説明

オキシインドールおよびオルト置換されたアニリンを生成するための方法ならびに合成のための中間生成物としてのそれらの使用

本発明は、オキシインドールおよびオルト置換されたアニリンを生成するための方法ならびに合成のための中間生成物としてのそれらの使用に関するものである。式(4)の化合物:(化合物中、塩素化剤および有機溶媒の存在下で、−60°から−10℃の範囲の反応温度で、アニリン(式Qの化合物)の混合物がチオエーテル(式Wの化合物)で変換されている)を生成するための方法。その後の方法において、前記化合物は、酸性触媒の存在下で、式(7)のインドールまたは式(8)のオキシインドールにさらに変換される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくは薬学および/または農学からファインケミカルおよび活性成分を合成するための中間体のための、生物学的に活性な化合物の化学合成の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
原則として、芳香族系上の水素の、置換された炭素原子での選択的な交換は、有機化学における基本的な反応の1つに属し、それ故知られている。
【0003】
この様式で調製され得る化合物の1つのクラスは、例えば、場合によって置換された3−アルキルチオインドール−2−オン(3−(アルキルスルファニル)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン)であり、これは次に、場合によって置換された2−オキシインドール(1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン)に変換され得る。場合によって置換されたオキシインドールおよびその前駆体、例えば、場合によって置換された3−アルキルチオインドール−2−オンは、活性成分の合成のための多用途の中間体である(Bioorg.Med.Chem.Lett.2006、16、2109頁;JP2008−101014;WO96/41799A1)。薬学的組成物への、前駆体としてのさらなる使用は、US2005/0090541Al、EP636608A、US4690943Aにおいて記載されている。
【0004】
記載されている様々なオキシインドール合成のほとんどは、フリーデル−クラフツ反応の変形を用いる(Stolle Synthesis、W.C.Sumpter、Chem.Rev.1945、37、443−449頁)。しかし、Stolleの合成は、強酸性の条件および電子に富んだアニリンを必要とするため、制限的にしか用いることができない。しかし、さらに、ラジカル、ニトレニウムイオンおよびオルガノリチウムの反応、さらに光化学に依存する方法もまた知られている。しかし、これらもまた、調製すべきオキシインドールのタイプ、基質の適合性、反応条件によって限定され、また、芳香族化合物が、後に置き換えられるハロゲン置換基を既に有していなければならないということによって限定される。(Radical processes:Zardら、Tetrahedron Lett.1994、35、9553−9556頁;Zardら、Tetrahedron Lett.1994、35、1719−1722頁;Jonesら、Tetrahedron Lett.1994、35、7673−7676頁;Kikugawaら、Chem.Letters 1987、1771−1774頁;Clarkら、Synthesis 1991、871−878頁;Yonemitsuら、Chem.Pharm.Bull.1981、29、128−136頁;スキーム1を参照されたい。)
【0005】
【化1】

塩素化および−70℃でのトリエチルアミンでの処理を介してアニリンおよびメチルチオアセテートエステルから進められる、Gassmanら(Organic Synthesis Coll.、vol.6、601頁およびvol.56、72頁)による方法は、実現可能性、開始材料の利用可能性、短い反応の速度および再現性の観点から適していると考えられる。しかし、良好な収量が、不安定なN−クロロ中間体(1)またはN−スルホニウム中間体(2)が−65℃未満で形成される場合、通常のケースでは−78℃で形成される場合にのみ、達成され得ることも記載されている(Gassmanら、J.Am.Chem.Soc.、1974、96(17)、5508;Gassmanら、J.Am.Chem.Soc.、1974、96(17)、5512;WO96/41799A1;スキーム2を参照されたい)。
【0006】
【化2】

文献に従った最適な塩素化剤は、不安定で爆発性の次亜塩素酸tert−ブチルであり、それは、塩素化の副生成物が中性のtert−ブチルアルコールを生じさせるためである。塩化スルフリル(SOCl)が用いられるわずかなケースでは、「プロトンスポンジ」などの、第2の非求核塩基が用いられている(Johnson、J.Org.Chem.1990、55、1374;Warpehoski、Tetrahedron Lett、1986、27、4103)。しかし、両方の変形は低温で実施されるため、これは産業規模で実施可能な解決方法ではない。
【0007】
Wrightら(Tetrahedron Lett.1996、37、4631)は、クロロスルホニウム中間体(3)がスルホキシドおよび塩化オキサリルから調製された代替法を記載している(スキーム3を参照されたい。)。ここでは、クロロスルホニウム中間体(3)は同様に不安定である。この反応では、スルホキシドがまず調製および単離されなくてはならない。安定性の理由から、アニリンと塩化オキサリルとの間の反応を避けるために、反応は−78℃で進行しなくてはならず、反応は、複数の段階で実施される。
【0008】
【化3】

