説明

オゾン発生装置

【課題】冷却効率の低下が生じないオゾン発生装置を提供する。
【解決手段】オゾン発生管1と、冷却液のエアーを抜くための上側開口21を有し、オゾン発生管1を両端突出状態で収容し、冷却水Aによりオゾン発生管1を外側から冷却する冷却容器2と、冷却水Aによりオゾン発生管1を内側から冷却する冷却部と、冷却水Aを温度制御しながら循環させる冷却手段12であるチラー装置31とを備え、オゾン発生管1の内側を冷却した後の冷却水Aを冷却容器2内に戻す循環用の配管を有し、冷却容器2は、その内部において、冷却水A−1が収容される下側冷却液収容部22と、冷却水A−2が収容される上側冷却液収容部23とに、両冷却水A−1及びA−2が互いに混ざり合わないよう分断する分断手段などの隔壁4を有し、この隔壁4は上側開口21を通じて下側冷却液収容部22に収容された冷却水A−1のエアーを抜くための連通開口41を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下水処理、パルプ漂白などのようにオゾンを必要とする工業的分野で好ましく使用することができるオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業的規模のオゾン発生装置として、無声放電を利用して酸素を含む原料ガスをオゾン化するオゾン発生装置は、例えば、特許文献1などで公知である。従来のオゾン発生装置の構成は、例えば、図1に示すように、端部に取扱気体の出入口と電極端子とを備えるオゾン発生管1の両端を一対の管板3に気密に貫通させ、オゾン発生管1と平行な一対の側板1aと一対の管板3との間に形成され底板1bを備える冷却容器2に熱交換器8を介して冷却液である冷却水Aを循環させ、オゾン発生管1の両端に存在し冷却容器2に隣接して一対の気体室5を設けるものである。
【0003】
オゾンは、熱に弱い特性を持っており、熱により分解を起こす。放電を行うことでオゾン発生管が発熱するので、発熱を抑制するために冷却水をオゾン発生管に通水し、冷却を行なっている。冷却水は、チラー装置などの温度制御装置により温度を一定に制御しているが、オゾン発生管を冷却した後は、冷却水自体の温度は上昇する。温度が上昇する水は膨張し体積が増えるため、冷却水の系統が密閉系であると、冷却水の膨張により配管等が破損する恐れがある。
【0004】
また、冷却水が高温から低温に冷やされると、水は収縮し、冷却水の配管系統は圧力が下がり負圧となり、冷却水内に周囲のエアーが浸透することがある。冷却水内にエアーが入ると、冷却効果が低下し、オゾン発生性能が低下すると考えられる。このため、冷却水の系統に一部開放されたタンクを設置したり、オゾン発生装置の冷却容器を一部開放したりしている。
【0005】
冷却水は、オゾン発生管の内部、外部のいずれか、又は両方に通水されるが、オゾン発生装置本体内でオゾン発生管の外部と内部の冷却水流路は別々であるため、両方を冷却する場合には、種々の問題があった。
【0006】
図3に示すように、冷却水Aの系統に一部開放されたタンク7を設置した場合、オゾン発生管1を外側から冷却する冷却容器2と比較して、オゾン発生管1の内部空間である冷却部及び冷却水Aの配管は非常に狭いため、冷却水Aの流速が大きくなる。このため、冷却水A内に浸透したエアーが開放タンク7で抜け切らず、冷却水Aと共に循環することで冷却効率が低下するという問題がある。
【0007】
図2に示すように、オゾン発生装置10の冷却容器2を共用し、オゾン発生装置10の冷却容器2の上部6を一部開放し、前述の図3に示すタンク7と同等の機能である冷却水A内に浸透したエアーを抜く機能を持たせた場合、オゾン発生管1を内側から冷却した後の冷却水Aをオゾン発生管1の外側にある冷却容器2内に供給することになり、オゾン発生管1を冷却した後の冷却水Aの温度は上昇しているため、徐々に冷却効率が低下していくことになる。なお、12は温度制御を行なう冷却手段であるチラー装置であり、ポンプ33により循環されてくるオゾン発生管1の外部と接触しチラー装置で設定した所定温度より上昇した冷却水Aを再び所定温度まで冷却する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−263409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オゾン発生管を冷却水などの冷却液で外側及び内側から冷却するオゾン発生装置において、冷却効率の低下が生じないオゾン発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、以下のオゾン発生装置が提供される。
