説明

オステオプロテゲリン結合性蛋白および受容体

【課題】破骨細胞分化に関連するポリペプチドを含有する医薬組成物の提供。
【解決手段】破骨細胞の成熟に関連する新規ポリペプチドであるオステオプロテゲリン結合性蛋白が、オステオプロテゲリンへの親和性に基づいて同定される。ポリペプチドをコードする核酸配列、またはそのフラグメント、類似体もしくは誘導体、製造のためのベクターおよび宿主細胞、オステオプロテゲリン結合性蛋白の調製方法、および結合アッセイも記載される。骨粗鬆症、関節炎または転移による骨損失、高カルシウム血症、およびページェット病のような骨疾患の治療のための組成物および方法も提供される。オステオプロテゲリン結合性蛋白のための受容体も記載される。その受容体、作用薬および拮抗薬を用いて骨疾患を治療することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破骨細胞分化に関連するポリペプチドに関する。より詳しくは、本発明は、オステオプロテゲリン(osteoprotegerin)結合性蛋白、その蛋白をコードする核酸、その蛋白を製造するための発現ベクターおよび宿主細胞、および結合アッセイに関する。骨粗鬆症、関節炎による骨損失、ページェット病、および高カルシウム血症のような骨疾患の治療のための組成物および方法も記載されている。
【0002】
本発明は、また、オステオプロテゲリン結合性蛋白のための受容体、ならびにその受容体を用いた骨疾患の治療のための方法および組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
生体骨組織は、骨の沈着と再吸収との間の動的平衡を示す。これらの方法は、主に2つの細胞型により媒介される:すなわち、骨の有機マトリクスを含む分子を分泌する骨芽細胞と;骨マトリクスの溶解および骨塩の可溶化を促進する破骨細胞である。骨が成長している若い個体においては、骨沈着の速度が骨再吸収の速度を超えており、一方、歳をとった個体においては、再吸収速度が沈着を超え得る。後者の状況においては、骨の破壊が増加することで、骨の体積および強度が低下し、骨折の危険性が増加し、折れた骨の修復が遅れるまたは不完全になる。
【0004】
破骨細胞は、骨髄中の造血前駆細胞から形成される巨大貧食多核細胞である。成熟機能性破骨細胞の成長および形成は十分に理解されていないが、破骨細胞は、種々の成長促進因子への露出に反応して単核/大食細胞系列と共に成熟すると考えられている。骨髄前駆細胞の前破骨細胞への初期の発達は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、腫瘍壊死因子−β(TNF−β)、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−6(IL−6)、および白血病抑制因子(LIF)のような可溶性因子により媒介されると考えられている。培養において、添加された大食細胞コロニー刺激因子(M−CSF)の存在下に前破骨細胞が形成される。これらの因子は、主に破骨細胞発達の初期段階において作用する。破骨細胞形成の最終段階にポリペプチド因子が関与することが詳細に報告されていない。しかしながら、副甲状腺ホルモンが破骨細胞の形成および活性を刺激し、カルシトニンが、程度は低いが、抑制効果を有することが報告されている。
【0005】
近年、生体外および生体内において破骨細胞の形成を反対方向に制御するオステオプロテゲリン(OPG)と呼ばれる新しいポリペプチド因子が記載されている(共有の同時係属出願中の1995年12月22日付けの米国出願08/577,788、1996年9月3日付けの08/706,945、および1996年12月20日付けの08/771,777(これらはここに参考として取り込まれる);およびPCT出願番号WO96/26271を参照されたい)。OPGは、OPGポリペプチドを発現するトランスジェニックマウスにおいて骨密度を劇的に増加させ、卵巣切除ラットに投与されたときに骨損失の程度を低下させた。生体外破骨細胞形成におけるOPG活性の分析は、OPGは単核/大食細胞前駆体の成長および分化を妨害しないが、単核/大食細胞前駆体からの破骨細胞の分化を遮断する傾向はより大きいことを示した。すなわち、OPGは破骨細胞形成の程度の制御において特異性を有するようである。
【0006】
OPGは、異なる構造的および機能的特性を有する2つのポリペプチド領域を含む。全長ポリペプチドの残基22〜194(N−末端メチオニンは残基1と示される)の周りに広がっているアミノ末端領域は、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)ファミリーの他のメンバー、特にTNFR−2に類似性を示すが、TNFRファミリーメンバーの特徴であるシステインに富む領域が保存される。カルボキシ末端領域に広がっている残基194〜401は、いかなる既知の配列にも有意な類似性を有さない。多くの他のTNFRファミリーメンバーとは異なり、OPGはもっぱら分泌蛋白のみのようであり、膜結合状態としては合成されないようである。
【0007】
破骨細胞形成の負の制御剤としての活性に基づき、OPGが、破砕細胞分化に含まれるポリペプチド因子に結合し、それにより1種または2種以上の末端工程を遮断して成熟破骨細胞の形成を導くことが仮定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第08/577,788号明細書
【特許文献2】米国特許出願第08/706,945号明細書
【特許文献3】米国特許出願第08/771,777号明細書
【特許文献4】国際公開第96/26271号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、OPGと相互作用するポリペプチドを同定することである。そのポリペプチドは、破骨細胞成熟において役割を果たし、骨組織の治療に有用であり得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の要約
腫瘍壊死因子ファミリーの新規メンバーが、親和性プローブとしての組換えOPG−Fc融合蛋白を用いてスクリーニングされたCOS細胞中に発現したマウスcDNAライブラリーから同定された。新しいポリペプチドは、長さが316アミノ酸であると予想される膜貫通OPG結合性蛋白であり、アミノ末端細胞質領域、膜貫通領域、およびカルボキシ末端細胞外領域を有する。本発明のOPG結合性蛋白は、膜に結合している、または可溶性状態である。
【0011】
本発明は、OPG結合性蛋白をコードする核酸、ポリペプチドを発現するベクターおよび宿主細胞、ならびに組換えOPG結合性蛋白を製造するための方法を提供する。OPG結合性蛋白に特異的に結合する抗体またはそのフラグメントも提供される。
【0012】
OPG結合性蛋白は、生物学的サンプルにおけるOPG水準を定量し、OPG結合性蛋白を示す細胞および組織を同定し、新しいOPGおよびOPG結合性蛋白ファミリーメンバーを同定するためのアッセイにおいて用いることができる。OPG結合性蛋白と相互作用する化合物を同定する方法も提供される。そのような化合物は、核酸、ペプチド、蛋白、炭水化物、脂質または低分子量有機分子を含み、OPG結合性蛋白活性の作用薬または拮抗薬のいずれかとして作用することができる。
【0013】
OPG結合性蛋白は破骨細胞分化に関連し、破骨細胞活性の水準は骨の再吸収を調整する。OPG結合性蛋白作用薬および拮抗薬は、破骨細胞形成および骨再吸収を調整し、骨粗鬆症、高カルシウム血症、関節炎転移による骨損失、固定化または歯周病、ページェット病、骨化石症、補綴ゆるみ等のような骨再吸収性の変化を特徴とする骨疾患の治療に用いることができる。OPG結合性蛋白およびOPG結合性蛋白作用薬および拮抗薬を含む薬剤組成物も、本発明の範囲に入る。
【0014】
OPG結合性蛋白のための受容体も、蛍光標識OPG結合性蛋白に結合する骨髄細胞から構成されるマウスcDNAライブラリーから同定された。骨疾患の治療に用いることのできる受容体とのOPG結合性蛋白相互作用の作用薬および拮抗薬を同定するために、受容体を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】OPG結合性蛋白をコードする32D−F3挿入部の構造および配列を示す図。アスパラギン結合炭水化物鎖について予想される膜内外領域および部位にアンダーラインを付す。
【図1B】OPG結合性蛋白をコードする32D−F3挿入部の構造および配列を示す図。アスパラギン結合炭水化物鎖について予想される膜内外領域および部位にアンダーラインを付す。
【図1C】OPG結合性蛋白をコードする32D−F3挿入部の構造および配列を示す図。アスパラギン結合炭水化物鎖について予想される膜内外領域および部位にアンダーラインを付す。
【図1D】OPG結合性蛋白をコードする32D−F3挿入部の構造および配列を示す図。アスパラギン結合炭水化物鎖について予想される膜内外領域および部位にアンダーラインを付す。
【図1E】OPG結合性蛋白をコードする32D−F3挿入部の構造および配列を示す図。アスパラギン結合炭水化物鎖について予想される膜内外領域および部位にアンダーラインを付す。
【図1F】OPG結合性蛋白をコードする32D−F3挿入部の構造および配列を示す図。アスパラギン結合炭水化物鎖について予想される膜内外領域および部位にアンダーラインを付す。
【図1G】OPG結合性蛋白をコードする32D−F3挿入部の構造および配列を示す図。アスパラギン結合炭水化物鎖について予想される膜内外領域および部位にアンダーラインを付す。
【図2A】pcDNA/32D−F3でトランスフェクトしたCOS−7細胞内でのOPG結合性蛋白発現。細胞に、pcDNA/32D−F3 DNAを脂質移入し、ヤギ抗ヒトIgG1アルカリホスファターゼ結合(2次のみ)、ヒトOPG[22−201]−Fc+2次(OPG−Fc)またはキメラATAR細胞外領域−Fc融合蛋白(sATAR−Fc)への結合について検定した。ATARは、TNFRスーパーファミリーの新しいメンバーであり、sATAR−Fc融合蛋白は、32D細胞表面分子へのヒトIgG1 Fc領域の結合及び一般的なTNFR関連蛋白質の両方への対照として作用する。
【図2B】pcDNA/32D−F3でトランスフェクトしたCOS−7細胞内でのOPG結合性蛋白発現。細胞に、pcDNA/32D−F3 DNAを脂質移入し、ヤギ抗ヒトIgG1アルカリホスファターゼ結合(2次のみ)、ヒトOPG[22−201]−Fc+2次(OPG−Fc)またはキメラATAR細胞外領域−Fc融合蛋白(sATAR−Fc)への結合について検定した。ATARは、TNFRスーパーファミリーの新しいメンバーであり、sATAR−Fc融合蛋白は、32D細胞表面分子へのヒトIgG1 Fc領域の結合及び一般的なTNFR関連蛋白質の両方への対照として作用する。
【図2C】pcDNA/32D−F3でトランスフェクトしたCOS−7細胞内でのOPG結合性蛋白発現。細胞に、pcDNA/32D−F3 DNAを脂質移入し、ヤギ抗ヒトIgG1アルカリホスファターゼ結合(2次のみ)、ヒトOPG[22−201]−Fc+2次(OPG−Fc)またはキメラATAR細胞外領域−Fc融合蛋白(sATAR−Fc)への結合について検定した。ATARは、TNFRスーパーファミリーの新しいメンバーであり、sATAR−Fc融合蛋白は、32D細胞表面分子へのヒトIgG1 Fc領域の結合及び一般的なTNFR関連蛋白質の両方への対照として作用する。
【図3】ヒト組織におけるOPG結合性蛋白の発現。放射標識32D−F3誘導ハイブリッドプローブを用いるヒト組織mRNA(Clontech製)のノーザンブロット分析。相対的分子量を、左側にキロ塩基対(kb)で示す。右側の矢印頭は、リンパ節mRNAで検出された約2.5kb転写物の移動を示す。同じ分子量のかなり薄いバンドも胎児肝臓で検出される。
【図4A】ヒトOPG結合性蛋白をコードするpcDNA/hu OPGbp1.1挿入部の構造および配列。アスパラギン結合炭水化物鎖についての予想される膜貫通領域および部位にアンダーラインを付す。
【図4B】ヒトOPG結合性蛋白をコードするpcDNA/hu OPGbp1.1挿入部の構造および配列。アスパラギン結合炭水化物鎖についての予想される膜貫通領域および部位にアンダーラインを付す。
【図4C】ヒトOPG結合性蛋白をコードするpcDNA/hu OPGbp1.1挿入部の構造および配列。アスパラギン結合炭水化物鎖についての予想される膜貫通領域および部位にアンダーラインを付す。
【図4D】ヒトOPG結合性蛋白をコードするpcDNA/hu OPGbp1.1挿入部の構造および配列。アスパラギン結合炭水化物鎖についての予想される膜貫通領域および部位にアンダーラインを付す。
【図4E】ヒトOPG結合性蛋白をコードするpcDNA/hu OPGbp1.1挿入部の構造および配列。アスパラギン結合炭水化物鎖についての予想される膜貫通領域および部位にアンダーラインを付す。
【図4F】ヒトOPG結合性蛋白をコードするpcDNA/hu OPGbp1.1挿入部の構造および配列。アスパラギン結合炭水化物鎖についての予想される膜貫通領域および部位にアンダーラインを付す。
【図5】組換えマウスOPG結合性蛋白[158−316]で処理したST2細胞共培養および骨髄マクロファージからのin vitro破骨細胞発達の刺激。培養を、1.6〜500ng/mlの種々の濃度のマウスOPG結合性蛋白で処理した。8〜10日後、培養を溶解し、TRAP活性を溶液アッセイにより測定した。さらに、一部の培養を、1、10、100、500および1000ng/mlの組換えマウスOPG[22−401]−Fc蛋白で同時に処理した。マウスOPG結合性蛋白は、破骨成形において投与量依存的刺激を誘発し、OPG[22−401]−Fcは破骨形成を抑制する。
【図6】M−CSFおよびマウスOPG結合性蛋白[158−316]の存在下におけるin vitro骨髄前駆体からの破骨細胞発達の刺激。マウス骨髄を収穫し、250、500、1000および2000U/mlのM−CSFの存在下において培養した。1.6〜500ng/mlの種々の濃度のOPG結合性蛋白[158−316]をこれらの同じ培地に添加した。破骨細胞の発達を、TRAP溶液アッセイにより測定した。
【図7A】M−CSFおよびOPG結合性蛋白[158−316]の両方の存在下において骨髄細胞から誘導される破骨細胞が、in vitroで骨を再吸収する。M−CSF、OPG結合性蛋白、または両方の因子の組み合わせにより処理された骨髄細胞を、培養ウエルの骨スライス上に載せ、成熟破骨細胞にまで発達させた。次に、得られる培養を、トルイジン・ブルーで染色(左欄)、または組織化学的に染色してTRAP酵素活性を検出した(右欄)。両方の因子を受け入れた培養においては、骨表面上の青色染色ピットにより判断されるように骨を腐食させることのできる成熟破骨細胞が形成された。これは、複数の大きな多核のTRAP陽性細胞の存在に関連していた。
【図7B】M−CSFおよびOPG結合性蛋白[158−316]の両方の存在下において骨髄細胞から誘導される破骨細胞が、in vitroで骨を再吸収する。M−CSF、OPG結合性蛋白、または両方の因子の組み合わせにより処理された骨髄細胞を、培養ウエルの骨スライス上に載せ、成熟破骨細胞にまで発達させた。次に、得られる培養を、トルイジン・ブルーで染色(左欄)、または組織化学的に染色してTRAP酵素活性を検出した(右欄)。両方の因子を受け入れた培養においては、骨表面上の青色染色ピットにより判断されるように骨を腐食させることのできる成熟破骨細胞が形成された。これは、複数の大きな多核のTRAP陽性細胞の存在に関連していた。
【図7C】M−CSFおよびOPG結合性蛋白[158−316]の両方の存在下において骨髄細胞から誘導される破骨細胞が、in vitroで骨を再吸収する。M−CSF、OPG結合性蛋白、または両方の因子の組み合わせにより処理された骨髄細胞を、培養ウエルの骨スライス上に載せ、成熟破骨細胞にまで発達させた。次に、得られる培養を、トルイジン・ブルーで染色(左欄)、または組織化学的に染色してTRAP酵素活性を検出した(右欄)。両方の因子を受け入れた培養においては、骨表面上の青色染色ピットにより判断されるように骨を腐食させることのできる成熟破骨細胞が形成された。これは、複数の大きな多核のTRAP陽性細胞の存在に関連していた。
