説明

オキサゾール化合物

【課題】
インターロイキン1受容体関連キナーゼ4(IRAK−4)阻害作用に基づく、IRAK−4に関係する疾患の新規かつ優れた予防及び/又は治療方法を提供する。
【解決手段】
2位がヘテロアリール基で置換されたオキサゾールが、カルボキサミドを介してヘテロアリール環に結合することを特徴とするオキサゾールカルボン酸アミド誘導体が、IRAK−4に対する強力な阻害作用を示すこと、そして炎症性疾患、自己免疫疾患等のIRAK−4に関係する疾患の予防及び/又は治療剤となりうることを知見して本発明を完成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬組成物、殊にインターロイキン1受容体関連キナーゼ4(IRAK−4)に関係する疾患の予防及び/又は治療用医薬組成物の有効成分として有用なオキサゾール化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン1受容体関連キナーゼ4(IRAK−4)はプロテインキナーゼであるIRAKファミリーの1種である(Molecular cell 2003, 11(2), 293-302)。IRAK−4は、TLR−3を除くすべてのToll−like receptors(TLRs)、インターロイキン1受容体(IL−1R)及びインターロイキン18受容体(IL−18R)の下流にあるキナーゼで、これらの多様な受容体を介したシグナル伝達系(Toll/IL−1 receptorシグナル伝達系、TIRシグナル伝達系)において重要な役割を果たしている。
【0003】
IRAKファミリーには、IRAK−4の他にIRAK−1、IRAK−2、IRAK−3/Mのメンバーが含まれる。IRAK−1とIRAK−4はキナーゼ活性を有しているが、IRAK−2とIRAK−3/Mは不活性型である。IRAK−4はIRAK−1をリン酸化すると考えられている。IRAK−1リン酸化反応がきっかけとなってNF−κBやMAPKを含めた下流の分子が活性化され、炎症性サイトカイン(IL−1、IL−6、IL−23、TNF−αなど)やケモカイン(IL−8、RANTESなど)、アラキドン酸代謝産物など、炎症反応に寄与するメディエーターの産生が促進される。
【0004】
IRAK−4が関わるTIRシグナル伝達系は、炎症メディエーターの産生を制御することによって、病原体に対する防御や、炎症、自然免疫・獲得免疫の制御、細胞生存、増殖といった生理的反応に寄与すると考えられている。またそれだけでなく、急性・慢性炎症性疾患や自己免疫疾患など、炎症に関わりの深い病態への関与も示唆されている。この中には関節リウマチや糸球体腎炎をはじめとした慢性腎疾患など、多くの疾患が含まれる。IRAK−4ノックアウトマウスやIRAK−4キナーゼ不活性型ノックインマウス、IRAK−4欠損細胞等の解析、あるいはIRAK−4の上流・下流に存在する分子の解析から、IRAK−4を阻害することが炎症反応の抑制、さらには上記疾患の効果的な治療につながることが推察される。酵素活性を欠いたIRAK−4の変異体を発現させた動物では、関節炎の炎症反応が抑制されること(Arthritis & Rheumatism 2009, 60(6), 1661-1671)、IRAK−4直下の分子であるIRAK−1のノックアウトマウスでは腎炎発症が減弱されること(The Journal of Immunology 2006, 176(1), 632-639)が報告されている。またIRAK−4のノックアウトマウスにおいてはストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルのアルブミン尿が減弱すること(Journal of the American Society of Nephrology 2008, SA-FC476)も報告されている。したがってIRAK−4阻害剤は急性及び慢性炎症、自己免疫疾患の治療に高い有効性を示す可能性がある。
【0005】
IRAK−4阻害剤としては、チアゾール又はピリジン誘導体(非特許文献1)が報告され、例えば式(A)の化合物が開示されている。
【化1】

【0006】
別のIRAK−4阻害剤としては、ベンズイミダゾール誘導体(特許文献1)、チエノピリジンなどの二環式複素環誘導体(特許文献2)、イミダゾピリダジン誘導体(特許文献3)、インダゾール側鎖を有するベンズイミダゾール誘導体(特許文献4)、イミダゾピリジン誘導体(非特許文献2)等が報告されている。
【0007】
オキサゾール又はチアゾール誘導体としては、以下のような化合物が報告されている。特許文献5では式(B)の化合物が、特許文献6では式(C)の化合物がtrkA受容体阻害作用を有し、下部尿路疾患及び疼痛への有用性が示されている。しかし当該文献にはIRAK−4に関する活性の開示はなく、本願記載の化合物の開示もない。
(式中の記号は該公報参照。)
【化2】

【0008】
チアゾール誘導体としては、以下のような化合物が報告されている。特許文献7〜9では式(D)の化合物が免疫調節作用を有することが示されている。しかし当該文献にはIRAK−4に関する活性の開示はなく、本願記載の化合物の開示もない。
(式中の記号は該公報参照。)
【化3】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第7132438号明細書
【特許文献2】米国特許第7199119号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/030579号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2008/030584号パンフレット
【特許文献5】欧州特許出願公開第2009005号明細書
【特許文献6】国際公開第2009/054468号パンフレット
【特許文献7】国際公開第2009/074234号パンフレット
【特許文献8】国際公開第2009/074246号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2009/074247号パンフレット
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2008, 18, 3211-3214
【非特許文献2】Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2008, 18, 3656-3660
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、医薬組成物、例えばIRAK−4阻害作用を有する医薬、特にIRAK−4に関係する疾患の予防及び/又は治療剤として有用な化合物の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らはIRAK−4阻害剤について鋭意検討した結果、以下に示すオキサゾール化合物が優れたIRAK−4阻害作用を有し、IRAK−4に関係する疾患の予防剤及び/又は治療剤となりうることを知見して本発明を完成した。
即ち、本発明は式(I)の化合物又はその塩、並びに、式(I)の化合物又はその塩、及び賦形剤を含有する医薬組成物に関する。
【化4】

