説明

オキシコドン及びナロキソンを含有する医薬製剤

【課題】疼痛治療におけるオキシコドン及びナロキソンを含む製剤において、持続的、独立的、かつ不変的に放出される保存安定性医薬製剤の提供。
【解決手段】オキシコドンがナロキソンの単位投薬量に対して過剰に存在し、製剤の拡散マトリクスにおいて、製剤から薬剤の放出態様に影響を及ぼす成分として、少なくともエチルセルロース及び少なくとも1つの脂肪アルコールを含み、適切量のアルカリ性及び/又は水膨潤性物質、特にアクリル酸及び/又はヒドロキシアルキルセルロースの誘導体を含まないことを特徴とする製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシコドン及びナロキソンを含む保存安定性医薬製剤に関する。
【0002】
癌、リウマチ及び関節炎のような疾患から生じる重篤な疼痛の治療は、これらの疾患の
治療の中心となる。腫瘍患者が感じる疼痛の範囲は、骨膜及び骨自体の疼痛はもちろんの
こと、内臓痛及び軟組織痛も含む。そのような疼痛はすべて、患者の日常生活を耐え難く
し、しばしば抑うつの原因となる。したがって、患者の生活の質の持続的改善を導くよう
な適正な疼痛治療は、疾患の実際の原因の治療同様、包括的治療を成功させるのと同じよ
うに重要である。
【0003】
正しい疼痛治療の重要性に関して、世界保健機構(WHO)は、腫瘍疼痛を有する患者の
治療のための4ステップモデルを開発した。このモデルは、毎日の通常診療において有効
であることが証明されており、慢性痛又は癌以外の疾患から生じる疼痛に苦しむ患者にも
施すことができる。疼痛の強度、質及び局在性に応じて、この治療は4つのステップに分
けられ、それまで使用された疼痛緩和剤の効果がもはや有効でない場合に次の各ステップ
が指示される(Ebell,H.J.;Bayer A.(Ed.):Die Schmerzbehandlung von Tumorpatienten
,Thieme 1994(Supportive Maβnahmen in der Onkologie, Band 3)及びZech,D.;Grond,S
.;Lynch,J.;Hertel,D.;Lehmann,K.:Validation of World Health Organization Guid
elines for Cancer Pain Relief: a 10-year prospective study,Pain(1995),63,65-76)

