説明

オピオイド受容体アンタゴニスト含有の粒子および使用方法

オピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子、ならびにその使用方法およびその調製方法が本願明細書にて提供される。かかる粒子は患者におけるオピオイド誘発の副作用を治療および防止するために用いることができ、オピオイド常習者に対しても同様に提供され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、その内容全体が出典明示により本願明細書の一部とされる、2008年7月1日出願の米国仮出願番号61/077242号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明はオピオイド受容体アンタゴニストおよびドラッグデリバリーの分野に関する。一般には、オピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子がその使用方法と一緒に記載される。
【背景技術】
【0003】
オピオイドは効果的な鎮痛剤である。しかしながら、その使用は多くの望ましくない副作用を伴う。かかる作用の一つが便秘である。オピオイドが痛みの治療に用いられ、時にその使用を制限し、患者が痛いままである場合でも、オピオイド誘発の胃腸運動の変化はほとんど普遍的なものである。膨張性薬剤および下剤での処置は効果が限定され、電解質不均衡などの副作用を伴うかもしれない。
【0004】
オピオイドの副作用と処置する一の方法は、血液脳関門を横切るか、あるいは中枢神経系に直接投与される、オピオイド受容体アンタゴニストを用いることである。ナルトレキソンおよびナロキソンなどのオピオイド受容体アンタゴニストは、オピオイド誘発の副作用を処置するのに筋肉内にまたは経口的に投与される。ナルトレキソンおよびナロキソンは脂溶性が高く、血液脳関門を含む、生体膜を通って速やかに拡散する。しかしながら、オピオイドの多くの副作用を反転させ得るナルトレキソン、ナロキソン、ナルメフェンおよび他のオピオイド受容体アンタゴニストは、治療域が狭く、使用されるオピオイドの所望の鎮痛作用を反転させることが観察されている。
【0005】
メチルナルトレキソン(MNTX)などの多くの第4アミンオピオイド受容体アンタゴニスト誘導体は中枢神経系に対して末梢投与された場合、オピオイドの鎮痛作用を減少させない。これらの第4アミンオピオイド受容体アンタゴニスト誘導体は、該薬物の第3アミンと比べた場合、相対的に極性が高く、脂溶性が小さく、該誘導体は、具体的には、血液脳関門を横切らないように、または極めて低い速度で横切るように開発されている。しかしながら、血漿中の高レベルのMNTXは起立性低血圧などの望ましくない副作用をもたらしうる。
【0006】
2008年4月に、米国FDAは、後期の進行疾患の、その痛みを和らげるのに連続的にオピオイドを受けている、患者の腸機能を修復するのに、皮下注射としてのメチルナルトレキソンブロミド(RelistoR(登録商標))の使用を承認した。特に、該薬物は下剤療法にうまく応答しなかった患者の便秘を緩和するように設計されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
メチルナルトレキソンおよび他のオピオイド受容体アンタゴニストを患者に投与する別の方法であって、例えば匹敵する効能を有するが、アンタゴニストのデリバリーの量が少ない方法、および皮下注射ほども煩わしくない方法が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、オピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子を用いる、方法および組成物を提供する。ある実施態様において、これらの粒子はオピオイド誘発の腸機能不全および他の適用症に対する効果を強化させる。例えば、本発明の粒子は、伝統的な製剤と比べて、オピオイド受容体アンタゴニストの循環系への吸着の改善をもたらし、かくして血漿中の治療薬のレベルに達するのに必要な用量の軽減が得られる。該粒子はまた、オピオイド誘発の副作用を防止するなどの防御方法にて利用されてもよい。その上、オピオイド誘発の作用に関与するオピオイドは、外因的に投与されたオピオイドであってもよく、あるいは例えば、腹部の手術に応答して患者が産生する内因的オピオイドであってもよい。オピオイドを慢性的に利用する者はまた、本発明の粒子を摂取することからの利益がある。粒子は腸溶性コーティングおよび/または時間放出剤を含み、オピオイド受容体アンタゴニストの標的または制御吸着を助成してもよい。
【0009】
以下さらに詳細に説明されるように、粒子は一の型の粒子(「ホモ粒状物質」)のみからなっていてもよく、あるいは粒子は2種またはそれ以上の型の粒子(「ヘテロ粒状物質」)からなっていてもよい。したがって、「粒子」なる語は、ホモ−およびヘテロ粒状物質の粒子の両方を包含する。かくして、2種の異なる型の粒子は2種の異なるセットの成分を有するであろう(例えば、一の粒子はオピオイド受容体アンタゴニストを含み、一の粒子は含まない)。2つの粒子が同じ成分を含有するが、その成分比が異なる場合、その2つの粒子はなお同じ「型」であると考えられる。
【0010】
説明されるように、オピオイド受容体アンタゴニストを含む本発明の粒子は、限定されるものではないが、ホモ粒状物質、ヘテロ粒状物質、単一の粒子を含む粒子、2種またはそれ以上の粒子を含む粒子、腸溶的にコーティングされた粒子、持続放出剤を含む粒子、あるいは本願明細書に記載の他の特性もしくは成分またはこれらの特性もしくは成分の組み合わせ((以下に示す)定義が互いに排他的である(例えば、粒子が同時にホモ粒状物質およびヘテロ粒状物質であり得ない)粒子の組み合わせを除く)を含む粒子を包含しうることが理解される。これらの粒子はいずれも、本願明細書に記載されるように、医薬組成物中に含まれていてもよく、および/または製造方法、投与方法にて使用されてもよく、および/または本願明細書に記載されるように使用されてもよい。
【0011】
従って、本発明の一の一般的態様は、オピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子を包含する。オピオイド受容体アンタゴニストは本願明細書に記載されている。本発明のもう一つ別の一般的態様は、オピオイド受容体アンタゴニストおよびキトサンを含む粒子を包含する。本発明のさらにもう一つ別の一般的態様は、少なくとも一のオピオイド受容体アンタゴニストを含む、腸溶性コーティングされた粒子を包含する。本願明細書に記載の粒子はさらに少なくとも1種の添加剤を含んでもよい。かかる添加剤は本願明細書に記載されている。本願明細書に記載の粒子の粒径は約30−1000nmの間、またはその範囲が本願明細書に記載されるように、それ以上であってもよい。ある実施態様において、ホモ粒状物質の粒子が包含される。ある実施態様において、ヘテロ粒状物質の粒子が包含される。
【0012】
本発明の粒子に含まれるオピオイド受容体アンタゴニストは、例えば、末梢オピオイド受容体アンタゴニストであってもよい。ある実施態様において、オピオイド受容体アンタゴニストは四級または三級モルフィナン誘導体、ピペリジン−N−アルキルカルボキシレート、カルボキシ−ノルモルフィナン誘導体、または四級ベンゾモルファンであってもよい。四級モルフィナンは、例えば、N−メチルナルトレキソン、N−メチルナロキソン、N−メチルナロルフィン、N−ジアリルノルモルフィン、N−アリルレベロルファンまたはN−メチルナルメフェンであってもよい。特定の実施態様において、末梢オピオイド受容体アンタゴニストはメチルナルトレキソンである。ある実施態様において、粒子は2またはそれ以上のオピオイド受容体アンタゴニストを含む。ある実施態様において、粒子中のオピオイド受容体アンタゴニスト全体の重量パーセントは、約、多くても約、または少なくても約0.1−30%の範囲にある。ある実施態様において、オピオイド受容体アンタゴニスト全体の重量パーセントは約0.1%、0.25%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%または30%、あるいはその中で誘導可能な範囲にある。粒子中のオピオイド受容体アンタゴニスト全体の重量パーセントは、ある実施態様において、30%よりも高い範囲にあってもよい。ある実施態様において、重量パーセントは、約、少なくても約、または多くても約35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または99%、あるいはその中で誘導可能な範囲にある。
【0013】
上記したように、本発明の粒子は添加剤を含んでいてもよい。使用可能な添加剤が本願明細書に記載されている。添加剤はポリマーを含んでもよい。添加剤は、例えば、多糖類であってもよい。添加剤は、例えば、ポリホスフェートを含んでもよい。ある実施態様において、少なくとも1つの添加剤は疎水性添加剤である。疎水性添加剤が本願明細書にて定義されている。ある実施態様において、少なくとも1つの添加剤は親水性添加剤である。親水性添加剤が本願明細書にて定義されている。本願明細書に記載されるような一種以上の添加剤が用いられてもよい。例えば、粒子は少なくとも2つの親水性添加剤を含んでもよい。親水性添加剤は、例えば、酸性および中性pHで正に帯電されてもよい。酸性pHは7.0未満のpHをいう。ある実施態様において、「酸性pH」は約または最大約6.5、6.0、5.5、5.0、4.5、4.0、3.5、3.0、2.5、2.0、1.5、1.0、0.5またはそれ以下のpH、あるいはその中に誘導され得る範囲のpHをいう。酸性および中性pHで正に帯電されている親水性添加剤は、例えば、キトサンであってもよい。中性pHは約7.0のpHをいう。ある実施態様において、親水性添加剤は塩基性および中性pHで負に帯電されていてもよい。本願明細書で用いられる場合、塩基性pHは7.0より大きなpHをいう。ある実施態様において、「塩基性pH」は約または最低約7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、またはそれ以上のpH、あるいはその中に誘導され得る範囲のpHをいう。親水性添加剤は、ある実施態様において、酸性および中性pHで負に帯電されていてもよい。かかる添加剤は、例えば、トリポリリン酸ペンタナトリウム(TPP)などのホスフェートであってもよい。ある実施態様において、少なくとも1つの親水性添加剤は酸性および中性pHで正に帯電されている親水性添加剤であり、少なくとも1つの第二親水性添加剤はさらに酸性および中性pHで負に帯電されている親水性添加剤として定義される。ある実施態様において、本発明の粒子に使用される2つの親水性添加剤はキトサンおよびTPPである。
【0014】
本発明の粒子に用いることのできる添加剤の割合が本願明細書に記載されている。例えば、キトサン:TPPの割合は約5:9と約50:9(w/w)の間にある。ある実施態様において、キトサン:TPP:オピオイド受容体アンタゴニストの割合は約5:9:4と50:9:32(w/w/w)の間にある。ある実施態様において、キトサン:TPP:オピオイド受容体アンタゴニストの割合は約5:9:4と50:9:32(w/w/w)の間にある。ある実施態様において、キトサン:TPP:オピオイド受容体アンタゴニストの割合は約25:9:4と25:9:32(w/w/w)の間にある。ある実施態様において、キトサン:TPP:オピオイド受容体アンタゴニストの割合は約5:1.8:3.2(w/w/w)である。
【0015】
本発明の粒子は本願明細書に記載されるように腸溶性剤を含んでもよい。従って、本発明の粒子は腸溶性コーティング剤を含み、腸溶的に被覆された粒子を形成してもよい。上記したように、腸溶的に被覆された粒子は、本願明細書に記載されるような範囲にある、約30−1000nmの径を有していてもよい。ある実施態様において、腸溶的に被覆された粒子は、本願明細書に記載されるような範囲にある、約200−500nmの径を有する。腸溶的に被覆された粒子は、本願明細書に記載のポリマー、例えばオイドラギット(オイドラギット(登録商標))ポリマー(例えば、オイドラギット(登録商標)L100またはオイドラギット(登録商標)S100)を含んでもよい。腸溶性コーティング剤は、例えば、マイバセット(Myvacet)(登録商標)抽出のアセチル化単糖などのアセチル化単糖を含んでもよい。かかるアセチル化単糖類は当該分野にて公知であり、例えばマイバセット(登録商標)9−45を包含する。該試薬の組み合わせは本発明の腸溶性コーティング剤の範囲内に含まれる。例えば、オイドラギット(登録商標)およびマイバセット(登録商標)抽出のアセチル化単糖が本発明の腸溶的に被覆された粒子の腸溶性コーティング剤に含まれてもよい。腸溶的に被覆された粒子のメッシュフラクションは、ある実施態様において、約+40ないし+90メッシュフラクション(例えば、+40、+50、+60、+70、+80、+90またはその中で誘導される範囲)からの範囲にあってもよい。
【0016】
本発明の粒子を含む医薬組成物も本願明細書に記載されている。かかる医薬組成物は、典型的には、少なくとも1種の医薬上許容される担体を含む。本発明の粒子は懸濁液に含まれてもよく、本発明は本発明の粒子を含む医薬組成物(粒子が懸濁液に含まれている)をも意図する。粒子を含む医薬組成物は、さらには経口投与可能な医薬組成物として定義されてもよい。経口投与可能な医薬組成物は、ある実施態様において、懸濁液またはカプセルにて含まれていてもよい。経口投与可能な医薬組成物はさらにフレーバー剤を含んでもよい。本発明の粒子を含む医薬組成物はさらには、経時的にオピオイド受容体アンタゴニストを放出するように処方されている、持続放出性医薬組成物として定義されてもよい。医薬組成物に含まれる粒子は、ポリアニオン性添加剤(例えば、トリポリホスフェートペンタナトリウム)などの、本願明細書に記載の添加剤を含んでもよい。本発明の粒子を含む医薬組成物のもう一つ別の例は、限定するものではないが、複数のヘテロ粒状物質および少なくとも1つの医薬担体を含む医薬組成物であり、ここでヘテロ粒状物質の粒子は:(a)オピオイド受容体アンタゴニストを含む内側のより大きな粒子;および(b)少なくとも1つの界面活性剤および少なくとも1つの添加剤を含む、複数の外側のより小さな粒子であって、外側の粒子の平均粒径が、本願明細書に記載される範囲である、約100−500nmである。ある実施態様において、外側の粒子の平均粒径の範囲はより大きく、例えば約100−1000nmである。
【0017】
オピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子の製法もまた意図されるものである。例えば、本発明のある実施態様は、各粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含む1または複数の粒子の製法を意図とする。該方法は、例えば:(a)オピオイド受容体アンタゴニストを水に溶かし、オピオイド受容体アンタゴニスト溶液を形成し;(b)該オピオイド受容体アンタゴニスト溶液を第1添加剤を含む溶液に添加してオピオイド受容体アンタゴニスト/第1添加剤溶液を形成し;および(c)該オピオイド受容体アンタゴニスト/第1添加剤溶液を第2添加剤を含む溶液に添加し、その結果、複数の粒子が製造されることからなる。かかる方法はさらには、例えば、オピオイド受容体アンタゴニスト/第1添加剤溶液を添加している時に、第2添加剤を含む溶液を攪拌することを含んでもよい。ある実施態様において、かかる方法はさらには、(d)懸濁液を遠心分離に付し、そうして懸濁液の中の液体をオピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子より分離すること;(e)界面活性剤を除去すること;および(f)該粒子を凍結乾燥させることを含む。かかる方法はさらには該粒子を腸溶性コーティング剤にてカプセル化することを含んでもよい。腸溶性コーティング剤が本願明細書に記載されている。オピオイド受容体アンタゴニストは本願明細書に記載のいずれのオピオイド受容体アンタゴニストであってもよい。
【0018】
