説明

オフセット印刷用光沢塗被紙およびその製造方法

【課題】本発明の目的は、高温ソフトカレンダー処理時に品質上重大な欠陥となる微小な光沢ムラが少なく面状に優れ、特に白紙光沢、印刷光沢に優れたオフセット印刷用光沢塗被紙およびその製造方法を提供することである。
【解決手段】原紙上に、顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被してなるオフセット印刷用光沢塗被紙において、該塗被組成物中の顔料成分として、平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有し、スムースター平滑度が6.0kPa以下、光沢度が45%以上であるオフセット印刷用光沢塗被紙。また、原紙上に、顔料および接着剤を主成分とし、顔料成分として平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有する塗被組成物を塗被乾燥した後、弾性ロールと100℃以上に加熱された金属ロールからなる高温カレンダーに通紙して、スムースター平滑度を6.0kPa以下、光沢度を45%以上に調整するオフセット印刷用光沢塗被紙の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフセット印刷用光沢塗被紙およびその製造方法に関し、より詳しくは白紙光沢、印刷光沢に優れ、特に高温ソフトカレンダー処理時に品質上重大な欠陥となる微小な光沢ムラが少なく面状に優れたオフセット印刷用光沢塗被紙およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷用紙の需要は増加しているが、なかでもチラシ、カタログ、雑誌の広告ページ等に用いられるオフセット印刷用光沢塗被紙は、消費者への宣伝を目的とする商業印刷物としての用途が拡大している。これらの商業印刷物は、それ自体が消費者の購入対象とはならず、生産者側が有償にて消費者側に宣伝を行うため、低コストで印刷仕上がりの良いものが求められる。
【0003】
このようなオフセット印刷用光沢塗被紙の要求に対応するために、製紙メーカーでは、高品質を保ったまま、生産効率を向上させることで、印刷用紙の低コスト化を図ることが重要な課題となって来ている。
【0004】
一般に、生産効率を向上させる手法として、省エネルギー化、原材料使用の最適化、製造工程の簡略化などが挙げられる。このなかで、エネルギーや原材料の調達が市況によって変動することに対し、製造工程の簡略化は、外的要因の影響が少ない安定してコスト効率を高めることが出来る手法と言える。オフセット印刷用光沢塗被紙の製造工程は、パルプ工程の後に、抄紙、塗被、仕上げの工程を経ており、それぞれが抄紙機、コーター、カレンダーと呼ばれる別々の機械で生産されているのが一般的である。現在、カレンダー装置として、スーパーカレンダーと呼ばれる形式が広く用いられているが、その運転速度は、抄紙機ならびにコーターに比較して遅く、生産効率を下げている。これを解消する手法として、コーターとカレンダーを一体型としたオンライン処理が可能なソフトカレンダーが開発されている。
【0005】
スーパーカレンダーは、交互に鋼と弾性体の多数ロールから構成されており、多段に積み上げる構造と使用する弾性体ロールの材質から耐熱性ならびに耐圧性に劣り、金属ロール温度は30〜100℃程度に抑えられ、運転速度は800m/分程度までとなっている。ソフトカレンダーは、金属ロールと特殊合成樹脂を被覆した弾性体ロールの少数ロールから構成されるため、耐熱性ならびに耐圧性に優れ、金属ロール温度は30〜200℃程度、運転速度は1000m/分以上となっている。より少ないニップ数で処理することが可能であるために、省スペース化でき、高温で金属ロールの鏡面を紙表面に転写させるため、嵩高(低密度)で腰が強い紙の仕上げが行えることが特徴となっている。
【0006】
しかし、ソフトカレンダーのロール温度が高くなるにしたがい、原紙の坪量ムラや塗被量ムラ等が、一様なカレンダー処理を妨げ、微小な光沢ムラとなって発生する。この問題を解決するために、高温でのソフトカレンダー処理の直前ないし直後に、繊維を植え付けたブラシロールと金属ロールで構成されるブラッシングカレンダーを用いてカレンダー処理する方法により、微小な光沢ムラの改善を行っている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この方法では既存のコーター設備にソフトカレンダーに加えて新たにブラッシングカレンダーを併設する必要があり、簡便な手法とは言い難い。また、原紙上に設けた下塗り塗被層の上に、炭酸カルシウムを全顔料に対して65〜80重量%、使用モノマー中のブタジエン含有量が20〜40重量%で、平均粒子径が50〜100nmであるスチレン・ブタジエン系共重合体を含有する上塗り塗被層を設ける方法により、微小な光沢ムラの改善を行っている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法では下塗り層を設け、なおかつこの下塗り層が充分な平滑性を持たなければ、微小な光沢ムラの改善に充分な効果が得られないため、簡便な手法とは言い難い。
【特許文献1】特開平9−228298号公報
