オキシ基保有芳香族アルデヒドを含有する薬学的組成物および美容用組成物
【課題】皮膚科学的状態を有効に処置し得るさらなる局所組成物を提供すること。
【解決手段】組成物の1つの局面において、本発明は、薬学的に受容可能な局所的キャリアおよび1種以上の芳香族アルデヒド化合物を含有する、局所的な薬学的組成物および美容用組成物に関する。組成物の別の局面において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアおよび1種以上の芳香族アルデヒド化合物を含有する、局所投与用、経皮投与用または他の全身投与用の薬学的組成物に関する。
【解決手段】組成物の1つの局面において、本発明は、薬学的に受容可能な局所的キャリアおよび1種以上の芳香族アルデヒド化合物を含有する、局所的な薬学的組成物および美容用組成物に関する。組成物の別の局面において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアおよび1種以上の芳香族アルデヒド化合物を含有する、局所投与用、経皮投与用または他の全身投与用の薬学的組成物に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、オキシ基保有芳香族アルデヒド、ならびに化粧品および医薬品における活性成分としてのそれらの使用に関する。より詳細には、本発明は、このようなアルデヒド、ならびに化粧品におけるそれらの使用および局所医薬品、経皮性医薬品または全身性医薬品としてのそれらの使用に関する。
【0002】
(技術の状態)
本発明は、芳香族アルデヒドの使用に関する。多くの芳香族アルデヒドは、一般に化学中間体としての用途を見出されている既知の物質である。数種の芳香族アルデヒドは、同様に天然産物の成分である。
【0003】
本明細書中で定義される場合、「オキシ基保有芳香族アルデヒド」は、その芳香族環上に、少なくとも1個のR3−O−R2−オキシ置換基を保有する芳香族アルデヒドである。ここで、R2は、炭素−酸素単結合または直鎖もしくは分枝鎖のアルキレンであり、そしてR3は、水素、直鎖または分枝鎖の、アルキル、シクロアルキル、アルカシクロアルキル(alkcycloalkyl)、アルケニル、アリールまたはアラルキルである。
【0004】
本発明は、これらのアルデヒドを、医薬品および化粧品における活性成分として使用する。本発明は、経皮的もしくは経口的にかまたは注射によって送達される場合に、これらのアルデヒド物質が、炎症性状態に対する全身性薬剤としての用途を見出され得ることを企図しているが、この時点で、これらの好ましい用途は、広範な皮膚科学的状態(皮膚炎およびU.V.誘導炎症から乾癬および挫瘡までに及ぶ皮膚科学的状態)を処置するために使用される局所的な美容用組成物および薬学的組成物の成分としての用途である。
【0005】
湿疹および乾癬のような状態を処置するために過去使用された治療剤は、単なる緩和薬の使用を包含していた。局所ステロイド(中程度の薬剤(例えば、ヒドロコルチゾン(1%))〜より強力な物質(例えば、クロベタゾールプロピオネート(0.05%)の範囲)は、一般的な炎症性皮膚病で示されている。さらに、コルチコステロイドおよび免疫抑制薬は、皮膚の状態を処置するために使用される。ビタミンDおよびその誘導体(例えば、カルシポトリオール(calcipotrial)およびタコルシトール(tacolcitol))ならびにビタミンAおよび他のレチノイドは、皮膚科学的問題を処置するために使用される。ビタミンD物質は、挫瘡を処置するために使用されている。
【0006】
それらの直接的な局所治療に加えて、皮膚上に配置された際に、多くの物質が皮膚を通過し、そして全身性循環に入ることが周知である。薬物の「局所」投与と、このいわゆる「経皮」投与との間のラインは、あいまいであり、これまで、多くの治療剤が、局所的局面と経皮的局面との両方を有していた。
【0007】
これらの治療剤は、それらの制限を有さないわけではない。緩和薬は、非常に一過性であり、繰返し再生されなければならない。局所ステロイドの使用は、薄くなった皮膚、挫傷、および発疹、ならびに重症な全身性の副作用(例えば、クッシング症候群の発症)に関連する。
【0008】
ビタミンD物質は、しばしば経皮的に通過し、そして使用者の全身性カルシウム代謝に対する予測できない効果を有し得る。レチノイドは、いくつかの症例において座瘡を引き起こし、妊娠中に経皮的に吸収された際に、催奇性効果を生じることが報告されている。
【0009】
皮膚科学的状態を有効に処置し得るさらなる局所組成物に対する必要性が存在することは、明白である。これらの組成物はまた、必要に応じて経皮的に処置されるかまたはさもなければ全身的に処置可能な炎症性状態を処置し得、かつ現在使用中の治療に関連した問題のいくらかまたは全てを回避し得る場合、かなり望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
薬学的に受容可能な局所キャリアおよび以下の式I、IIまたはIIIの化合物を含む組成物であって:
【化1】
ここで、R1は、炭素−炭素単結合または直鎖アルキレンもしくは分枝鎖アルキレンであり;
R2は、炭素−酸素単結合または直鎖アルキレンもしくは分枝鎖アルキレンであり;
R3は、水素、直鎖または分枝鎖アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルカシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;そして
R4の各々は、水素、アルキル、置換アルキル、アルカシクロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルカシクロアルコキシ、シクロアルコキシ、アシル、アシルオキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択され;そして
R5の各々は、独立してアルキルであるか、または式IIのアセタールの場合、2つのR5は、それらが結合する原子と一緒にヘテロシクロアルキルを形成し;
但し、式Iの化合物は、2−4−ジエトキシベンズアルデヒドでも、2,4,5−トリエトキシベンズアルデヒドでもない、組成物。
(項目2)
R3が、H以外である、項目1に記載の組成物。
(項目3)
R1が、炭素−炭素単結合である、項目1に記載の組成物。
(項目4)
R3が、Hであり、かつR1が、炭素−炭素単結合である、項目1に記載の組成物。
(項目5)
R1が、直鎖アルキレンである、項目1に記載の組成物。
(項目6)
R3が、Hであり、かつR1が、直鎖アルキレンである、項目1に記載の組成物。
(項目7)
R2が、炭素−酸素単結合である、項目1に記載の組成物。
(項目8)
R2が、直鎖アルキレンである、項目1に記載の組成物。
(項目9)
R3が、Hであり、かつR2が、炭素−酸素単結合である、項目1に記載の組成物。
(項目10)
R3が、Hであり、かつR2が、直鎖アルキレンである、項目1に記載の組成物。
(項目11)
R2が、炭素−酸素単結合である、項目3に記載の組成物。
(項目12)
R2が、直鎖アルキレンである、項目3に記載の組成物。
(項目13)
R2が、炭素−酸素単結合である、項目4に記載の組成物。
(項目14)
R2が、直鎖アルキレンである、項目4に記載の組成物。
(項目15)
R3が、直鎖アルキルである、項目1に記載の組成物。
(項目16)
R3が、直鎖アルキルである、項目11に記載の組成物。
(項目17)
R3が、直鎖アルキルである、項目12に記載の組成物。
(項目18)
薬学的に受容可能なキャリアおよび以下:
2−メトキシベンズアルデヒド、
2−プロポキシベンズアルデヒド、
2−イソプロポキシベンズアルデヒド、
3−メトキシベンズアルデヒド、
3−エトキシベンズアルデヒド、
3−プロポキシベンズアルデヒド、
3−イソプロポキシベンズアルデヒド、
4−(2−プロペニルオキシ)ベンズアルデヒド、
4−イソプロポキシベンズアルデヒド、
2−メトキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−エトキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−プロポキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−イソプロポキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
3−メトキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−プロポキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−イソプロポキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
2−ブトキシベンズアルデヒド、
4−ヘプチルオキシベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
4−エトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、
3,4−ジエトキシベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−ヘキシルオキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−エトキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−ヘプチルオキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−オクチルオキシベンズアルデヒド、
4−(メトキシメチル)−ベンズアルデヒド、
4−(エトキシメチル)−ベンズアルデヒド、
3−(ドデシルオキシ)ベンズアルデヒド、
4−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒド、
4−アセトキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、
3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシル−3−4−メトキシベンズアルデヒド、
3,4−ジエトキシベンズアルデヒド、
2,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド、
3−クロロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
3−ブチルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
3,5−ジメトキシ−4−ベンズオキシベンズアルデヒド、
3,5−ジクロロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−メチル−3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、
2,3,4,5−テトラメトキシベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジメトキシ−4,5−ジメチルベンズアルデヒド、
2−アセチルオキシ−3−メトキシ−6−ブロモベンズアルデヒド、
2−メトキシ−6−(8−ペンタデセニル)−ベンズアルデヒド、
2−メトキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2,3−ジメトキシベンズアルデヒド、
2,5−ジメトキシ−4−ホルミルベンズアルデヒド、
4−オクチルオキシベンズアルデヒド、
2−プロポキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ブトキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ペントキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ヘキソキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5ジニトロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5ジフルオロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4ジイソブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,6ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4ジフルオロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4ジシアノ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4ジイソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,5ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−メチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−プロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−イソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−sec−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−アミル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−メチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−エチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−プロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−イソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−sec−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−アミル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5ジイソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロベンズアルデヒド、
2,6−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−6−メチルベンズアルデヒド、
2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
5−クロロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−ブロモベンズアルデヒド、
3−クロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3,5−ジヨードベンズアルデヒド、
3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3−メトキシ−6−ブロモベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−プロピルベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−ヘキシルベンズアルデヒド、
3−ヒドロキシ−4−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジヒドロキシ−4,5−ジメチルベンズアルデヒド、
クロロ−4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、
2,3,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジヒドロキシ−4,5−ジプロピルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3−メトキシ−4,5−ジメチル−6−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−(オキシ−4−メチルペンタン酸)−ベンズアルデヒド、
3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−6−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−クロロ−5−(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル)−4,6−ジヒドロキシ−2−メチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−(8−ペンタデセニル)−ベンズアルデヒド、
2−4−ジヒドロキシ−3−エチル−6−(1−メチルペンチル)−ベンズアルデヒド、
3−クロロ−5−(3,7−ジメチル−5−オキソ−2,6−オクタジエニル)−4,6−ジヒドロキシ−2−メチルベンズアルデヒド、
2−ペンタン酸−3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−プロパン酸−3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3,4−トリヒドロキシ−5−メチル−6−ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
3−カルボキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−メトキシベンズアルデヒド、
2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3,4−トリヒドロキシ−6−ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシエチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシプロピルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシブチルベンズアルデヒド、
3−カルボキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシメチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシエチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3−ヨード−5−カルボキシメチルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
ベンズアルデヒドジメチルアセタール,
ベンズアルデヒドグリセリルアセタール,および
ベンズアルデヒドプロピレングリコールアセタール
からなる群より選択される化合物を含む、薬学的組成物。
(項目19)
上記式Iの化合物が、2−エトキシベンズアルデヒド、2−アセトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、4−アリルオキシベンズアルデヒド、4−エトキシベンズアルデヒド、4−プロポキシベンズアルデヒド、4−ブトキシベンズアルデヒド、4−ペンチルオキシベンズアルデヒド、および4−ヘキシルオキシベンズアルデヒドからなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(項目20)
上記式Iの化合物が、2−エトキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目21)
上記式Iの化合物が、2−アセトキシ−3−メトキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目22)
上記式Iの化合物が、4−アリルオキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目23)
上記式Iの化合物が、4−エトキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目24)
上記式Iの化合物が、4−プロポキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目25)
上記式Iの化合物が、4−ブトキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目26)
上記式Iの化合物が、4−ペンチルオキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目27)
上記式Iの化合物が、4−ヘキシルオキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目28)
上記式Iの化合物が、3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドおよび4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドからなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(項目29)
上記式IAの化合物が、3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目30)
上記式IAの化合物が、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目31)
上記式IAの化合物が、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目32)
上記式IAの化合物が、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目33)
上記組成物が、美容用組成物である、項目1に記載の組成物。
(項目34)
上記組成物が、美容用組成物である、項目2に記載の組成物。
(項目35)
上記キャリアが、液体キャリアである、項目33または34に記載の美容用組成物。
(項目36)
上記キャリアが、クリームキャリアである、項目33または34に記載の美容用組成物。
(項目37)
上記組成物が、薬学的組成物であり、かつ上記化合物が、薬学的に有効量で存在する、項目1に記載の組成物。
(項目38)
上記キャリアが、液体キャリアまたはクリームキャリアである、項目37に記載の美容用組成物。
(項目39)
上記組成物が、経皮的薬学的組成物であり、かつ上記化合物が、経皮的に有効量で存在する、項目1に記載の組成物。
(項目40)
上記組成物が、経皮的薬学的組成物であり、かつ上記化合物が、経皮的に有効量で存在する、項目2に記載の組成物。
(項目41)
上記キャリアが、液体キャリアである、項目39または40に記載の経皮的組成物。
(項目42)
上記キャリアが、クリームキャリアである、項目39または40に記載の経皮的組成物。
(項目43)
持続型放出投薬形態である、項目39または40に記載の経皮的組成物。
(項目44)
全身的に適切なキャリアおよび薬学的に有効量の以下の式I、IIまたはIIIの化合物を含む全身性薬学的組成物であって:
【化2】
【化3】
ここで、R1は、炭素−炭素単結合または直鎖アルキレンもしくは分枝鎖アルキレンであり;
R2は、炭素−酸素単結合または直鎖アルキレンもしくは分枝鎖アルキレンであり;
R3は、水素、直鎖または分枝鎖アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルカシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;そして
R4の各々は、水素、アルキル、置換アルキル、アルカシクロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルカシクロアルコキシ、シクロアルコキシ、アシル、アシルオキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択され;そして
R5の各々は、独立してアルキルであるか、または式IIのアセタールの場合、2つのR5は、それらが結合する原子と一緒にヘテロシクロアルキルを形成し;
但し、式Iの化合物は、2−4−ジエトキシベンズアルデヒドでも、2,4,5−トリエトキシベンズアルデヒドでも、4−メトキシベンズアルデヒドでもない、組成物。
(項目45)
R3は、H以外である、項目44に記載の組成物。
(項目46)
上記キャリアが、注射可能なキャリアである、項目44に記載の組成物。
(項目47)
上記キャリアが、経口キャリアである、項目44に記載の組成物。
(項目48)
上記キャリアが、経口固体キャリアである、項目44に記載の組成物。
(項目49)
単位投薬形態である、項目48に記載の組成物。
(項目50)
上記単位投薬形態が、カプセルである、項目49に記載の組成物。
(項目51)
上記単位投薬形態が、ピルである、項目49に記載の組成物。
(項目52)
皮膚状態を処置するための方法であって、項目33または34に記載の美容用組成物の有効量をヒトに局所的に適用する工程を包含する、方法。
(項目53)
上記疾患が、炎症性疾患である、項目52に記載の方法。
(項目54)
皮膚疾患を有する患者を処置するための方法であって、項目1または2に記載の局所薬学的組成物の治療有効量を、該患者に局所的に投与する工程を包含する、方法。
(項目55)
上記疾患が、炎症性疾患である、項目54に記載の方法。
(項目56)
炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、項目39または40に記載の経皮的薬学的組成物の治療有効量を、該患者に経皮的に投与する工程を包含する、方法。
(項目57)
炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、項目46に記載の注射可能な薬学的組成物の治療有効量を、該患者に注射によって投与する工程を包含する、方法。
(項目58)
炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、項目47に記載の経口液体薬学的組成物の治療有効量を、該患者に経口的に投与する工程を包含する、方法。
(項目59)
炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、項目48に記載の経口固体薬学的組成物の治療有効量を、該患者に経口的に投与する工程を包含する、方法。
(項目60)
