説明

オゾン水供給装置

【課題】
蛇口からの吐出量を絞ってシャワー状または霧状にオゾン水を吐出させるようにした場合でも、オゾン含有ガス供給装置に供給水が逆流して浸水することがないオゾン水供給装置を提供すること。
【解決手段】
給水管3に接続された蛇口5から供給水を吐出する。組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスをオゾン含有ガス供給装置9で生成する。オゾン含有ガスをガス供給管17を介して給水管3に供給し、オゾン含有ガスを供給水に混合してなるオゾン水を蛇口5から吐出可能とする。ガス供給管17に感圧弁19を配設する。給水管3を供給水が単位時間当たり予め設定された所定の下限流量以上流れているとき、オゾン含有ガス供給装置9を作動させる。感圧弁19より上流側のガス供給管17内の圧力が、感圧弁17より下流側のガス供給管17内の圧力より所定の圧力分だけ越えると感圧弁19が開弁してガス供給管17から給水管3へオゾン含有ガスが流入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン水供給装置に関し、特に、組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスを水道水等の供給水に混合してなるオゾン水を蛇口から吐出可能とするオゾン水供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されている従来のオゾン水供給装置は、オゾン発生部からのオゾンガスを、電磁弁を介して供給される水道水に溶解させオゾン水を得るものであり、オゾン溶解部の吐出口は自動水栓の蛇口に通じている。また、蛇口の近傍に設けた手洗感知センサーの感知信号によりオゾン発生部を作動させると共に電磁弁を開弁状態にして蛇口からオゾン水を吐出させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−52556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のオゾン水供給装置は、水道水の流れる経路から見て、水道水の供給を遮断または許容する電磁弁と水道水を吐出する蛇口との間の通水路にオゾン発生部からのオゾンガスを供給するようにしていた。このため、もし、蛇口からの吐出量を絞ってシャワー状または霧状にオゾン水を吐出させようとすると、電磁弁と蛇口との間の通水路の水圧が高くなり、オゾン発生部に水道水が逆流して浸水し、その結果、オゾン発生部が正常に機能しなくなる虞があった。
【0005】
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、蛇口からの吐出量を絞ってシャワー状または霧状にオゾン水を吐出させるようにした場合でも、オゾン含有ガス供給装置に供給水が逆流して浸水することがないオゾン水供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明に係るオゾン水供給装置は、給水通路を介して供給された供給水を前記給水通路に接続された蛇口から吐出する一方、オゾン含有ガス供給装置で生成され組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスを供給するガス供給通路を、前記給水通路を供給水が流れる経路から見て前記蛇口より上流側の前記給水通路の中途部に接続して前記オゾン含有ガスを供給水に混合してなるオゾン水を前記蛇口から吐出可能としたオゾン水供給装置において、前記給水通路を供給水が単位時間当たり予め設定された所定の下限流量以上流れているとき、前記オゾン含有ガス供給装置を作動させて前記ガス供給通路を介してオゾン含有ガスを供給し、前記ガス供給通路に感圧弁を配設し、前記ガス供給通路を前記オゾン含有ガスが流れる経路から見て前記感圧弁より上流側の前記ガス供給通路の圧力が、前記感圧弁より下流側の前記ガス供給通路の圧力より所定の圧力分だけ越えると開弁する一方、越えないと閉弁して前記ガス供給通路から前記給水通路への前記オゾン含有ガスの流入を許容または遮断するように前記感圧弁を構成したものである。
【0007】
請求項2に記載した発明に係るオゾン水供給装置は、請求項1に記載のオゾン水供給装置において、前記ガス供給通路を前記オゾン含有ガスが流れる経路から見て前記感圧弁より上流側の前記ガス供給通路の中途部に大気側と連通する排気通路を接続し、前記排気通路と大気側との連通を開閉する開閉弁を前記排気通路に配設し、前記給水通路を流れる供給水の流量が前記所定の下限流量より少なくなったとき、前記開閉弁を開弁するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載した発明に係るオゾン水供給装置は、請求項2に記載のオゾン水供給装置において、前記給水通路を供給水が前記所定の下限流量以上流れているか否かを検出する流量検出手段と、前記流量検出手段によって検出された検出信号を受信する制御装置とを備え、前記給水通路を供給水が前記所定の下限流量以上流れていると前記流量検出手段により検出されたとき、前記制御装置により前記オゾン含有ガス供給装置を作動させる一方、前記給水通路を流れる供給水の流量が前記所定の下限流量より少なくなったと前記流量検出手段により検出されたとき、前記制御装置により、前記オゾン含有ガス供給装置の作動を停止させると共に前記開閉弁を開弁するようにしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載した発明に係るオゾン水供給装置は、請求項3に記載のオゾン水供給装置において、前記オゾン含有ガス供給装置は、酸素ガスを原料として前記オゾン含有ガスを生成するように構成され、前記制御装置により前記開閉弁が開弁されたとき、前記制御装置により、前記酸素ガスを所定の時間だけ前記ガス供給通路および排気通路を介して大気側に排出するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載した発明に係るオゾン水供給装置は、請求項1ないし請求項4のうち何れか一つに記載のオゾン水供給装置において、前記ガス供給通路を接続した前記給水通路の部位に、供給水が流入してその流入の勢いにより供給水に渦流を発生させる渦流発生部を設け、前記渦流発生部に前記ガス供給通路を接続したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に記載した発明に係るオゾン水供給装置は、請求項1ないし請求項5のうち