説明

オキシドレダクターゼで処理した食品成分および食品生成物、ならびにこのような食品成分および食品生成物を調製するための方法

【課題】アルドビオネート生成物を作製する方法を提供すること。
【解決手段】アルドビオネート生成物を作製する方法を記述する。この方法は、1種または複数の還元糖を含む乳製品を提供することと、乳製品に緩衝剤化合物を加えることによって、乳製品のpHを約5.5以上に維持することを含むことができる。この方法はまた、乳製品にオキシドレダクターゼ酵素を加えること(ここでは、還元糖のうちの少なくとも一部は、酸化されてアルドビオネート生成物になる)も含むことができる。さらに、還元糖を含む乳製品を提供する工程と、乳製品に酸素を混入する工程と、乳製品にオキシドレダクターゼ酵素を加える工程(ここでは、還元糖のうちの少なくとも一部は、酸化されてアルドビオネート生成物になる)を含む、アルドビオネート生成物を作製する方法を記述する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2004年7月7日に出願の、「Food Ingredients and Food Products Treated with an Oxidoreductase and Methods for Preparing Such Food Ingredients and Food Products」という発明の名称の米国仮出願第60/568,193号(その全内容を、あらゆる目的のために本明細書中に参考として援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
本出願はまた、以下の米国特許出願(これらはすべて、あらゆる目的のためにその内容全体を本明細書中に参考として援用される)に関連する:
1.代理人整理番号(Attorney Docket No.)が040179−00020USである、2004年5月3日に出願の、「SOFT OR FIRM/SEMI−HARD RIPENED OR UNRIPENED CHEESE AND METHODS OF MAKING SUCH CHEESES」という発明の名称の米国仮特許出願第60/568,029号。
【0003】
2.代理人整理番号が040179−00050USである、2004年5月3日に出願の、「SOFT OR FIRM/SEMI−HARD RIPENED OR UNRIPENED BLENDED CHEESES AND METHODS OF MAKING SUCH CHEESES」という発明の名称の米国仮特許出願第60/568,022号。
【0004】
3.代理人整理番号が040179−00060USである、2004年5月3日に出願の、「METHODS OF MAKING SOFT OR FIRM/SEMI−HARD RIPENED OR UNRIPENED CHEESES」という発明の名称の米国仮特許出願第60/568,017号。
【0005】
4.代理人整理番号が040179−000210USである、2005年5月3日に出願の、「Cheese and Methods of Making Such Cheese」という発明の名称の米国特許出願第11/121,537号。
【0006】
5.代理人整理番号が040179−000510USである、2005年5月3日に出願の、「Blended Cheeses and Method for Making Such Cheeses」という発明の名称の米国特許出願第11/122,283号。
【0007】
6.代理人整理番号が040179−000610USである、2005年5月3日に出願の、「Methods for Making Soft or Firm/Semi−Hard Ripened and Unripened Cheese and Cheeses Prepared by Such Methods」という発明の名称の米国特許出願第11/121,398号。
【0008】
7.代理人整理番号が040179−000110USである、2004年10月29日に出願の、「Coated Food Products and Methods of Producing Coated Food Products with Reduced Permeability to Fat and Oil」という発明の名称の米国特許出願第10/977,540号。
【背景技術】
【0009】
(背景)
還元性炭水化物は、多くのその他の種類の食品の中でも、果物、パン、および乳製品(例えば牛乳およびチーズ)を含めた非常に様々な食品中に存在する。こうした還元性炭水化物には、還元糖(グルコース、ガラクトース、ラクトースなど)、および非置換アノマー中心を有する他の糖類が含まれ、これらは、食品に風味および代謝可能なエネルギーを加える。しかし、食品成分中の還元糖はまた、調理される(例えば、焼成される)食品の調製の際に難題を与える。
【0010】
還元糖を加熱すると、しばしば、カラメル化(すなわち、酸または塩の存在下での炭水化物の直接的加熱)、およびメイラード褐変(すなわち、還元糖および水と、タンパク質などのアミノ基含有化合物との相互作用)などのプロセスを介して、食品の非酸化的で非酵素的な褐変がもたらされる。メイラード褐変は、共に混合されて高い温度で反応させると褐変が引き起こされる、還元糖、アミノ酸(例えばL−リジン、L−アルギニン、L−ヒスチジンなど)、および水が出発成分に必ず含まれる、パンおよび乳製品を調理する際の共通の問題である。
【0011】
メイラード褐変の制御は、いくつかの理由のために重要である。過度に褐色になった食品は、美的に望ましくなく、食欲をそそらない可能性がある(特に、濃い着色に望ましくない匂いおよび風味が伴う場合)。また、メイラード褐変を引き起こす反応は、食品中の必須アミノ酸の量を低下させ、その全体的な栄養価値を低下させる。
【0012】
望ましくないメイラード褐変は、食品の出発成分中の水分含量を変えることによって制御することができ、ここで、水がより少ないと、一般的に褐変の程度が低下する。液体成分については、メイラード褐変は、成分のpHを低下させる(すなわち、酸性度を増大させる)ことによって減少させることができる。褐変はまた、食品の調理温度を低下させることによって減少させることもできる。最後に、メイラード褐変を妨げるために、二酸化硫黄または亜硫酸塩などの食品添加物を、調理中に、あるいは、調理前に加えることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
都合の悪いことに、食品を調理する場合、メイラード褐変を制御するこれらの手段はすべて、(水の除去に起因して焼成品が過度に乾燥してしまうことおよびpHを低下させることに起因する食品の酸味を含めて)他の問題を引き起こす。したがって、食品に非天然の化学的な添加物を加えない、あるいは、食品の風味および品質に悪影響を与えないような、メイラード褐変を制御するための新しいアプローチの必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(簡単な要旨)
チーズの調製に使用するための組成物を記述する。これらの組成物は、チーズ成分およびオキシドレダクターゼ酵素を含み得る。
【0015】
加熱中のチーズ含有食材におけるチーズの褐変を制御する方法も記述する。この方法は、(a)加熱中のチーズの過剰な褐変を予防するのに有効な量のオキシドレダクターゼ酵素を含むチーズを含む食材を提供する工程と、(b)チーズを溶かすのに十分な時間、食材を加熱する工程を含むことができる。
【0016】
還元糖を含む1種または複数の食品成分をオキシドレダクターゼ酵素と組み合わせることによって未調理混合物を形成する工程と、この未調理混合物を加熱して、調理された食材を作製する工程とを含むプロセスによって作製される、調理された食材も記述する。オキシドレダクターゼ酵素は、還元糖の少なくとも一部を酸化させる。
【0017】
アルドビオン酸を作る方法も記述する。この方法は、カードとホエーとの混合物からホエー画分を得る工程;ホエー画分をホエー透過液と残留物とに分離する工程;ホエー透過液にオキシドレダクターゼ酵素を加えることによって、ホエー透過液中の還元糖を酸化させる工程;および還元糖を酸化させてアルドビオン酸を形成する工程を含む。
【0018】
ホエータンパク質残留物をオキシドレダクターゼ酵素で処理する方法も記述する。この方法は、オキシドレダクターゼ酵素を、液体のホエー透過液から分離されたホエータンパク質残留物に加えることを含む。この酵素は、残留物中の還元糖の、ラクトンおよび過酸化水素(これは、ホエータンパク質中で過酸化物保存剤として作用することができる)への酸化を触媒する。オキシドレダクターゼ処理されたホエータンパク質残留物は、食材におけるコーティングを作製するために使用することができる。
【0019】
食材中の脂肪または油の吸収を低下させる、食材を調理する方法も記述する。この方法は、(a)ホエータンパク質とオキシドレダクターゼ酵素で処理された1種または複数の還元糖とを含むホエー組成物でコートされた食材を提供する工程であって、ここで、ホエータンパク質は、ホエー中に存在するかまたはホエーに由来する、1種または複数のタンパク質を含む、工程;および(b)コートされた食材を脂肪または油中で加熱し、それによってホエー組成物は食材上に膜を形成し、対応するコートされていない食材と比較して、コートされた食材による脂肪または油の吸収が低下し、それによって、処理された還元糖の加熱工程中の褐変がより少なくなる、工程を含み得る。
【0020】
固結防止剤を含む固結防止組成物、およびオキシドレダクターゼ酵素も記述する。
【0021】
オキシドレダクターゼ酵素とカタラーゼ酵素を含む食材組成物も記述する。ここで、これらの酵素は、糖酸化サイクルを引き起こし、オキシドレダクターゼ酵素は、還元糖を酸化させて、ラクトンと過酸化水素とにし、この過酸化水素は、カタラーゼによって酸素(O)と水とに変換され、カタラーゼによって生成される酸素は、さらに、オキシドレダクターゼによって触媒される、食材組成物から還元糖を除去する反応に使用される。
【0022】
実施形態としては、還元糖を含む乳製品を提供する工程と、乳製品に緩衝剤化合物を加えることによって、乳製品のpHを約5.5以上に維持する工程を含む、アルドビオネート生成物を作製する方法も挙げられる。この方法はまた、乳製品にオキシドレダクターゼ酵素を加えることも含むことができ、ここで、還元糖のうちの少なくとも一部は、酸化されてアルドビオネート生成物になる。
【0023】
本発明の実施形態としては、還元糖を含む乳製品を提供する工程と、その乳製品に酸素を混入する工程を含む、アルドビオネート生成物を作製する方法がさらに挙げられる。この方法は、乳製品にオキシドレダクターゼ酵素を加えることも含むことができ、ここで、還元糖のうちの少なくとも一部は、酸化されてアルドビオネート生成物になる。
【0024】
本発明の実施形態としては、少なくとも1種の非還元糖を有する乳製品濃縮物を作製する方法がさらに挙げられる。この方法は、還元糖を含む乳製品を提供する工程と、乳製品を濾過して、乳製品濃縮物を含む残留物を生成する工程を含む。この方法はまた、残留物に酸素を混入させることと、残留物にオキシドレダクターゼ酵素を加えて、還元糖のうちの少なくとも一部を非還元糖に酸化させることも含むことができる。
【0025】
本発明の実施形態としては、還元糖を含む乳製品を提供すること、乳製品を濾過して、乳製品濃縮物を含む残留物を生成することを含む、少なくとも1種の非還元糖を含む乳製品濃縮物を作製する方法も挙げられる。この方法はまた、残留物に緩衝剤化合物を加えることによって、残留物のpHを約5.5以上に維持することと、残留物にオキシドレダクターゼ酵素を加えて、還元糖のうちの少なくとも一部を非還元糖に酸化させることも含む。
【0026】
本発明の実施形態としては、さらに、乳製品を透過液と残留物とに分離することと、透過液に酸素を混入させることと、透過液にオキシドレダクターゼ酵素を加えることによって、透過液中の還元糖のうちの少なくとも一部を酸化させてアルドビオネート生成物にすることを含む、アルドビオネート生成物を作製する方法も挙げられる。この方法は、透過液を乾燥させて、アルドビオネート生成物を含む粉末状の組成物を形成することを含むこともできる。
【0027】
本発明の実施形態としては、さらに、乳製品を透過液と残留物に分離することと、透過液に緩衝剤化合物を加えて、透過液のpHを約5.5以上に維持することと、透過液にオキシドレダクターゼ酵素を加えることによって、透過液中の還元糖のうちの少なくとも一部を酸化させてアルドビオネート生成物にすることを含む、アルドビオネート生成物を作製する方法も挙げられる。この方法は、透過液を乾燥させて、アルドビオネート生成物を含む粉末状の組成物を形成することを含むこともできる。
