説明

オフセット印刷方法及び装置

【課題】 印刷精度を向上させる。
【解決手段】 架台11上のガイドレール12上に版テーブル14と印刷対象テーブル16を走行可能に設ける。ガイドレール12の中間部と対応させて転写機構部19を設ける。転写機構部19のブランケットロール20の外周面に向けて静電容量式変位計26を設ける。静電容量式変位計26で検出されるブランケットロール20の外周面までの距離mと、静電容量式変位計26からブランケットロール20の回転中心までの距離Lとの差から、見かけ上の半径rを求めて、ブランケットロール20の回転角度と関連付けて一旦記憶し、回転するブランケットロール20が版13や印刷対象15に接触するときに、接触部分の見かけ上の半径rを呼び出し、その値とブランケットロール20の角速度との積で導かれる接触部分の周速と、版13や印刷対象15の移動速度とを同期制御させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に電極パターンを印刷により形成させる場合のように、印刷対象に微細な印刷パターンを高い印刷精度で行うために用いるオフセット印刷方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ等の電極パターン(導電パターン)を所要の基板上に形成する手法として、金属蒸着膜のエッチング等による微細加工に代えて、導電性ペーストを印刷インクとして用いた印刷技術、たとえば、凹版オフセット印刷技術を用いて基板上に電極パターンを印刷して形成する手法が提案されてきている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
上記液晶ディスプレイ等の電極パターンを基板に形成する場合は、電極幅として、たとえば、10μm程度と微細なものが要求されることがある。更に、基板上に複数の電極パターンを重ね合わせて形成することがあり、この場合は版を代えて電極パターンの重ね刷りを行うことになるが、印刷位置がずれると電極パターンが崩れてしまうことから、対象によって要求精度は多少異なるが、上記電極幅を10μm程度とするような微細な電極パターンでは、重ね合わせずれを数μmに抑えることが必要とされることもある。
【0004】
そのため、上記基板上への電極パターンの印刷は、紙等に文字や画像を印刷する従来の一般的なオフセット印刷に比して非常に高い印刷精度が要求され、このような高い印刷精度のオフセット印刷を行う場合のオフセット印刷装置としては、版として印刷対象と同様の平板状の版を用いる形式の平板印刷装置とすることが有利とされている。
【0005】
図6は従来提案されている平板状の版を用いたオフセット印刷装置を示すもので、基台1上にガイドレール2を設けると共に、該ガイドレール2と平行に、サーボモータ4により駆動されるボールねじ機構3を設け、平板状の版(マスタ板)5と印刷対象(ワーク板)6を一定の間隔をおいて固定できるようにした移動テーブル7を、上記ガイドレール2にスライド可能に取り付けると共に上記ボールねじ機構3で往復移動させることができるようにしてある。
【0006】
更に、上記基台1の所要個所に、上記ガイドレール2と直交する方向に延びるブランケットロール9と、該ブランケットロール9の軸心方向の一端に連結したロール駆動用のサーボモータ10を備えた転写装置8を設けた構成として、該転写装置8にてサーボモータ10の運転によりブランケットロール9を所要速度で回転させ、この回転するブランケットロール9の周速と、上記版5及び印刷対象6を保持した移動テーブル7の移動速度の同期を図りながら、該移動テーブル7上の版5及び印刷対象6を上記回転するブランケットロール9の直下を通過させるときに、上記ブランケットロール9を、上記版5と印刷対象6の表面にそれぞれ所要の接触圧力(印圧)で順次接触させることで、上記版5からブランケットロール9への転写(受理)と、該ブランケットロール9から印刷対象6への再転写(印刷)を行わせてオフセット印刷を実施できるようにしてある(たとえば、特許文献3参照)。
【0007】
なお、上記回転するブランケットロール9の周速は、その回転角度と周位置の回転半径の積として算出される円周移動量の単位時間当りの値、すなわち、単位時間当たりの回転角度である角速度と周位置の回転半径の積として算出されるものであることから、上記ブランケットロール9の周速を求めるためには、該ブランケットロール9の回転角度を検出することが必要とされる。
【0008】
そのため、従来は、ブランケットロール9を駆動するサーボモータ10に付属(内蔵)した図示しないエンコーダによる該サーボモータ10の回転量の検出信号を基に、上記ブランケットロール9の回転角度の検出を行うことで、該ブランケットロール9の周速を導出するようにすることが広く一般的に行われている。
【0009】
更に、ブランケットロールを用いた印刷装置において、該ブランケットロールを減速機(減速ギア)を介してモータで駆動すると共に、該駆動用モータにエンコーダ(ロータリーエンコーダ)を付設してなる構成としてある場合は(たとえば、特許文献4参照)、該エンコーダによる上記モータの回転量の検出信号を基に上記ブランケットロールの回転角度を検出すると、上記モータとブランケットロールとの間に設けてある減速機の減速比に応じて分解能が向上すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第2797567号公報
【特許文献2】特許第3904433号公報