何れか一つに記載のオゾン水供給装置において、前記ガス供給通路に前記オゾン含有ガス供給装置が複数並列に接続され、前記複数のオゾン含有ガス供給装置のうち同時に作動させるオゾン含有ガス供給装置の個数を、前記給水通路を流れる供給水の水量が多くなるにつれて増加させるようにし、前記給水通路を流れる供給水の流量が前記所定の下限流量より少なくなったとき、全てのオゾン含有ガス供給装置の作動を停止させるようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、感圧弁より上流側のガス供給通路の圧力が、感圧弁より下流側のガス供給通路の圧力より所定の圧力分だけ越えると開弁する一方、越えないと閉弁する感圧弁をガス供給通路に配設したので、蛇口からの吐出量を絞ってシャワー状または霧状にオゾン水を吐出させたとしても、感圧弁より上流側のガス供給通路の圧力が感圧弁より下流側のガス供給通路の圧力より所定の圧力分だけ越えないと感圧弁は開弁しないため、オゾン含有ガス供給装置に供給水が逆流して浸水することはない。この結果、供給水の逆流による浸水によりオゾン含有ガス供給装置の機能が損なわれることがない。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、感圧弁より上流側のガス供給通路の中途部に大気側と連通する排気通路を接続し、給水通路を流れる供給水の流量が所定の下限流量より少なくなったとき、排気通路に設けられた開閉弁を開弁してガス供給通路と大気側とを排気通路を介して連通するようにしたので、蛇口からオゾン水を吐出していないときなどは開閉弁が開弁され、感圧弁より上流側のガス供給通路の圧力を感圧弁より下流側のガス供給通路の圧力より十分低下させることができるため、ガス供給通路における感圧弁より上流側と下流側との圧力差が減少することによる感圧弁の閉弁不良が生じることがない。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、給水通路を供給水が所定の下限流量以上流れていると流量検出手段により検出されたとき、制御装置によりオゾン含有ガス供給装置を作動させる一方、給水通路を流れる供給水の流量が所定の下限流量より少なくなったと流量検出手段により検出されたとき、制御装置により、オゾン含有ガス供給装置の作動を停止させると共に開閉弁を開弁するようにしたので、蛇口からオゾン水を吐出させたり止水したりするだけでオゾン含有ガス供給装置や開閉弁を作動させることができるため、これらの物に対して特別な手作業を行なうことなくオゾン水供給装置を作動させることができる。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、開閉弁が開弁されたとき、制御装置により酸素ガスを所定の時間だけガス供給通路および排気通路を介して大気側に排出するようにしたので、ガス供給通路や排気通路に残留していたオゾン含有ガスが酸素ガスと共に大気側に排気され、ガス供給通路や排気通路を構成する部材がオゾン含有ガス中のオゾンの酸化力によって劣化または腐食するのが防止される。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、ガス供給通路を接続した給水通路の部位に、供給水が流入してその流入の勢いにより供給水に渦流を発生させる渦流発生部を設け、該渦流発生部にガス供給通路を接続したので、オゾン含有ガスと供給水とが渦流発生部で渦流によって攪拌されるのでその攪拌が十分に行われ、オゾン含有ガスを供給水に分散して均一に溶解させることができる。
【0017】
請求項6記載の発明によれば、ガス供給通路にオゾン含有ガス供給装置を複数並列に接続し、複数のオゾン含有ガス供給装置のうち同時に作動させるオゾン含有ガス供給装置の個数を、給水通路を流れる供給水の水量が多くなるにつれて増加させるようにしたので、オゾン含有ガス供給装置を1個だけまたは複数個同時に作動させるときは、各オゾン含有ガス供給装置からそれぞれ略同程度の高濃度のオゾンを含有するオゾン含有ガスを生成させるようにすると共に、同時に作動させるオゾン含有ガス供給装置の個数を供給水の水量が多くなるにつれて増加させることで、給水通路を流れる供給水の水量に拘わらず常に、供給水と混合させ易い高濃度でオゾン含有ガスを供給水と混合させることができる。これにより、給水通路を流れる供給水の水量に拘わらず、オゾンの濃度が安定した状態で高濃度のオゾン水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は本発明の実施の形態に係るオゾン水供給装置の概略の構成を示す模式図である。
【図2】図2は図1の二点鎖線の矩形枠Aで囲んだ部分で破断した状態を拡大して示した断面図である。
【図3】図3は図2の矢視X−X線に沿う断面図である。
【図4】図4は図1の二点鎖線の矩形枠Bで囲んだ部分で破断した状態を拡大して示した断面図である。
【図5】図5は図1の二点鎖線の矩形枠Cで囲んだ部分で破断した状態を拡大して示した断面図である。
【図6】図6は制御装置の構成を示すブロック図である。
【図7】図7は制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の第2の実施の形態に係るオゾン水供給装置の概略の構成を示す模式図である。
【図9】図9は本発明の第2の実施の形態に係るオゾン水供給装置の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は本発明の第2の実施の形態に係る制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施の形態)
以下、本発明に係るオゾン水供給装置の第1の実施の形態を図1ないし図7によって詳細に説明する。なお、図1については、作図の都合上、それぞれの構成部材の縮尺の比率は互いに異ならせて図示している。
【0020】
図1において符号1で示すものは、食品工場,飲食店の厨房,医薬製造工場,病院および便所などにおいて、各種の機器,器具,設備や人間の身体などを殺菌したり洗浄したりするためのオゾン水を供給するオゾン水供給装置を示している。このオゾン水供給装置1は、水道水,井戸水または河川水等の供給水を供給する給水管3と、供給水の流れる経路から見て給水管3の下流端部に配設された蛇口5と、給水管3の中途部に配設されたステンレス製の攪拌器7と、攪拌器7にオゾン含有ガスを供給するオゾン含有ガス供給装置9と、各種の制御を行う制御装置11とを備えている。給水管3内は本発明の「給水通路」を構成する。制御装置11は、図6に示すように、それぞれ後述するスイッチ判定部71,酸素ガス用の電磁弁制御部72,ガス供給制御部73,排気用の電磁弁制御部74および計時制御部75を備えている。
