説明

オットマンおよびマッサージ装置

【課題】下腿のマッサージ効果を高めることのできるオットマンおよびマッサージ装置を提供する。
【解決手段】このオットマン30は、下腿の背面をマッサージする下腿背面エアバッグ60を備える。また、下腿背面エアバッグ60として、境界部分63を介して隣り合う第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62を備える。また、下腿の延びる方向に沿うように境界部分63が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下腿の背面をマッサージする下腿背面エアバッグを備えるオットマンおよびマッサージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のマッサージ装置のオットマンには、右下腿の背面をマッサージするためのエアバッグおよび左下腿の背面をマッサージするためのエアバッグがそれぞれ1個ずつ設けられている。そして、これらエアバッグが膨張および収縮することにより下腿のマッサージが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−89540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のオットマンの構造からすると、エアバッグが膨張したときに同エアバッグが下腿の背面に対して十分に接触しないと考えられる。すなわち、下腿背面は幅方向の中央部分が幅方向の外側部分よりも突き出た形状のため、下腿背面の外側部分においてエアバッグと下腿とが十分に接触しないと考えられる。このため、下腿に対して期待されるマッサージが行われないおそれがある。なお、上記の問題は、下腿の側面をマッサージするためのエアバッグについても概ね共通するものといえる。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、下腿のマッサージ効果を高めることのできるオットマンおよびマッサージ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的を達成するための手段について記載する。
・本発明のオットマンは、下腿の背面をマッサージする下腿背面エアバッグを備えるオットマンにおいて、前記下腿背面エアバッグとして、境界部分を介して隣り合う第1下腿背面エアバッグおよび第2下腿背面エアバッグを備え、前記下腿の延びる方向に沿うように前記境界部分が形成されることを特徴としている。
【0007】
・このオットマンにおいては、前記下腿の側面をマッサージする下腿側面エアバッグを備え、前記下腿側面エアバッグとして、境界部分を介して隣り合う第1下腿側面エアバッグおよび第2下腿側面エアバッグを備え、前記下腿の幅方向に沿うように前記境界部分が形成されることが好ましい。
【0008】
・このオットマンにおいては、互いに独立して動作することができるように前記第1下腿側面エアバッグおよび前記第2下腿側面エアバッグが構成されることが好ましい。
・このオットマンにおいては、互いに独立して動作することができるように前記第1下腿背面エアバッグおよび前記第2下腿背面エアバッグが構成されることが好ましい。
【0009】
・本発明のオットマンは、下腿の側面をマッサージする下腿側面エアバッグを備えるオットマンにおいて、前記下腿側面エアバッグとして、境界部分を介して隣り合う第1下腿側面エアバッグおよび第2下腿側面エアバッグを備え、前記下腿の延びる方向に沿うように前記境界部分が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、下腿のマッサージ効果を高めることのできるオットマンおよびマッサージ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態のマッサージ装置について、その全体の構成を示す斜視図。
【図2】同実施形態のマッサージ装置のオットマンについて、(A)は第1オットマンの正面構造を示す正面図、(B)は第2オットマンの正面構造を示す正面図。
【図3】同実施形態のマッサージ装置のオットマンについて、そのエア供給部の回路構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態のマッサージ装置のオットマンについて、そのエアバッグの動作パターンを示すタイミングチャート。
【図5】同実施形態のマッサージ装置のオットマンについて、そのエアバッグの動作パターンを示すタイミングチャート。
【図6】同実施形態のマッサージ装置のオットマンについて、そのエアバッグの動作パターンを示すタイミングチャート。
【図7】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置のオットマンについて、そのエアバッグの動作パターンを示すタイミングチャート。
【図8】本発明のその他の実施形態のマッサージ装置のオットマンについて、そのエアバッグの動作パターンを示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1〜図6を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