[1]オゾン発生管と、上側に向けて開放され循環する冷却液のエアーを抜くための上側開口を有し、前記オゾン発生管を両端部が突出した状態で収容し、循環する冷却液によってオゾン発生管を外側から冷却するように構成された冷却容器と、前記オゾン発生管の内側に設けられ、循環する冷却液によってオゾン発生管を内側から冷却するように構成された冷却部と、冷却液を温度制御しながら前記冷却容器内及び冷却部内をそれぞれ通過するように分けて循環させる冷却手段とを備えたオゾン発生装置であって、前記冷却手段が、前記冷却部を通過した後の冷却液を前記冷却容器内に戻す循環用の配管を有しており、前記冷却容器が、その内部において、下側を占有しオゾン発生管の外側を冷却している冷却液が収容される下側冷却液収容部と、上側を占有しオゾン発生管の内側から冷却容器内に戻された冷却液が収容される上側冷却液収容部とに、両冷却液が互いに混ざり合わないように分断する分断手段を有しており、この分断手段は、前記上側冷却液収容部及び下側冷却液収容部を連通し前記上側開口を通じて下側冷却液収容部に収容された冷却液のエアーを抜くための連通開口を有している、オゾン発生装置。
【0011】
[2]前記分断手段は、互い違いの複数の隔壁から構成されている、前記[1]に記載のオゾン発生装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、オゾン発生管を外側から冷却した冷却液とオゾン発生管を内側から冷却した冷却液が、お互いにオゾン発生管を冷却する前に混合されることがないので、冷却効率が低下することはない。すなわち、オゾン発生管を内側から冷却し温度が上昇した冷却部からの冷却液は、分断手段により、オゾン発生管を外側から冷却する冷却液と混じり合わないので、オゾン発生管外部に対する冷却効率が低下しない。
【0013】
また、オゾン発生管の内側に設けられた冷却用の配管又はオゾン発生管の内周部である内周部及び循環用の配管と比べて空間容積の大きい上側冷却液収容部にオゾン発生管を内側から冷却した冷却液を戻すことで、冷却液流は減速され、冷却液中のエアー抜きが比較的行われやすくなり、冷却効率の低下が生じない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一般的なオゾン発生装置の正断面図である。
【図2】従来のオゾン発生装置の一実施形態を示す概念図である。
【図3】従来のオゾン発生装置の他の実施形態を示す概念図である。
【図4】本発明のオゾン発生装置の一実施形態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
なお、説明において、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0016】
図4は本発明のオゾン発生装置の一実施形態を示す概念図である。
同図において、オゾン発生装置は、オゾン発生管1と、冷却容器2と、オゾン発生管1の内周部である冷却部(図示せず)と、冷却手段12とを備えたものとして構成されている。
【0017】
本実施形態において、冷却容器2は、上側に向けて開放され循環する冷却液たる冷却水Aのエアーを抜くための上側開口21を有している。また、冷却容器2は、オゾン発生管1を両端部が突出した状態で収容しており、循環する冷却水Aによってオゾン発生管1を外側から冷却するように構成されている。すなわち、冷却容器2は、複数のオゾン発生管1を横倒し状態で相互に間隔をあけて並行して収容しており、内部に供給され循環する冷却水Aが各オゾン発生管1の各外周部と接触することによってオゾン発生管1を外側から冷却することを可能としている。具体的には、冷却容器2は、冷却液が供給される空間と冷却液が供給されない空間とを画する一対の空間を有しており、これらの管板3によって各オゾン発生管1の各両端部を気密に固定・支持している。
【0018】
また、冷却部は、オゾン発生管1の内側に設けられた内周部であって、循環する冷却水Aによってオゾン発生管1を内側から冷却することを可能とするものである。したがって、冷却部は、このような役割を果たす構造のものであればよいが、本発明における冷却部としては、オゾン発生管1の内周部の代わりにオゾン発生管1の内側を貫通するように配設された冷却用の配管その他の冷却部を用いることが可能である。
【0019】
さらに、冷却手段12は、冷却水Aを温度制御しながら冷却容器2内及び冷却部内をそれぞれ通過するように分けて循環させるものである。具体的には、冷却手段12は、冷却水Aを温度制御するチラー装置31と、チラー装置31によって温度制御された冷却水Aが冷却容器2内及び冷却部内をそれぞれ通過するように分けられて循環するための循環用の配管32と、冷却水Aをチラー装置31及び循環用の配管32を通じて循環させるポンプ33とを有している。この循環用の配管32は、冷却部を通過した後の冷却水Aを冷却容器2内に戻すための循環用の配管32aを含むものとして構成されている。
【0020】
ところで、本実施形態における冷却容器2は、その内部において、下側を占有しオゾン発生管1の外側を冷却している冷却水A−1が収容される下側冷却液収容部22と、上側を占有しオゾン発生管1の内側から冷却容器2内に戻された冷却水A−2が収容される上側冷却液収容部23とに、両冷却水A−1及びA−2が互いに混ざり合わないように分断する分断手段たる隔壁4を有している。
【0021】
そして、この隔壁4は、上側冷却液収容部22及び下側冷却液収容部23を連通させており、上側開口21を通じて下側冷却液収容部22に収容された冷却水A−1のエアーを抜くための連通開口41を有している。具体的には、隔壁4は、一方の管板から対向する他方の管板に向けて片持ち梁状に延出する互い違いの複数の隔壁から構成されている。
