オブジェクトによる使用のために放射ビームを調整するための光学装置、リソグラフィ装置、およびデバイスを製造する方法
【課題】不所望の波長の放射を減少することができる光学装置およびリソグラフィ装置を提供する。
【解決手段】EUV(極端紫外線)リソグラフィ装置において、照明システムは、マルチファセットフィールドミラーとマルチファセット瞳ミラーとを含む。ミラー内のフィールドファセットミラーは、EUV放射を特定の関連付けられた瞳ファセットミラー上に合焦させ、瞳ファセットミラーからEUV放射はターゲット領域に誘導される。各フィールドファセットミラーは、不所望のDUV(深紫外)放射を広範囲の方向に散乱するように変更される。DUVの大部分は、瞳ミラー内の隣接する瞳ファセットミラーに当たり、それにより、ターゲットEに到達するEUV放射の量は、所望のEUV放射に比べて抑制される。ミラー間の距離が個々の瞳ファセットミラーの幅よりもかなり大きいので、良好なDUV抑制が、狭い散乱角だけで達成することができる。
【解決手段】EUV(極端紫外線)リソグラフィ装置において、照明システムは、マルチファセットフィールドミラーとマルチファセット瞳ミラーとを含む。ミラー内のフィールドファセットミラーは、EUV放射を特定の関連付けられた瞳ファセットミラー上に合焦させ、瞳ファセットミラーからEUV放射はターゲット領域に誘導される。各フィールドファセットミラーは、不所望のDUV(深紫外)放射を広範囲の方向に散乱するように変更される。DUVの大部分は、瞳ミラー内の隣接する瞳ファセットミラーに当たり、それにより、ターゲットEに到達するEUV放射の量は、所望のEUV放射に比べて抑制される。ミラー間の距離が個々の瞳ファセットミラーの幅よりもかなり大きいので、良好なDUV抑制が、狭い散乱角だけで達成することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、不所望の波長を有する放射を抑制するために放射ビームを調整することに関し、例えばリソグラフィ分野おいて放射ビームを調整するために適用されうる。本発明は、特に深紫外線(DUV)を抑制するために極端紫外線(EUV)リソグラフィにおいて放射ビームを調整するために開発されているが、かかる適用、かかる特定の波長範囲に限定されない。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィは、集積回路(IC)および他のデバイスおよび/または構造の製造における重要なステップの1つとして広く認識されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作られるフィーチャの寸法が小さくなるにつれて、リソグラフィは小型ICまたは他のデバイスおよび/または構造を製造可能にするためのより重大な要素になりつつある。
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えばICの製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ以上のダイの一部を含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0004】
[0004] 現在のリソグラフィシステムは、非常に小さいマスクパターンフィーチャを投影する。レチクルの表面上に出現する埃または外部粒状物質は、結果として得られる生成物に悪影響を及ぼしうる。リソグラフィプロセスの前またはその途中にレチクル上に堆積する任意の粒状物質は、基板上に投影されるパターンにおけるフィーチャを歪ませる可能性が高い。したがって、フィーチャサイズが小さいほど、レチクルから除去することが重要になる粒子のサイズも小さくなる。
【0005】
[0005] 多くの場合、ペリクルがレチクルと共に用いられる。ペリクルは、レチクルの表面の上方でフレームに広げられうる薄い透明層である。ペリクルは、粒子がパターン形成された側のレチクル面に到達することを遮断するために用いられる。ペリクル面上の粒子は、焦点面から外れており、露光されているウェーハ上に像を形成しないが、ペリクル面上に可能な限り粒子がない状態にすることが依然として望ましい。
【0006】
[0006] パターンプリンティングの限界の理論推定値は、次式(1)に示されるような解像度についてのレイリー(Rayleigh)基準によって与えることができる。
【数1】
ここで、λは用いられる放射の波長であり、NAPSはパターンのプリントに用いられる投影システムの開口数であり、k1はレイリー定数とも呼ばれる、プロセス依存型調節係数であり、CDはプリントされたフィーチャのフィーチャサイズ(またはクリティカルディメンション)である。式(1)から、フィーチャの最小プリント可能サイズの縮小は、3つの方法、すなわち、露光波長λを短くすること、開口数NAPSを大きくすること、またはk1の値を小さくすることによって得られることが分かる。
【0007】
[0007] 露光波長を短くする、したがって最小プリント可能なサイズを縮小するために、極端紫外線(EUV)源を使用することが提案されている。EUV放射源は、通常、例えば13.5nmまたは約13nmまたは6.5nm〜6.8nmといった約5〜20nmの放射波長を出力するように構成される。したがって、EUV放射源は、小型フィーチャプリンティングを達成することに向けて意義ある前進を構成しうる。かかる放射は、極端紫外線または軟X線と呼ばれ、可能な放射源としては、例えばレーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、または電子蓄積リングからのシンクロトロン放射が含まれる。
【0008】
[0008] 一部のEUV源、特にプラズマ源は、赤外線(IR)、可視線、紫外線(UV)、および深紫外線(DUV)でさえも含む広範囲の周波数に亘って放射を放出する。これらの不所望の放射は伝播して、照明および投影システム内に加熱問題を引き起こし、遮断されなければレジストの不所望の露光を引き起こしてしまう。照明および投影システムの多層ミラーが、例えば13nmである所望の波長の反射のために最適化されているが、IR、可視、およびUV波長においてかなり高い反射率も有する。基板においてEUV放射に露光されるべきレジストもDUV放射のような非EUV放射に敏感であるが、基板における非EUV放射はマスクパターンフィーチャの情報を含まない。むしろ、ウェーハステージにおける非EUV放射の存在は、コントラスト損失にしか貢献しない。したがって、非EUV放射のEUV放射に対する比率を特定の値(単なる一例として基板において1%でありうる)未満に維持することが望ましい。
【0009】
[0009] この機能を実行するために、メンブレン状スペクトル純度フィルタといったフィルタを用いることが提案されている。しかし、このようなフィルタは非常に繊細であり、限られた熱負荷容量を有し、リソグラフィ投影装置内において生じる高出力レベルの放射において、高い熱応力および亀裂、昇華および酸化につながる。メンブレンフィルタはさらに、通常、所望のEUV放射の大部分を吸収する。例えばDUV放射は、30%のEUV放射損失を犠牲にして、100より大きい倍率で抑制されうる。
【0010】
[0010] この機能を実行するために、リソグラフィ装置の照明および投影システム内の1つまたは複数のミラー上にDUV抑制コーティングを使用することも提案されている。しかし、DUVコーティングを使用することによって、EUV放射損失は、DUV抑制に比べて、メンブレンフィルタを使用する場合のそれよりも悪い。さらに、DUV抑制コーティングを使用する手法は、EUVに対するDUVの減少の比が約3倍と限定的なので不十分である。
【発明の概要】
【0011】
[0011] EUVリソグラフィ装置といった反射型光学システムにおいて不所望の波長の放射を減少する代替の技術があることが望ましい。
【0012】
[0012] 本発明の第1の態様では、放射ビームを調整するための光学装置が提供される。かかる装置は、放射源から放射ビームを受取り、放射ビームを第2の反射型コンポーネントに反射するように構成され、主反射型素子を含む第1の反射型コンポーネントと、ビームをターゲット位置に反射するように構成され、副反射型素子のアレイを含む第2の反射型コンポーネントとを含み、主反射型素子は、第1の波長範囲にある放射を、関連付けられた副反射型素子、または、関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに反射するように構成され、主反射型素子は、第2の波長範囲にある放射が、ある程度の散乱を受けるように形成され、散乱の程度は、第2の波長範囲にある放射の大部分が、第2の反射型コンポーネントに向けて誘導されるが、関連付けられた副反射型素子に向けてまたは関連付けられた副反射型素子のサブセットに向けて誘導されないように設定される。
【0013】
[0013] かかる装置は、EUVリソグラフィ装置の照明システム内で適用されうる。主反射型素子は、フィールドファセットミラーであり、副反射型素子はマルチファセット瞳ファセットミラーの瞳ファセットミラーであってよい。このような実施形態では、第1の波長範囲は、EUV波長範囲5〜20nm内、例えば範囲13〜14nmまたは6.5〜7nm内にありうる。第2の波長範囲は、DUV波長範囲100〜400nm、任意選択的に110〜300nm内にありうる。
【0014】
[0014] 散乱の程度は、第2の波長範囲にある放射の25%未満、任意選択的に15%、5%、または1%未満が、主反射型素子から、関連付けられた副反射型素子または関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに誘導されるような程度でありうる。幾つかの実施形態では、主反射型素子の向きは、様々な時間において、関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに向けて放射を誘導するように制御可能であり、関連付けられた副反射型素子の各々は、副反射型素子のアレイにおいて、主反射型素子から受け取った放射をターゲット位置から離れる方向に誘導する副反射型素子によって取り囲まれている。
【0015】
[0015] 主反射型素子は、主反射型素子のアレイのうちの1つの素子であってよく、主反射型素子の各々は、第2の反射型コンポーネントにおける、特定の副反射型素子、または、素子のサブセットに関連付けられ、主反射型素子の各々は、第2の波長範囲にある放射の対応する程度の散乱を提供するように構成される。主反射型素子は、第1の波長範囲にある放射を反射するためのミラー構造と、第2の波長範囲にある放射にある程度の散乱を与えるための、ミラー構造上のコーティングとを含む。一実施形態では、コーティングは、例えば100nm未満、任意選択的に30nm未満の寸法のシリコン粒子の層を含みうる。
【0016】
[0016] 一実施形態では、主反射型素子は、第3の波長範囲にある放射の、ターゲット位置に向かう反射を抑制するように構成された位相格子構造を組み込み、第3の波長範囲にある波長は、1μmより長い。
【0017】
[0017] 本発明はさらに、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構成されたサポートであって、パターニングデバイスは、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成可能である、サポートと、基板を保持するように構成された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、照明システムにおける放射源から受け取った放射ビームを調整するように構成された、上述したような本発明の実施形態による光学装置とを含むリソグラフィ装置を提供する。
【0018】
[0018] 本発明はさらに、パターン付き放射ビームを基板上に投影することを含むデバイス製造方法を提供し、パターン付きビームは、上述したような光学装置によって調整された放射ビームから形成される。
【0019】
[0019] 本発明の更なる特徴および利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造および動作は、添付図面を参照して以下に詳細に説明される。なお、本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、例示目的のためだけに本明細書に提示されている。本明細書に含まれる教示内容に基づけば、当業者には追加の実施形態が明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
[0020] 本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明を例示し、以下の記載と共に本発明の原理をさらに説明し、当業者が本発明を製造しかつ使用することを可能にする。本発明の実施形態を、ほんの一例として添付図面を参照しながら説明する。
【図1】[0021] 図1は、反射型投影光学部品を有するリソグラフィ装置を概略的に示す。
【図2】[0022] 図2は、図1の装置のより詳細な図である。
【図3】[0023] 図3は、図1および図2の装置用の代替放射源コレクタモジュールSOのより詳細な図である。
【図4】[0024] 図4は、EUVリソグラフィ装置の代替例を示す。
【図5】[0025] 図5は、本発明の一実施形態に従って、リソグラフィ装置の照明システム内の、放射ビームを調整するための例示的な光学装置の断面図を示す。
【図6】[0026] 図6は、主反射型素子として図5のシステム内に使用可能な例示的な光学素子を示す図である。
【図7】[0027] 図7は、主反射型素子として、図5のシステムに使用可能な別の例示的な光学素子を示す図である。
【図8】[0028] 図8は、主反射型素子として、図5のシステムに使用可能なさらに別の例示的な光学素子を示す。
【図9】[0029] 図9は、主反射型素子に入射する放射ビームのモデル散乱プロファイルの断面図を示す。
【図10】[0030] 図10は、(f)鏡面反射と比較した場合の散乱放射ビームの例示的な理論上の散乱プロファイル(a)−(e)を示す。
【図11】[0031] 図11は、散乱放射ビームの散乱プロファイルの四角近似を示す。
【図12】[0032] 図12は、図5に示されるような放射ビームを調整するためのシステムへの図9に示される原理の例示的な適用を示す。
【図13】[0033] 図13は、本発明の実施形態に従って、1つの主反射型素子が2つの関連付けられた副反射型素子を有する、別の例示的な装置の断面図である。
【図14】[0034] 図14は、主反射型素子としてシステムにおいて使用可能であり、かつ、位相格子構造を含む、変更された例示的な光学素子を示す。
【図15】[0035] 図15は、図12の適用に用いられた場合の図14の素子の位相格子の機能を示す。