患者の皮膚外観を改善するための方法であって、項目1に記載の局所薬学的組成物の皮膚外観改善有効量を、該患者に局所的に投与する工程を包含する、方法。
(項目61)
ヒトの皮膚外観を改善するための方法であって、項目33または34に記載の局所美容用組成物の皮膚外観改善有効量を、該ヒトに局所的に投与する工程を包含する、方法。
(発明の要旨)
オキシ基保有芳香族アルデヒドの群は、炎症関連皮膚科学的状態に対する有効な局所薬剤であることが現在見出されている。これらのアルデヒドはまた、経皮的に測定可能な程度まで送達され、従って潜在的に、身体内の全身性および/または局所性の抗炎症性効果を達成するようである。これらの知見から、これらのアルデヒドは、さらに、他の全身性経路によって投与される場合に、他の炎症性状態に対して有効であり得るようである。
【0011】
この組成物の1つの局面において、本発明は、薬学的に受容可能な局所的キャリアおよび1種以上の芳香族アルデヒド化合物を含有する、局所的な薬学的組成物および美容用組成物に関する。これらの芳香族アルデヒドはとしては、式Iの物質、および保護バージョン(すなわち、式IIにおけるようなアセタール、および式IIIにおけるようなヘミアセタール)が挙げられる:
【0012】
【化4】
ここで、
R1は、炭素−炭素単結合または直鎖もしくは分枝鎖のアルキレンであり;
R2は、炭素−酸素単結合または直鎖もしくは分枝鎖のアルキレンであり;
R3は、水素、直鎖または分枝鎖のアルキル、シクロアルキル、アルカシクロアルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルであり;そして、
各R4は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルカシクロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルカシクロアルコキシ、シクロアルコキシ、アシルアシルオキシおよびハロゲンからなる群より選択され;そして、
各R5は、独立してアルキルであるか、または式IIのアセタールの場合、2個のR5が、それらが結合する原子と一緒になってヘテロシクロアルキルを形成し;
但し、式Iの化合物は、2,4−ジエトキシベンズアルデヒドでも2,4,5−トリエトキシベンズアルデヒドでもない。
【0013】
この化合物のうちの1つにおいて、オキシ基保有アルデヒドは、ヒドロキシアルデヒドまたはヒドロキシアルキルアルデヒドであり、R3が水素である場合において、このアルデヒドは、以下のように、式IA、IIAおよびIIIAによって表される:
【0014】
【化5】
ここで、R1、R2、R4およびR5は、前記で定義したとおりである。
【0015】
この組成物の別の局面において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアおよび式I、IIまたはIIIの1種以上の芳香族アルデヒド化合物を含有する、局所投与用、経皮投与用または他の全身投与用の薬学的組成物に関する(式Iの化合物が、全身投与に使用するための4−メトキシベンズアルデヒドである処方物を除く)。
【0016】
この方法の1つの局面において、本発明は、皮膚科学的疾患を有する患者を処置するための方法に関する。この方法は、薬学的に受容可能な局所キャリアおよび皮膚科学的疾患処置に有効な量の上式I、IIまたはIIIの化合物を含有する薬学的組成物を、その患者に局所投与する工程を包含する。
【0017】
この方法の局面のうちの別の局面において、本発明は、皮膚科学的状態を処置するための方法に関する。この方法は、薬学的に受容可能な局所キャリアおよび有効量の上式I、IIまたはIIIの化合物を含有する美容用組成物を、ヒトに局所適用する工程を包含する。
【0018】
この方法の局面のうちのなお別の局面において、本発明は、炎症性疾患を有する患者を処置するための方法に関する。この方法は、薬学的に受容可能なキャリアおよび炎症性疾患の処置に有効な量の上式I、IIまたはIIIの化合物(化合物4−メトキシベンズアルデヒドを除く)を含有する薬学的組成物を、その患者に全身投与する工程を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、皮膚における炎症性プロセスを例示し、炎症と種々のタンパク質の放出との関係を示した概略図である。
【図2】図2は、本発明を使用して有効に処置される炎症性プロセスを例示する、図1の繰返しである。
【図3A】図3Aおよび3B、ならびに図4A、4Bおよび4Cは、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン1(「IL−1」)誘導プロスタグランジンE2(「PGE2」)発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図3B】図3Aおよび3B、ならびに図4A、4Bおよび4Cは、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン1(「IL−1」)誘導プロスタグランジンE2(「PGE2」)発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図4A】図3Aおよび3B、ならびに図4A、4Bおよび4Cは、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン1(「IL−1」)誘導プロスタグランジンE2(「PGE2」)発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図4B】図3Aおよび3B、ならびに図4A、4Bおよび4Cは、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン1(「IL−1」)誘導プロスタグランジンE2(「PGE2」)発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図4C】図3Aおよび3B、ならびに図4A、4Bおよび4Cは、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン1(「IL−1」)誘導プロスタグランジンE2(「PGE2」)発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図5】図5は、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、ケラチノサイトにおけるテトラデカノイルホルボールアセテート(「TPA」)誘導PGE2発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図6】図6は、本発明の組成物において用いられるアルデヒドおよび他の関連化合物の、IL−1またはUV光でチャレンジした線維芽細胞における種々のタンパク質の発現レベルに対する効果を示す表である。
【図7】図7は、本発明の組成物において用いられるアルデヒドおよび他の関連化合物の、TPAまたはUV光でチャレンジしたケラチノサイトにおける種々のタンパク質の発現レベルに対する効果を示す表である。
【図8】図8A、8B、9A、9B、10A、10B、11Aおよび11Bは、図6で表にされたデータの棒グラフである。
【図9】図8A、8B、9A、9B、10A、10B、11Aおよび11Bは、図6で表にされたデータの棒グラフである。
【図10】図8A、8B、9A、9B、10A、10B、11Aおよび11Bは、図6で表にされたデータの棒グラフである。
【図11】図8A、8B、9A、9B、10A、10B、11Aおよび11Bは、図6で表にされたデータの棒グラフである。
【図12】図12A、12B、13A、13B、14Aおよび14Bは、図7で表にされたデータの棒グラフである。
【図13】図12A、12B、13A、13B、14Aおよび14Bは、図7で表にされたデータの棒グラフである。
【図14】図12A、12B、13A、13B、14Aおよび14Bは、図7で表にされたデータの棒グラフである。
【図15】図15Aおよび15Bは、実施例8のローション処方物のインビボ試験において得られたデータの棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(定義)
美容用組成物および薬学的組成物ならびに本発明の方法において用いられる芳香族オキシ基保有アルデヒド化合物、ならびにそれらの組成物および方法自体を記載する場合、以下の用語は、以下の意味を有する:
「芳香族アルデヒド」とは、アリール環およびアルデヒド基またはこの環からぶらさがったアセタールもしくはヘミアセタールのように保護されたアルデヒド基を含む化合物をいう。
【0021】
「アシル」とは、基−C(O)Rをいい、ここで、Rは、水素、アルキルまたはアリールである。Rが水素である場合、これは、「ホルミル」であり、RがCH3である場合、これは、「アセチル」である。
【0022】
「アシルオキシ」とは、基−O−アシルである。
【0023】
「アルキル」とは、好ましくは、1〜約20個の炭素原子、より好ましくは1〜12個の炭素原子、なおより好ましくは1〜8個の炭素原子を有する、一価の飽和脂肪族炭化水素基をいう。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、tert−オクチルなどの基によって例示される。用語「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子、特に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基をいう。
【0024】
「置換アルキル」とは、1〜5個の置換基、好ましくは、1〜3個の置換基を有する、好ましくは1〜約20個の炭素原子のアルキル基をいい、この置換基は、以下からなる群より選択される:アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アシル、アミノアシル、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、ケト、チオケト、アルコキシカルボニル、チオール、チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ニトロ、−OSO3H、およびそれらの薬学的に受容可能な塩、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO2−アルキル、−SO2−置換アルキル、−SO2−アリール、ならびにモノアルキルアミノおよびジアルキルアミノ、モノアリールアミノ、ジアリールアミノ、ならびにアルキル、置換アルキルおよびアリールから選択される異なる置換基を有する非対称の二置換アミン。
【0025】
「アルケニル」とは、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子および1〜2個、特に1個のオレフィン不飽和を有する一価の不飽和脂肪族炭化水素基をいう。
【0026】
「アルキレン」とは、好ましくは、1〜20個の炭素原子、より好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する二価の飽和脂肪族炭化水素基をいい、これは、直鎖または分枝鎖であり得る。この用語は、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、プロピレン異性体(例えば、−CH2CH2CH2−および−CH(CH3)CH2−)などによって例示される。
【0027】
「アルカシクロアルキル」とは、そのアルキレン部分に好ましくは1〜20個の炭素原子を有し、かつそのシクロアルキル部分に3〜8個の炭素原子を有する、−アルキレン−シクロアルキル基をいう。このようなアルカシクロアルキル基は、−CH2−シクロプロピル、−CH2−シクロペンチル、−CH2CH2−シクロヘキシルなどによって例示される。
【0028】
「アルカシクロアルコキシ」とは、そのアルキレン部分に好ましくは1〜20個の炭素原子を有し、かつそのシクロアルキル部分に3〜8個の炭素原子を有する、−O−アルキレン−シクロアルキル基をいう。このようなアルカシクロアルコキシ基は、−OCH2−シクロプロピル、−OCH2−シクロペンチル、−OCH2CH2−シクロヘキシルなどによって例示される。
【0029】
「アルコキシ」とは、基「アルキル−O−」をいう。好ましいアルコキシ基としては、例として以下が挙げられる:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、1,2−ジメチルブトキシなど。
【0030】
「アルコキシカルボニル」とは、基−C(O)ORをいい、ここで、Rは、アルキルである。
【0031】
「アミノカルボニル」とは、基−C(O)NRRをいい、ここで各Rは、独立して水素またはアルキルである。
【0032】
「アミノアシル」とは、基−NRC(O)Rをいい、ここで、各Rは、独立し水素またはアルキルである。
【0033】
「アリール」とは、単環(例えば、フェニル)または多重縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する、6〜14個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基をいう。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。個々の置換基についての定義によって他に制限されなければ、このようなアリール基は、必要に応じて、1〜3個の置換基で置換され得る。この置換基は、以下からなる群より選択される:アルキル、アルコキシ、アルカアリールオキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミノアシル、アミノカルボニル、アルコシキカルボニル、アリール、カルボキシル、シクロアルコキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、トリハロメチル、チオアルコキシなど。
【0034】
「アラルキル」とは、基「アルキレン−アリール」をいい、最も代表的にはベンジルである。
【0035】
「アリールオキシ」とは、−O−アリール基をいい、ここで「アリール」は、上記で定義されるとおりである。
【0036】
「カルボキシル」とは、基−C(O)OHをいう。
【0037】
「シアノ」とは、基−CNをいう。
【0038】
「シクロアルキル」とは、単一の環式環または複数の縮合した環(縮合環系および架橋した環系を含む)を有する3〜20個の炭素原子の環状アルキル基をいい、1〜3個のアルキル基で必要に応じて置換され得る。このようなシクロアルキル基としては、例として、単環構造(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロペンチル、2−メチルシクロオクチルなど)、または多環構造(例えば、アダマンタニルなど)が挙げられる。
【0039】
「シクロアルコキシ」とは、−O−シクロアルキル基をいう。このようなシクロアルコキシ基としては、例として、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。
【0040】
「ヘテロシクロアルキル」とは、2〜10個の炭素原子および(例えば、窒素、硫黄、またはリン、特に酸素から選択される)1個、2個もしくは3個のヘテロ原子の環式基をいう。この環は、1〜3個のアルキル基で必要に応じて置換され得る。このようなヘテロシクロアルキル基としては、例として、テトラヒドロフラン、1,4ジオキサシクロペンタニル、ジオキサン、ピロリジン、テトラヒドロチオフェンなどのような単環構造が挙げられる。
【0041】
「電離放射線」とは、物質の原子また分子をイオン化する任意の放射線をいう。これは、粒子(例えば、電子)から構成されてもよいし、電磁波(electromagnetic)(紫外線;X線;γ線)であってもよい。電離放射線は、例えば、日光の成分として天然に存在し、そして放射性物質から放射される。電離放射線はまた、X線装置、粒子加速機、原子炉などで人工的に生成される。
【0042】
「単離された」は、本発明の実施において使用される芳香族アルデヒド化合物の純度の状態を規定するために使用される場合、その芳香族アルデヒドが、関連する原料、共生成物(co−product)、または天然に存在する混合物の場合には、そのアルデヒドが天然に共に存在する関連する物質を、実質的に含まない(すなわち、少なくとも約90%、そして特に少なくとも95%含まない)か、またはそれらの物質と分離されていることを意味する。
【0043】
「薬学的に受容可能な局所的キャリア」および等価な用語は、芳香族アルデヒドを懸濁または溶解し得、そして皮膚に適用された場合に非毒性でかつ非炎症性であるという特性を有する、不活性液体ビヒクルまたはクリームビヒクルをいう。この用語は、具体的には、局所用化粧品における使用について認可されたキャリア物質を含むことが意図される。代表的なキャリアとしては、水、油(植物油および鉱油の両方)、クリーム基剤、ローション基剤、軟膏基剤などが挙げられる。これらの基剤は、懸濁剤、増粘剤、浸透増強剤などを含む。これらの処方は、化粧品および局所用製剤の当業者に周知である。キャリアに関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、1985、Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania(本明細書に参考として援用される)のパート8に見出され得る。
【0044】
「治療有効用量」は、皮膚の状態または他の美容的状態もしくは医学的状態に罹患した患者の皮膚に局所的に塗布される場合、あるいは、別の経路で投与される場合に、患者の状態に観察可能な改善を生じる、本発明の組成物の用量を意味する。
【0045】
「局所的(局所用)」は、投与の様式を規定するために使用される場合、物質が、皮膚に塗布されることにより投与されることを意味する。
【0046】
「局所的に有効」は、皮膚に塗布された場合に、物質中の活性成分の経皮的通過の結果として、塗布の場所に局所的にかまたは全身的のいずれかで所望の薬理学的結果をその物質が生じさせることを意味する。
【0047】
(オキシ基保有芳香族アルデヒド)
オキシ基保有芳香族アルデヒドとしては、式Iおよび式IAの化合物、ならびに式II、式IIA、式IIIおよび式IIIAで示されるそれらのアセタール等価体およびヘミアセタール等価体が挙げられる。
【0048】
R3が水素である場合、このアルデヒドは、式IA、式IIAおよび式IIIAに示される構造を有する。今回は、式Iおよび式IAの基本的なアルデヒドが好ましい。
【0049】
好ましくは、上記の式Iの芳香族アルデヒド化合物において、R1は、炭素−炭素単結合、メチレンおよびエチレンからなる群から選択される。より好ましくは、R1は、炭素−炭素単結合である。
【0050】
好ましくは、R2は、炭素−酸素単結合、メチレンおよびエチレンからなる群から選択される。より好ましくは、R2は、炭素−酸素単結合である。
【0051】
好ましくは、R3は、水素またはアルキルである。より好ましくは、R3は、水素、メチル、エチルまたはプロピルである。
【0052】
R3が水素以外である場合、4つのR4は、最も一般的には水素、アルキルまたはアルコキシである。この場合、一般的には、少なくとも約2個のR4は、水素である。R3が水素である場合、4つのR4は、最も一般的には、水素、ヒドロキシル、アルキルおよびアルコキシであり、少なくとも2個のR4は、大部分の場合において水素である。
【0053】
好ましくは、各R5は、独立してアルキルであるか、または式IIのアセタールの場合には、2つのR5は、それらが結合している原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成する。より好ましくは、各R5は、それらが結合している原子と一緒になって、1,4−ジオキサシクロペンタニルまたは置換1,4−ジオキサシクロペンタニルを形成する。
【0054】
R3が水素以外である式Iの化合物の特に好ましい群は、R1が炭素−炭素単結合であり;R2が、アルデヒド官能基に対して芳香環上の4位に位置する炭素−酸素単結合であり;R3がメチルまたはエチルであり;そして少なくとも2つのR4が、それぞれ水素である、化合物である。R3が水素である場合、式IAの化合物の特に好ましい群は、R1が炭素−炭素単結合であり、R2が炭素−酸素単結合であり、少なくともR4が水素でありそして少なくとも1つのR4がアルキル、水素またはアルコキシである化合物である。
【0055】
その組成物の別の局面において、本発明は、美容用組成物および薬学的組成物に関し、この組成物は、適切なキャリアを含み、そしてR3が水素以外である以下のオキシ基保有芳香族アルデヒド化合物の1つ以上を、活性成分として含有する:
2−メトキシベンズアルデヒド、
2−エトキシベンズアルデヒド、
2−プロポキシベンズアルデヒド、
2−イソプロポキシベンズアルデヒド、
3−メトキシベンズアルデヒド、
3−エトキシベンズアルデヒド、
3−プロポキシベンズアルデヒド、
3−イソプロポキシベンズアルデヒド、
4−(2−プロペニルオキシ)−ベンズアルデヒド、
4−エトキシベンズアルデヒド、
4−プロポキシベンズアルデヒド、
4−イソプロポキシベンズアルデヒド、
2−メトキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−エトキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−プロポキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−イソプロポキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
3−メトキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−プロポキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−イソプロポキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
2−ブトキシベンズアルデヒド、
4−ブトキシベンズアルデヒド、
4−ペンチルオキシベンズアルデヒド、
4−ヘキシルオキシベンズアルデヒド、
4−ヘプチルオキシベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
4−エトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、
3,4−ジエトキシベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−ヘキシルオキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−エトキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−ヘプチルオキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−オクチルオキシベンズアルデヒド、
4−(メトキシメチル)−ベンズアルデヒド、
4−(エトキシメチル)−ベンズアルデヒド、
3−(ドデシルオキシ)−ベンズアルデヒド、
3,5ジメトキシル−4−アセトキシベンズアルデヒド、
3−ベンジルオキシ−4,5ジメトキシ−ベンズアルデヒド、
4−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒド、
4−アリルオキシ−ベンズアルデヒド、
3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシル−3−4−メトキシベンズアルデヒド、
3,4−ジエトキシベンズアルデヒド、
2,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド、
3−クロロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
3−ブチルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
3,5−ジメトキシ−4−ベンズオキシベンズアルデヒド、
2−アセトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、
3,5−ジクロロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−メチル−3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、
2,3,4,5−テトラメトキシベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジメトキシ−4,5−ジメチルベンズアルデヒド、
2−アセチルオキシ−3−メトキシ−6−ブロモベンズアルデヒド、
2−メトキシ−6−(8−ペンタデセニル)−ベンズアルデヒド、
2−メトキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2,3−ジメトキシベンズアルデヒド、
2,5−ジメトキシ−4−ホルミルベンズアルデヒド、
4−オクチルオキシベンズアルデヒド、
2−プロポキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ブトキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ペントキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ヘキソキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
3−(4−メトキシフェノキシ)−ベンズアルデヒド、および
3−(4−tertブチルフェノキシ)−ベンズアルデヒド。
【0056】
この群の好ましいアルデヒドとしては、以下が挙げられる:2−エトキシベンズアルデヒド、2−アセトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、4−アリルオキシ−ベンズアルデヒド、4−エトキシベンズアルデヒド、4−プロポキシベンズアルデヒド、4−ブトキシベンズアルデヒド、4−ペンチルオキシベンズアルデヒド、および4−ヘキシルオキシベンズアルデヒド。
【0057】
その組成物の別の局面において、本発明は、適切なキャリアを含み、そして以下のR3が水素であるオキシ基保有芳香族アルデヒド化合物の1つ以上を含有する、美容用組成物および薬学的組成物に関する:
2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5−ジニトロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5−ジフルオロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4−ジイソブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,6−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジシアノ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジイソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,5−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−メチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−プロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−イソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−sec−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−アミル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−メチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−エチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−プロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−イソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−sec−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−アミル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5 ジイソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、
3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロベンズアルデヒド、
2,6−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−6−メチルベンズアルデヒド、
2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
5−クロロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−ブロモベンズアルデヒド、
3−クロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3,5−ジヨードベンズアルデヒド、
3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3−メトキシ−6−ブロモベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−プロピルベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−ヘキシルベンズアルデヒド、
3−ヒドロキシ−4−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジヒドロキシ−4,5−ジメチルベンズアルデヒド、
クロロ−4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、
2,3,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジヒドロキシ−4,5−ジプロピルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3−メトキシ−4,5−ジメチル−6−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−(オキシ−4−メチルペンタン酸)−ベンズアルデヒド、
3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−6−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−クロロ−5−(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル)−4,6−ジヒドロキシ−2−メチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−(8−ペンタデセニル)−ベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−3−エチル−6−(1−メチルペンチル)−ベンズアルデヒド、
3−クロロ−5−(3,7−ジメチル−5−オキソ−2,6−オクタジエニル)−4,6−ジヒドロキシ−2−メチルベンズアルデヒド、
2−ペンタン酸−3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシ ベンズアルデヒド、
2−プロパン酸−3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシ ベンズアルデヒド、
2,3,4−トリヒドロキシ−5−メチル−6−ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
3−カルボキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−メトキシベンズアルデヒド、
2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3,4−トリヒドロキシ−6−ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシエチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシプロピルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシブチルベンズアルデヒド、
3−カルボキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシメチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシエチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3−ヨード−5−カルボキシメチルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
ベンズアルデヒドジメチルアセタール、
ベンズアルデヒドグリセリルアセタール、
ベンズアルデヒドプロピレングリコールアセタールなど。
【0058】
好ましいアルデヒドとしては、以下が挙げられる:3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、および4−ヒドロキシ3,5−ジメトキシベンズアルデヒド。
【0059】
芳香族アルデヒドは、一般に、適切なキャリアと混合された単離化合物として用いられる。
【0060】
ベンズアルデヒドジメチルアセタール、ベンズアルデヒドグリセリルアセタール、ベンズアルデヒドプロピレングリコールアセタール、およびクミンアルデヒドは、ヒト用の食品における使用について、Food and Drug Administation(FDA)によって認可された合成香味物質である。これらの使用についての詳細は、21
D.F.R.§172.515(2000)において考察される。
【0061】
(一般合成手順)
本発明の組成物および方法において用いられる芳香族アルデヒドは、公知の化合物であるか、または以下の一般的な方法および手順を使用して、市販の出発物質から調製され得る化合物のいずれかである。代表的または好ましい処理条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられた場合、他の処理条件もまた、他に記載されない限り、使用され得ることが理解される。最適な反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒と共に変化し得るが、このような条件は、慣用的な最適化手順によって、当業者によって決定され得る。
【0062】
例えば、このような化合物は、Friedel−Craftsアシル化反応条件下での、対応するアリール化合物と適切なアシルハライドとのアシル化によって、容易に調製される。さらに、ホルミル化合物(すなわち、R4が水素である化合物)は、例えば、二置換ホルムアミド(例えば、N−メチル−N−フェニルホルムアミド)およびオキシ塩化リンを使用する(Vilsmeier−Haack反応)か、またはZn(CN)2の後に水を使用(Gatterman反応)して、対応するアリール化合物の化合(formulation)によって調製され得る。このようなアリールカルボニル化合物を調製するための多数の他の方法が、当該分野で公知である。このような方法は、例えば、I.T.HarrisonおよびS.Harrison,Compendium of Organic Synthetic Methods,Wiley,New York,1971、ならびにこの中で引用される参考文献に記載される。
【0063】
式IおよびIAの特定の芳香族アルデヒド化合物もまた、対応するアリールヒドロキシ化合物(例えば、4−ヒドロキシベンズアルデヒドなど)のアルキル化によって、調製され得る。この反応は、代表的に、アリールヒドロキシ化合物と適切な塩基(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、水酸化物、フッ化物または炭酸塩)とを、不活性溶媒(例えば、エタノール、DMFなど)中で接触させて、ヒドロキシル基を脱プロトン化することによって、行われる。この反応は、一般に、約0℃〜約50℃で、約0.25〜2時間行われる。次いで、得られる中間体は、インサイチュで、約1.0〜約2.0当量のアルキルハライド、好ましくはアルキルブロミドまたはアルキルヨージドと、約25℃〜約100℃の温度で、約0.25〜約3日間反応される。
【0064】
さらに、式IおよびIAの種々の芳香族アルデヒドが、対応するアリールニトリルの還元によって調製され得る。この反応は、代表的に、アリールニトリルと、約1.0〜1.5当量の水素化物還元剤(例えば、LiAlH(OEt)3)とを、不活性溶媒(例えば、ジエチルエーテル)中で、約−78℃〜約25℃の範囲の温度で、約1〜6時間接触させることによって行われる。次いで、酸水溶液を使用する標準的な後処理条件により、対応するアリールアルデヒドを得る。
【0065】
この組成物および方法において用いられる式IIおよびIIIおよびIIAおよびIIIAの芳香族アルデヒドは、公知の化合物または従来の化合物から従来の手順によって調製され得る化合物のいずれかである。ヘミアセタールは、対応するアルデヒドとアルコールとの酸触媒反応または塩基触媒反応のいずれかにより形成され得る。1当量のアルコールがカルボニルに添加される場合、ヘミアセタールが形成される。2当量のアルコールをカルボニルに添加する場合、生成物はアセタールである。アセタールの形成は、酸で触媒され、そして代表的には、1molのアルデヒドおよび0.1molのCaCl2を1.9molのエタノールに添加することによって行われる。この反応混合物を、室温で、1〜2日間保持する。標準的な後処理条件により、アセタール保護芳香族アルデヒドを得る。
【0066】
(薬学的組成物および美容用組成物、ならびにそれらの使用)
オキシ基保有芳香族アルデヒドを、薬学的組成物および美容用組成物の形態で投与する。このような組成物は、薬学的分野および美容分野で周知の様式で調製され、そして少なくとも1つの活性化合物を含み得る。
【0067】
一般に、本発明の組成物は、美容量または治療的有効量で投与される。治療条件で実際に投与される化合物の量は、代表的に、関連の状況(処置される状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重および応答性、患者の症状の重症度などを含む)を考慮して医師によって決定され得る。美容条件において、適用される量は、所望の美容効果を達成するように選択される。
【0068】
本発明の美容用組成物は、局所投与される。本発明の薬学的組成物は、局所的に、経皮的に、または全身的に(例えば、経口的または注射によって)投与される。
【0069】
このような組成物において、芳香族アルデヒド化合物は、通常、少量の成分(約0.001〜約20重量%、好ましくは約0.01〜約10重量%)であり、残りは、種々のビヒクルまたはキャリアおよび所望の投薬形態を形成するのに有用な処理助剤である。
【0070】
局所美容形態および局所薬学的投薬形態としては、ローション、シャンプー、石鹸、ゲル、クリーム、軟膏およびペースト剤が挙げられ得る。ローションは、通常、水基剤およびアルコール基剤を用いる。ゲルは、半固体のエマルジョンまたは懸濁液である。クリームは、一般に、その基剤中にかなりの割合の水を含み、一方、軟膏およびクリームは、一般に、より油状である。
【0071】
局所投与に適切であるかまたは美容用途に適切な液体形態(例えば、ローション)は、適切な水性ビヒクルまたは非水性ビヒクルと、緩衝剤、懸濁剤および分散剤、濃化剤、浸透促進剤などとを含み得る。固体形態(例えば、クリームまたはペースト剤など)は、例えば、以下の成分の任意の物を含み得る:水、油、アルコールまたは界面活性剤としてのグリース、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、濃化剤、固体など。液体または固体の処方物は、送達促進技術(例えば、リポソーム、ミクロソーム、ミクロスポンジなど)を含み得る。
【0072】
液体、半固体および固体の局所処方物について上記された成分は、単なる例示である。他の材料および処理技術などが、Remington’s Pharmaceutical Sciencesのパート8,第17版、1985,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania(これは本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0073】
薬学的組成物が経皮投与されるべきである場合、これらは代表的に、溶液またはゲルとして用いられる。これらの条件において、活性アルデヒドの濃度は、この組成物の約0.1%〜約20%、好ましくは約0.1%〜約5%の範囲であり、残りは、水性混合ビヒクルまたは非水性ビヒクル(例えば、アルコールなど)、懸濁剤、ゲル化剤、界面活性剤などである。適切なこのような物質の例は、以下に記載される。
【0074】
本発明のアルデヒド含有組成物はまた、持続性放出経皮形態で投与され得るか、または経皮持続性放出薬物送達システムから投与され得る。代表的な持続性放出物質の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに組み込まれた物質において見出され得る。
【0075】
全身投与のための組成物としては、経口投与のための組成物(これは液体および固体である)、および注射のための組成物が挙げられる。
【0076】
経口投与のための組成物は、バルク溶液または懸濁液、あるいはバルク粉末の形態をとり得る。しかし、より一般的には、この組成物は、正確な投薬を容易にするための単位投薬形態にある。用語「単位投薬形態」とは、ヒト被験体および他の哺乳動物の単位投薬量として適切な物理的に別個の単位をいい、各々の単位は、適切な薬学的占有物(occupant)に従って、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含む。代表的な単位投薬形態としては、液体組成物のプロファイルされて予め測定されたアンプルまたはシリンジ、あるいは固体組成物の場合には、丸剤、錠剤カプセル剤などが挙げられる。このような組成物において、芳香族アルデヒドは、通常、少量の成分(約0.01〜約20重量%、または好ましくは約0.1〜約15重量%)であり、残りは、ビヒクルまたはキャリア、および所望の投薬形態を形成するために有用な処理助剤である。
【0077】
経口投与に適切な液体形態は、適切な水性ビヒクルまたは非水性ビヒクルと、緩衝剤、懸濁剤および分散剤、着色剤、香味剤などとを含み得る。固体形態は、例えば、以下の成分または類似の性質の化合物の任意の物を含み得る:結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);占有物(例えば、デンプンもしくはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸)、Primogelまたはコーンスターチ;潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);滑沢剤(glidant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロールまたはサッカリン);あるいは香味剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料)。
【0078】
注射可能組成物は、代表的に、注射可能滅菌生理食塩水もしくはリン酸緩衝化生理食塩水、または当該分野で公知の他の注射可能キャリアに基づく。上記のように、このような組成物中の芳香族アルデヒドは、代表的に、少量の成分であり、しばしば、約0.005〜5重量%であり、残りは、注射可能なキャリアなどである。
【0079】
経口投与可能な組成物または注射可能な組成物について上記される成分は、単なる例示である。他の物質および処理技術などは、上記のRemington’s Pharmaceutical Sciencesの一部に記載される。
【0080】
以下の処方物の例は、本発明の代表的な美容用組成物および薬学的組成物を例示する。しかし、本発明は、以下の薬学的組成物に限定されない。
【0081】
(処方物1−液体)
式I、II、III、IA、IIAまたはIIIAの化合物(125mg)、およびキサンタンゴム(4mg)をブレンドし、No.10メッシュのU.S.シーブに通し、次いで、予め作製した微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム(11:89、50mg)の水/イソプロパノール(75:25)混合物の溶液と混合する。次いで、十分な水/イソプロパノールを添加して、総容量を5mLにする。
【0082】
(処方物2−クリーム)
市販の鉱油−水コールドクリーム基剤を入手する。100gのこの基剤に、微粉末または液体としての式I、II、III、IA、IIAまたはIIIAの化合物(0.75g)を添加し、混合および撹拌を続けて、この基剤中に粉末を懸濁し、そして美容用組成物または薬学的組成物を得る。
【0083】
この組成物は、以下を含む:脱イオン水(57.6重量%);ナイアシンアミド(2.0%);グリセリン(4.0%);フェノニップ(phenonip)(1.0%);プロピレングリコール(5.0%);トランスクトール(transcutol)(3.2%);ホホバ油(3.5%);イソセチルアルコール(2.0%);イソセチルステアレート(3.5%);イソセチルアルコール(3.5%);鉱油(3.0%);4−エトキシベンズアルデヒド(1.0%);イソステアリルパルミテート(3.0%);PEG−7グリセリルココアート(2.0%);Glycereth−7(2.0%);POLYSORBATE−20TM(0.2%);セチルリシノレアート(1.0%);グリセリルステアレート/PEG−100ステアレート(4.0%);およびSEPIGELTM(2.0%)。
【0084】
(処方物3−錠剤)
式I、II、III、IA、IIAまたはIIIAの化合物を、乾燥ゼラチン結合剤およびデンプン希釈剤と、0.1:1:1の重量比で混合する。潤滑量のステアリン酸マグネシウムを添加し、そしてこの混合物を、10mgの活性芳香族アルデヒドを含有する210mgの錠剤にする。
【0085】
(処方物4−注射剤)
式I、II、III、IA、IIAまたはIIIAの化合物を、注射可能水性生理食塩水媒体中に、1mg/mlの濃度で溶解する。
【0086】
(有用性および投薬)
本発明の組成物および方法を使用して、以下のような皮膚状態を局所的に処置し得る:
光線性角化症、
挫瘡、
アレルギー性接触皮膚炎、
アトピー性湿疹、
接触皮膚炎、
湿疹、
紅斑、
手湿疹、
かゆみ、
刺激性接触皮膚炎、
乾癬、
脂漏性湿疹、
しゅさ、
円形脱毛症、
放射線(UV線、IR線および任意の他の電離放射線)による損傷など。
【0087】
これらの組成物(美容用組成物および薬学的組成物の両方)はまた、日焼けを処置および予防するため、ならびに他の形態のUV誘導性の炎症および損傷、および他の形態の電離放射線による損傷を処置および予防するために使用され得る。
【0088】
これらの用途において、美容用組成物および薬学的組成物は、所望の美容効果または局所治療効果を達成するために、局所投与される。
【0089】
これらの用途において、用量レベルまたは適用レベルは、皮膚に送達される活性芳香族アルデヒドの量の形で表され得る。例えば、1日あたり1〜約5回の用量または適用(各々が、約0.001〜約1gの活性アルデヒドを含む)が、使用され得る。
【0090】
あるいは、用量レベルは、投与される処方された組成物の容量の形で表され得る。例えば、1日あたり1〜約5回の用量または適用について、これらの各々が、約1〜約30gの組成物を含み、この組成物が、約0.01重量%〜約10重量%の活性アルデヒド、特に、0.02重量%〜約8重量%の活性アルデヒドを含む。
【0091】
サンケア製品(例えば、サンケアローション)において使用される場合、アルデヒド濃度は、上記される通りであり得、この製品は、日光露出の強度および持続時間に基づいて、必要に応じて、適用され得る。
【0092】
さらに、芳香族アルデヒドが、サイトカイン(例えば、IL−1α)の放出を有効に阻害することが発見されたので、このような化合物は、サイトカイン(特に、IL−1α)の過剰生成または制御困難性生成によって特徴付けられる疾患を処置するために有用である。IL−1および他のサイトカインのレベルの増加は、広く種々の炎症性状態に関連し、この炎症性状態としては、慢性関節リウマチ、敗血症性ショック、らい性結節性紅斑、敗血症、成人性呼吸窮迫症候群(ARDS)、炎症性腸疾患(IBD)、ブドウ膜炎、電離放射線からの損傷などが挙げられる。
【0093】
これらのサイトカインおよび関連する物質と炎症プロセスとの間の関係は、以下の「生物学および試験」でより詳細に記載される。
【0094】
このような炎症性状態を処置するための経皮的投与の場合において、約0.5〜約1000μMの全身血流中の活性アルデヒド濃度および特に約1〜約500μMの全身血流中の活性アルデヒド濃度を達成するように、適切な皮膚表面領域にある量の組成物を投与し得る。
【0095】
炎症性状態を処置するための注射用量レベルは、約0.01mg/kg/時間〜少なくとも1mg/kg/時間の範囲にあり、全て、約1〜約120時間、そして特に24〜96時間にわたる。約0.01mg/kg〜約1mg/kg以上の前充填(preloading)ボーラスはまた、十分な定常状態レベルを達成するように投与され得る。
【0096】
経口投与について、1日当たり、1〜5経口用量、そして特に2〜4経口用量、そして代表的に3経口用量が、代表的なレジメンである。これらの投薬パターンを用いて、各用量は、約0.01〜約10mg/kgの芳香族アルデヒドを提供し、好ましい用量は、各々、約0.01〜約5mg/kgの芳香族アルデヒドを提供する。
【0097】
芳香族アルデヒドは、単独の活性な薬剤として投与されても、これらは、他の薬剤と組み合わせて投与されても良い。
【0098】
(生物学および試験)
本実施例は、これらのアルデヒドが、皮膚における種々の炎症プロセスをブロックする能力を研究するための多くのインビトロ研究を含む。これらの研究について、ヒト一次ケラチノサイトおよび皮膚線維芽細胞株は、THP−1単球およびJurkat T細胞誘導性細胞株と同様に使用されてきた。アルデヒドの抗炎症性活性を評価するために使用されるインビトロ実験は、皮膚炎症プロセスに関する現在の知識に基づいて選択された。図1は、皮膚炎症に関与する事象を示す。
【0099】
皮膚における炎症は、そう痒、疼痛、赤み、腫脹、および、しばしば、咳および薄片状皮膚によって特徴付けられる。これらの症状は、炎症部位への血流の変化、脈管透過性の増加、循環から組織への細胞の移動、ならびにサイトカイン、プロスタグランジンおよびケモカインを含む可溶性媒介物質の放出を生じる。皮膚炎症は、以下によって引き起こされ得る:1)細菌、寄生生物、真菌、またはウイルスによって引き起こされる感染、2)物理的外傷(熱傷、UV放射線および電離放射線を含む)から生じる傷害、3)化学的刺激物との接触、および4)免疫応答を引き起こすアレルゲンのような異物への曝露。
【0100】
炎症は、急性または慢性として特徴付けられ得る。急性皮膚炎症は、UV放射線(UVR)、電離放射線への曝露または化学的刺激物およびアレルゲンとの接触から生じ得る。対照的に、慢性的炎症は、免疫細胞媒介性の持続性炎症性応答から生じる。急性炎症性応答は、代表的に、ほとんど組織破壊を伴わずに、1〜2週間以内に消散される。しかし、慢性炎症性応答は、応答を引き起こした抗原が、皮膚に存続するので、長期性である。このことは、免疫細胞(特に、Tリンパ球)の組織への連続する取り込みを導き、このことは、次いで、多くの炎症性媒介物質を高レベルで産生し分泌する。慢性炎症は、重大かつ重篤な組織破壊を導く。
【0101】
急性皮膚炎症性応答または慢性皮膚炎症性応答のいずれかを引き起こす刺激にかかわらず、初期の事象は、同様であり、図1および図2に示される。誘導性刺激(例えば、UV放射線)は、皮膚においてケラチノサイトを誘導し、重要な炎症性サイトカイン(インターロイキン−1(IL−1))を含む種々のサイトカインを産生する。これらの細胞はまた、腫瘍壊死因子(TNF−α)およびプロスタグランジンE2(PGE−2)を産生する。PGE−2は、傷害部位の近くでの血管の血管拡張を引き起こし、そしてまた、そう痒および疼痛の感覚を生じる感覚神経終末の感度を増加する。TNF−αの主な作用は、血管の内側を覆う内皮細胞の表面上での接着分子の産生を増加することである。これらの接着分子は、血管内でアンカーとして作用し、循環から移動する免疫細胞が内皮細胞に結合することを可能にし、これは、循環から組織へのこれらの細胞の血管外遊出(diapedsis)(移動)に導き得る事象である。ケラチノサイトによって産生されるIL−1は、真皮内の線維芽細胞上の特定のレセプターに結合し、多くの前炎症性遺伝子(COX−2、IL−8およびIL−6)の産生を導くシグナル伝達経路を活性化する。IL−1はまた、ヒスタミン(これはまた、神経終末の感度を増加する)、サイトカインおよび他の炎症性媒介物質の産生および分泌を生じる肥満細胞上の特定のレセプターに結合する。ケラチノサイト由来IL−1に対する応答に加えて、線維芽細胞はまた、刺激(例えば、UVR)を引き起こすことによって直接活性化され得、これは、前炎症性遺伝子の発現をさらに刺激し、PGE−2、ケモカインIL−8およびコラーゲナーゼ−1(MMP−1)の産生を生じる。IL−8は、内皮細胞からの、好中球、単球および最終的にはリンパ球の血管外遊出(diapedsis)(走化性、移動)を刺激し、ここで、これらは、TNF−α誘導性の接着分子の増加の結果として、接着される。一旦、組織に入ると、好中球および単球は、さらなるサイトカイン(IL−1、IL−12)、およびケモカイン(単球走化性タンパク質(MCP−1)、組織への単球の移動を加速し、これらのマクロファージへの転換を補助する強力ケモカインを含む)を産生する。次いで、成熟マクロファージは、細胞外マトリクスタンパク質を分解し、従って皮膚の強度、弾性および厚さを減少するマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)を産生する。