なお、本実施の形態では、供給水として水道水を使用した例について説明する。
【0021】
給水管3内を水道水の流れる経路から見て攪拌器7より上流側3aと下流側3bとの給水管3の中途部には給水管3より細い迂回管13が接続され、迂回管13の中途部には水流検出スイッチ15が配設されている。水流検出スイッチ15は本発明の「流量検出手段」を構成する。水流検出スイッチ15によって、迂回管13内を供給水が流れているか否か、延いては給水管3内を水道水が流れているか否かが検出される。オゾン含有ガス供給装置9は、ガス供給管17を介して攪拌器7に接続されており、該ガス供給管17の中途部には感圧弁19が配設されている。前記ガス供給管17内および接続具37内は本発明の「ガス供給通路」を構成する。
【0022】
ガス供給管17内をオゾン含有ガスが流れる経路から見て感圧弁19より上流側17aのガス供給管17の中途部に大気側と連通する排気管21の一端部が接続され、排気管21の他端部は大気側に開放されている。排気管21内は本発明の「排気通路」を構成する。そして、排気管21と大気側との連通を開閉する排気用の電磁弁23が排気管21の中途部に配設されている。排気用の電磁弁23は本発明の「開閉弁」を構成する。前記給水管3,蛇口5,攪拌器7,ガス供給管17,感圧弁19,排気管21および電磁弁23等で少なくともオゾン含有ガスが通過する部分は、オゾンガスの酸化力により劣化または腐食しにくい樹脂製またはステンレス製の部材で構成されている。
【0023】
オゾン含有ガス供給装置9には、酸素ガスが収容された酸素ボンベ25が酸素ガス供給管27を介して接続され、酸素ボンベ25内の酸素ガスがオゾン含有ガス供給装置9に導入され、酸素ガス供給管27の中途部には酸素ガスの流通を開閉する酸素ガス用の電磁弁29が配設されている。オゾン含有ガス供給装置9の内部で放電管による無声放電によってオゾンが発生し、酸素に対してオゾンが所定の割合で混合されてオゾン含有ガスが生成される。オゾン含有ガスとしては、例えば、容積比でオゾンが1パーセントないし10パーセントで残りが酸素からなるガスをあげることができる。
オゾン含有ガス供給装置9と、排気用の電磁弁23と、酸素ガス用の電磁弁29とは、それらを作動させるための電源を供給する電線30a,30b,30cを介して制御装置11にそれぞれ電気的に接続されている。また、前記水流検出スイッチ15は電線30dを介して制御装置11に電気的に接続されている。
【0024】
前記攪拌器7は、図2および図3に示すように、水道水が流れる経路から見て給水管3における攪拌器7より上流側3aと下流側3bとにそれぞれテーパ螺子の螺合構造により接続された上流側給水管接続部31および下流側給水管接続部33と、これらの接続部31,33を繋ぐ中間部35と、オゾン含有ガス供給装置9からオゾン含有ガスを供給するためのガス供給管17が接続具37を介して螺合構造により接続されたガス供給管接続部39とから構成されている。前記中間部35の内部には、圧送された水道水が流入してその流入の勢いにより渦流を発生させる渦流発生部35aを備え、この渦流発生部35aは略渦巻状の空間からなる。下流側給水管接続部33の内部には、中間部35側から下流側給水管接続部33側に向かうにしたがって拡径された略円錐台状の空間からなる排水口41が形成されている。而して、中間部35の渦流発生部35aに流入した水道水が渦流を発生したのち排水口41から、給水管3における攪拌器7より下流側3b内に排出される。
【0025】
また、渦流発生部35aで発生した渦流の渦の中心を通る仮想軸芯Lに略沿って前記排水口41が形成されており、水道水が流れる経路から見て排水口41の上流部にはこの排水口41の横断面積が最も縮小された絞り部41aが形成され、排水口41の下流部には最も拡径された大径部41bが形成されている。
【0026】
また、前記水流検出スイッチ15は、図4に示すように、水道水が流れる経路から見て迂回管13における水流検出スイッチ15より上流側13aと下流側13bとにそれぞれ接続された上流側迂回管接続部43および下流側迂回管接続部45と、これらの接続部43,45間に位置するスイッチ本体部47とを備える。前記接続部43,45およびスイッチ本体部47は樹脂により一体成形されており、スイッチ本体部47の内部には、スイッチ本体部47を構成する枠体に固定された回動軸49に回動自在に軸支された回動子51が配設されている。回動子51は、樹脂製の部材からなり、断面形状が略へ字状に形成され、図4において回動軸49を中心に左回り方向に回動するようにトーションばね(図示せず)により常に付勢されている。
【0027】
回動子51の回動軸49とは反対側の端部には、導電性の部材からなる可動端子51aがその一面部(図4では右側の部分)が外部に露出した状態で大部分が埋設されている。スイッチ本体部47内には、スイッチ本体部47内の空間を二つの区画室47a,47bに区画する区画壁53が固定され、該区画壁53の中央部には二つの区画室47a,47bを連通する開口部53aが形成されている。該区画壁53は樹脂製の部材からなり、その一側には、導電性の部材からなる一対の固定端子55,55が互いに一定の間隔を隔てて埋設されている。一対の固定端子55,55は、それぞれの一面部(図4では左側の部分)が外部に露出した状態でそれぞれの大部分が区画壁53に埋設されている一方、それぞれの他面部には電線30dの一端部が区画壁53に埋設された状態で電気的に接続されている。電線30dの他端部側は、スイッチ本体部47の枠体を貫通して外部に延設され制御装置11に電気的に接続されている(図1を参照)。
【0028】
水道水が迂回管13内を流れないときは、図4において回動軸49を中心に左回り方向に回動子51が回動して区画壁53の端面に当接し区画壁53の開口部53aを閉じており、このときは、それぞれ外部に露出した可動端子51aの一面部と一対の固定端子55,55の一面部とが接触して可動端子51aを介して一対の固定端子55,55間が電気的に導通している。一方、水道水が迂回管13内を流れるときは、迂回管13における水流検出スイッチ15より上流側13a内から上流側迂回管接続部43内を経て区画室47aに流入した水道水の水圧が開口部53aを介して回動子51の一面側に付与され、回動子51の他面側に付与されている区画室47b側の水圧と回動子51を常に付勢している前記トーションばねによるバネ力とに抗して、図4において回動軸49を中心に右回り方向に回動子51が回動して区画壁53の開口部53aを開き、可動端子51aと一対の固定端子55,55とが離間して一対の固定端子55,55間の電気的な導通が遮断される。このように電気的に遮断される場合は、給水管3内を水道水が単位時間当たり予め設定された所定の下限流量以上流れているときである。前記所定の下限流量は、本発明の「所定の下限流量」に相当し、その値としては0(ゼロ)より大きい所定の値が設定されている。
