説明

オキソ・アルコールベースの結合性モノマーと、このモルマーを含むポリマーと、水溶性配合組成物でのこのポリマーの増粘剤としての使用と、得られた配合組成物

新規なHASE−タイプのレオロジー改質剤。このレオロジー改質剤の結合性モノマーはオキソ・アルコール塩基を有する疎水基によって官能化されている。本発明の対象は上記モノマーと、ポリマーの合成方法と、このポリマーの水溶性配合組成物での増粘剤として使用と、得られた水溶性配合組成物とにある。得られたポリマーは水−ベースのペイントの増粘に有利に使用でき、場合によっては、ニュートニアンのレオロジー・プロフィルにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結合性 (会合性、assiciative) モノマーがオキソ・アルコール塩基を有する疎水基によって官能化され新規なHASE−タイプのレオロジ調節剤(モディファイア、modifier)に関するものである。
【0002】
このレオロジ調節剤を水を含む配合組成物、例えば、水ベースのペイントで使用することによって広範囲の剪断勾配、特に高い剪断勾配で粘度を増加させることができる。従って、上記レオロジ調節剤は効率的な粘調化剤として使用でき、ペイント配合組成物のライブラリに新しい製品レンジを加えることができる。
【0003】
この新しい増粘剤を水溶性配合組成物中に導入することで、従来のHASE−タイプのものよりはるかにレオロジー特性(プロフィル)を進歩させることができ、同じタイプでは有効性を経済的レベルに維持できるという利点がある。そうした結果は上記特性を有する接合性モノマーを使用した時に得られるが、この特性は上記ポリマーの製造法で使用する連鎖移動剤の量を所定範囲内に調整した好ましい変形例で悪化することもある。
【0004】
本発明では上記の結合性モノマーはオキソアルコールベースの塩基疎水基によって官能化される。同じことが上記モノマーを組み入れたHASE−タイプのポリマーおよびその合成方法にも適用される。また、この水−ベースの配合組成物での粘調化剤としての使用と、得られた配合組成物も本発明の2つの対象である。
【0005】
製造段階および運搬段階(貯槽または使用)の両方でペイントのレオロジを制御することは現在解決すべき優先課題である。これらの段階の各々には種々のレオロジー特性が複雑に絡みあった制約があるが、当業者に要求されるものは、経時的に安定で且つ垂直面へ塗布できること(使用時に飛び跳ねず、塗布後に滴下(ドリップ)しないこと)の2つの面で、ペイントの仕上げ(フィニッシング)効果が得られることであると要約できる。流動特性の調節に寄与する製品であるという観点から「増粘剤、粘調化剤(thickening agent)」という用語でよばれる。
【背景技術】
【0006】
歴史的には1950年代にセルロース−ベースのガムと、それを用いた生成物が使われた。その特数の一つは高分子量であるという点にある。しかし、この化合物には多くの不利な点、例えば、経時的に不安定(特許文献1参照)、大量に使用する必要がある(特許文献2参照)、生産コスト、特に廃棄物処理のコストが高い(特許文献3参照)がある。
【0007】
その後、「結合性」増粘剤とよばれる粘調化剤が開発された。これは不溶性疎水基を有する水溶性高分子である。この高分子は接合特性を有し、水に入れた時に疎水基がミセル凝集体の形で凝集する傾向がある。この会合物 (aggregate) はポリマーの親水性部によって互いに結合して三次元ネットワークが形成され、媒体の粘度を増加させる。その操作機構および特数は今日ではよく知られており、例えば非特許文献1に記載されている。
【0008】
この粘調化剤にはHEUR (Hydrophobically modified Ethyleneoxide URethane)とHASE (Hydrophobically modified Alkali-Soluble Emulsions)とがある。前者はポリアルキレングリコールタイプの化合物、ポリウレタンおよび疎水性の末端基を有するアルキルおよび/またはアリー結合性モノマーの合成で得られるポリマーであり、後者は(メタ)アクリル酸、この酸のエステルおよび疎水基で終るオキシアルキル鎖から成る結合性モノマーとのポリマーである。
【0009】
HEURは水−ベースのペイントの多くの性質、特にその結合性モノマーの種類に応じた性質の原因である。これに関してはコアテックス(COATEX、登録商標) 社の特許文献5が参照できる。この特許では4〜36個の炭素原子を有する疎水基を用いてブルックフィールド(Brookfield、登録商標)粘度を上げることを提案している。特許文献5は40以上の原子を有するプルリスチリルフェノールの使用を提案しており、特許文献6にはジ−およびトリ−スチリルフェノールから成る結合性モノマーが示され、顔料との優れた相容性と中および高剪断下で高い粘度が得られることが記載されている。
【0010】
同じことがHASE化学物質にも適用され、特にコアテックス(COATEX、登録商標) 社の特許文献7を挙げることができる。この特許には26〜30の炭素原子を有するアルキルおよび/またはアリールタイプの直鎖真分岐鎖の単位を有する脂肪質鎖を用いて低剪断勾配下で高い粘度を得ている。特許文献8では顔料との相容性を改良し、一般に粘度を増加させる10〜24の炭素原子を有する分岐末端鎖が記載されている。
【0011】
ペイント分野のレオロジでは広範囲の剪断勾配で粘度を増加できる新しいファミリーを得ることが有利であるが、塗布装置または配合組成物の仕様規格に応じた特定のレオロジカル・プロフィルとなる増粘剤も極めて有用である。この点に関しては多くの場合、「ニュートニアン」プロフィルにすることが艶およびサテン(satin)ペイントには有利であり、それによってスプレッディングを改善でき、塗布時の撥を減らすことができる。
【0012】
「ニュートニアン」プロフィルと理論的に粘度が剪断勾配とは独立していることを表し、そうした性質は実際には得られ難い。実際に当業車が連想するのは、剪断勾配に依存して粘度が大きく低下する(レオグラムが相対的により傾斜する)ことを特徴とする擬似可塑性プロフィルとは対照的に、剪断速度に依存する粘度変化の少ない(レオグラムが相対的にフラット)なプロフィルである。確実な用語では、10回転/毎分でのブルックフィールド(Brookfield)粘度(mPa.s)と、「ICI」として知られるコーン−プラン粘度(約10,000s-1の速度勾配に対応)との間の比が低下するとニュートニアン挙動に近くなる。
