説明

オキシラン化合物の重合触媒、およびそれを用いたオキシラン化合物重合体の製造方法

【課題】オキシラン化合物の重合に対し優れた活性を示す触媒を提供し、また、該触媒の存在下に高分子量のオキシラン化合物重合体を高い収率で製造することが出来る方法を提供する。
【解決手段】オキシラン化合物の重合触媒は、(A)アルミニウム化合物と、(B)分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物と、及び(C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体の反応生成物を含むことを特徴とする。オキシラン化合物重合体の製造方法は、該触媒の存在下に単量体オキシラン化合物を重合せしめ、オキシラン化合物の重合体を製造する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリン、アリルグリシジルエーテル等のオキシラン化合物の重合体を製造するための触媒および重合用触媒を用いたオキシラン化合物の重合体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オキシラン化合物の重合体は、原料となるオキシラン化合物の選択により、様々な性質を持つポリマーとなるため、自動車用ゴム部品、電気、電子機器用ゴム部材、各種プラスチックブレンド用ポリマー、高分子固体電解質などの非常に広範な分野で使用されている。
【0003】
オキシラン化合物を重合せしめる触媒としては、フッ化ほう素、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化鉄などのルイス酸触媒が知られている。これらの触媒を用いて重合を行うと、連鎖移動反応のような種々の副反応を伴うため、比較的低分子量(例えば分子量数千から数万)の重合体しか得られない。
【0004】
ゴム工業などの特定分野で有用な高分子量の重合体を得るには、触媒として、アルキル亜鉛と水の反応生成物、有機スズ化合物とリン酸エステルの反応生成物、アルキルアルミニウムと水の反応生成物、アルキルアルミニウムとリン酸化合物の反応生成物を用いることが広く知られている。特にアルキルアルミニウムを用いた触媒としては、アルキルアルミニウムと水の反応生成物に、更にアセチルアセトンのようなキレート剤を加えた触媒(例えば、非特許文献1)、アルキルアルミニウムとリン酸化合物の反応生成物に、更にアミン化合物、有機リン化合物および/または有機ヒ素化合物からなる第3成分を加えた触媒(特許文献1)、また、アルキルアルミニウムとリン酸化合物の反応生成物に、N−エチルモルフォリンなどのN−置換モルフォリンを加えた触媒(特許文献2)や同反応生成物に1,8−ジアザビシクロ[5, 4, 0]−7−ウンデセンを加えた触媒(特許文献3)が高分子量のオキシラン化合物重合体を得るのに優れた触媒として提案されている。
【非特許文献1】J. Polym. Sci. A-1, 1969, 7, 525
【特許文献1】特公昭46−27534号公報
【特許文献2】特公昭56−8852号公報
【特許文献3】特公昭56−51171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
重合用触媒は現在まで様々な検討がされているが、高収率で高分子量のオキシラン化合物重合体が得ることができる重合用触媒が常に求められており、また、従来の触媒においてはオキシラン化合物の単独重合において結晶性の高い重合体を与え、特にエピハロヒドリンの単独重合では結晶性の高い樹脂状の重合体を与えるため、得られた重合体はゴムとして工業的に使用するには困難であるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記諸問題に鑑み、オキシラン化合物の重合において、高収率で高分子量のオキシラン化合物重合体を得ることができる重合用触媒を提供することであって、特にオキシラン化合物の単独重合に用いた場合であっても、優れた活性を示すとともに、結晶性の低い高分子量のオキシラン化合物重合体を与える触媒を提供し、また、ゴムとして工業的に使用することができる高分子量のオキシラン化合物重合体の製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、従来提案されてきたアルミニウム化合物とリン酸化合物よりなる重合用触媒を、水酸基及びフッ素原子を有する化合物で修飾することにより、高収率で高分子量のオキシラン化合物重合体を得ることができる重合用触媒を与えることを見出すとともに、オキシラン化合物の重合体の製造において、本発明の重合用触媒を使用すると、結晶性の低いオキシラン化合物の重合体を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
[1](A)アルミニウム化合物、(B)分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物、及び(C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体の反応生成物を含むことを特徴とするオキシラン化合物の重合用触媒;
[2](A)アルミニウム化合物が、一般式[I]で示される、上記[1]記載のオキシラン化合物の重合用触媒;
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基であり、Xは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、nは0〜3の整数である。);
[3](B)分子内に水酸基を少なくとも一つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物が、炭素数1〜8のフッ素置換モノアルコール類、及び炭素数6〜8のフッ素置換フェノール類より成る群から選ばれる化合物の少なくとも1種である上記[1]又は[2]に記載のオキシラン化合物の重合用触媒;
[4](C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体が、下記一般式[II]、または[III]で示される、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のオキシラン化合物の重合用触媒;
【0011】
【化2】