【0004】
WHOのこの4ステップモデルに従って、オピオイド鎮痛薬は、疼痛の治療に中心的な役
割を果たす。オピオイド鎮痛薬群は、これらの典型的な医薬的活性剤であるモルヒネ以外
に、オキシコドン、ヒドロモルフォン、ニコモルヒネ、ジヒドロコデイン、ジアモルヒネ
、パパベレタム、コデイン、エチルモルヒネ、フェニルピペリジン及びその誘導体;メタ
ドン、デキストロプロポキシフェン、ブプレノルフィン、ペンタゾシン、チリジン、トラ
マドール及びヒドロコドンも含む。WHOのATC分類(Anatomical Chemical Classification
;解剖化学分類)は、医薬的活性剤がオピオイド鎮痛薬となるか否かを示す。オピオイド
鎮痛薬の顕著な疼痛緩和効果は、その生理的機能が疼痛刺激の受容及び処理を調整するも
のである、内因性モルヒネ様作動薬(「内因性オピオイド」)の効果を模倣する。
【0005】
オピオイドは、疼痛刺激の伝播を抑制する。オピオイドに起因した脊髄における神経興
奮シグナル伝達の迅速阻害に加えて、そのような神経路の活性化も関連しており、それは
脳幹から脊髄に伝達される。この活性化により脊髄における疼痛伝播の阻害が生じる。そ
の上、オピオイドは、視床の疼痛受容を制限し、辺縁系に影響を及ぼすことにより感情性
疼痛評価に影響を与える。
【0006】
オピオイド受容体は、身体の様々な部位に見出される。腸及び脳の受容体は、特にその
活動が様々な副作用を生じるため、オピオイドによる疼痛治療にとって特に重要である。
【0007】
オピオイド鎮痛薬は、オピオイド受容体に高い親和性によって結合し、疼痛受容の強力
な阻害を誘発する場合に、強力な作動薬であると見なされる。オピオイド受容体に高い親
和性によって結合するが、疼痛受容の低下を起こさず、それによってオピオイド作動薬を
打ち消す物質は、拮抗薬と呼ばれる。結合態様及び誘発活性に応じて、オピオイドは、純
作動薬、混合作動薬/拮抗薬及び純拮抗薬に分類することができる。純拮抗薬は、例えば
、ナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェン(nalmefene)、ナロルフィン、ナルブフ
ィン、ナロキソンアジネン(naloxoneazinen)、メチルナルトレキソン、ケチルシクラゾ
シン(ketylcyclazocine)、ノルビナルトルフィミン、ナルトリンドール、6−β−ナロ
キソール及び6−β−ナルトレキソールを含む(forth W.;Henschler,D.;Rummel W.;Sta
rke,K.:Allgemeine und Spezielle Pharmakologie und Toxikologie,7.Auflage,1996,Sp
ektrum Akademischer Verlag,Heidelberg Berlin Oxford)。
【0008】
その良好な鎮痛効率により、オキシコドン、チリジン、ブプレノルフィン及びペンタゾ
シンのような化合物は、疼痛治療のための薬剤の形で使用されてきた。Oxigesic(登録商
標)(ここで、オキシコドンが鎮痛活性化合物である)及びValoron(登録商標)(ここ
で、チリジンが鎮痛活性化合物である)のような薬剤は、疼痛治療に有用であることが証
明されている。
【0009】
しかしながら、疼痛治療のためのオピオイド鎮痛薬の使用は、望ましくない副作用を併
発することがある。それゆえ、オピオイド鎮痛薬の長期使用は、心理的及び身体的依存を
引き起こす可能性がある。
【0010】
特に、疼痛を患う患者がオピオイド鎮痛薬へ身体的に依存すると、疼痛緩和に至るには
、長期摂取において患者が疼痛緩和剤を多量に摂取せざるを得ないことを意味する、耐性
が進行する。オピオイド鎮痛薬の多幸感を引き起こす効果はしばしば、疼痛緩和剤の乱用
につながる。薬剤乱用及び心理的依存は、特にティーンエイジャーの間で一般的な現象で
ある。これらの危険な効果は、強力な鎮痛能を有する物質によって誘起され、望ましくな
い習慣から十分に発達した乱用へ及ぶことがある。しかしながらこれらの物質は、医療目
的で合法的に使用され、医療はそれらなしで行うことはできない。
【0011】
上記の欠点に加え、疼痛治療への強力なオピオイド鎮痛薬の使用はしばしば望ましくな
い副作用、例えば便秘、呼吸低下、吐き気及び鎮静にもつながる。ごくまれに、衝動又は
排尿機能障害が観察される。疼痛治療中に発生する習慣プロセス及び他の副作用を妨げる
ために、様々な試みがなされてきた。これは例えば、従来からの治療方法によって行いう
る。薬物乱用の場合、これは薬物退行治療であり、便秘の場合、これは下剤によってなさ
れうる。
【0012】
他の試みは、オピオイド鎮痛薬を抑制する拮抗薬の投与によって、その他の副作用と同
様に、オピオイド鎮痛薬の乱用及び習慣化の可能性を最小限にすることを目的としている
。そのような拮抗薬は、ナルトレキソン又はナロキソンでもよい。
【0013】
多くの提案及び示唆があったが、それは、どのように上述の活性化合物を適用すると、
望ましくない習慣及び依存、又は乱用さえを回避しうるかというものであった。
【0014】
米国特許第3,773,955号及び第3,966,940号は、非経口的適用における多幸などの依存促
進効果を予防するために、ナロキソンを併用した鎮痛薬を調合することを示唆した。便秘
のような副作用に対する処置は施されていない。
【0015】
経口的適用の形態の非経口的乱用を制限するために、米国特許第4,457,933号は、モル
ヒネとナロキソンとの併用を限定された範囲で示唆した。便秘などの副作用を回避するこ
とには言及されていない。
【0016】
米国特許第4,582,835号は、再度の乱用を回避するためにブプレノルフィン及びナロキ
ソンの併用を含む製剤について述べているが、それは、非経口で又は舌下によって投与さ
れるものである。
【0017】
欧州特許出願第0 352 361 A1号は、オピオイド鎮痛薬及び1つの拮抗薬の経口利用によ
る疼痛治療中の便秘の治療に関し、拮抗薬はナルトレキソン又はナロキソンのどちらかの
プロドラッグ形である。オピオイド鎮痛薬の乱用を回避することは、本出願では問題とさ
れていない。
【0018】
ドイツ特許出願第43 25 465 A1号も、オピオイド鎮痛薬及び拮抗薬を含む製剤を使用す
る疼痛治療の間の便秘の治療に関する。本出願の特徴は、ナロキソンでありうる拮抗薬は
、好ましくはモルヒネであるオピオイド鎮痛薬よりも多量に含まれなければならないこと
である。これは、該拮抗薬は、該作動薬の鎮痛活性を低下させずに、抗便秘効果を示すこ
との裏づけとなる。オピオイド鎮痛薬の乱用を回避することは、本出願においては問題と
されていない。
【0019】
疼痛治療中の副作用、例えば便秘及び呼吸低下を回避するために、経口摂取可能であり
、オピオイド鎮痛薬及びオピオイド拮抗薬のナロキソンを含む製剤が市場に導入されてい
る。Windrop/Sterlingの薬剤Talwin(登録商標)は、ペンタゾシン及びナロキソンを含む
。Godekeの薬剤Valoron(登録商標)は、チリジン−ナロキソン併用を含む。
【0020】
強力な鎮痛効果、乱用可能性の低下及び副作用の回避に加えて、疼痛治療を成功させる
のに有用な薬剤は、他の特性を提供べきである。
【0021】
一般に薬剤は、活性化合物が標準保存条件下でできるだけ長く安定である方法で調合さ
れなければならない。薬剤は、活性化合物の目的とする放出プロフィールが長期保存時に
変化しない方法で調合される必要もある。
【0022】
加えて(作動薬/拮抗薬併用の場合においても)、単一活性化合物各々の放出プロフィ
ールは、必要に応じて選択しうるべきである。これを実現するために適用された手段は、
他の活性化合物の放出プロフィール(例えば異なる活性化合物の併用の場合)が必要に応
じて選択しうることを妨げたり、又は防止すらすべきではない。結果として、放出プロフ
ィールは相互依存しないはずである。
【0023】
疼痛治療に適した薬剤は、活性化合物をそのような量で含有するか、又は患者によって
ごくまれに摂取されるような方法で調合されるかのどちらかである。疼痛緩和剤の利用ス
キームが容易なあるほど、そして患者にとって錠剤を何のために及びどのように摂取すべ
きであるのかがより明白であるほど、患者は医師の指示を正確に守るであろう。疼痛緩和
剤をごくまれに摂取する必要により、患者が高い意欲(服薬率)をもって疼痛緩和剤を摂
取することになるであろう。
【0024】
いわゆる持続放出調合物、すなわち活性化合物が長期間にわたって放出される薬剤の調
合物を使用することを通じて、疼痛緩和薬剤を摂取すべき頻度を低下させること、及びそ
れにより患者の服薬率を向上させる試みが行われてきた。そのような持続放出調合物も、
オピオイド鎮痛薬の持続放出によりこの活性化合物を乱用する可能性が低下するという点
で理に適っている。
【0025】
これは、活性化合物の乱用可能性は化合物自体によってではなく、むしろ投与される方
法及びそれから生じる薬力学によって特定されるという事実による。オピオイドの向精神
効果に加えて、脳にオピオイドが達する割合は、活性化合物自体よりも、依存性の危険に
関してより決定的な基準となる(Nolte,T.:STK-Zeitschrift fur angewandte Schmerzth
erapie,2001,Vol.2)。
【0026】
Purdueの薬剤Oxigesic(登録商標)は、オピオイド鎮痛薬オキシコドンが持続方法で放
出される製剤である。この調合物のおかげで、薬剤の摂取頻度は乱用可能性と同様に低下
するが、しかしながらOxigesic(登録商標)がオピオイド拮抗薬を含有しないため依然と
して副作用は存在し、乱用が起こる危険性が排除されたわけではない。
【0027】
上記の欧州特許出願第0 352 361 A号により、オピオイド鎮痛薬と拮抗薬のどちらも持
続方法で放出されるように調合されない。したがって、そのような製剤が有効である期間
は限定され、製剤は1日に複数回摂取する必要がある。患者の所望の服薬率は達成されな
い。この出願は、活性化合物の時間安定性及び独立した放出を特徴とする製剤の調合物の
利点も開示していない。そのような製剤の保存安定性も本開示では扱われていない。
【0028】
ドイツ特許出願第43 25 465 A1号は、疼痛治療中に生じる便秘がオピオイド作動薬の持
続放出によって防止され、過剰に存在する拮抗薬が持続的に放出されなくてもよい調合物
を開示している。ナロキソンの高い初回通過効果のために、比較的大量のこの化合物を使
用しなければならない。この出願は、活性化合物の時間安定性及び独立した放出によって
特定された製剤の利点も調合物も開示していない。そのような製剤の保存安定性も開示さ
れていない。したがってここに開示された製剤を使用する医師は、投薬量を増加させたい
場合には毎回、広範囲に及ぶ滴定実験を実施しなければならない。
【0029】
Godeke社は商標Valoron(登録商標)で、チリジン−ナロキソン併用を含む疼痛緩和剤
を提供している。製品の資料によると、該調合物は、両方の活性化合物が持続的に放出さ
れるように使用されている。使用したマトリクスは、水膨潤性物質(ヒドロキシプロピル
メチルセルロース(HPMC))の関連部分を含み、したがって膨潤性(及びおそらく部分的
に浸食性の)拡散マトリクスと考えられる。この公知の調合物の欠点は、チリジン及びナ
ロキソンが、異なる絶対量であるが同一の質量比であり、異なる放出プロフィールを示す
ことである。作動薬及び拮抗薬の放出速度は、相互に無関係であるが、それはおそらく持
続放出調合物が使用されているためである。したがって医師は、両方の成分の放出プロフ
ィールが一定のままであることを仮定できないため、投薬量を増加したい場合はチリジン
:ナロキソンの質量比を変えなくても個々の患者について広範囲にわたる滴定実験を実施
することが必要である。したがって医師が適用可能な治療に使用可能な鎮痛薬の量は制限
されている。
【0030】
本発明の目的の1つは、鎮痛活性の高さを考慮すると、乱用可能性を低下させること及
び副作用を低下させることで特定される、疼痛治療用の医薬製剤を提供することであり、
上記製剤は、各患者の服用量を個別に適用しうることと同様、投薬頻度を下げ、したがっ
て上昇した服薬率が高まるような製剤の提供によっても特定される。本発明のさらなる目