[式中、
環A: 単環式のヘテロアリール;
R1:単環又は二環式のヘテロアリール;
ここでR1におけるヘテロアリールは、1〜3個のR10で置換されていてもよい;
R2: C(O)NH2、C(O)NH-R0、C(O)NH-R00-OH、C(O)NH-R00-O-R0、C(O)N(R0)2、C(O)NH-シクロアルキル、C(O)NH-ヘテロシクロアルキル、C(O)NH-ピラゾリル、C(O)-R0、C(O)-シクロアルキル、S(O)2NH2、S(O)2NH-R0、S(O)2NH-シクロアルキル、R00-OH、R00-O-R0、R00-(モルホリン-4-イル)、フェニル、オキサジアゾリル又はテトラゾリル;
ここでR2におけるピラゾリルはR0で置換されていてもよく、オキサジアゾリルはR0、R00-OH又はR00-O-R0で置換されていてもよく、テトラゾリルはR0で置換されていてもよい;
R3: H、R0、ハロゲノ低級アルキル、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、C(O)N(R0)2、R00-シクロアルキル、R00-へテロシクロアルキル、R00-フェニル、R00-OH又はR00-O-R0
ここでR3におけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニル及びピリジルは、R0、ハロゲン、C(O)O-R0、C(O)-R0、OH、O-R0、S(O)2-R0、O-ハロゲノ低級アルキル、O-R00-(モルホリン-4-イル)、R00-OH、R00-O-R0、モルホリン-4-イル又はR00-(モルホリン-4-イル)で置換されていてもよい;
R10: 同一又は互いに異なって、R0、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、シクロアルキル、O-R0、置換されていてもよいアミノ、O-ハロゲノ低級アルキル、R00-OH、R00-O-R0又はR00-(置換されていてもよいアミノ);
R0: 同一又は互いに異なって、低級アルキル;
R00: 同一又は互いに異なって、低級アルキレン。]
本明細書中において、上で定義された記号は特に断らない限り同じ意味で用いる。
【0013】
また、本発明は式(I)の化合物又はその塩を含有するIRAK−4に関係する疾患の予防用及び/又は治療用医薬組成物に関する。なお、この医薬組成物は式(I)の化合物又はその塩を含有する、IRAK−4に関係する疾患の予防剤及び/又は治療剤を包含する。
【0014】
また、本発明はIRAK−4に関係する疾患の予防用及び/又は治療用医薬組成物の製造のための式(I)の化合物又はその塩の使用、IRAK−4に関係する疾患の予防及び/又は治療のための式(I)の化合物又はその塩の使用、並びに、式(I)の化合物又はその塩の有効量を患者に投与することからなるIRAK−4に関係する疾患の予防及び/又は治療方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
式(I)の化合物はIRAK−4阻害作用を有することから、IRAK−4に関係する疾患の予防及び/又は治療剤として使用できる。
【0016】
IRAK−4に関係する疾患としては炎症性疾患又は自己免疫疾患、特に、筋骨格および結合組織疾患(関節リウマチ、変形性骨関節症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、痛風等)、臓器移植における拒絶反応、自己炎症性疾患(Muckle-Wells症候群等)、泌尿生殖器疾患(糖尿病性腎症、IgA腎症等の糸球体腎炎、慢性腎不全)、肝疾患(非アルコール性脂肪肝炎等)、感染症(敗血症等)、消化器系疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病等)、皮膚炎症性疾患(アトピー性皮膚炎、乾癬等)、内分泌疾患(糖尿病等)、心血管疾患(動脈硬化等)、中枢疾患(多発性硬化症等)、呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患等)および癌などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1はラットIRAK−4リコンビナントタンパク質アッセイ系において、IRAK−1ペプチド基質のリン酸化活性を表示したものである。縦軸は450nmにおける吸光度を示す。横軸はラットIRAK−4リコンビナントタンパク質の量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本明細書中の定義において「アルキル」及び「アルキレン」とは、特に断らない限り、直鎖又は分枝状の炭化水素鎖を意味する。
【0019】
「低級アルキル」とは、炭素数が1から6(以下C1-6と表記する)のアルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル基等である。別の態様としてはC1-4アルキルであり、さらに別の態様としてはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルである。
【0020】
「低級アルキレン」とは、C1-6のアルキレン、例えばメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、プロピレン、メチルメチレン、メチルエチレン、エチルエチレン、1,2-ジメチルエチレン、1,1,2,2-テトラメチルエチレン基等である。別の態様としてはC1-5アルキレンであり、さらに別の態様としてはメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレンである。
【0021】
「ハロゲン」は、F、Cl、Br、Iを意味する。
【0022】
「ハロゲノ低級アルキル」とは、1個以上のハロゲンで置換された低級アルキルである。別の態様としては1〜5個のハロゲンで置換された低級アルキルであり、さらに別の態様としてはジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチルである。
【0023】
「シクロアルキル」とは、C3-10の飽和炭化水素環基であり、架橋を有していてもよい。例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、アダマンチル基等である。別の態様としてはC3-6シクロアルキルであり、さらに別の態様としてはC7-10シクロアルキルであり、さらに別の態様としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルであり、さらに別の態様としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。
【0024】
「アリール」とは、C6-14の単環〜三環式芳香族炭化水素環基であり、C5-8シクロアルケンとその二重結合部位で縮合した環基を包含する。例えばフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフタレニル、インダニル、インデニル、フルオレニル基等である。別の態様としてはフェニル、ナフチルであり、さらに別の態様としてはフェニルである。
【0025】
「ヘテロ環」基とは、i)酸素、硫黄及び窒素から選択されるヘテロ原子を1〜4個含有する3〜8員の、別の態様としては5〜7員の単環ヘテロ環、並びに、ii)当該単環ヘテロ環が、単環へテロ環、ベンゼン環、C5-8シクロアルカン、及びC5-8シクロアルケンからなる群より選択される1又は2個の環と縮環又はスピロ結合により形成される、酸素、硫黄、及び窒素から選択されるヘテロ原子を1〜5個含有する二〜三環式ヘテロ環、から選択される環基を意味する。環原子である硫黄又は窒素が酸化されオキシドやジオキシドを形成してもよい。
【0026】
「ヘテロ環」として以下の態様が挙げられる。
(1)単環式飽和へテロ環基
(a)1〜4個の窒素原子を含むもの、例えばアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゾカニル;
(b)1〜3個の窒素原子、並びに1〜2個の酸素原子及び/又は1〜2個の硫黄原子を含むもの、例えばオキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモモルホリニル、チアゼパニル;
(c)1〜2個の酸素原子を含むもの、例えばオキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソラニル、1,4-ジオキサニル;
(d)1〜2個の硫黄原子を含むもの、例えばテトラヒドロチオフラニル、テトラヒドロチオピラニル;
(e)1〜2個の酸素原子及び1〜2個の硫黄原子を含むもの、例えばオキサチオラニル;
【0027】
(2)単環式不飽和へテロ環基
(a)1〜4個の窒素原子を含むもの、例えばピロリル、ピロリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ジヒドロピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、ジヒドロトリアジニル、アゼピニル;
(b)1〜3個の窒素原子、並びに1〜2個の酸素原子及び/又は1〜2個の硫黄原子を含むもの、例えばオキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、ジヒドロチアジニル、オキサジニル;
(c)1〜2個の酸素原子を含むもの、例えばフリル、ジオキソリル、ピラニル、オキセピニル;
(d)1〜2個の硫黄原子を含むもの、例えばチエニル、ジヒドロチオフェニル、ジヒドロジチオピラニル、ジヒドロジチオニル、チエピニル;
(e)1〜2個の酸素原子及び1〜2個の硫黄原子を含むもの、例えばジヒドロオキサチオピラニル;
【0028】
(3)縮合多環式飽和へテロ環基
(a)1〜5個の窒素原子を含むもの、例えばキヌクリジニル、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル;
(b)1〜4個の窒素原子、並びに1〜3個の酸素原子及び/又は1〜3個の硫黄原子を含むもの、例えば2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、トリチアジアザインデニル、ジオキソロイミダゾリジニル;
(c)1〜3個の酸素原子及び/又は1〜3個の硫黄原子を含むもの、例えばオキサビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2,6-ジオキサビシクロ[3.2.2]オクチル;
【0029】
(4)縮合多環式不飽和へテロ環基
(a)1〜5個の窒素原子を含むもの、例えばインドリル、インドリニル、イソインドリル、イソインドリニル、インドリジニル、インダゾリル、ジヒドロインダゾリル、ベンズイミダゾリル、ジヒドロベンズイミダゾリル、テトラヒドロベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、ジヒドロピロロピラジニル、ピラゾロピリジニル、テトラヒドロピラゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、テトラヒドロイミダゾピリジニル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、キノリル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ジヒドロキノキサリニル、テトラヒドロキノキサリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、テトラゾロピリダジニル;
(b)1〜4個の窒素原子、並びに1〜3個の酸素原子及び/又は1〜3個の硫黄原子を含むもの、例えばベンズオキサゾリル、ジヒドロベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、チエノピリジニル、ジヒドロベンズオキサジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル;
(c)1〜3個の酸素原子を含むもの、例えばベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾジオキソリル、クロメニル、クロマニル、エチレンジオキシフェニル、キサンテニル、ジベンゾ[b,d]フラニル;
(d)1〜3個の硫黄原子を含むもの、例えばベンゾチオフェニル、ベンゾジチオピラニル、ジベンゾ[b,d]チオフェニル;
(e)1〜3個の酸素原子及び1〜3個の硫黄原子を含むもの、例えばベンゾオキサチオピラニル;
など。
【0030】
「含窒素へテロ環」とは、上記の「へテロ環」のうち(1)-(a)、(1)-(b)、(2)-(a)、(2)-(b)、(3)-(a)、(3)-(b)、(4)-(a)、及び(4)-(b)等のように、少なくとも1個の窒素原子を含むものを言う。
【0031】
「ヘテロアリール」とは、上記の「へテロ環」の(2)のうち芳香環の環基、若しくは(4)のうち少なくとも一つの芳香環を構成要素に持つへテロ環基であり、ある態様としては、環を構成する炭素原子に結合手を有する基を意味する。
例えばピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フリル、チエニル等の単環式ヘテロアリール;
インドリル、インドリニル、イソインドリル、イソインドリニル、インドリジニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、イミダゾピリジニル、ベンゾトリアゾリル、プリニル、ベンゾジオキソリル、キノリル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、チエノピリジニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾジオキソリル、クロメニル、クロマニル、エチレンジオキシフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾジチオピラニル、ベンゾオキサチオピラニル等の二環式ヘテロアリール;
カルバゾリル、アクリジニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、ジベンゾ[b,d]チオフェニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル等の三環式ヘテロアリールであり;
別の態様としてはピラゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、オキサゾリル、チアゾリル、オキサジアゾリル、フリル、チエニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、イミダゾピリジニル、キノリル、ベンズオキサゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾジオキソリルであり;
さらに別の態様としてはピラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、フリル、チエニル、インドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、イミダゾピリジニル、キノリル、ベンズオキサゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾジオキソリルであり;
またさらに別の態様としてはピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、チエニルである。
【0032】
「ヘテロシクロアルキル」とは、上記の「へテロ環」の(1)及び(3)のように、環原子間の結合が単結合のみからなるヘテロ環基であり、ある態様としては、環を構成する炭素原子に結合手を有する基を意味する。例えばアジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゾカニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモモルホリニル、チアゼパニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソラニル、1,4-ジオキサニル、テトラヒドロチオフラニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサチオラニル、キヌクリジニル、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、トリチアジアザインデニル、ジオキソロイミダゾリジニル、オキサビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2,6-ジオキサビシクロ[3.2.2]オクチルであり、別の態様としてはアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジル、アゼパニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソラニル、1,4-ジオキサニル、テトラヒドロチオフラニル、テトラヒドロチオピラニルであり、さらに別の態様としてはアゼチジニル、ピペリジル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソラニル、テトラヒドロチオピラニルである。
【0033】
「置換されていてもよいアミノ」とは、NH2、あるいは1又は2個の任意の基で置換されたアミノ基を意味し、環を構成する窒素原子に結合手を有する「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」を包含する。ここで「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」は置換されていてもよい。
【0034】
「1又は2個の任意の基で置換されたアミノ基」における置換基のある態様としては、R0、ハロゲノ低級アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、C(O)O-R0、C(O)-R0、C(O)-ハロゲノ低級アルキル、R00-シクロアルキル、R00-へテロシクロアルキル、R00-フェニル、R00-ヘテロアリール、R00-C(O)OH、R00-C(O)O-R0、R00-シアノ、R00-OH、R00-O-R0及びR00-S(O)2-R0から選択される基であり、ここでシクロアルキルはハロゲン、オキソ、OH又はO-R0で置換されていてもよく、ヘテロシクロアルキルはR0又はOHで置換されていてもよく、フェニルはハロゲン又はO-ハロゲノ低級アルキルで置換されていてもよい。
【0035】
環を構成する窒素原子に結合手を有する「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」のある態様としては、1-アジリジニル、1-アゼチジニル、1-ピロリジニル、1-ピラゾリジニル、1-イミダゾリジニル、1-ピペリジル、1-ピペラジニル、1-アゼパニル、1-ジアゼパニル、1-アゾカニル、3-オキサゾリジニル、2-イソオキサゾリジニル、3-チアゾリジニル、2-イソチアゾリジニル、4-モルホリニル、4-チオモルホリニル、4-ホモモルホリニル、4-チアゼパニル、1-ピロリル、1-ピラゾリル、1-イミダゾリル、1-トリアゾリル、1-テトラゾリル、1-インドリル、1-インドリニル、2-イソインドリル、2-イソインドリニル、1-インダゾリル、1-ベンズイミダゾリル、1-ベンゾトリアゾリル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-イル、9-カルバゾリル、10-フェノキサジニル、10-フェノチアジニルであり、別の態様としては1-ピロリジニル、1-ピペリジル、1-ピペラジニル、1-アゼパニル、1-ジアゼパニル、4-モルホリニル、4-ホモモルホリニル、1-ピラゾリル、1-イミダゾリル、1-トリアゾリル、1-インドリニル、2-イソインドリニル、1-ベンズイミダゾリル、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-1-イル、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-2-イルであり、さらに別の態様としては1-ピロリジニル、1-ピペリジル、1-ピペラジニル、1-アゼパニル、1-ジアゼパニル、4-モルホリニル、4-ホモモルホリニル、であり、さらに別の態様としては1-ピロリジニル、1-ピペリジル又は4-モルホリニルである。
【0036】
また、環を構成する窒素原子に結合手を有する「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」における置換基のある態様としては、R0、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、OH、O-R0、R00-OH及びR00-O-R0から選択される基である。
【0037】
本明細書において「置換されていてもよい」とは、無置換、又は置換基を1乃至5個有していることを意味する。なお、複数個の置換基を有する場合、それらの置換基は同一であっても、互いに異なっていてもよい。
【0038】
本発明の式(I)の化合物のある態様としては式(II)、(III)又は(IV)の化合物、別の態様としては式(II)の化合物、さらに別の態様としては式(III)の化合物、さらに別の態様としては式(IV)の化合物である。
【化5】

[式中、
R2a: C(O)NH2、C(O)NH-R0、C(O)NH-シクロアルキル、C(O)-R0、C(O)-シクロアルキル、S(O)2NH2、S(O)2NH-R0、オキサジアゾリル又はテトラゾリル;
ここでR2aにおけるオキサジアゾリルはR0、R00-OH又はR00-O-R0で置換されていてもよく、テトラゾリルはR0で置換されていてもよい;
R3a: H、R0、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、フェニル、ピリジル、R00-シクロアルキル、R00-へテロシクロアルキル、R00-OH又はR00-O-R0
ここでR3aにおけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニル及びピリジルは、R0、ハロゲン、C(O)-R0、OH又はO-R0で置換されていてもよい。]
【化6】