【0021】
[0036] 本発明の特徴および利点は、図面と共に以下に記載した詳細な説明からより明らかとなろう。図面中、同様の参照文字は、全図を通して対応する要素を特定する。図中、同様の参照番号は、概して、同一の、機能的に同様の、および/または構造的に同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0037] 本明細書は、本発明の特徴を組み込む1つまたは複数の実施形態を開示する。開示された実施形態は、本発明を例示するに過ぎない。本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。本発明は添付された特許請求の範囲によって定義される。
【0023】
[0038] 記載された実施形態、および、明細書中における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」等への言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を有しうることを示すが、必ずしもすべての実施形態がその特徴、構造、または特性を含まなくてもよい。さらに、このような表現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。また、特定の特徴、構造、または特性が一実施形態に関連して記載された場合、明示的な記載の有無に関わらず、その特徴、構造、または特性を他の実施形態に関連して作用させることは当業者の知識内であると理解される。
【0024】
[0039] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組合せで実施されてよい。本発明の実施形態は、また、1つまたは複数のプロセッサによって読出され、実行されうる、機械可読媒体上に記憶された命令として実施されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えばコンピュータデバイス)によって読出し可能な形式で情報を記憶または伝送するための任意の機構を含みうる。例えば機械可読媒体には、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光学、音響、または他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)等が含まれる。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令が、本明細書においては、特定の動作を行うように記載する場合もある。しかし、そのような記載は便宜上に過ぎず、また、そのような動作は、実際には、コンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスによるものであることは理解されるべきである。
【0025】
[0040] しかし、このような実施形態をより詳細に記載する前に、本発明の実施形態が実施されうる例示的な環境を提示することが有益であろう。
【0026】
[0041] 図1は、本発明の一実施形態による放射源コレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスクまたはレチクル)MAを支持するように構成され、かつパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば反射型投影システム)PSとを含む。
【0027】
[0042] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合せ等の様々なタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0028】
[0043] サポート構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否か等の他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0029】
[0044] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用できるあらゆるデバイスを指していると広く解釈されるべきである。なお、放射ビームに付与されたパターンは、集積回路等のターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応しうる。
【0030】
[0045] パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは周知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフト等のマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられ、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように各小型ミラーを個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射された放射ビームにパターンを付与する。
【0031】
[0046] 投影システムは、照明システムと同様に、用いられる露光放射に、または真空の使用といった他の要素に適切な屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、静電型、または他の型の光学コンポーネント、またはそれらのあらゆる組合せを含む様々な型の光学コンポーネントを含みうる。他のガスは放射を吸収しすぎることがあるので、EUV放射には真空を用いることが望ましい。したがって、真空環境を、真空壁および真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供しうる。
【0032】
[0047] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は反射型装置であってよい(例えば反射型マスクを採用している)。
【0033】
[0048] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械では、追加のテーブルを並行して使うことができ、すなわち予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0034】
[0049] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源コレクタモジュールSOから極端紫外線ビームを受け取る。EUV光を生成する方法には、次に必ずしも限定されないが、物質を、EUV範囲内の1本以上の輝線を有する例えばキセノン、リチウム、またはスズである少なくとも1つの元素を有するプラズマ状態に変換することが含まれる。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれるこのような方法の1つでは、必要とされるプラズマは、必要な輝線を放出する元素を有する物質の液滴、ストリームまたはクラスタといった燃料をレーザビームによって照射することによって生成することができる。放射源コレクタモジュールSOは、燃料を励起させるレーザビームを提供するために、図1には図示されないレーザを含むEUV放射システムの一部であってよい。結果として生じるプラズマは、例えばEUV放射である出力放射を放出し、この放射は、放射源コレクタモジュール内に配置される放射コレクタを使って集められる。例えばCO2レーザを用いて燃料励起のためのレーザビームを提供する場合は、レーザと放射源コレクタモジュールは別個の構成要素であってよい。
【0035】
[0050] その場合、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また、放射ビームはレーザから放射源コレクタモジュールへ、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、例えば放射源が多くの場合DPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合、放射源は放射源コレクタモジュールの一体部分とすることもできる。
【0036】
[0051] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するように構成されたアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、ファセットフィールドデバイスおよび瞳ミラーデバイスといった様々な他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布を持たせることができる。
【0037】
[0052] 放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点を合わせる。第2ポジショナPWおよび位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使い、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサPS1を使い、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2と、基板アライメントマークP1、P2を使って位置合わせされうる。
【0038】
[0053] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0039】
[0054] 1.ステップモードでは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それにより別のターゲット部分Cを露光することができる。
【0040】
[0055] 2.スキャンモードでは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。
【0041】
[0056] 3.別のモードでは、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードでは、通常、パルス放射源が採用され、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述のタイプのプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0042】
[0057] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、或いは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0043】
[0058] 図2は、放射源コレクタモジュールSO、照明システムIL、および投影システムPSを含むリソグラフィ装置100をより詳細に示す。放射源コレクタモジュールSOは、放射源コレクタモジュールSOの囲い構造220内に真空環境が維持可能であるように構成かつ配置される。EUV放射を放出するプラズマ210が放電生成プラズマ源によって形成されうる。EUV放射は、例えばXeガス、Li蒸気またはSn蒸気といったガスまたは蒸気によって生成されてよく、ガスまたは蒸気内では非常に高温のプラズマ210が生成されて電磁スペクトルのEUV範囲の放射が放出される。この非常に高温のプラズマ210は、例えば少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを引き起こす放電によって生成される。10Paの分圧のXe、Li、Sn蒸気または任意の他の好適なガスまたは蒸気が、放射の効率のよい発生には必要となりうる。一実施形態では、励起されたスズ(Sn)のプラズマが提供されてEUV放射が生成される。
【0044】
[0059] 高温プラズマ210によって放出された放射は、放射源チャンバ211からコレクタチャンバ212内へと、放射源チャンバ211の開口内またはその後方に位置決めされる光学ガスバリアまたは汚染物質トラップ230(汚染物質バリアまたはフォイルトラップとも呼ばれることもある)を介して送られる。汚染物質トラップ230はチャネル構造を含みうる。汚染物質トラップ230はガスバリア、または、ガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含んでもよい。本明細書に示す汚染物質トラップまたは汚染物質バリア230はさらに、当技術において周知であるように少なくともチャネル構造を含む。
【0045】
[0060] コレクタチャンバ211は、いわゆるかすめ入射コレクタでありうる放射コレクタCOを含みうる。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側251と下流放射コレクタ側252を有する。コレクタCOを通過する放射は格子スペクトルフィルタ240から反射されて仮想放射源点IFに合焦される。仮想放射源点IFは通常中間焦点と呼ばれ、放射源コレクタモジュールは中間焦点IFが囲み構造220の開口221にまたはその付近に位置するように構成される。仮想放射源点IFは放射を放出するプラズマ210の像である。
【0046】
[0061] 次に、放射は照明システムILを通過する。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビーム21の所望の角分布を提供し、また、パターニングデバイスMAにおいて所望の放射強度の均一性を提供するように構成されたファセットフィールドミラーデバイス22およびファセット瞳ミラーデバイス24を含みうる。サポート構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAにおいて放射ビーム21が反射した後、パターン付きビーム26が形成されて、このパターン付きビーム26は、反射型素子28、30を介してウェーハステージまたは基板テーブルWTによって保持された基板W上に投影システムPSによって結像される。
【0047】
[0062] 図示されるよりも多くの要素が一般的に照明光学ユニットILおよび投影システムPS内に存在しうる。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置のタイプに依存して任意選択的に存在しうる。さらに図示されるよりも多くのミラーが存在してよく、例えば図2に示されるよりも1〜6個追加の反射型素子が投影システムPS内に存在してもよい。
【0048】
[0063] 図2に示されるコレクタ光学部品COは、コレクタ(またはコレクタミラー)のほんの一例として、かすめ入射リフレクタ253、254、および255を有するネスト型コレクタとして示される。かすめ入射リフレクタ253、254、および255は光軸O周りに軸対称に配置され、この型のコレクタ光学部品COは、DPP源と多くの場合呼ばれる放電生成プラズマ源と組み合わせて用いられることが好適である。
