説明

オキシトシン拮抗剤としての置換トリアゾール誘導体

本発明は、オキシトシン拮抗剤としての活性を有する、式(I)の化合物、その使用、その調製方法、および前記阻害剤を含む組成物に関する。これらの阻害剤は性的機能不全、具体的には早漏(P.E.)を含む、多様な治療分野において有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシトシン拮抗剤としての活性を有する一クラスの置換トリアゾール、その使用、その調製方法、および前記阻害剤を含む組成物に関する。これらの阻害剤は性的機能不全、詳細には早漏(P.E.)を含む、多様な治療分野において有用である。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願第PCT/IB2004/002977号および第PCT/IB2005/000313号はオキシトシン拮抗剤としての活性を有する置換トリアゾールを開示している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
最初の態様によると、本発明は式(I)の化合物、
【化2】

[式中、U、V、WおよびZは、それぞれ独立にNまたはCRであり;
YはNまたはCHであり;
XはOまたはNRであり;
【0004】
は、
(i)ハロゲン、ヒドロキシ、CN、NO、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシ、(C‐C)ハロアルキル、(C‐C)ハロアルコキシ、COR、CO、NR10およびCONR10からそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよいフェニル、
(ii)窒素、酸素および硫黄から独立して選択される、1から3個のヘテロ原子を含む、5から7員のヘテロ芳香環であり、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、NO、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシ、(C‐C)ハロアルキル、(C‐C)ハロアルコキシ、COR、CO、NR10およびCONR10からそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよいヘテロ芳香環、ならびに
(iii)(C‐C)アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシおよびフェニルからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい(C‐C)アルコキシ
から選択され;
【0005】
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、NO、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシ、(C‐C)ハロアルキル、(C‐C)ハロアルコキシ、COR、CO、NR10またはCONR10であり;
【0006】
、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素または(C‐C)アルキルであり;
【0007】
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、NO、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシ、(C‐C)ハロアルキル、(C‐C)ハロアルコキシ、COR、CO、NR10またはCONR10から独立して選択され;
【0008】
は、水素または、(C‐C)アルキル、CO(C‐C)アルキル、CO(C‐C)アルキルもしくはSO(C‐C)アルキルであり、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、(C‐C)アルコキシ、CN、NOおよびフェニルから独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよく;ならびに
【0009】
およびR10はそれぞれ独立して水素または(C‐C)アルキルである;]
それらの互変異性体、前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩、溶媒和物もしくは多形、またはそれらのプロドラッグを提供する。
【0010】
別段の指定がない限り、アルキル基およびアルコキシ基は直鎖でも分岐鎖でも良く、1から6個、好ましくは1から4個の炭素原子を含むことができる。アルキルの例には、メチル、エチル、n‐プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、イソブチル、sec‐ブチル、ペンチルおよびヘキシルが含まれる。アルコキシの例には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシおよびn‐ブトキシが含まれる。ハロゲンは、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを示すが、フルオロが好ましい。ハロアルキルには、2‐ブロモエチル、2,2,2‐トリフルオロエチル、クロロジフルオロメチルおよびトリクロロメチルなどのモノハロアルキル、ポリハロアルキルおよびパーハロアルキルが含まれる。ハロアルコキシには、2‐ブロモエトキシ、2,2,2‐トリフルオロエトキシ、クロロジフルオロメトキシおよびトリクロロメトキシなどのモノハロアルコキシ、ポリハロアルコキシおよびパーハロアルコキシが含まれる。
【0011】
好ましくは、U,V,WおよびZのうち、1または2個の基はNである。その際、その他の基はCRである。
より好ましくは、VおよびZはCHであり、UおよびWはそれぞれ独立してCHまたはNである。
最も好ましくは、UはCHであり、WはCHまたはNである。
1つの好ましい実施形態では、U、V、WおよびZはCHである。
他の好ましい実施形態では、U、VおよびZはCHであり、WはNである。
【0012】
1つの好ましい実施形態では、YはNである。
他の好ましい実施形態では、YはCHである。
【0013】
好ましくは、Rは、
(i)ハロゲン、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシおよびシアノからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよいフェニル、
(ii)1から2個の窒素原子を含む、6員ヘテロ芳香環であって、ハロゲン、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシおよびシアノからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよい6員ヘテロ芳香環、ならびに
(iii)(C‐C)アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシおよびフェニルからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよい、(C‐C)アルコキシ
から選択される。
【0014】
さらに好ましくは、Rはフェニルおよびピリジルから選択され、それぞれハロゲン、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシおよびシアノからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよい。
【0015】
さらにより好ましくは、Rはフェニルおよびピリジルから選択され、それぞれフルオロ、クロロ、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシおよびシアノからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよい。
さらに一層好ましくは、Rはフェニルおよびピリジルから選択され、それぞれフルオロ、メチル、メトキシおよびシアノからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよい。
最も好ましくは、Rは、フルオロ、メチル、メトキシおよびシアノからそれぞれ独立して選択される、1または2個の基で置換されていてもよいフェニル、およびメチルで置換されるピリジルから選択される。
【0016】
好ましくは、Rは水素、ハロゲン、CN、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシまたはNR10である。
より好ましくは、Rは(C‐C)アルコキシまたはNR10である。
さらにより好ましくは、RはメトキシまたはNHCHである。
最も好ましくは、Rはメトキシである。
は、Y基の隣接位炭素に位置することが最も好ましい。
【0017】
好ましくは、R、R、RおよびRは水素である。
好ましくは、Rは水素、(C‐C)アルキル、CO(C‐C)アルキル、CO(C‐C)アルキル、SO(C‐C)アルキルまたはベンジルである。
最も好ましくは、Rは水素、CH、COCH、COCH、SOCHまたはベンジルである。
【0018】
最も好ましい式(I)の化合物は:
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐4H,6H‐[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][4,1]ベンゾオキサゼピン(実施例1)、
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン(実施例4)、
8‐メトキシ‐5‐メチル‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン(実施例5)、
5‐アセチル‐8‐メトキシ‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン(実施例6)、
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐4H,6H‐[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][4,1]ベンゾオキサゼピン(実施例9)、
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン(実施例12)、
8‐メトキシ‐5‐メチル‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン(実施例13)、および
5‐アセチル‐8‐メトキシ‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン(実施例14)、
およびそれらの互変異性体および前記化合物または互変異性体の薬学的に許容できる塩、溶媒和物および多形。
【0019】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、その酸付加塩および塩基性塩を含む。適切な酸付加塩は、無毒性塩を形成する酸より形成される。例は酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸/炭酸塩、重硫酸/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシラート、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸/塩化物塩、臭化水素酸/臭化物塩、ヨウ化水素酸/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシラート、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2‐ナフシレート、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸/リン酸水素/リン酸二水素塩、サッカリン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシレート、およびトリフルオロ酢酸塩を含む。適切な塩基性塩は、無毒性塩を形成する塩より形成される。例は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオラミン、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、オラミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛塩を含む。酸および塩基のヘミ塩(hemisalt)は、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩を形成してもよい。適した塩に関する総説については、StahlおよびWermuth、Handbook
of Pharmaceutical Salts: Properties, Section, and Use(Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)を参照されたい。
【0020】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、3つの方法の中から1つまたはそれ以上の方法により調製することができる:
(i)式(I)の化合物を、所望の酸もしくは塩基と反応させる方法;
(ii)所望の酸もしくは塩基を用いて、式(I)の化合物の適切な前駆体から、酸性もしくは塩基性条件下における不安定な保護基を除去する方法、もしくは適した環状前駆体、例えばラクトンもしくはラクタムを開環する方法;または
(iii)適切な酸もしくは塩基と反応させることにより、もしくは適したイオン交換カラムの方法により、式(I)の化合物の1つの塩を他の塩に変換する方法。
【0021】
これら3つの反応は、すべて典型的には、溶液中で行われる。生成した塩は、沈殿し、およびろ過により集められることができる。または、生成した塩は溶媒の蒸発により回収されることができる。生成した塩のイオン化の程度は、完全なイオン化からほぼ非イオン化まで様々でありうる。
【0022】
本発明の化合物は、非溶媒和型および溶媒和型の両方で存在しうる。本明細書で「溶媒」という用語は、本発明の化合物および化学量論量の1つまたはそれ以上の薬学的に許容できる溶媒分子、例えばエタノールを含む、分子複合体を記載するために用いられる。「水和物」という用語は、前記溶媒が水である場合に使用される。
【0023】
本発明の範囲内には、包接化合物、前記溶媒和物とは対照的に薬剤およびホストが化学量論量または非化学量論量で存在しうる薬剤‐ホスト包接複合体のような複合体が含まれる。さらに、化学量論量または非化学量論量で存在しうる、2またはそれ以上の有機および/または無機成分を含有する薬剤の複合体も含まれる。生成する複合体は、イオン化、部分的にイオン化または非イオン化されていてもよい。このような複合体に関する総説については、Haleblian、J Pharm Sci, 64(8), 1269-1288(1975年8月)を参照されたい。以下、式(I)の化合物についてのすべての参照化合物には、塩、溶媒およびその複合体についての参照化合物ならびにその塩の溶媒和物および複合体についての参照化合物が含まれる。
【0024】
本発明の化合物は、上文で定義した式(I)の化合物を含み、以下で定義したそれらの多形および晶癖、それらのプロドラッグおよび異性体(光学異性体、幾何異性体および互変異性体を含む)ならびに式(I)の同位体標識化合物のすべてを含む。
【0025】
示されている通り、式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も本発明の範囲内である。従って、式(I)の化合物の、それ自体は薬理活性がほとんどない、または全くない可能性がある特定の誘導体が、体内または体表に投与された場合に、例えば加水分解により、所望の活性を有する式(I)の化合物に変換されうる。このような誘導体を「プロドラッグ」と呼ぶ。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、Prodrugs as Novel Delivery Systems, Vol.
14, ACS Symposium Series(T. HiguchiおよびW. Stella)およびBioreversible Carriers in
Drug Design, Pergamon Press, 1987(E. B. Roche編集、American Pharmaceutical
Association)で確認することができる。
【0026】
本発明に記載のプロドラッグは、例えばH.
Bundgaard、Design of Products(Elsevier, 1985)に記載されているように、例えば式(I)の化合物に存在する適切な官能基を、当業者に「pro‐moieties」として周知の、特定の部分構造(moieties)で置換することにより生成することができる。
【0027】
本発明に記載のプロドラッグのいくつかの実施例は、以下を含む:
(i)式(I)の化合物がカルボン酸官能基(‐COOH)を含む場合は、そのエステル、例えば、式(I)の化合物のカルボン酸官能基の水素が(C‐C)アルキルで置換された化合物;
(ii)式(I)の化合物がアルコール官能基(‐OH)を含む場合は、そのエーテル、例えば、式(I)の化合物のアルコール官能基の水素が(C‐C)アルカノイルオキシメチル基で置換された化合物;および
(iii)式(I)の化合物が第一級または第二級アミノ官能基(RがHではない場合は、‐NHまたはNHR)を含む場合は、そのアミド、例えば、場合によって、式(I)の化合物のアミノ官能基のうち、1つまたは両方の水素が(C‐C10)アルカノイルで置換された化合物。
【0028】
前記の例および他の種類のプロドラッグの例に記載の、置換基の他の例は、前記参考文献で確認することができる。さらに、式(I)の特定の化合物は、それ自体は式(I)の他の化合物のプロドラッグとして作用しうる。
【0029】
本発明の範囲には、式(I)の化合物の代謝物質、すなわち薬剤投与時にin vivoで形成される化合物が含まれる。本発明に記載の代謝物質のいくつかの例は、以下を含む:
(i)式(I)の化合物がメチル基を含む場合は、そのヒドロキシメチル誘導体(‐CH->‐CHOH);
(ii)式(I)の化合物がアルコキシ基を含む場合は、そのヒドロキシ誘導体(‐OR‐>‐OH);
(iii)式(I)の化合物が第三級アミノ基を含む場合は、その第二級アミノ誘導体(‐NR‐>‐NHRまたは‐NHR);
(iv)式(I)の化合物が第二級アミノ基を含む場合は、その第一級誘導体(‐NHR‐>‐NH);
(v)式(I)の化合物がフェニル部分を含む場合は、そのフェノール誘導体(‐Ph‐>‐PhOH);および
(vi)式(I)の化合物がアミド基を含む場合は、そのカルボン酸誘導体(‐CONH‐>COOH)。
【0030】
1個またはそれ以上の不斉炭素原子を含む式(I)の化合物が、2またはそれ以上の立体異性体として存在しうる。式(I)の化合物がアルケニル基またはアルケニレン基を含む場合は、幾何シス‐トランス(またはZ/E)異性体が可能である。構造異性体が低いエネルギー障壁で相互変換する場合は、互変異性の異性(互変異性)を生じうる。これは、例えばイミノ基、ケト基またはオキシム基を含む、式(I)の化合物において、プロトン互変異性、または芳香族部分を含む化合物における、いわゆる原子価互変異性の形をとりうる。従って、1つの化合物が1種類以上の異性を示しうるということである。本発明の範囲には、式(I)の化合物の、立体異性体、幾何異性体および互変異性体の形のすべてが含まれ、1種類以上の異性を示す化合物、およびその1つまたはそれ以上の混合物を含む。また、対イオンが光学活性である、酸付加塩もしくは塩基性塩、例えば、d‐乳酸塩もしくはl‐リシンまたはラセミ体、例えばdl‐酒石酸塩もしくはdl‐アルギニンも含まれる。シス‐トランス異性体は、当業者に周知の従来の技術、例えばクロマトグラフィおよび分別再結晶により分離することができる。
【0031】
各鏡像異性体を個別に調製/分離するための従来法は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または例えばキラル高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いたラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分解を含む。別法としては、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を例えばアルコール、または式(I)の化合物が酸性もしくは塩基性基を含む場合は1‐フェニルエチルアミンもしくは酒石酸などの塩基もしくは酸などの、適切な光学活性がある化合物と反応させることもできる。生成するジアステレオ異性体の混合物は、クロマトグラフィおよび/または分別結晶によって分離し、かつジアステレオ異性体の一方または両者が当業者に周知の手段により対応する純粋な各鏡像異性体に転換されることができる。
【0032】
本発明のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、不斉樹脂(asymmetric resin)上で、体積で0から50%、典型的には2%から20%のイソプロパノールおよび体積で0から5%のアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミンを含む、炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相で、クロマトグラフィ、典型的にはHPLCを用いて鏡像異性体が濃縮した形で得ることができる。溶出液の濃縮により、濃縮した混合物が得られる。立体異性体の集合は当業者に周知の従来の技術により分離することができる‐例えば、E. L. ElielおよびS. H. Wilen、Stereochemistry of Organic Compounds(Wiley,
Nwe York, 1994)を参照されたい。
【0033】
