説明

オキソニウム塩およびスルホニウム塩

本発明は、[(RO]カチオンを有するオキソニウム塩および[(RS]カチオンを有するスルホニウム塩であって、式中Rは、1〜8個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基、または無置換またはR、OR、N(R、CNもしくはハロゲンで置換されているフェニルを示し、前記塩類はまた[PF(C2y+1−z6−xアニオンの群から選択されるアニオンを有し、ここで式中、2≦x≦5、1≦y≦8および0≦z≦2y+1であり、または[BF(CN)4−nアニオンの群から選択されるアニオンを有し、ここで式中、n=0、1、2または3であり、または[(Rf1SON]アニオンの群から選択されるアニオンを有し、または[BFf24−wアニオンの群から選択されるアニオンを有する、前記オキソニウム塩およびスルホニウム塩に関し、ならびに、これらの製造方法、およびこれらの使用、特にイオン液体の製造のための使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、[(RO]カチオンを有するオキソニウム塩および[(RS]カチオンを有するスルホニウム塩(式中Rは、1〜8個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基、または無置換のフェニル、またはR、OR、N(R、CNもしくはハロゲンで置換されているフェニルを示す)であって、[PF(C2y+1−z6−xアニオンの群から選択されるアニオン(式中2≦x≦5、1≦y≦8および0≦z≦2y+1である)、または[BF(CN)4−nアニオンの群から選択されるアニオン(式中n=0、1、2もしくは3である)、または[(Rf1SON]アニオンの群から選択されるアニオン、または[BFf24−wアニオンの群から選択されるアニオンを有する、前記塩類、およびこれらの製造方法、およびこれらの、特にイオン液体の製造のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン液体は、その特性のために、現代の研究における有機合成のための、従来の揮発性有機溶剤の有効な代替物である。新規な反応媒体としてのイオン液体の使用はまた、溶媒放出および触媒の再処理における問題の両方に対して、現実的な解決法となり得る。
【0003】
イオン液体または液体塩は、有機カチオンと一般に無機のアニオンとからなるイオン種である。これらは中性の分子は含まず、通常は373K未満の融点を有する。しかし融点は、これら塩類の用途の全領域での有用性を限定することなく、さらに高くてもよい。有機カチオンの例は、特に、テトラアルキルアンモニウム、テトラアルキルホスホニウム、N−アルキルピリジニウム、1,3−ジアルキルイミダゾリウム、またはトリアルキルスルホニウムである。多くの好適なアニオンの中で、例えばBF、PF、SbF、NO、CFSO、(CFSO、アリールSO、CFCO、CHCOまたはAlClなどが挙げられる。
【0004】
イオン液体の特性、例えば融点、熱的および電気化学的安定性または粘性などは、カチオンおよびアニオンの選択により決定される。イオン液体の概説としては、例えば、R. Sheldon "Catalytic reactions in ionic liquids", Chem. Commun., 2001, 2399-2407;M.J. Earle, K.R. Seddon "Ionic liquids. Green solvent for the future", Pure Appl. Chem., 72 (2000), 1391-1398;P. Wasserscheid, W. Keim "Ionische Fluessigkeiten - neue Loesungen fuer die Uebergangsmetall katalyse" [Ionic Liquids - Novel Solutions for Transition-Metal Catalysis], Angew. Chem., 112 (2000), 3926-3945;T. Welton "Room temperature ionic liquids. Solvents for synthesis and catalysis", Chem. Rev., 92 (1999), 2071-2083またはR. Hagiwara, Ya. Ito "Room temperature ionic liquids of alkylimidazolium cations and fluoroanions", J. Fluorine Chem., 105 (2000), 221-227)などがある。
【0005】
ペルフルオロアルキルフルオロホスフェートアニオン、ビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドアニオン、ペルフルオロアルキルボレートアニオンまたはテトラシアノボレートアニオンを有する多数のオニウム塩は、イオン液体である。
上記のアニオンを有する対応するオニウム塩は、通常アニオン交換によって、例えば水媒体中のハロゲン化オニウムから生成される。しかし、この方法経路は、ハロゲン化オニウムが水に対して不安定である場合には、実行可能性が下がることが示されている。これは、例えば、オキソニウムまたはスルホニウムカチオンの系列に当てはまる。
したがって、上記の欠点を有しない、ペルフルオロアルキルフルオロホスフェートアニオン、ビス(ペルフルオロアルキルスルホニル)イミドアニオン、ペルフルオロアルキルボレートアニオンまたはテトラシアノボレートアニオンを有するオニウム塩を得ることに対する要求が存在する。したがって本発明の目的は、代替的な合成方法を提供することである。
【発明の開示】
【0006】
上記の目的は、本発明によるオキソニウム塩およびスルホニウム塩により、および前記アニオンを有するオニウム塩の製造のための、これらの使用により、達成される。
【0007】
したがって本発明は、第一に、[(RO]カチオンを有するオキソニウム塩および[(RS]カチオンを有するスルホニウム塩(式中Rは、1〜8個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基、または無置換のフェニル、またはR、OR、N(R、CNもしくはハロゲンで置換されているフェニルを示す)であって、[PF(C2y+1−z6−xアニオンの群から選択されるアニオン(式中2≦x≦5、1≦y≦8および0≦z≦2y+1である)、または[BF(CN)4−nアニオンの群から選択されるアニオン(式中n=0、1、2または3である)、または[(Rf1SON]アニオンの群から選択されるアニオン(式中Rf1は、Fまたは、1〜20個のC原子を、好ましくは1〜12個のC原子を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキル、2〜20個のC原子および1もしくは2個以上の二重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルケニル、2〜20個のC原子および1もしくは2個以上の三重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキニル、3〜7個のC原子を有する、ペルフルオロ化された飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキル、特にフェニルを示し、これはペルフルオロアルキル基により置換されていてもよい)、または[BFf24−wアニオンの群から選択されるアニオン(式中w=0、1、2または3であり、式中Rf2は、1〜20個のC原子を、好ましくは1〜12個のC原子を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキル、2〜20個のC原子および1もしくは2個以上の二重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルケニル、2〜20個のC原子および1もしくは2個以上の三重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキニル、3〜7個のC原子を有する、ペルフルオロ化された飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキル、特にフェニルを示し、これはペルフルオロアルキル基により置換されていてもよい)、を有し
【0008】
式中Rf1またはRf2は、それぞれの場合において同一または異なっていてよく、
式中Rf1またはRf2は、単結合または二重結合により互いに対として結合されていてもよく、
および式中、Rf1またはRf2において、ヘテロ原子に対してα位にない、1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基−SOX’により置換されていてもよく、式中R’=非フッ素化、部分フッ素化またはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニルであって、−Cを含み、およびX’=F、ClまたはBrである、
前記オキソニウム塩およびスルホニウム塩に関する。
【0009】
本発明によるオキソニウム塩における好適なアニオンは、例えば、[(CFSON]、[(CSON]、[(FSON]、[P(C、[P(CF、[P(CH)(CF、[P(C、[P(C)(CF、[P(C、[P(C、[P(C、[BF(CF)]、[BF(C、[BF(C)]、[BF(CF、[B(C、[BF(CN)]、[BF(CN)、[B(CN)、[B(CFである。この群からの非常に好ましいアニオンは、[(CFSON]、[(CSON]、[B(CN)、[(CPF、[(CPF、[(CPF、[(CPF、[B(C)Fまたは[B(CFである。この群からの特に非常に好ましいアニオンは、[(CFSON]、[B(CN)、[(CPFまたは[B(C)Fである。
[(RO]カチオンまたは[(RS]カチオンのRは好ましくは、1〜8個のC原子、好ましくは1〜4個のC原子を有する直鎖アルキルであり、特にメチルまたはエチルであり、極めて特に好ましくはエチルである。
【0010】
本発明はさらに、[PF(C2y+1−z6−xアニオンを有する、本発明によるオキソニウム塩およびスルホニウム塩の、または有機カチオンを[PF(C2y+1−z6−xアニオンとともに含むオニウム塩の製造方法であって、[(RO]テトラフルオロボレートもしくは[(RO]ヘキサフルオロホスフェート、または[(RS]テトラフルオロボレートもしくは[(RS]ヘキサフルオロホスフェート、またはオニウムテトラフルオロボレートもしくはオニウムヘキサフルオロホスフェートを、一般式PF(C2y+1−z5−aのホスホランと反応させ、ここで式中1≦a≦4であり、およびR、yおよびzは上記の意味を有する、前記方法に関する。
【0011】
本発明による方法において用いるホスホランは、例えば、アルキルホスホランまたはアルキルホスフィンの電気化学的フッ素化を介して得ることができる。この種類の方法は、例えばEP 1 037 896などから当業者に知られている。本発明によるオキソニウム塩およびスルホニウム塩に加えて、本発明による方法はまた、[PF(C2y+1−z6−xアニオンを有する他のオニウム塩へのアクセスも提供する。これらのオニウム塩の従来の合成は、例えば、対応するハロゲン化オニウムを対応するリチウム・ペルフルオロアルキルフルオロホスフェートと反応させることにより行われる。これらの方法は、主要生成物がハロゲン化リチウムにより汚染されるという欠点を有する。本発明による方法は、対応するオニウム塩へのより簡単なアクセスを提供し、オニウム塩をより高純度で得ることができる。