【特許文献3】特開平6−15809号公報
【特許文献4】特開2006−243181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、オフセット印刷により前記した電極パターンのような微細な印刷パターンの印刷を行う際に要求される非常に高い印刷精度を達成するためには、版よりブランケットロールへ転写(受理)させる印刷パターン、及び、該ブランケットロールより印刷対象へ再転写(印刷)させる印刷パターンの双方の再現性を更に向上させる必要があり、そのために、上記回転するブランケットロールの周壁における上記版や印刷対象に接している部分の単位時間当たりの円周移動量として得られる速度(周速)と、上記ブランケットロールに接触する版や印刷対象の単位時間当たりの移動量として得られる速度(移動速度)との精密な同期が必要になる。
【0012】
しかし、上記特許文献3に示されたブランケットロール9駆動用のサーボモータ10に付属する図示しないエンコーダの検出信号を基にしたブランケットロールの回転角度の検出や、特許文献4に示されたブランケットロールを減速機を介して駆動するためのモータに付設したエンコーダの検出信号を基にしたブランケットロールの回転角度の検出では、その検出精度が不十分になる虞が懸念される。
【0013】
すなわち、ブランケットロールを駆動するサーボモータに内蔵されたエンコーダの検出信号や、ブランケットロールに減速機を介して連結したモータに付設したエンコーダの検出信号に基づいてブランケットロールの回転角度の検出を行うと、その検出結果には、上記サーボモータや減速機における機械部品の捩じり変形による誤差や、歯車を用いた動力伝達機構における歯車のバックラッシによる誤差が内包されてしまっている。
【0014】
そのために、印刷位置の位置ずれを数μmに抑えることが要求されるような非常に高精度な印刷を行おうとする場合には、ブランケットロールの回転角度の検出結果に含まれている上記したような機械部品の捩じり変形や歯車のバックラッシによる誤差による影響も無視できない。
【0015】
しかし、上記のような機械部品の捩じり変形や、歯車のバックラッシによる誤差が含まれているとしても、従来の一般的なオフセット印刷を行う場合に要求される程度のブランケットロール回転角度の検出精度としては十分であったため、モータによって回転駆動されるブランケットロールの回転角度の検出精度の更なる向上化を図るために、上記モータに付属するエンコーダ以外の新たな角度計測機器を別途設ける考えは従来特に提案されていないというのが実状である。
【0016】
又、ブランケットロールの周速を算出するために必要とされる該ブランケットロールの周位置の回転半径については、製作精度等に起因して該ブランケットロールに偏心が存在していたり、断面形状が真円形状から歪んでいると、ブランケットロールの回転角度に応じて該ブランケットロールの回転中心から周位置までの見かけ上の半径に変化が生じてしまい、該見かけ上の半径の変化に起因して、或る所定の回転速度で上記ブランケットロールを回転させていても、該ブランケットロールの回転角度に応じて円周移動量に変化がじることから、単位時間当たり円周移動量である周速にも変化が生じてしまうというのが実状である。
【0017】
したがって、従来は、上記ブランケットロールの周速と、版や印刷対象の移動速度との精密な同期を達成することが困難であり、そのために、印刷位置の位置ずれを数μmに抑えることが要求されるような非常に高精度な印刷を行うことは難しいという問題があった。
【0018】
そこで、本発明は、ブランケットロールの回転角度をより高精度に計測することができると共に、該ブランケットロールに、偏心等に起因して回転角度に応じた回転中心から周位置までの見かけ上の半径の変化が存在している場合であっても、ブランケットロールの円周移動量を正確に検出できて、該ブランケットロールの単位時間当たりの円周移動量として得られる速度(周速)と、版や印刷対象の移動速度の精密な同期を達成することができ、よって、印刷位置の位置ずれを数μmに抑えることが要求されるような非常に高精度な印刷を実施することが可能なオフセット印刷方法及び装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、ブランケットロールを回転用駆動モータにより回転させた状態で、架台上のガイドレール上を走行する版テーブル上に保持させた版に上方より接触させ、次いで、上記回転させたブランケットロールを、上記ガイドレール上を走行する印刷対象テーブル上に保持させた印刷対象に、上方より接触させることで、上記版からブランケットロールへの転写と、ブランケットロールから印刷対象への再転写を行わせるようにするオフセット印刷方法において、上記ブランケットロールの回転角度と、該ブランケットロールの回転中心から周位置までの見かけ上の半径との相関を予め求めてデータベースに記憶させ、上記ブランケットロールを回転させた状態で版テーブル上の版及び印刷対象テーブル上の印刷対象にそれぞれ接触させるときに、ブランケットロールの回転角度の情報を基に、上記データベースから該ブランケットロールの回転中心から版や印刷対象に接している部分までの見かけ上の半径を呼び出し、該呼び出した見かけ上の回転半径と、上記回転するブランケットロールの角速度の積で導かれる上記ブランケットロールの版や印刷対象に接している部分の周速と、上記版テーブルの走行による版の移動速度、及び、上記印刷対象テーブルの走行に伴う印刷対象の移動速度とをそれぞれ同期させるようにするオフセット印刷方法とする。