[式中、
R2b: C(O)NH2、C(O)NH-R0、C(O)NH-シクロアルキル、C(O)-R0、C(O)-シクロアルキル、S(O)2NH2、S(O)2NH-R0、オキサジアゾリル又はテトラゾリル;
ここでR2bにおけるオキサジアゾリルはR0、R00-OH又はR00-O-R0で置換されていてもよく、テトラゾリルはR0で置換されていてもよい;
R3b: H、R0、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、フェニル、ピリジル、R00-シクロアルキル、R00-へテロシクロアルキル、R00-OH又はR00-O-R0
ここでR3bにおけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニル及びピリジルは、R0、ハロゲン、C(O)-R0、OH又はO-R0で置換されていてもよい。]
【化7】

[式中、
R2c: C(O)NH2、C(O)NH-R0、C(O)NH-シクロアルキル、C(O)-R0、C(O)-シクロアルキル、S(O)2NH2、S(O)2NH-R0、オキサジアゾリル又はテトラゾリル;
ここでR2cにおけるオキサジアゾリルはR0、R00-OH又はR00-O-R0で置換されていてもよく、テトラゾリルはR0で置換されていてもよい;
R3c: H、R0、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、フェニル、ピリジル、R00-シクロアルキル、R00-へテロシクロアルキル、R00-OH又はR00-O-R0
ここでR3cにおけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニル及びピリジルは、R0、ハロゲン、C(O)-R0、OH又はO-R0で置換されていてもよい。]
【0039】
本発明のある態様を以下に示す。
(1)R1のある態様としてはそれぞれR10で置換されていてもよいピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、フリル、チエニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ピロロピリジニル、イミダゾピリジニル、キノリル又はベンズオキサゾリルであり、別の態様としてはそれぞれR10で置換されていてもよいピリジル又はキノリルであり、さらに別の態様としてはそれぞれR10で置換されていてもよいピリジン-4-イル又はキノリン-4-イルであり、さらに別の態様としてはR10で置換されていてもよいピリジン-4-イルであり、さらに別の態様としては2位及び6位がR10で置換されたピリジン-4-イルであり、さらに別の態様としては2位がR10で置換されたピリジン-4-イルである。
(2)R2、R2a、R2b及びR2cのある態様としてはC(O)NH2、C(O)NH-R0、S(O)2NH2、又は5-(メトキシメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イルであり、別の態様としてはC(O)NH2又はC(O)NH-R0であり、さらに別の態様としてはC(O)NH2である。
(3)R3、R3a、R3b及びR3cのある態様としてはR0、へテロシクロアルキル、フェニル、ピリジル、R00-へテロシクロアルキル、R00-OH又はR00-O-R0であり、ここでヘテロシクロアルキル、フェニル及びピリジルは、R0、ハロゲン又はO-R0で置換されていてもよく;別の態様としてはR0、へテロシクロアルキル、ピリジル、R00-へテロシクロアルキル又はR00-O-R0である。
(4)R10のある態様としてはR0、ハロゲン、置換されていてもよいアミノ、又はR00-(置換されていてもよいアミノ)であり、別の態様としてはR0であり、さらに別の態様としてはハロゲンであり、さらに別の態様としては置換されていてもよいアミノである。
ここに、「置換されていてもよいアミノ」のある態様としては、( i )NH2、( ii )1若しくは2個のR0、ハロゲノ低級アルキル、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、C(O)-R0、C(O)-ハロゲノ低級アルキル、R00-シクロアルキル、R00-へテロシクロアルキル、R00-OH及びR00-O-R0から選択される基で置換されたアミノ、又は( iii )1-ピロリジニル若しくは4-モルホリニルであり、別の態様としては、( iv )NH2、( v )1若しくは2個のR0、ハロゲノ低級アルキル、シクロアルキル、R00-シクロアルキル及びR00-O-R0から選択される基で置換されたアミノ、又は( vi )4-モルホリニルである。
【0040】
本発明の式(I)〜(IV)の化合物のある態様としては、上記(1)〜(4)に記載の基の態様の1以上の組み合わせからなる化合物が挙げられ、具体的には、例えば以下の組み合わせが挙げられる。
(5)R1が2位がR10で置換されたピリジン-4-イルであり、R2がC(O)NH2であり、R3がR0、へテロシクロアルキル、ピリジル、R00-へテロシクロアルキル又はR00-O-R0である、式(II)の化合物。
(6)R1が2位がR10で置換されたピリジン-4-イルであり、R2がC(O)NH2であり、R3がR0である、式(III)の化合物。
(7)R1が2位がR10で置換されたピリジン-4-イルであり、R2がC(O)NH2であり、R3がR0である、式(IV)の化合物。
【0041】
式(I)の化合物には、置換基の種類によって互変異性体や幾何異性体が存在しうる。本明細書中、式(I)の化合物が異性体の一形態のみで記載されることがあるが、本発明はそれ以外の異性体も包含し、異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
また、式(I)の化合物には不斉炭素原子や軸不斉を有する場合があり、これに基づく光学異性体が存在しうる。本発明は、式(I)の化合物の光学異性体の分離されたもの、あるいはそれらの混合物も包含する。
【0042】
さらに、本発明は式(I)の化合物の製薬学的に許容されるプロドラッグも包含する。製薬学的に許容されるプロドラッグとは、加溶媒分解により又は生理学的条件下で、アミノ基、水酸基、カルボキシル等に変換されうる基を有する化合物である。プロドラッグを形成する基としては、例えばProg. Med., 5, 2157-2161 (1985)や「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)第7巻 分子設計163-198に記載の基が挙げられる。
【0043】
また、式(I)の化合物の塩とは、式(I)の化合物の製薬学的に許容される塩であり、置換基の種類によって、酸付加塩又は塩基との塩を形成する場合がある。具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、リシン、オルニチン等の有機塩基との塩、アセチルロイシン等の各種アミノ酸及びアミノ酸誘導体との塩やアンモニウム塩等が挙げられる。
【0044】
さらに、本発明は式(I)の化合物及びその塩の各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形の物質も包含する。また、本発明は種々の放射性又は非放射性同位体でラベルされた化合物も包含する。
【0045】
(製造法)
式(I)の化合物及びその塩は、その基本構造あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料から中間体へ至る段階で適当な保護基(容易に当該官能基に転化可能な基)に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。このような保護基としては、例えばウッツ(P. G. M. Wuts)及びグリーン(T. W. Greene)著、「Greene's Protective Groups in Organic Synthesis(第4版、2006年)」に記載の保護基等を挙げることができ、これらの反応条件に応じて適宜選択して用いればよい。このような方法では、当該保護基を導入して反応を行ったあと、必要に応じて保護基を除去することにより、所望の化合物を得ることができる。
また、式(I)の化合物のプロドラッグは、上記保護基と同様、原料から中間体へ至る段階で特定の基を導入、あるいは得られた式(I)の化合物を用いてさらに反応を行うことで製造できる。反応は通常のエステル化、アミド化、脱水等、当業者に公知の方法を適用することにより行うことができる。
以下、式(I)の化合物の代表的な製造法を説明する。各製法は、当該説明に付した参考文献を参照して行うこともできる。なお、本発明の製造法は以下に示した例には限定されない。
【0046】
【化8】

式(I)の化合物は、カルボン酸(1)とアミン(2)との反応により得ることができる。
この反応では、カルボン酸(1)とアミン(2)とを等量若しくは一方を過剰量用い、これらの混合物を、縮合剤の存在下、反応に不活性な溶媒中、冷却下から加熱下、好ましくは-20℃〜60℃において、通常0.1時間〜5日間撹拌する。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン若しくはキシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン若しくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル又は水、及びこれらの混合物が挙げられる。縮合剤の例としては、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1,1’-カルボニルジイミダゾール、ジフェニルリン酸アジド、オキシ塩化リンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。添加剤(例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)を用いることが反応に好ましい場合がある。トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン若しくはN-メチルモルホリン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、炭酸ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の無機塩基の存在下で反応を行うことが、反応を円滑に進行させる上で有利な場合がある。
また、カルボン酸(1)を反応性誘導体へ変換した後にアミン(2)と反応させる方法も用いることができる。カルボン酸の反応性誘導体の例としては、オキシ塩化リン、塩化チオニル、オキサリルクロリド等のハロゲン化剤と反応して得られる酸ハロゲン化物、クロロギ酸イソブチル等と反応して得られる混合酸無水物、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール等と縮合して得られる活性エステルが挙げられる。これらの反応性誘導体とアミン(2)との反応は、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類、エーテル類等の反応に不活性な溶媒中、冷却下〜加熱下、好ましくは、-78℃〜60℃で行うことができる。
なお参考文献として、S. R. Sandler及びW. Karo著、「Organic Functional Group Preparations」、第2版、第1巻、Academic Press Inc.、1991年、あるいは日本化学会編、「第5版 実験化学講座(第16巻)」、丸善、2005年などを挙げることができる。
【0047】
式(I)の化合物における基R1、R2及びR3上の種々の置換基は、式(I)の化合物を原料として、後述の実施例記載の反応、当業者にとって自明である反応、又はこれらの変法を用いることにより、他の官能基へと容易に変換することができる。例えば、O-アルキル化、N-アルキル化、還元、加水分解、アミド化等、当業者が通常採用し得る工程を任意に組み合わせて行うことができる。
【0048】
(原料化合物の製造)
上記製造法における原料化合物は、例えば下記の方法、後述の製造例に記載の方法、公知の方法、あるいはそれらの変法を用いて製造することができる。
(原料合成1)
【化9】

(式中、HalはCl、Br又はIを示す。以下同様。)
化合物(5)は、化合物(3)と、化合物(4)若しくはそのエステル体とのカップリング反応により得ることができる。
この反応では化合物(3)と(4)若しくはそのエステル体を等量、あるいは一方を過剰に用い、これらの混合物を、反応に不活性な溶媒中、塩基及びパラジウム触媒の存在下、室温〜加熱還流下で、通常0.1時間〜5日間撹拌することによって行われる。本反応は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。ここで用いられる溶媒の例としては、特に限定はされないが、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル類、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン若しくはクロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール等のアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。塩基としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が好ましい。パラジウム触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)-1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン等が好ましい。
〔文献〕
A. d. Meijere及びF. Diederich編、「Metal-Catalyzed Cross-Coupling Reactions」、第1版、VCH Publishers Inc.、1997年
日本化学会編、「第5版 実験化学講座(第13巻)」、丸善、2005年
【0049】
(原料合成2)
【化10】

