説明

オキソカルボン酸ケタールとトリメチロール化合物とのケタールラクトンおよび立体特異的付加物、これらを含有するポリマー、これらの製造方法ならびに使用

ケタールラクトンおよびかかるケタールラクトンを作製するための方法が開示される。また、オキソカルボン酸のヒドロキシエステルケタールの単離されたシス−およびトランス立体異性体を作製するための方法、ならびにかかる立体異性体のケタールユニットをポリマー骨格内に有するポリマーも記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してケタール化合物に関し、より詳細には、オキソカルボン酸のケタールエステル、これらの製造方法および使用に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤、可塑剤、溶剤、およびポリマーなどの多くの公知の化学製品は、現在のところ、再生可能でない高価な石油由来または天然ガス由来の原料化合物から製造されている。原材料コストが高く、将来の供給が不確定であることから、安価で再生可能なバイオマス由来の原料から簡単な化学的方法によって作製され得る上記および他の化学製品の発見および開発が必要とされている。化学プロセスのための原料として再生可能資源を用いることで、化学業界において現在用いられている再生可能でない化石燃料に対する需要が低減され、最も顕著な温室ガスである二酸化炭素の全体での生成が低減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的に用いられている化学製品、例えば、界面活性剤、可塑剤、溶剤、ポリマーなどを、化学的構成要素源として再生可能な原料から提供することが望ましい。化学的および熱的に安定である化学的構成要素に対する必要性がさらに存在する。該化学的構成要素は、後の反応のために複数の官能基を有することが依然として有利であろう。また、かかる材料を、簡単かつ/または再現可能な方法によって提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
式(1)、詳細には(1a):
【化1】

ここで、式(1)におけるrは、1〜4であり、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである;の新規のケタールラクトンが開示される。
【0005】
別の実施形態において、式(2a):
【化2】

式中、RおよびRは、先に記載されている通りであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである;
の単離されたシスヒドロキシエステルケタールを作製するための方法がさらに開示される。
【0006】
さらに、別の実施形態において、式(3):
【化3】

式中、r、R、およびRは、先に記載されている通りである;のケタールユニットを含むポリエステルポリマーであって、一態様においては、式(3)のケタールユニットのうち少なくとも約60モルが、式(3a):
【化4】

式中、r、R、およびRは、上記の通りである;のシス構造ユニットである、ポリエステルポリマーが記載される。
【0007】
別の態様において、式(3)のケタールユニットのうち少なくとも約60モルが、式(3b):
【化5】

式中、r、R、およびRは、上記の通りである;のトランス構造ユニットである。
【0008】
また、式(4)、詳細には(4a):
【化6】

式中、各Rおよび各Rは、同じであっても異なっていてもよく、先に定義されている通りである;の化合物も開示される。
【0009】
上記化合物の製造方法および使用も記載される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
オキソカルボン酸ケタールをベースとする化合物が本明細書に開示され、該化合物は、再生可能な原料から生成され得る、界面活性剤、可塑剤、溶剤、ポリマーなどの化学製品として有用である。化学化合物は、後の反応のために複数の官能基を有する。また、かかる材料は、簡単かつ/または再現可能な方法によって得られ得る。
【0011】
一実施形態において、新規のケタールラクトンは、式(1):
【化7】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは、1〜4である;を有する。特定の実施形態において、各RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、rは、1〜4である。さらにより詳細には、各RおよびRは、独立して、C1〜3アルキルであり、rは、1〜3である。
【0012】
式(1)のケタールラクトンの特定の実施形態は、式(1a):
【化8】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである;のラクトンである。詳細には、各RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、さらにより詳細には、各RおよびRは、独立して、C1〜3アルキルである。
【0013】
式(1)のケタールラクトンの別の特定の実施形態は、式(1b):
【化9】

式中、Rは、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニル、詳細にはC1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニル、さらにより詳細にはメチルまたはエチルである;のレブリンラクトンである。
【0014】
また、ヒドロキシエステルケタールのある一定の立体特異的異性体も本明細書に開示される。例えば、式(2):
【化10】

のある一定のヒドロキシエステルケタールが当該分野において公知である。しかし、式(2)の化合物を作製するための公知の方法は煩雑であり、立体選択的であるとは考えられず、そのため、化合物(2)の単離された立体異性体が当該分野において公知であるとは考えられない。したがって、式(2a)および2(b):
【化11】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは、1〜4であり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、または3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである;を有するシス−およびトランスヒドロキシエステルケタールも本明細書に記載される。特定の実施形態において、各RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、rは、1〜4であり、Rは、C1〜6アルキル、C6〜12アリール、C7〜13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、または3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである。さらにより詳細には、各RおよびRは、独立して、C1〜3アルキルであってよく、rは、1〜3であり、Rは、C1〜4アルキル、C6〜12アリール、C7アリールアルキレン、C2〜10もしくはアルキルオキシアルキレン、または3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである。
【0015】
式(2a)および(2b)のヒドロキシエステルケタールの別の特定の実施形態は、式(2c)および(2d):
【化12】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである;のヒドロキシエステルケタールである。詳細には、各RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであってよく、Rは、C1〜6アルキル、C6〜12アリール、C7〜13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンであってよい。さらにより詳細には、各RおよびRは、独立して、C1〜3アルキルであってよく、Rは、C1〜6アルキル、C7アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンであってよい。
【0016】
式(2a)および(2b)のヒドロキシエステルケタールの別の特定の実施形態は、式(2e)および(2f):
【化13】

式中、Rは、C1〜10アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである;のヒドロキシエステルケタールである。詳細には、Rは、C1〜6アルキルであってよく、Rは、C1〜6アルキル、C6〜12アリール、C7〜13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンであってよい。さらにより詳細には、Rは、メチルまたはエチルであってよく、Rは、C1〜6アルキル、C7アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンであってよい。
【0017】
さらに、式(2a)、(2c)、および/または(2e)のシス異性体と式(2b)、(2d)、および/または(2f)のトランス異性体との組み合わせを含む組成物が調製され得る。一実施形態において、式(2b)、(2d)、および/または(2f)のトランス異性体の量に対する式(2a)、(2c)、および/または(2e)のシス異性体の量の比は、0と0.35との間の範囲内、詳細には0.001と0.25との間の範囲内である。同様に、かかる組成物は、式(2a)、(2c)、および/または(2e)のシス異性体の量に対する式(2b)、(2d)、および/または(2f)のトランス異性体の量の比が、0と0.35との間の範囲内、詳細には0.001と0.25との間の範囲内であってよい。
【0018】
また、式(4):
【化14】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、r=1〜4である;の化合物も開示される。詳細には、各RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、r=1〜4であり、さらにより詳細には、各RおよびRは、独立して、C1〜3アルキルであり、r=1〜3である。
【0019】
式(4)の化合物の別の特定の実施形態は、式(4a):
【化15】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである;の化合物である。詳細には、各RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、さらにより詳細には、各RおよびRは、独立して、C1〜3アルキルである。
【0020】
式(1)のケタールラクトンの別の特定の実施形態は、式(1b):
【化16】

式中、Rは、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、詳細には、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、さらにより詳細にはメチルまたはエチルである;のレブリンラクトンである。
【0021】
一実施形態において、式(2a)および(2b)、詳細には(2b)および(2d)、より詳細には(2e)および(2f)のヒドロキシエステルケタールは、シス−およびトランス異性体の組み合わせの光学分割によって得られる。シス−およびトランス異性体の混合物は、当該分野において公知の手段、例えば、式(5):
【化17】

