIa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリドン(XXIa)としては、例えば、(4R,5S)−4−(2−ヒドロキシエチル)−5−(ヒドロキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−5−(ヒドロキシメチル)−4−(2−ヒドロキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−4−(2−ヒドロキシブチル)−5−(ヒドロキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−5−(ヒドロキシエチル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−4−(3−ヒドロキシブチル)−5−(ヒドロキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−5−(ヒドロキシメチル)−4−(3−ヒドロキシペンチル)オキサゾリジン−2−オン等が挙げられる。
【0186】
次に、オキサゾリドン(XXI)の水酸基をスルホニル化して、上記式(XXII)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXII)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0187】
かかる方法は、オキサゾリジン(XI)の水酸基をスルホニル化してオキサゾリジン(XII)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0188】
本反応により得られるオキサゾリドン(XXII)としては、例えば、(2−オキソオキサゾリジン−4,5−ジイル)ビス(メチレン)ジメタンスルホネート、(2−オキソオキサゾリジン−4,5−ジイル)ビス(メチレン)ジトルエンスルホネート、(4−(2−(メチルスルホニル)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル メタンスルホネート、(4−(2−(トルエンスルホニル)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル トルエンスルホネート等が挙げられる。
【0189】
オキサゾリドン(XXI)として、光学活性オキサゾリドン(XXIa)を用いた場合には、通常、オキサゾリドン(XXII)として、式(XXIIa)

(式中、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリドン化合物(以下、光学活性オキサゾリドン(XXIIa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリドン(XXIIa)としては、例えば、((4R,5S)−2−オキソオキサゾリジン−4,5−ジイル)ビス(メチレン)ジメタンスルホネート、((4R,5S)−2−オキソオキサゾリジン−4,5−ジイル)ビス(メチレン)ジトルエンスルホネート、((4R,5S)−4−(2−(メチルスルホニル)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル メタンスルホネート、((4R,5S)−4−(2−(トルエンスルホニル)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル トルエンスルホネート等が挙げられる。
【0190】
次に、オキサゾリドン(XXII)と1級アミン(XIII)とを反応させて、上記式(XXIII)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXIII)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0191】
かかる方法は、オキサゾリジン(XII)と1級アミン(XIII)とを反応させてオキサゾリジン(XIV)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0192】
本反応により得られるオキサゾリドン(XXIII)としては、例えば、5−ベンジルヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾロ−2−オン、 5−(4−メトキシベンジル)ヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾロ−2−オン、ベンジル 2−オキソテトラヒドロ−ピロロ[3,4−d]オキサゾロ−5(3H)カルボキシレート、tert−ブチル 2−オキソテトラヒドロ−ピロロ[3,4−d]オキサゾロ−5(3H)カルボキシレート、(3aR,7aR)−5−ベンジルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2(1H)−オン、5−(4−メトキシベンジル)ヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2(1H)−オン、ベンジル 2−オキソヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−d]ピリジン−5(6H)カルボキシレート、tert−ブチル 2−オキソヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−d]ピリジン−5(6H)カルボキシレート等が挙げられる。
【0193】
オキサゾリドン(XXII)として、光学活性オキサゾリドン(XXIIa)を用いた場合には、通常、オキサゾリドン(XXIII)として、式(XXIIIa)