【0020】
又、上記構成において、ブランケットロールの回転角度を、該ブランケットロールの両端の回転軸のうち、回転用駆動モータに連結した回転軸とは反対側の回転軸の端面に直接連結したエンコーダにより検出するようにする。
【0021】
更に、請求項3に対応して、架台上のガイドレール上を走行する版テーブルと印刷対象テーブルを備え、上記版テーブルに保持させた版と、上記印刷対象テーブルに保持させた印刷対象に、昇降駆動機構により昇降させるブランケットロールを回転用駆動モータにより回転させた状態で上方より順次接触させることで、上記版からブランケットロールへの転写と、ブランケットロールから印刷対象への再転写を行わせるようにしてあるオフセット印刷装置において、上記ブランケットロールの外周から離れた所要個所に、該ブランケットロールの外周面との距離を計測する変位計を設けると共に、上記回転するブランケットロールの回転角度を検出するエンコーダを備え、更に、上記変位計と上記エンコーダより入力される信号を基に、上記ブランケットロールの回転角度と該ブランケットロールの回転中心から周位置までの見かけ上の半径との相関を予め求めてデータとして記憶する機能と、上記ブランケットロールを回転させた状態で版テーブル上の版及び印刷対象テーブル上の印刷対象にそれぞれ接触させるときに、上記エンコーダより入力されるブランケットロールの回転角度の情報を基に、上記記憶してあるデータから該ブランケットロールの回転中心から版や印刷対象に接している部分までの見かけ上の半径を呼び出して、該呼び出した見かけ上の半径と上記エンコーダより入力される信号を基に検出されるブランケットロールの角速度との積で上記ブランケットロールの版や印刷対象に接している部分の周速を求める機能と、該求めたブランケットロールの周速と上記版テーブルの走行による版の移動速度及び上記印刷対象テーブルの走行による印刷対象の移動速度をそれぞれ同期させる機能を有する制御器を備えてなる構成を有するオフセット印刷装置とする。
【0022】
更に又、上記構成において、ブランケットロールの回転角度を検出するエンコーダを、上記ブランケットロールの両端の回転軸のうち、回転用駆動モータに連結した回転軸とは反対側の回転軸の端面に直接連結して設けるようにした構成とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)ブランケットロールを回転用駆動モータにより回転させた状態で、架台上のガイドレール上を走行する版テーブル上に保持させた版に上方より接触させ、次いで、上記回転させたブランケットロールを、上記ガイドレール上を走行する印刷対象テーブル上に保持させた印刷対象に、上方より接触させることで、上記版からブランケットロールへの転写と、ブランケットロールから印刷対象への再転写を行わせるようにするオフセット印刷方法において、上記ブランケットロールの回転角度と、該ブランケットロールの回転中心から周位置までの見かけ上の半径との相関を予め求めてデータベースに記憶させ、上記ブランケットロールを回転させた状態で版テーブル上の版及び印刷対象テーブル上の印刷対象にそれぞれ接触させるときに、ブランケットロールの回転角度の情報を基に、上記データベースから該ブランケットロールの回転中心から版や印刷対象に接している部分までの見かけ上の半径を呼び出し、該呼び出した見かけ上の回転半径と、上記回転するブランケットロールの角速度の積で導かれる上記ブランケットロールの版や印刷対象に接している部分の周速と、上記版テーブルの走行による版の移動速度、及び、上記印刷対象テーブルの走行に伴う印刷対象の移動速度とをそれぞれ同期させるようにするオフセット印刷方法及び装置としてあるので、回転するブランケットロールを版テーブル上の版や、印刷対象テーブル上の印刷対象に接触させるときに、該ブランケットロールの外周面における上記版や印刷対象に対する接触部分の周速と、上記版や印刷対象の移動速度の精密な同期を行うことができる。よって、上記ブランケットロールが、たとえ偏心等に起因して回転中心から周位置までの見かけ上の半径が不均一となっていても、上記版の印刷パターンを、上記印刷対象へ高い再現性で印刷することができて、電極パターン等のように印刷位置の位置ずれを数μmに抑えることが要求されるような非常に微細な印刷パターンの高精度印刷を実施することができる。
(2)ブランケットロールの回転角度を、該ブランケットロールの両端の回転軸のうち、回転用駆動モータに連結した回転軸とは反対側の回転軸の端面に直接連結したエンコーダにより検出するようにすることにより、機械部品の捩じり変形による誤差や歯車のバックラッシによる誤差を全く含まない状態で、上記ブランケットロールの回転角度を、精度よく計測できる。更に、上記エンコーダの信号を基に、回転するブランケットロールの角速度を高精度に検出することができることから、ブランケットロールの外周面における版や印刷対象に対する接触部分の周速と、上記版や印刷対象の移動速度について、より精密な同期を行うことができるため、印刷精度の更なる向上化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のオフセット印刷方法及び装置の実施の一形態を示す概略側面図である。
【図2】図1のオフセット印刷装置における転写機構部を拡大して示す側面図である。
【図3】図2のA−A方向矢視図である。