本願明細書に記載されるように、オピオイド受容体アンタゴニストを含む本発明の粒子は、ヘテロ粒状物質の粒子であってもよい。本発明は:(a)内側の、所望によってより大きくても、所望によってより小さくてもよいオピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子;および(b)外側の、所望によってより小さくても、または所望によってより大きくてもよい粒子を含む、ヘテロ粒状物質の粒子を意図とする。ヘテロ粒状物質の粒子は、少なくとも1つの界面活性剤および/または少なくとも1つの添加剤を含んでもよく、これらの語は本願明細書中に説明されている。ヘテロ粒状物質の粒子の粒径は30−1000nmの範囲またはそれ以上であり、その範囲は本願明細書に記載されている。ある実施態様において、ヘテロ粒状物質の粒子は外側の粒子が約100−500nmの間にある粒径を有し、その範囲は本願明細書に記載されている。ある実施態様において、ヘテロ粒状物質の粒子は外側の粒子が約100−1000nmの間にある粒径を有する。内側の、より大きな粒子は、マイクロ粒子としてさらに定義されてもよい。内側の粒子はナノ粒子であってもよい。パート(a)の内側の、より大きな粒子はさらには充填剤(loading agent)を含んでもよい。充填剤が本願明細書に記載されている。充填剤は、例えば、SiO2を含んでもよい。充填剤はさらには、例えば、エアロジル(AeRosil)(登録商標)200として定義されてもよい。ある実施態様において、内側のより大きな粒子は複数の外側粒子で被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストのコアを含んでもよい。ある実施態様において、一のヘテロ粒状物質の粒子の外側の粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含む。ある実施態様において、ヘテロ粒状物質の粒子の1または複数の外側のより小さな粒子を腸溶性コーティング剤として処方する。
【0019】
本発明の粒子は界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤が本願明細書に記載されている。例えば、界面活性剤はホスファチジルコリンを含んでもよい。ホスファチジルコリンは本願明細書に記載されている。界面活性剤は、例えば、エピクロン(EpikuRon)170(登録商標)であってもよい。界面活性剤はツゥーン(Tween)(登録商標)80などの非イオン性界面活性剤であってもよい。
【0020】
本発明の粒子は持続放出性剤を含んでもよい。持続放出性剤は本願明細書に記載されている。ある実施態様において、ヘテロ粒状物質の粒子の外側のより小さな粒子は、オピオイド受容体アンタゴニストを経時的に放出することを可能とする持続放出性剤で処方されている。かかる持続放出性剤は、例えば、ポリ(カプロラクトン)であってもよい。
【0021】
本発明のもう一つ別の一般的態様は:(a)1のより大きな粒子を含む内側相であって、より大きな粒子がオピオイド受容体アンタゴニストおよび充填剤を含む、内側相;および(b)複数のより小さな粒子を含む外側相であって、各小さな粒子がエピクロン170(登録商標)、ツィーン(登録商標)80、ポリ(カプロラクトン)ポリマーおよび/またはオイドラギット(登録商標)ポリマーを含む、外側相を含む、ヘテロ粒状物質の粒子を意図とする。
【0022】
オピオイド受容体アンタゴニストを含むヘテロ粒状物質の粒子の製法をも意図とする。かかる方法は、例えば、(a)複数の第1粒子を含む水性懸濁液を調製する工程;(b)オピオイド受容体アンタゴニストを含む少なくとも1つの第2粒子を複数の第1粒子を含む水性懸濁液に分散させる工程;および(c)工程(b)の生成物を噴霧乾燥させる工程、ここで第2粒子の粒径は複数の第1粒子の平均粒径よりも大きいこと、を含みうる。かかる方法はさらには、例えば、複数の第1粒子を含む水性懸濁液を濃縮する工程を含んでもよい。複数の第1粒子を含む水性懸濁液は、(a)少なくとも2種の界面活性剤で、一の界面活性剤が水溶液に溶かされている界面活性剤;(b)少なくとも2つの添加剤および(c)有機溶媒を含んでもよい。ある実施態様において、複数の外側粒子の平均粒径は約100−500nmであり、その範囲は本願明細書に記載されている。ある実施態様において、複数の外側粒子の平均粒径は約100−1000nmである。
【0023】
本発明の粒子の投与方法をも意図するものであり、かかる方法は本願明細書に記載されている。例えば、オピオイド受容体アンタゴニストおよび少なくとも1つの添加剤を含む粒子を患者に投与する方法を意図しており、ここでは粒子は(a)その範囲が本願明細書に記載されている、約30−1000nmの粒径を有する粒子;または(b)内側粒子と外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、ここで内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、その外側粒子の粒径がその範囲が本願明細書に記載されている約100−500nmである。ある実施態様において、外側粒子の粒径はより大きく、例えば約100−1000nmの間にある。本発明の粒子はかかる方法にて用いられていてもよい。本願明細書に記載されるように、かかる投与は、例えば、経口的に、脂肪内に、動脈内に、関節内に、皮内に、病巣内に、筋肉内に、鼻腔内に、眼内に、腹腔内に、胸膜内に、直腸内に、髄腔内に、気管内に、へその緒内に、静脈内に、膀胱内に、硝子体内に、リポソーム内に、局部的に、粘膜内に、非経口的に、直腸的に、結膜下的に、皮下的に、舌下的に、局所的に、経頬的に、経皮的に、クリームにて、脂質組成物にて、カテーテルを介して、洗浄を介して、持続注入を介して、注入を介して、吸入を介して、注射を介して、局部デリバリーを介して、局部的灌流を介して、標的細胞に直接曝すことを介して、またはそれらの組み合わせで行われていもよい。特定の実施態様において、投与は経口的に、静脈内に、または注射を介してなされる。ヘテロ粒状物質の粒子の外側粒子はさらには複数の外側粒子として定義されてもよい。粒子はオピオイド受容体アンタゴニストを経時的に放出するように処方されてもよい。
【0024】
本願明細書に記載の適当な方法を受ける患者または対象を以下に記載する。例えば、患者は便秘、不快、掻痒または尿閉を患っていてもよく、あるいはそれらに罹患している危険性があってもよい。ある実施態様において、患者は腸閉塞、術後腸閉塞、まひ性腸閉塞、分娩後腸閉塞、腹部手術希愛路に発症する胃腸障害、および突発性便秘より選択される障害を患っているか、または患っている危険がある。ある実施態様において、患者は血管形成に関連する癌、炎症性障害、免疫抑制、心血管障害、慢性炎症、慢性痛、鎌状赤血球貧血、血管損傷、網膜症、胆汁分泌の低下、膵臓分泌物の減少、胆道のけいれん、および胃食道逆流の増加より選択されるオピオイド受容体活性により媒介される障害を患っている。
【0025】
特定の実施態様において、本発明は少なくとも1つのオピオイド受容体アンタゴニストおよびキトサンを含む粒子を患者に投与することからなる方法を意図する。
【0026】
本発明の他の一般的態様は、オピオイド受容体アンタゴニストおよび少なくとも1つの添加剤を含む、有効量の本発明の粒子、例えば腸溶的に被覆された粒子を、オピオイドを投与する前に患者に経口投与することを含み、ここで例えば、腸溶的に被覆された粒子は(a)その範囲が本願明細書に記載されている、約30−1000nmの粒径を有する粒子;または(b)一の内側粒子および複数の外側粒子を有する一のヘテロ粒状物質の粒子であって、内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、外側粒子の各々が腸溶性物質を含み、その外側粒子の平均粒径の範囲が本願明細書に記載されている、約100−500nmであるところの、患者におけるオピオイド誘発の副作用を防止する方法を意図とする。ある実施態様において、外側粒子の平均粒径の範囲は、約100−1000nmの間のように、より大きい値である。オピオイド誘発の副作用は、例えば、腸運動阻害、胃腸障害、便秘、腸運動低下、閉塞、胃運動低下、胃運動阻害、胃内容排出の阻害、胃内容排出の遅延、不完全な排出、吐き気、嘔吐、皮膚の紅潮、腫脹、腹部膨満、発汗、不快、掻痒および尿閉より選択される少なくとも一つの作用を含むかもしれない。ある実施態様において、オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量は、オピオイド受容体アンタゴニスト水溶液の有効量に満たない。ある実施態様において、腸溶的に被覆された粒子などの、オピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子の有効量は、腸溶的に被覆された粒子に含まれない腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量に満たない。ある実施態様において、一の粒子に含まれない腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量は、さらには、(a)その範囲が本願明細書に記載される、大きさが約30−1000nmの粒子に含まれない腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量;または(b)一の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子に含まれない腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量であって、ここで内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、各々の外側粒子が腸溶性剤を含み、その外側粒子の平均粒径が約100−500nmであるところの有効量、のいずれかで定められる。ある実施態様において、外側粒子の平均粒径の範囲は、約100−1000nmの間のように、より大きい値である。
【0027】
本発明の粒子の容量が本願明細書に記載されている。本願明細書に記載の方法のある実施態様において、腸溶的に被覆された粒子などのオピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子の用量は、その範囲が本願明細書に記載される、約0.1−10mg/kg体重である。
【0028】
オピオイドを投与した後に、腸溶的に被覆された粒子などの、オピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子の有効量を投与、例えば経口投与することを含む、オピオイド誘発の副作用の処置方法も意図される。粒子は、例えば、(a)その範囲が本願明細書に記載されている、約30−1000nmの粒径を有する粒子;または(b)一の内側粒子と、複数の外側粒子とを有し、ここで内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、その外側粒子の平均粒径が、その範囲が本願明細書に記載記載されている、約100−500nmであるところの粒子のいずれであってもよい。ある実施態様において、外側粒子の平均粒径の範囲は、約100−1000nmの間のように、より大きい値である。ある実施態様において、オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量は、オピオイド受容体アンタゴニストの水溶液の有効量に満たない。ある実施態様において、オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量は、粒子に含まれない腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量に満たない。
【0029】
腹部手術の後で本発明の粒子を患者に投与することからなる胃腸障害の治療方法は、有効量のオピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子を患者に経口投与することを含む方法であって、該障害が治療され、粒子が(a)その範囲が本願明細書に記載される、約30−1000nmの粒径を有する粒子;または(b)一の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、その内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、その外側粒子の平均粒径が、その範囲が本願明細書に記載される、約100−500nmである、粒子である方法なども意図される。ある実施態様において、外側粒子の平均粒径の範囲は、約100−1000nmの間のように、より大きい値である。
【0030】
患者における胃腸運動の阻害を防止する方法は、手術により派生する痛みのためにオピオイドを患者に投与する前に、患者における胃腸運動の阻害を防止する方法などであって、有効量のオピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子などの本発明の粒子を患者に投与し、該粒子が(a)その範囲が本願明細書に記載される、約30−1000nmの粒径を有する粒子;または(b)一の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、その内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、その外側粒子の平均粒径が、その範囲が本願明細書に記載される、約100−500nmである、粒子である方法なども意図される。ある実施態様において、外側粒子の平均粒径の範囲は、約100−1000nmの間のように、より大きい値である。
【0031】
本発明のもう一つ別の一般的態様は、腸溶的に被覆された粒子などの、オピオイド受容体アンタゴニストを含む、有効量の本発明の粒子を患者に投与することからなる、手術により派生する痛みのためにオピオイドを投与する患者における胃腸運動の阻害を治療する方法を意図する。該粒子は、例えば、(a)その範囲が本願明細書に記載される、約30−1000nmの粒径を有する粒子;または(b)一の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、その内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、その外側粒子の平均粒径が、その範囲が本願明細書に記載される、約100−500nmである、粒子のいずれであってもよい。ある実施態様において、外側粒子の平均粒径の範囲は、約100−1000nmの間のように、より大きい値である。
【0032】
慢性オピオイド患者におけるオピオイド誘発の副作用を防止または治療する方法であって、有効量の、オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子などの、本発明の粒子を患者に投与することからなる方法も意図される。該粒子は、例えば、(a)その範囲が本願明細書に記載される、約30−1000nmの粒径を有する粒子;または(b)一の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、その内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、その外側粒子の平均粒径が、その範囲が本願明細書に記載される、約100−500nmである、粒子のいずれであってもよい。副作用は、例えば、胃運動阻害、胃腸障害、便秘、腸運動低下、閉塞、胃運動低下、胃運動阻害、胃内容排出阻害、胃内容排出遅延、不完全な排出、吐き気、嘔吐、皮膚の紅潮、腫脹、腹部膨満、発汗、不快、掻痒または尿閉である。
【0033】
ある実施態様において、オピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子が投与されても、オピオイド受容体アンタゴニストは実質的には胃で放出されない。本願明細書にて使用される、「オピオイド受容体アンタゴニストは実質的には胃で放出されない」とは、投与されたオピオイド受容体アンタゴニストの10%に満たない量が胃で放出される方法をいう。胃での薬物吸着の減少は、例えば、Cmax、TmaxおよびAUC(曲線下面積)などのHPLCを用いる血漿中薬物濃度によるなどの、当該分野にて周知の方法を用いて測定できる。例えば、Yuanら、1997およびYuanら、2000を参照のこと。
【0034】
本発明の一の態様に関して記載される実施態様は、本発明の別の態様にも同様に適用する。
【0035】
実施例のセクションでの実施態様は、本発明のすべての態様に適用可能な本発明の実施態様であると考えられる。
【0036】
「有効」なる語が明細書および/または特許請求の範囲にて用いられる場合、該語は所望の、期待されるまたは意図する結果を達成するのに相当であることを意味する。
【0037】
「治療上有効量」なる語は、症状、疾患または副作用を治療するために対象に投与された場合に、該症状、疾患または副作用に対するかかる治療を得るのに十分な量を意味する。
【0038】
「治療」または「治療する」は、(1)症状、疾患または副作用の病理または症候を経験するか、または示す対象または患者の症状、疾患または副作用を阻害すること(例えば、病理および/または症候のさらなる進行を停止させること)、(2)症状、疾患または副作用の病理または症候を経験するか、または示す対象または患者の症状、疾患または副作用を改善すること(例えば、病理および/または症候を逆転させること)、および/または (3)症状、疾患または副作用の病理または症候を経験するか、または示す対象または患者の症状、疾患または副作用を測定可能に減少させることを包含する。
【0039】