図1に、マッサージ装置1の全体構成を示す。
マッサージ装置1は、ユーザが腰をかけるための椅子10と、ユーザの背中等をマッサージするためのマッサージ機構20と、下腿をマッサージするためのオットマン30とを含む。なお、以下の説明では、背もたれ11の長手方向を高さ方向として示す。
【0013】
椅子10には、ユーザが背中をもたれかけるための背もたれ11と、ユーザが着座するための座部12と、ユーザが肘を置くための肘掛13と、椅子10を支持するための脚14と、エアバッグにエアを供給するためのエア供給部80とが設けられている。なお、以下の説明では、背もたれ11の長手方向を高さ方向として示す。
【0014】
マッサージ機構20には、ユーザの背中等をマッサージするための一対の施療子21と、同施療子21を動作させるための駆動装置22とが設けられている。
オットマン30は、下腿のマッサージを行うための第1オットマン40と、足のマッサージを行うための第2オットマン70とを含む。
【0015】
マッサージ機構20には、駆動装置22を背もたれ11に対して高さ方向にスライドさせるためのガイドレール(図示略)が設けられている。
座部12の前面には、座部12に対して回転可能な状態で第1オットマン40が設けられている。第1オットマン40の下部には、第1オットマン40に対して回転可能な状態で第2オットマン70が設けられている。第1オットマン40および第2オットマン70は、ポリプロピレン等の硬質な材料で成型されている。
【0016】
マッサージ装置1には、この他に操作部(図示略)が設けられている。操作部には、マッサージ機構20およびオットマン30の動作の開始および終了を選択するためのボタン、およびマッサージ機構20およびオットマン30によるマッサージの態様を選択するためのボタンが設けられている。
【0017】
図2を参照して、オットマン30の詳細な構成について説明する。
以下の説明では、オットマン30の短手方向を「高さ方向」とし、オットマン30の長手方向を「幅方向」とする。ユーザの下腿がオットマン30に挿入されたとき、下腿が延びる方向と高さ方向とが一致する。
【0018】
第1オットマン40には、その幅方向の両端に一対の外壁41が設けられている。また、一対の外壁41の間には、右下腿と左下腿が位置する領域を区画するための内壁42が設けられている。また、外壁41および内壁42の背面側には、下腿の背面を支持するための背壁43が設けられている。また、外壁41および内壁42には、下腿の側面をマッサージするための下腿側面エアバッグ50が設けられている。背壁43には、下腿の背面をマッサージするための下腿背面エアバッグ60が設けられている。
【0019】
下腿側面エアバッグ50としては、下腿の上部のマッサージを行うための第1下腿側面エアバッグ51と、下腿の下部のマッサージを行う第2下腿側面エアバッグ52とが設けられている。また、これらのエアバッグ51,52の間には、第1下腿側面エアバッグ51と第2下腿側面エアバッグとの境界を形成する境界部分53が設けられている。
【0020】
下腿背面エアバッグ60としては、下腿の背面のマッサージを行う第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62が設けられている。また、これらエアバッグ61,62の間には、第1下腿背面エアバッグ61と第2下腿背面エアバッグとの境界を形成する境界部分63が設けられている。
【0021】
下腿背面エアバッグ60の境界部分63は、第1オットマン40の高さ方向に沿うように設けられている。すなわち、境界部分63の長手方向とユーザの下腿の延びる方向は一致する。
【0022】
第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62は、エアが供給されたとき、内側端部64よりも外側端部65が大きく膨らむように構成されている。
第1オットマン40においては、左側の外壁41と内壁42と背壁43とにより、左下腿に対応した凹部が形成されている。また、右側の外壁41と内壁42と背壁43とにより、右下腿に対応した凹部が形成されている。
【0023】
左右の下腿が対応する凹部に挿入されたとき、各下腿の側面の上部が対応する第1下腿側面エアバッグ51と接触する。また、各下腿の下部が対応する第2下腿側面エアバッグ52と接触する。また、各下腿の背面が対応する第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62と接触する。
【0024】
第2オットマン70には、その幅方向の両端に設けられた外壁71と、右足と左足が位置する領域を区画するための内壁72と、足を載せるための底壁73とが設けられている。底壁73には、足裏をマッサージするための足裏エアバッグ74が設けられている。
【0025】
第2オットマン70においては、左側の外壁71と内壁72と底壁73により左足に対応した凹部が形成されている。また、右側の外壁71と内壁72と底壁73により右足に対応した凹部が形成されている。
【0026】
足が第2オットマン70の凹方の空間に挿入されたとき、足の裏面は足裏エアバッグ74と接触する。
図3を参照して、下腿側面エアバッグ50および下腿背面エアバッグ60および足裏エアバッグ74にエアを供給するエア供給部80の構成について説明する。
【0027】