【0028】
本発明の実施形態としては、乳製品中の還元糖のうちの少なくとも一部を結晶化させて、結晶化された還元糖と脱ラクトース(delactose)透過液との混合物を形成することと、結晶化された還元糖にオキシドレダクターゼ酵素を加えて、結晶化された糖のうちの少なくとも一部をアルドビオネート生成物に変換することを含む、アルドビオネート生成物を作製するプロセスも挙げられる。このプロセスは、アルドビオネート生成物を乾燥させて粉末を形成することを含むこともできる。
【0029】
本発明の実施形態としては、さらに、乳製品中の還元糖のうちの少なくとも一部を結晶化させて、結晶化された還元糖と、残存する還元糖を含む脱ラクトース透過液との混合物を形成することと、脱ラクトース透過液にオキシドレダクターゼ酵素を加えて、残存する還元糖のうちの少なくとも一部をアルドビオネート生成物に変換することを含む、アルドビオネート生成物を作製するプロセスが挙げられる。このプロセスは、さらに、アルドビオネート生成物を乾燥させて粉末を形成することを含む。
【0030】
本発明の実施形態としては、生乳をカードとホエーの混合物に変換することと、ホエーからカードを分離することであって、ここで、カードは、チーズを作製するために使用されることを含む、チーズを作製する方法も挙げられる。この方法は、ホエーにオキシドレダクターゼ酵素を加えて還元糖を酸化させてアルドビオネート生成物にしながらホエーに酸素を混入させることと、チーズにアルドビオネート生成物を加えることとも含む。
【0031】
本発明の実施形態としては、さらに、ラクトビオネート生成物を含む脱脂乳を作製する方法が挙げられる。この方法には、生乳を脂肪部分と脱脂乳とに分離することと、脱脂乳に酸素を混入させることと、脱脂乳にオキシドレダクターゼ酵素を加えて、ラクトースを酸化させてラクトビオネート生成物にすることが含まれる。
【0032】
本発明の実施形態は、さらに、チーズを作製するプロセスを含む。このプロセスには、酸素およびオキシドレダクターゼ酵素を乳製品と混合して、アルドビオネート生成物を含む混合物を形成することが含まれる。この混合物は、チーズ前駆物質と組み合されて、さらなる混合物が作製され、このさらなる混合物が加工されて、チーズが形成される。
【0033】
本発明の実施形態としては、さらに、食材による脂肪または油の吸収を低下させる、脂肪または油中で食材を調理する方法が挙げられる。この方法には、ホエータンパク質およびオキシドレダクターゼ酵素を含むホエー組成物でコートされた食材を提供することであって、ここで、ホエータンパク質は、ホエー中に存在するかまたはホエーに由来する1種または複数のタンパク質を含むことと、コートされた食材を脂肪または油中で加熱することであって、ここで、ホエー組成物は、食材上に膜を形成し、対応するコートされていない食材と比較して、コートされた食材による脂肪または油の吸収を減少させることとが含まれる。
【0034】
本発明の実施形態には、さらに、食材組成物が含まれる。こうした組成物は、オキシドレダクターゼ酵素およびカタラーゼ酵素を含むことができ、これらの酵素は、糖酸化サイクルを引き起こし、そこでは、オキシドレダクターゼ酵素は、還元糖を酸化させてラクトンと過酸化水素にし、この過酸化水素は、カタラーゼによって酸素(O)と水に変換される。カタラーゼによって生成される酸素は、さらに、オキシドレダクターゼによって触媒される、食材組成物から還元糖を除去する反応に使用することができ、糖酸化サイクルは、食材中のすべての還元糖が、アルドビオン酸に変換されるまで続けることができる。
【0035】
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
アルドビオネート生成物を作製する方法であって、
還元糖を含む乳製品を提供することと、
該乳製品に緩衝剤化合物を加えることにより該乳製品のpHを約5.5以上に維持することと、
該乳製品にオキシドレダクターゼ酵素を加えることであって、ここで、該還元糖のうちの少なくとも一部が酸化されてアルドビオネート生成物になることと
を包含する、方法。
(項目2)
前記アルドビオネート生成物が、アルドビオン酸またはアルドビオン酸塩を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記アルドビオン酸塩が、アルドビオン酸ナトリウム、アルドビオン酸カルシウム、ラクトビオン酸アンモニウム、アルドビオン酸マグネシウム、およびアルドビオン酸カリウムからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記アルドビオネート生成物が、ラクトビオン酸ホエーおよびラクトビオン酸脱脂乳からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記乳製品が、全乳、脱脂乳、チーズ、ホエー、ホエー残留物、乳残留物、透過液、ラクトース、および脱ラクトース透過液からなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記緩衝剤化合物が、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、または水酸化ナトリウムを含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記オキシドレダクターゼ酵素が、ヘキソースオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、およびラクトースオキシダーゼからなる群から選択される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記乳製品に酸素を導入することをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記酸素が圧縮空気から供給される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記酸素のうちの少なくとも一部が、過酸化水素とカタラーゼ酵素との反応によって供給される、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記組成物が、前記オキシドレダクターゼ酵素によって産生される過酸化水素を酸素と水とに変換するための過酸化物変換酵素をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記過酸化物変換酵素が、カタラーゼ酵素を含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記アルドビオネート生成物を乾燥させて固形物を形成する、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記アルドビオネート生成物を乾燥させることが、加熱された領域に、該生成物の水溶液を噴霧することを含み、ここで、水のうちの少なくとも一部がスプレーから蒸発し、粉末としての前記固形物が残される、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記アルドビオネート生成物を乾燥させることが、前記化合物を結晶化させてケークを形
成し、ケーク中の水のうちの少なくとも一部を蒸発させることを含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
前記固形物が、脱脂粉乳を含む、項目13に記載の方法。
(項目17)
前記アルドビオネート生成物が、ラクトビオネート化合物を含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
アルドビオネート生成物を作製する方法であって、
還元糖を含む乳製品を提供することと、
該乳製品に酸素を混入させることと、
該乳製品にオキシドレダクターゼ酵素を加えることであって、ここで、該還元糖のうちの少なくとも一部は、酸化してアルドビオネート生成物になることと
を包含する、方法。
(項目19)
前記乳製品に緩衝剤化合物を加えることにより該乳製品のpHを約5.5以上に維持することをさらに包含する、項目18に記載の方法。
(項目20)
少なくとも1種の非還元糖を含む乳製品濃縮物を作製する方法であって、
還元糖を含む乳製品を提供することと、
該乳製品を濾過して、該乳製品濃縮物を含む残留物を生成することと、
該残留物に酸素を混入させることと、
該残留物にオキシドレダクターゼ酵素を加えて、該還元糖のうちの少なくとも一部を酸化させて該非還元糖にすることと
を包含する、方法。
(項目21)
前記乳製品がホエーまたは脱脂乳を含む、項目20に記載の方法。
(項目22)
前記乳製品濃縮物が、ラクトビオネートホエータンパク質濃縮物またはラクトビオネート乳タンパク質濃縮物を含む、項目20に記載の方法。
(項目23)
前記残留物に前記酸素を混入させることが、前記残留物に前記酸素を注入することを含む、項目20に記載の方法。
(項目24)
前記残留物に緩衝剤化合物を加えることにより該残留物のpHを約5.5以上に維持することを包含する、項目20に記載の方法。
(項目25)
前記乳製品濃縮物が、食材のためのコーティングに使用される、項目20に記載の方法。
(項目26)
少なくとも1種の非還元糖を含む乳製品濃縮物を作製する方法であって、
還元糖を含む乳製品を提供することと、
該乳製品を濾過して、該乳製品濃縮物を含む残留物を生成することと、
該残留物に緩衝剤化合物を加えることにより該残留物のpHを約5.5以上に維持することと、
該残留物にオキシドレダクターゼ酵素を加えて、該還元糖のうちの少なくとも一部を酸化させて該非還元糖にすることと
を包含する、方法。
(項目27)
前記残留物に酸素を混入させることを包含する、項目26に記載の方法。
(項目28)
アルドビオネート生成物を作製する方法であって、
乳製品を透過液と残留物とに分離することと、
該透過液に酸素を混入させることと、
該透過液にオキシドレダクターゼ酵素を加えることによって、該透過液中の還元糖のうちの少なくとも一部を酸化させてアルドビオネート生成物にすることと、
該透過液を乾燥させて、該アルドビオネート生成物を含む粉末状の組成物を形成することと
を包含する、方法。
(項目29)
前記粉末状の組成物がまた、1種または複数のミネラルも含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記残留物が、乳製品濃縮物である、項目28に記載の方法。
(項目31)
前記還元糖がラクトースであり、前記アルドビオネート生成物がラクトビオン酸である、項目28に記載の方法。
(項目32)
前記アルドビオネート生成物が、アルドビオン酸ナトリウム、アルドビオン酸カルシウム、アルドビオン酸アンモニウム、アルドビオン酸マグネシウム、およびアルドビオン酸カリウムからなる群から選択されるラクトビオン酸塩の1種または複数を含む、項目28に記載の方法。
(項目33)
前記透過液に緩衝剤化合物を加えることにより該透過液のpHを約5.5以上に維持することを包含する、項目28に記載の方法。
(項目34)
アルドビオネート生成物を作製する方法であって、
乳製品を透過液と残留物とに分離することと、
該透過液に緩衝剤化合物を加えることにより該透過液のpHを約5.5以上に維持することと、
該透過液にオキシドレダクターゼ酵素を加えることによって、該透過液中の還元糖のうちの少なくとも一部を酸化させてアルドビオネート生成物にすることと、
該透過液を乾燥させて、該アルドビオネート生成物を含む粉末状の組成物を形成させることと
を包含する、方法。
(項目35)
前記透過液に酸素を混入させることを包含する、項目34に記載の方法。
(項目36)
アルドビオネート生成物を作製するプロセスであって、
乳製品中の還元糖のうちの少なくとも一部を結晶化させて、結晶化した還元糖と脱ラクトース透過液との混合物を形成することと、
該結晶化した還元糖にオキシドレダクターゼ酵素を加えて、該結晶化した糖のうちの少なくとも一部を該アルドビオネート生成物に変換することと、
該アルドビオネート生成物を乾燥させて粉末を形成することと
を包含する、プロセス。
(項目37)
前記乳製品が、脱脂乳を透過液と残留物とに分離することによって形成される透過液を含む、項目36に記載のプロセス。
(項目38)
前記乳製品が、ホエーを透過液と残留物とに分離することによって形成される透過液を含
む、項目36に記載のプロセス。