式中、Rは、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは、1〜4である;のオキソカルボン酸と、式(6):
(HO)−R (6)
式中、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜C13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである;のアルコールとの酸触媒縮合によって得られ得る。特定の実施形態において、式(7)中のRは、C1〜6アルキル、例えば、メチル、エチル、またはn−ブチルである。代替的には、式(7)中のRは、光学分割因子であってよい。シス−およびトランス異性体の光学分割のための方法は、当該分野において公知であり、キラルクロマトグラフィ、選択的結晶化などを含む。例えば、式(2a)、詳細には(2c)、より詳細には(2e)のシス異性体化合物と、式(2b)、詳細には(2d)、より詳細には(2f)のトランス異性体化合物との組み合わせは、いずれかの異性体を60重量%を超えて含み、略等量のシス−およびトランス異性体を含む立体異性体のシス/トランス混合物の分別蒸留によって調製され得る。別の態様において、式(2a)、詳細には(2c)、より詳細には(2e)のシス異性体化合物と、式(2b)、詳細には(2d)、より詳細には(2f)のトランス異性体化合物との組み合わせは、いずれかの異性体を80重量%を超えて含み得る。さらに、別の態様において、式(2a)、詳細には(2c)、より詳細には(2e)のシス異性体化合物および式(2b)、詳細には(2d)、より詳細には(2f)のトランス異性体化合物は、いずれかの異性体を90重量%を超えて含み得る。
【0022】
シス−およびトランス異性体を個々にまたは特定の比で得たら、これらを重合して、一方または他方の異性体を優先的に含むポリマー、例えば、式(3a):
【化18】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは、1〜4である;のシス異性体ユニットを含むポリマーを得ることができる。かかるポリマーは、少なくとも2個、詳細には2〜1,000個のシス異性体ケタールユニット、より詳細には3〜500個、さらにより詳細には3〜250個、なおより詳細には4〜100個、さらに詳細には5〜50個、さらにより詳細には10〜40個のシス異性体ケタールユニットを含み得る。2〜100個、2〜50個、2〜35個、2〜20個、および2〜10個のシス異性体ケタールユニットを有することも可能である。さらに別の実施形態において、ポリマーは、20〜1,000個、50〜1,000個、200〜1,000個、または400〜1,000個のシス異性体ケタールユニットを有する。また、式(3a)のユニットを含むポリエステルは、400〜10,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。一実施形態において、各RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、rは、1〜4である。別の実施形態において、各RおよびRは、独立して、C1〜3アルキルであり、rは1〜3である。
【0023】
詳細には、シス異性体ユニットは、(3c):
【化19】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは、1〜4である;を有する。かかるポリマーは、少なくとも2個、詳細には2〜1,000個のシス異性体ケタールユニット、より詳細には3〜500個、さらにより詳細には3〜250個、なおより詳細には4〜100個、さらに詳細には5〜50個、さらにより詳細には10〜40個のシス異性体ケタールユニットを含み得る。2〜100個、2〜50個、2〜35個、2〜20個、および2〜10個のシス異性体ケタールユニットを有することも可能である。さらに別の実施形態において、ポリマーは、20〜1,000個、50〜1,000個、200〜1,000個、または400〜1,000個のシス異性体ケタールユニットを有する。また、式(3c)のユニットを含むポリエステルは、400〜10,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。一実施形態において、各RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルである。別の実施形態において、各RおよびRは、独立して、C1〜3アルキルである。
【0024】
さらにより詳細には、シス異性体は、式(3e):
【化20】

式中、Rは、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニル、詳細にはC1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニル、さらにより詳細にはメチルまたはエチルである;を有し得る。かかるポリマーは、少なくとも2個、詳細には2〜1,000個のシス異性体ケタールユニット、より詳細には3〜500個、さらにより詳細には3〜250個、なおより詳細には4〜100個、さらに詳細には5〜50個、さらにより詳細には10〜40個のシス異性体ケタールユニットを含み得る。2〜100個、2〜50個、2〜35個、2〜20個、および2〜10個のシス異性体ケタールユニットを有することも可能である。さらに別の実施形態において、ポリマーは、20〜1,000個、50〜1,000個、200〜1,000個、または400〜1,000個のシス異性体ケタールユニットを有する。また、式(3e)のユニットを含むポリエステルは、400〜10,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。
【0025】
シス−およびトランス異性体を個々にまたは特定の比で重合して、式(3b):
【化21】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは、1〜4である;におけるようなトランス異性体ユニットを優先的に含むポリマーを得ることができる。かかるポリマーは、少なくとも2個、詳細には2〜1,000個のトランス異性体ケタールユニット、より詳細には3〜500個、さらにより詳細には3〜250個、なおより詳細には4〜100個、さらに詳細には5〜50個、さらにより詳細には10〜40個のトランス異性体ケタールユニットを含み得る。2〜100個、2〜50個、2〜35個、2〜20個、および2〜10個のトランス異性体ケタールユニットを有することも可能である。さらに別の実施形態において、ポリマーは、20〜1,000個、50〜1,000個、200〜1,000個、または400〜1,000個のトランス異性体ケタールユニットを有する。また、式(3b)のユニットを含むポリエステルは、400〜10,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。一実施形態において、各RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルであり、rは、1〜4である。別の実施形態において、各RおよびRは、独立して、C1〜3アルキルであり、rは、1〜3である。
【0026】
特定の実施形態において、ポリマーは、式(3d):
【化22】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは、1〜4である;におけるようなトランス異性体ユニットを含む。かかるポリマーは、少なくとも2個、詳細には2〜1,000個のトランス異性体ケタールユニット、より詳細には3〜500個、さらにより詳細には3〜250個、なおより詳細には4〜100個、さらに詳細には5〜50個、さらにより詳細には10〜40個のトランス異性体ケタールユニットを含み得る。2〜100個、2〜50個、2〜35個、2〜20個、および2〜10個のトランス異性体ケタールユニットを有することも可能である。さらに別の実施形態において、ポリマーは、20〜1,000個、50〜1,000個、200〜1,000個、または400〜1,000個のトランス異性体ケタールユニットを有する。また、式(3d)のユニットを含むポリエステルは、400〜10,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。一実施形態において、各RおよびRは、独立して、C1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニルである。別の実施形態において、各RおよびRは、独立して、C1〜3アルキルである。
【0027】
別の特定の実施形態において、ポリマーは、式(3f):
【化23】