[II]
【0012】
【化3】

[III]
【0013】
(式中、R、R、及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基である。);
[5]下記の一般式[IV]で示されるオキシラン化合物の一種以上を含むを含む単量体の重合用触媒である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のオキシラン化合物の重合用触媒;
【0014】
【化4】

[IV]
【0015】
(式中、mは0または1である。Rは水素原子又は、それぞれ置換基を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基、アルケニル基、または(メタ)アクリロイル基であり、該置換基はハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基またはメトキシエトキシ基である。);
【0016】
[6]オキシラン化合物を重合せしめて、オキシラン化合物の重合体を製造するに際し、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の触媒を用いることを特徴とするオキシラン化合物重合体の製造方法;
【0017】
[7]オキシラン化合物を、重合によって得られるオキシラン化合物の重合体が不溶な有機溶媒中で触媒の存在下に懸濁析出重合せしめて、オキシラン化合物の重合体を製造する、上記[6]に記載のオキシラン化合物重合体の製造方法;
【0018】
[8](A)アルミニウム化合物、(B)分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物、及び(C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体を、無溶媒または不活性溶媒中で反応させることを特徴とする、オキシラン化合物の重合用触媒の製造方法;
【0019】
[9](A)アルミニウム化合物と(B)分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物とを反応させ、次いで、この反応生成物に(C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体を反応させる、上記[8]記載のオキシラン化合物の重合用触媒の製造方法;
【0020】
[10]重量平均分子量が、50×10以上500×10以下であり、かつ結晶融解熱量が、10J/g以下である、オキシラン化合物の重合体;
[11]下記一般式[IV]で示されるオキシラン化合物の一種以上を含むを含む単量体の重合体である、上記[10]記載の重合体;
【0021】
【化5】

[IV]
【0022】
(式中、mは0または1である。Rは水素原子又は、それぞれ置換基を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基、アルケニル基、または(メタ)アクリロイル基であり、該置換基はハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基またはメトキシエトキシ基である。);等に関する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の重合用触媒を用いることにより、オキシラン化合物の重合において、高収率で高分子量のオキシラン化合物重合体を得ることができ、オキシラン化合物の単独重合に用いた場合であっても、結晶性の低い高分子量のオキシラン化合物重合体を得ることができる。本発明の重合用触媒で得られたオキシラン化合物重合体は自動車用ゴム部品、電気、電子機器用ゴム部材、各種プラスチックブレンド用ポリマー、高分子固体電解質などの非常に広範な分野で高品質のオキシラン化合物重合体として使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の構成について詳細に説明する。
重合用触媒
本発明の重合用触媒は、(A)アルミニウム化合物、(B)分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物、及び(C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体を反応させて得られる反応生成物を含むものである。
【0025】
(A)アルミニウム化合物
本発明に使用される(A)アルミニウム化合物としては、アルキルアルミニウム、アルキルアルミニウムハライド、アルミニウムハライドであることが好ましく、より好ましくは、下記一般式[I]で表されるアルミニウム化合物を例示することができる。
【0026】
【化6】