化合物(2)を介する反応のメカニズムのため、この方法(スキーム2またはスキーム3)によって記載されている化合物(4)のみが調製され得る。ここでは必然的に、塩基(C)の使用が、化合物(4)への転位に必要である。文献において、アニリン(式Qの化合物)への、「プロトンスポンジ」またはトリエチルアミンなどのさらなる塩基が、この目的のために特定されている。これらの方法において用いられるさらなる塩基は、産業規模での合成のケースでは必ず回収されなくてはならず、再単離された式Qの化合物を再び開始材料として用いることを可能にするために、未反応の式Qの化合物から分離されなくてはならない。
【0009】
反応が、−70℃を超える反応温度に対して非常に感受性である理由、および反応が複数の段階で常に実施されている理由は、様々である。
【0010】
まず、反応に関与する官能基、すなわちアニリンの窒素原子およびチオエーテルの硫黄原子は、生成物(4)および開始材料の両方において、変化しないまま存在する。その結果、生成物(4)が直接的に形成される、反応の間の選択的塩素化は、期待されない。この理由から、文献において知られている全ての方法は、段階的な反応を用いる。
【0011】
さらに、−65℃を超える温度では、N−クロロアニリンは、環において塩素化された芳香族化合物に変換し得、また、他の酸化生成物(二量体)を形成し得る。したがって、電子にほとんど富んでおらず、したがって環に対してほとんど塩素化反応性ではないアセトアニリドが、唯一、0℃で次亜塩素酸tert−ブチルでの環の塩素化を形成することは、驚くべきことではない(Lengyelら、Synth.Comm.、1998、28(10)、1891−1896)。
【0012】
さらに、スルホニウム中間体(2)または(3)は、塩基の存在下で除去され得、反応性副生成物(5)を形成し得、これは例えばアニリンと縮合し、その結果、二次的構成要素(6)が不可逆的に生成される(スキーム4を参照されたい)。これは、R2−CH−R3基のいわゆるプメラー酸化に対応する。
【0013】
【化4】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−101014号公報
【特許文献2】国際公開第96/41799号
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0090541号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第636608号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第4690943号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Bioorg.Med.Chem.Lett.2006、16、2109頁
【非特許文献2】Stolle Synthesis、W.C.Sumpter、Chem.Rev.1945、37、443−449頁
【非特許文献3】Radical processes:Zardら、Tetrahedron Lett.1994、35、9553−9556頁
【非特許文献4】Zardら、Tetrahedron Lett.1994、35、1719−1722頁
【非特許文献5】Jonesら、Tetrahedron Lett.1994、35、7673−7676頁
【非特許文献6】Kikugawaら、Chem.Letters 1987、1771−1774頁
【非特許文献7】Clarkら、Synthesis 1991、871−878頁
【非特許文献8】Yonemitsuら、Chem.Pharm.Bull.1981、29、128−136頁
【非特許文献9】Organic Synthesis Coll.、vol.6、601頁
【非特許文献10】Organic Synthesis Coll.、vol.56、72頁
【非特許文献11】Gassmanら、J.Am.Chem.Soc.、1974、96(17)、5508頁
【非特許文献12】Gassmanら、J.Am.Chem.Soc.、1974、96(17)、5512頁
【非特許文献13】Johnson、J.Org.Chem.1990、55、1374頁
【非特許文献14】Warpehoski、Tetrahedron Lett、1986、27、4103頁
【非特許文献15】Tetrahedron Lett.1996、37、4631頁
【非特許文献16】Lengyelら、Synth.Comm.、1998、28(10)、1891−1896頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、全体的な収量および/もしくは生成物の純度の向上、開始材料の使用の低減、さらなる助剤(例えば、第2の塩基など)の省略もしくはプロセス過程の単純化(例えば、高温での反応など)または産業上さらに適切な溶媒(毒性が低く、より回収可能な)の使用などの利点を有する、前述の方法と比較して向上した、産業規模での中間体(2)(スルホニウム塩)を介する化合物(4)の調製を可能にする、修正された方法を提供することが目的であった。
【0017】
この様式で調製された化合物(4)は、好ましくは、同様に薬学および/または農学からファインケミカルおよび活性成分を合成するための中間体であり得る、オキシインドール(1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン)へのさらなるプロセシングも可能にする。
【0018】
驚くべきことに、前述の問題にもかかわらず、今や、反応が産業的に実現可能な規模で実施され得るように修正され得ることが、明らかにされた。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、
式(4):
【0020】
【化5】

[式中、
R1=C1−C6アルキル、置換されたアルキル、アリールまたは置換されたアリールであり、好ましくはC1−C4アルキルであり、
R2=H、C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルであり、
R3=電子求引基または活性化基、例えば−CO−R1、−CO−X
[式中、X=OR1、SR1、NR2R2’(式中、R2’はR2と同様に定義され、R2と同一であるまたはR2と異なっていてよく、R2およびR2’は環を形成し得る。)、SO(n’)−R1(式中、n’=0、1または2であり得る。)、−CN、−NO、アリールまたはヘテロアリールである。]
であり、
R4=F、Cl、Br、I、CF、CN、NO、COX
[式中、X=OR1、SR1、NR2R2’(式中、R2’は上記のR2と同様に定義され、R2と同一であるまたはR2と異なっていてよい。)であり、好ましくはFまたはClであり、特に2−Fである。]
であり、
n=1−4であり、好ましくは1−2であり、特に1であり、
R5=H、C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルである。]
の化合物を調製するための方法であって、
アニリン(式Qの化合物):
【0021】
【化6】

(式中、基R4、nおよびR5は、式(4)で定義されたものである。)
およびチオエーテル(式Wの化合物):
【0022】
【化7】

(式中、基R1、R2およびR3は、式(4)で定義されたものである。)
の混合物を、塩素化剤および有機溶媒の存在下で、−65℃を超える範囲の反応温度で、好ましくは−60℃から−10℃の間の範囲の反応温度で、特に−50℃から−20℃の間の範囲の反応温度で反応させて、機構的に規定された式(2)の中間体を介して式(4)の化合物を得ることを含む方法を提供する。
【0023】
良好な収量をもたらす、選択的で巧みな反応は、特に驚くべきことであり、良好な収量は不安定なN−クロロ中間体(1)またはN−スルホニウム中間体(2)(スキーム2を参照されたい。)が−65℃未満で形成される場合、標準的なケースでは−78℃で形成される場合にのみ達成され得ると記載しているところの学派に対向する立場を取る(Gassmanら、J.Am.Chem.Soc.、1974、96(17)、5508頁;Gassmanら、J.Am.Chem.Soc.、1974、96(17)、5512頁;WO96/41799Al)。
【0024】
本発明の方法において用いられるチオエーテル(式Wの化合物)は、以下の構造を有する。
【0025】
【化8】

