説明

オシロスコープ制御システム及びそれに用いるオシロスコープ制御方法

【課題】 複雑な機構や制御を採用することなく、手を使わずに容易にかつ精度良くオシロスコープを操作可能なオシロスコープ制御システムを提供する。
【解決手段】 オシロスコープ制御システムは、波形を観測するための波形入力端子(11)と、波形入力端子から入力された波形データの記録タイミングを制御するトリガ回路(19)とを少なくとも含むオシロスコープ(1)における測定制御を行う。オシロスコープ制御システムは、オシロスコープ(1)に取り付けられかつオシロスコープ(1)の使用者の音声を認識する音声認識機器(2)を有する。オシロスコープ(1)は、波形の測定時に当該波形のトリガ状態を確認する確認手段(マイクロプロセッサ16)を有し、確認手段(16)が波形にトリガがかかっている状態を確認した場合に音声認識機器(2)の認識結果を基に使用者の音声入力によるオシロスコープ(1)の制御を有効化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオシロスコープ制御システム及びそれに用いるオシロスコープ制御方法に関し、特にオシロスコープにおける測定制御に関する。
【背景技術】
【0002】
オシロスコープを使用して波形を観測する場合は、プローブを手で持って測定点の波形を観測する必要がある。この時、観測した波形を記録等しようとする場合は、手でオシロスコープ本体を操作することになり、波形をHOLDしようと、本体を操作する際にプローブを持つ手の状態がぶれてプローブと測定点との接触がずれ、波形入力がとぎれてしまうことがある。
【0003】
また、オシロスコープを使用して波形を観測する場合は、観測した波形を確認・保存する際に、いちいち手を使ってオシロスコープ本体を操作するため、その都度、波形観測を中断する必要があり、評価効率が悪い。
【0004】
さらに、複数のチャンネルを使用して複数点の波形観測を実施する場合は、両手でプローブを持って操作する必要があり、その状態ではオシロスコープ本体を操作することさえ困難である。
【0005】
つまり、オシロスコープにおける測定においては、(1)波形を記録する時に、一度測定を中断し、ストレージ操作する必要があり、評価効率が非常に悪い、(2)操作者が波形観測を実施する際多くの場合において、手でプローブを持って波形観測を実施するため、波形をHOLDしようと、本体を操作する際にプローブを持つ手の状態がぶれてプローブと測定点との接触がずれて波形入力がとぎれてしまうことがあり、(3)複数の波形を同時に観測する時に、両手でプローブを押さえる場合もあり、波形保存の際に第3者に協力を依頼してオシロスコープを操作してHOLDしてもらう等、1人では波形観測が困難な状況も存在するという課題がある。
【0006】
下記の特許文献1では、小型、ハンズフリーのパネル操作、どこを向いても波形が見られ、チャネル数の増設の容易なオシロスコープを実現することで、上記の課題を解決している。
【0007】
このオシロスコープは、プローブから入力した波形をAD(アナログ/ディジタル)変換してメモリに記憶する波形収集部と、波形収集部から送られてくる波形データを無線又は有線で受信し、専用のメガネで波形を表示する表示操作部とで構成されている。
【0008】
専用のメガネは、音声認識用のマイクを備え、このマイクで音声を取り込み、その取り込んだ音声に対してメガネ内部で音声認識を行い、その結果をオシロスコープ本体側へ無線で転送することで、オシロスコープにおける測定制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平08−304464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のオシロスコープでは、専用のメガネに、音声認識用のマイクと、音声認識を行う手段と、その結果をオシロスコープ本体側へ無線で転送する手段とを必要とするため、オシロスコープにおける測定制御を行う専用のメガネの機構とその制御とが複雑になってしまうという課題がある。
【0011】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、複雑な機構や制御を採用することなく、手を使わずに容易にかつ精度良くオシロスコープを操作することができるオシロスコープ制御システム及びそれに用いるオシロスコープ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるオシロスコープ制御システムは、波形を観測するための波形入力端子と、前記波形入力端子から入力された波形データの記録タイミングを制御するトリガ回路とを少なくとも含むオシロスコープにおける測定制御を行うオシロスコープ制御システムであって、