以上述べたような一対の固定端子55,55間の電気的な導通または遮断は、電線30dを介して制御装置11によって検出される。
【0029】
また、感圧弁19は、図5に示すように、オゾン含有ガスが流れる経路から見てガス供給管17における感圧弁19より上流側17aと下流側17bとにそれぞれ接続された上流側ガス供給管接続部57および下流側ガス供給管接続部59と、これらの接続部57,59間に位置する感圧弁本体部61とを備える。感圧弁本体部61の内部には、半球状の部分と段付き円柱状の部分とが合成された形状からなる弁体63が配設されている。感圧弁本体部61内には、感圧弁本体部61内の空間を二つの区画室61a,61bに区画する区画壁65が固定され、該区画壁65の中央部には二つの区画室61a,61bを連通する開口部65aが形成されている。
【0030】
開口部65aの開口面は、略円錐台状の空間を区画するように形成され、かつ、弁体63の半球状の部分(図5において上側の部分)が当接する弁座面として機能するように形成されている。区画室61bには、略円錐台形状の螺旋状に巻かれたコイルばね67が配設されており、該コイルばね67の小径側の部分が弁体63の段付き円柱状の小径部分に嵌め込まれ、コイルばね67の大径側の部分が感圧弁本体部61内に固定された環状のばね受け部材69によって支持されている。これによって、前記段付き円柱状の段部の端面とばね受け部材69の端面との間にコイルばね67は圧縮された状態で介装されている。この結果、弁体63の半球状の部分が開口部65aの開口面に当接するように、弁体63はコイルばね67によって常に付勢されている。
【0031】
ガス供給管17を介してオゾン含有ガス供給装置9からオゾン含有ガスが供給されないときは、弁体63の半球状の部分が開口部65aの開口面に当接して区画壁65の開口部65aが弁体63によって閉鎖される。一方、ガス供給管17を介してオゾン含有ガス供給装置9からオゾン含有ガスが供給されるときは、ガス供給管17から上流側ガス供給管接続部57内を経て区画室61aに流入したオゾン含有ガスの圧力が開口部65aを介して弁体63の半球状の端面に付与される。
【0032】
このとき、区画室61aのオゾン含有ガスの圧力が次第に上昇して、区画室61bに存在する水道水の水圧とコイルばね67の付勢力とで弁体63が押圧される押圧力に比べて、区画室61aのオゾン含有ガスの圧力により弁体63が押圧される押圧力の方が大きくなると、コイルばね67が圧縮方向に撓んで弁体63が開口部65aの開口面から離間する。これによって、ガス供給管17を介してオゾン含有ガス供給装置9から区画室61aに供給されたオゾン含有ガスが、区画室61bに流入したのちガス供給管17における感圧弁19より下流側17bを介して攪拌器7内に流入する。
【0033】
而して、感圧弁19は、ガス供給管17における感圧弁19より上流側17a内の圧力が、ガス供給管17における感圧弁19より下流側17b内の圧力よりさらに、感圧弁19のコイルばね67による付勢力に相当する所定の圧力分だけ高いと開弁してガス供給管17における感圧弁19より下流側17bを介して攪拌器7および給水管3へのオゾン含有ガスの流入を許容する一方、ガス供給管17における感圧弁19より上流側17a内の圧力が、ガス供給管17における感圧弁19より下流側17b内の圧力と前記所定の圧力分とを合算した圧力値より低下すると閉弁して給水管3へのオゾン含有ガスの流入を遮断する。前記所定の圧力分は本発明の「所定の圧力分」に相当する。
【0034】
感圧弁19のコイルばね67のばね荷重は、比較的小さな値に設定されているので、例えば、蛇口5が閉じられて給水管3内を水道水が流れていないときの給水管3内の水圧を約0.4MPa(メガパスカル)とし、蛇口5が開かれて給水管3内を水道水が流れているときの給水管3内の水圧を約0.1MPa(メガパスカル)以下とすると、オゾン含有ガス供給装置9は、ガス供給管17における感圧弁19より上流側17a内の圧力を最大で約1MPa(メガパスカル)まで上昇させる供給能力を有するものを使用すれば足りる。
【0035】
次に、上述したオゾン水供給装置1の作動について、前記制御装置11の動作を交え図7に示すフローチャートに沿って説明する。
まず、図7に示すフローチャートのステップP1に示すように、水流検出スイッチ15の一対の固定端子55,55間の電気的な導通状態が図6に示す制御装置11のスイッチ判定部71によって判定される。蛇口5が開かれて水道水が給水管3内を流れると、水流検出スイッチ15の回動子51が回動して可動端子51aと一対の固定端子55,55とが離間して一対の固定端子55,55間の電気的な導通が遮断され、この電気的な遮断が、電線30dを介して制御装置11によって検出され、ステップP2に移行する。蛇口5が閉ざされたままで水道水が給水管3内を流れていないときは、ステップP1が繰り返され、スイッチ判定部71による判定が繰り返し行われる。
【0036】
ステップP2において、図6に示す酸素ガス用の電磁弁制御部72により酸素ガス用の電磁弁29が開弁されたのち、ステップP3において、図6に示すガス供給制御部73によりオゾン含有ガス供給装置9が作動させられる。ガス供給管17を介してオゾン含有ガス供給装置9からオゾン含有ガスが感圧弁19内に流入し、その区画室61aのオゾン含有ガスの圧力が次第に上昇してオゾン含有ガスが区画室61bに流入したのち攪拌器7内に流入する。攪拌器7内に流入したオゾン含有ガスと攪拌器7内に勢いよく流入した水道水とは、攪拌器7内で混合しながらその流入の勢いにより渦流を発生したのちオゾン水となって排水口41から排出される。
【0037】