的は、上記医薬製剤の活性化合物を長期保存しても安定であること、及び活性化合物の放
出が長期保存後でも再現可能で不変であり、相互に独立したままであることが確実である
、疼痛治療で使用できる医薬製剤のための調合物を提供することである。
【0031】
独立請求項の特徴を組み合わせると、本発明の以下の説明から示された、これら及びさ
らなる目的を達成するのに役立つ。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項で特定され
ている。
【0032】
本発明に関して、本発明の目的はオキシコドン及びナロキソンを含む保存安定性医薬製
剤を提供することによって達成され、ここで上記製剤は、活性化合物が持続的、独立的、
かつ不変的な様態で放出されるように調合される。
【0033】
オキシコドン(鎮痛に有効な量)及びナロキソンの併用により、本発明に関する製剤が
有効な鎮痛活性を示し、及び同時に一般的な副作用、例えば便秘、呼吸低下及び乱用の進
行が抑制又は少なくとも著しく低減されることが確実となる。長期間にわたって安定であ
るマトリクス調合物により、作動薬が拮抗薬と同様に常に規定の比率で放出され、その放
出速度が相互に影響を及ぼさないことが恒久的に確実となる。それによってオキシコドン
が調合物から選択的に抽出されうることを必要とする、薬剤乱用が防止される。本発明に
関する調合物は、選択した作動薬及び拮抗薬の絶対量及び相対量とは無関係に、相当量の
拮抗薬を用いなければ、製剤から作動薬を選択的に抽出することができない。
【0034】
その上、本発明に関する薬剤の調合物により、相対量が同一であることを考慮すると、
活性化合物は存在している絶対量とは無関係に同じ放出プロフィールを示すことが確実に
なる。そのような独立放出態様により、最適な作動薬/拮抗薬比が公知であれば、医師は
鎮痛活性物質の絶対量を広範囲にわたって使用しうる。それゆえ段階式投与量増量、又は
必要であれば、段階式投与量削減によって、個々の患者への投薬量を十分に調整しうる。
投薬量を個々の患者毎に調整しうることは、医療上の観点から極めて有用である。
【0035】
本発明の特性は、活性化合物の持続的、不変的かつ独立的な放出を含むものであるが、
これによって、さらに、本発明によって製造される医薬製剤が、投与頻度を低くして、高
い患者服用率が達成されることにより特定されることが確実となる。その上、本発明に関
する製剤によれば、医師が個々の患者のために投薬量を調整しうる。本発明に関する製剤
によれば、活性化合物の使用可能な絶対量に関して幅広い範囲にわたる使用が可能となり
、活性化合物が、長期保存の後でさえも、等しい放出プロフィールにより有効であること
が確実となる。
【0036】
本発明に関して、活性化合物の持続放出は、医薬的に活性のある物質が、迅速放出のた
めの公知の調合物からよりも、長期間にわたって薬剤から放出されることを意味する。好
ましくは、放出は、2〜24時間、2〜12時間の期間にわたって、特に好ましくは2〜16時間
の期間にわたって起こり、明細は法律及び規則が要求する条件を満たしている。
【0037】
本発明に関して、薬剤の調合物は、製剤からの活性化合物のそのような持続放出が、遅
延調合物、持続放出調合物又は長期放出調合物として設計されることが確実となる。本発
明に関連して、「持続放出」とは、活性化合物が調合物又は薬剤からpH依存的に放出され
ることは意味しない。本発明に関して、活性化合物の放出はむしろ非pH依存的に生ずる。
本発明に関して、「持続放出」という用語は、長期間にわたる薬剤からの活性化合物の放
出を指す。それは特定場所での制御放出を示唆せず、;したがってそれは、活性化合物が
胃においてのみ、又は腸においてのみで放出されることは意味しない(もちろん、特定場
所でのそのような放出は薬剤の腸溶コーティングによって個別に達成することができる。
しかしながらこのことは現在、好都合であるとは思えない)。
【0038】
本発明に関して、「独立放出」とは、少なくとも2つの活性化合物を考えた場合、一つ
の化合物の絶対量の変動が他の化合物の放出プロフィールに影響を及ぼさないため、他の
化合物の放出プロフィールが変化されないことを意味する。そのような独立放出態様であ
る本発明に関する調合物は、放出が測定されるpH値、又は製造工程から独立している。pH
独立性は特に酸性範囲、すなわち<7のpH値に適用する。放出プロフィール(又は放出
態様)は、時間により、活性化合物の総量の比率として与えられる個々の活性化合物の量
により、調合物からの活性化合物の放出の変化として特定される。放出プロフィールは、
公知の試験により測定される。
【0039】
特に、このことは、例えば、オキシコドン12ミリグラム及びナロキソン4ミリグラム
を含むオキシコドン/ナロキソン併用について観察されるように、オキシコドンの放出プ
ロフィールは、同じ調合物を用いた対応する製剤がオキシコドン12ミリグラムを含むが
、ナロキソンは6ミリグラムである場合でも、変化しないことを意味する。
【0040】
独立放出の特徴は、好ましくは、実質的に等しい組成の製剤が放出プロフィールについ
て比較された場合の状況を指す。実質的に等しい組成の製剤は、活性化合物の量が異なる
が、その他の点では、本質的に放出態様に影響を及ぼす組成物の成分に関して基本的に同
じである。
【0041】
例えば上述の製剤が(オキシコドン12mg及びナロキソン4mgを含む第一の製剤及びオキ
シコドン12mg及びナロキソン6mgを含む第二の製剤と)比較される場合、両方の製剤は、
それらが同じ総重量であるという条件で、ナロキソン量の相違が放出態様に一般的には影
響を及ぼさない調合物中の成分によって置換されるならば、オキシコドン及びナロキソン
について同じ放出プロフィールを与える。実施例の節に示すように、ナロキソン量の相違
は、代表的な医薬的に不活性の充填剤、例えばラクトースによって、放出プロフィールを
変化させることなく置換できる。
【0042】
当業者であれば、2つの製剤が異なる活性化合物の量が、調合物の放出態様に必須であ
る物質、例えばエチルセルロース又は脂肪アルコールによって置換可能な場合は、放出態
様に相違が生ずることを十分認識している。それゆえ独立放出の特徴は、好ましくは、活
性化合物の量は異なるが、(同じ総重量の調合物が比較されると考えると)その他の点で
は、放出態様に本質的に影響を及ぼす化合物に関して同一又は少なくとも非常に類似した
調合物に当てはまる。
【0043】
発明に関する「不変放出態様」又は「不変放出プロフィール」は、単位時間当たりに放
出される各活性化合物の絶対量の比率はそれほど変化せず、絶対量が変化した場合でも、
不変とするに足るままである(そしてそれゆえ実質的に変化しない)というように定義さ
れる。不変とするに足る比率は、単位時間当たりに放出される比率が平均値から20%以下
、好ましくは15%以下、及び特に好ましくは10%以下で外れることを意味する。平均値は、
放出プロフィールを6回測定した値から計算する。もちろん単位時間当たりに放出される
量は、法的又は規則的要件を満たさなければならない。
【0044】
特にこのことは例えば、オキシコドン12mg及びナロキソン4mgであるオキシコドン/ナ
ロキソン併用を考えると、最初の4時間に25%のオキシコドン及び20%のナロキソンが放出
されることを意味する。オキシコドン/ナロキソン併用が代わりにオキシコドン24mg及び
ナロキソン8mgを含有する場合、最初の4時間に25%のオキシコドン及び20%のナロキソン
が放出されるであろう。どちらの場合においても、偏差は平均値から20%を超えないであ
ろう(この場合では、25%のオキシコドン及び20%のナロキソンである)。
【0045】
独立放出態様について概説したように、不変放出特徴も好ましくは実質的に等しい組成
の製剤が比較される状況を指す。そのような製剤は、活性化合物の量については異なるが
、製剤の放出に影響を及ぼす成分に関しては同じか又は少なくとも非常に類似した組成で
ある。通例、活性化合物の量が相違していても、実質的に製剤の放出態様に影響を及ぼさ
ない医薬的に不活性の賦形剤の量によって置換されるであろう。そのような医薬賦形剤は
、医薬製剤における代表的な充填剤であるラクトースでありうる。当業者であれば、製剤
の放出態様に本質的に影響を及ぼすことが知られている物質、例えばエチルセルロース又
は脂肪アルコールによって置換される場合、不変放出の特徴が製剤には当てはまらないこ
とを十分認識している。
【0046】
実施例の節において、1つの製剤がオキシコドン20mg及びナロキソン1mg又はオキシコ
ドン20mg及びナロキソン10mgを含む場合、ナロキソンの相違がラクトースによって置換さ
れることと、同一重量の2つの製剤が同じ放出プロフィールであるため、それらが持続的
、不変的かつ独立的な放出態様を示すことが記載されている。
【0047】
本発明に関して、「保存安定性の」又は「保存安定性」とは、標準条件下での保存時(
室温及び通常の湿度にて少なくとも2年間)に、薬剤調合物の活性化合物の量が、初期量
から仕様又は一般薬局方の指針で与えられた量以上逸脱しないことを意味する。本発明に
関して、保存安定性は、本発明によって製造された製剤が、市場へ参入するために必要な
、標準条件(60%相対湿度、25℃)下で保存しうることも意味する。
【0048】
本発明に関して、「保存安定性の」又は「時間安定性の」は、標準条件下での保存後で
も、活性化合物が、保存しないで即時使用に供する場合に示すような放出プロフィールを
示すことも意味する。本発明に関して、放出プロフィールに関して許容できる変動は、単
位時間当たりに放出される量が、平均値に対して20%以下、好ましくは15%以下、特に好ま
しくは10%以下に変動することを特徴とする。平均値は、放出プロフィールを6回測定し
た値から計算する。
【0049】
好ましくは、持続放出調合物からの活性化合物の放出は、USPによるバスケット法によ
りHPLCを用いてpH1.2又はpH6.5にて決定される。
【0050】
保存安定性は好ましくは、USPによるバスケット法により、HPLCを用いてpH1.2にて決定
される。
【0051】
本発明に関して、「非膨潤性」又は「実質的に非膨潤性」の拡散マトリクスは、活性化
合物の放出が(特に患者体内の関連標的部位の生理液中での)マトリクスの膨潤によって
影響を受けない(又は少なくとも関連する程度まで)マトリクス調合物である。
【0052】
本発明に関して「実質的に非膨潤性」の拡散マトリクスという用語は、水溶液(及び特
に患者体内の関連標的部位の生理液)中で体積が約300%、好ましくは約200%、さらに好ま
しくは約100%、約75%又は約50%、なおさらに好ましくは約30%又は約20%及び最も好ましく
は約15%、約10%、約5%又は約1%増加するマトリクスも指す。
【0053】
本発明の文脈において、「作動薬」又は「鎮痛薬」はいつもオキシコドンを指す。本発
明の文脈において、「拮抗薬」はいつもナロキソンを指す。
【0054】
本発明に関して生成される製剤は、経口、経鼻、直腸により及び/又は吸引によって疼
痛治療での使用に利用できる。本発明に関して、非経口利用は考慮されない。特に好まし
いのは、経口利用のための調合物である。
【0055】
これが明示的に示されなくても、「作動薬」また「拮抗薬」という用語は、医薬的に許
容されかつ同様に作用する誘導体、塩などを常に含む。例えば、オキシコドン又はナロキ
ソンが言及される場合、これは遊離塩基以外に、そのヒドロクロライド、サルフェート、
ビサルフェート、タートレート、ニトレート、シトレート、ビトラトレート、ホスフェー
ト、マレート、マレアート、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、フマレート、スクシナー
トなども含む。
【0056】
本発明に関して、作動薬及び拮抗薬は、生じた医薬製剤から持続的、独立に、かつ不変
的に放出されるように調合される。これは、拮抗薬が作動薬と比較して過剰であることを
意味するわけではない。反対に、本発明に関する放出プロフィールを示す、作動薬/拮抗
薬併用を含む調合物において、作動薬が拮抗薬と比較して過剰であることが好ましい。
【0057】
過剰な作動薬は、併用製剤中に存在する拮抗薬の単位投薬量に基づいて特定される。オ
ピオイド作動薬の過剰の程度は通例、作動薬の拮抗薬に対する重量比によって与えられる