【0027】
(式中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基であり、Xは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、nは0〜3の整数である。)
炭化水素基としては、炭素数1〜8(好ましくは、炭素数1〜6)のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ノルマルペンチル基、ノルマルヘキシル基、ノルマルヘプチル基、ノルマルオクチル基等が挙げられる。
【0028】
本発明に使用される(A)アルミニウム化合物を具体的に例示すると、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、アルミニウムトリクロライド、アルミニウムトリブロマイド、アルミニウムトリフルオライド、アルミニウムトリアイオダイドなどが挙げられ、これらは用いる単量体オキシラン化合物に応じてそれぞれ単独、または2種類以上の組み合わせで用いることができる。
【0029】
(B)分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物(以下、フッ素置換化合物と略称する。)
本発明において使用される(B)フッ素置換化合物は、分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する有機化合物であれば特に限定はなく、有機化合物としては、炭化水素化合物(例、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素、炭素数6〜8の芳香族炭化水素)が好ましい。
フッ素置換化合物は、水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有していればよく、好ましくは、水酸基を1〜2個有し、フッ素原子を1〜9個有し、より好ましくは、水酸基を1個有し、フッ素原子を5〜9個有する。
本発明において使用される(B)フッ素置換化合物としては、炭素数1〜8(好ましくは、炭素数1〜6個)のフッ素置換モノアルコール類、炭素数6〜8(好ましくは、炭素数6)のフッ素置換フェノール類であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明において使用される(B)フッ素置換化合物を具体的に例示すると、パーフルオロメタノール、パーフルオロエタノール、パーフルオロプロパノール、パーフルオロイソプロパノール、パーフルオロノルマルブタノール、パーフルオロターシャリーブタノール、パーフルオロノルマルヘキサノール、パーフルオロフェノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン−1−オール、2,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブタン−1−オール、1,1,1,3,3,4,4,4−オクタフルオロブタン−2−オール、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキサン−1−オール、2,3,5,6−テトラフルオロフェノール、2,4,6−トリフルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノールなどがあげられる。
【0031】
(C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体(以下、リン酸誘導体と略称する。)
本発明で使用される(C)リン酸誘導体は、分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するものであればよく、水酸基及び/又はアルコキシ基の数は、好ましくは、2または3個である。
アルコキシ基としては、炭素数1〜8(好ましくは、炭素数1〜6)のアルコキシ基が好ましく、例えば、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ノルマルプロポキシ基、イソプロポキシ基、ノルマルブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ノルマルペンチルオキシ基、ノルマルヘキシルオキシ基、ノルマルヘプチルオキシ基、ノルマルオクチルオキシ基等が挙げられる。
【0032】
本発明で使用される(C)リン酸誘導体は、好ましくは、下記一般式[II]、または[III]で表すことができる。
【0033】
【化7】

[II]
【0034】
【化8】

[III]
【0035】
(式中、R、R、及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜8(好ましくは、炭素数1〜6)のアルキル基である。)
【0036】
本発明の重合触媒において使用される(C)リン酸誘導体を具体的に例示すると、トリノルマルブチルリン酸エステル、ジノルマルブチルリン酸エステル、モノノルマルブチルリン酸エステル、リン酸、トリエチルリン酸エステル、トリメチルリン酸エステル、ホスホン酸、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ノルマルプロピルホスホン酸、ノルマルブチルホスホン酸などが挙げられる。
【0037】
重合用触媒の製造方法
本発明の重合用触媒の合成方法としては、(A)アルミニウム化合物、(B)フッ素置換化合物、および(C)リン酸誘導体を、溶媒中または無溶媒で反応させることによって製造することができ、これらの添加順序は特に限定されるものではないが、まず(A)アルミニウム化合物と(B)フッ素置換化合物とを反応させ、その後この反応生成物に(C)リン酸誘導体を反応させるのが好ましい。
【0038】
上記各反応の反応温度は、用いられるアルミニウム化合物、フッ素置換化合物、およびリン酸誘導体によって適宜選択されるが、通常、−20〜60℃、好ましくは、0〜40℃の範囲内である。反応時間は、通常、1〜12時間、好ましくは3〜9時間である。
【0039】
触媒合成の反応は、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で無溶媒あるいは不活性溶媒中で行うのが好ましい。不活性溶媒は特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル類を挙げることができ、これらが単独あるいは2種類以上の混合溶媒として用いられる。
【0040】
上記の少なくとも(A)アルミニウム化合物、(B)フッ素置換化合物、および(C)リン酸誘導体を反応させて本発明の触媒を製造する際、(B)フッ素置換化合物の混合割合は、(A)アルミニウム化合物1モルに対して好ましくは0.8〜3モル、より好ましくは、1〜2モルである。(C)リン酸誘導体の混合割合は、(A)アルミニウム化合物1モルに対して好ましくは0.8〜2.5モル、より好ましくは1〜2モルである。これらの範囲外の混合割合では、得られる触媒のオキシラン化合物に対する重合活性が低下する傾向にある。
【0041】
オキシラン化合物の重合
本発明のオキシラン化合物の重合体の製造方法は、上記重合用触媒を用いて単量体オキシラン化合物を重合させることを特徴とし、オキシラン化合物の単量体及び重合体が共に可溶な有機溶媒中でオキシラン化合物を重合せしめる溶液重合法と、重合により得られたオキシラン化合物の重合体が不溶な有機溶媒中でオキシラン化合物を重合せしめ、得られた重合体を析出させる懸濁析出重合法等を適宜選択することができる。懸濁析出重合法は、重合時に単量体の濃度を高くすることができ、重合後の重合物と溶媒との分離が容易な点で好ましい。
【0042】
オキシラン化合物
上記の(A)アルミニウム化合物、(B)フッ素置換化合物、及び(C)リン酸誘導体の反応により得られた触媒は、オキシラン化合物の重合に非常に適している。重合せしめ得るオキシラン化合物としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、イソブチレンオキシド、ブタジエンモノオキシドなどのアルキレンオキシド類、エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、メタクリルクロリドオキシド、トリフルオロメチルエチレンオキシド、ジクロロイソブチレンオキシド、スチレンオキシドなどの置換アルキレンオキシド類、シクロヘキセンオキシド、ビニルシクロヘキセンオキシドなどの脂環状エポキシド類、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クロロエチルグリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、2−メトキシエチルグリシジルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エチルグリシジルエーテル、シクロヘキシルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのグリシジルエステル類などを挙げることができ、これらオキシラン化合物の一種を用いる単独重合でも、二種以上を用いる共重合であってもよい。
これらのうち、下記一般式[IV]で示されるオキシラン化合物の単独重合、あるいは2種類以上の共重合を行うと、重合速度が速く、また得られる重合体の結晶性が低くなり、ゴム用途に適した高分子量重合体が得られ好ましい。
【0043】
【化9】