(項目39)
前記結晶化した還元糖に酸素を混入させることを包含する、項目36に記載のプロセス。
(項目40)
緩衝剤化合物を提供して前記結晶化した還元糖のpHを約5.5以上に維持することを包含する、項目36に記載のプロセス。
(項目41)
脱ラクトース透過液が、残存する還元糖を含み、該脱ラクトース透過液にオキシドレダクターゼ酵素を加えて、該残存する還元糖のうちの少なくとも一部を前記アルドビオネート生成物に変換する、項目36に記載のプロセス。
(項目42)
前記アルドビオネート生成物を乾燥させることが、加熱された領域に該アルドビオネート生成物を吹き付けることを含み、ここで、該生成物から水分が蒸発して、前記乾燥した粉末が形成される、項目36に記載のプロセス。
(項目43)
前記アルドビオネート生成物粉末が、化粧品、界面活性剤、および移植臓器保存用化合物からなる群から選択される非食品生成物に加えられる、項目36に記載のプロセス。
(項目44)
前記還元糖がラクトースであり、前記アルドビオネート生成物がラクトビオン酸である、項目36に記載のプロセス。
(項目45)
アルドビオネート生成物を作製するプロセスであって、
乳製品中の還元糖のうちの少なくとも一部を結晶化させて、結晶化した還元糖と、残存する還元糖を含む脱ラクトース透過液との混合物を形成することと、
該脱ラクトース透過液にオキシドレダクターゼ酵素を加えて、該残存する還元糖のうちの少なくとも一部を該アルドビオネート生成物に変換することと、
該アルドビオネート生成物を乾燥させて粉末を形成することと
を包含する、プロセス。
(項目46)
前記脱ラクトース透過液に酸素を混入させることを包含する、項目45に記載のプロセス。
(項目47)
緩衝剤化合物を提供することにより前記脱ラクトース透過液のpHを約5.5以上に維持することを包含する、項目45に記載のプロセス。
(項目48)
前記乳製品が、脱脂乳を透過液と残留物とに分離することによって形成される透過液を含む、項目45に記載のプロセス。
(項目49)
前記乳製品が、ホエーを透過液と残留物とに分離することによって形成される透過液を含む、項目45に記載のプロセス。
(項目50)
チーズを作製する方法であって、
生乳をカードとホエーとの混合物に変換することと、
該ホエーから該カードを分離することであって、ここで、該カードは、該チーズを作製するために使用されることと、
該ホエーにオキシドレダクターゼ酵素を加えて還元糖を酸化させてアルドビオネート生成物にしながら、該ホエーに酸素を混入させることと、
該アルドビオネート生成物を該チーズに加えることと
を包含する、方法。
(項目51)
前記ホエーに緩衝剤化合物を加えることによって、該ホエーのpHを約5.5以上に維持することを包含する、項目50に記載の方法。
(項目52)
前記緩衝剤化合物が、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、または水酸化ナトリウムを含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記アルドビオネート生成物が、少なくとも1種の非還元糖を含む、項目50に記載の方法。
(項目54)
前記少なくとも1種の非還元糖が、ラクトラクトンを含む、項目53に記載の方法。
(項目55)
過酸化物変換酵素を加えて、前記オキシドレダクターゼ酵素によって産生される過酸化水素を、酸素と水とに変換することを包含する、項目50に記載の方法。
(項目56)
前記過酸化物変換酵素が、カタラーゼ酵素を含む、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記提供されるオキシドレダクターゼ酵素の量が、前記還元糖1キログラムにつき、重量で約0.1グラムから約20グラムである、項目50に記載の方法。
(項目58)
ラクトビオネート生成物を含む脱脂乳を作製する方法であって、
生乳を脂肪部分と脱脂乳とに分離することと、
該脱脂乳に酸素を混入することと、
該脱脂乳にオキシドレダクターゼ酵素を加えてラクトースを酸化させて該ラクトビオネート生成物にすることと
を包含する、方法。
(項目59)
前記生乳の脂肪部分が、クリームに変換される、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記脱脂乳に緩衝剤化合物を加えることによって、該脱脂乳のpHを約5.5以上に維持することを包含する、項目58に記載の方法。
(項目61)
チーズを作製するプロセスであって、
酸素およびオキシドレダクターゼ酵素と乳製品とを混合してアルドビオネート生成物を含む混合物を形成することと、
該混合物をチーズ前駆物質と組み合わせてさらなる混合物を作製することと、
該さらなる混合物を加工して該チーズを形成することと
を包含する、プロセス。
(項目62)
前記乳製品が、全乳、脱脂乳、チーズ、ホエー、ホエー残留物、乳残留物、透過液、ラクトース、および脱ラクトース透過液からなる群から選択される、項目61に記載のプロセス。
(項目63)
前記乳製品に緩衝剤化合物を加えることによって、前記透過液のpHを約5.5以上に維持することを包含する、項目61に記載のプロセス。
(項目64)
食材による脂肪または油の吸収を減少させる、該脂肪または油中で該食材を調理する方法であって、
(a)ホエータンパク質およびアルドビオネート生成物を含むホエー組成物でコートされた食材を提供することであって、ここで、該ホエータンパク質は、ホエー中に存在するかまたはホエーに由来する1種または複数のタンパク質を含むことと、
(b)該コートされた食材を該脂肪または油中で加熱し、それによって該ホエー組成物は、該食材上に膜を形成して、該コートされた食材による脂肪または油の吸収を、対応するコートされていない食材に比べて低下させ、そして該食材の褐変を減少させることと、を包含する、方法。
(項目65)
前記食材がチーズを含む、項目64に記載の方法。
(項目66)
オキシドレダクターゼ酵素およびカタラーゼ酵素を含む食材組成物であって、ここで、該酵素は、糖酸化サイクルをもたらし、該糖酸化サイクルにおいて該オキシドレダクターゼ酵素が還元糖を酸化させて、ラクトンと過酸化水素とにし、該過酸化水素は、該カタラーゼによって酸素(O)と水とに変換され、該カタラーゼによって産生される酸素は、該オキシドレダクターゼによって触媒される、該食材組成物から該還元糖を除去する反応にさらに使用され、該食材中のすべての還元糖がアルドビオン酸に変換されるまで、該糖酸化サイクルが続けられる、組成物。
さらなる特徴および効果を、後続の説明中に一部記述するが、一部は、明細書を吟味すれば当業者には明らかとなるか、あるいは、実践によって学ばれ得る。その特徴および効果は、本明細書に述べる機器、組み合わせ、および方法によって実現および達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1は、還元糖を含有する乳製品からアルドビオネート生成物を生成する方法100の実施形態を示すフローチャートである。
【図2】図2は、アルドビオネート生成物を作製する方法200の別の実施形態を示すフローチャートである。
【図3】図3は、アルドビオネート生成物を作製する方法300の別の実施形態を示す。
【図4】図4は、複数の段階で還元糖をアルドビオネート生成物に変換する方法を組み込む、チーズ製造のプロセス400の実施形態を示す。
【図5】図5は、複数の段階で還元糖をアルドビオネート生成物に変換する方法を組み込む、乳製品を作製するためのプロセス500の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(詳細な説明)
(I.定義)
本明細書で使用される用語は、本出願において最も一般的に使用される用語のいくつかに対して提供される以下の定義によって例示される通り、当業者によって一般に理解される意味を有する。ホエーおよび関連する生成物に関する用語の定義については、2000年4月1日版の、21 CFR §184.1979、§184.1979(a)、§184.1979(b)、および§184.1979(c)(これらの項を、あらゆる目的のためにその内容全体は本明細書中に参考として援用される)も参照のこと。
用語「乳製品」とは、その他の製品の中でも、全乳、脱脂乳、チーズ、ホエー、ホエー残留物(whey retentate)、乳残留物、透過液(permeate)、ラクトース、および脱ラクトース透過液を含めた生成物を指す。
【0038】
用語「アルドビオネート生成物」とは、アルドビオン酸およびアルドビオン酸塩を指す。これらとしては、例えば、アルドビオン酸ナトリウム、アルドビオン酸カルシウム、ラクトビオン酸アンモニウム、アルドビオン酸マグネシウム、およびアルドビオン酸カリウムなどのアルドビオン酸塩が挙げられ得る。アルドビオネート生成物としてはまた、ラクトビオネートホエーおよびラクトビオネート脱脂乳が挙げられ得る。
【0039】
用語「ラクトース」は、大抵の哺乳類の乳の主要な炭水化物を指し、一般に乳糖と呼ばれるのは、ラクトース(4−O−b−D−ガラクトピラノシル−D−グルコピラノース)である。
【0040】
用語「脱ラクトース透過液」は一般に、還元糖、無機質、微量のタンパク質、および他の成分を含有する脱ラクトース透過液を残して、還元糖の実質的な部分を除去することによって得られる、ラクトース産生の副産物を指す。
【0041】
用語「還元糖」は、その糖が還元剤として作用するのを可能にするケトン基またはアルデヒド基を含有する糖を指す。還元糖の例には、他の還元糖の中でも、D−グルコース、D−ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、D−マンノース、D−フクルトース、およびD−キシロースが含まれる。「非還元糖」は、(ヘミアセタールでない)アセタール官能基のそのアノマー炭素部分を有する糖を指す。スクロースは、非還元糖の例である。
【0042】
用語「オキシドレダクターゼ酵素」は、還元糖と酸素(O)との間の反応を触媒してラクトンと過酸化水素とを形成する酵素を指す。水性環境では、ラクトンは、時間の経過とともに、その対応するアルドビオン酸へと加水分解され得る。オキシドレダクターゼ酵素の例には、とりわけ、ヘキソースオキシダーゼ(すなわち、Dヘキソース:酸素1−オキシドレダクターゼ)、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、およびラクトースオキシダーゼが含まれる。この酵素は、オキシドレダクターゼをコードする遺伝子を含むように改変された酵母株を発酵させることによって作製され得る。例えば、ヘキソースオキシダーゼは、藻類Chondrus crispusから単離されたヘキソースオキシダーゼコード遺伝子で改変された酵母Hansenula polymorphaの選択された株の発酵によって生成され得る。
【0043】
用語「還元糖」は、非置換アノマー中心を有する糖(例えば単糖およびオリゴ糖)を指す。還元糖の例には、他の還元糖の中でも、D−グルコース、D−ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、D−マンノース、D−フクルトース、およびD−キシロースが含まれる。
【0044】
用語「カタラーゼ酵素」は、過酸化水素の、酸素と水への変換を触媒する酵素を指す。
【0045】
用語「有効な量」は、オキシドレダクターゼに関して使用される場合、一般に、成分または生成物(例えば食品生成物または食材(チーズまたはチーズ含有食材など))の望まれていない褐変を防止するのに十分な量を指す。したがって、この用語は、チーズ中の残りの還元糖とタンパク質との間に存在する反応は無視できるように、チーズ中の還元糖を変換して十分に低い濃度にするのに十分なオキシドレダクターゼ酵素の量を指す。代表的に、これは、還元糖濃度を約0.01重量%未満に低下させるのに十分な酵素が存在することを意味する。他の例では、還元糖濃度は、実質的に検出不可能なレベルに低下させられるか、あるいは還元糖は存在しない。有効な量はまた、チーズの焼けた外観の出現(例えば、それによって、溶かされたチーズは、もはや茶色の外観ではなく、より濃い、あるいは黒くさえ見えるようになる)を防止するのに十分な量を指す。代表的に、有効量のオキシドレダクターゼ酵素は、食品(例えばチーズ)1グラムにつき約0.025〜0.15ユニットである。
【0046】