化合物(8)は、化合物(6)と化合物(7)とのアミド化反応によって得ることができる。化合物(9)は化合物(8)の脱水環化反応、例えばOrganic Letters 2000, 2(8), 1165-1168に記載の方法を参考に製造することができる。化合物(10)は化合物(9)の酸化反応、例えばOrganic Letters 2000, 2(8), 1165-1168に記載の方法を参考に製造することができる。化合物(1a)は、化合物(10)から通常の加水分解の方法によって得ることができる。
【0050】
式(I)の化合物は、遊離化合物、その塩、水和物、溶媒和物、あるいは結晶多形の物質として単離され、精製される。式(I)の化合物の塩は、常法の造塩反応に付すことにより製造することもできる。
単離、精製は、抽出、分別結晶化、各種分画クロマトグラフィー等、通常の化学操作を適用して行われる。
各種の異性体は、適当な原料化合物を選択することにより製造でき、あるいは異性体間の物理化学的性質の差を利用して分離することができる。例えば光学異性体は、ラセミ体の一般的な光学分割法(例えば光学活性な塩基又は酸とのジアステレオマー塩に導く分別結晶化や、キラルカラム等を用いたクロマトグラフィー等)により得られ、また、適当な光学活性な原料化合物から製造することもできる。
【0051】
式(I)の化合物の薬理活性は、以下の試験により確認した。
試験例1:ラットIRAK−4阻害試験
1−1:ラットIRAK−4リコンビナントタンパク質の調製
a) ラットIRAK−4クローニング
配列番号5で示されるrat IRAK-4 FLAGFプライマー及び配列番号6で示されるrat IRAK-4 Rプライマーを用いて、ラット脾臓cDNAライブラリーよりPCR法によりラットIRAK-4遺伝子のクローニングを行った。
PCR反応にはPyrobest (登録商標) DNA Polymerase (TAKARA BIO, #R005A)を使用した。製品に添付の10× Pyrobest Buffer (5μL)、dNTP Mixture (4μL)、Pyrobest (0.25μL)及び超純水 (34.75μL)を混合した後、template (4μL)と40μM プライマーをフォワード側、リバース側各1μL添加し、PCR反応液とした。PCR反応は、98℃で10秒処理後、98℃ (10秒)/55℃ (30秒)/72℃ (2.5分)を1サイクルとして、40サイクル実施した。クローニングしたラットIRAK-4塩基配列を配列番号1に、推定アミノ酸配列を配列番号2に示す。
配列番号2で示されるアミノ酸配列、GenBank Reference Sequence (NCBI, RefSeq)データベースに登録のヒトIRAK-4アミノ酸配列 (NM_001114182)及びマウスIRAK-4アミノ酸配列 (NM_029926) について、Clustal W法によるアライメントを行った。その結果、配列番号2で示されるアミノ酸配列はヒト及びマウスIRAK-4アミノ酸配列とそれぞれ84.1%及び92.6%の相同性を示した。また、GenBank Reference Sequence (NCBI, RefSeq)データベースに登録のラットゲノム配列由来の推定IRAK-4アミノ酸配列(NM_001106791)とのClustal W法によるアライメントを行った結果、配列番号2で示されるアミノ酸配列は98.7%の相同性を示し、クローニングしたcDNAがラットIRAK-4配列であることを強く示唆した。
【0052】
b)ラットIRAK−4リコンビナントタンパク質の調製
上記で得られたDNA断片をpFastBac HTベクターにクローニングし、Bac-to-Bacバキュロウイルス発現システム(インビトロジェン社)を用いて、ラットIRAK-4発現バキュロウイルスを調製した。ラットIRAK-4発現バキュロウイルスを感染させたSf9細胞より、Anti-FLAG M2アフィニティーゲル(Sigma社)を用いて、ラットIRAK-4リコンビナントタンパク質を調製した。
ラットIRAK-4発現バキュロウイルスで発現させたラットIRAK-4融合遺伝子の塩基配列を配列番号3に、融合タンパク質の推定アミノ酸配列を配列番号4に示す。この融合タンパク質は、開始コドンMetの下流にpFastBac HTベクター由来のHisタグ及びリコンビナントタンパク質の精製に用いたFLAGタグが融合している。また、終止コドンの前にベクター由来の配列が融合している。
【0053】
c)ラットIRAK−4リコンビナントタンパク質の活性確認
IRAK-4活性はIRAK-1ペプチド基質のリン酸化活性で確認することができる(Proceedings of the National Academy of Sciences 2002, 99(8), 5567-5572)。上記で得られたリコンビナントタンパク質を、IRAK-1ペプチド基質の存在下/非存在下、ATPの存在下/非存在下で反応させることによって、リコンビナントタンパク質のIRAK-4活性を検討した。
Neutravidin 500 ng (Sigma社)をプレートに添加し、一晩静置させた。翌日TBST(50mM Tris-Cl (pH7.5), 150 mM NaCl, 0.05% Tween20)で2回洗浄し、0又は12.5pmolのbiotin-IRAK-1ペプチド基質(biotin-spacer-FGL ARF SRF AGS SPS QSS MVA RTQ TVR GTL A-COOH)(Proceedings of the National Academy of Sciences 2002, 99(8), 5567-5572)を添加し、1時間静置させた。その後TBSTで3回洗浄し、ブロッキング液(Blocking one(ナカライテスク社)をPBSで5倍希釈したもの)を加え、1時間静置させた。TBSTで3回洗浄後、リコンビナントタンパク質(0, 3, 10, 30 ng)及びATP(終濃度0又は5μM)を25mM Tris-Cl (pH7.5), 10mM MgCl2, 1mM DTT, 0.1% Bovine serum albuminの反応バッファー中で攪拌し、プレートに添加した。室温で1時間反応させた後、TBSTで4回洗浄し、Phospho-IRAK-1(Thr387)Antibody(Cell Signaling Technology社)をTBSTで1000倍希釈したものを1次抗体としてプレートに添加し、2時間反応させた。TBSTで4回洗浄後、HRP-anti-rabbit IgG(Cell Signaling Technology社)をTBSTで500倍希釈したものを2次抗体としてプレートに添加し1時間反応させた。プレートをTBSTで4回洗浄後、ペルオキシダーゼ発色キット・ELISA用(住友ベークライト社)を用いて発色させた。方法はキットに添付の方法に従い、発色反応は20分とした。IRAK-4活性は450nmの吸光度として測定した。取得されたリコンビナントタンパク質は、用量依存的なIRAK-4活性の上昇を示した(図1)。
【0054】
1−2:ラットIRAK−4阻害活性の測定
Avidin 150ng(Sigma社)をプレートに添加し、一晩静置させた。翌日TBSTで2回洗浄し、biotin-IRAK-1ペプチド基質17.5pmolを添加し、1時間静置させた。その後TBSTで3回洗浄し、ブロッキング液(Blocking one(ナカライテスク社)をPBSで5倍希釈したもの)を加え、1時間静置させた。TBSTで3回洗浄後、ラットIRAK-4酵素、被験化合物、ATP(終濃度80μM)を25mM Tris-Cl (pH7.5), 10mM MgCl2, 1mM DTT, 0.1% Bovine serum albuminの反応バッファー中で攪拌し、プレートに添加した。室温で1時間インキュベートした後、TBSTで3回洗浄し、Phospho-IRAK-1(Thr387)AntibodyをTBSTで1000倍希釈したものを1次抗体としてプレートに添加し、2時間反応させた。TBSTで3回洗浄後、HRP-anti-rabbit IgGをTBSTで1000倍希釈したものを2次抗体としてプレートに添加し1時間反応させた。プレートをTBSTで7回洗浄した後、TMB peroxidase substrateとPeroxidase substrate solution B(ともにKirkegaard & Perry Laboratories社)を等量混合したものをプレートに添加した。室温で10分間インキュベートした後、1M硫酸を添加して反応を停止させた。酵素活性は450nmの吸光度として測定した。被験化合物のIRAK-4阻害活性は、IRAK-4活性を50%抑制する被験化合物の濃度(IC50値)とした。酵素未添加時の抑制率を100%、被験化合物未添加時の抑制率を0%とし、logistic法により化合物のIC50値を算出した。
【0055】
試験例2:ヒト肺上皮細胞株A549を用いたIL−1β刺激IL−6産生阻害試験
A549細胞を4×104cells/160μL/wellで96well plateに播種し(1日目)、一晩培養させた。翌日、被験化合物(20μL/well)を添加して1時間インキュベートした後、IL-1β(R&D Systems, Inc.)を終濃度1ng/mLになるように(20μL/well)添加した。このとき、各プレートに無刺激群としてIL-1βを添加しないwellを設けた。一晩培養後(3日目)、培養上清を採取し、上清中のIL-6量を測定した。すぐに測定できない場合は、採取した培養上清を-20℃以下で凍結保存後、溶解し測定した。上清中のIL-6量はHuman IL-6 DuoSet Economy Pack(R&D Systems, Inc.)を用いてキットに添付の方法に従い定量し、450nmの吸光度として測定した。被験化合物のIL-6産生阻害活性は、IL-6産生を50%抑制する被験化合物の濃度(IC50値)とした。無刺激群の抑制率を100%、被験化合物未添加時の抑制率を0%とし、logistic法により化合物のIC50値を算出した。
【0056】
いくつかの化合物の結果を表1に示す。表中Exは後記実施例化合物番号、rIRAK4はラットIRAK−4阻害活性のIC50値(nM)、及びIL-6はIL-6産生阻害活性のIC50値(nM)を示す。
【0057】
【表1】