本発明には、1個またはそれ以上の原子が、同じ原子番号を持つが、自然界で優位な原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を持つ原子によって置換された、式(I)の薬学的に許容できる同位体標識化合物のすべてが含まれる。本発明の化合物中に含有することが適した同位体の例には、HおよびHなどの水素、11C、13Cおよび14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iおよび125Iなどのヨウ素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17Oおよび18Oなどの酸素、32Pなどのリン、35Sなどの硫黄の同位体が含まれる。
【0034】
式(I)の同位体で標識された特定の化合物、例えば、放射性同位元素が組み入れられた化合物は、薬剤および/または基質の組織分布の研究において有用である。放射性同位元素のトリチウム、すなわちHおよび炭素14、すなわち14Cは、取り込みの簡便性および検出のための容易さを考慮すると、本目的には特に有用である。重水素、すなわちHなどの、より重い同位元素の置換では、代謝安定性がより大きい、例えば、in vivoの半減期が長くなる、または必要な用量が減少することにより生じる、治療上の特定の利点を得ることができ、従って、いくつかの状況では好ましいものでありうる。11C,18F、15Oおよび13Nなどの、ポジトロン放出核種での置換は、基質の受容体占有率を調べる、ポジトロン放出断層撮影(PET)の研究で有用となりうる。
【0035】
式(I)の化合物の同位体標識化合物は一般的に、当業者に知られている従来の技術により、または、従来使用されている非標識試薬の代わりに、適切な同位体標識試薬を用いた添付の実施例および調製例に記載されたものと類似の方法により調製することができる。
【0036】
本発明に記載の薬学的に許容できる溶媒和物には、結晶の溶媒が同位元素、例えば、DO、d‐アセトン、d‐DMSOで置換されうる溶媒和物が含まれる。
【0037】
また、本発明の範囲には、上記で定義したような式(I)の中間化合物、その塩、溶媒和物および複合体のすべて、ならびに式(I)の化合物について上記で定義したような、その塩の溶媒和物および複合体すべてを含む。本発明には、前記の、その種および晶癖の多形のすべてが含まれる。
【0038】
本発明に記載の式(I)の化合物を調製する場合は、本目的のために最良の特徴の組み合わせを提供する、式(I)の化合物の形を経常的に選択することは、当業者の自由に委ねられる。このような特徴には、中間型の融点、溶解度、処理可能性および収率、ならびにそれによって、製品が単離で精製し、結果として生じる簡便性が含まれる。
【0039】
製剤用途を目的とした本発明の化合物は、結晶または非晶質製剤として投与することができる。これらは、例えば、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥または蒸発乾燥などの方法により、固形プラグ、散剤またはフィルムとして得ることができる。マイクロ波または高周波乾燥を、本目的のために用いることができる。
【0040】
本発明の化合物は、単独で、または本発明の1つもしくはそれ以上の他の化合物と組み合わせてまたは1つもしくはそれ以上の他の薬剤と組み合わせて(またはそのいずれかの組み合わせとして)投与することができる。一般的に、1つまたはそれ以上の薬学的に許容できる賦形剤と共に製剤として投与されるであろう。本明細書で「賦形剤」という用語は、本発明の化合物以外の成分すべてを記述するために用いられる。賦形剤の選択は、特定の投与方法、賦形剤が溶解度および安定性に及ぼす影響、および剤型の性質などの因子に大きく依存するであろう。
【0041】
本発明の化合物の送達およびそれらを調製する方法に適した医薬組成物は、当業者には容易に明らかであろう。そのような組成物およびそれらの調製方法は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company, 1995)で確認することができる。
【0042】
本発明の化合物は、経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように嚥下を含むこともあれば、化合物が口から直接血流に入る、口腔投与または舌下投与が用いられることもある。
【0043】
経口投与に適した製剤には、錠剤、カプセル(粒子、液体または粉末を含んだもの)、ロゼンジ(液剤を充填したものを含む)などの固形剤、チューインガム剤、マルチ粒子およびナノ粒子、ゲル剤、固溶体、リポソーム、フィルム、胚珠、スプレーおよび液剤が含まれる。
【0044】
液剤には、懸濁液、溶液、シロップおよびエリキシルが含まれる。このような製剤は、軟カプセル剤または硬カプセル剤の充填剤として用いられ、典型的には担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適した油、および1つまたはそれ以上の乳化剤および/または懸濁剤を含みうる。液剤は、例えば小袋などからの固形物を溶解して調製することもできる。
【0045】
本発明の化合物は、LiangおよびChen、Expert Opinion in Therapeutic Patents, 11(6), 981-986(2001)に記載されているような、速溶性、速崩壊性の剤型においても使用することができる。
【0046】
錠剤の剤型については、用量に依存するが、薬剤は、剤型の1重量%から80重量%、より典型的には剤型の5重量%から60重量%を占める。薬剤に加えて、錠剤は一般的に崩壊剤を含む。崩壊剤の例には、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル基で置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムが含まれる。一般的に、崩壊剤は剤型の1重量%から25重量%、好ましくは5重量%から20重量%を構成する。
【0047】
結合剤は一般的に、錠剤に凝集性を与えるために使用される。適した結合剤には、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースが含まれる。錠剤はまた、ラクトース(一水和物、スプレーで乾燥した一水和物、無水物および同類のもの)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよび第二リン酸カルシウムなどの希釈剤を含有することもできる。錠剤は、任意でラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、および二酸化珪素およびタルクなどの滑剤を含んでいてもよい。存在する場合は、界面活性剤は錠剤の0.2重量%から5重量%を構成しうる。また、滑剤は錠剤の0.2重量%から1重量%を構成しうる。錠剤は一般的に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物などの潤滑剤を含むこともできる。潤滑剤は一般的に、錠剤の0.25重量%から10重量%、好ましくは0.5重量%から3重量%を構成する。その他の可能な成分には、酸化防止剤、着色剤、香味剤、防腐剤、味マスキング剤が含まれる。
【0048】
典型的な錠剤は、最大約80%の薬剤、約10重量%から90重量%の結合剤、約0重量%から約85重量%の希釈剤、約2重量%から約10重量%の崩壊剤、約0.25重量%から約10重量%の潤滑剤を含む。錠剤配合物は、直接またはローラにより圧縮されて錠剤を形成することができる。錠剤配合物または配合物の一部は、別法として、湿式造粒、乾式造粒もしくは融解による造粒、融解凝固または打錠前に押し出されてもよい。最終的な製剤は1層またはそれ以上の層を含むことがあり、かつコーティングされることもされないこともあり、カプセル化されることもある。錠剤の処方は、H. LiebermanおよびL. Lachman、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets,
Vol. 1(Marcel Dekker, New York, 1980)で論じられている。
【0049】
ヒトまたは家畜に使用するための消耗できる口腔フィルムは、典型的には柔らかい水溶性または水で飲み込むことができる薄いフィルムの剤型であり、急速に溶解または粘膜付着性であり、典型的には式(I)の化合物、フィルムを形成しているポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調整剤と溶媒を含む。製剤のいくつかの成分は複数の機能を果たすことができる。式(I)の化合物は、水溶性、または非水溶性でありうる。水溶性化合物は典型的には、1重量%から80重量%、さらに典型的には20重量%から50重量%の溶質を含む。より溶解し難い化合物は、より大きな割合の組成、典型的には最大88重量%の溶質を含むことができる。あるいは、式(I)の化合物は多くの粒子のビーズの形でありうる。フィルムを形成しているポリマーは、天然多糖類、タンパク質または合成ヒドロコロイドから選択することができ、典型的には0.01から99重量%の範囲で、さらに典型的には30から80重量%の範囲で存在する。その他の可能な成分には、抗酸化剤、着色剤、香味剤と香味促進剤、保存剤、唾液刺激剤、冷却剤、助溶剤(油を含む)、軟化剤、増量剤、消泡剤、界面活性剤および味マスキング剤が含まれる。本発明に記載のフィルムは、典型的には剥離可能なバッキングサポートまたは紙上にコーティングされた水溶性薄膜を蒸発乾燥することにより調製することができる。これは乾燥機またはトンネル乾燥機、典型的には複合コーティング乾燥機の中で、または凍結乾燥または真空化により行うことができる。
【0050】
経口投与用の固形製剤は、即放性製剤および/または放出調節製剤となるように製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延、持続、パルス、コントロール、標的およびプログラム放出が含まれる。本発明の目的に適した放出調節製剤は、米国特許第6106864号に記載されている。高エネルギー分散および浸透性粒子とコーティング粒子など、その他の適した放出技術の詳細については、Vermaら、Pharmaceutical Technology On-line, 25(2), 1-14(2001)で確認することができる。コントロール放出を達成するためのチューインガムの使用については、第WO00/35298号に記載されている。
【0051】
また、本発明の化合物は直接、血流中、筋肉内または内臓に投与することもできる。非経口投与に適した方法には、静脈内、動脈内、腹腔内、クモ膜下、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下が含まれる。非経口投与に適したデバイスには、針(顕微針を含む)注射器、無針注射器および注入技術が含まれる。
【0052】
非経口製剤は、典型的には塩、炭水化物および緩衝剤(好ましいpHは3から9)などの賦形剤を含みうる水溶液であるが、しかし、いくつかの応用においてそれらは、滅菌非水溶液として、または滅菌され、発熱物質を含まない水などの適した溶媒と共に使用される乾燥型として、さらに適切に製剤化することができる。無菌条件下での非経口製剤の調製は、例えば、凍結乾燥により、当業者に周知の標準的な製剤技術を用いて容易に行うことができる。非経口溶液の調製において用いられる式(I)の化合物の溶解度は、溶解促進剤の組み込みなど、適切な製剤技術を使用することにより増加させることができる。非経口投与用製剤は、即放性および/または放出調節製剤として製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延、持続、パルス、コントロール、標的およびプログラム放出が含まれる。従って、本発明の化合物は、活性化合物を放出調整する、埋め込み型デポー剤として投与するために、固形、半固形、またはチキソトロピー液体として製剤化することができる。このような製剤の例には、薬剤被覆ステントおよびポリ酸(DL‐乳酸‐コグリコール酸)(PGLA)マイクロスフェアが含まれる。
【0053】
また、本発明の化合物は、皮膚または粘膜へ局所的に、すなわち、皮膚または経皮的に投与することもできる。本目的のための典型的な製剤には、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション、溶液、クリーム、軟膏剤、粉末剤、ドレッシング、発泡剤、フィルム剤、皮膚用パッチ剤、オブラート、インプラント、スポンジ、繊維、包帯およびマイクロエマルジョンが含まれる。また、リポソームも使用できる。典型的な担体には、アルコール、水、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールが含まれる。浸透促進剤も組み込むことができる‐例えば、FinninおよびMorgan、J
Pharm Sci, 88(10),
995-958(1999年10月)を参照されたい。その他の局所投与手段は、電気穿孔法、イオン浸透法、音波浸透法、ソノフォレシス、および顕微針または無針(例えば、パウダージェクト(登録商標)、バイオジェクト(登録商標)など)による送達が含まれる。局所投与用製剤は、即放性および/または放出調節製剤として製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延、持続、パルス、コントロール、標的およびプログラム放出が含まれる。
【0054】
また、本発明の化合物は鼻腔内または吸入により投与することもでき、典型的には乾燥粉末の形で(単独でも混合物としても、例えばラクトースと乾式混合された混合物としても、または混合された成分粒子、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された成分粒子として)、乾燥粉末吸入器により投与、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザ(好ましくは、電気流体力学を用いて細かい霧を生成するアトマイザ)またはネブライザーからのエアロゾル噴霧として、1,1,1,2‐テトラフルオロエタンまたは1,1,1,2,3,3,3‐ヘプタフルオロプロパンなどの適した噴射剤と共に用いて、または用いないで投与することもできる。鼻腔内での使用のために、粉剤は生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含みうる。加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザまたはネブライザーには、本発明の化合物の溶液または懸濁液が入っている。この溶液または懸濁液は、例えば、活性成分を分散、可溶化、または遅延放出するための、エタノール、水性エタノール、または適した代替薬品、溶媒としての噴射剤、および場合によっては三オレイン酸ソルビタン、オレイン酸またはオリゴ乳酸などの界面活性剤を含む。
【0055】
乾燥粉末剤または懸濁液剤に使用する前に、薬剤は、吸入により送達するために適した大きさ(典型的には5ミクロン未満)に微粉される。これは、スパイラル・ジェット・ミル、流動層式ジェット・ミル、ナノ粒子を作るための超臨界流体プロセッシング、高圧ホモジナイゼーションまたはスプレー乾燥などの適切な粉砕法により達成することができる。吸入器または吹入れ器中で使用するための、カプセル(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースから作られる)、ブリスターおよびカートリッジは、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適した粉末基剤およびL‐ロイシン、マンニトールまたはステアリン酸マグネシウムなどの性能調整剤の粉剤混合物を含むように製剤化することができる。ラクトースは、無水物であるか、または一水和物の形でありうるが、後者のほうが好ましい。その他の適した賦形剤には、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、ショ糖およびトレハロースが含まれる。
【0056】
細かい霧を生成するために電気流体力学を用いたアトマイザ中での使用に適した溶液製剤は、1回の作動につき1μgから20mgの本発明の化合物を含むことができ、作動量は1μlから100μlまで変化しうる。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含みうる。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替溶媒には、グリセロールおよびポリエチレングリコールが含まれる。メンソールおよびレボメンソールなどの適した香味剤、またはサッカリンやサッカリンナトリウムなどの甘味剤を、吸入/鼻腔内投与の目的で、本発明の製剤に加えることができる。吸入/鼻腔内投与用の製剤は、例えばPGLAを用いて、即放性および/または放出調節製剤として製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延、持続、パルス、コントロール、標的およびプログラム放出が含まれる。
【0057】
乾燥粉末吸入およびエアロゾルの場合、投与単位は、定量を送達するバルブにより決定される。本発明に記載の単位は、典型的には2から30mgの式(I)の化合物を含む、定量または「パフ」を投与するように計画されている。1日全用量は、典型的には50から100mgの範囲となる予定であり、1回投与または、より一般的には1日を通して分割投与として投与することができる。
【0058】
本発明の化合物は、直腸または膣から、例えば、座剤、膣座剤、浣腸剤の形で投与することができる。カカオ脂は従来の座薬基剤であるが、適宜、様々な代替を使用することができる。直腸/膣への投与用の製剤は、即放性および/または放出調節製剤として製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延、持続、パルス、コントロール、標的およびプログラム放出が含まれる。
【0059】
また、本発明の化合物は、典型的には等張、pH調整、滅菌生理食塩水における微粉化した懸濁液または溶液の点眼の形で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳への投与に適したその他の製剤には、軟膏、生分解性(例えば、吸収性のゲルスポンジ、コラーゲン)および生分解性ではない(例えば、シリコン)インプラント、オブラート、レンズ、およびニオソームやリポソームなどの粒子または小胞システムが含まれる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースまたはメチルセルロースなどの重合体、あるいはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲラン・ガムは、塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤とともに組み入れることができる。また、このような製剤は、イオン浸透法により送達することもできる。眼/耳への投与用製剤は、即放性および/または放出調節製剤として製剤化することができる。放出調節製剤には、遅延、持続、パルス、コントロール、標的およびプログラム放出が含まれる。
【0060】
本発明の化合物は、前記投与法すべてにおいて使用するために、溶解度、溶出速度、味マスキング、生物学的利用能および/または安定性を向上する目的で、シクロデキストリン、その適した誘導体またはポリエチレングリコールを含有する重合体などの、可溶性の高分子体と組み合わせることができる。薬剤‐シクロデキストリン複合体は、例えば、一般的にほとんどの剤型および投与経路に対して有用であることがわかっている。抱接複合体および抱接複合体以外の複合体の両方を使用することができる。薬剤と直接複合体を形成する代わりに、シクロデキストリンは補助添加剤、すなわち担体、希釈剤または可溶化剤として用いることができる。これらの目的で最も一般的に使用されるものは、アルファー、ベーターおよびガンマ‐シクロデキストリンであり、その例は番号第WO91/11172号、第WO94/02518号および第WO98/55148号の国際特許出願で確認することができる。
【0061】
例えば、特定の疾患または状態を治療する目的で、複数の活性化合物を組み合わせて投与することが望ましい限りにおいて、少なくとも1つの医薬組成物が本発明に記載の化合物を含む2またはそれ以上の医薬組成物を共投与するのに適したキットの形で良い具合に組み合わせることができることは、本発明の範囲内である。従って、本発明のキットは、少なくとも1つは本発明に記載の式(I)の化合物を含む、2またはそれ以上の別個の医薬組成物、および容器、分割されたボトルまたは分割されたホイルの小箱など、前記組成物を別々に保持するための手段を含む。そのようなキットの1例は、錠剤、カプセルおよび同様のものの包装に使用される、よく知られているブリスターパックである。本発明のキットは、異なる剤型、例えば経口と非経口を投与するために、異なる投与間隔で別個の組成物を投与するために、または別個の組成物を相互に対して増量するために特に適している。コンプライアンスを補助するために、キットは典型的には投薬指示を含み、いわゆる記憶補助とともに提供することができる。
【0062】
ヒト患者に投与するために、本発明の化合物の1日の総用量は、典型的には50mgから100mgの範囲であるが、当然投与法および効力に依存する。例えば、経口投与では、50mgから100mgの1日総用量を必要としうる。1日総用量は、単回で投与、または分割投与されうる。また、医師の裁量により、本明細書で定められた典型的な範囲から外れることがある。これらの用量は、約60kgから70kgの体重を有する平均的なヒト被験者に基づいている。医師は、幼児および高齢者などの、体重がこの範囲外である被験者の用量を容易に決定することができるであろう。
【0063】
誤解を避けるために、本明細書における「治療」に関する参照(reference)はすべて、治癒的治療、緩和治療および予防的治療に関する参照(reference)を含む。
【0064】
方法
本発明の化合物は、知られている方法で、多様なやり方で調製することができる。以下の反応スキームおよび以降、別段の指定がない限り、U、V、W、Z、Y、R、R、R、R、RおよびRは最初の様態で定義したとおりである。これらの工程は、本発明の他の様態を形成する。
【0065】
1つの様態において、本発明はXがOである式(I)の化合物を調製する方法を含む。また、本明細書に記載されたU、V、W、Z、Y、R、R、R、R、RおよびRは、反応スキーム1に従って調製することができる。
【化3】

