説明

オフセットデータおよびサーボ領域を備えるパターン化磁気媒体を製造するための方法

【課題】本発明は、オフセットデータおよびサーボ領域を備えるパターン化磁気媒体を製造するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、パターン化磁気媒体を製造するための方法である。本方法は、別領域のパターニングに悪影響を及ぼす一領域へのパターニングを必要とせずに、データ領域およびサーボ領域の両方がパターン化されることを可能にする。本方法によって、パターン化されたデータ領域と、パターン化されたサーボ領域と、サーボ領域とデータ領域との間の中間領域と、が設けられる。前記中間領域は、互いに非対称になる可能性が高いが、それが必然ではなく、本方法が媒体をパターン化するため使用されたことを示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気データ記録に関し、特に、自己集合性データ領域(self assembled data region)および統合サーボパターン(integrated servo pattern)を備える磁気媒体を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの中心は磁気ディスクドライブと呼ばれるアセンブリである。磁気ディスクドライブは、回転磁気ディスクと、回転磁気ディスク表面近傍にあるサスペンションアームにより懸架される書き込み/読み取りヘッドと、サスペンションアームを揺動して回転ディスク上の選択された円形トラックの上に書き込み/読み取りヘッドを配設するアクチュエータとを含む。書き込み/読み取りヘッドは、エアベアリング表面(ABS:Air bearing surface)を有するスライダに直接接触して位置する。ディスクが回転していない場合、サスペンションアームはスライダにディスク表面と接触するようバイアスをかけるが、ディスクが回転している場合、回転するディスクによって空気が旋回する。スライダがエアベアリング上に乗る場合、書き込み/読み取りヘッドは、回転ディスクに磁気印加を書き込むことと、回転ディスクから磁気印加を読み取ることとに使用される。書き込み/読み取りヘッドは、書き込み/読み取り機能を実行するためのコンピュータープログラムにしたがって動作する処理回路に接続されている。
【0003】
書き込みヘッドは、少なくとも1つのコイルと、1つの書き込み極と、1つ以上の戻り極とを含む。コイルに電流が流れている場合、生じる磁界によって磁束を書き込み極を介して流し、その結果、書き込み極のチップから書き込み磁界が放射される。この磁界は、近傍の磁気ディスクの一部を局所的に磁化し、1ビットのデータを記録するのに十分な強度である。書き込み磁界は、その後、磁気媒体の軟磁性裏打ち層(magnetically soft under-layer)を介して進行し、書き込みヘッドの戻り極へ戻る。
【0004】
巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magnetoresistive)センサまたはトンネル接合磁気抵抗(TMR:Tunnel Junction Magnetoresistive)センサのような磁気抵抗センサは、磁気媒体から磁気信号を読むために使用することができる。センサは、非磁性導電層(センサがGMRセンサである場合)、または、薄膜で非磁性の電気的絶縁性バリア層(センサがTMRセンサである場合)を含み、この電気的絶縁性バリア層は、第1の強磁性層と第2の強磁性層との間に挟まれるものであり、以下では固定層(pinned layer)および自由層と呼ぶ。磁気シールドは、センサ積層体の上下に位置付けられ、第1および第2の電気的リード線としても機能することができるため、電流が自由層、スペーサ層および固定層の平面に対し垂直方向に進行する(電流垂直面(CPP:current perpendicular to the plane)動作モード)。固定層の磁化方向は、エアベアリング表面(ABS)に対し垂直方向に固定されており、自由層の磁化方向は、ABSに対し平行に位置するが、外部からの磁界に応じて自由に回転する。固定層の磁化は、典型的には反強磁性層との交換結合により固定される。
【0005】
固定層および自由層の磁化が互いに平行である場合、伝導電子の散乱(scattering)は最小化され、固定層および自由層の磁化が互いに反平行である場合、伝導電子の散乱は最大化される。読み取りモードでは、スピンバルブセンサの抵抗は、回転ディスクからの磁界の大きさに対しおおよそ直線的に変化する。センス電流がスピンバルブセンサを介して伝導する場合、抵抗変化が引き起こす電位変化が検知され、再生信号として処理される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