(式中、R、R13およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリドン化合物(以下、光学活性オキサゾリドン(XXIIIa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリドン(XXIIIa)としては、例えば、(3aR,6aR)−5−ベンジルヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾロ−2−オン、(3aR,6aR)−5−(4−メトキシベンジル)ヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾロ−2−オン、(3aR,6aR)−ベンジル 2−オキソテトラヒドロ−ピロロ[3,4−d]オキサゾロ−5(3H)カルボキシレート、(3aR,6aR)−tert−ブチル 2−オキソテトラヒドロ−ピロロ[3,4−d]オキサゾロ−5(3H)カルボキシレート、(3aR,7aR)−5−ベンジルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2(1H)−オン、(3aR,7aR)−5−(4−メトキシベンジル)ヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2(1H)−オン、(3aR,7aR)−ベンジル 2−オキソヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−d]ピリジン−5(6H)カルボキシレート、(3aR,7aR)−tert−ブチル 2−オキソヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−d]ピリジン−5(6H)カルボキシレート等が挙げられる。
【0194】
次に、Aが−NR(Rはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子である。)で示される基であるか、またはAが−NR(Rはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子である。)で示される基であるか、いずれかの場合に、オキサゾリドン(V)から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれ上記式(XXIV-1)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXIV-1)と略記する。)または上記式(XXIV-2)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXIV-2)と略記する。)を得る方法について、説明する。以下、オキサゾリドン(XXIV-1)とオキサゾリドン(XXIV-2)を総称して、オキサゾリドン(XXIV)と記載することもある。
【0195】
かかる方法は、AとAが、それぞれ−ORと−ORで示される基である場合に、オキサゾリジン(X)から水酸基の保護基を脱離させる方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0196】
本反応により得られるオキサゾリドン(XXIV)としては、例えば、ベンジル (4−(ヒドロキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、N−((4−(ヒドロキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル)アセトアミド、ベンジル (5−(ヒドロキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、ベンジル (4−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、N−((4−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル)アセトアミド、ベンジル (5−(ヒドロキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、ベンジル (5−(ヒドロキシエチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチルカーバメート、N−(2−(5−(ヒドロキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル)アセトアミド等が挙げられる。
【0197】
オキサゾリドン(V)として、光学活性オキサゾリドン(Va)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XXIV)として、式(XXIV-1a)または式(XXIV-2a)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリドン化合物(以下、それぞれ光学活性オキサゾリドン(XXIV-1a)、光学活性オキサゾリドン(XXIV-2a)と略記する。また、それらを総称して、光学活性オキサゾリドン(XXIVa)と記載することもある。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリドン(XXIVa)としては、例えば、ベンジル ((4R,5R)−4−(ヒドロキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、N−(((4R,5R)−4−(ヒドロキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル)アセトアミド、ベンジル ((4R,5S)−5−(ヒドロキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4R,5R)−4−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、N−(((4R,5R)−4−(2−ヒドロキシエチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル)アセトアミド、ベンジル ((4R,5S)−5−(ヒドロキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4R,5S)−5−(ヒドロキシエチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチルカーバメート、N−(2−((4R,5S)−5−(ヒドロキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル)アセトアミド等が挙げられる。
【0198】
次に、オキサゾリドン(XXIV-1)またはオキサゾリドン(XXIV-2)の水酸基をスルホニル化して、それぞれ上記式(XXV-1)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXV-1)と略記する。)または上記式(XXV-2)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXV-2)と略記する。)を得る方法について説明する。以下、オキサゾリドン(XXV-1)とオキサゾリドン(XXV-2)を総称して、オキサゾリドン(XXV)と記載することもある。
【0199】
かかる方法は、オキサゾリジン(XI)の水酸基をスルホニル化してオキサゾリジン(XII)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0200】
本反応により得られるオキサゾリドン(XXV)としては、例えば、5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル メタンスルホネート、5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル トルエンスルホネート、(5−(アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル メタンスルホネート、(5−(アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル トルエンスルホネート、(4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル メタンスルホネート、4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル トルエンスルホネート、(4−(アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル メタンスルホネート、(4−(アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル トルエンスルホネート、2−(5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル メタンスルホネート、2−(5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル トルエンスルホネート、(4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)エチル メタンスルホネート、2−(5−((アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル メタンスルホネート、2−(5−((アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル トルエンスルホネート、(4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル メタンスルホネート、4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル トルエンスルホネート、(4−(2−アセトアミドエチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル トルエンスルホネート、(4−(2−アセトアミドエチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル メタンスルホネート等が挙げられる。
【0201】
オキサゾリドン(XXIV)として、光学活性オキサゾリドン(XXIV-1a)または光学活性オキサゾリドン(XXIV-1a)を用いた場合には、通常、オキサゾリドン(XXV)として、それぞれ式(XXV-1a)または式(XXV-2a)