【0066】
LGは離脱基であり、典型的にはハロゲンおよび好ましくは臭素である。LG’はハロゲンまたはメシレートなどの離脱基であり、好ましくはクロロである。
【0067】
式(II)の化合物は、スキーム2の記載のとおりに調製される。YがCHである場合、式(III)の化合物は、文献において知られているか、または標準的な方法を用いて調製することができる。例えば、アリールエステルの還元およびニトロベンゼン/ニトロピリジンの水素化である。あるいは、YがNまたはCRである場合は、式(III)の化合物はスキーム3に記載のとおりに調製することができる。
【0068】
式(IV)の化合物は、工程段階(i)によって式(II)の化合物から調製することができる。工程段階(i)は、水素化ナトリウムまたはn-ブチルリチウムなどの適した塩基の存在下、テトラヒドロフランまたはトルエンなどの適した溶媒中の、低い温度での、式(III)の過剰で適したアルコールとの反応を含む。典型的な条件は、テトラヒドロフラン中で、-10℃で2時間の、1.0当量の化合物(II)、1.5から2.0当量の化合物(III)および1.5から2.0当量の水素化ナトリウムの反応を含む。
【0069】
式(V)の化合物は、工程段階(ii)によって式(IV)の化合物から調製することができる。工程段階(ii)は、パラトルエンスルホン酸またはトリフルオロ酢酸などの適した酸性触媒の存在下、キシレンまたはトルエンなどの適した高沸点溶媒中で、化合物(IV)を例えば70から150℃の高温に1から48時間加熱することを含む。典型的な条件は、トルエン中で、80℃で5時間の、1.0当量の化合物(IV)と触媒であるパラトルエンスルホン酸の反応を含む。
【0070】
式(I)の化合物は、工程段階(iii)によって式(V)の化合物から調製することができる。工程段階(iii)は、1,2‐ジメトキシエタンまたは1,4‐ジオキサンなどの適した溶媒中の、炭酸ナトリウムまたは炭酸セシウムなどの適した塩基、および適したパラジウム触媒の存在下での、メトキシベンゼンボロン酸(市販されている)などの適したボロン酸との反応による、以下の文献に記載されているような、鈴木カップリングを含む:鈴木、A Pure & Appl. Chem. 1985, 57, 1749および文献に記載された参考文献。典型的な条件は、100から150℃に1から3時間加熱した、湿った1,2‐ジメトキシエタン中の、1.0当量の臭化アリル(V)、1.5から2.5当量のボロン酸、2.0から3.0当量の炭酸ナトリウムと触媒であるテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの反応を含む。
【化4】

【0071】
LGは離脱基であり、典型的にはハロゲン、好ましくは臭素である。
【0072】
一般式(VI)の化合物は、市販されている。WがNの場合、式(VI)の化合物は、J.J. SongおよびN. K. Yee(J. Org. Chem. 2001, 66, 605-608)の方法と類似の方法で調製することもできる。
【0073】
式(VII)の化合物は、工程段階(iv)によって式(VI)の化合物から調製することができる。工程段階(iv)は、還流下でメタノールまたはエタノールなどの適した溶媒中での、過剰なヒドラジン一水和物との反応を含む。典型的な条件は、48時間75℃に加熱したメタノール中での、1.0当量のアリールエステル(VI)と3当量のヒドラジン一水和物の反応を含む。
【0074】
一般式(VIII)の化合物は、工程段階(v)によって化合物(VII)から調製することができる。工程段階(v)は、トリエチラミン、N‐メチルモルフォリン、炭酸ナトリウムまたは水酸化カリウムなどの塩基の存在下、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの適した溶媒中の、室温での酸塩化物LG’CRC(O)Clとの反応を含む。典型的な条件は、ジクロロメタン中の、25℃での、1.0当量のアリルヒドラジン(VII)、1.0から1.3当量の酸塩化物LG’CRC(O)Clと1.2から2.0当量のN‐メチルモルホリンの反応を含む。
【0075】
LG’はハロゲンまたはメシレートなどの離脱基であり、好ましくはクロロである。
【0076】
式(II)の化合物は、工程段階(vi)によって式(VIII)のジアシルヒドラジンから調製することができる。工程段階(vi)は、場合によってはピリジンなどの塩基およびジクロロメタンまたはアセトニトリルなどの適した溶媒の存在下、25℃から110℃の温度での、オキシ塩化リン、トリフルオロメタンスルホン酸無水物または五塩化リンなどの適した脱水剤との反応を含む。典型的な条件は、オキシ塩化リン中の、110℃で4時間の、1.0当量のジアシルヒドラジン(VIII)の反応を含む。
【化5】

【0077】
一般式(IX)の化合物は、市販されている。
一般式(X)の化合物は、文献中に記載されているように、工程段階(vii)によって調製することができる。J. Org Chem. 54(21),
5094-5100; 1989。典型的な条件は、テトラヒドロフラン中の、−73℃で2時間の、1.0当量の化合物(IX)、1.0〜2.0当量のブロモホルムと3.0〜5.0当量のカリウムtert‐ブトキシドの反応を含む。
【0078】
一般式(XI)の化合物は、R. A.
Dainesら(J. Med Chem. 36(22), 3321-3332; 1993)と類似の方法を用いて、工程段階(viii)によって式(X)の化合物から調製することができる。典型的な条件は、水性エタノール中の、還流下で5時間加熱をした、1.0当量の化合物(X)と2.0〜2.5当量の硝酸銀の反応を含む。
【0079】
一般式(XII)の化合物は、工程段階(ix)によって一般式(XI)の化合物から調製することができる。工程段階(ix)は、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはN,N‐ジメチルホルムアミドなどの適した溶媒中の、温度0から120℃で、1から5時間の攪拌による、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、水素化ジイソブチルアンモニウム、RMgBrおよびRLiなどの有機金属剤との反応を含む。典型的な条件は、テトラヒドロフラン中の、0℃から室温で30分間の、1.0当量の化合物(XI)と1.0〜4.0当量の水素化ホウ素ナトリウムの反応を含む。
【0080】
およびRがHではない、一般式(XIV)の化合物は、工程段階(xii)、すなわちテトラヒドロフラン、ジエチルエーテルまたはN,N‐ジメチルホルムアミドなどの適した溶媒中の、0から120℃の温度での、1から5時間の撹拌による、RMgBrまたはRLiなどの有機金属剤との反応によって一般式(XIII)の化合物から調製することができる。典型的な条件は、テトラヒドロフラン中の、0℃から室温での、1.0当量の化合物(XIII)と1.0〜4.0当量のMeMgBrの反応を含む。
一般式(XIII)の化合物は、工程段階(xi)によって一般式(XII)の化合物から調製することができる。工程段階(xi)は、ジクロロメタンまたはジエチルエーテルなどの適した溶媒中の、温度−78℃から室温での撹拌による、CrOまたはSOピリジンなどの適した試薬での酸化を含む。典型的な条件は、ジクロロメタン中の、室温での、1.0当量の化合物(XII)と2.0当量のSOピリジンの反応を含む。
【0081】
一般式(III)の化合物は、工程段階(x)によって一般式(XII)および(XIV)の化合物から調製することができる。工程段階(x)は、10%Pd/CまたはRaney nickel(商標登録)などの適した触媒の存在下、エタノールまたはメタノールなどの適した溶媒中の、水素化を含む。典型的な条件は、エタノール中の、室温、414kPa(60psl)の水素の下で1時間の、1.0当量の化合物(XII)と10%Pd/C(触媒)の反応を含む。
【0082】
XがOであり、R、R、R、R、R、R、U、V、W、ZおよびYが本明細書で記載されるとおりである、一般式(V)の化合物は、別法として反応スキーム4に従って、調製することができる。
【化6】

【0083】
式(XV)の化合物は、スキーム2に記載のとおりに、工程段階(v)によって化合物(III)から調製することができる。化合物(XVI)は文献に記載のとおりに、工程段階(xi)によって化合物(XV)から調製することができる:J. Org Chem. 51(25),
5001-2; 1986。典型的な条件は、tert‐ブタノール中の、25℃で15分間の、1.0当量の化合物(XIII)と2.0〜2.5当量のカリウムtert‐ブトキシドの反応を含む。
【0084】
化合物(XVII)は、工程段階(xii)によって化合物(XVI)から調製することができる。工程段階(xii)は、任意で炭酸ナトリウムなどの塩基の存在下、テトラヒドロフランなどの適した溶媒中、0〜25℃の温度での、Lawesson試薬または五硫化リンなどの適した硫化剤での反応を含む。典型的な条件は、テトラヒドロフラン中の、25℃で3時間の、1.0当量の化合物(XVI)、1.0〜1.5当量の五硫化リンと1.0〜1.5当量の炭酸ナトリウムの反応を含む。
【0085】
一般式(VII)の化合物は、スキーム2の記載とおりに工程段階(iv)によって調製することができる。一般式(V)の化合物は、工程段階(xiii)によってチオアミド化合物(XVII)から調製することができる。工程段階(xiii)は、エタノールまたはn‐ブタノールなどの適した溶媒中の、高温でのヒドラジド化合物(VII)との反応を含む。典型的な条件は、n‐ブタノール中の、10時間還流した、1.0当量のチオアミド(XVII)、1.0〜2.0当量のヒドラジド(VII)の反応を含む。
【0086】
XがNRであり、U、V、W、Z、Y、R、R、R、RおよびRが本明細書に記載されているとおりである、一般式(I)の化合物は、別法として反応スキーム5に従って調製することができる。
【化7】