【図4】図1のオフセット印刷装置に備える制御器の制御構成を示す概要図である。
【図5】本発明の実施の他の形態を示すもので、転写機構部の切断側面図である。
【図6】従来提案されている平板状の版を用いたオフセット印刷装置の概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0026】
図1乃至図4は本発明のオフセット印刷方法及び装置の実施の一形態を示すもので、以下のようにしてある。
【0027】
すなわち、水平な架台11の上側に、一方向(X軸方向)に延びるガイドレール12、たとえば、2本一組のガイドレール12を設け、該ガイドレール12に、凹版等の版13を上面部に取り付けて保持させる版テーブル14と、基板等の印刷対象15を上面部に取り付けて保持させる印刷対象テーブル16とを、ガイドレール12の長手方向の一端側(図1における左側)より順に並べて配置した状態でそれぞれ個別のガイドブロック12aを介してスライド可能に取り付ける。
【0028】
更に、上記版テーブル14と印刷対象テーブル16は、リニアモータ等の個別のテーブル駆動装置17により上記ガイドレール12に沿って独立して移動(走行)できるようにする。上記架台1上には、リニアスケール18を上記ガイドレール12と平行となるように設けて、該リニアスケール18により、上記版テーブル14及び印刷対象テーブル16のガイドレール12の長手方向に沿う位置、すなわち、X軸方向の所要の点を基準とするX軸方向の絶対位置を共に検出できるようにする。
【0029】
上記架台11上におけるガイドレール12の長手方向中間部と対応する個所には、上記ガイドレール12の上方にて該ガイドレール12の長手方向と直交する方向(Y軸方向)に延びるように配置したブランケットロール20と、該ブランケットロール20の左右両端の回転軸21a,21bを回転自在に保持するロール支持フレーム22と、上記ブランケットロール20を回転駆動するために該ブランケットロール20の一方の回転軸21aに連結した回転用駆動モータ23と、上記ブランケットロール20の回転角度を検出するために該ブランケットロール20の他方の回転軸21bに直結したエンコーダ24と、上記ロール支持フレーム22と一体にブランケットロール20を昇降駆動するための昇降駆動機構25を備えた転写機構部19を設ける。
【0030】
更に、上記ブランケットロール20の周方向所要個所の外周面の近傍となる個所に上記ブランケットロール20の回転中心に向けた姿勢で且つ該ブランケットロール20の回転中心より所定の距離を隔てた状態で仮設するための変位計としての静電容量式変位計26を備えると共に、上記リニアスケール18と、上記ブランケットロール20の他方の回転軸21bに直結したエンコーダ24と、上記静電容量式変位計26より入力される信号に基づいて、上記版テーブル14及び印刷対象テーブル16の駆動装置17と、上記ブランケットロール20の回転用駆動モータ23に指令を与える制御器27を備えて、本発明のオフセット印刷装置を構成する。
【0031】
詳述すると、上記転写機構部19は、図2及び図3に示すように、上記ガイドレール12の長手方向中間部の左右両方の外側に、所要の高さ寸法を有するコラム29をそれぞれガイドレール12の長手方向(X軸方向)に所要間隔を隔てて2本ずつ設け、且つ該各コラム29の頂部同士を、上記ガイドレール12の所要寸法上方を横切るように配置した梁部材30で一体に連結してなる門型のフレーム28を備える。
【0032】
更に、上記ロール支持フレーム22を、左右一対のベアリングハウジング31a,31bを左右方向に延びる連結部材32で一体に連結してなる構成として、該左右の各ベアリングハウジング31a,31bに、上記ブランケットロール20の両端の回転軸21a,21bを、それぞれベアリング33を介して回転自在に保持させるようにしてあり、且つ該左右の各ベアリングハウジング31a,31bは、上記フレーム28における上記ガイドレール12の左右の外側位置にそれぞれX軸方向に沿って配設してある2本のコラム29同士の間に配置して、該各コラム29に上下方向のリニアガイド34を介して上下方向移動可能に取り付けてある。
【0033】
更に、上記ロール支持フレーム22と一体にブランケットロール20を昇降駆動するための昇降駆動機構25として、上記フレーム28の梁部材30における上記ロール支持フレーム22の左右の各ベアリングハウジング31a,31bの真上となる個所に、以下のようなボールねじ機構25(便宜上、上記昇降駆動機構25と同じ符号が付してある)がそれぞれ設けてある。
【0034】
上記各ボールねじ機構25は、具体的には、上記梁部材30におけるロール支持フレーム22の左右の各ベアリングハウジング31a,31bの真上となる個所に軸受36を介して上端寄り部分を回転自在に保持させた上下方向のねじ軸35と、上記梁部材30の上側の所要個所にそれぞれ設けて上記各ねじ軸35の各軸受36よりも上方へ突出する突出端部を接続した個別のギアボックス37と、該各ギアボックス37に接続したサーボモータ等の昇降用駆動モータ38と、上記各ねじ軸35の下部に螺合する個別のナット部材39からなる構成としてある。更に、上記各ボールねじ機構25の各ナット部材39を、上記ロール支持フレーム22の各ベアリングハウジング31a,31bの上側に、所要の取付部材40を介し取り付けた構成としてある。これにより、上記各昇降用駆動モータ38の運転により各ギアボックス37を介して上記各ねじ軸35を回転駆動させることで、上記各ナット部材39と一体のロール支持フレーム22の昇降を介して、該ロール支持フレーム22に保持した上記ブランケットロール20を昇降させることができるようにしてある。