(式中、R、R、R、nおよびSはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリドン化合物(以下、それぞれ光学活性オキサゾリドン(XXV-1a)、光学活性オキサゾリドン(XXV-2a)と略記する。また、それらを総称して、光学活性オキサゾリドン(XXVa)と記載することもある。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリドン(XXVa)としては、例えば、((4R,5R)−5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル メタンスルホネート、(4R,5R)−5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル トルエンスルホネート、((4R,5R)−5−(アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル メタンスルホネート、((4R,5R)−5−(アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチル トルエンスルホネート、((4R,5S)−4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル メタンスルホネート、(4R,5S)−4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル トルエンスルホネート、((4R,5S)−4−(アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル メタンスルホネート、((4R,5S)−4−(アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル トルエンスルホネート、2−((4R,5R)−5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル メタンスルホネート、2−((4R,5R)−5−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル トルエンスルホネート、((4R,5R)−4−((ベンジルオキシカルボニルアミノ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)エチル メタンスルホネート、2−((4R,5R)−5−((アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル メタンスルホネート、2−((4R,5R)−5−((アセトアミドメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)エチル トルエンスルホネート、((4R,5S)−4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル メタンスルホネート、(4R,5S)−4−(2−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル トルエンスルホネート、((4R,5S)−4−(2−アセトアミドエチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル トルエンスルホネート、((4R,5S)−4−(2−アセトアミドエチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチル メタンスルホネート等が挙げられる。
【0202】
次に、オキサゾリドン(XXV-1)またはオキサゾリドン(XXV-2)と塩基とを反応させて、それぞれ、上記式(XXVI-1)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXVI-1)と略記する。)または上記式(XXVI-2)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXVI-2)と略記する。)を得る方法について説明する。以下、オキサゾリドン(XXVI-1)とオキサゾリドン(XXVI-2)を総称して、オキサゾリドン(XXVI)と記載することもある。
【0203】
かかる方法は、オキサゾリジン(XVI-1)またはオキサゾリジン(XVI-2)と塩基とを反応させて、それぞれ、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0204】
本反応により得られるオキサゾリドン(XXVI)としては、オキサゾリドン(XXIII)として上述した化合物が挙げられる。
【0205】
オキサゾリドン(XXV)として、光学活性オキサゾリドン(XXV-1a)または光学活性オキサゾリドン(XXV-2a)を用いた場合には、通常、オキサゾリドン(XXVI)として、式(XXVI-1a)または式(XXVI-2a)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリドン化合物(以下、それぞれ光学活性オキサゾリドン(XXVI-1a)、光学活性オキサゾリドン(XXVI-2a)と略記する。また、それらを総称して、光学活性オキサゾリドン(XXVIa)と記載することもある。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリドン(XXVIa)としては、光学活性オキサゾリドン(XXIIIa)として上述した化合物が挙げられる。
【0206】
次に、Aが−NR(RとRは結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している)であるか、またはAが−NR(RとRが結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している)で示される基であるか、いずれかの場合に、オキサゾリドン(V)におけるイミド環をアミノ基に変換させて、それぞれ、上記式(XXVII-1)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXVII-1)と略記する。)または上記式(XXVII-2)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXVII-2)と略記する。)を得る方法について、説明する。以下、オキサゾリドン(XXVII-1)とオキサゾリドン(XXVII-2)を総称して、オキサゾリドン(XXVII)と記載することもある。
【0207】
かかる方法は、Aが−NR(RとRは結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している)であるか、またはAが−NR(RとRが結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している)で示される基であるか、いずれかの場合に、オキサゾリジン(X)におけるイミド環をアミノ基に変換させて、それぞれオキサゾリジン(XVIII-1)またはオキサゾリジン(XVIII-2)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0208】
本反応により得られるオキサゾリドン(XXVII)としては、例えば、5−(アミノメチル)−4−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、5−(アミノメチル)−4−((1−エトキシエトキシ)メチル)オキサゾリジン−2−オン、4−(アミノメチル)−5−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、4−(アミノメチル)−5−((1−エトキシエトキシ)メチル)オキサゾリジン−2−オン、5−(アミノメチル)−4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)オキサゾリジン−2−オン、5−(アミノメチル)−4−(2−((1−エトキシエトキシ)オキシ)エチル)オキサゾリジン−2−オン、4−(2−アミノエチル)−5−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、4−(2−アミノエチル)−5−((1−エトキシエトキシ)オキシメチル)オキサゾリジン−2−オン等が挙げられる。
【0209】