【0012】
本発明による方法において用いられる、有機カチオンを有するオニウム塩において、有機カチオンは、アンモニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、ウロニウム、チオウロニウムカチオンまたはヘテロ環カチオンであることができる。好適なカチオンについては、本明細書中の類似のハロゲン化オニウムの記載の中でも言及および説明されている。
代替的な変形法において、本発明によるオキソニウム塩およびスルホニウム塩は、[(RO]テトラフルオロボレートもしくは[(RO]ヘキサフルオロホスフェート、または[(RS]テトラフルオロボレートもしくは[(RS]ヘキサフルオロホスフェートを、H[PF(C2y+1−z6−x、H[BF(CN)4−n、H[(Rf1SON]またはH[BFf24−wと、または、H[PF(C2y+1−z6−x、H[BF(CN)4−n、H[(Rf1SON]もしくはH[BFf24−wのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩と反応させることにより得ることができ、式中R、x、y、z、n、Rf1、Rf2およびwは上記の意味を有する。
【0013】
[PF(C2y+1−z6−xの種類の酸は、例えばEP 1 399 453などの文献から知られている合成法により調製することができる。H[BF(CN)4−n、またはH[BFf24−wの種類の対応する酸は、ドイツ国出願DE 10 2004 051 278.7に記載の方法により、得ることができる。
[(Rf1SON]の種類の化合物は、例えばD.D. Desmarteau, M. Witz, J. Fluorine Chem. 52 (1991) p.7-12;T. Netscher, W. Bonrath, A. Haas, E. Hoppmann, H. Pauling, Chimia, 58 (2004), p.153-155から知られている。
【0014】
用いられる、式[(RO][BFを有するオキソニウムテトラフルオロボレートは、好ましくは、1〜8個のC原子を、好ましくは1〜4個のC原子を有しかつそれぞれの場合に互いに独立している複数の直鎖もしくは分枝アルキル基を含む、オキソニウムテトラフルオロボレートでる。アルキル基が同一である、オキソニウムテトラフルオロボレートの使用が好ましい。
【0015】
用いられる、式[(RS][BFを有するスルホニウムテトラフルオロボレートは、好ましくは、1〜8個のC原子を、好ましくは1〜4個のC原子を有しかつそれぞれの場合に互いに独立している複数の直鎖もしくは分枝アルキル基を含む、スルホニウムテトラフルオロボレートである。アルキル基が同一である、スルホニウムテトラフルオロボレートの使用が好ましい。
【0016】
用いられる、オキソニウムテトラフルオロボレートまたはスルホニウムテトラフルオロボレートは通常、市販されているか、または例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, StuttgartもしくはRichard C. Larock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd Edition, Wiley-VCH, New York, 1999等の標準の文献などの、刊行物から知られている合成法により調製することができる。ここでそれ自体知られている変法も用いることができるが、それらについて詳細には述べない。
【0017】
オキソニウムテトラフルオロボレートの例は、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレート、トリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート(メーヤワイン(Meerwein)塩)、トリス(n−プロピル)−オキソニウムテトラフルオロボレート、ジメチルエチルオキソニウムテトラフルオロボレート、ジエチルメチルオキソニウムテトラフルオロボレート、あるいはトリス(i−プロピル)オキソニウムテトラフルオロボレートである。特に好ましいのは、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボレートまたはトリエチルオキソニウムテトラフルオロボレートの使用である。
スルホニウムテトラフルオロボレートの例は、トリメチルスルホニウム、トリエチルスルホニウム、ジメチルエチルスルホニウム、ジエチルメチルスルホニウム、ジプロピルメチルスルホニウム、ジプロピルエチルスルホニウム、ジブチルメチルスルホニウム、ジ−sec−ブチルメチルスルホニウム、ジブチルエチルスルホニウムテトラフルオロボレートである。特に好ましいのは、トリメチルスルホニウムおよびトリエチルスルホニウムテトラフルオロボレートの使用である。
【0018】
本発明による方法は、溶媒中または溶媒の添加なしで、行うことが出来る。好適な溶媒は、例えば、ジクロロメタンまたはジエチルエーテルである。
方法は、溶媒の添加なしで行うのが好ましい。
反応温度は0℃〜150℃の範囲、好ましくは50℃〜100℃の範囲である。
【0019】
本発明によるオキソニウム塩およびスルホニウム塩は、種々の方法で用いることができ、多数の誘導体の入手を促進する。本発明はさらに、とりわけ、本発明によるオキソニウム塩およびスルホニウム塩の、有機カチオンと[PF(C2y+1−z6−x、[BF(CN)4−n、[(Rf1SON]または[BFf24−wアニオンとを含むオニウム塩の製造のための使用に関し、ここで式中x、y、z、n、Rf1、Rf2およびwは、上に示された意味を有する。本発明によるオキソニウム塩およびスルホニウム塩を用いて製造されたオニウム塩の多くは、イオン液体であり、したがって多くの用途で非常に興味あるものである。概して、本発明によるオキソニウム塩およびスルホニウム塩の提供は、一般のイオン液体への代替的な入手法を提供し、または個々のイオン液体の合成を可能とする。これは特に、通常の合成法において用いられる水性媒体中において、カチオンが安定ではないイオン液体に関する。
【0020】
オニウム塩の有機カチオンは、トリチリウム、アンモニウム、ホスホニウム、グアニジニウム、ウロニウム、チオウロニウムカチオンまたはヘテロ環カチオンであることができる。
最も簡単な場合には、[PF(C2y+1−z6−x、[BF(CN)4−n、[(Rf1SON]または[BFf24−wアニオンを有する対応するオニウム塩が、有機カチオンの対応するハロゲン化オニウムと、本発明による対応するオキソニウム塩またはスルホニウム塩との反応により、製造される。さらに、対応するオニウムテトラフルオロボレートまたはオニウムヘキサフルオロホスフェートも、本発明によるオキソニウム塩またはスルホニウム塩との反応に好適である。
【0021】
ハロゲン化アンモニウムまたはホスホニウムは、例えば、式(1)により表すことができる:
[XR Hal (1)
式中、
XはN、Pを示し、
HalはCl、BrまたはIを示し、および
Rは、それぞれの場合に互いに独立して、
H、ここで全ての置換基Rは同時にHではあり得ない、
1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル、
2〜20個のC原子および1または2以上の二重結合を有する直鎖もしくは分枝アルケニル、
2〜20個のC原子および1または2以上の三重結合を有する直鎖もしくは分枝アルキニル、
3〜7個のC原子を有する、飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキル、これは1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、
を示し、
式中、1または2以上のRは、Fにより部分または完全置換されていてもよく、ただし4個全てまたは3個のRがFにより完全置換されることはできず、
および式中、Rにおいて、α位にない、1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基CN、−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=H、非フッ素化、部分フッ素化またはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=OH、F、ClまたはBrである。
【0022】
ただし、式(1)の化合物であって4個全てまたは3個の置換基Rがハロゲンにより完全置換されているもの、例えばトリス(トリフルオロメチル)メチルアンモニウムクロリド、テトラ(トリフルオロメチル)アンモニウムクロリド、またはテトラ(ノナフルオロブチル)アンモニウムクロリド、トリス(トリフルオロメチル)メチルホスホニウムクロリド、テトラ(トリフルオロメチル)ホスホニウムクロリドまたはテトラ(ノナフルオロブチル)ホスホニウムクロリドは除外される。
対応するアンモニウムまたはホスホニウムテトラフルオロボレートまたはヘキサフルオロホスフェートも、類似の様式で同様に用いることができる。
【0023】
ハロゲン化ウロニウムまたはハロゲン化チオウロニウムは、例えば、式(2):
[(RN)−C(=XR)(NR)] Hal (2)
により、またハロゲン化グアニジニウムは、例えば、式(3):
[C(NR)(NR)(NR)] Hal (3)
により表すことができ、式中、
式(2)においてXは、OまたはSを示し、
式(2)においてHalはBrまたはIを、式(3)においてHalはCl、BrまたはIを示し、および
〜Rは、それぞれの場合に互いに独立して、
水素またはCN、ここで水素はRについては除外され、
1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル、
2〜20個のC原子および1または2以上の二重結合を有する直鎖もしくは分枝アルケニル、
2〜20個のC原子および1または2以上の三重結合を有する直鎖もしくは分枝アルキニル、
3〜7個のC原子を有する、飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキル、これは1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、
を示し、
式中、1または2個以上の置換基R〜Rは、Fによって部分または完全置換されていてもよく、ただし、N原子上の全ての置換基はFにより完全置換されることはできず、
式中、置換基R〜Rは、単結合または二重結合により対として互いに結合されていてもよく、
そして式中、置換基R〜Rにおいて、ヘテロ原子に直接結合されていない、1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基CN、−C(O)X’もしくはSOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=H、非フッ素化、部分フッ素化またはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=OH、F、ClまたはBrである。
【0024】
ヘテロ環カチオンを有するハロゲン化物は、例えば、式(4):
[HetN] Hal (4)
によって表すことができ、式中、
Halは、Cl、BrまたはIを示し、および
HetNは、次の群:
【化1】