【0035】
なお、上記各軸受36は、上記各ねじ軸35の下部に螺着させた各ナット部材39を介して上記ロール支持フレーム22より該各ねじ軸35に作用するスラスト荷重を受けて支持できるようにしてあるものとする。
【0036】
又、上記各ボールねじ機構25による上記ロール支持フレーム22を介したブランケットロール20の昇降範囲は、該ブランケットロール20を、その外周面の下端部が、上記架台11上のガイドレール12に沿って走行する版テーブル14上に保持された版13や、印刷対象テーブル16上に保持された印刷対象15の表面よりも所要寸法上方に離反した状態となる退避高さ位置から、ブランケットロール20の外周面の下端部が、上記版テーブル14上に保持された版13や、印刷対象テーブル16上に保持された印刷対象15の表面に接触する位置よりもやや下方となる高さ位置までの範囲となるように設定してあるものとする。
【0037】
上記ロール支持フレーム22の一方のべアリングハウジング31aの外側には、回転用駆動モータ23に接続した減速機41を取り付けると共に、該減速機41の図示しない出力軸が、上記一方のベアリングハウジング31aに保持したブランケットロール20の一方の回転軸21aに連結してある。
【0038】
更に、上記ロール支持フレーム22の他方のベアリングハウジング31bの外側には、上記エンコーダ24が取り付けてあり、且つ該エンコーダ24の図示しない入力軸が、上記他方のベアリングハウジング31bに保持した上記ブランケットロール20の他方の回転軸21bの端部軸心位置に直接且つ一体に連結してある。これにより、上記回転用駆動モータ23の運転により、上記減速機41を介して上記ブランケットロール20を所要の回転速度で回転駆動できるようにしてあり、この際、上記エンコーダ24により、該ブランケットロール20の周方向の或る1個所を基準とする回転角度を、機械部品の捩じり変形による誤差や歯車のバックラッシによる誤差を全く含まない状態で、精度よく計測できるようにしてある。よって、上記エンコーダ24の信号を基に、回転する上記ブランケットロール20の角速度を高精度に検出することができるようにしてある。
【0039】
上記静電容量式変位計26は、たとえば、上記ブランケットロール20の回転中心の直下となる該ブランケットロール20の外周面の下端部の近傍となる個所に、該ブランケットロール20の回転中心の方向、すなわち、真上に向けて配置し、この状態で、仮設の取付部材42を介して上記ロール支持フレーム22の所要個所に取外し可能に取り付けるようにしてある。これにより、上記ロール支持フレーム22に上記仮設の取付部材42を介して上記静電容量式変位計26を取り付けた状態では、該静電容量式変位計26を、上記ロール支持フレーム22に保持されているブランケットロール20の回転中心から或る一定の距離L下方へ離れた位置に位置固定できるようにしてあると共に、静電容量式変位計26により、該静電容量式変位計26から上記ブランケットロール20の外周面における回転中心の直下となる部分までの距離mを計測することができるようにしてある。
【0040】
一方、上記仮設の取付部材42を上記ロール支持フレーム22より取り外すことで、上記静電容量式変位計26も一緒に取り外して撤去できるようにしてある。
【0041】
上記制御器27は、図4にその制御構成を示す如く、架台11上に設けたリニアスケール18より入力される版テーブル14と印刷対象テーブル16の個別のX軸方向のテーブル位置の検出信号を基に、該版テーブル14と印刷対象テーブル16の個別の駆動装置17へ指令を与えて、上記各テーブル14,16の位置と移動方向(走行方向)と単位時間当たりの移動量としての移動速度(走行速度)を制御できるようにしたテーブル走行制御部27aと、上記転写機構部19におけるブランケットロール20の他方の回転軸21bに直結したエンコーダ24より入力されるブランケットロール20の回転角度の検出信号を基に、該ブランケットロール20の回転用駆動モータ23へ指令を与えて、該ブランケットロール20の角速度(回転速度)と角度姿勢を制御できるようにしたロール回転制御部27bとを備えて、上記、テーブル走行制御部27a及びロール回転制御部27bを同期制御できるようにした構成としてある。
【0042】
更に、上記制御器27は、上記ロール支持フレーム22に上記仮設の取付部材42を介して上記静電容量式変位計26を取り付けた状態のときに、上記ロール回転制御部27bの機能により上記回転用駆動モータ23に指令を与えてブランケットロール20を回転させることができるようにしてあり、この状態で上記エンコーダ24より入力される該ブランケットロール20の回転角度の検出信号と、上記静電容量式変位計26より入力される該静電容量式変位計26から上記ブランケットロール20の外周面における回転中心の直下となる部分までの距離mの計測信号とを基に、上記ブランケットロール20が或る回転角度となっているときに上記静電容量式変位計26より入力される距離mの値を、上記したように一定となっているブランケットロール20の回転中心から静電容量式変位計26までの距離Lの値から引くことで、該ブランケットロール20が上記或る回転角度となるときの上記ブランケットロール20の回転中心から外周面の回転中心の直下となる部分までの見かけ上の半径rを算出できるようにしてあり、更に、この算出されたブランケットロール20の回転中心からその直下の周位置までの見かけ上の半径rを、上記ブランケットロール20の回転角度に関連付けてデータベース(図示せず)に一旦記憶する機能を備えている。
