オゾン濃度計
【課題】構成部品数が少なく簡単な構成からなり、オゾン濃度を継続的かつ良好に測定することが可能なオゾン濃度計を提供する。
【解決手段】複数の貫通孔3が形成されたシート状である金属製の検知用基材5A、この検知用基材5Aに担持されてオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒、及び、検知用基材5Aに固定され、検知用基材5Aの温度変化を感知する検知用感知部材7を有する検知部11Aと、検知用感知部材7が接続され、検知用感知部材7で生じた電気的な変化を受信して温度に換算する検知用換算部13と、を備えるオゾン濃度計1A。
【解決手段】複数の貫通孔3が形成されたシート状である金属製の検知用基材5A、この検知用基材5Aに担持されてオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒、及び、検知用基材5Aに固定され、検知用基材5Aの温度変化を感知する検知用感知部材7を有する検知部11Aと、検知用感知部材7が接続され、検知用感知部材7で生じた電気的な変化を受信して温度に換算する検知用換算部13と、を備えるオゾン濃度計1A。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン濃度計に関し、更に詳しくは、構成部品数が少なく簡単な構成からなり、オゾン濃度を継続的かつ良好に測定することが可能なオゾン濃度計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理施設などでは、オゾンを利用して殺菌・脱色・脱臭が行われている。このようにオゾンは、広い分野で使用されている。そして、オゾンは、空気または酸素を含む原料ガスの無声放電によって発生させることができる。
【0003】
そして、オゾンを生成する装置(オゾン発生装置)は、例えば、円筒状のステンレス鋼(SUS)製の金属管、この金属管の内周部に接合される円筒状のガラス管(誘電体)を備える接地電極管と、この接地電極管の外方に位置する円筒状のステンレス鋼(SUS)製の金属管である高電圧電極管とを備えているものなどを挙げることができる。
【0004】
そして、このようなオゾン発生装置から発生したオゾンの濃度を測定するための方法として、例えば、滴定法や吸光度法などの化学分析法、電極膜や半導体を用いた機器分析法などが知られている。
【0005】
また、オゾンと触媒とを接触させることによって生じるオゾンの分解反応に起因する反応熱を温度センサーにより検知してオゾン濃度を測定する方法や測定装置が知られている。具体的には、オゾン処理剤の充填層と、この充填層に試料ガスを通気する手段と、充填層の温度を測定する手段とを備える測定装置が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−139141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の測定装置は、構造が複雑であるため高価であった。そのため、簡単な構成からなるものであって、良好にオゾン濃度を測定可能な測定装置(オゾン濃度計)の開発が切望されていた。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、構成部品数が少なく簡単な構成からなり、オゾン濃度を継続的かつ良好に測定することが可能なオゾン濃度計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下に示す、オゾン濃度計が提供される。
【0010】
[1] 複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の検知用基材、前記検知用基材に担持されたオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒、及び、前記検知用基材に固定され、前記検知用基材の温度を電気的な信号として感知する検知用感知部材を有する検知部と、前記検知用感知部材が接続され、前記検知用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算する検知用換算部と、を備えるオゾン濃度計。
【0011】
[2] 前記検知用基材の複数の前記貫通孔が、細線によって区画形成されており、前記細線の太さが20〜400μmである前記[1]に記載のオゾン濃度計。
【0012】
[3] 前記検知用基材の目開きは、20〜600μmである前記[2]に記載のオゾン濃度計。
【0013】
[4] シート状の前記検知用基材は、その一部が折り重ねられており、折り重ねられることによって重複部分を有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載のオゾン濃度計。
【0014】
[5] 前記検知部は、相互に平行に配置された複数の前記検知用基材を有しており、前記検知用感知部材は、複数の前記検知用基材のうちの一つに固定され、隣接する前記検知用基材は、相互に連結されている前記[1]〜[4]のいずれかに記載のオゾン濃度計。
【0015】
[6] 温度を電気的な信号として感知可能な基準用感知部材を有する基準部と、前記基準用感知部材が接続され、前記基準用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算する基準用換算部と、を更に備える前記[1]〜[5]のいずれかに記載のオゾン濃度計。
【0016】
[7] 前記基準部は、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の基準用基材を更に備え、前記基準用感知部材が、前記基準用基材に固定されている前記[6]に記載のオゾン濃度計。
【0017】
[8] 前記検知用基材及び前記基準用基材が、それぞれ、ステンレス鋼からなる前記[6]または[7]に記載のオゾン濃度計。
【発明の効果】
【0018】
本発明のオゾン濃度計によれば、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の検知用基材、この検知用基材に担持されたオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒、及び、検知用基材に固定され、検知用基材の温度を電気的な信号として感知する検知用感知部材を有する検知部と、上記検知用感知部材が接続され、検知用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算する検知用換算部と、を備えるため、オゾンと触媒との反応に起因する温度上昇を算出することができ、オゾン濃度を良好に測定することが可能である。しかも、本発明のオゾン濃度計は、少なくとも上記検知部及び検知用換算部を備えていれば良いため、構成部品数が少なく簡単な構成からなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のオゾン濃度計の一実施形態を模式的に示す平面図である。
【図2】図1に示すオゾン濃度計におけるA方向の矢視図である。
【図3】本発明のオゾン濃度計の他の実施形態における検知用基材を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明のオゾン濃度計の他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【図5】図4に示すオゾン濃度計の検知部におけるB方向の矢視図である。
【図6】本発明のオゾン濃度計の他の実施形態における、オゾン濃度と感知温度との関係を示すグラフである。
【図7】本発明のオゾン濃度計の更に他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図5に対応する図である。
【図8】本発明のオゾン濃度計の更に他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図5に対応する図である。
【図9】本発明のオゾン濃度計の更に他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図5に対応する図である。
【図10】図9に示すオゾン濃度計の検知部におけるC方向の矢視図である。
【図11】本発明のオゾン濃度計の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【図12】図11に示すオゾン濃度計の電気回路を模式的に示す回路図である。
【図13】図11に示すオゾン濃度計の動作確認のための装置を示す平面図である。
【図14】図11に示すオゾン濃度計におけるオゾン濃度と温度差(検知部の温度と基準部の温度の差)との関係を示すグラフである。
【図15】供給ガス中のオゾン濃度の経時変化と図11に示すオゾン濃度計で測定される温度差の経時変化を示すグラフである。
【図16】供給ガス中のオゾン濃度の経時変化と図11に示すオゾン濃度計で測定される温度差の経時変化を示すグラフである。
【図17】比較例で使用したオゾン濃度計を模式的に示す平面図である。
【図18】供給ガス中のオゾン濃度の経時変化と図17に示すオゾン濃度計で測定される温度差の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0021】
[1]オゾン濃度計:
本発明のオゾン濃度計の一実施形態は、図1に示すオゾン濃度計1Aのように、複数の貫通孔3が形成されたシート状である金属製の検知用基材5A、この検知用基材5Aに担持されてオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒(本実施形態では、オゾンを分解することにより発熱するオゾン分解触媒)、及び、検知用基材5Aに固定され、前記検知用基材5Aの温度を電気的な信号として感知する検知用感知部材7を有する検知部11Aと、検知用感知部材7が接続され、検知用感知部材7で感知された電気的な信号を受信して温度に換算して表示する検知用換算部13と、を備えるものである。このようなオゾン濃度計1Aは、上記検知部11Aと検知用換算部13とからなり、これらによってオゾン濃度を測定することができるため、構成部品数が少なく簡単な構成のものである。そして、検知部11Aを上記構成とすることによってオゾン濃度を継続的かつ良好に測定することが可能である。なお、図1は、本発明のオゾン濃度計の一実施形態を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示すオゾン濃度計1AにおけるA方向の矢視図である。
【0022】
[1−1]検知部:
検知部は、オゾンと反応して熱を発生させる触媒が担持された網目構造を有する金属製の部材(検知用基材)を有しているため、触媒とオゾンとが良好に反応を起こし、生じた熱によって検知用基材が良好に昇温される。更に、検知用基材は、複数の貫通孔が形成されているため、オゾン(オゾンガス)が検知用基材を通過する。そのため、オゾン濃度に比例して、触媒とオゾンとの反応により生じる熱量が大きくなる。そして、検知部は、触媒とオゾンとの反応により生じた熱を、検知用基材に固定されている検知用感知部材によって検知するものである。このような検知部を備えることでオゾン濃度を継続的かつ良好に測定することができる。
【0023】
[1−1−1]検知用基材:
検知用基材は、上述したように、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の部材である。本発明のオゾン濃度計は、このような簡単な構造の部材(検知用基材)を用いるものであるため、従来のオゾン濃度計に比べて製造にかかる費用が低廉であるという利点がある。
【0024】
検知用基材は、複数の貫通孔が形成されたシート状であればよく、例えば、図1に示すオゾン濃度計1Aの検知用基材5Aのように、複数の貫通孔3が、細線15によって区画形成されることによって形成されたもの(以下、「網状の部材」と記す場合がある)を挙げることができる。また、検知用基材としては、例えば、シート状の金属(金属板)を、複数の貫通孔3が形成されるように打ち抜くことによって形成されたもの(貫通孔形成板17(図3参照))などを挙げることができる。図3は、本発明のオゾン濃度計の他の実施形態における検知用基材(貫通孔形成板17)を模式的に示す平面図である。