用語「チーズ」は、本明細書で用いられる場合、例えば、チーズについてコーデックス一般規格(CODEX general Standard for Cheese)で定義された通りのチーズ、また、様々な州および国家規制機関で定義された通りのチーズを含めて、すべてのタイプのチーズを広く指す。例示的なクラスのチーズとしては、他のタイプのチーズの中でも、硬質(firm)/半硬質(semi−hard)チーズ、ソフトチーズ、アナログ(analog)チーズ、ブレンド(blended)チーズ、およびパスタフィラータ(pasta filata)チーズが挙げられるがこれらに限定されない。
【0047】
用語「硬質/半硬質チーズ」は、無脂肪基準水分(MFFB)百分率が、54%と69%との間であるチーズを含む。硬質/半硬質チーズの例には、とりわけ、コルビー(Colby)、ハバーティ(Havarti)、モンテレー・ジャック(Monterey Jack)、ゴルゴンゾーラ(Gorgonzola)、ゴーダ(Gouda)、チェシャー(Cheshire)、およびムンスター(Munster)、低水分モッツァレッラ(low−moisture Mozzarella)、および部分脱脂モッツァレッラ(part−skim Mozzarella)が含まれる。
【0048】
用語「ソフトチーズ」には、67%を超えるMFFBを有するチーズが含まれる。ソフトチーズの例には、特に、標準的なモッツァレッラが含まれる。
【0049】
用語「アナログチーズ」には、乳脂肪および/またはタンパク質源が、乳本来のものでない供給源で置換されたチーズが含まれる。
【0050】
用語「ブレンドチーズ」には、ソフトまたは硬質/半硬質チーズと、アナログチーズとのブレンドから作製されるチーズが含まれる。ブレンドチーズを調製する従来方法は、アナログチーズ用の原材料を、ソフトまたは硬質/半硬質チーズカードとブレンドすること、あるいはソフトまたは硬質/半硬質チーズを再加工することを含む。
【0051】
用語「パスタフィラータチーズ」には、最終的なチーズの伸びやすさまたは糸引きを改善するために、チーズカードが加熱および混練されるプロセスによって作製される、ソフトまたは硬質/半硬質チーズが含まれる。このプロセスは、時として、チーズを製造するパスタフィラータプロセスと呼ばれる。パスタフィラータチーズの例には、モッツァレッラ(mozzarella)、プロボローネ(provolone)、メキシカンスタイル(Mexican style)、スカモルツァ(scamorze)、およびピッツァ(pizza)チーズが含まれる。
【0052】
用語「チーズ前駆物質」は、本明細書で用いられる場合、チーズカードを調製するために使用される任意の成分、こうした成分の混合物、および、その後のチーズカードのチーズに加工された形を広く指す。成分であるチーズ前駆物質の例には、非低温殺菌乳(この業界では時として「生乳」を指す)、チーズ作製プロセスで使用される増殖培地および細菌(この業界では時として「スターター」を指す)、およびクリームが含まれるがこれらに限定されない。こうした成分の混合物も含まれる。こうした混合物のある具体例は、低温殺菌された乳、スターター、およびクリームの組み合わせを指すために使用される用語である「バット液(vat liquid)」である。この用語には、凝塊、チーズカード、およびプロセスチーズカード(例えば、ソフトまたは硬質/半硬質チーズの均一な塊を形成するために加熱および/または延伸されたカード)も含まれるが、最終チーズ製品は含まれない。
【0053】
用語「カード前駆物質」は、チーズカードの形成の前に存在するかまたは形成される、チーズカードの製造に使用される成分、混合物、または組成物を指す。したがって、この用語には、例えば、生乳、スターター、クリーム、チーズバットおよび凝塊が含まれる。
【0054】
用語「タンパク質」と「ポリペプチド」とは、本明細書では、互換的に使用される。この用語は、必要に応じてアミノ酸類似体を含め、アミノ酸のポリマー、ならびにこうしたポリマーの塩を広く指す。
【0055】
「ホエー」は一般に、チーズ製造中に乳、クリーム、または脱脂乳から凝塊を分離することによって得られる液体物質を指す。ホエー中の2つの主要なタンパク質成分は、α−ラクトアルブミンおよびβ−ラクトグロブリンである。他の主要な成分は、ラクトースおよび様々なミネラルである。「酸性ホエー」は一般に、かなりの量のラクトースが乳酸へと変換されるプロセスから得られるか、または乳の直接酸性化によるカード形成から得られるホエーを指す。「スイートホエー」は一般に、ラクトースの乳酸への変換がわずかしか存在しないような手順から得られるホエーを指す。「濃縮ホエー」は、他の全ての構成成分は同じ相対比で残しながらの、ホエーからの水の部分的な除去によって得られる液体物質である。「乾燥ホエー」は一般に、他の全ての成分は、ホエー中と同じ相対比で残しながらの、ホエーからの水の除去によって得られる乾燥した物質を指す。
【0056】
「ホエータンパク質濃縮物」は一般に、ホエーからの水、ラクトース、およびミネラルの除去によって得られる乾燥した物質であって、ここで、このタンパク質は、約35重量%〜約90重量%に濃縮されている物質を指す。
【0057】
用語「熱によって凝固するタンパク質」は、本明細書で用いられる場合、タンパク質が変性するのに十分に高い温度に一旦加熱すると、凝固して、膜またはゲルを形成するタンパク質を指す。
【0058】
「減ラクトースホエー」は、ホエーからのラクトースの除去によって得られる物質を指す。このタンパク質含有量は、16〜24重量%である。
【0059】
「減ミネラルホエー」は一般に、ホエーからのミネラルの除去によって得られる物質であって、その結果、得られた生成物が、7パーセント未満の灰分を含有する物質を指す。このタンパク質濃度は、10〜24重量%である。
【0060】
「高ゲルホエー」は、膜またはゲルを形成するために、ホエータンパク質の凝固を促進するのに十分な量でカルシウムが加えられたホエーである。
【0061】
「加水分解ホエー」は、ホエー中に存在するタンパク質が、酵素を使用して、少なくとも部分的に加水分解されたホエーである。
【0062】
「コート」または「コーティング」は一般に、食材の外表面に適用される、組成物(例えばホエー組成物)の1つまたは複数の層を指す。コーティングは代表的に、食材全体に広がるのではなく、その代わりに食材の表面の比較的近くにある。しかし、こうである必要はなく、ある種の場合では、コーティングが、食材全体を通して広がることができる。コーティングは、食材の限られた部分(例えば片面)に適用することができるが、(例えば、食材が、コーティング組成物に浸される場合)食材の外表面全体がコートされるように適用することもできる。
【0063】
用語「食品」、「食材」、「食品生成物」および他の関連する用語は、本明細書で使用される場合、開示する方法のコーティングおよび加熱プロセスと適合性のある、本質的に任意のタイプの食料品を指す。適切な食品には、穀物ベースの生成物、チーズ、鶏肉、牛肉、豚肉、魚介類、ジャガイモ(例えば、ポテトチップス、フレンチフライ、ハッシュブラウン、ポテトストリング(potato string)など)、野菜(例えば、ズッキーニ、トウガラシ(例えば、ハラペーニョ)、カリフラワーなど)、キノコ、果物、キャンディ、およびナッツ類が含まれるがこれらに限定されない。多様なタイプの穀物ベースの生成物も、利用することができる。このタイプの例示的な食品生成物には、ピッツァ生地、ブリート、ドウで覆った(dough−enrobed)サンドイッチ、携帯食品、パン生地、ベーグル生地、スコーン、シリアル、ペストリー、および穀粒ベースのスナック食品(例えば、クラッカーおよびプレッツェル)が含まれる。携帯食品には、例えば、ブリート、(ポケットサンドイッチを含めて)サンドイッチ、およびピタが含まれる。
【0064】
「脂肪」は、植物または動物由来の非水溶性物質であり、主としてグリセロールエステル(例えば、トリグリセリド)の混合物から構成される。室温では、脂肪は代表的に、半固体として存在する。
【0065】
「油」は、液体形態の脂肪である。脂肪は、調理(例えば、揚げまたは焼成)中、液体として存在するので、用語「油」は、用語「脂肪」と互換的に適宜使用することができる(例えば、Robert S.Igoe、「Dictionary of Food Ingredients」、第2版、1989年を参照のこと)。
【0066】
(II.概要)
還元糖の量を減少させて、メイラード褐変に対する感受性をより小さくした食品成分および食品生成物を記述する。還元糖は、ラクトン(すなわち環状エステル)(これは、対応するアルドビオン酸へとその後の加水分解を受け得る)へのこの糖の酸化を触媒するオキシドレダクターゼ酵素によって除去することができる。多くのオキシドレダクターゼについて、還元糖の触媒による酸化は、食品中で過酸化物保存剤として作用することができる過酸化水素(H)の形成を伴う。
【0067】
オキシドレダクターゼ酵素を含有するチーズは、提供される食品の1つのタイプである。1種または複数のオキシドレダクターゼ酵素は、チーズ中の還元糖(例えばラクトース)の含有量を減少させるために、チーズ製造プロセス中に加えてもよいし、チーズが作製された後で、混合させてもよい。還元糖の濃度を低下させると、チーズが(例えば、パスタまたはピッツァ生地上で)調理される時のメイラード褐変(これは、還元糖の存在を必要とする)が、より少なくなる。こうしたチーズを含有する様々な食材も提供する。
【0068】
食品成分は、調理(例えばたっぷりの脂肪で揚げること)中の、食品における脂肪および/または油吸収を減少させる、食品のためのコーティング組成物を含むことができる。コーティング組成物は、1種または複数の還元糖の酸化を触媒して、調理中の褐変を減少させる、そしてカビの増殖を遅らせたり、コートされた食品の貯蔵寿命を長くしたりする過酸化物保存剤を産生する、オキシドレダクターゼ酵素を含む。コートされた食品としては、コートされたチーズ(例えば、フライド・モッツァレッラチーズ・スティック(fried mozzarella cheese stick))が挙げられ得、コーティング組成物としては、チーズ作製プロセスから産生されるホエータンパク質が含まれる。
【0069】
さらなる食品成分としては、タンパク質含有量を強化するためにチーズに加えることができる、処理された粉ミルクが挙げられる。濃縮され、粉末化された乳製品は、タンパク質が豊富であるが、ラクトースなどの還元糖も豊富である。高レベルのタンパク質を維持する一方で糖濃度を減少させるために、オキシドレダクターゼ酵素を乳に加えることができる。得られる、タンパク質が豊富で糖が減少した乳濃縮物または粉末を、タンパク質が強化されたチーズを作製するために、他の成分に加えることもできる。還元糖の濃度が低く、調理される時に受ける渇変が少ない、強化されたチーズを作製することができる。
【0070】
食品副産物をオキシドレダクターゼ酵素によって処理して、非食品業界のための有用な材料を生成する方法も記述する。多くの例では、アルドビオン酸についての経済的需要は、その対応する還元糖よりもかなり高い。オキシドレダクターゼ酵素を用いて、食品作製プロセスの副産物として生成される還元糖を酸化させて、糖をラクトンに変換させることができ、続いてこれを、その対応するアルドビオン酸に加水分解することができる。例えば、チーズ作製プロセスでは、ラクトースが豊富なホエー成分を、カードから分離する。その後、ホエー成分を濾過して、大部分がホエータンパク質である残留物を、ラクトースおよびミネラルを含む液体透過液から分離することができる。オキシドレダクターゼ酵素を、透過液に加えて、ラクトースを、ラクトラクトンを経由してラクトビオン酸に変換することができる。その後、ラクトビオン酸を、例えば噴霧乾燥プロセスによって脱水し、粉末を形成することができる。
【0071】
(III.チーズを調製する方法)
(A.全般的な考察)
提供するチーズ作製方法は、チーズ製造の本質的に任意の方法に適応することができる。チーズ製造プロセス中のある段階で、あるいはチーズが作製された後で、1種または複数のオキシドレダクターゼ酵素を加える。これらのプロセスに使用されるチーズ作製技術は、他の種類のチーズの中でも、ソフトチーズ、硬質/半硬質チーズ、ナチュラルチーズ、パスタフィラータチーズ、アナログチーズ、およびブレンドチーズを含むがこれらに限定されない、実質的に任意のタイプのチーズを調製するために利用することができる。
【0072】
オキシドレダクターゼ酵素は、他の方法の中でも、前駆物質または形成されたチーズに酵素を噴霧する方法、前駆物質または形成されたチーズに酵素を注入する方法、前駆物質または形成されたチーズを酵素含有溶液に浸す方法、前駆物質または形成されたチーズを乾燥粉末形態の酵素と混合する方法、前駆物質または形成されたチーズを酵素含有溶液と混合する方法を含めた様々な方法で、チーズまたはチーズ前駆物質に加えることができる。オキシドレダクターゼ酵素は代表的に、最終チーズ製品における褐変を制御するのに有効な量で含まれる。代表的に、チーズ1グラムあたり約0.025〜約0.15ユニット(例えば、チーズ1gあたり0.025〜0.05、0.05〜0.10、または0.10〜0.15ユニット)のオキシドレダクターゼ酵素が加えられる。