【0013】
この場合、上記の比が小さくなった場合でも、高剪断速度で増粘効果が失なわれないことが望ましく、それが第2の必要条件を構成し、それはICI粘度と同程度にできるだけ高いものを探すということになる。
【0014】
現在のHASEの技術およびHEURの技術を用いることで水溶性配合組成物に導入した時にニュートニアン・プロフィルを示す結合性増粘剤にすることができる。そのことは非特許文献2に記載されている。
【0015】
HEURの場合にはその種の増粘剤を記載した特許文献9が参照できる。これは水溶性ペイントで使用したときにニュートニアン・プロフィルを示し、乾燥フィルムは耐水性、耐摩耗性があり、さらに耐微生物汚染性のある輝度の高いフィルムになる。しかし、HEURは水にあまり溶けない化学種であり、活性物質の比率が約5%を超えた時にニュートニアン・プロフィルを有するようするためには、溶剤または界面活性剤の存在下で溶液にしなければならない。この問題点は特許文献10に記載されている。特許文献10が提案する解決策は単に界面活性剤を使用するというものである。なお、界面活性剤を含む高濃度HEURタイプの増粘剤はコアテックス(COATEX)社からCOAPUR(登録商標) 5035およびCOAPUR(登録商標) 6050の名称で上記特許の出願の優先日前の1993年から市販されている。
【0016】
HEUR−タイプの配合組成物を形成する時に溶剤や界面活性剤を使用すると多くの問題が生じる。先ず第一に、溶剤はペイントでの使用を規制し、禁止することを目的とする過酷な法制(Draconian法典)を益々増やすものである。増粘配合組成物での界面活性剤の機能はペイントに含まれる他の界面活性剤との相互作用でペイントを不安定にすることである。従って、ポリウレタンの濃度を(20重量%程度の)極端に制限した時にしか水中でニュートニアン・タイプのHEUR配合組成物にならない。従って、増粘剤は無効になる。
【0017】
HASEの中で真にニュートニアン・プロフィルを示す唯一のものは、結合性モノマーがエトキシ化されたアルキルフェノール(APE)を含む増粘剤のみである。このことは特許文献11に記載されている。この文献にはHASE−タイプの増粘剤の結合性モノマーの合成でのエトキシ化ノニルフェノールの使用と、それによって得られる水ベースのペイントに入れた時にニュートン・プロフィルのレオロジカル特性を示すポリマーとが記載されている。
【0018】
しかし、アルキルフェノールには発癌性および生殖での危険性の疑いがあり、現時点ではペイント工業での規制はないが、規制、特にヨーロッパでの規制の第一候補に残ったままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第4673518号明細書
【特許文献2】欧州特許第EP0250943A1号公報
【特許文献3】米国特許第4384096号明細書
【特許文献4】欧州特許第EP0639595A1号公報
【特許文献5】国際特許第WO02/02868Al項公報
【特許文献6】欧州特許第EP1425325A1号公報
【特許文献7】欧州特許第EP0577526A1号公報
【特許文献8】欧州特許第EP1778797A1号公報
【特許文献9】米国特許第5500475号明細書
【特許文献10】欧州特許第EP0682094A1号公報
【特許文献11】欧州特許第EP0350414A1号公報
【非特許文献】
【0020】
【非特許文献1】"Rheology modifiers for water-borne paints" (Surface Coatings Australia, 1985, pp. 6- 10) and "Rheological modifiers for water-based paints: the most flexible tools for your formulations" (Eurocoat 97, UATCM, vol. 1, pp 423-442)
【非特許文献2】"Disperse phase−thickeners interactions and their influence on Newtonian to non-Newtonian flow behavior" (Polymeric Materials, 1995), 73, 195-6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明者は、HASE−タイプのポリマー組成物で使用可能な新規な結合性モノマーの開発に成功した。それによって当業者に下記のような利点を与えることができる:
(1)この新しい結合性モノマーをベースにすることで、極めて広い剪断勾配範囲(特に高剪断勾配)で水溶性配合組成物を増粘できる新しいレンジ(範囲)のHASE−タイプの増粘剤を開発することができ、配合組成物中に溶剤および/または界面活性剤を必要とするHEURの使用を避けることができる。
(2)さらに、この新しい増粘剤を用いることによってニュートニアン・プロフィルを示すようにでき、特に、実質的なICI粘度を維持した状態で、(毎分10回転でのブルックフィールド粘度(mPa.s)/ICI粘度)の比で表したときのニュートニアン・プロフィルを示すようにできる。
(3)この後者の性質は、増粘剤の製造中に一定区間で連鎖移動剤の割合を調整することに本質がある本発明の特定の変形例では悪化(exacerbate)する、
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の上記増粘剤は下記式(I)の結合性モノマーを含む:
R−(EO)m−(PO)n−R'
[ここで、
mおよびnは150以下の整数であり、その少なくとも一方はゼロではなく、
AおよびBは2〜4個の炭素原子を有する、互いに異なるアルキル基を表し、
EO基はエチレンオキシドを表すのが好ましく、
PO基はプロピレンオキシドを表すのが好ましく、