前記オシロスコープに取り付けられかつ前記オシロスコープの使用者の音声を認識する音声認識機器を備え、
前記オシロスコープは、前記波形の測定時に当該波形のトリガ状態を確認する確認手段を備え、
前記確認手段が前記波形にトリガがかかっている状態を確認した場合に前記音声認識機器の認識結果を基に前記使用者の音声入力による前記オシロスコープの制御を有効化している。
【0013】
本発明によるオシロスコープ制御方法は、波形を観測するための波形入力端子と、前記波形入力端子から入力された波形データの記録タイミングを制御するトリガ回路とを少なくとも含むオシロスコープにおける測定制御を行うオシロスコープ制御方法であって、
前記オシロスコープの使用者の音声を認識する音声認識機器を前記オシロスコープに取り付け、
前記オシロスコープが、前記波形の測定時に当該波形のトリガ状態を確認する確認処理を実行し、
前記確認処理において前記波形にトリガがかかっている状態を確認した場合に前記音声認識機器の認識結果を基に前記使用者の音声入力による前記オシロスコープの制御を有効化している。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、複雑な機構や制御を採用することなく、手を使わずに容易にかつ精度良くオシロスコープを操作することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるオシロスコープ制御システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1に示すマイクロプロセッサの動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すマイクロプロセッサの動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施の形態における音声照合部の波形保存実施時の動作を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるマイクロプロセッサの波形保存実施時の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第3の実施の形態における音声照合部の波形保存、波形取得再開時の動作を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態におけるマイクロプロセッサの波形保存、波形取得再開時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明によるオシロスコープ制御システムの概要について説明する。本発明は、音声認識を測定器のトリガとして利用する場合ならではの特徴として、オシロスコープの独自機能である波形表示の状態確認を行い、その結果を制御のファクタにしていることに大きな特徴がある。
【0017】
本発明によるオシロスコープ制御システムでは、オシロスコープ内部のマイクロプロセッサで波形表示確認を実施することで波形が安定状態、もしくは静止状態の時にのみ、音声認識を有効とすることができ、単純な音声認識機能だけを備えた場合に比べ、誤動作のリスク減少、処理の簡略化、制御動作精度の向上、及び複雑な機構や制御を採用することなく、手を使わずに容易にかつ精度良くオシロスコープを操作することができる。
【0018】
波形表示状態の確認は、オシロスコープを扱うならば、波形測定中に操作者誰もが目で確認する事項である。それをオシロスコープ内部のマイクロプロセッサで確認し、音声認識による制御を実施するかどうかのファクタとすることは測定器のトリガとして非常に最適であり、最低限の処理で音声認識を実評価における多くの場面で動作精度を良くすることができる。
【0019】
大部分の測定者は、波形が安定したら波形を止めて確認、確認が完了したら波形を保存、満足する波形でないなら再測定という動作をするため、波形表示確認をマイクロプロセッサで実施することで、波形状態による有効な動作パターンをある程度特定することができる。
【0020】
本発明によるオシロスコープ制御システムは、オシロスコープにおいて、波形表示状態を確認する機能と音声認識機能とを併用することで、操作者の声でオシロスコープ本体を任意に操作することを可能とし、操作者の手を妨げることなく、波形観測を精度良く実施できることを可能にする。
【0021】