【特許文献2】特開平9−302597号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のような状況に鑑み、本発明の課題は、原紙上に、顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被してなるオフセット印刷用光沢塗被紙において、白紙光沢、印刷光沢に優れ、特に高温ソフトカレンダー処理時に品質上重大な欠陥となる微小な光沢ムラが少なく面状に優れたオフセット印刷用光沢塗被紙およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者が前述の問題点を解決するために鋭意検討した結果、顕著に効果が確認されたオフセット印刷用光沢塗被紙およびその製造方法を提供する手法を見出し、遂に本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明のオフセット印刷用光沢塗被紙は、原紙上に、顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被してなるオフセット印刷用光沢塗被紙において、該塗被組成物中の顔料成分として、平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有し、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度が45%以上であることを特徴とするオフセット印刷用光沢塗被紙により本発明を成すに至った。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、白紙光沢、印刷光沢に優れ、特に高温ソフトカレンダー処理時に品質上重大な欠陥となる微小な光沢ムラが少なく面状に優れたオフセット印刷用光沢塗被紙およびその製造方法を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明のオフセット印刷用光沢塗被紙およびその製造方法について、詳細に説明する。
【0012】
本発明において、塗被組成物中の顔料成分として、カオリンを50〜100質量%にする必要がある。カオリンの含有量が50質量%より少ない場合には、カオリン以外の顔料として通常用いられる炭酸カルシウムの配向性が低く、原紙の凹凸に由来したカレンダー処理時の圧力ムラがそのまま微小な光沢ムラとしてあらわれるとともに、オフセット印刷用光沢塗被紙として充分な白紙光沢を発現させるために、高圧ないし低速でのカレンダー処理を必要とするため、紙腰の低下ならびに生産性の低下を引き起こす。また、炭酸カルシウム以外の顔料として有機顔料が挙げられるが、オフセット印刷用光沢塗被紙の材料としては高価である上に、配向性がなく、熱ならびに圧力による変形が大きいため、原紙の凹凸に由来したカレンダー処理時の熱ならびに圧力ムラがそのまま微小な光沢ムラとして顕著にあらわれる。
【0013】
また、本発明において、塗被組成物中の顔料成分としてのカオリンは、平均粒子径が0.9〜3.0μmである必要がある。カオリンの平均粒子径が0.9μmより小さい場合は、原紙方向へのカオリンの落ち込み割合が高く、原紙上に充分な厚みを持った塗被層を設けることが出来ずに、塗布ムラに由来した微小な光沢ムラが発生する。また、カオリンの平均粒子径が3.0μmより大きい場合は、粒子の大きさの違いによる配向性の低下が起こり、原紙の凹凸に由来したカレンダー処理時の熱ならびに圧力ムラによる微小な光沢ムラが顕著になるとともに、高圧による紙腰の低下ならびに低速での生産性の低下を引き起こして好ましくない。
【0014】
本発明において、オフセット印刷用光沢塗被紙のスムースター平滑度6.0kPa以下、且つ光沢度が45%以上である必要性がある。スムースター平滑度が6.0kPaより大きい場合、原紙の凹凸が充分にカレンダー処理されずに、凸部に圧力が集中したカレンダー処理となり、微小な光沢ムラが発生する。これは光沢度が45%以上であっても同様である。また、光沢度が45%より低い場合は、原紙の凹凸を被覆するのに充分な厚みの塗被層を設けることが出来ておらず、原紙の凹凸に由来した微小な光沢ムラが発生する。また、オフセット印刷用光沢塗被紙として、充分な光沢を有するとも言えない。
【0015】
本発明におけるオフセット印刷用光沢塗被紙は、原紙上に、顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被してなり、該塗被組成物中の顔料成分として、平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有し、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度が45%以上である必要があるが、より高い生産性ならびに嵩高性をはじめとした高い品質を得るためには、弾性ロールと100℃以上に加熱された金属ロールからなる高温カレンダーに通紙して製造されることが望ましい。100℃より低い温度でカレンダー処理しても、微小な光沢ムラが少なく面状に優れたオフセット印刷用光沢塗被紙は製造可能であるが、熱による原紙中のパルプ分ならびに塗被層中の顔料配向の可塑性が得られず、高圧・低速処理が必要となり、嵩高性と紙腰の低下ならびに生産性が低下する結果となる。
【0016】
本発明に係るオフセット印刷用光沢塗被紙に用いられる原紙としては、LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、TMP、CTMP、CGPなどの機械パルプ、および古紙パルプなどの各種パルプを含み、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリンなどの各種填料、サイズ剤、定着剤、歩留り剤、紙力増強剤などの各種配合剤を好適に配合し、酸性、中性、アルカリ性のいずれかでも抄造できる。
【0017】
本発明において用いられる原紙としては、ノーサイズプレス原紙、あるいは澱粉、ポリビニルアルコールなどでサイズプレスされた原紙などを用いることが出来る。
【0018】
本発明に係る塗被層中に用いられる平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリン以外の顔料としては特に制限はなく、各種クレー、カオリン、炭酸カルシウム、サチンホワイト、酸化チタン、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫酸カルシウム、タルク、有機顔料、バインダーピグメント等の紙塗被用塗料に使用される顔料を併用しても良い。
【0019】