「防止」または「防止する」は、(1)症状、疾患または副作用の危険があるか、および/または掛かりやすいが、症状、疾患または副作用の病理または症候のいずれかまたはすべてを未だ経験していないまたは示していない、対象または患者における症状、疾患または副作用の発症を防止すること、および/または(2)症状、疾患または副作用の危険があるか、および/または掛かりやすいが、症状、疾患または副作用の病理または症候のいずれかまたはすべてを未だ経験していないまたは示していない、対象または患者における症状、疾患または副作用の発症を遅らせることを包含する。
【0040】
本願明細書で用いられる「患者」または「対象」なる語は、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモットまたはそのトランスジェニック種などの生きている哺乳動物をいう。ヒト対象は、成人、若者、子供、幼児および胎児であるが、限定されない。
【0041】
ある実施態様において、患者はオピオイド常習者である。したがって、本発明の態様は慢性オピオイド患者におけるオピオイド誘発性副作用の発生または再発を防止または減少させるのに有用である。慢性オピオイド患者は次の:癌患者、AID患者、または他の末期症状の患者のいずれであってもよい。慢性オピオイド患者はメタドンを服用している患者であってもよい。オピオイドの慢性使用は、当該分野では周知であるが、前にオピオイドを使用した結果、治療効果を得るのに実質的により高いレベルのオピオイドを必要とすることで特徴付けられる。オピオイドの慢性使用はまた、治療効果を得るのに、実質的により低いレベルのオピオイドアンタゴニストを必要とすることによっても特徴付けられる。本願明細書で用いるオピオイドの慢性使用は、1週間以上にわたって毎日、オピオイドで治療すること、または少なくとも2週間、間欠的にオピオイドを使用することを包含する。一の実施態様において、オピオイド常習者などの患者は下剤および/または便軟化剤を服用している。
【0042】
「医薬上許容される」とは、生物学的でなく、望ましくなくても、一般に安全で、かつ非毒性である医薬組成物の製造に有用であることを意味し、獣医的使用ならびにヒト医薬的使用にて許容されるものを包含する。
【0043】
「医薬上許容される塩」は、上記したように、医薬上許容され、所望の薬理活性を有する本発明の化合物の塩を意味する。従って、本発明の化合物の医薬上許容される塩は本願明細書において意図するものである。かかる医薬上許容される塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等などの無機酸;または1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、3−フェニルプロピオン酸、4,4'−メチレンビス(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、酢酸、脂肪族モノ−およびジ−カルボン酸、脂肪族硫酸、芳香族硫酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンフルスルホン酸、炭酸、シンナミン酸、クエン酸、シクロペンタンプロピオン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヒドロキシナフトエ酸、乳酸、ラウリル硫酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、シュウ酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、フェニル−置換アルカン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、teRt−ブチル酢酸、トリメチル酢酸などの有機酸で形成される酸付加塩を包含する。医薬上許容される塩はまた、無機または有機塩基と反応しうる酸性プロトンが存在する場合に形成されうる塩基付加塩を包含する。許容される無機塩基は水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムを包含する。許容される有機塩基はエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどを包含する。概して、塩が薬理学的に許容される限り、本発明の塩の一部を形成する特定のアニオンまたはカチオンは重大でないと認識されよう。医薬上許容される塩ならびにその製造および使用方法の例が、付加的に、Handbook of Pharmaceutical 塩:Properties, Selection and Use (P. H. Stahl & C. G. WeRmuth eds.、VeRlag Helvetica Chimica Acta、2002)に記載されており、その内容を出典明示により本願明細書の一部とする。
【0044】
本願明細書に記載の実施態様は本発明の方法または組成物に関して実施され得る、あるいはその逆と理解される。さらには、本発明の組成物は本発明の方法を実施するのに用いられ得る。
【0045】
本願明細書に記載の方法はスイス型の使用クレームを用いて記載されうると考えられる。
【0046】
特許請求の範囲における「または」なる語の使用は、代替手段のみをいうか、または該代替手段は相互排他的であると特記しない限り、「および/または」を意味するのに用いられる。
【0047】
本願明細書を通して、「約」なる語は、一の値がその値を決定するのに用いられる装置または方法の誤差の標準偏差を含むことを意図して使用される。
【0048】
長年にわたる特許法の運用によれば、「a」および「an」なる語は、「含む」なる語と一緒になって用いられる場合、特記しない限り、1または複数を意味する。
【0049】
「含む」、「有する」および「包含する」なる語は、制約のない連結動詞である。「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「包含する」および「包含している」などの1または複数のこれらの動詞の形態または時制も制約はない。例えば、1または複数の工程を「含む」、「有する」または「包含する」いずれの方法もこれらの1または複数の工程だけからなると限定されるのではなく、他の限定されない工程にも及ぶ。
【0050】
本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な記載から明らかになるであろう。しかしながら、本発明の精神および範囲の中で種々の変形および修飾は該詳細な説明の記載から当業者に明らかになるであろうから、本発明の特定の実施態様を示す例は単なる例示に過ぎないことが理解されよう。
【0051】
以下の図面は本発明の一部を形成するものであり、さらには本発明の特定の態様を示すことを意図とする。当該図面と発明の詳細な説明を一緒に参照することにより、発明がさらに理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】メチルナルトレキソン(MNTX)、N1−MNTXおよびN2−MNTXをラットに経口投与した後の所定の時間でのNMTXの血漿中濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
1.オピオイド受容体アンタゴニスト
本発明のオピオイド受容体アンタゴニストは、中枢および末梢的に作用する両方のオピオイド受容体アンタゴニストを包含する。ある実施態様において、末梢的に作用するオピオイド受容体アンタゴニストが意図される。
【0054】
オピオイド受容体アンタゴニストは、そのアンタゴニスト特性を維持しながら、構造が変化しうる一連の化合物を形成する。これらの化合物は、ノルオキシモルホン誘導体などの第三級および第四級モルフィン;ピペリジン−N−アルキルカルボキシレートなどのN−置換ピペリジン、第三級および第四級ベンゾモルファン、および第三級および第四級ノルモルフィナン誘導体、例えば6−カルボキシ−ノルモルフィナン誘導体を包含する。第三級化合物アンタゴニストはかなり脂溶性であり、血液脳関門を容易に横切る。血液脳関門を横切り、中枢的(および末梢的)に活性である、オピオイド受容体アンタゴニストは、例えば、ナロキソン、ナルトレキソン(その各々はBaxteR Pharmaceutical Products,Inc.より入手可能である)、およびナルメフェン (例えば、DuPont Pharmaより入手可能である)を包含する。一方、末梢的として制限されるアンタゴニストは、典型的には、帯電し、極性の、および/または高分子量のアンタゴニストである:これらの特性は、典型的には、血液脳関門の横切りを妨げる。メチルナルトレキソンは第三級オピオイド受容体アンタゴニスト、ナルトレキソンの第四級誘導体である。メチル基をナルトレキソンに添加することで、極性がより大きく、脂溶性の小さな化合物が形成される。かくして、メチルナルトレキソンは血液脳関門を横切らず、典型的には末梢に位置する受容体で媒介される望ましくない副作用を遮断する可能性がある。
【0055】
本発明の使用に適する末梢オピオイド受容体アンタゴニストは、式(I):
【化1】

[式中
Rはアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル置換アルキル、またはアリール置換アルキルであり、Xはクロリド、ブロミド、ヨーダイドまたはメチルサルフェートアニオンなどのアニオンである]
で示される第四級ノルオキシモルホンなどの第四級モルフィナン誘導体である化合物であってもよい。式(I)のノルオキシモルホン誘導体は、例えば、米国特許第4,176,186号(その内容を出典明示により本願明細書の一部とする)に記載の操作に従って調製されうる;また、米国特許第4,719,215号;第4,861,781号;第5,102,887号;第5,972,954号;および第6,274,591号;米国特許出願第2002/0028825号および第2003/0022909号;およびPCT公開番号WO99/22737およびWO98/25613(その内容を出典明示により本願明細書の一部とする)も参照のこと。
【0056】
式(I)の化合物は、式(II):
【化2】

[式中、X−は医薬上許容されるアニオンであってもよい]
で示される、Rがシクロプロピルメチルである、N−メチルナルトレキソン(または、単にメチルナルトレキソン)であってもよい。メチルナルトレキソンはμ−オピオイド受容体アンタゴニストナルトレキソンの第四級誘導体である。メチルナルトレキソンは塩(例えば、N−メチルナルトレキソンブロミド)として存在し、したがって、本願明細書で用いられる「メチルナルトレキソン」または「MNTX」はかかる塩を包含する。かくして、「メチルナルトレキソン」または「MNTX」は、限定されるわけではないが、具体的には、メチルナルトレキソンのブロミド塩、クロリド塩、ヨーダイド塩、カルボナート塩、およびサルファート塩を包含する。文献中、MNTXのブロミド塩について使用される名称は、例えば、メチルナルトレキソンブロミド;N−メチルナルトレキソンブロミド;ナルトレキソンメトブロミド;ナルトレキソンメチルブロミド;SC−37359;MRZ−2663−BR;およびN−シクロプロピルメチルノルオキシ−モルフィン−メトブロミドを包含する。式(I)の化合物はS−N−メチルナルトレキソンであってもよい。
【0057】
メチルナルトレキソンは、例えば、MallinckRodt Pharmaceuticals、St. Louis、MOより入手可能である。メチルナルトレキソンは白色結晶粉末、易水溶性、典型的にはブロミド塩として供給される。供給される化合物は逆相HPLCによれば99.4%の純度を有し、逆相HPLCによれば0.011%未満の非第四級化ナルトレキソンを含有する。メチルナルトレキソンは、例えば、約5mg/mLの濃度で滅菌溶液として調製され得る。
【0058】
他の適当な末梢オピオイド受容体アンタゴニストは、式(III)で示されるピペリジン−N−アルキルカルボキシレートなどのN−置換ピペリジンを包含してもよく;ここで
【化3】

[式中、R1は水素またはアルキル; R2は水素、アルキルまたはアルケニル;R3は水素、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル−置換 アルキル、シクロアルケニル−置換 アルキル、またはアリール−置換アルキル;R4は水素、アルキル、またはアルケニル;AはOR5またはNR6R7;ここでR5は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル−置換アルキル、シクロアルケニル−置換アルキル、またはアリール−置換アルキル;R6は水素またはアルキル;R7は水素、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル−置換アルキル、シクロアルケニル−置換アルキルまたはアリール−置換アルキル、またはアルキレン−置換Bあるいはその結合する窒素原子と一緒になって、R6およびR7はピロールおよびピペリジンから選択される複素環式環を形成し;Bは
【化4】

ここで、R8は水素またはアルキル;R9は水素、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル−置換アルキル、シクロアルケニル−置換アルキルまたはアリール−置換アルキル、あるいはその結合する窒素と一緒になって、R8およびR9はピロールおよびピペリジンより選択される複素環式環を形成し;WはOR10、NR11R12、またはOE;ここで、R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル−置換アルキル、シクロアルケニル−置換アルケニル、またはアリール−置換アルキル;R11は水素またはアルキル;R12は水素、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル−置換アルキル、シクロアルケニル−置換アルキル、アリール−置換アルキル、またはアルキレン−置換C(=O)、あるいはその結合する窒素と一緒になって、R11およびR12はピロールおよびピペリジンより選択される複素環式環を形成し;Eは
【化5】

アルキレン−置換(C=O)D、または-R13OC(=O)R14;ここで、R13はアルキル−置換アルキレン;R14はアルキル;DはOR15またはNR16R17;ここで、R15は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル−置換アルキル、シクロアルケニル−置換アルキル、またはアリール−置換アルキル;R16は水素、アルキル、アルケニル、アリール、アリール−置換アルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル−置換アルキル、またはシクロアルケニル−置換アルキル;R17は水素またはアルキル、あるいはその結合する窒素原子と一緒になって、R16およびR17はピロールまたはピペリジンからなる群より選択される複素環式環を形成し;YはOR18またはNR19R20;ここで、R18は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル−置換アルキル、シクロアルケニル−置換アルキル、またはアリール−置換アルキル;R19は水素またはアルキル;R20は水素、アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキル−置換アルキル、シクロアルケニル−置換アルキル、またはアリール−置換アルキル、あるいはその結合する窒素原子と一緒になって、R19およびR20はピロールおよびピペリジンより選択される複素環式環を形成し;R21は水素またはアルキル;およびnは0ないし4である。
【0059】
適当な例のN−置換 ピペリジンは、限定されるものではないが、米国特許第5,270,328号;第6,451,806号;および第6,469,030号(それらの内容を出典明示により本願明細書の一部とする)に開示されているように調製されうる。かかる化合物は中程度の高分子量であり、両性イオンの形態であって、極性であり、血液脳関門の浸透を防止する。
【0060】
特定のピペリジン−N−アルキルカルボニレートとして、以下の式(IV)で示されるアルビモパン(alvimopan)などのN−アルキルアミノ−3,4,4−置換ピペリジンが挙げられる。
【化6】

【0061】
アルビモパンはAdolor Corp., Exton, PAより入手可能である。
【0062】
さらに別の適当な末梢オピオイド受容体アンタゴニスト化合物は、第四級ベンゾモルファン化合物を包含する。第四級ベンゾモルファン化合物は式(V):
【化7】

[式中、R1は水素、アシル、またはアセトキシ;およびR2はアルキルまたはアルケニル;Rはアルキル、アルケニル、またはアルキニル、およびXはクロリド、ブロミド、ヨーダイド、またはメチルサルファートアニオンである]
で示される。
【0063】
本発明の方法にて用いることのできるベンゾモルファン化合物の特定の第四級誘導体は、式(V)の以下の化合物:2'−ヒドロキシ−5,9−ジメチル−2,2−ジアリル−6,7−ベンゾモルファニウム−ブロミド;2'−ヒドロキシ−5,9−ジメチル−2−n−プロピル−2−アリル−6,7−ベンゾモルファニウム−ブロミド;2'−ヒドロキシ−5,9−ジメチル−2−n−プロピル−2−プロパルギル−6,7−ベンゾモルファニウム−ブロミド; および 2'−アセトキシ−5,9−ジメチル−2−n−プロピル−2−アリル−6,7−ベンゾモルファニウム−ブロミドを包含する。