【図8】OPG結合性蛋白を注射したマウスからの最初の注射から51時間後の、および平行してOPG投与も受けたマウスにおける、全血イオン化カルシウム(iCa)の水準を示すグラフ。OPG結合性蛋白は、iCa水準を大きくかつ投与量依存的に増加させた。OPG(1mg/kg/日)は、5ug/日のOPG結合性蛋白の投与量においてiCaの増加を完全に遮断し、25ug/日のOPG結合性蛋白の投与量においてその増加を部分的に遮断した。()、ビヒクル処理対照と異なる(p<0.05)。(#)、OPG処理iCa水準が、その投与量のOPG結合性蛋白のみを受けたマウスにおける水準と有意に異なる(p<0.05)。
【図9A】0、5、25または100μg/日のOPG結合性蛋白で3.5日間処理されたマウスにおける左側の大腿骨およびけい骨のラジオグラフ。骨密度が投与量に従って低下し、これらのマウスの近位けい骨骨幹端で最も明らかであり、100μg/日の投与量で最も著しい。
【図9B】0、5、25または100μg/日のOPG結合性蛋白で3.5日間処理されたマウスにおける左側の大腿骨およびけい骨のラジオグラフ。骨密度が投与量に従って低下し、これらのマウスの近位けい骨骨幹端で最も明らかであり、100μg/日の投与量で最も著しい。
【図9C】0、5、25または100μg/日のOPG結合性蛋白で3.5日間処理されたマウスにおける左側の大腿骨およびけい骨のラジオグラフ。骨密度が投与量に従って低下し、これらのマウスの近位けい骨骨幹端で最も明らかであり、100μg/日の投与量で最も著しい。
【図9D】0、5、25または100μg/日のOPG結合性蛋白で3.5日間処理されたマウスにおける左側の大腿骨およびけい骨のラジオグラフ。骨密度が投与量に従って低下し、これらのマウスの近位けい骨骨幹端で最も明らかであり、100μg/日の投与量で最も著しい。
【図10A】マウスODAR cDNA配列および蛋白配列。〜2.1kbのcDNAクローンの核酸配列が示され、625残基長のオープンリーディングフレームが上に示されている。疎水性シグナルペプチドにアンダーラインが付され、疎水性膜貫通配列(残基214〜234)が太字で示される。細胞外領域にシステインに富む繰り返しモチーフを含むシステイン残基を太字で示す。
【図10B】マウスODAR cDNA配列および蛋白配列。〜2.1kbのcDNAクローンの核酸配列が示され、625残基長のオープンリーディングフレームが上に示されている。疎水性シグナルペプチドにアンダーラインが付され、疎水性膜貫通配列(残基214〜234)が太字で示される。細胞外領域にシステインに富む繰り返しモチーフを含むシステイン残基を太字で示す。
【図10C】マウスODAR cDNA配列および蛋白配列。〜2.1kbのcDNAクローンの核酸配列が示され、625残基長のオープンリーディングフレームが上に示されている。疎水性シグナルペプチドにアンダーラインが付され、疎水性膜貫通配列(残基214〜234)が太字で示される。細胞外領域にシステインに富む繰り返しモチーフを含むシステイン残基を太字で示す。
【図10D】マウスODAR cDNA配列および蛋白配列。〜2.1kbのcDNAクローンの核酸配列が示され、625残基長のオープンリーディングフレームが上に示されている。疎水性シグナルペプチドにアンダーラインが付され、疎水性膜貫通配列(残基214〜234)が太字で示される。細胞外領域にシステインに富む繰り返しモチーフを含むシステイン残基を太字で示す。
【図10E】マウスODAR cDNA配列および蛋白配列。〜2.1kbのcDNAクローンの核酸配列が示され、625残基長のオープンリーディングフレームが上に示されている。疎水性シグナルペプチドにアンダーラインが付され、疎水性膜貫通配列(残基214〜234)が太字で示される。細胞外領域にシステインに富む繰り返しモチーフを含むシステイン残基を太字で示す。
【図10F】マウスODAR cDNA配列および蛋白配列。〜2.1kbのcDNAクローンの核酸配列が示され、625残基長のオープンリーディングフレームが上に示されている。疎水性シグナルペプチドにアンダーラインが付され、疎水性膜貫通配列(残基214〜234)が太字で示される。細胞外領域にシステインに富む繰り返しモチーフを含むシステイン残基を太字で示す。
【図11A】OPG結合性蛋白トランスフェクト細胞へのODAR−Fc結合の免疫蛍光染色。OPG結合性蛋白発現プラスミドをトランスフェクトされたCOS−7細胞を、ヒトIgG Fc(最上パネル)、ODAR−Fc(中パネル)またはOPG−Fc(底パネル)と共にインキュベートした。FITC標識ヤギ抗ヒトIgG Fc抗体を2次抗体として用いた。陽性結合細胞を、共焦点顕微鏡検査により試験した。
【図11B】OPG結合性蛋白トランスフェクト細胞へのODAR−Fc結合の免疫蛍光染色。OPG結合性蛋白発現プラスミドをトランスフェクトされたCOS−7細胞を、ヒトIgG Fc(最上パネル)、ODAR−Fc(中パネル)またはOPG−Fc(底パネル)と共にインキュベートした。FITC標識ヤギ抗ヒトIgG Fc抗体を2次抗体として用いた。陽性結合細胞を、共焦点顕微鏡検査により試験した。
【図11C】OPG結合性蛋白トランスフェクト細胞へのODAR−Fc結合の免疫蛍光染色。OPG結合性蛋白発現プラスミドをトランスフェクトされたCOS−7細胞を、ヒトIgG Fc(最上パネル)、ODAR−Fc(中パネル)またはOPG−Fc(底パネル)と共にインキュベートした。FITC標識ヤギ抗ヒトIgG Fc抗体を2次抗体として用いた。陽性結合細胞を、共焦点顕微鏡検査により試験した。
【図12A】in vitroマウス骨髄からの破骨細胞の生成へのODAR−Fcの効果。マウス骨髄培地を実施例8のように達成し、OPG結合性蛋白(5ng/ml)およびCSF−1(30ng/ml)にさらした。1500ng/mlから65ng/mlに及ぶ種々の濃度のODAR−Fcを添加した。破骨細胞形成を、培地中5日後に、TRAP細胞化学およびTRAP溶液アッセイにより検定した。
【図12B】in vitroマウス骨髄からの破骨細胞の生成へのODAR−Fcの効果。マウス骨髄培地を実施例8のように達成し、OPG結合性蛋白(5ng/ml)およびCSF−1(30ng/ml)にさらした。1500ng/mlから65ng/mlに及ぶ種々の濃度のODAR−Fcを添加した。破骨細胞形成を、培地中5日後に、TRAP細胞化学およびTRAP溶液アッセイにより検定した。
【図12C】in vitroマウス骨髄からの破骨細胞の生成へのODAR−Fcの効果。マウス骨髄培地を実施例8のように達成し、OPG結合性蛋白(5ng/ml)およびCSF−1(30ng/ml)にさらした。1500ng/mlから65ng/mlに及ぶ種々の濃度のODAR−Fcを添加した。破骨細胞形成を、培地中5日後に、TRAP細胞化学およびTRAP溶液アッセイにより検定した。
【図12D】in vitroマウス骨髄からの破骨細胞の生成へのODAR−Fcの効果。マウス骨髄培地を実施例8のように達成し、OPG結合性蛋白(5ng/ml)およびCSF−1(30ng/ml)にさらした。1500ng/mlから65ng/mlに及ぶ種々の濃度のODAR−Fcを添加した。破骨細胞形成を、培地中5日後に、TRAP細胞化学およびTRAP溶液アッセイにより検定した。
【図12E】in vitroマウス骨髄からの破骨細胞の生成へのODAR−Fcの効果。マウス骨髄培地を実施例8のように達成し、OPG結合性蛋白(5ng/ml)およびCSF−1(30ng/ml)にさらした。1500ng/mlから65ng/mlに及ぶ種々の濃度のODAR−Fcを添加した。破骨細胞形成を、培地中5日後に、TRAP細胞化学およびTRAP溶液アッセイにより検定した。
【図12F】in vitroマウス骨髄からの破骨細胞の生成へのODAR−Fcの効果。マウス骨髄培地を実施例8のように達成し、OPG結合性蛋白(5ng/ml)およびCSF−1(30ng/ml)にさらした。1500ng/mlから65ng/mlに及ぶ種々の濃度のODAR−Fcを添加した。破骨細胞形成を、培地中5日後に、TRAP細胞化学およびTRAP溶液アッセイにより検定した。
【図12G】in vitroマウス骨髄からの破骨細胞の生成へのODAR−Fcの効果。マウス骨髄培地を実施例8のように達成し、OPG結合性蛋白(5ng/ml)およびCSF−1(30ng/ml)にさらした。1500ng/mlから65ng/mlに及ぶ種々の濃度のODAR−Fcを添加した。破骨細胞形成を、培地中5日後に、TRAP細胞化学およびTRAP溶液アッセイにより検定した。
【図12H】in vitroマウス骨髄からの破骨細胞の生成へのODAR−Fcの効果。マウス骨髄培地を実施例8のように達成し、OPG結合性蛋白(5ng/ml)およびCSF−1(30ng/ml)にさらした。1500ng/mlから65ng/mlに及ぶ種々の濃度のODAR−Fcを添加した。破骨細胞形成を、培地中5日後に、TRAP細胞化学およびTRAP溶液アッセイにより検定した。
【図13】種々の投与量にてODAR−Fcで4日間処理した後のマウスにおける骨鉱物密度。マウスに、毎日皮下注射により、リン酸塩緩衝塩水ビヒクルに溶解したODAR−Fcを投与した。末梢定量的コンピューター補助断層撮影(pQCT)(XCT−960M、Norland Medical Systems,Ft Atkinson,WI)によりマウス近位けい骨骨幹端部で70%ETOH中に固定された骨から鉱物密度を測定した。骨の2つの0.5mm断面、けい骨からの近位端からの1.5mmおよび2.0mmを分析(XMICE5.2、Stratec、独国)して、骨幹端における合計骨鉱物密度を決めた。軟質組織の分離境界線を1500として骨幹端の境界を決めた。ODAR−Fcにより、近位けい骨骨幹端において骨鉱物密度が投与量依存的に大きく増加した。群n=4。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明は、OPGに特異的に結合すると共に破骨細胞の分化に関連する、OPG結合性蛋白と呼ばれるポリペプチドを提供する。マウス形態のポリペプチドをコードするcDNAが、マウス骨髄単球細胞系32−Dから調製されるライブラリーから同定され、COS細胞内にトランスフェクトされた。トランスフェクタントを、OPG[22−201]−Fc融合ポリペプチドに結合する能力についてスクリーニングした(実施例1)。核酸配列により、OPG結合性蛋白が、TNFファミリーの新規メンバーであり、AGP−1、すなわち1996年6月7日付けの共有の同時係属中の米国出願No.08/660,562に最も近く関係することが示された。(AGP−1と同等でTRAILと記載されるポリペプチドが、Wileyら著,Immunity第3巻,673〜682頁(1995年)に記載されている。)。OPG結合性蛋白は、アミノ末端における細胞質領域、膜貫通領域、およびカルボキシ末端細胞外領域を有するII型膜貫通蛋白であると予想される(図1)。アミノ末端細胞質領域は、図1に示すように(配列番号2)、残基1〜48の周辺に及び、膜貫通領域は残基49〜69の周辺に及び、細胞外領域は残基70〜316の周辺に及ぶ。膜結合性蛋白は、OPGに特異的に結合する(図2)。すなわち、OPG結合性蛋白およびOPGは、受容体−リガンド対の多くの特徴を共有するが、OPG結合性蛋白のための他の天然産受容体が存在する可能性もある。
【0017】
ヒトOPG結合性蛋白をコードするDNAクローンが、リンパ節cDNAライブラリーから単離された。ヒト配列(図4)は、マウスの配列に相同する。精製された可溶性マウスOPG結合性蛋白は、in vitroで破骨細胞の形成を刺激し、in vivoで高カルシウム血症および骨吸収を誘発した。
【0018】
OPG結合性蛋白は、哺乳動物OPG結合性蛋白、フラグメント、類似体またはその誘導体のアミノ酸配列を有すると共に、少なくとも結合OPGの活性を有するポリペプチドを意味する。好ましい態様において、OPG結合性蛋白は、マウスまたはヒト起源である。もう1つの態様において、OPG結合性蛋白は、1つの形状において、細胞質および膜内外領域から単離される単離細胞外領域を有する可溶性蛋白である。OPG結合性蛋白は、破骨細胞分化に含まれ、骨吸収の速度および程度において破骨細胞形成を刺激し骨吸収を刺激することがわかった。
【0019】
核酸
本発明は、OPG結合性蛋白をコードする単離された核酸を提供する。ここで用いられる核酸と呼ばれる用語は、cDNA、ゲノムDNA、全体的または部分的に合成のDNA、およびRNAを含む。本発明の核酸は、下記の群から選択される:
a)図1(配列番号1)および図4(配列番号3)に示される核酸;
b)図1(配列番号1)および図4(配列番号3)に示される核酸のポリペプチドコード領域にハイブリッド形成し;高過酷条件下に核酸へのハイブリッド形成を維持する核酸;
c)核酸(a)または(b)に変性する核酸。
【0020】
核酸ハイブリッド形成は、一本鎖から核酸二本鎖を形成する第1のハイブリッド形成段階、およびその次の、所望の相同性を有する核酸二本鎖を選択的に維持するためのより過酷な条件下に行われる第2のハイブリッド形成段階を含む多段プロセスを典型的に含む。第1のハイブリッド形成段階の条件は、第2のハイブリッド形成段階より緊縮度が高くなければ、通常重要ではない。通常、第2のハイブリッド形成は、高緊縮度の条件下に行われるが、ここで「高緊縮度」条件は、図1(配列番号2)および図4(配列番号4)に相当する相補ストランドの一部または全ての完全なハイブリッドの溶融温度(T)より約12〜20℃低い温度および塩の条件を意味する。1つの態様において、「高緊縮度」条件は、約65℃で約1以下のNa+条件を意味する。塩濃度、インキュベーションの温度および/または長さは、本発明によるハイブリッド形成核酸分子が得られるように、第1または第2のハイブリッド形成段階のいずれかにおいて変えてよいことがわかる。核酸のハイブリッド形成の条件および核酸ハイブリッドのTの計算が、Sambrookら著,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York(1989年)に記載されている。
【0021】
本発明の核酸は、図1(配列番号2)および図4(配列番号4)に示されるOPG結合性蛋白のポリペプチドコード領域の一部または全体にハイブリッド形成することができ;従って、そこに示す核酸配列の截形状態または延長状態であり得る。截形または延長核酸は、少なくとも結合OPGの特性を維持していれば、本発明の範囲に入る。1つの態様において、核酸は、少なくとも約10個のアミノ酸のポリペプチドをコードする。もう1つの態様において、核酸は、少なくとも約20個のアミノ酸のポリペプチドをコードする。さらにもう1つの態様において、核酸は、少なくとも約50個のアミノ酸のポリペプチドをコードする。ハイブリッド形成核酸は、OPG結合性蛋白コード領域の5’および/または3’に配置された非コード配列も含み得る。非コード配列は、プロモーター、エンハンサー領域、翻訳開始部位および翻訳停止部位等のようなOPG結合性蛋白の発現に関連する制御領域を含む。
【0022】
好ましい態様において、本発明の核酸は、マウスまたはヒトOPG結合性蛋白をコードする。核酸は、機能的膜貫通領域を欠く可溶性形態またはOPG結合性蛋白の膜結合形態をコードし得る。マウスOPG結合性蛋白の推定される膜貫通領域は、図1(配列番号1)に示すようなアミノ酸残基49〜69を含む。ヒトOPG結合性蛋白についての予想される膜貫通領域は、図4(配列番号3)に示すようなアミノ酸残基49〜69を含む。この領域内の疎水性アミノ酸残基を中性または親水性アミノ酸残基に置き換える置換は、膜結合を壊し、可溶性OPG結合性蛋白が得られると予想される。さらに、膜貫通領域の一部または全ての欠失も、OPG結合性蛋白の可溶性状態を生成すると予想される。図1(配列番号1)に示すようなアミノ酸残基70〜316、またはそのフラグメントおよび類似体をコードする核酸は、可溶性OPG結合性蛋白を包含する。
【0023】
可溶性ヒトOPG結合淡白の截形状態をコードする核酸も含まれる。可溶性状態は、図4(配列番号3)に示すような残基69〜317およびその截形体をふくむ。1つの態様において、N−末端截形体は、残基70〜317、71〜317、72〜317等からポリペプチドを発生させる。他の態様において、核酸は、残基69〜317を含む可溶性OPGbp、およびOPGbp[158〜317]まで、またはOPGbp[166〜317]までのN−末端截形体を含む。
【0024】
ヒトOPG結合性蛋白をコードする大腸菌菌株DH10内のプラスミドphuOPGbp1.1が、1997年6月13日にメリーランド州ロックヴィル在American Type Culture Collectionに受託番号98457として寄託された。
