説明

オゾン水分解装置

【課題】洗浄等に使用した後や、余剰のオゾン水またはオゾン水を含む混合溶液を効率良く、確実にオゾンを分解することができるオゾン水分解装置を提供する。
【解決手段】オゾン水分解装置であって、少なくとも、オゾン水またはオゾン水を含む混合溶液である被分解オゾン水を受け入れる受けタンクと、該受けタンクとつながり、受けタンクから送液される前記被分解オゾン水を気液分離する気液分離手段を有するオゾン気液分離槽と、該オゾン気液分離槽とつながり、前記オゾン気液分離槽で分離されたオゾンガスを所定濃度以下に分解するオゾンガス分解槽と、前記オゾン気液分離槽とつながり、前記オゾン気液分離槽で分離された被分解オゾン水を所定濃度以下に分解するオゾン水分解槽を具備するオゾン水分解装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体デバイス等の洗浄や、表面処理、酸化分解等に使用後のオゾン水またはオゾン水を含む混合溶液、または派生する余剰の上記液中におけるオゾンの分解を目的としたオゾン水分解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば洗浄分野においてオゾン水が広く用いられている。オゾン水の高い酸化力を利用することで被対象物に対する酸化作用、表面洗浄を目的としている。オゾン水はこのように色々な分野で利用されてきているが、同時にオゾン水自体は高い有毒作用を持ち合わせている。そのため、利用後のオゾン水や余剰のオゾン水は一定濃度以下に分解処理を行っておかなければ、安全性において問題が発生する可能性がある。
【0003】
オゾン水を分解・処理するにあたって様々な方法がこれまで提案されている。例えば、活性炭等による触媒分解方法、紫外線照射による分解方法(特許文献1参照)、または、オゾン水自体の自己分解作用を利用した方法等がある。また、純水などで希釈することにより、濃度を薄めてから廃棄処理する方法もある。
【0004】
しかしながら、触媒による分解方法では、触媒として例えば活性炭が代表として挙げられるが、分解効果はあるものの、短期間で失活して触媒の寿命が短く、コスト高となる上に利用の不便さがある。
また、紫外線照射による方法では分解効果は高いが、紫外線が照射される被分解オゾン水が接する部分を石英とする必要があることから、酸性、アルカリ性混合溶液中でのオゾン水分解には不適である。使用上においても制限が多くなるし、コストもかかる。
また、自然放置による方法では、分解速度が遅いために分解に多くの時間を要する。
純水による希釈では、必要とする大量の純水のための製造コストもかかるし、確実には分解しきれておらず、本質的な問題点の解決策とはなり得ない。
【0005】
【特許文献1】特開2000−1318号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、洗浄等に使用した後の廃液や、必然的に派生する余剰のオゾン水またはオゾン水を含む混合溶液を効率良く、確実にオゾンを分解することができるオゾン水分解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、オゾン水分解装置であって、少なくとも、オゾン水またはオゾン水を含む混合溶液である被分解オゾン水を受け入れる受けタンクと、該受けタンクとつながり、受けタンクから送液される前記被分解オゾン水を気液分離する気液分離手段を有するオゾン気液分離槽と、該オゾン気液分離槽とつながり、前記オゾン気液分離槽で分離されたオゾンガスを所定濃度以下に分解するオゾンガス分解槽と、前記オゾン気液分離槽とつながり、前記オゾン気液分離槽で分離された被分解オゾン水を所定濃度以下に分解するオゾン水分解槽を具備するものであることを特徴とするオゾン水分解装置を提供する(請求項1)。
【0008】
このようなオゾン水分解装置であれば、オゾン水をオゾン気液分離槽で気液分離することにより被分解オゾン水中のオゾン濃度を下げ、その後、気液分離されたオゾンガスおよび被分解オゾン水を、オゾンガス分解槽およびオゾン水分解槽において分解することによって、オゾンガスのオゾン濃度を下げるとともに、さらに被分解オゾン水のオゾン濃度を下げ、所定濃度以下に簡単かつ確実に分解することが可能である。
また、オゾン水およびオゾン水を含む混合溶液を同時に分解処理することができ、受けタンクを配置することで、多系統から被分解オゾン水を集めてまとめて分解処理を行うことができる。
【0009】