データ密度が増加するにつれ、データビット間の間隔はさらに小さくなる。このことは、近傍のビットが互いに消去しあうこと、さもなければ互いに悪影響を及ぼすことを誘発しうる。加えて、トラック上流(up-track)側もしくはトラック下流(down-track)側の近傍のビットからのデータ、または、近傍のデータのトラック上の近傍のビットからのデータは、互いの境界が不明瞭になり有効信号を読み返すことが難しくなる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、磁気データ記録用磁気媒体を製造するための方法を提供する。この方法は、データ領域およびサーボ領域を有するウェハを提供するステップと、次に、サーボ領域が第1のマスクによって保護されつつ、データ領域内にデータパターンをパターン化するステップとを含む。データ領域が第2のマスクによって保護されつつ、サーボ領域内にサーボパターンがパターン化される。
【0008】
本方法は、第1の領域および第2の領域を有するウェハを提供するステップと、第1のハードマスク材料層を堆積するステップと、第1のハードマスク層に第1のパターンをパターン化するステップとを含むことができる。第1の保護マスクをその後形成することができ、第1の保護マスクは、第2の領域の少なくとも一部を被覆し、第1の領域の少なくとも一部を露出したままにする。第1の材料除去工程は、その後実施され、ウェハにおいて、パターン化された第1のハードマスク材料層または第1の保護マスクによって保護されていない部分を除去し、第1の領域に凹状パターンを形成する。その後、第1の保護マスクを第1のハードマスク材料層と同様に除去することができる。第2のハードマスク材料層をその後堆積し、第2の保護マスクを形成することができ、第2の保護マスクは、第1の領域の少なくとも一部を被覆し、第2の領域の少なくとも一部を露出したままにする。第2のハードマスク材料層をその後パターン化することができ、第2の材料除去工程が実施され、ウェハのうち、パターン化された第2のハードマスク材料層または第2の保護マスクによって保護されていない部分を除去し、第2の領域に凹状パターンを形成する。
【発明の効果】
【0009】
本工程は、ウェハを、磁気ディスクに押し付けることによってそのディスクをパターン化してパターン化された媒体を形成するマスタダイ(master die)に形成するのに利用することができる。上記工程は、有利には、別領域のパターニングに悪影響を及ぼす一領域のパターニングを必要とせずに、サーボ領域およびデータ領域の両方をパターン化することを可能にする。
【0010】
本工程の結果、パターン化された磁気媒体は、パターン化されたデータ領域と、第1の側部および第2の側部を有するパターン化されたサーボ領域と、サーボ領域の第1の側部におけるサーボ領域とデータ領域との間にある第1の中間領域と、データ領域の第2の側部におけるサーボ領域とデータ領域との間にある第2の中間領域と、を有する。第1および第2の中間領域は、本発明に係る工程がディスクを製造するために利用されていることを示している。第1および第2の中間領域は、互いに非対称である可能性が高いが、それが必然ではない。
【0011】
これらの、および他の本発明の特徴および利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明を図面と併せ読むことによって明らかになるであろう。図面において同一の番号は各図を通して同一の要素を示す。
【0012】
本発明の本質および利点ならびに好ましい使用形態に対するより十分な理解のため、以下の詳細な説明を添付図面と併せて参照されたい。ただし、図面は縮尺どおりではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を例示するディスクドライブシステムの概略図である。
【図2】本発明の実施形態によって製造されるビットパターン化媒体を上から見た図である。
【図3】図2の円3から見た拡大図であり、パターン化されたデータトラックおよびパターン化されたサーボトラックを示す。
【図4】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図5】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図6】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図7】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図8】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図9】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