オゾン含有ガスと水道水とが攪拌器7内で渦流によって攪拌されるのでその攪拌が十分に行われ、渦流の流速が最も早い渦の中心部からオゾン含有ガスと水道水とが排水口41の絞り部41aを通過する際に圧力が急激に変化し乱流が発生するため、この圧力の急激な変化や乱流で水道水に溶解しているオゾン含有ガスが微細化され、オゾン含有ガスが水道水に分散して均一に溶解する。このようにして、生成されたオゾン水が、給水管3における攪拌器7より下流側3bを経由して蛇口5から排出される。このオゾン水には、水が1リットルに対してオゾンが約0.4mg(ミリグラム)以上含有しているのが、洗浄や殺菌を行う上で望ましく、通常は、水が1リットルに対してオゾンがおよそ1mg(ミリグラム)ないし2mg(ミリグラム)の割合で含有した高濃度のオゾン水とされている。
【0038】
蛇口5が閉じられて給水管3内に水道水が流れなくなると、水道水が迂回管13内も流れなくなり、水流検出スイッチ15の可動端子51aと一対の固定端子55,55とが接触して一対の固定端子55,55間が可動端子51aを介して電気的に導通し、この電気的な導通がスイッチ判定部71によって判定され(ステップP4)、ステップP5に移行してガス供給制御部73によりオゾン含有ガス供給装置9の作動が停止させられる。このとき、蛇口5が閉じられてから短時間以内に再び蛇口5が開かれたときは、蛇口5と攪拌器7との間の給水管3内に高濃度のオゾン水が残留したままになっているので、該オゾン水が蛇口5から直ちに吐出する。
一方、蛇口5が開かれたままで水道水が給水管3内を流れているときは、ステップP4が繰り返され、スイッチ判定部71による判定が繰り返し行われる。
【0039】
ステップP5に続いてステップP6に移行し、図6に示す排気用の電磁弁制御部74により電磁弁23が開弁され、排気管21が大気側と連通する。これによって、ガス供給管17における感圧弁19より上流側17a内の圧力が、ガス供給管17における感圧弁19より下流側17b内の水道水の水圧よりかなり低下するので、この水道水の水圧により感圧弁19の弁体63が開口部65aの開口面に強く当接させられ、開口部65aが弁体63によって確実に閉鎖される。
【0040】
また、排気管21が大気側と連通しているので、酸素ボンベ25から供給される酸素ガスが酸素ガス供給管27とオゾン含有ガス供給装置9とガス供給管17の一部とを、これらの順に経由して排気管21から大気側に排気される。この結果、酸素ガスが通過したオゾン含有ガス供給装置9,ガス供給管17および排気管21のそれぞれの内部に残留していたオゾン含有ガスが酸素ガスによって大気側に排気され、ガス供給管17における感圧弁19より上流側17aとオゾン含有ガス供給装置9とがオゾン含有ガス中のオゾンの酸化力によって劣化または腐食するのが防止される。
【0041】
ステップP6において排気用の電磁弁23が開弁されたのち、ステップP7に移行して、図6に示す計時制御部75による時間Tの計測が開始される。次に、ステップP8において時間Tが、予め設定された設定時間T以上経過したか否かが計時制御部75で判定され、設定時間T以上経過していない場合はステップP9に移行して水流検出スイッチ15の電気的な導通状態がスイッチ判定部71によって判定される。前記設定時間Tは、本発明の「所定の時間」に相当する。水流検出スイッチ15が電気的に導通しているとスイッチ判定部71によって判定された場合は、ステップP8に戻って、計測中の時間Tが設定時間T以上経過したか否かが計時制御部75で判定される。
【0042】
ステップP8において、設定時間T以上経過したと計時制御部75により判定された場合はステップP10に移行して酸素ガス用の電磁弁29が電磁弁制御部72により閉弁される。次に、ステップP11に移行して排気用の電磁弁23が電磁弁制御部74により閉弁されたのち、ステップP12に移行して計時制御部75による時間Tの計測が停止され計時制御部75の時間Tが0(ゼロ)にリセットされる。そして再びステップP1に戻って水流検出スイッチ15の電気的な導通状態がスイッチ判定部71によって判定される。なお、ステップP11における排気用の電磁弁23の閉弁は、このステップP11のタイミングではなく、ステップP1に戻った後の次のステップP2の直前または直後のタイミングで行ってもよい。
【0043】
一方、ステップP9において、水流検出スイッチ15が電気的に遮断しているとスイッチ判定部71によって判定された場合は、ステップP13に移行して排気用の電磁弁23が電磁弁制御部74により閉弁されたのち、ステップP14に移行してガス供給制御部73によりオゾン含有ガス供給装置9が作動させられ、続いてステップP15に移行して計時制御部75による時間Tの計測が停止され計時制御部75の時間Tが0(ゼロ)にリセットされる。そして再びステップP4に戻って水流検出スイッチ15の電気的な導通状態がスイッチ判定部71によって判定される。
【0044】
上述したようなオゾン水供給装置1によれば、ガス供給管17における感圧弁19より上流側17a内の圧力が、ガス供給管17における感圧弁19より下流側17b内の水道水の水圧より所定の圧力分だけ越えると開弁する一方、越えないと閉弁する感圧弁19をガス供給管17に配設したので、蛇口5からの吐出量を絞ってシャワー状または霧状にオゾン水を吐出させたとしても、感圧弁19より上流側のガス供給管17内における圧力が、感圧弁19より下流側のガス供給管17内の水道水の水圧より所定の圧力分だけ越えないと感圧弁19は開弁しないため、オゾン含有ガス供給装置9に水道水が逆流して浸水することはない。この結果、水道水の逆流による浸水によりオゾン含有ガス供給装置9の機能が損なわれることがない。
【0045】
また、この実施の形態によるオゾン水供給装置1によれば、ガス供給管17における感圧弁19より上流側17aの中途部に大気側と連通する排気管21を接続し、給水管3内を流れる水道水の流量が所定の下限流量より少なくなったとき、排気管21に設けられた電磁弁23を開弁してガス供給管17内と大気側とを排気管21を介して連通するようにしたので、蛇口5からオゾン水を吐出していないときなどは電磁弁23が開弁され、ガス供給管17における感圧弁19より上流側17a内の圧力を下流側17b内の圧力より十分低下させることができるため、ガス供給管17における感圧弁19より上流側17a内と下流側17b内との圧力差が減少することによる感圧弁19の閉弁不良が生じることがない。
【0046】
また、この実施の形態によるオゾン水供給装置1によれば、給水管3内を水道水が所定の下限流量以上流れていると水流検出スイッチ15により検出されたとき、制御装置11によりオゾン含有ガス供給装置9を作動させる一方、給水管3内を流れる水道水の流量が所定の下限流量より少なくなったと水流検出スイッチ15により検出されたとき、制御装置11によりオゾン含有ガス供給装置9の作動を停止させると共に電磁弁23を開弁するようにしたので、蛇口5からオゾン水を吐出させたり止水したりするだけでオゾン含有ガス供給装置9や電磁弁23を作動させることができるため、これらの物に対して特別な手作業を行なうことなくオゾン水供給装置1を作動させることができる。