【0025】
本発明の核酸配列は、生物学的サンプル中のOPG結合性蛋白をコードする配列の検出に用いることができる。特に、この配列は、関連するOPG結合性蛋白配列、特に他の種からの配列についてのcDNAおよびゲノムライブラリーをスクリーニングするために用いることができる。核酸は、アンチセンス技術によるOPG結合性蛋白の水準、または生体内遺伝子発現の調整のためにも有用である。OPG結合性蛋白を発現するトランスジェニック動物の開発は、ポリペプチドの製造のため、および生体内での生物学的活性の研究のために有用である。
【0026】
ベクターおよび宿主細胞
本発明の核酸は、生物学的活性OPG結合性蛋白を発現するようにDNA配列と結合する。発現に必要な配列は当業者に知られており、RNA合成の開始のためのプロモーターおよびエンハンサー、転写終了部位、蛋白合成の開始のためのリボソーム結合部位、および分泌のためのリーダー配列を含む。OPG結合性蛋白の発現および分泌を導く配列は相同である、すなわち、配列は、OPG結合性蛋白発現および分泌に関連するゲノム内の配列に同一または類似である、またはそれらは非相同である。宿主細胞中のOPG結合性蛋白を発現するために種々のプラスミドベクターが利用できる(例えば、Methods
in Enzymology 185巻,Goeddel,D.V.編,Academic Press(1990年)を参照されたい)。哺乳動物宿主細胞中での発現のために、好ましい態様は、PCT出願No.90/14363に記載のプラスミドpDSRαである。バクテリア宿主細胞中での発現のために、好ましい態様は、ラックス(lux)プロモーターを有するプラスミドを含む(1995年12月22日付けの共有の同時係属中の米国出願No.08/577,778を参照されたい。)。さらに、ベタクーは、トランスジェニック動物中でのOPG結合性蛋白の組織特異的発現のために利用できる。レトロウイルスおよびアデノウイルス系遺伝子転移ベクターを、生体内治療のためにヒト細胞中でOPG結合性蛋白を発現させるために用いることができる(PCT出願NO.86/00922を参照)。
【0027】
OPG結合性蛋白を発現する原核生物および真核生物宿主細胞も本発明により提供される。宿主細胞は、バクテリア、酵母、植物、昆虫または哺乳動物細胞を含む。OPG結合性蛋白は、マウスまたはヤギのようなトランスジェニック動物中において製造することもできる。本発明の核酸を含むプラスミドおよびベクターは、当業者に知られているトランスフェクションまたは形質転換技術を用いて適当な宿主細胞中に導入される。宿主細胞は、図1に示されるようにOPG結合性蛋白をコードするDNA配列、または細胞外領域もしくは細胞質領域のようなその蛋白を含むことができる。OPG結合性蛋白をコードする核酸は、所定の宿主中で最適発現をさせるコドンの置換により変性することができる。少なくとも一部のコドンは、アミノ酸配列を変えず、高度に発現された遺伝子中で見つかることが多い所謂好ましいコドンであってよい。しかしながら、最適発現へのコドンの変化は、好ましいコドンの導入に限定されないことがわかる。OPG結合性蛋白発現のために好ましい哺乳動物宿主細胞の例は、限定はされないが、COS,CHOd−、293および3T3細胞を含む。好ましいバクテリア宿主細胞は大腸菌である。
【0028】
ポリペプチド
本発明は、外因性DNA配列の原核細胞または真核細胞発現の生成物としてのOPG結合性蛋白も提供する、すなわち、OPG結合性蛋白は組換えOPG結合性蛋白である。外因性DNA配列は、cDNA、ゲノムDNAおよび合成DNA配列を含む。OPG結合性蛋白は、バクテリア、酵母、植物、昆虫または哺乳動物細胞の発現の生成物、または細胞非含有転写系からの生成物であり得る。バクテリア細胞中で生成されるOPG結合性蛋白は、N−末端メチオニン残基を有する。本発明は、また、OPG結合性蛋白をコードする核酸を用いて形質転換またはトランスフェクトした原核または真核宿主細胞を増殖させ、核酸のポリペプチド発現生成物を単離することを含んでなるOPG結合性蛋白を製造する方法も提供する。
【0029】
哺乳動物OPG結合性蛋白である、またはそのフラグメント、類似体もしくは誘導体であるポリペプチドは、本発明に包含される。好ましい態様において、OPG結合性蛋白はヒトOPG結合性蛋白である。OPG結合性蛋白のフラグメントは、得られるポリペプチドが少なくとも結合OPGの特性を有するように1または2以上のアミノ酸の欠失を有するポリペプチドを意味する。前記フラグメントは、ポリペプチドのアミノ末端、カルボキシ末端および内部領域から生じる欠失を含む。OPG結合性蛋白のフラグメントは、少なくとも約10個のアミノ酸、少なくとも約20個のアミノ酸、または少なくとも約50個のアミノ酸の長さである。好ましい態様において、OPG結合性蛋白は、膜貫通領域からの1または2以上のアミノ酸の欠失(図1に示すアミノ酸残基49〜69)、または膜貫通領域までのおよび/または膜貫通領域を含むアミノ末端からの1または2以上のアミノ酸を有する(図1に示すアミノ酸残基1〜49)。もう1つの態様において、OPG結合性蛋白は、例えば、アミノ酸残基69〜316もしくは70〜316、またはそのN−末端もしくはC−末端截形体を含む、OPG結合活性を保持する可溶性蛋白である。OPG結合性蛋白は、図4に示す残基69〜317およびそのN−末端截形体、例えば、70〜517、71〜517、71〜317、72〜317など含む図4に示すヒト可溶性蛋白でもある。好ましい態様において、可溶性ヒトOPG結合性蛋白は、残基69〜317および、OPGbp[158−317]までのあるいはOPG[166−317]までのそのN−末端截形体を含む。
【0030】
OPG結合性蛋白の類似体は、得られるポリペプチドが少なくとも結合OPGの特性を有するように1または2以上のアミノ酸の置換または付加を有するポリペプチドを意味する。前記類似体は、ポリペプチドに沿う任意の位置において置換または付加を有する。好ましい類似体は、可溶性OPG結合性蛋白の類似体を含む。フラグメントまたは類似体は、対立変異体またはmRNAスプライス変異体のポリペプチド生成物のような天然産のものである、または、核酸を処理または合成するために当業者が利用できる技術を用いて構築することができる。ポリペプチドは、アミノ末端メチオニン残基を有するまたは有さなくてよい。
【0031】
また、翻訳後変性(例えば、N−結合またはO−結合炭水化物鎖の付加、N−末端またはC−末端の加工)、アミノ酸主鎖への化学的分子の付加、N−結合またはO−結合炭水化物鎖の化学的変性、および原核宿主細胞発現の結果としてのN−末端メチオニン残基の付加を経たポリペプチドであるOPG結合性蛋白の誘導体も本発明に含まれる。特に、向上した安定性、より長い循環時間、または低下した免疫原性のような更なる利益を提供するOPG結合性蛋白の化学的変性誘導体が考えられる。ポリエチレングリコールおよびその誘導体のような水溶性ポリマーによる変性が特に有用である(例えば、米国特許No.4,179,337を参照)。誘導用の化学的分子は、ポリエチレングリコール、エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストランおよびポリビニルアルコールなどのような水溶性ポリマーから選択することができる。ポリペプチドは、分子内の任意の位置において、または分子内の予め決められた位置において変性することができ、1、2、3またはそれ以上の付加された化学的分子を含むことができる。ポリペプチドは、また、アミノ末端のようなポリペプチド内の予め決められた位置において、またはポリペプチド内の選択されたリシンまたはアルギニン残基において変性することもできる。提供される他の化学的変性は、蛋白の検出および単離を可能にする酵素、蛍光、同位体または親和性標識のような検知可能標識を含む。
【0032】
非相同性アミノ酸配列に融合したOPG結合性蛋白アミノ酸配列の一部または全てを含むOPG結合性蛋白キメラも含まれる。非相同性配列は、得られる融合蛋白に少なくとも結合OPGの活性を保持させる任意の配列であってよい。好ましい態様において、OPG結合性蛋白のカルボキシ末端細胞外領域は非相同性配列に融合される。そのような配列は、択一的に細胞内で信号を発生させる非相同性脂肪質領域、IgGのFc領域のようなオリゴマー化を促進する配列、ポリペプチドのための標識を提供する酵素配列、および抗原−抗体認識のような親和性プローブを提供する配列を含む。
【0033】
本発明のポリペプチドはOPG結合性蛋白を発現する組織および細胞系から単離および精製され、溶解産物からまたは調整された成長培地から、およびOPG結合性蛋白を発現する形質転換宿主細胞から抽出される。OPG結合性蛋白は、マウス骨髄単球細胞系32−D(ATCCアクセス番号CRL−11346)から得ることができる。ヒトOPG結合性蛋白、またはそれをコードする核酸を、ヒトリンパ節または胎児肝臓組織から単離することができる。単離されたOPG結合性蛋白は、ヒト蛋白および他の細胞構成成分と結合されない。
【0034】
天然原料(例えば、OPG結合性蛋白を通常発現する組織および細胞系)およびトランスフェクトされた宿主細胞からOPG結合性蛋白を精製する方法も、本発明に含まれる。精製プロセスは、精製された蛋白を得るように1または2以上の標準的蛋白生成工程を適当な順番で用いることができる。クロマトグラフィー工程は、抗−OPG結合性蛋白抗体またはビオチン−ストレプトアビジン親和性複合体等を用いるイオン交換、ゲル濾過、疎水性相互作用、逆相、等電点クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーを含むことができる。
【0035】
抗体
本発明のポリペプチドを特異的に結合する抗体も、本発明に含まれる。抗体を、全長OPG結合性蛋白、OPG結合性蛋白の可溶性体、またはそのフラグメントを用いる免疫化により生成することができる。本発明の抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであってよく、または組換え抗体であってよく、例えば、軽および重鎖上のマウス一定領域がヒト配列により置換されたキメラ抗体、または相補的決定領域のみがマウス起源である、CDRが移植された抗体である。本発明の抗体は、例えば、ヒト抗体を生成することのできるトランスジェニック動物の免疫化により調製されるヒト抗体であってもよい(例えば、PCT出願No.WO93/12227を参照)。抗体は、生物学的サンプル中においてOPG結合性蛋白を検出するのに有用であり、それにより、蛋白を生成する細胞または組織が同定される。さらに、OPG結合性蛋白に結合すると共に他の結合化合物との相互作用を遮断する抗体が、破骨細胞分化および骨吸収の調整において治療的用途を有する。
【0036】
OPG結合性蛋白への抗体は、骨粗鬆症およびページェット病のような骨疾患の治療において有用となり得る。抗体は、OPGの不存在または存在下におけるOPG結合性蛋白への結合について試験することができ、リガンド(OPG結合性蛋白)媒介破骨細胞発生および/または骨吸収を抑制するその性能について試験することができる。ペプチド自体がリガンド:受容体相互作用の拮抗薬として作用することができ、OPG結合性蛋白のペプチドがこの目的のためにも開発されることも予想される。
【0037】
組成物
本発明は、また、治療有効量の本発明のOPG結合性蛋白を、薬学的に許容できる希釈剤、キャリア、可溶化剤、乳化剤、防腐剤および/またはアジュバントと一緒に含んでなる薬剤組成物も提供する。本発明は、また、治療有効量のOPG結合性蛋白作用薬または拮抗薬を含んでなる薬剤組成物も提供する。「治療有効量」という用語は、特定の症状および投与経路に対して治療効果を提供する量を意味する。組成物は液体または凍結乾燥状であってよく、種々のpH値およびイオン強度を有する希釈剤(Tris、酢酸塩またはリン酸塩緩衝剤)、TweenまたはPolysorbateのような可溶化剤、ヒト血清アルブミンまたはゼラチンのようなキャリア、チメロサールまたはベンジルアルコールのような防腐剤、およびアスコルビン酸またはメタ亜硫酸水素ナトリウムのような酸化防止剤を含む。特定の組成の選択は、治療すべき症状、投与経路、および所望の薬物動態パラメーターを含む因子の数に依存する。薬剤組成物に適した成分のより詳しい概要をRemington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,A.R.Gennaro編,Mack,Easton,PA(1980年)に見ることができる。
【0038】
好ましい態様において、可溶性OPG結合性蛋白を含む組成物も提供される。溶解性、安定性、プラズマ半減期および生物学的利用性が増加するように水溶性ポリマーで変性された可溶性OPG結合性蛋白を含む組成物も含まれる。組成物は、長期間に渡って分配を制御するためにリポソーム、ミクロ乳濁液、ミセルまたは小胞中への可溶性OPG結合性蛋白の混入も含み得る。可溶性OPG結合性蛋白は、肺投与に適したミクロ粒子中に配合することができる。
【0039】
本発明の組成物は、皮下、静脈内または筋肉内の注射により、または経口、鼻腔、肺もしくは直腸投与により投与することができる。選択される投与経路は、多くの因子に依存し、当業者により確定され得る。
【0040】
本発明は、治療有効量の本発明の核酸を、薬学的に許容できるアジュバントと一緒に含んでなる薬剤組成物も提供する。核酸組成物は、OPG結合性蛋白のコード領域および/または側部領域の一部または全てを、アンチセンス治療領域の一部として細胞および組織に送達するのに適している。
【0041】
使用方法
OPG結合性蛋白は、OPGを検出し、OPGとの相互作用を特徴付けるための種々のアッセイにおいて用いることができる。通常、そのアッセイは、OPGをOGP結合性蛋白に結合させる条件下においてOPG結合性蛋白をOPGを含む生物学的サンプルと共にインキュベートすること、および結合の程度を測定することを含む。OPGは精製される、または体液もしくは培地のような混合物中に存在してよい。定性的または定量的であるアッセイを開発することができ、OPG結合性蛋白へのOPGの結合パラメーター(親和定数および動態)を決めること、および混合物中における生物学的活性OPGの水準を定量することには後者が有用である。OPG結合性蛋白のフラグメント、類似体および誘導体へのOPGの結合を評価するため、および新しいOPGおよびOPG結合性蛋白ファミリーメンバーを同定するためにアッセイを用いることもできる。
【0042】
OPG結合性蛋白へのOPGの結合は、細胞ベース(cell−based)結合アッセイ、膜結合アッセイ、溶液相アッセイおよび免疫アッセイを含む種々の方法で行うことができる。通常、微量の標識化OPGをOPG結合性蛋白サンプルと一緒に特定時間インキュベートして、続いて、濾過、電気化学発光(ECL、ORIGENシステム、IGEN製)、細胞ベースまたは免疫アッセイにより結合OPGを測定する。放射活性(SPA;Amersham製)および時間分解蛍光(time resolved fluoresence)(HTRF、Packard製)についての相同性アッセイ技術も実施することができる。結合は、放射性同位体(125I、35S、3H)、蛍光染料(フルオレセイン)、ランタニド(Eu3+)キレートまたはクリプタート、球状ピリジル−ルテニウム(Ru2+)錯体によりOPGまたは抗OPG抗体を標識することにより検出される。標識化プローブの選択が用いられるシステムの検出に依存することが理解される。また、OPGを非標識化エピトープタグ(例えば、ビオチン、ペプチド、His、myc)で変性し、前述のような検出可能な標識を有するストレプトアビジン、抗ペプチドまたは抗蛋白抗体のような蛋白に結合させることができる。
【0043】
別の方法において、OPG結合性蛋白を、免疫アッセイにおいてOPG結合性蛋白へのポリクローナルまたはモノクローナル抗体を用いて直接アッセイすることができる。前述のようなエピトープタグを含むOPG結合性蛋白のさらなる形状を、溶液および免疫アッセイにおいて用いることができる。
【0044】
OPG結合性蛋白と相互作用する化合物を同定する方法も、本発明に含まれる。この方法は、OPG結合性蛋白を化合物と一緒にその化合物をOPG結合性蛋白に結合させる条件下にインキュベートし、結合の程度を測定することを含む。化合物は実質的に精製される、または粗混合物中に存在する。結合性化合物は核酸、蛋白、ペプチド、炭水化物、脂質または低分子量有機化合物であってよい。化合物は、作用薬として作用するか拮抗薬として作用するかを決めるために、OPG結合性蛋白活性を増加または減少させる性能によりさらに特徴付けられる。