図10】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図11】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図12】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図13】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図14】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図15】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図16】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図17】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図18】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【図19】製造の中間段階における磁気ディスクの一部を示す図であり、本発明の実施形態により磁気媒体/ディスクを製造するための方法を図解する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するために、現在考慮される最良の実施形態を以下に述べる。この記載は、本発明の一般的な原理を例示する目的でなされるものであり、本発明で請求する発明概念を限定することを意図しない。
【0015】
図1を参照すると、本発明を具体化するディスクドライブ100が示されている。図1に示すように、少なくとも1つの回転可能な磁気ディスク112は、軸114上に支持され、ディスクドライブモータ118によって回転する。各ディスク上への磁気記録は、磁気ディスク112上、同心のデータトラック(図示せず)の環状パターン形状をとる。
【0016】
少なくとも1つのスライダ113が、磁気ディスク112近傍に位置付けられ、各スライダ113は、1つ以上の磁気ヘッドアセンブリ121を支持する。磁気ディスクが回転すると、スライダ113は、ディスク表面122上方を半径方向内側および外側へ移動し、磁気ヘッドアセンブリ121は、所望のデータが書き込まれている磁気ディスクの異なるトラックへアクセスすることができる。各スライダ113は、サスペンション115を介してアクチュエータアーム119に取り付けられる。サスペンション115は、ディスク表面122に対してスライダ113にバイアスをかける軽微なばね力を提供する。各アクチュエータアーム119は、アクチュエータ手段127に取り付けられる。図1に示すアクチュエータ手段127は、ボイスコイルモータ(VCM:voice coil motor)であってもよい。VCMは、固定の磁界内で移動可能なコイルを備え、コイルの移動方向および移動速度は、制御部129によって供給されるモータ電流信号によって制御される。
【0017】
ディスク記憶システムの動作中、磁気ディスク112の回転により、スライダ113とディスク表面122との間にエアベアリングが生成され、スライダに上向きの力または揚力(lift)を及ぼす。エアベアリングは、このようにサスペンション115の軽微なばね力を平衡させて、通常動作の間、小さく実質的には一定間隔で、スライダ113をディスク表面から離してわずかに上方の位置で支持する。
【0018】
ディスク記憶システムの様々な構成要素は、動作中、アクセス制御信号および内部クロック信号のような制御部129によって生成される制御信号により制御される。典型的には、制御部129は、論理制御回路と、記憶手段と、マイクロプロセッサとを含む。制御部129は、ライン123上には駆動モータ制御信号、またライン128上にはヘッド位置制御信号およびシーク制御信号といった制御信号を生成し、様々なシステムの動作を制御する。ライン128上の制御信号は、所望の電流プロファイルを提供し、ディスク112上の所望のデータトラックへスライダ113を最適に動かし位置付ける。書き込み/読み取り信号は、記録チャネル125を介して、書き込み/読み取りヘッド121へ、および書き込み/読み取りヘッド121から、通知される。
【0019】
データ密度への要求が高くなればなるほど、データのトラックの間隔および個々のデータのビットの間隔を共に、さらに密にしていくことが必要になる。ビットのサイズならびにトラック間隔およびビット間隔を小さくすればするほど、近傍トラックの干渉が問題になる。データのビットを互いに区別することがより一層困難になり、さらに、近傍のデータのビットまたは近傍のデータのトラックに不注意に書き込むことなく、1ビットのデータに書き込むことが非常に困難になる。