式中、Rは、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニル、詳細にはC1〜6アルキルまたはC2〜6アルケニル、さらにより詳細にはメチルまたはエチルである;のトランス異性体ユニットを含む。かかるポリマーは、少なくとも2個、詳細には2〜1,000個のトランス異性体ケタールユニット、より詳細には3〜500個、さらにより詳細には3〜250個、なおより詳細には4〜100個、さらに詳細には5〜50個、さらにより詳細には10〜40個のトランス異性体ケタールユニットを含み得る。2〜100個、2〜50個、2〜35個、2〜20個、および2〜10個のトランス異性体ケタールユニットを有することも可能である。さらに別の実施形態において、ポリマーは、20〜1,000個、50〜1,000個、200〜1,000個、または400〜1,000個のトランス異性体ケタールユニットを有する。また、式(3f)のユニットを含むポリエステルは、400〜10,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。
【0028】
別の態様において、残りのポリマーは、約65モル〜約90モルの式(3b)、詳細には(3d)、より詳細には(3f)のトランス異性体ユニット、および約10〜約35モルの式(3a)、詳細には(3c)、より詳細には(3e)シス異性体ユニットを含む。別の態様において、残りのポリマーは、約80モル〜約90モルの式(3b)、詳細には(3d)、より詳細には(3f)のトランス異性体ユニット、および約10〜約20モルの(3a)、詳細には(3c)、より詳細には(3e)のシス異性体ユニットを含む。別の態様において、残りのポリマーは、約90モル〜約99モルの式(3b)、詳細には(3d)、より詳細には(3f)のトランス異性体ユニット、および約1〜約10モルの(3a)、詳細には(3c)、より詳細には(3e)のシス異性体ユニットを含む。
【0029】
重合は、水の除去を可能にする条件下に酸触媒の存在下で起こり、エステルおよびケタール基を有するポリマーを形成することができる。酸触媒は、ルイス酸またはブレンステッドローリー酸のいずれであってもよく、例えば、強プロトン酸触媒、例えば、55以上のKaを有するブレンステッドローリー酸であってよい。強プロトン酸触媒の例として、硫酸、アリールスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸一水和物などのこれらの水和物、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、過塩素酸、臭化水素酸、ならびに塩化水素酸が挙げられる。他の実施形態において、弱プロトン酸触媒は、例えば、55未満のKaを有し、例えば、リン酸、オルトリン酸、ポリリン酸、およびスルファミン酸が用いられ得る。非プロトン性(ルイス酸)触媒として、例えば、四塩化チタン、三塩化アルミニウム、および三フッ化ホウ素を挙げることができる。上記酸触媒のいずれか1種以上を含む組み合わせが用いられ得る。いくつかの実施形態において、該方法は、蒸留物内に移動しないように実質的に不揮発性の酸触媒、例えば硫酸またはスルファミン酸を使用する。例示的実施形態において、均一系触媒は、カンファースルホン酸である。
【0030】
均一系酸触媒の代わりに、またはこれに加えて、不均一系酸触媒が用いられてよく、ここで、酸触媒は、固体支持体材料、例えば、樹脂ビーズ、膜、多孔性炭素粒子、ゼオライト材料、および他の固体支持体内にもしくは上に組み込まれるか、またはこれらに共有結合される。多くの市販の樹脂系酸触媒が、イオン交換樹脂として販売されている。1種の有用なイオン交換樹脂は、スルホン化ポリスチレン/ジビニルベンゼン樹脂であり、活性スルホン酸基を供給する。他の商業的なイオン交換樹脂として、ペンシルベニア州ピッツバーグのLanxess Companyによって販売されているLEWATIT(登録商標)イオン交換樹脂;ミシガン州ミッドランドのDow Companyによって販売されているDOWEX(商標)イオン交換樹脂;ならびにペンシルベニア州フィラデルフィアのRohm and Haas Companyによって販売されているAMBERLITE(登録商標)およびAMBERLYST(登録商標)イオン交換樹脂が挙げられる。実施形態において、AMBERLYST(登録商標)15が用いられる。これらの実施形態において、樹脂系触媒は、アルコール、例えば、メタノールまたはエタノールによって洗浄され、次いで使用前に乾燥される。使用時に、不均一系触媒が反応混合物に添加され、これにより、反応を触媒するための酸プロトンの不揮発性源を提供する。不均一系触媒は、カラム内に充填されてよく、ここで反応が実施されてよい。試薬がカラムを通して溶離するとき、反応が触媒され、溶離された生成物は、酸を含まない。他の実施形態において、不均一系触媒は、試薬を含有するポットにおいてスラリー化され、反応が実施され、得られる反応生成物が樹脂から直接濾過または蒸留されて、酸不含材料を脱離させる。
【0031】
反応は、0.0001〜0.1モルパーセントの酸触媒の存在下に典型的には実施される。触媒の非限定例として、硫酸、アルキルもしくはアリールもしくはアリールアルキレンスルホン酸、または不均一な、多孔性のもしくは非多孔性のスルホン化ポリマー、例えば当該分野において公知の強酸性のイオン交換樹脂が挙げられる。反応は、オキソカルボン酸(5)およびトリメチロール化合物(7)が約1:1のモル比で組み合わされる条件下に実施される。2つの反応体のいずれかが過剰で用いられてよい。しかし、別の態様において、トリメチロール化合物(7)およびオキソカルボン酸(5)の比は、0.8〜1.2のモル比で組み合わされる。反応は、オキソカルボン酸1モルあたり約2モルの水が留去されるまで実施される。
【0032】
したがって、単離された化合物(2a〜f)は、式(3a)、(3c)、もしくは3(e)のシス異性体ユニットまたは式(3b)、(3d)、もしくは(3f)のトランス異性体ユニットを優先的に含むあるいは実質的にこれら全てを含む種々のポリマーを調製するのに有用である。かかるポリマーは、全体で2〜1,000ユニット、より詳細には全体で3〜500ユニット、さらにより詳細には全体で3〜250ユニット、なおより詳細には全体で4〜100ユニット、さらに詳細には全体で5〜50ユニット、さらにより詳細には全体で10〜40ユニットを有し得る。全体で2〜100ユニット、全体で2〜50ユニット、全体で2〜35ユニット、全体で2〜20ユニット、および全体で2〜10ユニットを有することも可能である。さらに別の実施形態において、かかるポリマーは、全体で20〜1,000ユニット、全体で50〜1,000ユニット、全体で200〜1,000ユニット、または全体で400〜1,000ユニットを有し得る。出発物質の立体化学に応じて、ポリマーは、60モル超、65モル超、75モル超、85モル超、90モル超、95モル超、または95モル超のシス異性体を有し得る。代替的には、ポリマーは、60モル超、65モル超、75モル超、85モル超から最大で90モルのトランス異性体を有し得る。
【0033】
ポリマーは、ヒドロキシ基、カルボキシル基、および/または式(8):
【化24】