【0102】
炎症性応答が、慢性皮膚疾患および破壊性皮膚疾患(例えば、乾癬およびアトピー性皮膚炎)でそうであるように、皮膚に抗原が存在し続けることによって維持される場合、抗原が存在し続けることによって、Tリンパ球が組織部位に入り、活性化される。この活性化は、サイトカイン(例えば、TNF−α、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)、IL−8、IL−12、およびインターフェロン−γ(INF−γ))の産生を誘導する。放出されたIL−12によって、Tリンパ球が迅速に増殖され、広い範囲のサイトカイン、増殖因子および他の炎症性媒介物質が産生される。これらの放出された産物は、マクロファージをさらに活性化し、単球を補充し、組織破壊を増加し、そして皮膚細胞(特に、ケラチノサイト)の加速されかつ制御されない増殖を引き起こす。この結果は、ケラチノサイトが、表面を迅速に動き、薄片に剥がれる間、皮膚の赤み、疼痛、そう痒および結痂を伴う明白な皮膚炎症である。さらに、表面での迅速なケラチノサイトの流出は、角質層のバリア機能を傷つけ、水分損失および乾燥皮膚を生じる。
【0103】
炎症において共通して見出されることは、皮膚の細胞が、2つの細胞内シグナル伝達経路のいずれか1つ(またはいくらかの場合、両方の経路)を活性化することによって炎症性刺激に応答することである。これらの経路は、一般的に、ストレス活性化キナーゼ(SAK)経路およびNF−κB経路としていわれる。SAK経路は、AP−1転写因子の活性化を導き、これは、次いで、いくつかの炎症性遺伝子(COX−2、IL−6およびMCP−1を含む)に結合し、これらを活性化する。NF−κB経路の活性化によって、NF−κBタンパク質の核へのトランスロケーションを生じ、NF−κB駆動性炎症性遺伝子(例えば、IL−8、MMP−1、TNF−αおよび接着分子(VCAM−1))の活性化を生じる。興味深いことに、IL−1を含む多くの炎症性遺伝子は、プロモーター要素を有し、これは、AP−1およびNF−κB転写因子の両方を結合し、従って、両方のシグナル伝達経路によってある程度まで制御される。Cutanixスクリーニングアッセイは、どの経路が調査中の化合物によってブロックされるかを決定するように設計されるか、または両方の経路が、効果的に阻害されるかを決定するように設計される。これらの経路の各々によって制御される炎症性遺伝子の転写をブロックする能力を有する化合物は、局所適用される場合、有意な抗炎症性効果を提供するようである。調査中の各々の推定抗炎症性化合物について、初期スクリーニングプログラムは、介入のための以下の標的部位に集中する:
1.UVR処理ケラチノサイトまたはテトラデカノイルホルボールアセテート処理ケラチノサイト中のIL−1およびPGE−2の産生の阻害。
2.UVR処理皮膚線維芽細胞中のPGE−2の産生の阻害。
3.IL−1処理線維芽細胞中のPGE−2産生の阻害。
【0104】
皮膚炎症のほとんどの共通の活性化因子の1つが、日光(特にUVB放射線)であるので、ケラチノサイトおよび線維芽細胞の両方におけるUVRによる前炎症性PGE−2の誘発をブロックする化合物の能力を決定することは、スクリーニングプロセスにおける論理的第1工程を示す。さらに、皮膚炎症が、化学的刺激物またはアレルゲンと接触することによってしばしば引き起こされるので、皮膚における炎症性応答をトリガーすることが公知であるTPAの使用は、試験化合物の抗炎症性活性の分析のためのさらなるモデルを提供する。最後に、IL−1が、炎症の最も重要な媒介物質および伝播物質の1つであり、炎症性刺激(例えば、UVR)によって迅速に誘導されるので、潜在的な抗炎症性化合物がIL−1の産生または作用のいずれかをブロックする能力を決定することは、臨床的に重要な初期スクリーニング研究である。図1および図2に示されるように、ケラチノサイトからのIL−1産生をブロックすることによって、線維芽細胞の活性化が抑制されるだけでなく、脂肪細胞の活性化もブロックされ、従って、ヒスタミンおよび他の炎症媒介物質の放出を防止する。さらに、皮膚におけるIL−1産生の阻害は、IL−1によってのみ刺激される膨大な数の炎症性遺伝子の活性化を防止する。これらとしては、COX−2、MMP−1ならびに種々のサイトカイン遺伝子およびケモカイン遺伝子が挙げられる。
【0105】
本明細書中に記載される初期スクリーニング研究の全てについて、培養物中の細胞は、適切なアゴニスト(すなわち、UVR、TPAまたはIL−1)に曝露され、次いで、調査中の化合物の存在下または非存在下において24時間または48時間培養液中でインキュベートされる。24時間および48時間の時点で、細胞から培地が除去され、ELISAによって多くの炎症性媒介物質についてアッセイされる。
【0106】
これらのスクリーニング研究について、一次ケラチノサイトおよび線維芽細胞株のみを使用し、不死化細胞株を使用しなかった。皮膚由来の正常細胞の使用は、インビトロ研究からの結果が、局所適用される場合、所定の化合物の効果を予測する確率を増加する。
【0107】
100μM以下の濃度でPGE−2誘導を完全に抑制する(100%)ことが見出されたアルデヒドは、次いで、より骨の折れる用量応答研究に供され、この研究は、以下の順の実験を含む:
1.ケラチノサイトおよび線維芽細胞において種々のUVR誘導性炎症性媒介物質、TPA誘導性炎症性媒介物質、またはIL−1誘導性炎症性媒介物質(IL−6、TNF−α、IL−8、およびMMP−1を含む)をブロックする、化合物の能力のELISAによる評価。
2.リポポリサッカリド(LPS)によって刺激される単球(THP−1単球株)および細胞を活性化する抗体リガンドで刺激されたTリンパ球(Jurkat細胞)による、炎症性媒介物質の産生および分泌をブロックする、化合物の能力のELISAによる評価。3.化合物が、遺伝子レベルで、種々のアゴニスト(UVR、IL−1、TPA、またはLPS(リポポリサッカリド)を含む)に対する細胞の曝露によって刺激される特定の炎症性遺伝子を抑制するように作用するかどうかを決定するためのRPA(リボヌクレアーゼ保護分析)の使用。Cutanixは、調査中の化合物の存在下または非存在下において、ケラチノサイト、線維芽細胞、T細胞および単球について、UVR、IL−1、TPAまたはLPSで刺激された細胞における細胞型特異的炎症性遺伝子の発現を同時に測定するための、カスタマイズされたRPA「カクテル」を開発した。
4.皮膚に存在する細胞に対して特異的な5,500を超える遺伝子の発現に対する、任意の化合物の効果を同時に試験するためのマイクロアレイ遺伝子分析の使用。使用される遺伝子アレイは、Research Geneticsから購入され、皮膚において発現されることが公知である遺伝子に対して読み出しを提供する。
【0108】
アルデヒドは、多くの前炎症性媒介物質を抑制し、図2は、インビボでアルデヒドによって阻害されるようないくつかの事象(丸付きXによって示される)を同定する。
【実施例】
【0109】
以下の実施例は、本発明をさらに記載するために適用され、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲に対する限定として意図されない。
【0110】
(実施例1)
最初のインビトロ実験を、局所投与される医薬として芳香族アルデヒド(4−エトキシベンズアルデヒド(「4−EB」))の活性を実証するために実施した。
【0111】
この実験について、ヒト皮膚線維芽細胞を、組織培養培地中に80,000細胞/ウェルの密度で12ウェルの培養皿に播種し、そして一晩おいてこの皿に接着させた。次の日、培地を除去し、そして希釈剤コントロールとしての1%エタノール、500pg/mlの濃度のIL−1、またはIL−1および250μMもしくはIL−1および500μMの4−EBのいずれかを含む新しい培地で置換した。細胞を、さらに24時間インキュベートし、そしてこの時点で、培地を除去し、そして培養培地中のPGE−2の存在についてELISAによってアッセイした。これらの結果は、IL−1が、PGE−2における17.8倍の増加を引き起こしたことを示す(コントロール=727pg/106細胞;IL−1=12,976pg/106細胞)。しかし、いずれかの濃度の4−EBで処理された細胞は、PGE−2のIL−1誘導の完全な阻害を示した。
【0112】
(実施例2)
インビトロ実験を、局所投与される医薬として3,5ジ−tert−ブチル,4−ヒドロキシベンズアルデヒド(「DTHB」)の活性を実証するために実施した。
【0113】
この実験について、ヒト皮膚線維芽細胞を、組織培養培地中に80,000細胞/ウェルの密度で12ウェルの培養皿に播種し、そして一晩おいてこの皿に接着させた。次の日、培地を除去し、そして希釈剤コントロールとしての1%エタノール、500pg/mlの濃度のIL−1、またはIL−1および1μM、10μM、50μM、もしくは100μMの調査中の化合物の1つを含む新しい培地で置換した。細胞を、さらに24時間インキュベートし、そしてこの時点で、培地を除去し、そして培養培地中のPGE−2の存在についてELISAによってアッセイした。これらの結果は、IL−1が、PGE−2における4〜22倍の増加を引き起こしたことを示す。
【0114】
DTHBの活性を4−エトキシベンズアルデヒド(「4−EB」)と比較する研究の詳細な結果を、図3Bに示し、ここで、%阻害は、以下のとおりである:4−EB、50μM、10μMおよび1μMで100%、6%および10%;DTHB、50μM、10μMおよび1μMで100%、44.4%および3.3%。
【0115】
(実施例3)
続いての研究を、4−EBに対するヒト皮膚線維芽細胞の用量応答を決定するために実施した。4−EBは、100μMでPGE−2のIL−1誘導を完全にブロックし、50μMでPGE−2誘導を82%をブロックし、そして10μM程度に低い濃度で35%をブロックした。研究の結果を、図3Aにグラフによって提供する。
【0116】
(実施例4)
実施例2に記載されるのと同様のインビトロ研究を、ヒト皮膚ケラチノサイトを使用して実施した。実験設定は、実施例2に記載されるものと同じであったが、IL−1の代わりに、アゴニストとして32nMの濃度のテトラデカノイルホルボールアセテート(TPA)を用いた。10μM、50μMまたは100μMのいずれかの濃度の3,5−ジ−tert−ブチル,4−ヒドロキシベンズアルデヒド(DTHB)のサンプルを試験した。これらの結果は、TPAが、PGE−2における3.5倍の増加を引き起こしたことを示す。しかし、DTHBを用いる処置は、少なくとも50%、PGE−2産生をブロックした。DTHBを4−EBと比較する研究の詳細な結果は、図4Cに示される。%阻害は、以下の通りである:DTHB、10μMで87.9%;4−EB、100μMおよび50μMで94.9%および79.9%。
【0117】
(実施例5)
引き続くインビトロ実験を、4−エトキシベンズアルデヒド(「4−EB」)に対して比較して、局所投与される医薬としての、他の芳香族アルデヒドの活性を実証するために実施した。試験した化合物は、2−エトキシベンズアルデヒド(2−EB)、3−エトキシベンズアルデヒド(3−EB)および4−メトキシベンズアルデヒド(4MB)であった。
【0118】
この実験について、ヒト皮膚線維芽細胞を、組織培養培地中に80,000細胞/ウェルの密度で12ウェルの培養皿に播種し、そして一晩おいてこの皿に接着させた。次の日、培地を除去し、そして希釈剤コントロールとしての1%エタノール、500pg/mlの濃度のIL−1、またはIL−1+1μM、10μM、50μMもしくは100μMの濃度の調査中の化合物のうち1つ、のいずれかを含む新たな培地で置換した。細胞を、さらに24時間インキュベートし、そしてこの時点で、培地を除去し、そして培養培地中のPGE−2の存在についてELISAによってアッセイした。これらの結果は、IL−1が、PGE−2における4〜22倍の増加を引き起こしたことを示す。
【0119】
図4Aの詳細な結果中に示される%阻害は、以下の通りである:2−EB、100μMおよび50μMで82.9%および58.9%;3−EB、100μMおよび50μMで41.2%および42.6%;4−EB、100μMで81.5%。
【0120】
10μMまたは50μMの濃度の4MBは、線維芽細胞において、IL−1誘導性のPGE−2の産生を阻害しないようであった。図4Bの詳細な結果中に示される%阻害は、以下の通りである:4−MB、50μMおよび10μMで13.6%および16.2%。
【0121】
(実施例6)
インビトロ実験を、局所的に投与される医薬としての芳香族アルデヒドDTHBの活性を実証するために実施し得る。
【0122】
この実験について、ヒト皮膚線維芽細胞を、組織培養培地中に80,000細胞/ウェルの密度で12ウェルの培養皿に播種し、そして一晩おいてこの皿に接着させるべきである。次の日、培地を除去し、そして希釈剤コントロールとしての1%エタノール、500pg/mlの濃度のIL−1、またはIL−1+250μMもしくは500μMのいずれかのDTHB、のいずれかを含む新たな培地で置換する。細胞を、さらに24時間インキュベートし、次いで培地を除去し、そして培養培地中のPGE−2の存在についてELISAによってアッセイする。
【0123】
(実施例7)
実施例5に記載されるのと類似のインビトロ研究を、ヒト皮膚ケラチノサイトを使用して実施した。実験設定は、実施例5に記載されるものと同じであったが、IL−1の代わりに、アゴニストとして32nMの濃度のテトラデカノイルホルボールアセテート(TPA)を用いた。試験した化合物は、10μM、50μMまたは100μMのいずれかの濃度の、2−エトキシベンズアルデヒド(2−EB)および3−エトキシベンズアルデヒド(3−EB)および4−エトキシベンズアルデヒド(4−EB)であった。これらの結果は、TPAが、PGE−2における3.5倍の増加を引き起こしたことを示す。しかし、これらの化合物のいずれかを用いる処置は、少なくとも50%、PGE−2産生をブロックした。
【0124】
図5の詳細な結果中に示される%阻害は、以下の通りである:2−EB、100μM、50μMおよび10μMで83%、76.6%および55.2%阻害;3−EB、100μMおよび50μMで76.7%および57.7%;4−EB、100μMおよび50μMで94.9%および79.9%。
【0125】
(実施例8)
DTHBに対するヒト皮膚線維芽細胞の用量応答を決定するために、上記のような実験を実施し得る。IL−1投与後に細胞に添加されるDTHBの量は、約250μM〜1μMで変動するはずである。
【0126】
(実施例9)
インビトロ実験を、局所的に投与される医薬としての一連の芳香族アルデヒドの活性を実証するために実施した。試験した化合物および測定結果を、図6にて表にし、そして、図8〜11においてグラフで示す。これらのデータは、式Iのアルデヒドについての結果を含み、そしてまた、他の関連化合物についての結果をも含む。
【0127】
この実験について、ヒト皮膚線維芽細胞を、組織培養培地中に80,000細胞/ウェルの密度で12ウェルの培養皿に播種し、そして一晩おいてこの皿に接着させた。次いで、培地をUV光またはIL−1のいずれかでのチャレンジのために、PBSで置換した。照射またはIL−1の導入後に、PBSを除去し、次いで、適切な化合物を含む培養培地(またはコントロールのためのDMSO)を添加し、そして細胞をさらに24時間培養した。この時点で、培地を除去し、そして培養培地中のPGE−2、IL−1、IL−6、IL−8またはMMP−1の存在について、ELISAでアッセイした。馴化培地中のタンパク質レベルを測定し、希釈剤コントロールと比較して%阻害を報告した。
【0128】
(IL−1チャレンジ)
2日目に、培地を除去し、そして希釈剤コントロールとしての1%エタノール、500pg/mlの濃度のIL−1、またはIL−1+100μM、10μMもしくは1μMの濃度の調査中の化合物のうち1つ、のいずれかを含む新たな培地で置換した。
【0129】
(UV光チャレンジ)
2日目に、照射のために、培地を除去して新しいPBSと交換した。次いで、線維芽細胞を、50mJのUVBで照射した。UVB照射を、UVC放射線を除去するためにマルチウェルプレートの蓋を通して、FS−20太陽灯でサンプルを照射することによって達成した。照射後、PBS溶液を除去して、1%エタノール(希釈コントロールとして)または、100μM、10μM、もしくは1μMの濃度のアルデヒド化合物の1つのいずれかを含む溶液と交換した。これらの細胞をさらに24時間インキュベートし、次いでELISAアッセイのために培地を除去して、細胞を数えた。
【0130】
(実施例10)
実施例9に記載したようなインビトロでの同様の研究を、ヒト皮膚ケラチノサイトを用いて実施した。実験の設定は、実施例9に記載したのと同様にした。これらの生成物を、培養培地におけるPGE−2、IL−1、IL−6、IL−8、MMP−1またはTNF−αの存在について、ELISAによってアッセイした。
【0131】
これらの細胞が生化学的アゴニストよるチャレンジの間、IL−1を、32nMの濃度のテトラデカノイルホルボールアセテート(TPA)で交換した。UV光を細胞をチャレンジするために使用した場合、75mJのUVBに曝露した。これは、UVC放射線を除去するためにマルチウェルプレートの蓋を通して、FS−20太陽灯でサンプルを照射することによって達成した。
【0132】
試験した化合物は、100μM、10μM、もしくは1μMのいずれかの濃度であった。そしてタンパク質発現レベルを、コントロール処理した細胞に対する%阻害で報告する。測定した%阻害を図7に表示し、そして図12〜14に図解する。
【0133】
(実施例11)
著しい炎症効果が見られたのに起因して、4−EBをヒト線維芽細胞培養物モデルにおいて使用した場合、インビボ研究を、代表的に適用される4−EBがヒトにおける炎症応答をブロックし得るか否かを決定するために実施した。本明細書中に提供される詳細は、特定の化合物についてであるものの、同様の試験は、本発明のいかなる芳香族アルデヒドに関しても使用され得る。
【0134】
以下からなる局所ローションを、4−EBについて開発した:
(水相)
脱イオン水 57.6%(重量)
ニコチンアミド 2.0%
グリセリン 4.0%
フェノニップ(Phenonip) 1.0%
(油相)
プロピレングリコール 5.0%
トランスクトール(Transcutol) 3.2%
Jojoba油 3.5%
イソセチルアルコール 2.0%
イソセチルステアレート 3.5%
鉱油 3.0%
4−エトキシベンズアルデヒド 1.0%
イソステアリルパルミテート 3.0%
PEG−7グリセリルココエート(Cocoate) 2.0%
Glycereth−7 2.0%
POLYSORBATE−20TM 0.2%
セチルリシノレート(Ricinoleate) 1.0%
グリセリルステアレート/
PEG−100ステアレート 4.0%
(増粘剤)
SEPIGELTM 2.0%
次いで、このローションを、フランツ細胞経皮吸収分析によって試験して、24時間にわたって、どのくらいの4−EBがヒト皮膚に浸透し得るかを決定した。上記のローション処方物は、30〜50μg/時間の、ヒト皮膚を介する4−EB流出比を提供した。
【0135】
次いで、このローションを、ヒト皮膚に局所的に塗布した場合に、炎症応答を防ぎ得るか否かを決定するために試験した。この研究のために、実験ボランティアを、60〜80mJのUVB光(太陽灯)を用いて、前腕内側にクォーターサイズスポット(quarter sized spot)で照射した。この線量は、非常に目立つ紅斑反応を引き起こすのに十分であった。両腕の照射直後、片方の腕を上記の4−EBローションで処置し、他方の腕を、4−EBの入っていない同じローション処方物で処置した。照射後2〜6時間以内に、ビヒクルで処置した腕は、照射部位にはっきりとした紅斑応答が生じるが、4−EBローションで処置したスポットには生じなかった。次の日になっても、照射14時間後に、4−EBで処置したスポットは赤くなかった。この研究は、局所的に塗布した4−EBが、著しい抗炎症活性を有することを実証する。
【0136】
その抗炎症活性に加えて、本発明の化合物は、単独またはエチルバニリンのような他の化合物との組み合わせのいずれかにおいて、抗加齢特性を有し得る。皮膚加齢の伝統的な症状の1つは、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲナーゼ活性の増加であり、これは、コラーゲンを破壊して皮膚のたるみおよびシワを引き起こす。
【0137】
(潜在的用途の発見に関する結果の意味)
(抗加齢剤)
本発明の芳香族アルデヒドが、培養した皮膚細胞における炎症遺伝子の活性を阻害するいう発見、および局所的に塗布した場合、インビボにおける炎症応答をブロックし得るという発見は、化粧品、皮膚科学および経口の薬物市場におけるこれらの化合物の広範な有用性を示唆する。化粧品市場において、局所用途のために処方された場合、これらの化合物は、慢性の日光誘導性炎症(これは、皮膚マトリクスを破壊する、皮膚細胞における遺伝子の活性化を引き起こす)をより低下させることが予測され得る。日光誘導性遺伝子(例えば、MMP−1(コラーゲナーゼ)、ゼラチナーゼ、およびサイトカインIL−1、IL−12など)を阻害することによって、2−EB、3−EBおよび4−EBは、皮膚のさらなる破壊を防ぎ、従って線およびシワの発生、たるんだ皮膚、および皮膚の薄化を減少させる。これらの芳香族アルデヒドは、コラーゲンのような皮膚マトリクスを支持する遺伝子を刺激するようである(進行中の研究)。従って、この生成物は、日光で損傷された皮膚用の「皮膚回復性(skin restorative)」生成物として使用され得る。この皮膚回復性生成物は、損傷の形成を防ぐこと、ならびに存在する角化症の大きさおよび数を実際に減少させることの両方によって、光線性角化症を処置するのに有用性を有する。
【0138】
(サンケア生成物)
局所的に塗布された4−EB、または本発明の他の任意の化合物が、UVB曝露による日焼け発症を完全に防ぎ得るという発見は、サンケア生成物における芳香族アルデヒドの使用を示唆し、これらとしては、日焼け前(pre−sun)、日焼けローション、および日焼け後の生成物が挙げられる。これは、分子がサンスクリーン特性(おそらく、ある範囲でサンスクリーン特性を有する)を有するが、皮膚が日光のUV線をすでに曝露された後に、日焼けの進行を実際に停止させ得ることを示唆していない。UVB曝露直後の生成物の局所適用は、日焼けの発生を防ぐことが示されているが、日焼け後でさえ、生成物の塗布が、以下のようであり得る可能性もある:1)日焼けの連続した進行を防ぐこと、および2)すでに存在する赤みを戻すこと。
【0139】
(実施例12)
(しゅさの臨床試験)
軽〜中程度のしゅさを有する30人の被験体を、1%w4−EBを含むローション(20人の被験体)または活性な物質を取り除いたコントロールローションのいずれかで処置した。この研究を、無作為化して二重盲検した。1回目の訪問の際、患者を、以下の、疾患の4つの測定を用いて評価した:1)紅斑、2)剥離(皮膚剥脱)、3)不等皮膚緊張(uneven skin tone)および4)皮膚炎。臨床家はまた、疾患全体の最も重症なレベルである6を含む、1〜6の範囲である「総合重症度(Overall Severity)」スコアを提供する。患者を、疾患の重症度を記録するために写真に撮った。評価後、患者に、試験ローションまたはコントロールローションのいずれかを持たせて、それを2週間にわたって朝および夕方に塗布するようにいって、家まで送った。次いで、2週間の評価のために診療所に再び来させ、そしてその際、さらに2週間分の生成物を渡した。4週間で、臨床医と被験体の両方がその疾患の重症度を評価した。処置した領域のデジタル写真をまた撮った。
【0140】
研究を開始した30人のしゅさ患者のうち、28人が4週間で完了した。脱退した患者を含めて、被験体のうちで、照射または生成物からの他の有害な効果を経験した被験体はいなかった。図15Aの棒グラフは、4週間で、試験ローション処置群についての「総合重症度」における改善の割合をまとめる。理解され得るように、しゅさの重症性は、13/18人(72%)の被験体において減少した。これらの応答のうちで平均的な改善は、68%(全患者の49%)であった。これは統計的に有意な結果である。
【0141】
図15Bの棒グラフは、4週間で、コントロールローション処置群についての「総合重症度」における改善の割合をまとめる。理解されるように、しゅさの重症性は、6/10人(60%)の被験体において減少したが、3/10(30%)において増加した。全体としての平均的な改善は、15%であり、これは統計的に有意な結果ではない。
【0142】
試験ローションもまた、しゅさ研究における別の重要な統計学的閾値を達成した。試験ローション処置群における改善の程度は、ウイルコクソンおよび分散分析の両方を用いて、コントロール処置群における改善の程度より、より有意であった(p=0.05)。これらの結果は、薬物効力についての調整標準に適合するのに十分な質であり、ヒトの皮膚炎症を抑制する、4−エトキシベンズアルデヒドの能力を明確に規定する。
【0143】
皮膚炎症の重症度および血管拡張に起因して、しゅさは、処置の困難な疾患である。4−EBの2%処方物が、この臨床試験において使用される1%処方物よりもUV誘導性紅斑をブロックする際により有効であることが示されていることを考慮すると、試験ローションのより高い強度のバージョンは、しゅさの処置においてより高い効力を提供し得る。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、オキシ基保有芳香族アルデヒド、ならびに化粧品および医薬品における活性成分としてのそれらの使用に関する。より詳細には、本発明は、このようなアルデヒド、ならびに化粧品におけるそれらの使用および局所医薬品、経皮性医薬品または全身性医薬品としてのそれらの使用に関する。
【0002】
(技術の状態)
本発明は、芳香族アルデヒドの使用に関する。多くの芳香族アルデヒドは、一般に化学中間体としての用途を見出されている既知の物質である。数種の芳香族アルデヒドは、同様に天然産物の成分である。
【0003】