【0025】
なお、検知用基材が網状の部材である場合、細線の太さ(線径)は、20〜400μmであることが好ましく、70〜300μmであることが更に好ましく、100〜200μmであることが特に好ましい。上記細線の太さが20μm未満であると、耐久性が劣るおそれがある。また、強度が弱く、外部からの振動などにより、担持された触媒が脱落するおそれがある。一方、400μm超であると、オゾンと触媒との反応により生じた熱が検知用感知部材に伝わるまでの時間が長く、かつ熱容量が多くなるため、良好なオゾン濃度測定が困難になるおそれがある。また、線径が太すぎると加工性が悪くなるため、形状を維持することが難しくなるおそれがある。具体的には、細線が縦横に配置されて構成される網状の部材(網状の検知用基材)(即ち、縦横の細線によって織られたもの)は、通常、縦横の細線の交点は結合されていない。そのため、線径が太すぎると、細線同士の絡み力が低下して解れが生じることがある。従って、細線が脱落して網目形状を維持することが難しくなるおそれがある。
【0026】
また、検知用基材が網状の部材である場合、検知用基材の目開きは、1000μm以下であることが好ましく、100〜500μmであることが更に好ましい。上記目開きが1000μm超であると、検知用基材の表面での密着性が低下するため、触媒が脱落するおそれがある。
【0027】
上記目開きが100〜500μmであると、検知用基材を通過するオゾンガスの量が適当になり、オゾン濃度を良好に測定することができる。上記目開きが100μm未満であると、検知用基材を通過するオゾンガスの量が少なくなるため、オゾン濃度を良好に測定することが困難になるおそれがある。また、網目両側における細線と触媒との結合力が小さくなり、付着強度が低下するため、触媒が落下するおそれがある。一方、500μm超であると、検知用基材の表面での密着性が低下するため、触媒が脱落するおそれがある。具体的には、触媒は細線の表面を包み込むように一体化することにより細線に付着しているが、網目が大きくなる(目開きが大きくなる)と、触媒同士の結合割合に比べて細線との接触面が増加するため、触媒が細線に保持され難くなり脱落するおそれがある。
【0028】
ここで、「目開き」とは、検知用基材に形成された複数の貫通孔の平均的な大きさを表すものであり、本実施形態における「目開き」は、網状の部材の網目を形成する細線間の平均的な距離をいう。
【0029】
検知用基材は、シート状のものであり、その厚さD(図2参照)、即ち、本実施形態における網状の部材(網状の検知用基材)の厚さは、具体的には、50〜800μmであることが好ましく、100〜650μmであることが更に好ましく、200〜400μmであることが特に好ましい。上記厚さが50μm未満であると、薄過ぎるため、耐久性が劣るおそれがある。また、強度が弱く、外部からの振動などにより、触媒が脱落するおそれがある。一方、800μm超であると、オゾンと触媒との反応により生じた熱が検知用感知部材に伝わるまでの時間が長く、また熱容量が多くなるため、良好なオゾン濃度の測定が困難になるおそれがある。また、線径が太すぎると加工性が悪くなるため、形状を維持することが難しくなる。
【0030】
検知用基材の材料としては、金属であれば特に制限はないが、例えば、ステンレス鋼(SUS)、鉄、ニッケルなどを挙げることができる。これらの中でも、オゾンや酸に対して耐久性があるため、ステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼としては、具体的には、SUS304、SUS316などを挙げることができる。
【0031】
検知用基材はシート状であればよく、そのシートの形状は特に制限されず、図1に示すような長方形以外に、正方形、円形、楕円形、三角形、多角形などを挙げることができる。
【0032】
検知用基材の大きさは、例えば図1に示すような長方形の場合、縦H(図1参照)0.5〜20mm、横L(図1参照)0.5〜20mmとすることができる。
【0033】
シート状の検知用基材は、その一部が折り重ねられており、折り重ねられることによって重複部分を有することが好ましい。このように重複部分を有することによって(具体的には、重複部分に検知用感知部材7の先端部が配置されることによって)、図1及び図2に示すような平面状である場合に比べて、熱の発生源(即ち、オゾンと触媒との反応によって熱が生じる部分)が検知用感知部材7の先端部付近に存在し、かつ、オゾン(オゾンガス(オゾンを含むガス))が検知用感知部材7の先端部(溶接により溶接部が形成される場合には溶接部)に直接的に当たらないため、ガスの流れに起因する温度変動が小さい。そのため、オゾン濃度をより正確に(良好に)測定することができる。また、オゾンとの接触部分をコンパクトにしながらも、十分なオゾンとの接触範囲を確保できる。
【0034】
ここで、図4及び図5に示す検知部11Bの検知用基材5Bは、その全部が折り重ねられており、折り重ねられることによって重複部分19を有する例である。具体的には、長方形状の網状の部材の一方の端部側の部分を、上記網状の部材の一方の面側に折り曲げ、他方の端部側の部分を上記網状の部材の他方の面側に折り曲げて、平板状の部材を三つ折にする(Z字状に折る)ことによって重複部分19が形成されている例である。なお、図4は、本発明のオゾン濃度計の他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図5は、図4に示すオゾン濃度計1Bの検知部11BにおけるB方向の矢視図である。
【0035】
図6は、図4及び図5に示す検知部11Bを備えるオゾン濃度計1Bにおける、オゾン濃度と感知温度との関係を示すグラフである。図6に示すように、図4及び図5に示す検知部11Bを備えるオゾン濃度計1Bは、オゾン濃度計として良好に使用することができることが確認できた。なお、図6では、2度測定した場合を示している。
【0036】
折り重ねて得られる検知用基材の形状は、図5に示すようなZ字状に限定されず、例えば、S字状(図7参照)、V字状、平行層状などとすることができる。折り重ねて得られる検知用基材の形状としては、形成が容易であり、オゾン濃度をより良好に測定することができるという観点から、Z字状であることが好ましい。図7は、本発明のオゾン濃度計の更に他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図5に対応する図である。図7に示すように、オゾン濃度計1Cは、S字状に折り曲げられた検知用基材5Cを有する検知部11Cを備えている例である。なお、図7中において検知用換算部は図示していない。
【0037】
検知部は、複数の検知用基材を有するものであってもよい。そして、複数の検知用基材を有する場合には、各検知用基材は、熱が伝わる状態で互いに連結されていることが好ましい。
【0038】
例えば、図8は、2枚の検知用基材5D,5Dを有する検知部11Dを有するオゾン濃度計1Dを示す例である。図8に示す検知部11Dは、断面円弧状の検知用基材5D,5Dを2枚有し、これらの2枚の検知用基材5D,5Dは、凸状の頂点部分で互いに溶接により固定されている。そして、検知用感知部材7が、2枚の検知用基材5D,5Dの凸状の頂点部分で溶接されている。このような検知部11Dを有するオゾン濃度計1Dは、作製が容易であり、図1に示すような平面状の検知部11Aを用いる場合に比べて、重複部分を有する場合と同様の理由から、オゾン濃度をより正確に(良好に)測定することができる。なお、図8に示す検知部11Dは、断面円弧状の検知用基材を有しているが、検知用基材の形状は特に制限はなく、例えば、断面V字状、断面U字状、断面コ字状などであってもよい。
【0039】
また、複数の検知用基材を有するものである場合、検知部は、相互に平行に配置された複数の検知用基材を有しており、検知用感知部材は、複数の検知用基材のうちの一つに固定され、隣接する検知用基材は、相互に連結されていることが好ましい。別言すれば、検知部は、相互に平行に配置された複数の検知用基材、及び、これらの複数の検知用基材のうちの隣接する検知用基材を連結する熱伝導性の連結部を有しており、検知用感知部材が、複数の検知用基材のうちの一つに固定されているものであることが好ましい。このような検知部を用いれば、図1に示すような平面状の検知部11Aを用いる場合に比べて、熱の発生源(即ち、オゾンと触媒との反応によって熱が生じる部分)が検知用感知部材7の先端部付近に存在し、かつ、オゾン(オゾンガス(オゾンを含むガス))が検知用感知部材7の先端部(溶接により溶接部が形成される場合には溶接部)に直接的に当たらないため、ガスの流れに起因する温度変動が小さい。そのため、オゾン濃度をより正確に(良好に)測定することができる。また、オゾンとの接触部分をコンパクトにしながらも、十分なオゾンとの接触範囲を確保できる。
【0040】
例えば図9及び図10に示す検知部11Eは、相互に平行に配置された3つの検知用基材5Eを有している例である。そして、図9及び図10に示す検知部11Eは、検知用感知部材7が、3つの検知用基材5Eのうちの中央の検知用基材5E(検知用基材5e)に固定されている。更に、3つの検知用基材5Eは、隣接する検知用基材5E同士が棒状の2つの連結部21によって相互に連結されている。図9及び図10に示すオゾン濃度計1Eは、検知用基材5eの両側に位置する検知用基材5Eで生じた熱が連結部21によって検知用基材5eに伝達され、その熱量がオゾン濃度に換算されるものである。なお、図9及び図10には、検知用換算部は図示していない。
【0041】
複数の検知用基材5Eを平行に配置する場合、各検知用基材5Eの間の距離K(図9参照)は、特に制限はないが、0.1〜1mmであることが好ましい。上記距離Kが0.1mm未満であると、各検知用基材5Eが近接しすぎるため、複数の検知用基材5Eを有する効果が得られ難くなる(オゾン濃度をより正確に(良好に)測定することが困難になる)おそれがある。一方、1mm超であると、上記距離Kが大きくなりすぎる(即ち、隙間が大きく開きすぎる)ため、触媒とオゾンとの反応によって生じた熱が伝わり難くなりオゾン濃度を正確に測定することが困難になるおそれがある。
【0042】
連結部21の材料としては、熱を伝達可能なものである限り特に制限はないが、検知用基材5Eと同様の材料(具体的には、ステンレス鋼やニッケルなど)などを用いることができる。連結部21の形状や大きさは、特に制限はないが、例えば、円柱状、四角柱状、三角柱状、多角柱状などの形状を挙げることができ、円柱状である場合、端面の直径が1〜10mmであり、中心軸方向の長さが1〜20mmであることが好ましい。
【0043】
[1−1−2]触媒:
触媒は、オゾンに接触することにより熱を発生させるものである限り特に制限はない。例えば、オゾンにより発熱するオゾン分解触媒、ニッケル、マンガン、銅、白金、パラジウム、鉄、コバルト、銀等の金属や、上記金属の酸化物(具体的には、酸化マンガン、酸化鉄)を含有するものなどを挙げることができる。これらの中でも、オゾンを酸素に良好に分解し、分解反応における反応熱の発生が良好であるため、酸化マンガンを含有するものが好ましく、酸化銅を含む酸化マンガン(カロライト)が更に好ましい。
【0044】
触媒は、検知用基材の表面に、付着厚さとして20〜500μmとなるような層(触媒層)を形成していることが好ましく、50〜300μmとなるような層を形成していることが更に好ましい。上記触媒層の厚さが20μm未満であると、オゾンと触媒との反応が十分に起こらずに、オゾン濃度を正確に測定することが困難になるおそれがある。一方、500μm超であると、検知用基材と触媒(触媒層)との密着力(または触媒が検知用基材に付着する力(付着力))が低下するため、触媒層が脱落するおそれがある。即ち、触媒層はスラリー状の触媒を塗布することによって形成することができるが、スラリー状の触媒が塗布後に乾燥することに伴って触媒に割れ等が生じるため、触媒層が脱落するおそれがある。
【0045】
なお、触媒は、検知用基材の少なくとも一部に担持されていればよく、検知用基材の両面の全部に担持されることが好ましいが、検知用感知部材が固定される部分には担持されなくてもよい。例えば、溶接により固定する場合、溶接によって形成された溶接部23(例えば図1参照)の表面上に触媒が担持されてもよい。このように溶接部23(検知用感知部材が固定される部分)上にも触媒を担持させると、溶接部23上(即ち、検知用感知部材7の直上)においてもオゾンと触媒との反応が起こり、熱が発生するため、オゾン濃度をより正確に測定することができる。