【0020】
この問題を軽減する方法の一つとして、製造中に媒体をパターン化することがある。例えば、トラック間隔を溝部になるように凹部としつつ、データトラックが隆起するよう媒体をエッチングすることができる。このことは物理的にトラック同士を分離し、トラック同士を区別することが、より簡単になる。これはパターン化されたトラック媒体と呼ぶことができる。加えて、個々のデータのビットは、凹部または溝部により、個々のデータのビットからみてトラック上流(up-track)側またはトラック下流(down-track)側のビットと物理的に分離されるように、同様にパターン化することができる。これはビットパターン化媒体と呼ぶことができる。トラックを分離する溝部は、結果として、同心の円環として現れるが、個々のビットを分離する溝部は、ディスク中心から半径方向に放射する線に類似している。
【0021】
しかし、記録システムを適切に動作させるために、ディスクに記録されたデータトラックに加え、ディスクはさらに、サーボトラックを含む必要があり、サーボトラックは、任意の時点における磁気ヘッドのディスク上方での半径方向位置を決定するために使用されるものである。これらのサーボトラックは、(後述するように)データトラックとは非常に異なる外観であり、サーボ領域は、ディスク中心から外側へ向かって延在する曲線状のスポーク(spoke)として構成される。サーボトラックが、データトラックとは完全に異なる方向へ延在し、データトラックとは完全に異なるパターンを有するため、今までディスク上にこれらの特徴の両方を作成するための実用的な方法がなかった。本発明は、ディスク上にサーボトラックおよびデータトラックの両方を有効にパターン化する方法を提供することより、この課題を解決する。
【0022】
図2は、本発明の実施形態に係る磁気ディスク202を上から見た図である。図2において、分かるように、ディスク202は、データトラック204の同心の円環で構成される。データトラック204は、図2に破線として示され、実際には個々の隆起したビットであり同心のデータの円環状に配列されることを表す。さらに、図2において分かるように、ディスク202は、ディスク202の中心から延在する曲線部分として配列されるサーボトラック206を含む。これらサーボトラック領域206の曲線形状は、アクチュエータアームによりスライダがディスクを横断して移動した時にスライダがディスク上方に作る弓状軌道に類似している。
【0023】
図3は、図2の円3から見たディスク202の一部の拡大図を示し、データトラック204内部にありデータトラック204を横断しているサーボトラック206の一部を示す。図3において、データトラック204が個々のパターン化されたビット302から作られることが分かる。データトラック204およびデータビット302のうちの2つのみに符号を付したが、これらの符号が図3に示す他の類似のデータトラックおよび他の類似のデータビットのすべてに当てはまることが理解されるべきである。データビット302は、図3として示すページ面から外へ延在するであろう隆起部分として形成される。
【0024】
また、図3に示される磁気媒体202は、サーボトラック206を含んでいる。サーボトラック206の一方の側部には、所望の間隔で離れるように配置される一連のタイミングトラック306を含むタイミングトラックセクション304があり、タイミングトラック306は、信号処理ソフトウェアが、データトラック領域の上方でのスライダの速度およびタイミングをサーボ情報領域310に到達する前に設定することを可能にする。サーボ情報トラック領域は、一連の隆起するサーボ情報ビット312を含み、この一連のサーボ情報ビットは、信号処理エレクトロニクスがディスク媒体202上方のスライダの位置を決定することを可能にするように構成される。
【0025】
さらに分かるように、媒体202はまた、サーボトラックのいずれの側部にも非情報領域314、316を含み、これらの領域314、316が、図3において影状に示されている。これらの領域314、316は、非対称である可能性が高いが、それが必然ではなく、これらの領域314、316のうちの一方が他方より幅広くなっている可能性が高い。これらの領域314、316は、パターン化されたビットまたはビットの残余を含んでいてもよいが、サーボ情報としても記録情報としても実際の意味を持たなくてもよい。これらの領域314、316は、実際には、サーボトラック206およびデータトラック204が磁気媒体上にパターン化されることを効果的に行うことができる工程の副産物である。この方法はさらに以下に記述される。
【0026】