本明細書中で定義される場合、「オキシ基保有芳香族アルデヒド」は、その芳香族環上に、少なくとも1個のR3−O−R2−オキシ置換基を保有する芳香族アルデヒドである。ここで、R2は、炭素−酸素単結合または直鎖もしくは分枝鎖のアルキレンであり、そしてR3は、水素、直鎖または分枝鎖の、アルキル、シクロアルキル、アルカシクロアルキル(alkcycloalkyl)、アルケニル、アリールまたはアラルキルである。
【0004】
本発明は、これらのアルデヒドを、医薬品および化粧品における活性成分として使用する。本発明は、経皮的もしくは経口的にかまたは注射によって送達される場合に、これらのアルデヒド物質が、炎症性状態に対する全身性薬剤としての用途を見出され得ることを企図しているが、この時点で、これらの好ましい用途は、広範な皮膚科学的状態(皮膚炎およびU.V.誘導炎症から乾癬および挫瘡までに及ぶ皮膚科学的状態)を処置するために使用される局所的な美容用組成物および薬学的組成物の成分としての用途である。
【0005】
湿疹および乾癬のような状態を処置するために過去使用された治療剤は、単なる緩和薬の使用を包含していた。局所ステロイド(中程度の薬剤(例えば、ヒドロコルチゾン(1%))〜より強力な物質(例えば、クロベタゾールプロピオネート(0.05%)の範囲)は、一般的な炎症性皮膚病で示されている。さらに、コルチコステロイドおよび免疫抑制薬は、皮膚の状態を処置するために使用される。ビタミンDおよびその誘導体(例えば、カルシポトリオール(calcipotrial)およびタコルシトール(tacolcitol))ならびにビタミンAおよび他のレチノイドは、皮膚科学的問題を処置するために使用される。ビタミンD物質は、挫瘡を処置するために使用されている。
【0006】
それらの直接的な局所治療に加えて、皮膚上に配置された際に、多くの物質が皮膚を通過し、そして全身性循環に入ることが周知である。薬物の「局所」投与と、このいわゆる「経皮」投与との間のラインは、あいまいであり、これまで、多くの治療剤が、局所的局面と経皮的局面との両方を有していた。
【0007】
これらの治療剤は、それらの制限を有さないわけではない。緩和薬は、非常に一過性であり、繰返し再生されなければならない。局所ステロイドの使用は、薄くなった皮膚、挫傷、および発疹、ならびに重症な全身性の副作用(例えば、クッシング症候群の発症)に関連する。
【0008】
ビタミンD物質は、しばしば経皮的に通過し、そして使用者の全身性カルシウム代謝に対する予測できない効果を有し得る。レチノイドは、いくつかの症例において座瘡を引き起こし、妊娠中に経皮的に吸収された際に、催奇性効果を生じることが報告されている。
【0009】
皮膚科学的状態を有効に処置し得るさらなる局所組成物に対する必要性が存在することは、明白である。これらの組成物はまた、必要に応じて経皮的に処置されるかまたはさもなければ全身的に処置可能な炎症性状態を処置し得、かつ現在使用中の治療に関連した問題のいくらかまたは全てを回避し得る場合、かなり望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
薬学的に受容可能な局所キャリアおよび以下の式I、IIまたはIIIの化合物を含む組成物であって:
【化1】
ここで、R1は、炭素−炭素単結合または直鎖アルキレンもしくは分枝鎖アルキレンであり;
R2は、炭素−酸素単結合または直鎖アルキレンもしくは分枝鎖アルキレンであり;
R3は、水素、直鎖または分枝鎖アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルカシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;そして
R4の各々は、水素、アルキル、置換アルキル、アルカシクロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルカシクロアルコキシ、シクロアルコキシ、アシル、アシルオキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択され;そして
R5の各々は、独立してアルキルであるか、または式IIのアセタールの場合、2つのR5は、それらが結合する原子と一緒にヘテロシクロアルキルを形成し;
但し、式Iの化合物は、2−4−ジエトキシベンズアルデヒドでも、2,4,5−トリエトキシベンズアルデヒドでもない、組成物。
(項目2)
R3が、H以外である、項目1に記載の組成物。
(項目3)
R1が、炭素−炭素単結合である、項目1に記載の組成物。
(項目4)
R3が、Hであり、かつR1が、炭素−炭素単結合である、項目1に記載の組成物。
(項目5)
R1が、直鎖アルキレンである、項目1に記載の組成物。
(項目6)
R3が、Hであり、かつR1が、直鎖アルキレンである、項目1に記載の組成物。
(項目7)
R2が、炭素−酸素単結合である、項目1に記載の組成物。
(項目8)
R2が、直鎖アルキレンである、項目1に記載の組成物。
(項目9)
R3が、Hであり、かつR2が、炭素−酸素単結合である、項目1に記載の組成物。
(項目10)
R3が、Hであり、かつR2が、直鎖アルキレンである、項目1に記載の組成物。
(項目11)
R2が、炭素−酸素単結合である、項目3に記載の組成物。
(項目12)
R2が、直鎖アルキレンである、項目3に記載の組成物。
(項目13)
R2が、炭素−酸素単結合である、項目4に記載の組成物。
(項目14)
R2が、直鎖アルキレンである、項目4に記載の組成物。
(項目15)
R3が、直鎖アルキルである、項目1に記載の組成物。
(項目16)
R3が、直鎖アルキルである、項目11に記載の組成物。
(項目17)
R3が、直鎖アルキルである、項目12に記載の組成物。
(項目18)
薬学的に受容可能なキャリアおよび以下:
2−メトキシベンズアルデヒド、
2−プロポキシベンズアルデヒド、
2−イソプロポキシベンズアルデヒド、
3−メトキシベンズアルデヒド、
3−エトキシベンズアルデヒド、
3−プロポキシベンズアルデヒド、
3−イソプロポキシベンズアルデヒド、
4−(2−プロペニルオキシ)ベンズアルデヒド、
4−イソプロポキシベンズアルデヒド、
2−メトキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−エトキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−プロポキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−イソプロポキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
3−メトキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−プロポキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−イソプロポキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
2−ブトキシベンズアルデヒド、
4−ヘプチルオキシベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
4−エトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、
3,4−ジエトキシベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−ヘキシルオキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−エトキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−ヘプチルオキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−オクチルオキシベンズアルデヒド、
4−(メトキシメチル)−ベンズアルデヒド、
4−(エトキシメチル)−ベンズアルデヒド、
3−(ドデシルオキシ)ベンズアルデヒド、
4−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒド、
4−アセトキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、
3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシル−3−4−メトキシベンズアルデヒド、
3,4−ジエトキシベンズアルデヒド、
2,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド、
3−クロロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
3−ブチルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
3,5−ジメトキシ−4−ベンズオキシベンズアルデヒド、
3,5−ジクロロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−メチル−3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、
2,3,4,5−テトラメトキシベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジメトキシ−4,5−ジメチルベンズアルデヒド、
2−アセチルオキシ−3−メトキシ−6−ブロモベンズアルデヒド、
2−メトキシ−6−(8−ペンタデセニル)−ベンズアルデヒド、
2−メトキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2,3−ジメトキシベンズアルデヒド、
2,5−ジメトキシ−4−ホルミルベンズアルデヒド、
4−オクチルオキシベンズアルデヒド、
2−プロポキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ブトキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ペントキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ヘキソキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5ジニトロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5ジフルオロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4ジイソブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,6ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4ジフルオロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4ジシアノ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4ジイソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,5ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−メチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−プロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−イソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−sec−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−アミル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−メチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−エチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−プロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−イソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−sec−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−アミル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5ジイソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロベンズアルデヒド、
2,6−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−6−メチルベンズアルデヒド、
2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
5−クロロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−ブロモベンズアルデヒド、
3−クロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3,5−ジヨードベンズアルデヒド、
3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3−メトキシ−6−ブロモベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−プロピルベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−ヘキシルベンズアルデヒド、
3−ヒドロキシ−4−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジヒドロキシ−4,5−ジメチルベンズアルデヒド、
クロロ−4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、
2,3,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジヒドロキシ−4,5−ジプロピルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3−メトキシ−4,5−ジメチル−6−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−(オキシ−4−メチルペンタン酸)−ベンズアルデヒド、
3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−6−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−クロロ−5−(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル)−4,6−ジヒドロキシ−2−メチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−(8−ペンタデセニル)−ベンズアルデヒド、
2−4−ジヒドロキシ−3−エチル−6−(1−メチルペンチル)−ベンズアルデヒド、
3−クロロ−5−(3,7−ジメチル−5−オキソ−2,6−オクタジエニル)−4,6−ジヒドロキシ−2−メチルベンズアルデヒド、
2−ペンタン酸−3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−プロパン酸−3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3,4−トリヒドロキシ−5−メチル−6−ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
3−カルボキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−メトキシベンズアルデヒド、
2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3,4−トリヒドロキシ−6−ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシエチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシプロピルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシブチルベンズアルデヒド、
3−カルボキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシメチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシエチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3−ヨード−5−カルボキシメチルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
ベンズアルデヒドジメチルアセタール,
ベンズアルデヒドグリセリルアセタール,および
ベンズアルデヒドプロピレングリコールアセタール
からなる群より選択される化合物を含む、薬学的組成物。
(項目19)
上記式Iの化合物が、2−エトキシベンズアルデヒド、2−アセトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、4−アリルオキシベンズアルデヒド、4−エトキシベンズアルデヒド、4−プロポキシベンズアルデヒド、4−ブトキシベンズアルデヒド、4−ペンチルオキシベンズアルデヒド、および4−ヘキシルオキシベンズアルデヒドからなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(項目20)
上記式Iの化合物が、2−エトキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目21)
上記式Iの化合物が、2−アセトキシ−3−メトキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目22)
上記式Iの化合物が、4−アリルオキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目23)
上記式Iの化合物が、4−エトキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目24)
上記式Iの化合物が、4−プロポキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目25)
上記式Iの化合物が、4−ブトキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目26)
上記式Iの化合物が、4−ペンチルオキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目27)
上記式Iの化合物が、4−ヘキシルオキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目28)
上記式Iの化合物が、3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドおよび4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドからなる群より選択される、項目1に記載の組成物。
(項目29)
上記式IAの化合物が、3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目30)
上記式IAの化合物が、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目31)
上記式IAの化合物が、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目32)
上記式IAの化合物が、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドである、項目1に記載の組成物。
(項目33)
上記組成物が、美容用組成物である、項目1に記載の組成物。
(項目34)
上記組成物が、美容用組成物である、項目2に記載の組成物。
(項目35)
上記キャリアが、液体キャリアである、項目33または34に記載の美容用組成物。
(項目36)
上記キャリアが、クリームキャリアである、項目33または34に記載の美容用組成物。
(項目37)
上記組成物が、薬学的組成物であり、かつ上記化合物が、薬学的に有効量で存在する、項目1に記載の組成物。
(項目38)
上記キャリアが、液体キャリアまたはクリームキャリアである、項目37に記載の美容用組成物。
(項目39)
上記組成物が、経皮的薬学的組成物であり、かつ上記化合物が、経皮的に有効量で存在する、項目1に記載の組成物。
(項目40)
上記組成物が、経皮的薬学的組成物であり、かつ上記化合物が、経皮的に有効量で存在する、項目2に記載の組成物。
(項目41)
上記キャリアが、液体キャリアである、項目39または40に記載の経皮的組成物。
(項目42)
上記キャリアが、クリームキャリアである、項目39または40に記載の経皮的組成物。
(項目43)
持続型放出投薬形態である、項目39または40に記載の経皮的組成物。
(項目44)
全身的に適切なキャリアおよび薬学的に有効量の以下の式I、IIまたはIIIの化合物を含む全身性薬学的組成物であって:
【化2】
【化3】
ここで、R1は、炭素−炭素単結合または直鎖アルキレンもしくは分枝鎖アルキレンであり;
R2は、炭素−酸素単結合または直鎖アルキレンもしくは分枝鎖アルキレンであり;
R3は、水素、直鎖または分枝鎖アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルカシクロアルキル、アリールまたはアラルキルであり;そして
R4の各々は、水素、アルキル、置換アルキル、アルカシクロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルカシクロアルコキシ、シクロアルコキシ、アシル、アシルオキシおよびハロゲンからなる群より独立して選択され;そして
R5の各々は、独立してアルキルであるか、または式IIのアセタールの場合、2つのR5は、それらが結合する原子と一緒にヘテロシクロアルキルを形成し;
但し、式Iの化合物は、2−4−ジエトキシベンズアルデヒドでも、2,4,5−トリエトキシベンズアルデヒドでも、4−メトキシベンズアルデヒドでもない、組成物。
(項目45)
R3は、H以外である、項目44に記載の組成物。
(項目46)
上記キャリアが、注射可能なキャリアである、項目44に記載の組成物。
(項目47)
上記キャリアが、経口キャリアである、項目44に記載の組成物。
(項目48)
上記キャリアが、経口固体キャリアである、項目44に記載の組成物。
(項目49)
単位投薬形態である、項目48に記載の組成物。
(項目50)
上記単位投薬形態が、カプセルである、項目49に記載の組成物。
(項目51)
上記単位投薬形態が、ピルである、項目49に記載の組成物。
(項目52)
皮膚状態を処置するための方法であって、項目33または34に記載の美容用組成物の有効量をヒトに局所的に適用する工程を包含する、方法。
(項目53)
上記疾患が、炎症性疾患である、項目52に記載の方法。
(項目54)
皮膚疾患を有する患者を処置するための方法であって、項目1または2に記載の局所薬学的組成物の治療有効量を、該患者に局所的に投与する工程を包含する、方法。
(項目55)
上記疾患が、炎症性疾患である、項目54に記載の方法。
(項目56)
炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、項目39または40に記載の経皮的薬学的組成物の治療有効量を、該患者に経皮的に投与する工程を包含する、方法。
(項目57)
炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、項目46に記載の注射可能な薬学的組成物の治療有効量を、該患者に注射によって投与する工程を包含する、方法。
(項目58)
炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、項目47に記載の経口液体薬学的組成物の治療有効量を、該患者に経口的に投与する工程を包含する、方法。
(項目59)
炎症性疾患を有する患者を処置するための方法であって、項目48に記載の経口固体薬学的組成物の治療有効量を、該患者に経口的に投与する工程を包含する、方法。
(項目60)
患者の皮膚外観を改善するための方法であって、項目1に記載の局所薬学的組成物の皮膚外観改善有効量を、該患者に局所的に投与する工程を包含する、方法。
(項目61)
ヒトの皮膚外観を改善するための方法であって、項目33または34に記載の局所美容用組成物の皮膚外観改善有効量を、該ヒトに局所的に投与する工程を包含する、方法。
(発明の要旨)
オキシ基保有芳香族アルデヒドの群は、炎症関連皮膚科学的状態に対する有効な局所薬剤であることが現在見出されている。これらのアルデヒドはまた、経皮的に測定可能な程度まで送達され、従って潜在的に、身体内の全身性および/または局所性の抗炎症性効果を達成するようである。これらの知見から、これらのアルデヒドは、さらに、他の全身性経路によって投与される場合に、他の炎症性状態に対して有効であり得るようである。
【0011】
この組成物の1つの局面において、本発明は、薬学的に受容可能な局所的キャリアおよび1種以上の芳香族アルデヒド化合物を含有する、局所的な薬学的組成物および美容用組成物に関する。これらの芳香族アルデヒドはとしては、式Iの物質、および保護バージョン(すなわち、式IIにおけるようなアセタール、および式IIIにおけるようなヘミアセタール)が挙げられる:
【0012】
【化4】
ここで、
R1は、炭素−炭素単結合または直鎖もしくは分枝鎖のアルキレンであり;
R2は、炭素−酸素単結合または直鎖もしくは分枝鎖のアルキレンであり;
R3は、水素、直鎖または分枝鎖のアルキル、シクロアルキル、アルカシクロアルキル、アルケニル、アリールまたはアラルキルであり;そして、
各R4は、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルカシクロアルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルカシクロアルコキシ、シクロアルコキシ、アシルアシルオキシおよびハロゲンからなる群より選択され;そして、
各R5は、独立してアルキルであるか、または式IIのアセタールの場合、2個のR5が、それらが結合する原子と一緒になってヘテロシクロアルキルを形成し;