[式中、
R1=C1−C6アルキル、置換されたアルキル、アリールまたは置換されたアリールであり、好ましくはC1−C4アルキルであり、
R2=H、C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルであり、
R3=電子求引基または活性化基、例えば−CO−R1、−CO−X[式中、X=OR1、SR1、NR2R2’(式中、R2’はR2と同様に定義され、R2と同一であるまたはR2と異なっていてよく、R2およびR2’は環を形成し得る)、SO(n’)−R1(式中、n’=0、1または2であり得る。)、−CN、−NO、アリールまたはヘテロアリールである。]である。]
以下、チオエーテルを参照するどの場合においても、上記で示された化合物が意図される。
【0026】
本発明に従った方法において用いられるアニリン(式Qの化合物)は、以下の構造を有する。
【0027】
【化9】

[式中、
R4=F、Cl、Br、I、CF、CN、NO、COX
[式中、X=OR1、SR1、NR2R2’(式中、R2’は上記のR2と同様に定義され、R2と同一であるまたはR2と異なっていてよい。)であり、好ましくはFまたはClであり、特に2−Fである。]
であり、
n=1−4であり、好ましくは1−2であり、特に1であり、
R5=H、C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルである。]
水素原子が、アニリンの窒素原子に対してオルト位に存在することは、必須である。環は、1つ以上の置換基R4で置換され得る。以下、アニリンを参照するどの場合においても、上記で示された化合物が意図される。
【0028】
適切な塩素化剤は、トリクロロイソシアヌル酸、次亜塩素酸tert−ブチルおよび塩化スルフリルなどの、この目的のために当業者に知られている全ての塩素化剤である。文献における意見に反して、第2の非求核塩基を用いる必要を伴わずに驚くほどHClを生じさせる、塩化スルフリル(SOCl)などの塩素化剤が好ましい。
【0029】
本発明に従った方法における反応は、様々な溶媒で実施され得る。
【0030】
例えば、無極性の有機溶媒[例えば、クロロアルカン(例えば、ジクロロメタンおよびジクロロエタン)、芳香族化合物(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン)、ハロ芳香族化合物(例えば、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン)、置換された芳香族化合物(例えば、ベンゾトリフルオリド、クロロベンゾトリフルオリド、クロロトルエン、クロロキシレン)]を、単独でまたは互いの混合物としてまたはアルカンおよびシクロアルカンとの混合物として用いることが可能である。
【0031】
しかし、さらに、極性有機溶媒もまた適している。これは、N−クロロ誘導体が極性溶媒においてあまり安定ではないことを示すところの、Gassman(J.Am.Chem.Soc.、1972、94、3891頁)の教示に反する。例えば、本発明に従った方法における反応は、好ましくは、例えばC1−C6アルキルアセテート(例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、2−メチルプロパ−1−イルアセテート、n−ブチルアセテート、ブタ−2−イルアセテート、ペンチルアセテート、ヘキシルアセテートおよびシクロアルキアルアセテート、C1−C6アルキルおよびシクロアルキルプロピオネート、C1−C6アルキルおよびシクロアルキルn−ブチレート、イソブチレート、ペンタノエートおよびヘキサノエートならびにシクロペンタノエートおよびシクロヘキサノエート)などのエステル溶媒内で実施され得またはそれらの混合物内で実施され得または他の溶媒との混合物内で実施され得る。例えば文献において用いられているジクロロメタンなどの他の溶媒と比較すると、エステル溶媒は、産業上さらに適切であるという利点を有する(毒性が低く、より回収可能である。)。
【0032】
式(4)の化合物を調製するための、本発明に従った方法は、アリニン(式Qの化合物)およびチオエーテル(式Wの化合物)という2つの化合物が有利に事前混合され得るということに基づいている。
【0033】
それにより得られる選択的で巧みな反応は、特に驚くべきことであり、基質に応じてN−塩素化またはS−塩素化が反応に最適であるとGassmanが実証しているところの学派に対向する立場を取る(Gassmanら、J.Am.Chem.Soc.、1974、96(17)、5512頁)。さらに、アニリンおよびチオエーテルからなる混合物は、塩素化の際の選択性を示さないことが予想され、これまでの学派に従うと、これが、方法が段階的にのみ実施されている理由である。
【0034】
生成物の良好な収量のために、最大1当量の、好ましくは0.5から1.0当量の、特に好ましくは0.7から1.0当量の、とりわけ好ましくは0.8から0.95当量の塩素化剤を用いることが有利であることが明らかにされている。塩素化剤は、1当量のチオエーテル(式Wの化合物)および2.0から5.0当量の、好ましくは2.0から3.0当量の、特に好ましくは2.0から2.5当量の産業上経済的な過剰なアニリン(式Qの化合物)の混合物に添加される。
【0035】
塩素化剤は、好ましくは溶媒または溶媒混合物で事前希釈され得、好ましくは事前冷却され得る。
【0036】
生成物の良好な収量のために、アニリンの一部の量(アニリンの総量の1から99重量%の間、好ましくは20から80重量%の間、特に好ましくは30から70重量%の間)も、塩素化剤と別個に、しかしこの塩素化剤と同時にまたは部分的に同時に添加することは、本発明の特定の実施形態である。
【0037】
単純化された(産業的な)プロセス過程に関する、本発明の1つの特定の実施形態は、式(4)の化合物を調製するための本発明に従った方法において、さらなる第三級アミンの添加を省くことが可能であり、その結果、未反応の、再び単離されたアニリン(式Qの化合物)の再利用が単純化されることである。
【0038】
したがって、極めて驚くほどに低電子のアニリンが式(4)の生成物の形成の際に弱塩基として作用することが、明らかにされている。これは、さらなる第三級アミンの添加を用いる標準的なGassman反応と比較すると驚くべきことである(スキーム2および3を参照されたい。:C=第三級アミン塩基、例えば、トリエチルアミン)。アニリンは、明らかに、式(4)の生成物への転位を触媒し得、したがってまた、式(3)のクロロスルホニウム中間体からHClを除去し得、これにより、二次反応のみが生じる。それにもかかわらず、また正確にはこのため、反応がこの様式で実施され得ることは非常に驚くべきことである。同時に、本発明に従った方法におけるさらなる第三級アミンの省略は、回収されたアリニンおよび第三級アミンについての、その後の複合体の分離を省くことができるため、有利である。
【0039】
本発明はまた、式(7)および(8):
【0040】
【化10】