【0058】
オキシコドン及びナロキソンの場合、作動薬の拮抗薬に対する好ましい重量比は、最大
で25:1の重量比範囲内にあり、特に好ましいのは、重量比範囲は15:1、10:1、5:1
、4:1、3:1、2:1及び1:1である。
【0059】
使用される作動薬及び拮抗薬の絶対量は、活性化合物の選択に依存する。本発明に関し
て、作動薬及び拮抗薬が、持続放出用に調合された医薬製剤から独立した、不変の方法の
みで放出されるように注意する必要がある。
【0060】
オキシコドン及びナロキソンは併用製剤に使用される場合、好ましくは単位投薬あたり
オキシコドン10〜150mg、特に好ましくは10〜80mg(代表的な使用量)、及び好ましくは
ナロキソン1〜50mgが使用される。
【0061】
本発明の他の好ましい実施形態において、製剤はオキシコドン5〜50mg、オキシコドン1
0〜40mg、オキシコドン10〜30mg又はオキシコドン約20mgを含む。本発明の好ましい実施
形態は、単位投薬当たりナロキソン1〜40mg、ナロキソン1〜30mg、ナロキソン1〜20mg又
はナロキソン1〜10mgを用いた製剤も含む。
【0062】
本発明に関して、オキシコドン及びナロキソンの比は、作動薬の鎮痛効果に(実質的に
)影響を及ぼすことなく、作動薬の習慣化の促進又は乱用化の促進に影響を及ぼし、及び
副作用が低下又は除去されるような方法で拮抗薬が選択されるのと共に、本発明に関する
両方の活性物質の放出プロフィールが保証され、そして作動薬が鎮痛効果を示しうるよう
な方法で選択されなければならない。本発明に関して、習慣化及び乱用化が生じると、便
秘及び呼吸機能低下と同様に、鎮痛的に有効なオピオイド作動薬の副作用として見なされ
る。
【0063】
本発明に関して、一般的な調合物は、確実に、持続的、独立的かつ不変的に活性化合物
が製剤から放出されるような調合物として使用できる。本発明に関して、これらの調合物
は、活性化合物が保存安定性であるものが選択されなければならない。
【0064】
マトリクスベースの遅延調合物は好ましくは、本発明に関する作動薬及び拮抗薬の放出
を供給する調合物として使用できる。本発明に関して特に好ましいのは、実質的に非膨潤
性の拡散マトリクスに基づく調合物である。現在のところ、浸食性マトリクス又は膨潤性
拡散マトリクスを用いた調合物は好ましくない。
【0065】
本発明に関して、活性化合物の持続放出を供給するマトリクスは、活性化合物の放出が
持続的、独立的、かつ不変的になされるように選択しなければならない。好ましくはその
ようなマトリクスはエチルセルロースに基づいたポリマーを含み、エチルセルロースは特
に好ましいポリマーである。特に好ましいのは、商標名Surelease(登録商標)で市販さ
れているポリマーを含むマトリクスである。特に好ましいのは、Surelease(登録商標)E
-7-7050の使用である。
【0066】
本発明に関する放出態様を有する調合物は特に、マトリクスの放出特性に本質的に影響
を及ぼす成分としてエチルセルロース及び少なくとも1つの脂肪アルコールを含むマトリ
クスを含む。エチルセルロース及び少なくとも1つの脂肪アルコールの量は著しく変動す
るため、異なる放出プロフィールを有する製剤が実現できる。本発明の製剤が通例、上述
の成分の両方を含んでも、場合によっては、製剤が放出決定成分として、エチルセルロー
ス又は脂肪アルコールのみを含むことが好ましい。
【0067】
ポリメタクリレート(例えばEudragit(登録商標)RS30D及びEudragit(登録商標)RL3
0Dなど)に基づくマトリクス、又は水膨潤性材料、特にヒドロキシアルキルセルロース誘
導体、例えばHPMCの関連量を含むマトリクスは現在、好ましくは本発明に関しては回避さ
れる。
【0068】
本発明に従うマトリクスを用いて、活性化合物を持続性の独立した不変の方法で放出し
、単位時間当たり等量の活性化合物を放出する製剤を製造することができる。特にこれは
、オキシコドン12mg及びナロキソン4mgを含有するオキシコドン/ナロキソン併用の場合
、25%のオキシコドン及び25%のナロキソンが最初の4時間以内に放出される。相応じて、
オキシコドン24mg及びナロキソン8mgを含有するオキシコドン/ナロキソン併用の場合、2
5%のオキシコドン及び25%のナロキソンが最初の4時間の間に放出され、両方の場合の偏
差は平均値(この場合では25%のオキシコドン又はナロキソンである)の20%以下である。
【0069】
両方の活性化合物のそのように等しい放出態様は、医療上の側面で望ましいことがある