式中、r、n、R、およびRは、式(3)において記載されている通りである;に示される様々なアルコキシカルボニル基を含めた種々の末端基を有し得るポリエステルである。式(8)のポリマーの立体化学は、変動し得ること、および出発物質の立体化学に依ることを理解されたい。Rは、水素、または式(9):
(HO)−R (9)
式中、sは、1〜6であり、Rは、C1〜10炭化水素、例えば、C1〜10の直鎖、分枝鎖もしくは環式脂肪族基、1〜2個の二重結合を有するC2〜6の直鎖、分枝鎖もしくは環式脂肪族基、C6〜10環式芳香族基、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンであり、ここで、上記のそれぞれは、非置換であっても、1〜2個のヒドロキシ基、1〜2個の(C1〜3アルキル)カルボニル基、1〜2個の(C1〜6)アルキルカルボニル基、1〜2個の(メタ)アクリロイル基、またはこれらの組み合わせによって置換されていてもよい;のC1〜10の一価または多価アルコールから誘導される部分である。末端基Rは、重合混合物に、好適な量の式(9)の一価または多価アルコールを包含させることによって与えられる。当然ながら、上記R基は、式RC(CHOH)(CHO−):式中、Rは、式(3)において定義されている通りである;の部分を含む。代替的には、ポリマーのエステル交換は、式(9)の化合物の存在下に行われて、Rを与えることができる。ポリエステルは、2個以上のヒドロキシ基、またはヒドロキシ基とアルコキシカルボニル基との組み合わせを含有し得る。一実施形態において、一価または多価アルコールは、ポリマーに追加の官能性を与えることができる。例えば、重合混合物へのある量の(メタ)アリルアルコールの添加、ポリマーのカルボキシル基の誘導体化、または(メタ)アリルアルコールによるポリマーのエステル交換により、後に誘導体化または重合に用いられ得る(メタ)アリルエステル末端基を与えることができる。かかるポリマーは、種々の接着剤、コーティング、および熱硬化性物品を調製するのに有用である。
【0034】
シス異性体(2a)、詳細には(2c)、より詳細には(2e)への代替経路は、まず、式(3):
【化25】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは、1〜4であり、nは、2より大きく、詳細には2〜1,000、より詳細には3〜500、さらにより詳細には3〜250、なおより詳細には4〜100、さらに詳細には5〜50、さらにより詳細には10〜40である;のケタールエステルユニットのポリエステルを通して進行する。n=2〜100、2〜50、2〜35、2〜20、および2〜10を有することも可能である。さらに別の実施形態において、n=20〜1,000、50〜1,000、200〜1,000、または400〜1,000である。また、式(3)のユニットを含むポリエステルは、400〜10,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。
【0035】
式(3)のユニットを含むポリエステルは、先に記載されている酸性重合条件下、式(5):
【化26】

式中、Rは、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは1〜4である;のオキソカルボン酸と、式(7):
−C(CHOH)(7)
式中、Rは、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである;のトリメチロール化合物との反応によって得られ得る。
【0036】
式(3)のポリエステルは、次いで、好適な触媒、例えば、プロトン酸の存在下に、典型的には100℃と250℃との間の温度にて、減圧下、十分な加熱によって解重合されて、式(1)、詳細には(1a)、より詳細には(1b)のケタールラクトン、および場合により、式(4)、詳細には(4a)、より詳細には(4b)の化合物を優先的に含む蒸留物を与える。蒸留物はまた、種々の量の各出発化合物、またはアンゲリカラクトンを場合により含有していてもよい。蒸留は、実質的に全てのポリマーまたは大部分のポリマーが、化合物(1)および/または(4)に解重合されるまで、典型的には実施される。また、部分的な蒸留が実施されて、より少量の化合物(1)および(4)を解重合および蒸留することができる。酸触媒作用条件下に、ケタールのシスおよびトランス立体化学が平衡となる。しかし、シス異性体のみが、式(1)の環状ケタールラクトンを形成する。
【0037】
次いで、化合物(1)、(4)のいずれかがエステル交換されて、エステル交換触媒の存在下に式(2a)、詳細には(2b)、より詳細には(2c)のヒドロキシエステルのシス異性体を生じることができる。エステル交換は、典型的には、十分量の式R−OH:式中、Rは、式(2a)、詳細には(2c)、より詳細には(2e)において定義されている通りである;のアルコールの存在下に、アルカリまたはアルカリ土類金属アルコキシド、スズまたはチタンのヒドロキシドまたはアルコキシドを用いて、塩基触媒作用条件下で典型的には実施される。エステル交換によって得られた化合物は、バッチ形式で典型的には減圧下での蒸留によって、または流下膜、拭き取り膜、旋回膜による連続蒸留もしくは当該分野において公知の他の蒸留方法を用いてさらに精製され得る。
【0038】
(1)および/または(4)のエステル交換は、したがって、式(2a)、詳細には(2b)、より詳細には(2c):式中、Rは先に記載されている通りである;のヒドロキシエステルを得るための代替方法を提供する。化合物(1)および/または(4)のエステル交換は、式(2a)、詳細には(2b)、より詳細には(2c)の立体選択的に純粋なシス異性体を達成するための特に効果的な方法である。かかる組成物は、90モル超のシス異性体、詳細には95モル超、より詳細には99モル超のシス異性体を含み得る。代替的には、さらに別の態様において、式(2a)、詳細には(2c)、より詳細には(2e)のシス異性体化合物と式(2b)、詳細には(2d)、より詳細には(2f)のトランス異性体化合物との組み合わせは、90重量%を超える、詳細には95重量%を超える、より詳細には99重量%を超えるシス異性体を含み得る。
【0039】
先に記載されているポリマーに加えて、式(1)、詳細には(1a)、より詳細には(1b)の単離された化合物、式(2a〜f)の化合物、および式(4)、詳細には(4a)、より詳細には(4b)の化合物が、エステル結合を形成可能な種々の他のモノマーとのポリエステルケタールコポリマーの製造に用いられ得る。かかるコポリマーは、上記量のシス−およびトランス異性体を含有し得る。
【0040】
共重合され得る代表的なモノマーとして、限定されないが、C1〜36脂肪族またはC6〜36芳香族のジカルボン酸またはトリカルボン酸およびこれらの反応性誘導体、例えば、対応するジアリールエステル、無水物、塩、酸塩化物および酸臭化物が挙げられる。代表的な酸として、フタル酸のオルト−、メタ−、およびパラ異性体、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、グルタル酸、クエン酸、イタコン酸、メサコン酸、2−メチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸など、および上記酸を含む組み合わせが挙げられる。
【0041】
共重合され得る他のモノマーとして、2〜6個のヒドロキシル基を有する多価アルコールおよびこれらの反応性誘導体、例えば、対応するC1〜3ジアルキルエステル、ジアリールエステルなどが挙げられる。代表的なポリオールは、2〜36個の炭素原子を有し得、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレンジオール、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール、アラビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、2−メチル−1,3〜プロパンジオールなど、および上記ポリオールを含む組み合わせが挙げられる。
【0042】
共重合され得るさらに他のモノマーとして、ヒドロキシカルボン酸ならびにこれらの対応するエステルおよびラクトン、例えば、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシアルカン酸、リシノール酸、ラクチド、グリコリドビスラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、場合によるC1〜6アルキルまたはC6〜12アリール置換基を3、5、および6位に有する1,4−ジオキサン−2−オン、2−オキセパノン、ジオキセファノンモノマー、ε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ジメチレンカーボネートモノマーなど、ならびに上記を含む組み合わせが挙げられる。用いられ得る具体的なヒドロキシカルボン酸は、式(10):
【化27】