[式中、
R1=C1−C6アルキル、置換されたアルキル、アリールまたは置換されたアリールであり、好ましくはC1−C4アルキルであり、
R2=H、C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルであり、
R4=F、Cl、Br、I、CF、CN、NO、COX
[式中、X=OR1、SR1、NR2R2’(式中、R2’は上記のR2と同様に定義され、R2と同一であるまたはR2と異なっていてよい。)であり、好ましくはFまたはClであり、特に2−Fである。]
であり、
n=1−4であり、好ましくは1−2であり、特に1であり、
R5=H、C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルであり、
R6=C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルであり、好ましくはC1−C4アルキルまたはOHである。]
の化合物を調製するための方法であって、
式(4):
【0041】
【化11】

[式中、基R1、R2、R4およびR5は上述のように定義され、R3は、電子求引基または活性化基、例えば、−CO−R1、−CO−X[式中、X=OR1、SR1、NR2R2’(式中、R2’はR2と同様に定義され、R2と同一であるまたはR2と異なっていてよく、R2およびR2’は環を形成し得る。)、SO(n’)−R1(式中、n’は、0、1または2であり得る。)、−CN、−NO、アリールまたはヘテロアリールである。]である。]
の化合物を調製するための、本発明に従った上記の方法によって調製される、式(4)の化合物を、
場合によっては酸性触媒の存在下で、式(4)の化合物を単離することなく反応させて、式(7)のインドールまたは式(8)のオキシインドールを得る方法を提供する。
【0042】
R3=CO−R1であるケースでは、式(7)のインドールが得られ、一方、R3=COXのケースでは、R6=OHである式(8)のオキシインドールまたは式(7)のインドールが得られる。結果として、本発明との関連において、これらの特異的なインドールもまた、したがって、「オキシインドール」という用語に包含される。
【0043】
本発明に従った方法における酸性触媒には、H(式中、X=F、Cl、Br、I、HSO、BF、HPO、SO2−、HPO2−、PO3−、R’SO、R”HPO、R’’’PO2−、R’’’’COである。)などの無機酸または有機酸またはそれらの混合物を用いることが可能である。気体の形態の無機酸、または溶媒内の、好ましくは水もしくはアルコール内の無機酸、特にHClを用いることが好ましい。本発明に従った方法において用いられる酸性触媒は、この目的のために当業者に慣習的な量で用いられる。
【0044】
Gassmanら(J.Am.Chem.Soc.、1974、96(17)、5508頁)による標準的な方法に基づいて、多くのオキシインドールまたはオルト置換されたアニリンが合成されている。したがって、例えば7−フルオロイサチンの合成経路で、中間体7−フルオロ−3−メチルチオオキシインドール(7−フルオロ−2−メチル−3−(メチルスルファニル)−1H−インドール)が合成された(Wierengaら、Tetrahedron Lett、1983、24、2437頁)。プロトンスポンジおよびトリエチルアミンを用いるGassmanの方法によって調製される7−フルオロ−3−メチルチオ−4−ニトロオキシインドールの1つの例は、Tetrahedron Lett.2005、46、4613頁において見ることができる。
【0045】
したがって、本発明はまた、薬学または農学からファインケミカルおよび活性成分を調製するための中間体としての、本発明に従った上記の方法によって得ることができ新規な式(4’):
【0046】
【化12】

[式中、
R1=C2−C6アルキル、ベンジルであり、
R2=Hであり、
R3=COR”(式中、R”=C1−C6アルキル、ベンジルエステルであり得る。)であり、
R4=2−F、2−Clであり、
R5=H、C1−C4アルキルである。]
の化合物を提供する。
【0047】
R1=エチルであり、
R2=Hであり、
R3=COメチル、COエチルであり、
R4=2−F、2−Clであり
R5=H、メチル、エチルである、
式(4’)の化合物が好ましい。
【0048】
本発明はまた、本発明に従った上記の方法によって得ることができ新規な式(7’):
【0049】
【化13】

(式中、
R1=C2−C6アルキル、ベンジルであり、
R4=7−F、7−Clであり、
R5=H、C1−C4アルキルであり、
R6=C1−C6アルキルである。)
の最終生成物を提供する。
【0050】
R1=エチルであり、
R4=7−F、7−Clであり、
R5=H、メチルであり、
R6=C1−C6アルキルである、
式(7’)の化合物が好ましい。
【0051】
本発明はまた、薬学または農学からファインケミカルおよび活性成分を調製するための中間体としての、本発明に従った上記の方法によって得ることができ新規な式(8’):
【0052】
【化14】