【0064】
本発明の方法にて用いることのできる、他の第四級ベンゾモルファン化合物は、例えば、米国特許第3,723,440号(その内容を出典明示により本願明細書の一部とする)に記載されている。
【0065】
他の末梢オピオイドアンタゴニストは、6−カルボキシ−ノルモルフィナン誘導体、特に米国公開出願第2008/0064744(その内容を出典明示により本願明細書の一部とする)に記載される、N−メチル−C−ノルモルフィナン誘導体を包含し、以下の式(VI):
【化8】

で示される化合物が挙げられる。
【0066】
他の末梢オピオイドアンタゴニストは、米国公開出願2006/0105046(出典明示により本願明細書の一部とする)に記載されるように、オピオイドアンタゴニストのポリマーコンジュゲートを包含する。具体的なポリマーコンジュゲートはPEG化ナロキソンおよびナルトレキソンを包含する。
【0067】
本発明はまた1種以上のオピオイド受容体アンタゴニストの投与を包含する。μ−オピオイド受容体アンタゴニストの組み合わせ、およびμ−およびκ−アンタゴニストの組み合わせ、例えば、メチルナルトレキソンおよびアルビモパンの組み合わせを含め、オピオイド受容体アンタゴニストの組みあ合わせも包含する。
【0068】
II.本発明の粒子
本発明の粒子は、少なくとも1つのオピオイド受容体アンタゴニストからなる。本発明の粒子の特定の特性を以下に記載する。
【0069】
A.粒子の特性
上記したように、粒子は1の型の粒子のみからなっていてもよく(「ホモ粒状物質」)、または粒子は2またはそれ以上の型の粒子(「ヘテロ粒状物質」)からなっていてもよい。したがって、「粒子」なる語はホモ−およびヘテロ粒状物質の粒子の両方を包含する。粒子の「型」とは、特定のセットの成分を含む粒子をいう。かくして、2つの異なる型の粒子は2つの異なるセットの成分(例えば、1の粒子はオピオイド受容体アンタゴニストを含み、1の粒子は含まない)を有するであろう。2つの成分が同じ成分を含有する場合、成分の割合が異なるとしても、2つの粒子はなおも同じ「型」であると考えられる。
【0070】
粒子は2またはそれ以上の粒子を含んでもよく、該粒子は、それでも、2またはそれ以上の粒子が同じ型である、ホモ粒状物質の粒子である。例えば、粒子が大きさの異なる2つの粒子を含む場合、各粒子の成分は同じであるが、該粒子はホモ粒状物質の粒子である。粒子が2またはそれ以上の粒子を含み、2またはそれ以上の粒子が異なる型である場合、粒子の大きさに拘わらず、該粒子はヘテロ粒状物質の粒子である。いずれにおいても、2またはそれ以上の粒子が互いに物理的に接触し、一緒になってユニットのように見える場合、該ユニットもまた、一の粒子であると考えられる。
【0071】
ある実施態様において、1の粒子は単一の粒子を含んでいてもよい。ある実施態様において、1の粒子が2またはそれ以上の粒子を含んでもよい。従って、「粒子」なる語は、1個だけの粒子を有する粒子、および2個またはそれ以上の粒子を有する粒子を包含する。2個またはそれ以上の粒子を含む粒子に関して、内側粒子および外側粒子があってもよい。例えば、内側粒子はその内側粒子の表面に見られる、「外側」粒子である1個または複数の粒子と物理的に接触してもよい。ある実施態様において、複数の外側粒子は内側粒子を被覆する。本願明細書にて用いる場合、「被覆」とは、複数の外側粒子が内側粒子の約90%、最大で約90%、または最小で約90%の表面に認められることをいう。ある実施態様において、「被覆」とは、複数の外側粒子が内側粒子の約、最大で約、または最小で約90%、95%、99%またはそれ以上の、あるいはその数値より誘導可能な範囲でその表面に認められることをいう。
【0072】
概して、粒子はホモ粒状物質の粒子またはヘテロ粒状物質の粒子のいずれであってもよく、その粒子はホモ粒状物質の粒子またはヘテロ粒状物質の粒子のいずれであってもよく;あるいは粒子は2個またはそれ以上の粒子を含んでいてもよく、その2個またはそれ以上の粒子は、各々、ホモ粒状物質の粒子またはヘテロ粒状物質の粒子、またはその組み合わせであってもよい。
【0073】
以下の図面は、限定するものではないが、本発明の粒子の断面を示すものであり、個々のサークルは粒子を表わし、A−Sの各々は粒子であって、各粒子は同じ型であってもよく、異なる型であってもよい。これらの図面は拡大したものではなく、単に例示を目的としたものである。粒子は必ずしも球である必要はない。
【化9】

【0074】
本願明細書に記載の粒径は、特記しない限り、本願明細書に記載のいずれの型の粒子にも当てはまる。例えば、ホモ粒状物質の粒子、ヘテロ粒状物質の粒子、またはホモ粒状物質の粒子、ヘテロ粒状物質の粒子を製造する粒子は、各々、本願明細書に記載の粒径を有してもよく、あるいは複数の粒子の場合には、その大部分が本願明細書に記載の数値の平均粒径を有していてもよい。本願明細書に記載の複数の粒子はすべて、略同じ大きさの粒径を有してもよく、あるいは一緒になって平均粒径を有してもよい。
【0075】
ある実施態様において、本発明の粒子の粒径 (または複数の粒子の平均粒径)は約30−1000nmである。ある実施態様において、粒径は約、最大約、または最小約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990または1000nmまたはそれ以上、あるいは本願明細書から誘導できる範囲である。ある実施態様において、粒子の粒径は300μm未満、または約300μm未満である。ある実施態様において、粒径は300、275、250、200、150、100、75、50、10、1、0.75、0.50、0.25、0.1、0.01または0.001μm未満、あるいはその約数値未満であるか、あるいは本願明細書にて誘導される範囲未満である。ある実施態様において、粒子の粒径は300μm未満、または約300μm未満で、1nmよりも大きい(例えば、約300、200、100、75、50、25、10、1、0.1または0.010μm未満で約1nmよりも大きいか、または本願明細書にて誘導される範囲である)。複数のかかる粒子が用いられる場合、複数の粒子の平均粒径はこの段落に記載されている値であろう。
【0076】
ある実施態様において、粒子は内側粒子の表面上に見られる外側粒子を含んでもよい。典型的には、複数の外側粒子は表面上に認められ、ある実施態様においては、複数の外側粒子が個々の内側粒子を被覆する。ある実施態様において、内側および外側粒子は同じ成分を含み、そのために該粒子はホモ粒状物質の粒子である。ある実施態様において、内側粒子は外側粒子と異なる成分を含み、そのために該粒子はヘテロ粒状物質の粒子である。ある実施態様において、内側および/または外側粒子はさらにマイクロ粒子またはナノ粒子(以下に定義)として定められる。ある実施態様において、粒子は、個々のより大きな内側粒子の表面に認められるより小さな外側粒子を含んでもよく、典型的には、複数のより小さな粒子が個々のより大きな内側粒子を被覆する。ある実施態様において、外側粒子の粒径は約、最大約、または最小約100−500nmの範囲にある。例えば、外側粒子の粒径は約、最大約、または最小約100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500nm、または本願明細書より誘導されるいずれの範囲であってもよい。別の実施態様において、外側粒子の粒径の範囲は、約、最大約、最小約100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、525、550、575、600、625、650、675、700、725、750、775、800、825、850、875、900、925、950、975または1000nm、あるいは本願明細書にて誘導される範囲などのように、大きくなってもよい。複数の外側のより小さいな粒子が内側のより大きな粒子を被覆する実施態様において、複数の外側のより小さな粒子の平均粒径が約100−500nmの範囲にあり、この範囲は上記のとおりである。ある実施態様において、より大きな外側粒子が個々のより小さな内側粒子の表面上に認められる。ある実施態様において、複数のより大きな粒子が個々のより小さな内側粒子の表面に認められる。ある実施態様において、複数のより大きな粒子は個々の内側のより小さな粒子の表面を被覆し、ここで「被覆」の意味は上記したとおりである。
【0077】
ある実施態様において、本発明の粒子はマイクロ粒子である。マイクロ粒子は約0.1−100μmの粒径を有する粒子として定めされる。ある実施態様において、マイクロ粒子の粒径は約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7. 0.8、0.9、1、1.5、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100μm、あるいは本願明細書より誘導可能な範囲である。ある実施態様において、粒子は1個のマイクロ粒子を含むだけである。ある実施態様において、粒子は複数のマイクロ粒子を含むまたは含有するだけである。ある実施態様において、マイクロ粒子はホモ粒状物質の粒子に含まれてもよい。ある実施態様において、マイクロ粒子はヘテロ粒状物質の粒子に含まれてもよい。ある実施態様において、マイクロ粒子よりも小さいな粒径を有する少なくとも1つの粒子が、マイクロ粒子の表面に確認される。ある実施態様において、複数のより小さな外側粒子がマイクロ粒子を被覆する。ある実施態様において、1個または複数のより大きな外側粒子がマイクロ粒子を被覆する。
【0078】
ある実施態様において、本発明の粒子はナノ粒子である。ナノ粒子は約1−100nmの粒径を有する粒子として定めされる。ある実施態様において、ナノ粒子の粒径は約1、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100nm、あるいは本願明細書より誘導可能な範囲である。ある実施態様において、粒子は1個のナノ粒子を含むだけである。ある実施態様において、粒子は複数のナノ粒子を含むまたは含有するだけである。ある実施態様において、ナノ粒子はホモ粒状物質の粒子に含まれてもよい。ある実施態様において、ナノ粒子はヘテロ粒状物質の粒子に含まれてもよい。ある実施態様において、複数のナノ粒子が内側粒子を被覆する。ある実施態様において、複数のより小さな外側ナノ粒子がより大きな内側粒子を被覆する。ある実施態様において、ホモ−またはヘテロ粒状物質の粒子の内側粒子がナノ粒子であり;さらには、ある実施態様において、1個または複数のより大きなまたは小さな粒子がかかるナノ粒子の表面にあってもよい。例えば、複数のより大きなまたは小さな粒子がナノ粒子の表面を被覆してもよい。
【0079】
粒径はマイクロ−およびナノ−粒子について記載されている径に及んでもよい(例えば、本願明細書に記載される範囲としての約30−1000nm)。
【0080】
B.添加剤
種々の添加剤を本発明の粒子に用いることができる。添加剤は1または複数の様式にて特徴付けることができる。ある実施態様において、ポリマー添加剤が用いられてもよい。ある実施態様において、多糖類が用いられてもよい。ホモ多糖類および/またはヘテロ多糖類、ならびに種々の分子量(例えば、10,000−150,000g/モル)が意図される。多糖類の例として、キトサンおよびセルロース(例えば、微結晶セルロース)が挙げられるが、限定されるものではない。ある実施態様において、疎水性添加剤が用いられてもよい。疎水性添加剤は、40ダイン/cmに満たない表面エネルギーを有する添加剤として定められる。疎水性添加剤の例として、メタクリル酸コポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロース アセテート、エチルセルロース (EC)、ヒドロキシプロピル メチル−セルロースアセテートスクシナート(HPMCAS)およびセルロースアセテート フタレート(CAP)が挙げられるが、これらの限定されない。ある実施態様において、親水性添加剤も意図される。親水性添加剤は40ダイン/cm以上の表面エネルギーを有する添加剤として定められる。特定の親水性添加剤は酸性および中性のpHで正に帯電され、ある親水性添加剤は酸性および中性のpHで負に帯電されている。親水性添加剤の例として、例えば、キトサンおよび/またはトリポリホスフェート(例えば、トリポリリン酸ペンタナトリウム、TPP)などのポリホスフェートが挙げられるが、これに限定されない。親水性添加剤はまた、ポリカチオン性および/またはポリアニオン性のいずれであってもよい。ポリアニオン性添加剤の一例がTPPなどのポリホスフェートである。ポリアニオン性添加剤のもう一つ別の例がデキストランサルファートである(Sarmentoら、2007)。
【0081】
複数の添加剤が粒子に配合されている場合、粒子中の添加剤の割合は大きく変化しうる。例えば、粒子中の一の添加剤の別の添加剤に対する割合は1:1から1:100,000w/wまでの範囲にある。ある実施態様において、w/w割合は1:1、1:1.5、1:2、1:2.5、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:25、1:50、1:100、1:250、1:500、1:750、1:1000、1:1500、1:2000、1:2500、1:3000、1:3500、1:4000、1:4500、1:5000、1:5500、1:6000、1:6500、1:7000、1:7500、1:8000; 1:8500; 1:9000、1:9500、1:10,000、1:25,000、1:50,000、1:75,000または1:100,000、または本願明細書より誘導可能な範囲にある。ある実施態様において、該割合は1:1である。ある実施態様において、該割合は1:10w/wである。例えば、2種の添加剤が粒子に配合される場合、2種の添加剤の間の割合は1:1から1:100,000、または上記したような本願明細書より誘導可能な範囲にある。3種の添加剤A、BおよびCが配合される場合、そのA:B:Cのw/w/wの割合は1:1:1から1:100,000:1ないし1:100,000:100,000ないし100,000:1:1ないし100,000:100,000:1ないし100,000:1:100,000ないし1:1:100,000、または上記したような本願明細書より誘導可能な範囲にある。ある実施態様において、該割合は1:1:10 w/w/wである。4種またはそれ以上の添加剤が本発明の粒子内に含まれる場合、該割合は同様に調整され得る。
【0082】
さらには、1種以上の添加剤が粒子中に配合される場合、本願明細書に記載の添加剤の組み合わせが使用されてもよい。他党および親水性添加剤が利用されてもよい。疎水性添加剤および親水性添加剤が利用されてもよい。ポリカチオン性および/またはポリアニオン性添加剤が相互に、または本願明細書に記載の他の添加剤と組み合わされてもよい。これらの添加剤の割合は本願明細書に記載のいずれの割合であってもよい。さらには、一の添加剤を、本願明細書に記載されるような、1または複数の界面活性剤、腸溶性剤、持続放出性剤または充填剤と組み合わせてもよい。
【0083】
添加剤のオピオイド受容体アンタゴニストの割合は大きく変化させてもよい。例えば、該範囲は9:4ないし9:32の添加剤:アンタゴニスト(w/w)の範囲であってもよい。該範囲は9:1ないし9:128 w/wのように広げることができる。ある実施態様において、w/w割合は1.8:3.2である。
【0084】
界面活性剤も本発明の特定の粒子にて用いることができる。界面活性剤は当該分野にて周知である。界面活性剤の例として、非イオン性、カチオン性およびアニオン性界面活性剤が挙げられるが、これに限定されない。特定の実施態様において、非イオン性界面活性剤として、ツィーン(登録商標)80が挙げられる。他の非イオン性ツィーン(登録商標)製品も意図され得る。ある実施態様において、エピクロン170(登録商標)などのホスファチジルコリン界面活性剤が用いられてもよい。卵、大豆または他の植物原料より得られるもの、あるいは部分的または全部が合成であるもの、または可変脂質鎖長および不飽和のものを含め、ホスファチジルコリンは、本発明にて用いるのに適している。ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、水素化ソイホスファチジルコリン(HSPC)、ソイホスファチジルコリン(soy PC)、エッグホスファチジルコリン(egg PC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、水素化エッグホスファチジルコリン(HEPC)、ジエライドイルホスファチジルコリン(DEPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)およびジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)を含む、合成、半合成および天然製品のホスファチジルコリンが、本発明に用いるのに適するホスファチジルコリンである。これらの物質はすべて市販されている。界面活性剤の組み合わせを用いてもよい。その上、本願明細書に記載の界面活性剤はいずれも、本願明細書を通して開示されている1または複数の添加剤、ポリマーまたは腸溶剤、持続放出性物質または充填剤と組み合わせることができる。