【化2】

から選択されるヘテロ環カチオンを示し、式中、置換基
’〜R’はそれぞれ、互いに独立して、
水素またはCN、
1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル、
2〜20個のC原子および1または2以上の二重結合を有する直鎖もしくは分枝アルケニル、
2〜20個のC原子および1または2以上の三重結合を有する直鎖もしくは分枝アルキニル、
1〜4個のC原子を有するアルキル基を含むジアルキルアミノ、ただしこれはヘテロ環のヘテロ原子に結合していないもの、
3〜7個のC原子を有する、飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキル、これは1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよく、
または、アリール−C〜C−アルキル、
を示し、
【0025】
式中、置換基R1’およびR4’は、Fにより部分または完全置換されていてもよく、ただし、R1’とR4’は同時にFにより完全置換されることはできず、
式中、置換基R1’〜R4’は、OR’、N(R’)、CNまたはハロゲンにより部分または完全置換されていてもよく、式中R1’〜R4’において、ヘテロ原子に対してα位にない1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基CN、−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=H、非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=OH、F、ClまたはBrである。
【0026】
本発明のために、完全不飽和置換基はまた、芳香族置換基を意味する。
本発明に従って、式(1)〜(3)で表される化合物の好適な置換基RおよびR〜Rは、水素である他に、好ましくは、C〜C20−、特にC〜C14−アルキル基、および飽和または不飽和すなわち芳香族のC〜C−シクロアルキル基であり、これはC〜C−アルキル基、特にフェニルにより、置換されていてもよい。しかし、置換基RおよびR〜Rはさらに、さらなる官能基により、例えばCN、SOR’、SOOR’またはCOOR’により置換されていてもよい。R’は、非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜Cアルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニルを示す。
【0027】
式(1)で表される化合物における置換基Rは、ここで同一でも異なっていてもよい。好ましくは、式(1)において3つの置換基は同一であり、1つの置換基は異なっている。
置換基Rは、特に好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、テトラデシルまたはアルコキシアルキルであり、ここでアルコキシは−O−(C〜C−アルキル)を示す。
【0028】
グアニジニウムカチオンの4個までの置換基はまた、一環、二環、または多環式カチオンが形成されるような様式で、対となって結合されていてもよい。
一般性を限定することなく、かかるグアニジニウムカチオンの例は、
【化3】

であり、式中、置換基R〜RおよびRは、上記の意味または特に好ましい意味を有することができる。
【0029】
上記のグアニジニウムカチオンの炭素環またはヘテロ環は、任意にまた、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、NO、F、Cl、Br、I、C〜C−アルコキシ、SCF、SOCH、SOCF、COOR”、SONR”、SOX’、SOR”、置換もしくは無置換フェニルにより置換されていてもよく、式中X’およびR”は、上記または下記の意味を有する。
ウロニウムまたはチオウロニウムカチオン[(RN)−C(=XR)(NR)]の4個までの置換基はまた、一環、二環、または多環式カチオンが形成されるような様式で、対となって結合されていてもよい。
【0030】
一般性を限定することなく、かかるカチオンの例は、
【化4】