式中、rは、1〜4であり、Rは、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである;を有する。特定の実施形態において、Rはメチルであり、r=2である。
【0043】
共重合され得るさらに他のモノマーとして、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基であり得る少なくとも2個の末端基を有するオリゴマーおよびポリマーが挙げられる。かかるモノマーとして、ヒドロキシル末端の線状または分枝状ポリエーテル、例えば、C6〜36ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、α−オレフィンのポリエポキシド、ポリエトキシ化された多価アルコール、式(−CH−CH−CH−O−):式中、mは、2〜12の整数である;を有する1,3−プロパンジオールから誘導されるポリエーテル、および上記を含む組み合わせ;ポリエステルポリオール、すなわち、2個以上のヒドロキシル基によって末端処理されたポリエステル;ならびにポリウレタンポリオール、すなわち、2個以上のヒドロキシル基によって末端処理されたポリウレタンが挙げられる。このタイプの他のヒドロキシルおよび/またはカルボキシル末端モノマーとして、ポリサッカリド、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、ポリラクテート、ポリグリコリド、ポリ(コラクテート/グリコレート)など、または上記を含む組み合わせが挙げられる。上記オリゴマーおよびポリマーは、モノマーとして用いられるとき、2〜1,000ユニット、詳細には3〜500ユニット、より詳細には5〜100ユニット、または10〜50ユニットを有し得る。
【0044】
第1級および第2級アミノ化合物が用いられて、混合ポリエステル−ポリアミドを与えることができ、上記アミノ化合物は、1個以上のヒドロキシル、カルボキシル、エステル、カルボキシアミド、N−置換カルボキシアミドまたはエーテル基を場合により有する。
【0045】
したがって、式(3a〜f)のユニット、ならびに、2〜6個のヒドロキシル基を有する多価アルコールから誘導される他のポリエステルユニット;C1〜36脂肪族またはC6〜36芳香族のジカルボン酸もしくはトリカルボン酸およびこれらの反応性誘導体から誘導される他のユニット;ヒドロキシル化カルボン酸ならびにこれらの対応するエステルおよびラクトンから誘導される他のユニット;ヒドロキシル末端線状または分枝状ポリエーテルから誘導される少なくとも1種の他のユニット;ポリエステルポリオールから誘導される他のユニット;ポリウレタンポリオールから誘導される他のユニット;ポリサッカリドから誘導される他のユニット;ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)から誘導される他のユニット;ポリラクテートから誘導される他のユニット;ポリグリコリドから誘導される他のユニット;ポリ(コラクテート/グリコレート)から誘導される他のユニット;あるいはこれらの組み合わせを含むポリエステルケタールコポリマーがさらに開示される。式(3a〜f)のユニットおよび1個以上のアミノ基を有するアミノ化合物から誘導される別のユニットを含むポリエステル−ポリアミドも開示されており、上記アミノ化合物は、1個以上のヒドロキシル、カルボキシル、エステル、カルボキシアミド、N−置換カルボキシアミドまたはエーテル基を場合により有する。
【0046】
ポリエステルケタールコポリマーは、2〜1,000ユニット、より詳細には3〜500ユニット、さらにより詳細には3〜250ユニット、なおより詳細には4〜100ユニット、さらに詳細には5〜50ユニット、さらにより詳細には10〜40ユニットを有し得る。2〜100ユニット、2〜50ユニット、2〜35ユニット、2〜20ユニット、および2〜10ユニットを有することも可能である。さらに別の実施形態において、かかるポリマーは、20〜1,000ユニット、50〜1,000ユニット、200〜1,000ユニット、または400〜1,000ユニットを有し得る。コモノマーユニットに対する式(3a〜f)のケタールユニットの比は、コポリマーの所望される特性に応じて広範に変動し得、例えば、1:99〜99:1、詳細には10:90〜90:10、より詳細には20:80〜80:20、さらにより詳細には30:70〜70:30、なおより詳細には40:60〜60:40であり得る。
【0047】
ポリエステルケタールコポリマーは、例えば、界面重合、溶融プロセス縮合、液相縮合、およびエステル交換重合を含めた当該分野において周知である方法によって得られ得る。かかるポリエステルは、ジオールまたはジオール等価成分と二酸または二酸化学等価成分との縮合またはエステル交換重合を通して典型的には得られる。ポリエステルを作製するための方法および熱可塑性成形組成物におけるポリエステルの使用は、当該分野において公知である。常套的な重縮合手順は、例えば、米国特許第5,367,011号および同第5,411,999号に記載されている。縮合反応は、触媒の使用によって促進され得、触媒の選択は、反応体の性質によって決定される。種々の触媒が当該分野において公知である。
【0048】
上記ポリマーは、種々の用途、例えば、接着剤、コーティング、シーラント、および物品の製造において有用であり得る。ポリマーは、当該分野において公知の技術、例えば、押出、成形、スタンピング、熱形成、鋳造、艶出し、積層などを用いて物品に形成され得る。ポリマーは、他のポリマーと組み合わされてブレンド、混合物、合金などを与えることができ、補強材または粒子状充填剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤などのポリマー添加剤と場合によりさらに配合され得る。他のポリマーおよび添加剤の性質は、存在する場合、物品の最終用途、例えば、ファイバ、手術器具、ステント、インプラント、プロテーゼ、薬物送達ビヒクル、包装(食品包装を含む)の製造に依る。
【0049】
式(1)、詳細には(1a)、より詳細には(1b)の化合物、式(2a〜b)、詳細には(2c〜d)、より詳細には(2e〜f)の化合物、および式(4)、詳細には(4a)、より詳細には(4b)の化合物のいずれかと上記コモノマーの1種以上との重合または共重合によって得られるポリエステルケタールコポリマーは、線状または分枝状コポリマーとして得られ得る。分岐剤、例えば、反応混合物内に組み込まれた、3個以上のヒドロキシル基または三官能もしくは多官能カルボン酸を有するグリコールを用いて、分枝状ポリエステルを得ることが可能である。分岐剤またはコモノマーが用いられるとき、ポリエステルケタールコポリマーは、複数のヒドロキシル基、例えば、2〜6個のヒドロキシ基によって末端処理され得る。
【0050】
ヒドロキシル末端基は、多官能イソシアネートとの反応によって架橋され得る。代替的には、ヒドロキシル基は、当該分野において公知の方法によって誘導体化されて、鎖末端の反応性基、例えば、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、または(メタ)アリルエステル基を有するポリエステルケタールコポリマーを与えることができる。特に、ポリエステルケタールコポリマーが分枝状である場合、誘導体化されたヒドロキシル基を有するポリマーは、特定の反応性基に関する公知の方法を用いて架橋され得る。
【0051】
ヒドロキシル末端基は、好適な酸触媒、例えば、硫酸またはスルホン酸の存在下、ならびに二重結合の重合を防止する1種以上の酸化防止剤および安定化剤の存在下での(メタ)アクリル酸との反応によって、または、好適なエステル交換触媒の存在下での(メタ)アクリル酸エステルによるエステル交換によって(メタ)アクリル酸エステルに変換され得る。誘導体化されたコポリマーは、(多官能(メタ)アクリレート架橋剤によってまたはこれによらずに)架橋され得、またはUVもしくは放射線硬化によってさらに重合され得る。かかる(メタ)アクリル酸エステル末端ポリマーは、接着剤、コーティングおよび広範囲の物品の製造のための熱硬化性ポリマーとして有用であり得る。架橋可能なポリマーは、先に記載されている方法によって物品に加工され得、当該分野において公知である他のポリマーおよび/またはポリマー添加剤と場合により組み合わされ得る。
【0052】
別の特定の実施形態において、1個以上の(メタ)アリルエステルによって末端処理された、ユニット(3a〜f)を含むポリマー:式中、Rは、−CHCH=CHまたはCH(CH)=CHである;が得られ得る。ポリマーの末端基は、当該分野において公知の手段によって誘導体化されて(メタ)アリルエステルを与えることができ、または(メタ)アリルアルコールが、ヒドロキシケタールエステル(2a〜f)のうちの少なくとも1種を含む重合混合物に含まれていてよい。別の実施形態において、重合混合物は、ヒドロキシケタールエステル(2a〜f)のうちの少なくとも1種、(メタ)アリルアルコールまたはその反応性誘導体、ならびにヒドロキシルおよび/またはカルボキシル基であってよい少なくとも2個の末端基を有するコモノマー、例えば、ヒドロキシル末端線状または分枝状ポリエーテルを含み得る。フラグメント(3a)および/または(3b)を含む(メタ)アリルエステル末端ポリマーは、重合し易く、種々の接着剤、コーティングおよび熱硬化性物品を調製するのに有用である。架橋可能なポリマーは、上記の方法によって物品に加工され得、当該分野において公知である他のポリマーおよび/またはポリマー添加剤と場合により組み合わされ得る。
【0053】
特定の実施形態において、ポリエステルケタールポリマーは、式(1)、詳細には(1a)、より詳細には(1b)の化合物、式(2a〜f)の化合物、または式(4)、詳細には(4a)、より詳細には(4b)の化合物のいずれかと、2〜6個のヒドロキシル基を有する1種以上の多価アルコール、およびこれらの反応性誘導体との共重合によって得られるコポリマーであり、ヒドロキシル末端ケタールコポリマー(コポリマーポリオール)を与える。ヒドロキシル基は、先に記載されているように架橋されていても誘導体化されていてもよい。一実施形態において、コポリマーポリオールは、ポリオールの実質的に全てのヒドロキシル基がイソシアネートと反応するように過剰の1種以上のポリイソシアネートと反応されて、イソシアネート末端ケタールコポリマーを与えることができる。過剰のイソシアネートは、次いで、蒸留によって場合により除去される。