Rは重合可能な不飽和基を表し、メタクリレート基であるのが好ましく、
R'は下記式(II)に属する少なくとも一つの基から成る:
CH3−(CH2p−CH(CH2rCH3−(CH2q
(ここで、pおよびqは整数で、少なくともその一つはゼロではなく、5<p+q<13であり、rは0に等しい整数である)]
【0023】
本発明の一つのキーは、式(I)の結合性モノマーの末端疎水基として式(II)の化合物を選択することにある。式(I)の結合性モノマーはアルコールのエトキシ化と、それに続く、それを重合可能にするための官能化とを行う従来の方法で製造される。本発明者は、特定のオキソ・アルコールを選択することで式(I)の新しい結合性モノマーが合成でき、上記の全ての特性を有する付与できるということを見出した。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記オキソ・アルコールの式(III)は下記である:
CH3−(CH2p−CH(CH2rCH3−(CH2q−OH
(ここで、p、qおよびrは上記のものを表す)
【0025】
これは周知の化合物で、合成ガスを用い、H2/CO比を1の近くにして、アルケンのハイドロホルミレイションによって極めて簡単に得られる。この反応によってアルケンをアルデヒドに変え、次いでアルコールが得られるように水素化するだけである。この例は下記文献に記載されている。
【特許文献12】国際特許第WO2007/066036号公報
【0026】
このアルコールはSASOL社からLial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、Alchem(登録商標)およびSafol(登録商標)の名称で市販されており、BASF社からLutensol(登録商標)の名称で市販されている。
【0027】
式(I)のモノマーの末端基R'が少なくとも一つの式(II)の基を有する(この基だけしか含まないということではない)という事実は、初期のオキソ・アルコールが上記のハイドロホルミレイション反応の結果得られ、それが直鎖アルコールを形成するという事実にも関する。さらに、商用で得られるオキソ・アルコールは一般に混合物または分留物であるので、上記式でp+qの値は主たる化学種に対するものである。
【0028】
このアルコールは従来、界面活性剤の分野で使われている(下記文献参照):
【特許文献13】欧州特許第EP1294837号公報
【特許文献14】米国特許第US4280919号明細書
【0029】
しかし、結合性モノマーの合成で使用されたことはない。最後に、オキソ・アルコールは生物分解性が高いということも周知である(上記特許文献14参照)。こそれは本発明の利点の一つである。
【0030】
本発明の第1の対象は下記式(I)のモノマーにある:
R−(EO)m−(PO)n−R'
[ここで、
mおよびnは150以下の整数であり、その少なくとも一方はゼロではなく、
AおよびBは2〜4個の炭素原子を有する、互いに異なるアルキル基を表し、
EO基はエチレンオキシドを表すのが好ましく、
PO基はプロピレンオキシドを表すのが好ましく、
Rは重合可能な不飽和基を表し、メタクリレート基であるのが好ましく、
R'は下記式(II)に属する少なくとも一つの基から成る:
CH3−(CH2p−CH(CH2rCH3−(CH2q
(ここで、pおよびqは整数で、少なくともその一つはゼロではなく、5<p+q<13であり、rは0に等しい整数である)]
【0031】
このモノマーは、n=0、EOがエチレンオキシドを表し、mが20〜40の間にあるのが好ましい。
【0032】
本発明の第2の対象は、下記(a)〜(c)から成るHASE−タイプのポリマーにある:
(a)(メタ)アクリル酸、
(b)少なくとも一種の(メタ)アクリル酸のエステル、
(c)上記式(I)の少なくとも一つのモノマー。
【0033】
このコポリマーの製造方法が周知であり、当業者は上記文献を技術的バックとして参照することができると仮定する。その合成で使われる連鎖移動剤の量(これも本発明の一つの対象である)の影響等のついては後で詳細に説明する。
【0034】
このポリマーの他の特徴はそのモノマーが下記から成ることにある(重量%):
(a)20%〜50%、好ましくは35%〜45%の(メタ)アクリル酸、
(b)40%〜70%、好ましくは45%〜55%の少なくとも一種の(メタ)アクリル酸のエステル、
(c)2%〜20%、好ましくは3%〜15%の上記式(I)の少なくとも一つのモノマー。
【0035】
本発明の好ましい変形例では、ポリマーが式(I)のモノマーでn=0、BOがエチレンオキシドを表し、mが20〜40であることで特徴付けられる。
【0036】
本発明の第3の対象は、反応媒体中で下記を互いに接触させて、HASE−タイプのポリマーを製造する方法にある:
(a)(メタ)アクリル酸、
(b)少なくとも一種の(メタ)アクリル酸のエステル、
(c)上記式(I)の少なくとも一つのモノマー。
成分(a)、(b)および(c)を互いに接触させる前および/または接触中および/または後に、反応媒体中に少なくとも一つの連鎖移動剤を導入することができる。
【0037】
本発明の好ましい変形例では、上記方法で連鎖移動剤が使われ、反応媒体中に導入されるその量は成分(a)、)b)および(c)の総重量に対して1,500ppm〜4,000ppmの間である。
【0038】
水中でこのポリマーを使用した時にレオロジカル・プロフィルのニュートニアンの特徴が改良され、高剪断勾配で実質的に増粘効果が維持される、ということは全く予想外のことである。
【0039】
本発明の好ましい変形例での本発明方法は、式(I)のモノマーが、n=0、EOがエチレンオキシドを表し、mが20〜40の間にあることを特徴とする。
【0040】
この結果は、連鎖移動剤を導入するとポリマーの増粘効果が低下するという一般的な教えとは逆である(特に下記文献の第7頁参照)。
【特許文献15】欧州特許第EP0013836号公報
【0041】
より正確には、過剰の連鎖移動剤(モノマーの総重量に対して少なくとも0.1重量%〜1,000ppm)を使用するとニュートニアン・プロフィルが改善し、それに付随して、全レンジでの増粘力が低下するということも公知である(下記文献参照)。