[IV]
【0044】
(式中、mは0または1である。Rは水素原子又は、それぞれ置換基を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基、アルケニル基、または(メタ)アクリロイル基であり、該置換基はハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基またはメトキシエトキシ基である。)
ここで、アルキル基としては、炭素数1〜8(好ましくは、炭素数1〜6)のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ノルマルペンチル基、ノルマルヘキシル基、ノルマルヘプチル基、ノルマルオクチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
【0045】
シクロアルキル基としては、炭素数3〜8(好ましくは、炭素数4〜6)のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数7〜14(好ましくは、炭素数7〜12)のアラルキル基が好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数2〜8(好ましくは、炭素数2〜6)のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基、1−メチルビニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基等が挙げられる。
【0046】
懸濁析出重合
懸濁析出重合は、本発明の重合用触媒の存在下に、オキシラン化合物の単量体、および重合用触媒に不活性である有機溶媒中で、単量体オキシラン化合物を重合せしめて、オキシラン化合物の重合体を製造する方法である。
【0047】
単量体は有機溶媒に対して可溶であっても不溶であっても良いが、可溶である方が好ましい。このような溶媒の例としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルブチルエーテル、ジメトキシエタンなどのエーテル類などを挙げることができ、用いられるオキシラン化合物の種類および重合温度に応じて適宜選択される。好ましくは脂肪族炭化水素類が用いられる。
【0048】
単量体オキシラン化合物、有機溶媒および触媒の混合割合は、通常、オキシラン化合物の100重量部に対して、有機溶媒は通常、10〜5000重量部、好ましくは、100〜1000重量部であり、触媒は、通常、0.001〜10重量部、好ましくは、0.01〜5重量部の範囲内にある。
【0049】
重合温度は特に限定されるものではないが、通常、−20〜150℃、好ましくは、0〜100℃の範囲であり、触媒の活性、用いられる有機溶媒、およびオキシラン化合物の種類に応じて適宜選択される。
重合反応時間は、通常、1〜18時間、好ましくは、3〜12時間の範囲であり、触媒の活性、用いられる有機溶媒、およびオキシラン化合物の種類に応じて適宜選択される。
また、重合は通常撹拌下で行われる。
【0050】
また、オキシラン化合物の重合においては、(A)アルミニウム化合物、(B)フッ素置換化合物、及び(C)リン酸誘導体の反応により得られた本発明の重合用触媒とともに、重合せしめるオキシラン化合物に合わせて(主に収率、重量平均分子量、結晶化度を調整する目的で)、含窒素環状化合物、ホスフィン類、ケトン類などのルイス塩基性化合物を添加して用いてもよい。
【0051】
上記ルイス塩基性化合物として、例えば、2,4,6−トリメチルピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、4−メチルピリジン、2−メチルピリジンなどのアルキル置換ピリジン類;4−アミノ−3−ブロモピリジン、4−アミノ−3−メチルピリジン、2−アミノ−6−メチルピリジンなどのアミノ基含有ピリジン類;4−エトキシピリジン、4−メトキシピリジンなどのアルコキシピリジン類;N−エチルモルフォリン、N−メチルモルフォリンなどのN置換モルフォリン類;N、N−ジエチルアニリンなどのN、N置換アニリン類;1,10−ジメトキシ−3,8−ジメチル−4,7−フェナントロリンなどの置換フェナントロリン類;4−メチルイミダゾールなどの置換イミダゾール類;N、N−ジメチル−p−トルイジンなどの置換トルイジン類;2−エチル−2−ピロリンなどの置換ピロリン類、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィンなどのホスフィン類;シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ベンゾキノンなどのケトン類を挙げることが出来る。
【0052】
上記ルイス塩基性化合物の触媒への混合割合は、特に限定されないが、触媒100重量部に対して、通常、10〜500重量部、好ましくは20〜300重量部の範囲である。
【0053】
また、オキシラン化合物の重合においては、(A)アルミニウム化合物、(B)フッ素置換化合物、及び(C)リン酸誘導体の反応により得られた重合用触媒とともに、助触媒としてアルキルアルミニウムを用いることができる。アルキルアルミニウムの例として、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウムなどが挙げられる。
【0054】
上記の助触媒であるアルキルアルミニウムの触媒への混合割合は、特に定めないが、触媒100重量部に対して、通常、10〜1000重量部、好ましくは50〜500重量部の範囲である。
【0055】
オキシラン化合物の重合体