【0073】
オキシドレダクターゼ酵素に加えて、過酸化水素を、より反応性の低い形態に変換する過酸化水素変換酵素も、チーズ製造プロセス中またはチーズ製造プロセス後のある時点で加えることができる。適切な過酸化水素変換酵素の一例は、カタラーゼであり、カタラーゼは、(例えば、オキシドレダクターゼ酵素によって生成された)過酸化水素の、水と酸素(O)とへの分解を触媒する。
【0074】
本明細書で記述するある種のチーズ製造方法は、乳からカードおよびホエーの凝塊を形成することと、カードをチーズに加工することを含む。他の方法は、チーズに加工することが可能なスラリーの形成を含む。さらに他の技術は、スラリーとさらなる成分との組み合わせからさらなる混合物を形成することと、このさらなる混合物をチーズに加工することを含む。オキシドレダクターゼ酵素は、凝塊、スラリー、またはさらなる混合物の形成の前、中、および/または後の時点を含めて、チーズ製造技術中のいかなる時点で加えてもよい。オキシドレダクターゼ酵素は、例えば、酵素をチーズに噴霧するかまたはコートすることによって、チーズ作製後にチーズに加えてもよい。オキシドレダクターゼ酵素は、チーズがその最終形態(例えば、スライス、シュレッド、すりおろし、ブロック、薄片など)に加工された後に加えることもできる。例えば、この酵素は、チーズが固まるのを防止する固結防止剤と共に、シュレッドチーズに適用することができる。いくつかのこうしたチーズ製造技術のさらなる詳細を、ここで示す。
【0075】
(B.チーズを調製する例示的な方法)
ある種の伝統的なチーズを調製する方法は、乳(例えば低温殺菌された牛乳または水牛の(buffalo)乳)を酸性化させて、それをチーズ乳(cheese milk)に変換することを含み得る。その後、チーズ乳を凝固させて、チーズカードとホエーを含む凝塊を形成することができる。ホエーを凝塊から排水して、チーズカードを残し得る。その後、カードを、型の中に置くことができ、そこで、これは熟成してチーズになる。オキシドレダクターゼ酵素は、チーズ製造技術の他の段階の中でも、酸性化されていないあるいは酸性化された乳、凝塊、チーズカード、および/または熟成したチーズに加えることを含めて、いかなる時点でも加えることができる。
【0076】
例えば、乳の酸性化は、微生物的に、直接的に、または微生物的酸性化と直接的酸性化との組み合わせによって実施することができる。微生物的酸性化が、1種または複数の乳酸産生細菌のスターター培養物を乳に加え、その後、細菌を増殖および増加させることによって達成されるのに対し、直接的な酸性化は、GRAS酸、例えば、酢酸(例えば、酢として)、リン酸、クエン酸、乳酸、塩酸、硫酸、またはグルコノデルタラクトン(GdL)、ラクトビオン酸などを乳に加えることによって達成される。オキシドレダクターゼ酵素は、ラクトースのような還元糖のラクトビオン酸への酸化および加水分解を増大させるために、酸性化工程中に加えることができる。
【0077】
オキシドレダクターゼ酵素は、チーズ乳が凝固してチーズカードとホエーとからなる凝塊を形成する場合、酸性化の後に加えることもできる。オキシドレダクターゼ酵素は、凝固活性を増強するために乳に一般に加えられるレンネットまたは他の適切な酵素(1種または複数)と共に加えることもできる。オキシドレダクターゼ酵素は、凝塊が、切断され、チーズカードを得るためにホエーが排水された後に加えることもできる。
【0078】
オキシドレダクターゼ酵素はまた、その製造プロセスが、ミキサー中でチーズカードを加熱する、混練する、かつ/または伸ばして、チーズの均一な加熱された塊(これは、その後、最終形態に加工される)を形成することを含む、チーズの調製における様々な段階で含ませることもできる。こうした方法に従って調製されるチーズの例には、ソフトおよび硬質/半硬質チーズ(例えば、パスタフィラータでおよびモッツァレッラ)が含まれるがこれらに限定されない。加熱および混練工程を含むある種の方法では、カードおよび/または加熱されたチーズ塊は、さらなる液体成分または乾燥成分と混合され得る。チーズは、その後、押出成形機によって成型され、冷たい塩水のタンク中で冷却され得、そしてチーズが押出成形機によって成型される時、および/またはチーズが塩水によって冷却された後、諸成分を加えることができる。チーズカードを加熱、混練および/または伸ばすことを含むチーズ製造技術は、1996年10月18日に出願された、「Process Of Making A Soft Or Semi−Soft Fibrous Cheese」という発明の名称の、本発明と同じ譲受人に譲渡された米国特許第5,902,625号(その全内容は、あらゆる目的のために本明細書中に参考として援用される)に記載されている。オキシドレダクターゼ酵素は、他の工程の中でも、チーズカードを加熱、混練および/または伸ばす工程、ならびに/あるいはチーズの成形および冷却中の工程を含めて、いかなる時点でも加えることができる。オキシドレダクターゼ酵素は、別に加えてもよいし、1種または複数の他の成分を含む混合物の一部であってもよい。
【0079】
オキシドレダクターゼはまた、チーズカードおよび他の成分が、グラインダー(これは、カードのサイズを減少させ、諸成分をカードに組み込む)に最初に導入され、得られた含浸されたカードが、ミキサー(そこでは、混合物が加熱され、混練され、かつ/または延伸されてチーズになる)に移されるようなチーズ製造技術にも導入することができる。ある種の方法では、この加熱および混練プロセスの後、さらなる成分を、加えることができる。こうしたチーズを、その後、押出成形機で成型し、塩水中で冷却することができる。このアプローチの例は、2002年11月20日に出願された、「Process of Making A Homogenous Cheese」という発明の名称の、本発明と同じ譲受人に譲渡された米国特許出願第10/300,019号(その全内容は、あらゆる目的のために、本明細書中に参考として援用される)に考察されている。オキシドレダクターゼ酵素は、これらの技術のグラインドおよび/または混合工程中を含めて、このタイプの方法のいかなる時点で加えてもよい。
【0080】
オキシドレダクターゼは、スラリーを利用するチーズ製造プロセスに組み込むこともできる。このタイプの方法では、スラリーは、最終チーズ製品に導入することが望まれるある種の成分を含むことができる。以下にさらに述べる通り、スラリーに含まれる成分としては、チーズカード、様々なアナログチーズ成分、および以下に列挙するものなどの様々な他の成分が挙げられ得る。
【0081】
いくつかのチーズ製造方法では、スラリーを別々に調製し、その後、チーズ前駆物質と混合できるのに対し、他の技術では、チーズカードをスラリーの一成分とし得る。チーズカードを含まないスラリーを調製する一例としては、スラリー成分をブレンダー内で混合し、これをクッカー内で加熱することが含まれる。スラリーは、必要に応じて、裁断、ホモジナイズ、かつ/または水分含量調節をすることができる。得られたスラリーは、その後、チーズ前駆物質(例えばチーズカードを加熱および混練することによって生産されるホモジナイズされたチーズの加熱された塊)と混合されてさらなる混合物を形成することができ、このさらなる混合物は、その後、さらなる加工を受け、最終チーズ製品を生ずることができる。
【0082】
スラリーがチーズカードを含む他のチーズ製造方法では、チーズカードは代表的に、ブレンダー内で成分と合わせられ、その後、調理されるか、あるいは、ブレンドプロセス中に調理される。このタイプのいくつかの方法では、カード含有スラリーを、その後、裁断ポンプおよびホモジナイザーを通して加工することができる。他の成分は、得られた混合物と、ミキサー中で必要に応じて組み合わされ得る。カード含有スラリーを、その後、最終加工にかけて、最終チーズ製品を得る。
【0083】
スラリーに基づくいずれのチーズ製造方法でも、オキシドレダクターゼ酵素は、スラリーの形成または加工中、および/または、例えば、チーズ前駆物質とスラリーのその後の混合中を含めて、このプロセス中のいかなる時点で添加され得る。ある特定の選択肢は、例えば、オキシドレダクターゼをスラリー自体に含むことである。別の選択肢は、一旦スラリーが、チーズ前駆物質(例えば、加熱されたチーズカードのホモジナイズされた塊)と組み合わされてから、オキシドレダクターゼを加えることである。
【0084】
様々なタイプのチーズの調製における、スラリーの使用に関するさらなる詳細は、代理人整理番号が040179−000210USである、2005年5月3日に出願された「Cheese and Methods of Making Such Cheese」という発明の名称の米国特許出願第11/121,537号、代理人整理番号が040179−000510USである、2005年5月3日に出願された「Blended Cheeses and Method for Making Such Cheeses」という発明の名称の米国特許出願第11/122,283号、および代理人整理番号が040179−000610USである、2005年5月3日に出願された、「Methods for Making Soft or Firm/Semi−Hard Ripened and Unripened Cheese and Cheeses Prepared by Such Methods」という発明の名称の米国特許出願第11/121,398号(これらはそれぞれ、あらゆる目的のためにその内容全体が本明細書中に参考として援用される)中に提供されている。
【0085】
(C.チーズに組み込む成分)
オキシドレダクターゼ酵素および/または過酸化水素変換酵素は、利用される場合、他の食品成分の混合物の一部として、最終チーズ製品に組み込むことができる。これらの成分のいくつかは、アナログチーズの調製に一般に使用されるものである。こうした成分としては、例えば、油、脂肪、タンパク質、デンプン、金属イオン封鎖剤、および/または塩が挙げられる。オキシドレダクターゼ酵素と組み合わせることができる他の成分の例には、脱脂粉乳、乳タンパク質、酸度調節因子、酸、固結防止剤、消泡剤、着色剤、乳化剤、酵素調製物、香料、硬化剤(firming agent)、食品タンパク質、ゲル化剤、保存剤、金属イオン封鎖剤、安定剤(stabilizer)、デンプン、増粘剤、油、脂肪、チーズ粉末、塩、栄養補助剤、酸、酵素、栄養補助食品、炭水化物、ビタミン、およびミネラルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0086】
(IV.チーズ)
本明細書に述べる方法は、1種または複数の未変性または変性させたオキシドレダクターゼ酵素を含有するチーズを調製するために利用することができる。オキシドレダクターゼは、有効な量(例えば、チーズ1グラムにつき約0.025〜約0.15ユニット)で存在する。こうしたチーズは、オキシドレダクターゼ酵素を含有しない同様のチーズよりも、より少量(例えば、約0.5重量%、0.1重量%、0.01重量%、または0.05重量%、またはそれ未満)の還元糖を含み得る。こうしたチーズはまた、チーズ中の還元糖の、オキシドレダクターゼ酵素による触媒的酸化中に産生される過酸化水素を含有し得る。これらのチーズは、過酸化水素を酸素と水とに分解するための触媒酵素をさらに含有し得る。これらのチーズ中には、さらなる成分も存在可能である。
【0087】
代表的に提供されるソフトまたは硬質/半硬質チーズは、タンパク質含有量が約10〜40重量%であり、水分含有量が約35〜65%であり、乾燥ベースで(FDB)脂肪分が約0〜60%である。実際の組成は、生産されるモッツァレッラチーズの特定のタイプに応じて若干変化する。提供されるある種のソフトまたは硬質/半硬質チーズ(モッツァレッラチーズ)については、乳脂肪分は、固形分の少なくとも45重量%であり、水分含有量は、約52〜60重量%である。提供される低水分のソフトまたは硬質/半硬質チーズ(時として、低水分モッツァレッラチーズとも呼ばれる)は一般に、最少の乳脂肪分が、固形分の45重量%であり、水分含有量は、約45〜52重量%である。提供される部分脱脂乳のソフトまたは硬質/半硬質の熟成および非熟成チーズ(部分脱脂モッツァレッラチーズとも呼ばれる)は、対照的に、乳脂肪分が、固形分の約30〜45重量%の範囲であり、水分含有量が、約52〜60重量%である。提供される低水分で部分脱脂であるソフトまたは硬質/半硬質の熟成および非熟成チーズ(低水分の部分脱脂モッツァレッラチーズとも呼ばれる)は、通常、乳脂肪分が、固形分の約30〜45重量%であり、水分含有量が、約45〜52重量%である。前述の水分百分率は、結合水プラス自由水についてである。すなわち、チーズが100℃のオーブン中で17時間±1時間乾燥される場合、重量(%)は減少する。