【0070】
本発明の好ましい実施形態は、1%〜40%、好ましくは5%〜35%、さらに好ましくは10%〜3
0%、なおさらに好ましくは15%〜25%のオキシコドン及び/又はナロキソンを15分後に放出
する製剤に関する。別の好ましい実施形態において、15%〜20%、20%〜25%、約15%、約20%
又は約25%のオキシコドン及び/又はナロキソンが15分後に放出される。
【0071】
本発明の別の好ましい実施形態は、25%〜65%、好ましくは30%〜60%、さらに好ましくは
35%〜55%及びなおさらに好ましくは40%〜50%のオキシコドン及び/又はナロキソンを1時
間後に放出する製剤に関する。本発明の好ましい実施形態も、40%〜45%、45%〜50%、約40
%、約45%又は約50%のオキシコドン及び/又はナロキソンを1時間後に放出する製剤に関
する。
【0072】
本発明のなお別の好ましい実施形態は、40%〜80%、好ましくは45%〜75%、さらに好まし
くは45%〜70%及びなおさらに好ましくは45%〜50%、50%〜55%、55%〜60%、60%〜65%又は65
%〜70%のオキシコドン及び/又はナロキソンを2時間後に放出する製剤に関する。好まし
い実施形態は、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、又は約70%のオキシコドン及び/又
はナロキソンを2時間後に放出する製剤も含む。
【0073】
本発明の1つの好ましい実施形態は、70%〜100%、好ましくは75%〜95%、さらに好まし
くは80%〜95%、及びなおさらに好ましくは80%〜90%のオキシコドン及び/又はナロキソン
を4時間後に放出する製剤に関する。本発明の好ましい実施形態は、80%〜85%、85%〜90%
、約80%、約85%又は約90%のオキシコドン及び/又はナロキソンを4時間後に放出する製
剤にも関する。
【0074】
本発明の1つの好ましい実施形態は、70%〜100%、好ましくは75%〜100%、さらに好まし
くは80%〜95%及びなおさらに好ましくは80%〜85%、85%〜90%又は90%〜95%のオキシコドン
及び/又はナロキソンを7時間後に放出する製剤にも関する。本発明の好ましい実施形態
は、約80%、約85%、約90%又は約95%のオキシコドン及び/又はナロキソンを7時間後に放
出する製剤にも関する。
【0075】
本発明のなお別の好ましい実施形態は、85%〜100%、好ましくは90%〜100%、さらに好ま
しくは95%〜100%及びなおさらに好ましくは約95%〜100%のオキシコドン及び/又はナロキ
ソンを12時間後に放出する製剤に関する。
【0076】
本発明に関して、本発明に関する活性化合物の放出をもたらす調合物は、マトリクス形
成ポリマーに加えて、充填剤及び追加物質、例えば造粒補助剤、潤滑剤、染料、流動剤及
び可塑剤を含む。
【0077】
ラクトース、グルコース又はサッカロース、デンプン及びその加水分解物、微結晶性セ
ルロース、セルラクトース、糖アルコール例えばソルビトール又はマニトール、低溶解性
カルシウム塩例えばカルシウム水素ホスフェート、ジカルシウム−又はトリカルシウムホ
スフェートを充填剤として使用しうる。
【0078】
ポビドンは、造粒補助剤として使用しうる。
【0079】
高分散性シリカ(Aerosil(登録商標))、タルカム、トウモロコシデンプン、マグネ
シウムオキシド及びマグネシウム−又はカルシウムステアレートは、好ましくは流動剤又
は潤滑剤として使用しうる。
【0080】
マグネシウムステアレート及び/又はカルシウムステアレートは、好ましくは潤滑剤と
して使用しうる。脂肪酸例えばステアリル酸、又は脂肪例えば水素化ヒマシ油も好ましく
は使用しうる。
【0081】
ポリエチレングリコール及び脂肪アルコール例えばセチル及び/又はステアリルアルコ
ール及び/又はセトステアリルアルコールもまた、遅延に影響を及ぼす追加物質として使
用しうる。
【0082】
充填剤及び追加の物質、例えば染料及び上記潤滑剤、流動剤及び可塑剤を使用する場合
、本発明に関してマトリクス形成物質と共にそのような併用及び/又はマトリクス形成物
質のみが使用されるように注意する必要があり、それによって本発明に関する活性化合物
の放出プロフィールが確実となる。
【0083】
調合物のこれらの追加成分はすべて、放出マトリクスが実質的に非水膨潤性又は非緩衝
液膨潤性及び非浸食性拡散マトリクスの特性を受けるような方法で選択されるであろう。
【0084】
本発明に関して、マトリクス構成物質としてのエチルセルロース又はSurelease(登録
商標)E-7-7050、脂肪アルコールとしてのステアリルアルコール、潤滑剤としてのマグネ
シウムステアレート、充填剤としてのラクトース及び造粒補助剤としてのポビドンを含む
調合物が特に好ましい。
【0085】
本発明に関する製剤は、原則として、遅延調合物に適しており、活性化合物が本発明に
関する方法で確実に放出されるような、すべての一般的な適用形態として製造しうる。特
に適しているのは、錠剤、多層錠剤及びカプセルである。他の利用形態、例えば顆粒又は
粉末も、本発明に関する十分な遅延及び放出態様がもたらされるのであれば利用可能であ
る。
【0086】
医薬製剤は、フィルムコーティングも含む。しかしながら、フィルムコーティングがマ
トリクスからの活性化合物の放出特性及びマトリクス内での活性化合物の保存安定性に確
実に悪影響を及ぼさない必要がある。そのようなフィルムコーティングは必要ならば、着
色されるか、又は活性化合物の初期用量を含む。この初期用量の活性化合物は、治療上有
効な血漿レベルに非常に迅速に到達させるために、ただちに放出されるであろう。
【0087】
本発明に従った医薬製剤又はその準備段階は、ビルドアップ又はブレイクダウン造粒に
よって製造できる。好ましい実施形態は、それに続く顆粒の乾燥を伴う、スプレー造粒に
よる製造である。別の好ましい実施形態は、ドラム又は造粒ディスク内でのビルドアップ
造粒による顆粒の製造である。顆粒は次に、適切な他の物質及び手順を使用して、例えば
押圧されて錠剤とされうる。
【0088】
当業者であれば、製薬的な技術に利用されるような造粒技術に精通している。実施形態
の実施例(以下を参照)は、本発明の実施形態を開示する。しかしながら、具体的な目的
を達成するために工程のパラメータを適合させることは、当業者の十分範囲内である。
【0089】
押出技術による、本発明に従った医薬製剤又はその予備段階の製造は、特に好都合であ
る。1つの好ましい実施形態において、医薬製剤又はその予備段階は、スクリュー2個を
含む共回転又は逆回転押出機を用いて溶融押出によって製造される。別の好ましい実施形
態は、スクリューを1個以上含む押出機を用いた押出による製造である。これらの押出機
は、混練要素も含むことがある。
【0090】
押出も製薬的な技術において十分に確立された製造工程であり、当業者に周知である。
当業者であれば、所望の特性の製品を製造するために、押出工程中に多数のパラメータ、
例えば供給速度、スクリュー速度、様々な押出機ゾーン(利用可能な場合)の加熱温度、
含水量などを変更できることを十分認識している。実施例の節は、押出によって製造され
た本発明に関する製剤の多数の例を提供する。
【0091】
上述のパラメータは、使用する押出機の具体的な種類によって変わるであろう。押出の
間、本発明の調合物の成分が溶融する加熱ゾーンの温度は、特に逆回転ツインスクリュー
押出機(例えばLeistritz Micro 18GGL)が使用されるならば、40〜120℃、好ましくは50
〜100℃、さらに好ましくは50〜90℃、なおさらに好ましくは50〜70℃及びさらに好まし
くは50〜65℃である。当業者であれば、各加熱ゾーンを加熱する必要がないことを十分認
識している。特に成分が混合されるフィーダーの後ろは、25℃程度で冷却しなければなら
ない。スクリュー速度は、特に逆回転ツインスクリュー押出機(例えばLeistritz Micro
18GGL)が使用されるならば、100〜500回転/分(rpm)、好ましくは100〜250rpm、さら
に好ましくは100〜200rpmで変動し、最も好ましくは約150rpmである。ノズルの形態及び
直径は、必要に応じて選択しうる。一般に使用される押出機のノズルの直径は、1〜10mm
、好ましくは2〜8mm及び最も好ましくは3〜5mmである。別の押出機は、その設定に関して
異なり、例えば混練要素を含む。本発明の製剤の製造に使用される押出機のスクリューの
長さ対直径の比は通例、約40:1である。
【0092】
一般に加熱ゾーンの温度は、医薬的活性化合物を破壊する温度とならないように選択す
る必要がある。供給速度及びスクリュー速度は、医薬的活性化合物が、押出によって製造
された製剤から持続的、独立的、かつ不変的に放出され、マトリクス中で保存安定性を有
するように選択されるであろう。例えば供給速度を上昇させると、スクリュー速度は、同
じような遅延を確保するために相応じて上昇させる必要がある。
【0093】
当業者であれば、上述のパラメータすべてが特定の製造条件(押出機の種類、スクリュ
ーの形態、成分の数など)に依存し、押出によって製造された製剤が上述の保存安定性と
同様に、持続的、独立的、かつ不変的に放出されるように適合させねばならないことを知
っている。
【0094】
当業者であれば、実施例(以下を参照)から、押出中のパラメータを変更することによ
って、及び製剤の放出態様に実質的に関与する化合物の組成を変更することによって、放
出プロフィールが異なる製剤が得られることを推測できる。それゆえ本発明は、脂肪アル
コール又はマトリクス形成ポリマーのエチルセルロースの量はもちろんのこと、製造パラ
メータ、例えば温度、スクリュー速度(押出中)又は錠剤製造中の圧力も変更することに
よって、オキシコドン及びナロキソン又はナロキソン単独に関して所望の放出プロフィー
ルを有する製剤をまず製造しうる。
【0095】
所望の放出プロフィールを有する製剤がいったん得られると、当業者は、本発明に関す
る製剤により、に上記で概説した活性化合物の製剤の量を変更することができる。しかし
ながら、活性化合物の異なる量を含む以外は実質的に等しい組成である製剤はその後、持
続的、独立的、かつ不変的な放出を特徴とするであろう。
【0096】
したがって実施例の節は、例えばエチルセルロースの量を変更することによって、異な
る放出プロフィールを有する製剤が得られることを示す多くの実施例を開示している。他
の実施例は、活性化合物の量の相違が医薬的に不活性の賦形剤、例えばラクトースによっ
て置換される場合、所望の放出プロフィールを有する製剤がいったん確立されると、ナロ
キソンの量の変動は製剤の放出態様に影響を及ぼさないことを示す。
【0097】
本発明の非常に好都合の実施形態を示す実施例を以下に記載する。加えて、一般の調合
物と比較した、本発明に関する製剤の利点が強調される実施例を記載する。実施例は、本
発明の可能な実施形態を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0098】
非膨潤性拡散マトリクス中にオキシコドン/ナロキソンの量が異なる錠剤の、スプレー
造粒による製造:
本発明に関するオキシコドン/ナロキソン錠剤の製造には、示した成分の以下の量を使
用した。
【表1】