つまり、本発明によるオシロスコープ制御システムでは、オシロスコープで波形を観測する場合に、音声認識機能と、音声入力時に入力波形を確認する機能とを有することで、上記の課題を解決している。
【0022】
本発明によるオシロスコープ制御システムでは、オシロスコープの使用者が波形を観測する際に、特定のキーワード(語彙)をオシロスコープに音声として入力してやることで、オシロスコープ内部のマイクロプロセッサがそれを音声フラグとして認識し、表示している波形を一時停止(画面保存)する。
【0023】
また、本発明によるオシロスコープ制御システムでは、この時、オシロスコープの波形表示状態を確認する機能を使用することで、音声入力による制御を有効とするタイミングを任意のタイミングに調整する。
【0024】
本発明によるオシロスコープ制御システムでは、波形測定時にオシロスコープ内部のマイクロプロセッサにて波形のトリガ状態を確認する。波形トリガのON/OFF状態は、オシロスコープ内部のトリガ回路にて簡単に判別することができるため、トリガがかかっている状態でのみ音声入力による制御を有効化することで、オシロスコープの音声入力受付期間を簡単な処理で絞り込むことができる。
【0025】
また、この場合は、波形記録が必要ない場面での無駄な動作を抑え、有効な波形データを観測している状態でのみ音声入力による波形記録を実施することができる。
【0026】
このように、本発明では、オシロスコープに音声認識機器を取り付け、オシロスコープ内部に入力波形状態を確認する機能を有することで、測定者の声を認識して高精度でかつ簡単な処理でオシロスコープの状態を声で任意に操作することが可能なため、上記の課題を解決することができる。
【0027】
図1は本発明の第1の実施の形態によるオシロスコープ制御システムの構成例を示すブロック図である。図1において、本発明の第1の実施の形態によるオシロスコープ制御システムは、オシロスコープ1と、音声認識機器2とから構成されている。
【0028】
オシロスコープ1は、プローブ(波形入力端子部)11と、アッテネータ12と、増幅部13と、A/D(アナログ/ディジタル)変換部14と、取得メモリ部15と、マイクロプロセッサ16と、ディスプレイメモリ17と、ディスプレイ18と、トリガ回路19とから構成されている。
【0029】
音声認識機器2は、音声認識部(マイク)21と、A/D変換部22と、音声照合部23と、語彙登録部24とから構成されている。
【0030】
本発明の第1の実施の形態によるオシロスコープ制御システムは、ディジタルオシロスコープにおける波形が安定して表示されている状態でのみ音声制御を実施するシステムである。
【0031】
オシロスコープ1において、プローブ11は、波形を観測し、アッテネータ12及び増幅部13は、プローブ11から入力された波形を適切なレベルに調整する。A/D変換部14は、入力波形信号をアナログからディジタルに変換し、取得メモリ部15は、ディジタル信号に変換された波形を記録する。
【0032】
マイクロプロセッサ16は、取得メモリ部15に記録した波形信号に対して処理・制御を実施する。ディスプレイメモリ17は、ディスプレイ18に表示する信号情報を格納し、ディスプレイ18は、信号情報を波形として表示する。トリガ回路19は、取得メモリ部15への波形データの記録タイミングを制御する。
【0033】
また、音声認識機器2において、音声認識部(マイク)21は、マイクから入力された音声に対して音声認識を実施する。A/D変換部22は、音声認識された情報をアナログからディジタルに変換する。音声照合部23は、ディジタル変換された音声情報を照合する。語彙登録部24は、音声照合部23での音声照合に用いる音声情報が登録されている。
【0034】
図2及び図3は図1に示すマイクロプロセッサ16の動作を示すフローチャートである。これら図1〜図3を参照して本発明の第1の実施の形態によるオシロスコープ制御システムの動作について説明する。本実施の形態では、波形観測時に音声により波形を任意にHOLDすることができ、測定時に手を使わずに波形を止めることを可能にすることで、評価効率を大幅に改善するものである。
【0035】
まず、プローブ11から波形が入力されると、入力された波形信号は、アッテネータ12に入り、適切なレベルに減衰される。次に、入力された波形信号は、増幅部13で増幅され、A/D変換部14でアナログの波形データがディジタルデータに変換される。この時、A/D変換する際には、任意のサンプリングレートでサンプリングされるが、本実施の形態においてサンプリング周波数に対する制限はない。
【0036】