【非特許文献3】"Tailoring HASE Rheology through Polymer Design", JCT Research, vol. 2, n- 6, April 2005, pp. 423-433
【0042】
本発明方法の特徴は、反応媒体が水と、他の有機溶剤とから成り、好ましくは水のみから成る点にある。
【0043】
本発明のさらに他の特徴は、連鎖移動剤がN−ドデシルメルカプタン、N−デシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン(DMDO、CAS番号:14970−87−7)、チオ乳酸から選択される点にある。
【0044】
本発明の第4の対象は、上記HASE−タイプポリマーの水溶性配合組成物での増粘剤としての使用にある。
【0045】
本発明の第5の対象は、少なくとも一種の水溶性配合組成物を含む、上記HASE−タイプのポリマーを含む水溶性配合組成物にある。
【実施例】
【0046】
実施例1
以下のテストでは、水溶性ゲルを増粘するこめに、従来技術の粘調化剤(HASE)と、本発明の結合性粘調化剤とを使用した。
各テスト1〜6では、テストする一定量(10.7グラム)の増粘剤と一緒に、1グラムの28%水酸化アンモニウム中和溶液とを、215グラムの脱イオン水と、175グラムのアクリルバインダ(DSM社のNeocryl XK 90)とから成る水溶液の40グラム中に導入した。
【0047】
テスト1
このテストは従来技術を示し、コアテックス(COATEX)社からRheotech(登録商標)2100の名称で市販のHASE−タイプの結合性増粘剤を使用した。この増粘剤はアルキルフェノールを含む。
【0048】
テスト2
このテストも従来技術を示し、ローム(ROHM&HAAS)社からAcrysol(登録商標)RM5の名称で市販のHASE−タイプ結合性増粘剤を使用した。
【0049】
テスト3
このテストは本発明を示し、各モノマー(重量%)が下記から成るポリマーである本発明によるHASE−タイプの結合性増粘剤を使用した:
(a)35.5%のメタアクリル酸、
(b)52.5%のアクリル酸エチル、
(c)12.0%の式(I)のモノマー(ここで、m=30、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'は式(II)の基を表し、p+q=10、r=0である)。
【0050】
このポリマーは、水である反応媒体中で、ドデシルメルカプタンである連鎖移動剤の存在下で、上記全てのモノマーを接触させて得られる。
実際には、1リットルの反応装置中に、409グラムのバイパーミューテッド水(bipermuted water)と、5.6グラムのドデシル硫酸ナトリウムとを秤量する。その後、タンクの底を82℃±2℃に加熱する。
【0051】
この反応で、ビーカーで秤量して下記のプレ・エマルションが製造された:
116.8グラムのバイパーミューテッド水、
1.96グラムのドデシル硫酸ナトリウム、
0.139グラムのドデシルメルカプタン、また関係する全てのモノマー重量に対して556ppmのメルカプタン
88.84グラムのメタアクリル酸、
131.1グラムのアクリル酸エチル、
30.0グラムのマクロモノマー
【0052】
次に、第1の触媒用に、0.8グラムの過硫酸アンモニウムを秤量し、6グラムのバイパーミューテッド水に希釈し、第2の触媒用に、0.08グラムのメタ重亜硫酸ナトリウムを4グラムのバイパーミューテッド水に希釈した。タンク底部が所望温度になった時に両方の触媒を加え、プレ・エマルションを同時に添加して、重合を84℃±2℃で2時間実行する。ポンプを20グラムのバイパーミューテッド水で洗浄し、84℃±2℃で1時間燃焼する。最後に、外界温度まで冷却し、濾過する。
【0053】
テスト4
このテストは本発明を示す。各モノマー(重量%)が下記から成るポリマーである本発明によるHASE−タイプの結合性増粘剤を使用した:
(a)35.5%のメタアクリル酸、
(b)52.5%のアクリル酸エチル、
(c)12.0%の式(I)のモノマー(ここで、m=25、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'は式(II)の基を表し、p+q=10、r=0である)
【0054】
このモノマーは市販の化合物Lial 123をエトキシ化し、それをメタクリレート基を使用して官能化し、重合可能にして得た。エトキシ化は当業者に周知の方法で行った。官能化も同様である。
上記ポリマーは560ppmのドデシルメルカプタンである連鎖移動剤の存在下で上記の全てのモノマーを水である反応媒体中で接触させて得た。合成はテスト3に記載の方法で実行した。
【0055】
テスト5
このテストは本発明を示し、各モノマー(重量%)が下記から成るポリマーである本発明によるHASE−タイプの結合性増粘剤を使用した:
(a)35.5%のメタアクリル酸、
(b)52.5%のアクリル酸エチル、
(c)12.0%の式(I)のモノマー(ここで、m=25、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート記載を表し、R'は式(II)の記載を表し、p+q=10、r=0である)。
【0056】
このモノマーは市販の化合物Lial 123のエトキシ化で得られ、それをメタクリレート基を用いて官能化して重合可能になる。エトキシ化は当業者に周知の方法で行うことができる。官能化も同様である。
このポリマーは水である反応媒体中で、ドデシルメルカプタンである560ppmの連鎖移動剤の存在下で、上記の全てのモノマーを接触させて得られる。合成はテスト3に基の方法で行った。
【0057】
テスト6
このテストは本発明を示し、各モノマー(重量%)が下記から成るポリマーである本発明によるHASE−タイプの結合性増粘剤を使用した:
(a)34.0%のメタアクリル酸、
(b)51.0%のアクリル酸エチル、
(c)15.0%の式(I)のモノマー(ここで、m=25、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'は式(II)の基を表し、p+q=10、r=0)
【0058】