【0054】
代表的なポリイソシアネートは、式(11):
(−NCO)t (11)
式中、tは、2を超える平均値を有する整数であり、Rは、tの価数を有する有機ラジカルである;を有する。Rは、適切な価数の置換または非置換炭化水素基(すなわち、アルカンおよび芳香族基)であり得る。一実施形態において、Rは、式G−Z−G:式中、Gは、C1〜12アルキレンまたはC6〜12アリーレン基であり、Zは、−O−、−O−G−O、−CO−、−S−、−S−G−S−、−SO−または−SO−であり、ここで、Gは、C1〜12アルキレンまたはC6〜12アリーレン基である;を有する基である。式(11)のポリイソシアネートの非限定例は、有機ジイソシアネート、例えば、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−2−イソシアナトメチルシクロペンタン、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,4’−ジシクロヘキシル−メタンジイソシアネート、1,3−および1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)メタン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および/または−1,4−キシリレンジイソシアネート、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、1,3−および/または1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート、2,4−および/または4,4’−ジフェニル−メタンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナトナフタレンならびにこれらの混合物である。3個以上のイソシアネート基を含有するポリイソシアネート基、例えば、アニリン/ホルムアルデヒド縮合物をホスゲン化することによって得られる4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネートおよび芳香族ポリイソシアネート、例えば、4,4’,4’’−トリフェニルメタンジイソシアネートおよびポリフェニルポリメチレンポリイソシアネートも用いられ得る。
【0055】
別の態様において、有機ジイソシアネートとして、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5〜トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、α,α,α’,α’−テトラメチル−1,3−および/または−1,4−キシリレンジイソシアネート、1−イソシアナト−1−メチル−4(3)−イソシアナトメチルシクロヘキサン、2,4−および/または2,6−ヘキサヒドロトルイレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート、ならびに2,4−および/または4,4’−ジフェニル−メタンジイソシアネートが挙げられる。
【0056】
ポリイソシアネート成分は、イソシアヌレート、ウレトジオン、ビウレット、ウレタン、アロファネート、カルボジイミド、および/またはオキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネート付加物を含めたポリイソシアネート付加物の形態であり得る。ポリイソシアネート付加物は、2〜6の平均官能価および5〜30重量%のNCO含量を有する。
【0057】
イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートは、DE−PS2,616,416、EP−OS3,765、EP−OS10,589、EP−OS47,452、米国特許第4,288,586号および米国特許第4,324,879号において記載されているように調製され得る。イソシアナト−イソシアヌレートは、3〜3.5の平均NCO官能価および5%〜30重量%のNCO含量を一般に有する。別の態様において、イソシアナト−イソシアヌレートは、10%〜25重量%の平均NCO含量を有する。さらに別の態様において、イソシアナト−イソシアヌレートは、15〜25重量%の平均NCO含量を有する。好適な触媒、例えば、トリアルキルホスフィン触媒の存在下にジイソシアネートのイソシアネート基の一部をオリゴマー化することによって調製され得、他の脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネート、特に、すぐ先に記載されているイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートと混合されて用いられ得るウレトジオンジイソシアネート。米国特許第3,124,605号;同第3,358,010号;同第3,644,490号;同第3,862,973号;同第3,906,126号;同第3,903,127号;同第4,051,165号;同第4,147,714号;または同第4,220,749号に開示されているプロセスにしたがって、水、第3級アルコール、第1級および第2級モノアミン、ならびに第1級および/または第2級ジアミンなどの共反応体を用いることによって調製され得るビウレット基含有ポリイソシアネート。これらのポリイソシアネートは、18〜22重量%のNCO含量および3〜3.5の平均NCO官能価を有し得る。米国特許第3,183,112号に開示されているプロセスにしたがって、過剰量のポリイソシアネート、例えば、ジイソシアネートと、400未満の分子量を有する低分子量のグリコールおよびポリオール、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,2−ジヒドロキシプロパンおよびこれらの混合物とを反応させることによって調製され得るウレタン基含有ポリイソシアネート。別の態様において、ウレタン基含有ポリイソシアネートは、12〜20重量%のNCO含量および2.5〜3の平均NCO官能価を有する。アロファネート基含有ポリイソシアネートは、米国特許第3,769,318号、同第4,160,080号および同第4,177,342号に開示されているプロセスにしたがって調製され得る。アロファネート基含有ポリイソシアネートの非限定例は、12〜21重量%のNCO含量および2〜4.5の平均NCO官能価を有する。イソシアヌレートおよびアロファネート基含有ポリイソシアネートは、米国特許第5,124,427号、同第5,208,334号および同第5,235,018号に記載されているプロセスにしたがって調製され得る。例えば、かかるポリイソシアネートは、これらの基を、約10:1〜1:10の範囲のモノイソシアヌレート基対モノアロファネート基の比で含有し得る。別の態様において、かかるポリイソシアネートは、約5:1〜1:7の範囲のモノイソシアヌレート基対モノアロファネート基の比でこれらの基を含有し得る。カルボジイミド基含有ポリイソシアネートは、DE−PS1,092,007、米国特許第3,152,162号およびDE−OS2,504,400、2,537,685および2,552,350に記載されている公知のカルボジイミド化触媒の存在下にジ−またはポリイソシアネートをオリゴマー化することによって調製され得る。オキサジアジントリオン基を含有するポリイソシアネートは、米国特許第5,554,711号に記載されているように得られ得る。
【0058】
かかるイソシアネート末端ケタールコポリマーは、広範囲の工業用途のための接着剤、コーティング、エラストマーおよびシーラントの調製において有用性を有する。酸性加水分解による分解において形成される主生成物の生物的適合性に起因して、これらの材料は、医療機器の製造またはコーティングに有用であり得、また、薬学的または農業活性剤の制御放出のためのマトリクス材料として有用であり得る。これらはまた、ポリウレタンまたはポリウレタン分散物の調製のための構成要素としても有用である。
【0059】
先に記載されているように、本明細書に記載されているポリマーおよびコポリマーは、種々の用途において有用であり得る。したがって、接着剤組成物は、接着剤配合物(例えば、溶媒、増粘剤、架橋剤、および/またはポリマー結合剤)、ならびに式(3a〜f):式中、ポリマーは、2〜6個の末端ヒドロキシル、メタクリロイル、メタリルエステル、またはイソシアネート基を場合により含む;のユニットを含むポリマーまたはコポリマーを含む。接着剤配合物は、ホットメルト、UV硬化性、放射線硬化性または水分硬化性接着剤であってよく、したがって、かかる配合物における使用のための公知の成分を含み得る。コーティング組成物は、コーティング配合物(例えば、溶媒、充填剤、顔料、架橋剤、および/またはポリマー結合剤)、ならびに式(3a〜f):式中、ポリマーは、2〜6個の末端ヒドロキシル、メタクリロイル、メタリルエステル、またはイソシアネート基を場合により含む;のユニットを含むポリマーまたはコポリマーを含む。
【0060】
本明細書に記載されているポリマーおよびコポリマーは、熱可塑性または熱硬化性樹脂として有用であり得、そのため、物品を形成するのに用いられ得る。一実施形態において、ポリマーは、機械的起泡剤または化学的もしくは物理的発泡剤を用いて発泡され得る。イソシアネート末端ポリマーは、特に、軟質または硬質ポリウレタンフォームの製造において用いられ得る。
【0061】
式(1)、詳細には(1a)、より詳細には(1b)の化合物への代替の経路がさらに本明細書に開示されている。この実施形態において、トリメチロール(12)によってエステル化されたオキソカルボン酸エステルは、縮合されて、スキーム(I)に示されるようにラクトン(1)を形成する:
【化28】