(式中、
R1=C2−C6アルキル、ベンジルであり、
R2=Hであり、
R4=7−F、7−Clであり、
R5=H、C1−C4アルキルである。)
の化合物を提供する。
【0053】
R1=エチルであり、
R2=Hであり、
R4=7−F、7−Clであり、
R5=H、メチルである、
式(8’)の化合物が好ましい。
【0054】
本発明はまた、本発明に従って得られ、さらなるプロセシング生成物を調製するための本発明に従った上記の方法によって調製される、式(4’)、(7’)および(8’)の新規な化合物であって、SR1基が、当業者に知られている脱スルホン化プロセスを介して水素によって置き換えられている化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本明細書において用いられる化学用語に関して、当業者に慣習的な定義が、別段の具体的な定義がない限り適用される。アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、アルキルアミノ基およびアルキルチオ基ならびに対応する不飽和の基および/または炭素骨格において置換された基は、それぞれのケースにおいて、直鎖状または分枝鎖状であり得る。具体的な記載がない限り、これらの基において、より低級な炭素骨格、例えば1から6個の炭素原子を有する炭素骨格が好ましくまたは不飽和基のケースでは2から6個の炭素原子を有する炭素骨格が好ましい。アルコキシ基、ハロアルキル基などの複合的な意味を含むアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基またはイソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基または2−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、イソヘキシル基および1,3−ジメチルブチル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基および1,4−ジメチルペンチル基である。
【0056】
シクロアルキルは、好ましくは3から8個の炭素原子を有する、炭素環式の、飽和した環式系であり、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0057】
ハロゲンは、例えば、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素である。ハロアルキルは、ハロゲンによって、好ましくは、フッ素、塩素および/または臭素によって、特にフッ素および/または塩素によって、部分的にまたは完全に置換されたアルキアルであり、例えば、モノハロアルキル、ペルハロアルキル、CF、CHF、CHF、CFCF、CHFCHCl、CCl、CHCl、CHCHClであり、ハロアルキルは、例えば、OCF、OCHF、OCHF、CFCFO、OCHCFおよびOCHCHClである。同一のことが、ハロゲンによって置換された他の基に適用される。
【0058】
アリールは、単環式、二環式または多環式の系であり、例えば、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インデニル、インダニル、ペンタレニル、フルオレニルなどであり、好ましくはフェニルである。
【0059】
複素環式基または複素環(ヘテロシクリル)は、飽和しているか、不飽和であるかまたは複素環式芳香族化合物であってよい。これは、複素環内に、好ましくはN、OおよびSの群からの、好ましくは1つ以上のヘテロ原子、特に1個、2個または3個のヘテロ原子を含有する。これは、好ましくは、3から7個の環原子を有する脂肪族ヘテロシクリル基または5個もしくは6個の環原子を有する複素環式芳香族基である。複素環式基は、例えば、複素環式芳香族基もしくは複素環式芳香環(ヘテロアリール)、例えば単環式芳香族系、二環式芳香族系もしくは多環式芳香族系(ここで、少なくとも1つの環は、1つ以上のヘテロ原子、例えば、ピリジル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、チエニル、チアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、フリル、ピロリル、ピラゾリルおよびイミダゾリルを含有する。)であり得、または部分的にもしくは完全に水素化された基、例えば、オキシラニル、ピロリジル、ピペリジル、ピペラジニル、ジオキソラニル、オキサゾリニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、テトラヒドロフリルである。置換された複素環式基のための適切な置換基は、以下に示される置換基と、さらにまたオキソである。オキソ基はまた、例えばNおよびSのケースで、様々な酸化状態で存在し得る複素環原子上にも存在し得る。
【0060】
置換された基、例えば、置換されたアルキル基、アリール基、フェニル基、ベンジル基、ヘテロシクリル基およびヘテロアリール基は、例えば、置換されていない基礎体に由来した置換された基であり、ここで、置換基は、例えば、1つ以上の、好ましくは1個、2個または3個の、ハロゲン、アルコキシ、ハロアルコキシ、アルキルチオ、ヒドロキシ、アミノ、ニトロ、カルボキシ、シアノ、アジド、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニル、ホルミル、カルバモイル、モノアルキルアミノカルボニルおよびジアルキアルアミノカルボニル、スルファモイル、モノアルキルアミノスルホニルおよびジアルキアルアミノスルホニル、置換されたアミノ、例えばアシルアミノ、モノアルキアルアミノおよびジアルキアルアミノおよびアルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、ならびに環式基のケースではまた、アルキアルおよびハロアルキルの群からの基である。置換されたアルキルなどの「置換された基」という用語において、特定の飽和した炭化水素含有基に加え、対応する不飽和の脂肪酸基および芳香族基、例えば、場合によって置換されたフェニル、フェノキシなどが置換基として含まれる。炭素原子を有する基では、1から4個の炭素原子、特に1個または2個の炭素原子を有するものが好ましい。ハロゲン、例えばフッ素および塩素、(C1−C4)アルキル、好ましくはメチルまたはエチル、(C1−C4)ハロアルキル、好ましくはトリフルオロメチル、(C1−C4)アルコキシ、好ましくはメトキシまたはエトキシ、(C1−C4)ハロアルコキシ、ニトロおよびシアノからなる群からの置換基が概して好ましい。ここでは、置換基メチルおよびフッ素が特に好ましい。