【0049】
[0064] 或いは、放射源コレクタモジュールSOは、図3に示されるようにLPP放射システムの一部であってよい。レーザLAがキセノン(Xe)、スズ(Sn)、またはリチウム(Li)といった燃料にレーザエネルギーを与えるように構成され、それにより、数十eVの電子温度を有する、高度にイオン化されたプラズマ210が生成される。脱励起およびこれらのイオンの再結合時に発生されるエネルギー放射がプラズマから放出され、近法線入射コレクタ光学部品COによって集められ、囲い構造220の開口221に合焦される。
【0050】
[0065] 参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0157282号(ベイカー(Bakker))では、EUV光学システム内のミラーにDUV散乱コーティングを塗布することが提案されている。DUV放射の大部分がターゲットに当たり損なうようにDUV放射を広角度範囲に広げることを目的とする。このようにすると、EUV放射と同じ光路を辿るDUV放射は減少される。しかし、十分なDUV散乱を達成するためには、(コーティングを2回通過しなければならない)EUV放射も不所望の度合いにまで減衰および/または散乱されてしまう厚さのコーティングが必要となりうる。
【0051】
[0066] 図4は、スペクトル純度フィルタ240が、反射型格子ではなく透過型であるEUVリソグラフィ装置用の代替の配置を示す。この場合、放射源コレクタモジュールSOからの放射は、コレクタ光学部品から中間焦点IF(仮想放射源点)へと直線路を辿る。なお、IF付近またはIFにフィルタを位置決めすることは、非常に高い吸収されたパワーの密度につながることに留意されたい。結果として生じる高温は、フィルタを劣化させうる。その一方で、フィルタ面積は小さくて済み、これは利点である。図示されない実施形態では、スペクトル純度フィルタ240は、仮想放射源点IFまたはコレクタ光学部品COと仮想放射源点IFとの間の任意の点に位置決めされうる。フィルタは、例えば仮想放射源点IFの下流といった放射路の他の場所に配置されてよい。複数のフィルタを配置してもよい。先の例におけるように、コレクタ光学部品COは、かすめ入射型(図2)であっても直接リフレクタ型(図3)であってもよい。スペクトル純度フィルタは、赤外波帯における不所望の放射を抑制するように設計されうるが、DUV放射は他の手段によって抑制されなければならない。
【0052】
[0067] 以下の説明は、オブジェクト上のターゲット位置に誘導される放射ビームを調整可能な光学装置および方法を述べる。オブジェクトは、例えば集積回路内の個々の層上に形成される回路パターンを生成するためのリソグラフィパターニングデバイスMA、または、リソグラフィ装置の基板テーブルWT上の基板Wでありうる。ターゲット位置は、照明システムILによって照明されるパターニングデバイスMAのある領域でありうる。例示的なパターニングデバイスには、マスク、レチクル、またはダイナミックパターニングデバイスが含まれる。レチクルは、任意のリソグラフィプロセスに用いうることができるが、本願では、EUVリソグラフィに焦点を置く。
【0053】
[0068] 図5は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置の照明システムILにおける、放射ビームを調整するための例示的な光学装置20の断面図を概略的に示す。装置20は、ファセットフィールドミラーデバイス22の形態の第1の反射型コンポーネント22と、ファセット瞳ミラーデバイス24の形態の第2の反射型コンポーネント24を含む。ファセットフィールドミラーデバイス22は、複数の主反射型素子を含み、いくつかの特定の主反射型素子は図5に概略的に示され、フィールドファセットミラー22a、22b、22cおよび22dと呼ばれる。第2の反射型コンポーネント24は、例えば瞳ファセットミラー24a、24b、24c、24dおよび24a’、24b’、24c’、24d’と呼ばれる特定の副反射型素子を含む複数の副反射型素子を含む。
【0054】
[0069] 通常、フィールドファセットミラー22a〜dは、入射放射ビームBの各々の部分を、瞳ファセットミラー24a〜d、24a’〜d’に向けて誘導する。4つのフィールドファセットミラー22a〜dしか図示されていないが、任意の数のフィールドファセットミラーが設けられてよい。フィールドファセットミラーは、ほぼ2次元アレイに配置されてよいが、これは、フィールドファセットミラーが厳密に平面にあるべきであることを意味しない。8つの瞳ファセットミラー24a〜d、24a’〜d’しか図示されていないが、任意の数の瞳ファセットミラーが設けられてよい。この数は、通常、フィールドファセットミラーの数の倍数である。瞳ファセットミラーは、2次元アレイに配置されうる。フィールドファセットミラーおよび瞳ファセットミラーの形状および構成は、設計に応じて四角形、矩形、円形、またはより複雑な形状でありうる。
【0055】
[0070] 各フィールドファセットミラー22a〜dは、第1の反射型コンポーネント(22)によって受け取られた放射ビームBの一部を、瞳ミラーデバイス24の異なる瞳ファセットミラー24a〜dに向かう放射のサブビームの形態で反射する。例えば第1のサブビームBaは、第1のフィールドファセットミラー22aによって第1の瞳ファセットミラー24aへと誘導される。第2、第3、および第4のサブビームBb、Bc、およびBdは、第2、第3、および第4のフィールドファセットミラー22b、22c、および22dによってそれぞれ第2、第3、および第4の瞳ファセットミラー24b、24c、および24dに誘導される。瞳ミラーデバイス24における放射ビームBの空間強度分布が、リソグラフィ装置の照明モードを決定することができる。一実施形態では、フィールドファセットミラー22a〜dは、調節可能な向きを有し、また、瞳面Pにおいて様々な空間強度分布を形成するために瞳ファセットミラー24a〜d、24a’〜d’のうちの様々な瞳ファセットミラーと共に用いられてよく、それにより様々な照明モードが提供される。この選択肢は、それ自体は周知であり、図13を参照して後述する。瞳ファセットミラー24a〜dも向きが調節可能であってよい。
【0056】
[0071] フィールドファセットミラー22a〜dの各々は、所望の光学パワーを有するように成形され、それにより、瞳ミラーデバイス24の異なる瞳ファセットミラー24a〜dにおいて中間焦点IFの像が形成される。実際には、中間焦点IFは、プラズマ源の仮想像であり、この像は有限直径(例えば4〜6mm)を有する。したがって、各フィールドファセットミラー22a〜dは、瞳ファセットミラー24a〜dにおいて有限直径(例えば3〜5mm)を有する仮想放射源点IFの像を形成する。瞳ファセットミラー24a〜dは、各々、(瞳ファセットミラー間に放射が入り、それにより損失されることを回避するために)上述した像直径より大きい直径を有しうる。中間焦点IFおよび中間焦点IFの像は、説明の便宜上のためだけに図中、点として示される。
【0057】
[0072] 瞳ファセットミラー24a〜dの各々は、パターニングデバイスMAが基板の露光時に配置されるフィールド面におけるまたはその付近の各々に関連付けられたフィールドファセットミラー22a〜dを投影するように構成される。これらの投影は、フィールドファセットミラーの各々の像をもたらし、また、これらの投影または像は、実質的に重なり合い、共に照明領域Eを形成する。結果として、放射源SOから出て装置20によって受け取られる際の放射Bの断面における空間的に不均一の強度分布が、照明領域Eにおいて実質的に空間的に均一な強度分布を有するように調整される。照明領域Eの形状は、フィールドファセットミラー22a〜dの形状、すなわちフィールドファセットミラー22a〜dの反射面すなわちミラー面の端の形状によって決定される。スキャン式リソグラフィ装置では、照明領域Eは、スキャン方向では、このスキャン方向に垂直な方向における幅よりも狭い幅を有する2次元で見た場合に、例えば矩形または湾曲バンドでありうる。
【0058】
[0073] ファセットミラーデバイス22および24は共に、いわゆる「フライアイ」イルミネータを形成し、これにより、放射源に存在する不均一性が除去されて、領域Eをより均等な分布およびより制御して照明する。放射の所望部分の波長は、例えば13.5nmである5〜20nmの範囲内のEUV波長でありうる。導入部で説明したように、ビームBはさらに、例えばDUV波長にある不所望の放射も大量に含む。以上をまとめると、放射ビームBを調整するための光学装置20は、放射源SOからの放射ビームBを受け取り、放射ビームBを第2の反射型コンポーネント24に反射するように構成された第1の反射型コンポーネント22を含む。第2の反射型コンポーネント24は、ビームBをターゲット位置、例えば図5中の領域Eに反射するように構成される。放射ビームBの放射は、例えばEUV放射を含む第1の波長範囲における放射と、例えばDUV放射を含む第2の波長範囲における放射とを含む。第1および第2の反射型コンポーネント22、24は、対応する主反射型素子の第1のアレイおよび副反射型素子の2のアレイを含む。特定の主反射型素子22aは、図5に示されるように、所望の放射を、関連付けられた副素子24aにまたは関連付けられた副反射型素子24a、24a’のサブセットのうちの1つの副反射型素子に反射するように構成される。フィールドファセットミラーとも呼ばれる主反射型コンポーネントは、リソグラフィ装置の投影システム用のオブジェクト面として機能しうる概念上の平面と実質的に光学的に共役であることは理解されよう。さらに、主反射型コンポーネントは、フィールドファセットミラーとも呼ばれうる。同様に、瞳ファセットミラーとも呼ばれる副反射型コンポーネントは、光学装置20の瞳面に実質的に光学的に共役であるか、または、瞳面と完全に一致する。後者の瞳面は、その代わり、リソグラフィ装置の投影システムの瞳に光学的に共役である位置に配置されうる。
【0059】
[0074] 本発明の一実施形態によれば、1つまたは複数のフィールドファセットミラー22a〜dは、不所望のDUV放射の大部分が、当該1つ(または複数)のフィールドファセットミラーに関連付けられた特定の瞳ファセットミラー以外の瞳ミラーデバイス24の部分に当たるように十分に不所望の放射を散乱するように変更される。この「フライアイ」イルミネータでは、フィールドファセット対瞳ファセットへの関連付けの完全なセットは、特定の主反射型素子が与えられた場合、対応の関連付けられた瞳ファセットミラーのすぐ隣にある瞳ファセットミラーは、第2の波長範囲にある放射を、パターニングデバイスMA上の照明領域E以外の領域に、信頼度が高く誘導することになるように設計されることが可能である。発明者らは、したがって、パターニングデバイスMAに到達する不所望の波長を有する放射を実質的に減少するために、瞳ミラーデバイス24全体から離れるように相当量のDUV放射を散乱させる必要がないことを認識している。不所望の放射は、特定の瞳ファセットミラーから離れるように散乱されるだけでよい。したがって、不所望の波長を有する放射の抑制という同じ結果と達成するために、フィールドミラーデバイス22の散乱層に必要とされる散乱の程度は、従来技術である米国特許出願公報第2005/0157282(ベイカー)に提案される散乱層に必要とされる散乱の度合いよりもかなり低くてよい。第2の波長範囲にある放射が、ある程度散乱されるように、図5中のフィールドファセットミラー22aといった特定の主反射型素子がどのように形成されうるかの詳細な説明を以下に述べ、図6〜図12に概略的に図示される。散乱の程度は、第2の波長範囲における放射の大部分が第2の反射型コンポーネント(24)に誘導されるが、関連付けられた特定の副反射型素子(24a)または関連付けられた副反射型素子のサブセット(24a、24a’)には誘導されないように設定される。
【0060】
[0075] 図6は、装置20内でフィールドファセットミラーとして使用されうる、以下に単に光学素子22aとも呼ばれうる例示的な主反射型素子22aを示す。光学素子22aは、基板310と、基板310上の散乱層320とを含む。
【0061】
[0076] 散乱層320は、所望のEUV波長を有する放射に対し、1に近い屈折率を有する。したがって、EUV光といった所定の波長を有する放射の大部分は、実質的に吸収されることなく、また、実質的に散乱されることなく、散乱層320を通り伝播する。散乱層320は、所定の波長以外の波長を有する放射に対して、1に近くない屈折率も有する。したがって、DUV光といった所定の波長以外の波長を有する放射の一部は、散乱層320によって散乱および/または吸収されうる。
【0062】
[0077] 基板310は、EUV光学部品では周知のタイプの多層リフレクタを含む。多層リフレクタは散乱層320の下にある。したがって、EUV放射は、散乱層320内を伝播した後、多層リフレクタに入射し、ミラーとしての多層リフレクタによって反射される。
【0063】
[0078] 一例として、散乱層320は、直径360を有する粒子330によって形成されうる。直径360は、ナノメートルの規模である。光学素子22a上に使用されうるコーティングは、参照することによりその全体が本願に組み込まれる米国特許出願公報第2005/0157282(ベイカー)の段落[0065]〜[0078]に基本的に説明されている。粒子330の直径360が、例えばDUV波長である不所望の波長程度にある場合、散乱層320は、不所望の波長を有する放射を散乱するように調整される。粒子330は、例えばEUV波長において実質的に透過的であるシリコンからなりうる。以下から分かるように、本願において必要とされる散乱の強度は、参照することによりその全体が本願に組み込まれる米国特許第7,034,923号において考案されているものよりも実質的に低いので、本願では、層320はより薄く、および/または、組成が異なりうる(例えばより小さい粒子)。
【0064】
[0079] 別の例では、散乱層320は、図7に示されるように、プレートレット332を用いて形成されてもよい。プレートレット332は、マイクロメートルまたはナノメートルのサイズである。例えば低EUV光損失でDUV光を散乱するために、これらのプレートレット332は、DUV波長より大きいマイクロメートルの範囲である横寸法と、20nmの厚さを有しうる。
【0065】