であり、式中、X=OまたはSであり、および置換基R、RおよびRは、上記の意味または特に好ましい意味を有することができる。
上記のグアニジニウムカチオンの炭素環またはヘテロ環は、任意にまた、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、NO、F、Cl、Br、I、C〜C−アルコキシ、SCF、SOCH、SOCF、COOR”、SONR”、SOX’、SOR”、置換もしくは無置換フェニルにより置換されていてもよく、式中X’およびR”は、上記または下記の意味を有する。
【0031】
〜C14−アルキル基は、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまたペンチル、1−、2−もしくは3−メチルブチル、1,1−、1,2−もしくは2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシルまたはテトラデシルである。任意に、ペルフルオロ化されたもの、例えばジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピルまたはノナフルオロブチルでもよい。
【0032】
2〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルケニルであって、複数の二重結合も有するものは、例えば、ビニル、アリル、2−もしくは3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらに4−ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、−C17、−C1019〜−C2039であり、好ましくはアリル、2−もしくは3−ブテニル、イソブテニル、sec−ブテニル、さらにまた好ましくは4−ペンテニル、イソペンテニルまたはヘキセニルである。
2〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキニルであって、複数の三重結合も有するものは、例えば、エチニル、1−もしくは2−プロピニル、2−もしくは3−ブチニル、さらに4−ペンチニル、3−ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、−C15、−C1017〜−C2037、好ましくはエチニル、1−もしくは2−プロピニル、2−もしくは3−ブチニル、4−ペンチニル、3−ペンチニルまたはヘキシニルである。
【0033】
アリール−C〜C−アルキルは、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、フェニルブチル、フェニルペンチルまたはフェニルヘキシルを示し、ここでフェニル環とアルキレン鎖の両方は、上記のようにFにより部分または完全置換されていてもよく、特に好ましくはベンジルまたはフェニルプロピルである。しかし、フェニル環またはアルキレン鎖もまた、さらなる官能基により、例えばCN、SOR’、SOOR’またはCOOR’により置換されていてもよい。ここでR’は上に定義された意味を有する。
【0034】
したがって、3〜7個のC原子を有する、無置換の飽和または部分もしくは完全不飽和シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタ−1,3−ジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサ−1,3−ジエニル、シクロヘキサ−1,4−ジエニル、フェニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタ−1,3−ジエニル、シクロヘプタ−1,4−ジエニルまたはシクロヘプタ−1,5−ジエニルであり、これらの各々はC〜C−アルキル基により置換されていてもよく、ここでシクロアルキル基またはC〜C−アルキル置換シクロアルキル基は、次に、ハロゲン原子により、例えばF、Cl、BrもしくはI、特にFもしくはCl、またはNOにより、置換されていてもよい。しかし、シクロアルキル基はまた、さらなる官能基により、例えばCN、SOR’、SOOR’またはCOOR’により置換されていてもよい。ここでR’は上に定義された意味を有する。
【0035】
ここで置換基R、R〜RまたはR1’〜R4’において、α位においてヘテロ原子に結合していない1または2個の隣接していない炭素原子はまた、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、置換されていてもよい。
一般性を限定することなく、この方法で修飾される置換基R、R〜RまたはR1’〜R4’の例は、
−OCH、−OCH(CH、−CHOCH、−CH−CH−O−CH、−COCH(CH、−CSC、−CSCH(CH、−S(O)CH、−SOCH、−SO、−SO、−SOCH(CH、−SOCHCF、−CHSOCH、−O−C−O−C、−CF、−C、−C、−C、−CFCFH、−CFCHFCF、−CFCH(CF、−CN(C)C、−CHF、−CHCF、−C、−CFH、−CH、−CHC(O)OCH、−CHまたは−C(O)C
である。
【0036】
R’において、C〜C−シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルである。
R’において、置換フェニルは、C〜C−アルキル、C〜C−アルケニル、NO、F、Cl、Br、I、C〜C−アルコキシ、SCF、SOCH、SOCF、COOR”、SOX’、SONR”またはSOR”により置換されたフェニルを示し、式中、X’は、F、ClまたはBrを示し、R”は、R’について定義されたように、非フッ素化または部分フッ素化C〜C−アルキルまたはC〜C−シクロアルキルを示し、例えば、o−、m−もしくはp−メチルフェニル、o−、m−もしくはp−エチルフェニル、o−、m−もしくはp−プロピルフェニル、o−、m−もしくはp−イソプロピルフェニル、o−、m−もしくはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−もしくはp−ニトロフェニル、o−、m−もしくはp−メトキシフェニル、o−、m−もしくはp−エトキシフェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチル)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメトキシ)フェニル、o−、m−、p−(トリフルオロメチルスルホニル)フェニル、o−、m−もしくはp−フルオロフェニル、o−、m−もしくはp−クロロフェニル、o−、m−もしくはp−ブロモフェニル、o−、m−もしくはp−ヨードフェニル、さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメチルフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジブロモフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジメトキシフェニル、5−フルオロ−2−メチルフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニルまたは2,4,5−トリメチルフェニルである。
【0037】
置換基R〜Rはそれぞれ、互いに独立して、好ましくは1〜10個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基である。式(2)および(3)で表される化合物中の置換基RとR、RとR、およびRとRは、ここで同一でも異なっていてもよい。
〜Rは特に好ましくは、それぞれ互いに独立して、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、フェニルまたはシクロヘキシルであり、極めて特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルまたはn−ブチルである。
【0038】
本発明にしたがって、式(4)で表される化合物中の置換基R1’〜R4’は、ハロゲンに加えて、好ましくはCN、C〜C20−、特にC〜C12−アルキル基、および飽和または不飽和すなわちまた芳香族のC〜C−シクロアルキル基であって、これはC〜C−アルキル基により置換されていてもよく、特に、フェニルまたはアリール−C〜C−アルキルまたはC〜C−アルキル基を有するジアミノアルキルであり、ただしこれは、ヘテロ原子に結合していないものとする。しかし、置換基R1’〜R4’、特にR2’およびR3’はまた、さらなる官能基により、例えばCN、SOR’、SOOR’またはCOOR’により置換されていてもよい。R’は、H、非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜Cアルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換へテロ環を示す。
【0039】
置換基R1’およびR4’はそれぞれ、互いに独立して、特に好ましくはCN、アルコキシエチルであり、ここでアルコキシは−O−(C〜C−アルキル)を示し、特にメトキシエチル、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、シクロヘキシル、フェニル、フェニルプロピルまたはベンジルである。これらは極めて特に好ましくはCN、メチル、エチル、n−ブチルまたはヘキシルである。ピロリジニウム、ピペリジニウムまたはインドリニウム化合物において、2つの置換基R1’およびR4’は異なっているのが好ましい。
【0040】
置換基R2’またはR3’はそれぞれ、互いに独立して、特に、水素、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロヘキシル、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、フェニルまたはベンジルである。R2’は特に好ましくは、ジメチルアミノ、水素、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである。R2’およびR3’は、極めて特に好ましくは水素、ジメチルアミノまたはメチルである。
【0041】
式(4)のHetNは、好ましくは、
【化5】

であり、式中、置換基R1’〜R4’はそれぞれ、互いに独立して上記の意味を有する。
【0042】
HetNは特に好ましくは、上に定義されたイミダゾリウム、ピロリジニウムまたはピリジニウムであり、式中、置換基R1’〜R4’はそれぞれ、互いに独立して、上記の意味を有する。
オキソニウム塩と、ハロゲン化オニウム、オニウムテトラフルオロボレートまたはオニウムヘキサフルオロホスフェートとの反応は通常、0℃〜100℃の間の温度で、好ましくは20℃〜60℃で、特に好ましくは室温において行う。本発明によるスルホニウム塩との反応において、反応は、0℃〜150℃の間の温度で、好ましくは20℃〜100℃で行う。溶媒は不要である。しかし、溶媒、例えばジメトキシエタン、アセトニトリル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、プロピオニトリルまたはこれらの混合物を用いることも可能である。
【0043】
反応は、本発明により対応するオキソニウム塩またはスルホニウム塩の、過剰量または等モル量を用いて行う。
反応は、大気圧〜0.1mbarの間の圧力で行うことができる。反応を加速するために、0.1mbarまでの減圧を用いるのが好ましい。これは特に、臭化またはヨウ化オニウムの反応に適用する。
【0044】
イオン液体の製造のための使用に加えて、本発明のオキソニウム塩およびスルホニウム塩はまた、カチオン重合または光化学的に誘発された重合のためのアルキル化剤または触媒としても好適であり、ここでトリフェニルスルホニウムカチオンを有するスルホニウム塩が、特に好適であると考えられる。
本発明はさらに、上記のように、本発明のオキソニウム塩およびスルホニウム塩との反応により得ることができる、選択された塩類に関する。
【0045】
したがって本発明はさらに、塩(I)を提供することに関し、該塩(I)は、以下を含む群:
【化6】