【0058】
試験例3:ラットコラーゲン誘発関節炎モデル
3−1:ラットコラーゲン関節炎の誘発、薬剤投与
0.1M酢酸水溶液にウシ由来II型コラーゲン(コラーゲン技術研修会)を溶解して2 mg/mLの溶液とし、等量のIncomplete Freund Adjuvant (Difco Laboratories社)と乳濁化することにより、終濃度1mg/mLのコラーゲン乳濁液を作成した。7週齡の雌性Lewis系ラットを、体重を指標に群分け後、無処置群以外のラットに、麻酔下で、上記のコラーゲン乳濁液0.5mLを除毛した背部に10ヶ所以上、尾根部の左右2ヶ所に分けて皮内投与した。この初回免疫日を0日目とした。さらに7日目に上記コラーゲン乳濁液0.1mLを尾根部に2ヶ所に分けて皮内投与し、追加免疫した。無処置群には免疫を行わなかった。被験化合物は、初回免疫日(若しくは初回免疫日翌日)から21日目まで、又は初回免疫日7日目(若しくは8日目)から21日目まで、連続経口投与した。
【0059】
3−2:コラーゲン関節炎の評価
ラット左右後肢の容量を、ラット足容積測定装置(室町器械)を用いて、水置換法にて7日目、14日目及び21日目に測定した。関節炎の指標とする後肢腫脹は、7日目の足容積値を元に、左右足容積の変化を平均値として表示した。
【0060】
試験例4:抗糸球体基底膜抗体誘発糸球体腎炎モデル
ラット抗糸球体基底膜(GBM)抗体はラットGBMをウサギ(日本白色種ヘルシー)に免疫することにより作製した。
WKYラット(日本チャールズリバー)は雄、7週齢、体重約180gを用いた。
抗GBM血清(0.1mL)をWKYラットに尾静脈から注射することにより腎炎を惹起した。ラットは体重により群分けし、腎炎惹起直後から実験最終日まで被験化合物を1日2回、毎日経口投与した。採尿は腎炎惹起後3、7、14、21日目に行った。実験終了時に腹部大静脈からの採血と採腎を行った。尿サンプルから尿量と蛋白濃度、N-Acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG)活性、クレアチニン濃度を測定した。血漿サンプルからBUN、クレアチニン、総コレステロール含量を測定した。また、放血致死後に左腎を摘出し、その湿重量を測定した。
各パラメーターは以下のキットを用いて測定した。
蛋白濃度:マイクロTPテストワコー(ピロガロールレッド法、和光純薬工業)
NAG活性:NAGテストシオノギ(塩野義製薬)
クレアチニン:CRE-ENカイノス(酵素法、カイノス)
BUN:BUNカイノス(カイノス)
コレステロール:デタミナTC555(協和メディックス)
【0061】
試験例5:db/dbマウスアルブミン尿モデル
動物はII型糖尿病自然発症マウスであるdb/dbマウス(雄、体重約30g、日本クレア)及び対照マウスであるdb/mマウス(雄、体重約25g、日本クレア)を用いた。
db/dbマウスは7週齢における尿中アルブミン濃度及び血糖値がほぼ均一になるように群分けし、8週齢から被験化合物を1日2回、毎日経口投与した。採尿は試験開始後毎週、11週齢目まで行った。実験終了時に腹部大静脈からの採血と採腎を行った。尿サンプルから尿量、アルブミン濃度、クレアチニン濃度およびMCP-1濃度を測定した。血漿サンプルからクレアチニンおよびグルコース濃度を測定した。
各パラメーターは以下の方法又はキットを用いて測定した。
アルブミン濃度:ELISA法
クレアチニン:CRE-ENカイノス(酵素法、カイノス)
MCP-1:DuoSet mouse MCP-1 (R&D Systems)
グルコース:グルコースCII-テストワコー(和光純薬工業)
【0062】
上記の各試験の結果、式(I)の化合物はIRAK−4阻害活性、及び細胞系におけるIL−1刺激IL−6産生を阻害する活性を有することが確認された。また式(I)の化合物は関節炎の炎症反応、糸球体腎炎、及び糖尿病性腎症に対する抑制効果を有することが確認された。したがって式(I)の化合物は、医薬品として、殊に、IRAK−4に関係する疾患、例えば炎症性疾患又は自己免疫疾患、特に、筋骨格および結合組織疾患(関節リウマチ、変形性骨関節症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、強皮症、痛風等)、臓器移植における拒絶反応、自己炎症性疾患(Muckle-Wells症候群等)、泌尿生殖器疾患(糖尿病性腎症、IgA腎症等の糸球体腎炎、慢性腎不全)、肝疾患(非アルコール性脂肪肝炎等)、感染症(敗血症等)、消化器系疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病等)、皮膚炎症性疾患(アトピー性皮膚炎、乾癬等)、内分泌疾患(糖尿病等)、心血管疾患(動脈硬化等)、中枢疾患(多発性硬化症等)、呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患等)及び癌等の治療又は予防薬として有用である。
【0063】
試験例6:チトクロームP450(CYP)3A4酵素阻害試験
6−1:阻害試験I(阻害活性Iの算出)
96穴プレートを用いて、基質(ミダゾラム)、試験化合物及びヒト肝ミクロゾーム(0.1 mg protein/mL)を0.1mM EDTA、1mM NADPHを含む100mM リン酸緩衝液中で20分間37℃でインキュベーションした。その後アセトニトリル80%含有水溶液を加えて反応を停止した。その後サンプルをLC/MSで分析し、次式を用いて阻害活性Iを算出した。
阻害活性I(%)=100−Vi,I/V0,I×100
Vi,I:阻害試験Iで既知濃度の試験化合物存在下における基質の代謝速度
V0,I:阻害試験Iで試験化合物非存在下における基質の代謝速度
6−2:阻害試験II(阻害活性IIの算出)
96穴プレートを用いて、試験化合物及びヒト肝ミクロゾーム(0.1 mg protein/mL)を0.1mM EDTA、1mM NADPHを含む100mM リン酸緩衝液(pH=7.4)の総量145 μL中で、30分間37℃でインキュベーションした。その後、基質であるミダゾラムを添加して20分間37℃でインキュベーションした。インキュベーション後、アセトニトリル80%含有水溶液をを加えて反応を停止した。その後サンプルをLC/MSで分析し、次式を用いて阻害活性IIを算出した。
阻害活性II(%)=100−Vi,II/V0,II/(100−阻害活性I(%))×100×100
Vi,II:阻害試験IIで既知濃度の試験化合物存在下における基質の代謝速度
V0,II:阻害試験IIで試験化合物非存在下における基質の代謝速度
【0064】
いくつかの式(I)の化合物は、チトクロームP450等の代謝酵素を阻害しない又はその産生を誘導しない化合物であることを確認した。
【0065】
式(I)の化合物又はその塩の1種又は2種以上を有効成分として含有する医薬組成物は、当分野において通常用いられている賦形剤、即ち薬剤用賦形剤や薬剤用担体等を用いて、通常使用されている方法によって調製することができる。
投与は錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤等による経口投与、又は関節内、静脈内、筋肉内等の注射剤、坐剤、点眼剤、眼軟膏、経皮用液剤、軟膏剤、経皮用貼付剤、経粘膜液剤、経粘膜貼付剤、吸入剤等による非経口投与のいずれの形態であってもよい。
【0066】
経口投与のための固体組成物としては、錠剤、散剤、顆粒剤等が用いられる。このような固体組成物においては、1種又は2種以上の有効成分を、少なくとも1種の不活性な賦形剤と混合される。組成物は、常法に従って、不活性な添加剤、例えば滑沢剤や崩壊剤、安定化剤、溶解補助剤を含有していてもよい。錠剤又は丸剤は必要により糖衣又は胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液体組成物は、薬剤的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤等を含み、一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水又はエタノールを含む。当該液体組成物は不活性な希釈剤以外に可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤を含有していてもよい。
【0067】
非経口投与のための注射剤は、無菌の水性若しくは非水性の溶剤、懸濁剤、又は乳濁剤を含有する。水性の溶剤としては、例えば注射用蒸留水又は生理食塩液が含まれる。非水性の溶剤としては、例えばエタノールのようなアルコール類がある。このような組成物は、さらに等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、又は溶解補助剤を含んでもよい。これらは例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合、又は照射によって無菌化される。また、これらは無菌の固体組成物を製造し、使用前に無菌水又は無菌の注射用溶媒に溶解又は懸濁して使用することもできる。
【0068】
外用剤としては、軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ゼリー剤、パップ剤、噴霧剤、ローション剤、点眼剤、眼軟膏等を包含する。一般に用いられる軟膏基剤、ローション基剤、水性又は非水性の液剤、懸濁剤、乳剤等を含有する。
【0069】
吸入剤や経鼻剤等の経粘膜剤は固体、液体又は半固体状のものが用いられ、従来公知の方法に従って製造することができる。例えば公知の賦形剤や、更に、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、滑沢剤、安定剤や増粘剤等が適宜添加されていてもよい。投与は、適当な吸入又は吹送のためのデバイスを使用することができる。例えば、計量投与吸入デバイス等の公知のデバイスや噴霧器を使用して、化合物を単独で又は処方された混合物の粉末として、若しくは医薬的に許容し得る担体と組み合わせて溶液又は懸濁液として投与することができる。乾燥粉末吸入器等は、単回又は多数回の投与用のものであってもよく、乾燥粉末又は粉末含有カプセルを利用することができる。あるいは、適当な駆出剤、例えばクロロフルオロアルカン、ヒドロフルオロアルカン、又は二酸化炭素等の好適な気体を使用した加圧エアゾールスプレー等の形態であってもよい。
【0070】
通常経口投与の場合、1日の投与量は、体重当たり約0.001〜100 mg/kg、好ましくは0.1〜30 mg/kg、更に好ましくは0.1〜10 mg/kgが適当であり、これを1回であるいは2回〜4回に分けて投与する。静脈内投与される場合は、1日の投与量は、体重当たり約0.0001〜10 mg/kgが適当で、1日1回〜複数回に分けて投与する。また、経粘膜剤としては、体重当たり約0.001〜100 mg/kgを1日1回〜複数回に分けて投与する。投与量は症状、年令、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
【0071】
式(I)の化合物は、前述の式(I)の化合物が有効性を示すと考えられる疾患の種々の治療又は予防剤と併用することができる。当該併用は、同時投与、あるいは別個に連続して、若しくは所望の時間間隔をおいて投与してもよい。同時投与製剤は、別個に製剤化されていても、前述の式(I)の化合物が有効性を示すと考えられる疾患の種々の治療剤又は予防剤と式(I)の化合物とを含む医薬組成物であってもよい。
(実施例)
【0072】
以下、実施例に基づき式(I)の化合物及びその原料化合物の製造法をさらに詳細に説明する。なお本発明は、下記実施例に記載の化合物に限定されるものではない。また、原料化合物の製法を製造例に示す。また、式(I)の化合物の製造法は、以下に示される具体的実施例の製造法のみに限定されるものではなく、式(I)の化合物はこれらの製造法の組み合わせ、あるいは当業者に自明である方法によっても製造されうる。
【0073】
また製造例、実施例、及び後記表中において、以下の略号を用いることがある。
PEx: 製造例番号、Ex: 実施例番号、Syn: 同様の方法で製造した実施例番号、PSyn:同様の方法で製造した製造例番号、No: 化合物番号、Str: 構造式、DAT: 物理化学的データ、EI+: 質量分析におけるm/z値(イオン化法EI、断りのない場合(M)+を表す)、ESI+: 質量分析におけるm/z値(イオン化法ESI、断りのない場合(M+H)+)、ESI-: m/z値(イオン化法ESI、断りのない場合(M-H)-)、NMR1: DMSO-d6中の1H NMRにおけるδ(ppm)、NMR2: CDCl3中の1H NMRにおけるδ(ppm)、s: 一重線(スペクトル)、d: 二重線(スペクトル)、t: 三重線(スペクトル)、q: 四重線(スペクトル)、br: 幅広線(スペクトル)(例:br-s)、RT: HPLCでの保持時間(分)。
tBu: tert-ブチル、MeOH: メタノール、DME: 1,2-ジメトキシエタン、DMF: N,N-ジメチルホルムアミド、TFA: トリフルオロ酢酸、THF: テトラヒドロフラン、DBU: 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、CDI: 1,1'-カルボニルビス(1H-イミダゾール)、DPPA: ジフェニルホスホリル アジド、HATU: O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート、WSC: N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N'-エチルカルボジイミド、WSC・HCl: N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N'-エチルカルボジイミド 塩酸塩、HOAT: 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール、HOBt: 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、DMAP: 4-(ジメチルアミノ)ピリジン、DAST: ジエチルアミノサルファー トリフルオリド、BINAP: 2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフタレン。
例えばSynにおける"3+4"との記載は、実施例3と同様の方法で製造し、引き続きその生成物を原料として実施例4と同様の方法で製造したことを示す。また、構造式中のHClは塩酸塩であることを示し、HClの前の数字はモル比を示す。例えば2HClは二塩酸塩であることを意味する。
【0074】
製造例1
メチル 2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]イソニコチナート(3.00 g)、2-ブロモエチル メチル エーテル(1.98 g)、炭酸セシウム(11.6 g)、DMF(30 mL)の混合物を70℃で5時間攪拌した。放冷後、反応混合物を減圧下濃縮し、酢酸エチルと水を加えて抽出操作を行い、得られた有機層を水洗後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=100:0−80:20)で精製することにより、メチル 2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2-メトキシエチル)アミノ]イソニコチナート(2.95 g)を無色油状物として得た。
【0075】
製造例2
メチル 2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2-メトキシエチル)アミノ]イソニコチナート(2.95 g)とメタノール(59 mL)の混合物に1M 水酸化ナトリウム水溶液(11.4 mL)を加え、50℃で2時間攪拌した。放冷後、1M 塩酸を加えることで反応混合物を中和し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去することにより2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2-メトキシエチル)アミノ]イソニコチン酸(2.77 g)を白色固体として得た。
【0076】
製造例3
2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2-メトキシエチル)アミノ]イソニコチン酸(2.77 g)とDMF(55.4 mL)の混合物に、L-セリン メチルエステル 塩酸塩(1.60 g)、WSC・HCl(2.69 g)、HOBt(1.90 g)、トリエチルアミン(3.91 mL)を加え、室温で終夜攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣に酢酸エチルを加えた。水と飽和食塩水で順次洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=100:0−95:5)で精製することにより、メチル N-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2-メトキシエチル)アミノ]イソニコチノイル}-L-セリナート(3.71 g)を無色油状物としてを得た。
【0077】
製造例4
メチル N-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2-メトキシエチル)アミノ]イソニコチノイル}-L-セリナート(3.71 g)と塩化メチレン(37.1 mL)の混合物に、-78℃でDAST(1.36 mL)を滴下し、15分間攪拌した。-40℃まで昇温してDBU(5.10 mL)を加えた後、室温まで昇温してブロモ(トリクロロ)メタン(3.34 mL)を加え、終夜攪拌した。クロロホルムと水を加えて抽出操作を行い、得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム)で精製することにより、メチル 2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2-メトキシエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(1.96 g)を淡黄色固体として得た。
【0078】
製造例5
メチル 2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2-メトキシエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(1.95 g)とメタノール(39 mL)の混合物に1M 水酸化ナトリウム水溶液(5.68 mL)を加え、50℃で1時間攪拌した。放冷後、1M 塩酸を加えて反応混合物を中和してから減圧下濃縮し、得られた残渣に酢酸エチルを加えた。飽和食塩水で洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去することにより2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2-メトキシエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボン酸(1.51 g)を淡黄色固体として得た。
【0079】
製造例6
メチル 2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(1.50 g)、炭酸セシウム(3.06 g)、DMF(30 mL)の混合物に、2,2,2-トリフルオロエチル トリフルオロメタンスルホナート(0.948 mL)を0℃で加えた後、室温で2時間攪拌した。酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて抽出操作を行い、得られた有機層を乾燥後、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=90:10−70:30)で精製することにより、メチル 2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(1.74 g)を白色固体として得た。
【0080】
製造例7
メチル 2-(2-クロロピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(960 mg)、m-クロロ過安息香酸(903 mg)、塩化メチレン(20 mL)の混合物を40℃で10時間攪拌した。放冷後、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、クロロホルムを加えて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた固体を、酢酸エチルで洗浄後濾取し乾燥することにより、メチル 2-(2-クロロ-1-オキシドピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(780 mg)を白色固体として得た。
【0081】
製造例8
メチル 2-(2-クロロ-1-オキシドピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(500 mg)、シクロプロパンアミン(224 mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(684 μL)と2-プロパノール(7.5 mL)の混合物を、マイクロウェーブ反応装置を用いて120℃で1時間攪拌した。クロロホルムと水を加えて抽出操作を行い、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=99:1−95:5)で精製することにより、メチル 2-[2-(シクロプロピルアミノ)-1-オキシドピリジン-4-イル]-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(190 mg)を淡黄色固体として得た。
【0082】
製造例9