本発明の方法により製造されるオキシラン化合物の重合体は、高分子量であって、かつ結晶性が低く、自動車用ゴム部品、電気、電子機器用ゴム部材、各種プラスチックブレンド用ポリマー、高分子固体電解質などに使用される工業用ゴムとして優れた特性を有している。
アルキルアルミニウムとリン酸化合物の反応生成物等の従来の重合用触媒でも、高分子量のオキシラン化合物の重合体が得られるが、重合反応の規則性が高い傾向があり、得られる重合体の立体化学の規則性(シンジオタクティック、アイソタクティック等の分率)が高くなり、結晶性が高くなる結果、弾性が低い樹脂状の重合体となる傾向があるため、工業用のゴムとしては適さない場合があった。一方、立体規則性が低い重合体を与える重合反応を触媒する重合用触媒は、連鎖移動反応のような副反応が起こる頻度が高い傾向があるため、高分子量の重合体を得るのが困難であった。
【0056】
本発明のオキシラン化合物の重合用触媒において、発明者らは、従来のアルミニウム化合物とリン酸化合物よりなる重合用触媒を、水酸基及びフッ素原子を有する化合物で修飾することにより、フッ素原子特有の電子効果によって、重合(成長)反応が阻害されることなく、重合反応の規則性を低減させられた結果、高分子量かつ結晶性が低い、従来にない優れた特性を有する重合体が得られるものと推定している。
【0057】
本発明の方法よって得られるオキシラン化合物の重合体の重量平均分子量は、用いる単量体オキシラン化合物によっても異なるが、通常、50×10〜500×10、好ましくは80×10〜300×10の範囲である。重量平均分子量がこの範囲より低い場合、得られる重合体の強度が不十分となり、工業用ゴムとして使用できない場合がある。また、重量平均分子量がこの範囲より高い場合、加工性、溶解性が悪化する傾向がある。
【0058】
本発明の方法よって得られるオキシラン化合物の重合体の結晶融解熱量は、用いる単量体オキシラン化合物によっても異なるが、通常、10J/g以下、好ましくは8J/g以下である。結晶融解熱量がこの範囲より高い場合、得られる重合体の結晶性が高過ぎるため、工業用ゴムとして使用できない場合がある。
【0059】
ここで、重量平均分子量は、重合体を真空乾燥した後、ジメチルホルムアミドに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によりポリスチレン換算で重合体の重量平均分子量を算出したものであり、結晶融解熱量は、示唆走査熱量測定により求めるものである。それぞれの測定法の詳細は、後述の実施例において詳述する。
【実施例】
【0060】
本発明を実施するための具体的な形態を以下に実施例を挙げて説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0061】
[実施例1]
内部を窒素置換した容量50mLのガラス製フラスコにアルミニウム化合物としてアルミニウムトリクロライド(1.33g;10.0mmol)、脱水トルエン(5mL)を加えてなる懸濁液を撹拌し、反応温度5℃前後に調節しながら、分子内に水酸基を1つ有するフッ素置換化合物として2,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−オール(1.68g;10.0mmol)を20分かけて滴下し、両者を反応させた。続いてこの反応液にリン酸誘導体として、トリノルマルブチルリン酸エステル(2.66g;10.0mmol)を60分かけて滴下した後、反応液を室温に戻し、1時間反応させた。こうして得られた半固体状の生成物から溶媒、副生成物等を減圧留去して触媒(固体)を調製した。
【0062】
次に、容量30mLのガラス製シュレンク管に上記触媒(50mg)を加え、内部を窒素置換したところに、脱水ヘキサン(16mL)、エピクロロヒドリン(5.0g)を加え、全体を25℃で撹拌しながら6時間重合反応を行った。重合体が析出した。
【0063】
[実施例2]
トリノルマルブチルリン酸エステルの替わりに、ジノルマルブチルリン酸エステル(2.10g;10.0mmol)を用いた点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒(固体)を調製し、これを用いて重合反応を行い、重合体を得た。
【0064】
[実施例3]
アルミニウムトリクロライドの替わりに、0.94Mトリエチルアルミニウム/ヘキサン溶液(11mL;10.0mmol)を用いた点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒(固体)を調製し、これを用いて重合反応を行い、重合体を得た。
【0065】
[実施例4]
2,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−オールの替わりに、パーフルオロフェノール(1.84g;10.0mmol)を用いた点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒(固体)を調製し、これを用いて重合反応を行い、重合体を得た。
【0066】
[実施例5]
トリノルマルブチルリン酸エステル(2.66g;10.0mmol)の替わりに、トリノルマルブチルリン酸エステル(5.32g;20.0mmol)を用い、60℃で攪拌を行った点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒(固体)を調製し、これを用いて重合反応を行い、重合体を得た。
【0067】
[比較例1]