【0099】
使用したSurelease(登録商標)E-7-7050ポリマー混合物は以下の組成を有していた。
【表2】

【0100】
錠剤の製造の場合、オキシコドンHCl、ナロキソンHC1、ポビドン30及びラクトースFlow
Lac 100を回転ミキサー(Bohle)で混合し、続いて流動浴造粒装置(GPCG3)内でSurele
ase(登録商標)E-7-7050を用いてスプレー造粒した。材料をComill 1.4mmシーブでふる
い分けした。溶融脂肪アルコールを用いて、高剪断ミキサー(Collette)内で造粒ステッ
プをさらに実施した。この手法によって製造されたすべての錠剤核は、乾燥物質に基づい
て、重量123mgを有した。
【実施例2】
【0101】
非膨潤性拡散マトリクス中にオキシコドン及びナロキソンを含む錠剤の押出による製造

本発明に関するオキシコドン/ナロキソン錠剤の製造には、示した成分の以下の量を使
用した。
【表3】

【0102】
オキシコドンHCl、ナロキソンHCl、エチルセルロース45cpi、ポピドン30、ステアリル
アルコール及びラクトースFlow Lac 100の示した量を回転ミキサー(Bohle)内で混合し
た。この混合物を次に、MICRO 18 GGL(ドイツのニュルンベルクのLeistritz AG)型の逆
回転ツインスクリュー押出機を用いて押出した。加熱ゾーン1の温度は25℃、加熱ゾーン2
は50℃、加熱ゾーン3〜5は60℃、加熱ゾーン6〜8は55℃、加熱ゾーン9は60℃、及び加熱
ゾーン10は65℃であった。スクリュー回転速度は150回転/分(rpm)であり、生じた溶融
温度は87℃であり、供給速度は1.5kg/hであり、ノズル開口の直径は3mmであった。押出材
料はFrewitt0.68x1.00mmシーブを用いてふるい分けした。次に粉砕した押出物を、1mmの
手ふるいに加えられたタルカム及びマグネシウムステアレートと混合し、続いて錠剤に押
圧した。押出機は、図1に示すスクリュー形態を持つ。
【0103】
スプレー造粒によって製造されたSurelease(登録商標)ベースの非膨潤性拡散マトリ
クスも有するオキシコドン/ナロキソン錠剤と比較して(実施例1を参照)、押出製剤は
より少ない成分を含む。
【実施例3】
【0104】
実施例1のオキシコドン/ナロキソン錠剤の放出プロフィール:
活性化合物の放出は、米国特許によるバスケット法を利用し、pH1.2にてHPLCを使用し
て、12時間の期間にわたって測定した。錠剤Ox/Nal-0、Ox/Nal-5及びOx/Nal-10を試験し
た。
【0105】
図2及び表に挙げた値から、Surelease(登録商標)に基づく非膨潤性拡散マトリクス
の場合、オキシコドン量が異なる場合の放出速度は、ナロキソン量とは無関係に等しい(
不変)ことが認められる。相応じてナロキソンについての不変の放出プロフィールは、オ
キシコドンの量が異なる場合でも不変であることが観察される。
【表4】

【0106】
放出値はオキシコドン又はナロキソン(第2行)についてであり、百分率で示される。
ナロキソンの放出の平均値は、例えば420分では92.7%である。420分の最大偏
差は1%である。Oxy及びNalはオキシコドン及びナロキソンを表し、測定された活
性化合物を示す。
【実施例4】
【0107】
様々なpH値における実施例2のオキシコドン/ナロキソン錠剤の放出プロフィール:
錠剤からの活性化合物の放出を、pH1.2にて12時間、又はpH1.2にて1時間、続いてpH6.5
にて11時間測定した。放出速度は、HPLCを用いて米国特許によるバスケット法によって決
定した。
【0108】
以下の放出速度を、pH1.2にて12時間測定した:
【表5】