【0088】
提供されるチーズは、ブロック、ローフ、RibbonsTM、細分された形態(例えば、ダイス形態またはシュレッド形態)、および当技術分野で知られた他の形を含めて、様々な異なる形態であり得る。チーズのpHは一般に、約5.00〜約6.00(例えば約5.10〜約5.90)の範囲である。
【0089】
(V.食品生成物およびこうした食材を製造する方法)
提供されるチーズは、チーズの使用を含む本質的に任意の焼成用途に利用することができ、また、非常に様々な食材に組み込むことができる。チーズは、例えば、(主料理、スナック食品、および前菜を含めて)様々な簡便な食品中の成分として含ませることができる。
【0090】
チーズは、食材に組み込むこともできるし、食材上または中で層にすることもできるし、コーティングとして使用することもできる。ある一般的な使用は、例えば、ピッツァ上に露出されたチーズとして、あるいは、ピッツァクラストの外側のへりに巻き込まれるストリングチーズ(いわゆる「詰め物をしたクラストピッツァ」)としてである。
【0091】
当業者であればわかるように、前述のリストは、例示的なものに過ぎず、本明細書で提供されるソフトまたは硬質/半硬質チーズと組み合わせることができる食品のタイプを網羅的なリストであることを意図していない。
【0092】
提供されるチーズは、例えば、対流加熱、蒸気注入加熱、およびマイクロ波加熱を含めて、本質的にいかなるタイプの調理での使用にも適している。いくつかのマイクロ波加熱適用では、例えば、食品生成物を、チーズを加熱して溶かすのに十分な期間、かつそれに十分な量のマイクロ波エネルギーにさらし、それによって、チーズは溶けて均一の塊のチーズが形成される。チーズは一般に、ワット数が400〜1000ワットであるマイクロ波などの様々なマイクロ波、または一般的な家庭用電子レンジである650〜850ワットのフルパワー電子レンジで加熱され得る。チーズは、例えば0.5〜20分間、または0.5〜10分間、または2〜5分間の範囲の調理時間にわたって調理することが可能である。これは、冷凍または冷蔵された主料理および前菜を準備するために使用される、代表的なマイクロ波調理時間である。
【0093】
本明細書で開示するチーズは、任意の様々な方法を使用して、本質的に任意の食材と組み合わせることができる。例えば、食材を、溶融したチーズ中に浸すことができる。あるいは、チーズを、従来の食品加工装置を使用して、食材上に振りかける、あるいは層状に重ねることができる。こうしたプロセスでは、チーズは代表的に、最初に細分され、比較的小片のチーズ、またはシュレッドチーズを形成させる。一旦チーズを食材と組み合せたら、得られた食品生成物を、その後の販売または使用のために、必要に応じて冷蔵または凍結することができる。
【0094】
(VI.コーティング)
アルドビオネート生成物を含む、食材コーティング組成物を記述する。この組成物はまた、食材をコートして揚げ媒体中で浸透する脂肪または油をより少なくすることによって、調理中に食材によって吸収される脂肪または油の量を減少させる、熱によって凝固する1種または複数のタンパク質を含むことができる。こうした食材を調製するための方法も記述する。食材のコーティングに有用な様々な組成物も記述する。
【0095】
本明細書に開示する食品生成物、コーティング、および食品調製方法は、脂肪および油はより低いがタンパク質含有量は増加した食品に対する、消費者の要求の増加からみて、価値がある。以下でより詳細に述べる通り、提供される食材および組成物に有用であることが判明している、熱によって凝固するタンパク質のあるグループは、ホエー画分中に存在するホエータンパク質またはホエーの主成分である個々のタンパク質(α−ラクトアルブミンおよびβ−ラクトグロブリンなど)を含めた、ホエータンパク質である。コーティングにホエータンパク質を使用することが望ましい。なぜなら、望ましくない風味を与え得るある種の他のタンパク質とは異なり、調製される食材の風味に影響を及ぼさない比較的特徴のない風味を有するからである。しかし、これらの特定のタンパク質は、例示的なものであること、また、適用は、これらの特定のタンパク質に限られないことを理解するべきである。コーティング組成物はまた、ホエータンパク質などの熱によって凝固するタンパク質に加えて、1種または複数の他の成分も含有することができる。こうした組成物(例えば、ホエー組成物)は、例えば、バター、パン粉(breading)、香料、熱ゲル化剤、安定剤、着色剤、抗酸化剤および保存剤を含み得る。
【0096】
いくつかのコーティング組成物は、ホエータンパク質を含有する。用語「ホエータンパク質」は、ホエー中に天然に存在するかまたはホエーに由来する、1種または複数のタンパク質を指す。これは、組成物中のホエータンパク質が、多数の異なるホエータンパク質供給源材料のうちのいずれかからの1種または複数のタンパク質であり得ることを意味する。「ホエータンパク質供給源材料」は一般に、ホエー、酸性ホエー、スイートホエー、濃縮ホエー、乾燥ホエー、減ラクトースホエー、減ミネラルホエー、ホエータンパク質濃縮物、高ゲルホエー、加水分解ホエー、ホエーからの特定のタンパク質(例えば、α−ラクトアルブミンおよびβ−ラクトグロブリン)、ならびに1種または複数の前述供給源の組み合わせ、および前述供給源由来の供給源などの供給源を指す。これらの供給源材料は、必要に応じて、例えば、濃縮された、希釈された、インスタント化された、あるいは塊にされた形態であってよい。「ホエー組成物」は、ホエータンパク質および必要に応じてさらなる成分(デンプン、バター、パン粉、香料、テクスチャライザー(texturizer)、および安定剤など)を含む組成物である。したがって、ホエー組成物は、単なる前述のホエータンパク質供給源材料のうちの1つ、またはこうした供給源材料と1種または複数の他の成分との混合物であり得る。
【0097】
コーティングは代表的に、所定の適用に適した所望のホエータンパク質濃度を得るために、ホエータンパク質供給源材料のホエータンパク質濃度を調整することによって(例えば、濃縮または希釈することによって)調製される。しかし、いくつかの場合には、ある種のホエータンパク質供給源材料を、直接使用することもできる。
【0098】
したがって、ある例として、ホエー組成物は、ホエータンパク質濃縮物(例えば、80%ホエータンパク質)から、所望のホエータンパク質濃度の組成物を得るために、一般的に、それを(例えば、水または油で)希釈することによって調製され得る。この希釈された溶液をまた、1種または複数のさらなる成分(例えば、パン粉、バター、および/またはデンプン)と必要に応じて混合することができる。
【0099】
熱によって凝固するタンパク質(例えば、ホエータンパク質)の濃度は、用途に応じて、約40〜55重量%まで(例えば、約2重量%〜約55重量%)であり得る。より高いタンパク質レベルでは、油および脂肪中で調理される食材は、優れた色特性(例えば褐変)およびテクスチャー(例えば、脂肪または油中で調理される食品中に所望されるカリカリ感)を示すことが判明している。一方、例えば、特定のタイプのホエータンパク質供給源(例えば、減ミネラルホエー、高ゲルホエー、および加水分解ホエー)が利用される場合、いくつかの食材は、比較的低いタンパク質濃度(例えば、約2%未満)を有する。
【0100】
オキシドレダクターゼ酵素は、ホエータンパク質ベースの多くのコーティングにおける、比較的高い糖含有量を低下させるのを助け、それによって、調理中の食材の褐変(すなわち、食品の色が、濃くなり過ぎてしまうこと)が減少する。この酵素によって産生される過酸化物生成物はまた、コートされた食材の鮮度を延長するコーティング保存剤特性を与える。
【0101】
提供される組成物が食材をコートするために使用される場合、食材による脂肪または油吸収のかなりの低下を達成することができる。この結果は、一旦加熱されたコーティングが、食材の脂肪浸透性および油浸透性を低下させるように作用するので達成される。例えば、本明細書で開示するコーティングを用いると、食材への脂肪または油の吸収は、熱によって凝固するタンパク質(例えば、ホエー組成物)でコートされていない同じタイプの対応する食材と比較して少なくとも5%、10%、または15%低下させることができる。他の例では、脂肪または油の吸収は、少なくとも20%または25%低下する。さらに他の食材を用いると、脂肪または油の吸収は、少なくとも30%、35%、またはそれより多く低下する。
【0102】
いかなる理論によっても束縛されることを意図しないが、開示される組成物が脂肪または油の吸収を妨げる能力は、組成物中に熱によって凝固するタンパク質を含むことに起因すると考えられる。このタイプのタンパク質を用いると、タンパク質のうちの少なくとも一部が熱変性させられた後で、ゲルまたは膜が形成される。ゲル形成は代表的に、多数の連続的な反応を含む:(1)タンパク質分子が変性されるようになる;(2)変性した分子が凝集して、(ほぼ球形または細長い)粒子が形成される;そして(3)これらの粒子が、その後さらに凝集して、空間を満たす網目構造を形成する。したがって、膜形成では、タンパク質は、可溶性であって、油−水界面に迅速に拡散し得、この油−水界面で再度方向を変え、ある程度ほどけ、その後、拡散することができ、1種または複数の部分が、無極性油相を占めるべきである。凝集性の膜を形成するために、広範な相互作用が、連続した分子の間で(すなわち、分子間相互作用)生じるべきである。したがって、こうして形成されるコーティングは、食材の脂肪浸透性または油浸透性を低下させることが可能である。
【0103】
熱によって凝固する例示的なタンパク質としては、ホエータンパク質、卵アルブミン、ミオシン、カゼイン(1種または複数)およびダイズタンパク質が挙げられるがこれらに限定されない。
【0104】
本明細書で提供されるある種の食品調製方法には、一般に、食材を提供することと、次いで、食材にコーティングを適用することが含まれる。コーティングは代表的に、アルドビオネート生成物および熱によって凝固するタンパク質を含有する。あるいは、アルドビオネート生成物は、コーティングを食材上に沈着させた後で加えてもよい。熱によって凝固するタンパク質は代表的に、少なくとも2、3、4、または5重量%のコーティング組成物を含む。コーティング組成物中のタンパク質濃度は代表的に、40、45、50、または55重量%を超えない。したがって、代表的なタンパク質濃度は、2〜55重量%である。以下でより詳細に述べる通り、利用される特定のタンパク質濃度レベルは、組成物が食材に適用される方式に、および他の成分(例えば、バターまたはパン粉)が、コーティング組成物の一部であるかどうかということに、ある程度依存する。
【0105】
コーティングは代表的に、所定の用途に適した所望のホエータンパク質濃度を得るために、ホエータンパク質供給源材料のホエータンパク質濃度を(例えば、濃縮または希釈することによって)調整することによって調製される。コーティング中のアルドビオネート生成物の濃度も調整され得る。いくつかの例では、ある種のホエータンパク質供給源材料を、直接使用することができる。
【0106】
「ホエータンパク質供給源材料」は一般に、ホエー、酸性ホエー、スイートホエー、濃縮ホエー、乾燥ホエー、減ラクトースホエー、減ミネラルホエー、ホエータンパク質濃縮物、高ゲルホエー、加水分解ホエー、ホエーからの特定のタンパク質(例えばα−ラクトアルブミンおよびβ−ラクトグロブリン)、ならびに1種または複数の前述供給源の組み合わせ、および前述供給源から得られる供給源などの供給源を指す。これらの供給源材料は、必要に応じて、例えば、濃縮された、希釈された、インスタント化された、あるいは塊にされた形であってよい。「ホエー組成物」は、ホエータンパク質および必要に応じてさらなる成分(デンプン、バター、パン粉、香料、テクスチャライザー、および安定化剤など)を含む組成物である。したがって、ホエー組成物は、単なる前述のホエータンパク質供給源材料のうちの1つ、またはこうした供給源材料の1種または複数の他の成分との混合物であり得る。
【0107】