2,2,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1−オールの替わりに、イソプロパノール(0.60g;10.0mmol)を用いた点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒(液体)を調製し、これを用いて重合反応を行った。重合体は得られなかった。
【0068】
[比較例2]
アルミニウムトリクロライドの替わりに、塩化鉄(III)(1.62g;10.0mmol)を用いた点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒(液体)を調製し、これを用いて重合反応を行った。重合体は得られなかった。
【0069】
[比較例3]
トリノルマルブチルリン酸エステルの替わりに、トリフェニルホスフィンオキサイド(2.78g;10.0mmol)を用いた点を除いて、実施例1と同様の手順で触媒(液体)を調製し、これを用いて重合反応を行った。重合体は得られなかった。
【0070】
[比較例4]
内部を窒素置換した容量50mLのガラス製フラスコにアルキルアルミニウムとして1Mトリエチルアルミニウム/ヘキサン溶液(10.0mL;10.0mmol)、脱水トルエン(5mL)を加え、溶液の温度を5℃前後に調節しながら、リン酸化合物としてオルトリン酸(0.98g;10.0mmol)をゆっくりと加え反応させた。続いて、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデカ−7−エン(1.52g;10.0mmol)を反応させ、ゆっくりと室温に戻し、3時間反応させた。
【0071】
次に、内部を窒素置換した容量30mLのガラス製シュレンク管に上記触媒溶液(10μL)を加え、脱水ヘキサン(16mL)、エピクロロヒドリン(5.0g)を加え、全体を25℃で撹拌しながら6時間重合反応を行った。重合体が析出した。
【0072】
[重合体の評価]
得られた重合体を十分に乾燥し、重量を測定することで重合体収率を求めた。また得られた重合体を真空乾燥した後、ジメチルホルムアミドに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によりポリスチレン換算で重合体の重量平均分子量を算出した。更に、得られた重合体の結晶融解熱量を示唆走査熱量測定により求めた。それぞれの測定条件の詳細を以下に記す。
重量平均分子量:島津社製ゲルパーミエーションクロマトグラフィーシステム:SCL−10A(検出器はRID−10A)、昭和電工社製カラムShodexKD807、 KD806、KD806M、KD803、測定温度60℃、溶媒DMFを使用した。
結晶融解熱量:Perkin−Elmer7 Series Thermal Analysis System、測定範囲0〜150℃、昇温速度10℃/min
これらの結果を表1に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
得られた重合体の分析結果から明らかなように、実施例1〜5で得られた触媒を用いてエピクロルヒドリンの重合を行うと、重合体収率、得られた重合体の分子量が共に高い数値を示した。一方、得られた重合体の結晶融解熱量はいずれの場合も低い値を示しており、それらはゴムとして工業的に使用するのに適するものである。
【0075】
これに対し、比較例1〜3で得られた生成物では、エピクロルヒドリンの重合体は得られず、オキシラン化合物の重合触媒として適していないことが分かる。従来法(特開昭56−51171記載の方法)で調製した触媒を用いた結果(比較例4)、結晶融解熱量の高い重合体が得られ、ゴム用途に適さないことが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明によるオキシラン化合物の重合触媒は、以上のように構成されており、これを用いることによって高い重合体収率で、結晶性の低く高い分子量の重合体が得られている。従って、本発明による触媒を用いれば、自動車用ゴム部品、電気、電子機器用ゴム部材、各種プラスチックブレンド用ポリマー、高分子固体電解質などの非常に広範な分野で使用されている高品質のオキシラン化合物重合体を効率よく、かつ容易に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルミニウム化合物、(B)分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物、及び(C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体の反応生成物を含むことを特徴とするオキシラン化合物の重合用触媒。
【請求項2】
(A)アルミニウム化合物が、一般式[I]で示される、請求項1記載のオキシラン化合物の重合用触媒。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜8の炭化水素基であり、Xは水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、nは0〜3の整数である。)
【請求項3】
(B)分子内に水酸基を少なくとも一つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物が、炭素数1〜8のフッ素置換モノアルコール類、及び炭素数6〜8のフッ素置換フェノール類より成る群から選ばれる化合物の少なくとも1種である請求項1又は2に記載のオキシラン化合物の重合用触媒。
【請求項4】
(C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体が、下記一般式[II]、または[III]で示される、請求項1〜3のいずれかに記載のオキシラン化合物の重合用触媒。
【化2】