次に、A/D変換部14でディジタルデータに変換された波形データは、取得メモリ15に格納される。取得メモリ15に記録されるタイミングは、トリガ回路21によって制御される。
【0037】
次に、マイクロプロセッサ16にて必要に応じて画像処理が実施される。マイクロプロセッサ16によって処理を実施した後、波形データは、ディスプレイメモリ17に転送され、ディスプレイ18に波形として表示される。
【0038】
ここまで、波形入力から波形表示までの基本動作を説明したが、ここまでは一般的なディジタルオシロスコープと同様の作用である。しかしながら、本発明では、オシロスコープ1における上記の基本機能に加え、次の機能を搭載する。
【0039】
音声認識部21から測定者の声を取り込み、取り込んだ音声情報をデータとして取り扱うためにA/D変換部22にて音声データをディジタル情報に変換する。ディジタルデータに変換された音声データは、音声照合部23に入力され、特定のキーワードかどうかの判別を実施する。
【0040】
音声照合部23では、語彙登録部24に事前に登録してある音声データと照合し、特定のキーワード(例えば、「STOP」、「止まれ」、「停止」等)と合致した場合に、「音声情報有り」というフラグをマイクロプロセッサ16に出力する。
【0041】
また、マイクロプロセッサ16内部では、図2に示すようなフロー(マイクロプロセッサ16の内部フローS1)で処理を実施する。マイクロプロセッサ16は、波形取得メモリ15に格納された波形データの読み出しを行い(図2ステップS11)、必要に応じて波形データに対して信号処理を施す(図2ステップS12)。
【0042】
マイクロプロセッサ16は、上述した音声情報フラグ、トリガ状態を確認する(図2ステップS13)。トリガ状態の確認に関しては、上述した図1にあるトリガ回路19によってかけられるため、その状態をマイクロプロセッサ16によって判別することにより行う。
【0043】
この時、波形に対してトリガそのものが安定してかかっているかどうかが重要であるため、トリガとして設定するスレッッショルド電圧の値は影響を及ぼさないため、任意の条件で問題ない。
【0044】
また、ステップS13の詳細な確認シーケンスを図3に示す。図3に示すように、マイクロプロセッサ16は、ステップS13の処理において、トリガ状態と音声情報フラグの有無とを確認し(図3ステップS21,S22)、トリガON状態及び音声情報フラグ有りの場合のみ波形の描画を停止(表示画面をHOLD)する(図3ステップS23)。
【0045】
マイクロプロセッサ16は、トリガOFF状態(図3ステップS21のNO)、またはトリガONで音声情報フラグ無しの場合(図3ステップS21のYES,S22のNO)に、通常通り、波形描画を実施する(図3ステップS24)。
【0046】
音声情報フラグとトリガ情報との双方を使用して制御している理由は、音声情報フラグだけでは意図したタイミングで波形取得ができない可能性があるからである。
【0047】
本発明で採用する音声認識部(マイク)21の感度によっては、観測者以外の音声を認識してしまう可能性があり、場合によっては観測者が意図しないタイミングで波形停止(表示画面をHOLD)がされてしまう可能性がある。
【0048】
トリガがかかっている状態では、トリガ回路19が取得メモリ部15にデータが書き込まれるタイミングを制御してオシロスコープ1の画面上で入力信号が同じ位置に表示され安定するため、波形停止の条件として音声情報フラグと波形トリガONとを組み合わせることで、安定した状態で波形を観測している場合に限定して音声認識によってオシロスコープ1を操作することができ、波形観測者が意図しないタイミングでの誤動作を防止し、動作精度を向上させることができる。
【0049】
本実施の形態では、上記の内容によって、簡単な処理で波形観測者が波形測定時において観測者の声によりオシロスコープ1を制御することが可能になり、従来までの課題であった波形観測完了時にわざわざ手を止めてオシロスコープ1の本体を操作する必要がなくなり、評価効率を大きく向上させることができる。
【0050】
このように、本実施の形態では、従来までの課題であった波形観測完了時にわざわざ手を止めてオシロスコープ1の本体を操作する必要がなくなり、評価効率を大きく向上させることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、波形表示停止時に声でオシロスコープ1の本体を操作するので手の状態が不変になり、測定点にしっかりとプローブ11を当てた状態のまま波形保存できるので、測定点とプローブ11との接触不良要素が減り、波形の観測精度を向上させることができる。
【0052】