【0047】
また、この実施の形態によるオゾン水供給装置1によれば、電磁弁23が開弁されたとき、制御装置11により電磁弁29の開閉動作を制御することで酸素ガスを設定時間Tだけ排気管21を介して大気側に排出するようにしたので、オゾン含有ガス供給装置9,ガス供給管17および排気管21などの内部に残留していたオゾン含有ガスが酸素ガスと共に大気側に排気され、オゾン含有ガス供給装置9,ガス供給管17および排気管21などがオゾン含有ガス中のオゾンガスの酸化力によって劣化または腐食するのが防止される。
【0048】
さらにまた、この実施の形態によるオゾン水供給装置1によれば、ガス供給管17を接続した給水管3の部位に、水道水が流入してその流入の勢いにより水道水に渦流を発生させる攪拌器7を設け、該攪拌器7にガス供給管17を接続したので、オゾン含有ガスと水道水とが攪拌器7の渦流発生部35aで渦流によって攪拌されるのでその攪拌が十分に行われ、オゾン含有ガスを水道水に分散して均一に溶解させることができる。
【0049】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係るオゾン水供給装置の第2の実施の形態を図8ないし図10によって詳細に説明する。なお、図8および図9において、前記第1の実施の形態で説明したものと同一または同等の部材や概念については、同一符号を付し詳細な説明は省略する。また、図8については、作図の都合上、それぞれの構成部材の縮尺の比率は互いに異ならせて図示している。
【0050】
上述した第1の実施の形態におけるオゾン水供給装置では、蛇口およびオゾン含有ガス供給装置が1個ずつ配設された例を示したが、本実施の形態におけるオゾン水供給装置10では、図8に示すように6個の蛇口5、3個のオゾン含有ガス供給装置9a,9b,9c、3個の感圧弁19a,19b,19cおよび3個の酸素ガス用の電磁弁29a,29b,29cがそれぞれ配設された例を示している。これらのものは、上述した第1の実施の形態における蛇口5,オゾン含有ガス供給装置9,感圧弁19および電磁弁29と同一または同等の構造によりそれぞれ構成されている。
【0051】
なお、本実施の形態では、説明の便宜上、3個のオゾン含有ガス供給装置については第一オゾン含有ガス供給装置9a,第二オゾン含有ガス供給装置9b,第三オゾン含有ガス供給装置9cと表記し、3個の感圧弁については第一感圧弁19a,第二感圧弁19b,第三感圧弁19cと表記し、3個の酸素ガス用の電磁弁については第一電磁弁29a,第二電磁弁29b,第三電磁弁29cと表記する。
【0052】
また、本実施の形態でも、供給水として水道水を使用した例について説明する。
給水管3内を水道水の流れる経路から見て攪拌器7より上流側の給水管3の中途部には流量センサ77が配設されている。流量センサ77は本発明の「流量検出手段」を構成する。流量センサ77によって、給水管3内を流れる水道水の水量が検出される。
各オゾン含有ガス供給装置9a,9b,9cは、ガス供給管17が3本に分岐した端部のそれぞれに接続され、これらの3本に分岐したガス供給管17が集合した端部に攪拌器7が接続されており、ガス供給管17の分岐した部分の中途部には各感圧弁19a,19b,19cがそれぞれ配設されている。また、ガス供給管17の分岐した部分のそれぞれの中途部(各オゾン含有ガス供給装置9a,9b,9cと各感圧弁19a,19b,19cとの間)には排気管21が接続されており、排気管21の中途部には排気用の電磁弁23が配設されている。
【0053】
各オゾン含有ガス供給装置9a,9b,9cには、酸素ガス供給管27が3本に分岐した端部のそれぞれが接続され、酸素ガス供給管27の分岐した部分のそれぞれの中途部には各電磁弁29a,29b,29cがそれぞれ配設されている。
各オゾン含有ガス供給装置9a,9b,9cと排気用の電磁弁23と酸素ガス用の電磁弁29a,29b,29cとは、電線30a,30b,30cを介して制御装置110にそれぞれ電気的に接続されている。また、流量センサ77は電線30dを介して制御装置110に電気的に接続されている。制御装置110は、図9に示すように、それぞれ後述する酸素ガス用の電磁弁制御部72,ガス供給制御部73,排気用の電磁弁制御部74,計時制御部75および流量判定部79を備えている。
【0054】
次に、上述したオゾン水供給装置10の作動について、前記制御装置110の動作を交え図10に示すフローチャートに沿って説明する。
まず、図10に示すフローチャートのステップS1に示すように、流量センサ77によって検出された給水管3内を流れる水道水の単位時間当たりの流量Qが、予め設定された第一設定流量Q以上か否かが流量判定部79によって判定される。第一設定流量Qは、本発明の「所定の下限流量」に相当し、その値としては0(ゼロ)より大きい所定の値(例えば、6個の蛇口5のうち少なくとも何れか1個の蛇口5が、ある程度開かれたときに水道水が給水管3内を流れる水量)が設定されている。流量判定部79によって前記流量Qが第一設定流量Q以上であると判定されるとステップS2に移行し、流量Qが、第一設定流量Qより多い値として予め設定された第二設定流量Q以下か否かがさらに流量判定部79によって判定される。
【0055】
例えば、6個の蛇口5のうち何れかの1個または2個の蛇口5しか開かれていないため、ステップS2において、流量Qが第二設定流量Q以下であると判定されるとステップS3に移行し、図9に示す酸素ガス用の電磁弁制御部72によって第一電磁弁29aのみが開弁され、第二電磁弁29bおよび第三電磁弁29cは閉弁したままとされる。その後、ステップS4に移行し、ガス供給制御部73によって第一オゾン含有ガス供給装置9aのみが作動させられ、第二オゾン含有ガス供給装置9bおよび第三オゾン含有ガス供給装置9cの作動は停止したままとされる。
【0056】
一方、例えば、6個の蛇口5のうち何れかの3個または4個の蛇口5が開かれた結果、ステップS2において、流量Qが第二設定流量Q以下でない、すなわち第二設定流量Qより多いと判定されると、ステップS5に移行し、流量Qが、第二設定流量Qより多い値として予め設定された第三設定流量Q以下か否かがさらに流量判定部79によって判定される。
【0057】