一般式(II)の化合物はスキーム2に既に記載したように調製できる。
【0087】
一般式(XIX)の化合物は、工程段階(xiv)によって化合物(II)から調製することができる。工程段階(xiv)は、場合によっては炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸セシウムなどの適した塩基の存在下、アセトニトリルまたはN,N‐ジメチルホルムアミドなどの適した溶媒中で、25〜70℃で2〜18時間加熱することによる、適したアミンNHとの反応を含む。典型的な条件は、アセトニトリル中の、60℃で6時間の、LGがクロロである1.0当量の(II)、1.0〜1.5当量のアミンNHと2.0当量の炭酸カリウムの反応を含む。
【0088】
がHである一般式(XX)の化合物は、工程段階(xv)によって式(XIX)の化合物から調製することができる。工程段階(xv)は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムまたはシアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの適した溶媒中の、0〜50℃での、アルデヒドまたはケトン(XI)との反応を含む。典型的な条件は、ジクロロメタン中の、25℃で6時間の、1.0当量の化合物(XIX)、1.0〜1.5当量の化合物(XI)とトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムとの反応を含む。
【0089】
一般式(XX)の化合物は、工程段階(xvii)によって式(XIX)の化合物から調製することができる。工程段階(xvii)は、ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドなどの適した溶媒中の、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウムなどの適した塩基の存在下での、LGがClまたはBrであるような、式(XXIII)の化合物との反応を含む。
【0090】
一般式(XXI)の化合物は、工程段階(xvi)によって式(XX)の化合物から調製することができる。工程段階(xvi)は、鉄、スズまたは亜鉛などの適した反応性金属の存在下、酢酸または塩酸などの適した酸の中で化合物(XX)を高温に加熱することによるニトロ基の還元を含む。典型的な条件は、酢酸中の、60℃で3時間の、1.0当量のニトロ化合物(XX)と2.0〜3.0当量の鉄粉を含む。別法として、一般式(XXI)の化合物を、スキーム3で前述したとおり、工程段階(x)によって式(XX)の化合物から調製することができる。
一般式(XXII)の化合物は、スキーム1に記載のとおり、工程段階(ii)によって一般式(XXI)の化合物から調製することができる。
【0091】
一般式(I)の化合物は、スキーム1の記載のとおり、工程段階(iii)によって式(XXII)の化合物から調製することができる。
【0092】
式(I)の化合物は、標準的な化学反応および変換を用いて、式(I)の代替化合物に変換することもできる。例えば、XがNRであり、Rがベンジルである場合、一連のアミン、アミドおよびスルホンアミドは、アミノ官能基の脱保護およびその後の誘導体への変換により、調製することができる。これは、実施例5〜8および13〜16に例示する。
【0093】
前記の方法において開示された、新規の開始物質の上記反応および調製はすべて、従来からある適切な試薬および反応条件であり、それらの性能もしくは調製のための反応条件および所望の製品を分離する手順は前記の文献および本明細書中の実施例および調製例を参照して、当業者に周知のものであろう。
【0094】
本発明の化合物は、ヒトを含む哺乳動物において薬理活性を有することから、有用である。より詳細には、オキシトシン濃度の調節が有益な効果を提供しうる、障害の治療または予防に有用である。言及しうる病的状態には、性的機能不全、特に、早漏、早産、分娩中の合併症、食欲および摂食障害、良性前立腺肥大、未熟児出産、月経困難(原発性および続発性)、うっ血性心不全、動脈性高血圧、肝硬変、ネフローゼ高血圧、高眼圧、強迫性障害および神経精神医学的障害が含まれる。
【0095】
また、本発明の化合物は、不安、心血管疾患(狭心症、アテローム性動脈硬化、高血圧、心不全、浮腫、高ナトリウム血症を含む)、バソプレシンの不適当な分泌、子宮内膜症、嘔吐(乗物酔いを含む)、子宮内発育遅延、炎症(関節リウマチを含む)、中間痛、子癇前症、早漏、未熟児出産(早産)およびレイノー病の治療または予防でも有用である。
【0096】
性的機能不全(SD)は、男性および女性両方に影響を及ぼしうる臨床上の重要な問題である。SDの原因は器質的なものと心理的なものとの両方がありうる。SDの器質的な面では、典型的には、高血圧または糖尿病に関連する血管疾患などの基礎疾患により、処方薬により、および/またはうつ病などの精神病により生じる。心理的な要因には、恐怖、遂行不安および対人葛藤が含まれる。SDは、性的能力を損ない、自尊心を低下させて対人関係を崩壊させる結果、個人的な苦痛を生じる。臨床の場では、SD障害は女性の性的機能不全(FSD)障害と男性の性的機能不全(MSD)障害とに分けられてきた(Melmanら、J. Urology, 1999, 161, 5-11)。
【0097】
FSDは、女性が性的表現において満足を見出すことが困難またはできないことと定義できる。FSDは、女性のいくつかの多様な性的障害の総称である(Leiblum, S. R.(1998)。Difinition and classification of female sexual disorders. Int J.
Impotence Res., 10, S104-S106; Berman, J. R., Berman, L. &
Goldstein, I.(1999)。Female
sexual dysfunction: incidence, pathophysiology, evaluations and treatment
options. Urology, 54, 385-391)。女性では、性的欲望の喪失、性的興奮障害やオルガスムの障害、性交痛またはこれらの問題の組み合わせが認められることがある。いくつかのタイプの疾患、薬剤、損傷または精神的な問題によりFSDが生じる可能性がある。開発中の治療は、特定のサブタイプのFSD、主に性的欲望および性的興奮障害の治療を標的としている。
【0098】
FSDのカテゴリーは、正常な女性の性的反応の相、すなわち性的欲望、性的興奮およびオルガスム相と比較することにより、最も良く定義される(Leiblum,
S. R.(1998). Definition and
classification of female sexual disorders, Int. J. Impotence Res., 10,S104-S106)。性的欲望またはリビドーは、性的表現のための動因である。その発現はしばしば、興味を持った配偶者と一緒にいる時または他の性愛刺激にさらされた時の性的思考を含む。性的興奮は性的刺激に対する血管反応であり、その重要な構成要素は性器の充血であり、膣潤滑液の増加、膣の伸長および性器の感覚/感受性の増加が含まれる。オルガスムは、性的緊張の開放であり、性的興奮の間に最高に達する。
【0099】
従って、女性がこれらの相のいずれか、通常は性的欲望、性的興奮またはオルガスムにおける、不十分または不満足な反応を有するときに、FSDが起こる。FSDカテゴリーには、性的欲望低下障害、性的興奮障害、オルガスム障害および性的疼痛障害が含まれる。本発明の化合物により、性的刺激に対する性器の反応は改善するであろうが(女性の性的興奮障害における場合のように)、そうするうちに、本発明の化合物により、関連する疼痛、性交に伴う困難および不快感も改善され、従ってその他の女性の性的障害が治療される。
【0100】
従って、本発明の他の様態に従い、性的欲望低下障害、性的興奮障害、オルガスム障害および性的疼痛障害の治療または予防、より好ましくは性的興奮障害、オルガスム障害および性的疼痛障害の治療または予防、最も好ましくは性的興奮障害の治療または予防を目的とする薬剤の調製において本発明の化合物の使用が提供される。性的欲望低下障害は、女性が性的でありたいという欲望を全く持っていない、またはほとんど持っておらず、性的思考または幻想を全く持っていない、またはほとんど持っていない場合に存在する。このタイプのFSDは、自然閉経または手術閉経に起因する、テストステロン低値により起こりうる。他の原因には、疾患、投薬、疲労、うつ病および不安が含まれる。
【0101】
女性の性的興奮障害(FSAD)は、性的刺激に対する不十分な性器の反応により特徴付けられる。性器に、正常な性的興奮に特徴的な充血が生じない。膣壁の潤滑が不良であるため、性交に疼痛を伴う。オルガスムが妨害されることがある。性的興奮障害は、更年期のエストロゲン低下または出産後および授乳中、ならびに糖尿病やアテローム性動脈硬化などの血管の要素を伴う疾患によっても生じうる。他の原因は、利尿薬、抗ヒスタミン、抗うつ薬(例えばSSRI)または抗高血圧剤の結果生じる。性的疼痛障害(性交疼痛および膣痙を含む)は、挿入の結果生じる疼痛により特徴付けられ、潤滑液を低下させる薬剤、子宮内膜症、骨盤炎症性疾患、炎症性腸疾患または尿路の問題により生じうる。
【0102】
FSDという用語はいくつかの種類の問題を網羅したものであり、その中には検査が困難なものがあり、またFSDを治療することへの関心は比較的最近のものであることから、FSDの有病率は評価が難しい。多くの女性の性的問題は、女性の加齢の過程、または糖尿病や高血圧などの慢性疾患と直接関連する。
FSDは性的反応サイクルの別々の相において症状を発現するいくつかのサブタイプからなるために、単一の治療は存在しない。FSDに対する現在の治療は、原則として精神的な問題または人間関係の問題に焦点が当てられている。FSDの治療は、臨床試験および基礎科学研究がこの医学的問題の研究に傾注するに従って、徐々に進展している。女性の性的愁訴は、病態生理学ではすべてが精神的なものではなく、全般的な女性の性的愁訴の原因である血管性の機能低下(例えば、FSAD)の要素を有する可能性がある個人では特にそうである。現在のところ、FSDの治療目的で認可された薬剤はない。経験的な薬物療法には、エストロゲン投与(局所またはホルモン補充療法として)、アンドロゲンまたは、ブスピロンやトラゾドンなどの精神安定剤が含まれる。これら治療の選択肢は、有効性の低さまたは認容できない副作用のために、しばしば満足なものではない。
【0103】
米国精神医学会のThe Diagnostic and Statistical Manual (DSM) IVでは、女性の性的興奮障害(FSAD)を以下のように定義している:
「性的活動が完了するまで性的興奮の適切な潤滑‐腫脹の反応を獲得する、または維持することが、持続的に不可能または再発性に不可能である。障害により、著明な苦痛および対人関係の上で困難を生じる」。
性的興奮反応は、骨盤の血管充血、膣の潤滑と伸長および外性器の腫脹からなる。この障害により、著明な苦痛および/または対人関係の上で困難を生じる。
【0104】
FSADは、高度に一般的な性的障害であり、閉経前、周閉経、閉経後(±HRT)女性を襲う。FSADはうつ病、心血管疾患、糖尿病およびUG障害などの合併症に関連している。FSADの主な転帰は、伸張/腫脹の欠如、潤滑の欠如および満足な性器の感覚の欠如である。FSADの二次的な転帰は、性的欲望の低下、性交中の疼痛およびオルガスム達成困難である。
【0105】
男性の性的機能不全(MSD)は、一般的に、男性勃起不全(MED)としても知られる勃起不全および/または早漏などの射精機能不全、無オルガスム(オルガスムに達することができない)または性的欲望低下障害(セックスへの興味の欠如)などの欲望障害のいずれかと関連する。
【0106】
PEは男性において比較的一般的な性的機能不全である。PEはいくつかの異なる方法で定義されているが、最も広く受け入れられているのは、the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders IVであり、以下のように述べられている:
「PEは、生涯にわたり持続または再発する、挿入前、挿入時または挿入後短時間、かつ患者が希望する前の、僅かな性的刺激による射精である。医師は、年齢、性的パートナーや刺激の目新しさまたは性的活動の頻度などの、興奮相の長さに影響を与える要因を考慮しなければならない。障害により、対人関係の困難に関する著明な苦痛が生じる」。
【0107】
国際疾病分類10の定義では以下のように述べられている:
「性行為を楽しむために十分射精を遅らせることができず、以下のいずれかが発現する:(1)性交開始前または開始後非常に早く射精が起こること(時間の限界が必要な場合は、性交開始前または開始から15秒以内);(2)性交を可能にする十分な勃起がない間に射精が生じる。この問題は、性的活動を長期にわたって禁欲した結果ではない」。
【0108】
これまで使用されてきた他の定義には、以下の基準に基づく分類が含まれる:
・パートナーのオルガスムに関連
・挿入と射精との間隔
・挿入回数および随意的コントロール能力
【0109】
精神的要素がPEに関与する可能性があり、人間関係の問題、不安、うつ病、過去の性的失敗、すべてが一定の役割を果たしている。
【0110】
射精は、交感神経系および副交感神経系に依存している。遠心インパルスは、交感神経系を経由して精管および精巣上体に達し、平滑筋の収縮を引き起こし、精液を後部尿道へ輸送する。精嚢、前立腺および球尿道腺を同様に収縮させて精液の容量および液体含有量を増加させる。精液の駆出は、腰仙脊髄中の腰髄の脊椎視床路の細胞集団から始まる遠心インパルスを介して行われ(Coolen & Truitt, Science, 2002, 297, 1566)、遠心インパルスは副交感神経系を経由して、海綿体球部、坐骨海面体および骨盤底筋の律動的な収縮を引き起こす。ヒトにおける射精の皮質コントロールは、現在も論議中である。ラットでは、内側視覚前野、および視床下部の室傍核が射精に関与していると思われる。
【0111】
射精は、2つの別個の要素である分泌と射精を含む。分泌は、遠位の精巣上体、輸精管、精嚢および前立腺から前立腺部尿道への精液と精子の堆積である。この堆積に続いて、精液の内容物が尿道から勢いよく駆出される。射精は、純粋に大脳のイベントであるオルガスムとは明確に区分される。これら2つのプロセスは、しばしば同時に起こる。
【0112】
哺乳動物では、末梢血清中へのオキシトシンのパルス放出が射精と同時に起こる。男性では、バソプレシンではなく、オキシトシンの血漿濃度が、射精時または射精前後に著しく上昇する。オキシトシンは、射精自体は誘発しない。このプロセスは、腰部の脊髄から始まるα1‐アドレナリン受容体/交感神経を介した、100%神経支配下にある。オキシトシンの全身性のパルスは、末梢での射精反応に一定の役割を果たしている可能性がある。それは男性生殖系全体の管および腺葉の収縮を調節することに役立ち、従って、例えば異なる射精成分の液体の容量に影響を及ぼす可能性がある。大脳の中心に放出されたオキシトシンは、性的行動、性的興奮(オルガスム)の主観的認知およびその後の射精までの潜伏期に影響を及ぼす可能性がある。従って、本発明の一態様は、性的機能不全、好ましくは男性の性的機能不全、最も好ましくは早漏の予防や治療のための薬剤の調製における、式(I)化合物の使用を提供する。
【0113】
子宮内のオキシトシン受容体の数は妊娠中に増加し、分娩の開始前に最も顕著に増加することが、科学的文献において証明されている(Gimpl & Fahrenholz、2001, Physiological Reviews,
81 (2), 629-683)。いずれの理論とも結びつくことなしに、オキシトシンの抑制が、早産を防止し、分娩中の合併症を解決するのに役立つことがわかっている。従って、本発明の他の様態は、早産および分娩中の合併症の予防または治療のための薬剤の調製における、式(I)の化合物の使用を提供する。
【0114】
オキシトシンは、摂食において一定の役割を果たす。すなわち、食欲を低下させる(Arlettiら、Peptides, 1989,10, 89)。オキシトシンを抑制することにより、食欲を増加させる可能性がある。従って、オキシトシン抑制剤は、食欲および摂食障害の治療に有用である。従って、本発明の他の様態は、食欲および摂食障害の予防および治療のための薬剤の調製における、式(I)の化合物の使用を提供する。
【0115】
オキシトシンは、良性前立腺肥大(BPH)の原因の1つであることが示唆されている。前立腺組織の分析により、BPH患者ではオキシトシン濃度が上昇していることが明らかにされた(Nicholson & Jenkin、Adv. Exp. Med. &
Biol., 1995,395, 529)。オキシトシン拮抗剤はこの状態を治療するのに役立ちうる。従って、本発明の他の様態は、良性前立腺肥大の予防または治療のための薬剤の調製における、式(I)の化合物の使用を提供する。
【0116】
オキシトシンは、その子宮収縮作用のために、月経困難の原因において一定の役割を果たしている(Akerlund、Ann. NY Acad. Sci., 1994,734,
47)。オキシトシン拮抗剤は、この状態に対して治療効果を持ちうる。従って、本発明の他の様態は、月経困難の治療の予防のための薬剤の調製における、式(I)化合物の使用を提供する。
【0117】
本明細書における治療に関する言及はすべて、治癒的治療、緩和治療および予防的治療に関する言及が含まれることを認識されたい。
【0118】
本発明の化合物は、以下から選ばれる1つまたはそれ以上の薬剤と共投与することができる:
1)1つまたはそれ以上のセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)、例えば、ダポキセチン、パロキセチン、3‐[(ジメチルアミノ)メチル]‐4‐[4‐(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(実施例28、第WO0172687号)、3‐[(ジメチルアミノ)メチル]‐4‐[3‐メチル‐4‐(メチルスルファニル)フェノキシ]ベンゼンスルホンアミド(実施例12、第WO0218333)、N‐メチル‐N‐({3‐[3‐メチル‐4‐(メチルスルファニル)フェノキシ]‐4‐ピリジニル}メチル)アミン(実施例38、PCT出願番号PCT/IB02/01032)など;