本発明における塗被層中に用いられるバインダーには、一般的にオフセット印刷用光沢塗被紙を製造する上で用いられるものは全て配合して構わない。バインダーとしては、通常の澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、酵素変性澱粉やそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性澱粉などの澱粉類、スチレン/ブタジエン系、酢酸ビニル系などの各種共重合ラテックス、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ユリアまたはメラミン/ホルマリン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン/エピクロルヒドリンなどの水溶性合成物、ワックス、カゼイン、大豆蛋白などの天然物およびこれらをカチオン化したものなどが挙げられる。添加部数については特に制限するものではない。
【0020】
本発明において塗被層中には必要に応じて、消泡剤、耐水化剤、着色剤などの通常オフセット印刷用光沢塗被紙を製作する上で使用されている各種助剤、およびこれらの各種助剤をカチオン化したものが好適に用いられる。
【0021】
本発明に係る塗被層の層構造は特に単層に限定されるものではなく、必要に応じて二層以上の塗被層であっても良いが、少なくとも最上層が塗被組成物の顔料成分として、平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有する必要がある。
【0022】
本発明において、オフセット印刷用光沢塗被紙を製造する際の塗被方式は特に限定されるものではなく、サイズプレス、ゲートロール、シムサイザーなどの各種メタードフィルムトランスファー、エアナイフ、ロッド、ダイレクトファウンテン、ブレードなど各方式を適宜使用して構わないが、より良好な印刷適性を有するオフセット印刷用光沢塗被紙を製造するには、ブレード方式によって塗被されるのが好ましい。
【0023】
本発明のオフセット印刷用光沢塗被紙において、塗被層の乾燥後の質量としては特に限定されるものではないが、片面当たり通常1〜20g/m2、好ましくは6〜15g/m2である。
【0024】
本発明で使用するソフトカレンダーの型式は、通紙の容易さ、省スペース、メンテナンスの容易さを考慮してタンデムタイプの2ロールで2〜6スタックが好ましい。タンデムタイプとは、金属ロールと弾性ロールを重ねて一対とした2ロールを並列に設置するタイプのソフトカレンダーのことである。また、弾性ロールの材質は特に限定するものではないが、耐熱性に優れる変性ウレタン系、エポキシ系、ポリエーテル系等のプラスチックからなるものが好ましい。また硬度は、耐熱、耐圧、耐久性の良いショア硬度D87〜94のものを使用することが好ましい。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例配合中の部および%はそれぞれ質量部および質量%を示し、固形分で表したものである。
【0026】
顔料組成物の調製は以下のようにして行った。顔料に少なくとも1種類以上の分散剤を添加し、固形分濃度が50〜70%になるよう調整後、コーレスミキサーを用いて一次分散を行った(6400rpm、周速25m/s)。これを顔料スラリーとした。
【0027】
原紙は以下のような配合で調製し、坪量60g/m2の原紙を抄造した。
<原紙配合>
LBKP(濾水度440mlcsf) 70部
NBKP(濾水度490mlcsf) 30部
【0028】
<内添薬品>
軽質炭酸カルシウム(原紙中灰分で表示) 6部
市販カチオン化澱粉 1.0部
市販カチオン系ポリアクリルアミド歩留り向上剤 0.03部
【0029】
この原紙に対して、サイズプレスで0.30g/m2の酸化澱粉を付着させ、塗被紙用原紙を得た。
【0030】
印刷用塗被紙の製造に当たって、以下のような配合の塗被液を調製した。
<塗被液>
顔料スラリー 100部
市販ポリアクリル酸系分散剤 0.1部
市販ラテックスバインダー(スチレン/ブタジエン系) 10部
市販リン酸エステル澱粉 3部
水酸化ナトリウム pH9.6に調整
調整水 適宜
【0031】
顔料の平均粒子径は、粒度分布測定装置(日機装社製、形式Microtrac MT3000)を用いて、測定した。
【0032】
オフセット印刷用光沢塗被紙の製造は以下のようにして行った。上記のようにして製造した塗被紙用原紙に対して、ファウンテンアプリケーション/ブレードコーターを用いて、塗工速度1200m/分で、下記のそれぞれの実施例、比較例における配合からなる固形分濃度60%の塗被液を、片面10g/m2塗工し、乾燥して塗被層を設けた塗被紙を得た。得られた塗被紙をそれぞれの実施例、比較例における温度にて、ソフトカレンダー仕上げ装置(段数:2段、金属ロール:外径800mmのチルドロール、弾性ロール:外径700mmの特殊合成樹脂)を用いて、表面および裏面を各1回カレンダリング処理を施し、オフセット印刷用光沢塗被紙を製造した。
【0033】
各実施例、比較例における配合からなる塗被液を用いて製造したオフセット印刷用光沢塗被紙の物性評価は以下の方法で行った。
【0034】
<評価方法>
1)密度
最終製品の密度は、JIS P8118に準じて測定した。
【0035】
2)白紙光沢
最終製品の白紙光沢度は、JIS P8142に準じてグロスメーター(村上色彩技術研究所社製、形式GM−26D)にて測定した。
【0036】
3)スムースター平滑度
最終製品のスムースター平滑度は、スムースター平滑度試験器(東英電子工業社製、形式SM−6A)により測定した。
【0037】
4)微小な光沢ムラ
最終製品を以下の4段階で目視評価した。本発明においては、○以上を発明の対象とした。
◎:なし
○:ほとんどなし
△:あり
×:非常に目立つ
【0038】
(実施例1)