【0045】
OPG結合性蛋白は、酵母2ハイブリッドスクリーニングプロセスにより細胞質領域と相互作用する細胞内蛋白の同定にも有用である。例えば、酵母GAL4−DNA結合領域に融合しているOPG結合性蛋白のN−末端50アミノ酸をコードするDNAを含むハイブリッド構造体を、2ハイブリッドおとり(bait)プラスミドとして用いることができる。このスクリーニングから出てくる陽性クローンを、相互作用蛋白を同定するためにさらに特徴付けることができる。この情報は、OPG結合性蛋白に係わる細胞内信号発生機構を解明し、骨吸収を調整する新しい薬剤用の細胞内標的を提供するのに役立つ。
【0046】
OPG結合性蛋白を、過剰の骨密度により特徴付けられる症状の治療ために用いることができる。最も一般的症状は、遺伝的欠陥により骨質量が増加し、通常は生後数年以内に死に至る骨化石症である。骨化石症は、好ましくは、可溶性OPG結合性蛋白の投与により治療される。
【0047】
本発明は、OPG結合性蛋白の調整剤(modulator)(作用薬および拮抗薬)およびそれを得るための方法も含む。OPG結合性蛋白調整剤は、OPGもしくは幾つかの他の相互作用分子を結合するまたは破骨細胞成熟を調節する性能のようなOPG結合性蛋白に係わる少なくとも1つの活性を低下または上昇させることができる。典型的には、作用薬または拮抗薬は、OG結合性蛋白と相互作用してその活性を調節する蛋白、ペプチド、炭水化物、脂質または低分子量分子のような共因子であり得る。潜在的ポリペプチド拮抗薬は、可溶性または膜結合状態のOPG結合性蛋白、およびOPG結合性蛋白の細胞外領域の一部もしくは全部を含む可溶性形態のOPG結合性蛋白と反応する抗体を含む。OPG結合性蛋白発現を調節する分子は、典型的に、OPG結合性蛋白をコードする核酸に相補的であり発現のアンチセンス調節剤として作用する核酸を含む。
【0048】
OPG結合性蛋白は、成熟破骨細胞、すなわち骨吸収に関与する一次細胞型の形成の制御に関連する。(骨形成の速度を超える)骨吸収の速度の増加は、オステオペニアと総括的に呼ばれ、骨粗鬆症、骨髄炎、高カルシウム血症、手術またはステロイド投与により引き起こされるオステオペニア、ページェット病、骨壊死、リューマチ性関節炎による骨損失、歯周骨損失、固定化、補綴ゆるみ、および骨融解性転移を含む種々の骨疾患を導き得る。逆に、骨吸収速度の減少は、骨化石症、すなわち過剰骨密度により示される症状を導き得る。OPG結合性蛋白の作用薬および拮抗薬は、破骨細胞形成を調整し、骨疾患を患っている患者に投与することができる。オステオペニアを治療するために用いられるOPG結合性蛋白の作用薬および拮抗薬は、単独で、またはBMP−1〜BMP−12と表される骨形態形成因子、形質転換成長因子−βおよびTGF−βファミリーメンバー、骨芽細胞成長因子FGF−1〜FGF−10、インターロイキン−1抑制剤、TNFα抑制剤、副甲状腺ホルモン、E型プロスタグランジン、ビスホスホネート、およびフッ化物およびカルシウムのような骨向上性鉱物を含む骨成長促進剤の治療有効量と組み合わせて投与することができる。OPG結合性蛋白の拮抗薬は、オステオペニアの治療に特に有用である。
【0049】
オステオプロテゲリン結合性蛋白の受容体
本発明は、OPG結合性蛋白と相互作用する受容体も提供する。より詳しくは、本発明は、破骨細胞分化および活性化受容体(ODAR)を提供する。ODARは、TNF受容体ファミリーメンバーであるCD40に最も高度の類似性を示す膜貫通ポリペプチドである。マウスODARの核酸配列およびコードされたポリペプチドを図10に示す。マウスODARのヒト類似体は、図10の核酸配列を有するゲノムライブラリーまたはヒトcDNAのハイブリッド形成スクリーニングにより容易に単離することができる。ヒトODARをクローニングする手順は、ヒトOPG結合性蛋白をクローニングするための実施例5に記載の手順に類似している。図10に示すポリペプチドのヒト類似体はAndersonらの文献(Nature 390巻,175〜179頁(1997年))に見られ、そこでRANKと呼ばれている。RANKは、TNF受容体ファミリーメンバーへの類似性を有するI型膜貫通蛋白として特徴付けられ、樹枝状細胞機能に含まれる。
【0050】
ODARとOPG結合性蛋白との相互作用の証拠が実施例13に示される。可溶性形態のODAR(ODAR−Fc融合蛋白)は、生体外での破骨細胞の成熟を防止し(図12)、皮下注射後に正常マウスの骨密度を増加させる(図13)。結果は、破骨細胞成熟を促進するようにODARと相互作用し活性化するOPG結合性蛋白と一致する。
【0051】
破骨細胞発達、および骨吸収の速度および程度は、OPG結合性蛋白とODARとの相互作用により調節される。OPG結合性蛋白とODARとの相互作用を低下または遮断する化合物は、OPG結合性蛋白活性の潜在的拮抗薬であり、破骨細胞の発達を妨げて骨吸収を低下させる。また、OPG結合性蛋白とODARとの相互作用を増加させる化合物は、破骨細胞の発達を促進し骨吸収を増加させる潜在的作用薬である。
【0052】
精製された蛋白を用いる生体外でのOPG結合性蛋白とODARとの相互作用を測定するために、種々のアッセイを用いることができる。これらのアッセイは、OPG結合性蛋白によるODARへの結合の速度または程度を低下または増加させる性能について化合物をスクリーニングするのに用いることができる。1つのタイプのアッセイにおいて、ODAR蛋白を、微量定量プレートのウエルの底部に結合させることにより固定化することができる。次に、放射線標識化OPG結合性蛋白(例えば、ヨウ素化OPG結合性蛋白)および試験化合物を、それぞれ一度に(いずれかの順番で)または同時にウエルに添加することができる。インキュベーション後、ウエルを洗浄し、放射活性についてシンチレーションカウンターを用いてカウントして、試験化合物の存在下におけるOPG結合性蛋白によるODARへの結合の程度を決めることができる。典型的に、この化合物は、正確に結果を評価するために、ある範囲の濃度において試験され、試験アッセイの1または2以上の要素を欠く一連の対照ウエルを用いることができる。この方法の別の態様は、蛋白の「位置」を逆転させること、すなわち微量定量プレートウエルにOPG結合性蛋白を固定化し、試験化合物および放射線標識化ODARと一緒にインキュベートし、ODAR結合の程度を決めることを含む(例えば、Current Protocols in Molecular Biologyの18章,Ausubelら編,John Wiley & Sons,New York,NY[1995年]を参照されたい。)。
【0053】
放射線標識化の別の態様とし、OPG結合性蛋白またはODARをビオチンに共役させ、次にビオチン化蛋白の存在を、色識別またはストレプトアビジンの蛍光標識により検出することができるワサビ過酸化酵素[HRP]またはアルカリホスファターゼ[AP]のような酵素に結合したストレプトアビジンを用いて検出することができる。ビオチンに結合しているOPG結合性蛋白またはODARに対する抗体も用いることができ、APまたはHRPに結合している酵素結合ストレプトアビジンとインキュベーションした後に検出することができる。
【0054】
OPG結合性蛋白およびODARは、アガロースビーズ、アクリルビーズまたは、不活性基質のような他のタイプの化合物に結合させることにより固定化することもできる。基質−蛋白複合体は、相補蛋白および試験化合物を含む溶液中に入れることができ;インキュベーション後、ビーズを遠心分離により沈殿させることができ、OPG結合性蛋白とODARとの間の結合の量を前述の方法を用いて検定することができる。また、基質−蛋白複合体は、カラム内で固定化することができ、試験分子および相補蛋白がカラムを通される。次に、OPG結合性蛋白とODARとの間の複合体の形成を、前述の任意の技術、すなわち、放射性標識、抗体結合などを用いて検定することができる。
【0055】
ODAR/OPG結合性蛋白複合体の形成を低下または増加させる化合物を同定するのに有用なもう1つのタイプのin vitroアッセイは、Biacoreアッセイシステム(Pharmacia,Piscataway,NJ)のような表面プラズモン共鳴検出器システムである。Biacreシステムは、製造者のプロトコールを用いて実施することができる。このアッセイは、実質的に、検出器中に配されたデキストラン被覆センセーチップへのOPG結合性蛋白またはODARの共有結合を含む。次に、試験化合物および他の相補蛋白を、センサーチップを含むチャンバー内に、同時にまたは連続的に注入することができ、結合している相補蛋白の量を、センサーチップのデキストラン被覆側に物理的に結合している分子の質量の変化に基づき検定することができ、分子の質量の変化を検出器システムにより測定することができる。
【0056】
ある場合には、ODAR/OPG結合性蛋白複合体の形成の低下または増加において用いるために2つ以上の試験化合物を一緒に評価することが望ましい。これらの場合において、前述のアッセイは、そのような試験化合物を、第1の試験化合物と同時にまたは第1の試験化合物に続いて添加することにより容易に変性することができる。アッセイ中の残りの工程は前述した通りである。
【0057】
前述したようなin vitroアッセイは、ODARおよびOPG結合性蛋白による複合体形成への効果について多くの化合物を迅速にスクリーニングするのに有利に用いることができる。このアッセイは、ファージ表示、合成ペプチドおよび化学的合成ライブラリーにおいて発生する化合物をスクリーニングするように自動化することができる。
【0058】
OPG結合性蛋白およびODARの複合体形成を低下または増加させる化合物は、ODAR保持細胞および細胞系を用いて細胞培地中でスクリーニングすることもできる。細胞および細胞系は任意の動物から得ることができるが、好ましくはヒトまたは他の霊長類、イヌまたはげっ歯類から得られる。破骨細胞のようなODAR保持細胞は、公的に利用できる手順を用いる親和クロマトグラフィーにより他の細胞型から増やすことができる。ODAR含有細胞へのOPG結合性蛋白の結合は、試験化合物の存在または不存在下に評価され、結合の程度は、例えば、OPG結合性蛋白へのビオチン化抗体を用いるフローサイトメトリーにより決めることができる。また、マウスまたはヒト破骨細胞培養を、実施例8に記載のように作ることができ、試験化合物を、CSF−1およびOPG結合性蛋白の添加により刺激される破骨細胞成熟を遮断する性能について評価することができる。細胞培養アッセイは、前記の結合性蛋白アッセイにおいて陽性となる化合物をさらに評価するのに、有利に使用しうる。
【0059】
OPG結合性蛋白とODARとの相互作用を増加または低下させる化合物は、マウスに化合物を投与し、続いて骨走査密度測定または放射線法を用いて骨密度を測定することにより評価することもできる。骨密度を測定する手順が、PCT出願WO97/23614及び実施例13に記載されている。
【0060】
本発明は、OPG結合性蛋白とODARとの相互作用を低下または遮断するもので、破骨細胞形成の拮抗薬である化合物を提供する。そのような化合物は、通常、2つの群に分けられる。1つの群は、OPG結合性蛋白から誘導されるまたはOPG結合性蛋白と相互作用する化合物を含む。これらは、先に記載されている。第2の群は、ODARから誘導されるまたはODARと相互作用する化合物を含む。ODARの拮抗薬である化合物の例は、核酸、蛋白、ペプチド、炭水化物、脂質または低分子量有機化合物を含む。
【0061】
拮抗薬またはODARは、ODAR細胞外領域においてOPG bpのための1または2以上の結合部位においてまたはその近くに結合し、複合体形成を低下させるまたは完全に遮断する化合物であり得る。OPG結合性蛋白との複合体形成に含まれるODAR上のこれらの領域は、Bannerらの文献(Cell 第73巻,431〜445頁(1993年))記載されている相同性TNFβ/TNF−R55複合体の構造との類似性により同定することができる。例えば、TNFβ/TNF−R55複合体の構造を用いて、複合体形成に含まれるOPG結合性蛋白およびODARの領域を同定することができる。次に、複合体形成に含まれる領域に選択的に結合し拮抗薬として作用する化合物を設計することができる。実施例11に示す1つの手法において、拮抗薬として作用するOPG結合性蛋白への抗体の増加に用いられるようにペプチド抗原を設計した。これらの抗体は、OPG結合性蛋白に結合し、ODARとの複合体形成を遮断することが予想される。同様の方法において、ODAR構造に基づくペプチド抗原を用いて、拮抗薬として作用する抗ODAR抗体を増加させることができる。
【0062】
ODARの拮抗薬は、OPG bpのための結合部位から離れた位置においてODARに結合し、ODARポリペプチドの構造変化を誘発することができ、それにより、OPG結合性蛋白との複合体形成が低下または非産生的になる。
【0063】
1つの態様において、機能的膜貫通領域を欠く可溶性状態のODARである。可溶性状態のODARは、膜貫通領域に1または2以上のアミノ酸からなる欠失を有し得る(図10に示すアミノ酸214〜234)。可溶性ODARポリペプチドは、細胞外領域の一部または全部を有することができ、OPG結合性蛋白を結合することができる。任意に、可溶性ODARは、ODARの細胞外領域の一部または全部が非相同アミノ酸配列に融合しているキメラ蛋白の一部であってよい。1つの態様において、非相同アミノ酸配列は、ヒトIgGからのFc領域である。
【0064】
骨粗鬆症、骨髄炎、悪性の高カルシウム血症、手術またはステロイド投与により引き起こされるオステオペニア、ページェット病、骨壊死、リューマチ性関節炎による骨損失、歯周骨損失、固定化、補綴ゆるみ、および骨融解性転移を含む含むオステオペニアの予防または治療のためにODARの調整剤(作用薬および拮抗薬)を用いることができる。オステオペニアの治療のために用いられるODARの作用薬および拮抗薬は、単独で、または、BMP−1〜BMP−12と表される骨形態形成因子、形質転換成長因子−βおよびTGF−βファミリーメンバー、骨芽細胞成長因子FGF−1〜FGF−10、インターロイキン−1抑制剤、TNFα抑制剤、副甲状腺ホルモン、E型プロスタグランジン、ビスホスホネート、エストロゲン、SERM、およびフッ化物およびカルシウムのような骨向上性鉱物を含む骨成長促進剤の治療有効量と組み合わせて投与することができる。ODARの拮抗薬は、オステオペニアの治療に特に有用である。
【0065】
本発明をより詳細に説明するために、以下の実施例が提供されるが、本発明の範囲を制限すると解すべきではない。
【実施例1】
【0066】
OPG結合性蛋白のための細胞系供給源の同定
オステオプロテゲリン(OPG)は、生体外および生体内の破骨細胞発生を抑制制御する。OPGは、TNFR関連蛋白であるので、TNF関連ファミリーメンバーと相互作用し易いと共にその効果を媒介する。1つの例を除いて、TNFスーパーファミリーの全ての既知のメンバーは、細胞表面に発現されるII型膜貫通蛋白である。OPG結合性蛋白の供給源を同定するために、種々の細胞系および一次造血細胞の表面に配されたOPG結合性蛋白についてスクリーニングするための免疫プローブとして、組換えOPG−Fc融合蛋白を用いた。
【0067】
生体外で接着培養として成長した細胞系を、次の方法を用いて処理した:細胞を、24ウエル組織培養プレート(Falcon製)内に入れ、次に約80%の集密性まで増殖させた。次に増殖培地を除去し、接着培養を、1%胎児ウシ血清(FCS)を含む燐酸塩緩衝生理食塩水(PBS)(Gibco製)で洗った。組換えマウスOPG[22−194]−FcおよびヒトOPG[22−201]−Fc融合蛋白(1996年9月3日付けの米国出願No.08/706,945を参照)を、個々に、1%FCS含有PBS中に5ug/mlの濃度まで希釈し、培地に添加し0℃で45分間インキュベートした。OPG−Fc融合蛋白溶液を廃棄し、細胞を前述のようにPBS−FCS溶液で洗った。次に、培養を、PBS−FCS中に希釈されたフィコエリスリン結合ヤギF(ab’)抗ヒトIgG2次抗体(Southern Biotechnology Associates Cat.#2043〜09)にさらした。0℃で30〜45分間インキュベーションした後、溶液を廃棄し、培養を前述のように洗った、次に、細胞を、免疫蛍光顕微鏡法により分析して、細胞表面OPG結合性蛋白を発現する細胞系を検出した。
【0068】