エア供給部80には、エアを吐出するエアポンプ81と、吐出されたエアを圧縮するためのアキュムレータ82と、圧縮されたエアを下腿側面エアバッグ50および下腿背面エアバッグ60および足裏エアバッグ74に分配するエア分配器83とが設けられている。また、下腿側面エアバッグ50および下腿背面エアバッグ60および足裏エアバッグ74のエアの供給態様を制御する第1電磁弁91〜第5電磁弁95が設けられている。さらに、エアを流通させるためのホース84と、ホース84と下腿側面エアバッグ50および下腿背面エアバッグ60および足裏エアバッグ74とを互いに接続する接続口85とが設けられている。
【0028】
エアポンプ81とアキュムレータ82とは、ホース84により互いに接続されている。アキュムレータ82とエア分配器83とは、ホース84により互いに接続されている。エア分配器83と第1電磁弁91〜第5電磁弁95とは、ホース84により互いに接続されている。接続口85と下腿側面エアバッグ50および下腿背面エアバッグ60および足裏エアバッグ74とは、エア流路86により互いに接続されている。
【0029】
アキュムレータ82から供給される圧縮されたエアは、エア分配器83によって第1電磁弁91〜第5電磁弁95に分配される。
第1電磁弁91〜第5電磁弁95は、エア分配器83からのエアを対応するエアバッグへ供給する状態、エアバッグのエアを排出する状態、エアバッグにエアを保持する状態を有する。
【0030】
第1電磁弁91〜第5電磁弁95は、制御部(図示略)からの指令により動作する。その結果、下腿側面エアバッグ50および下腿背面エアバッグ60および足裏エアバッグ74の膨張および収縮が行われる。
【0031】
第1電磁弁91は、第1下腿側面エアバッグ51のエアの供給態様を制御する。第2電磁弁92は、第2下腿側面エアバッグ52のエアの供給態様を制御する。第3電磁弁93は、足裏エアバッグ74のエアの供給態様を制御する。第4電磁弁94は、第1下腿背面エアバッグ61のエアの供給態様を制御する。第5電磁弁95は、第2下腿背面エアバッグ62のエアの供給態様を制御する。
【0032】
このように、下腿側面エアバッグ50および下腿背面エアバッグ60および足裏エアバッグ74に対応して個別に第1電磁弁91〜第5電磁弁95が設けられている。このため、下腿側面エアバッグ50および下腿背面エアバッグ60および足裏エアバッグ74のそれぞれを互いに独立して膨張および収縮させることができる。
【0033】
制御部は、オットマン30の動作を制御するためのマッサージモードとして、第1脚モード〜第3脚モードを備えている。操作部の操作により、各マッサージモードのいずれかによりユーザへのマッサージを行う要求が検出されたとき、対応するマッサージモードにより各エアバッグの動作を制御する。
【0034】
第1脚モードでは、下腿背面に対してたたきもみのマッサージ感を付与する、すなわち第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62を交互に膨張させることにより叩き感を付与する。
【0035】
第2脚モードでは、下肢を足から上に向けて順にマッサージする、すなわち足から心臓に向けて血流を促進させる求心法により下肢をマッサージする。また、下腿背面エアバッグ60による下腿背面のマッサージも併せて行う。
【0036】
第3脚モードでは、下肢を下腿から下に向けて順にマッサージする、すなわち下腿から足に向けて血流を促進させるためのマッサージである遠心法により下肢をマッサージする。また、下腿背面エアバッグ60による下腿背面のマッサージも併せて行う。
【0037】
図4〜図6を参照して、各マッサージモードの詳細について説明する。
図4に、第1脚モードのときの各エアバッグの動作態様を示す。
第1脚モードは、時刻t11から時刻t18までの期間を1つの動作サイクルとしている。マッサージモードとして第1脚モードが継続して選択されているときには、上記のサイクルが繰り返し行われる。このマッサージモードにおいては、具体的には次のようにエアバッグの動作が制御される。
【0038】
時刻t11すなわち、第1脚モードの1動作サイクルが開始されたとき、第1下腿背面エアバッグ61へのエアの供給が開始される。時刻t11Aすなわち、第1下腿背面エアバッグ61の体積が所定体積に達したとき、第1下腿背面エアバッグ61からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t11Aから所定期間が経過した時刻t12において第1下腿背面エアバッグ61が収縮状態に移行する。
【0039】
時刻t13すなわち、第1下腿背面エアバッグ61が収縮状態に移行した時刻t12から所定期間が経過したとき、第2下腿背面エアバッグ62へのエアの供給が開始される。時刻t13Aすなわち、第2下腿背面エアバッグ62の体積が所定体積に達したとき、第2下腿背面エアバッグ62からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t13Aから所定期間が経過した時刻t14において第2下腿背面エアバッグ62が収縮状態に移行する。
【0040】
時刻t15すなわち、第2下腿背面エアバッグ62が収縮状態に移行した時刻t14から所定期間が経過したとき、第1下腿背面エアバッグ61へのエアの供給が開始される。