図4から図19は、本発明の実施形態により磁気媒体を製造するための方法を図解する。特に図4について、磁気ディスク上へ情報パターン(データおよびサーボ)をインプリントするためのダイ(die)またはインプリントツール(imprint tool)になるウェハ402が提供される。ウェハ402は、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)によりエッチングすることができる硬質材料(RIEable material)であることが好ましい。この目的を達成するために、ウェハはシリコンから作成可能である。第1のハードマスク層404は、ウェハ上に堆積され、第1のフォトレジスト材料層406は、ハードマスク層404上に堆積される。ハードマスク層404は、反応性イオンエッチングによって除去することができる、Crまたはそのような材料の多層積層体を材料とすることができる。
【0027】
フォトレジスト層406は、その後、フォトリソグラフィによりパターン化され現像(develop)され、図5に示す第1のフォトマスクを形成する。フォトリソグラフィは、加工寸法が小さく優れた解像度を提供する電子ビームフォトリソグラフィであることが好ましい。図5に示すこの第1のマスクパターン406は、同心のデータトラックの円環のパターンとなることができ、これらの円環は、図5において断面図で示されている。したがって、図5に示す断面は、ウェハ半径と平行な平面に沿うものである。代替えの(または付加的な)マスキング層は、周期的構造を生産するためにブロックコポリマー(BCP:block copolymer)を含んでもよい。
【0028】
図5に示すフォトレジストマスクをパターン化した後、反応性イオンエッチングを実施してハードマスク404のうちフォトレジストマスク406で保護されていない部分を除去し、それによってフォトレジストマスク406のイメージが、下に横たわるハードマスク404へ転写され、図6に示す構造を得る。ブロックコポリマーマスクを使用する状況に関し、エッチングステップは、表面を改変し、そのことが周期的ブロックコポリマーマスキング層の形成を促進するであろう(一度、ブロックコポリマー層は塗布される)。第1のフォトレジストマスク406は、その後、取り除かれ、図7に示す構造を得る。
【0029】
図8および図9を参照して、他の(第2の)フォトレジスト層802を堆積させる。図9は、図8の線9−9から見た、図8の面に対する垂直面に沿った横断面図を示す。図9で分かるように、フォトレジスト層802をリソグラフィによりパターン化して現像し、各データトラックを個別のデータのビットに分割するマスク802を形成する。この目的を達成するため、マスク802は、ウェハ中心から半径方向へ延在するマスク部902およびトレンチ部904によって形成される。マスク802のパターンは、その後、フッ素含有プラズマ中または塩素含有プラズマ中の反応性イオンエッチングのような工程により、下に横たわるハードマスク404上へ転写され、ハードマスク404のうちこの第2のマスク802により保護されていない部分を除去する。マスク802をその後除去することができ、図11に示す構造を得る。両矢印1102は、データトラックの方向を示し、同図から分かるように、上記マスキング工程の結果、ハードマスク構造404は、個別のパターン化されたデータのビットからなる、データトラックの同心の円環として形成される。
【0030】
第3のフォトレジストマスク1202が形成される。このマスク1202は、比較的厚いフォトレジスト層として堆積され、拡張サーボトラック領域を被覆するように構成される。すなわち、マスク1202は、全体として実際のサーボ領域1206と同じ形状であるが、実際のサーボ領域1206よりわずかに幅広のサーボ領域1204を被覆する。この余分な幅は、マスクパターニングの異なるステップ間では避けられないマスクの位置合わせ不良に対応するものであり、後により明白になるであろう。
【0031】
同図から分かるように、その後、マスク1202は、サーボ領域1206を保護する。このマスク1202が所定の位置にある状態で、反応性イオンエッチングがフッ素含有プラズマ中で実施され、ウェハ材料402のうち、マスク404およびマスク1202により保護されていない部分を除去し、データ領域にトレンチ1302を形成する。そのため、このことは図13に示すようにパターン化されたデータビットのイメージをウェハ402内へ転写する。しかしながら、サーボ領域は、フォトレジストマスク1202によって保護される。
【0032】