細胞浮遊培養を、以下の変法と類似の方法で分析した:希釈剤および洗浄緩衝液は、1%FCSを含んでいるカルシウムおよびマグネシウム非含有リン酸塩緩衝生理食塩水からなっていた。細胞を、増殖培地中の対数増殖している培地から収穫し、遠心分離によりペレット化し、次に、96ウエル微量定量組織培地プレート(Falcon製)において1×10細胞/mlの濃度で再懸濁した。細胞を、組換えOPG−Fc融合蛋白に、次に、前述のような2次抗体に連続的にさらし、細胞を各工程間の遠心分離により洗浄した。次に、細胞を、Becton Dickinson FACscanを用いて蛍光活性細胞分類(FACS)により分析した。
【0069】
この手法を用いて、マウス骨髄単球細胞系32D(ATCCアクセスno.CRL−11346)が、マウスOPC[22−194]−FcおよびヒトOPG[22−201]−Fc融合蛋白の両方を用いて検出することができる表面分子を発現することがわかった。2次抗体のみでは、32D細胞の表面に結合せず、またヒトIgG1 Fcを精製せず、これは、OPG−Fc融合蛋白の結合がOPG分子によるものであることを示している。この結合は、組換えマウスまたはヒトOPG[22−401]蛋白の添加により投与量依存的に競合することができた。すなわち、この生物学的活性のために必要なOPG領域は、32D誘導表面分子に特異的に結合することができる。
【実施例2】
【0070】
マウスOPG結合性蛋白の発現クローニング
cDNAライブラリーを32D mRNAから調製し、哺乳動物発現ベクターpcDNA3.1(+)(Invitrogen,San Diego,CA)中に結合させた。組換えインターロイキン−3の存在下に維持された指数増殖期の32D細胞を収穫し、全細胞RNAを酸性チオシアン酸グアニジニウム−フェノール−クロロホルム抽出により精製した(ChomczynskiおよびSacchiのAnal.Biochem.第162巻,156〜159頁(1987年))。製造者の推薦手順を用いてDynabeads Oligo(dT)25(Dynal Corp製)への吸着またはそこからの溶離により、全RNA製剤からポリ(A+)mRNAフラクションを得た。指向的オリゴ−dTでプライミングしたcDNAライブラリーを、製造者の推薦手順を用いてSuperscript Plasmid System(Gibco BRL,Gaithersburg,Md)を用いて調製した。得られるcDNAを、Sal IおよびNot I制限エンドヌクレアーゼを用いて完全に消化し、次に、サイズ排除ゲルクロマトグラフィーにより分画した。最も分子量の大いフラクションを選択し、次に、プラスミドベクターpcDNA3.1(+)(Invitrogen,San Diego,CA)のポリリンカー領域に結合させた。このベクターは、複クローニング部位の上流のCMVプロモーターを含み、真核生物細胞中に高水準の発現を導いた。次に、ライブラリーを、電気穿孔によりコンピテント大腸菌中に入れ(ElectroMAX DH10B,Gibco,NY)、100ug/mlアンピシリンを含むLB寒天上に滴下した。次に、ライブラリーを、約1000クローン/プールを含む分離プール中に配置し、各プールの培地1.0mlを37℃で16〜20時間増殖させた。各培地からのプラスミドDNAを、製造者の推薦手順に従って、Qiagen Qiawell 96 Ultra Plasmid Kit(カタログ#16191)を用いて調製した。
【0071】
32D cDNA発現ライブラリーの配列プールを、個々に、COS−7培地中に脂質移入(lipofect)し、次に、細胞表面OPG結合性蛋白を得るために検定した。このために、COS−7細胞を、6ウエル組織培地プレート(Costar製)内に1×10/mlの濃度で置き、次に10%FCSを含むDMEM(Gibco)中で一晩培養した。各プールからの約2μgのプラスミドDNAを、血清非含有DMEM0.5ml中に希釈し、次に、0.2μmのSpin−Xカラム(Costar)を通して遠心分離することにより滅菌した。同時に、Lipofectamine(Life Technologies Cat#18324〜012)10μlを、血清非含有DMEM0.5mlを含む別の管に添加した。DNAおよびLipofectamine溶液を混合し、室温で30分間インキュベートした。次に、COS−7細胞培地を、血清非含有DMEMで洗い、DNA−lipofectamine複合体を37℃で培地に2〜5時間さらした。この期間後、培地を除去し、10%FCSを含むDMEMで置換した。次に、細胞を37℃で48時間培養した。
【0072】
OPG結合性蛋白を発現する培養を検出するために、増殖培地を除去し、細胞をPBS−FCS溶液で洗った。ヒトOPG[22−201]−Fc融合蛋白を5μg/ml含むPBS−FCS溶液の1.0mlを各ウエルに添加し、室温で1時間インキュベートした。細胞をPBS−FCS溶液で3回洗い、次に、2%パラホルムアルデヒドおよび0.2%グルタルアルデヒドを含むPBS中にて室温で5分間固定した。培地をPBS−FCSで1回洗い、次に、PBS−FCS溶液に漬しつつ65℃で1時間インキュベートした。培地を冷却し、PBS−FCS溶液を吸引した。次に、培地を、アルカリホスファターゼ結合ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異的)抗体(SIGMA製、製造#A−9544)と一緒に室温で30分間インキュベートし、次に、20mM Tris−Cl(pH7.6)および137mM NaClで3回洗った。これらの工程中に形成された免疫複合体は、製造者の推薦手順に従ってFast Red TR/AS−MX Substrate Kit(Pierce,カタログ#34034)を用いてアルカリホスファターゼ活性について検定することにより検出した。
【0073】
この手法を用いて、合計で約300,000の独立32D cDNAクローン、即ち各々1000クローンを含む300のトランスフェクトしたプールをスクリーニングした。OPG−Fc融合蛋白により特異的に修飾される能力を獲得した細胞を含む単一のウエルを同定した。このプールを、同胞選択の連続的繰り返しにより分割し、単一プラスミドクローン32D−F3を得た(図1)。次に、32D−F3プラスミドDNAを、COS−7細胞中にトランスフェクトし、それを、FITC−結合ヤギ抗ヒトIgG2次抗体単独、ヒトOPG[22−201]−Fc融合蛋白+2次、またはATAR−Fc融合蛋白(HVEMとしても知られているATAR;Montgomeryら著,Cell 第87巻,427〜436(1996年))で免疫染色した(図2)。2次抗体単独はCOS−7/32D−F3細胞に結合せず、ATAR−Fc融合蛋白にも結合しなかった。OPG Fc融合蛋白のみが、COS−7/32D−F3細胞に結合し、このことは、OPG結合性蛋白をコードする32D−F3が発現細胞の表面に表示されることを示している。
【実施例3】
【0074】
OPG結合性蛋白配列
先に単離した32D−F3は、約2.3kbのcDNA挿入部を含み(図1)、それを、製造者の推薦手順に従って、プライマー誘導Taq染料ターミネーター反応(Applied Biosystems)を用いてApplied Biosystems 373A自動DNA配列機において両方向に配列決定した。得られるヌクレオチド配列を、FASTAプログラム(GCG,ウイスコンシン大学)を用いてDNA配列データベースと比較し、「6方向(six−way)オープンリーディングフレーム」アプリケーション(Frames)(GCG,ウイスコンシン大学)を用いて長いオープンリーディングフレーム(LORF’s)の存在について分析した。メチオニンで始まっている316アミノ酸(aa)残基のLORFを適当な方向において検出し、このLORFに続いて約150bpの5’非翻訳領域が存在した。5’非翻訳領域は、予想される開始コドンの上流にフレーム内停止コドンを含んでいた。これは、32D−F3プラスミドの構造が、哺乳動物細胞中で316aa遺伝子生成物の発現を導くようにCMVプロモーター領域を利用するその性能に一致することを示している。
【0075】
次に、予想されるOPG結合性蛋白配列を、FASTAプログラムの改良バージョン(Pearson,Meth.Enzymol.第183巻,63〜98頁(1990年))を用いて既知の蛋白配列のデータベースと比較した。LuethyらのProtein Sci.第3巻,139〜146頁(1994年)により改良された(Gribskovら著,Proc.Natl.Acad.Sci.米国 第83巻,4355〜4359頁(1987年))の配列プロフィール法を用いて、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーの全ての既知のメンバー中に維持される特定のモチーフの存在についても、アミノ酸配列を分析した。OPG結合性蛋白全体において、TNFスーパーファミリーの幾つかのメンバーへの強い類似性が見られた。マウスOPG結合性蛋白は、TRAILおよびCD40リガンドの両方のマウスおよびヒト類似体に最も密接に関係しているようである。OPG結合性蛋白配列のさらなる分析は、19.46の高度に有意義なZスコアを有するTNFスーパーファミリーへの強度の調和性を示した。
【0076】
OPG結合性蛋白アミノ酸配列は、M49で始まりL69まで伸びる検知可能な疎水性膜貫通領域を含む。メチオニン開始コドンに対するこの構造に基づいて、OPG結合性蛋白は、短いN−末端細胞内領域および長いC−末端細胞外領域を有するII型膜貫通蛋白であると予想される(図4)。これは、リンホトキシンαを除いて、全ての既知のTNFファミリーメンバーに類似している(NagataおよびGolstein著,Science 第267巻,1449〜1456頁(1995年))。
【実施例4】
【0077】
ヒトOPG結合性蛋白mRNAの発現
様様な複合ヒト組織ノーザンブロット(Clontech,Palo Alto,CA)を、32P−dCTP標識化32D−F3制限フラグメントを用いて検知することにより、ヒト転写の寸法を検出し、発現のパターンを決定した。ノーザンブロット体は、5×SSPE、50%ホルムアミド、5×デンハート溶液、0.5%SDS、および100μg/ml変性サケ精子DNA中で42℃で2〜4時間、プレハイブリダイゼーションを行った。次に、ブロット体を、5×SSPE、50%ホルムアミド、2×デンハート溶液、0.1%SDS、100μg/ml変性サケ精子DNA、および5ng/ml標識化プローブ中で42℃で18〜24時間、ハイブリダイゼーションを行った。次に、ブロット体を、2×SSC中にて室温で10分間、1×SSC中にて50℃で10分間、次に、0.5×SSCにて10〜15分間洗った。
【0078】
マウスcDNAから誘導されたプローブおよび緊縮条件下のハイブリダイゼーションを用いて、約2.5kbの相対分子量を有する優勢量のmRNA種をリンパ節中において検出した(図3)。胎児肝臓mRNA中で同じ相対的分子量の位置に弱い信号も検出される。実験した他の組織中にはOPG結合性蛋白転写体が検出されなかった。データは、OPG結合性蛋白mRNAの発現がヒト組織において著しく制限されていることを示している。データは、単離されたcDNAクローンが、天然転写体の寸法に非常に近いことも示しており、これは、32D−F3が全長クローンであることを示唆している。
【実施例5】
【0079】
ヒトOPG結合性蛋白の分子クローニング
OPG結合性蛋白のヒト相同体が、ヒト末梢リンパ節中に約2.5kbのmRNAとして発現され、緊縮ハイブリッド形成条件下にマウスcDNAプローブとのハイブリッド形成により検出される。ヒトOPG結合性蛋白をコードするDNAが、組換えバクテリオファージプラーク、または形質転換バクテリアコロニーハイブリッド形成法によりヒトリンパ節cDNAライブラリーをスクリーニングすることにより得られる(Sambrookら著,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,New York(1989年))。このために、マウスOPG結合性蛋白クローン32D−F3を放射能で標識したプローブを用いて、そのファージまたはプラスミドcDNAライブラリーをスクリーニングする。プレート上のライブラリーから持ち上げられたニトロセルロースフィルターをプローブを用いてスクリーニングする。これらのフィルターはプレハイブリダイゼーションを行い、次に実施例4に特定された条件を用いてハイブリダイゼーションを行い、最終的にヒトOPG結合性蛋白cDNAの精製クローンを得た。任意のヒトOPG結合性蛋白クローンから得られた挿入物を、実施例3に記載のように配列決定および分析する。
【0080】
ヒトリンパ節ポリA+RNA(Clontech,Inc.,Palo Alto,CA)を、1995年12月22日付けの米国出願No.08/577,788に予め示されているように、OPG−bp転写体の存在について分析した。32P−標識化マウスOPG−bpプローブを用いて緊縮条件下に検知したこのRNAサンプルのノーザンブロットは、ヒトOPG−bp転写体の存在を示した。次に、オリゴdTでプライミングしたcDNAライブラリーを、実施例2に記載されているようにSuperScript kit(GIBCO life Technologies,Gaithersberg,MD)を用いてリンパ節mRNAから合成した。得られるcDNAを寸法的に選択し、高分子量フラクションをプラスミドベクターpcDNA3.1(+)(Invitrogen,San Diego,CA)に結合した。エレクトロコンピテント大腸菌DH10(GIBCO life Technologies,Gaithersberg,MD)を形質転換し、1×10のアンピシリン抵抗性形質転換体を、32P−標識化マウスOPG結合性蛋白プローブを用いてコロニーハイブリッド形成によりスクリーニングした。
【0081】
推定ヒトOPG結合性蛋白cDNAのプラスミドクローンphuOPGbp−1.1を単離し、2.4kbの挿入体を含んでいた。得られるphuOPGbp−1.1挿入体のヌクレオチド配列は、マウスOPG結合性蛋白cDNA配列に約80〜85%相同であった。挿入体DNA配列の翻訳は、317aaポリペプチドをコードすると予想される長いオープンリーディングフレームの存在を示した(図4)。マウスとヒトのOPG−bpポリペプチドを比較すると87%までの相同性が示され、これは、この蛋白が、進化の過程で高度に保存されることを示している。
【0082】
ヒトOPG結合性蛋白DNAおよび蛋白配列がGenbankには存在せず、相同性のEST配列が無かった。マウス相同体の場合のように、ヒトOPG結合性蛋白は、サイトカインのTNFαスーパーファミリーの全てのメンバーに強度の配列類似性を示す。
【実施例6】
【0083】
OPG結合性蛋白のクローニングおよびバクテリアにおける発現
プライマー対と以下に記載するテンプレートを用いるPCR増幅を利用して、種々の形状のマウスOPG結合性蛋白を合成する。各対の1つのプライマーは、遺伝子のカルボキシ末端に続いて、TAA停止コドンおよび独自のXhoIまたはSacII部位を導入する。各対の他のプライマーは、独自のNdeI部位、N−末端メチオニン、および遺伝子のアミノ末端部分への最適化コドンを誘導する。PCRおよび熱循環は、標準的組換えDNA法を用いて行う。PCR生成物を精製し、制限酵素で消化し、ベクターpAMG21(ATCCアクセス番号98113)の独自のNdeIおよびXhoIまたはSacII部位に挿入し、原栄養大腸菌393または2596中に形質転換する。他の一般的に用いられる大腸菌発現ベクターおよび宿主細胞も発現に適している。形質転換後、クローンを選択し、プラスミドDNAを単離し、OPG結合性蛋白挿入体の配列を確認する。
【0084】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[75−316]
この構造体を、242アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0085】
NH-Met(75)-Asp-Pro-Asn-Arg-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0086】
PCRに用いられるテンプレートは、pcDNA/32D−F3であり、オリゴヌクレオチド#1581〜72および#1581〜76は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0087】
1581−72
【0088】
【化1】