つまり、本実施の形態では、オシロスコープ1に音声認識機器2を取り付け、オシロスコープ1内部に入力波形状態を確認する機能を有することで、測定者の声を認識して高精度でかつ簡単な処理でオシロスコープ1の状態を声で任意に操作することが可能なため、上記の課題を解決することができる。
【0053】
上述した説明では、本発明の最も基本的な構成として波形測定者の声でオシロスコープ1の表示を停止させる機能について述べたが、もちろん本発明における機能は上述した機能のみに限定されるものではない。
【0054】
本発明の第2の実施の形態では、上述した基本機能を応用して音声認識を使用し、さらに声で波形保存まで実施している。本実施の形態によるオシロスコープ制御システムの全体構成は図1に示す本発明の第1の実施の形態と同様であるが、音声照合部及びマイクロプロセッサにおける処理に工夫を凝らしている。
【0055】
図4は本発明の第2の実施の形態における音声照合部の波形保存実施時の動作を示す図であり、図5は本発明の第2の実施の形態におけるマイクロプロセッサの波形保存実施時の動作を示すフローチャートである。
【0056】
まず、本実施の形態における音声照合部の動作について図4を参照して説明する。入力された音声データを音声照合部23aで語彙登録部24aの情報を基に判別を実施することに変わりはないが、本実施の形態による構成では、語彙登録部24aに登録しているキーワードを用途に応じて語彙群(1)(241)と語彙群(2)(242)とにグループ分けしてある。
【0057】
この場合、波形表示停止用の語彙である「停止」、「ホールド」、「ストップ」等を語彙群(1)に、波形保存用語彙である「保存」、「セーブ」、「記録」等を語彙群(2)に設定している(もちろん、先に示した語彙はあくまで一例であり、任意に設定することができる)。
【0058】
音声照合部23aでは、測定者の声を音声データとして照合し、音声を語彙群(1)に含まれる語句を認識した場合に音声フラグ#1を、語彙群(2)に含まれる語句と認識した場合に音声フラグ#2をそれぞれマイクロプロセッサ16に出力する。
【0059】
マイクロプロセッサ16の動作(マイクロプロセッサ16の内部フローS1a)については、図5を参照して説明する。本実施の形態では、マイクロプロセッサ16の動作において、上述した図2と比較して、ステップS13の処理が変更されている。
【0060】
本実施の形態では、ステップS13の処理において、トリガON、音声フラグ#1を認識した場合に波形表示を停止する。この時、波形表示停止中に波形測定者が語彙群(2)に登録してあるキーワードを喋ると、音声認識部21がそれを取得し、図4に示す動作で音声フラグ#2がマイクロプロセッサ16に入力される。
【0061】
マイクロプロセッサ16は、波形表示状態及び音声フラグ#2の有無を確認し(図5ステップS15)、波形停止中でかつ音声フラグ#2が入力された状態でのみ、ストレージ機器(図示せず)に現在表示を固定している波形データの保存を実施する。
【0062】
さらに、本発明の第3の実施の形態では、波形表示停止中に声により波形表示を再開している。本実施の形態によるオシロスコープ制御システムの全体構成は図1に示す本発明の第2の実施の形態と同様であるが、音声照合部及びマイクロプロセッサにおける処理に工夫を凝らしている。
【0063】
図6は本発明の第3の実施の形態における音声照合部の波形保存実施時の動作を示す図であり、図7は本発明の第3の実施の形態におけるマイクロプロセッサの波形保存実施時の動作を示すフローチャートである。
【0064】
図6に示すように、本実施の形態では、波形表示再開用の語彙群として語彙群(3)(243)を語彙登録部24bに設定している。この時、音声照合部23bでは、語彙群(3)の単語を認識した場合に音声フラグ#3をマイクロプロセッサ16に出力する。
【0065】
マイクロプロセッサ16では、図7に示すように、マイクロプロセッサ16の内部フローS1bにおいて、波形表示停止中に音声フラグ#2が入力された場合(図7ステップS16)、図5と同様に、ストレージ機器へ保存し、音声フラグ#3が入力された場合(図7ステップS16)、波形表示を再開する。
【0066】
本実施の形態では、これらの方法により、波形観測者がプローブ11で波形を測定時に手を使わずに観測波形確認→波形表示を停止(取得したい波形のHOLD)→波形をストレージ機器への保存→再観測の一連の流れをスムーズに行うことができ、評価効率の大幅向上、及びプローブ11を測定点に当て続けたままにできるため、プローブ11の接触不安定要素が減り、波形観測の精度を上げることが可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 オシロスコープ