オキサゾリドン(V)として、光学活性オキサゾリドン(Va)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XXVII)として、式(XXVII-1a)または式(XXVII-2a)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリドン化合物(以下、それぞれ光学活性オキサゾリドン(XXVII-1a)、光学活性オキサゾリドン(XXVII-2a)と略記する。また、それらを総称して、光学活性オキサゾリドン(XXVIIa)と記載することもある。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリドン(XXVIIa)としては、例えば、(4R,5R)−5−(アミノメチル)−4−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5R)−5−(アミノメチル)−4−((1−エトキシエトキシ)メチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−4−(アミノメチル)−5−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−4−(アミノメチル)−5−((1−エトキシエトキシ)メチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5R)−5−(アミノメチル)−4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5R)−5−(アミノメチル)−4−(2−((1−エトキシエトキシ)オキシ)エチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−4−(2−アミノエチル)−5−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン、(4R,5S)−4−(2−アミノエチル)−5−((1−エトキシエトキシ)オキシメチル)オキサゾリジン−2−オン等が挙げられる。
【0210】
次に、オキサゾリドン(XXVII-1)またはオキサゾリドン(XXVII-2)のアミノ基を保護して、それぞれ、上記式(XXVIII-1)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXVIII-1)と略記する。)または上記式(XXVIII-2)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXVIII-2)と略記する。)を得る方法について、説明する。以下、オキサゾリドン(XXVIII-1)とオキサゾリドン(XXVIII-2)を総称して、オキサゾリドン(XXVIII)と記載することもある。
【0211】
かかる方法は、アミノアルコール(VI)のアミノ基を保護してN−保護アミノアルコール(VII)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0212】
本反応により得られるオキサゾリドン(XXVIII)としては、例えば、ベンジル (4−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル (4−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル (5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、 ベンジル (5−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、ベンジル (4−(2−ベンジルオキシエチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル (4−(2−(1−エトキシエトキシ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル (5−(2−ベンジルオキシエチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、ベンジル (5−(2−(1−エトキシエトキシ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート等が挙げられる。
【0213】
オキサゾリドン(XXVII)として、光学活性オキサゾリドン(XXVII-1a)または光学活性オキサゾリドン(XXVII-2a)を用いた場合には、通常、オキサゾリドン(XXVIII)として、式(XXVIII-1a)または式(XXVIII-2a)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、RおよびRはそれぞれ独立してアミノ基の保護基を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリドン化合物(以下、それぞれ光学活性オキサゾリドン(XXVIII-1a)、光学活性オキサゾリドン(XXVIII-2a)と略記する。また、それらを総称して、光学活性オキサゾリドン(XXVIIIa)と記載することもある。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリドン(XXVIIIa)としては、例えば、ベンジル ((4R,5R)−4−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4R,5R)−4−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4R,5S)−5−(ベンジルオキシメチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、 ベンジル ((4R,5S)−5−((1−エトキシエトキシ)メチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4R,5R)−4−(2−ベンジルオキシエチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4R,5R)−4−(2−(1−エトキシエトキシ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−5−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4R,5S)−5−(2−ベンジルオキシエチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート、ベンジル ((4R,5S)−5−(2−(1−エトキシエトキシ)エチル)−2−オキソオキサゾリジン−4−イル)メチルカーバメート等が挙げられる。
【0214】
次に、オキサゾリドン(XXVIII-1)またはオキサゾリドン(XXVIII-2)から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれオキサゾリドン(XXIV-1)またはオキサゾリドン(XXIV-2)を得る方法について説明する。
【0215】
かかる方法は、AとAが、それぞれ−ORと−ORで示される基である場合に、オキサゾリジン(X)から水酸基の保護基を脱離させて、オキサゾリジン(XI)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0216】
オキサゾリドン(XXVIII)として、光学活性オキサゾリドン(XXVIII-1a)または光学活性オキサゾリドン(XXVIII-2a)を用いた場合には、通常、オキサゾリドン(XXIV)として、それぞれ光学活性オキサゾリドン(XXIV-1a)または光学活性オキサゾリドン(XXIV-2a)が得られる。
【0217】
かくして得られるオキサゾリジン(XXIV)の水酸基をスルホニル化してオキサゾリジン(XXV)を得る方法、および、該オキサゾリジン(XXV)と塩基とを反応させてオキサゾリジン(XXVI)を得る方法は、それぞれ上述のとおりである。
【0218】
最後に、オキサゾリドン(XXIII)、オキサゾリドン(XXVI-1)またはオキサゾリドン(XXVI-2)から、それぞれR13、RまたはRで示されるアミノ基の保護基を脱離させて、上記式(XXIX)で示されるオキサゾリドン化合物(以下、オキサゾリドン(XXIX)と略記する。)を得る方法について説明する。
【0219】
かかる方法は、オキサゾリジン(XIX)、オキサゾリジン(XVII-1)またはオキサゾリジン(XVII-2)から、それぞれR13、RまたはRで示されるアミノ基の保護基を脱離させてオキサゾリジン(XX)を得る方法として上述した方法と同様に実施できる。
【0220】
かくして得られるオキサゾリドン(XXIX)としては、例えば、(ヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−2−オン、4−メチルヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−2−オン、4−エチルヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−2−オン、ヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2(1H)−オン、6−メチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2(1H)−オン、6−エチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2(1H)−オン等が挙げられる。
【0221】
オキサゾリドン(XXIII)、オキサゾリドン(XXVI-1)またはオキサゾリドン(XXVI-2)として、それぞれ光学活性オキサゾリドン(XXIIIa)、光学活性オキサゾリドン(XXVI-1a)または光学活性オキサゾリドン(XXVI-2a)を用いた場合には、通常、オキサゾリジン(XXIX)として、式(XXIXa)