から選択されるカチオンであって、式中、置換基
1’はCNを示し、およびR2’〜R4’はそれぞれ、互いに独立して、
水素、
1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル、
2〜20個のC原子および1または2以上の二重結合を有する直鎖もしくは分枝アルケニル、
2〜20個のC原子および1または2以上の三重結合を有する直鎖もしくは分枝アルキニル、
1〜4個のC原子を有するアルキル基を含むジアルキルアミノ、ただしこれはヘテロ環のヘテロ原子に結合していないもの、
3〜7個のC原子を有する、飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキル、これは1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよく、
または、アリール−C〜C−アルキル、
の意味を有し、
【0046】
式中、置換基R2’およびR4’は、Fにより部分または完全置換されていてもよく、
式中、置換基R2’およびR3’は、ハロゲンにより部分もしくは完全置換されるか、NOもしくはCNにより部分置換されていてもよく、
そして式中、置換基R2’〜R4’において、ヘテロ原子に直接結合されていない1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−または−SO−の群から選択される原子および/または原子群により置換されていてもよい、
前記カチオンと、
[PF(C2y+1−z6−xアニオンの群から選択されるアニオン、この式中、2≦x≦5、1≦y≦8および0≦z≦2y+1であり、
または、[BF(CN)4−nアニオンの群から選択されるアニオン、この式中、n=0、1、2または3であり、
または、[(Rf1SON]アニオンの群から選択されるアニオン、この式中、Rf1は、Fまたは1〜20個のC原子を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキル、2〜20個のC原子および1または2以上の二重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルケニル、2〜20個のC原子および1または2以上の三重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキニル、3〜7個のC原子を有する、ペルフルオロ化された飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキルであって、これはペルフルオロアルキル基により置換されていてもよく、
または、[BFf24−wアニオンの群から選択されるアニオン、この式中、w=0、1、2または3であり、ここで、Rf2は、Fまたは1〜20個のC原子を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキル、2〜20個のC原子および1または2以上の二重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルケニル、2〜20個のC原子および1または2以上の三重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキニル、3〜7個のC原子を有する、ペルフルオロ化された飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキルであって、これはペルフルオロアルキル基により置換されていてもよく、
【0047】
式中、Rf1またはRf2は、それぞれの場合に同一または異なっていてもよく、
式中、Rf1またはRf2は、単結合または二重結合により対として互いに結合されていてもよく、
そして式中、Rf1またはRf2において、ヘテロ原子に対してα位にない1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基−SOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=F、ClまたはBrである、
とを有する。
【0048】
塩(I)のアニオンは、好ましくは、[(CFSON]、[(CSON]、[(FSON]、[P(C、[P(CF、[P(CH)(CF、[P(C、[P(C)(CF、[P(C、[P(C、[P(C、[BF(CF)]、[BF(C、[BF(C)]、[BF(CF、[B(C、[BF(CN)]、[BF(CN)、[B(CN)、[B(CFを含む群から選択される。
【0049】
前記塩(I)は、N−シアノピリジニウム塩、N−シアノイミダゾリウム塩、N−シアノピラジニウム塩、N−シアノピリミジニウム塩、N−シアノキノリニウム塩、N−シアノイソキノリニウム塩、N−シアノインドリウム塩であり、これらは種々の方法において用いることができる。
前記塩(I)において、R2’〜R4’は、好ましくは、窒素に結合していない水素、1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルから、またはアルキルがC〜C−アルキルを表すジアルキルアミノ基から選択される。
【0050】
塩(I)は、極めて特に好ましくは、化合物1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムテトラシアノボレート、および1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウム(ペンタフルオロエチル)トリフルオロボレートである。
【0051】
さらに本発明はまた、塩(II)に関し、該塩(II)は、以下を含む群:
【化7】

から選択されるカチオンであって、式中、置換基
1’〜R4’はそれぞれ、互いに独立して、
水素またはCN、
1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル、
2〜20個のC原子および1または2以上の二重結合を有する直鎖もしくは分枝アルケニル、
2〜20個のC原子および1または2以上の三重結合を有する直鎖もしくは分枝アルキニル、
1〜4個のC原子を有するアルキル基を含むジアルキルアミノ、ただしこれはヘテロ環のヘテロ原子に結合していないもの、
3〜7個のC原子を有する、飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキル、これは1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよく、
または、アリール−C〜C−アルキル、
との意味を有し、
【0052】
式中、置換基R1’およびR4’は、Fにより部分または完全置換されていてもよく、ただし置換基R1’およびR4’は、同時にCNではなく、または同時にFにより完全置換されることはできず、
式中、置換基R2’およびR3’は、ハロゲンにより部分もしくは完全置換されているか、NOもしくはCNにより部分置換されていてもよく、
そして式中、置換基R1’〜R4’において、ヘテロ原子に直接結合されていない1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基CN、−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=H、非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=OH、F、ClまたはBrである、
前記カチオンと、
[PF(C2y+1−z6−xアニオンの群から選択されるアニオンであって、式中、2≦x≦5、1≦y≦8および0≦z≦2y+1であり、ここで1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートは除外される、
前記アニオンとを有する。
【0053】
塩(II)のアニオンは、好ましくは[P(C、[P(CF、[P(CH)(CF、[P(C、[P(C)(CF、[P(C、[P(Cおよび[P(Cを含む群から選択される。
前記塩(II)において、R1’〜R4’は好ましくは、水素、1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル、1〜4個のC原子を有するアルキル基を含むジアルキルアミノ、ただしこれはヘテロ環のヘテロ原子に結合していないもの、から選択され、そして式中、置換基R1’〜R4’において、ヘテロ原子に直接結合されていない1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基CN、−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=H、非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=OH、F、ClまたはBrである。かかる置換基の例は既に上に記載した。前記塩(II)において、R1’〜R4’は特に好ましくは、水素、1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルまたはアルコキシアルキルから選択され、ここでアルコキシはC〜C−アルコキシを示し、そしてアルキルはC〜C−アルキルを示す。
【0054】
塩(II)は、極めて特に好ましくは、ピロリジニウム、ピペリジニウムおよびモルホリニウムカチオンを有するものである。
本発明はさらに、塩(III)に関し、該塩(III)は、以下を含む群:
【化8】

から選択されるカチオンであって、式中、置換基
1’〜R4’はそれぞれ、互いに独立して、
1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルであり、ただし、R1’またはR4’のうち少なくとも1つは9〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルでなければならず、
2〜20個のC原子および1または2以上の二重結合を有する直鎖もしくは分枝アルケニル、
2〜20個のC原子および1または2以上の三重結合を有する直鎖もしくは分枝アルキニル、
3〜7個のC原子を有する、飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキル、これは1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、との意味を有し、
式中、置換基R1’およびR4’は、Fにより部分または完全置換されていてもよく、ただし、置換基R1’およびR4’は同時にFにより完全置換されることはできず、
【0055】
式中、置換基R2’およびR3’は、OR’、N(R’)、CNまたはハロゲンにより部分もしくは完全置換されていてもよく、および式中、R1’〜R4’において、ヘテロ原子に対してα位にない1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基CN、−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=H、非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=OH、F、ClまたはBrである、前記カチオンと、[PF(C2y+1−z6−xアニオンの群から選択されるアニオンであって、式中、2≦x≦5、1≦y≦8および0≦z≦2y+1であり、ここで3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートは除外される、前記アニオンとを有する。
【0056】
塩(III)のアニオンは、好ましくは、[P(C、[P(CF、[P(CH)(CF、[P(C、[P(C)(CF、[P(C、[P(Cおよび[P(Cを含む群から選択される。
前記塩(III)において、R1’〜R4’は好ましくは、1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルから選択されるが、ただしR1’またはR4’のうち少なくとも1つは、9〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルでなければならず、式中、置換基R2’およびR3’は、OR’、N(R’)、CNまたはハロゲンにより部分もしくは完全置換されていてもよく、および式中、R1’〜R4’において、ヘテロ原子に対してα位にない1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基CN、−C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=H、非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=OH、F、ClまたはBrである。R1’〜R4’は特に好ましくは、1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルから選択されるが、ただしR1’またはR4’のうち少なくとも1つは、9〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルでなければならない。
【0057】
塩(III)は、極めて特に好ましくは、イミダゾリウムカチオンを有する化合物であって、ここでR1’は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分枝アルキルを示し、R4’は、9〜20個のC原子を有する直鎖または分枝アルキルを示す。塩(III)はさらにまた、特に好ましくは、ピリジニウムカチオンを有する化合物であって、ここでR1’は、9〜20個のC原子を有する直鎖または分枝アルキルを示し、R2’は、1〜8個のC原子を有する直鎖または分枝アルキルを示す。
【0058】
前記の塩(I)、(II)および(III)またはこれらの混合物は、溶媒または溶媒添加物として、相移動触媒として、抽出剤として、伝熱媒体として、表面活性物質として、可塑剤として、防炎剤としておよび/または電気化学的セル用の導電塩として、特に好適である。式(I)で表される塩は、さらに、有機基質用のシアニル化試薬として特に好適である。本発明のために、有機基質とは、シアノ基を塩(I)によって導入することができる、全ての有機化合物を意味する。これらは単純な化学構造であることができるが、しかしまた、生化学的に関連する複雑な化合物、例えばタンパク質、炭水化物、ポリペプチド、RNA、DNA等などでもよく、これらはこのシアニル化試薬の支援により、さらなる反応のために活性化することができる。
【0059】
これら反応の対応する使用および性能は、当業者に知られている。前記のシアニル化反応において、本発明による塩(I)は、現在用いられているN−シアノ−3−(ジメチルアミノ)ピリジニウムテトラフルオロボレートより安定であるという利点を持つ。前記の塩は、たとえば溶媒などと異なる混合特性を有するため、シアニル化反応の反応条件は、必要に応じて適合させることができる。反応を実施するためのプロセス管理は、したがって、本発明の塩の使用により、ユーザーにとって簡単化することができる。
【0060】
さらなるコメントなしで、当業者は上の記述を最も広い範囲において利用することができると考えられる。したがって好ましい態様および例は、単に記述的開示と見なされるべきであり、どのような方法によっても限定するものではない。
当業者にとって、上記および下記の化合物中の例えばH、N、O、Cl、Fなどの置換基は、対応する同位体に置き換えてもよいことは指摘するまでもない。
【0061】
H−、19F−および31P−NMRスペクトルは、例において別の記載がない限り、Bruker Avance 250分光計(Hに対して250.13MHz、19Fに対して235.36、および31Pに対して101.25)にてアセトニトリル−D中で測定する。19F NMRおよびプロトンNMRスペクトルの測定には、CClFおよびTMSを内部標準として用いる。31P NMRスペクトルについては、アセトニトリル−D中のDO中の85%HPOを、外部標準として、別の実験において230.11Hzの周波数で測定する。
【0062】