このとき、前記受けタンクと前記オゾン気液分離槽との間および/または前記オゾン気液分離槽と前記オゾン水分解槽との間にポンプを配置し、該ポンプは前記被分解オゾン水を送液するものであるのが望ましい(請求項2)。
【0010】
このように、前記受けタンクと前記オゾン気液分離槽との間および/または前記オゾン気液分離槽と前記オゾン水分解槽との間にポンプを配置し、該ポンプは前記被分解オゾン水を送液するものであれば、スムーズにオゾン気液分離槽やオゾン水分解槽に被分解オゾン水を送液することができ、効率良く被分解オゾン水を分解処理することが可能である。
【0011】
前記オゾンガス分解槽および/またはオゾン水分解槽が、オゾン分解触媒を充填したものであるのが望ましい(請求項3)。
そして、前記触媒が、活性炭または二酸化マンガンであるのが望ましい(請求項4)。
【0012】
このように、前記オゾンガス分解槽および/またはオゾン水分解槽が、オゾン分解触媒を充填したものであれば、被分解オゾン水の種類等の使用制限もなく、各槽にオゾンガスまたは被分解オゾン水を送るだけで、簡単かつ確実にオゾンの分解が行われオゾン濃度を下げることが可能である。特に本発明では、一旦オゾン気液分離槽でオゾン濃度を下げた被分解オゾン水をオゾン水分解槽に送るので、充填された触媒が短期間で失活するようなこともない。
そして、このとき前記触媒が、活性炭または二酸化マンガンであれば、オゾン分解触媒として一般によく用いられるものであり、低コストで効果的にオゾンガス、被分解オゾン水を分解することが可能である。
【0013】
また、前記受けタンクは、受けタンク内の雰囲気ガスを抜くためのガス抜き管を具備しており、該ガス抜き管は前記オゾンガス分解槽に接続されたものであるのが望ましい(請求項5)。
【0014】
このように、前記受けタンクが、受けタンク内の雰囲気ガスを抜くためのガス抜き管を具備しており、該ガス抜き管は前記オゾンガス分解槽に接続されたものであれば、受けタンクに被分解オゾン水を投入した際に、また、受けタンク内でオゾンが揮発しても受けタンク内部の圧力が増すこともなく安全である。そして、ガス抜き管がオゾンガス分解槽に接続されているため、ガス抜きをすると同時に受けタンク内で揮発したオゾンガスの分解を行うことが可能である。
【0015】
そして、前記受けタンクおよび/またはオゾン気液分離槽が、内部の被分解オゾン水の水位を識別できる水位識別手段を具備するものであるのが望ましい(請求項6)。
【0016】
このように、前記受けタンクおよび/またはオゾン気液分離槽が、内部の被分解オゾン水の水位を識別できる水位識別手段を具備するものであれば、受けタンク、オゾン気液分離槽から被分解オゾン水がオーバーフローするのを防止することができる。また、例えば被分解オゾン水の送液にポンプを使用する場合に、受けタンク、オゾン気液分離槽内部の被分解オゾン水量が不足しているとき、ポンプが空運転されることを防止することが可能である。
【0017】
また、前記気液分離手段が、微細な孔を有するノズルであり、該ノズルから前記孔を通して前記オゾン気液分離槽内に被分解オゾン水を吐出するものであるのが望ましい(請求項7)。
【0018】
このように、前記気液分離手段が、微細な孔を有するノズルであり、該ノズルから前記孔を通して前記オゾン気液分離槽内に被分解オゾン水を吐出するものであれば、被分解オゾン水はミスト化され、表面積が大きくなることにより揮発しやすくなる。このため、被分解オゾン水の気液分離がすすみ、簡便かつ効果的に被分解オゾン水のオゾン濃度を下げることが可能である。
【0019】
そして、前記オゾンガス分解槽および前記オゾン水分解槽は、オゾンガスまたは被分解オゾン水中のオゾン濃度を1ppm以下まで分解するものであるのが望ましい(請求項8)。
【0020】
このように、前記オゾンガス分解槽および前記オゾン水分解槽が、オゾンガスまたは被分解オゾン水中のオゾン濃度を1ppm以下まで分解するものであれば、被分解オゾン水を安全性で問題のないレベルにまで分解することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のオゾン水分解装置であれば、半導体の洗浄等に利用した後のオゾン水またはオゾン水を含む混合溶液、また利用せずに余ったオゾン水等も一緒にして、同時に効率良く、確実に低コストで分解処理することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について実施の形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