【0061】
式(4’)、(7’)および(8’)はまた、適用可能であれば、全ての立体異性体を含む。このような化合物は、一般式には個別に記載されていない、1つ以上の不斉炭素原子を含有する。これらの特異的な空間形態によって定義される、考えられる立体異性体、例えばエナンチオマー、ジアステレオマーは、立体異性体の混合物から慣習的な方法によって得られ得、または立体化学的に純粋な開始物質の使用と組み合わせた立体選択的な反応によって調製され得る。
【0062】
本発明に従って用いられる式QおよびWの化合物は、既知であり、または一般に知られている方法に類似して調製され得る。
【0063】
式(4)の化合物を得るための本発明に従った方法は、例えば、最初に溶媒内にアニリン(式Qの化合物)およびチオエーテル(式Wの化合物)を導入し、好ましくは保護ガス下で冷却することによって実施される。塩素化剤と溶媒との混合物を、この撹拌されている溶液に滴下する。次に、反応物を加熱し、水性の酸で希釈する。相を分離し、有機相を水性の酸で洗浄する。次に、有機相を脱水し、式(4)の化合物が固体であれば、in vacuoで濃縮し、場合によって逆溶媒を添加し、混合物を数時間にわたり撹拌する。固体(式(4)の化合物)を濾過し、逆溶媒または溶媒混合物で洗浄する。式(4)の化合物が油である場合、有機相をin vacuoで濃縮する。
【0064】
式(7)および(8)の化合物を得るための本発明に従った方法は、例えば、最初に溶媒内にアニリン(式Qの化合物)およびチオエーテル(式Wの化合物)を導入し、好ましくは保護ガス下で冷却することによって実施される。塩素化剤と溶媒との混合物を、この撹拌されている溶液に滴下する。次に、反応物を加熱し、水性の酸で希釈する。相を分離し、有機相を水性の酸で洗浄する。次に、有機相を、式(7)の化合物では場合によって、また式(8)の化合物では好ましくは、酸性触媒と混合し、数時間にわたり撹拌する。次に、溶媒の90%をin vacuoで除去し、逆溶媒を添加し、混合物を数時間にわたり撹拌する。固体(式(7)または(8)の化合物)を濾過し、逆溶媒または溶媒混合物で洗浄する。
【0065】
以下の実施例は、本発明に従った方法を、より詳細に例示するものであるが、本発明に従った方法をこれに限定するものではない。以下の実施例において、量的データは、特定の別段の定義がない限り、重量を言う(明細書において、重量%はこれに類似して用いられた。)。測定単位、物理的パラメータなどでは、慣習的な省略形が用いられ、例えば、h=時間(単数または複数)、m.p.=融点、l=リットル、ml=ミリリットル、g=グラム、min=分(単数または複数)、in vacuo=減圧下、of theory=理論に従った収量パーセントである。
【実施例】
【0066】
合成例1:
2−クロロアニリン(20.4g)およびメチルメチルメルカプトアセテート(8.36g)を最初にクロロベンゼン(77ml)内に導入し、保護ガス下で−30℃まで冷却した。塩化スルフリル(8.45g)のクロロベンゼン(67ml)中溶液を、この撹拌されている溶液に30分間滴下した。反応混合物を−5℃まで温め、0.4Nの塩酸(110ml)で希釈した。相を分離し、有機相を0.4Nの塩酸(4×110ml)で洗浄した。次に、有機相を、MeOH(2ml)中の10%濃度のHClと混合し、16時間にわたり撹拌した。溶媒の90%をin vacuoで除去し、ヘプタン(120ml)を添加し、混合物を4時間にわたり撹拌した。固体を濾過し、ヘプタン(2×50ml)で洗浄した。これにより、7−クロロ−3−メチルチオオキシインドール(9.36g、理論の70%)が得られる。m.p.:167−170℃。
【0067】
合成例2:
2−クロロアニリン(20.4g)およびメチルメチルメルカプトアセテート(8.36g)を最初にクロロベンゼン(77ml)内に導入し、保護ガス下で−30℃まで冷却した。塩化スルフリル(8.45g)のクロロベンゼン(67ml)中溶液を、この撹拌されている溶液に30分間滴下した。反応混合物を−5℃まで温め、0.4Nの塩酸(110ml)で希釈した。相を分離し、有機相を0.4Nの塩酸(4×110ml)および水(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水した。有機相を濾過し、in vacuoで蒸留した。これにより、茶褐色の油としてメチル(2−アミノ−3−クロロフェニル)(メチルチオ)アセテートが得られる(10.9g、理論の71%)。
【0068】
合成例3:
4−クロロアニリン(20.4g)およびメチルメチルメルカプトアセテート(8.36g)を最初にn−ブチルアセテート(77ml)内に導入し、保護ガス下で−30℃まで冷却した。塩化スルフリル(8.45g)のn−ブチルアセテート(67ml)中溶液を、この撹拌されている溶液に30分間滴下した。反応混合物を10℃まで温め、0.4Nの塩酸(110ml)で希釈した。相を分離し、有機相を0.4Nの塩酸(2×110ml)で洗浄した。次に、有機相を、MeOH(2ml)中の10%濃度のHClと混合し、16時間にわたり撹拌した。溶媒の90%をin vacuoで除去し、ヘプタン(120ml)を添加し、混合物を4時間にわたり撹拌した。固体を濾過し、ヘプタン(2×50ml)で洗浄した。これにより、5−クロロ−3−メチルチオオキシインドール(7.89g、理論の59%)が得られる。m.p.:154−157℃。
【0069】
合成例4:
2−フルオロアニリン(17.8g)およびメチルメチルメルカプトアセテート(8.36g)を最初にn−ブチルアセテート(77ml)内に導入し、保護ガス下で−30℃まで冷却した。塩化スルフリル(8.45g)のn−ブチルアセテート(67ml)中溶液を、この撹拌されている溶液に30分間滴下した。反応混合物を10℃まで温め、0.4Nの塩酸(110ml)で希釈した。相を分離し、有機相を0.4Nの塩酸(1×110ml)で洗浄した。次に、有機相を、MeOH(2ml)中の10%濃度のHClと混合し、16時間にわたり撹拌した。溶媒の90%をin vacuoで除去し、ヘプタン(120ml)を添加し、混合物を4時間にわたり撹拌した。固体を濾過し、ヘプタン(2×50ml)で洗浄した。これにより、7−フルオロ−2−メチル−3−(メチルスルファニル)−1H−インドール(9.17g、理論の72%)が得られる。m.p.:156−159℃。
【0070】
合成例5:
2−フルオロアニリン(17.8g)およびメチルメチルメルカプトアセテート(8.36g)を最初にn−ブチルアセテート(77ml)内に導入し、保護ガス下で−30℃まで冷却した。塩化スルフリル(8.45g)のn−ブチルアセテート(67ml)中溶液を、この撹拌されている溶液に30分間滴下した。反応混合物を10℃まで温め、0.4Nの塩酸(110ml)で希釈した。相を分離し、有機相を0.4Nの塩酸(1×110ml)および水(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で脱水した。有機相を濾過し、in vacuoで蒸留した。これにより、茶色の油としてメチル(2−アミノ−3−フルオロフェニル)(メチルチオ)アセテートが得られる(12.5g、理論の73%)。
【0071】
合成例6:
2−フルオロアニリン(17.8g)およびメチルメチルメルカプトアセテート(8.36g)を最初にn−ブチルアセテート(77ml)内に導入し、保護ガス下で−50℃まで冷却した。塩化スルフリル(8.45g)のn−ブチルアセテート(67ml)中溶液を、−53から−48℃の内部温度で、この撹拌されている溶液に30分間滴下した。反応混合物を10℃まで温め、0.4Nの塩酸(110ml)で希釈し、5分間にわたり事後撹拌した。相を分離し、有機相を0.4Nの塩酸(1×110ml)で洗浄した。有機相を濃HCl(0.2ml)と混合した。反応混合物を24時間にわたり撹拌し、濃HCl(0.05ml)と再び混合し、4℃で16時間にわたり放置した。溶媒のおよそ90%をin vacuoで除去し、ヘプタン(120ml)を添加し、混合物を5時間にわたり撹拌した。固体を濾過し、ヘプタン(2×50ml)で洗浄し、脱水した。これにより、7−フルオロ−2−メチル−3−(メチルスルファニル)−1H−インドール(8.71g、理論の63%)が得られる。LCMS:M+H=198(100%)。1H−NMRは、合成例7において記載されるものと一致する。
【0072】
合成例7:
2−フルオロアニリン(18.1g)およびメチルメチルメルカプトアセテート(8.58g)を最初にn−ブチルアセテート(80ml)内に導入し、保護ガス下で−20℃まで冷却した。塩化スルフリル(8.77g)のn−ブチルアセテート(70ml)中溶液を、−25から−18℃の内部温度で、この撹拌されている溶液に30分間滴下した。反応混合物を60分間の過程にわたり10℃まで温め、0.4Nの塩酸(110ml)で希釈した。相を分離し、有機相を0.4Nの塩酸(1×110ml)で洗浄した。次に、有機相を濃塩酸(0.5ml)およびMeOH(2ml)と混合し、16時間にわたり撹拌した。溶媒のおよそ90%をin vacuoで除去し、n−ヘプタン(120ml)を添加し、混合物を3時間にわたり撹拌した。固体を濾過し、ヘプタンで洗浄した。これにより、7−フルオロ−2−メチル−3−(メチルスルファニル)−1H−インドール(7.85g、理論の55%)が得られる。1H−NMR(CDCl):d=2.06(s,3H)、4.32(s,1H)、7.02−7.05(m,2H)、7.17−7.19(m,1H)、8.3(s,広幅,1H)。
【0073】
合成例8:
2−フルオロアニリン(17.8g)およびメチルメチルメルカプトアセテート(8.36g)を最初にジクロロメタン(77ml)内に導入し、保護ガス下で−30℃まで冷却した。塩化スルフリル(8.45g)のn−ブチルアセテート(67ml)中溶液を、−33から−28℃の内部温度で、この撹拌されている溶液に30分間添加した。反応混合物を10℃まで温め、0.4Nの塩酸(110ml)で希釈し、5分間にわたり事後撹拌した。相を分離し、有機相を0.4Nの塩酸(1×110ml)で洗浄した。次に、有機相を濃HCl(0.2ml)と混合した。反応混合物を16時間にわたり撹拌し、濃HCl(0.05ml)と混合し、7時間にわたり撹拌し、濃HCl(0.05ml)と再び混合し、16時間にわたり事後撹拌した。溶媒のおよそ90%をin vacuoで除去し、ヘプタン(110ml)を添加し、混合物を5時間にわたり撹拌した。固体を濾過し、ヘプタン(2×50ml)で洗浄し、脱水した。これにより、7−フルオロ−2−メチル−3−(メチルスルファニル)−1H−インドール(5.84g、理論の42%)が得られる。LCMSおよび1H−NMRは、合成例6および7において記載されるものと一致する。
【0074】
合成例9:
2−フルオロアニリン(7.73g)およびメチルメチルメルカプトアセテート(8.36g)を最初にn−ブチルアセテート(67ml)内に導入し、保護ガス下で−35℃まで冷却した。塩化スルフリル(8.45g)のn−ブチルアセテート(67ml)中溶液を、この撹拌されている溶液に計量して添加し、これと並行して、n−ブチルアセテート(10ml)中の2−フルオロアニリン(10.04g)を、25分間、反応溶液内に計量して直接添加し、この間に、温度は−29℃まで上昇した。−30℃で15分後、反応混合物を10℃まで温め、0.4Nの塩酸(110ml)を滴下した。相を分離し、有機相を0.4Nの塩酸(1×110ml)で洗浄した。有機相をMeOH(1.9ml)中の10%濃度のHClと混合し、16時間にわたり撹拌した。溶媒の95%をin vacuoで除去し、ヘプタン(120ml)を添加し、反応混合物を3時間にわたり撹拌した。固体を濾過し、ヘプタン(2×50ml)で洗浄した。これにより、7−フルオロ−2−メチル−3−(メチルスルファニル)−1H−インドール(8.87g、理論の70.0%)が得られる。
【0075】
合成例10:
2−フルオロアニリン(18.1g)および1−(メチルスルファニル)アセトン(7.44g)を最初にn−ブチルアセテート(80ml)内に導入し、保護ガス下で−30℃まで冷却した。撹拌しながら、塩化スルフリル(8.77g)のn−ブチルアセテート(70ml)中溶液を、30分間の過程にわたり滴下し、混合物を−35から−28℃の内部温度で1.5時間にわたり事後撹拌した。反応混合物を0℃まで温め、相を分離した。有機相を0.5Nの塩酸(2×80ml)および水(40ml)で抽出し、少量の硫酸ナトリウムで脱水し、in vacuoで蒸発によって濃縮した。残渣を酢酸エチルで3回混合し、蒸発によって濃縮した。これにより、茶色の油として7−フルオロ−2−メチル−3−(メチルスルファニル)−1H−インドール(9.67g、理論の59%)が得られる。1H−NMR(CDCl):d=2.26(s,3H)、2.55(s,3H)、6.87(dd,1H)、7.03−7.08(m,1H)、7.43(d,1H)、8.24(s,広幅,1H)。LCMS:M+H=196。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(4)
【化1】