メチル 2-[2-(シクロプロピルアミノ)-1-オキシドピリジン-4-イル]-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(510 mg)とTHF(10 mL)の混合物に塩化アンモニウム(1.98 g)、水(5 mL)、亜鉛(1.21 g)を加え、室温で15分間、続いて60℃で15分間攪拌した。反応混合物をクロロホルムで希釈して、不溶物を濾別した後、濾液を水と飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=100:0−98:2)で精製することにより、メチル 2-[2-(シクロプロピルアミノ)ピリジン-4-イル]-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(70 mg)を淡黄色固体として得た。
【0083】
製造例10
メチル 2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(2.17 g)、塩化メチレン(33 mL)の混合物に、室温でTFA(5.2 mL)を加え、4時間攪拌した。減圧下濃縮後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、生じた固体を濾取し、水洗後、乾燥することにより、メチル 2-(2-アミノピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(1.46 g)を得た。
【0084】
製造例11
メチル 2-(2-アミノピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(150 mg)とアダマンタン-1-オール(312 mg)の混合物にTFA(684 μL)を室温で加えた後、100℃に昇温し10時間攪拌した。反応混合物を放冷後、氷水に注ぎ、濃アンモニア水を加えて中和した。析出した固体を濾取し、減圧下乾燥した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=100:0−96:4)で精製することにより、メチル 2-[2-(アダマンタン-1-イルアミノ)ピリジン-4-イル]-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(74 mg)を白色固体として得た。
【0085】
製造例12
メチル 2-(2-クロロキノリン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(491 mg)、ベンゾフェノン イミン(616 mg)、ナトリウム tert-ブトキシド(245 mg)、BINAP(106 mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(78 mg)、トルエン(10 mL)の混合物を、窒素雰囲気下80℃で2時間攪拌した。放冷後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、不溶物を濾別した。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣にTHFと1M 塩酸の混合液(1:1、10 mL)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物をジエチルエーテルで洗浄した後、得られた水層に2M 炭酸カリウム水溶液を加えることにより、pHを約10とした。クロロホルムを加えて抽出操作を行った後、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去して得られた固体を、クロロホルムで洗浄後濾取し、減圧下乾燥することにより、メチル 2-(2-アミノキノリン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(90 mg)を灰白色固体として得た。
【0086】
製造例13
メチル N-(2-クロロ-6-メチルイソニコチノイル)-L-セリナート(1.12 g)と塩化メチレン(45 mL)の混合物に、-50℃でDAST(0.681 mL)を滴下した後、3時間かけて-10℃まで昇温した。反応混合物に氷水を加えてからクロロホルムで抽出し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去することにより、メチル 2-(2-クロロ-6-メチルピリジン-4-イル)-4,5-ジヒドロ-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(1.05 g)を褐色油状物として得た。
【0087】
製造例14
メチル 2-(2-クロロ-6-メチルピリジン-4-イル)-4,5-ジヒドロ-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(1.05 g)と塩化メチレン(24.3 mL)の混合物に、-5℃でDBU(1.35 mL)とブロモ(トリクロロ)メタン(0.886 mL)を順次滴下した後、室温に昇温して2時間撹拌した。反応混合物をクロロホルムで希釈した後、水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=100:0−98:2)で精製することにより、メチル 2-(2-クロロ-6-メチルピリジン4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(835 mg)を淡黄色固体として得た。
【0088】
製造例15
メチル 2-(2-クロロ-6-メチルピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(3.70 g)、ベンゾフェノン イミン(3.98 g)、BINAP(1.82 g)をトルエン(100 mL)に懸濁し、窒素を通じて3分間脱気した。トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(1.34 g)とナトリウム tert-ブトキシド(2.11 g)を加えてから、窒素雰囲気下で8時間加熱還流した。トルエンを減圧下で留去し、得られた残査をTHF(50mL)と水(50mL)の混合液に溶解後、酢酸エチル(100mL)と活性炭(2g)を加えて20分間撹拌した。活性炭を濾別後、濾液を分液し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄してから、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残査をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=80:20−50:50)で精製することにより、メチル 2-{2-[(ジフェニルメチレン)アミノ]-6-メチルピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(3.36 g)を淡黄色固体として得た。
【0089】
製造例16
メチル 2-{2-[(ジフェニルメチレン)アミノ]-6-メチルピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキシラート(3.35 g)とメタノール(30 mL)の混合物に、5M 水酸化ナトリウム水溶液(5.06 mL)を加え、50℃で3時間撹拌した。放冷後、メタノールを減圧下で留去してから酢酸エチルを加え、更に6M 塩酸を加えることによりpHを約3とした。沈殿物を濾取し、酢酸エチル(50 mL)で洗浄後、減圧下乾燥することにより、2-(2-アミノ-6-メチルピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボン酸(1.13 g)を淡褐色固体として得た。
【0090】
製造例17
4-クロロピリジン-2-カルボン酸(5.00 g)とtert-ブチルアルコール(128 mL)の混合物にトリエチルアミン(6.64 mL)とDPPA(8.21 mL)を室温で加えた後、2時間加熱還流した。反応混合物を放冷後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=6:1)で精製することにより、tert-ブチル (4-クロロピリジン-2-イル)カルバマート(6.52 g)を白色固体として得た。
【0091】
製造例18
tert-ブチル (4-クロロピリジン-2-イル)カルバマート(1.00 g)、4,4,4',4',5,5,5',5'-オクタメチル-2,2'-ビ-1,3,2-ジオキサボロラン(1.33 g)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(100 mg)、酢酸カリウム(644 mg)、トリシクロヘキシルホスフィン(147 mg)、1,4-ジオキサン(30 mL)の混合物を、窒素雰囲気下80℃で4時間攪拌した。放冷後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=99:1−80:20)で精製することにより、tert-ブチル [4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル]カルバマート(1.40 g)を灰白色固体として得た。
【0092】
製造例19
エチル 2-クロロ-1,3-オキサゾール-5-カルボキシラート(0.527 g)、tert-ブチル [4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-イル]カルバマート(1.15 g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.173 g)、DME(15 mL)の混合物に、室温で2M 炭酸ナトリウム水溶液を加え、脱気した後2時間加熱還流した。放冷後、酢酸エチル、水を加え、不溶物を濾別した。濾液の有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=8:2−2:8)で精製することにより、エチル 2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-5-カルボキシラート(34 mg)を灰白色固体として得た。
【0093】
製造例20
2-ブロモエチル メチル エーテル(1.80 mL)、メチル 4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(3.00 g)、炭酸カリウム(7.27 g)とDMFの混合物を50℃で1時間撹拌した。酢酸エチルと水を加えて抽出操作を行い、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=100:0−85:15)で精製することにより、低極性物質としてメチル 1-(2-メトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-5-カルボキシラート(790 mg)を、高極性物質としてメチル 1-(2-メトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(2.35 g)を得た。
【0094】
製造例21
テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル メタンスルホナート(3.29 g)とDMF(26 mL)の混合物に、メチル 4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(2.60 g)と炭酸カリウム(4.20 g)を加え、120℃で8時間撹拌した。酢酸エチルと水を加えて抽出操作を行い、得られた有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、メチル 4-ニトロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(1.10 g)を得た。
【0095】
製造例22
メチル 1-(2-メトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(2.33 g)と8M アンモニア/メタノール溶液(20 mL)の混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮することにより、1-(2-メトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(2.17 g)を白色固体として得た。
【0096】
製造例23
メチル 4-ニトロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(2.40 g)とメタノール(21.8 mL)の混合物に8M アンモニア/メタノール溶液(4.70 mL)を加え、室温で3時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=9:1−4:1)で精製することにより、4-ニトロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(920 mg)を白色固体として得た。
【0097】
製造例24
1-(2-メトキシエチル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(2.17 g)とメタノール(21.7 mL)の混合物にパラジウム炭素を加え、水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。パラジウム炭素を濾別し、濾液を濃縮することにより、4-アミノ-1-(2-メトキシエチル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(1.85 g)を淡赤色固体として得た。
【0098】
製造例25
4-ニトロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(3.00 g)とメタノール(60 mL)の混合物に10%パラジウム炭素(50%含水、900 mg)を加え、水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。パラジウム炭素を濾別し、濾液を濃縮することにより、4-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(2.59 g)を薄紫色固体として得た。
【0099】
製造例26
tert-ブチル 4-[3-(メトキシカルボニル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボキシラート(187 mg)とメタノール(2 mL)の混合物に4M 塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(5 mL)を加え、室温で終夜攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮することにより、メチル 4-ニトロ-1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート 塩酸塩(253 mg)を淡黄色固体として得た。
【0100】
製造例27
メチル 4-ニトロ-1-(ピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート 塩酸塩(250 mg)をエタノール(8 mL)と混合し、トリエチルアミン(240 μL)と1H-ベンゾトリアゾール-1-イルメタノール(141 mg)を加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物に水素化ホウ素ナトリウム(65 mg)を加え、室温で1時間攪拌した後、水を加え、クロロホルムで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール:10%アンモニア水=100:0:0−92:7.2:0.8)で精製することにより、メチル 1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(169 mg)を黄色油状物として得た。
【0101】
製造例28
1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(814 mg)とメタノール(15 mL)の混合物に、10%パラジウム炭素(50%含水、400 mg)と4M 塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(1.6 mL)を加え、水素雰囲気下、室温で攪拌した。反応完結後、パラジウム炭素を濾別し、濾液を濃縮することにより、4-アミノ-1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド 二塩酸塩(1.04 g)を淡黄色固体として得た。
【0102】
製造例29
メチル 4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(1.80 g)、2-クロロピリジン-5-イルボロン酸(3.31 g)、酢酸銅(II)(2.87 g)、ピリジン(3.6 mL)、塩化メチレン(36 mL)の混合物を室温で終夜攪拌した。減圧下濃縮後、得られた残渣をクロロホルムに懸濁し、不溶物を濾別した。濾液を減圧下濃縮後、酢酸エチルと水を加えて抽出操作を行い、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=84:16−67:33)、塩基性シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=84:16−67:33)で順次精製することにより、メチル 1-(6-クロロピリジン-3-イル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(958 mg)を白色固体として得た。
【0103】
製造例30
1-(6-クロロピリジン-3-イル)-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(222 mg)、10%パラジウム炭素(50%含水、177 mg)、蟻酸アンモニウム(262 mg)、メタノール(6.66 mL)の混合物を70℃で1時間攪拌した。蟻酸アンモニウム(209 mg)を追加した後、70℃で更に1時間攪拌した。放冷後、パラジウム炭素を濾別し、濾液を濃縮して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=100:0−96:4)で精製することにより、4-アミノ-1-ピリジン-3-イル-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(157 mg)を白色固体として得た。
【0104】
製造例31
4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボン酸(40.30 g)とDMF(1.26 L)の混合物に炭酸カリウム(104.2 g)を加えて室温で30分攪拌した後、ヨウ化メチル(62.61 mL)を滴下し、室温で終夜攪拌した。溶媒を留去した後、酢酸エチルと水を加えて抽出操作を行い、有機層を分離して水洗し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=3:1−1:4)で精製することにより、低極性物質としてメチル 1-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-5-カルボキシラートを、高極性物質としてメチル 1-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(28.02 g)を得た。
【0105】
製造例32
メチル 1-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(500 mg)とエチルアミン(40%メタノール溶液、20 mL)の混合物を室温で30分攪拌した。溶媒を留去した後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=100:0−94:6)で精製することにより、N-エチル-1-メチル-4-ニトロ-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(533 mg)を白色固体として得た。
【0106】
製造例33
メチル 4-アミノ-1-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(1.25 g)、ジ-tert-ブチル ジカルボナート(2.29 g)、THF(12.5 mL)、エタノール(6.25 mL)の混合物を60℃で3時間攪拌した。溶媒を留去した後、酢酸エチルと水を加えて抽出操作を行い、有機層を分離して水と飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=8:2−5:5)で精製することにより、メチル 4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(1.90 g)を白色固体として得た。
【0107】
製造例34
メチル 4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボキシラート(1.90 g)とメタノール(10 mL)の混合物に1M 水酸化ナトリウム水溶液(10 mL)を加え、室温で1時間攪拌した。溶媒を留去した後、得られた残渣を水に溶解し、1M 塩酸を加えることでpHを約3とした。析出した固体を濾取し、乾燥することにより4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸(1.24 g)を白色固体として得た。
【0108】
製造例35