【0085】
C.腸溶性、持続放出性および充填性剤
本発明の粒子は腸溶的に被覆されていてもよい。腸溶性コーティング剤は、医薬が小腸に到達する前に医薬が放出されることを防止または阻害する。特に、腸溶性コーティング剤は、典型的には約3.0に満たない(例えば、約3.0、2.5、2.0、1.5、または1未満、または本願明細書から誘導可能な範囲)pHの胃の酸性条件よりもpHの高い条件下で優勢的に溶解する。例えば、腸溶性コーティング剤は約3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5またはそれ以上、あるいは本願明細書から誘導可能な範囲のpHで溶解または部分的に溶解しうる。
【0086】
腸溶性コーティング剤は当該分野にて周知であり、メタクリル酸コポリマー、セルロースアセテート、スチロールマレイン酸コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテートおよびシェラック(shellac)を包含する。腸溶性コーティング剤としての目的に用いることができる他のポリマーは、オイドラギット(登録商標)、例えばアニオン性オイドラギット(登録商標)コポリマー(例えば、オイドラギット(登録商標)l100およびオイドラギット(登録商標)S100)を包含する。腸溶性コーティング剤はまた、アセチル化単糖、例えばマイバセット(登録商標)抽出のアセチル化単糖(例えば、マイバセット5−07、7−07、9−08および9−45)などの他の物質を含んでもよい。以下に記載の腸溶性剤を含む、当該分野にて公知の腸溶性剤の組み合わせもまた、意図される。腸溶性剤は、本願明細書に記載される、1または複数の添加剤、ポリマー、界面活性剤、持続放出性剤および/または充填剤と組み合わされてもよい。腸溶性コーティング剤は腸溶的に被覆された粒子の完全な粒子を被覆する必要はなく:ある実施態様において、腸溶性コーティング剤は粒子の少なくとも約90%、95%、99%または100%を被覆する。ある実施態様において、腸溶性コーティング剤は粒子の100%を被覆する。
【0087】
適当な腸溶性コーティング剤はまた、例えばM米国特許第4,311,833号;第4,377,568号;第4,457,907号;第4,462,839号;第4,518,433号;第4,556,552号;第4,606,909号;第4,615,885号;第4,670,287号;第5,536,507号;第5,567,423号;第5,591,433号;第5,597,564号;第5,609,871号;第5,614,222号;第5,626,875号;および第5,629,001号に記載されており、そのすべてを出典明示により本願明細書の一部とする。
【0088】
他の代表的な腸溶性剤は、アルキルおよびヒドロキシアルキルセルロースおよびその脂肪族エステル、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、ヒドロキシエチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシナート;カルボキシアルキルセルロースおよびその塩、例えば、カルボキシメチルエチルセルロース;セルロースアセテートフタレート;セルロースアセテートトリメリテート、ポリカルボキシメチレンおよびその塩ならびに誘導体;ポリビニルアルコールおよびそのエステル(例えば、ポリビニルアセテートフタレート);ナトリウムホルムアルデヒドカルボキシレートとのポリカルボキシメチレンコポリマー;アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、例えば、メタクリル酸−メチルメタクリル酸コポリマーおよびメタクリル酸−メチルアクリル酸コポリマー;落花生油、パーモ油、オリーブ油などの食用油および硬化植物油;ポリビニルピロリドン;ポリエチレングリコールおよびそのエステル;およびシェラックおよびゼインなどの天然の生成物を包含する。
【0089】
他の腸溶性剤はポリビニルアセテートエステル、例えば、ポリビニルアセテートフタレート;エチルアセチレート−無水マレイン酸コポリマーの部分エチレングリコールモノメチルエーテルエステルまたはメチルアクリレート−無水マレイン酸コポリマーのジエチレングリコールモノメチルエーテルエステルなどのコポリマーのアルキレングリコールエーテルエステル、N−ブチルアセチレート−無水マレイン酸コポリマー、イソブチルアクリレート−無水マレイン酸コポリマーまたはエチルアクリレート−無水マレイン酸コポリマー;および胃環境における分解に対して耐性を有するポリペプチド、例えば、ポリアルギニンおよびポリリジンを包含する。他の適当な腸溶性剤ならびにかかる製剤の製造および使用方法は当業者に周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 19th ed. (1995) Mack Publishing Company, Easton, Pa.;出典明示により本明細書の一部とする)。
【0090】
本発明の特定の粒子は、オピオイド受容体アンタゴニストの持続放出性剤のために処方されてもよい。持続放出性剤は当該分野にて周知であり、かかる処方は添加剤、ポリマーおよび/または腸溶性剤、界面活性剤または充填剤を含んでもよい。例えば、種々の分子量のポリ(カプロラクトン)(例えば、30,000−90,000g/モル)がこの目的に利用されてもよい。米国公開出願番号2008/0113030(出典明示により本願明細書の一部とする)に記載の、タムスロシン(tamsulosin)などの非ポリマーを用いてもよい。持続放出性剤の組み合わせも意図される。
【0091】
充填剤を粒子の製造を容易にするのに用いてもよい。例えば、オピオイド受容体アンタゴニストを充填剤と組み合わせ、アンタゴニストおよび充填剤を含む粒子を生成してもよい。この場合、粒子にはアンタゴニストが「充填」されている。本発明の目的に適する充填剤は当該分野にて周知である。例えば、シリカ(SiO)を含む充填剤が用いられてもよい。アルキル(C5以下)修飾のシリカを用いてもよい。かかる製品は市販されている。充填剤の組み合わせもまた意図するところである。その上、充填剤を1または複数の添加剤、ポリマー、界面活性剤、腸溶性剤、または持続放出性剤と組み合わせてもよい。
【0092】
III.化学定義
「アルキル」は、飽和状態の、直鎖、分岐または環状の鎖長にて1ないし約10個の炭素原子を有する、一価の脂肪族炭化水素基をいい、その中の鎖のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションをいう。代表的なアルキル基は、限定されるものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを包含する。
【0093】
「低級アルキル」は炭素数1ないし約6のアルキル基をいう。
【0094】
「アルケニル」は少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有し、鎖長にて2ないし約10個の炭素原子を有する、一価の脂肪族炭化水素基をいい、その中の鎖のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションをいう。代表的なアルケニル基は、限定されるものではないが、ビニル、プロペニル、ブチニル、ペンテニル、ヘキセニルおよびヘプテニルを包含する。
【0095】
「アルキニル」は少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含有し、鎖長にて2ないし約10個の炭素原子を有する、一価の脂肪族炭化水素基をいい、その中の鎖のコンビネーションおよびサブコンビネーションをいう。代表的なアルキニル基は、限定されるものではないが、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルおよびヘプチニルを包含する。
【0096】
「アルキレン」は炭素数1ないし約6の二価の脂肪族炭化水素基をいい、その中の鎖のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションをいう。アルキレン基は直鎖、分岐鎖、または環状であってもよい。アルキレン基に沿って1個または複数の酸素、硫黄または置換されていてもよい窒素原子が挿入されていてもよく、ここで窒素置換基は上記したアルキル基である。
【0097】
「アルケニレン」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含有する二価のアルキレン基をいい、直鎖、分岐鎖、または環状であってもよい。代表的なアルケニレン基は、限定されるものではないが、エテニレン(−CH=CH−)およびプロペニレン(−CH=CHCH−)を包含する。
【0098】
「シクロアルキル」は約3ないし約10個の炭素原子を有する飽和状態の単環または二環炭化水素環をいい、その中の鎖のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションをいう。シクロアルキル基は1個または複数のシクロアルキル基の置換基で置換されていてもよい。代表的なシクロアルキル基は、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよび シクロヘプチルを包含する。
【0099】
「アシル」はアルキル−CO基を意味し、ここでアルキルは上記したとおりである。代表的なアシル基は、限定されるものではないが、アセチル、プロパノイル、2−メチルプロパノイル、ブタノイルおよびパルミトイルを包含する。
【0100】
「アリール」は約6個ないし約10個の炭素原子を含有する芳香族炭素環部分をいい、その中の鎖のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションをいう。アリール基は所望により1個または2個あるいはそれ以上のアリール基の置換基で置換されていてもよい。代表的なアリール基は、限定されるものではないが、フェニルおよびナフチルを包含する。
【0101】
「アリール−置換アルキル」は、所望により置換されていてもよいアリール環で、好ましくは所望により置換されていてもよいフェニル環で末端炭素が置換されている線状アルキル基、好ましくは低級アルキル基をいう。代表的なアリール−置換アルキル基は、例えば、フェニルメチル、フェニルエチル、および 3−(4−メチルフェニル)プロピルを包含する。
【0102】
「複素環」は、約4ないし約10員の単環または多環式環系の複素環部分をいい、その中の環のすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションをいう。ここで、環の1個または複数の環原子は炭素以外の元素、例えば窒素、酸素または硫黄である。複素環基は芳香族であっても、非芳香族であってもよい。代表的な複素環基は、例えば、ピロールおよびピペリジン基を包含する。
【0103】
「ハロ」はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードをいう。
【0104】
本発明の方法にて使用される化合物(例えば、オピオイド受容体アンタゴニスト)は、1個または複数の非対称に置換された炭素または窒素原子を含有してもよく、光学活性形態またはラセミ形態にて単離されてもよい。かくして、特定の立体化学または異性体の形態が具体的に示されない限り、キラル、ジアステレオマー、ラセミ形態、エピマー形態およびすべての幾何異性体の形態のすべての構造物を意図とする。化合物はラセミ体およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在してもよい。本発明の化合物のキラル中心は、IUPAC 1974 Recommendationによって規定されるように、S−またはR−配置を有する。化合物は、例えば、D−またはL−形態のいずれであってもよい。かかる光学活性な形態を如何に調製し、かつ単離するかは周知である。例えば、立体異性体の混合物は、限定されないが、ラセミ形態の分割、順相、逆相およびキラルクロマトグラフィー、優先的塩形成、再結晶などを含む、標準的技法により、あるいは標的キラル中心の意図的な合成により分離され得る。
【0105】
加えて、本発明の化合物を構成する原子は、かかる原子のすべての同位体を包含することを意図とする。本願明細書にて用いる同位体は、原子番号は同じであるが、質量数が異なる、原子を包含する。限定されることなく、一般的な例によれば、水素の同位体は三重水素および二重水素であり、炭素の同位体は13Cおよび14Cを包含する。
【0106】
本発明の化合物はその塩を包含する。本願明細書にて使用される「塩」なる語は、無機および/または有機酸および塩基で形成される酸性および/または塩基性塩であると理解される。両性イオン(内部塩)は、アルキルアンモニウム塩などの第四級アンモニウムであるとして、本願明細書で使用される「塩」なる語に含まれると解される。ある実施態様は、本願明細書に記載の非毒性の医薬上許容される塩を意図とするが、他の塩は、例えば、単離工程または精製工程にて有用であるかもしれない。塩は、限定されるものではないが、ナトリウム、リチウム、カリウム、アミン、酒石酸塩、クエン酸塩、ハロゲン化水素物、リン酸塩などを包含する。
【0107】
本発明の方法にて用いられる化合物はプロドラッグの形態にて存在してもよい。本願明細書に用いられる「プロドラッグ」は、かかるプロドラッグが対象に投与されると、インビボにて活性薬物に代謝され、あるいはインビボにて本発明の方法にて用いられる他の化合物に代謝される活性な親薬物または化合物を放出する、共有結合の担体を包含することを意図とする。プロドラッグは医薬の多数の望ましい性質(例えば、溶解性、生物学的利用能、製造など)を強化することが知られているため、本発明の方法にて利用される化合物は、所望により、プロドラッグの形態にてデリバリーされてもよい。かくして、本発明は本発明の化合物のプロドラッグならびにプロドラッグをデリバリーする方法をも意図とする。本発明にて用いられる化合物のプロドラッグは、一般的操作またはインビボにて、親化合物にクリーブされるように、化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製されてもよい。
【0108】
したがって、プロドラッグは、例えば、該プロドラッグが患者に投与されると、クリーブし、各々が遊離ヒドロキシル、遊離アミノまたはカルボン酸を形成する、ヒドロキシ、アミノまたはカルボキシ基がいずれかの基に結合している、本願明細書に記載の化合物を包含する。他の例は、限定されないが、アルコールおよびアミン官能基のアセテート、ホルメートおよびベンゾエート誘導体;アルキル、炭素環、アリール、およびアルキルアリールエステル、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、フェニル、ベンジルおよびフェネチルエステルなどを包含する。
【0109】
IV.投与方法および他の製剤
本発明の医薬組成物は、医薬上許容される担体に溶解または分散させた、1または複数の物質(例えば、本発明の粒子)または付加的な薬剤の有効量を含む。少なくとも1つの候補物質または付加的な活性成分を含有する医薬組成物の調製は、Remington's Pharmaceutical Sciences、18th Ed. Mack Printing Company、1990(出典明示により本願明細書の一部とする)に記載されるように、従来技術を考慮して当業者に明らかであろう。その上、動物(例えば、ヒト)に投与する場合、製剤は、FDA Office of Biological Standardにより要求されるような、滅菌性、発熱性、一般的安全性および純度の基準を満たすべきことを理解するであろう。
【0110】
本願明細書に記載されるように、「医薬上許容される担体」は、当業者に知られている、いずれかの、およびすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、界面活性剤、酸化防止剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延化剤、塩、防腐剤、薬剤、薬物安定化剤、ゲル、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、フレーバー剤、色素、そのような物質およびそれらの組み合わせを包含する(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、1289-1329頁、1990を参照のこと)。ただし、従来の担体が活性成分と非混和的であることを除く限りにおいて、その治療または医薬組成物における使用は意図される。