(式中、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なオキサゾリドン化合物(以下、光学活性オキサゾリドン(XXIXa)と略記する。)が得られる。かかる光学活性オキサゾリドン(XXIXa)としては、例えば、(3aR,6aR)−ヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−2−オン、(3aR,6aR)−4−メチルヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−2−オン、(3aR,6aR)−4−エチルヘキサヒドロ−2H−ピロロ[3,4−d]オキサゾール−2−オン、(3aR,7aR)−ヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2(1H)−オン、(3aR,7aR)−6−メチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2(1H)−オン、(3aR,7aR)−6−エチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−2(1H)−オン等が挙げられる。
【実施例】
【0222】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0223】
製造例1:(2S,3R)−4−ベンジルオキシ−2−(ベンジルオキシエチル)−3−ヒドロキシブチルアルデヒド(化合物(1))の合成
4−ベンジルオキシブチルアルデヒド0.89g(5.0mmol)、2−ベンジルオキシアセトアルデヒド1.5g(10.0mmol)、L−プロリン0.12g(1.0mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミド5mLを混合し、得られた混合溶液を室温で15時間攪拌した。反応終了後、得られた混合物に飽和食塩水5mLを加えた後、酢酸エチル10mLを2回用いて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて脱水処理した。得られた有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル=4/1)で処理し、化合物(1)とそのジアステレオマーとの混合物1.2gを得た。化合物1とそのジアステレオマーとの合計収率は72%であった。該混合物中の化合物(1)(すなわち(2S,3R)体)の含量は約75%であった。これ以上の精製は行わず、該混合物をそのまま製造例2に用いた。
【0224】
製造例2:(2S,3R)−4−(ベンジルオキシ)−2−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−3−ヒドロキシブタン酸(化合物(2))の合成
製造例1で得た化合物(1)とそのジアステレオマーとの混合物1.2g(3.7mmol)をtert−ブタノール12mLに溶解させた後、得られた混合物に水6mL、リン酸二水素ナトリウム1.2g(10.0mmol)および2−メチル−2−ブテン1.2mLを加えた。得られた溶液を氷冷し、そこに亜塩素酸ナトリウム1.4gを加えた後、得られた混合物を室温で終夜攪拌した。反応終了後、得られた混合物に1M水酸化ナトリウム水溶液30mLを加えて、混合物のpHを10以上とした後、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液30mLを加えた。ヨウ化カリウムでんぷん紙で酸化剤の分解を確認後、得られた混合物を減圧濃縮した。残渣に濃塩酸を加えて、pH1程度とした後、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで脱水処理した後、濃縮することにより、黄色の油状物として、化合物(2)とそのジアステレオマーとの混合物1.0gを得た。化合物(2)とそのジアステレオマーとの合計収率は78%であった。これ以上の精製は行わず、該混合物をそのまま実施例1に用いた。
【0225】
実施例1:(4S,5R)−4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−5−(ベンジルオキシメチル)オキサゾリジン−2−オン(化合物(3))の合成
製造例2で得た化合物(2)とそのジアステレオマーとの混合物1.0g(2.9mmol)、ジフェニルホスホリルアジド685μLおよびトリエチルアミン446μLをトルエン20mLと混合し、得られた溶液を75〜85℃で8時間撹拌した。得られた溶液を室温まで冷却し、そこに水を加えた後、酢酸エチル30mLを2回用いて抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムにて脱水処理した後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル=4/1〜2/1)で処理し、化合物(3)とそのジアステレオマーとの混合物1.0gを得た。化合物(3)とそのジアステレオマーとの合計収率は43%であった。
さらに、該混合物の一部をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、純粋な化合物(3)を得た。
【0226】
実施例2:(2S,3R)−3−アミノ−1,5−ビス(ベンジルオキシ)ペンタン−2−オール(化合物(4))の合成
実施例1と同様にして得た化合物(3)とそのジアステレオマーとの混合物1.2g(3.5mmol)をテトラヒドロフラン24mLに溶解させ、そこに50%(v/v)エタノール水溶液60mLを加えた。得られた溶液に水酸化リチウム一水和物4.4gを加え、そのまま終夜で加熱還流した。反応終了後、得られた反応溶液を減圧濃縮した後、残渣を酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水処理した後、濃縮することにより、化合物(4)とそのジアステレオマーとの混合物0.78gを得た。化合物(4)とそのジアステレオマーとの合計収率は70%であった。これ以上の精製は行わず、該混合物をそのまま実施例3に用いた。
【0227】
実施例3:(2S,3R)−tert−ブチル 1,5−ビス(ベンジルオキシ)−2−ヒドロキシペンタン−3−イルカーバメート(化合物(5))の合成
実施例2で得た化合物(4)とそのジアステレオマーとの混合物0.78g(2.5mmol)をテトラヒドロフラン10mLに溶解させて氷冷し、そこに、トリエチルアミン520μL、N,N−ジメチルアミノピリジン61mgおよびジ炭酸ジtert−ブチル631μLを加え、得られた混合物を氷冷下で1時間攪拌した。反応終了後、氷冷下で反応混合物に水30mLを加え、酢酸エチル30mLで2回抽出した。得られた有機層を合一して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水処理した後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル=3/1〜1/1)により精製し、化合物(5)とそのジアステレオマーとの混合物0.59gを得た。収率57%。