式中、rは、1〜4であり、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである。縮合は、例えば真空を介して水を除去しながら、例えば熱(例えば、30〜150℃)の存在下に行われ得る。エステル化されたカルボン酸は、スキームIIの特定の実施形態において示されているように、対応するケタールの酸触媒分解によって得られ得る。
【化29】


スキームIIにおいて、ソルケタールレブリネートは、酸触媒の存在下に水で処理されて、ジオールを与えた。水を除去するのに有効な条件下、例えば真空下でのジオールの加熱は、ジオール部分によるオキソ基のケタール化を可能にする。
【0062】
式(1)および(4)の化合物は、リビング重合プロセスにおいて用いられて、ポリマーを生成することができる。一実施形態において、リビング重合は、ポリマー鎖がそれぞれ、ほぼ同時に、一定濃度の成長種によって本質的に一定速度で成長を開始するため有利であり得る。最終結果は、非常に低い多分散度指数を有するポリマーである。したがって、リビング重合は、単分散ポリマー、ブロックコポリマー、官能化ポリマー、ならびに種々の形状およびサイズを作り出すのに用いられ得るという利点を有する。式(1)および(4)の化合物は、このプロセスにおいて、他のモノマー、例えば、ラクチド、グリコリドビス−ラクトン、1,4−ジオキサン−2−オン、3−、5−、および6−位に場合によるC1〜6アルキルまたはC6〜12アリール置換基を有する1,4−ジオキサン−2−オン、2−オキセパノン、ジオキセファノンモノマー、例えば、4−ジオアン−2−オン、1,5−ジオキセパン−2−オンおよび4−メチル−1,5−ジオキセパン−2−オンε−カプロラクトン、トリメチレンカーボネート、ジメチレンカーボネートモノマーなどと共重合され得る。ポリ(エステルエーテル)は、ポリエーテルによって開始されるラクトンの2段階開環リビング重合によって調製され得る。リビング重合に好適な条件および触媒は公知であり、N−複素環式カルベン、シクロデキストリン、ならびに金属触媒、例えば、スズ(II)2−エチルヘキサノエート、第1スズオクトエート(II)、第4族遷移金属水素化物、例えば、水素化塩化ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)、および種々の不均一系固定化触媒が挙げられる。ポリマーまたはコポリマーは、例えば、先に記載されているような物品の製造に用いられ得る。
特定の態様において、式(1)または(4)のラクトン化合物のリビング重合は、シス構造を有しユニット過剰が約100である、90%超のユニット(2a)、詳細には(2c)、より詳細には(2e)から構成されるポリマーの調製に有用である。別の態様において、かかるポリマーは、99%超のユニット(2a)、(2c)、または(2e)を含む。加えて、90%または99%超のユニット(2a)、(2c)、または(2e)を含むかかるポリマーは、約200を超えるnの平均値を有し得る。さらに、90%または99%超のユニット(2a)、(2c)、または(2e)を含むかかるポリマーは、約400を超えるnの平均値を有し得る。かかるポリマーは、高含量の炭素由来の再生可能なバイオマス源による有用な熱可塑性ポリマーであり、透明であるように製造され得る。
本明細書で用いられるとき、単数形「1種(個)の(a)」、「1種(個)の(an)」および「その(the)」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数形も含むことが意図される。同じ構成成分または特性に向けられた全ての範囲の終点は、終点を含み、修飾語「間に」が用いられている場合を除いて独立して組み合わせることができる。量と併せて用いられている修飾語「約」は、記述された値を含み、文脈によって指示されている意味を有する(例えば、特定の量の測定に関連する誤差の程度を含む)。「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。
【0063】
一般に、組成物または方法は、開示されているあらゆる適切な構成成分またはステップを代替的に含み、これらからなり、または本質的にこれらからなる。本発明は、従来技術の組成物に用いられているまたはさもなければ本特許請求の範囲の機能および/もしくは目的の達成に必要でないあらゆる構成成分、材料、成分、補助剤もしくは種、またはステップを欠失するようにまたは実質的に含まないように付加的にまたは代替的に構築され得る。
【0064】
別途定義されない限り、用いられている全ての用語(技術および科学用語を含む)は、本発明が属する分野において通常の技術を有する者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。化合物は、標準の命名法を用いて記載されている。示されているいずれの基によっても置換されていないあらゆる位置は、示されている結合または水素原子によって満たされている価数を有すると理解される。2つの文字または記号の間ではないダッシュ記号(「−」)は、置換基のための結合点を示すのに用いられる。例えば、−CHOは、カルボニル基の炭素を通して結合されている。
【0065】
「アルキル」は、特定された数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素を意味する。「アルケニル」は、特定された数の炭素原子および少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖の脂肪族炭化水素を意味する。「アルキレン」は、特定された数の炭素原子を有する直鎖または分枝状の二価脂肪族炭化水素基を意味する。「アリール」は、全ての環員が炭素であり環が芳香族である環式部分を意味する。1を超える環が存在していてよく、あらゆるさらなる環が、独立して、芳香族であっても、飽和であっても部分不飽和であってよく、また、縮合されていても、ペンダント状であってもスピロ環であっても、これらの組み合わせであってもよい。「アリールアルキレン」は、アリール基および置換されている位置の両方に結合したアルキレン基に共有結合したアリール基を有する基を意味する。用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート基およびメタクリレート基の両方を包含する。用語(メタ)アリルは、アリル基およびメタリル基の両方を包含する。
【0066】
列挙されている全ての特許、特許出願および他の参考文献は、全体が参照により組み込まれる。
【0067】
本発明の実施形態が説明および記載されているが、これらの実施形態が本発明の全ての可能な形態を説明および記載することは意図されていない。むしろ、明細書において用いられている単語は、限定よりもむしろ記載のための単語であり、本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の変更がなされ得ることが理解される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化30】