【0046】
[1−1−3]検知用感知部材:
検知用感知部材は、検知用基材に固定されており、検知用基材の温度を電気的な信号として感知することが可能なものであり、電気的な信号とは、例えば、電圧の変化、抵抗値の変化などのことをいう。検知用感知部材を検知用基材に固定する方法としては、本発明の効果を奏する限り特に制限はなく、溶接、半田付けなどを挙げることができる。更に、熱の伝導率、検知用基材を固定するための接着力、触媒を担持させることに不具合が生じなければ、接着剤を使用する方法(接着)なども採用することができる。
【0047】
溶接としては、例えば、スポット溶接、アーク溶接、トーチ溶接などの方法を挙げることができる。上記溶接において、熱の伝導性が良好になるという観点から、検知用感知部材が検知用基材に接触した状態で固定することが好ましい。接着に用いることができる接着剤としては、耐オゾン性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、銀ペーストなどを用いることができる。
【0048】
検知用感知部材を検知用基材に固定する位置(溶接する場合の溶接部の位置)は、特に制限はないが、例えば、検知用基材の重心部分であることが好ましい。このような位置であると、より正確なオゾン濃度測定が可能になる。溶接する場合、溶接部の表面積は、具体的には0.3〜5mm2とすることができる。
【0049】
検知用感知部材としては、具体的には、熱電対、白金抵抗型測温センサー、サーミスターなどを用いることができる。
【0050】
[1−2]検知用換算部:
検知用換算部は、検知用感知部材が接続され、検知用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算するものである。即ち、上記検知用感知部材が検知用基材の温度を電気的な信号として感知した後、この電気的な信号が検知用換算部に伝達される。そのため、検知用換算部は、上記電気的な信号を受信し、温度に換算することができる。このような検知用換算部によって得られる(換算される)温度からオゾン濃度を算出することができる。検知用換算部としては、換算された温度を表示する表示部を有していてもよい。
【0051】
検知用換算部としては、具体的には、富士電機社製の「PXR4(型番)」などの温度調節機などを用いることができる。
【0052】
[1−3]基準部:
本発明のオゾン濃度計は、図11に示すオゾン濃度計1Fのように、温度を電気的な信号として感知可能な基準用感知部材25を有する基準部27を更に備えることが好ましい。このような基準部27を更に備えることによって、更に正確なオゾン濃度の測定ができる。即ち、基準部27の基準用感知部材25によってオゾン(オゾンガス)が本来有している温度(即ち、検知用基材5Aにおいて昇温される前の温度)を直接的または間接的に測定し、オゾンガスに由来する検知用基材5Fの温度上昇分を差し引くことによって更に正確なオゾン濃度の測定ができる。なお、基準用感知部材25としては、上述した検知用感知部材と同様のものを用いることができる。基準用感知部材25を検知用感知部材5Fと同様の大きさ、形状、材質とすることにより、両部材(基準用感知部材25,検知用感知部材5F)の形状等による計測誤差を排除しやすくなる。ただし、基準用感知部材25にはオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒は担持させない。オゾンガスの温度を間接的に測定する場合とは、下記基準用基材を用いる場合が該当する。即ち、基準用感知部材25によって下記基準用基材の温度を測定し、測定された値をオゾンガスの温度とする場合である。
【0053】
[1−3−1]基準用基材:
本発明のオゾン濃度計は、図11に示すオゾン濃度計1Fのように、基準部27が、複数の貫通孔3が形成されたシート状である金属製の基準用基材29を更に備え、上記基準用感知部材25が、基準用基材29に固定されているものであることが好ましい。この基準用基材を用いることによって、より広範囲に存在するオゾンガスの温度を測定することができるため、測定値がより正確になるという利点がある。固定方法としては、検知用感知部材を検知用基材に固定する方法と同様に、例えば、溶接、半田付け、接着剤を用いる方法などを挙げることができる。
【0054】
基準用基材としては、上述した検知用基材と同様に熱伝導率が良好なものを用いることができる。即ち、例えば基準用基材の材料としては、ステンレス鋼やニッケルなどを挙げることができる。これらの中でも、オゾンや酸に対して耐久性に優れるため、ステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼としては、具体的には、SUS304、SUS316などを挙げることができる。
【0055】
そして、検知用基材及び基準用基材は、同じ材料からなるものであることが好ましく、ステンレス鋼からなるものであることが更に好ましい。このように、検知用基材及び基準用基材を同じ材料からなるものとすることによって、オゾンガスに由来する温度を正確に差し引くことができるため、オゾン濃度をより正確に測定することができる。
【0056】
[1−4]基準用換算部:
本発明のオゾン濃度計は、上述したように、基準用感知部材が接続され、この基準用感知部材で感知された電気的な変化を受信して温度に換算する基準用換算部を更に備えることが好ましく、この基準用換算部は、図11に示すオゾン濃度計1Fのように、検知用換算部と一体化されたもの(換算器31)であることが更に好ましい。即ち、1台の換算器が、検知用換算部と基準用換算部との機能を兼ねることが好ましい。このように検知用換算部と基準用換算部との機能を1台の換算器によって担わせることによって、オゾン濃度計を小さくすることができる。
【0057】
なお、個別の換算器(2つの換算器)を検知用換算部及び基準用換算部としてそれぞれ用いる場合、基準用換算部は、上述した検知用換算部と同様のものを用いることができる。
【0058】
基準部及び基準用換算部を更に有するオゾン濃度計は、基準部の基準用感知部材がオゾンガス(雰囲気ガス)の温度(更に基準用基材を備える場合には、基準用基材の温度)を電気的な信号として感知した後、この電気的な信号を基準用換算部に伝達する。そして、基準用換算部が、電気的な信号を受信して温度に換算する。なお、基準用換算部は、換算された温度を表示する表示部を有していてもよい。
【0059】
[2]オゾン濃度計の製造方法:
本発明のオゾン濃度計は、例えば以下のように製造することができる。
【0060】
まず、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の部材(検知用基材)を用意し、その中央部に検知用感知部材をスポット溶接する。次に、オゾンを分解可能な触媒を有するスラリーを調製した後、上記検知用基材の全部を上記スラリーに浸けることによって検知用基材の表面にスラリーを塗工する。その後、検知用基材の表面上に塗工されたスラリーを乾燥させて、触媒が担持された検知用基材を得る。このようにして、検知部を得る。次に、検知用感知部材で生じる電気的な変化を受信して温度に換算可能な換算器(検知用換算部)を用意し、この検知用換算部に得られた検知部の検知用感知部材を接続する。このようにして、図1に示すようなオゾン濃度計1Aを製造することができる。
【0061】
なお、必要に応じて、触媒が担持された検知用基材を得た後、検知用基材の少なくとも一部を折り重ねる(例えば、Z字状に形成する)こともできる。
【0062】
また、以下のように製造することもできる。まず、上述した製造方法と同様にして検知部を得る。次に、検知用感知部材で生じる電気的な変化を受信して温度に換算可能な換算器(検知用換算部兼基準用換算部)を用意し、この換算器に、得られた検知部の検知用感知部材を接続する。次に、検知用基材と同じものである、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の部材(基準用基材)を用意する。次に、基準用基材の中央部に基準用感知部材をスポット溶接する。このようにして、基準部を得る。その後、上記換算器に、得られた基準部の基準用感知部材を接続する。このようにして、図11に示すようなオゾン濃度計1Fを製造することができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
図1に示すオゾン濃度計1Aは、平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、縦4mm×横4mm、厚さ400μm))からなる検知用基材5A、この検知用基材5Aの表面に担持された触媒、及び、触媒が担持された検知用基材5Aに連結された検知用感知部材7を有する検知部11Aと、検知用感知部材7が接続され、検知用感知部材7で生じる電気的な信号を受信して温度に換算する検知用換算部13と、を備えているものである。
【0065】
本実施例においては、図1に示すオゾン濃度計1Aを作製した。まず、縦4mm×横4mmの平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、厚さ630μm))を用意した。次に、SUS304の重心部分にアルメル・クロメルからなるK型熱電対(検知用感知部材7)の先端部をスポット溶接した(直径0.32mmの溶接部23を形成した)。次に、上記SUS304に酸化マンガン系触媒(カロライト(酸化マンガン−酸化銅系触媒))を塗布して上記触媒を担持させた。その後、K型熱電対(検知用感知部材7)を、直径8mmのベークライト管60内で一次シールし、換算器31(検知用換算部13)(富士電機社製の「PXR4(型番)」)に接続した。このようにして、図1に示すようなオゾン濃度計1Aを作製した。
【0066】
作製したオゾン濃度計1Aについてオゾン濃度の検知性能を評価した。具体的には、まず、オゾン濃度0g/Nm3のガスを上記オゾン濃度計1Aに供給した。その後、順次オゾン濃度を高くして最終的にオゾン濃度40g/Nm3のガス(オゾンガス)を上記オゾン濃度計1Aに供給し、その後、オゾン濃度0g/Nm3のガスを供給した。そして、この操作を繰り返した。
【0067】
上記操作を繰り返した結果、図6に示すように、本実施例のオゾン濃度計1Aは、オゾン濃度と検知温度との間に比例関係があることが確認された。また、オゾン濃度0〜40g/Nm3において、オゾン濃度と検知温度との間には安定した再現性があることが確認された。従って、本実施例のオゾン濃度計1Aは、オゾン濃度0〜40g/Nm3のガスであれば、オゾンの濃度を良好に測定することが確認できた。図6は、上記操作を繰り返した際におけるオゾン濃度と検知温度の関係を示すグラフである。
【0068】
(実施例2)
図11に示すオゾン濃度計1Fは、平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、縦4mm×横12mm、厚さ630μm))を前後に三つ折り(Z字状)にした検知用基材5F、この検知用基材5Fの表面に担持された触媒、及び、検知用基材5Fにスポット溶接された検知用感知部材7を有する検知部11Fと、平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、縦4mm×横12mm、厚さ630μm))を前後に三つ折り(Z字状)にした基準用基材29、及び、この基準用基材29にスポット溶接された基準用感知部材25を有する基準部27と、検知用感知部材7及び基準用感知部材25が接続され、検知用感知部材7及び基準用感知部材25で得られる電気的な変化を温度に換算する換算器31(検知用換算部兼基準用換算部)と、を備えている。
【0069】
本実施例においては図11に示すオゾン濃度計1Fを作製した。まず、縦4mm×横12mmの平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、厚さ630μm))を用意した。次に、SUS304の重心部分にアルメル・クロメルからなるK型熱電対(検知用感知部材7)の先端部を直径0.32mmでスポット溶接した(直径0.32mmの溶接部23を形成した)。次に、上記SUS304を前後に三つ折り(Z字状)にした。その後、カオリン及び酸化マンガン触媒(カロライト)の粉末に水を添加して得られたスラリーを三つ折りにしたステンレス鋼(SUS304)に塗布して上記カオリン及び酸化マンガン触媒を担持させた。このようにして、検知部11Fを作製した。その後、この検知部11FのK熱型電対を、直径8mmのベークライト管60内で一次シールして換算器31に接続した。