4-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-1-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボン酸(863 mg)とDMF(10 mL)の混合物にCDI(754 mg)を加えて室温で30分間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却してからヒドラジン 一水和物(694 μL)を加え、室温で1時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてから、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を水と飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=99:1−90:10)で精製することにより、tert-ブチル [3-(ヒドラジノカルボニル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル]カルバマート(892 mg)を白色固体として得た。
【0109】
製造例36
tert-ブチル [3-(ヒドラジノカルボニル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル]カルバマート(255 mg)、トリエチルアミン(223 μL)、塩化メチレン(3 mL)の混合物にメトキシアセチル クロリド(109 μL)とDMAP(2 mg)を0℃で加え、室温で1時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてから、クロロホルムで抽出し、得られた有機層を水と飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=8:2−5:5)で精製することにより、tert-ブチル (3-{[2-(メトキシアセチル)ヒドラジノ]カルボニル}-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)カルバマート(322 mg)を無色油状物として得た。
【0110】
製造例37
tert-ブチル (3-{[2-(メトキシアセチル)ヒドラジノ]カルボニル}-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)カルバマート(320 mg)とTHF(10 mL)の混合物に、トリエチルアミン(0.818 mL)とp-トルエンスルホニル クロリド(559 mg)を加え、加熱還流下10時間攪拌した。放冷後、酢酸エチルと水を加えて抽出操作を行い、有機層を分離して飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=8:2−5:5)で精製することにより、tert-ブチル {3-[5-(メトキシメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}カルバマート(172 mg)を得た。
【0111】
製造例38
tert-ブチル {3-[5-(メトキシメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}カルバマート(172 mg)と塩化メチレン(3 mL)の混合物にTFA(3 mL)を加え、室温で3時間攪拌した。減圧下濃縮した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてから、クロロホルムで抽出し、得られた有機層を水と飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去することにより、3-[5-(メトキシメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(97 mg)を黄色固体として得た。
【0112】
製造例39
エチル 3-(アミノスルホニル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシラート(1.00 g)、ヘキサン-2,5-ジオン(734mg)、トルエン(10mL)の混合物に、p-トルエンスルホン酸 一水和物(82 mg)を室温で加え、Dean-Stark装置を用いて、4時間加熱還流した。放冷後、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製することにより、エチル 3-[(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)スルホニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシラート(819 mg)を淡褐色固体として得た。
【0113】
製造例40
エチル 3-[(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)スルホニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシラート(811mg)とエタノール(4 mL)の混合物に2M 水酸化ナトリウム水溶液(2.6 mL)を室温で加えた後、50℃で3時間攪拌した。放冷後、反応混合物に1M 塩酸を加えることでpHを約3とした後、減圧下濃縮して生じた固体を濾取した。得られた固体を水洗後、減圧下乾燥することにより、3-[(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)スルホニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(684 mg)を淡褐色固体として得た。
【0114】
製造例41
3-[(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)スルホニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-カルボン酸(200 mg)、DPPA(214 mg)、トリエチルアミン(148 μL)、tert-ブチルアルコール(2 mL)の混合物を加熱還流下3時間攪拌した。放冷後、反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を1M 塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;n-ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製することにより、tert-ブチル{3-[(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)スルホニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}カルバマート(190 mg)を無色油状物として得た。
【0115】
製造例42
tert-ブチル {3-[(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)スルホニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}カルバマート(184 mg)とエタノール(0.92 mL)の混合物に、4M 塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(1.3 mL)を加え、室温で7時間攪拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(30 mL)を注意深く加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去することにより、3-[(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)スルホニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(114 mg)を淡褐色固体として得た。
【0116】
製造例43
エチル 5-アミノ-2-メチル-1,3-チアゾ−ル-4-カルボキシラート(500 mg)と飽和アンモニア/エタノール溶液(15 mL)の混合物を、封管中、120℃で4日間攪拌した。放冷後、反応混合物を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=99:1−94:6)で精製することにより、5-アミノ-2-メチル-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド(77 mg)を得た。
【0117】
製造例44
3-[(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)スルホニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-アミン(70 mg)、2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボン酸(107 mg)、HATU(126 mg)、HOAT(45 mg)、DMF(2.8 mL)の混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(115 μL)を加え、室温で3日間攪拌した。反応混合物に水(2.8 mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2.8 mL)を加え、析出した固体を濾取し、水洗後、減圧下乾燥することにより、tert-ブチル {4-[4-({3-[(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)スルホニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}カルバモイル)-1,3-オキサゾール-2-イル]ピリジン-2-イル}(2,2,2-トリフルオロエチル)カルバマート(159 mg)を白色固体として得た。
【0118】
製造例1〜44の方法と同様にして、後記表に示す製造例45〜82の化合物を製造した。各製造例化合物の構造、製造法、及び物理化学的データを表2〜17にそれぞれ示す。
【0119】
実施例1
4-アミノ-1-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(250 mg)、2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)(2-メトキシエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボン酸(713 mg)、WSC・HCl(564 mg)、HOBt(397 mg)、DMF(10 mL)の混合物を、室温で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮後、酢酸エチルと水を加えて抽出操作を行い、得られた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;クロロホルム:メタノール=100:0−98:2)で精製することにより、tert-ブチル (4-{4-[(3-カルバモイル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)カルバモイル]-1,3-オキサゾール-2-イル}ピリジン-2-イル)(2-メトキシエチル)カルバマート(740 mg)を白色固体として得た。
【0120】
実施例2
tert-ブチル (4-{4-[(3-カルバモイル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)カルバモイル]-1,3-オキサゾール-2-イル}ピリジン-2-イル)(2-メトキシエチル)カルバマート(740 mg)とメタノール(7.4 mL)の混合物に、4M 塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(7.62 mL)を室温で加えた後、60℃で1時間攪拌した。放冷後、反応混合物を濃縮して得られた残渣にメタノールを加え、再び濃縮した。得られた残渣をアセトニトリルで洗浄後、乾燥することにより、N-(3-カルバモイル-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-{2-[(2-メトキシエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド 塩酸塩(570 mg)を白色固体として得た。
【0121】
実施例3
tert-ブチル [4-(4-{[3-カルバモイル-1-(ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]カルバモイル}-1,3-オキサゾール-2-イル)ピリジン-2-イル](2,2,2-トリフルオロエチル)カルバマート(229 mg)と塩化メチレン(3.75 mL)の混合物にTFA(925 μL)を加え、室温で終夜攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、クロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて抽出操作を行った。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去することによりN-[3-カルバモイル-1-(ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-2-{2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド(188 mg)を灰白色固体として得た。
【0122】
実施例4
N-[3-カルバモイル-1-(ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-2-{2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド(188 mg)とエタノール(2.94 mL)の混合物に4M 塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(498 μL)を加え、室温で1時間攪拌した。析出した固体を濾取し、エタノールで洗浄後減圧下乾燥することにより、N-(3-カルバモイル-1-ピリジン-3-イル-1H-ピラゾール-4-イル)-2-{2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド 塩酸塩(187 mg)を淡黄色固体として得た。
【0123】
実施例5
tert-ブチル [4-(4-{[3-カルバモイル-1-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-4-イル]カルバモイル}-1,3-オキサゾール-2-イル)ピリジン-2-イル](2,2,2-トリフルオロエチル)カルバマート(150 mg)と塩化メチレン(3 mL)の混合物にTFA(295 mg)を加え、30℃で1時間攪拌した。酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて抽出操作を行い、有機層を濃縮した。得られた残渣にメタノール(3 mL)と4M 塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(647 μL)を加え、室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた固体を酢酸エチルで洗浄後、濾取して乾燥することにより、N-[3-カルバモイル-1-(テトラヒドロフラン-2-イルメチル)-1H-ピラゾール-4-イル]-2-{2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド 塩酸塩(113 mg)を白色固体として得た。
【0124】
実施例6
4-アミノ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド(753 mg)、2-(2-メチルピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボン酸(731 mg)、HOBt(726 mg)、DMF(18.3 mL)の混合物に、氷冷下WSC・HCl(1.03 g)を加え、室温で4時間撹拌した。反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と水を加え、生じた固体を濾取し、水洗してから乾燥することにより、N-[3-カルバモイル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド(1.21 g)を白色固体として得た。
【0125】
実施例7
N-[3-カルバモイル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド(45 mg)をメタノール(1.8 mL)に懸濁し、4M 塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(286 μL)を加えて室温で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた固体を乾燥することにより、N-[3-カルバモイル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-2-(2-メチルピリジン-4-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド 塩酸塩(45 mg)を白色固体として得た。
【0126】
実施例8
tert-ブチル {4-[4-({3-[5-(メトキシメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}カルバモイル)-1,3-オキサゾール-2-イル]ピリジン-2-イル}カルバマート(84 mg)、TFA(1 mL)、塩化メチレン(2.2 mL)の混合物を、室温で6時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣に酢酸エチルを加え、生じた固体を濾取した。得られた固体を酢酸エチルで洗浄後、乾燥することにより2-(2-アミノピリジン-4-イル)-N-{3-[5-(メトキシメチル)-1,3,4-オキサジアゾール-2-イル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド トリフルオロ酢酸塩(48 mg)を淡黄色固体として得た。
【0127】
実施例9
tert-ブチル {4-[4-({3-[(2,5-ジメチル-1H-ピロール-1-イル)スルホニル]-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル}カルバモイル)-1,3-オキサゾール-2-イル]ピリジン-2-イル}(2,2,2-トリフルオロエチル)カルバマート(155 mg)と1,4-ジオキサン(2 mL)の混合物に、6M 塩酸(7 mL)を室温で加えた後、80℃に昇温し、3時間攪拌した。氷冷下、反応混合物に20% 水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、得られた固体を酢酸エチルとn-ヘキサンの混合溶媒で洗浄することにより、N-[3-(アミノスルホニル)-1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル]-2-{2-[(2,2,2-トリフルオロエチル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド(77 mg)を淡褐色固体として得た。
【0128】
実施例10
2-{2-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]ピリジン-4-イル}-1,3-オキサゾール-4-カルボン酸(120 mg)と塩化メチレンの混合物にオキサリル クロリド(41 μL)を室温で加えた後、DMFを1滴加え、室温で30分間攪拌した。反応混合物に5-アミノ-2-メチル-1,3-チアゾール-4-カルボキサミド(62 mg)、トリエチルアミン(110 μL)、塩化メチレンの混合物を氷冷下で加え、1時間攪拌した。反応混合物をクロロホルムで希釈し、水と飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下留去し、得られた固体をメタノールで洗浄後乾燥することにより、tert-ブチル (4-{4-[(4-カルバモイル-2-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)カルバモイル]-1,3-オキサゾール-2-イル}ピリジン-2-イル)カルバマート(46 mg)を淡黄色固体として得た。
【0129】
実施例11
tert-ブチル(4-{4-[(4-カルバモイル-2-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)カルバモイル]-1,3-オキサゾール-2-イル}ピリジン-2-イル)カルバマート(46 mg)をメタノール(3 mL)に懸濁し、4M 塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(600 μL)を加えて室温で終夜攪拌した。更に、4M 塩化水素/1,4-ジオキサン溶液(1 mL)を加えて、60℃で攪拌した。反応完結後、反応混合物を減圧下濃縮して得られた固体を、メタノールで加熱下洗浄後濾取し、乾燥することにより、2-(2-アミノピリジン-4-イル)-N-(4-カルバモイル-2-メチル-1,3-チアゾール-5-イル)-1,3-オキサゾール-4-カルボキサミド 塩酸塩(28 mg)を乳白色固体として得た。
【0130】
実施例1〜11の方法と同様にして、後記表に示す実施例12〜40の化合物を製造した。各実施例化合物の構造を表18〜21に、製造法及び物理化学的データを表22〜25に示す。
【0131】
また、表26〜60に本発明の別の化合物の構造を示す。これらは、上記の製造法や実施例に記載の方法及び当業者にとって自明である方法、又はこれらの変法を用いることにより、容易に合成することができる。
【0132】
【表2】