2)1つまたはそれ以上の局所麻酔;
3)1つまたはそれ以上のαアドレナリン受容体拮抗剤(αアドレナリン受容体遮断薬、α受容体遮断薬またはα遮断薬としても知られる);適したαアドレナリン受容体拮抗剤には以下が含まれる:フェントラミン、プラゾシン、フェントラミンメシレート、トラゾドン、アルフゾシン、インドラミン、ナフトピジル、タムスロシン、フェノキシベンザミン、ラウウォルフィアアルカロイド、レコルダッチ 15/2739、SNAP
1069、SNAP 5089、RS17053、SL 89.0591、ドキサゾシン、第WO9830560号の実施例19、テラゾシンおよびアバノキル;適したαアドレナリン受容体拮抗剤には、ジベナミン、トラゾリン、トリマゾシン、エファロキサン、ヨヒンビン、イダゾキサン、クロニジンおよびジベナルニンが含まれる;適した非選択的αアドレナリン受容体拮抗剤には、ダピプラゾールが含まれる;他のαアドレナリン受容体拮抗剤は、1998年6月14日に公開されたPCT出願第WO99/30697号および米国特許第4188390号、第4026894号、第3511836号、第4315007号、第3527761号、第3997666号、第2503059号、第4703063号、第3381009号、第4252721号および第2599000号に記載されている。それぞれは、本明細書に引用して援用する;
4)1つまたはそれ以上のコレステロール降下剤、例えばスタチン(例えば、アトルバスタチン/リピトール‐登録商標)およびフィブレート;
5)1つまたはそれ以上のセロトニン受容体作動薬、拮抗薬または調節薬、より詳細には、例えば、第WO‐09902159号、第WO‐00002550号および/または第WO−00028993号に記載されているものを含む、5HT1A、5HT2A、5HT2C、5HT3、5HT6および/または5HT7受容体に対する作動薬、拮抗薬または調節薬;
6)1つまたはそれ以上のNEP阻害薬、好ましくは前記NEPがEC3.4.24.11のNEP阻害薬、より好ましくは前記NEP阻害薬がEC3.4.24.11を選択的に阻害するNEP阻害薬であり、より好ましくは選択的NEP阻害薬がEC3.4.24.11に対する選択的阻害薬であり、そのIC50は100nM未満である(例えば、オムパトリラト、サムパトリラト)。適したNEP阻害化合物は、第EP‐A‐1097719号に記載されている。NEPおよびACEに対するIC50値は、公開された特許出願第EP1097719‐A1号、パラグラフ[0368]から[0376]に記載された方法を用いて測定することができる;
7)1つまたはそれ以上のバソプレシン受容体拮抗薬または調節薬、例えば、レルコバプタン(SR49059)、コニバプタン、アトシバン、VPA‐985、CL‐385004、バソトシン;
8)アポモルヒネ‐アポモルヒネを薬剤として使用する方法の手引きは、第US‐A‐5945117号で確認することができる;
9)プラミペキソール(ファルマシアアップジョン化合物番号 PNU95666)、ロピニロール、アポモルヒネ、スルマニロール(surmanirole)、キネロラン、PNU‐142774、ブロモクリプチン、カベルゴリン、リスリドなどのドーパミン作動薬(詳細には、選択的D2、選択的D3、選択的D4および選択的D2様薬剤);
10)メラノコルチン受容体作動薬(例えば、メラノタンIIおよびPT141)ならびに選択的MC3および選択的MC4作動薬(例えば、THIQ);
11)モノアミン輸送阻害剤、詳細には、ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(NRIs)(例えば、レボキセチン)、その他のセロトニン再取り込み阻害剤(SRIs)(例えば、パロキセチン、ダポキセチン)またはドーパミン再取り込み阻害剤(DRIs);
12)5‐HT1A拮抗剤(例えば、ロバルゾタン);および
13)PDE2(例えば、エリスロ‐9‐(2‐ヒドロキシル‐3‐ノニル)‐アデニンおよび第EP0771799号の実施例100‐本明細書に引用して援用する)などのPDE阻害剤および詳細にはPDE5阻害剤、例えば、第EP‐A‐0463756号で開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;第EP‐A‐0526004号で開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;公開された国際特許出願第WO93/06104号で開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;公開された国際特許出願第WO93/07149号に開示された異性体のピラゾロ[3,4‐d]ピリミジン‐4‐オン;公開された国際特許出願第WO93/12095号に開示されたキナゾリン‐4‐オン;公開された国際特許出願第WO94/05661号で開示されたピリド[3,2‐d]ピリミジン‐4‐オン;公開された国際特許出願第WO94/00453号に開示されたプリン‐6‐オン;公開された国際特許出願第WO98/49166号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;公開された国際特許出願第WO99/54333号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;第EP‐A‐0995751号に公開されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐4‐オン;公開された国際特許出願第WO00/24745号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;第EP‐A‐0995750号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐4‐オン;公開された国際特許出願第WO95/19978号に開示された化合物;公開された国際特許出願第WO99/24433号に開示された化合物および公開された国際特許出願第WO93/07124号に開示された化合物。公開された国際特許出願第WO01/27112号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;公開された国際特許出願第WO01/27113号に開示されたピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン;第EP‐A‐1092718号に開示された化合物および第EP‐A‐1092719号に開示された化合物。
【0119】
本発明との使用に好ましいPDE5阻害剤は:
5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐メチル‐1‐ピペラジニルスルホニル)フェニル]‐1‐メチル‐3‐n‐プロピル‐1,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(シルデナフィル)であり、1‐[[3‐(6,7‐ジヒドロ‐1‐メチル‐7‐オキソ‐3‐プロピル‐1H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐5‐イル)‐4‐エトキシフェニル]スルホニル]‐4‐メチルピペラジン(第EP‐A‐0463756号を参照されたい)としても知られる;
5‐(2‐エトキシ‐5‐モルホリノアセチルフェニル)‐1‐メチル‐3‐n‐プロピル‐1,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(第EP‐A‐0526004号を参照されたい);
3‐エチル‐5‐[5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)‐2‐n‐プロポキシフェニル]‐2‐(ピリジン‐2‐イル)メチル‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(第WO98/49166号を参照されたい);
3‐エチル‐5‐[5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)‐2‐(2‐メトキシエトキシ)ピリジン‐3‐イル]‐2‐(ピリジン‐2‐イル)メチル‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(第WO99/54333号を参照されたい);
(+)‐3‐エチル‐5‐[5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)‐2‐(2‐メトキシ‐1(R)‐メチルエトキシ)ピリジン‐3‐イル]‐2‐メチル‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン、これは3‐エチル‐5‐{5‐[4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)‐2‐([(1R)‐2‐メトキシ‐1‐メチルエチル]オキシ)ピリジン‐3‐イル}‐2‐メチル‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(第WO99/54333号を参照されたい)としても知られる;
5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)ピリジン‐3‐イル]‐3‐エチル‐2‐[2‐メトキシエチル]‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン、これは1‐{6‐エトキシ‐5‐[3‐エチル‐6,7‐ジヒドロ‐2‐(2‐メトキシエチル)‐7‐オキソ‐2H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐5‐イル]‐3‐ピリジルスルホニル]‐4‐エチルピペラジン(第WO01/27113号、実施例8を参照されたい)としても知られる;
5‐[2‐イソ‐ブトキシ‐5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)ピリジン‐3‐イル]‐3‐エチル‐2‐(1‐メチルピペリジン‐4‐イル)‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(第WO01/27113号、実施例15を参照されたい);
5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)ピリジン‐3‐イル]‐3‐エチル‐2‐フェニル‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(第WO01/27113号、実施例66を参照されたい);
5‐(5‐アセチル‐2‐プロポキシ‐3‐ピリジニル)‐3‐エチル‐2‐(1‐イソプロピル‐3‐アゼチジニル)‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(第WO01/27112号、実施例124を参照されたい);
5‐(5‐アセチル‐2‐ブトキシ‐3‐ピリジニル)‐3‐エチル‐2‐(1‐エチル‐3‐アゼチジニル)‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(第WO01/27112号、実施例132を参照されたい);
(6R,12aR)‐2,3,6,7,12,12a‐ヘキサヒドロ‐2‐メチル‐6‐(3,4‐メチレンジオキシフェニル)‐ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4‐b]インドール‐1,4‐ジオン(IC‐351)、すなわち公開された国際出願第WO95/19978号の実施例78および95の化合物、ならびに実施例1,3,7および8の化合物;
2‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐エチル‐ピペラジン‐1‐イル‐1‐スルホニル)‐フェニル]‐5‐メチル‐7‐プロピル‐3H‐イミダゾ[5,1‐f][1,2、4]トリアジン‐4‐オン(バルデナフィル)、これは1‐[[3‐(3,4‐ジヒドロ‐5‐メチル‐4‐オキソ‐7‐プロピルイミダゾ[5,1‐f]‐as‐トリアジン‐2‐イル)‐4‐エトキシフェニル]スルホニル]‐4‐エチルピペラジンとしても知られており、すなわち、公開された国際出願第WO99/24433号の実施例20、19、337および336の化合物;および
公開された国際出願第WO93/07124号(エーザイ)の実施例11の化合物;およびRotella D P、J. Med. Chem., 2000, 43, 1257からの化合物3および14。
【0120】
本化合物と使用される他のPDE5阻害剤には、以下が含まれる;
4‐ブロモ‐5‐(ピリジルメチルアミノ)‐6‐[3‐(4‐クロロフェニル)‐プロポキシ]‐3(2H)ピリダジノン;1‐[4‐[(1,3‐ベンゾジオキソル‐5‐イルメチル)アミノ]‐6‐クロロ‐2‐キノゾリニル]‐4‐ピペリジン‐カルボン酸、モノナトリウム塩;(+)‐cis‐5,6a,7,9,9,9a‐ヘキサヒドロ‐2‐[4‐(トリフルオロメチル)‐フェニルメチル‐5‐メチル‐シクロペント‐4,5]イミダゾ[2,1‐b]プリン‐4(3H)オン;フラズロシリン(furazlocillin);cis‐2‐ヘキシル‐5‐メチル‐3,4,5,6a,7,8,9,9a‐オクタヒドロシクロペント[4,5]‐イミダゾ[2,1‐b]プリン‐4‐オン;3‐アセチル‐1‐(2‐クロロベンジル)‐2‐プロピルインドール‐6‐カルボキシレート;3‐アセチル‐1‐(2‐クロロベンジル)‐2‐プロピルインドール‐6‐カルボキシレート;4‐ブロモ‐5‐(3‐ピリジルメチルアミノ)‐6‐(3‐(4‐クロロフェニル)プロポキシ
)‐3‐(2H)ピリダジノン;1‐メチル‐5(5‐モルホリノアセチル‐2‐n‐プロポキシフェニル)‐3‐n‐プロピル‐1,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ(4,3‐d)ピリミジン‐7‐オン;
1‐[4‐[(1,3‐ベンゾジオキソール‐5‐イルメチル)アミノ]‐6‐クロロ‐2‐キナゾリニル]‐4‐ピペリジンカルボン酸、モノナトリウム塩;Pharmaprojects No. 4516(グラクソウェルカム);Pharmaprojects
No. 5051 (バイエル);Pharmaprojects No. 5064 (協和発酵;第WO96/26940号を参照されたい);Pharmaprojects No. 5069 (シェリングプラウ);GF-196960(グラクソウェルカム);E-8010およびE-4010 (エーザイ);Bay-38-3045 & 38-9456(バイエル)およびSch-51866。
【0121】
公開された特許出願および学術論文の内容ならびに特に請求項の治療効果のある化合物の一般式およびそこに例示された化合物は、本明細書に引用して援用する。
【0122】
本発明とともに使用するためのより好ましいPDE5阻害剤は、以下の群から選択される:
5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐メチル‐1‐ピペラジニルスルホニル)フェニル]‐1‐メチル‐3‐n‐プロピル‐1,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(シルデナフィル);
(6R,12aR)‐2,3,6,7,12,12a‐ヘキサヒドロ‐2‐メチル‐6‐(3,4‐メチレンジオキシフェニル)‐ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4‐b]インドール‐1,4‐ジオン(IC‐351);
2‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐エチル‐ピペラジン‐1‐イル‐1‐スルホニル)‐フェニル]‐5‐メチル‐7‐プロピル‐3H‐イミダゾ[5,1‐f][1,2,4]トリアジン‐4‐オン(バルデナフィル);および
5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐エチルピペラジン‐1‐イルスルホニル)ピリジン‐3‐イル]‐3‐エチル‐2‐[2‐メトキシエチル]‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン、または5‐(5‐アセチル‐2‐ブトキシ‐3‐ピリジニル)‐3‐エチル‐2‐(1‐エチル‐3‐アゼチジニル)‐2,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オンおよび薬学的に許容できるそれらの塩。
【0123】
特に好ましいPDE5阻害剤は、5‐[2‐エトキシ‐5‐(4‐メチル‐1‐ピペラジニルスルホニル)フェニル]‐1‐メチル‐3‐n‐プロピル‐1,6‐ジヒドロ‐7H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐7‐オン(シルデナフィル)(1‐[[3‐(6,7‐ジヒドロ‐1‐メチル‐7‐オキソ‐3‐プロピル‐1H‐ピラゾロ[4,3‐d]ピリミジン‐5‐イル)‐4‐エトキシフェニル]スルホニル]‐4‐メチルピペラジンとしても知られる)および薬学的に許容できるそれらの塩。クエン酸シルデナフィルは好ましい塩である。
【0124】
本発明の化合物と共投与するために好ましい薬剤は、上記に記載したように、PDE5阻害剤、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRIs)、バソプレシンV1A拮抗薬、αアドレナリン受容体拮抗剤、NEP阻害薬、ドーパミン作動薬およびメラノコルチン受容体作動薬である。共投与するために特に好ましい薬剤は、本明細書に記載したように、PDE5阻害剤、SSRIsおよびV1A拮抗薬である。
【0125】
化合物のオキシトシン拮抗活性を測定するために適したアッセイを、以下で詳細に記載する。
オキシトシン受容体β‐ラクタマーゼアッセイ
材料:
細胞培養/試薬
【表1】