【0070】
次に、縦4mm×横12mmの平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、厚さ630μm))を用意した。次に、上記SUS304の重心部分にアルメル・クロメルからなるK型熱電対(基準用感知部材25)の先端部を直径0.32mmでスポット溶接した(直径0.32mmの溶接部23を形成した)。次に、SUS304を前後に三つ折り(Z字状)にした。このようにして、基準部27を作製した。その後、この基準部27のK型熱電対(基準用感知部材25)を、直径8mmのベークライト管60内で一次シールして、上記検知部11Fを接続したものと同じ換算器31に接続した。
【0071】
以上のようにして、図11に示すようなオゾン濃度計1Fを作製した。図12は、図11に示すオゾン濃度計1Fの電気回路を模式的に示す回路図である。このような電気回路とすることにより、オゾンと触媒との反応により生じた熱に起因する温度上昇を良好に測定することができる。具体的には、検知部11Fで生じる起電力から基準部27で生じる起電力を差し引いて得られる値を、オゾンと触媒との反応により生じた熱として温度に換算するため、オゾン(オゾンガス)が本来有している熱(温度)に起因する誤差などの影響を排除することができる。そのため、オゾン濃度をより正確に測定することができる。
【0072】
本実施例のオゾン濃度計1Fは、図14に示すように、オゾン濃度と検知温度との間に比例関係があることが確認された。また、オゾン濃度5〜50g/Nm3において、オゾン濃度と検知温度との間には安定した再現性があることが確認された。従って、オゾン濃度5〜50g/Nm3のガスであれば、オゾンの濃度を良好に測定することが確認できた。
【0073】
次に、図13に示すオゾン濃度計評価装置30を用いて、本実施例で作製したオゾン濃度計1Fの評価を行った。オゾン濃度計評価装置30は、図13に示すように、純度98%以上の酸素が充填された酸素供給源33と、オゾン発生装置35(小型オゾナイザ:メタウォーター社製の「プリティ」(オゾン発生量能力1g/時間))と、紫外線オゾン濃度計37(エバラ社製(型番)「Model−600」)と、カロライトを有するオゾン分解処理塔39と、を備えている。更に、酸素供給源33とオゾン発生装置35との間に配置された酸素流量計41と、紫外線オゾン濃度計37と本実施例のオゾン濃度計1Fとの間に並列に配置された2つのオゾン流量計43と、オゾン発生装置35と紫外線オゾン濃度計37との間には圧力計45と、を備えている。なお、本実施例のオゾン濃度計1Fは、オゾンガスの供給口48aと排出口48bが形成された収納箱47の内部に収納されている。具体的には、収納箱47には、オゾンガスの供給口48aと排出口48bとを連通するオゾン通過配管49が配設されている。そして、このオゾン通過配管49の流路中に、オゾン濃度計1Fの検知部11F(特にSUS304)及び基準部27(特にSUS304)が位置するように配置した。
【0074】
オゾン濃度計評価装置30を用いたオゾン濃度計1Fの評価は、具体的には、以下のようにして行った。まず、酸素供給源33からオゾン発生装置35に酸素を2L/分の流量で供給した。そして、供給された酸素を原料にしてオゾン発生装置35においてオゾンガスを発生させた(発生量:1g/時間、流量:1L/分)。なお、発生させたオゾンガスの濃度は、紫外線オゾン濃度計37でも測定した。その後、オゾンガスの流量を調整する(0.5L/分とする)ため2つの経路に分岐させることによって0.5L/分の流量でオゾンガスをオゾン濃度計1が収納された収納箱47内に供給した。
【0075】
上記状態において、オゾン発生装置35で発生させるオゾンガス中のオゾン濃度を、0g/Nm3の状態から30g/Nm3に切り替えたときにおける、紫外線オゾン濃度計37で測定されるオゾン濃度(供給ガス中のオゾン濃度)とオゾン濃度計1Fが検知する温度差とを時間経過とともに測定した。
【0076】
図15は、紫外線オゾン濃度計37で測定されるオゾン濃度(供給ガス中のオゾン濃度)と本実施例(実施例2)のオゾン濃度計1Fが検知する温度(検知部11Fで測定される温度と基準部27で測定される温度の差(別言すると、オゾンと触媒との反応により上昇した温度))との経時変化を示すグラフである。図15中、符号「X1」は、上記オゾン濃度を示し、符号「Y1」は、上記温度差を示す。
【0077】
次に、オゾン発生装置35で発生させるオゾンガス中のオゾン濃度を、0g/Nm3の状態から30g/Nm3に切り替えた後、更に、0g/Nm3の状態とし、その後30g/Nm3に切り替えるという操作(以下、「間欠操作」と記す場合がある)を繰り返して行った。このときの紫外線オゾン濃度計37で測定されるオゾン濃度とオゾン濃度計1Fが検知する温度とを時間経過とともに測定した。測定結果を図16に示す。図16は、図11に示すオゾン濃度計1Fにおける、検知温度とオゾン濃度との単位時間毎の変化を示すグラフである。測定結果を図16に示す。図16は、図11に示すオゾン濃度計11Fにおける、温度差(検知部11Fで測定される温度と基準部27で測定される温度の差)とオゾン濃度(紫外線オゾン濃度計37で測定されるオゾン濃度)との経時変化を示すグラフである。図16中、符号「X2」は、上記オゾン濃度を示し、符号「Y2」は、上記温度差を示す。
【0078】
本実施例のオゾン濃度計1Fによれば、図15及び図16に示すように、オゾン濃度の変化に伴って検知温度(温度差)が上昇することが確認された。即ち、本実施例のオゾン濃度計1Fの検知温度に基づいてオゾン濃度の測定が可能であることが確認できた。
【0079】
なお、収納箱47の排出口から排出されたオゾンガス及び流路を分岐させることによって収納箱47内に供給されなかったオゾンガスを、オゾン分解処理塔39に供給してオゾンを分解し無害化させた。
【0080】
(比較例1)
図17に示すオゾン濃度計100は、カオリン及びカロライトからなる検知用球状体51、及び、この検知用球状体51に固定された検知用感知部材7を有する検知部61と、カオリンからなる基準用球状体53、及び、この基準用球状体53に固定された基準用感知部材25を有する基準部63と、検知用感知部材7及び基準用感知部材25が接続された換算器31と、を備えている。
【0081】
図17に示すオゾン濃度計100は、以下のように作製した。まず、カオリン及びカロライトの粉末に水を添加して粘土状にした後、直径5mmの球状に成形し乾燥させて球状体を得た。その後、球状体の中心に向かって延びる直径0.3mmで深さ2.5mmの穴を開け、この穴にアルメル・クロメルからなるK型熱電対(検知用感知部材7)を差し入れて固定した。その後、このK型熱電対(検知用感知部材7)を、直径8mmのベークライト管60内で一次シールして換算器31(検知用換算部兼基準用換算部)に接続した。
【0082】
次に、カオリンの粉末に水を添加して粘土状にした後、直径5mmの球状に成形し乾燥させて球状体を得た。その後、球状体の中心に向かって延びる直径0.3mmで深さ2.5mmの穴を開け、この穴にアルメル・クロメルからなるK型熱電対(基準用感知部材25)を差し入れて固定した。その後、このK型熱電対(基準用感知部材25)を、直径8mmのベークライト管60内で一次シールして、上記検知用感知部材が接続された換算器31に接続した。このようにして、図17に示すオゾン濃度計100を作製した。
【0083】
次に、実施例2で使用したオゾン濃度計評価装置30を用いて、実施例2と同様にして本比較例で作製したオゾン濃度計100の評価を行った。測定(評価)結果を図18に示す。なお、図18は、紫外線オゾン濃度計37で測定されるオゾン濃度と比較例1のオゾン濃度計100が検知する温度差(検知部61で測定される温度と基準部63で測定される温度の差)とを時間経過とともに測定したグラフである。図18中、符号「X3」は、上記オゾン濃度を示し、符号「Y3」は、上記温度差を示す。
【0084】
本比較例のオゾン濃度計100は、図18に示すように、オゾン濃度の変化に伴う検知温度の上昇が十分ではなく、温度上昇の立ち上がりが遅いことが確認された。更に、途中で温度上昇が鈍化するなどの問題が生じていた。即ち、球状表面で触媒との接触による分解反応熱は、触媒層が無機質の多孔質であるため、断熱性があり、熱電対に到達するのに遅れが生じ、逆に、オゾン濃度が減少して、触媒表面での発熱が減少・停止しても、熱電対周辺の温度が低下せず、検出温度が高い状態にあるため、オゾン濃度に対して、検知温度の遅れが生じているものと考えられた。従って、本比較例のオゾン濃度計100は、オゾン濃度に対して、検知温度の上昇・下降の遅れが生じるものと考えられる。なお、図示しないが、上記間欠操作を行う評価についても、オゾン濃度の変化に伴う検知温度の上昇が十分ではなく、温度上昇の立ち上がりが遅いことなどが確認された。
【0085】
実施例1,2及び比較例1から明らかなように、実施例1,2のオゾン濃度計は、比較例1のオゾン濃度計に比べて、オゾン濃度を継続的かつ良好に測定することが可能であることが確認できた。また、実施例1,2のオゾン濃度計は、従来のオゾン濃度計に比べて、構成部品数が少なく簡単な構成からなるものである。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のオゾン濃度計は、オゾン発生装置(オゾナイザー)から発生したオゾンの濃度を測定するための装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,100:オゾン濃度計、3:貫通孔、5A,5B,5C,5D,5E,5F:検知用基材、7:検知用感知部材、11A,11B,11C,11D,11E,11F,61:検知部、13:検知用換算部、15:細線、17:貫通孔形成板、19:重複部分、21:連結部、23:溶接部、25:基準用感知部材、27,63:基準部、29:基準用基材、30:オゾン濃度計評価装置、31:換算器、33:酸素供給源、35:オゾン発生装置、37:紫外線オゾン濃度計、39:オゾン分解処理塔、41:酸素流量計、43:オゾン流量計、45:圧力計、47:収納箱、48a:供給口、48b:排出口、49:オゾン通過配管、51:検知用球状体、53:基準用球状体、60:ベークライト管。
【技術分野】
【0001】
本発明は、オゾン濃度計に関し、更に詳しくは、構成部品数が少なく簡単な構成からなり、オゾン濃度を継続的かつ良好に測定することが可能なオゾン濃度計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水処理施設などでは、オゾンを利用して殺菌・脱色・脱臭が行われている。このようにオゾンは、広い分野で使用されている。そして、オゾンは、空気または酸素を含む原料ガスの無声放電によって発生させることができる。
【0003】
そして、オゾンを生成する装置(オゾン発生装置)は、例えば、円筒状のステンレス鋼(SUS)製の金属管、この金属管の内周部に接合される円筒状のガラス管(誘電体)を備える接地電極管と、この接地電極管の外方に位置する円筒状のステンレス鋼(SUS)製の金属管である高電圧電極管とを備えているものなどを挙げることができる。
【0004】
そして、このようなオゾン発生装置から発生したオゾンの濃度を測定するための方法として、例えば、滴定法や吸光度法などの化学分析法、電極膜や半導体を用いた機器分析法などが知られている。
【0005】