このモノマーは市販の化合物Lial 123のエトキシ化で得られ、それを、メタクリレート基を用いて官能化し、重合可能にする。エトキシ化は当業者に周知の方法で行う。官能化も同様である。このポリマーは水である反応媒体中で、ドデシルメルカプタンである560ppmの連鎖移動剤の存在下で、上記全てのモノマーを接触して得られる。合成はテスト3に示す方法で行う。
【0059】
[表1]はブルックフィールド(登録商標、Brookfield)粘度が10rpmおよび100rpm(ブルック粘度、10rpm、100rpm、mPa.s)、ストーマ(Stormer、KU)およびICI(登録商標)と、10rpmでのブルックフィールド(登録商標)粘度/ICI(登録商標)の比を示す。
【0060】
【表1】

【0061】
この結果は、本発明のHASEポリマーはRM5を使用し従来技術のHASEポリマーよりもはるかに顕著にニュートニアン・プロフィルにすることができ、高い剪断勾配でより大きな増粘効果を有するということを示している。ニュートニアン特性に関しては、アルキル・フェノールを含む製品Rheotech(登録商標)2100の性能に少なくとも等しく、ICI粘度に関しては大幅に改良される。
【0062】
実施例2
このテストは、水溶性ゲルを増粘するために本発明の結合性粘調化剤を使用した例を示す。特に増粘剤の合成時に使用する連鎖移動剤の量の影響を示す。
テスト7〜12の各々でテストする増粘剤の量は10.7グラムに固定し、それを1グラムの28%水酸化アンモニウム中和溶液と一緒に、40グラムの脱イオン水と175グラムのDSM社からNeocryl XK90の名称で市販のアクリルバインダとから成る215グラムの水溶液に導入する。
【0063】
テスト7
このテストは従来技術を示し、COATEXT社からCoapur(登録商標)2025の名所で市販のHEUR−タイプの結合性増粘剤を使用した。
【0064】
テスト8
このテストは本発明を示し、各モノマー(重量%)が下記から成るポリマーである本発明によるHASE−タイプの結合性増粘剤を使用した:
(a)35.5%のメタアクリル酸、
(b)52.5%のアクリル酸エチル、
(c)12.0%の式(I)のモノマー(ここで、m=25、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'は式(II)の基を表し、p+q=10、r=0である)。
【0065】
このモノマーは市販の化合物Lia1(登録商標)123のエトキシ化で得られ、それをメタクリレート基を用いて官能化して重合可能にする。エトキシ化は当業者に周知の方法で行い、官能化も同様である。このポリマーは水である反応媒体中で、ドデシルメルカプタンである1,392ppmの連鎖移動剤の存在下で、上記の全てのモノマーを接触させて得られる。その合成はテスト3の方法で行う。
【0066】
テスト9
このテストは本発明を示し、テスト8で使用したものと同じポリマーである本発明のHASE−タイプの結合性増粘剤を使用する。このポリマーは水である反応媒体中で、ドデシルメルカプタンである1,944ppmの連鎖移動剤の存在下で、上記の全てのモノマーを接触させて得られる。その合成はテスト3の方法で行う。
【0067】
テスト10
このテストは本発明を示し、テスト8で使用したものと同じポリマーである本発明のHASE−タイプの結合性増粘剤を使用する。このポリマーは水である反応媒体中で、ドデシルメルカプタンである2,840ppmの連鎖移動剤の存在下で、上記の全てのモノマーを接触させて得られる。その合成はテスト3の方法で行う。
【0068】
テスト11
このテストは本発明を示し、テスト8で使用したものと同じポリマーである本発明のHASE−タイプの結合性増粘剤を使用する。このポリマーは水である反応媒体中で、ドデシルメルカプタンである4,160ppmの連鎖移動剤の存在下で、上記の全てのモノマーを接触させて得られる。その合成はテスト3の方法で行う。
【0069】
テスト12
このテストは本発明を示し、テスト8で使用したものと同じポリマーである本発明のHASE−タイプの結合性増粘剤を使用する。このポリマーは水である反応媒体中で、ドデシルメルカプタンである5,600ppの連鎖移動剤の存在下で、上記の全てのモノマーを接触させて得られる。その合成はテスト3の方法で行う。
【0070】
[表2]はブルックフィールド(登録商標、Brookfield)粘度が10rpmおよび100rpm(ブルック粘度、10rpm、100rpm、mPa.s)、ストーマ(Stormer、KU)およびICI(登録商標)と、10rpmでのブルックフィールド(登録商標)粘度/ICI(登録商標)の比を示す。
【0071】
【表2】

【0072】
この表からも本発明ポリマーは広範囲の剪断勾配で水溶性ゲルを増粘できる能力があるということを示しており、さらに、上記ゲルのレオロジに与える連鎖移動剤の割合の影響も示している。
10romでのブルックフィールド粘度/ICI粘度の比の値はこの割合が増加すると実質的に低下し、正にニュートンの挙動になる。
この比とICI粘度の維持との間の最適バランスは本発明の好ましい変形例を示すテスト9と10で得られる。この変形例に従うと従来技術のHEUR増粘剤の結果がニュートニアン挙動、特に高剪断勾配での増粘性能が改良される。
【0073】
実施例3
このテストは本発明を示すが、連鎖移動剤を使用しない、各モノマーが下記重量比から成るポリマーの水性乳剤に関するものである:
(a)35.5%メタアクリル酸、
(b)52.5%アクリル酸エチル、
(c)12.0%の式(I)を有するモノマー(ここで、m=30、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'は式(II)の基を表し、p+q=9、r=0である)(オキソ用語でC12EO30とよばれる)
このポリマーは水である反応媒体中で上記の全てのモノマーを接触させて得られる。この合成は連鎖移動剤を使用しないこと以外はテスト14〜19に記載のものに対応する。
【0074】
テスト14〜19
これらのテストは本発明を示し、(本発明の製造方法の好ましい変形例である)ドデシルメルカプタンである連鎖移動剤の使用量を増加させた時の、下記重量%のモノマーから成るポリマーの水性乳剤に関するものである:
(a)35.5%メタアクリル酸、
(b)52.5%アクリル酸エチル、
(c)12.0%の式(I)のモノマー(ここで、m=30、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'は式(II)を表し、p+q=9、r=0である(オキソ用語ではC12EO30とよばれる)。
【0075】
このポリマーは水である反応媒体中でドデシルメルカプタンである連鎖移動剤の所定量の存在下で、上記の全てのモノマーを接触させて得られる。
具体的には560ppmのメルカプタンの存在下(テスト14)でポリマーを合成する場合、最初に1リットルの反応装置に409グラムのバイパーミューテッド水(bipermuted water)と5.6グラムのラウリル硫酸ナトリウムとを秤量する。次に、合成反応装置を82℃±2℃に加熱する。
プレ・エマルションが作られ、ビーカーで下記が計量される:
116.8グラムのバイパーミューテッド水、
1.96グラムのラウリル硫酸ナトリウム、
0.139グラムのドデシルメルカプタン(すなわち、全モノマー量に対して556ppmのメルカプタン)、
88.84グラムのメタアクリル酸、
131.1グラムのアクリル酸エチル、
30.0グラムのマクロモノマー。
【0076】
次に、0.8グラムの過硫酸アンモニウムを秤量し、第1の触媒用に6グラムのバイパーミューテッド水で希釈し、第2の触媒用に0.08グラムの重亜硫酸ナトリウムを4グラムのバイパーミューテッド水で希釈する。合成反応装置が所定温度になった時に2つの触媒を加え、プレ・エマルションを添加しながら、84℃±2℃で2時間重合を実行する。ポンプを20グラムのバイパーミューテッド水で洗浄し、さらに84℃±2℃でクッキングを1時間続ける。最後に生成物を室温まで冷却し、濾過する。テスト15〜19に対応する合成はメルカプタンの量を調整することで同様の方法で実行した。
【0077】
観察
特定のオキソ・アルコール−ベースのモノマーと連鎖移動剤とを含むテストだけで低ブルックフィールド(登録商標)粘度値が得られることがわかる(乾燥重量が25%の場合でも)([表4])。
さらに、これらの完全に予備中和された各エマルションはアクリルバインダ溶液([表5])を効果的に増粘する。最高の結果はテスト17と18のエマルションで得られる。これらは乾燥抽出物が25%の場合でも10rpmで測定したブルックフィールド(登録商標)粘度が20,000mPa.s以下であるが、剪断勾配とは無関係に有意に増粘される。これらは商業的に重要な乾燥抽出物で安定かつハンドリングが可能な、フェノールを含まない、予備中和されたエマルションである、水溶液中でラテックスを効果的に増粘することができる。
【0078】
テスト20
このテストは本発明を示し、上記のものとは異なる結合性モノマー(メタクリル−ウレタン結合)を使用して実行する。す。このテストはドデシルメルカプタンである所定量の連鎖移動剤を使用し、下記重量%の各モノマーから成るポリマーの水性エマルジョンに関するものである:
(a)35.5%メタアクリル酸、
(b)52.5%アクリル酸エチル、
(c)12.0%の式(I)のモノマー(ここで、m=30、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタアクリル性−ウレタン基を表し、R'は式(II)の基を表し、p+q=9、r=0(オキソ用語でC12EO30とよばれる)。
このポリマーは水である反応媒体中で上記と同じ手順に従って上記の全てのモノマーを接触させて得られる。
【0079】
テスト21と22
このテストは本発明を示し、上記テストで使用したものとは異なる結合性モノマーを使用して実行した(テスト14〜19で使用したものに類似しているが、オキシエチルが25倍、ここでの結合性モノマーの%は10%と15%である)。
【0080】
このテストは所定量の連鎖移動剤(ドデシルメルカプタンである)で実行し、下記重量%の各モノマーから成るポリマーの水性エマルジョンに関するものである:
(a)33.5%および37.5%のメタアクリル酸(テスト9と10)、
(b)52.5%のアクリル酸エチル、
(c)10.0%および15%の式(I)のモノマー(テスト21および22)(ここで、m=25、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'基は式(II)の基を表し、p+q=9、r=0である)(オキソ用語ではC12EO25といわれる)。
このポリマーは上記と同じ手順で水である反応媒体中で上記の全てのモノマーを接触させて得られる。
【0081】
観察
テスト20〜22の結果はテスト14〜19で得られた結果と一致し、低ブルックフィールド(登録商標)粘度が観測される。これらは商業的に重要な乾燥抽出でハンドリング可能な安定したHASEタイプの予備中和されたエマルションであり、フェノールを含まず、水溶液でラテックスを増粘できる。
【0082】
テスト23〜27
これらのテストは本発明外のものを示し、特に上記テスト使用したものとは異なる結合性モノマーで実行し、ノニルフェノールは含まない。2,110ppmのドデシルメルカプタンである連鎖移動剤を含む場合(テスト25〜27)または含まない場合(テスト23、24)がある。下記の重量%の各モノマーから成るポリマーの水性エマルジョンである:
(a)35.5%メタアクリル酸、
(b)52.5%アクリル酸エチル、
(c)12.5%の下記モノマー:
【0083】
テスト23では、式(I)のモノマー(ここで、m=36、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'は2−ヘキシル-1−ドデカンニルである(イソC20EO36とよばれる)、
テスト24では、式(I)のモノマー(ここで、m=25、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'は12個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を表す(C12EO25と呼ばれる)、
テスト25では、テスト23と同じモノマー、