【0126】
方法:
細胞培養
使用する細胞は、CHO‐OTR/NFAT‐β‐ラクタマーゼである。NFAT‐β‐ラクマターゼ発現コンストラクトを、CHO‐OTR細胞系にトランスフェクトし、クローン集団を蛍光活性化細胞選別装置(FACS)により分離した。アッセイを開発するために、適切なクローンを選択した。
【表2】

細胞回収‐1バイアルの凍結細胞は37℃のウォーターバス中で急速解凍し、細胞懸濁液を50mlの新鮮な成長培地とともにT225フラスコに移した。次に、インキュベータ内で37℃、5%COで細胞がフラスコに接着するまでインキュベートし、翌日50mlの新鮮な成長培地で培地を交換した。細胞の培養‐CHO‐OTR‐NFAT‐βラクタマーゼ細胞を成長培地中で成長させた。細胞が80〜90%コンフルエントになった時に細胞を収穫し、培地を除去して予め温めたPBSで洗浄した。次に、インキュベータ内で37℃、5%COで5分間インキュベートする前に、PBSを除去してトリプシン/EDTAを加えた(T225cmフラスコに3ml)。細胞が剥離した時に、予め温めた成長培地を加え(T225cmフラスコに7ml)、細胞を再懸濁し、穏やかにピペッティングをして混ぜて、単細胞懸濁液を作成した。細胞を35mlの成長培地中で1:10(3日間培養用)および1:30(5日間培養用)の割合で、T255フラスコへ分けた。
【0127】
β‐ラクタマーゼアッセイ法
1日目
細胞プレートの準備:
80〜90%コンフルエントに成長した細胞を収穫し、数を数えた。成長培地中2×105細胞/mlの細胞懸濁液を調製し、30μlの細胞懸濁液を384ウェルの黒色クリアボトムプレートに加えた。各試薬からの希釈液が入った黒色プレートをバックグラウンド除去に用いた。
プレートは、37℃、5%COで一晩インキュベートした。
2日目
細胞の刺激:
・10μlの拮抗剤/化合物(1.25%DMSOを含むアッセイ培地中で希釈、すなわち拮抗剤希釈液)を適切なウェルに加えて37℃、5%COで15分間インキュベートした。
・アッセイ培地で作られた10μlのオキシトシンを、すべてのウェルに加えて37℃、5%COで4時間インキュベートした。
・別の384ウェル・セルプレートを用いてオキシトシン用量反応曲線を作成した(10μlの拮抗剤希釈液をすべてのウェルに加えた。次に、10μlのオキシトシンを加えた。次に、拮抗剤/化合物セルプレート毎に、細胞を処理する)。
増幅したローディングプロトコルでの6×ローディング・バッファと1mlの調製(これは、スクリーンを行うプレート数に従って、増加させる必要がある)
・12μlの溶液A(乾燥DMSO中の1mMのCCF4‐AM)を60μlの溶液B(100mg/mlのプルロニックF127のDMSO溶液+0.1%酢酸溶液)に加えて混ぜた。
・生成した溶液を925μlの溶液C(24%(w/w)PEG400、18%(v/v)TR40水溶液)に加えた。
・75μlの溶液Dを加えた(200mMプロベネシドの200mMのNaOH溶液)。
・10μlの6×ローディング・バッファをすべてのウェルに加えて室温暗所で1.5時間〜2時間インキュベートした。
・LJL社Analystシステム、励起405nm、発光450nmおよび530nm、最適ゲイン、ラグタイム0.40μsインテグレーション、4回フラッシュ、ボトムリーディングを用いてプレートを測定した。
上記に記載のアッセイを用いて、本発明の化合物はすべて、Ki値500nM未満で表される、オキシトシン拮抗活性を示した。好ましい実施例のKi値は200nM未満であり、特に好ましい実施例のKi値は50nM未満である。実施例8の化合物のKi値は3nMである。
【0128】
本発明は、以下の限定されない例によって説明される。この中では、以下の略語と定義が使用される:
アーボセル(登録商標) ろ過剤、J.
Rettenmaier & Sohne社製、ドイツ
APCl+ 大気圧化学イオン化(正スキャン)
CDCl クロロホルム‐d1
d ダブレット
dd ダブルダブレット
DMSO ジメチルスルホキシド
ES+ エレクトロスプレーイオン化 正スキャン
eq 当量
HNMR プロトン核磁気共鳴分光法
MS (低解像度)質量分析
m マルチプレット
m/z 質量スペクトルのピーク
q 四重線
s 一重線
t 三重線
δ 化学シフト
【0129】
調製1
メチル‐5‐メトキシ‐2‐ニトロベンゾエート
【化8】

発煙塩酸が飽和されるまで、氷冷した5‐メトキシ‐2‐ニトロ安息香酸(10g、50.7mmol)のメタノール(70mL)溶液中を通した。その反応混合物を18時間室温に温めた後、還流下で4時間加熱した。次に、溶媒を減圧下で蒸発させ、その残渣を酢酸エチルと炭酸水素ナトリウム溶液との間に分配した。有機層を分離し、炭酸水素ナトリウム溶液と塩水で洗浄して硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で濃縮して、茶色の油として収率77%、8.23gの標題化合物を得た。H NMR(CDCI、400MHz)δ:3.90−3.95(m、6H)、6.98−7.05(m,2H)、8.00−8.05(m,1H)。MS APCI+ m/z212[MH]
【0130】
調製2
(5‐メトキシ‐2‐ニトロフェニル)メタノール
【化9】


調製1の生成物(4g、18.9mmol)をテトラヒドロフラン(30mL)に溶解し、室温で撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(1.43g、37.9mmol)のメタノール(5mL)溶液を滴加し、その混合物を還流下で加熱した。90分後、その反応物を追加の水素化ホウ素ナトリウム(100mg)のメタノール(1mL)溶液で処理し、還流下でさらに90分間加熱し続けた。次に、反応物を水(10mL)と2Mの水酸化ナトリウム(10mL)でクエンチングし、減圧下でテトラヒドロフランを蒸発させると水性残渣が残る。その残渣をジクロロメタン(3×15mL)で抽出し、合わせた有機成分を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で濃縮して、淡褐色の固体を得た。ジエチルエーテルとその固体を粉砕し、白色固体として収率78%、2.69gの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.82(s,3H)、4.95(s,2H)、6.98−7.05(m,1H)、7.30(s,1H)、8.07(d,1H)。
【0131】
調製3
(2‐アミノ‐5‐メトキシフェニル)メタノール
【化10】

調製2のニトロ生成物(620mg、3.38mmol)および10%Pd/C(60mg)をエタノールと水の混合物(容積で9:1、20mL)に加え、その混合物を414kPa(60psi)の水素ガス下で1時間撹拌した。次に、その反応混合物をアーボセル(登録商標)でろ過し、その濾液を減圧下で蒸発させた。生成した油性残渣をジクロロメタンに溶解し、硫酸マグネシウム上で乾燥、真空中で濃縮して固体を得た。その固体をジエチルエーテルと粉砕し、白色固体として収率42%、220mgの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.78(s,3H)、4.62(s,2H)、6.60−6.75(m,3H)。MS APCI+m/z154[MH]
【0132】
調製4
4‐ブロモ‐N‐(クロロアセチル)ベンゾヒドラジド
【化11】

N‐メチルモルホリン(173mmol、17.6g)を氷冷した4-ブロモベンゾヒドラジド(25g、116mmol)のジクロロメタン(350mL)懸濁液に加えた。クロロアセチルクロライド(11.1mL、139mmol)を滴加し、その混合物を25℃で90分間撹拌した。次にこの反応スラリーをろ過して回収された固体を水中(200mL)中で撹拌した。次にその沈殿物を濾過して取り除き、メタノールとジエチルエーテルで洗浄、乾燥することにより、固体として収率76%、25.7gの標題化合物を得た。
H NMR(DMSO‐D,400MHz)δ:4.10(s,2H)、7.70(d,2H)、7.80(d,2H)、10.40(s,1H)、10.6(d,1H)。MS APCI+m/z291[MH]
【0133】
調製5
2‐(4‐ブロモフェニル)‐5‐(クロロメチル)‐1,3,4‐オキサジアゾール
【化12】

調製4の生成物(25.5g、87mmol)をオキシ塩化リン(90mL)に加え、その反応混合物を110℃で3時間加熱した。次に、その混合物を室温に冷却して真空中で濃縮した。その残渣を水(500mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で塩基性化した。その水性混合物を酢酸エチル(2×250mL)で抽出し、有機相を合せる。水(500mL)と塩水(250mL)で洗浄して硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮することにより、収率77%、18.2gの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:4.80(s,2H)、7.70(d,2H)、8.00(d,2H)、MS APCI+m/z275[MH]
【0134】
調製6
2‐({[5‐(4‐ブロモフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾール‐2‐イル]メトキシ}メチル)‐4‐メトキシアニリン
【化13】

調製3の生成物(300mg、2.0mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液を、水素化ナトリウム(鉱油中に60%分散、54mg、2.3mmol)のテトラヒドロフラン(2mL)懸濁液に滴加した。その混合物を45分間撹拌し、温度を−10℃に維持した。調製5の生成物(357mg、1.3mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液を滴加して、その混合物をさらに1時間撹拌した。次に、温度を25℃まで上昇させ、その反応物を炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)でクエンチングし、酢酸エチル(20mL)と水(10mL)で希釈した。有機相を分離し、塩水(10mL)で洗浄して硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で濃縮して油性残渣を得た。シリカゲル上でカラムクロマトグラフィで精製した油を、ジクロロメタン:メタノール、100:0から97:3で溶離することにより、収率59%、300mgの標題化合物を得た。MS APCI+m/z390,392[MH]
【0135】
調製7
1‐(4‐ブロモフェニル)‐8‐メトキシ‐4H,6H‐[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][4,1]ベンゾオキサゼピン
【化14】

調製6の生成物(300mg)およびパラトルエンスルホン酸(触媒)をトルエン(5mL)中で懸濁し、80℃で5時間加熱した。次に、その反応混合物を冷却し、シリカゲルカラムに載せた。ペンタン:酢酸エチル、90:10から0:100で溶離することにより、収率45%、130mgの標題化合物を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.86(s,3H)、4.60(s,2H)、4.70(s,2H)、6.80‐6.95(m,2H)、7.05(brs,1H)、7.40‐7.60(m,4H)。MS APCI+m/z372,374[MH]
【0136】
調製8
2‐(ジブロモメチル)‐6‐メトキシ‐3‐ニトロピリジン
【化15】

カリウムtertブトキシド(29g、260mmol)のテトラヒドロフラン(100mL)溶液とN,N‐ジメチルホルムアミド(30mL)溶液を−70℃に冷却し、テトラヒドロフラン(30mL)およびN,N‐ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解した2‐メトキシ‐5‐ニトロピリジン(10g、64.9mmol)とブロモホルム(6.5mL、74.6mmol)の混合物を2時間かけて滴加した。次に、ゆっくりと酢酸(30mL)を加え、その反応物を25℃に温めた。その反応混合物を氷水に注入し、酢酸エチル(4×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を2Mの塩化水素酸(3×20mL)、炭酸水素ナトリウム溶液(50mL)と塩水(50mL)で洗浄した。硫酸マグネシウム上で乾燥して、真空中で濃縮した。その残渣をメタノールに溶解し、還流下、木炭の存在下で5分間加熱した。その懸濁液をろ過し、濾液を真空中で濃縮した。その残渣をペンタンと紛砕し、薄茶色の固体として収率62%、13.18gの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:4.20(s,3H)、6.80‐6.90(d,1H)、7.63(s,1H)8.20‐8.30(d,1H)。
【0137】
調製9
6‐メトキシ‐3‐ニトロピリジン‐2‐カルバルデヒド
【化16】