【0228】
実施例4:(4S,5R)−tert−ブチル 4−(2−(ベンジルオキシ)エチル)−5−(ベンジルオキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(化合物(6))の合成
実施例3で得た化合物(5)とそのジアステレオマーとの混合物0.59g(1.4mmol)をテトラヒドロフラン10mLに溶解させ、得られた混合物に、2,2−ジメトキシプロパン873μLとパラトルエンスルホン酸(約50mg)を順に加え、35℃で終夜攪拌した。薄層クロマトグラフィーにて分析したところ、化合物(5)が残存していたので、得られた混合物に、さらに、2,2−ジメトキシプロパン873μLを加え、40℃で2時間攪拌したところ、化合物(5)は消失した。反応終了後、得られた混合物に水30mLを加え、酢酸エチル30mLで2回抽出した。得られた有機層を飽和重曹水、飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水処理した後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル=4/1〜3/1)により精製し、化合物(6)とそのジアステレオマーとの混合物0.50gを得た。収率77%。
【0229】
実施例5:(4S,5R)−tert−ブチル 4−(2−ヒドロキシエチル)−5−(ヒドロキシメチル)−2,2−ジメチルオキサゾリジン−3−カルボキシレート(化合物(7))の合成
実施例4で得た化合物(6)とそのジアステレオマーとの混合物0.50g(1.10mmol)をエタノール15mLに溶解させ、得られた混合物に、酢酸0.5mLを添加した後、系内を窒素雰囲気とした。そこに、10%パラジウム炭素(50%wet)100mgを加えた後、系内を水素で置換し、水素圧0.4〜0.5MPaにて室温で24時間攪拌した。反応終了後、得られた混合物をセライトろ過にて処理し、得られたろ液を濃縮した。得られた残渣にトルエン10mLを加えて濃縮する操作を2回繰り返し、化合物(7)とそのジアステレオマーとを含む混合物0.35gを得た。これ以上の精製は行わず、該混合物の全量をそのまま実施例3に用いた。
【0230】
実施例6:(4S,5R)−tert−ブチル 2,2−ジメチル−4−(2−(メタンスルホニルオキシ)エチル)−5−((メタンスルホニルオキシ)メチル)オキサゾリジン−3−カルボキシレート(化合物(8))の合成
実施例5で得た化合物(7)とそのジアステレオマーとを含む混合物の全量をテトラヒドロフラン10mLに溶解させて氷冷し、そこに、メタンスルホニルクロリド492μL、トリエチルアミン1.1mLを順に加え、得られた混合物を氷冷下で1.5時間攪拌した。反応終了後、得られた混合物に水20mLを加え、酢酸エチル20mLで2回抽出した。得られた有機層を、水、飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水処理した後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル=2/1〜酢酸エチルのみ)により精製し、化合物(8)とそのジアステレオマーとの混合物0.36gを得た。化合物(6)とそのジアステレオマーとの混合物からの通算収率は76%であった。
【0231】
実施例7:(3aS,7aS)−tert−ブチル 5−ベンジル−2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート(化合物(9))の合成
実施例6で得た化合物(8)とそのジアステレオマーとの混合物0.36g(0.84mmol)とベンジルアミン1mLをトルエン4mLに溶解させた後、得られた混合物を70℃で4.5時間攪拌した。反応終了後、得られた混合物に水20mLを加え、酢酸エチル20mLで2回抽出した。得られた有機層を、水、飽和食塩水で順に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水処理した後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘプタン/酢酸エチル=5/1〜3/1)により精製し、化合物(9)を52mg、そのジアステレオマーを47mg、それらの混合物を24.8mg、それぞれ得た。
化合物(9)のスペクトルデータ:
H−NMR(CDCl,400MHz)δppm:7.22−7.35(5H,m),4.05(1H,s),3.63−3.67(1H,m),3.48(1H,appt d,J=13.2Hz),3.25(1H,appt d,J=13.6Hz),2.76(1H,appt d,J=9.6Hz),2.36(1H,dd,J=13.2,2.4Hz),1.88(1H,t,J=12.0Hz),1.66−1.73(6H,m),1.44−1.52(12H,m)
化合物(9)のジアステレオマーのスペクトルデータ:
H−NMR(CDCl,400MHz)δppm:7.22−7.35(5H,m),3.57−3.66(3H,m),3.18(1H,dd,J=9.2,2.8Hz),2.92−2.95(2H,m),2.08−2.19(2H,m),1.63−1.66(1H,m),1.53−1.55(6H,br s),1.46(9H,br s)
【0232】
実施例8:(3aS,7aS)−tert−ブチル 2,2−ジメチルヘキサヒドロオキサゾロ[5,4−c]ピリジン−1(2H)−カルボキシレート(化合物(10))の合成
実施例7で得た化合物(9)50mgをエタノールに溶解させた後、系内を窒素雰囲気とした。そこに、水酸化パラジウム(50%wet)20mgを加えた後、系内を水素で置換し、水素圧0.5MPaで3 時間攪拌した。反応終了後、得られた混合物をセライトろ過にて処理し、得られたろ液を濃縮したところ、化合物(10)37.0mgを得た。収率100%。
化合物(10)のスペクトルデータ:
H−NMR(CDOD,400MHz)δppm:4.12(1H,s),3.90−4.03(1H,m),3.34−3.37(1H,m),3.00−3.08(2H,m),2,58(1H,t,J=12.8Hz),2.14−2.23(1H,m),1.65−1.76(3H,m),1.47−1.53(13H,m)
【産業上の利用可能性】
【0233】
本発明により位置選択的に得られるオキサゾリジン化合物は、含窒素環状β−アミノアルコールの中間体または等価体であり、該含窒素環状β−アミノアルコールは、医農薬の合成中間体や各種化学品として有用である。したがって、本発明は、医農薬の合成中間体や各種化学品の製造方法として、産業上利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IV)