【0111】
候補物質は、それが固体、液体またはエアロゾル形態にて投与されるかどうか、かかる投与形路のために滅菌する必要があるかどうかに応じて、種々の型の担体を含みうる。本発明の粒子は、単独で、または組成物(例えば、医薬組成物)に含まれるものとして、当業者に公知である(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences、1990)ように、経口的に、脂肪内に、動脈内に、関節内に、頭蓋内に、皮内に、病巣内に、筋肉内に、鼻腔内に、眼内に、心膜内に、腹腔内に、胸膜内に、前立腺内に、直腸内に、髄腔内に、気管内に、へその緒内に、膣内に、静脈内に、膀胱内に、硝子体内に、リポソーム内に、局部的に、粘膜内に、口腔内に、非経口的に、直腸的に、結膜下的に、皮下的に、舌下的に、局所的に、経頬的に、経皮的に、経膣的に、クリームにて、脂質組成物にて、カテーテルを介して、洗浄を介して、持続注入を介して、注入を介して、吸入を介して、注射を介して、局所デリバリーを介して、局部的灌流を介して、標的細胞に直接曝すことを介して、または他の方法、あるいはそれらの組み合わせで投与されてもよい。特定の実施態様において、本発明の粒子は、経口デリバリー用に処方されてもよい。ある実施態様において、筋肉内、静脈内、局所投与、または吸入投与が意図される。ある実施態様において、経口投与が意図される。上記したように、本発明の粒子を含む医薬組成物も意図され、かかる組成物は、上記した方法などの、当業者に公知の方法を介して投与に付されてもよい。
【0112】
特定の実施態様において、本発明の粒子またはかかる粒子を含む組成物は、ドラッグデリバリー装置を用いて対象に投与される。この点でドラッグデリバリー装置も意図されるものである。
【0113】
対象に投与される本発明の粒子に含まれるオピオイド受容体アンタゴニストの実際の投与量は、顧問医により、および患者の体重、症状の重度、治療されるべき疾患の種類、以前または現行の治療介入、突発性疾患などの物理的および生理学的要因により、および投与形路に基づいて決定され得る。投与に関与する実践者は、典型的には、組成物中の活性成分の濃度および個々の対象に対する適当な用量を決定するであろう。
【0114】
投与は、当業者が決定するが、必要ならば繰り返すことができる。このように、本願明細書に記載の方法のある種の実施態様においては、単回投与が考えられる。他の実施態様においては、2回またはそれ以上の投与も考えられる。1回より多くの用量が対象に投与される場合、投与の間隔は当業者によって決定されるいずれの間隔とすることもできる。例えば、投与の間隔は、約1時間ないし約2時間、約2時間ないし約6時間、約6時間ないし約10時間、約10時間ないし約24時間、約1日ないし約2日、約1週間ないし約2週間またはそれ以上、あるいはこれらの範囲内にある誘導可能な間隔であってもよい。
【0115】
ある実施態様において、医薬組成物を患者に連続的に供給することが望ましい。このことは、例えば、治療剤を連続的に投与することでなされる、カテーテル治療により行うことができる。該投与は術間または術後とすることができる。
【0116】
ある実施態様において、医薬組成物は、例えば、少なくとも約0.1%のオピオイド受容体アンタゴニストを含んでもよい。他の実施態様において、オピオイド受容体アンタゴニストは約2%ないし約75%の重量のユニット、または例えば約25%ないし約60%、および本願明細書の記載から誘導可能な範囲のユニットを含んでもよい。他の例で、限定されるものではないが、一の用量はまた、投与当たり、約10μg/kg/体重、100μg/kg/体重、200μg/kg/体重、350μg/kg/体重、500μg/kg/体重、1mg/kg/体重、5mg/kg/体重、10mg/kg/体重、50mg/kg/体重、ないし約100mg/kg/体重またはそれ以上、あるいは本願明細書の記載から誘導可能な範囲のオピオイド受容体アンタゴニストを含んでもよい。本願明細書の記載から誘導可能な範囲の一例として、限定されるものではないが、約0.1mg/kg/体重ないし約10mg/kg/体重の範囲が投与されてもよい。
【0117】
ある場合には、組成物は種々の酸化防止剤を含み、1または複数の成分の酸化を遅らせることもできる。加えて、微生物の作用の防止は、限定されるものではないが、パラベン(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン)、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールまたはそれらの組み合わせを含む、種々の抗菌剤および抗真菌剤などの保存剤によってももたらされ得る。
【0118】
粒子に含まれるオピオイド受容体アンタゴニストは、遊離塩基、天然または塩の形態にて、医薬組成物などの組成物に処方されてもよい。医薬上許容される塩は本願明細書に記載されている。
【0119】
担体を用いる実施態様において、かかる担体は、限定されるものではないが、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、脂質(例えば、トリグリセリド、植物油、リポソーム)およびその組み合わせを含む、溶媒または分散媒であってもよい。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング剤を用いることで;例えば、液体ポリオールまたは脂質などの担体中に分散させることで必要な粒度を維持することで;例えば、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤を用いることで、あるいはかかる方法を組み合わせることで維持され得る。例えば、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤、あるいはその組み合わせを含めることが好ましい。
【0120】
他の実施態様において、本発明においては、点眼、鼻用溶液またはスプレー、エアロゾルまたは吸入剤を用いてもよい。かかる組成物は、一般に、標的となる組織型と適合するように設計される。一例において、限定されるものではないが、鼻用溶液は、通常、滴剤またはスプレーにて鼻腔内に投与されるように設計される水溶液である。鼻用溶液は、多くの点において、鼻汁と同じように調製され、その結果として正常な繊毛活動が維持される。かくして、ある種の実施態様において、鼻水溶液は、通常、pHを約5.5ないし約6.5に維持するように等張であるか、あるいはわずかに緩衝化されている。加えて、必要ならば、眼用製剤に用いられる保存剤と同じ抗菌保存剤、薬物、または適当な薬物安定化剤が該処方中に含まれていてもよい。例えば、種々の市販の鼻用製剤が知られており、抗生物質または抗ヒスタミン剤などの薬物を含む。
【0121】
ある実施態様において、口腔経路などの投与用の候補物質が調製される。これらの実施態様において、固体組成物は、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル(例えば、ハードまたはソフトシェルゼラチンカプセル)、徐放性製剤、バッカル組成物、トローチ、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェハーまたはそれらの組み合わせからなってもよい。特定の実施態様において、懸濁液およびカプセルが考慮される。経口用組成物は食事の食べ物に直接組み入れられてもよい。ある実施態様において、経口投与用の担体は不活性希釈剤(例えば、グルコース、ラクトース、またはマンニトール)、吸収可能な食用担体またはそれらの組み合わせを含む。本発明の別の態様において、経口用組成物はシロップまたはエレキシルとして調製されてもよい。シロップまたはエレキシルは、例えば、少なくとも1つの活性成分、甘味剤、保存剤、フレーバー剤、色素、防腐剤またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0122】
ある実施態様において、経口用組成物は1または複数の結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、フレーバー剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。ある実施態様において、組成物は1種または複数の以下の:例えば、トラガカントガム、アカシア、コーンスターチ、ゼラチンなどの結合剤またはその組み合わせ;例えば、リン酸ジカルシウム、マンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、セルロース、炭酸マグネシウムなどの賦形剤またはその組み合わせ;例えば、コーンスターチ、ポテトスターチ、アルギン酸などの崩壊剤またはその組み合わせ;例えば、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤;例えば、シュークロース、ラクトース、サッカリンなどの甘味剤またはその組み合わせ;例えば、ペパーミント、ウィンターグリーン油、チェリーフレーバー、オレンジフレーバーなどのフレーバー剤;あるいは上記した物質の組み合わせを含んでもよい。投与単位形がカプセルである場合、上記した型の物質に加えて、液体担体などの担体を含んでもよい。他の種々の材料がコーティング剤として、あるいは投与単位の物理形態を修飾するために配合されてもよい。例えば、錠剤、ピルまたはカプセルは、シェラック、糖またはその両方で被覆されてもよい。
【0123】
滅菌注射可能な溶液は、必要な量の本発明の粒子を、上記した他の種々の成分と一緒に適当な溶媒に組み入れ、必要ならば、その後で滅菌処理を行うことで調製され得る。一般に、分散物は、種々の滅菌処理した活性成分を、主剤としての分散媒および/または他の成分を含有する、滅菌ビヒクルに組み入れることで調製される。滅菌注射可能な溶液、懸濁液またはエマルジョンを調製するための滅菌粉末の場合には、ある種の製法は、予め滅菌処理した液体媒から、活性成分の粉末の他に、付加的な所望の成分が得られる、真空乾燥または凍結乾燥方法を含んでもよい。液体媒は、必要ならば、適宜緩衝化されるべきであり、液体希釈剤(例えば、水)は、まず、注射の前に、十分なセイラインまたはグルコースで等張にされる。溶媒としてDMSOを用い、極端に迅速な浸透をもたらし、高濃度の活性成分を狭い面積にデリバリーすると推測される、直接注射するための高濃度の組成物の調製も考慮される。
【0124】
該組成物は製造および貯蔵の条件下で安定しており、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護される。エンドトキシン汚染は、最低限、例えば0.5ng/mg蛋白より低い、安全レベルで保持されることが認識されよう。
【0125】
特定の実施態様において、注射可能な組成物の長期にわたる吸収は、例えばモノステアリン酸アルミニウム、ゼラチンまたはその組み合わせなどの吸収を遅らせる物質を組成物にて用いることでもたらされうる。
【0126】
本発明の特定の実施態様は、具体的には、メチルナルトレキソンの水性製剤または溶液をいう。かかる水性製剤はキレート化剤、緩衝化剤、酸化防止剤、所望により等張剤を含んでもよく、pHは約3.0−3.5の間に調整されてもよい。
【0127】
併用療法
本発明の粒子に含まれるオピオイド受容体アンタゴニストの効能を強化または増強するために、該粒子は、オピオイド受容体活性により媒介される障害を撲滅および/または防止するもう一つ別の薬物などの、もう一つ別の療法と組み合わされてもよい。例えば、本発明の粒子は、効果的な量の第2オピオイド受容体アンタゴニストと組み合わせた量で提供されてもよい。加えて、本発明の粒子は、その内容を出典明示により本願明細書の一部とする、米国特許出願番号第2006/0258696号、PCT公開番号WO06/096626号、またはPCT公開番号WO07/053194号に記載の抗癌剤の有効量と組み合わせた量にて提供されてもよい。第2薬物は第2粒子に含まれてもよい。
【0128】
本発明の併用療法はインビトロまたはインビボにて用いることができると考えられる。これらの方法は、薬物を同時に、または薬物の別々の投与が所望の治療的有用性をもたらすような一定間隔の時間内に投与することを含む。このことは、細胞、組織または生物を組成物、例えば2種またはそれ以上の薬物を含む医薬上許容される組成物と接触させることにより、あるいは細胞を2種またはそれ以上の別個の組成物(一方の組成物が一の薬物を含み、他方がもう一つ別の薬物を含む)と接触させることにより達成されてもよい。
【0129】
本発明の粒子は他の薬剤に先行してもよく、並行してもよく、および/または数分から数週間に及び間隔でなされてもよい。薬剤が細胞、組織または生物に別々に適用される実施態様においては、一般に、各薬物のデリバリーの間で有効期間が終了せず、細胞、組織または生物に対して有利な組み合わせ効果を発揮しうることを確保する。例えば、このような場合には、一が細胞、組織または生物を、実質的に同時に(すなわち、約1分以内に)候補物質としての2,3または4以上のモダリティと接触させうると考えられる。他の態様において、1または複数の薬剤を、約1分、5分、10分、20分、30分、45分、60分、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、48時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、1、2、3、4、5、6、7 または8週間またはそれ以上、あるいは本願明細書の記載から誘導可能な範囲にて、候補物質を投与する前に、および/または後に投与してもよい。
【0130】
薬剤の種々の併用療法を用いてもよい。かかる併用療法の例は、限定されるものではないが、以下の通りであり、ここで本発明の粒子が「A」であり、第2オピオイド受容体アンタゴニストなどの第2薬剤が「B」である:
A/B/A B/A/B B/B/A A/A/B A/B/B B/A/A
A/B/B/B B/A/B/B B/B/B/A B/B/A/B
A/A/B/B A/B/A/B A/B/B/A B/B/A/A
B/A/B/A B/A/A/B A/A/A/B B/A/A/A
A/B/A/A A/A/B/A
【0131】
VI.実施例
以下の実施例は本発明の好ましい実施態様を説明するのに使用される。以下の実施例に開示されている技術が、本願発明者により見出された技術を示し、本発明を実施するのに十分に機能し、かくしてその実施における好ましいモードを構成すると考えることができることを当業者であれば認識するであろう。しかしながら、当業者は本発明の開示を考慮して、開示されている具体的な実施態様に多くの変化をもたらすことができ、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、同様または類似する結果を得ることもできる。
【0132】
これらの実施例の各々にて用いられる試薬は市販されている。
【0133】
実施例1
メチルナルトレキソンを含む粒子の製造
School of Pharmacy、University of Santiago de Compostela、SpainのAlonso labによって開発された操作を用いた(Calvoら、1997;Fernandez−Urrusunoら、1999)。
【0134】
メチルナルトレキソン(MNTX)(Mallinckrodt Chemicals、St. Louis、MO)を水に溶かし、ついでトリポリリン酸ペンタナトリウム(TPP)水溶液に組み入れた。高速磁気攪拌の下にキトサン水溶液を置き、MNTX含有のTPP溶液をゆっくりと該キトサン溶液に加えた。ついで、MNTX含有のナノ粒子が形成された。キトサン:TPP:MNTXの最終割合は約5/1.8/3.2(w/w/w)であった。MNTXナノ粒子を遠心分離操作により集め、上澄を捨て、残りのナノ粒子を凍結乾燥に付した。
【0135】
実施例2
メチルナルトレキソンを含む腸溶的に被覆された粒子の調製
腸溶的に被覆されたMNTXナノ粒子を、実施例1のナノ粒子をオイドラギット(登録商標)L100およびマイバセット(登録商標)9−45の混合物でカプセル化処理に付すことで調製した。例えば、米国特許第6,608,075号およびYuanら、2000(その各々を出典明示により本願明細書の一部とする)を参照のこと。最終物質は30−80メッシュのフラクションであり、それは60重量%のMNTXナノ粒子であった。United States Pharmacopoeia/National Formulary(The United States Pharmacopeia、1995)の方法に基づいて、胃中pHで薬物の放出が90%近く減少することがわかった。米国特許第6,608,075号およびYuanら、2000も参照のこと。
【0136】
実施例3
メチルナルトレキソンを含むヘテロ粒状物質の粒子の調製