近年、半導体等の洗浄分野においてオゾン水が広く利用されているが、利用後の廃液や余剰のオゾン水に関して、安全性の問題から、一定濃度以下に分解処理してから廃棄する必要がある。
【0023】
オゾン水を処理するにあたり、従来法としては、例えば活性炭等の触媒を用いた分解方法、紫外線照射による分解方法、オゾン水自体の自己分解作用を利用した方法、純水による希釈等が挙げられる。しかしながら、触媒による分解方法では、触媒がすぐに失活し、寿命が短くて交換の頻度が高くコストがかかってしまう。被分解オゾン水のオゾン濃度によっては、分解の確実さにも問題がある。紫外線照射による分解方法も使用上の制限があったり、コスト面に問題が見られる。自己分解や純水による希釈方法も時間を要したり、コストがかかる上に分解が確実とは言えない。このように、従来方法では、コストや効率が悪かったり、分解が不十分であるという問題があった。
【0024】
そこで、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、被分解オゾン水をまず気液分離することにより被分解オゾン水中のオゾン濃度を下げてから、分離されたオゾンガスおよび被分解オゾン水を分解することによって、さらにオゾン濃度を下げて所定濃度以下にすることができ、効率良くオゾン水の分解処理を行うことが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
【0025】
以下では、本発明の実施の形態について図を用いて具体的に説明をする。
図1は本発明のオゾン水分解装置の一例を示す概略図である。このオゾン水分解装置1は、少なくとも、受けタンク2、オゾン気液分離槽3、オゾンガス分解槽4、オゾン水分解槽5から構成されている。
【0026】
受けタンク2はポンプ6を介して配管ライン8でオゾン気液分離槽3と接続されており、受けタンク2内の被分解オゾン水10をオゾン気液分離槽3に送液できるようになっている。
そしてオゾン気液分離槽3はその上にオゾンガス分解槽4が接続されており、オゾン気液分離槽3の気液分離手段11で分離されたオゾンガス12をオゾンガス分解槽4へ送ることが可能である。また、オゾン気液分離槽3下部には配管ライン9が配置されており、ポンプ7を介してオゾン水分解槽5と接続されていて、気液分離手段11で分離した被分解オゾン水10をオゾン水分解槽5へと送液することができる。
【0027】
本発明のオゾン水分解装置1の各部は、少なくとも被分解オゾン水に接触する部分は、被分解オゾン水10、すなわち、オゾン水やオゾン水を含む混合溶液に対して耐性を持つ材質で構成されている。このような材質としては、例えば、塩化ビニル、PTFE、サスが挙げられる。
【0028】
次に、本発明のオゾン水分解装置1の各部の構成について詳述する。まず、受けタンク2について述べる。
受けタンク2上部には、被分解オゾン水10を受け入れるための供給ライン13が接続されており、下部には上述したように、配管ライン8が接続されている。このように、本発明のオゾン水分解装置1は、一旦受けタンク2に処理する被分解オゾン水10を受け入れるようにするため、例えば洗浄等に使用した後の廃液または使用に際して派生したオゾン水であるとを問わず、また、オゾン水単独またはオゾン水を含む混合溶液等に関わらず、まとめて同時に液中のオゾンを分解処理することができる。従って、供給ライン13は多系統から処理する溶液を集められる形態にすることができる。例えば、各系統からの廃液を集合させて供給ライン13として受けタンク2に接続してもよいし、それぞれの系統と受けタンク2を接続しても良い。
【0029】
また、受けタンク2内の被分解オゾン水10の水位を識別できる水位識別手段14が配設されている。この水位識別手段14の形態等は、例えば、図1の例のように、受けタンク2の側壁の上部と下部に孔をあけ、両方の孔を管によってつなぐ形態で、受けタンク2内部の被分解オゾン水を管内部に通して水位を識別するものでも良い。また、浮き子その他のセンサを配置して水位を検出しても良く、特に限定されない。このような水位識別手段14を備えていれば、受けタンク2からの被分解オゾン水10のオーバーフローをいち早く察知し、防止することが可能である。また、受けタンク2内の被分解オゾン水10の量が不足して配管ライン8に十分な量が送られず、ポンプ6が空運転されて破損してしまうことを防ぐこともできる。
【0030】