硝酸銀(36.5g、214.7mmol)の水溶液(50mL)を調製8の生成物(28g、85.9mmol)のエタノール(200mL)懸濁液に加え、その混合物を還流下で5時間加熱した。次に、冷却した反応混合物を減圧下で蒸発させて、その残渣を酢酸エチル(100mL)中で懸濁した。生成した沈殿物をろ過により除去して水と酢酸エチルで洗浄し、ろ過層を分離した。水性層をジクロロメタン(×3)で抽出し、再度ろ過した。有機層を、水(50mL)、2Mの塩酸(50mL)および塩水(50mL)で洗浄した。合わせた有機分画を硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で濃縮することにより、スクラッチングにより結晶化した油性残渣を得た。次に、結晶化した固体をジエチルエーテルと粉砕し、ろ過した。濾液を真空で濃縮し、その残渣をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィにより精製してペンタン:酢酸エチル、85:15から75:25で溶離し、収率13%、2gの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:4.10(s,3H)、6.98(d,1H)、8.25(d,1H)、10.30(s,1H)。MS APCI+m/z197[MH]
【0138】
調製10
(6‐メトキシ‐3‐ニトロピリジン‐2‐イル)メタノール
【化17】

水素化ホウ素ナトリウム(685mg、18.1mmol)を氷冷した調製9の生成物(3g、16.5mmol)のエタノール(30mL)溶液に加え、その混合物を室温で2時間撹拌した。次に、その反応物に炭酸水素ナトリウム(25mL)を加えることによってクエンチングし、その溶媒を減圧下で蒸発させた。その水性残渣をジクロロメタン(75mL)と水(25mL)で希釈し、その相を分離して水性相をジクロロメタン(2×30mL)で抽出した。合わせた有機溶液を2Mの塩酸(30mL)、炭酸水素ナトリウム溶液および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥して真空中で濃縮することにより、オレンジ色の固体を得た。次に、その固体をメタノール(25mL)に溶解し、木炭で脱色して、ペンタンおよびジエチルエーテルと粉砕し、薄茶色の固体として、収率46%、1.4gの標題化合物を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ:4.10(s,3H)、4.20(brs,1H)、5.15(s,2H)、6.80(d,1H)、8.45(d,1H)。MS APCI+m/z185[MH]
【0139】
調製11
(3‐アミノ‐6‐メトキシピリジン‐2‐イル)メタノール
【化18】

調製10のニトロ生成物(1.4g、7.6mmol)および10%Pd/C(100mg)をエタノールと水の混合物(容量で9:1、40mL)に加え、その混合物を414kPa(60psi)の水素ガス下で1時間撹拌した。次に、その反応混合物をアーボセル(登録商標)でろ過し、その濾液を真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタンと粉砕し、薄オレンジ色の固体として定量的な収率で標題化合物を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.90(s,3H)、4.60(s,2H)、5.15(s,2H)、6.60(d,1H)、7.05(d,1H)。MS APCI+m/z155[MH]。微量分析の分析実測値(%);C(54.33),H(6.56),N(17.82);C10理論値(%);C(54.53)、H(6.54)、N(18.17)
【0140】
調製12
2‐クロロ‐N‐[2‐(ヒドロキシメチル)‐6‐メトキシピリジン‐3‐イル]アセトアミド
【化19】


クロロアセチルクロライド(977mg、8.65mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液を、氷冷した調製11の生成物(1.16g、7.52mmol)とN‐エチルジイソプロピルアミン(1.16g、9.03mmol)のジクロロメタン(8mL)溶液に滴加した。その混合物を25℃に温め、1時間撹拌した。さらにクロロアセチルクロライド(数滴)とN‐エチルジイソプロピルアミン(数滴)を加えてさらに90分間撹拌を続けた。次に、その反応混合物を水(10mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム溶液(5mL)と塩水(5mL)で洗浄した。有機相を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥して真空中で濃縮することにより、茶色の油として収率96%、1.67gの標題化合物を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.95(s,3H)、4.20(s,2H)、4.78(s,2H)、6.70(d,1H)、8.05(d,1H)、8.75‐8.90(brs,1H)。MS APCI+m/z231,233[MH]
【0141】
調製13
7‐メトキシ‐1,5‐ジヒドロピリド[3,2‐e][1,4]オキサゼピン‐2(3H)‐オン
【化20】


カリウムtertブトキシド(113mg、1.01mmol)を調製12の生成物(106mg、0.46mmol)のtertブタノール(1mL)の溶液に加え、その混合物を室温で15分間撹拌した。次に、その溶媒を減圧下で蒸発させ、その残渣をジエチルエーテルと水との間に分配した。沈殿物をろ過により除去し、ジエチルエーテルで洗浄してその相を分離した。水性相をジクロロメタン(×3)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮することにより、白色固体として収率56%、50mgの標題化合物を得た。H NMR(DMSO‐D,400MHz)δ:3.78(s,3H)、4.40(s,2H)、4.75(s,2H)、6.70(d,1H)、7.45(d,1H)、10.00(brs,1H)。MS APCI+m/z195[MH]。微量分析実測値(%);C(55.52),H(5.14),N(14.40);C10理論値(%);C(55.66)、H(5.19)、N(14.43)
【0142】
調製14
7‐メトキシ‐1,5‐ジヒドロピリド[3,2‐e][1,4]オキサゼピン‐2(3H)‐チオン
【化21】

炭酸ナトリウム(470mg、4.42mmol)をテトラヒドロフラン(10mL)に加え、その懸濁液を0℃で撹拌する。次に、五硫化リン(2g、4.42mmol)と調製13の生成物(780mg、4.01mmol)を加え、その混合物を25℃で3時間撹拌する。その反応混合物をジクロロメタン(50mL)と0.88水酸化アンモニウム溶液(20mL)との間に分配し、その水性相を分離してジクロロメタン(2×20mL)で再抽出した。合わせた有機相を2Mの塩酸(2×10mL)、炭酸水素ナトリウム溶液と塩水で洗浄して硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮することにより、収率31%、260mgの標題化合物を得た。
H NMR(DMSO‐D,400MHz)δ:3.80(s,3H)、4.68(s,2H)、4.82(s,2H)、6.70(d,1H)、7.80(d,1H)、11.90‐12.00(brs,1H)。MS APCI+m/z211[MH]
【0143】
調製15
5‐ブロモピリジン‐2‐カルボヒドラジド
【化22】

ヒドラジン一水和物(5.3mL、108.3mmol)を、氷冷したメタノール(100mL)に溶解した調製の生成物メチル5‐ブロモピリジン‐2‐カルボキシレート[(7.80g、36.1mmol)J.Org.Chem,66,605−608]溶液に加え、その混合物を還流下で1時間加熱した。その溶媒を減圧下で低容量に濃縮した後、冷却した。形成された沈殿物をろ過により除去し、メタノールで洗浄して真空中で乾燥することにより、収率89%、6.94gの生成物を得た。
H NMR(DMSO‐D,400MHz)δ:4.40‐4.65(brs,2H)、7.90‐7.95(d,1H)、8.21(d,1H)、8.70(s,1H)、9.90‐10.0(brs,1H)。MS APCI+m/z216,218[MH]
【0144】
調製16
1‐(5‐ブロモピリジン‐2‐イル)‐8‐メトキシ‐4H,6H‐ピリド[3,2‐e][1,2,4]トリアゾロ[3,4‐c][1,4]オキサゼピン
【化23】

調製14の生成物(266mg、1.26mmol)と調製15の生成物(300mg、1.39mmol)をn‐ブタノール(5mL)に溶解し、その混合物を110℃で10時間加熱した。次に、その反応混合物を4℃で30分間冷却し、その結果生じた沈殿物をろ過により除去してジエチルエーテルで洗浄し、乾燥した。その固体を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィにより精製し、ジクロロメタン:メタノール、100:0から98:2で溶離することにより、固体として収率64%、300mgの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.95(s,3H)、4.60(s,2H)、4.68(s,2H)、6.70(d,1H)、7.47(d,1H)、7.90‐7.95(d,1H)、8.13(d,1H)、8.42(s,1H)。MS APCI+m/z374,376[MH]
【0145】
調製17
ベンジル{[5‐(4‐ブロモフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾール‐2‐イル]メチル}アミン
【化24】

炭酸カリウム(5.04g、36.55mmol)を氷冷した調製5の生成物(5g、18.28mmol)のアセトニトリル(50mL)溶液に加えた。ベンジルアミン(2.25g、21.02mmol)のアセトニトリル(5mL)溶液を滴加し、その結果生じた混合物を室温で24時間、50℃で6時間撹拌した。次に、反応混合物をろ過し、その濾液を減圧下で蒸発させた。その残渣を酢酸エチル(100mL)に溶解し、水(2×50mL)と塩水(50mL)で洗浄して硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。その残渣をジエチルエーテルと粉砕して、白色固体として収率52%、3.3gの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:2.30‐2.70(brs,1H)、3.75(s,2H)、3.92(s,2H)、7.05‐7.20(m,5H)、7.47(d,2H)、7.75(d,2H)。MS APCI+m/z334,346[MH]
【0146】
調製18
ベンジル{[5‐(4‐ブロモフェニル)‐1,3,4‐オキサジアゾール‐2‐イル}]メチル}[(6‐メトキシ‐3‐ニトロピリジン‐2‐イル)メチル]アミン
【化25】

トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(2.64g、12.46mmol)を氷冷した調製17の生成物(3.3g、9.59mmol)と調製9の生成物(2.1g、11.5mmol)のジクロロメタン(30mL)溶液にゆっくりと加え、その混合物を25℃で6時間撹拌した。次に、その反応混合物をジクロロエタン(10mL)で希釈し、炭素水素ナトリウム溶液(2×5mL)、塩水(5mL)で洗浄して硫酸マグネシウム上で乾燥して真空中で濃縮した。その残渣をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィにより精製し、ジクロロメタン:メタノール、100:0から98:2で溶離して、収率75%、4.4gの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.85‐4.0(brs,1H)、4.05(s,3H)、4.10(s,2H)、4.40(s,2H)、6.67(d,1H)、7.18‐7.35(m,5H)、7.67(d,2H)、7.93(d,2H)、8.13(d,1H)。MS APCI+m/z510,512[MH]
【0147】
調製19
5‐ベンジル‐1‐(4‐ブロモフェニル)‐8‐メトキシ‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン
【化26】


鉄粉(1.43g、25.57mmol)を、酢酸(45mL)中で懸濁した調製18の生成物(4.35g、8.52mmol)に加え、その混合物を60℃で3時間加熱した。次に、その溶媒を減圧下で蒸発させ、その残渣を酢酸エチルに溶解、ろ過し、クエン酸、炭酸水素ナトリウム溶液と塩水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥して真空中で濃縮することにより、薄茶色の固体として収率61%、2.4gの標題化合物を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.60‐4.10(brm,6H)、4.05(s,3H)、6.70(d,1H)、7.10(d,1H)、7.30‐7.60(m,9H)。MS APCI+m/z462,464[MH]
【実施例】
【0148】
(実施例1)
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐4H,6H‐[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][4,1]ベンゾオキサゼピン
【化27】


調製7の生成物(123mg、0.33mmol)と2‐メトキシベンゼンボロン酸(75mg、0.49mmol)を1,2ジメトキシエタン(4mL)に溶解した。炭酸ナトリウム(70mg、0.66mmol)の水溶液(1mL)とテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(20mg、触媒)を加え、その混合物を還流下で90分間加熱した。次に、その反応混合物を冷却、ろ過し、その濾液を真空中で濃縮した。その水性残渣を酢酸エチルで希釈し、その混合物を炭酸水素ナトリウムと塩水で洗浄した。その有機層を分離し、硫酸マグネシウム上で乾燥して真空中で濃縮した。その残渣をシリカゲル上でカラムクロマトグラフィにより精製し、酢酸エチル:ペンタン、20:80から100:0で溶離することにより、収率61%、80mgの標題化合物を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ:3.80‐3.86(m,6H)、4.60‐4.70(m,4H)、6.90‐7.60(m,11H)。MS APCI+m/z400[MH]
【0149】
(実施例2および3)
以下に示す一般式の、下記の化合物は、適切な開始物質を用いて、実施例1に記載された方法と類似の方法で調製した。
【化28】

【表3】

【0150】
(実施例4)
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン
【化29】

実施例3の生成物(869mg、1.77mmol)のエタノール(20mL)溶液に20%Pd(OH)/C(20mg)とギ酸アンモニウム(133mg、2.1mmol)を加え、その混合物を80℃で温めた。その反応は、tic分析によって監視した。すべての開始物質が消費されるまで、1時間間隔で20%Pd(OH)/C(25mg)とギ酸アンモニウム(500mg)を追加した。次に、その反応混合物を還流下で20分間加熱し、ろ過した。その濾液を減圧下で蒸発させて、その残渣を酢酸エチル(30mL)と水(30mL)との間に分配した。その有機相を分離して、炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)と塩水(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥して真空中で濃縮した。その残渣をジエチルエーテルと粉砕することにより、収率58%、410mgの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:2.20‐2.60(brs,1H)、3.75(s,3H)、3.95(s,3H)、4.00(brm,4H)、6.63(d,1H)6.90‐7.00(m,2H)、7.15‐7.20(d,1H)、7.22‐7.30(m,2H),7.45‐7.55(m,4H)。MS APCI+m/z400[MH]
【0151】
(実施例5)
8‐メトキシ‐5‐メチル‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン
【化30】