[0080] 図8に見られるように、散乱層320は散乱を高めるように波形にされうる。さらに、光学素子22aは、湾曲形状であってもよいので、散乱層320および基板310は、それに応じて湾曲形状に形成されうる。波形散乱層320は、図8に示されるように、前方波形面376と後方波形面378を有しうる。(当然ながら本図では、湾曲部と波形部とは誇張されている。)波形付き後面378を有する粗い層の機械的な取り付けには、基板310との有限量の接触点が、粗い層を基板310に取り付けるために十分である。したがって、所定の波長を有する放射の一部は、散乱層320を伝播するので、不所望の放射は、基板310に到達する前に、両面376および378によって散乱されることが可能である。別の例では、波形にされた散乱層320は、1つの波形面376だけを有してもよく、所定の波長を有する放射は、基板310に到達する前に1つの波形面376のみを通過する。後者の場合、EUV放射の損失は減少され、また、単一の波形面を有するコーティングの製造の方がより容易でありうる(例えば当該コーティングは、基板310上に直接形成しうる)。散乱層320の詳細な実施がどのようなものであろうとも、散乱層の形態および組成は、不所望の波長を有する放射が散乱層320によって実質的に散乱可能となるようなものである。例えば散乱層320は、20nmの厚さを有するシリコン粒子から作られた層であってよく、また、散乱層320に入射するEUV光の3〜5%を吸収しうる。散乱層320はさらに、不所望の放射の一部も吸収しうる。
【0066】
[0081] 散乱層320を有するフィールドファセットミラー22a〜22dについては、放射がフィールドファセットミラーに入射すると、所定の波長(本願では、EUV)を有する放射の一部は、散乱層320を伝播し、フィールドファセットミラーによって鏡面的に反射され、その一方で、所定の波長以外の波長(例えばDUV)を有する放射は散乱層320によってある程度散乱され、より拡散されたパターンでミラーから射出することが分かっている。
【0067】
[0082] 図9は、図5に示されるようなフィールドファセットミラーに入射する放射ビーム406の例示的な散乱プロファイル400の断面図である。この例示的な散乱プロファイル400は、垂直軸430の周りの例示的な断面図を回転させることによって得られる3次元の散乱プロファイルであることは理解されよう。放射ビーム406が散乱されると、放射ビーム406の理論上の散乱プロファイルは、図10に示す複数の例示的なプロファイルのうちの1つでありうる。
【0068】
[0083] 図10(a)は、どの方向θにおいても同じエネルギー密度(単位W/m2)(当該方向における矢印の長さにより示される)を放射する等方性散乱の理論上のプロファイルである。これらのプロファイルはすべて、簡単にするために、ビーム406について円形対称であることを前提とする。実際には、放射ビーム406の散乱プロファイルは、図10(b)から(f)に示されるプロファイルのうちの1つでありうる。高度に拡散するリフレクタでは、散乱プロファイルは、ランバート(Lambert)の余弦則に応じた散乱プロファイルであり、図10(b)に示されるようなプロファイルを与える。方向θにおける散乱された放射ビーム406のエネルギー密度は、cosθへの依存を有し、これは、等方性の放射輝度をもたらし、ここでは、方向θにおける放射輝度L(単位W/m2/sr)は、次の通り定義される。
【数2】
ここで、Aは散乱面の面積であり、Ωは観察者(例えば瞳ファセットミラー24a〜d)によって範囲が定められる立体角であり、Φは総放出パワーである。ランバート(Lambertian)散乱面では、式(1)は、
【数3】
をもたらし、これはθに依存しない。したがって、ランバート面はどの角度から見ても等しく明るく見える。
【0069】
[0084] 図(c)〜(e)に示されるような散乱プロファイルは、徐々により前方放射となっている。つまり、放射輝度Lが、角度θが増加するにつれてより高速に低下することを意味する。図(f)は、すべての入射放射ビーム406が1つの方向にのみ反射される鏡面反射である。入射光線および反射光線は、ミラー22aの表面に対して垂直であるように示されるが、説明した原理は、周知の反射の法則に応じて、非垂直の入射角にも容易に適応させることができる。
【0070】
[0085] 放射ビーム406がフィールドファセットミラーに入射すると、図9に示されるようなEUV放射340といった所定の波長を有する放射ビーム406の一部は、散乱層320を伝播することができ、また、散乱層320によって散乱されない。したがって、フィールドファセットミラーは、所定の波長を有する放射に対して鏡面リフレクタとして実質的に機能することが可能であり、EUV放射340を1つの方向にのみ反射する。放射ビーム406では、所望の波長を有する実質的にすべての放射が、方向340に反射される。
【0071】
[0086] しかしながら、所望の波長以外の波長を有する放射ビーム406の一部は、散乱層320によって散乱される。不所望の波長を有する放射は、環状球形領域410、並びに中心領域420内に入るように様々な角度で反射される。中心領域420が、関連付けられた瞳ファセットミラーの領域内に入る唯一の部分である場合、不所望の波長を有する放射の抑制因子Sは、環状領域410の立体角Ω1に入る放射の中心領域420の立体角Ω2に入る放射に対する比率である。球体の半径Rが与えられる場合、不所望の波長を有する放射の抑制因子Sは、球体領域420の立体角Ω1を減少することによって、および/または、Ω0を増加するために層320によって与えられる散乱の程度を増加することによって、増加することができる。
【0072】
[0087] 正確な抑制因子は、散乱層320の散乱プロファイルを測定するおよび/またはモデリングすることによって計算することができる。1つの非常に簡単な例示として、散乱プロファイル400が、図10(e)のように十分に細ければ、図11に示されるような矩形の散乱プロファイルが大まかに近似されうる。球形領域420の立体角Ω2は、次式:
【数4】
により与えられる。不所望の波長を有する放射の抑制因子Sは、次式:
【数5】
により与えられる。θ0がθ2よりはるかに大きい場合、式4は、
【数6】
のように近似される。式(4)および(5)から、抑制因子Sは、最大散乱角θ0に二次従属性を有することが分かる。抑制因子Sの二次関係は、θ2よりも数倍広いだけの散乱角θ0に対して、不所望の波長を有する放射の強い抑制が得られることを示す。
【0073】
[0088] 図12は、図9および図11に示された原理の、図5に示されたような放射ビームを調整するためのシステムへの例示的な適用を例示する。入射放射ビーム510が、フィールドファセットミラー22aに入射すると、ビーム510内のEUV放射は、フィールドファセットミラー22aによって反射され、ビーム510内のDUV放射は、フィールドファセットミラー22a上の層320によって散乱される。上述したように、各フィールドファセットミラーは、関連付けられた瞳ファセットミラーと協働して、放射をマスクMA上の照明領域Eに向けて誘導するように構成される。例えばフィールドファセットミラー22aは、関連付けられた瞳ファセットミラー24aを有する。これらの素子は、フィールドファセットミラー22aによって瞳ファセットミラー24aへと反射された放射が、照明領域E上へと誘導されるように設計かつ配置される。
【0074】
[0089] 所定の波長を有するEUV放射530は、フィールドファセットミラー22aによって散乱はされないが、フィールドファセットミラー22aによって反射されて瞳ファセットミラー24a上に合焦され、放射530は、瞳ファセットミラー24aによって照明領域E上に誘導される。しかし、不所望の波長を有するDUV放射は、断面散乱プロファイル540で、フィールドファセットミラー22aによって散乱される。この散乱DUV放射の少量の部分520だけが、関連付けられた瞳ファセットミラー24aに当たる。例えば光線550を含むDUV放射の残りの大部分は、瞳ファセットミラーの間に入るか、または、隣接する瞳ファセットミラー24b等のうちの1つの瞳ファセットミラーに当たる。この部分は、依然として、瞳ミラーデバイス240の全体としては当たっているが、照明領域E以外の場所へと反射されるので、この部分は効果的に抑制される。必要であれば、「ダンプ(dump)」場所を、隣接する瞳ファセットミラーからのDUV放射を受けるように配置することもできる。そうしなければ、DUV放射は、単に照明領域E以外の装置筐体内の位置に当たってしまうことになる。
【0075】
[0090] フィールドファセットミラー22aと瞳ファセットミラー24aとの間の距離Rが与えられる場合、3次元領域520のサイズは、瞳ファセットミラー24aの反射面の面積によって決定される。図5に示される一般的なフライアイイルミネータシステムの形状によって、瞳ファセットミラー24aは、距離Rに比べて非常に小型でありうる。EUVリソグラフィデバイスにおける周知のミラーデバイス24は、5mmから10mmの範囲内、例えば7mmの寸法の瞳ファセットを有し、その一方でミラーデバイス22と24との間の距離Rは、1メートル程度(例えば80センチメートルより大きい)である。将来のデバイスは、5mmよりもさらに小さい瞳ファセットを有しうる。いわゆる弾性イルミネータでは、可動フィールドファセットミラーが、2つ以上の関連付けられた瞳ファセットミラーに光を反射することができる。ここで、各フィールドファセットミラーに関連付けられたN個の瞳ファセットミラーがあると仮定すると、瞳ファセットの面積、したがってそれにより範囲が定まる立体角は、1/Nに対応する。したがって、Nが大きいほど、DUV抑制はより効果的となる。式5によって与えられる抑制因子Sは、Nに対応する。
【0076】
[0091] フィールドファセットミラーおよびその関連付けられた瞳ファセットミラーによって不所望の波長を有する放射を抑制するために、フィールドファセットミラー上の散乱層320の組成および厚さをその関連付けられた瞳ファセットミラーのサイズに応じて調整して、所望の抑制因子を達成する一方で所望のEUV放射の減衰を最小限にすることができる。距離Rにおいて個々の瞳ファセットミラーによって範囲が定まる非常に小さい角度によって、照明領域Eに到達するDUVの抑制の所望の程度を得るためには、従来技術において提案されるよりも、フィールドファセットミラー22aの散乱層320をより薄く作ることができ、また、より小さい角度で放射を散乱させることができる。具体的には、フィールドファセットミラー22aの散乱層320は、不所望の波長を有する放射を瞳ミラーデバイス24全体から外れるように実質的に散乱させる必要がない。代わりに、不所望の波長を有する放射は、図12に示されるように、瞳ミラーデバイス24の隣接する瞳ファセットミラーに入射することが可能にされ、マスクMA外の領域に誘導される。一例として、散乱層320は、1〜100mradの範囲内のDUV放射に対する散乱角を与えるように設計されうる。散乱層320は、20から100ナノメートルの厚さを有する層、また、例えばシリコン粒子の単分子層でありうる。最小のEUV減衰(例えば10%未満の損失または5%未満の損失)で、20倍、50倍または100倍の抑制因子を達成しうる(DUV透過5%、2%または1%)。散乱は、ランバート(Lambertian)散乱より数桁弱くてよく(例えば10倍または100倍または500倍弱い)、それでも依然としてDUV放射の20倍または100倍の抑制を達成する。
【0077】
[0092] 既に述べたように、フィールドミラーデバイス22の各フィールドファセットミラー22a〜dは、瞳ミラーデバイス24の2以上の関連付けられた瞳ファセットミラーを有してよい。フィールドミラーデバイス22のフィールドファセットミラーは、様々なときに、その関連付けられた瞳ファセットミラーの様々な瞳ファセットミラーと協働するように制御可能である。例えば、図13に示されるように、フィールドファセットミラー22aは、2つの関連付けられた瞳ファセットミラー24aおよび24a’を有する。これらは、イルミネータ20の異なる照明モードで使用される。したがって、フィールドファセットミラー22aは、第2のモードで制御されて、EUV放射を、瞳ファセットミラー24aではなく瞳ファセットミラー24a’に向けて誘導する一方で、DUV放射といった不所望の波長を有する放射を散乱させて24c、24d、24b’または24c’といった隣接する瞳ファセットミラーに当たるように制御されうる。一部の実施形態では、瞳ファセットミラーも制御可能な向きを有しうる。ここでも、関連付けられたミラーを最も接近して取り囲む瞳ファセットミラーが散乱DUV放射をターゲット(照明領域E)から離れるように誘導するような設計にすることができる。
【0078】
[0093] 次に図14および図15を参照するに、光学素子(例えばフィールドファセットミラー22a〜22d)に更なる変更を行い、上述した技術によって散乱されたDUV放射よりかなり長い波長の不所望の放射を偏向する機能を追加しうる。一部のEUV装置における特定の問題は、EUV放出プラズマ210(上記図3を参照)を形成するためのエネルギー源としてレーザを使用することから生じる。このレーザは、プラズマによって放出された放射と混合される放射ビームを放出する。周知の装置におけるこのレーザは、通常、CO2レーザであり、10.6μmの波長における赤外線(IR)を放出する。したがって、IR放射を吸収または反射するように調整されたスペクトル純度フィルタ、並びに不所望のDUV放射を減少する手段が周知の装置において必要となる。1μmより長い赤外波長は、例えば500倍以上長いといったように、所望のEUV放射の波長よりも明らかに何倍も長い。IR波長は、散乱層320によって散乱されるには長すぎる。
【0079】
[0094] 図14の変更された素子1310は、先の例における素子310と同じEUV反射構造を含み、これは、上述した層320と似た薄いDUV散乱層1320でコーティングされている。図に概略的に示されるように、反射されたDUV放射350は、反射されたDUV放射のほんの少量が関連付けられた瞳ファセットミラー24a等に衝突するのに十分な範囲の角度で拡散する。この機能は、図6から図13を参照して説明した機能と同一である。
【0080】
[0095] 変更された素子にはさらに、ピッチPを有する位相格子を形成するために、反射面の交互のストリップが高さhで変位しているように一連の段1322が設けられている。IRレーザ放射の波長(比較的狭帯域で、明確に定義されている)に合うように段1322の高さおよびピッチを設計することによって、IR波長における実質的にすべてのエネルギーを、+1次回折ビーム1350+および−1次回折ビーム1350−に転換させることができる。所望のEUV放射340と同じ方向を指し示す0次ビーム(IR(0))におけるIR放射は、ゼロ近くに減少することができる。
【0081】