2 音声認識機器
11 プローブ
12 アッテネータ
13 増幅部
14,22 A/D変換部
15 取得メモリ部
16 マイクロプロセッサ
17 ディスプレイメモリ
18 ディスプレイ
19 トリガ回路
21 音声認識部
23,23a,23b 音声照合部
24,24a,24b 語彙登録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波形を観測するための波形入力端子と、前記波形入力端子から入力された波形データの記録タイミングを制御するトリガ回路とを少なくとも含むオシロスコープにおける測定制御を行うオシロスコープ制御システムであって、
前記オシロスコープに取り付けられかつ前記オシロスコープの使用者の音声を認識する音声認識機器を有し、
前記オシロスコープは、前記波形の測定時に当該波形のトリガ状態を確認する確認手段を有し、
前記確認手段が前記波形にトリガがかかっている状態を確認した場合に前記音声認識機器の認識結果を基に前記使用者の音声入力による前記オシロスコープの制御を有効化することを特徴とするオシロスコープ制御システム。
【請求項2】
前記音声認識機器は、前記使用者から特定のキーワードが音声として入力された場合に当該音声の入力を音声フラグとして前記確認手段に通知し、
前記確認手段は、前記波形にトリガがかかっている状態を確認した場合に前記音声認識機器からの音声フラグを有効として、前記オシロスコープに表示している波形を一時停止して前記波形データを保存することを特徴とする請求項1記載のオシロスコープ制御システム。
【請求項3】
前記音声認識機器は、前記特定のキーワードを予め記憶する記憶手段と、前記使用者の音声が前記記憶手段に記憶された前記特定のキーワードかどうかを判別する照合手段とを含み、
前記照合手段は、前記使用者の音声が前記特定のキーワードと一致した場合に当該キーワードに対応する音声フラグを前記確認手段に通知することを特徴とする請求項2記載のオシロスコープ制御システム。
【請求項4】
前記トリガ回路は、前記波形に対する前記トリガのON/OFF状態を判別することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載のオシロスコープ制御システム。
【請求項5】
波形を観測するための波形入力端子と、前記波形入力端子から入力された波形データの記録タイミングを制御するトリガ回路とを少なくとも含むオシロスコープにおける測定制御を行うオシロスコープ制御方法であって、
前記オシロスコープの使用者の音声を認識する音声認識機器を前記オシロスコープに取り付け、
前記オシロスコープが、前記波形の測定時に当該波形のトリガ状態を確認する確認処理を実行し、
前記確認処理において前記波形にトリガがかかっている状態を確認した場合に前記音声認識機器の認識結果を基に前記使用者の音声入力による前記オシロスコープの制御を有効化することを特徴とするオシロスコープ制御方法。
【請求項6】
前記音声認識機器が、前記使用者から特定のキーワードが音声として入力された場合に当該音声の入力を音声フラグとして前記オシロスコープに通知し、
前記オシロスコープが、前記確認処理において、前記波形にトリガがかかっている状態を確認した場合に前記音声認識機器からの音声フラグを有効として、前記オシロスコープに表示している波形を一時停止して前記波形データを保存することを特徴とする請求項5記載のオシロスコープ制御方法。
【請求項7】
前記音声認識機器に、前記特定のキーワードを予め記憶する記憶手段を設け、
前記音声認識機器が、前記使用者の音声が前記記憶手段に記憶された前記特定のキーワードかどうかを判別し、前記使用者の音声が前記特定のキーワードと一致した場合に当該キーワードに対応する音声フラグを前記オシロスコープに通知することを特徴とする請求項6記載のオシロスコープ制御方法。
【請求項8】
前記トリガ回路が、前記波形に対する前記トリガのON/OFF状態を判別することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか記載のオシロスコープ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−158405(P2011−158405A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21702(P2010−21702)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)