時刻t15から時刻t16までの期間においては、時刻t11から時刻t12までの期間と同様に第1下腿背面エアバッグ61の制御が行われる。また、時刻t17から時刻t18までの期間においては、時刻t13から時刻t14までの期間と同様に第2下腿背面エアバッグ62の制御が行われる。なお、第1下腿側面エアバッグ51および第2下腿側面エアバッグ52および足裏エアバッグ74は、時刻t11から時刻t18までの期間において収縮状態に保持される。
【0041】
以上のように第1脚モードにおいては、時刻t11から時刻t12までの期間は第1下腿背面エアバッグ61が膨張した状態にあるため、同エアバッグ61が下腿背面に押し付けられることにより下腿がマッサージされる。また、時刻t13から時刻t14までの期間は第2下腿背面エアバッグ62が膨張した状態にあるため、同エアバッグ62が下腿背面に押し付けられることにより下腿がマッサージされる。また、時刻t15から時刻t16までの期間および時刻t17から時刻t18までの期間においても、それぞれ第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62により下腿がマッサージされる。
【0042】
図5に、第2脚モードのときの各エアバッグの動作態様を示す。
第2脚モードは、時刻t21から時刻t28までの期間を1つの動作サイクルとしている。マッサージモードとして第2脚モードが継続して選択されているときには、上記のサイクルが繰り返し行われる。このマッサージモードにおいては、具体的には次のようにエアバッグの動作が制御される。
【0043】
時刻t21すなわち、第2脚モードの1動作サイクルが開始されたとき、足裏エアバッグ74へのエアの供給が開始される。時刻t21Aすなわち、足裏エアバッグ74の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ74へのエアの供給が停止される。これにより、足裏エアバッグ74が膨張した状態で保持される。
【0044】
時刻t22すなわち、足裏エアバッグ74へのエアの供給が開始された時刻t21から所定期間が経過したとき、第2下腿側面エアバッグ52へのエアの供給が開始される。時刻t22Aすなわち、第2下腿側面エアバッグ52の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ52へのエアの供給が停止される。これにより、第2下腿側面エアバッグ52が膨張した状態で保持される。
【0045】
時刻t23すなわち、第2下腿側面エアバッグ52へのエアの供給が開始された時刻t22から所定期間が経過したとき、第1下腿側面エアバッグ51へのエアの供給が開始される。時刻t23Aすなわち、第1下腿側面エアバッグ51の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ51へのエアの供給が停止される。これにより、第1下腿側面エアバッグ51が膨張した状態で保持される。
【0046】
時刻t24すなわち、第1下腿側面エアバッグ51へのエアの供給が開始された時刻t23から所定期間が経過したとき、第1下腿背面エアバッグ61へのエアの供給が開始される。時刻t24Aすなわち、第1下腿背面エアバッグ61の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ61からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t24Aから所定期間が経過した時刻t25において、第1下腿背面エアバッグ61が収縮状態に移行する。
【0047】
時刻t26すなわち、第1下腿背面エアバッグ61が収縮状態に移行した時刻t25から所定期間が経過したとき、第2下腿背面エアバッグ62へのエアの供給が開始される。時刻t26Aすなわち、第2下腿背面エアバッグ62の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ62からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t26Aから所定期間が経過した時刻t27において第2下腿背面エアバッグ62が収縮状態に移行する。
【0048】
時刻t27Aすなわち、第2下腿背面エアバッグ62が収縮状態に移行した時刻t27から所定期間が経過したとき、第1下腿側面エアバッグ51および第2下腿側面エアバッグ52および足裏エアバッグ74からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t27Aから所定期間が経過した時刻t28において各エアバッグが収縮状態に移行する。
【0049】
以上のように第2脚モードにおいては、時刻t21〜時刻t23の順で足裏エアバッグ74および第2下腿側面エアバッグ52および第1下腿側面エアバッグ51が膨張状態に移行するとともに、それぞれ所定期間にわたり膨張状態に保持される。これにより、ユーザの下肢が求心法によりマッサージされる。
【0050】
図6に、第3脚モードのときの各エアバッグの動作態様を示す。
第3脚モードは、時刻t31から時刻t38までの期間を1つの動作サイクルとしている。マッサージモードとして第3脚モードが継続して選択されているときには、上記のサイクルが繰り返し行われる。このマッサージモードにおいては、具体的には次のようにエアバッグの動作が制御される。