顔料スラリー中の顔料として、平均粒子径が1.7μmである市販1級カオリン75%および市販重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)25%を用いた。得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度3.2kPa、白紙光沢56.9%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0039】
(実施例2)
実施例1で、顔料スラリーの顔料として、平均粒子径が1.7μmである市販1級カオリン50%および市販重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)50%を用いた。得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度4.4kPa、白紙光沢49.0%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0040】
(実施例3)
実施例1で、顔料スラリーの顔料として、平均粒子径1.7μmである市販1級カオリン100%を用いた。得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度1.3kPa、白紙光沢64.0%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0041】
(実施例4)
実施例1で、顔料スラリーの顔料として、平均粒子径1.0μmである市販1級カオリン75%および市販重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)25%を用いた。得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度2.4kPa、白紙光沢60.8%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0042】
(実施例5)
実施例1で、顔料スラリーの顔料として、平均粒子径3.0μmである市販2級カオリン75%および市販重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)25%を用いた。得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度4.6kPa、白紙光沢50.9%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0043】
(実施例6)
実施例1で、得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度5.8kPa、白紙光沢48.5%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0044】
(実施例7)
実施例1で、得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度4.2kPa、白紙光沢45.3%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0045】
(実施例8)
実施例1で、得られた塗被紙を金属ロール温度100℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度3.8kPa、白紙光沢57.5%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0046】
(実施例9)
実施例1で、得られた塗被紙を金属ロール温度150℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度4.0kPa、白紙光沢57.0%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0047】
(比較例1)
実施例1で、顔料スラリーの顔料として、平均粒子径1.7μmである市販1級カオリン40%および市販重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)60%を用いた。得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度4.5kPa、白紙光沢46.0%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0048】
(比較例2)
実施例1で、顔料スラリーの顔料として、平均粒子径0.8μmである市販微粒カオリン75%および市販重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)25%を用いた。得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度2.9kPa、白紙光沢63.8%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0049】
(比較例3)
実施例1で、顔料スラリーの顔料として、平均粒子径3.5μmである市販2級カオリン75%および市販重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)25%を用いた。得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度4.6kPa、白紙光沢46.2%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0050】
(比較例4)
実施例1で、顔料スラリーの顔料として、平均粒子径3.0μmである市販2級カオリン75%および市販重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)25%を用いた。得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度6.5kPa、白紙光沢45.4%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0051】