【0133】
【表3】

【0134】
【表4】

【0135】
【表5】

【0136】
【表6】

【0137】
【表7】

【0138】
【表8】

【0139】
【表9】

【0140】
【表10】

【0141】
【表11】

【0142】
【表12】

【0143】
【表13】

【0144】
【表14】

【0145】
【表15】

【0146】
【表16】

【0147】
【表17】

【0148】
【表18】

【0149】
【表19】

【0150】
【表20】

【0151】
【表21】

【0152】
【表22】

【0153】
【表23】

【0154】
【表24】

【0155】
【表25】

【0156】
【表26】

【0157】
【表27】

【0158】
【表28】

【0159】
【表29】

【0160】
【表30】

【0161】
【表31】

【0162】
【表32】

【0163】
【表33】

【0164】
【表34】

【0165】
【表35】

【0166】
【表36】

【0167】
【表37】

【0168】
【表38】

【0169】
【表39】

【0170】
【表40】

【0171】
【表41】

【0172】
【表42】

【0173】
【表43】

【0174】
【表44】

【0175】
【表45】

【0176】
【表46】

【0177】
【表47】

【0178】
【表48】

【0179】
【表49】

【0180】
【表50】

【0181】
【表51】

【0182】
【表52】

【0183】
【表53】

【0184】
【表54】

【0185】
【表55】

【0186】
【表56】

【0187】
【表57】

【0188】
【表58】

【0189】
【表59】

【0190】
【表60】

【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明医薬の有効成分である化合物は、IRAK−4に対する強力な阻害作用と、これに基づく良好な薬理作用を有することから、本発明の医薬組成物は、炎症性疾患、自己免疫疾患等のIRAK−4に関係する疾患の予防又は治療剤として使用しうる。
【配列表フリーテキスト】
【0192】
配列表の数字見出し<223>には、「Artificial Sequence」の説明を記載する。具体的には、配列表の配列番号3の配列で表される塩基配列は、第1-78番及び第1492-1578番が発現ベクター由来、第79-111番が合成プライマー由来、第112-1491番がラットIRAK−4 ORFからなる融合遺伝子である。配列番号4の配列で表されるアミノ酸配列は、配列番号3の配列で表される融合遺伝子でコードされる推定アミノ酸配列である。配列番号5、6の配列で表される塩基配列は、人工的に合成したプライマー配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物又はその塩。
【化11】

[式中、
環A: 単環式のヘテロアリール;
R1:単環又は二環式のヘテロアリール;
ここでR1におけるヘテロアリールは、1〜3個のR10で置換されていてもよい;
R2: C(O)NH2、C(O)NH-R0、C(O)NH-R00-OH、C(O)NH-R00-O-R0、C(O)N(R0)2、C(O)NH-シクロアルキル、C(O)NH-ヘテロシクロアルキル、C(O)NH-ピラゾリル、C(O)-R0、C(O)-シクロアルキル、S(O)2NH2、S(O)2NH-R0、S(O)2NH-シクロアルキル、R00-OH、R00-O-R0、R00-(モルホリン-4-イル)、フェニル、オキサジアゾリル又はテトラゾリル;
ここでR2におけるピラゾリルはR0で置換されていてもよく、オキサジアゾリルはR0、R00-OH又はR00-O-R0で置換されていてもよく、テトラゾリルはR0で置換されていてもよい;
R3: H、R0、ハロゲノ低級アルキル、シクロアルキル、へテロシクロアルキル、フェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、C(O)N(R0)2、R00-シクロアルキル、R00-へテロシクロアルキル、R00-フェニル、R00-OH又はR00-O-R0
ここでR3におけるシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、フェニル及びピリジルは、R0、ハロゲン、C(O)O-R0、C(O)-R0、OH、O-R0、S(O)2-R0、O-ハロゲノ低級アルキル、O-R00-(モルホリン-4-イル)、R00-OH、R00-O-R0、モルホリン-4-イル又はR00-(モルホリン-4-イル)で置換されていてもよい;
R10: 同一又は互いに異なって、R0、ハロゲン、ハロゲノ低級アルキル、シクロアルキル、O-R0、置換されていてもよいアミノ、O-ハロゲノ低級アルキル、R00-OH、R00-O-R0又はR00-(置換されていてもよいアミノ);
R0: 同一又は互いに異なって、低級アルキル;
R00: 同一又は互いに異なって、低級アルキレン。]

【図1】
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【公開番号】特開2012−254939(P2012−254939A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233048(P2009−233048)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000006677)アステラス製薬株式会社 (274)
【Fターム(参考)】