実施例4の生成物(100mg、0.25mmol)とホルムアルデヒド(37%81μL,1.0mmol)をジクロロメタン(3mL)中で室温で25分間撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(64mg、0.30mmol)を加えてその混合物を1時間撹拌した。次に、その反応混合物を追加のホルムアルデヒド(37%、40μL,0.5mmol)とトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(30mg、0.15mmol)で処理し、さらに1時間撹拌を続けた。次に、炭酸水素ナトリウム溶液(3mL)を加え、その混合物を10分間撹拌した。次に、その有機層を分離し、炭酸水素ナトリウム溶液(3mL)と塩水(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥して真空中で濃縮することにより、白色の泡として、収率77%、83mgの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:2.60(s,3H)、3.70(s,3H),3.75‐3.95(brm,4H)、4,05(s,3H)、6,70(d,1H)、6.95‐7.10(m,2H),7.20‐7.40(m,3H)、7.50‐7.65(m,4H)。MS APCI+m/z414[MH]。微量分析実測値(%);C(68.20),H(5.64),N(16.28);C24230.5HO理論値(%);C(68.23)、H(5.73)、N(16.58)
【0152】
(実施例6)
5‐アセチル‐8‐メトキシ‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン
【化31】

塩化アセチル(23mg、0.29mmol)を氷冷した実施例4の生成物(90mg、0.22mmol)とN‐エチルジイソプロピルアミン(54μL、0.31mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液に加えた。生成した混合物を室温に温めて1時間撹拌した。ジクロロメタン(3mL)を加え、その反応混合物を水(3mL)、2Mの塩酸(3mL)、炭酸水素ナトリウム溶液(3mL)および塩水で洗浄した。その有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥して真空中で濃縮した。その残渣をジエチルエーテルと紛砕することにより、固体として、収率74%、60mgの標題化合物を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ:2.30‐2.40(m,3H)、3.80(s,3H),4.00(s,3H),4.60‐5.00(m,4H)、6.70‐6.80(m,1H)、6.98‐7.10(m,2H)、7.25‐7.40(m,3H)、7.50‐7.70(m,4H)。MS APCI+m/z442[MH]。微量分析実測値(%);C(67.31),H(5.32),N(15.47);C25230.3HO理論値(%);C(67.19)、H(5.32)、N(15.67)
【0153】
(実施例7および8)
以下に示す一般式の、下記の化合物は、実施例4の生成物と適切な塩化物を用いて、実施例6に記載された方法と類似の方法で調製した。
【化32】


【表4】

【0154】
(実施例9)
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐4H,6H−[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][4,1]ベンゾオキサゼピン
【化33】

標題化合物は、実施例1の調製と類似の方法を用いて、調製7の生成物と(2‐メチルフェニル)ボロン酸から、収率29%、41mgで調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:2.25(s,3H)、3.90(s,3H)、4.62(s,2H)、4.75(s,2H)6.90‐7.65(m,11H)。MS APCI+m/z400[MH]。微量分析実測値(%);C(72.98),H(5.45),N(10.14);C24210.75HO理論値(%);C(72.62)、H(5.71)、N(10.59)
【0155】
(実施例10および11)
以下に示す一般式の、下記の化合物は、適切な開始物質を用いて、実施例9に記載された方法と類似の方法で調製した。
【化34】

【表5】

【0156】
(実施例12)
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン
【化35】

標題化合物は、実施例4に記載された方法と類似の方法を用いて、実施例11の生成物から調製した。しかし、本化合物はシリカゲル上でカラムクロマトグラフィにより精製し、ジクロロメタン:メタノール、100:0から95:5で溶離して、白色の泡として収率65%、371mgの標題化合物を得た。H NMR(CDCl,400MHz)δ:2.20‐2.60(brm,4H)、4.05(s,3H)、4.10‐4.25(m,4H)、6.70(d,1H)7.15‐7.30(m,5H)、7.37(d,2H)、7.57(d,2H)。MS APCI+m/z384[MH]。微量分析実測値(%);C(69.06),H(5.52),N(17.22);C2821O0.25DCM理論値(%);C(69.01)、H(5.36)、N(17.31)
【0157】
(実施例13)
8‐メトキシ‐5‐メチル‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン
【化36】

実施例12の生成物(90mg、0.23mmol)とホルムアルデヒド(37%、76μL,0.94mmol)をジクロロメタン(3mL)中で室温で25分間撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(60mg、0.28mmol)を加えてさらに1時間撹拌を続けた。次に、炭酸水素ナトリウム溶液(3mL)を加え、その混合物を10分間撹拌した。次に、その有機層を分離し、炭酸水素ナトリウム溶液(3mL)と塩水(5mL)で洗浄して硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で濃縮することにより、白色の泡として収率90%、83mgの標題化合物を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:2,25(s,3H),2.65‐2.75(brs,3H)、3.70‐4.20(brm,4H)、4.05(s、3H)、6.75(d,1H)、7.20‐7.35(m,5H),7.38(d,2H),7.60(d,2H)。MS APCI+m/z398[MH]。微量分析実測値(%);C(70.64),H(5.88),N(17.08);C2423O0.5HO理論値(%);C(70.92)、H(5.95)、N(17.23)
【0158】
(実施例14)
5‐アセチル‐8‐メトキシ‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン
【化37】

標題化合物は、実施例6の調製と類似の方法を用いて、実施例12の生成物から、固体として収率67%、60mgで調製した。
H NMR(CDCl,400MHz)δ:2.30(s,3H)、2.65‐2.75(m,3H)、4.00(s,3H)、4.65‐5.0(brm,4H)、6.70‐6.80(m,1H)、7.20‐7.65(m,9H)。MS APCI+m/z426[MH]。微量分析実測値(%);C(69.04),H(5.51),N(15.99);C25230.5HO理論値(%);C(69.11)、H(5.57)、N(16.12)
【0159】
(実施例15および16)
以下に示す一般式の、下記の化合物は、実施例12の生成物と適切な塩化物を用いて、実施例14に記載された方法と類似の方法で調製した。
【化38】

【表6】

【0160】
(実施例17から26)
以下に示す一般式の、下記の化合物は、調製19の化合物と市販されている適切なアリールボロン酸またはエステルの開始物質を用いて、実施例1に記載された方法と類似の方法で調製した。
【化39】

【表7】

【0161】
(実施例27)
8‐メトキシ‐5‐メチル‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン
【化40】

実施例19の生成物(280mg、0.57mmol)とN‐エチルジイソプロピルアミン(0.22mL、1.26mmol)のジクロロメタン(3mL)溶液に0℃で1‐クロロエチル・クロロフォルメート(0.25mL、2.33mmol)を加えた。その結果生じた混合物を還流下で2時間加熱した。次に、飽和クエン酸溶液(3mL)を加えた後に、その有機層を分離し、真空中で濃縮した。その残渣をMeOH(3mL)に溶解し、還流下で2時間加熱した。次に、炭酸水素ナトリウム溶液(3mL)を加えた後に、その有機層を分離した。硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィで精製し、純粋なDCM次にDCM:MeOH、95:で溶離して、ベージュ色の固体として収率11%、24mgの標題化合物を得た。H NMR(CDOD,400MHz)δ:2.27(s,3H)、4.05(s,3H)、4.51(s,4H)、6.97(d,1H)、6.99‐7.02(m,1H),7.05‐7.08(m,1H)、7.22‐7.25(m,1H)、7.43(d,1H)、7.45‐7.47(dt,2H)、7.65‐7.67(dt,2H)。MS APCI+m/z402[MH]
【0162】
(実施例28から実施例34)
以下に示す一般式の、下記の化合物は、適切な開始物質を用いて、実施例27に記載された方法と類似の方法で調製した。
【化41】

【表8】

【表9】

【0163】
(実施例35から42)
以下に示す一般式の、下記の化合物は、適切な開始物質を用いて、実施例5に記載された方法と類似の方法で調製した。
【化42】

【表10】

【表11】

【0164】
式(I)の以下の化合物も上記で開示された方法を用いて調製することができる:
8‐メトキシ‐5‐メチル‐1‐[5‐(2‐メチルフェニル)ピラジン‐2‐イル]‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン;
8‐メトキシ‐1‐[5‐(2‐メトキシフェニル)ピラジン‐2‐イル]‐5‐メチル‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン;
1‐[5‐(4‐フルオロ‐2‐メチルフェニル)ピラジン‐2‐イル]‐8‐メトキシ‐5‐メチル‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン;
1‐[5‐(3‐フルオロ‐2‐メトキシフェニル)ピラジン‐2‐イル]‐8‐メトキシ‐5‐メチル‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン;
1‐[5‐(2,3‐ジメチルフェニル)ピラジン‐2‐イル]‐8‐メトキシ‐5‐メチル‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン;
1‐[5‐(4‐フルオロ‐3‐メチルフェニル)ピラジン‐2‐イル]‐8‐メトキシ‐5‐メチル‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン;
1‐[5‐(5‐フルオロ‐2‐メトキシフェニル)ピラジン‐2‐イル]‐8‐メトキシ‐5‐メチル‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン;
1‐[5‐(2‐フルオロ‐6‐メトキシフェニル)ピラジン‐2‐イル]‐8‐メトキシ‐5‐メチル‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン;
1‐[5‐(2‐フルオロ‐3‐メトキシフェニル)ピラジン‐2‐イル]‐8‐メトキシ‐5‐メチル‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン;および
4‐[5‐(8‐メトキシ‐5‐メチル‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン‐1‐イル)ピラジン‐2‐イル]‐3‐メチルベンゾニトリル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、
【化I】

[式中、U、V、WおよびZは、それぞれ独立にNまたはCRであり;
YはNまたはCHであり;
XはOまたはNRであり;

(i)ハロゲン、ヒドロキシ、CN、NO、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシ、(C‐C)ハロアルキル、(C‐C)ハロアルコキシ、COR、CO、NR10およびCONR10からそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよいフェニル、
(ii)窒素、酸素および硫黄から独立して選択される、1から3個のヘテロ原子を含む、5から7員のヘテロ芳香環であって、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、NO、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシ、(C‐C)ハロアルキル、(C‐C)ハロアルコキシ、COR、CO、NR10およびCONR10から独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよいヘテロ芳香環、ならびに
(iii)(C‐C)アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシおよびフェニルからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい(C‐C)アルコキシ
から選択され;
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、NO、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシ、(C‐C)ハロアルキル、(C‐C)ハロアルコキシ、COR、CO、NR10またはCONR10であり;
、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素または(C‐C)アルキルであり;
は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、CN、NO、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシ、(C‐C)ハロアルキル、(C‐C)ハロアルコキシ、COR、CO、NR10またはCONR10から独立して選択され;
は、水素または、(C‐C)アルキル、CO(C‐C)アルキル、CO(C‐C)アルキルもしくはSO(C‐C)アルキルであり、それぞれハロゲン、ヒドロキシ、(C‐C)アルコキシ、CN、NOおよびフェニルから独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよく;ならびに
およびR10はそれぞれ独立して水素または(C‐C)アルキルである;]
その互変異性体、前記化合物もしくは互変異性体の薬学的に許容できる塩、溶媒和物もしくは多形、またはそれらのプロドラッグ。
【請求項2】
U、V、WおよびZがCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
U、VおよびZがCHであり、WがNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
YがNである、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
YがCHである、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】

(i)ハロゲン、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシおよびシアノからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよいフェニル、
(ii)1から2個の窒素原子を含み、ハロゲン、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシおよびシアノからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の基で置換されていてもよい6員ヘテロ芳香環、ならびに
(iii)(C‐C)アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシおよびフェニルからそれぞれ独立して選択される、1個またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい(C‐C)アルコキシ
から選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
がフェニルおよびピリジルから選択され、そのそれぞれはハロゲン、(C‐C)アルキル、(C‐C)アルコキシおよびシアノからそれぞれ独立して選択される1個またはそれ以上の基で置換されていてもよい、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、フルオロ、メチル、メトキシおよびシアノからそれぞれ独立して選択される1個または2個の基で置換されていてもよいフェニル、ならびにメチルで置換されたピリジルから選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が、Y基の隣接位炭素に位置するメトキシである、請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
、R、RおよびRが水素である、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
が水素、CH、COCH、COCH、SOCHまたはベンジルである、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
以下から選択される、請求項1に記載の化合物:
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐4H,6H‐[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][4,1]ベンゾオキサゼピン、
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン、
8‐メトキシ‐5‐メチル‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン、
5‐アセチル‐8‐メトキシ‐1‐(2’‐メトキシビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン、
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐4H,6H‐[1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][4,1]ベンゾオキサゼピン、
8‐メトキシ‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン、
8‐メトキシ‐5‐メチル‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン、および
5‐アセチル‐8‐メトキシ‐1‐(2’‐メチルビフェニル‐4‐イル)‐5,6‐ジヒドロ‐4H‐ピリド[2,3‐f][1,2,4]トリアゾロ[4,3‐a][1,4]ジアゼピン、
およびそれらの互変異性体および前記化合物または互変異性体の薬学的に許容できる塩、溶媒和物および多形。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に請求されている式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物もしくは多形、および薬学的に許容できる希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項14】
薬剤として使用するための、請求項1から12のいずれか1項に請求されている式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物もしくは多形。
【請求項15】
オキシトシンの抑制が哺乳動物において有益な効果を生むことが知られている、または示すことができる障害または状態を治療する方法であって、前記哺乳動物に治療有効量の請求項1から12のいずれか1項に請求されている式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物もしくは多形を投与することを含む方法。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか1項に請求されている式(I)の化合物、またはその薬学的に許容できる塩、溶媒和物もしくは多形の使用であって、オキシトシンの抑制が有益な効果を生むことが知られている、または示すことができる障害または状態を治療するための薬剤の調製における使用。
【請求項17】
障害または状態が、性的機能不全、男性の性的機能不全、女性の性的機能不全、性的欲求低下障害、性的興奮障害、オルガスム障害、性的疼痛障害、早漏、早産、分娩中の合併症、食欲および摂食障害、良性前立腺肥大、未熟児出産、月経困難、うっ血性心不全、動脈性高血圧、肝硬変、ネフローゼ高血圧、高眼圧、強迫性障害および神経精神医学的障害から選択される、請求項15に記載の方法または請求項16に記載の使用。
【請求項18】
障害または状態が、性的興奮障害、オルガスム障害、性的疼痛障害および早漏から選択される、請求項17に記載の方法または使用。


【公表番号】特表2008−501775(P2008−501775A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526586(P2007−526586)
【出願日】平成17年5月27日(2005.5.27)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001541
【国際公開番号】WO2005/121152
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】