[式中、
R1=C1−C6アルキル、置換されたアルキル、アリールまたは置換されたアリールであり、好ましくはC1−C4アルキルであり、
R2=H、C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルであり、
R3=電子求引基または活性化基、例えば−CO−R1、−CO−X
[式中、X=OR1、SR1、NR2R2’(式中、R2’はR2と同様に定義され、R2と同一であるまたはR2と異なっていてよく、R2およびR2’は環を形成し得る。)、SO(n’)−R1(式中、n’=0、1または2であり得る。)、−CN、−NO、アリールまたはヘテロアリールである。]
であり、
R4=F、Cl、Br、I、CF、CN、NO、COX
[式中、X=OR1、SR1、NR2R2’(式中、R2’は上記のR2と同様に定義され、R2と同一であるまたはR2と異なっていてよい。)であり、好ましくはFまたはClであり、特に2−Fである。]
であり、
n=1−4であり、好ましくは1−2であり、特に1であり、
R5=H、C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルである。]
の化合物を調製するための方法であって、
アニリン(式Qの化合物):
【化2】

(式中、基R4、nおよびR5は、式(4)で定義されたものである。)
およびチオエーテル(式Wの化合物):
【化3】

(式中、基R1、R2およびR3は、式(4)で定義されたものである。)
の混合物を、塩素化剤および有機溶媒の存在下で、−60℃から−10℃の間の範囲の反応温度で、特に−50℃から−20℃の間の範囲の反応温度で反応させて、式(4)の化合物を得ることを含む方法。
【請求項2】
反応が、C1−C6アルキルアセテート(例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、イソプロピルアセテート、2−メチルプロパ−1−イルアセテート、n−ブチルアセテート、ブタ−2−イルアセテート、ペンチルアセテート、ヘキシルアセテートおよびシクロアルキルアセテート、C1−C6アルキルおよびシクロアルキルプロピオネート、C1−C6アルキルおよびシクロアルキルn−ブチレート、イソブチレート、ペンタノエートおよびヘキサノエートならびにシクロペンタノエートおよびシクロヘキサノエート)からなる群から好ましくは選択される、産業上さらに適切であるエステル溶媒内で実施されるまたはそれらの混合物内で実施されるまたは他の溶媒との混合物内で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
生成物の良好な収量のために、最大1当量の、好ましくは0.5から1.0当量の、特に好ましくは0.7から1.0当量の、とりわけ好ましくは0.8から0.95当量の塩素化剤が、1当量のチオエーテル(式Wの化合物)および2.0から5.0当量の、好ましくは2.0から3.0当量の、特に好ましくは2.0から2.5当量のアニリン(式Qの化合物)の混合物に添加される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
生成物の良好な収量のために、アニリンの一部の量(アニリンの総量の1から99重量%の間、好ましくは20から80重量%の間、特に好ましくは30から70重量%の間)が、塩素化剤と別個に、しかしこの塩素化剤と同時にまたは部分的に同時に添加される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
単純化されたプロセス過程に関して、さらなる第三級アミンの添加が省かれる、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
式(7)および(8):
【化4】

[式中、
R1=C1−C6アルキル、置換されたアルキル、アリールまたは置換されたアリールであり、好ましくはC1−C4アルキルであり、
R2=H、C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルであり、
R4=F、Cl、Br、I、CF、CN、NO、COX
[式中、X=OR1、SR1、NR2R2’(式中、R2’は上記のR2と同様に定義され、R2と同一であるまたはR2と異なっていてよい。)であり、好ましくはFまたはClであり、特に2−Fである。]
であり、
n=1−4であり、好ましくは1−2であり、特に1であり、
R5=H、C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルであり、
R6=C1−C6アルキルまたは置換されたアルキルであり、好ましくはC1−C4アルキルまたはOHである。]
の化合物を調製するための方法であって、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法によって調製される、式(4):
【化5】

[式中、基R1、R2、R4、nおよびR5は上述のように定義され、R3は、電子求引基または活性化基、例えば、−CO−R1、−CO−X[式中、X=OR1、SR1、NR2R2’(式中、R2’はR2と同様に定義され、R2と同一であるまたはR2と異なっていてよく、R2およびR2’は環を形成し得る。)、SO(n’)−R1(式中、n’は、0、1または2であり得る。)、−CN、−NO、アリールまたはヘテロアリールである。]である。]
の化合物を、
場合によっては酸性触媒の存在下で、式(4)の化合物を単離することなく反応させて、式(7)のインドールまたは式(8)のオキシインドールを得る方法。
【請求項7】
薬学または農学からファインケミカルおよび活性成分を調製するための中間体としての、式(4’)
【化6】

[式中、
R1=C2−C6アルキル、ベンジルであり、
R2=Hであり、
R3=COR”(式中、R”=C1−C6アルキル、ベンジルエステルであり得る。)であり、
R4=2−F、2−Clであり、
R5=H、C1−C4アルキルである。]
の化合物。
【請求項8】
薬学または農学からファインケミカルおよび活性成分を調製するための中間体としての、式(7’)
【化7】

(式中、
R1=C2−C6アルキル、ベンジルであり、
R4=7−F、7−Clであり、
R5=H、C1−C4アルキルであり、
R6=C1−C6アルキルである。)
の化合物。
【請求項9】
薬学または農学からファインケミカルおよび活性成分を調製するための中間体としての、式(8’)
【化8】

(式中、
R1=C2−C6アルキル、ベンジルであり、
R2=Hであり、
R4=7−F、7−Clであり、
R5=H、C1−C4アルキルである。)
の化合物。
【請求項10】
SR1基が、当業者に知られている脱スルホン化プロセスを介して水素によって置き換えられている、さらなるプロセシング生成物を調製するための、請求項1から6のいずれかに記載の方法によって調製される、請求項7から9の一項以上に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2012−526045(P2012−526045A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507632(P2012−507632)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002566
【国際公開番号】WO2010/127786
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(507203353)バイエル・クロップサイエンス・アーゲー (172)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】