テスト26では、式(I)のモノマー(ここで、m=23、n=0、EOはエチレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'は12個の炭素原子を有する直鎖アルキル基を表す、
テスト27ではテスト26と同じモノマー(この特定テストでは5,600ppmのメルカプタンを使用して実行する)、
上記ポリマーは上記と同じ手順で、水である反応媒体中で上記の全てのモノマーを接触させて得た。
【0084】
観察
テスト23〜27は本発明に含まれないモノマーを選択するか、連鎖移動剤を使用しないものを選択したものは、乾燥抽出物で10rpmで測定したブルックフィールド(Brookfield、登録商標)粘度が極めて急速に上昇するのが観測される。従って、これらのエマルションは粘性が極めて高いため予備中和に適していない。
最大量の連鎖移動剤(5,600ppm)を用いて実行したテスト19とテスト27との比較によって、レオロジーに関して本発明のエマルションが最善の結果が得られることがわかる。
テスト23〜27では乾燥抽出物が20%で、予備中和されたハンドリング可能なエマルションにならないため、アクリルバインダでのテストができなかった。
されてはなら
【0085】
テスト28
このテストは本発明外のもので、コアテックス(COATEX)社からRheotech(登録商標)2100の名称で市販の、ノニルフェノールを含む、HASEポリマーのエマルションで実行した。
観察
25%の乾燥抽出物で、10rpmで測定した非常に低いブルックフィールド(登録商標)粘度値と、ラテックスバインダで剪断勾配とは無関係に顕著な増粘力が観測された。しかも、このエマルションはノニルフェノールを含む。
【0086】
テスト29、30
これらのテストは本発明外のものを示し、本発明の特定のモノマーを含まず、ローム(ROHM & HAAS)社からAcrysol(登録商標)615およびAcrysol(登録商標)TT935の名称で市販のHASEポリマーのエマルションで実行した
観察
これらのエマルションも粘度に関して満足なものでなく、10%の乾燥抽出物でも10rpmで測定したブルックフィールド(登録商標)粘度が極めて高い。そのため、アクリルバインダでのテストはしていない。
【0087】
【表3】

【0088】
【表4】

【0089】
【表5】

【0090】
[表5]から本発明のエマルションを用いることでレオロジカル挙動が大きく変化する配合組成物にすることができることがわかる。
【0091】
実施例4
このテストは水溶性ゲルを増粘するために従来技術(HASE)および本発明の結合性増粘剤を用いて実行した。テスト31〜33の各々では、40グラムの脱イオン水と、175グラムのDSMTM社から市販のNeocryl XK90のアクリルバインダとを含む215グラムの水溶液中に、10.7グラムのテストする同じ量の増粘剤と、1グラムの28%水酸化アンモニウム溶液中和溶液とを導入した。このプロトコルはテスト1で記載のものと同じである。
【0092】
テスト31〜33
これらのテストは本発明を示し、ドデシルメルカプタンである連鎖移動剤の量を増加して使用し(本発明の製造方法の好ましい変形例)、下記重量%の各モノマーから成るポリマーの水性エマルジョンに関するものである:
(a)35.5%メタアクリル酸、
(b)52.5%アクリル酸エチル、
(c)12.0%の式(I)のモノマー(ここで、EOはエチレンオキシドを表し、POはプロピレンオキシドを表し、Rはメタクリレート基を表し、R'は式(II)の基を表し、p+q=9、r=0(オキソ用語でC19EO30とよばれる)であた、テスト31ではm=50、n=0、テスト32ではm=40、n=10、テスト33ではm=15、n=0である)
【0093】
これらのポリマーは、水である反応媒体中で560ppmのドデシルメルカプタンの存在下で上記の全てのモノマーを接触させて得られる。テスト14と比較して、ここではエチレンおよびプロピレンオキシド単位の数を変えた。
【0094】
[表6]は10rpmおよび100rpmでのブルックフィールド(登録商標)粘度(ブルョク10rpm、ブルック100rpmm、Pa.s)、ストルマー(Stormer、登録商標)(KU)および10rpmでのブルックフィールド(登録商標)粘度とICI(登録商標)粘度との間の関係を示す。
【0095】
【表6】

【0096】
これらの結果は本発明のHASEポリマーは従来技術のHASEポリマー(RM5)より著しく高いニュートニアン・プロフィルを示し、高剪断勾配下でのより大きな増粘効果を有することを示している。
ニュートニアン特性のレベルで、アルキルフェノールを含製品Rheotech(登録商標)2100の運転性能と少なくとも等しくなり、ICI粘度に関しては大きく改良される。
【0097】
実施例5
このテストは水溶性ゲルの増粘のために、従来法(HASE)および本発明の結合性増粘剤で実行した。テスト34〜36の各々で、40グラムの脱イオン水と、175グラムのDSM社から市販のNeocrylXK90のアクリルバインダとから成る215グラムの水溶液中に、テストする固定量(10.7グラム)の増粘剤と1グラムの28%水酸化アンモニウム中和溶液とを導入する。このプロトコルはテスト1に記載のものと同じである。
【0098】
テスト34〜36
これらのテストは本発明を示し、ドデシルメルカプタンである連鎖移動剤の量を増加して使用し(本発明の製造方法の好ましい変形例)、下記重量%の各モノマーから成るポリマーの水性エマルジョンに関するものである:
(a)テスト34、35、36でそれぞれ38%、36%、33%のメタアクリル酸、
(b)テスト34、35、36でそれぞれ57%、56%、54%のアクリル酸エチル、
(c)テスト34、35、36でそれぞれ5%、8%、15%の式(I)のモノマー(ここで、EOはエチレンオキシドを表し、m=30、n=0、Rはメタクリレート族を表し、R'は式(II)の基を表し、p+q=9、r=0(オキソ用語でC12EO30とよばれる)。
【0099】
これらのポリマーは水である反応媒体中で560ppmのドデシルメルカプタンの存在下で上記の全てのモノマーを接触させて得られる。比較例のテスト14ではモノマー比を変えた。