また、オゾンと触媒とを接触させることによって生じるオゾンの分解反応に起因する反応熱を温度センサーにより検知してオゾン濃度を測定する方法や測定装置が知られている。具体的には、オゾン処理剤の充填層と、この充填層に試料ガスを通気する手段と、充填層の温度を測定する手段とを備える測定装置が報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−139141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の測定装置は、構造が複雑であるため高価であった。そのため、簡単な構成からなるものであって、良好にオゾン濃度を測定可能な測定装置(オゾン濃度計)の開発が切望されていた。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、構成部品数が少なく簡単な構成からなり、オゾン濃度を継続的かつ良好に測定することが可能なオゾン濃度計を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下に示す、オゾン濃度計が提供される。
【0010】
[1] 複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の検知用基材、前記検知用基材に担持されたオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒、及び、前記検知用基材に固定され、前記検知用基材の温度を電気的な信号として感知する検知用感知部材を有する検知部と、前記検知用感知部材が接続され、前記検知用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算する検知用換算部と、を備えるオゾン濃度計。
【0011】
[2] 前記検知用基材の複数の前記貫通孔が、細線によって区画形成されており、前記細線の太さが20〜400μmである前記[1]に記載のオゾン濃度計。
【0012】
[3] 前記検知用基材の目開きは、20〜600μmである前記[2]に記載のオゾン濃度計。
【0013】
[4] シート状の前記検知用基材は、その一部が折り重ねられており、折り重ねられることによって重複部分を有する前記[1]〜[3]のいずれかに記載のオゾン濃度計。
【0014】
[5] 前記検知部は、相互に平行に配置された複数の前記検知用基材を有しており、前記検知用感知部材は、複数の前記検知用基材のうちの一つに固定され、隣接する前記検知用基材は、相互に連結されている前記[1]〜[4]のいずれかに記載のオゾン濃度計。
【0015】
[6] 温度を電気的な信号として感知可能な基準用感知部材を有する基準部と、前記基準用感知部材が接続され、前記基準用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算する基準用換算部と、を更に備える前記[1]〜[5]のいずれかに記載のオゾン濃度計。
【0016】
[7] 前記基準部は、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の基準用基材を更に備え、前記基準用感知部材が、前記基準用基材に固定されている前記[6]に記載のオゾン濃度計。
【0017】
[8] 前記検知用基材及び前記基準用基材が、それぞれ、ステンレス鋼からなる前記[6]または[7]に記載のオゾン濃度計。
【発明の効果】
【0018】
本発明のオゾン濃度計によれば、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の検知用基材、この検知用基材に担持されたオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒、及び、検知用基材に固定され、検知用基材の温度を電気的な信号として感知する検知用感知部材を有する検知部と、上記検知用感知部材が接続され、検知用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算する検知用換算部と、を備えるため、オゾンと触媒との反応に起因する温度上昇を算出することができ、オゾン濃度を良好に測定することが可能である。しかも、本発明のオゾン濃度計は、少なくとも上記検知部及び検知用換算部を備えていれば良いため、構成部品数が少なく簡単な構成からなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のオゾン濃度計の一実施形態を模式的に示す平面図である。
【図2】図1に示すオゾン濃度計におけるA方向の矢視図である。
【図3】本発明のオゾン濃度計の他の実施形態における検知用基材を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明のオゾン濃度計の他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【図5】図4に示すオゾン濃度計の検知部におけるB方向の矢視図である。
【図6】本発明のオゾン濃度計の他の実施形態における、オゾン濃度と感知温度との関係を示すグラフである。
【図7】本発明のオゾン濃度計の更に他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図5に対応する図である。
【図8】本発明のオゾン濃度計の更に他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図5に対応する図である。
【図9】本発明のオゾン濃度計の更に他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図5に対応する図である。
【図10】図9に示すオゾン濃度計の検知部におけるC方向の矢視図である。
【図11】本発明のオゾン濃度計の更に他の実施形態を模式的に示す平面図である。
【図12】図11に示すオゾン濃度計の電気回路を模式的に示す回路図である。
【図13】図11に示すオゾン濃度計の動作確認のための装置を示す平面図である。
【図14】図11に示すオゾン濃度計におけるオゾン濃度と温度差(検知部の温度と基準部の温度の差)との関係を示すグラフである。
【図15】供給ガス中のオゾン濃度の経時変化と図11に示すオゾン濃度計で測定される温度差の経時変化を示すグラフである。
【図16】供給ガス中のオゾン濃度の経時変化と図11に示すオゾン濃度計で測定される温度差の経時変化を示すグラフである。
【図17】比較例で使用したオゾン濃度計を模式的に示す平面図である。
【図18】供給ガス中のオゾン濃度の経時変化と図17に示すオゾン濃度計で測定される温度差の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
【0021】
[1]オゾン濃度計:
本発明のオゾン濃度計の一実施形態は、図1に示すオゾン濃度計1Aのように、複数の貫通孔3が形成されたシート状である金属製の検知用基材5A、この検知用基材5Aに担持されてオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒(本実施形態では、オゾンを分解することにより発熱するオゾン分解触媒)、及び、検知用基材5Aに固定され、前記検知用基材5Aの温度を電気的な信号として感知する検知用感知部材7を有する検知部11Aと、検知用感知部材7が接続され、検知用感知部材7で感知された電気的な信号を受信して温度に換算して表示する検知用換算部13と、を備えるものである。このようなオゾン濃度計1Aは、上記検知部11Aと検知用換算部13とからなり、これらによってオゾン濃度を測定することができるため、構成部品数が少なく簡単な構成のものである。そして、検知部11Aを上記構成とすることによってオゾン濃度を継続的かつ良好に測定することが可能である。なお、図1は、本発明のオゾン濃度計の一実施形態を模式的に示す平面図であり、図2は、図1に示すオゾン濃度計1AにおけるA方向の矢視図である。
【0022】
[1−1]検知部:
検知部は、オゾンと反応して熱を発生させる触媒が担持された網目構造を有する金属製の部材(検知用基材)を有しているため、触媒とオゾンとが良好に反応を起こし、生じた熱によって検知用基材が良好に昇温される。更に、検知用基材は、複数の貫通孔が形成されているため、オゾン(オゾンガス)が検知用基材を通過する。そのため、オゾン濃度に比例して、触媒とオゾンとの反応により生じる熱量が大きくなる。そして、検知部は、触媒とオゾンとの反応により生じた熱を、検知用基材に固定されている検知用感知部材によって検知するものである。このような検知部を備えることでオゾン濃度を継続的かつ良好に測定することができる。
【0023】
[1−1−1]検知用基材:
検知用基材は、上述したように、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の部材である。本発明のオゾン濃度計は、このような簡単な構造の部材(検知用基材)を用いるものであるため、従来のオゾン濃度計に比べて製造にかかる費用が低廉であるという利点がある。
【0024】
検知用基材は、複数の貫通孔が形成されたシート状であればよく、例えば、図1に示すオゾン濃度計1Aの検知用基材5Aのように、複数の貫通孔3が、細線15によって区画形成されることによって形成されたもの(以下、「網状の部材」と記す場合がある)を挙げることができる。また、検知用基材としては、例えば、シート状の金属(金属板)を、複数の貫通孔3が形成されるように打ち抜くことによって形成されたもの(貫通孔形成板17(図3参照))などを挙げることができる。図3は、本発明のオゾン濃度計の他の実施形態における検知用基材(貫通孔形成板17)を模式的に示す平面図である。
【0025】
なお、検知用基材が網状の部材である場合、細線の太さ(線径)は、20〜400μmであることが好ましく、70〜300μmであることが更に好ましく、100〜200μmであることが特に好ましい。上記細線の太さが20μm未満であると、耐久性が劣るおそれがある。また、強度が弱く、外部からの振動などにより、担持された触媒が脱落するおそれがある。一方、400μm超であると、オゾンと触媒との反応により生じた熱が検知用感知部材に伝わるまでの時間が長く、かつ熱容量が多くなるため、良好なオゾン濃度測定が困難になるおそれがある。また、線径が太すぎると加工性が悪くなるため、形状を維持することが難しくなるおそれがある。具体的には、細線が縦横に配置されて構成される網状の部材(網状の検知用基材)(即ち、縦横の細線によって織られたもの)は、通常、縦横の細線の交点は結合されていない。そのため、線径が太すぎると、細線同士の絡み力が低下して解れが生じることがある。従って、細線が脱落して網目形状を維持することが難しくなるおそれがある。
【0026】
また、検知用基材が網状の部材である場合、検知用基材の目開きは、1000μm以下であることが好ましく、100〜500μmであることが更に好ましい。上記目開きが1000μm超であると、検知用基材の表面での密着性が低下するため、触媒が脱落するおそれがある。
【0027】
上記目開きが100〜500μmであると、検知用基材を通過するオゾンガスの量が適当になり、オゾン濃度を良好に測定することができる。上記目開きが100μm未満であると、検知用基材を通過するオゾンガスの量が少なくなるため、オゾン濃度を良好に測定することが困難になるおそれがある。また、網目両側における細線と触媒との結合力が小さくなり、付着強度が低下するため、触媒が落下するおそれがある。一方、500μm超であると、検知用基材の表面での密着性が低下するため、触媒が脱落するおそれがある。具体的には、触媒は細線の表面を包み込むように一体化することにより細線に付着しているが、網目が大きくなる(目開きが大きくなる)と、触媒同士の結合割合に比べて細線との接触面が増加するため、触媒が細線に保持され難くなり脱落するおそれがある。
【0028】
ここで、「目開き」とは、検知用基材に形成された複数の貫通孔の平均的な大きさを表すものであり、本実施形態における「目開き」は、網状の部材の網目を形成する細線間の平均的な距離をいう。
【0029】
検知用基材は、シート状のものであり、その厚さD(図2参照)、即ち、本実施形態における網状の部材(網状の検知用基材)の厚さは、具体的には、50〜800μmであることが好ましく、100〜650μmであることが更に好ましく、200〜400μmであることが特に好ましい。上記厚さが50μm未満であると、薄過ぎるため、耐久性が劣るおそれがある。また、強度が弱く、外部からの振動などにより、触媒が脱落するおそれがある。一方、800μm超であると、オゾンと触媒との反応により生じた熱が検知用感知部材に伝わるまでの時間が長く、また熱容量が多くなるため、良好なオゾン濃度の測定が困難になるおそれがある。また、線径が太すぎると加工性が悪くなるため、形状を維持することが難しくなる。