ステップS5において、流量Qが第三設定流量Q以下であると判定されるとステップS6に移行し、酸素ガス用の電磁弁制御部72によって第一電磁弁29aに加えて第二電磁弁29bも開弁され、第三電磁弁29cは閉弁したままとされる。その後、ステップS7に移行し、ガス供給制御部73によって第一オゾン含有ガス供給装置9aに加えて第二オゾン含有ガス供給装置9bも作動させられ、第三オゾン含有ガス供給装置9cの作動は停止したままとされる。
【0058】
一方、例えば、6個の蛇口5のうち何れかの5個または6個全ての蛇口5が開かれた結果、ステップS5において、流量Qが第三設定流量Q以下でない、すなわち第三設定流量Qより多いと判定されると、ステップS8に移行し、酸素ガス用の電磁弁制御部72によって第一電磁弁29aおよび第二電磁弁29bに加えて第三電磁弁29cも開弁される。その後、ステップS9に移行し、ガス供給制御部73によって第一オゾン含有ガス供給装置9aおよび第二オゾン含有ガス供給装置9bに加えて第三オゾン含有ガス供給装置9cも作動させられる。
【0059】
前記ステップS4,ステップS7またはステップS9を実行したのち、ステップS10に移行し、流量Qが第一設定流量Qより少ないか否かが流量判定部79によって判定される。例えば、6個の蛇口5の全てが閉じられると、給水管3内を水道水が流れなくなり、流量Qが第一設定流量Qより少ないと判定される。ステップS10において、流量Qが第一設定流量Qより少なくないと判定されると、前記ステップS2に戻って流量Qが第二設定流量Q以下か否かが流量判定部79によって判定される。
【0060】
一方、ステップS10において、流量Qが第一設定流量Qより少ないと判定されると、ステップS11に移行し、ガス供給制御部73によって全てのオゾン含有ガス供給装置9a,9b,9cの作動が停止される。続いて、ステップS12に移行して排気用の電磁弁23が電磁弁制御部74によって開弁される。これによって、前記第1の実施の形態と同様に、水道水の水圧により各感圧弁19a,19b,19cが確実に閉鎖されると共に各オゾン含有ガス供給装置9a,9b,9cとガス供給管17における各感圧弁19a,19b,19cより上流側17aと排気管21とがオゾン含有ガス中のオゾンの酸化力によって劣化または腐食するのが防止される。
ステップS12に続いてステップS13に移行し、図9に示す計時制御部75によって時間Tの計測が開始され、ステップS14において時間Tが予め設定された設定時間T以上経過したか否かが計時制御部75によって判定される。
【0061】
ステップS14において、設定時間T以上経過していない場合はステップS15に移行して、流量Qが第一設定流量Q以上か否かが流量判定部79によって判判定される。流量Qが第一設定流量Q以上でない、すなわち第一設定流量Qより少ないと流量判定部79によって判定された場合は、ステップS14に戻って、計測中の時間Tが設定時間T以上経過したか否かが計時制御部75によって判定される。
【0062】
ステップS14において、時間Tが設定時間T以上経過したと判定された場合はステップS16に移行して、酸素ガス用の各電磁弁29a,29b,29cの全てが電磁弁制御部72によって閉弁される。次に、ステップS17に移行して排気用の電磁弁23が電磁弁制御部74により閉弁されたのち、ステップS18に移行して計時制御部75による時間Tの計測が停止され計時制御部75の時間Tが0(ゼロ)にリセットされる。そして再びステップS1に戻って、流量Qが第一設定流量Q以上か否かが流量判定部79によって判定される。なお、ステップS17における排気用の電磁弁23の閉弁は、このステップS17のタイミングではなく、ステップS1に戻った後に行われる各ステップS3,S6,S8の直前または直後のそれぞれのタイミングで行ってもよい。
【0063】
一方、ステップS15において、流量Qが第一設定流量Q以上であると流量判定部79によって判定された場合は、ステップS19に移行して排気用の電磁弁23が電磁弁制御部74により閉弁されたのち、ステップS20に移行して計時制御部75による時間Tの計測が停止され計時制御部75の時間Tが0(ゼロ)にリセットされる。そして再びステップS2に戻って流量Qが第二設定流量Q以下か否かが流量判定部79によって判定される。
【0064】
以上説明したように、第2の実施の形態に係るオゾン水供給装置10によれば、3個のオゾン含有ガス供給装置9a,9b,9cをガス供給管17に並列に接続し、3個のオゾン含有ガス供給装置9a,9b,9cのうち同時に作動させるオゾン含有ガス供給装置の個数を、流量センサ77により検出された水道水の水量が多くなるにつれて増加させるようにしたので、オゾン含有ガス供給装置を1個だけまたは2個もしくは3個を同時に作動させるときは、各オゾン含有ガス供給装置9a,9b,9cからそれぞれ略同程度の高濃度のオゾンを含有するオゾン含有ガスを生成させるようにすると共に、同時に作動させるオゾン含有ガス供給装置の個数を水道水の水量が多くなるにつれて増加させることで、給水管3内を流れる水道水の水量に拘わらず常に、水道水と混合させ易い高濃度でオゾン含有ガスを水道水と混合させることができる。これにより、水が1リットルに対してオゾンが1mg(ミリグラム)ないし2mg(ミリグラム)の割合で含有した高濃度のオゾン水を、給水管3内を流れる水道水の水量に拘わらず、オゾンの濃度が安定した状態で供給することができる。
【0065】
なお、上述した各実施の形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は、前記の各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲と明細書との全体から読み取れる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更後のオゾン水供給装置もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0066】
例えば、上述した第1の実施の形態においては、水流検出スイッチ15によって、迂回管13内を水道水が流れているか否かを検出する例を示したが、これに代えて、迂回管13および水流検出スイッチ15を廃止して、給水管3の中途部に水流検出スイッチまたは流量センサを配設し、これらの検出スイッチまたは流量センサによる検出信号に基づいて給水管3内を水道水が流れているか否かを検出するようにしてもよい。
【0067】
また、上述した第2の実施の形態においては、6個の蛇口5、3個のオゾン含有ガス供給装置9a,9b,9c、3個の感圧弁19a,19b,19cおよび3個の酸素ガス用の電磁弁29a,29b,29cがそれぞれ配設された例を示したが、これらの個数は、必要とされるオゾン水の最大水量に応じて適宜変更することができる。