そして、受けタンク2の上部にはガス抜き管16が配置してあり、ガス抜き管16はオゾンガス分解槽4に接続されている。例えば供給ライン13からの被分解オゾン水10の供給時や貯留オゾン水からのオゾンの揮発により、受けタンク2の内部の圧力が増すようなことが生じても、上記ガス抜き管16により、受けタンク2の内部の雰囲気ガスを抜き、圧力の増加を防止することが可能である。同時に、オゾンガス分解槽4にガス抜き管16が接続されているため、抜いた雰囲気ガス中のオゾンの分解も行うことができる。
さらに、配管ライン8の途中にもガス抜き管17を配置し、受けタンク2の上部に接続することもできる。オゾンは揮発しやすく、送液途中の配管ライン8内においても揮発することがあるため、図1のようにその揮発ガスを抜くためにガス抜き管17を配置してもよい。
【0031】
次にオゾン気液分離槽3について述べる。
上述のように、その上にはオゾンガス分解装置4、下部にはオゾン水分解槽5へとつながる配管ライン9が設置されている。
そして、受けタンク2と同様に、水位識別手段15を設けても良い。水位識別手段15をオゾン気液分離槽3にも設けることによって、被分解オゾン水10のオーバーフロー、送液量不足によるポンプ7の空運転を防止できる。
【0032】
また、配管ライン8で送液されてきた被分解オゾン水10を気液分離するための気液分離手段11を備えている。この気液分離手段11は特に限定されないが、効率良く被分解オゾン水10を気液分離できるものであることが好ましい。
例えばシャワーのように、微細な孔を有するノズルであり、ノズルから孔を通して被分解オゾン水10を吐出するような形態であると良い。このような形態であれば、被分解オゾン水10を微粒子にしてミスト化することができる。このとき、表面積が大きくなることにより、オゾンの揮発、すなわち気液分離が促進され、オゾンガス12と被分解オゾン水10とに分離し、被分解オゾン水10中のオゾン濃度を大幅に低くすることが可能である。これは、オゾン水分解槽5での分解処理の軽減につながる。しかも、この手段であるとコスト的にも非常に有利である。
【0033】
次に、オゾンガス分解槽4について説明する。
オゾンガス分解槽4の例として、オゾン分解触媒18を充填したものが挙げられる。触媒としては、活性炭や二酸化マンガンが挙げられ、オゾン分解に好適に用いられる。このようなオゾンガス分解槽4であれば、活性炭等はオゾン分解の際に一般によく用いられる触媒であるし、低コストで効率良くオゾンガスを分解することが可能である。また、特に使用制限もなく、オゾンガス12を触媒18内に通すだけで分解することができるため非常に簡便である。触媒の充填方法は常法に従って行えばよく、例えばハニカム状のカラムに充填することができる。
また、オゾンガスの分解方法としては、上記とは別に、例えばヒータを配置して、槽内のオゾンガスをヒータにより加熱し、熱分解する形態などの方法を採用してもよい。
このオゾンガス分解槽4は、オゾン気液分離槽3で分離されたオゾンガス12を所定濃度以下、特には1ppm以下に確実に分解することができるものであればよく、特に限定されない。上記活性炭や二酸化マンガン等を用いれば、十分1ppm以下にオゾン濃度を低減することが可能である。
【0034】
そして、排気ライン20が設けられており、ポンプやファン等でオゾンガス分解槽4内を負圧にし、オゾン気液分離槽3で分離されたオゾンガス12をオゾンガス分解槽4に誘引し、オゾンガス分解槽4で分解処理されたガスを排気ライン20から排気することが可能である。オゾンガス分解槽4内の圧力確認のため、圧力計21等を設けても良い。
【0035】
次に、オゾン水分解槽5の例として、オゾン分解触媒19を充填したものが挙げられる。ここでの触媒もまた、活性炭や二酸化マンガン等のマンガン系のものが代表的である。このようなオゾン水分解槽5によって、簡便で効率良く、コストをかけずにオゾンを分解することが可能である。
また、別形態としては、オゾン分解触媒でできた電極を配設し、電極間に電界を印加して被分解オゾン水10を電気分解するもの等を採用してもよい。
被分解オゾン水10を確実に所定濃度以下、特には1ppm以下に分解できるものであれば良く、特にその形態は限定されない。
そして、排液ライン22が設けられており、オゾン水分解槽5で所定濃度以下に分解された液を排出することができる。分解触媒として、上記活性炭等を用いれば、オゾン濃度を1ppm以下に分解することができる。
【0036】
このようなオゾン水分解装置1であれば、まず、受けタンク2内に受け入れた被分解オゾン水10をオゾン気液分離槽3で気液分離することにより、被分解オゾン水10中のオゾン濃度を下げることが可能である。そして、分離して濃度が低くなった被分解オゾン水10またはオゾンガス12に対してオゾン水分解槽5およびオゾンガス分解槽4で、別々に分解処理を施すことができる。