(配列番号5)
【0089】
1581−76
【0090】
【化2】

(配列番号6)
【0091】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[95−316]
この構造体を、223アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0092】
NH-Met-His(95)-Glu-Asn-Ala-Gly-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0093】
PCRに用いられるテンプレートは、pcDNA/32D−F3であり、オリゴヌクレオチド#1591〜90および#1591〜95は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0094】
1591−90
【0095】
【化3】

(配列番号7)
【0096】
1591−95
【0097】
【化4】

(配列番号8)
【0098】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[107−316]
この構造体を、211アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0099】
NH-Met-Ser(107)-Glu-Asp-Thr-Leu-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0100】
PCRに用いられるテンプレートは、pcDNA/32D−F3であり、オリゴヌクレオチド#1591〜93および#1591〜95は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0101】
1591−93
【0102】
【化5】

(配列番号9)
【0103】
1591−95
【0104】
【化6】

(配列番号10)
【0105】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[118−316]
この構造体を、199アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0106】
NH-Met(118)-Lys-Gln-Ala-Phe-Gln-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0107】
PCRに用いられるテンプレートは、pcDNA/32D−F3であり、オリゴヌクレオチド#1591〜94および#1591〜95は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0108】
1591−94
【0109】
【化7】

(配列番号11)
【0110】
1591−95
【0111】
【化8】

(配列番号12)
【0112】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[128−316]
この構造体を、190アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0113】
NH-Met-Lys(128)-Glu-Leu-Gln-His-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0114】
PCRに用いられるテンプレートは、pcDNA/32D−F3であり、オリゴヌクレオチド#1591〜91および#1591〜95は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0115】
1591−91
【0116】
【化9】

(配列番号13)
【0117】
1591−95
【0118】
【化10】

(配列番号14)
【0119】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[137−316]
この構造体を、181アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0120】
NH-Met-Gln(137)-Arg-Phe-Ser-Gly-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0121】
PCRに用いられるテンプレートは、pcDNA/32D−F3であり、オリゴヌクレオチド#1591〜92および#1591〜95は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0122】
1591−92
【0123】
【化11】

(配列番号15)
【0124】
1591−95
【0125】
【化12】

(配列番号16)
【0126】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[146−316]
この構造体を、171アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0127】
NH-Met(146)-Glu-Gly-Ser-Trp-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0128】
PCRに用いられるテンプレートは、先に記載されているpAMG21−マウスOPG結合性蛋白[75−316]であり、オリゴヌクレオチド#1600〜98および#1581〜76は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0129】
1600−98
【0130】
【化13】

(配列番号17)
【0131】
1581−76
【0132】
【化14】

(配列番号18)
【0133】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[156−316]
この構造体を、162アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0134】
NH-Met-Arg(156)-Gly-Lys-Pro-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0135】
PCRに用いられるテンプレートは、先に記載されているpAMG21−マウスOPG結合性蛋白[158−316]であり、オリゴヌクレオチド#1619〜86および#1581〜76は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0136】
1619−86
【0137】
【化15】

(配列番号19)
【0138】
1581−76
【0139】
【化16】

(配列番号20)
【0140】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[158−316]
この構造体を、160アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0141】
NH-Met-Lys(158)-Pro-Glu-Ala-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0142】
PCRに用いられるテンプレートは、pcDNA/32D−F3であり、オリゴヌクレオチド#1581〜73および#1581〜76は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0143】
1581−73
【0144】
【化17】

(配列番号21)
【0145】
1581−76
【0146】
【化18】

(配列番号22)
【0147】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[166−316]
この構造体を、152アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0148】
NH-Met-His(166)-Leu-Thr-Ile-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0149】
PCRに用いられるテンプレートは、pcDNA/32D−F3であり、オリゴヌクレオチド#1581〜75および#1581〜76は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0150】
1581−75
【0151】
【化19】

(配列番号23)
【0152】
1581−76
【0153】
【化20】

(配列番号24)
【0154】
pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[168−316]
この構造体を、150アミノ酸の長さに加工し、それは次のN−末端およびC−末端残基を有する。
【0155】
NH-Met-Thr(168)-Ile-Asn-Ala-------Gln-Asp-Ile-Asp(316)-COOH.
【0156】
PCRに用いられるテンプレートは、pcDNA/32D−F3であり、オリゴヌクレオチド#1581〜74および#1581〜76は、PCRおよびこの遺伝子構造体のクローニングのために用いられるプライマー対であった。
【0157】
1581−74
【0158】
【化21】

(配列番号25)
【0159】
1581−76
【0160】
【化22】

(配列番号26)
【0161】
上記構造体は実施例であり、当業者はここに記載の一般的方法を用いて他の形状のOPG結合性蛋白を容易に得ることができることが理解される。
【0162】
組換えバクテリア構造体pAMG21−マウスOPG結合性蛋白[75−316]、[95−316]、[107−316]、[118−316]、[128−316]、[137−316]、および[158−316]をクローニングし、DNA配列を確認し、誘発に続く組換え遺伝子生成物発現の水準を試験した。全ての構造体が、粗溶解物のSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動およびクーマシー染色の後に容易に認識される組換え遺伝子生成物の水準を提供した。形質転換大腸菌393または2596の増殖、OPG結合性蛋白発現の誘発およびOPG結合性蛋白を含む封入体の単離を、PCT WO97/23614に記載の手順に従って行う。封入体からのOPG結合性蛋白の精製は、当業者が利用できる手順を用いてOPG結合性蛋白を可溶化および再生することを必要とする。組換えマウスOPG結合性蛋白[158−316]は、大部分が不溶性で生成されることがわかったが、約40%は可溶性フラクション中に見つかった。組換え蛋白を、以下に記載するように可溶性フラクションから精製し、その生物学的活性を試験した。
【実施例7】
【0163】
組換えマウスOPG結合性蛋白[158−316]の精製
発現されたマウスOPG結合性蛋白(158−316)を有する凍結バクテリア細胞を解凍し、20mM Tris−HCl pH7.0、10mM EDTA中に再び懸濁させた。次に、細胞懸濁液(20%w/v)を、マイクロフルイダイザイーを3回通過させることにより均質化した。溶解された細胞懸濁液を、JA14ローター内で10000rpmにて45分間遠心分離した。SDS−PAGE分析は、封入体および上清の両方において存在する分子量約18kdのバンドを示した。次に、可溶性フラクションを、10mM MES pH6.0で平衡させたPharmacia SP Sepharose 4FFカラムに適用した。OPG結合性蛋白を、MES pH6.0中に0〜0.4MのNaClを含む20カラム体積のグラジエントで溶離した。次に、OPG結合性蛋白を含むフラクションを、20mM MES pH6.0で平衡させたABX Bakerbondカラムに適用した。OPG結合性蛋白を、MES pH6.0中に0〜0.5MのNaClを含む15CVのグラジエントで溶離した。最終生成物は、SDS−PAGEによると95%を超える均質さであった。N−末端配列化により、次の配列が得られた:Met−Lys−Pro−Glu−Ala−Gln−Pro−Phe−Ala−His:これは、残基158で開始(メチオニンイニシエーター)するポリペプチドについて予想されるものと同様である。SDS−PAGE中の蛋白の相対分子量は還元時に変化しない。
【実施例8】
【0164】
組換え可溶性OPG結合性蛋白の生体外生物学的活性
組換えOPG蛋白が、先に、米国出願08/577,788に記載されているように、破骨細胞形成アッセイにおいて骨髄および脾臓前駆体からのビタミンD3−依存性破骨細胞形成を阻害することが示された。OPG結合性蛋白は、OPGに結合し、リガンドのTNFファミリーの新しいメンバーであるので、OPG生物学的活性の潜在的標的である。最少コアTNFα様領域を表す組換え可溶性OPG結合性蛋白(158〜316)を、破骨細胞前駆体からの破骨細胞の分化を調整する性能について試験した。骨髄細胞を成体マウス大腿骨から単離し、M−CSFで処理した。非接着性フラクションを、ビタミンD3およびデキサメタゾン両方の存在または不存在下にST2細胞と一緒に共培養した。先に示したように、破骨細胞は、基質細胞(ST2)、ビタミンD3およびデキサメタゾンを含む共培養からでないと発達しない。組換え可溶性OPG結合性蛋白を、0.16〜500ng/mlの種々の濃度で添加し、破骨細胞成熟を、TRAP溶液アッセイにより、および視覚的観察により測定した。OPG結合性蛋白は、破骨細胞分化および成熟を投与量に依存して強度に刺激し、1〜2ng/mlの範囲において最大の半分の効果を有しており、このことは生体外での破骨細胞発生の潜在的誘発剤として作用することを示している(図5)。OPG結合性蛋白の効果は、組換えOPGにより阻害される(図6)。
【0165】
OPG結合性蛋白が基質および添加ステロイドを置換し得るか試験するために、破骨細胞前駆体の成長を促進するようにM−CSFを種々の濃度で用いることにより培地を形成し、種々の量のOPG結合性蛋白も添加した。図6に示すように、OPG結合性蛋白は投与量依存的にTRAP活性を刺激し、刺激の大きさは、添加されたM−CSFの水準に依存し、このことは、これらの2つの因子が一緒になって、破骨細胞発達のための要であることを示している。この最後の観察の生物学的関連性を確認するために、ウシ皮質骨スライス上に培地を形成し、M−CSFおよびOPG結合性蛋白の単独または一緒になった効果を示した。図7に示すように、M−CSFの存在下におけるOPG結合性蛋白は、骨表面を腐食して多孔状にする大きなTRAP陽性破骨細胞の形成を刺激した。すなわち、OPG結合性蛋白は、破骨細胞発生刺激(分化)因子として作用する。このことは、OPGが、OPG結合性蛋白を隔離することにより破骨細胞の発達を阻害することを示している。
【実施例9】
【0166】
組換え可溶性OPG結合性蛋白の生体内活性
生体外研究に基づき、大腸菌内で生成した組換えマウスOPG結合性蛋白[158−316]は、骨髄性前駆体からの破骨細胞発達の潜在的誘発剤である。生体内におけるその効果を決めるために、4〜5週齢のオスBDF1マウス(Charles River Laboratories)に、OPG結合性蛋白[158−316]の皮下注射を、1日2回で3日間および4日目の朝に行った(0、1、2および3日目)。5つの群のマウス(n=4)にキャリアのみ、または一日当り1、5、25もしくは100μg/のOPG結合性蛋白[158−316]を与えた。さらに5つの群のマウス(n=4)に上記投与量のキャリアまたはOPG結合性蛋白[158−316]を与え、さらにヒトFc−OPG[22−194]を1日1回の皮下注射により1mg/kg/日(約20μg/日)の割合で与えた。全血イオン化カルシウムを、0日目の処理前、および1、2および3日目のOPG結合性蛋白[158−316]の最初日毎注射の3〜4時間後に決めた。3日目の最後の注射から4時間後、マウスを殺し、放射線撮影を行った。
【0167】
OPG結合性蛋白[158−316]の組換えにより、5μg/日以上の投与量での治療の2日後に血液イオン化カルシウム量が大きく増加した(図8)。高カルシウム血症の程度は、増加した骨吸収から生じる破骨細胞活性の潜在的誘発を示す。OPGを並行して投与すると、5および25μg/日のOPG結合性蛋白[158−316]の投与量において高カルシウム血症が制限されたが、100μg/日では制限されなかった。これら同じ動物を、放射線撮影により分析して、X−線により見える骨鉱物密度への影響があるかどうかを決めた(図9)。3日間注射されたOPG結合性蛋白の組換え体[158−316]は、マウスの近位けい骨における骨密度を投与量依存的に低下させた。骨密度の低下は、100μg/日で投与されるマウスにおいて特に明確であり、これらの動物における重度の高カルシウム血症が増加した骨吸収から生じ、結果として骨からのカルシウムが放出されることが確認される。これらのデータは、OPG結合性蛋白[158−316]が生体内で骨吸収を促進し、それにより全身性高カルシウム血症を導くこと、および組換えOPGがこれらの効果を排除することを明らかに示している。
【実施例10】
【0168】
哺乳動物細胞における可溶性OPG結合性蛋白クローニングおよび発現
マウスおよびヒトOPG結合性蛋白の全長クローンを、先に実施例2で記載したように哺乳動物細胞において発現することができる。また、哺乳動物細胞内で発現されたときに、分泌された状態の蛋白をコードするようにcDNAクローンを変性することができる。このために、開始コドンをコードし、膜貫通拡張領域を含む蛋白の最初の69のアミノ酸を略通過して伸びるcDNAの天然5’末端を、シグナルペプチドリーダー配列で置換することができる。例えば、既知の遺伝子の最初のコドンおよびシグナルペプチドをコードするDNA配列を切断して、アミノ酸残基68をコードする領域の後の任意の位置で始まるOPG結合性蛋白cDNA配列にすることができる。得られる組換えクローンは、動物細胞内で分泌状態のOPG結合性蛋白を生成することが予想され、グリコシル化のようなOPG結合性蛋白のC末端細胞外領域において通常起こる翻訳後変性を起こすべきである。この方式を用いて、マウスOPG結合性蛋白の5’末端およびその3’末端にヒトIgG1 Fc領域を有する分泌状態のOPG結合性蛋白を組み立てた。1995年12月22日付けの米国出願No.08/577,788に記載のプラスミドベクターpCEP4/muOPG[22−401]を、NotIで消化してOPGの3’末端とFc遺伝子との間を開裂させる。線状化したDNAを、次に、XmnIで部分的に消化してOPGの残基23と残基24との間のみを開裂してブラント末端を残した。制限酵素による消化物を、次に、CIPを用いて脱リン酸し、この消化物(OPGおよびFcの1〜23残基を含む)のベクター部分をゲル精製した。
【0169】
アミノ酸残基69〜316をコードするマウスOPG結合性蛋白cDNA領域を、Pfuポリメラーゼ(Stratagene,San Diego,CA)を用いて、プラスミドテンプレートから、以下のオリゴヌクレオチドのプライマーを用いてPCRで増幅した。
【0170】
1602−61:
【0171】
【化23】