【0051】
時刻t31すなわち、第3脚モードの1動作サイクルが開始されたとき、第1下腿側面エアバッグ51へのエアの供給が開始される。時刻t31Aすなわち、第1下腿側面エアバッグ51の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ51へのエアの供給が停止される。これにより、第1下腿側面エアバッグ51が膨張した状態で保持される。
【0052】
時刻t32すなわち、第1下腿側面エアバッグ51へのエアの供給が開始された時刻t31から所定期間が経過したとき、第2下腿側面エアバッグ52へのエアの供給が開始される。時刻t32Aすなわち、第2下腿側面エアバッグ52の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ52へのエアの供給が停止される。これにより、第2下腿側面エアバッグ52が膨張した状態で保持される。
【0053】
時刻t33すなわち、第2下腿側面エアバッグ52へのエアの供給が開始された時刻t32から所定期間が経過したとき、足裏エアバッグ74へのエアの供給が開始される。時刻t33Aすなわち、足裏エアバッグ74の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ74へのエアの供給が停止される。これにより、足裏エアバッグ74が膨張した状態で保持される。
【0054】
時刻t34すなわち、足裏エアバッグ74へのエアの供給が開始された時刻t33から所定期間が経過したとき、第1下腿背面エアバッグ61へのエアの供給が開始される。時刻t34Aすなわち、第1下腿背面エアバッグ61の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ61からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t34Aから所定期間が経過した時刻t35において第1下腿背面エアバッグ61が収縮状態に移行する。
【0055】
時刻t36すなわち、第1下腿背面エアバッグ61が収縮状態に移行した時刻t35から所定期間が経過したとき、第2下腿背面エアバッグ62へのエアの供給が開始される。時刻t36Aすなわち、第2下腿背面エアバッグ62の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ62からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t36Aから所定期間が経過した時刻t37において第2下腿背面エアバッグ62が収縮状態に移行する。
【0056】
時刻t37Aすなわち、第2下腿背面エアバッグ62が収縮状態に移行した時刻t37から所定期間が経過したとき、第1下腿側面エアバッグ51および第2下腿側面エアバッグ52および足裏エアバッグ74からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t37Aから所定期間が経過した時刻t38において各エアバッグが収縮状態に移行する。
【0057】
以上のように第3脚モードにおいては、時刻t31〜時刻t33の順で第1下腿側面エアバッグ51および第2下腿側面エアバッグ52および足裏エアバッグ74が膨張状態に移行するとともに、それぞれ所定期間にわたり膨張状態に保持される。これにより、ユーザの下肢が求心法によりマッサージされる。
【0058】
本実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)オットマン30は、下腿背面エアバッグ60として、境界部分63を介して隣り合う第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62を備える。また、下腿の延びる方向に沿うように境界部分63が形成されている。
【0059】
この構成によれば、左右の下腿のそれぞれに対応する凹部において、下腿の背面全体に対応する単一の背面エアバッグを備えるオットマン(以下「仮想オットマンA」)と比較して、下腿背面エアバッグ60が下腿背面によりフィットする。このため、下腿のマッサージ効果を高めることができる。
【0060】
(2)オットマン30は、下腿の側面をマッサージする下腿側面エアバッグ50を備える。また、下腿側面エアバッグ50として、境界部分53を介して隣り合う第1下腿側面エアバッグ51および第2下腿側面エアバッグ52を備える。また、下腿の幅方向に沿うように境界部分53が形成されている。
【0061】
この構成によれば、下腿側面のうち、心臓に遠い部位から近い部位にマッサージする求心法を行うことができる。また、下腿の側面のうち心臓に近い部位から心臓に遠い部位にマッサージする遠心法を行うことができる。
【0062】
(3)オットマン30においては、第1電磁弁91および第2電磁弁によって互いに独立して動作することができるように第1下腿側面エアバッグ51および第2下腿側面エアバッグ52が構成されている。また、第4電磁弁94および第5電磁弁95によって互いに独立して動作することができるように第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62が構成されている。