[0100] 段1322の高さhは、0次放射の最大抑制を達成するために、例えばIR波長の4分の1でありうる。つまり、10.6μmの波長のレーザと、反射素子1310に垂直にビームが入射する場合、2.65μmの段の高さが適切でありうる。格子のピッチPは、周知の原理に従ってビーム1350+および1350−を所望の場所に偏向するように選択されうる。EUV反射素子といった多層ミラー構造(MLM)における段の製造には、様々なプロセスが可能である。第1の方法では、MLM構造は、平らな基板上に製造され、次に選択的にエッチングされて段が形成される。この方法におけるMLM構造は、最初は通常よりもかなり深く作られる(より多くの層対)。それによりエッチングの際の高さhの損失を補償する。或いは、段を有する基板を形成して、次にMLM構造が、所望の数の層対でその上に形成されてよい。これらのプロセスは共に、理論的には同じ結果を生成するが実際には、段が付けられた基板上に高品質のMLMを形成することは、平らな基板上に形成されたMLMに比べて難しい。
【0082】
[0101] 図15は、図5に示されたEUV光学システムのフライアイイルミネータへの、フィールドファセットミラー22aとしての図14の変更された反射素子の適用を示す。散乱層1320によるDUV散乱の機能は、図12に示されるように存在するが、明確にするために図15には示されない。光線530は、前と同様に、フィールドファセットミラー22aから関連付けられた瞳ファセットミラー24aに直接に反射されて、ターゲット領域Eに誘導される所望のEUV放射を表す。光線1550+および1550−は、ミラー22a上に設けられた位相格子によって回折された不所望のIR放射の+1および−1次ビームを示す。格子(図14)のピッチPを制御することによって、これらのビームは、図15に示されるように隣接する瞳ファセットミラーに誘導されてもよいし、または他の場所に誘導されてもよい。他の場所とは、例えば瞳ファセットミラーデバイス24の完全に外の場所か、または、瞳ファセットミラー24a、24b等の間の空間における「ダンプ」場所でありうる。設計者は、回折ビームに含まれる熱エネルギーを吸収しかつ失くす適切な手段が適当な位置に置かれている限り、これらの場所から自由に選択することができる。
【0083】
[0102] IR放射の波長は、EUV放射の波長よりもかなり長いので、格子を形成するストリップは、EUV放射に対しては事実上平らなミラーであり、短い波長では回折格子は見られない。EUV波長における唯一の不利点は、段の潜在的なシャドーイング効果と、段1322自体の場所におけるEUV光の損失である。これらの損失は、格子の向きの適切な選択によって最小限にすることが可能である。フィールドファセットミラー22a等は、図13に示されるように様々な角度に傾斜可能でありうることも留意すべきである。格子の向きは、傾斜軸に関連して選択されることができ、それにより、シャドーイング効果が、あらゆる設定において最小限にされる、1つの好適な設定において最小限にされる、或いは、複数の設定間で少なくとも一定である。スキャン動作モードを実施するEUVリソグラフィ装置におけるフィールドファセットミラーの例では、個々のファセットミラー22a等は、例えば数mmの幅で数センチメートルの長さを有し細長い形態でありうる。位相格子の線が、ファセットミラーの長さ方向に整列される場合、例えば10未満といったように必要とされる段1322はほんの数段でありうる。これらの検討事項は、適切な実際の実施形態が実現できるように、上述した解説および例の検討から当業者には明らかとなろう。
【0084】
[0103] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者には当然のことであるがそのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0085】
[0104] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明の実施形態は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0086】
[0105] 「レンズ」という用語は、文脈によって、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指しうる。
【0087】
[0106] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。上記説明は、限定ではなく例示的あることを意図している。したがって、当業者であれば、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく本発明に変更を行いうることは明らかであろう。
【0088】
[0107] 発明の概要および要約の項目は、発明者が想定するような本発明の1つまたは複数の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明および請求の範囲をいかなる意味でも制限しないものとする。
【0089】
[0108] 本発明は、特定の機能の実施とそれらの関係を示す機能的構成要素を用いて上に説明された。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上任意に定義されている。特定の機能およびそれらの関係が適切に行われる限り別の境界が定義されてもよい。
【0090】
[0109] 特定の実施形態の上記の説明は、本発明の一般的性質を十分に明らかにし、それにより、当業者の知識を適用することによって、他の人が、必要以上の実験を行うことなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、特定の実施形態の様々な適用を容易に修正および/または適応することができるようにする。したがって、このような適応および修正は、本明細書に提示する教示および指導内容に基づいて、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内であることを意図するものである。なお、本明細書における表現および用語は、説明のためであって限定を目的とせず、したがって、本明細書の用語および表現は教示および指導内容を鑑みて当業者によって解釈されるべきであることを理解すべきである。
【0091】
[0110] 本発明の広さおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきでなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義されるべきである。
【0092】
[0111] 本発明はさらに、以下の節を使用してさらに説明されうる。
【0093】
[0112] 第1節:第1の波長範囲にある放射を含む放射の放射ビームを調整するための光学装置であって、主反射型素子と、主反射型素子をターゲット位置上に投影するように構成された関連付けられた副反射型素子を含む副反射型素子のアレイと、を含み、主反射型素子は、放射源からの放射ビームの一部を受取り、放射の一部を、関連付けられた副反射型素子に反射するように構成され、放射ビームはさらに第2の波長範囲にある放射を含み、主反射型素子は、第2の波長範囲にある、放射の一部の放射が、ある程度の散乱を受けるように形成され、ある程度の散乱は、第2の波長範囲にある、放射の一部の放射の大部分が、関連付けられた副反射型素子とは異なる複数の副反射型素子のうちの1つまたは複数の素子に誘導されるように設定される。
第2節:第1節に記載された光学装置であって、主反射型素子は、主反射型素子のアレイのうちの1つであり、各主反射型素子は、主反射型素子をターゲット位置上に投影するように構成された対応する副反射型素子に関連付けられており、放射源からの放射ビームの対応する部分を受取り、放射の対応する部分を、対応する関連付けられた副反射型素子に反射するように構成され、また、第2の波長範囲にある、放射の対応する部分の放射が、ある程度の散乱を受けるように形成され、ある程度の散乱は、第2の波長範囲にある、放射の対応する部分の放射の大部分が、関連付けられた対応する副反射型素子とは異なる複数の副反射型素子のうちの1つまたは複数の素子に誘導されるように設定される。
第3節:第1または第2節に記載される光学装置であって、ある程度の散乱は、第2の波長範囲にある放射の25%未満、任意選択的に15%、5%、または1%未満が、主反射型素子から関連付けられた副反射型素子または関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに誘導されるような程度の散乱である。
第4節:第3節に記載される光学装置であって、主反射型素子は、第3の波長範囲にある放射の、ターゲット位置に向かう反射を抑制するように構成された位相格子構造を組み込み、第3の波長範囲にある波長は、1μmより長い。
第5節:第1から第4節のいずれかに記載される光学装置であって、第1の波長範囲は、EUV波長範囲5〜20nm内、または範囲13〜14nm内、または範囲6.5〜7nm内である。
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、不所望の波長を有する放射を抑制するために放射ビームを調整することに関し、例えばリソグラフィ分野おいて放射ビームを調整するために適用されうる。本発明は、特に深紫外線(DUV)を抑制するために極端紫外線(EUV)リソグラフィにおいて放射ビームを調整するために開発されているが、かかる適用、かかる特定の波長範囲に限定されない。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィは、集積回路(IC)および他のデバイスおよび/または構造の製造における重要なステップの1つとして広く認識されている。しかしながら、リソグラフィを使用して作られるフィーチャの寸法が小さくなるにつれて、リソグラフィは小型ICまたは他のデバイスおよび/または構造を製造可能にするためのより重大な要素になりつつある。
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えばICの製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えばシリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば1つ以上のダイの一部を含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって行われる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。
【0004】
[0004] 現在のリソグラフィシステムは、非常に小さいマスクパターンフィーチャを投影する。レチクルの表面上に出現する埃または外部粒状物質は、結果として得られる生成物に悪影響を及ぼしうる。リソグラフィプロセスの前またはその途中にレチクル上に堆積する任意の粒状物質は、基板上に投影されるパターンにおけるフィーチャを歪ませる可能性が高い。したがって、フィーチャサイズが小さいほど、レチクルから除去することが重要になる粒子のサイズも小さくなる。
【0005】
[0005] 多くの場合、ペリクルがレチクルと共に用いられる。ペリクルは、レチクルの表面の上方でフレームに広げられうる薄い透明層である。ペリクルは、粒子がパターン形成された側のレチクル面に到達することを遮断するために用いられる。ペリクル面上の粒子は、焦点面から外れており、露光されているウェーハ上に像を形成しないが、ペリクル面上に可能な限り粒子がない状態にすることが依然として望ましい。
【0006】
[0006] パターンプリンティングの限界の理論推定値は、次式(1)に示されるような解像度についてのレイリー(Rayleigh)基準によって与えることができる。
【数1】
ここで、λは用いられる放射の波長であり、NAPSはパターンのプリントに用いられる投影システムの開口数であり、k1はレイリー定数とも呼ばれる、プロセス依存型調節係数であり、CDはプリントされたフィーチャのフィーチャサイズ(またはクリティカルディメンション)である。式(1)から、フィーチャの最小プリント可能サイズの縮小は、3つの方法、すなわち、露光波長λを短くすること、開口数NAPSを大きくすること、またはk1の値を小さくすることによって得られることが分かる。
【0007】
[0007] 露光波長を短くする、したがって最小プリント可能なサイズを縮小するために、極端紫外線(EUV)源を使用することが提案されている。EUV放射源は、通常、例えば13.5nmまたは約13nmまたは6.5nm〜6.8nmといった約5〜20nmの放射波長を出力するように構成される。したがって、EUV放射源は、小型フィーチャプリンティングを達成することに向けて意義ある前進を構成しうる。かかる放射は、極端紫外線または軟X線と呼ばれ、可能な放射源としては、例えばレーザ生成プラズマ源、放電プラズマ源、または電子蓄積リングからのシンクロトロン放射が含まれる。
【0008】
[0008] 一部のEUV源、特にプラズマ源は、赤外線(IR)、可視線、紫外線(UV)、および深紫外線(DUV)でさえも含む広範囲の周波数に亘って放射を放出する。これらの不所望の放射は伝播して、照明および投影システム内に加熱問題を引き起こし、遮断されなければレジストの不所望の露光を引き起こしてしまう。照明および投影システムの多層ミラーが、例えば13nmである所望の波長の反射のために最適化されているが、IR、可視、およびUV波長においてかなり高い反射率も有する。基板においてEUV放射に露光されるべきレジストもDUV放射のような非EUV放射に敏感であるが、基板における非EUV放射はマスクパターンフィーチャの情報を含まない。むしろ、ウェーハステージにおける非EUV放射の存在は、コントラスト損失にしか貢献しない。したがって、非EUV放射のEUV放射に対する比率を特定の値(単なる一例として基板において1%でありうる)未満に維持することが望ましい。
【0009】
[0009] この機能を実行するために、メンブレン状スペクトル純度フィルタといったフィルタを用いることが提案されている。しかし、このようなフィルタは非常に繊細であり、限られた熱負荷容量を有し、リソグラフィ投影装置内において生じる高出力レベルの放射において、高い熱応力および亀裂、昇華および酸化につながる。メンブレンフィルタはさらに、通常、所望のEUV放射の大部分を吸収する。例えばDUV放射は、30%のEUV放射損失を犠牲にして、100より大きい倍率で抑制されうる。
【0010】
[0010] この機能を実行するために、リソグラフィ装置の照明および投影システム内の1つまたは複数のミラー上にDUV抑制コーティングを使用することも提案されている。しかし、DUVコーティングを使用することによって、EUV放射損失は、DUV抑制に比べて、メンブレンフィルタを使用する場合のそれよりも悪い。さらに、DUV抑制コーティングを使用する手法は、EUVに対するDUVの減少の比が約3倍と限定的なので不十分である。
【発明の概要】
【0011】