(式中、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わし、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わす。ただし、Aが−NRのとき、Aは−ORである。ここで、RおよびRはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表わす。RおよびRはそれぞれ独立してアミノ基の保護基を表わし、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子を表わすか、あるいはRとRまたはRとRが結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成していてもよい。ただし、アミノ基の保護基と水酸基の保護基が同一であることはない。Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。nは1または2を表わす。)
で示されるヒドロキシカルボン酸化合物とアジド化合物とを反応させて式(V)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物を加水分解して式(VI)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるアミノアルコール化合物を得、次いで、該アミノアルコール化合物のアミノ基を保護して式(VII)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Rはアミノ基の保護基を表わす。)
で示されるN−保護アミノアルコール化合物を得、次いで、酸の存在下に該N−保護アミノアルコール化合物と、式(VIII)

(式中、RおよびR10はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表わすか、互いに結合して炭素数4〜6のアルキレン基を表わす。)
で示されるケトン化合物または式(IX)

(式中、RおよびR10はそれぞれ上記と同じ意味を表わし、R11およびR12はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表わすか、互いに結合して炭素数2〜4のアルキレン基を表わす。)
で示されるアセタール化合物とを反応させる式(X)

(式中、A、A、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物の製造方法。
【請求項2】
とAが、それぞれ−ORと−ORで示される基であって、さらに、式(X)で示されるオキサゾリジン化合物から水酸基の保護基を脱離させて式(XI)

(式中、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物の水酸基をスルホニル化して式(XII)

(式中、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物と式(XIII)

(式中、R13はアミノ基の保護基を表わす。)
1級アミン化合物とを反応させて式(XIV)

(式中、R、R〜R10、R13およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得る工程を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
が−NR(Rはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子である。)で示される基であるか、またはAが−NR(Rはアミノ基の保護基であり、Rは水素原子である。)で示される基であって、さらに、式(X)で示されるオキサゾリジン化合物から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれ式(XV-1)または式(XV-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物の水酸基をスルホニル化して、それぞれ式(XVI-1)または式(XVI-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物と塩基とを反応させて、それぞれ式(XVII-1)または式(XVII-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得る工程を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
が−NR(RとRは結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している)であるか、またはAが−NR(RとRが結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している)で示される基であって、さらに、式(X)で示されるオキサゾリジン化合物におけるイミド環をアミノ基に変換させて、それぞれ式(XVIII-1)または式(XVIII-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物のアミノ基を保護して、それぞれ式(XIX-1)または式(XIX-2)

(式中、R、R、R〜R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれ式(XV-1)または式(XV-2)

(式中、R、R、R、R〜Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物の水酸基をスルホニル化して、それぞれ式(XVI-1)または式(XVI-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得、次いで、該オキサゾリジン化合物と塩基とを反応させて、それぞれ式(XVII-1)または式(XVII-2)