【0037】
このように、最初に気液分離することにより、受けタンク2内の被分解オゾン水10に対して直接分解処理を施す場合に比べ、気液分離後に行うオゾン分解処理により処理装置への負担を大幅に低減することができ、分解効率を向上することが可能である。例えば、高濃度の被分解オゾン水をオゾン分解触媒で分解する装置であれば、液をカラムに通すのに抵抗が大きく触媒がすぐに失活して触媒の交換頻度が高くなってしまうが、本発明のオゾン分解装置1であれば、気液分離してオゾン濃度が低下しているため、被分解オゾン水10の分解の負担が軽くなり、触媒19の交換頻度を下げることができ、コストも効率も良くなる。そのため、オゾンガス12、被分解オゾン水10を、オゾン水分解槽5、オゾンガス分解槽4において、過大な負担をかけることなく確実に所定濃度以下にまで分解することができる。
【0038】
本発明の装置によれば、上述したように、洗浄等に使用後のオゾン水やオゾン水を含む混合溶液、また、必然的に派生する使用していない余剰のオゾン水等を分別することなく受けタンクに受け入れて、これらを同時にまとめてオゾン分解処理することが可能である。このため、液の種類ごとに分解装置を設ける必要も無く、コストを著しく改善することができ、また、分解処理工程を簡便にすることができる。
【0039】
また、受けタンク2とオゾン気液分離槽3および/またはオゾン気液分離槽3とオゾン水分解槽5との間にポンプ6、7を配置し、ポンプ6、7が被分解オゾン水10を送液するものであれば、オゾン気液分離槽3、オゾン水分解槽5に、所望の送液速度(流量)で送液することが可能である。例えば、オゾン水分解槽5がオゾン分解触媒19を充填したものである場合、槽内に被分解オゾン水10を通す際に抵抗が大きくなる。そこで、ポンプ7を配置したものであれば、スムーズに被分解オゾン水10を圧送することができ、分解処理を効率よく行うことができる。
【0040】
そして、オゾンガス分解槽4およびオゾン水分解槽5が、オゾンガス12または被分解オゾン水10を1ppm以下まで分解するものであれば、十分に低い濃度にまでオゾンを分解したガスおよび液とすることができ、安全面で問題ないものとすることができる。上記のような、オゾンガス分解槽4、オゾン水分解槽5は特にその容量等の形態は限定されるものではないため、被分解オゾン水10の濃度や必要な処理量の程度により適切な形態にすれば良く、例えば触媒18、19を充填して分解するものであれば、槽4、5の容積や触媒18、19の充填量を調整することによって、処理後のオゾン濃度を1ppm以下まで低減することができる。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
図1に示すオゾン水分解装置を用いてオゾン濃度80ppmのオゾン水0.01mを受けタンクに投入し、分解処理を施した。オゾンガス分解槽およびオゾン水分解槽として、カラム内に保持した活性炭を槽内に充填したものを用いた。ポンプ6、7の送液量はそれぞれ5l/min、5l/minとして被分解オゾン水を送液し、オゾン気液分離槽において気液分離後、オゾンガス分解槽およびオゾン水分解槽においてオゾンを分解し、排出後のオゾンガス、オゾン水中のオゾン濃度を測定した。
測定の結果、ガスおよび液中のオゾン濃度はどちらも1ppm以下であった。しかも、この条件で約1週間運転を継続したが、分解処理後の濃度は変わらなかった。このように、本発明のオゾン水分解装置によって、オゾン濃度を著しく低濃度化し、簡単かつ確実に安全なレベルまでオゾンを分解することができる。
【0042】
(実施例2)
図1のオゾン水分解装置を用い、実施例1と同様の条件で、120ppmのオゾン水0.01mの分解処理を行った。
オゾンガス分解槽およびオゾン水分解槽から排出後のオゾンガス、オゾン水中のオゾン濃度は5ppm以下であった。実施例2においても、十分に低い濃度にまで分解できたことが判る。この120ppmのオゾン水をより低濃度、例えば1ppm以下にするのであれば、上記したように、例えば各分解槽の触媒の量や種類、ポンプによる送液の速度等を調整すれば良い。また、上述のヒーターや電気分解によってオゾンの分解を行っても構わなく、所望の濃度以下に分解できるものを設置することが可能である。
【0043】
(比較例1)