【0030】
検知用基材の材料としては、金属であれば特に制限はないが、例えば、ステンレス鋼(SUS)、鉄、ニッケルなどを挙げることができる。これらの中でも、オゾンや酸に対して耐久性があるため、ステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼としては、具体的には、SUS304、SUS316などを挙げることができる。
【0031】
検知用基材はシート状であればよく、そのシートの形状は特に制限されず、図1に示すような長方形以外に、正方形、円形、楕円形、三角形、多角形などを挙げることができる。
【0032】
検知用基材の大きさは、例えば図1に示すような長方形の場合、縦H(図1参照)0.5〜20mm、横L(図1参照)0.5〜20mmとすることができる。
【0033】
シート状の検知用基材は、その一部が折り重ねられており、折り重ねられることによって重複部分を有することが好ましい。このように重複部分を有することによって(具体的には、重複部分に検知用感知部材7の先端部が配置されることによって)、図1及び図2に示すような平面状である場合に比べて、熱の発生源(即ち、オゾンと触媒との反応によって熱が生じる部分)が検知用感知部材7の先端部付近に存在し、かつ、オゾン(オゾンガス(オゾンを含むガス))が検知用感知部材7の先端部(溶接により溶接部が形成される場合には溶接部)に直接的に当たらないため、ガスの流れに起因する温度変動が小さい。そのため、オゾン濃度をより正確に(良好に)測定することができる。また、オゾンとの接触部分をコンパクトにしながらも、十分なオゾンとの接触範囲を確保できる。
【0034】
ここで、図4及び図5に示す検知部11Bの検知用基材5Bは、その全部が折り重ねられており、折り重ねられることによって重複部分19を有する例である。具体的には、長方形状の網状の部材の一方の端部側の部分を、上記網状の部材の一方の面側に折り曲げ、他方の端部側の部分を上記網状の部材の他方の面側に折り曲げて、平板状の部材を三つ折にする(Z字状に折る)ことによって重複部分19が形成されている例である。なお、図4は、本発明のオゾン濃度計の他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図5は、図4に示すオゾン濃度計1Bの検知部11BにおけるB方向の矢視図である。
【0035】
図6は、図4及び図5に示す検知部11Bを備えるオゾン濃度計1Bにおける、オゾン濃度と感知温度との関係を示すグラフである。図6に示すように、図4及び図5に示す検知部11Bを備えるオゾン濃度計1Bは、オゾン濃度計として良好に使用することができることが確認できた。なお、図6では、2度測定した場合を示している。
【0036】
折り重ねて得られる検知用基材の形状は、図5に示すようなZ字状に限定されず、例えば、S字状(図7参照)、V字状、平行層状などとすることができる。折り重ねて得られる検知用基材の形状としては、形成が容易であり、オゾン濃度をより良好に測定することができるという観点から、Z字状であることが好ましい。図7は、本発明のオゾン濃度計の更に他の実施形態を模式的に示す平面図であり、図5に対応する図である。図7に示すように、オゾン濃度計1Cは、S字状に折り曲げられた検知用基材5Cを有する検知部11Cを備えている例である。なお、図7中において検知用換算部は図示していない。
【0037】
検知部は、複数の検知用基材を有するものであってもよい。そして、複数の検知用基材を有する場合には、各検知用基材は、熱が伝わる状態で互いに連結されていることが好ましい。
【0038】
例えば、図8は、2枚の検知用基材5D,5Dを有する検知部11Dを有するオゾン濃度計1Dを示す例である。図8に示す検知部11Dは、断面円弧状の検知用基材5D,5Dを2枚有し、これらの2枚の検知用基材5D,5Dは、凸状の頂点部分で互いに溶接により固定されている。そして、検知用感知部材7が、2枚の検知用基材5D,5Dの凸状の頂点部分で溶接されている。このような検知部11Dを有するオゾン濃度計1Dは、作製が容易であり、図1に示すような平面状の検知部11Aを用いる場合に比べて、重複部分を有する場合と同様の理由から、オゾン濃度をより正確に(良好に)測定することができる。なお、図8に示す検知部11Dは、断面円弧状の検知用基材を有しているが、検知用基材の形状は特に制限はなく、例えば、断面V字状、断面U字状、断面コ字状などであってもよい。
【0039】
また、複数の検知用基材を有するものである場合、検知部は、相互に平行に配置された複数の検知用基材を有しており、検知用感知部材は、複数の検知用基材のうちの一つに固定され、隣接する検知用基材は、相互に連結されていることが好ましい。別言すれば、検知部は、相互に平行に配置された複数の検知用基材、及び、これらの複数の検知用基材のうちの隣接する検知用基材を連結する熱伝導性の連結部を有しており、検知用感知部材が、複数の検知用基材のうちの一つに固定されているものであることが好ましい。このような検知部を用いれば、図1に示すような平面状の検知部11Aを用いる場合に比べて、熱の発生源(即ち、オゾンと触媒との反応によって熱が生じる部分)が検知用感知部材7の先端部付近に存在し、かつ、オゾン(オゾンガス(オゾンを含むガス))が検知用感知部材7の先端部(溶接により溶接部が形成される場合には溶接部)に直接的に当たらないため、ガスの流れに起因する温度変動が小さい。そのため、オゾン濃度をより正確に(良好に)測定することができる。また、オゾンとの接触部分をコンパクトにしながらも、十分なオゾンとの接触範囲を確保できる。
【0040】
例えば図9及び図10に示す検知部11Eは、相互に平行に配置された3つの検知用基材5Eを有している例である。そして、図9及び図10に示す検知部11Eは、検知用感知部材7が、3つの検知用基材5Eのうちの中央の検知用基材5E(検知用基材5e)に固定されている。更に、3つの検知用基材5Eは、隣接する検知用基材5E同士が棒状の2つの連結部21によって相互に連結されている。図9及び図10に示すオゾン濃度計1Eは、検知用基材5eの両側に位置する検知用基材5Eで生じた熱が連結部21によって検知用基材5eに伝達され、その熱量がオゾン濃度に換算されるものである。なお、図9及び図10には、検知用換算部は図示していない。
【0041】
複数の検知用基材5Eを平行に配置する場合、各検知用基材5Eの間の距離K(図9参照)は、特に制限はないが、0.1〜1mmであることが好ましい。上記距離Kが0.1mm未満であると、各検知用基材5Eが近接しすぎるため、複数の検知用基材5Eを有する効果が得られ難くなる(オゾン濃度をより正確に(良好に)測定することが困難になる)おそれがある。一方、1mm超であると、上記距離Kが大きくなりすぎる(即ち、隙間が大きく開きすぎる)ため、触媒とオゾンとの反応によって生じた熱が伝わり難くなりオゾン濃度を正確に測定することが困難になるおそれがある。
【0042】
連結部21の材料としては、熱を伝達可能なものである限り特に制限はないが、検知用基材5Eと同様の材料(具体的には、ステンレス鋼やニッケルなど)などを用いることができる。連結部21の形状や大きさは、特に制限はないが、例えば、円柱状、四角柱状、三角柱状、多角柱状などの形状を挙げることができ、円柱状である場合、端面の直径が1〜10mmであり、中心軸方向の長さが1〜20mmであることが好ましい。
【0043】
[1−1−2]触媒:
触媒は、オゾンに接触することにより熱を発生させるものである限り特に制限はない。例えば、オゾンにより発熱するオゾン分解触媒、ニッケル、マンガン、銅、白金、パラジウム、鉄、コバルト、銀等の金属や、上記金属の酸化物(具体的には、酸化マンガン、酸化鉄)を含有するものなどを挙げることができる。これらの中でも、オゾンを酸素に良好に分解し、分解反応における反応熱の発生が良好であるため、酸化マンガンを含有するものが好ましく、酸化銅を含む酸化マンガン(カロライト)が更に好ましい。
【0044】
触媒は、検知用基材の表面に、付着厚さとして20〜500μmとなるような層(触媒層)を形成していることが好ましく、50〜300μmとなるような層を形成していることが更に好ましい。上記触媒層の厚さが20μm未満であると、オゾンと触媒との反応が十分に起こらずに、オゾン濃度を正確に測定することが困難になるおそれがある。一方、500μm超であると、検知用基材と触媒(触媒層)との密着力(または触媒が検知用基材に付着する力(付着力))が低下するため、触媒層が脱落するおそれがある。即ち、触媒層はスラリー状の触媒を塗布することによって形成することができるが、スラリー状の触媒が塗布後に乾燥することに伴って触媒に割れ等が生じるため、触媒層が脱落するおそれがある。
【0045】
なお、触媒は、検知用基材の少なくとも一部に担持されていればよく、検知用基材の両面の全部に担持されることが好ましいが、検知用感知部材が固定される部分には担持されなくてもよい。例えば、溶接により固定する場合、溶接によって形成された溶接部23(例えば図1参照)の表面上に触媒が担持されてもよい。このように溶接部23(検知用感知部材が固定される部分)上にも触媒を担持させると、溶接部23上(即ち、検知用感知部材7の直上)においてもオゾンと触媒との反応が起こり、熱が発生するため、オゾン濃度をより正確に測定することができる。
【0046】
[1−1−3]検知用感知部材:
検知用感知部材は、検知用基材に固定されており、検知用基材の温度を電気的な信号として感知することが可能なものであり、電気的な信号とは、例えば、電圧の変化、抵抗値の変化などのことをいう。検知用感知部材を検知用基材に固定する方法としては、本発明の効果を奏する限り特に制限はなく、溶接、半田付けなどを挙げることができる。更に、熱の伝導率、検知用基材を固定するための接着力、触媒を担持させることに不具合が生じなければ、接着剤を使用する方法(接着)なども採用することができる。
【0047】
溶接としては、例えば、スポット溶接、アーク溶接、トーチ溶接などの方法を挙げることができる。上記溶接において、熱の伝導性が良好になるという観点から、検知用感知部材が検知用基材に接触した状態で固定することが好ましい。接着に用いることができる接着剤としては、耐オゾン性を有するものであれば特に制限はないが、例えば、銀ペーストなどを用いることができる。
【0048】
検知用感知部材を検知用基材に固定する位置(溶接する場合の溶接部の位置)は、特に制限はないが、例えば、検知用基材の重心部分であることが好ましい。このような位置であると、より正確なオゾン濃度測定が可能になる。溶接する場合、溶接部の表面積は、具体的には0.3〜5mm2とすることができる。
【0049】
検知用感知部材としては、具体的には、熱電対、白金抵抗型測温センサー、サーミスターなどを用いることができる。
【0050】
[1−2]検知用換算部:
検知用換算部は、検知用感知部材が接続され、検知用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算するものである。即ち、上記検知用感知部材が検知用基材の温度を電気的な信号として感知した後、この電気的な信号が検知用換算部に伝達される。そのため、検知用換算部は、上記電気的な信号を受信し、温度に換算することができる。このような検知用換算部によって得られる(換算される)温度からオゾン濃度を算出することができる。検知用換算部としては、換算された温度を表示する表示部を有していてもよい。
【0051】
検知用換算部としては、具体的には、富士電機社製の「PXR4(型番)」などの温度調節機などを用いることができる。
【0052】
[1−3]基準部:
本発明のオゾン濃度計は、図11に示すオゾン濃度計1Fのように、温度を電気的な信号として感知可能な基準用感知部材25を有する基準部27を更に備えることが好ましい。このような基準部27を更に備えることによって、更に正確なオゾン濃度の測定ができる。即ち、基準部27の基準用感知部材25によってオゾン(オゾンガス)が本来有している温度(即ち、検知用基材5Aにおいて昇温される前の温度)を直接的または間接的に測定し、オゾンガスに由来する検知用基材5Fの温度上昇分を差し引くことによって更に正確なオゾン濃度の測定ができる。なお、基準用感知部材25としては、上述した検知用感知部材と同様のものを用いることができる。基準用感知部材25を検知用感知部材5Fと同様の大きさ、形状、材質とすることにより、両部材(基準用感知部材25,検知用感知部材5F)の形状等による計測誤差を排除しやすくなる。ただし、基準用感知部材25にはオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒は担持させない。オゾンガスの温度を間接的に測定する場合とは、下記基準用基材を用いる場合が該当する。即ち、基準用感知部材25によって下記基準用基材の温度を測定し、測定された値をオゾンガスの温度とする場合である。