[0011] EUVリソグラフィ装置といった反射型光学システムにおいて不所望の波長の放射を減少する代替の技術があることが望ましい。
【0012】
[0012] 本発明の第1の態様では、放射ビームを調整するための光学装置が提供される。かかる装置は、放射源から放射ビームを受取り、放射ビームを第2の反射型コンポーネントに反射するように構成され、主反射型素子を含む第1の反射型コンポーネントと、ビームをターゲット位置に反射するように構成され、副反射型素子のアレイを含む第2の反射型コンポーネントとを含み、主反射型素子は、第1の波長範囲にある放射を、関連付けられた副反射型素子、または、関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに反射するように構成され、主反射型素子は、第2の波長範囲にある放射が、ある程度の散乱を受けるように形成され、散乱の程度は、第2の波長範囲にある放射の大部分が、第2の反射型コンポーネントに向けて誘導されるが、関連付けられた副反射型素子に向けてまたは関連付けられた副反射型素子のサブセットに向けて誘導されないように設定される。
【0013】
[0013] かかる装置は、EUVリソグラフィ装置の照明システム内で適用されうる。主反射型素子は、フィールドファセットミラーであり、副反射型素子はマルチファセット瞳ファセットミラーの瞳ファセットミラーであってよい。このような実施形態では、第1の波長範囲は、EUV波長範囲5〜20nm内、例えば範囲13〜14nmまたは6.5〜7nm内にありうる。第2の波長範囲は、DUV波長範囲100〜400nm、任意選択的に110〜300nm内にありうる。
【0014】
[0014] 散乱の程度は、第2の波長範囲にある放射の25%未満、任意選択的に15%、5%、または1%未満が、主反射型素子から、関連付けられた副反射型素子または関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに誘導されるような程度でありうる。幾つかの実施形態では、主反射型素子の向きは、様々な時間において、関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに向けて放射を誘導するように制御可能であり、関連付けられた副反射型素子の各々は、副反射型素子のアレイにおいて、主反射型素子から受け取った放射をターゲット位置から離れる方向に誘導する副反射型素子によって取り囲まれている。
【0015】
[0015] 主反射型素子は、主反射型素子のアレイのうちの1つの素子であってよく、主反射型素子の各々は、第2の反射型コンポーネントにおける、特定の副反射型素子、または、素子のサブセットに関連付けられ、主反射型素子の各々は、第2の波長範囲にある放射の対応する程度の散乱を提供するように構成される。主反射型素子は、第1の波長範囲にある放射を反射するためのミラー構造と、第2の波長範囲にある放射にある程度の散乱を与えるための、ミラー構造上のコーティングとを含む。一実施形態では、コーティングは、例えば100nm未満、任意選択的に30nm未満の寸法のシリコン粒子の層を含みうる。
【0016】
[0016] 一実施形態では、主反射型素子は、第3の波長範囲にある放射の、ターゲット位置に向かう反射を抑制するように構成された位相格子構造を組み込み、第3の波長範囲にある波長は、1μmより長い。
【0017】
[0017] 本発明はさらに、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構成されたサポートであって、パターニングデバイスは、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成可能である、サポートと、基板を保持するように構成された基板テーブルと、パターン付き放射ビームを基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、照明システムにおける放射源から受け取った放射ビームを調整するように構成された、上述したような本発明の実施形態による光学装置とを含むリソグラフィ装置を提供する。
【0018】
[0018] 本発明はさらに、パターン付き放射ビームを基板上に投影することを含むデバイス製造方法を提供し、パターン付きビームは、上述したような光学装置によって調整された放射ビームから形成される。
【0019】
[0019] 本発明の更なる特徴および利点、並びに本発明の様々な実施形態の構造および動作は、添付図面を参照して以下に詳細に説明される。なお、本発明は、本明細書に記載される特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、例示目的のためだけに本明細書に提示されている。本明細書に含まれる教示内容に基づけば、当業者には追加の実施形態が明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
[0020] 本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明を例示し、以下の記載と共に本発明の原理をさらに説明し、当業者が本発明を製造しかつ使用することを可能にする。本発明の実施形態を、ほんの一例として添付図面を参照しながら説明する。
【図1】[0021] 図1は、反射型投影光学部品を有するリソグラフィ装置を概略的に示す。
【図2】[0022] 図2は、図1の装置のより詳細な図である。
【図3】[0023] 図3は、図1および図2の装置用の代替放射源コレクタモジュールSOのより詳細な図である。
【図4】[0024] 図4は、EUVリソグラフィ装置の代替例を示す。
【図5】[0025] 図5は、本発明の一実施形態に従って、リソグラフィ装置の照明システム内の、放射ビームを調整するための例示的な光学装置の断面図を示す。
【図6】[0026] 図6は、主反射型素子として図5のシステム内に使用可能な例示的な光学素子を示す図である。
【図7】[0027] 図7は、主反射型素子として、図5のシステムに使用可能な別の例示的な光学素子を示す図である。
【図8】[0028] 図8は、主反射型素子として、図5のシステムに使用可能なさらに別の例示的な光学素子を示す。
【図9】[0029] 図9は、主反射型素子に入射する放射ビームのモデル散乱プロファイルの断面図を示す。
【図10】[0030] 図10は、(f)鏡面反射と比較した場合の散乱放射ビームの例示的な理論上の散乱プロファイル(a)−(e)を示す。
【図11】[0031] 図11は、散乱放射ビームの散乱プロファイルの四角近似を示す。
【図12】[0032] 図12は、図5に示されるような放射ビームを調整するためのシステムへの図9に示される原理の例示的な適用を示す。
【図13】[0033] 図13は、本発明の実施形態に従って、1つの主反射型素子が2つの関連付けられた副反射型素子を有する、別の例示的な装置の断面図である。
【図14】[0034] 図14は、主反射型素子としてシステムにおいて使用可能であり、かつ、位相格子構造を含む、変更された例示的な光学素子を示す。
【図15】[0035] 図15は、図12の適用に用いられた場合の図14の素子の位相格子の機能を示す。
【0021】
[0036] 本発明の特徴および利点は、図面と共に以下に記載した詳細な説明からより明らかとなろう。図面中、同様の参照文字は、全図を通して対応する要素を特定する。図中、同様の参照番号は、概して、同一の、機能的に同様の、および/または構造的に同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0037] 本明細書は、本発明の特徴を組み込む1つまたは複数の実施形態を開示する。開示された実施形態は、本発明を例示するに過ぎない。本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。本発明は添付された特許請求の範囲によって定義される。
【0023】
[0038] 記載された実施形態、および、明細書中における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」等への言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を有しうることを示すが、必ずしもすべての実施形態がその特徴、構造、または特性を含まなくてもよい。さらに、このような表現は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。また、特定の特徴、構造、または特性が一実施形態に関連して記載された場合、明示的な記載の有無に関わらず、その特徴、構造、または特性を他の実施形態に関連して作用させることは当業者の知識内であると理解される。
【0024】
[0039] 本発明の実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組合せで実施されてよい。本発明の実施形態は、また、1つまたは複数のプロセッサによって読出され、実行されうる、機械可読媒体上に記憶された命令として実施されてもよい。機械可読媒体は、機械(例えばコンピュータデバイス)によって読出し可能な形式で情報を記憶または伝送するための任意の機構を含みうる。例えば機械可読媒体には、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス、電気、光学、音響、または他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号等)等が含まれる。さらに、ファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令が、本明細書においては、特定の動作を行うように記載する場合もある。しかし、そのような記載は便宜上に過ぎず、また、そのような動作は、実際には、コンピュータデバイス、プロセッサ、コントローラ、またはファームウェア、ソフトウェア、ルーチン、命令等を実行する他のデバイスによるものであることは理解されるべきである。
【0025】
[0040] しかし、このような実施形態をより詳細に記載する前に、本発明の実施形態が実施されうる例示的な環境を提示することが有益であろう。
【0026】
[0041] 図1は、本発明の一実施形態による放射源コレクタモジュールSOを含むリソグラフィ装置100を概略的に示す。このリソグラフィ装置は、放射ビームB(例えばEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えばマスクまたはレチクル)MAを支持するように構成され、かつパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1のポジショナPMに接続されたサポート構造(例えばマスクテーブル)MTと、基板(例えばレジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ基板を正確に位置決めするように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えばウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付けられたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば反射型投影システム)PSとを含む。
【0027】
[0042] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、屈折型、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらの任意の組み合せ等の様々なタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0028】
[0043] サポート構造MTは、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否か等の他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスMAを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。
【0029】
[0044] 「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用できるあらゆるデバイスを指していると広く解釈されるべきである。なお、放射ビームに付与されたパターンは、集積回路等のターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応しうる。
【0030】
[0045] パターニングデバイスは透過型であっても反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは周知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフト等のマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられ、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように各小型ミラーを個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射された放射ビームにパターンを付与する。
【0031】
[0046] 投影システムは、照明システムと同様に、用いられる露光放射に、または真空の使用といった他の要素に適切な屈折型、反射型、反射屈折型、磁気型、電磁型、静電型、または他の型の光学コンポーネント、またはそれらのあらゆる組合せを含む様々な型の光学コンポーネントを含みうる。他のガスは放射を吸収しすぎることがあるので、EUV放射には真空を用いることが望ましい。したがって、真空環境を、真空壁および真空ポンプを用いてビーム経路全体に提供しうる。
【0032】
[0047] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は反射型装置であってよい(例えば反射型マスクを採用している)。
【0033】
[0048] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプのものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械では、追加のテーブルを並行して使うことができ、すなわち予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0034】