(配列番号27)
【0172】
1602−59:
【0173】
【化24】

(配列番号28)
【0174】
1602〜61オリゴヌクレオチドが、遺伝子の5’末端を増幅し、人工的なStuI部位を含む。1602〜59プライマーが遺伝子の3’末端を増幅し、人工的なNotI部位を含む。得られるPCR生成物を、NotIおよびStuIを用いて消化し、次にゲルで精製した。精製されたPCR生成物をベクターと結合し、次に電気的コンピテント大腸菌DH10B細胞の形質転換に用いた。得られたクローンを配列させて、増幅した配列と制限部位接合部の一体性を確認した。次にこのプラスミドを用いてヒト293線維芽細胞をトランスフェクトし、OPG結合性蛋白−Fc融合蛋白を、先に1995年12月22日付けの米国出願No.08/577,788に記載されているように培地から収集した。
【0175】
同様の方式を用いて、ヒトIgG1 Fc領域に融合したN−末端截形部を発現することのできる発現ベクターを示した。この構造物は、枠内でマウスOPG結合性蛋白残基158〜316に融合し、続いてヒトIgG1 Fc領域に枠内で融合したマウスOPG結合性蛋白(aa残基1〜21)からなる。このために、プラスミドベクターpCEP4/マウスOPG[22−401](1995年12月22日付けの米国出願No.08/577,788)を、HindIIIおよびNotIで消化して全OPG読み枠を除去した。マウスOPG結合性蛋白の残基158〜316を、以下のプライマーを用いてプラスミドテンプレートpcDNA/32D−F3からPCR増幅した。
【0176】
1616−44:
【0177】
【化25】

(配列番号29)
【0178】
1602−59:
【0179】
【化26】

(配列番号30)
【0180】
残基158で開始すると共に、人工的XhoI部位を有するmuOPGシグナルペプチドの残基16〜21を含んでいるOPG結合性蛋白を、1616〜44が増幅する。1602〜59は、遺伝子の3’末端を増幅し、枠内NotI部位を加える。PCR生成物を、NotIおよびXhoIで消化し、次に、ゲルで精製する。
【0181】
以下の相補プライマーを互いにアニーリングして、翻訳開始部位を包囲するKozak配列およびマウスOPGシグナルペプチドをコードするアダプターを形成する。
【0182】
1614−41
【0183】
【化27】

(配列番号31)
【0184】
1616−42
【0185】
【化28】

(配列番号32)
【0186】
これらのプライマーをアニーリングし、5’末端のHindIIIおよび3’末端のXhoIと相溶性の5’突出部を発生させた。先に得られた消化ベクターを、アニーリングされたオリゴ、および消化されたPCRフラグメントを併せて結合し、電気穿孔によりDH10B細胞に入れた。得られるクローンを配列決定して、シグナルペプチド、残基158〜316をコードするOPG結合性蛋白フラグメント、およびIgG1 Fc領域の間の結合の正確な再構築を確認した。組換えプラスミドを精製し、ヒト293線維芽細胞内にトランスフェクトし、前述のように調整済媒体産物として発現させた。
【0187】
全長マウスおよびヒトcDNAを、pCEP4発現ベクター(Invitrogen,San Diego,CA)内にクローニングし、次に実施例1に記載のようにヒト293線維芽細胞の培地内にトランスフェクトした。細胞培地を、前述のようにハイグロマイシンを用いて選択し、血清非含有調整培地を調製した。調整培地を、固定化組換えOPGのカラムに通し、格納庫状態(shed form)のマウスおよびヒト組換えOPG bpを親和性を利用して精製した。精製した可溶性OPG結合性蛋白のN−末端配列分析は、マウス蛋白が、フェニルアラニン139の前で選択的に開裂し、ヒト蛋白が、相同性残基であるイソロイシン140の前で選択的に開裂することを示している。さらに、ヒト蛋白は、グリシン145の前でも選択的に開裂する。このことは、天然産の可溶性状態のヒトOPG結合性蛋白が、位置140のイソロイシンまたは位置145のグリシンの位置においてアミノ末端残基を有することを示唆している。
【実施例11】
【0188】
OPG結合性蛋白のペプチド、および蛋白に対するポリクローナルおよびモノクローナル抗体の調製
OPG結合性蛋白の特定領域への抗体を、OPG結合性蛋白からのペプチドを用いて免疫化することにより得ることができる。これらのペプチドを単独で用いて、または共役状態のペプチドを用いて免疫化することができる。
【0189】
成熟TNFαの結晶構造が記載され[E.Y.Jones,D.I.StuartおよびN.P.C.Walker、(1990年),J.Cell Sci.Suppl.第13巻,11〜18頁]、モノマーが、ゼリーロールとの逆並行βプリーツシート状サンドイッチを形成する。10の逆並行βストランドが、この結晶構造内で観察され、βサンドイッチを形成し、一方のβシートはストランドB’BIDGからなり、他方のシートはストランドC’CHEFからなる[E.Y.Jonesら,前掲書]。成熟TNFαの2つのループが、変異発生研究から受容体と接触することが示され、これらは、βストランドBとB’との間に形成されるループと、βストランドEとFとの間に形成されるループである[C.R.Goh,C−S.Loh,及びA.G.Porter(1991年)Protein Engineering,第4巻,785〜791頁]。TNFβと、55kdのTNF受容体(TNF−R55)の細胞外領域との間に形成される複合体の結晶構造が解明され、受容体−リガンド接触体が記載されている[D.W.Banner,A.D’Arcy,W.Janes,R.Gentz,H−J.Schoenfeld,C.Broger,H.Loetscher,およびW.Lesslauer(1993年),Cell,第73巻,431〜445頁]。前述の変異発生の研究に一致して[C.R.Gohら,前掲書]、リガンドTNFβの対応するループBB’およびEFが、TNFb:TNF−R55複合体の溶解した結晶構造中の受容体との接触体の主用部分を形成することがわかった。マウスOPG結合性蛋白のアミノ酸配列を、TNFαおよびTNFβのアミノ酸配列と比較した。BB’およびEFループに対応するマウスOPG結合性蛋白の領域を、この比較に基づき予想し、ペプチドを設計し、それを以下に記載する。
【0190】
A.抗原:以下に記載するように動物を免疫化するための抗原(ag)として組換えマウスOPG結合性蛋白[158−316]を用い、以下に記載の手段を用いて血清を試験した。マウスOPG結合性蛋白の推定上BB’およびEFループへのペプチドを用いて合成して、免疫化を行った。これらのペプチドを以下に示す。
【0191】
BB’ループペプチド
【0192】
【化29】