ホエー組成物は、ホエータンパク質濃縮物(例えば、80%ホエータンパク質)から、代表的にはそれを(例えば、水または油で)希釈して所望のホエータンパク質濃度の組成物を得ることによって調製され得る。この希釈された溶液はまた、1種または複数のさらなる成分(例えば、パン粉、バター、および/またはデンプン)と必要に応じて混合することができる。特定の適用方式のための異なるホエーコーティング組成物のさらなる例示的な例を、以下でさらに詳細に記述する。
【0108】
これらのコーティングは、様々な異なる食材に適用され得る。コートされる食材の最初の調製は、コートされる食材の特定のタイプに適した、食品業界で一般的に公知である方法に従う。したがって、例えば、食材は、洗浄され、あるサイズに切断され、そして/または、その食材のための成分が、コートされる食品下地を調製するために組み合わされる。必要に応じて、食品の水分含有量を、所望の範囲に調整してもよく、そして/または、コーティングを適用する前に、食品を部分加熱(parfry)する(すなわち、部分的に調理する)ことができる。
【0109】
組成物は、当分野で利用される本質的に任意の技術を使用して、食材上にコートすることができる。適切なアプローチの例としては、噴霧、浸漬、かけること、およびはけ塗りが挙げられる。食材は、必要に応じてバター処理および/またはパン粉処理することができる。これは、食材へのコーティング組成物の適用前、適用中、または適用後に行うことができる。したがって、例えば、食材は、最初にコーティング組成物でコートし、その後、バターおよび/またはパン粉を適用することができる。あるいは、バターおよび/またはパン粉の層を適用した後、コーティング組成物を適用し、最後に、バターおよび/またはパン粉のもう1つの層を適用する。こうした方法は代表的に、最初に下地にバターの層を適用し、次にコーティング組成物を適用し、最後にパン粉の層を適用することを含む。さらに別の選択肢は、バターおよび/またはパン粉を適用し、次いで、コーティング組成物を適用することである。上記の通り、コーティング組成物自体が、バターおよび/またはパン粉を含むことができる。この場合、コーティング組成物とバターおよび/またはパン粉とは、同時に適用される。
【0110】
コーティング組成物が適用された後、コートされた食材を、必要に応じて乾燥させ、そして/または過剰なコーティング組成物を除去するために、そして、コーティング組成物を吸収させるために静置する。コートされた食材は、その後、必要に応じて凍結または部分加熱して、その後の使用のために保存され得る。
【0111】
一旦食材が出されると、これは、コート中のタンパク質を変性させるのに十分に熱い温度に加熱され得る。上で述べた通り、生じた変性タンパク質は、その後広がり、膜を形成し、この膜は、食材の間隙率を減少させ、下にある食材による油および脂肪の吸収を制限する。下地を加熱するために、調理業界に利用されるいかなる加熱手順も利用することができる。代表的に、加熱は、脂肪または油の存在下で達成される。適切な加熱選択肢の例としては、揚げること(たっぷりの脂肪で揚げることを含めて)、放射式オーブンまたは対流式オーブンを用いる加熱、電子レンジ調理、蒸し、高圧押し出し成形、および回転ドラムでの加熱が挙げられるがこれらに限定されない。食材コーティングおよびコーティング技術は、代理人整理番号が040179−000100USである、2003年10月29日に出願された「Coated Food Products and Methods of Producing Coated Food Products with Reduced Permeability to Fat and Oil」という発明の名称の本発明と同一の譲受人に譲渡された米国仮特許出願第60/515,917号(その全内容は、あらゆる目的のために本明細書中に参考として援用される)に記載されている。
【0112】
(VII.アルドビオネート生成物を作製する方法)
アルドビオネート生成物は、オキシドレダクターゼ酵素を用いる乳製品の処理を介して、(食品業界のためにも非食品業界のためにも)産生することができる。乳製品は、オキシドレダクターゼ酵素の酵素的作用によって、アルドビオネート生成物に触媒的に変換される還元糖を含む。オキシドレダクターゼ酵素としては、他のオキシダーゼ酵素の中でも、ヘキソースオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、およびラクトースオキシダーゼが挙げられ得る。酵素によって酸化され得る還元糖を含む乳製品としては、全乳、脱脂乳、チーズ、ホエー、ホエー残留物、乳残留物、透過液、ラクトース、および脱ラクトース透過液が挙げられ得る。この酵素によって産生されるアルドビオネート生成物としては、とりわけ、アルドビオン酸ナトリウム、アルドビオン酸カルシウム、アルドビオン酸アンモニウム、アルドビオン酸マグネシウム、およびアルドビオン酸カリウムを含め、アルドビオン酸およびアルドビオン酸塩が挙げられ得る。アルドビオネート生成物としては、ラクトビオン酸およびラクトビオン酸塩、ならびにラクトラクトンのような非還元糖も含まれる。
【0113】
図1は、還元糖を含有する乳製品からアルドビオネート生成物を生成する方法のある実施形態(100)を示すフローチャートを示す。方法100は、還元糖を含有する乳製品を提供し(102)、そして酸素を乳製品に混入する(104)ことによって開始する。酸素は、乳製品全体を通して、還元糖の、アルドビオネート生成物への、より完全かつ均一な触媒作用を促進するために供給される。ここで混合をしなければ、オキシドレダクターゼの触媒作用は、周囲の空気と接する乳製品の表面周辺で、しばしば、より活性であり、こうした表面から最も遠く離れた位置で最も活性が低い。酸素を乳製品に混入させるための技術としては、他の技術の中でも、乳製品に酸素源(例えば、空気、精製された酸素など)を注入する技術、乳製品に酸素を泡立たせる技術(乳製品が液体または水性混合物である場合)、そして/または酸素を含有する環境で乳製品を混合または攪拌する技術が挙げられ得る。
【0114】
乳製品に酸素を混入することに加えて(またはその代わりに)、乳製品のpHを、緩衝剤化合物を用いて調整する(106)ことができる。オキシドレダクターゼ触媒作用のアルドビオネート生成物としては、周囲の乳製品のpHを低下させ得るアルドビオン酸が含まれる。場合によっては、pHは、触媒作用反応がもはや好まれないところまで低下する可能性があり、そして/または他の望ましくない状態(例えば、乳製品があまりにすっぱくなる、など)が出現し始める可能性がある。乳製品反応環境のpHを、所望の範囲(例えば約5.5以上のpH)に調節および/または維持するために、緩衝剤化合物が加えられる。緩衝剤化合物としては、他の緩衝剤化合物の中でも、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、および水酸化ナトリウムが挙げられ得る。
【0115】
還元糖の触媒による変換を開始するために、オキシドレダクターゼ酵素を、乳製品に加える(108)。提供されるオキシドレダクターゼ酵素の量は、乳製品中の還元糖1キログラムあたり、重量で約0.1グラムから約20グラムであり得る。オキシドレダクターゼ触媒作用は、還元糖、水、および酸素で開始し、触媒によって、ラクトンと過酸化水素とに変換される。ラクトンは、その後加水分解されて、アルドビオン酸が形成され得、そして反応性の過酸化物は、様々な反応に含まれ得る。カタラーゼ酵素を、乳製品に加えて(110)、過酸化物副産物を、分子状酸素と水とに変換することができる。カタラーゼ酵素によって産生される酸素は、オキシドレダクターゼ触媒作用のためのさらなる酸素の供給源を提供し得、還元糖をアルドビオネート生成物に変換するための、自給的な触媒サイクルを構築することができる。
【0116】
オキシドレダクターゼ酵素の触媒活性によって、乳製品が、アルドビオネート生成物の水性混合物に変換される(112)。いくつかの実施形態では、オキシドレダクターゼ酵素は、乳製品中のすべての還元糖をアルドビオネート生成物に変換するのに対して、他の実施形態では、決してすべての還元糖は変換されず、アルドビオネート生成物および残存する還元糖の両方を含む水性混合物が残される。この水性混合物を、乾燥させて、固形のアルドビオネート生成物を形成する(114)ことができ、これを、食品添加物、および/または非食品関連の用途(例えば、化粧品、界面活性剤、移植臓器保存用化合物など)として使用することができる。乾燥技術としては、加熱された範囲に水性混合物を噴霧する技術が挙げられ得、ここで、アルドビオネート生成物から水分が蒸発し、乾燥粉末が形成される。
【0117】
ここで図2を参照すると、アルドビオネート生成物を作製する方法の別の実施形態(200)を示しているフローチャートが示されている。この方法200は、還元糖を含む乳製品を提供する(202)ことを含む。乳製品は、透過液と残留物とに分離する(204)ことができる。例えば、乳製品が生乳である場合、透過液は、還元糖およびミネラルを含み得、残留物は、乳タンパク質、還元糖、ミネラル、および乳脂肪を含み得る。別の例では、乳製品がカードとホエーとの分離から得られる生ホエーである場合、透過液は、ホエー透過液であり(これは、還元糖およびミネラルを含み得る)、残留物は、ホエータンパク質濃縮物である(これは、還元糖を含み得る)。
【0118】
乳製品透過液および残留物の両方を処理して、還元糖のうちの少なくとも一部を、アルドビオネート生成物(例えば非還元糖など)に変換することができる。透過液に酸素を混入する(206)ことができ、そして/または透過液のpHを緩衝剤化合物の添加によって調整する(208)ことができる。オキシドレダクターゼ酵素を透過液に加えて(210)、還元糖を変換し、アルドビオネート生成物を含む水性混合物を形成させる(212)。この水性混合物を乾燥させて、固形(例えば、粉末状)のアルドビオネート生成物を形成する(214)ことができる。
【0119】
同様のオキシドレダクターゼ処理を、残留物に実施することができる。残留物に酸素を混入(例えば注入)する(216)ことができ、そして/または残留物のpHを緩衝剤化合物の助けを借りて調整する(218)ことができる。オキシドレダクターゼ酵素を残留物に加えて(220)、存在する還元糖をアルドビオネート生成物に変換する(222)ことができる。残留物を含有するアルドビオネート生成物を乾燥させて、乾燥したアルドビオネート生成物を形成する(224)ことができる。
【0120】
図3は、アルドビオネート生成物を作製する方法の別の実施形態(300)を示す。方法300も、乳製品を提供する(302)ことで開始し、乳製品中の還元糖の一部を結晶化させ(304)、結晶化した還元糖と脱ラクトース透過液の混合物を形成させる。糖結晶化技術としては、溶解した還元糖が溶液から晶出し始める温度まで乳製品を冷却する技術が挙げられ得る。結晶化した還元糖を、脱ラクトース透過液(DLP)からデカンテーションして、分離された糖スラリーを形成する(306)ことができる。糖スラリーおよび脱ラクトース透過液のうちのいずれかまたは両方を、オキシドレダクターゼ酵素で処理し、アルドビオネート生成物を作製することができる。
【0121】
糖スラリーの場合、スラリーと酸素を混合することができ(308)、そして/または、緩衝剤化合物の添加によって、スラリーのpHを調節する(310)ことができる。スラリーに、オキシドレダクターゼ酵素を加えて(312)、還元糖を変換させ、アルドビオネート生成物を含むスラリーを形成させる(314)。このスラリーを乾燥させて、固形(例えば、粉末状)のアルドビオネート生成物を形成する(316)ことができる。
【0122】
脱ラクトース透過液はまた、アルドビオネート生成物に変換され得る残存する還元糖を含有する。このプロセスは、脱ラクトース透過液に酸素を混合する(318)ことを含み、そして/または透過液のpHを、緩衝剤化合物の添加によって調整する(320)ことができる。オキシドレダクターゼ酵素を脱ラクトース透過液に加えて(322)、還元糖を変換させ、アルドビオネート生成物を含む水性混合物を形成させる(324)。この混合物を乾燥させて、固形(例えば、粉末状)のアルドビオネート生成物を形成する(326)ことができる。
【0123】
ここで図4を参照すると、還元糖を複数の段階でアルドビオネート生成物に変換する方法を組み込んだ、チーズ製造プロセスの実施形態400が示されている。このプロセス400は、乳製品402を取得することで開始し、これを、従来のチーズ製造プロセスに従って、カードおよびホエー404に変換する。カード408を分離し、チーズ410に変化させることができる。生ホエー406は、ラクトビオネートホエー420などのアルドビオネート生成物に変換され得、そして/または、濾過して(422)、ホエー透過液424とホエー残留物426とにすることができる。