【0043】
更に又、上記制御器27は、上記仮設の取付部材42と共に静電容量式変位計26を撤去した状態で、ガイドレール12に沿って転写機構部19を走行させる版テーブル14上に保持した版13と、印刷対象テーブル16上に保持した印刷対象15に、上記ブランケットロール20を回転させながら上側から順次接触させて、上記版13からブランケットロール20への転写(受理)と、ブランケットロール20から印刷対象15への再転写(印刷)を行うときに、上記エンコーダ24より入力されるブランケットロール20の回転角度の検出信号が入力されると、該検出された回転角度に応じて、該回転角度となっているときのブランケットロール20の回転中心からその直下の周位置までの見かけ上の半径rの値を上記データベースより呼び出して、その回転角度のときの上記見かけ上の半径rの値と、上記エンコーダ24より入力される信号を基に検出されるブランケットロール20の角速度の積により、ブランケットロール20の回転中心直下の周位置、すなわち、上記版テーブル14上の版13や印刷対象テーブル16上の印刷対象15の表面に接触している該ブランケットロール20の外周面の下端部の単位時間当たりの円周移動量である周速を算出して、該算出された周速と、上記版テーブル14や印刷対象テーブル16の走行に伴う版13や印刷対象15の単位時間当たりの移動量である移動速度が同期するように、上記ブランケットロール20の回転用駆動モータ23と、上記各テーブル14,16の駆動装置17の一方又は双方に駆動量を補正する指令を与える機能を有するものとしてある。
【0044】
なお、本発明のオフセット印刷装置は、オフセット印刷を行う必要上、図1に示すように、上記架台11上におけるガイドレール12の長手方向一端部と対応する個所に、ガイドレール12の長手方向一端部まで版テーブル14を移動させて待機させると共に、該版テーブル14上に保持させる版13の交換を行うことができるようにした版テーブル待機エリア43を備え、該架台11上における上記版テーブル待機エリア43と上記転写機構部19との間に、上記版テーブル14に保持させた版13に対してインキングを行うためのインキング装置44を設けてなり、更に、上記架台11上におけるガイドレール12の長手方向他端部と対応する個所には、ガイドレール12の長手方向他端部まで印刷対象テーブル16を移動させて待機させた状態で、該印刷対象テーブル16に対して新たな印刷対象15の取り付けと印刷後の印刷対象15の取外しを行うための印刷対象設置エリア45を備えてなる構成としてあるものとする。
【0045】
以上の構成としてある本発明のオフセット印刷装置を使用してオフセット印刷を行う場合は、先ず、印刷作業を開始する前に、上記ロール支持フレーム22に、上記静電容量式変位計26を仮設の取付部材42を介して取り付けた状態で、上記したようにブランケットロール20を回転させて、上記制御器27にて、上記ブランケットロール20の回転角度と、該ブランケットロール20の回転中心から回転中心直下となる周位置までの見かけ上の半径rとの相関性に関するデータをデータベースに一旦記憶しておく。
【0046】
次いで、上記静電容量式変位計26と仮設の取付部材42を撤去し、その後、予めインキング装置44にてインキングした版13を保持した版テーブル14を転写機構部19へ送って、回転するブランケットロール20を、走行する上記版テーブル14上の版13に接触させる。この際、上記制御器27により、上記エンコーダ24にて検出されるブランケットロール20の回転角度に応じて、該ブランケットロール20の回転中心から版13に接触している外周面の下端部までの見かけ上の半径rと、上記エンコーダ24より入力される信号に基づいて検出されるブランケットロール20の角速度との積により上記ブランケットロール20の外周面の下端部の周速が算出され、この算出された周速と、上記版テーブル14上の版13の移動速度が同期するように、上記ブランケットロール20の回転速度と、上記版テーブル14上の版13の移動速度の一方又は双方が制御されるようになる。これにより、上記ブランケットロール20の周速と、上記版13の移動速度の精密な同期が行われるようになることから、該版13より上記ブランケットロール20へ、印刷パターンの高精度な転写が行なわれるようになる。
【0047】
しかる後、印刷対象15を保持した印刷対象テーブル16を転写機構部19へ送って、上記転写工程の際に版テーブル14を通過させたのと同方向から走行させる上記印刷対象テーブル16上の印刷対象15に、回転するブランケットロール20を接触させる。この際、上記転写工程と同様に、上記制御器27により、上記エンコーダ24にて検出されるブランケットロール20の回転角度に応じて、該ブランケットロール20の回転中心から印刷対象15に接触している外周面の下端部までの見かけ上の半径rと、上記エンコーダ24より入力される信号に基づいて検出されるブランケットロール20の角速度との積により上記ブランケットロール20の外周面の下端部の周速が算出され、この算出された周速と、上記印刷対象テーブル16上の印刷対象15の移動速度が同期するように、上記ブランケットロール20の回転速度と、上記印刷対象テーブル16上の印刷対象15の移動速度の一方又は双方が制御されるようになる。これにより、上記ブランケットロール20の周速と、上記印刷対象15の移動速度の精密な同期が行われるようになることから、上記ブランケットロール20より印刷対象15へ、印刷パターンの高精度な転写が行なわれるようになる。