[0049] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源コレクタモジュールSOから極端紫外線ビームを受け取る。EUV光を生成する方法には、次に必ずしも限定されないが、物質を、EUV範囲内の1本以上の輝線を有する例えばキセノン、リチウム、またはスズである少なくとも1つの元素を有するプラズマ状態に変換することが含まれる。レーザ生成プラズマ(「LPP」)と呼ばれるこのような方法の1つでは、必要とされるプラズマは、必要な輝線を放出する元素を有する物質の液滴、ストリームまたはクラスタといった燃料をレーザビームによって照射することによって生成することができる。放射源コレクタモジュールSOは、燃料を励起させるレーザビームを提供するために、図1には図示されないレーザを含むEUV放射システムの一部であってよい。結果として生じるプラズマは、例えばEUV放射である出力放射を放出し、この放射は、放射源コレクタモジュール内に配置される放射コレクタを使って集められる。例えばCO2レーザを用いて燃料励起のためのレーザビームを提供する場合は、レーザと放射源コレクタモジュールは別個の構成要素であってよい。
【0035】
[0050] その場合、レーザは、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また、放射ビームはレーザから放射源コレクタモジュールへ、例えば適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。その他の場合、例えば放射源が多くの場合DPP源と呼ばれる放電生成プラズマEUVジェネレータである場合、放射源は放射源コレクタモジュールの一体部分とすることもできる。
【0036】
[0051] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するように構成されたアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、ファセットフィールドデバイスおよび瞳ミラーデバイスといった様々な他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布を持たせることができる。
【0037】
[0052] 放射ビームBは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MT上に保持されているパターニングデバイス(例えばマスク)MAに入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。パターニングデバイス(例えばマスク)MAから反射された後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点を合わせる。第2ポジショナPWおよび位置センサPS2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使い、例えば、様々なターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサPS1を使い、パターニングデバイス(例えばマスク)MAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。パターニングデバイス(例えばマスク)MAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2と、基板アライメントマークP1、P2を使って位置合わせされうる。
【0038】
[0053] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0039】
[0054] 1.ステップモードでは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それにより別のターゲット部分Cを露光することができる。
【0040】
[0055] 2.スキャンモードでは、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。サポート構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。
【0041】
[0056] 3.別のモードでは、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、サポート構造(例えばマスクテーブル)MTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードでは、通常、パルス放射源が採用され、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述のタイプのプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0042】
[0057] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、或いは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0043】
[0058] 図2は、放射源コレクタモジュールSO、照明システムIL、および投影システムPSを含むリソグラフィ装置100をより詳細に示す。放射源コレクタモジュールSOは、放射源コレクタモジュールSOの囲い構造220内に真空環境が維持可能であるように構成かつ配置される。EUV放射を放出するプラズマ210が放電生成プラズマ源によって形成されうる。EUV放射は、例えばXeガス、Li蒸気またはSn蒸気といったガスまたは蒸気によって生成されてよく、ガスまたは蒸気内では非常に高温のプラズマ210が生成されて電磁スペクトルのEUV範囲の放射が放出される。この非常に高温のプラズマ210は、例えば少なくとも部分的にイオン化されたプラズマを引き起こす放電によって生成される。10Paの分圧のXe、Li、Sn蒸気または任意の他の好適なガスまたは蒸気が、放射の効率のよい発生には必要となりうる。一実施形態では、励起されたスズ(Sn)のプラズマが提供されてEUV放射が生成される。
【0044】
[0059] 高温プラズマ210によって放出された放射は、放射源チャンバ211からコレクタチャンバ212内へと、放射源チャンバ211の開口内またはその後方に位置決めされる光学ガスバリアまたは汚染物質トラップ230(汚染物質バリアまたはフォイルトラップとも呼ばれることもある)を介して送られる。汚染物質トラップ230はチャネル構造を含みうる。汚染物質トラップ230はガスバリア、または、ガスバリアとチャネル構造の組み合わせを含んでもよい。本明細書に示す汚染物質トラップまたは汚染物質バリア230はさらに、当技術において周知であるように少なくともチャネル構造を含む。
【0045】
[0060] コレクタチャンバ211は、いわゆるかすめ入射コレクタでありうる放射コレクタCOを含みうる。放射コレクタCOは、上流放射コレクタ側251と下流放射コレクタ側252を有する。コレクタCOを通過する放射は格子スペクトルフィルタ240から反射されて仮想放射源点IFに合焦される。仮想放射源点IFは通常中間焦点と呼ばれ、放射源コレクタモジュールは中間焦点IFが囲み構造220の開口221にまたはその付近に位置するように構成される。仮想放射源点IFは放射を放出するプラズマ210の像である。
【0046】
[0061] 次に、放射は照明システムILを通過する。照明システムILは、パターニングデバイスMAにおいて放射ビーム21の所望の角分布を提供し、また、パターニングデバイスMAにおいて所望の放射強度の均一性を提供するように構成されたファセットフィールドミラーデバイス22およびファセット瞳ミラーデバイス24を含みうる。サポート構造MTによって保持されたパターニングデバイスMAにおいて放射ビーム21が反射した後、パターン付きビーム26が形成されて、このパターン付きビーム26は、反射型素子28、30を介してウェーハステージまたは基板テーブルWTによって保持された基板W上に投影システムPSによって結像される。
【0047】
[0062] 図示されるよりも多くの要素が一般的に照明光学ユニットILおよび投影システムPS内に存在しうる。格子スペクトルフィルタ240は、リソグラフィ装置のタイプに依存して任意選択的に存在しうる。さらに図示されるよりも多くのミラーが存在してよく、例えば図2に示されるよりも1〜6個追加の反射型素子が投影システムPS内に存在してもよい。
【0048】
[0063] 図2に示されるコレクタ光学部品COは、コレクタ(またはコレクタミラー)のほんの一例として、かすめ入射リフレクタ253、254、および255を有するネスト型コレクタとして示される。かすめ入射リフレクタ253、254、および255は光軸O周りに軸対称に配置され、この型のコレクタ光学部品COは、DPP源と多くの場合呼ばれる放電生成プラズマ源と組み合わせて用いられることが好適である。
【0049】
[0064] 或いは、放射源コレクタモジュールSOは、図3に示されるようにLPP放射システムの一部であってよい。レーザLAがキセノン(Xe)、スズ(Sn)、またはリチウム(Li)といった燃料にレーザエネルギーを与えるように構成され、それにより、数十eVの電子温度を有する、高度にイオン化されたプラズマ210が生成される。脱励起およびこれらのイオンの再結合時に発生されるエネルギー放射がプラズマから放出され、近法線入射コレクタ光学部品COによって集められ、囲い構造220の開口221に合焦される。
【0050】
[0065] 参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2005/0157282号(ベイカー(Bakker))では、EUV光学システム内のミラーにDUV散乱コーティングを塗布することが提案されている。DUV放射の大部分がターゲットに当たり損なうようにDUV放射を広角度範囲に広げることを目的とする。このようにすると、EUV放射と同じ光路を辿るDUV放射は減少される。しかし、十分なDUV散乱を達成するためには、(コーティングを2回通過しなければならない)EUV放射も不所望の度合いにまで減衰および/または散乱されてしまう厚さのコーティングが必要となりうる。
【0051】
[0066] 図4は、スペクトル純度フィルタ240が、反射型格子ではなく透過型であるEUVリソグラフィ装置用の代替の配置を示す。この場合、放射源コレクタモジュールSOからの放射は、コレクタ光学部品から中間焦点IF(仮想放射源点)へと直線路を辿る。なお、IF付近またはIFにフィルタを位置決めすることは、非常に高い吸収されたパワーの密度につながることに留意されたい。結果として生じる高温は、フィルタを劣化させうる。その一方で、フィルタ面積は小さくて済み、これは利点である。図示されない実施形態では、スペクトル純度フィルタ240は、仮想放射源点IFまたはコレクタ光学部品COと仮想放射源点IFとの間の任意の点に位置決めされうる。フィルタは、例えば仮想放射源点IFの下流といった放射路の他の場所に配置されてよい。複数のフィルタを配置してもよい。先の例におけるように、コレクタ光学部品COは、かすめ入射型(図2)であっても直接リフレクタ型(図3)であってもよい。スペクトル純度フィルタは、赤外波帯における不所望の放射を抑制するように設計されうるが、DUV放射は他の手段によって抑制されなければならない。
【0052】
[0067] 以下の説明は、オブジェクト上のターゲット位置に誘導される放射ビームを調整可能な光学装置および方法を述べる。オブジェクトは、例えば集積回路内の個々の層上に形成される回路パターンを生成するためのリソグラフィパターニングデバイスMA、または、リソグラフィ装置の基板テーブルWT上の基板Wでありうる。ターゲット位置は、照明システムILによって照明されるパターニングデバイスMAのある領域でありうる。例示的なパターニングデバイスには、マスク、レチクル、またはダイナミックパターニングデバイスが含まれる。レチクルは、任意のリソグラフィプロセスに用いうることができるが、本願では、EUVリソグラフィに焦点を置く。
【0053】
[0068] 図5は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置の照明システムILにおける、放射ビームを調整するための例示的な光学装置20の断面図を概略的に示す。装置20は、ファセットフィールドミラーデバイス22の形態の第1の反射型コンポーネント22と、ファセット瞳ミラーデバイス24の形態の第2の反射型コンポーネント24を含む。ファセットフィールドミラーデバイス22は、複数の主反射型素子を含み、いくつかの特定の主反射型素子は図5に概略的に示され、フィールドファセットミラー22a、22b、22cおよび22dと呼ばれる。第2の反射型コンポーネント24は、例えば瞳ファセットミラー24a、24b、24c、24dおよび24a’、24b’、24c’、24d’と呼ばれる特定の副反射型素子を含む複数の副反射型素子を含む。
【0054】
[0069] 通常、フィールドファセットミラー22a〜dは、入射放射ビームBの各々の部分を、瞳ファセットミラー24a〜d、24a’〜d’に向けて誘導する。4つのフィールドファセットミラー22a〜dしか図示されていないが、任意の数のフィールドファセットミラーが設けられてよい。フィールドファセットミラーは、ほぼ2次元アレイに配置されてよいが、これは、フィールドファセットミラーが厳密に平面にあるべきであることを意味しない。8つの瞳ファセットミラー24a〜d、24a’〜d’しか図示されていないが、任意の数の瞳ファセットミラーが設けられてよい。この数は、通常、フィールドファセットミラーの数の倍数である。瞳ファセットミラーは、2次元アレイに配置されうる。フィールドファセットミラーおよび瞳ファセットミラーの形状および構成は、設計に応じて四角形、矩形、円形、またはより複雑な形状でありうる。
【0055】
[0070] 各フィールドファセットミラー22a〜dは、第1の反射型コンポーネント(22)によって受け取られた放射ビームBの一部を、瞳ミラーデバイス24の異なる瞳ファセットミラー24a〜dに向かう放射のサブビームの形態で反射する。例えば第1のサブビームBaは、第1のフィールドファセットミラー22aによって第1の瞳ファセットミラー24aへと誘導される。第2、第3、および第4のサブビームBb、Bc、およびBdは、第2、第3、および第4のフィールドファセットミラー22b、22c、および22dによってそれぞれ第2、第3、および第4の瞳ファセットミラー24b、24c、および24dに誘導される。瞳ミラーデバイス24における放射ビームBの空間強度分布が、リソグラフィ装置の照明モードを決定することができる。一実施形態では、フィールドファセットミラー22a〜dは、調節可能な向きを有し、また、瞳面Pにおいて様々な空間強度分布を形成するために瞳ファセットミラー24a〜d、24a’〜d’のうちの様々な瞳ファセットミラーと共に用いられてよく、それにより様々な照明モードが提供される。この選択肢は、それ自体は周知であり、図13を参照して後述する。瞳ファセットミラー24a〜dも向きが調節可能であってよい。