[表7]は10rpmおよび100rpmでのブルックフィールド(登録商標)粘度(ブルック10rpm、ブルック100rpmm、Pa.s)、ストルマー(Stormer、登録商標)(KU)および10rpmでのブルックフィールド(登録商標)粘度とICI(登録商標)粘度との間の関係を示す。
【0100】
【表7】

【0101】
この結果は本発明のHASEポリマーは、従来法のHASEポリマー(RM5)より著しく高いニュートニアン・プロフィルを示し、高剪断勾配ではるかに大きな増粘効果を有するということを示している。
ニュートニアン特性のレベルでアルキル・フェノールを含む製品Rheotech(登録商標)2100の性能に少なくとも等しくなり、ICI粘度に関しては大きく改良される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)のモノマー:
R−(EO)m−(PO)n−R'
[ここで、
mおよびnは150以下の整数であり、その少なくとも一方はゼロではなく、
AおよびBは2〜4個の炭素原子を有する、互いに異なるアルキル基を表し、
EO基はエチレンオキシドを表すのが好ましく、
PO基はプロピレンオキシドを表すのが好ましく、
Rは重合可能な不飽和基を表し、メタクリレート基であるのが好ましく、
R'は下記式(II)に属する少なくとも一つの基から成ること特徴とするモノマー:
CH3−(CH2p−CH(CH2rCH3−(CH2q
(ここで、pおよびqは整数で、少なくともその一つはゼロではなく、5<p+q<13であり、rは0に等しい整数である)]
【請求項2】
n=0、EOはエチレンオキシドを表し、mが20〜40の間にある請求項1に記載のモノマー。
【請求項3】
下記(a)〜(c)から成るHASE−タイプのポリマー:
(a)(メタ)アクリル酸、
(b)少なくとも一種の(メタ)アクリル酸のエステル、
(c)下記式(I)の少なくとも一つのモノマー:
R−(EO)m−(PO)n−R'
[ここで、
mおよびnは150以下の整数であり、その少なくとも一方はゼロではなく、
AおよびBは2〜4個の炭素原子を有する、互いに異なるアルキル基を表し、
EO基はエチレンオキシドを表すのが好ましく、
PO基はプロピレンオキシドを表すのが好ましく、
Rは重合可能な不飽和基を表し、メタクリレート基であるのが好ましく、
R'は下記式(II)に属する少なくとも一つの基から成る:
CH3−(CH2p−CH(CH2rCH3−(CH2q
(ここで、pおよびqは整数で、少なくともその一つはゼロではなく、5<p+q<13であり、rは0に等しい整数である)]
【請求項4】
各モノマーが下記重量%で表される請求項3に記載のポリマー:
(a)20%〜50%、好ましくは35%〜45%の(メタ)アクリル酸、
(b)40%〜70%、好ましくは45%〜55%の少なくとも一種の(メタ)アクリル酸のエステル、
(c)2%〜20%、好ましくは3%〜15%の上記式(I)の少なくとも一つのモノマー。
【請求項5】
上記式(I)のモノマーで、n=0、BOがエチレンオキシドを表し、mが20〜40の間にある請求項3または4に記載のポリマー。
【請求項6】
反応媒体中で下記を互いに接触させて、HASE−タイプのポリマーを製造する方法:
(a)(メタ)アクリル酸、
(b)少なくとも一種の(メタ)アクリル酸のエステル、
(c)下記式(I)の少なくとも一つのモノマー:
R−(EO)m−(PO)n−R'
[ここで、
mおよびnは150以下の整数であり、その少なくとも一方はゼロではなく、
AおよびBは2〜4個の炭素原子を有する、互いに異なるアルキル基を表し、
EO基はエチレンオキシドを表すのが好ましく、
PO基はプロピレンオキシドを表すのが好ましく、
Rは重合可能な不飽和基を表し、メタクリレート基であるのが好ましく、
R'は下記式(II)に属する少なくとも一つの基から成る:
CH3−(CH2p−CH(CH2rCH3−(CH2q
(ここで、pおよびqは整数で、少なくともその一つはゼロではなく、5<p+q<13であり、rは0に等しい整数である)]
成分(a)、(b)および(c)を互いに接触させる前および/または接触中および/または後に、反応媒体中に少なくとも一つの連鎖移動剤を導入することができる。
【請求項7】
連鎖移動剤を使用し、成分(a)、(b)および(c)の総重量に対して1,500ppm〜4,000ppmの量で反応媒体中に導入する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記式(I)のモノマーで、n=0、EOがエチレンオキシドを表し、mが20〜40の間にある請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
反応媒体が水と有機溶剤とから成る請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
連鎖移動剤をN−ドデシルメルカプタン、N−デシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン(DMDO、CAS番号:14970−87−7)、チオ乳酸)の中から選択する請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
請求項3〜5のいずれか一項に記載のHASE−タイプポリマーの、水溶性配合組成物の増粘剤としての使用。
【請求項12】
水ベースのペイントであることを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載のHASE−タイプポリマーを含む水溶性配合組成物。

【公表番号】特表2013−520546(P2013−520546A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554431(P2012−554431)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000327
【国際公開番号】WO2011/104599
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(398051154)コアテツクス・エス・アー・エス (35)
【Fターム(参考)】