【0048】
したがって、上記ブランケットロール20が、偏心等に起因して回転中心から周位置までの見かけ上の半径が不均一となっていても、上記版13の印刷パターンを、上記印刷対象15へ高い再現性で印刷することができる。よって、電極パターン等のように印刷位置の位置ずれを数μmに抑えることが要求されるような非常に微細な印刷パターンについての高精度な印刷を実施することができる。
【0049】
次に、図5は本発明の実施の他の形態を示すもので、図1乃至図4に示したものと同様の構成において、静電容量式変位計26を、ブランケットロール20の回転中心の直下となる該ブランケットロール20の外周面の下端部の近傍となる個所に配置して、仮設の取付部材42を介してロール支持フレーム22に取外し可能に取り付けた構成に代えて、静電容量式変位計26を、上記ブランケットロール20を版テーブル14上の版13や印刷対象テーブル16上の印刷対象15に接触させるときに干渉しない所要個所、たとえば、該ブランケットロール20の側部の外周面近傍位置に、ブランケットロール20の回転中心の方向に向けて配置すると共に、該静電容量式変位計26を、取付部材46を介してロール支持フレーム22の所要個所に取り付けるようにしたものである。
【0050】
上記のように静電容量式変位計26をブランケットロール20の側部の外周面近傍位置に配置してあることにより、上記静電容量式変位計26と、ブランケットロール20の回転中心との距離Lは一定値となる。又、上記静電容量式変位計26では、該静電容量式変位計26とブランケットロール20の回転中心とを結ぶ直線上に沿って、ブランケットロール20の外周面までの距離mが計測されるようになる。
【0051】
よって、制御器27にて上記静電容量式変位計26とブランケットロール20の回転中心との距離Lから、上記静電容量式変位計26により計測されるブランケットロール20の外周面までの距離mを引くと、静電容量式変位計26とブランケットロール20の回転中心とを結ぶ直線上に沿う周位置でのブランケットロール20の見かけ上の半径rが算出されるようになる。
【0052】
このことに鑑みて、本実施の形態では、制御器27が、ロール回転制御部27bの機能により上記ブランケットロール20を回転させた状態でエンコーダ24より入力される該ブランケットロール20の回転角度の検出信号と、上記静電容量式変位計26より入力される上記ブランケットロール20の外周面の所定個所までの距離mの計測信号とを基に、静電容量式変位計26とブランケットロール20の回転中心とを結ぶ直線上に沿う周位置でのブランケットロール20の見かけ上の半径rを算出すると共に、該算出された見かけ上の半径rを、その時点での上記ブランケットロール20の回転角度と関連付けてデータベース(図示せず)に一旦記憶し、その後、上記ブランケットロール20の回転に伴って、該ブランケットロール20の外周面における上記静電容量式変位計26とブランケットロール20の回転中心とを結ぶ直線上に配置されていた部分が、ブランケットロール20の下端部に達したことが上記エンコーダ24より入力される信号を基に検出されると、制御器27では上記データベースに一旦記憶してある見かけ上の半径rを呼び出して、この見かけ上の半径rと、エンコーダ24より入力される信号を基に検出されるブランケットロール20の角速度との積により、ブランケットロール20の外周面の下端部の単位時間当たりの円周移動量である周速を算出して、該算出された周速と、上記版テーブル14や印刷対象テーブル16の走行に伴う版13や印刷対象15の単位時間当たりの移動量である移動速度が同期するように、上記ブランケットロール20の回転用駆動モータ23と、上記各テーブル14,16の駆動装置17の一方又は双方に駆動量を補正する指令を与える機能を有するものとしてある。
【0053】
その他の構成は図1乃至図4に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0054】
本実施の形態によれば、転写機構部19にて、回転するブランケットロール20を版テーブル14上の版13や、印刷対象テーブル16上の印刷対象15に接触させるときに、該ブランケットロール20の外周面の或る個所が上記版13や印刷対象15に接触するようになる所要時間前に上記静電容量式変位計26の設置部分を通過する時点で、該個所の周位置のブランケットロール20の回転中心からの見かけ上の半径rを予め求めることができて、該個所が上記版13や印刷対象15に接触するときには、該個所の周位置について上記予め求めてある見かけ上の半径rとブランケットロール20の角速度との積によりより導かれる周速と、上記版13や印刷対象15の移動速度が同期するように、上記ブランケットロール20の回転速度と、上記版テーブル14上の版13の移動速度の一方又は双方が制御されることで、上記ブランケットロール20の周速と、上記版13や印刷対象15の移動速度の精密な同期が行われるようになることから、該版13より上記ブランケットロール20へ、印刷パターンの高精度な転写が行うことができると共に、上記ブランケットロール20より印刷対象15へ、印刷パターンの高精度な転写を行うことができる。
【0055】