但し、式Iの化合物は、2,4−ジエトキシベンズアルデヒドでも2,4,5−トリエトキシベンズアルデヒドでもない。
【0013】
この化合物のうちの1つにおいて、オキシ基保有アルデヒドは、ヒドロキシアルデヒドまたはヒドロキシアルキルアルデヒドであり、R3が水素である場合において、このアルデヒドは、以下のように、式IA、IIAおよびIIIAによって表される:
【0014】
【化5】
ここで、R1、R2、R4およびR5は、前記で定義したとおりである。
【0015】
この組成物の別の局面において、本発明は、薬学的に受容可能なキャリアおよび式I、IIまたはIIIの1種以上の芳香族アルデヒド化合物を含有する、局所投与用、経皮投与用または他の全身投与用の薬学的組成物に関する(式Iの化合物が、全身投与に使用するための4−メトキシベンズアルデヒドである処方物を除く)。
【0016】
この方法の1つの局面において、本発明は、皮膚科学的疾患を有する患者を処置するための方法に関する。この方法は、薬学的に受容可能な局所キャリアおよび皮膚科学的疾患処置に有効な量の上式I、IIまたはIIIの化合物を含有する薬学的組成物を、その患者に局所投与する工程を包含する。
【0017】
この方法の局面のうちの別の局面において、本発明は、皮膚科学的状態を処置するための方法に関する。この方法は、薬学的に受容可能な局所キャリアおよび有効量の上式I、IIまたはIIIの化合物を含有する美容用組成物を、ヒトに局所適用する工程を包含する。
【0018】
この方法の局面のうちのなお別の局面において、本発明は、炎症性疾患を有する患者を処置するための方法に関する。この方法は、薬学的に受容可能なキャリアおよび炎症性疾患の処置に有効な量の上式I、IIまたはIIIの化合物(化合物4−メトキシベンズアルデヒドを除く)を含有する薬学的組成物を、その患者に全身投与する工程を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、皮膚における炎症性プロセスを例示し、炎症と種々のタンパク質の放出との関係を示した概略図である。
【図2】図2は、本発明を使用して有効に処置される炎症性プロセスを例示する、図1の繰返しである。
【図3A】図3Aおよび3B、ならびに図4A、4Bおよび4Cは、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン1(「IL−1」)誘導プロスタグランジンE2(「PGE2」)発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図3B】図3Aおよび3B、ならびに図4A、4Bおよび4Cは、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン1(「IL−1」)誘導プロスタグランジンE2(「PGE2」)発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図4A】図3Aおよび3B、ならびに図4A、4Bおよび4Cは、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン1(「IL−1」)誘導プロスタグランジンE2(「PGE2」)発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図4B】図3Aおよび3B、ならびに図4A、4Bおよび4Cは、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン1(「IL−1」)誘導プロスタグランジンE2(「PGE2」)発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図4C】図3Aおよび3B、ならびに図4A、4Bおよび4Cは、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、皮膚線維芽細胞におけるインターロイキン1(「IL−1」)誘導プロスタグランジンE2(「PGE2」)発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図5】図5は、本発明の組成物において用いられるアルデヒドの、ケラチノサイトにおけるテトラデカノイルホルボールアセテート(「TPA」)誘導PGE2発現に対する効果を示す棒グラフである。
【図6】図6は、本発明の組成物において用いられるアルデヒドおよび他の関連化合物の、IL−1またはUV光でチャレンジした線維芽細胞における種々のタンパク質の発現レベルに対する効果を示す表である。
【図7】図7は、本発明の組成物において用いられるアルデヒドおよび他の関連化合物の、TPAまたはUV光でチャレンジしたケラチノサイトにおける種々のタンパク質の発現レベルに対する効果を示す表である。
【図8】図8A、8B、9A、9B、10A、10B、11Aおよび11Bは、図6で表にされたデータの棒グラフである。
【図9】図8A、8B、9A、9B、10A、10B、11Aおよび11Bは、図6で表にされたデータの棒グラフである。
【図10】図8A、8B、9A、9B、10A、10B、11Aおよび11Bは、図6で表にされたデータの棒グラフである。
【図11】図8A、8B、9A、9B、10A、10B、11Aおよび11Bは、図6で表にされたデータの棒グラフである。
【図12】図12A、12B、13A、13B、14Aおよび14Bは、図7で表にされたデータの棒グラフである。
【図13】図12A、12B、13A、13B、14Aおよび14Bは、図7で表にされたデータの棒グラフである。
【図14】図12A、12B、13A、13B、14Aおよび14Bは、図7で表にされたデータの棒グラフである。
【図15】図15Aおよび15Bは、実施例8のローション処方物のインビボ試験において得られたデータの棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(定義)
美容用組成物および薬学的組成物ならびに本発明の方法において用いられる芳香族オキシ基保有アルデヒド化合物、ならびにそれらの組成物および方法自体を記載する場合、以下の用語は、以下の意味を有する:
「芳香族アルデヒド」とは、アリール環およびアルデヒド基またはこの環からぶらさがったアセタールもしくはヘミアセタールのように保護されたアルデヒド基を含む化合物をいう。
【0021】
「アシル」とは、基−C(O)Rをいい、ここで、Rは、水素、アルキルまたはアリールである。Rが水素である場合、これは、「ホルミル」であり、RがCH3である場合、これは、「アセチル」である。
【0022】
「アシルオキシ」とは、基−O−アシルである。
【0023】
「アルキル」とは、好ましくは、1〜約20個の炭素原子、より好ましくは1〜12個の炭素原子、なおより好ましくは1〜8個の炭素原子を有する、一価の飽和脂肪族炭化水素基をいう。この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、tert−オクチルなどの基によって例示される。用語「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子、特に1〜4個の炭素原子を有するアルキル基をいう。
【0024】
「置換アルキル」とは、1〜5個の置換基、好ましくは、1〜3個の置換基を有する、好ましくは1〜約20個の炭素原子のアルキル基をいい、この置換基は、以下からなる群より選択される:アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アシル、アミノアシル、アミノ、アミノカルボニル、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、ケト、チオケト、アルコキシカルボニル、チオール、チオアルコキシ、アリール、アリールオキシ、ニトロ、−OSO3H、およびそれらの薬学的に受容可能な塩、−SO−アルキル、−SO−置換アルキル、−SO−アリール、−SO2−アルキル、−SO2−置換アルキル、−SO2−アリール、ならびにモノアルキルアミノおよびジアルキルアミノ、モノアリールアミノ、ジアリールアミノ、ならびにアルキル、置換アルキルおよびアリールから選択される異なる置換基を有する非対称の二置換アミン。
【0025】
「アルケニル」とは、1〜20個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子および1〜2個、特に1個のオレフィン不飽和を有する一価の不飽和脂肪族炭化水素基をいう。
【0026】
「アルキレン」とは、好ましくは、1〜20個の炭素原子、より好ましくは、1〜6個の炭素原子を有する二価の飽和脂肪族炭化水素基をいい、これは、直鎖または分枝鎖であり得る。この用語は、メチレン(−CH2−)、エチレン(−CH2CH2−)、プロピレン異性体(例えば、−CH2CH2CH2−および−CH(CH3)CH2−)などによって例示される。
【0027】
「アルカシクロアルキル」とは、そのアルキレン部分に好ましくは1〜20個の炭素原子を有し、かつそのシクロアルキル部分に3〜8個の炭素原子を有する、−アルキレン−シクロアルキル基をいう。このようなアルカシクロアルキル基は、−CH2−シクロプロピル、−CH2−シクロペンチル、−CH2CH2−シクロヘキシルなどによって例示される。
【0028】
「アルカシクロアルコキシ」とは、そのアルキレン部分に好ましくは1〜20個の炭素原子を有し、かつそのシクロアルキル部分に3〜8個の炭素原子を有する、−O−アルキレン−シクロアルキル基をいう。このようなアルカシクロアルコキシ基は、−OCH2−シクロプロピル、−OCH2−シクロペンチル、−OCH2CH2−シクロヘキシルなどによって例示される。
【0029】
「アルコキシ」とは、基「アルキル−O−」をいう。好ましいアルコキシ基としては、例として以下が挙げられる:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、1,2−ジメチルブトキシなど。
【0030】
「アルコキシカルボニル」とは、基−C(O)ORをいい、ここで、Rは、アルキルである。
【0031】
「アミノカルボニル」とは、基−C(O)NRRをいい、ここで各Rは、独立して水素またはアルキルである。
【0032】
「アミノアシル」とは、基−NRC(O)Rをいい、ここで、各Rは、独立し水素またはアルキルである。
【0033】
「アリール」とは、単環(例えば、フェニル)または多重縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)を有する、6〜14個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環式基をいう。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチルなどが挙げられる。個々の置換基についての定義によって他に制限されなければ、このようなアリール基は、必要に応じて、1〜3個の置換基で置換され得る。この置換基は、以下からなる群より選択される:アルキル、アルコキシ、アルカアリールオキシ、アルケニル、アルキニル、アミノ、アミノアシル、アミノカルボニル、アルコシキカルボニル、アリール、カルボキシル、シクロアルコキシ、シアノ、ハロ、ヒドロキシ、ニトロ、トリハロメチル、チオアルコキシなど。
【0034】
「アラルキル」とは、基「アルキレン−アリール」をいい、最も代表的にはベンジルである。
【0035】
「アリールオキシ」とは、−O−アリール基をいい、ここで「アリール」は、上記で定義されるとおりである。
【0036】
「カルボキシル」とは、基−C(O)OHをいう。
【0037】
「シアノ」とは、基−CNをいう。
【0038】
「シクロアルキル」とは、単一の環式環または複数の縮合した環(縮合環系および架橋した環系を含む)を有する3〜20個の炭素原子の環状アルキル基をいい、1〜3個のアルキル基で必要に応じて置換され得る。このようなシクロアルキル基としては、例として、単環構造(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、1−メチルシクロプロピル、2−メチルシクロペンチル、2−メチルシクロオクチルなど)、または多環構造(例えば、アダマンタニルなど)が挙げられる。
【0039】
「シクロアルコキシ」とは、−O−シクロアルキル基をいう。このようなシクロアルコキシ基としては、例として、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられる。
【0040】
「ヘテロシクロアルキル」とは、2〜10個の炭素原子および(例えば、窒素、硫黄、またはリン、特に酸素から選択される)1個、2個もしくは3個のヘテロ原子の環式基をいう。この環は、1〜3個のアルキル基で必要に応じて置換され得る。このようなヘテロシクロアルキル基としては、例として、テトラヒドロフラン、1,4ジオキサシクロペンタニル、ジオキサン、ピロリジン、テトラヒドロチオフェンなどのような単環構造が挙げられる。
【0041】
「電離放射線」とは、物質の原子また分子をイオン化する任意の放射線をいう。これは、粒子(例えば、電子)から構成されてもよいし、電磁波(electromagnetic)(紫外線;X線;γ線)であってもよい。電離放射線は、例えば、日光の成分として天然に存在し、そして放射性物質から放射される。電離放射線はまた、X線装置、粒子加速機、原子炉などで人工的に生成される。
【0042】
「単離された」は、本発明の実施において使用される芳香族アルデヒド化合物の純度の状態を規定するために使用される場合、その芳香族アルデヒドが、関連する原料、共生成物(co−product)、または天然に存在する混合物の場合には、そのアルデヒドが天然に共に存在する関連する物質を、実質的に含まない(すなわち、少なくとも約90%、そして特に少なくとも95%含まない)か、またはそれらの物質と分離されていることを意味する。
【0043】
「薬学的に受容可能な局所的キャリア」および等価な用語は、芳香族アルデヒドを懸濁または溶解し得、そして皮膚に適用された場合に非毒性でかつ非炎症性であるという特性を有する、不活性液体ビヒクルまたはクリームビヒクルをいう。この用語は、具体的には、局所用化粧品における使用について認可されたキャリア物質を含むことが意図される。代表的なキャリアとしては、水、油(植物油および鉱油の両方)、クリーム基剤、ローション基剤、軟膏基剤などが挙げられる。これらの基剤は、懸濁剤、増粘剤、浸透増強剤などを含む。これらの処方は、化粧品および局所用製剤の当業者に周知である。キャリアに関するさらなる情報は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、1985、Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania(本明細書に参考として援用される)のパート8に見出され得る。
【0044】
「治療有効用量」は、皮膚の状態または他の美容的状態もしくは医学的状態に罹患した患者の皮膚に局所的に塗布される場合、あるいは、別の経路で投与される場合に、患者の状態に観察可能な改善を生じる、本発明の組成物の用量を意味する。
【0045】
「局所的(局所用)」は、投与の様式を規定するために使用される場合、物質が、皮膚に塗布されることにより投与されることを意味する。
【0046】
「局所的に有効」は、皮膚に塗布された場合に、物質中の活性成分の経皮的通過の結果として、塗布の場所に局所的にかまたは全身的のいずれかで所望の薬理学的結果をその物質が生じさせることを意味する。
【0047】
(オキシ基保有芳香族アルデヒド)
オキシ基保有芳香族アルデヒドとしては、式Iおよび式IAの化合物、ならびに式II、式IIA、式IIIおよび式IIIAで示されるそれらのアセタール等価体およびヘミアセタール等価体が挙げられる。
【0048】
R3が水素である場合、このアルデヒドは、式IA、式IIAおよび式IIIAに示される構造を有する。今回は、式Iおよび式IAの基本的なアルデヒドが好ましい。
【0049】
好ましくは、上記の式Iの芳香族アルデヒド化合物において、R1は、炭素−炭素単結合、メチレンおよびエチレンからなる群から選択される。より好ましくは、R1は、炭素−炭素単結合である。
【0050】
好ましくは、R2は、炭素−酸素単結合、メチレンおよびエチレンからなる群から選択される。より好ましくは、R2は、炭素−酸素単結合である。
【0051】
好ましくは、R3は、水素またはアルキルである。より好ましくは、R3は、水素、メチル、エチルまたはプロピルである。
【0052】
R3が水素以外である場合、4つのR4は、最も一般的には水素、アルキルまたはアルコキシである。この場合、一般的には、少なくとも約2個のR4は、水素である。R3が水素である場合、4つのR4は、最も一般的には、水素、ヒドロキシル、アルキルおよびアルコキシであり、少なくとも2個のR4は、大部分の場合において水素である。
【0053】
好ましくは、各R5は、独立してアルキルであるか、または式IIのアセタールの場合には、2つのR5は、それらが結合している原子と一緒になって、ヘテロシクロアルキルを形成する。より好ましくは、各R5は、それらが結合している原子と一緒になって、1,4−ジオキサシクロペンタニルまたは置換1,4−ジオキサシクロペンタニルを形成する。
【0054】
R3が水素以外である式Iの化合物の特に好ましい群は、R1が炭素−炭素単結合であり;R2が、アルデヒド官能基に対して芳香環上の4位に位置する炭素−酸素単結合であり;R3がメチルまたはエチルであり;そして少なくとも2つのR4が、それぞれ水素である、化合物である。R3が水素である場合、式IAの化合物の特に好ましい群は、R1が炭素−炭素単結合であり、R2が炭素−酸素単結合であり、少なくともR4が水素でありそして少なくとも1つのR4がアルキル、水素またはアルコキシである化合物である。
【0055】
その組成物の別の局面において、本発明は、美容用組成物および薬学的組成物に関し、この組成物は、適切なキャリアを含み、そしてR3が水素以外である以下のオキシ基保有芳香族アルデヒド化合物の1つ以上を、活性成分として含有する:
2−メトキシベンズアルデヒド、
2−エトキシベンズアルデヒド、
2−プロポキシベンズアルデヒド、
2−イソプロポキシベンズアルデヒド、
3−メトキシベンズアルデヒド、
3−エトキシベンズアルデヒド、
3−プロポキシベンズアルデヒド、
3−イソプロポキシベンズアルデヒド、
4−(2−プロペニルオキシ)−ベンズアルデヒド、
4−エトキシベンズアルデヒド、
4−プロポキシベンズアルデヒド、
4−イソプロポキシベンズアルデヒド、
2−メトキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−エトキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−プロポキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−イソプロポキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
3−メトキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−プロポキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
3−イソプロポキシ−4−メチルベンズアルデヒド、
2−ブトキシベンズアルデヒド、
4−ブトキシベンズアルデヒド、
4−ペンチルオキシベンズアルデヒド、
4−ヘキシルオキシベンズアルデヒド、
4−ヘプチルオキシベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
4−エトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、
3,4−ジエトキシベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−ヘキシルオキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−エトキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−ヘプチルオキシベンズアルデヒド、
2−フルオロ−4−オクチルオキシベンズアルデヒド、
4−(メトキシメチル)−ベンズアルデヒド、
4−(エトキシメチル)−ベンズアルデヒド、
3−(ドデシルオキシ)−ベンズアルデヒド、
3,5ジメトキシル−4−アセトキシベンズアルデヒド、
3−ベンジルオキシ−4,5ジメトキシ−ベンズアルデヒド、
4−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒド、
4−アリルオキシ−ベンズアルデヒド、
3,4−ジメトキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシル−3−4−メトキシベンズアルデヒド、
3,4−ジエトキシベンズアルデヒド、
2,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド、
3−クロロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
3−ブチルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
3,5−ジメトキシ−4−ベンズオキシベンズアルデヒド、
2−アセトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、
3,5−ジクロロ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−メチル−3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、
2,3,4,5−テトラメトキシベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジメトキシ−4,5−ジメチルベンズアルデヒド、
2−アセチルオキシ−3−メトキシ−6−ブロモベンズアルデヒド、
2−メトキシ−6−(8−ペンタデセニル)−ベンズアルデヒド、
2−メトキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2,3−ジメトキシベンズアルデヒド、
2,5−ジメトキシ−4−ホルミルベンズアルデヒド、
4−オクチルオキシベンズアルデヒド、
2−プロポキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ブトキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ペントキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ヘキソキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
3−(4−メトキシフェノキシ)−ベンズアルデヒド、および
3−(4−tertブチルフェノキシ)−ベンズアルデヒド。
【0056】
この群の好ましいアルデヒドとしては、以下が挙げられる:2−エトキシベンズアルデヒド、2−アセトキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、4−アリルオキシ−ベンズアルデヒド、4−エトキシベンズアルデヒド、4−プロポキシベンズアルデヒド、4−ブトキシベンズアルデヒド、4−ペンチルオキシベンズアルデヒド、および4−ヘキシルオキシベンズアルデヒド。
【0057】
その組成物の別の局面において、本発明は、適切なキャリアを含み、そして以下のR3が水素であるオキシ基保有芳香族アルデヒド化合物の1つ以上を含有する、美容用組成物および薬学的組成物に関する:
2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−メチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−エチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−プロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−イソプロピル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−sec−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−アミル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5−ジニトロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5−ジフルオロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4−ジイソブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,6−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
5−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−メチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−エチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−プロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−イソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−n−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−sec−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