(式中、R、R、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得る工程を含む請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
さらに、式(XIV)においてR13で示される基、式(XVII-1)においてRで示される基または式(XVII-2)においてRで示される基を脱離させて式(XX)

(式中、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得る工程を含む請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
式(XIV)におけるR13で示される基、式(XVII-1)におけるRで示される基または式(XVII-2)におけるRで示される基がアルキル基(該アルキル基の1位はアリール基で置換されている。)であり、各式におけるRで示される基がアルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基またはアリールオキシカルボニル基であって、さらに、式(XIX)、式(XVII-1)または式(XVII-2)で示されるオキサゾリジン化合物を水素添加反応に付して式(XX)

(式中、R、R〜R10およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリジン化合物を得る工程を含む請求項2〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
が、tert−ブトキシカルボニル基である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
とR10が、ともにメチル基である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
式(IV)

(式中、Aは−ORで示される基を表わし、Aは−ORで示される基を表わす。ここで、RおよびRはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表わす。Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。nは1または2を表わす。)
で示されるヒドロキシカルボン酸化合物とアジド化合物とを反応させて式(V)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物から水酸基の保護基を脱離させて式(XXI)

(式中、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物の水酸基をスルホニル化して式(XXII)

(式中、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物と式(XIII)

(式中、R13はアミノ基の保護基を表わす。)
1級アミン化合物とを反応させる式(XXIII)

(式中、R、R13およびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物の製造方法。
【請求項10】
式(IV)

(式中、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わし、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わす。ただし、Aが−NRのとき、Aは−ORであり、Aが−ORのとき、Aは−NRである。ここで、RおよびRはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表わす。RおよびRはそれぞれ独立してアミノ基の保護基を表わし、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子を表わす。ただし、アミノ基の保護基と水酸基の保護基が同一であることはない。Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。nは1または2を表わす。)
で示されるヒドロキシカルボン酸化合物とアジド化合物とを反応させて式(V)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれ式(XXIV-1)または式(XXIV-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物をスルホニル化して、それぞれ式(XXV-1)または式(XXV-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物と塩基とを反応させる式(XXVI-1)または式(XXVI-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
でそれぞれ示されるオキサゾリドン化合物の製造方法。
【請求項11】
式(IV)

(式中、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わし、Aは−ORまたは−NRで示される基を表わす。ただし、Aが−NRのとき、Aは−ORであり、Aが−ORのとき、Aは−NRである。ここで、RおよびRはそれぞれ独立して水酸基の保護基を表わす。RとRまたはRとRが結合し、それらが結合している窒素原子とともにイミド環を形成している。Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表わす。nは1または2を表わす。)
で示されるヒドロキシカルボン酸化合物とアジド化合物とを反応させて式(V)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物におけるイミド環をアミノ基に変換させて、式(XXVII-1)または式(XXVII-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物のアミノ基を保護して、それぞれ式(XXVIII-1)または式(XXVIII-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、RおよびRはそれぞれ独立してアミノ基の保護基を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物から水酸基の保護基を脱離させて、それぞれ式(XXIV-1)または式(XXIV-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物をスルホニル化して、それぞれ式(XXV-1)または式(XXV-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、Sはアルカンスルホニル基、パーフルオロアルカンスルホニル基または置換されていてもよいベンゼンスルホニル基を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得、次いで、該オキサゾリドン化合物と塩基とを反応させる式(XXVI-1)または式(XXVI-2)

(式中、R、R、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
でそれぞれ示されるオキサゾリドン化合物の製造方法。
【請求項12】
さらに、式(XXIII)においてR13で示される基、式(XXVI-1)においてRで示される基または式(XXVI-2)においてRで示される基を脱離させて式(XXIX)

(式中、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるオキサゾリドン化合物を得る工程を含む請求項9〜11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
またはRが、ベンジル基である請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
式(IV)で示されるヒドロキシカルボン酸化合物が、式(IVa)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わし、*は当該炭素原子が光学活性中心であることを表わす。)
で示される光学活性なヒドロキシカルボン酸化合物である請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項15】
式(IV)で示されるヒドロキシカルボン酸化合物が、置換基を有していてもよい環状2級アミンの存在下で式(I)

(式中、Aは上記と同じ意味を表わす。)
で示されるアルデヒド化合物と式(II)

(式中、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるアルデヒド化合物とを反応させて式(III)

(式中、A、A、Rおよびnはそれぞれ上記と同じ意味を表わす。)
で示されるヒドロキシアルデヒド化合物を得、次いで、該ヒドロキシアルデヒド化合物を酸化して得られるヒドロキシカルボン酸化合物である請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
環状2級アミンが、光学活性な環状2級アミンである請求項15に記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−155283(P2009−155283A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336492(P2007−336492)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】