【0109】
以下の放出速度を、pH1.2にて1時間、pH6.5にて11時間測定した:
【表6】

【0110】
放出値はオキシコドン又はナロキソン(第2行)についてであり、百分率で示される。
Oxy及びNalはオキシコドン及びナロキソンを表し、測定された活性化合物を示す。
【0111】
実施例4の表及び実施例3の表に示した値を比較すると、製造工程とは無関係に、活性
化合物が製剤から等しい量で放出されることが明らかである。例えば89.4%のオキシコド
ンが420分にてスプレー造粒錠剤(Ox/Nal-10錠剤、実施例3を参照)から放出されるが、
これに対して押出錠剤(Oxy/Nal-Extr-1.2-O、実施例4)から420分にて92.9%が放出さ
れる。それゆえ押出錠剤からのオキシコドンの放出は、スプレー造粒錠剤からのオキシコ
ドンの放出の平均値(420分にて91.9%)から1.1%ずれる。93.5%のナロキソンが420分にて
スプレー造粒錠剤(Ox/Nal-10錠剤、実施例3を参照)から放出されるが、これに対して
押出錠剤(Oxy/Nal-Extr-1.2-O、実施例4)から420分にて93.9%が放出される。それゆ
え押出錠剤からのナロキソンの放出は、スプレー造粒錠剤からのナロキソンの放出の平均
値(420分にて92.7%)から1.3%ずれる。
【0112】
その上、実施例4ならびに図3A及び3Bの値の比較から、放出速度が測定されたpH値
とは無関係に、オキシコドン及びナロキソンの放出は等しく不変のままであることが推測
できる。
【実施例5】
【0113】
比較実施例:Valoron(登録商標)錠剤の放出態様:
錠剤からの活性物質の放出を7時間の期間にわたって監視した。チリジン50mg及びナロ
キソン4mg(Ti/Nal-50/4)又はチリジン100mg及びナロキソン8mg(Ti/Nal-100/8)又はチ
リジン150mg及びナロキソン12mg(Ti/Nal-150/12)を用いたValoron(登録商標)錠剤を
、米国特許によるバスケット法により、pH1.2にて1時間、そして次にpH6.5にてさらに6時
間、HPLCを用いて試験した。
【0114】
図4A及び4Bならびに表に挙げた値から、適当量のHPMCによる膨潤性(及びおそらく
浸食性)拡散マトリクスの場合、チリジン量が異なる場合の放出は、著しく変動し、ナロ
キソン量が異なると不変でないことが認められる。このことは次に、ナロキソンに当ては
まる。これは、このpHでは活性化合物の放出が相互に無関係でないことを意味する。
【表7】

【0115】
放出値はチリジン又はナロキソン(第2行)のものであり、百分率で示される。420分
におけるナロキソンの放出の平均値は78.87%である。420分の最大偏差は20.4%である。Ti
l及びNalはチリジン及びナロキソンを表し、試験された活性化合物を示す。
【実施例6】
【0116】
電子顕微鏡検査による、実施例1及び2の錠剤のValoron(登録商標)N錠剤との構造
比較
電子顕微鏡検査のために、オキシコドン20mg及びナロキソン10mgを含み、実施例1によ
るスプレー造粒(Ox/Nal-10)又は実施例2による押出(Oxy/Nal-Extr)のどちらかによ
って製造された錠剤を使用した。加えて、チリジン100mg及びナロキソン8mgを含むValoro
n(登録商標)N錠剤を使用した。図5A及び5Bは、スプレー造粒で製造した、本発明
に関する調合物を用いたOx/Nal-10錠剤の走査電子顕微鏡検査の画像の異なる倍率を示す
。図6A及び6Bは、押出により製造した、本発明に関する調合物を用いたOxy/Nal-Extr
錠剤の走査電子顕微鏡検査の異なる倍率の画像を示す。図7A及び7Bは、Valoron(登
録商標)N錠剤の走査電子顕微鏡検査の画像を示す。
【0117】
図の比較から、スプレー造粒又は押出のどちらで製造されたかとは無関係に、本発明に
関する調合物を用いた錠剤は、Valoron(登録商標)錠剤よりも実質的に精細かつ均質構
造であり、明らかに表面にひび割れが少ない。構造が相違するのはおそらく、異なる製剤
の異なる放出態様が理由である。
【実施例7】
【0118】
非膨潤性拡散マトリクス中にオキシコドン/ナロキソンを含む錠剤の押出による製造:
本発明に関するオキシコドン/ナロキソン錠剤の製造には、示した成分の以下の量を使
用した。
【表8】

【0119】
押出は以下のパラメータを用いて、上述(実施例2)のように実施した:
【表9】

【0120】
錠剤製造は、以下のパラメータを用いて一般の錠剤製造装置を用いて実施した:
【表10】

【0121】
活性化合物の放出は、米国特許によるバスケット法を利用し、pH1.2にてHPLCを使用し
て、12時間の期間にわたって測定した。錠剤OxN20/1-Extr-A、OxN20/1-Extr-B、OxN20/1-
Extr-C及びOxN20/10-Extr-Aを試験した。
【0122】
表に挙げた値から、エチルセルロースに基づく非膨潤性拡散マトリクスの場合、異なる
ナロキソン量の放出速度は、オキシコドン量とは無関係に、実質的に等しいままであるこ
とが認識される。相応じて、製剤は活性化合物の独立した不変の放出を供給する。
【表11】

【0123】
放出値はオキシコドン又はナロキソン(第2行)についてであり、百分率で示される。
ナロキソンの放出の平均値は、例えば420分では92.3%である。420分における最大偏差は7
.4%である。Oxy及びNalはオキシコドン及びナロキソンを表し、測定された活性化合物を
示す。
【0124】
それゆえ一度所望の放出プロフィールを有する製剤が開発されれば、活性化合物の放出
プロフィールをそれほど変化させずに、活性化合物量を変動させうる。活性化合物量が異
製剤は、活性化合物の持続的、独立的、かつ不変的な放出をなおもたらす。
【実施例8】
【0125】
非膨潤性拡散マトリクス中にオキシコドン/ナロキソンを含む錠剤の押出による製造:
以下の実施例において、本発明に関する調合物を用いて、特定の放出態様を有する、オ
キシコドン及びナロキソンを含む製剤が得られることが記載される。
【0126】
本発明に関するオキシコドン/ナロキソン錠剤の製造には、示した成分の以下の量を使
用した。
【表12】

【0127】
押出は以下のパラメータを用いて、上述(実施例2)のように実施した:
【表13】

【0128】
錠剤製造は、以下のパラメータを用いて一般の錠剤製造装置を用いて実施した:
【表14】

【0129】
活性化合物の放出は、米国特許によるバスケット法を利用し、pH1.2にてHPLCを使用し
て、12時間の期間にわたって測定した。錠剤OxN20/1-Extr-D、OxN20/1-Extr-E、OxN20/10
-Extr-B、OxN20/10-Extr-C、OxN20/10-Extr-D及びOxN20/10-Extr-Eを試験した。
【表15】