6−アミル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジシアノ−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジイソプロピル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,5−ジ−tert−ブチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−メチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−プロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−イソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−n−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−sec−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−アミル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−メチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−エチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−プロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−イソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−n−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−sec−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−アミル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5 ジイソプロピル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,6−ジフルオロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、
3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3,5−ジクロロベンズアルデヒド、
2,6−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−6−メチルベンズアルデヒド、
2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
5−クロロ−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−ブロモベンズアルデヒド、
3−クロロ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3,5−ジヨードベンズアルデヒド、
3−ブロモ−4−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3−メトキシ−6−ブロモベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−プロピルベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−ヘキシルベンズアルデヒド、
3−ヒドロキシ−4−カルボキシベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジヒドロキシ−4,5−ジメチルベンズアルデヒド、
クロロ−4−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、
2,3,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,6−ジヒドロキシ−4,5−ジプロピルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3−メトキシ−4,5−ジメチル−6−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−(オキシ−4−メチルペンタン酸)−ベンズアルデヒド、
3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−エチル−6−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3−クロロ−5−(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエニル)−4,6−ジヒドロキシ−2−メチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−(8−ペンタデセニル)−ベンズアルデヒド、
2,4−ジヒドロキシ−3−エチル−6−(1−メチルペンチル)−ベンズアルデヒド、
3−クロロ−5−(3,7−ジメチル−5−オキソ−2,6−オクタジエニル)−4,6−ジヒドロキシ−2−メチルベンズアルデヒド、
2−ペンタン酸−3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシ ベンズアルデヒド、
2−プロパン酸−3−ホルミル−4,5−ジヒドロキシ ベンズアルデヒド、
2,3,4−トリヒドロキシ−5−メチル−6−ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシベンズアルデヒド、
3−カルボキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3−ジヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−6−メトキシベンズアルデヒド、
2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3,4−トリヒドロキシ−6−ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、
3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−アセチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシエチルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシプロピルベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−5−カルボキシブチルベンズアルデヒド、
3−カルボキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシメチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−カルボキシエチル−3−ヒドロキシベンズアルデヒド、
2−ヒドロキシ−3−ヨード−5−カルボキシメチルベンズアルデヒド、
2−ホルミル−3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、
ベンズアルデヒドジメチルアセタール、
ベンズアルデヒドグリセリルアセタール、
ベンズアルデヒドプロピレングリコールアセタールなど。
【0058】
好ましいアルデヒドとしては、以下が挙げられる:3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、および4−ヒドロキシ3,5−ジメトキシベンズアルデヒド。
【0059】
芳香族アルデヒドは、一般に、適切なキャリアと混合された単離化合物として用いられる。
【0060】
ベンズアルデヒドジメチルアセタール、ベンズアルデヒドグリセリルアセタール、ベンズアルデヒドプロピレングリコールアセタール、およびクミンアルデヒドは、ヒト用の食品における使用について、Food and Drug Administation(FDA)によって認可された合成香味物質である。これらの使用についての詳細は、21
D.F.R.§172.515(2000)において考察される。
【0061】
(一般合成手順)
本発明の組成物および方法において用いられる芳香族アルデヒドは、公知の化合物であるか、または以下の一般的な方法および手順を使用して、市販の出発物質から調製され得る化合物のいずれかである。代表的または好ましい処理条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が与えられた場合、他の処理条件もまた、他に記載されない限り、使用され得ることが理解される。最適な反応条件は、使用される特定の反応物または溶媒と共に変化し得るが、このような条件は、慣用的な最適化手順によって、当業者によって決定され得る。
【0062】
例えば、このような化合物は、Friedel−Craftsアシル化反応条件下での、対応するアリール化合物と適切なアシルハライドとのアシル化によって、容易に調製される。さらに、ホルミル化合物(すなわち、R4が水素である化合物)は、例えば、二置換ホルムアミド(例えば、N−メチル−N−フェニルホルムアミド)およびオキシ塩化リンを使用する(Vilsmeier−Haack反応)か、またはZn(CN)2の後に水を使用(Gatterman反応)して、対応するアリール化合物の化合(formulation)によって調製され得る。このようなアリールカルボニル化合物を調製するための多数の他の方法が、当該分野で公知である。このような方法は、例えば、I.T.HarrisonおよびS.Harrison,Compendium of Organic Synthetic Methods,Wiley,New York,1971、ならびにこの中で引用される参考文献に記載される。
【0063】
式IおよびIAの特定の芳香族アルデヒド化合物もまた、対応するアリールヒドロキシ化合物(例えば、4−ヒドロキシベンズアルデヒドなど)のアルキル化によって、調製され得る。この反応は、代表的に、アリールヒドロキシ化合物と適切な塩基(例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の、水酸化物、フッ化物または炭酸塩)とを、不活性溶媒(例えば、エタノール、DMFなど)中で接触させて、ヒドロキシル基を脱プロトン化することによって、行われる。この反応は、一般に、約0℃〜約50℃で、約0.25〜2時間行われる。次いで、得られる中間体は、インサイチュで、約1.0〜約2.0当量のアルキルハライド、好ましくはアルキルブロミドまたはアルキルヨージドと、約25℃〜約100℃の温度で、約0.25〜約3日間反応される。
【0064】
さらに、式IおよびIAの種々の芳香族アルデヒドが、対応するアリールニトリルの還元によって調製され得る。この反応は、代表的に、アリールニトリルと、約1.0〜1.5当量の水素化物還元剤(例えば、LiAlH(OEt)3)とを、不活性溶媒(例えば、ジエチルエーテル)中で、約−78℃〜約25℃の範囲の温度で、約1〜6時間接触させることによって行われる。次いで、酸水溶液を使用する標準的な後処理条件により、対応するアリールアルデヒドを得る。
【0065】
この組成物および方法において用いられる式IIおよびIIIおよびIIAおよびIIIAの芳香族アルデヒドは、公知の化合物または従来の化合物から従来の手順によって調製され得る化合物のいずれかである。ヘミアセタールは、対応するアルデヒドとアルコールとの酸触媒反応または塩基触媒反応のいずれかにより形成され得る。1当量のアルコールがカルボニルに添加される場合、ヘミアセタールが形成される。2当量のアルコールをカルボニルに添加する場合、生成物はアセタールである。アセタールの形成は、酸で触媒され、そして代表的には、1molのアルデヒドおよび0.1molのCaCl2を1.9molのエタノールに添加することによって行われる。この反応混合物を、室温で、1〜2日間保持する。標準的な後処理条件により、アセタール保護芳香族アルデヒドを得る。
【0066】
(薬学的組成物および美容用組成物、ならびにそれらの使用)
オキシ基保有芳香族アルデヒドを、薬学的組成物および美容用組成物の形態で投与する。このような組成物は、薬学的分野および美容分野で周知の様式で調製され、そして少なくとも1つの活性化合物を含み得る。
【0067】
一般に、本発明の組成物は、美容量または治療的有効量で投与される。治療条件で実際に投与される化合物の量は、代表的に、関連の状況(処置される状態、選択された投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重および応答性、患者の症状の重症度などを含む)を考慮して医師によって決定され得る。美容条件において、適用される量は、所望の美容効果を達成するように選択される。
【0068】
本発明の美容用組成物は、局所投与される。本発明の薬学的組成物は、局所的に、経皮的に、または全身的に(例えば、経口的または注射によって)投与される。
【0069】
このような組成物において、芳香族アルデヒド化合物は、通常、少量の成分(約0.001〜約20重量%、好ましくは約0.01〜約10重量%)であり、残りは、種々のビヒクルまたはキャリアおよび所望の投薬形態を形成するのに有用な処理助剤である。
【0070】
局所美容形態および局所薬学的投薬形態としては、ローション、シャンプー、石鹸、ゲル、クリーム、軟膏およびペースト剤が挙げられ得る。ローションは、通常、水基剤およびアルコール基剤を用いる。ゲルは、半固体のエマルジョンまたは懸濁液である。クリームは、一般に、その基剤中にかなりの割合の水を含み、一方、軟膏およびクリームは、一般に、より油状である。
【0071】
局所投与に適切であるかまたは美容用途に適切な液体形態(例えば、ローション)は、適切な水性ビヒクルまたは非水性ビヒクルと、緩衝剤、懸濁剤および分散剤、濃化剤、浸透促進剤などとを含み得る。固体形態(例えば、クリームまたはペースト剤など)は、例えば、以下の成分の任意の物を含み得る:水、油、アルコールまたは界面活性剤としてのグリース、ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール)、濃化剤、固体など。液体または固体の処方物は、送達促進技術(例えば、リポソーム、ミクロソーム、ミクロスポンジなど)を含み得る。
【0072】
液体、半固体および固体の局所処方物について上記された成分は、単なる例示である。他の材料および処理技術などが、Remington’s Pharmaceutical Sciencesのパート8,第17版、1985,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania(これは本明細書中で参考として援用される)に記載される。
【0073】
薬学的組成物が経皮投与されるべきである場合、これらは代表的に、溶液またはゲルとして用いられる。これらの条件において、活性アルデヒドの濃度は、この組成物の約0.1%〜約20%、好ましくは約0.1%〜約5%の範囲であり、残りは、水性混合ビヒクルまたは非水性ビヒクル(例えば、アルコールなど)、懸濁剤、ゲル化剤、界面活性剤などである。適切なこのような物質の例は、以下に記載される。
【0074】
本発明のアルデヒド含有組成物はまた、持続性放出経皮形態で投与され得るか、または経皮持続性放出薬物送達システムから投与され得る。代表的な持続性放出物質の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに組み込まれた物質において見出され得る。
【0075】
全身投与のための組成物としては、経口投与のための組成物(これは液体および固体である)、および注射のための組成物が挙げられる。
【0076】
経口投与のための組成物は、バルク溶液または懸濁液、あるいはバルク粉末の形態をとり得る。しかし、より一般的には、この組成物は、正確な投薬を容易にするための単位投薬形態にある。用語「単位投薬形態」とは、ヒト被験体および他の哺乳動物の単位投薬量として適切な物理的に別個の単位をいい、各々の単位は、適切な薬学的占有物(occupant)に従って、所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性物質を含む。代表的な単位投薬形態としては、液体組成物のプロファイルされて予め測定されたアンプルまたはシリンジ、あるいは固体組成物の場合には、丸剤、錠剤カプセル剤などが挙げられる。このような組成物において、芳香族アルデヒドは、通常、少量の成分(約0.01〜約20重量%、または好ましくは約0.1〜約15重量%)であり、残りは、ビヒクルまたはキャリア、および所望の投薬形態を形成するために有用な処理助剤である。
【0077】
経口投与に適切な液体形態は、適切な水性ビヒクルまたは非水性ビヒクルと、緩衝剤、懸濁剤および分散剤、着色剤、香味剤などとを含み得る。固体形態は、例えば、以下の成分または類似の性質の化合物の任意の物を含み得る:結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);占有物(例えば、デンプンもしくはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸)、Primogelまたはコーンスターチ;潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);滑沢剤(glidant)(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロールまたはサッカリン);あるいは香味剤(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香料)。
【0078】
注射可能組成物は、代表的に、注射可能滅菌生理食塩水もしくはリン酸緩衝化生理食塩水、または当該分野で公知の他の注射可能キャリアに基づく。上記のように、このような組成物中の芳香族アルデヒドは、代表的に、少量の成分であり、しばしば、約0.005〜5重量%であり、残りは、注射可能なキャリアなどである。
【0079】
経口投与可能な組成物または注射可能な組成物について上記される成分は、単なる例示である。他の物質および処理技術などは、上記のRemington’s Pharmaceutical Sciencesの一部に記載される。
【0080】
以下の処方物の例は、本発明の代表的な美容用組成物および薬学的組成物を例示する。しかし、本発明は、以下の薬学的組成物に限定されない。
【0081】
(処方物1−液体)
式I、II、III、IA、IIAまたはIIIAの化合物(125mg)、およびキサンタンゴム(4mg)をブレンドし、No.10メッシュのU.S.シーブに通し、次いで、予め作製した微結晶性セルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム(11:89、50mg)の水/イソプロパノール(75:25)混合物の溶液と混合する。次いで、十分な水/イソプロパノールを添加して、総容量を5mLにする。
【0082】
(処方物2−クリーム)
市販の鉱油−水コールドクリーム基剤を入手する。100gのこの基剤に、微粉末または液体としての式I、II、III、IA、IIAまたはIIIAの化合物(0.75g)を添加し、混合および撹拌を続けて、この基剤中に粉末を懸濁し、そして美容用組成物または薬学的組成物を得る。
【0083】
この組成物は、以下を含む:脱イオン水(57.6重量%);ナイアシンアミド(2.0%);グリセリン(4.0%);フェノニップ(phenonip)(1.0%);プロピレングリコール(5.0%);トランスクトール(transcutol)(3.2%);ホホバ油(3.5%);イソセチルアルコール(2.0%);イソセチルステアレート(3.5%);イソセチルアルコール(3.5%);鉱油(3.0%);4−エトキシベンズアルデヒド(1.0%);イソステアリルパルミテート(3.0%);PEG−7グリセリルココアート(2.0%);Glycereth−7(2.0%);POLYSORBATE−20TM(0.2%);セチルリシノレアート(1.0%);グリセリルステアレート/PEG−100ステアレート(4.0%);およびSEPIGELTM(2.0%)。
【0084】
(処方物3−錠剤)
式I、II、III、IA、IIAまたはIIIAの化合物を、乾燥ゼラチン結合剤およびデンプン希釈剤と、0.1:1:1の重量比で混合する。潤滑量のステアリン酸マグネシウムを添加し、そしてこの混合物を、10mgの活性芳香族アルデヒドを含有する210mgの錠剤にする。
【0085】
(処方物4−注射剤)
式I、II、III、IA、IIAまたはIIIAの化合物を、注射可能水性生理食塩水媒体中に、1mg/mlの濃度で溶解する。
【0086】
(有用性および投薬)
本発明の組成物および方法を使用して、以下のような皮膚状態を局所的に処置し得る:
光線性角化症、
挫瘡、
アレルギー性接触皮膚炎、
アトピー性湿疹、
接触皮膚炎、
湿疹、
紅斑、
手湿疹、
かゆみ、
刺激性接触皮膚炎、
乾癬、
脂漏性湿疹、
しゅさ、
円形脱毛症、
放射線(UV線、IR線および任意の他の電離放射線)による損傷など。
【0087】
これらの組成物(美容用組成物および薬学的組成物の両方)はまた、日焼けを処置および予防するため、ならびに他の形態のUV誘導性の炎症および損傷、および他の形態の電離放射線による損傷を処置および予防するために使用され得る。
【0088】
これらの用途において、美容用組成物および薬学的組成物は、所望の美容効果または局所治療効果を達成するために、局所投与される。
【0089】
これらの用途において、用量レベルまたは適用レベルは、皮膚に送達される活性芳香族アルデヒドの量の形で表され得る。例えば、1日あたり1〜約5回の用量または適用(各々が、約0.001〜約1gの活性アルデヒドを含む)が、使用され得る。
【0090】
あるいは、用量レベルは、投与される処方された組成物の容量の形で表され得る。例えば、1日あたり1〜約5回の用量または適用について、これらの各々が、約1〜約30gの組成物を含み、この組成物が、約0.01重量%〜約10重量%の活性アルデヒド、特に、0.02重量%〜約8重量%の活性アルデヒドを含む。
【0091】
サンケア製品(例えば、サンケアローション)において使用される場合、アルデヒド濃度は、上記される通りであり得、この製品は、日光露出の強度および持続時間に基づいて、必要に応じて、適用され得る。
【0092】
さらに、芳香族アルデヒドが、サイトカイン(例えば、IL−1α)の放出を有効に阻害することが発見されたので、このような化合物は、サイトカイン(特に、IL−1α)の過剰生成または制御困難性生成によって特徴付けられる疾患を処置するために有用である。IL−1および他のサイトカインのレベルの増加は、広く種々の炎症性状態に関連し、この炎症性状態としては、慢性関節リウマチ、敗血症性ショック、らい性結節性紅斑、敗血症、成人性呼吸窮迫症候群(ARDS)、炎症性腸疾患(IBD)、ブドウ膜炎、電離放射線からの損傷などが挙げられる。
【0093】
これらのサイトカインおよび関連する物質と炎症プロセスとの間の関係は、以下の「生物学および試験」でより詳細に記載される。
【0094】
このような炎症性状態を処置するための経皮的投与の場合において、約0.5〜約1000μMの全身血流中の活性アルデヒド濃度および特に約1〜約500μMの全身血流中の活性アルデヒド濃度を達成するように、適切な皮膚表面領域にある量の組成物を投与し得る。
【0095】
炎症性状態を処置するための注射用量レベルは、約0.01mg/kg/時間〜少なくとも1mg/kg/時間の範囲にあり、全て、約1〜約120時間、そして特に24〜96時間にわたる。約0.01mg/kg〜約1mg/kg以上の前充填(preloading)ボーラスはまた、十分な定常状態レベルを達成するように投与され得る。
【0096】
経口投与について、1日当たり、1〜5経口用量、そして特に2〜4経口用量、そして代表的に3経口用量が、代表的なレジメンである。これらの投薬パターンを用いて、各用量は、約0.01〜約10mg/kgの芳香族アルデヒドを提供し、好ましい用量は、各々、約0.01〜約5mg/kgの芳香族アルデヒドを提供する。
【0097】
芳香族アルデヒドは、単独の活性な薬剤として投与されても、これらは、他の薬剤と組み合わせて投与されても良い。
【0098】
(生物学および試験)
本実施例は、これらのアルデヒドが、皮膚における種々の炎症プロセスをブロックする能力を研究するための多くのインビトロ研究を含む。これらの研究について、ヒト一次ケラチノサイトおよび皮膚線維芽細胞株は、THP−1単球およびJurkat T細胞誘導性細胞株と同様に使用されてきた。アルデヒドの抗炎症性活性を評価するために使用されるインビトロ実験は、皮膚炎症プロセスに関する現在の知識に基づいて選択された。図1は、皮膚炎症に関与する事象を示す。
【0099】
皮膚における炎症は、そう痒、疼痛、赤み、腫脹、および、しばしば、咳および薄片状皮膚によって特徴付けられる。これらの症状は、炎症部位への血流の変化、脈管透過性の増加、循環から組織への細胞の移動、ならびにサイトカイン、プロスタグランジンおよびケモカインを含む可溶性媒介物質の放出を生じる。皮膚炎症は、以下によって引き起こされ得る:1)細菌、寄生生物、真菌、またはウイルスによって引き起こされる感染、2)物理的外傷(熱傷、UV放射線および電離放射線を含む)から生じる傷害、3)化学的刺激物との接触、および4)免疫応答を引き起こすアレルゲンのような異物への曝露。
【0100】
炎症は、急性または慢性として特徴付けられ得る。急性皮膚炎症は、UV放射線(UVR)、電離放射線への曝露または化学的刺激物およびアレルゲンとの接触から生じ得る。対照的に、慢性的炎症は、免疫細胞媒介性の持続性炎症性応答から生じる。急性炎症性応答は、代表的に、ほとんど組織破壊を伴わずに、1〜2週間以内に消散される。しかし、慢性炎症性応答は、応答を引き起こした抗原が、皮膚に存続するので、長期性である。このことは、免疫細胞(特に、Tリンパ球)の組織への連続する取り込みを導き、このことは、次いで、多くの炎症性媒介物質を高レベルで産生し分泌する。慢性炎症は、重大かつ重篤な組織破壊を導く。
【0101】
急性皮膚炎症性応答または慢性皮膚炎症性応答のいずれかを引き起こす刺激にかかわらず、初期の事象は、同様であり、図1および図2に示される。誘導性刺激(例えば、UV放射線)は、皮膚においてケラチノサイトを誘導し、重要な炎症性サイトカイン(インターロイキン−1(IL−1))を含む種々のサイトカインを産生する。これらの細胞はまた、腫瘍壊死因子(TNF−α)およびプロスタグランジンE2(PGE−2)を産生する。PGE−2は、傷害部位の近くでの血管の血管拡張を引き起こし、そしてまた、そう痒および疼痛の感覚を生じる感覚神経終末の感度を増加する。TNF−αの主な作用は、血管の内側を覆う内皮細胞の表面上での接着分子の産生を増加することである。これらの接着分子は、血管内でアンカーとして作用し、循環から移動する免疫細胞が内皮細胞に結合することを可能にし、これは、循環から組織へのこれらの細胞の血管外遊出(diapedsis)(移動)に導き得る事象である。ケラチノサイトによって産生されるIL−1は、真皮内の線維芽細胞上の特定のレセプターに結合し、多くの前炎症性遺伝子(COX−2、IL−8およびIL−6)の産生を導くシグナル伝達経路を活性化する。IL−1はまた、ヒスタミン(これはまた、神経終末の感度を増加する)、サイトカインおよび他の炎症性媒介物質の産生および分泌を生じる肥満細胞上の特定のレセプターに結合する。ケラチノサイト由来IL−1に対する応答に加えて、線維芽細胞はまた、刺激(例えば、UVR)を引き起こすことによって直接活性化され得、これは、前炎症性遺伝子の発現をさらに刺激し、PGE−2、ケモカインIL−8およびコラーゲナーゼ−1(MMP−1)の産生を生じる。IL−8は、内皮細胞からの、好中球、単球および最終的にはリンパ球の血管外遊出(diapedsis)(走化性、移動)を刺激し、ここで、これらは、TNF−α誘導性の接着分子の増加の結果として、接着される。一旦、組織に入ると、好中球および単球は、さらなるサイトカイン(IL−1、IL−12)、およびケモカイン(単球走化性タンパク質(MCP−1)、組織への単球の移動を加速し、これらのマクロファージへの転換を補助する強力ケモカインを含む)を産生する。次いで、成熟マクロファージは、細胞外マトリクスタンパク質を分解し、従って皮膚の強度、弾性および厚さを減少するマトリクスメタロプロテイナーゼ(MMP)を産生する。