【0053】
[1−3−1]基準用基材:
本発明のオゾン濃度計は、図11に示すオゾン濃度計1Fのように、基準部27が、複数の貫通孔3が形成されたシート状である金属製の基準用基材29を更に備え、上記基準用感知部材25が、基準用基材29に固定されているものであることが好ましい。この基準用基材を用いることによって、より広範囲に存在するオゾンガスの温度を測定することができるため、測定値がより正確になるという利点がある。固定方法としては、検知用感知部材を検知用基材に固定する方法と同様に、例えば、溶接、半田付け、接着剤を用いる方法などを挙げることができる。
【0054】
基準用基材としては、上述した検知用基材と同様に熱伝導率が良好なものを用いることができる。即ち、例えば基準用基材の材料としては、ステンレス鋼やニッケルなどを挙げることができる。これらの中でも、オゾンや酸に対して耐久性に優れるため、ステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼としては、具体的には、SUS304、SUS316などを挙げることができる。
【0055】
そして、検知用基材及び基準用基材は、同じ材料からなるものであることが好ましく、ステンレス鋼からなるものであることが更に好ましい。このように、検知用基材及び基準用基材を同じ材料からなるものとすることによって、オゾンガスに由来する温度を正確に差し引くことができるため、オゾン濃度をより正確に測定することができる。
【0056】
[1−4]基準用換算部:
本発明のオゾン濃度計は、上述したように、基準用感知部材が接続され、この基準用感知部材で感知された電気的な変化を受信して温度に換算する基準用換算部を更に備えることが好ましく、この基準用換算部は、図11に示すオゾン濃度計1Fのように、検知用換算部と一体化されたもの(換算器31)であることが更に好ましい。即ち、1台の換算器が、検知用換算部と基準用換算部との機能を兼ねることが好ましい。このように検知用換算部と基準用換算部との機能を1台の換算器によって担わせることによって、オゾン濃度計を小さくすることができる。
【0057】
なお、個別の換算器(2つの換算器)を検知用換算部及び基準用換算部としてそれぞれ用いる場合、基準用換算部は、上述した検知用換算部と同様のものを用いることができる。
【0058】
基準部及び基準用換算部を更に有するオゾン濃度計は、基準部の基準用感知部材がオゾンガス(雰囲気ガス)の温度(更に基準用基材を備える場合には、基準用基材の温度)を電気的な信号として感知した後、この電気的な信号を基準用換算部に伝達する。そして、基準用換算部が、電気的な信号を受信して温度に換算する。なお、基準用換算部は、換算された温度を表示する表示部を有していてもよい。
【0059】
[2]オゾン濃度計の製造方法:
本発明のオゾン濃度計は、例えば以下のように製造することができる。
【0060】
まず、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の部材(検知用基材)を用意し、その中央部に検知用感知部材をスポット溶接する。次に、オゾンを分解可能な触媒を有するスラリーを調製した後、上記検知用基材の全部を上記スラリーに浸けることによって検知用基材の表面にスラリーを塗工する。その後、検知用基材の表面上に塗工されたスラリーを乾燥させて、触媒が担持された検知用基材を得る。このようにして、検知部を得る。次に、検知用感知部材で生じる電気的な変化を受信して温度に換算可能な換算器(検知用換算部)を用意し、この検知用換算部に得られた検知部の検知用感知部材を接続する。このようにして、図1に示すようなオゾン濃度計1Aを製造することができる。
【0061】
なお、必要に応じて、触媒が担持された検知用基材を得た後、検知用基材の少なくとも一部を折り重ねる(例えば、Z字状に形成する)こともできる。
【0062】
また、以下のように製造することもできる。まず、上述した製造方法と同様にして検知部を得る。次に、検知用感知部材で生じる電気的な変化を受信して温度に換算可能な換算器(検知用換算部兼基準用換算部)を用意し、この換算器に、得られた検知部の検知用感知部材を接続する。次に、検知用基材と同じものである、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の部材(基準用基材)を用意する。次に、基準用基材の中央部に基準用感知部材をスポット溶接する。このようにして、基準部を得る。その後、上記換算器に、得られた基準部の基準用感知部材を接続する。このようにして、図11に示すようなオゾン濃度計1Fを製造することができる。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0064】
(実施例1)
図1に示すオゾン濃度計1Aは、平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、縦4mm×横4mm、厚さ400μm))からなる検知用基材5A、この検知用基材5Aの表面に担持された触媒、及び、触媒が担持された検知用基材5Aに連結された検知用感知部材7を有する検知部11Aと、検知用感知部材7が接続され、検知用感知部材7で生じる電気的な信号を受信して温度に換算する検知用換算部13と、を備えているものである。
【0065】
本実施例においては、図1に示すオゾン濃度計1Aを作製した。まず、縦4mm×横4mmの平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、厚さ630μm))を用意した。次に、SUS304の重心部分にアルメル・クロメルからなるK型熱電対(検知用感知部材7)の先端部をスポット溶接した(直径0.32mmの溶接部23を形成した)。次に、上記SUS304に酸化マンガン系触媒(カロライト(酸化マンガン−酸化銅系触媒))を塗布して上記触媒を担持させた。その後、K型熱電対(検知用感知部材7)を、直径8mmのベークライト管60内で一次シールし、換算器31(検知用換算部13)(富士電機社製の「PXR4(型番)」)に接続した。このようにして、図1に示すようなオゾン濃度計1Aを作製した。
【0066】
作製したオゾン濃度計1Aについてオゾン濃度の検知性能を評価した。具体的には、まず、オゾン濃度0g/Nm3のガスを上記オゾン濃度計1Aに供給した。その後、順次オゾン濃度を高くして最終的にオゾン濃度40g/Nm3のガス(オゾンガス)を上記オゾン濃度計1Aに供給し、その後、オゾン濃度0g/Nm3のガスを供給した。そして、この操作を繰り返した。
【0067】
上記操作を繰り返した結果、図6に示すように、本実施例のオゾン濃度計1Aは、オゾン濃度と検知温度との間に比例関係があることが確認された。また、オゾン濃度0〜40g/Nm3において、オゾン濃度と検知温度との間には安定した再現性があることが確認された。従って、本実施例のオゾン濃度計1Aは、オゾン濃度0〜40g/Nm3のガスであれば、オゾンの濃度を良好に測定することが確認できた。図6は、上記操作を繰り返した際におけるオゾン濃度と検知温度の関係を示すグラフである。
【0068】
(実施例2)
図11に示すオゾン濃度計1Fは、平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、縦4mm×横12mm、厚さ630μm))を前後に三つ折り(Z字状)にした検知用基材5F、この検知用基材5Fの表面に担持された触媒、及び、検知用基材5Fにスポット溶接された検知用感知部材7を有する検知部11Fと、平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、縦4mm×横12mm、厚さ630μm))を前後に三つ折り(Z字状)にした基準用基材29、及び、この基準用基材29にスポット溶接された基準用感知部材25を有する基準部27と、検知用感知部材7及び基準用感知部材25が接続され、検知用感知部材7及び基準用感知部材25で得られる電気的な変化を温度に換算する換算器31(検知用換算部兼基準用換算部)と、を備えている。
【0069】
本実施例においては図11に示すオゾン濃度計1Fを作製した。まず、縦4mm×横12mmの平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、厚さ630μm))を用意した。次に、SUS304の重心部分にアルメル・クロメルからなるK型熱電対(検知用感知部材7)の先端部を直径0.32mmでスポット溶接した(直径0.32mmの溶接部23を形成した)。次に、上記SUS304を前後に三つ折り(Z字状)にした。その後、カオリン及び酸化マンガン触媒(カロライト)の粉末に水を添加して得られたスラリーを三つ折りにしたステンレス鋼(SUS304)に塗布して上記カオリン及び酸化マンガン触媒を担持させた。このようにして、検知部11Fを作製した。その後、この検知部11FのK熱型電対を、直径8mmのベークライト管60内で一次シールして換算器31に接続した。
【0070】
次に、縦4mm×横12mmの平板状のステンレス鋼(SUS304(目開き500μm、厚さ630μm))を用意した。次に、上記SUS304の重心部分にアルメル・クロメルからなるK型熱電対(基準用感知部材25)の先端部を直径0.32mmでスポット溶接した(直径0.32mmの溶接部23を形成した)。次に、SUS304を前後に三つ折り(Z字状)にした。このようにして、基準部27を作製した。その後、この基準部27のK型熱電対(基準用感知部材25)を、直径8mmのベークライト管60内で一次シールして、上記検知部11Fを接続したものと同じ換算器31に接続した。
【0071】
以上のようにして、図11に示すようなオゾン濃度計1Fを作製した。図12は、図11に示すオゾン濃度計1Fの電気回路を模式的に示す回路図である。このような電気回路とすることにより、オゾンと触媒との反応により生じた熱に起因する温度上昇を良好に測定することができる。具体的には、検知部11Fで生じる起電力から基準部27で生じる起電力を差し引いて得られる値を、オゾンと触媒との反応により生じた熱として温度に換算するため、オゾン(オゾンガス)が本来有している熱(温度)に起因する誤差などの影響を排除することができる。そのため、オゾン濃度をより正確に測定することができる。
【0072】
本実施例のオゾン濃度計1Fは、図14に示すように、オゾン濃度と検知温度との間に比例関係があることが確認された。また、オゾン濃度5〜50g/Nm3において、オゾン濃度と検知温度との間には安定した再現性があることが確認された。従って、オゾン濃度5〜50g/Nm3のガスであれば、オゾンの濃度を良好に測定することが確認できた。
【0073】
次に、図13に示すオゾン濃度計評価装置30を用いて、本実施例で作製したオゾン濃度計1Fの評価を行った。オゾン濃度計評価装置30は、図13に示すように、純度98%以上の酸素が充填された酸素供給源33と、オゾン発生装置35(小型オゾナイザ:メタウォーター社製の「プリティ」(オゾン発生量能力1g/時間))と、紫外線オゾン濃度計37(エバラ社製(型番)「Model−600」)と、カロライトを有するオゾン分解処理塔39と、を備えている。更に、酸素供給源33とオゾン発生装置35との間に配置された酸素流量計41と、紫外線オゾン濃度計37と本実施例のオゾン濃度計1Fとの間に並列に配置された2つのオゾン流量計43と、オゾン発生装置35と紫外線オゾン濃度計37との間には圧力計45と、を備えている。なお、本実施例のオゾン濃度計1Fは、オゾンガスの供給口48aと排出口48bが形成された収納箱47の内部に収納されている。具体的には、収納箱47には、オゾンガスの供給口48aと排出口48bとを連通するオゾン通過配管49が配設されている。そして、このオゾン通過配管49の流路中に、オゾン濃度計1Fの検知部11F(特にSUS304)及び基準部27(特にSUS304)が位置するように配置した。