Beckら、2004に記載されている方法に従った。外側粒子を調製するのに、エピクロン170(登録商標)(0.1532g)、ポリマー(ポリ(カプロラクトン)(PCL)(MW=60,000g/モル)またはオイドラギット(登録商標)S100)(1.0g)およびアセトン(267.0ml)を用いた。この有機相を、中程度に磁気攪拌しながら、ツィーン80(登録商標)(0.1532g)含有の水溶液(533.0ml)に加えた。該溶液を減圧下で蒸発させることで濃縮し、ついで最終容量をアセトンを用いて100mlに調整し、10mg/mlのポリマー濃度に対応させた。
【0137】
内側粒子を調製するのに、MNTX溶液(17mM、50mL)をエアロジル(登録商標)200(1.50g)に加えた。該混合物を小型噴霧乾燥機に供給し、MNTXコアを有する粒子を生成した(供給速度:3.0ml/分;気体流速:500NL/時間;噴霧空気圧:200kPa;入口温度:170±4℃;出口温度:110±4℃;ノズル径0.7mm)。
【0138】
被覆工程を次のように行った:MNTX粒子(1.5g)を磁気攪拌の下で外側粒子懸濁液(50mL)に速やかに分散させた。この混合物を噴霧乾燥させてヘテロ粒状物質の粒子を得た。ここで、該粒子は、内側粒子がMNTXを含み、その内側粒子を囲う外側粒子が腸溶性コーティング剤として適するポリマーを含んだ(噴霧乾燥条件:供給速度:3.0ml/分;気体流速:500NL/時間;噴霧空気圧:200kPa;入口温度:170±4℃;出口温度:110±4℃;ノズル径0.7mm)。
【0139】
このナノ粒子はpH依存性である。pH2.0(胃環境中のpH)で、薬物放出は極めて遅かった。pH7.4で、薬物放出は15分で略100%であった(The United States Pharmacopeia、1995)。
【0140】
実施例4
粒子投与に伴うインビボでの血漿中濃度の研究
略語:N1−MNTX=実施例2の粒子;N2−MNTX=PCLを用いる実施例3の粒子
【0141】
体重が200−300gの雄のWistar strainラットを用いた。群1のラット(n=6)は10mg/kgの標準的なMNTX(蒸留水中);群2のラット(n=7)は10mg/kgのN1−MNTX(蒸留水中);群3のラット(n=5)は10mg/kgのN2−MNTX(pH2の溶液中)を投与された。薬物を洗浄管を介して午前中に時間0で経口的に投与した。一群に6−8匹を用いた。
【0142】
血漿中MNTX濃度を測定するために、尾部静脈から血液サンプルを集めた。典型的には、サンプルを時間0から時間360分にわたって30分毎に集めた。血漿中MNTX濃度を以前より報告されている方法(Osinskiら、2002)を適用する高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)で決定した。血漿サンプルについての実際の検出限界は約2ng/mL(100pg/注射)であった。
【0143】
MNTX、N1−MNTXおよびN2−MNTXをラットに経口投与した後の血漿中MNTX濃度を図1に示す。MNTX粒子の製剤((N1−MNTXおよびN2−MNTX)の両方のMNTXのラットにおける血流への吸収は、水性MNTXの吸収と比べて極めて効率的であった。キトサン/TPP/MNTX製剤(N1−MNTX)はエピクロン170(登録商標)製剤(N2−MNTX)よりも効率的であることを明らかにしたが、共に粒状物質でないMNTXよりもずっと優れた行動を示した。これらの結果はメチルナルトレキソンおよび他のオピオイドアンタゴニストの粒子製剤がこれらの化合物の哺乳動物の中枢神経系への吸収を著しく増加させ、かくして血漿中の治療用濃度に達するのに要する用量を減少させることを示す。
【0144】
文献
米国特許第3,723,440号
米国特許第4,176,186号
米国特許第4,311,833号
米国特許第4,377,568号
米国特許第4,457,907号
米国特許第4,462,839号
米国特許第4,518,433号
米国特許第4,556,552号
米国特許第4,606,909号
米国特許第4,615,885号
米国特許第4,670,287号
米国特許第4,719,215号
米国特許第4,861,781号
米国特許第5,102,887号
米国特許第5,270,328号
米国特許第5,536,507号
米国特許第5,567,423号
米国特許第5,591,433号
米国特許第5,597,564号
米国特許第5,609,871号
米国特許第5,614,222号
米国特許第5,626,875号
米国特許第5,629,001号
米国特許第5,972,954号
米国特許第6,274,591号
米国特許第6,451,806号
米国特許第6,469,030号
米国特許第6,608,075号
米国公開出願2002/0028825
米国公開出願2003/0022909
米国公開出願2006/0105046
米国公開出願2006/0258696
米国公開出願2008/0064744
米国公開出願2008/0113030
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PCT出願 WO 06/096626
PCT出願 WO 07/053194
PCT出願 WO 98/25613
PCT出願 WO 99/22737
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Yuan ら、Clin. Pharmacol. Ther.、67:398−404、2000.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オピオイド受容体アンタゴニストおよび少なくとも1つの添加剤を含む粒子であって、該粒子の粒径が約30−1000nmである、粒子。
【請求項2】
少なくとも1つの添加剤がポリマーである、請求項1記載の粒子。
【請求項3】
粒子がホモ粒状物質の粒子である、請求項1記載の粒子。
【請求項4】
オピオイド受容体アンタゴニストが末梢オピオイドアンタゴニストである、請求項1記載の粒子。
【請求項5】
オピオイド受容体アンタゴニストが第四級または第三級モルフィン誘導体、ピペリジン−N−アルキルカルボキシレート、カルボキシ−ノルモルフィナン誘導体、または第四級 ベンゾモルファンである、請求項1記載の粒子。
【請求項6】
第四級モルフィナンがN−メチルナルトレキソン、N−メチルナロキソン、N−メチルナロルフィン、N−ジアリルノルモルフィン、N−アリルレベロルファン、またはN−メチルナルメフェンの第四級塩である、請求項5記載の粒子。
【請求項7】
末梢オピオイド受容体アンタゴニストがメチルナルトレキソンである、請求項5記載の粒子。
【請求項8】
粒子が2種のオピオイド受容体アンタゴニストを含む、請求項1記載の粒子。
【請求項9】
粒子中のオピオイド受容体アンタゴニスト全体の重量パーセントが約0.1−30%である、請求項1記載の粒子。
【請求項10】
少なくとも1つの添加剤が多糖を含む、請求項1記載の粒子。
【請求項11】
少なくとも1つの添加剤がポリフォスフェートである、請求項1記載の粒子。
【請求項12】
少なくとも1つの添加剤が疎水性添加である、請求項1記載の粒子。
【請求項13】
少なくとも1つの添加剤が親水性添加剤である、請求項1記載の粒子。
【請求項14】
粒子が少なくとも2種の親水性添加剤を含む、請求項13記載の粒子。
【請求項15】
1つの親水性添加剤が酸性および中性のpHで正に帯電されている、請求項13記載の粒子。
【請求項16】
酸性および中性のpHで正に帯電されている親水性添加剤がさらにはキトサンとして定められる、請求項15記載の粒子。
【請求項17】
1つの親水性添加剤が酸性および中性のpHで負に帯電されている、請求項13記載の粒子。
【請求項18】
酸性および中性のpHで負に帯電されている親水性添加剤がさらにはトリポリリン酸ペンタナトリウム(TPP)として定められる、請求項17記載の粒子。
【請求項19】
1つの親水性添加剤が酸性および中性のpHで正に帯電されている親水性添加剤であり、第2親水性添加剤がさらには酸性および中性のpHで負に帯電されている親水性添加剤として定められる、請求項14記載の粒子。
【請求項20】
酸性および中性のpHで正に帯電されている親水性添加剤の、酸性および中性のpHで負に帯電されている親水性添加剤に対する重量割合が2:1と8:1の間にある、請求項19記載の粒子。
【請求項21】
2種の親水性添加剤がさらにはキトサンおよび TPPとして定められる、請求項19記載の粒子。
【請求項22】
キトサン:TPP:オピオイド受容体アンタゴニストの割合が約5:9:4ないし50:9:32(w/w/w)の間にある、請求項21記載の粒子。
【請求項23】
キトサン:TPP:オピオイド受容体アンタゴニストの割合が約5:9:16ないし50:9:16(w/w/w)の間にある、請求項21記載の粒子。
【請求項24】
キトサン:TPP:オピオイド受容体アンタゴニストの割合が約25:9:4と25:9:32(w/w/w)の間にある、請求項21記載の粒子。
【請求項25】
キトサン:TPP:オピオイド受容体アンタゴニストの割合が約5:1.8:3.2(w/w/w)である、請求項21記載の粒子。
【請求項26】
オピオイド受容体アンタゴニストがメチルナルトレキソンである、請求項25記載の粒子。
【請求項27】
粒子が腸溶性コーティング剤にて含まれ、腸溶的に被覆された粒子を形成し、その腸溶的に被覆された粒子が約30−1000nmの粒径を有する、請求項1記載の粒子。
【請求項28】
腸溶性コーティング剤がオイドラギット(登録商標)ポリマーを含む、請求項27記載の粒子。
【請求項29】
オイドラギット(登録商標)ポリマーがさらにオイドラギット(登録商標)L100として定められる、請求項28記載の粒子。
【請求項30】
腸溶性コーティング剤がアセチル化単糖を含む、請求項27記載の粒子。
【請求項31】
アセチル化単糖がさらにマイバセット(登録商標)抽出のアセチル化単糖として定められる、請求項30記載の粒子。
【請求項32】
マイバセット(登録商標)抽出のアセチル化単糖がさらにマイバセット(登録商標)9−45として定められる、請求項31記載の粒子。
【請求項33】
腸溶性コーティング剤がオイドラギット(登録商標)ポリマーおよびマイバセット(登録商標)抽出のアセチル化単糖の両方を含む、請求項27記載の粒子。
【請求項34】
腸溶的に被覆された粒子中のオピオイド受容体アンタゴニスト全体の重量パーセントが約0.1−30%の範囲にある、請求項27記載の粒子。
【請求項35】
腸溶的に被覆された粒子のメッシュフラクションが約+40ないし+90メッシュフラクションの範囲にある、請求項27記載の粒子。
【請求項36】
請求項1の粒子と、医薬上許容される担体とを含む、医薬組成物。
【請求項37】
請求項1の粒子が懸濁液に含まれる、請求項36記載の医薬組成物。
【請求項38】
さらに、経口投与可能な医薬組成物として定められる、請求項36記載の医薬組成物。
【請求項39】
経口投与可能な医薬組成物が懸濁液またはカプセルにて含まれる、請求項38記載の医薬組成物。
【請求項40】
経口投与可能な医薬組成物がさらにフレーバー剤を含む、請求項38記載の医薬組成物。
【請求項41】
さらに持続放出性医薬組成物として定められ、該持続放出性医薬組成物が経時的にオピオイド受容体アンタゴニストを放出するように処方されている、請求項36記載の医薬組成物。
【請求項42】
請求項27に記載の腸溶的に被覆された粒子および医薬上許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項43】
オピオイド受容体アンタゴニストおよびキトサンを含む、粒子。
【請求項44】
粒子の粒径が約50ないし1000nmの範囲にある、請求項43記載の粒子。
【請求項45】
粒子の粒径が約200ないし500nmの範囲にある、請求項44記載の粒子。
【請求項46】
粒子が懸濁液にて含まれる、請求項43記載の粒子。
【請求項47】
粒子が腸溶的に被覆されている、請求項43記載の粒子。
【請求項48】
オピオイド受容体アンタゴニストがさらにメチルナトレキソンとして定められる、請求項43記載の粒子。
【請求項49】
さらにポリアニオン性添加剤を含む、請求項43記載の粒子。
【請求項50】
ポリアニオン性添加剤がさらにトリポリリン酸ペンタナトリウムとして定義される、請求項49記載の粒子。
【請求項51】
粒子が医薬上許容される担体と共に医薬組成物にて含まれる、請求項43記載の粒子。
【請求項52】
医薬組成物がさらに持続放出性医薬組成物として定められ、該持続放出性医薬組成物がオピオイド受容体アンタゴニストを持続的に放出するように処方される、請求項51記載の粒子。
【請求項53】
請求項1に記載の複数の粒子を製造する方法であって、各粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、
(a)オピオイド受容体アンタゴニストを水に溶かし、オピオイド受容体アンタゴニスト溶液を形成し;
(b)該オピオイド受容体アンタゴニスト溶液を第1添加剤を含む溶液に加え、オピオイド受容体アンタゴニスト/第1添加剤溶液を形成し;および
(c)該オピオイド受容体アンタゴニスト/第1添加剤溶液を第2添加剤を含む溶液に加え、それで複数の粒子を製造する
ことを含む、方法。
【請求項54】
オピオイド受容体アンタゴニスト/第1添加剤溶液を添加しながら、さらに第2添加剤を含む溶液を撹拌することを含む、請求項53記載の方法。
【請求項55】
さらに、
(d)該懸濁液を遠心分離に付し、そうしてその中にある液体をオピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子より分離し;
(e)上澄みを取り出し;および
(f)該粒子を凍結乾燥に付す
ことを含む、請求項53記載の方法。
【請求項56】
さらに、該粒子を腸溶性コーティング剤にてカプセル化することを含む、請求項53記載の方法。
【請求項57】
オピオイド受容体アンタゴニストがさらにメチルナルトレキソンとして定められる、請求項53記載の方法。
【請求項58】
(a)オピオイド受容体アンタゴニストを含む、内側のより大きな粒子;および
(b)少なくとも1つの界面活性剤 および 少なくとも1つの添加剤を含む、外側のより小さな粒子
を含み、外側粒子の粒径が約100−500nmの範囲にある、ヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項59】
オピオイド受容体アンタゴニストが第四級モルフィナンである、請求項58記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項60】
第四級モルフィナンがさらにメチルナルトレキソンとして定められる、請求項59記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項61】
内側のより大きな粒子がさらにマイクロ粒子として定められる、請求項58記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項62】
工程(a)の内側のより大きな粒子がさらに充填剤を含む、請求項58記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項63】
充填剤がSiOを含む、請求項62記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項64】
充填剤がさらにはエアロジル(登録商標)200として定められる、請求項63記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項65】
内側のより大きな粒子が複数の外側粒子で被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストのコアを含む、請求項62記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項66】
外側のより小さな粒子が腸溶性コーティング剤として処方されている、請求項65記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項67】
外側のより小さな粒子がオイドラギット(登録商標)ポリマーを含む、請求項66記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項68】
工程(b)の界面活性剤がホスファチジルコリンを含む、請求項58記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項69】
界面活性剤がさらにエピクロン170(登録商標)として定められる、請求項68記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項70】
工程(b)の界面活性剤がさらに非イオン性界面活性剤として定められる、請求項58記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項71】
非イオン性界面活性剤がさらにツィーン(登録商標)80として定められる、請求項70記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項72】