したがって、本実施の形態によっても上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、変位計としては、分解能の点から、静電容量式変位計26を用いることが好ましいが、ブランケットロール20の外周面との距離を検出できるものであれば、いかなる形式の変位計を用いるようにしてもよい。
【0057】
変位計の設置個所は、ブランケットロール20の外周面との距離を計測できる配置としてあれば、適宜変更してもよい。
【0058】
転写機構部19におけるブランケットロール20の昇降駆動機構は、ボールねじ機構25以外の形式のものを用いるようにしてもよい。
【0059】
インキング装置44は、版テーブル14に保持された版13へ適正なインキングを行えるようにしてあれば、任意の形式のインキング装置44を用いてよい。
【0060】
本発明のオフセット印刷装置は、基板以外のいかなる印刷対象15に印刷を行うために適用してもよい。
【0061】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
11 架台
12 ガイドレール
13 版
14 版テーブル
15 印刷対象
16 印刷対象テーブル
20 ブランケットロール
21a,21b 回転軸
23 回転用駆動モータ
24 エンコーダ
26 静電容量式変位計(変位計)
27 制御器
r 見かけ上の半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブランケットロールを回転用駆動モータにより回転させた状態で、架台上のガイドレール上を走行する版テーブル上に保持させた版に上方より接触させ、次いで、上記回転させたブランケットロールを、上記ガイドレール上を走行する印刷対象テーブル上に保持させた印刷対象に、上方より接触させることで、上記版からブランケットロールへの転写と、ブランケットロールから印刷対象への再転写を行わせるようにするオフセット印刷方法において、上記ブランケットロールの回転角度と、該ブランケットロールの回転中心から周位置までの見かけ上の半径との相関を予め求めてデータベースに記憶させ、上記ブランケットロールを回転させた状態で版テーブル上の版及び印刷対象テーブル上の印刷対象にそれぞれ接触させるときに、ブランケットロールの回転角度の情報を基に、上記データベースから該ブランケットロールの回転中心から版や印刷対象に接している部分までの見かけ上の半径を呼び出し、該呼び出した見かけ上の回転半径と、上記回転するブランケットロールの角速度の積で導かれる上記ブランケットロールの版や印刷対象に接している部分の周速と、上記版テーブルの走行による版の移動速度、及び、上記印刷対象テーブルの走行に伴う印刷対象の移動速度とをそれぞれ同期させるようにすることを特徴とするオフセット印刷方法。
【請求項2】
ブランケットロールの回転角度を、該ブランケットロールの両端の回転軸のうち、回転用駆動モータに連結した回転軸とは反対側の回転軸の端面に直接連結したエンコーダにより検出するようにする請求項1記載のオフセット印刷方法。
【請求項3】
架台上のガイドレール上を走行する版テーブルと印刷対象テーブルを備え、上記版テーブルに保持させた版と、上記印刷対象テーブルに保持させた印刷対象に、昇降駆動機構により昇降させるブランケットロールを回転用駆動モータにより回転させた状態で上方より順次接触させることで、上記版からブランケットロールへの転写と、ブランケットロールから印刷対象への再転写を行わせるようにしてあるオフセット印刷装置において、上記ブランケットロールの外周から離れた所要個所に、該ブランケットロールの外周面との距離を計測する変位計を設けると共に、上記回転するブランケットロールの回転角度を検出するエンコーダを備え、更に、上記変位計と上記エンコーダより入力される信号を基に、上記ブランケットロールの回転角度と該ブランケットロールの回転中心から周位置までの見かけ上の半径との相関を予め求めてデータとして記憶する機能と、上記ブランケットロールを回転させた状態で版テーブル上の版及び印刷対象テーブル上の印刷対象にそれぞれ接触させるときに、上記エンコーダより入力されるブランケットロールの回転角度の情報を基に、上記記憶してあるデータから該ブランケットロールの回転中心から版や印刷対象に接している部分までの見かけ上の半径を呼び出して、該呼び出した見かけ上の半径と上記エンコーダより入力される信号を基に検出されるブランケットロールの角速度との積で上記ブランケットロールの版や印刷対象に接している部分の周速を求める機能と、該求めたブランケットロールの周速と上記版テーブルの走行による版の移動速度及び上記印刷対象テーブルの走行による印刷対象の移動速度をそれぞれ同期させる機能を有する制御器を備えてなる構成を有することを特徴とするオフセット印刷装置。
【請求項4】
ブランケットロールの回転角度を検出するエンコーダを、上記ブランケットロールの両端の回転軸のうち、回転用駆動モータに連結した回転軸とは反対側の回転軸の端面に直接連結して設けるようにした請求項3記載のオフセット印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−280165(P2010−280165A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136246(P2009−136246)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】