フォトレジストマスク1202は、その後、湿式化学エッチングのような工程により除去することができ、ハードマスク404は、化学的工程または反応性イオンエッチングにより除去することができる。図14に示すように、その後、別のハードマスク材料層1402を堆積する。以前に堆積したハードマスク層404(図13)のように、この層1402は、Crまたは多層のハードマスクのような材料から作ることができる。その後、図15に関し、別の厚いフォトレジストマスク1502は、リソグラフィによりパターン化され現像される。このマスク1502は、サーボ領域1206の外側にあるデータ領域を被覆するように形成し、サーボ領域1206を露出したままにする。別々にパターン化されたマスクの完全な位置合わせは不可能であることを当業者は理解している。したがって、マスク1502とそれ以前のマスク802、406、1202との間において、ある程度の位置合わせ不良が予期されており許容範囲にある。しかし、以前に被覆される拡張サーボ領域1204が実際のサーボ領域1206よりわずかに広いので、実際のサーボ領域1206をまだ露出したままで、マスク1502は拡張サーボ領域1204内へ一部重なることが可能である。マスク1502の開口部は、さらに拡張サーボ領域1204の外側へわずかに延在してもよい。
【0033】
ここで、図16を参照し、マスク1502の他の部分は、サーボ領域1204内にサーボの外観1602を有するようになり、パターン化され、図3に関し、上述したタイミングパターンビット306およびサーボ情報312といったサーボ情報パターニングを定義する。したがって、図16のマスク1602内に示す開口部は、様々なサーボ情報ビット(例えば図3における306、312)を定義するように構成される開口部を表している。
【0034】
ここで、継続して図16を参照し、反応性イオンエッチングを実施可能であり、ハードマスク層1404のうちマスク1502によって保護されていない部分を除去し、それによって下に横たわるハードマスク層1404上へマスク1502のイメージを転写する。その後、図17を参照し、反応性イオンエッチングまたはイオンミリング(ion milling)のような材料除去工程を実施し、ウェハ402のうちマスク1602によって保護されていない部分を除去し、下に横たわるウェハ上へマスク1404、1602のパターンを転写する。それによって、サーボ領域をパターン化する。マスク1502、1404は、その後、取り除くことができ、図19に示す構造を得る。
【0035】
継続して図18を参照し、上述した工程は、別のパターニング工程に影響する1パターニング工程を必要とせずに、パターン化されたデータ領域およびサーボ領域の両方を有するウェハのマスタダイの製造を可能にすることが分かる。さらに、上述した位置合わせ不良は、サーボ領域1202とデータ領域1206との間に中間領域1802、1804をもたらすことが分かる。これらの領域は、上記工程の副産物で、記録情報またはサーボ情報のいずれに関する有用情報をも含まない。これらの領域1802、1804が、様々なマスクパターニング工程の上述した位置合わせ不良により、非対称(互いに異なる幅を有する)である可能性が高い(が必然ではない)ことは、さらに指摘されるべきである。
【0036】
ウェハ402は、上述したようにパターン化され、実際の記録媒体をパターン化するためのマスタダイであることが思い出されるだろう。図19は、ダイのようなものを利用して媒体をパターン化する方法を示す。図19は、マスタダイ402および滑らかで平坦な磁気媒体1902を示す。この磁気媒体1902は、高保磁力の上部磁気層、軟磁性裏打ち層、基板、硬質保護オーバーコートなどを含む様々な層を作ることができ、明瞭さの目的のために図19にはこれらが示されていない。媒体1902上に所望のビットパターンを形成するため、マスタダイ402は、矢印1904によって表される高圧圧力で磁気媒体1902に押し付けられる。媒体1902用のマスクとして作用可能なモールドマスク材料1909がさらにあってもよい。したがって、ダイ/ウェハ402上で形成されるデータパターンおよびサーボパターンが、実際には磁気媒体1902上で形成されるパターンの陰画(negative image)であることが分かる。
【0037】
代わりに、本発明の一実施形態はさらに、1つのハードマスク404および多層マスキングステップを利用することができ、ハードマスク404内に所望のパターンをまとめて形成する。その後、データおよびサーボは、エッチングされたトレンチ1302の深さがデータ領域およびサーボ領域の両方に対して同じになることを確保した1ステップによりエッチングすることができる。
【0038】
様々な実施形態を上に説明したが、例示のためにのみ提示され限定するものではないことを理解すべきである。本発明の範囲以内にある他の実施形態もまた当業者には明らかであろう。したがって、発明の広さおよび範囲は上記の典型的な実施形態のうちのいかなるものによっても限定されるべきでないが、下記の特許請求の範囲およびそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【符号の説明】
【0039】
3 円
100 ディスクドライブ
112 磁気ディスク
113 スライダ
114 軸
115 サスペンション
118 ディスクドライブモータ
119 アクチュエータアーム
121 磁気ヘッドアセンブリ