例1:トリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化9】

トリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート5.2g(27.37mmol)と、トリス(ペンタフルオロエチル)ジフルオロホスホラン12.8g(30.05mmol)の混合物を、75〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で3時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)75〜80℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、14.7gの固体を得る。トリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は、用いたトリエチルオキソニウムテトラフルオロボレートにより計算して、98.0%である。生成物はNMR分光法により検査する。
【化10】

【0063】
例2:トリエチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化11】

トリエチルスルホニウムテトラフルオロボレート3.0g(14.56mmol)と、トリス(ペンタフルオロエチル)ジフルオロホスホラン6.8g(15.97mmol)の混合物を、75〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で3時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)75〜80℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、14.7gの固体を得る。トリエチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は、用いたトリエチルスルホニウムテトラフルオロボレートにより計算して、97.4%である。生成物はNMR分光法により検査する。
【化12】

【0064】
例3:トリエチルオキソニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
【化13】

トリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート3.7g(19.47mmol)と、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド5.47g(19.46mmol)の混合物を、75〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で3時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)75〜80℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、7.46gの油を得る。トリエチルオキソニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの収率は、実質的に定量的である。生成物はNMR分光法により検査した。
H NMRスペクトル、ppm:1.51 t (3CH3), 4.68 q (3CH2); J3H,H=7.1 Hz.
19F NMRスペクトル、ppm:-78.98 s.
【0065】
例4:トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
【化14】

トリエチルスルホニウムテトラフルオロボレート2.82g(13.69mmol)と、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド3.85g(13.69mmol)の混合物を、75〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で3時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)75〜80℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、5.35gの固体を得る。トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの収率は97.9%である。生成物はNMR分光法により検査する。
H NMRスペクトル、ppm:1.39 t (3CH3), 3.22 q (3CH2); J3H,H=7.4 Hz.
19F NMRスペクトル、ppm:: -78.89 s (CF3).
【0066】
例5:トリエチルオキソニウムテトラシアノボレート
【化15】

トリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート1.00g(5.26mmol)と、テトラシアノホウ酸とジエチルエーテルの複合体、H[B(CN)]・1.5 EtOを1.195g(5.26mmol)との混合物を、75〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で3時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)75〜80℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、0.98gの油を得る。トリエチルオキソニウムテトラシアノボレートの収率は85.4%である。生成物はNMR分光法により検査する。
H NMRスペクトル、ppm:1.51 t (3CH3), 4.68 q (3CH2); J3H,H=7.1 Hz.
11B NMRスペクトル、(溶媒:アセトニトリル−D;標準:BF−エーテラート、外部)ppm:-38.6 s.
【0067】
例6:トリエチルスルホニウムペンタフルオロエチルトリフルオロボレート
【化16】

1.3g(5.34mmol)のペンタフルオロエチルトリフルオロホウ酸三水和物、H[CBF]・3HOを、1.0g(4.85mmol)のトリエチルスルホニウムテトラフルオロボレートを10mlの氷水に溶解した溶液に撹拌しつつ加える。懸濁液をジクロロメタン(3×20ml)で直ちに抽出し、得られた溶液を硫酸マグネシウムで乾燥する。MgSOを濾別した後、ジクロロメタンを真空中(7Pa)室温で除去し、残留物を真空中でさらに3時間乾燥し、1.24gのわずかに黄色がかった油を得る。トリエチルスルホニウムペンタフルオロエチルトリフルオロボレートの収率は、用いたトリエチルスルホニウムテトラフルオロボレートにより計算して、83.5%である。生成物はNMR分光法により検査する。
【化17】

【0068】
例7:トリエチルスルホニウムペンタフルオロエチルトリフルオロボレート
【化18】

1.03g(4.56mmol)のカリウムペンタフルオロエチルトリフルオロボレート、K[CBF]を10mlの氷水に溶解した溶液を、0.87g(4.22mmol)のトリエチルスルホニウムテトラフルオロボレートを5mlの氷水に溶解した溶液に撹拌しつつ加える。懸濁液をジクロロメタン(3×20ml)で直ちに抽出し、得られた溶液を硫酸マグネシウムで乾燥する。MgSOを濾別した後、ジクロロメタンを真空中(7Pa)室温で除去し、残留物を真空中でさらに3時間乾燥し、1.11gのわずかに黄色がかった油を得る。トリエチルスルホニウムペンタフルオロエチルトリフルオロボレートの収率は、用いたトリエチルスルホニウムテトラフルオロボレートにより計算して、85.9%である。生成物はNMR分光法により検査する。スペクトルは、例6のものに対応する。
【0069】
例8:トリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化19】

ジエチルエーテル2.8cm中のトリエチルオキソニウムテトラフルオロボレート1.00g(5.26mmol)とトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸2.35g(5.27mmol)の混合物を、75〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で3時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)75〜80℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、2.76gの油を得る。トリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は95.7%である。生成物はNMR分光法により検査する。
【化20】

【0070】
例9:1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化21】

1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムブロミド5.93g(25.90mmol)と例1からのトリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート14.30g(26.09mmol)の混合物を、60℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で5時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)50℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、14.32gの固体を得る。1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は、用いた1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムブロミドに基づき93.2%である。生成物はNMR分光法により検査する。
【化22】

【0071】
例10:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化23】

1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド1.12g(7.64mmol)と例1からのトリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート4.19g(7.64mmol)の混合物を、70〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で3時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)70℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、4.20gの液体を得る。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は、用いた1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドに基づき98.9%である。生成物はNMR分光法により検査する。
【化24】

【0072】
例11:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化25】

1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート0.54g(2.73mmol)と例1からのトリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート1.50g(2.74mmol)の混合物を、100℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で10時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)100℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、1.37gの液体を得る。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は、用いた1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートに基づき90.3%である。生成物はNMR分光法により検査する。
NMRデータ:例10を参照。
【0073】
例12:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化26】

1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート1.73g(6.75mmol)と例1からのトリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート3.70g(6.75mmol)の混合物を、100℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で10時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)100℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、3.71gの液体を得る。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は、用いた1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェートに基づき98.7%である。生成物はNMR分光法により検査する。
NMRデータ:例10を参照。
【0074】
例13:ヘキサメチルグアニジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化27】

ヘキサメチルグアニジニウムクロリド1.81g(10.07mmol)と例1からのトリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート5.53g(10.09mmol)の混合物を、70〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で3時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)70℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、5.88gの固体を得る。ヘキサメチルグアニジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は、用いたヘキサメチルグアニジニウムクロリドに基づき98.9%である。生成物はNMR分光法により検査する。
【化28】