【0130】
放出値はオキシコドン又はナロキソン(第2行)についてであり、百分率で示される。
Oxy及びNalはオキシコドン及びナロキソンを表し、測定された活性化合物を示す。
【0131】
実施例は、製剤の放出特性に本質的に影響を及ぼすマトリクス成分として使用される場
合、特定の放出プロフィールを有する製剤が製造されることを示している。一度所望の放
出プロフィールを有する製剤が開発されれば、活性化合物量を変動させることができる。
製剤は、持続的、独立的、かつ不変的な放出をなお供給する(実施例7を参照)。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明で用いた押出機のスクリュー形態を示す。
【図2】実施例1のオキシコドン/ナロキソン錠剤の放出プロフィールを示すグラフである。
【図3A】オキシコドン及びナロキソンの放出プロフィールを示すグラフである。
【図3B】オキシコドン及びナロキソンの放出プロフィールを示すグラフである。
【図4A】Valoron(登録商標)錠剤のチリジン放出プロフィールを示すグラフである。
【図4B】Valoron(登録商標)錠剤のナロキソン放出プロフィールを示すグラフである。
【図5A】倍率25xでのOx/Nal-10錠剤の表面を示す写真である。
【図5B】倍率200xでのOx/Nal-10錠剤の表面を示す写真である。
【図6A】倍率40xでのOxy/Nal-Extr錠剤の表面を示す写真である。
【図6B】倍率100xでのOxy/Nal-Extr錠剤の表面を示す写真である。
【図7A】倍率25xでのValoron(登録商標)N錠剤の表面を示す写真である。
【図7B】結晶(チリジン、左下)を含む、倍率100xでのValoron(登録商標)N錠剤の表面を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オキシコドン及びナロキソンを含む保存安定性医薬製剤であって、活性化合物が製剤か
ら持続的、独立的、かつ不変的な様態で放出されることを特徴とする医薬製剤。
【請求項2】
オキシコドン及び/又はナロキソンが、遊離塩基、塩などの、医薬的に許容され、等価
な活性である誘導体で存在することを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
オキシコドン及び/又はナロキソンがそのヒドロクロライド、サルフェート、ビサルフ
ェート、タートレート、ニトレート、シトレート、ビタートレート、ホスフェート、マレ
ート、マレアート、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、フマレート、スクシナートとして
存在することを特徴とする、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
オキシコドンが、ナロキソンの単位投薬量に対して過剰に存在することを特徴とする、
上記請求項の1項に記載の製剤。
【請求項5】
ナロキソン量が1〜50mgの範囲で存在することを特徴とする、上記請求項の1項に記載
の製剤。
【請求項6】
オキシコドン量が10〜150mg、好ましくは10〜80mgの量範囲で存在することを特徴とす
る、上記請求項の1項に記載の製剤。
【請求項7】
オキシコドン及びナロキソンが最大25:1、好ましくは最大20:1、15:1及び特に好ま
しくは5:1、4:1、3:1、2:1及び1:1の重量比範囲で存在することを特徴とする、上記
請求項の1項に記載の製剤。
【請求項8】
前記製剤が実質的に非膨潤性及び非浸食性拡散マトリクスを含むことを特徴とする、上
記請求項の1項に記載の製剤。
【請求項9】
前記拡散マトリクスが活性化合物の放出態様に本質的に影響を及ぼす成分として、少な
くともエチルセルロース及び少なくとも1つの脂肪アルコールを含むことを特徴とする、
請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
前記製剤が適切量のアルカリ性及び/又は水膨潤性物質、特にアクリル酸及び/又はヒ
ドロキシアルキルセルロースの誘導体を含まないことを特徴とする、請求項8又は請求項
9に記載の製剤。
【請求項11】
前記製剤が通常の充填剤及び特に潤滑剤、流動剤、可塑剤などの他の物質を含有するこ
とを特徴とする、上記請求項の1項に記載の製剤。
【請求項12】
マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート及び/又はカルシウムラウレート
及び/又は脂肪酸、好ましくはステアリル酸を潤滑剤として含むことを特徴とする、請求
項11に記載の製剤。
【請求項13】
高分散性シリカ、好ましくはAerosil(登録商標)、タルカム、トウモロコシデンプン
、マグネシウムオキシド、マグネシウム及び/又はカルシウムステアレートを流動剤とし
て含むことを特徴とする、請求項11に記載の製剤。
【請求項14】
実質的に非膨潤性の拡散マトリクス中にオキシコドン及びナロキソンを含む保存安定性
医薬製剤であって、マトリクスがその実質的な放出特性に関して、エチルセルロース及び
少なくとも1つの脂肪アルコールによって影響を受けることと、製剤がオキシコドン及び
ナロキソンを最大25:1、好ましくは最大20:1、15:1、特に好ましくは5:1、4:1、3:
1、2:1又は1:1の重量比で含むことを特徴とする、医薬製剤。
【請求項15】
オキシコドン及びナロキソンが遊離塩基、塩などの、医薬的に許容され、等価な活性で
ある誘導体の形で存在することを特徴とする、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
オキシコドン及びナロキソンがヒドロクロライド、サルフェート、ビサルフェート、タ
ートレート、ニトレート、シトレート、ビタートレート、ホスフェート、マレート、マレ
アート、ヒドロブロミド、ヒドロヨージド、フマレート、スクシナートとして存在するこ
とを特徴とする、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
オキシコドンが、ナロキソンの単位投薬量に対して過剰に存在することを特徴とする、
請求項14〜16の1項に記載の製剤。
【請求項18】
ナロキソンが1〜50mgの量範囲で存在することを特徴とする、請求項14〜17の1項に
記載の製剤。
【請求項19】
オキシコドンが10〜150mg、好ましくは10〜80mgの量範囲で存在することを特徴とする
、請求項14〜18の1項に記載の製剤。
【請求項20】
製剤が実質的に非膨潤性及び非浸食性拡散マトリクスを含むことを特徴とする、請求項
14〜19の1項に記載の製剤。
【請求項21】
前記拡散マトリクスが活性化合物の放出態様に本質的に影響を及ぼす成分として、少な
くともエチルセルロースと少なくとも1つの脂肪アルコールを含むことを特徴とする、請
求項20に記載の製剤。
【請求項22】
前記製剤が、適切量のアルカリ性及び/又は水膨潤性物質、特にアクリル酸及び/又は
ヒドロキシアルキルセルロースの誘導体を含まないことを特徴とする、請求項20又は2
1に記載の製剤。
【請求項23】
前記脂肪アルコールがラウリル、ミリスチル、ステアリル、セトステアリル、セリル及
び/又はセチルアルコール、特に好ましくはステアリルアルコールを含むことを特徴とす
る、請求項14〜22の1項に記載の製剤。
【請求項24】
前記製剤が通常の充填剤及び他の物質、特に潤滑剤、流動剤、可塑剤などを含有するこ
とを特徴とする、請求項14〜23の1項に記載の製剤。
【請求項25】
マグネシウムステアレート、カルシウムステアレート及び/又はカルシウムラウレート
及び/又は脂肪酸、好ましくはステアリル酸を潤滑剤として含むことを特徴とする、請求
項24に記載の製剤。
【請求項26】
高分散性シリカ、好ましくはAerosil(登録商標)、タルカム、トウモロコシデンプン
、マグネシウムオキシド、マグネシウムステアレート及び/又はカルシウムステアレート
を流動剤として含むことを特徴とする、請求項24に記載の製剤。
【請求項27】
エチルセルロース、好ましくはSurelease(登録商標)E-7-7050を含む市販のポリマー
混合物が、エチルセルロースの代わりに使用されることを特徴とする、上記請求項の1項
に記載の製剤。
【請求項28】
前記製剤が経口、経鼻、直腸に適用されるように、又は吸引による適用のため調合され
ることを特徴とする、上記請求項の1項に記載の製剤。
【請求項29】
前記製剤が錠剤、丸薬、カプセル、顆粒及び/又は粉末であることを特徴とする、上記
請求項の1項に記載の製剤。
【請求項30】
前記製剤又はその前駆物質がビルドアップ及び/又はブレイクダウン造粒によって製造
されることを特徴とする、上記請求項の1項に記載の製剤。
【請求項31】
製剤又はその前駆物質が押出によって製造されることを特徴とする、請求項1〜29の
1項に記載の製剤。
【請求項32】
調合物が承認指針に従って、標準条件(相対湿度60%、25℃)下で少なくとも2年以上
保存できることを特徴とする、上記請求項の1項に記載の製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2010−180233(P2010−180233A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88165(P2010−88165)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【分割の表示】特願2003−581760(P2003−581760)の分割
【原出願日】平成15年4月4日(2003.4.4)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】