【0063】
この構成によれば、1つの電磁弁によって下腿側面エアバッグ50および下腿背面エアバッグ60の動作を制御しているオットマン(以下「仮想オットマンB」)と比較して、より変化に富んだマッサージを行うことができる。
【0064】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記各実施形態に例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0065】
・上記実施形態の第1脚モード〜第3脚モードの少なくとも1つに代えて、またはこれらのモードに加えて、以下の第4脚モードおよび第5脚モードの少なくとも一方をマッサージモードとして予め用意しておくこともできる。
【0066】
(A)図7に、第4脚モードのときの各エアバッグの動作態様を示す。
第4脚モードは、時刻t41から時刻t46までの期間を1つの動作サイクルとしている。マッサージモードとして第4脚モードが継続して選択されているときには、上記のサイクルが繰り返し行われる。このマッサージモードにおいては、具体的には次のようにエアバッグの動作が制御される。
【0067】
時刻t41すなわち、第4脚モードの1動作サイクルが開始されたとき、第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62へのエアの供給が開始される。時刻t41Aすなわち、第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62の体積が所定体積に達したとき、各エアバッグ61,62からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t41Aから所定期間が経過した時刻t42において第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62が収縮状態に移行する。
【0068】
時刻t43すなわち、第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62が収縮状態に移行してから所定期間が経過したとき、これらエアバッグへのエアの供給が開始される。
【0069】
時刻t43から時刻t44までの期間および時刻t45から時刻t46までの期間においては、時刻t41から時刻t43までの期間と同様に第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62の制御が行われる。なお、第1下腿側面エアバッグ51および第2下腿側面エアバッグ52および足裏エアバッグ74は、時刻t41から時刻t46までの期間において収縮状態に保持される。
【0070】
以上のように第4脚モードにおいては、第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62が膨張した状態と、第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62が収縮した状態とが繰り返される。
【0071】
(B)図8に、第5脚モードのときの各エアバッグの動作態様を示す。
第5脚モードは、時刻t51から時刻t58までの期間を1つの動作サイクルとしている。マッサージモードとして第5脚モードが継続して選択されているときには、上記のサイクルが繰り返し行われる。このマッサージモードにおいては、具体的には次のようにエアバッグの動作が制御される。
【0072】
時刻t51すなわち、第5脚モードの1動作サイクルが開始されたとき、第1下腿背面エアバッグ61へのエアの供給が開始される。時刻t51Aすなわち、第1下腿背面エアバッグ61の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ61へのエアの供給が停止される。これにより、第1下腿背面エアバッグ61が膨張した状態で保持される。
【0073】
時刻t52すなわち、第1下腿背面エアバッグ61へのエアの供給が開始された時刻t51から所定期間が経過したとき、第2下腿背面エアバッグ62へのエアの供給が開始される。時刻t52Aすなわち、第2下腿背面エアバッグ62の体積が所定体積に達したとき、同エアバッグ62へのエアの供給が停止される。これにより、第2下腿背面エアバッグ62が膨張した状態で保持される。
【0074】
時刻t52Bすなわち、第1下腿背面エアバッグ61の膨張状態の保持が開始されてから所定期間が経過したとき、同エアバッグ61からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t52Bから所定期間が経過した時刻t53において第1下腿背面エアバッグ61が収縮状態に移行する。
【0075】
時刻t53Aすなわち、第2下腿背面エアバッグ62の膨張状態の保持が開始されてから所定期間が経過したとき、同エアバッグ62からのエアの排出が開始される。これにより、時刻t53Aから所定期間が経過した時刻t54において第2下腿背面エアバッグ62が収縮状態に移行する。
【0076】
時刻t55すなわち、第1下腿背面エアバッグ61が収縮状態に移行した時刻t53から所定期間が経過したとき、同エアバッグ61へのエアの供給が開始される。