実施例1と同様の80ppmのオゾン水を用意し、気液分離することなく、実施例1と同様の活性炭の充填されたオゾン水分解槽に直接送液してオゾンの分解を行った。オゾン水分解槽へのポンプによる送液量は実施例1と同様に5l/minとし、オゾン水分解槽から排液後の液のオゾン濃度を測定した。
測定の結果、排液後のオゾン水のオゾン濃度は16ppmであった。しかも、処理後のオゾン水中のオゾン濃度が徐々に高くなり、数日の運転でほとんど分解処理できなくなった。このように、直接高濃度のオゾン水を触媒により分解しようとしても分解しきれず、処理後の液中のオゾン濃度は本発明のオゾン水分解装置を使用した場合に比べて高い値を示すことが判る。また、触媒も失活しやすく、交換頻度が高くなりコストも高くなる。
【0044】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のオゾン水分解装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1…オゾン水分解装置、 2…受けタンク、 3…オゾン気液分離槽、
4…オゾンガス分解槽、 5…オゾン水分解槽、 6、7…ポンプ、
8、9…配管ライン、 10…被分解オゾン水、 11…気液分離手段、
12…オゾンガス、 13…供給ライン、 14、15…水位識別手段、
16、17…ガス抜き管、 18、19…オゾン分解触媒、
20…排気ライン、 21…圧力計、 22…排液ライン。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン水分解装置であって、少なくとも、オゾン水またはオゾン水を含む混合溶液である被分解オゾン水を受け入れる受けタンクと、該受けタンクとつながり、受けタンクから送液される前記被分解オゾン水を気液分離する気液分離手段を有するオゾン気液分離槽と、該オゾン気液分離槽とつながり、前記オゾン気液分離槽で分離されたオゾンガスを所定濃度以下に分解するオゾンガス分解槽と、前記オゾン気液分離槽とつながり、前記オゾン気液分離槽で分離された被分解オゾン水を所定濃度以下に分解するオゾン水分解槽を具備するものであることを特徴とするオゾン水分解装置。
【請求項2】
前記受けタンクと前記オゾン気液分離槽との間および/または前記オゾン気液分離槽と前記オゾン水分解槽との間にポンプを配置し、該ポンプは前記被分解オゾン水を送液するものであることを特徴とする請求項1に記載のオゾン水分解装置。
【請求項3】
前記オゾンガス分解槽および/またはオゾン水分解槽が、オゾン分解触媒を充填したものであることを特徴とする請求項1または2に記載のオゾン水分解装置。
【請求項4】
前記触媒が、活性炭または二酸化マンガンであることを特徴とする請求項3に記載のオゾン水分解装置。
【請求項5】
前記受けタンクは、受けタンク内の雰囲気ガスを抜くためのガス抜き管を具備しており、該ガス抜き管は前記オゾンガス分解槽に接続されたものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のオゾン水分解装置。
【請求項6】
前記受けタンクおよび/またはオゾン気液分離槽が、内部の被分解オゾン水の水位を識別できる水位識別手段を具備するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のオゾン水分解装置。
【請求項7】
前記気液分離手段が、微細な孔を有するノズルであり、該ノズルから前記孔を通して前記オゾン気液分離槽内に被分解オゾン水を吐出するものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のオゾン水分解装置。
【請求項8】
前記オゾンガス分解槽および前記オゾン水分解槽は、オゾンガスまたは被分解オゾン水中のオゾン濃度を1ppm以下まで分解するものであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のオゾン水分解装置。


【図1】
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【公開番号】特開2007−111618(P2007−111618A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−305028(P2005−305028)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(590002172)株式会社プレテック (41)
【出願人】(598066215)株式会社コアテクノロジー (9)
【Fターム(参考)】