外側のより小さな粒子が、オピオイド受容体アンタゴニストを経時的に放出することを可能とする、持続放出性剤と一緒に処方される、請求項71記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項73】
持続放出性剤がさらにポリ(カプロラクトン)として定められる、請求項72記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項74】
(a)1つのより大きな粒子を含む内側相であって、より大きな粒子がオピオイド受容体アンタゴニストおよび充填剤を含む、内側相;および
(b)複数のより小さな粒子を含む外側相であって、各々のより小さな粒子がエピクロン170(登録商標)、ツィーン(登録商標)80、ポリ(カプロラクトン)ポリマーおよびオイドラギット(登録商標)ポリマーを含む、外側相
を含む、ヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項75】
オピオイド受容体アンタゴニストがさらにメチルナルトレキソンとして定められる、請求項74記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項76】
複数のより小さな粒子の粒径が約30−1000nmの範囲にある、請求項74記載のヘテロ粒状物質の粒子。
【請求項77】
複数のヘテロ粒状物質の粒子および少なくとも1つの医薬上許容される担体を含む、医薬組成物であって、該ヘテロ粒状物質の粒子が:
(a)オピオイド受容体アンタゴニストを含む1つの内側のより大きな粒子;および
(b)少なくとも1つの界面活性剤および少なくとも1つの添加剤を含む複数の外側のより小さな粒子
を含み、外側粒子の平均粒径が約100−500nmの間にある、医薬組成物。
【請求項78】
さらに、経口投与可能な医薬組成物として定められる、請求項77記載の医薬組成物。
【請求項79】
経口投与可能な医薬組成物が懸濁液またはカプセルに含まれる、請求項78記載の医薬組成物。
【請求項80】
経口投与可能な医薬組成物がさらにフレーバー剤を含む、請求項78記載の医薬組成物。
【請求項81】
さらに持続放出性医薬組成物として定められる医薬組成物であって、持続放出性医薬組成物がオピオイド受容体アンタゴニストを経時的に放出するように処方される、請求項77記載の医薬組成物。
【請求項82】
外側粒子が腸溶性コーティング剤として処方されている、請求項77記載の医薬組成物。
【請求項83】
外側粒子が、オピオイド受容体アンタゴニストを経時的に放出することを可能とするように持続性放出剤と一緒に処方されている、請求項77記載の医薬組成物。
【請求項84】
オピオイド受容体アンタゴニストを含む、ヘテロ粒状物質の粒子の製法であって、
(a)複数の第1粒子を含む水性懸濁液を調製する工程;
(b)オピオイド受容体アンタゴニストを含む少なくとも1つの第2粒子を複数の第1粒子を含む水性懸濁液に分散させる工程;および
(c)工程(b)の生成物を噴霧乾燥させる工程、
ここで第2粒子の粒径は複数の第1粒子の平均粒径よりも大きいこと、
を含む、方法。
【請求項85】
オピオイド受容体アンタゴニストがさらに第四級モルフィナンとして定められる、請求項84記載の方法。
【請求項86】
第四級モルフィナンがさらにメチルナルトレキソンとして定められる、請求項85記載の方法。
【請求項87】
複数の第1粒子を含む水性懸濁液を濃縮することをさらに含む、請求項84記載の方法。
【請求項88】
複数の第1粒子を含む水性懸濁液が
(a)少なくとも2つの界面活性剤であって、1つの界面活性剤が水溶液に溶かされている界面活性剤;
(b)少なくとも2つの添加剤;および
(c)有機溶媒
を含む、請求項84記載の方法。
【請求項89】
複数の外側粒子の平均粒径が約100−500nmである、請求項84記載の方法。
【請求項90】
オピオイド受容体アンタゴニストおよび少なくとも1つの添加剤を含む粒子を患者に投与することを含む方法であって、該粒子が
(a)粒径が約30−1000nmの粒子;または
(b)内側粒子および外側粒子を有する粒状物質の粒子であって、内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、ここで、外側粒子の粒径が約100−500nmである、方法。.
【請求項91】
オピオイド受容体アンタゴニストが、第四級または第三級モルフィン誘導体、ピペリジン−N−アルキルカルボキシレート、カルボキシ−ノルモルフィナン誘導体、または第四級ベンゾモルファンである、請求項90記載の方法。
【請求項92】
第四級モルフィナンがN−メチルナルトレキソン、N−メチルナロキソン、N−メチルナロルフィン、N−ジアリルノルモルフィン、N−アリルレベロルファン、またはN−メチルナルメフェンの第四級塩である、請求項91記載の方法。
【請求項93】
オピオイド受容体アンタゴニストがメチルナルトレキソである、請求項92記載の方法。
【請求項94】
投与が経口的に、脂肪内に、動脈内に、関節内に、皮内に、病巣内に、筋肉内に、鼻腔内に、眼内に、腹腔内に、胸膜内に、直腸内に、髄腔内に、気管内に、へその緒内に、静脈内に、膀胱内に、硝子体内に、リポソーム内に、局部的に、粘膜内に、非経口的に、直腸的に、結膜下的に、皮下的に、舌下的に、局所的に、経頬的に、経皮的に、クリームにて、脂質組成物にて、カテーテルを介して、洗浄を介して、持続注入を介して、注入を介して、吸入を介して、注射を介して、局部デリバリーを介して、局部的灌流を介して、標的細胞に直接曝すことを介して、またはそれらの組み合わせで行われる、請求項92記載の方法。
【請求項95】
投与が経口的に、静脈内に、または注射を介してなされる、請求項94記載の方法。
【請求項96】
(a)の粒子がさらに請求項27の腸溶的に被覆された粒子として定められる、請求項90記載の方法。
【請求項97】
(b)の外側粒子がさらに複数の外側粒子として定められる、請求項90記載の方法。
【請求項98】
(b)のヘテロ粒状物質の粒子が、さらに請求項66のヘテロ粒状物質の粒子として定められる、請求項90記載の方法。
【請求項99】
粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを経時的に放出するように処方されている、請求項90記載の方法。
【請求項100】
少なくとも1つの添加剤が親水性添加剤である、請求項90記載の方法。
【請求項101】
少なくとも1つの添加剤が多糖またはポリホスフェートを含む、請求項90記載の方法。
【請求項102】
少なくとも1つの添加剤がキトサンまたはトリホスフェートペンタナトリウムである、請求項101記載の方法。
【請求項103】
粒子が2種の親水性添加剤を含み、ここで第1親水性添加剤:第2親水性添加剤:オピオイド受容体アンタゴニストの割合が約5:9:4ないし50:9:32(w/w/w)の間にある、請求項100記載の方法。
【請求項104】
粒子がオイドラギット(登録商標)ポリマーを含む、請求項90記載の方法。
【請求項105】
約0.1−10mg/kgの範囲にある用量のオピオイド受容体アンタゴニストを投与することを含む、請求項90記載の方法。
【請求項106】
患者が便秘、不快、掻痒、または尿閉に罹患しているか、またはその危険性のある、請求項90記載の方法。
【請求項107】
患者が腸閉塞、術後腸閉塞、まひ性腸閉塞、分娩後腸閉塞、腹部手術の後で発症する胃腸障害および突発性便秘から選択される障害に罹患しているか、またはその危険性のある、請求項90記載の方法。
【請求項108】
患者が血管形成に関連する癌、炎症性障害、免疫抑制、心血管障害、慢性炎症、慢性痛、鎌状赤血球貧血、血管損傷、網膜症、胆汁分泌の低下、膵臓分泌物の減少、胆道のけいれん、および胃食道逆流の増加より選択されるオピオイド受容体活性により媒介される障害を患っている、請求項90記載の方法。
【請求項109】
少なくとも1つのオピオイド受容体アンタゴニストを含む粒子およびキトサンを含む粒子を患者に投与することを含む、方法。
【請求項110】
1つのオピオイド受容体アンタゴニストおよび少なくとも1つの添加剤を含む腸溶的に被覆された粒子の有効量をオピオイドを投与する前に患者に経口投与することを含む、患者におけるオピオイド誘発の副作用を防止する方法であって、該腸溶的に被覆された粒子が:
(a)約30−1000nmの粒径を有する1の粒子;または
(b)1の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、該内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、該外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、外側粒子の平均粒径が約100−500nmである、粒子
のいずれかである、方法。
【請求項111】
オピオイド誘発の副作用が、腸運動阻害、胃腸障害、便秘、腸運動低下、閉塞、胃運動低下、胃運動阻害、胃内容排出の阻害、胃内容排出の遅延、不完全な排出、吐き気、嘔吐、皮膚の紅潮、腫脹、腹部膨満、発汗、不快、掻痒および尿閉より選択される少なくとも一つの作用を含む、請求項110記載の方法。
【請求項112】
オピオイド受容体アンタゴニストが第四級モルフィナンである、請求項110記載の方法。
【請求項113】
第四級モルフィナンがさらにメチルナルトレキソンとして定められる、請求項110記載の方法。
【請求項114】
粒子がメチルナルトレキソンの持続放出を供給するように処方されている、請求項110記載の方法。
【請求項115】
粒子が医薬上許容される担体と一緒に医薬組成物中に含まれる、請求項110記載の方法。
【請求項116】
オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量が、オピオイド受容体アンタゴニストの水溶液の有効量に満たない、請求項110記載の方法。
【請求項117】
オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量が、腸溶的に被覆された粒子に含まれない腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量に満たない、請求項110記載の方法。
【請求項118】
1つの粒子に含まれない腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量が、さらに以下のいずれかとして定められる、請求項117記載の方法:
(a)約30−1000nmの粒径を有する1の粒子に含まれない腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量;または
(b)1の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子に含まれない腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量であって、該内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、該外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、外側粒子の平均粒径が約100−500nmである、腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量。
【請求項119】
オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量が約0.1−10mg/kg体重である、請求項110記載の方法。
【請求項120】
オピオイドの投与に続いて、オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量を患者に経口投与することを含む、オピオイド誘発の副作用の治療方法であって、粒子が、
(a)約30−1000nmの粒径を有する1の粒子;または
(b)1の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、該内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、該外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、外側粒子の平均粒径が約100−500nmである、粒子
のいずれかである、方法。
【請求項121】
オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量が、オピオイド受容体アンタゴニストの水溶液の有効量に満たない、請求項120記載の方法。
【請求項122】
オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量が、1つの粒子に含まれない腸溶的に被覆されたオピオイド受容体アンタゴニストの有効量に満たない、請求項120記載の方法。
【請求項123】
オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量を阻害を治療する患者に経口投与することを含む、腹部手術の後の胃腸障害を治療する方法であって、粒子が、
(a)約30−1000nmの粒径を有する1の粒子;または
(b)1の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、該内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、該外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、外側粒子の平均粒径が約100−500nmである、粒子
のいずれかである、方法。
【請求項124】
手術より派生する痛みのためにオピオイドを患者が摂取する前に、患者の胃腸運動の阻害を防止する方法であって、オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量を患者に投与し、ここで該粒子が、
(a)約30−1000nmの粒径を有する1の粒子;または
(b)1の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、該内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、該外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、外側粒子の平均粒径が約100−500nmである、粒子
のいずれかである、方法。
【請求項125】
手術より派生する痛みのためにオピオイドを摂取する患者の胃腸運動の阻害を治療する方法であって、オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量を患者に投与し、該粒子が、
(a)約30−1000nmの粒径を有する1の粒子;または
(b)1の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、該内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、該外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、外側粒子の平均粒径が約100−500nmである、粒子
のいずれかである、方法。
【請求項126】
慢性オピオイド患者におけるオピオイド誘発の副作用を防止または治療する方法であって、オピオイド受容体アンタゴニストを含む腸溶的に被覆された粒子の有効量を患者に投与することを含め、該粒子が、
(a)約30−1000nmの粒径を有する1の粒子;または
(b)1の内側粒子および複数の外側粒子を有するヘテロ粒状物質の粒子であって、該内側粒子がオピオイド受容体アンタゴニストを含み、該外側粒子の各々が腸溶性剤を含み、外側粒子の平均粒径が約100−500nmである、粒子
のいずれかである、方法。
【請求項127】
副作用が、腸運動阻害、胃腸障害、便秘、腸運動低下、閉塞、胃運動低下、胃運動阻害、胃内容排出の阻害、胃内容排出の遅延、不完全な排出、吐き気、嘔吐、皮膚の紅潮、腫脹、腹部膨満、発汗、不快、掻痒および尿閉である、請求項126記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−526898(P2011−526898A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516438(P2011−516438)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/047372
【国際公開番号】WO2010/002576
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(501242712)ザ ユニヴァーシティー オヴ シカゴ (19)
【Fターム(参考)】