時刻t55から時刻t58までの期間においては、時刻t51から時刻t54までの期間と同様に、第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62の制御が行われる。なお、第1下腿側面エアバッグ51および第2下腿側面エアバッグ52および足裏エアバッグ74は、時刻t51から時刻t58までの期間において収縮状態に保持される。
【0077】
・上記実施形態では、第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62に対して個別に接続口85を設けたが、個別の接続口85に代えて、各エアバッグ61,62に対して共通の接続口を設けることもできる。この場合には、右下腿の背面エアバッグ60および左下腿の背面エアバッグ60のそれぞれに1個の接続口が設けられる。また、各背面エアバッグ60においては、第1下腿背面エアバッグ61および第2下腿背面エアバッグ62が実質的に同じタイミングで膨張および収縮する。また、図7に示される第4脚モードにより下腿のマッサージを行うことができる。
【0078】
・上記実施形態では、4つの第1下腿側面エアバッグ51を1つの第1電磁弁91を用いて制御したが、これら4つの第1下腿側面エアバッグ51をそれぞれ異なる電磁弁で制御することもできる。この場合にはさらに変化に富んだマッサージを行うことができる。
【0079】
・上記実施形態では、4つの第2下腿側面エアバッグ52を、1つの第2電磁弁92を用いて制御したが、これら4つの第2下腿側面エアバッグ52をそれぞれ異なる電磁弁で制御することもできる。この場合には、さらに変化に富んだマッサージを行うことができる。
【0080】
・上記実施形態では、2つの足裏エアバッグ74を、1つの第3電磁弁93を用いて制御したが、これら2つの足裏エアバッグ74をそれぞれ異なる電磁弁で制御することもできる。この場合には、さらに変化に富んだマッサージを行うことができる。
【0081】
・上記実施形態では、2つの第1下腿背面エアバッグ61を、1つの第4電磁弁94を用いて制御したが、これら4つの第1下腿背面エアバッグ61をそれぞれ異なる電磁弁で制御することもできる。この場合には、さらに変化に富んだマッサージを行うことができる。
【0082】
・上記実施形態では、2つの第2下腿背面エアバッグ62を、1つの第5電磁弁95を用いて制御したが、これら4つの第2下腿背面エアバッグ62をそれぞれ異なる電磁弁で制御することもできる。この場合には、さらに変化に富んだマッサージを行うことができる。
【0083】
・上記実施形態では、各エアバッグの制御が予め設定されたマッサージモードに基づいて行われたが、ユーザによる操作部の操作に基づいて、マッサージモードとは異なる態様で各エアバッグを動作させることもできる。
【符号の説明】
【0084】
1…マッサージ装置、30…オットマン、50…下腿側面エアバッグ、51…第1下腿側面エアバッグ、52…第2下腿側面エアバッグ、60…下腿背面エアバッグ、61…第1下腿背面エアバッグ、62…第2下腿背面エアバッグ、53…境界部分、63…境界部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下腿の背面をマッサージする下腿背面エアバッグを備えるオットマンにおいて、
前記下腿背面エアバッグとして、境界部分を介して隣り合う第1下腿背面エアバッグおよび第2下腿背面エアバッグを備え、前記下腿の延びる方向に沿うように前記境界部分が形成される
ことを特徴とするオットマン。
【請求項2】
請求項1に記載のオットマンにおいて、
前記下腿の側面をマッサージする下腿側面エアバッグを備え、
前記下腿側面エアバッグとして、境界部分を介して隣り合う第1下腿側面エアバッグおよび第2下腿側面エアバッグを備え、前記下腿の幅方向に沿うように前記境界部分が形成される
ことを特徴とするオットマン。
【請求項3】
請求項2に記載のオットマンにおいて、
互いに独立して動作することができるように前記第1下腿側面エアバッグおよび前記第2下腿側面エアバッグが構成される
ことを特徴とするオットマン。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のオットマンにおいて、
互いに独立して動作することができるように前記第1下腿背面エアバッグおよび前記第2下腿背面エアバッグが構成される
ことを特徴とするオットマン。
【請求項5】
下腿の側面をマッサージする下腿側面エアバッグを備えるオットマンにおいて、
前記下腿側面エアバッグとして、境界部分を介して隣り合う第1下腿側面エアバッグおよび第2下腿側面エアバッグを備え、前記下腿の延びる方向に沿うように前記境界部分が形成される
ことを特徴とするオットマン。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のオットマンを備えるマッサージ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−70768(P2012−70768A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215796(P2010−215796)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】