【0124】
生ホエー406は、ホエー406に加えられるオキシドレダクターゼ酵素412(これは、存在する還元糖のうちの少なくとも一部をラクトビオン酸およびラクトビオン酸塩に触媒的に変換する)によって、ラクトビオンネートホエー420に直接的に変換される。このプロセスはまた、ホエー406に酸素414を混入すること、および/または触媒作用中のホエー406のpHを制御するために緩衝剤化合物418を加えることも含むことができる。
【0125】
ホエー透過液426および残留物424はまた、アルドビオネート生成物に変換することができる。オキシドレダクターゼ酵素428によって残留物424中の還元糖がアルドビオネート生成物に変換される場合は、残留物424を酸素430および緩衝剤化合物432と混合し、残留物424を、ラクトビオネートホエータンパク質濃縮物434に変えることができる。同様に、透過液426を、酸素430、緩衝剤432、およびオキシドレダクターゼ酵素428と混合させて、アルドビオネート生成物を含む、ラクトビオネート透過液436を形成することができる。
【0126】
ホエー透過液426をまた処理して、還元糖の一部を結晶化させ(438)、得られる混合物を、結晶化したラクトース442と脱ラクトース透過液(DLP)444とに分離する(440)ことができる。ラクトース442およびDLP444は両方とも、アルドビオン性(aldobionic)生成物に変換され得る。ラクトース442は、オキシドレダクターゼ酵素446、酸素448、およびpH緩衝剤化合物450と混合することができる。このプロセスによって、ラクトース固形物がラクトビオネート生成物452に、そして脱ラクトース透過液がラクトビオネートDLP454に変換される。
【0127】
図5は、還元糖を複数の段階でアルドビオネート生成物に変換する方法を組み込んだ、乳製品を作製するためのプロセスの実施形態500を示す。このプロセス500は、生乳502を取得することで開始し、脂肪を分離して(504)、脱脂乳506を作製する。分離された脂肪は、クリーム508などの乳製品を作製するために使用することができるのに対して、脱脂乳は、ラクトビオネート脱脂乳520に変換され得、そして/または、濾過して(522)、脱脂乳残留物524と透過液526とにされ得る。
【0128】
脱脂乳506は、乳506に加えられるオキシドレダクターゼ酵素512(これは、存在する還元糖のうちの少なくとも一部をラクトビオン酸および/またはラクトビオン酸塩に触媒的に変換する)によって、ラクトビオネート脱脂乳520に直接的に変換される。このプロセスはまた、乳506に酸素514を混入すること、および/または触媒作用中の乳506のpHを制御するために緩衝剤化合物518を加えることも含むことができる。
【0129】
脱脂乳透過液526および残留物524はまた、アルドビオネート生成物に変換することができる。オキシドレダクターゼ酵素528によって残留物524中の還元糖がアルドビオネート生成物に変換される場合は、残留物524を酸素530および緩衝剤化合物532と混合し、残留物524をラクトビオン酸乳濃縮タンパク質534に変えることができる。同様に、透過液526を、酸素530、緩衝剤532、およびオキシドレダクターゼ酵素528と混合させて、アルドビオネート生成物を含む、ラクトビオネート透過液536を形成することができる。
【0130】
脱脂乳透過液526をまた処理して、還元糖538のうちの一部を結晶化させ(538)、得られる混合物を、結晶化したラクトース542と脱ラクトース透過液(DLP)544とに分離する(540)ことができる。ラクトース542およびDLP544は両方とも、アルドビオン性生成物に変換することができる。ラクトース542は、オキシドレダクターゼ酵素546、酸素548、およびpH緩衝剤化合物550と混合することができる。このプロセスによって、ラクトース固形物がラクトビオン酸生成物552に、そして脱ラクトース透過液がラクトビオネートDLP554に変換される。
【0131】
図4および図5に記述されるプロセス400およびプロセス500について、非常に多くのバリエーションが可能であることが理解される。例えば、生ホエー406および脱脂乳506は、最初に残留物と透過液とに分離されずに還元糖結晶化プロセスを受けてもよい。さらに、実際のプロセスは、アルドビオネート生成物を作製するための1種または複数の経路を省略してもよい。
【0132】
(VIII.チーズおよび他の食品生成物を包装する方法)
チーズおよび他の食品生成物を包装する従来方法は、しばしば、食品生成物が、無酸素環境中に包装されることを必要とする。代表的に、食品生成物は、密閉される前に酸素がパージされた気密包装(例えば、密閉されたプラスチック)中で保存される。パージプロセスによって、余分な費用および食材の包装に対する複雑さが追加されるが、この費用は、包装された食品の貯蔵寿命がより長くなることによって、通常相殺される。
【0133】
酸素を含み得る環境中で食品生成物(例えば、チーズ)を保存するための方法が想定される。包装方法は、食品の貯蔵寿命を改良する保存剤として、食品生成物にオキシドレダクターゼ酵素を提供することを含み得る。オキシドレダクターゼ酵素は、食品と接する酸素を利用して、還元糖の、アルドビオン酸および過酸化水素への酸化を触媒する。過酸化水素は、続いて、食品生成物の保存を助ける。さらなる酸素の存在によって、より多くの過酸化水素の産生が可能になるので、オキシドレダクターゼ酵素の保存効果は、酸素の濃度の増大と共に向上される。
【0134】
チーズは、オキシドレダクターゼ酵素を噴霧してもよく、またはオキシドレダクターゼ酵素でコートしてもよい。チーズは、保存容器(例えば、プラスチック製の袋)に入れる前または後にコートされ得る。シュレッドチーズについては、オキシドレダクターゼ酵素を、包装中でチーズが固まるのを防止するために、固結防止剤と共に加えることができる。さらなる添加物および保存剤も、オキシドレダクターゼ酵素と共に混合されてチーズに提供され得る。
【実施例】
【0135】
(実施例1)
約19%ラクトースを含有する脱ラクトース透過液(DLP)を水と組み合わせて5%ラクトース溶液を生じることによって、ラクトビオン酸カルシウムを生成させた。ラクトースオキシダーゼ(Novozymes A/S、デンマーク)を、酵素425ユニット/kgラクトースの割合で加え、一方、カタラーゼ(Catazyme 25 L、Novozymes A/S、デンマーク)を、6g/kgラクトースの割合で加えた。この溶液を、5モルの水酸化カルシウムを使用して、6.4〜6.6の間のpHで、少なくとも3.2mgの酸素/Lの溶存酸素含有量で、111°F(43.9℃)で保持した。キャピラリー電気泳動によって決定したところ、この反応によって、ラクトースが、ラクトビオン酸カルシウムに完全に変換された。ラクトビオン酸カルシウムのこの溶液を、その後噴霧乾燥させて、チーズに加えた。
【0136】
チーズは、スターター培養物、食品用化工デンプン、および2%ラクトビオン酸カルシウムを使用して、従来通りに製造した(53%水分、47FDB、pH5.35、1.80%塩)。このチーズを、その後シュレッドして凍結した(QLCTM)。
【0137】
凍結されたチーズの2ポンドのサンプルバッグを、3ozのピッツァソースと共に10.80ozのチーズを使用する、ディープディッシュクラスト上で溶融されるまで、冷却器中で40°F(4.4℃)で保存した。このピッツァを、11分30秒間、420°F(215.6℃)で、Middleby Marshallオーブンにおいて調理した。
【0138】
溶融したピッツァ(チーズと混合した2%ラクトビオン酸カルシウムと、チーズと脱脂粉乳粉末とを混合した対照のチーズを有する)を、火ぶくれ(blister)の色、火ぶくれの%、および火ぶくれのサイズについて評価した。結果を表1に示す。
【0139】
表1から、ラクトビオン酸カルシウムの添加は、食品用化工デンプンと乾燥粉乳との組み合わせのうちの2%までを置き換えた場合でも、食品用化工デンプンと乾燥粉乳との組み合わせと比較して、火ぶくれ形成(火ぶくれの色、%、およびサイズ)の減少において有意な効果を有することが明白である。
【0140】
【表1】

(実施例2)
Leprino Foodsからの、ラクトースの酵素的変換によって生成されたラクトビオン酸カルシウム粉末を、チーズに組み込んだ。チーズを、スターター培養物、食品用化工デンプン、および2%ラクトビオン酸カルシウムを使用して、従来通りに製造した(53%水分、47FDB、pH5.35、1.80%塩)。このチーズを、その後シュレッドして凍結した(QLCTM)。
【0141】
凍結されたチーズの2ポンドのサンプルバッグを、3ozのピッツァソースと共に10.80ozのチーズを含むディープディッシュクラスト上で溶融されるまで、冷却器中で40°F(4.4℃)で保存した。このピッツァを、11分30秒間、420°Fで、Middleby Marshallオーブンにおいて調理した。
【0142】
溶融したピッツァ(チーズと混合した2%ラクトビオン酸カルシウムと、チーズと脱脂粉乳粉末とを混合した対照のチーズを有する)を、火ぶくれの色、火ぶくれの%、および火ぶくれのサイズについて評価した。結果を表2に示す。
【0143】
表2から、ラクトビオン酸カルシウムの添加は、食品用化工デンプンと乾燥粉乳との組み合わせのうちの2%までを置き換えた場合でも、食品用化工デンプンと乾燥粉乳との組み合わせと比較して、火ぶくれ形成(火ぶくれの色、%、およびサイズ)の減少において有意な効果を有することが明白である。
【0144】
【表2】

記述してきたものに対して、様々な改変、代替の構築、および等価形態を実施できることは、当業者によって認識される。さらに、多数の周知のプロセスおよび要素は、説明を必要以上に不明瞭にするのを回避するために記述しなかった。
【0145】
数値の範囲が提供される場合、文脈で別に明らかに定義しない限り、その範囲の上限と下限との間にある各数値も、下限の単位の10分の1までが具体的に開示されているということを理解されたい。任意の記載した数値または記載した範囲の間にある数値と、他の任意の記載した数値またはその記載した範囲の間にある数値との間のより小さいそれぞれの範囲も、想定される。こうしたより小さい範囲の上限および下限の限界は、範囲内に独立に含まれてもよく、除外されてもよく、そして、どちらかの限界または両方の限界が、より小さい範囲に含まれる(あるいは、どちらの限界も含まれない)場合の各範囲も、記載した範囲内での任意の特別な除外される限界を行って、想定される。記載した範囲が上限と下限の片方または両方を含む場合、これらの含まれる上限および下限のうちの片方または両方を除く範囲も含まれる。
【0146】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈で別に明らかに規定しない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「a process」に対する言及は、複数のこうしたプロセスを含み、「the electrode」に対する言及は、1つまたは複数の電極、および当業者に知られているその等価物への言及を含む、などである。
【0147】
また、用語「を含む(comprise)」、「を含んでいる(comprising)」、「が挙げられる(include)」、「が挙げられる(including)」、および「が挙げられる(includes)」は、この明細書、および以下の請求項で使用される場合、記載した特徴、整数、成分、または工程の存在を指定することが想定されるが、これらは、1つまたは複数の他の特徴、整数、成分、工程、またはグループの存在または追加を排除するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−178761(P2010−178761A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119913(P2010−119913)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【分割の表示】特願2007−520472(P2007−520472)の分割
【原出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(591242210)レプリノ フーズ カンパニー (6)
【Fターム(参考)】