[II]
【化3】

[III]
(式中、R、R、及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、または炭素数1〜8のアルキル基である。)
【請求項5】
下記の一般式[IV]で示されるオキシラン化合物の一種以上を含む単量体の重合用触媒である、請求項1〜4のいずれかに記載のオキシラン化合物の重合用触媒。
【化4】

[IV]
(式中、mは0または1である。Rは水素原子又は、それぞれ置換基を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基、アルケニル基、または(メタ)アクリロイル基であり、該置換基はハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基またはメトキシエトキシ基である。)
【請求項6】
オキシラン化合物を重合せしめて、オキシラン化合物の重合体を製造するに際し、請求項1〜5のいずれかに記載の触媒を用いることを特徴とするオキシラン化合物重合体の製造方法。
【請求項7】
オキシラン化合物を、重合によって得られるオキシラン化合物の重合体が不溶な有機溶媒中で触媒の存在下に懸濁析出重合せしめて、オキシラン化合物の重合体を製造する、請求項6に記載のオキシラン化合物重合体の製造方法。
【請求項8】
(A)アルミニウム化合物、(B)分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物、及び(C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体を、無溶媒または不活性溶媒中で反応させることを特徴とする、オキシラン化合物の重合用触媒の製造方法。
【請求項9】
(A)アルミニウム化合物と(B)分子内に水酸基を少なくとも1つ有し、かつフッ素原子を少なくとも1つ有する化合物とを反応させ、次いで、この反応生成物に(C)分子内に水酸基及び/又はアルコキシ基を少なくとも2つ有するリン酸誘導体を反応させる、請求項8記載のオキシラン化合物の重合用触媒の製造方法。
【請求項10】
重量平均分子量が、50×10以上500×10以下であり、かつ結晶融解熱量が、10J/g以下である、オキシラン化合物の重合体。
【請求項11】
下記一般式[IV]で示されるオキシラン化合物の一種以上を含む単量体の重合体である、請求項10記載の重合体。
【化5】

[IV]
(式中、mは0または1である。Rは水素原子又は、それぞれ置換基を有してもよい、アルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、アラルキル基、アルケニル基、または(メタ)アクリロイル基であり、該置換基はハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基またはメトキシエトキシ基である。)

【公開番号】特開2010−144103(P2010−144103A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324667(P2008−324667)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【Fターム(参考)】