【0102】
炎症性応答が、慢性皮膚疾患および破壊性皮膚疾患(例えば、乾癬およびアトピー性皮膚炎)でそうであるように、皮膚に抗原が存在し続けることによって維持される場合、抗原が存在し続けることによって、Tリンパ球が組織部位に入り、活性化される。この活性化は、サイトカイン(例えば、TNF−α、単球走化性タンパク質−1(MCP−1)、IL−8、IL−12、およびインターフェロン−γ(INF−γ))の産生を誘導する。放出されたIL−12によって、Tリンパ球が迅速に増殖され、広い範囲のサイトカイン、増殖因子および他の炎症性媒介物質が産生される。これらの放出された産物は、マクロファージをさらに活性化し、単球を補充し、組織破壊を増加し、そして皮膚細胞(特に、ケラチノサイト)の加速されかつ制御されない増殖を引き起こす。この結果は、ケラチノサイトが、表面を迅速に動き、薄片に剥がれる間、皮膚の赤み、疼痛、そう痒および結痂を伴う明白な皮膚炎症である。さらに、表面での迅速なケラチノサイトの流出は、角質層のバリア機能を傷つけ、水分損失および乾燥皮膚を生じる。
【0103】
炎症において共通して見出されることは、皮膚の細胞が、2つの細胞内シグナル伝達経路のいずれか1つ(またはいくらかの場合、両方の経路)を活性化することによって炎症性刺激に応答することである。これらの経路は、一般的に、ストレス活性化キナーゼ(SAK)経路およびNF−κB経路としていわれる。SAK経路は、AP−1転写因子の活性化を導き、これは、次いで、いくつかの炎症性遺伝子(COX−2、IL−6およびMCP−1を含む)に結合し、これらを活性化する。NF−κB経路の活性化によって、NF−κBタンパク質の核へのトランスロケーションを生じ、NF−κB駆動性炎症性遺伝子(例えば、IL−8、MMP−1、TNF−αおよび接着分子(VCAM−1))の活性化を生じる。興味深いことに、IL−1を含む多くの炎症性遺伝子は、プロモーター要素を有し、これは、AP−1およびNF−κB転写因子の両方を結合し、従って、両方のシグナル伝達経路によってある程度まで制御される。Cutanixスクリーニングアッセイは、どの経路が調査中の化合物によってブロックされるかを決定するように設計されるか、または両方の経路が、効果的に阻害されるかを決定するように設計される。これらの経路の各々によって制御される炎症性遺伝子の転写をブロックする能力を有する化合物は、局所適用される場合、有意な抗炎症性効果を提供するようである。調査中の各々の推定抗炎症性化合物について、初期スクリーニングプログラムは、介入のための以下の標的部位に集中する:
1.UVR処理ケラチノサイトまたはテトラデカノイルホルボールアセテート処理ケラチノサイト中のIL−1およびPGE−2の産生の阻害。
2.UVR処理皮膚線維芽細胞中のPGE−2の産生の阻害。
3.IL−1処理線維芽細胞中のPGE−2産生の阻害。
【0104】
皮膚炎症のほとんどの共通の活性化因子の1つが、日光(特にUVB放射線)であるので、ケラチノサイトおよび線維芽細胞の両方におけるUVRによる前炎症性PGE−2の誘発をブロックする化合物の能力を決定することは、スクリーニングプロセスにおける論理的第1工程を示す。さらに、皮膚炎症が、化学的刺激物またはアレルゲンと接触することによってしばしば引き起こされるので、皮膚における炎症性応答をトリガーすることが公知であるTPAの使用は、試験化合物の抗炎症性活性の分析のためのさらなるモデルを提供する。最後に、IL−1が、炎症の最も重要な媒介物質および伝播物質の1つであり、炎症性刺激(例えば、UVR)によって迅速に誘導されるので、潜在的な抗炎症性化合物がIL−1の産生または作用のいずれかをブロックする能力を決定することは、臨床的に重要な初期スクリーニング研究である。図1および図2に示されるように、ケラチノサイトからのIL−1産生をブロックすることによって、線維芽細胞の活性化が抑制されるだけでなく、脂肪細胞の活性化もブロックされ、従って、ヒスタミンおよび他の炎症媒介物質の放出を防止する。さらに、皮膚におけるIL−1産生の阻害は、IL−1によってのみ刺激される膨大な数の炎症性遺伝子の活性化を防止する。これらとしては、COX−2、MMP−1ならびに種々のサイトカイン遺伝子およびケモカイン遺伝子が挙げられる。
【0105】
本明細書中に記載される初期スクリーニング研究の全てについて、培養物中の細胞は、適切なアゴニスト(すなわち、UVR、TPAまたはIL−1)に曝露され、次いで、調査中の化合物の存在下または非存在下において24時間または48時間培養液中でインキュベートされる。24時間および48時間の時点で、細胞から培地が除去され、ELISAによって多くの炎症性媒介物質についてアッセイされる。
【0106】
これらのスクリーニング研究について、一次ケラチノサイトおよび線維芽細胞株のみを使用し、不死化細胞株を使用しなかった。皮膚由来の正常細胞の使用は、インビトロ研究からの結果が、局所適用される場合、所定の化合物の効果を予測する確率を増加する。
【0107】
100μM以下の濃度でPGE−2誘導を完全に抑制する(100%)ことが見出されたアルデヒドは、次いで、より骨の折れる用量応答研究に供され、この研究は、以下の順の実験を含む:
1.ケラチノサイトおよび線維芽細胞において種々のUVR誘導性炎症性媒介物質、TPA誘導性炎症性媒介物質、またはIL−1誘導性炎症性媒介物質(IL−6、TNF−α、IL−8、およびMMP−1を含む)をブロックする、化合物の能力のELISAによる評価。
2.リポポリサッカリド(LPS)によって刺激される単球(THP−1単球株)および細胞を活性化する抗体リガンドで刺激されたTリンパ球(Jurkat細胞)による、炎症性媒介物質の産生および分泌をブロックする、化合物の能力のELISAによる評価。3.化合物が、遺伝子レベルで、種々のアゴニスト(UVR、IL−1、TPA、またはLPS(リポポリサッカリド)を含む)に対する細胞の曝露によって刺激される特定の炎症性遺伝子を抑制するように作用するかどうかを決定するためのRPA(リボヌクレアーゼ保護分析)の使用。Cutanixは、調査中の化合物の存在下または非存在下において、ケラチノサイト、線維芽細胞、T細胞および単球について、UVR、IL−1、TPAまたはLPSで刺激された細胞における細胞型特異的炎症性遺伝子の発現を同時に測定するための、カスタマイズされたRPA「カクテル」を開発した。
4.皮膚に存在する細胞に対して特異的な5,500を超える遺伝子の発現に対する、任意の化合物の効果を同時に試験するためのマイクロアレイ遺伝子分析の使用。使用される遺伝子アレイは、Research Geneticsから購入され、皮膚において発現されることが公知である遺伝子に対して読み出しを提供する。
【0108】
アルデヒドは、多くの前炎症性媒介物質を抑制し、図2は、インビボでアルデヒドによって阻害されるようないくつかの事象(丸付きXによって示される)を同定する。
【実施例】
【0109】
以下の実施例は、本発明をさらに記載するために適用され、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲に対する限定として意図されない。
【0110】
(実施例1)
最初のインビトロ実験を、局所投与される医薬として芳香族アルデヒド(4−エトキシベンズアルデヒド(「4−EB」))の活性を実証するために実施した。
【0111】
この実験について、ヒト皮膚線維芽細胞を、組織培養培地中に80,000細胞/ウェルの密度で12ウェルの培養皿に播種し、そして一晩おいてこの皿に接着させた。次の日、培地を除去し、そして希釈剤コントロールとしての1%エタノール、500pg/mlの濃度のIL−1、またはIL−1および250μMもしくはIL−1および500μMの4−EBのいずれかを含む新しい培地で置換した。細胞を、さらに24時間インキュベートし、そしてこの時点で、培地を除去し、そして培養培地中のPGE−2の存在についてELISAによってアッセイした。これらの結果は、IL−1が、PGE−2における17.8倍の増加を引き起こしたことを示す(コントロール=727pg/106細胞;IL−1=12,976pg/106細胞)。しかし、いずれかの濃度の4−EBで処理された細胞は、PGE−2のIL−1誘導の完全な阻害を示した。
【0112】
(実施例2)
インビトロ実験を、局所投与される医薬として3,5ジ−tert−ブチル,4−ヒドロキシベンズアルデヒド(「DTHB」)の活性を実証するために実施した。
【0113】
この実験について、ヒト皮膚線維芽細胞を、組織培養培地中に80,000細胞/ウェルの密度で12ウェルの培養皿に播種し、そして一晩おいてこの皿に接着させた。次の日、培地を除去し、そして希釈剤コントロールとしての1%エタノール、500pg/mlの濃度のIL−1、またはIL−1および1μM、10μM、50μM、もしくは100μMの調査中の化合物の1つを含む新しい培地で置換した。細胞を、さらに24時間インキュベートし、そしてこの時点で、培地を除去し、そして培養培地中のPGE−2の存在についてELISAによってアッセイした。これらの結果は、IL−1が、PGE−2における4〜22倍の増加を引き起こしたことを示す。
【0114】
DTHBの活性を4−エトキシベンズアルデヒド(「4−EB」)と比較する研究の詳細な結果を、図3Bに示し、ここで、%阻害は、以下のとおりである:4−EB、50μM、10μMおよび1μMで100%、6%および10%;DTHB、50μM、10μMおよび1μMで100%、44.4%および3.3%。
【0115】
(実施例3)
続いての研究を、4−EBに対するヒト皮膚線維芽細胞の用量応答を決定するために実施した。4−EBは、100μMでPGE−2のIL−1誘導を完全にブロックし、50μMでPGE−2誘導を82%をブロックし、そして10μM程度に低い濃度で35%をブロックした。研究の結果を、図3Aにグラフによって提供する。
【0116】
(実施例4)
実施例2に記載されるのと同様のインビトロ研究を、ヒト皮膚ケラチノサイトを使用して実施した。実験設定は、実施例2に記載されるものと同じであったが、IL−1の代わりに、アゴニストとして32nMの濃度のテトラデカノイルホルボールアセテート(TPA)を用いた。10μM、50μMまたは100μMのいずれかの濃度の3,5−ジ−tert−ブチル,4−ヒドロキシベンズアルデヒド(DTHB)のサンプルを試験した。これらの結果は、TPAが、PGE−2における3.5倍の増加を引き起こしたことを示す。しかし、DTHBを用いる処置は、少なくとも50%、PGE−2産生をブロックした。DTHBを4−EBと比較する研究の詳細な結果は、図4Cに示される。%阻害は、以下の通りである:DTHB、10μMで87.9%;4−EB、100μMおよび50μMで94.9%および79.9%。
【0117】
(実施例5)
引き続くインビトロ実験を、4−エトキシベンズアルデヒド(「4−EB」)に対して比較して、局所投与される医薬としての、他の芳香族アルデヒドの活性を実証するために実施した。試験した化合物は、2−エトキシベンズアルデヒド(2−EB)、3−エトキシベンズアルデヒド(3−EB)および4−メトキシベンズアルデヒド(4MB)であった。
【0118】
この実験について、ヒト皮膚線維芽細胞を、組織培養培地中に80,000細胞/ウェルの密度で12ウェルの培養皿に播種し、そして一晩おいてこの皿に接着させた。次の日、培地を除去し、そして希釈剤コントロールとしての1%エタノール、500pg/mlの濃度のIL−1、またはIL−1+1μM、10μM、50μMもしくは100μMの濃度の調査中の化合物のうち1つ、のいずれかを含む新たな培地で置換した。細胞を、さらに24時間インキュベートし、そしてこの時点で、培地を除去し、そして培養培地中のPGE−2の存在についてELISAによってアッセイした。これらの結果は、IL−1が、PGE−2における4〜22倍の増加を引き起こしたことを示す。
【0119】
図4Aの詳細な結果中に示される%阻害は、以下の通りである:2−EB、100μMおよび50μMで82.9%および58.9%;3−EB、100μMおよび50μMで41.2%および42.6%;4−EB、100μMで81.5%。
【0120】
10μMまたは50μMの濃度の4MBは、線維芽細胞において、IL−1誘導性のPGE−2の産生を阻害しないようであった。図4Bの詳細な結果中に示される%阻害は、以下の通りである:4−MB、50μMおよび10μMで13.6%および16.2%。
【0121】
(実施例6)
インビトロ実験を、局所的に投与される医薬としての芳香族アルデヒドDTHBの活性を実証するために実施し得る。
【0122】
この実験について、ヒト皮膚線維芽細胞を、組織培養培地中に80,000細胞/ウェルの密度で12ウェルの培養皿に播種し、そして一晩おいてこの皿に接着させるべきである。次の日、培地を除去し、そして希釈剤コントロールとしての1%エタノール、500pg/mlの濃度のIL−1、またはIL−1+250μMもしくは500μMのいずれかのDTHB、のいずれかを含む新たな培地で置換する。細胞を、さらに24時間インキュベートし、次いで培地を除去し、そして培養培地中のPGE−2の存在についてELISAによってアッセイする。
【0123】
(実施例7)
実施例5に記載されるのと類似のインビトロ研究を、ヒト皮膚ケラチノサイトを使用して実施した。実験設定は、実施例5に記載されるものと同じであったが、IL−1の代わりに、アゴニストとして32nMの濃度のテトラデカノイルホルボールアセテート(TPA)を用いた。試験した化合物は、10μM、50μMまたは100μMのいずれかの濃度の、2−エトキシベンズアルデヒド(2−EB)および3−エトキシベンズアルデヒド(3−EB)および4−エトキシベンズアルデヒド(4−EB)であった。これらの結果は、TPAが、PGE−2における3.5倍の増加を引き起こしたことを示す。しかし、これらの化合物のいずれかを用いる処置は、少なくとも50%、PGE−2産生をブロックした。
【0124】
図5の詳細な結果中に示される%阻害は、以下の通りである:2−EB、100μM、50μMおよび10μMで83%、76.6%および55.2%阻害;3−EB、100μMおよび50μMで76.7%および57.7%;4−EB、100μMおよび50μMで94.9%および79.9%。
【0125】
(実施例8)
DTHBに対するヒト皮膚線維芽細胞の用量応答を決定するために、上記のような実験を実施し得る。IL−1投与後に細胞に添加されるDTHBの量は、約250μM〜1μMで変動するはずである。
【0126】
(実施例9)
インビトロ実験を、局所的に投与される医薬としての一連の芳香族アルデヒドの活性を実証するために実施した。試験した化合物および測定結果を、図6にて表にし、そして、図8〜11においてグラフで示す。これらのデータは、式Iのアルデヒドについての結果を含み、そしてまた、他の関連化合物についての結果をも含む。
【0127】
この実験について、ヒト皮膚線維芽細胞を、組織培養培地中に80,000細胞/ウェルの密度で12ウェルの培養皿に播種し、そして一晩おいてこの皿に接着させた。次いで、培地をUV光またはIL−1のいずれかでのチャレンジのために、PBSで置換した。照射またはIL−1の導入後に、PBSを除去し、次いで、適切な化合物を含む培養培地(またはコントロールのためのDMSO)を添加し、そして細胞をさらに24時間培養した。この時点で、培地を除去し、そして培養培地中のPGE−2、IL−1、IL−6、IL−8またはMMP−1の存在について、ELISAでアッセイした。馴化培地中のタンパク質レベルを測定し、希釈剤コントロールと比較して%阻害を報告した。
【0128】
(IL−1チャレンジ)
2日目に、培地を除去し、そして希釈剤コントロールとしての1%エタノール、500pg/mlの濃度のIL−1、またはIL−1+100μM、10μMもしくは1μMの濃度の調査中の化合物のうち1つ、のいずれかを含む新たな培地で置換した。
【0129】
(UV光チャレンジ)
2日目に、照射のために、培地を除去して新しいPBSと交換した。次いで、線維芽細胞を、50mJのUVBで照射した。UVB照射を、UVC放射線を除去するためにマルチウェルプレートの蓋を通して、FS−20太陽灯でサンプルを照射することによって達成した。照射後、PBS溶液を除去して、1%エタノール(希釈コントロールとして)または、100μM、10μM、もしくは1μMの濃度のアルデヒド化合物の1つのいずれかを含む溶液と交換した。これらの細胞をさらに24時間インキュベートし、次いでELISAアッセイのために培地を除去して、細胞を数えた。
【0130】
(実施例10)
実施例9に記載したようなインビトロでの同様の研究を、ヒト皮膚ケラチノサイトを用いて実施した。実験の設定は、実施例9に記載したのと同様にした。これらの生成物を、培養培地におけるPGE−2、IL−1、IL−6、IL−8、MMP−1またはTNF−αの存在について、ELISAによってアッセイした。
【0131】
これらの細胞が生化学的アゴニストよるチャレンジの間、IL−1を、32nMの濃度のテトラデカノイルホルボールアセテート(TPA)で交換した。UV光を細胞をチャレンジするために使用した場合、75mJのUVBに曝露した。これは、UVC放射線を除去するためにマルチウェルプレートの蓋を通して、FS−20太陽灯でサンプルを照射することによって達成した。
【0132】
試験した化合物は、100μM、10μM、もしくは1μMのいずれかの濃度であった。そしてタンパク質発現レベルを、コントロール処理した細胞に対する%阻害で報告する。測定した%阻害を図7に表示し、そして図12〜14に図解する。
【0133】
(実施例11)
著しい炎症効果が見られたのに起因して、4−EBをヒト線維芽細胞培養物モデルにおいて使用した場合、インビボ研究を、代表的に適用される4−EBがヒトにおける炎症応答をブロックし得るか否かを決定するために実施した。本明細書中に提供される詳細は、特定の化合物についてであるものの、同様の試験は、本発明のいかなる芳香族アルデヒドに関しても使用され得る。
【0134】
以下からなる局所ローションを、4−EBについて開発した:
(水相)
脱イオン水 57.6%(重量)
ニコチンアミド 2.0%
グリセリン 4.0%
フェノニップ(Phenonip) 1.0%
(油相)
プロピレングリコール 5.0%
トランスクトール(Transcutol) 3.2%
Jojoba油 3.5%
イソセチルアルコール 2.0%
イソセチルステアレート 3.5%
鉱油 3.0%
4−エトキシベンズアルデヒド 1.0%
イソステアリルパルミテート 3.0%
PEG−7グリセリルココエート(Cocoate) 2.0%
Glycereth−7 2.0%
POLYSORBATE−20TM 0.2%
セチルリシノレート(Ricinoleate) 1.0%
グリセリルステアレート/
PEG−100ステアレート 4.0%
(増粘剤)
SEPIGELTM 2.0%
次いで、このローションを、フランツ細胞経皮吸収分析によって試験して、24時間にわたって、どのくらいの4−EBがヒト皮膚に浸透し得るかを決定した。上記のローション処方物は、30〜50μg/時間の、ヒト皮膚を介する4−EB流出比を提供した。
【0135】
次いで、このローションを、ヒト皮膚に局所的に塗布した場合に、炎症応答を防ぎ得るか否かを決定するために試験した。この研究のために、実験ボランティアを、60〜80mJのUVB光(太陽灯)を用いて、前腕内側にクォーターサイズスポット(quarter sized spot)で照射した。この線量は、非常に目立つ紅斑反応を引き起こすのに十分であった。両腕の照射直後、片方の腕を上記の4−EBローションで処置し、他方の腕を、4−EBの入っていない同じローション処方物で処置した。照射後2〜6時間以内に、ビヒクルで処置した腕は、照射部位にはっきりとした紅斑応答が生じるが、4−EBローションで処置したスポットには生じなかった。次の日になっても、照射14時間後に、4−EBで処置したスポットは赤くなかった。この研究は、局所的に塗布した4−EBが、著しい抗炎症活性を有することを実証する。
【0136】
その抗炎症活性に加えて、本発明の化合物は、単独またはエチルバニリンのような他の化合物との組み合わせのいずれかにおいて、抗加齢特性を有し得る。皮膚加齢の伝統的な症状の1つは、皮膚線維芽細胞におけるコラーゲナーゼ活性の増加であり、これは、コラーゲンを破壊して皮膚のたるみおよびシワを引き起こす。
【0137】
(潜在的用途の発見に関する結果の意味)
(抗加齢剤)
本発明の芳香族アルデヒドが、培養した皮膚細胞における炎症遺伝子の活性を阻害するいう発見、および局所的に塗布した場合、インビボにおける炎症応答をブロックし得るという発見は、化粧品、皮膚科学および経口の薬物市場におけるこれらの化合物の広範な有用性を示唆する。化粧品市場において、局所用途のために処方された場合、これらの化合物は、慢性の日光誘導性炎症(これは、皮膚マトリクスを破壊する、皮膚細胞における遺伝子の活性化を引き起こす)をより低下させることが予測され得る。日光誘導性遺伝子(例えば、MMP−1(コラーゲナーゼ)、ゼラチナーゼ、およびサイトカインIL−1、IL−12など)を阻害することによって、2−EB、3−EBおよび4−EBは、皮膚のさらなる破壊を防ぎ、従って線およびシワの発生、たるんだ皮膚、および皮膚の薄化を減少させる。これらの芳香族アルデヒドは、コラーゲンのような皮膚マトリクスを支持する遺伝子を刺激するようである(進行中の研究)。従って、この生成物は、日光で損傷された皮膚用の「皮膚回復性(skin restorative)」生成物として使用され得る。この皮膚回復性生成物は、損傷の形成を防ぐこと、ならびに存在する角化症の大きさおよび数を実際に減少させることの両方によって、光線性角化症を処置するのに有用性を有する。
【0138】
(サンケア生成物)
局所的に塗布された4−EB、または本発明の他の任意の化合物が、UVB曝露による日焼け発症を完全に防ぎ得るという発見は、サンケア生成物における芳香族アルデヒドの使用を示唆し、これらとしては、日焼け前(pre−sun)、日焼けローション、および日焼け後の生成物が挙げられる。これは、分子がサンスクリーン特性(おそらく、ある範囲でサンスクリーン特性を有する)を有するが、皮膚が日光のUV線をすでに曝露された後に、日焼けの進行を実際に停止させ得ることを示唆していない。UVB曝露直後の生成物の局所適用は、日焼けの発生を防ぐことが示されているが、日焼け後でさえ、生成物の塗布が、以下のようであり得る可能性もある:1)日焼けの連続した進行を防ぐこと、および2)すでに存在する赤みを戻すこと。
【0139】
(実施例12)
(しゅさの臨床試験)
軽〜中程度のしゅさを有する30人の被験体を、1%w4−EBを含むローション(20人の被験体)または活性な物質を取り除いたコントロールローションのいずれかで処置した。この研究を、無作為化して二重盲検した。1回目の訪問の際、患者を、以下の、疾患の4つの測定を用いて評価した:1)紅斑、2)剥離(皮膚剥脱)、3)不等皮膚緊張(uneven skin tone)および4)皮膚炎。臨床家はまた、疾患全体の最も重症なレベルである6を含む、1〜6の範囲である「総合重症度(Overall Severity)」スコアを提供する。患者を、疾患の重症度を記録するために写真に撮った。評価後、患者に、試験ローションまたはコントロールローションのいずれかを持たせて、それを2週間にわたって朝および夕方に塗布するようにいって、家まで送った。次いで、2週間の評価のために診療所に再び来させ、そしてその際、さらに2週間分の生成物を渡した。4週間で、臨床医と被験体の両方がその疾患の重症度を評価した。処置した領域のデジタル写真をまた撮った。
【0140】
研究を開始した30人のしゅさ患者のうち、28人が4週間で完了した。脱退した患者を含めて、被験体のうちで、照射または生成物からの他の有害な効果を経験した被験体はいなかった。図15Aの棒グラフは、4週間で、試験ローション処置群についての「総合重症度」における改善の割合をまとめる。理解され得るように、しゅさの重症性は、13/18人(72%)の被験体において減少した。これらの応答のうちで平均的な改善は、68%(全患者の49%)であった。これは統計的に有意な結果である。
【0141】
図15Bの棒グラフは、4週間で、コントロールローション処置群についての「総合重症度」における改善の割合をまとめる。理解されるように、しゅさの重症性は、6/10人(60%)の被験体において減少したが、3/10(30%)において増加した。全体としての平均的な改善は、15%であり、これは統計的に有意な結果ではない。
【0142】
試験ローションもまた、しゅさ研究における別の重要な統計学的閾値を達成した。試験ローション処置群における改善の程度は、ウイルコクソンおよび分散分析の両方を用いて、コントロール処置群における改善の程度より、より有意であった(p=0.05)。これらの結果は、薬物効力についての調整標準に適合するのに十分な質であり、ヒトの皮膚炎症を抑制する、4−エトキシベンズアルデヒドの能力を明確に規定する。
【0143】
皮膚炎症の重症度および血管拡張に起因して、しゅさは、処置の困難な疾患である。4−EBの2%処方物が、この臨床試験において使用される1%処方物よりもUV誘導性紅斑をブロックする際により有効であることが示されていることを考慮すると、試験ローションのより高い強度のバージョンは、しゅさの処置においてより高い効力を提供し得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。
【請求項1】
本明細書中に記載される発明。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−59203(P2010−59203A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282263(P2009−282263)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【分割の表示】特願2003−545302(P2003−545302)の分割
【原出願日】平成14年8月16日(2002.8.16)
【出願人】(500360312)キュータニックス コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【分割の表示】特願2003−545302(P2003−545302)の分割
【原出願日】平成14年8月16日(2002.8.16)
【出願人】(500360312)キュータニックス コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
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