【0068】
また、上述した各実施の形態においては、蛇口5は手動によって開閉する例を示したが、これに代えて、蛇口5の近傍に感知センサを配設して人間の手が近付くと感知センサが感知することで電磁弁を開弁してオゾン水を吐出させるようにしてもよい。
【0069】
また、上述した各実施の形態においては、制御装置11や制御装置110の構成を理解し易くするためにそれらの構成をスイッチ判定部71,酸素ガス用の電磁弁制御部72,ガス供給制御部73,排気用の電磁弁制御部74,計時制御部75,流量判定部79に区分けして説明した。しかし、制御装置11や制御装置110を電子回路によって構成する場合は、このような区分けがなされた構成に代えて、制御装置11や制御装置110の構成要素となる回路の一部が他の構成要素となる回路に含まれる(共有される)ように構成して、制御装置を前記制御装置11や制御装置110と同等の機能を有する物に置換してもよい。
【0070】
さらにまた、上述した各実施の形態のオゾン水供給装置においては、酸素ボンベ25の酸素ガスを各オゾン含有ガス供給装置9,9a,9b,9cに導入してオゾンを発生させる例を示したが、これに代えて、大気中の酸素ガスを各オゾン含有ガス供給装置9,9a,9b,9cに導入してオゾンを発生させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 オゾン水供給装置
3 給水管(給水通路)
5 蛇口
9 オゾン含有ガス供給装置
9a 第一オゾン含有ガス供給装置(オゾン含有ガス供給装置)
9b 第二オゾン含有ガス供給装置(オゾン含有ガス供給装置)
9c 第三オゾン含有ガス供給装置(オゾン含有ガス供給装置)
10 オゾン水供給装置
11 制御装置
15 水流検出スイッチ(流量検出手段)
17 ガス供給管(ガス供給通路)
19 感圧弁
19a 第一感圧弁(感圧弁)
19b 第二感圧弁(感圧弁)
19c 第三感圧弁(感圧弁)
21 排気管(排気通路)
23 電磁弁(開閉弁)
77 流量センサ(流量検出手段)
110 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水通路を介して供給された供給水を前記給水通路に接続された蛇口から吐出する一方、オゾン含有ガス供給装置で生成され組成ガスとしてオゾンを含むオゾン含有ガスを供給するガス供給通路を、前記給水通路を供給水が流れる経路から見て前記蛇口より上流側の前記給水通路の中途部に接続して前記オゾン含有ガスを供給水に混合してなるオゾン水を前記蛇口から吐出可能としたオゾン水供給装置において、
前記給水通路を供給水が単位時間当たり予め設定された所定の下限流量以上流れているとき、前記オゾン含有ガス供給装置を作動させて前記ガス供給通路を介してオゾン含有ガスを供給し、
前記ガス供給通路に感圧弁を配設し、
前記ガス供給通路を前記オゾン含有ガスが流れる経路から見て前記感圧弁より上流側の前記ガス供給通路の圧力が、前記感圧弁より下流側の前記ガス供給通路の圧力より所定の圧力分だけ越えると開弁する一方、越えないと閉弁して前記ガス供給通路から前記給水通路への前記オゾン含有ガスの流入を許容または遮断するように前記感圧弁を構成したことを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のオゾン水供給装置において、
前記ガス供給通路を前記オゾン含有ガスが流れる経路から見て前記感圧弁より上流側の前記ガス供給通路の中途部に大気側と連通する排気通路を接続し、
前記排気通路と大気側との連通を開閉する開閉弁を前記排気通路に配設し、
前記給水通路を流れる供給水の流量が前記所定の下限流量より少なくなったとき、前記開閉弁を開弁するようにしたことを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載のオゾン水供給装置において、
前記給水通路を供給水が前記所定の下限流量以上流れているか否かを検出する流量検出手段と、
前記流量検出手段によって検出された検出信号を受信する制御装置とを備え、
前記給水通路を供給水が前記所定の下限流量以上流れていると前記流量検出手段により検出されたとき、前記制御装置により前記オゾン含有ガス供給装置を作動させる一方、
前記給水通路を流れる供給水の流量が前記所定の下限流量より少なくなったと前記流量検出手段により検出されたとき、前記制御装置により、前記オゾン含有ガス供給装置の作動を停止させると共に前記開閉弁を開弁するようにしたことを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載のオゾン水供給装置において、
前記オゾン含有ガス供給装置は、酸素ガスを原料として前記オゾン含有ガスを生成するように構成され、
前記制御装置により前記開閉弁が開弁されたとき、前記制御装置により、前記酸素ガスを所定の時間だけ前記ガス供給通路および排気通路を介して大気側に排出するようにしたことを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうち何れか一つに記載のオゾン水供給装置において、
前記ガス供給通路を接続した前記給水通路の部位に、供給水が流入してその流入の勢いにより供給水に渦流を発生させる渦流発生部を設け、
前記渦流発生部に前記ガス供給通路を接続したことを特徴とするオゾン水供給装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうち何れか一つに記載のオゾン水供給装置において、
前記ガス供給通路に前記オゾン含有ガス供給装置が複数並列に接続され、
前記複数のオゾン含有ガス供給装置のうち同時に作動させるオゾン含有ガス供給装置の個数を、前記給水通路を流れる供給水の水量が多くなるにつれて増加させるようにし、
前記給水通路を流れる供給水の流量が前記所定の下限流量より少なくなったとき、全てのオゾン含有ガス供給装置の作動を停止させるようにしたことを特徴とするオゾン水供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−162483(P2010−162483A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7122(P2009−7122)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(591211711)カルト株式会社 (20)
【Fターム(参考)】