(配列番号33)
【0193】
BB’ループシスペプチド
【0194】
【化30】

(配列番号34)
【0195】
EFループペプチド
【0196】
【化31】

(配列番号35)
【0197】
EFループシスペプチド
【0198】
【化32】

(配列番号36)
【0199】
以下のセクションBに記載の手法を使用して、カルボキシ末端システイン残基を有するペプチドを結合のために用い、免疫化のために用いた。
【0200】
B.キーホールリンペットヘモシアニンまたはウシ血清アルブミン結合体:選択されたペプチドまたは蛋白フラグメントを、動物におけるその免疫原性を増加させるために、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に結合することができる。また、ウシ血清アルブミン(BSA)結合ペプチドまたは蛋白フラグメントを、EIAプロトコールにおいて利用することができる。Imject Maleimide Activated KLHまたはBSA(Pierce Chemical Company,Rockford,IL)を、最終的濃度が10mg/mlとなるようにdHO中で再構成する。ペプチドまたは蛋白フラグメントを、リン酸塩緩衝液中に溶解し、次に同等質量(g/g)のKLHまたはBSAと混合した。結合体を穏やかな攪拌下に室温(rt)で2次間反応させた。次に、溶液を脱塩カラムを通す、またはPBSで一晩透析する。ペプチド結合体を、免疫化またはEIAにおいて用いられるまで−20℃で貯蔵する。
【0201】
C.免疫化:Balb/cマウス、(Charles Rivers Laboratories、Wilmington,MA)Louラット、またはニュージーランド白色ウサギに、完全フロイントアジュバント(CFA,50%vol/vol;Difco Laboratories,Detroit,MI)中に乳濁されたag(それぞれ、50μg、150μgおよび100μg)を皮下注射(SQI)した。次に、ウサギに、不完全フロイントアジュバント(ICFA;Difco Laboratories,Detroit,MI)中で同様にして調製した抗原を、2週間の間隔で2回または3回、追加注射した。マウスおよびラットに、約4週間毎に追加注射する。第2回目の追加注射から7日後、試験採血を行い、血清抗体価を決めた。ウサギにおいて定量を始めてから、1週間に50mLの採血を6週間連続して行う。マウスおよびラットを、血清抗体価に基づきハイブリドーマ産生について選択し;最大量の半分の力価が5000以上である動物を用いる。当業者はこのプロトコールへの調節を行うことができ;例えば、種々のタイプの免疫調整剤が利用でき、このプロトコールに組み込むことができる。
【0202】
D.酵素結合免疫吸着剤アッセイ(EIA): 個々の動物の血清抗体(ab)価を決めるため、およびその後有効なハイブリドーマをスクリーニングするためにEIAを行う。平底で高結合性の96ウエル微量定量EIA/RIAプレート(Costar Corporation,Cambridge,MA)を、炭酸塩−重炭酸塩緩衝液、pH9.2(0.015M NaCO,0.035M NaHCO)の1ml当り5μgの濃度の精製組換え蛋白または蛋白フラグメントで被覆する。蛋白フラグメントを、要すれば、ウシ血清アルブミン(BSA)に結合させることができる。50μlのagを、各ウエルに添加する。次に、プレートを、酢酸塩フィルム(ICN Biomedicals,Inc.,Costa Mesa,CA)で覆い、揺動台上で室温(rt)で2時間または4℃で一晩インキュベートする。BSA希釈剤/ブロッキング溶液濃縮液(Kirkegaad and Perry Laboratories,Inc.,Gaithersburg,MD)1部を脱イオン水(dHO)1部と混合することにより調製した5%BSA溶液をウエル当り250μl用いて室温で30分間ブロッキングする。ブロッキング溶液を廃棄すると、血清2倍希釈液またはハイブリドーマ組織培地懸濁液の50μlを各ウエルに添加する。血清希釈剤は1%BSA(10%BSA希釈剤/ブロッキング溶液濃縮液が、ダルベッコリン酸塩緩衝生理生塩水D−PBS中に1:10で希釈されたもの;Gibco BRL、Grand Island、NY)であり、ハイブリドーマ上清を希釈しないで試験する。ハイブリドーマスクリーニングの場合、1つのウエルを結合体対照として維持し、第2のウエルを陽性ab対照とする。プレートを、再び揺動しながら室温で1時間インキュベートし、次に、dHO中の20倍濃厚物(Kirkegaard and Perry Laboratories,Inc.,Gaithersburg,MD)の洗浄溶液の1倍製剤を用いて4回洗った。次に、1%BSA中に希釈したワサビ過酸化酵素結合2次ab(Boeringer Mannheim Biochemicals,Indianapolis,IN)を各ウエルにおいて30分間インキュベートする。プレートを前述のように洗い、吸取り紙で乾燥し、ABTS過酸化酵素単一成分基質(Kirkegaard and Perry Laboratories,Inc.,Gaithersburg,MD)を添加する。ミクロプレートEL310リーダー(Bio−tek Instruments,Inc.,Winooski,VT)を用いて各ウエルについて吸光度を405nmで読む。405における光学密度に対して血清希釈のlog10をプロットし、つぎにその血清により得られた最大光学密度の50%のポイントを外挿することにより、血清抗体の最大の半分の力価を計算する。光学濃度が前記バックグラウンドより5倍以上大きい場合、ハイブリドーマを陽性として選択する。このプロトコールへの調節を行い;例えば、特異性または非相互反応性について共役2次抗体を選択することができる。
【0203】
E.細胞融合: ハイブリドーマ生成のために選択された動物に、PBS中の50〜100μgのagを静脈内注射する。4日後、動物を二酸化炭素で殺し、脾臓を滅菌条件下に、200U/mlのペニシリンG、200μg/mlの硫酸ストレプトマイシンおよび4mMのグルタミン(2×P/S/G DMEM)を含むダルベッコ変性イーグル培地35mL中に収集する。脾臓から過剰の脂肪組織を切除し、次に、シャーレ4枚の清浄2×P/S/G DMEMを通して濯ぐ。これを、次に、10mlの2×P/S/G DMEMを含む滅菌ストマッチャー(stomacher)袋(Tekmar,Cincinnati,OH)に移し、ストマッチャー・ラボ・ブレンダー80(Seward Laboratory UAC House;London,England)を用いて単一細胞懸濁液に分けた。細胞が脾臓カプセルから培地中に放出されるときに、袋から取り出し、滅菌50ml円錐遠心分離管(Becton Dickinson and Company,Lincoln Park,NJ)に移す。新しい培地を袋に添加し、脾臓の全ての内容物細胞が放出されるまでプロセスを続ける。これらの脾臓細胞を、225×gで10分間遠心分離することにより3回洗う。
【0204】
並行して、完全培地(DMEM、10%非動化胎児ウシ血清、2mMグルタミン、0.1mM非必須アミノ酸、1mMピルビン酸ナトリウム、および10mMヘペス緩衝液;Gibco Laboratories、Grand Island、NY)中で増殖させた、骨髄腫細胞の対数相培地、マウスまたはラット脾臓細胞溶融物のSp2/0−Ag14またはY3−Ag1.2.3(American Type Culture Collections;Rockville,MD)を同様にして洗う。脾臓細胞をミエローマ細胞と組み合わせて、再度ペレット化する。培地を細胞ペレットから吸引し、2mlのポリエチレングリコール1500(PEG1500;Boeringer Mannheim Biochemicals,Indianapolis,IN)を1分間かけて細胞中に穏やかに混入する。その後、等量の2×P/S/G DMEMをゆっくり添加する。細胞を37℃で2分間融合させ、次に、さらに6mlの2×P/S/G DMEMを添加する。細胞を再び37℃で3分保温する。最後に、35mlの2×P/S/G DMEMを細胞懸濁液に添加し、細胞を遠心分離によりペレット化する。培地をペレットから吸引し、細胞を完全培地中に穏やかに再懸濁する。細胞を、5mlのペレットから1回滴下することにより96ウエル平底組織培地プレート(Becton Dickinson Labware;Lincoln Park,NJ)上に分配する。プレートを、37℃で5%COの加湿条件において一晩インキュベートする。翌日、等体積の選択培地を各ウエルに添加する。選択培地は、完全培地中の0.1mMのヒポキサンチン、4×10−4mMのアミノプテリン、および1.6×10−2mMのチミジンからなる。融合プレートを7日間インキュベートし、次の3日間に培地を2回交換し;培地交換後にHAT選択培地を用いる。組織培地上澄みを、各ハイブリドーマ含有ウエルから、最後の培地交換から3〜4日後に取り出し、特異的抗体反応性についてEIAで試験する。このプロトコールは、HudsonおよびHay著,「Practical Immunology、第2版」,Blackwell Scientific Publicationsにおいて改良された。
【実施例12】
【0205】
造血前駆細胞上に発現されたOPG結合性蛋白受容体のクローニング
生物学的活性組換えマウスOPG結合性蛋白[158−316]をフルオレセイン−イソチオシアネート(FITC)に結合させて蛍光プローブを形成した。組換えマウスOPG結合性蛋白[158−316]を、6−フルオレセイン−5−(および6)カルボキシアミドヘキサン酸スクシンイミジルエステル(Moleclar Probes、Eugen、OR)と、1:6のモル比にて4℃で12時間インキュベートすることにより蛍光標識化を行った。FITC標識化OPG結合性蛋白[158−316]をゲル濾過クロマトグラフィーによりさらに精製した。マウス骨髄細胞を単離し、実施例10に記載のようにCSF−1およびOPG結合性蛋白[158−316]の存在下に培地中でインキュベートした。マウス骨髄細胞をCSF−1(30ng/ml)およびOPG結合性蛋白[158−316](20ng/ml)中で一晩培養した。非接着性細胞を最初に除去し、氷上に貯蔵し、残りの接着性細胞を、細胞剥離緩衝液(Sigma Chemicals,St.Louis,MO)と一緒にインキュベートすることにより除去し、非接着性集合と共にプールし、次に、前述のようにFITC−OPG結合性蛋白で染色した。洗浄し、0.5%BSAを含むPBS中に再懸濁させた後、細胞をFITC−OPG結合性蛋白にさらし、洗い、次にFACSにより分類した。FITC−OPG結合性蛋白での染色に陽性である細胞の集合を集め、実施例2のようにmRNAを単離した。実施例2に記載の手順に従って、このmRNA製剤を用いてcDNAライブラリーを形成した。
【0206】
この供給源から製造されたcDNAライブラリーを、PCT公開No.WO97/23614およびSimonetら著(Cell 第89巻,309〜319頁(1997年))に記載のように、ランダムEST配列分析のために用いた。この方法を用いて、新規TNFR関連蛋白をコードする2.1kbまでのcDNAを検出した。マウスODAR cDNAの長いオープンリーディングフレームは625アミノ酸残基の蛋白をコードし、TNFR関連蛋白:N−末端の疎水性シグナルペプチド、4タンデムシステイン富含繰り返し配列、疎水性膜貫通領域、および細胞質信号発生領域のホールマーク特徴を含む。この蛋白と、TNF受容体ファミリーの他のメンバーとの相同性、およびFITC標識化OPG結合性蛋白を結合する骨髄細胞中のその発現は、それがTNF関連OPG結合性蛋白のための潜在的受容体であることを示唆している。この蛋白はODAR、すなわち破骨細胞分化および活性化受容体と表示される。マウスODARの核酸配列および予想されるアミノ酸配列を図10に示す。
【0207】
公に利用できるデータベースにおける最近の配列分析は、この蛋白が、RANKとして知られているヒトTNFR関連蛋白のマウス相同体であることを示している(Andersonraら,Nature,第390巻,175〜179頁(1997年))。
【実施例13】
【0208】
哺乳動物細胞における組換えODAR蛋白の生成
ヒトIgGγ1のFc領域に融合している可溶性ODAR細胞外領域を、WO97/23614およびSimonetらの前掲書に既述しているようにFc融合蛋白の組み立ておよび発現のための手順を用いて処理した。哺乳動物細胞中に可溶性ODAR蛋白を発生させるために、マウスODAR(アミノ酸27〜211)のcDNAコード化細胞外領域を、以下のセットのオリゴヌクレオチドプライマーを用いてPCR増幅した:
【0209】
【化33】

(配列番号37)
【0210】
【化34】

(配列番号38)
【0211】
PCR反応を、20mMのTris−HCl、pH8.8、10mMのKCl、10mMの(NHSO、0.1%Triton−X100、10μMの各dNTP、1μMの各プライマー、および10ngのODAR cDNAテンプレート中の、1単位のベントDNAポリメラーゼ(New England Biolabs)を有する50μlの体積中で行った。反応は94℃で30秒、55℃で30秒および72℃で1分として、合計で16サイクル行った。PCRフラグメントを電気泳動により単離した。PCRフラグメントは、5’末端にHindIII制限部位、および3’末端にNotI制限部位を形成する。HindIII−NotI消化PCRフラグメントを、次に、枠内で、WO97/23614およびSimonetらの前掲書に既述しているように、ヒトIgGγ1重鎖配列の正面の変性pCEP4−Fcベクター内に下位クローニングした。ODAR細胞外領域とIgG Fc領域との間の結合部に及ぶ2つの関連するアミノ酸をコードするリンカーを導入した。
【0212】
次に、構造を、NheIおよびHindIIIで消化し、OPGシグナルペプチド(アミノ酸1〜21)をコードする以下のアニーリングされたオリゴヌクレオチド対を枠内に挿入した。
【0213】
【化35】

(配列番号39)
【0214】
【化36】

(配列番号40)
【0215】
2つの関連するアミノ酸をコードするリンカーを、OPGシグナルペプチドとODAR配列との間に導入した。この最終的に加工された構造体(ODAR−Fc/pCEP4)は、アミノ末端からカルボキシ末端までを含む融合蛋白をコードする:OPGシグナルペプチド(アミノ酸1〜21)−リンカー(LysLeu)−ODAR(アミノ酸27〜211)−リンカー(AlaAla)−ヒトIgG Fc。
【0216】
構造体を、(Ausubelら,Curr.Prot.Mol.Biol.第1巻,9.1.1〜9.1.3(1994年))に記載されたリン酸カルシウム法により293−EBNA−1細胞中にトランスフェクトした。次に、トランスフェクトされた細胞を、200μg/mlのハイグロマイシン(GibcoBRL)中で選択し、得られた抗薬剤塊培養をプールし、集密化するまで増殖させた。細胞を、PBS中で1回洗い、次に血清非含有培地中で72時間培養した。調整培地を集めた。培地中のODAR−Fc融合蛋白を、抗ヒトIgG Fc抗体を用いるウエスタンブロット分析により検出した。
【0217】
Fc融合蛋白を、製造者の推薦手順を使用してプロテイン−Aカラムクロマトグラフィー(Pierce製)により精製した。次に、精製蛋白50pモルを、本質的にMatsudairaらの(J.Biol.Chem.第262巻,10〜35頁(1987年))に記載されているように自動エドマン分解によりN−末端配列分析に付した。10サイクル後に、以下のアミノ酸配列を読んだ。
【0218】
【化37】

【0219】
ODAR−FcとOPG結合性蛋白との結合活性を、実施例2に記載のようにトランスフェクトされたCOS−7細胞培地の免疫蛍光染色により試験した。COS−7細胞を、マウスOPG結合性蛋白をコードするDNAを含む発現ベクター1μgで脂質移入した。インキュベーションを48時間した後、細胞を、10mg/μlのヒトIgG Fc、ODAR−Fc、またはOPG−Fc蛋白を含むPBS−FBS溶液中で4℃で1時間インキュベートした。次に、細胞をPBSで2回洗い、次に、20μg/mlのFITC標識化ヤギ抗ヒトIgG(Southern Biotech Associates製)を含むPBS−FBS溶液中でさらに1時間インキュベートした。PBSで洗った後、細胞を、共焦点顕微鏡検査(ACAS,Ultima,Insight Biomedical Imaging,Inc.,Okemos,MI)により試験した。ODAR−FcおよびOPG−Fcの両方がOPGLトランスフェクトCOS−7細胞に結合する(図11)。
【実施例14】
【0220】
組換え可溶性ODARの生体外生物学的活性
ODARがOPG結合性蛋白により破骨細胞形成の刺激を抑制する性能を、CSF−1(30ng/ml)およびOPG結合性蛋白(5ng/ml)の存在下にマウス骨髄培地中で検定した。破骨細胞成熟を研究するためにマウス骨髄培地を使用する手順は、WO97/23614および実施例8に記載されている。実施例12に記載されているODAR−Fc融合蛋白を、65〜1500ng/mlの濃度になるように添加した。破骨細胞形成を、培地中で5日間後、抗酒石酸塩アルカリホスファターゼ(TRAP)細胞化学およびTRAP溶液アッセイにより検定した。
【0221】
ODAR−Fc融合による破骨細胞形成の投与量依存抑制を、細胞化学およびTRAP活性の両方により観察した(図12)。ODAR−Fc融合蛋白は、約10〜50ng/mlのED50で、破骨細胞形成を抑制した。
【実施例15】
【0222】
組換え可溶性ODARの生体内生物学的活性
3〜4週齢の若い成長の早いオスBDF1マウスに、種々の投与量のODAR−Fc融合蛋白を、キャリアに溶かせ(PBS/0.1%BSA)て毎日1回4日間、皮下注射した。5日目にマウスにX線照射した。使用したODAR−Fc融合蛋白の投与量は0.5、1.5および5mg/kg/日であった。各処理において、その群、およびPBS/0.1%BSAを受けた対照群における全てのマウスを1枚のフィルム上でX線照射した。近位けい骨骨幹端領域を、対照対と処理けい骨との間で比較し、処理けい骨が、以下に示すスコアー8を与える対照よりも視覚評価で密度が高いと「+」と記録した。「陽性」と判断されるには5/8の観察スコアーを必要としている。(投与量はmg/kg/日で示す)(n=4)
【0223】
マウスを殺した後、右けい骨を各動物から外し、近位けい骨骨幹端領域の骨密度を、末梢定量コンピューター補助断層撮影(pQCT)(Stratec,Germany)により測定した。けい骨の近位端部から1.5mmおよび2.0mmにおける2つの0.5mmの骨の断面を分析(XMICE5.2,Stratec,Germany)して、骨幹端の全骨鉱物密度を決めた。1500の軟質組織分離閾値を用いて、骨幹端骨の境界を定義した。
【0224】
若い成長中のマウスにおけるODAR−Fcの投与は、近位けい骨成長プレートにおける骨吸収を抑制して、放射線写真で視覚的に明らかな骨密度の増加した領域を形成した。放射線写真変化は、2つの実験において1.5mg/kg/日以上の投与量において明らかであった(表1)。けい骨の類似領域における第2の実験からのサンプル中のpQCTによる骨密度の測定により、これらのマウスにおける骨密度の投与量依存増加を確認した。
【0225】
表1
ODAR−Fc融合蛋白による骨吸収の抑制
【0226】
【表1】

【0227】
本発明を好ましい態様により説明したが、当業者は変更および修正できるものと解される。従って、添付の請求の範囲は、本発明の請求の範囲に含まれる全てのそのような等価変更を包含するものとされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量のオステオプロテゲリン結合性蛋白の調整剤を含んでなる、哺乳類の骨疾患を予防または治療するための医薬組成物であって、該調整剤が配列番号4で表されるオステオプロテゲリン結合性蛋白に特異的に結合する抗体である医薬組成物。
【請求項2】
骨疾患が骨粗鬆症、骨髄炎、悪性の高カルシウム血症、手術またはステロイド投与により引き起こされるオステオペニア、ページェット病、骨壊死、リューマチ性関節炎による骨損失、歯周骨損失、固定化、補綴ゆるみ及び骨融解性転移から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1つ以上の骨形態形成因子、形質転換成長因子−β、TGF−βファミリーメンバー、FGF、インターロイキン1−抑制剤、TNFα抑制剤、副甲状腺ホルモン、E型プロスタグランジン、ビスホスホネート、エストロゲン、SERM及び骨向上性鉱物とともに投与される請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
抗体がモノクローナル抗体である請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
抗体が組換え抗体である請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
抗体がヒト抗体である請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
抗体が、配列番号4で表されるオステオプロテゲリン結合性蛋白の細胞外領域又は細胞外領域のフラグメントに対する抗体である請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
抗体が膜結合状態のオステオプロテゲリン結合性蛋白に結合する抗体である請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
抗体が配列番号4で表されるオステオプロテゲリン結合性蛋白又はその免疫原性フラグメントに対して誘導されたものである請求項1に記載の組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図12H】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−28622(P2013−28622A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−201172(P2012−201172)
【出願日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【分割の表示】特願2008−153218(P2008−153218)の分割
【原出願日】平成10年4月15日(1998.4.15)
【出願人】(500049716)アムジエン・インコーポレーテツド (242)
【Fターム(参考)】