【0022】
このようなオゾン発生装置10においては、チラー装置31で所定温度に調節制御された冷却水Aは、オゾン発生管1を外側から冷却するため冷却容器2内を通過するラインXと、オゾン発生管1を内側から冷却するためオゾン発生管1の内周部である冷却部内を通過するラインYとに分けられて循環するようになっている。
【0023】
そして、冷却容器2内を循環する冷却水A−1は、冷却容器2内の下側を占有する下側冷却液収容部22内において、その下部から徐々に上昇してオゾン発生管1の外周部と接触しこれを外側から冷却することになる。一方、オゾン発生管1の内周部である冷却部内を循環する冷却水A−2は、オゾン発生管1の内周部と接触しこれを内側から冷却した後、冷却部から循環用の配管32aを通じて冷却容器2内、すなわち、冷却容器2内の上側を占有する上側冷却液収容部23内に循環されることになる。
【0024】
オゾン発生管1を外側から冷却する冷却水A−1は、冷却容器2内の下側を占有する下側冷却液収容部22の上端において、隔壁4によって分断されているので、オゾン発生管1を内側から冷却した結果、温度が上昇した状態で上側冷却液収容部23内に循環してくる冷却水A−2とは大部分が互いに混ざり合わないので、オゾン発生管1を外側から冷却するための冷却水A−1の温度を上昇させることはなく、冷却水A−1による冷却効率の低下は生じない。
【0025】
しかも、この隔壁4は、連通開口41を有しているので、この連通開口41を介して、冷却水A−1に混入したエアーを抜くことができる。また、上側冷却液収容部23に循環してくる冷却水A−2は、上側冷却液収容部23において十分に減速されているため、冷却水A−2に混入したエアー抜き(脱気)がなされることになる。その後、冷却水A(両冷却水A−1及びA−2)は冷却容器2の上部からラインZを経由してポンプ33により、チラー装置31に戻されることになる。
【0026】
上記したように、隔壁4に、連通開口41を有することを要求するのは、冷却容器2内の冷却水Aからエアーを除去する機能を維持しながら下側冷却液収容部22及び上側冷却液収容部23の間における分断機能を発揮させることにより、冷却効率の低下を生じさせないエネルギー効率に優れたオゾン発生装置とするためである。
【0027】
したがって、このような役割を果たすものであれば、本発明においては、互い違いの複数の隔壁から構成された隔壁4の代わりに、連通開口としての複数の小孔が設けられた一の隔壁その他の隔壁を用いても差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明のオゾン発生装置は、上下水処理、パルプ漂白などのようにオゾンを必要とする工業的分野で特に好ましく使用することができる。
【符号の説明】
【0029】
1:オゾン発生管
1a:一対の側板
1b:底板
2:冷却容器
3:一対の管板
4:隔壁
5:一対の気体室
6:冷却容器の上側開口
7:開放タンク
8:熱交換器
10:オゾン発生装置
12:冷却手段
22:下側冷却液収容部
23:上側冷却液収容部
31:チラー装置
32:循環用の配管
32a:循環用の配管
33:ポンプ
41:連通開口
A,A−1,A−2:冷却液(冷却水)
X,Y,Z:ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾン発生管と、
上側に向けて開放され循環する冷却液のエアーを抜くための上側開口を有し、前記オゾン発生管を両端部が突出した状態で収容し、循環する冷却液によって該オゾン発生管を外側から冷却するように構成された冷却容器と、
前記オゾン発生管の内側に設けられ、循環する冷却液によって該オゾン発生管を内側から冷却するように構成された冷却部と、
冷却液を温度制御しながら前記冷却容器内及び前記冷却部内をそれぞれ通過するように分けて循環させる冷却手段とを備えたオゾン発生装置であって、
前記冷却手段が、前記冷却部を通過した後の冷却液を循環させる循環用の配管を有しており、
前記冷却容器が、その内部において、下側を占有し前記オゾン発生管の外側を冷却している冷却液が収容される下側冷却液収容部と、上側を占有し前記オゾン発生管の内側から該冷却容器内に戻された冷却液が収容される上側冷却液収容部とに、両冷却液が互いに混ざり合わないように分断する分断手段を有しており、
この分断手段は、前記上側冷却液収容部及び下側冷却液収容部を連通し前記上側開口を通じて下側冷却液収容部に収容された冷却液のエアーを抜くための連通開口を有している、オゾン発生装置。
【請求項2】
前記分断手段は、互い違いの複数の隔壁から構成されている、請求項1に記載のオゾン発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−228974(P2010−228974A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−78800(P2009−78800)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】