【0075】
例14:1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
【化29】

1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムブロミド5.22g(22.89mmol)と例3からのトリエチルオキソニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド8.77g(22.88mmol)の混合物を、60℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で5時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)50℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、14.32gの固体を得る。1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの収率は、用いた1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジニウムブロミドに基づき、98.2%である。生成物はNMR分光法により検査する。
H NMRスペクトル、ppm:3.34 s (2CH3), 6.99 d (CH), 7.03 d (CH), 8.04 d (CH), 8.19 d (CH); J3H,H = 8.2 Hz.
19F NMRスペクトル、ppm:-78.96 s.
【0076】
例15:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド
【化30】

1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド1.32g(9.0mmol)と例3からのトリエチルオキソニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド3.45g(9.0mmol)の混合物を、70〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で4時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)70℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、3.45gの液体を得る。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドの収率は、用いた1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリドに基づき、97.9%である。生成物はNMR分光法により検査する。
H NMRスペクトル、ppm:1.45 t (CH3); 3.83 s (CH3); 4.17 q (CH2); 7.37 m (CH); 7.43 m (CH); 8.57 br. s. (CH); 3JH,H = 7.3 Hz.
19F NMRスペクトル、ppm:-78.91 s (CF3).
【0077】
例16:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化31】

1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート0.47g(2.37mmol)とトリス(ペンタフルオロエチル)ジフルオロホスホラン1.12g(2.63mmol)の混合物を、70〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で10時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)70℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、1.30gの液体を得る。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は、用いた1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートに基づき、98.5%である。生成物はNMR分光法により検査する。
NMRデータ:例10を参照。
【0078】
例17:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化32】

1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート2.34g(9.14mmol)とトリス(ペンタフルオロエチル)ジフルオロホスホラン4.28g(10.05mmol)の混合物を、70〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で10時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)70℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、4.95gの液体を得る。1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は、用いた1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェートに基づき、97.4%である。生成物はNMR分光法により検査する。
NMRデータ:例10を参照。
【0079】
例18:トリチリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化33】

トリチリウムクロリド1.12g(4.02mmol)と例1からのトリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート2.20g(4.02mmol)の混合物を、70〜80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で10時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)70℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、2.59gの固体を得る。トリチリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は93.6%である。生成物はNMR分光法により検査する。
【化34】

【0080】
例19:1−デシル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化35】

1−デシル−3−メチルイミダゾリウムクロリド0.34g(1.31mmol)と例1からのトリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート0.72g(1.31mmol)の混合物を、80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で3時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)80℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、0.84gの液体を得る。1−デシル−3−メチルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は96%である。生成物はNMR分光法により検査する。
【化36】

【0081】
例20:1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート
【化37】

1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムクロリド0.20g(0.97mmol)と例1からのトリエチルオキソニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート0.53g(0.97mmol)の混合物を、80℃(オイルバスの温度)に加熱し、窒素雰囲気下で3時間撹拌する。揮発性成分を減圧下(7Pa)80℃(オイルバスの温度)で1時間かけてポンプにより除去し、0.55gの液体を得る。1−ヘキシル−1−メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートの収率は93%である。生成物はNMR分光法により検査する。
【化38】

本発明内で言及された代替化合物は、当業者には明らかな、類似の様式で調製することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[(RO]カチオンを有するオキソニウム塩および[(RS]カチオンを有するスルホニウム塩(式中Rは、1〜8個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基、または無置換のフェニル、またはR、OR、N(R、CNもしくはハロゲンで置換されているフェニルを示す)であって、[PF(C2y+1−z6−xアニオンの群から選択されるアニオン(式中2≦x≦5、1≦y≦8および0≦z≦2y+1である)、
または[BF(CN)4−nアニオンの群から選択されるアニオン(式中n=0、1、2または3である)、
または[(Rf1SON]アニオンの群から選択されるアニオン(式中Rf1は、Fまたは、1〜20個のC原子を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキル、2〜20個のC原子および1もしくは2個以上の二重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルケニル、2〜20個のC原子および1もしくは2個以上の三重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキニル、3〜7個のC原子を有する、ペルフルオロ化された飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキルを示し、これはペルフルオロアルキル基により置換されていてもよい)、
または[BFf24−wアニオンの群から選択されるアニオン(式中w=0、1、2または3であり、式中Rf2は、1〜20個のC原子を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキル、2〜20個のC原子および1もしくは2個以上の二重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルケニル、2〜20個のC原子および1もしくは2個以上の三重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキニル、3〜7個のC原子を有する、ペルフルオロ化された飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキルを示し、これはペルフルオロアルキル基により置換されていてもよい)、を有し、
式中Rf1またはRf2は、それぞれの場合において同一または異なっていてよく、
式中Rf1またはRf2は、単結合または二重結合により互いに対として結合されていてもよく、
および式中、Rf1またはRf2において、ヘテロ原子に対してα位にない、1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基−SOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=非フッ素化、部分フッ素化またはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=F、ClまたはBrである、
前記オキソニウム塩およびスルホニウム塩。
【請求項2】
アニオンが、[(CFSON]、[(CSON]、[(FSON]、[P(C、[P(CF、[P(CH)(CF、[P(C、[P(C)(CF、[P(C、[P(C、[P(C、[BF(CF)]、[BF(C、[BF(C)]、[BF(CF、[B(C、[BF(CN)]、[BF(CN)、[B(CN)、[B(CFアニオンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のオキソニウム塩またはスルホニウム塩。
【請求項3】
[(RO]カチオンが[(CO]カチオンであること、または[(RS]カチオンが[(CS]カチオンであることを特徴とする、請求項1または2に記載のオキソニウム塩またはスルホニウム塩。
【請求項4】
[PF(C2y+1−z6−xアニオンを有する、請求項1〜3のいずれかに記載のオキソニウム塩またはスルホニウム塩、または有機カチオンを[PF(C2y+1−z6−xアニオンとともに含むオニウム塩の製造方法であって、[(RO]テトラフルオロボレートもしくは[(RO]ヘキサフルオロホスフェート、または[(RS]テトラフルオロボレートもしくは[(RS]ヘキサフルオロホスフェート、またはオニウムテトラフルオロボレートもしくはオニウムヘキサフルオロホスフェートを、一般式PF(C2y+1−z5−aのホスホランと反応させることを特徴とし、ここで式中1≦a≦4であり、およびR、yおよびzは請求項1に示された意味を有する、前記方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のオキソニウム塩またはスルホニウム塩の製造方法であって、[(RO]テトラフルオロボレートもしくは[(RO]ヘキサフルオロホスフェート、または[(RS]テトラフルオロボレートもしくは[(RS]ヘキサフルオロホスフェートを、H[PF(C2y+1−z6−x、H[BF(CN)4−n、H[(Rf1SON]もしくはH[BFf24−wと、または、H[PF(C2y+1−z6−x、H[BF(CN)4−n、H[(Rf1SON]もしくはH[BFf24−wのアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩と反応させることを特徴とし、ここで式中R、x、y、z、n、Rf1、Rf2およびwは請求項1に示された意味を有する、前記方法。
【請求項6】
有機カチオンが、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、ウロニウムカチオン、チオウロニウムカチオンまたはヘテロ環カチオンであることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
反応が、溶媒中で、または溶媒の添加なしで行われることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
反応が、0℃〜150℃の温度で行われることを特徴とする、請求項4〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載のオキソニウム塩およびスルホニウム塩の、有機カチオンを、[PF(C2y+1−z6−x、[BF(CN)4−n、[(Rf1SON]または[BFf24−wアニオンとともに含むオニウム塩の製造ための使用であって、式中R、x、y、z、n、Rf1、Rf2およびwは請求項1に示された意味を有する、前記使用。
【請求項10】
有機カチオンが、トリチリウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、グアニジニウムカチオン、ウロニウムカチオン、チオウロニウムカチオンまたはヘテロ環カチオンであることを特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
オニウム塩の製造が、ハロゲン化オニウムと、請求項1に記載のオキソニウム塩またはスルホニウム塩との反応により行われることを特徴とする、請求項9または10に記載の使用。
【請求項12】
塩(I)であって、
【化1】