122 ディスク表面
123、128 ライン
125 記録チャネル
127 アクチュエータ手段
129 制御部
202 ディスク
204 データトラック
206 サーボトラック
302 データビット
304 タイミングトラックセクション
306 タイミングトラック
310 サーボ情報領域
312 サーボ情報ビット
314、316 非情報領域
402 ウェハ
404 第1のハードマスク層
406 第1のフォトレジスト材料層
802 第2のフォトレジスト層
902 マスク部
904 トレンチ部
1102 両矢印
1202 第3のフォトレジストマスク
1204 拡張サーボ領域
1206 実際のサーボ領域
1302 トレンチ
1402 ハードマスク材料層
1404 ハードマスク層
1502 フォトレジストマスク
1602 サーボの外観
1802、1804 中間領域
1806 データ領域
1902 磁気媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気データ記録用磁気媒体を製造するための方法であって、
データ領域およびサーボ領域を有するウェハを提供するステップと、
前記サーボ領域が第1のマスクにより保護されつつ、前記データ領域内にデータパターンをパターン化するステップと、
前記データ領域が第2のマスクにより保護されつつ、前記サーボ領域内にサーボパターンをパターン化するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記データ領域内にデータパターンをパターン化するステップが、
一連の同心の円環をパターン化して、複数のデータトラックを定義するステップと、
複数の輻射状の形状物をパターン化して、前記データトラックを個々のビットへ区分するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サーボ領域内にサーボパターンをパターン化するステップが、
一連のタイミング機構をパターン化するステップと、
一連のサーボ機構をパターン化するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
磁気データ記録用磁気媒体を製造するための方法であって、
第1の領域および第2の領域を有するウェハを提供するステップと、
第1のハードマスク材料層を堆積するステップと、
前記第1のハードマスク材料層に第1のパターンをパターン化するステップと、
第1の保護マスクを形成し、前記第1の保護マスクが前記第2の領域の少なくとも一部を被覆し、前記第1の領域の少なくとも一部を露出したままにするステップと、
第1の材料除去工程を実施し、前記ウェハのうち、前記パターン化された第1のハードマスク材料層または前記第1の保護マスクにより保護されていない部分を除去し、前記第1の領域に凹状パターンを形成するステップと、
前記第1の保護マスクおよび前記第1のハードマスク材料層を除去するステップと、
第2のハードマスク材料層を堆積するステップと、
第2の保護マスクを形成し、前記第2の保護マスクが前記第1の領域の少なくとも一部を被覆し、前記第2の領域の少なくとも一部を露出したままにするステップと、
前記第2のハードマスク材料層に第2のパターンをパターン化するステップと、
第2の材料除去工程を実施し、前記ウェハのうち、前記パターン化された第2のハードマスク材料層または前記第2の保護マスクにより保護されていない部分を除去し、前記第2の領域に凹状パターンを形成するステップと、
を含む、方法。
【請求項5】
前記第1の領域がデータ領域であり、前記第2の領域がサーボ領域である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の領域がサーボ領域であり、前記第2の領域がデータ領域である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および前記第2の材料除去工程の各々が、反応性イオンエッチングを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のハードマスク材料層をパターン化するステップが、前記第2の保護マスクを形成するステップの後に実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のハードマスク材料層をパターン化するステップが、前記第2の保護マスクを形成するステップの前に実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のハードマスク材料層をパターン化するステップが、
同心の円環を含む第1のフォトレジストマスクを形成するステップと、
第1の反応性イオンエッチングを実施して、前記第1のフォトレジスト層のパターンを前記第1のハードマスク材料層上へ転写するステップと、