【0074】
オゾン濃度計評価装置30を用いたオゾン濃度計1Fの評価は、具体的には、以下のようにして行った。まず、酸素供給源33からオゾン発生装置35に酸素を2L/分の流量で供給した。そして、供給された酸素を原料にしてオゾン発生装置35においてオゾンガスを発生させた(発生量:1g/時間、流量:1L/分)。なお、発生させたオゾンガスの濃度は、紫外線オゾン濃度計37でも測定した。その後、オゾンガスの流量を調整する(0.5L/分とする)ため2つの経路に分岐させることによって0.5L/分の流量でオゾンガスをオゾン濃度計1が収納された収納箱47内に供給した。
【0075】
上記状態において、オゾン発生装置35で発生させるオゾンガス中のオゾン濃度を、0g/Nm3の状態から30g/Nm3に切り替えたときにおける、紫外線オゾン濃度計37で測定されるオゾン濃度(供給ガス中のオゾン濃度)とオゾン濃度計1Fが検知する温度差とを時間経過とともに測定した。
【0076】
図15は、紫外線オゾン濃度計37で測定されるオゾン濃度(供給ガス中のオゾン濃度)と本実施例(実施例2)のオゾン濃度計1Fが検知する温度(検知部11Fで測定される温度と基準部27で測定される温度の差(別言すると、オゾンと触媒との反応により上昇した温度))との経時変化を示すグラフである。図15中、符号「X1」は、上記オゾン濃度を示し、符号「Y1」は、上記温度差を示す。
【0077】
次に、オゾン発生装置35で発生させるオゾンガス中のオゾン濃度を、0g/Nm3の状態から30g/Nm3に切り替えた後、更に、0g/Nm3の状態とし、その後30g/Nm3に切り替えるという操作(以下、「間欠操作」と記す場合がある)を繰り返して行った。このときの紫外線オゾン濃度計37で測定されるオゾン濃度とオゾン濃度計1Fが検知する温度とを時間経過とともに測定した。測定結果を図16に示す。図16は、図11に示すオゾン濃度計1Fにおける、検知温度とオゾン濃度との単位時間毎の変化を示すグラフである。測定結果を図16に示す。図16は、図11に示すオゾン濃度計11Fにおける、温度差(検知部11Fで測定される温度と基準部27で測定される温度の差)とオゾン濃度(紫外線オゾン濃度計37で測定されるオゾン濃度)との経時変化を示すグラフである。図16中、符号「X2」は、上記オゾン濃度を示し、符号「Y2」は、上記温度差を示す。
【0078】
本実施例のオゾン濃度計1Fによれば、図15及び図16に示すように、オゾン濃度の変化に伴って検知温度(温度差)が上昇することが確認された。即ち、本実施例のオゾン濃度計1Fの検知温度に基づいてオゾン濃度の測定が可能であることが確認できた。
【0079】
なお、収納箱47の排出口から排出されたオゾンガス及び流路を分岐させることによって収納箱47内に供給されなかったオゾンガスを、オゾン分解処理塔39に供給してオゾンを分解し無害化させた。
【0080】
(比較例1)
図17に示すオゾン濃度計100は、カオリン及びカロライトからなる検知用球状体51、及び、この検知用球状体51に固定された検知用感知部材7を有する検知部61と、カオリンからなる基準用球状体53、及び、この基準用球状体53に固定された基準用感知部材25を有する基準部63と、検知用感知部材7及び基準用感知部材25が接続された換算器31と、を備えている。
【0081】
図17に示すオゾン濃度計100は、以下のように作製した。まず、カオリン及びカロライトの粉末に水を添加して粘土状にした後、直径5mmの球状に成形し乾燥させて球状体を得た。その後、球状体の中心に向かって延びる直径0.3mmで深さ2.5mmの穴を開け、この穴にアルメル・クロメルからなるK型熱電対(検知用感知部材7)を差し入れて固定した。その後、このK型熱電対(検知用感知部材7)を、直径8mmのベークライト管60内で一次シールして換算器31(検知用換算部兼基準用換算部)に接続した。
【0082】
次に、カオリンの粉末に水を添加して粘土状にした後、直径5mmの球状に成形し乾燥させて球状体を得た。その後、球状体の中心に向かって延びる直径0.3mmで深さ2.5mmの穴を開け、この穴にアルメル・クロメルからなるK型熱電対(基準用感知部材25)を差し入れて固定した。その後、このK型熱電対(基準用感知部材25)を、直径8mmのベークライト管60内で一次シールして、上記検知用感知部材が接続された換算器31に接続した。このようにして、図17に示すオゾン濃度計100を作製した。
【0083】
次に、実施例2で使用したオゾン濃度計評価装置30を用いて、実施例2と同様にして本比較例で作製したオゾン濃度計100の評価を行った。測定(評価)結果を図18に示す。なお、図18は、紫外線オゾン濃度計37で測定されるオゾン濃度と比較例1のオゾン濃度計100が検知する温度差(検知部61で測定される温度と基準部63で測定される温度の差)とを時間経過とともに測定したグラフである。図18中、符号「X3」は、上記オゾン濃度を示し、符号「Y3」は、上記温度差を示す。
【0084】
本比較例のオゾン濃度計100は、図18に示すように、オゾン濃度の変化に伴う検知温度の上昇が十分ではなく、温度上昇の立ち上がりが遅いことが確認された。更に、途中で温度上昇が鈍化するなどの問題が生じていた。即ち、球状表面で触媒との接触による分解反応熱は、触媒層が無機質の多孔質であるため、断熱性があり、熱電対に到達するのに遅れが生じ、逆に、オゾン濃度が減少して、触媒表面での発熱が減少・停止しても、熱電対周辺の温度が低下せず、検出温度が高い状態にあるため、オゾン濃度に対して、検知温度の遅れが生じているものと考えられた。従って、本比較例のオゾン濃度計100は、オゾン濃度に対して、検知温度の上昇・下降の遅れが生じるものと考えられる。なお、図示しないが、上記間欠操作を行う評価についても、オゾン濃度の変化に伴う検知温度の上昇が十分ではなく、温度上昇の立ち上がりが遅いことなどが確認された。
【0085】
実施例1,2及び比較例1から明らかなように、実施例1,2のオゾン濃度計は、比較例1のオゾン濃度計に比べて、オゾン濃度を継続的かつ良好に測定することが可能であることが確認できた。また、実施例1,2のオゾン濃度計は、従来のオゾン濃度計に比べて、構成部品数が少なく簡単な構成からなるものである。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明のオゾン濃度計は、オゾン発生装置(オゾナイザー)から発生したオゾンの濃度を測定するための装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
1A,1B,1C,1D,1E,1F,100:オゾン濃度計、3:貫通孔、5A,5B,5C,5D,5E,5F:検知用基材、7:検知用感知部材、11A,11B,11C,11D,11E,11F,61:検知部、13:検知用換算部、15:細線、17:貫通孔形成板、19:重複部分、21:連結部、23:溶接部、25:基準用感知部材、27,63:基準部、29:基準用基材、30:オゾン濃度計評価装置、31:換算器、33:酸素供給源、35:オゾン発生装置、37:紫外線オゾン濃度計、39:オゾン分解処理塔、41:酸素流量計、43:オゾン流量計、45:圧力計、47:収納箱、48a:供給口、48b:排出口、49:オゾン通過配管、51:検知用球状体、53:基準用球状体、60:ベークライト管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の検知用基材、前記検知用基材に担持されたオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒、及び、前記検知用基材に固定され、前記検知用基材の温度を電気的な信号として感知する検知用感知部材を有する検知部と、
前記検知用感知部材が接続され、前記検知用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算する検知用換算部と、を備えるオゾン濃度計。
【請求項2】
前記検知用基材の複数の前記貫通孔が、細線によって区画形成されており、前記細線の太さが20〜400μmである請求項1に記載のオゾン濃度計。
【請求項3】
前記検知用基材の目開きは、20〜600μmである請求項2に記載のオゾン濃度計。
【請求項4】
シート状の前記検知用基材は、その一部が折り重ねられており、折り重ねられることによって重複部分を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のオゾン濃度計。
【請求項5】
前記検知部は、相互に平行に配置された複数の前記検知用基材を有しており、
前記検知用感知部材は、複数の前記検知用基材のうちの一つに固定され、隣接する前記検知用基材は、相互に連結されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のオゾン濃度計。
【請求項6】
温度を電気的な信号として感知可能な基準用感知部材を有する基準部と、
前記基準用感知部材が接続され、前記基準用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算する基準用換算部と、を更に備える請求項1〜5のいずれか一項に記載のオゾン濃度計。
【請求項7】
前記基準部は、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の基準用基材を更に備え、
前記基準用感知部材が、前記基準用基材に固定されている請求項6に記載のオゾン濃度計。
【請求項8】
前記検知用基材及び前記基準用基材が、それぞれ、ステンレス鋼からなる請求項6または7に記載のオゾン濃度計。
【請求項1】
複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の検知用基材、前記検知用基材に担持されたオゾンと接触することにより熱を発生させる触媒、及び、前記検知用基材に固定され、前記検知用基材の温度を電気的な信号として感知する検知用感知部材を有する検知部と、
前記検知用感知部材が接続され、前記検知用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算する検知用換算部と、を備えるオゾン濃度計。
【請求項2】
前記検知用基材の複数の前記貫通孔が、細線によって区画形成されており、前記細線の太さが20〜400μmである請求項1に記載のオゾン濃度計。
【請求項3】
前記検知用基材の目開きは、20〜600μmである請求項2に記載のオゾン濃度計。
【請求項4】
シート状の前記検知用基材は、その一部が折り重ねられており、折り重ねられることによって重複部分を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のオゾン濃度計。
【請求項5】
前記検知部は、相互に平行に配置された複数の前記検知用基材を有しており、
前記検知用感知部材は、複数の前記検知用基材のうちの一つに固定され、隣接する前記検知用基材は、相互に連結されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のオゾン濃度計。
【請求項6】
温度を電気的な信号として感知可能な基準用感知部材を有する基準部と、
前記基準用感知部材が接続され、前記基準用感知部材で感知された電気的な信号を受信して温度に換算する基準用換算部と、を更に備える請求項1〜5のいずれか一項に記載のオゾン濃度計。
【請求項7】
前記基準部は、複数の貫通孔が形成されたシート状である金属製の基準用基材を更に備え、
前記基準用感知部材が、前記基準用基材に固定されている請求項6に記載のオゾン濃度計。
【請求項8】
前記検知用基材及び前記基準用基材が、それぞれ、ステンレス鋼からなる請求項6または7に記載のオゾン濃度計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−208955(P2011−208955A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74006(P2010−74006)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
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