式中、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは、1〜4である;の化合物。
【請求項2】
式(1a):
【化31】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである;の単離された化合物。
【請求項3】
式(1b):
【化32】

式中、Rは、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである;の単離された化合物。
【請求項4】
ポリマーと請求項1〜3のいずれかの化合物とを含むポリマー組成物。
【請求項5】
式(2a):
【化33】

式中、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜C13アリールアルキレン、またはC2〜10アルキルオキシアルキレンもしくはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンであり、それぞれ、1〜2種の2個の遊離ヒドロキシル基を場合により有する;の単離された化合物。
【請求項6】
式(2b):
【化34】

式中、
rは、1〜4であり、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、
は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜C13アリールアルキレン、またはC2〜10アルキルオキシアルキレンもしくはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンであり、それぞれ、1〜2種の2個の遊離ヒドロキシル基を場合により有する;の単離された化合物。
【請求項7】
式(2c):
【化35】

式中、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、
は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜C13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである;の単離された化合物。
【請求項8】
式(2d):
【化36】

式中、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、
は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜C13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである;の単離された化合物。
【請求項9】
式(2e):
【化37】

式中、
は、C1〜10アルキルであり、Rは、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜C13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである;の単離された化合物。
【請求項10】
式(2f):
【化38】

式中、
は、C1〜10アルキルであり、
は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜C13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである;の単離された化合物。
【請求項11】
ポリマーと請求項5〜10の化合物のいずれか1つとを含むポリマー組成物。
【請求項12】
式(4):
【化39】

式中、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、
r=1〜4である;の化合物。
【請求項13】
式(4a):
【化40】

式中、各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである;の化合物。
【請求項14】
ポリマーと請求項12〜13のいずれかの化合物とを含むポリマー組成物。
【請求項15】
請求項2の化合物と請求項3の化合物とを含む組成物であって、請求項3の化合物の量に対する請求項2の化合物の量の比が、0と0.35との間の範囲内である、組成物。
【請求項16】
請求項2の化合物と請求項3の化合物とを含む組成物であって、請求項2の化合物の量に対する請求項3の化合物の量の比が、0と0.35との間の範囲内である、組成物。
【請求項17】
ポリマーと請求項15または16の組み合わせとを含むポリマー組成物。
【請求項18】
式(3):
【化41】

式中、
rは、1〜4であり、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、
nは、2を超え、
ここで、式(3)のユニットのうち少なくとも約60モルが、式(3a):
【化42】

のシス異性体のユニットである;のケタールユニットを含むポリマー。
【請求項19】
式(3):
【化43】

式中、
rは、1〜4であり、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、
nは2を超え;
ここで、式(3)のユニットのうち少なくとも約60モルが、式(3b):
【化44】

のトランス異性体のユニットである:のケタールユニットを含むポリエステル。
【請求項20】
式(8):
【化45】

式中、
rは、1〜4であり、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、
nは、2を超え;
は、C1〜10の直鎖、分枝鎖もしくは環式脂肪族基、1〜2個の二重結合を有するC2〜6の直鎖、分枝鎖もしくは環式脂肪族基、C6〜10環式芳香族基、C2〜10アルキルオキシアルキレン、またはC3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンであり、ここで、上記のそれぞれが、非置換であっても、1〜2個のヒドロキシ基、1〜2個の(C1〜3アルキル)カルボニル基、1〜2個の(C1〜6)アルキルカルボニル基、1〜2個の(メタ)アクリロイル基またはこれらの組み合わせによって置換されていてもよい;のユニットを含むポリマー。
【請求項21】
2〜6個のヒドロキシル基を有する多価アルコール、C1〜36の脂肪族もしくはC6〜36の芳香族のジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはその反応性誘導体、ヒドロキシル化カルボン酸またはそのエステルもしくはラクトン、ヒドロキシル末端線状または分枝状ポリエーテル、ポリエステルポリオール、ポリウレタンポリオール、ポリサッカリド、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、ポリラクテート、ポリグリコリド、ポリ(コラクテート/グリコレート)、あるいはこれらの組み合わせから誘導される別のポリエステルユニットをさらに含む、任意の請求項18〜20のポリマー。
【請求項22】
式(10):
【化46】

式中、rは、1〜4であり、Rは、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである;のヒドロキシエステルまたはその反応性誘導体から誘導される他のケタールモノマーユニットを含む、請求項21に記載のポリマー。
【請求項23】
2〜6個のヒドロキシル基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基、または(メタ)アリル基を含む、請求項18〜22のいずれかに記載のポリマー。
【請求項24】
さらなる異なるポリマー、ポリマー添加剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項18〜23のいずれかに記載のポリマ−。
【請求項25】
請求項18〜のいずれかのポリマーまたはその組成物のいずれかを含む物品。
【請求項26】
請求項18〜24のいずれかのポリマーまたはその組成物のいずれかを含むフォーム。
【請求項27】
式(1)の化合物の製造方法であって:
式(3):
【化47】

の化合物を、プロトン性触媒の存在下に、水を除去しながら加熱すること;および
式(1):
【化48】

式中、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、rは、1〜4であり、かかるポリマーが、少なくとも2を含み得る;の化合物を蒸留することを含む方法。
【請求項28】
式(1)の化合物の製造方法であって:
式(12):
【化49】

のエステル化オキソカルボン酸を、十分な加熱下に水を除去しながら加熱して、式(1):
【化21】

式中、rは、1〜4であり、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルである;のラクトンを形成することを含む方法。
【請求項29】
式(2a)の化合物の製造方法であって;
式(1):
【化50】

の化合物を、塩基性条件下に式R−OHのヒドロキシ化合物の存在下でエステル交換して、式(2a):
【化51】

式中、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、
rは、1〜4であり、
は、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C3〜6シクロアルキル、C5〜6シクロアルケニル、C6〜12アリール、C7〜C13アリールアルキレン、C2〜10アルキルオキシアルキレン、または3〜10アルキルオキシアルキレンオキシアルキレンである;の化合物を形成することを含む方法。
【請求項30】
請求項(1)の化合物または式(4)の化合物:
【化52】

式中、
各RおよびRは、独立して、C1〜10アルキルまたはC2〜10アルケニルであり、
rは、1〜4である;のリビング重合によって得られるポリマー組成物。
【請求項31】
ポリマーが、別のラクトン、ラクチド、グリコリド、ビスラクトン、ジオキサノン、ジオキセパノンモノマー、トリメチレンカーボネート、またはジメチレンカーボネートのさらなる存在下にリビング重合から誘導されるユニットをさらに含む、請求項30に記載のポリマー組成物。
【請求項32】
請求項30〜31のいずれかのポリマーを含む物品。

【公表番号】特表2013−505960(P2013−505960A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531099(P2012−531099)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/050387
【国際公開番号】WO2011/038337
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(510015279)サジティス・インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】