輻射状に延在するセグメントを含む第2のフォトレジストマスクを形成するステップと、
第2の反応性イオンエッチングを実施して、前記第2のフォトレジスト層のイメージを前記第1のハードマスク材料層上へ転写するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記第1および前記第2の保護マスクの各々が、フォトレジストを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
前記第2のハードマスク材料層をパターン化するステップが、
フォトレジストマスクを形成するステップと、
反応性イオンエッチングを実施して、前記フォトレジストマスクのイメージを前記第2のハードマスク材料層上へ転写するステップと、
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のハードマスク材料層をパターン化するステップが、ビットパターン化されたサーボ領域の陰画をパターン化するステップを含み、
前記第2のハードマスク材料層をパターン化するステップが、ビットパターン化されたデータ領域の陰画をパターン化するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のハードマスク材料層をパターン化するステップが、ビットパターン化されたサーボ領域の陰画をパターン化するステップを含み、
前記第2のハードマスク材料層をパターン化するステップが、トラックパターン化されたデータ領域の陰画をパターン化するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
パターン化されたデータ領域と、
第1の側部および第2の側部を有するパターン化されたサーボ領域と、
前記サーボ領域の前記第1の側部における前記サーボ領域と前記データ領域との間にある第1の中間領域と、
前記データ領域の第2の側部における前記サーボ領域と前記データ領域との間にある第2の中間領域と、
を含む、パターン化された磁気媒体。
【請求項16】
前記第1の中間領域および前記第2の中間領域が互いに非対称であり、一方が他方より幅広である、請求項15に記載の磁気媒体。
【請求項17】
データを収容しないデータフリー領域をさらに含み、
前記データフリー領域が、前記サーボ領域からのトラック上流側およびトラック下流側に位置する、請求項15に記載の磁気媒体。
【請求項18】
前記第1の中間領域および前記第2の中間領域の各々が、有用なサーボ情報も有用なデータ情報も提供しないパターンを有する、請求項15に記載の磁気媒体。
【請求項19】
前記サーボ領域が、タイミングパターンおよびサーボパターンを含む、請求項15に記載の磁気媒体。
【請求項20】
前記データ領域が、個々のビットからなる同心のトラックのパターンを含む、請求項15に記載の磁気媒体。
【請求項21】
前記データ領域が、同心の連続的なトラックのパターンを含む、請求項15に記載の磁気媒体。
【請求項22】
前記データフリー領域が、データトラック方向に沿って測定した長さにおいて不均等になっている、請求項17に記載の磁気媒体。
【請求項23】
前記パターン化されたデータ領域を作り出すために使用されるマスクのオーバレイ(重畳)を記録するアライメントターゲットをさらに含む、請求項15に記載の磁気媒体。
【請求項24】
前記パターン化されたサーボ領域を作り出すために使用されるマスクのオーバレイ(重畳)を記録するアライメントターゲットをさらに含む、請求項15に記載の磁気媒体。
【請求項25】
筐体と、
前記筐体内に搭載される磁気媒体と、
アクチュエータと、
スライダと、
を備え、
前記スライダは、当該スライダ上に形成される磁気センサと磁気書き込みヘッドを有し、前記スライダは、前記磁気媒体の表面の近傍における移動のために前記アクチュエータに接続され、
前記磁気媒体は、
パターン化されたデータ領域と、
第1側部および第2側部を有するパターン化されたサーボ領域と、
前記サーボ領域の前記第1の側部における前記サーボ領域と前記データ領域との間にある第1の中間領域と、
前記データ領域の第2の側部における前記サーボ領域と前記データ領域との間にある第2の中間領域と、
をさらに含む、磁気データ記録システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−20695(P2013−20695A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154435(P2012−154435)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【出願人】(503116280)エイチジーエスティーネザーランドビーブイ (1,121)
【Fターム(参考)】