(比較例5)
実施例1で、顔料スラリーの顔料として、平均粒子径1.7μmである市販1級カオリン75%および市販重質炭酸カルシウム(平均粒子径1.2μm)25%を用いた。得られた塗被紙を金属ロール温度80℃にてソフトカレンダー処理を施し、スムースター平滑度5.7kPa、白紙光沢40.5%としたオフセット印刷用光沢塗被紙の評価結果を表1に示す。
【0052】
【表1】

【0053】
実施例1〜3および比較例1の結果から、原紙上に、顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被してなるオフセット印刷用光沢塗被紙において、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度が45%以上であり、かつ該塗被組成物中に平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有させることで、該塗被組成物中に平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50質量%より少なく含有させたものに比較して、微小な光沢ムラを減少させる効果に優れることがわかる。
【0054】
実施例1、4、5および比較例2、3の結果から、原紙上に、顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被してなるオフセット印刷用光沢塗被紙において、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度が45%以上であり、且つ該塗被組成物中に平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有させることで、該塗被組成物中に平均粒子径が0.9μmより小さいカオリンおよび平均粒子径が3.0μmより大きいカオリンを50〜100質量%含有させたものに比較して、微小な光沢ムラを減少させる効果に優れることがわかる。
【0055】
実施例6および比較例4の結果から、原紙上に、顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被してなるオフセット印刷用光沢塗被紙において、該塗被組成物中の顔料成分として、平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有し、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度が45%以上とすることで、スムースター平滑度が6.0kPaより大きく、且つ光沢度が45%以上としたものに比較して、微小な光沢ムラを減少させる効果に優れることがわかる。
【0056】
実施例7および比較例5の結果から、原紙上に、顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被してなるオフセット印刷用光沢塗被紙において、該塗被組成物中の顔料成分として、平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有し、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度が45%以上とすることで、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度が45%より低いとしたものに比較して、微小な光沢ムラを減少させる効果に優れることがわかる。
【0057】
実施例1、8、9の結果から、原紙上に、顔料および接着剤を主成分とし、顔料成分として平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有する塗被組成物を塗被乾燥した後、弾性ロールと100℃以上に加熱された金属ロールからなる高温カレンダーに通紙して、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度45%以上とすることで、弾性ロールと100℃より低く加熱された金属ロールからなるカレンダーに通紙して、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度45%以上とするオフセット印刷用光沢塗被紙の製造方法に比較して、白紙光沢ならびに嵩高性を向上させ、且つ微小な光沢ムラを減少させる効果を維持していることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙上に、顔料および接着剤を主成分とする塗被組成物を塗被してなるオフセット印刷用光沢塗被紙において、該塗被組成物中の顔料成分として、平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有し、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度が45%以上であることを特徴とするオフセット印刷用光沢塗被紙。
【請求項2】
原紙上に、顔料および接着剤を主成分とし、顔料成分として平均粒子径が0.9〜3.0μmのカオリンを50〜100質量%含有する塗被組成物を塗被乾燥した後、弾性ロールと100℃以上に加熱された金属ロールからなる高温カレンダーに通紙して、スムースター平滑度が6.0kPa以下、且つ光沢度45%以上に調整することを特徴とするオフセット印刷用光沢塗被紙の製造方法。

【公開番号】特開2009−203571(P2009−203571A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45699(P2008−45699)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】