を含む群から選択されるカチオンを有し、
式中、置換基
’はCNを示し、R’〜R’は、各々互いに独立して、
水素、
1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル、
2〜20個のC原子および1もしくは2以上の二重結合を有する直鎖もしくは分枝アルケニル、
2〜20個のC原子および1もしくは2以上の三重結合を有する直鎖もしくは分枝アルキニル、
1〜4個のC原子を有するアルキル基を含むジアルキルアミノであって、ただしヘテロ環のヘテロ原子には結合していないもの、
3〜7個のC原子を有する、飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキルであって、これは1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよく、
またはアリール−C〜C−アルキル、
の意味を有し、
式中、置換基R’およびR’は、Fにより部分または完全置換されていてもよく、
式中、置換基R’およびR’は、ハロゲンにより部分または完全置換されていてもよく、またはNOもしくはCNにより部分置換されていてもよく、
そして式中、置換基R’〜R’において、ヘテロ原子に直接結合されていない、1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−または−SO−の群から選択される原子および/または原子群により置換されていてもよく、
および、[PF(C2y+1−z6−xアニオンの群から選択されるアニオンを有し、式中2≦x≦5、1≦y≦8および0≦z≦2y+1であり、
または[BF(CN)4−nアニオンの群から選択されるアニオンを有し、式中n=0、1、2もしくは3であり、
または[(Rf1SON]アニオンの群から選択されるアニオンを有し、式中Rf1は、Fまたは、1〜20個のC原子を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキル、2〜20個のC原子および1もしくは2個以上の二重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルケニル、2〜20個のC原子および1もしくは2個以上の三重結合を有するペルフルオロ化直鎖もしくは分枝アルキニル、3〜7個のC原子を有する、ペルフルオロ化された飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキルを示し、これはペルフルオロアルキル基により置換されていてもよく、
または[BFf24−wアニオンの群から選択されるアニオンを有し、式中w=0、1、2または3であり、式中Rf2は、1〜20個のC原子を有するペルフルオロ化直鎖または分枝アルキル、2〜20個のC原子および1または2個以上の二重結合を有するペルフルオロ化直鎖または分枝アルケニル、2〜20個のC原子および1または2個以上の三重結合を有するペルフルオロ化直鎖または分枝アルキニル、3〜7個のC原子を有する、ペルフルオロ化された飽和、部分または完全不飽和シクロアルキルを示し、これはペルフルオロアルキル基により置換されていてもよく、
式中Rf1またはRf2は、それぞれの場合において同一または異なっていてよく、
式中Rf1またはRf2は、単結合または二重結合により互いに対として結合されていてもよく、
および式中、Rf1またはRf2において、ヘテロ原子に対してα位にない、1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基−SOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=F、ClまたはBrである、
前記塩(I)。
【請求項13】
アニオンが、[(CFSON]、[(CSON]、[(FSON]、[P(C、[P(CF、[P(CH)(CF、[P(C、[P(C)(CF、[P(C、[P(C、[P(C、[BF(CF)]、[BF(C、[BF(C)]、[BF(CF、[B(C、[BF(CN)]、[BF(CN)、[B(CN)、[B(CFアニオンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の塩。
【請求項14】
塩(II)であって、
【化2】

を含む群から選択されるカチオンを有し、
式中、置換基
’〜R’は、各々互いに独立して、
水素またはCN、
1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル、
2〜20個のC原子および1もしくは2以上の二重結合を有する直鎖もしくは分枝アルケニル、
2〜20個のC原子および1もしくは2以上の三重結合を有する直鎖もしくは分枝アルキニル、
1〜4個のC原子を有するアルキル基を含むジアルキルアミノであって、ただしヘテロ環のヘテロ原子には結合していないもの、
3〜7個のC原子を有する、飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキルであって、これは1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよく、
またはアリール−C〜C−アルキル、
の意味を有し、
式中、置換基R’およびR’は、Fにより部分または完全置換されていてもよく、しかし式中R1’およびR4’は、同時にCNではなく、または同時にFにより完全置換されることはできず、
式中、置換基R2’およびR3’は、ハロゲンにより部分もしくは完全置換されていてもよく、またはNOもしくはCNにより部分置換されていてもよく、
そして式中、置換基R’〜R’において、ヘテロ原子に直接結合されていない、1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−S(O)−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基CN、−C(O)X’もしくはSOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=H、非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=OH、F、ClまたはBrであり、
および、[PF(C2y+1−z6−xアニオンの群から選択されるアニオンを有し、式中2≦x≦5、1≦y≦8および0≦z≦2y+1であり、ただしここで1−ブチル−1−メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)−トリフルオロホスフェートは除外される、
前記塩(II)。
【請求項15】
アニオンが、[P(C、[P(CF、[P(CH)(CF、[P(C、[P(C)(CF、[P(C、[P(C、[P(Cアニオンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項14に記載の塩。
【請求項16】
塩(III)であって、
【化3】

を含む群から選択されるカチオンを有し、
式中、置換基
’〜R’は、各々互いに独立して、
1〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル、ただし、置換基R’またはR’の少なくとも1つは、9〜20個のC原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルであり、
2〜20個のC原子および1もしくは2以上の二重結合を有する直鎖もしくは分枝アルケニル、
2〜20個のC原子および1もしくは2以上の三重結合を有する直鎖もしくは分枝アルキニル、
3〜7個のC原子を有する、飽和、部分もしくは完全不飽和シクロアルキルであって、これは1〜6個のC原子を有するアルキル基により置換されていてもよい、
の意味を有し、
式中、置換基R’およびR’は、Fにより部分または完全置換されていてもよく、ただしR1’およびR4’は、同時にFにより完全に置換されることはできず、
式中、置換基R2’およびR3’は、OR’、N(R’)、CNもしくはハロゲンにより部分もしく完全置換されていてもよく、
そして式中、置換基R1’〜R4’において、ヘテロ原子に対してα位にない、1または2個の隣接していない炭素原子は、−O−、−S−、−SO−および−NR’−の群から選択される原子および/または原子群により、または末端基CN、-C(O)X’もしくは−SOX’により置換されていてもよく、ここで式中、R’=H、非フッ素化、部分フッ素化もしくはペルフルオロ化C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、無置換もしくは置換フェニル、または無置換もしくは置換ヘテロ環であり、およびX’=OH、F、ClまたはBrであり、
および、[PF(C2y+1−z6−xアニオンの群から選択されるアニオンを有し、式中2≦x≦5、1≦y≦8および0≦z≦2y+1であり、ただし3−メチル−1−オクタデシルイミダゾリウムトリス(ペンタフルオロエチル)−トリフルオロホスフェートは除外される、
前記塩(III)。
【請求項17】
アニオンが、[P(C、[P(CF、[P(CH)(CF、[P(C、[P(C)(CF、[P(C、[P(C、[P(Cアニオンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の塩。
【請求項18】
請求項1〜3のいずれかに記載のオキソニウム塩およびスルホニウム塩の、アルキル化剤としての、またはカチオン重合もしくは光化学的に誘発される重合のための触媒としての、使用。
【請求項19】
請求項12〜17のいずれかに記載の塩またはそれらの混合物の、溶媒または溶媒添加物として、相間移動触媒として、抽出剤として、伝熱媒体として、表面活性物質として、可塑剤として、防炎剤としておよび/または電気化学セル用の導電性塩としての、使用。
【請求項20】
請求項12または13に記載の塩の、シアニル化または活性化試薬としての使用。

【公表番号】特表2009−531282(P2009−531282A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552701(P2008−552701)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/000051
【国際公開番号】WO2007/087949
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】