【0056】
[0071] フィールドファセットミラー22a〜dの各々は、所望の光学パワーを有するように成形され、それにより、瞳ミラーデバイス24の異なる瞳ファセットミラー24a〜dにおいて中間焦点IFの像が形成される。実際には、中間焦点IFは、プラズマ源の仮想像であり、この像は有限直径(例えば4〜6mm)を有する。したがって、各フィールドファセットミラー22a〜dは、瞳ファセットミラー24a〜dにおいて有限直径(例えば3〜5mm)を有する仮想放射源点IFの像を形成する。瞳ファセットミラー24a〜dは、各々、(瞳ファセットミラー間に放射が入り、それにより損失されることを回避するために)上述した像直径より大きい直径を有しうる。中間焦点IFおよび中間焦点IFの像は、説明の便宜上のためだけに図中、点として示される。
【0057】
[0072] 瞳ファセットミラー24a〜dの各々は、パターニングデバイスMAが基板の露光時に配置されるフィールド面におけるまたはその付近の各々に関連付けられたフィールドファセットミラー22a〜dを投影するように構成される。これらの投影は、フィールドファセットミラーの各々の像をもたらし、また、これらの投影または像は、実質的に重なり合い、共に照明領域Eを形成する。結果として、放射源SOから出て装置20によって受け取られる際の放射Bの断面における空間的に不均一の強度分布が、照明領域Eにおいて実質的に空間的に均一な強度分布を有するように調整される。照明領域Eの形状は、フィールドファセットミラー22a〜dの形状、すなわちフィールドファセットミラー22a〜dの反射面すなわちミラー面の端の形状によって決定される。スキャン式リソグラフィ装置では、照明領域Eは、スキャン方向では、このスキャン方向に垂直な方向における幅よりも狭い幅を有する2次元で見た場合に、例えば矩形または湾曲バンドでありうる。
【0058】
[0073] ファセットミラーデバイス22および24は共に、いわゆる「フライアイ」イルミネータを形成し、これにより、放射源に存在する不均一性が除去されて、領域Eをより均等な分布およびより制御して照明する。放射の所望部分の波長は、例えば13.5nmである5〜20nmの範囲内のEUV波長でありうる。導入部で説明したように、ビームBはさらに、例えばDUV波長にある不所望の放射も大量に含む。以上をまとめると、放射ビームBを調整するための光学装置20は、放射源SOからの放射ビームBを受け取り、放射ビームBを第2の反射型コンポーネント24に反射するように構成された第1の反射型コンポーネント22を含む。第2の反射型コンポーネント24は、ビームBをターゲット位置、例えば図5中の領域Eに反射するように構成される。放射ビームBの放射は、例えばEUV放射を含む第1の波長範囲における放射と、例えばDUV放射を含む第2の波長範囲における放射とを含む。第1および第2の反射型コンポーネント22、24は、対応する主反射型素子の第1のアレイおよび副反射型素子の2のアレイを含む。特定の主反射型素子22aは、図5に示されるように、所望の放射を、関連付けられた副素子24aにまたは関連付けられた副反射型素子24a、24a’のサブセットのうちの1つの副反射型素子に反射するように構成される。フィールドファセットミラーとも呼ばれる主反射型コンポーネントは、リソグラフィ装置の投影システム用のオブジェクト面として機能しうる概念上の平面と実質的に光学的に共役であることは理解されよう。さらに、主反射型コンポーネントは、フィールドファセットミラーとも呼ばれうる。同様に、瞳ファセットミラーとも呼ばれる副反射型コンポーネントは、光学装置20の瞳面に実質的に光学的に共役であるか、または、瞳面と完全に一致する。後者の瞳面は、その代わり、リソグラフィ装置の投影システムの瞳に光学的に共役である位置に配置されうる。
【0059】
[0074] 本発明の一実施形態によれば、1つまたは複数のフィールドファセットミラー22a〜dは、不所望のDUV放射の大部分が、当該1つ(または複数)のフィールドファセットミラーに関連付けられた特定の瞳ファセットミラー以外の瞳ミラーデバイス24の部分に当たるように十分に不所望の放射を散乱するように変更される。この「フライアイ」イルミネータでは、フィールドファセット対瞳ファセットへの関連付けの完全なセットは、特定の主反射型素子が与えられた場合、対応の関連付けられた瞳ファセットミラーのすぐ隣にある瞳ファセットミラーは、第2の波長範囲にある放射を、パターニングデバイスMA上の照明領域E以外の領域に、信頼度が高く誘導することになるように設計されることが可能である。発明者らは、したがって、パターニングデバイスMAに到達する不所望の波長を有する放射を実質的に減少するために、瞳ミラーデバイス24全体から離れるように相当量のDUV放射を散乱させる必要がないことを認識している。不所望の放射は、特定の瞳ファセットミラーから離れるように散乱されるだけでよい。したがって、不所望の波長を有する放射の抑制という同じ結果と達成するために、フィールドミラーデバイス22の散乱層に必要とされる散乱の程度は、従来技術である米国特許出願公報第2005/0157282(ベイカー)に提案される散乱層に必要とされる散乱の度合いよりもかなり低くてよい。第2の波長範囲にある放射が、ある程度散乱されるように、図5中のフィールドファセットミラー22aといった特定の主反射型素子がどのように形成されうるかの詳細な説明を以下に述べ、図6〜図12に概略的に図示される。散乱の程度は、第2の波長範囲における放射の大部分が第2の反射型コンポーネント(24)に誘導されるが、関連付けられた特定の副反射型素子(24a)または関連付けられた副反射型素子のサブセット(24a、24a’)には誘導されないように設定される。
【0060】
[0075] 図6は、装置20内でフィールドファセットミラーとして使用されうる、以下に単に光学素子22aとも呼ばれうる例示的な主反射型素子22aを示す。光学素子22aは、基板310と、基板310上の散乱層320とを含む。
【0061】
[0076] 散乱層320は、所望のEUV波長を有する放射に対し、1に近い屈折率を有する。したがって、EUV光といった所定の波長を有する放射の大部分は、実質的に吸収されることなく、また、実質的に散乱されることなく、散乱層320を通り伝播する。散乱層320は、所定の波長以外の波長を有する放射に対して、1に近くない屈折率も有する。したがって、DUV光といった所定の波長以外の波長を有する放射の一部は、散乱層320によって散乱および/または吸収されうる。
【0062】
[0077] 基板310は、EUV光学部品では周知のタイプの多層リフレクタを含む。多層リフレクタは散乱層320の下にある。したがって、EUV放射は、散乱層320内を伝播した後、多層リフレクタに入射し、ミラーとしての多層リフレクタによって反射される。
【0063】
[0078] 一例として、散乱層320は、直径360を有する粒子330によって形成されうる。直径360は、ナノメートルの規模である。光学素子22a上に使用されうるコーティングは、参照することによりその全体が本願に組み込まれる米国特許出願公報第2005/0157282(ベイカー)の段落[0065]〜[0078]に基本的に説明されている。粒子330の直径360が、例えばDUV波長である不所望の波長程度にある場合、散乱層320は、不所望の波長を有する放射を散乱するように調整される。粒子330は、例えばEUV波長において実質的に透過的であるシリコンからなりうる。以下から分かるように、本願において必要とされる散乱の強度は、参照することによりその全体が本願に組み込まれる米国特許第7,034,923号において考案されているものよりも実質的に低いので、本願では、層320はより薄く、および/または、組成が異なりうる(例えばより小さい粒子)。
【0064】
[0079] 別の例では、散乱層320は、図7に示されるように、プレートレット332を用いて形成されてもよい。プレートレット332は、マイクロメートルまたはナノメートルのサイズである。例えば低EUV光損失でDUV光を散乱するために、これらのプレートレット332は、DUV波長より大きいマイクロメートルの範囲である横寸法と、20nmの厚さを有しうる。
【0065】
[0080] 図8に見られるように、散乱層320は散乱を高めるように波形にされうる。さらに、光学素子22aは、湾曲形状であってもよいので、散乱層320および基板310は、それに応じて湾曲形状に形成されうる。波形散乱層320は、図8に示されるように、前方波形面376と後方波形面378を有しうる。(当然ながら本図では、湾曲部と波形部とは誇張されている。)波形付き後面378を有する粗い層の機械的な取り付けには、基板310との有限量の接触点が、粗い層を基板310に取り付けるために十分である。したがって、所定の波長を有する放射の一部は、散乱層320を伝播するので、不所望の放射は、基板310に到達する前に、両面376および378によって散乱されることが可能である。別の例では、波形にされた散乱層320は、1つの波形面376だけを有してもよく、所定の波長を有する放射は、基板310に到達する前に1つの波形面376のみを通過する。後者の場合、EUV放射の損失は減少され、また、単一の波形面を有するコーティングの製造の方がより容易でありうる(例えば当該コーティングは、基板310上に直接形成しうる)。散乱層320の詳細な実施がどのようなものであろうとも、散乱層の形態および組成は、不所望の波長を有する放射が散乱層320によって実質的に散乱可能となるようなものである。例えば散乱層320は、20nmの厚さを有するシリコン粒子から作られた層であってよく、また、散乱層320に入射するEUV光の3〜5%を吸収しうる。散乱層320はさらに、不所望の放射の一部も吸収しうる。
【0066】
[0081] 散乱層320を有するフィールドファセットミラー22a〜22dについては、放射がフィールドファセットミラーに入射すると、所定の波長(本願では、EUV)を有する放射の一部は、散乱層320を伝播し、フィールドファセットミラーによって鏡面的に反射され、その一方で、所定の波長以外の波長(例えばDUV)を有する放射は散乱層320によってある程度散乱され、より拡散されたパターンでミラーから射出することが分かっている。
【0067】
[0082] 図9は、図5に示されるようなフィールドファセットミラーに入射する放射ビーム406の例示的な散乱プロファイル400の断面図である。この例示的な散乱プロファイル400は、垂直軸430の周りの例示的な断面図を回転させることによって得られる3次元の散乱プロファイルであることは理解されよう。放射ビーム406が散乱されると、放射ビーム406の理論上の散乱プロファイルは、図10に示す複数の例示的なプロファイルのうちの1つでありうる。
【0068】
[0083] 図10(a)は、どの方向θにおいても同じエネルギー密度(単位W/m2)(当該方向における矢印の長さにより示される)を放射する等方性散乱の理論上のプロファイルである。これらのプロファイルはすべて、簡単にするために、ビーム406について円形対称であることを前提とする。実際には、放射ビーム406の散乱プロファイルは、図10(b)から(f)に示されるプロファイルのうちの1つでありうる。高度に拡散するリフレクタでは、散乱プロファイルは、ランバート(Lambert)の余弦則に応じた散乱プロファイルであり、図10(b)に示されるようなプロファイルを与える。方向θにおける散乱された放射ビーム406のエネルギー密度は、cosθへの依存を有し、これは、等方性の放射輝度をもたらし、ここでは、方向θにおける放射輝度L(単位W/m2/sr)は、次の通り定義される。
【数2】
ここで、Aは散乱面の面積であり、Ωは観察者(例えば瞳ファセットミラー24a〜d)によって範囲が定められる立体角であり、Φは総放出パワーである。ランバート(Lambertian)散乱面では、式(1)は、
【数3】
をもたらし、これはθに依存しない。したがって、ランバート面はどの角度から見ても等しく明るく見える。
【0069】
[0084] 図(c)〜(e)に示されるような散乱プロファイルは、徐々により前方放射となっている。つまり、放射輝度Lが、角度θが増加するにつれてより高速に低下することを意味する。図(f)は、すべての入射放射ビーム406が1つの方向にのみ反射される鏡面反射である。入射光線および反射光線は、ミラー22aの表面に対して垂直であるように示されるが、説明した原理は、周知の反射の法則に応じて、非垂直の入射角にも容易に適応させることができる。
【0070】
[0085] 放射ビーム406がフィールドファセットミラーに入射すると、図9に示されるようなEUV放射340といった所定の波長を有する放射ビーム406の一部は、散乱層320を伝播することができ、また、散乱層320によって散乱されない。したがって、フィールドファセットミラーは、所定の波長を有する放射に対して鏡面リフレクタとして実質的に機能することが可能であり、EUV放射340を1つの方向にのみ反射する。放射ビーム406では、所望の波長を有する実質的にすべての放射が、方向340に反射される。
【0071】
[0086] しかしながら、所望の波長以外の波長を有する放射ビーム406の一部は、散乱層320によって散乱される。不所望の波長を有する放射は、環状球形領域410、並びに中心領域420内に入るように様々な角度で反射される。中心領域420が、関連付けられた瞳ファセットミラーの領域内に入る唯一の部分である場合、不所望の波長を有する放射の抑制因子Sは、環状領域410の立体角Ω1に入る放射の中心領域420の立体角Ω2に入る放射に対する比率である。球体の半径Rが与えられる場合、不所望の波長を有する放射の抑制因子Sは、球体領域420の立体角Ω1を減少することによって、および/または、Ω0を増加するために層320によって与えられる散乱の程度を増加することによって、増加することができる。
【0072】
[0087] 正確な抑制因子は、散乱層320の散乱プロファイルを測定するおよび/またはモデリングすることによって計算することができる。1つの非常に簡単な例示として、散乱プロファイル400が、図10(e)のように十分に細ければ、図11に示されるような矩形の散乱プロファイルが大まかに近似されうる。球形領域420の立体角Ω2は、次式:
【数4】
により与えられる。不所望の波長を有する放射の抑制因子Sは、次式:
【数5】
により与えられる。θ0がθ2よりはるかに大きい場合、式4は、
【数6】
のように近似される。式(4)および(5)から、抑制因子Sは、最大散乱角θ0に二次従属性を有することが分かる。抑制因子Sの二次関係は、θ2よりも数倍広いだけの散乱角θ0に対して、不所望の波長を有する放射の強い抑制が得られることを示す。
【0073】
[0088] 図12は、図9および図11に示された原理の、図5に示されたような放射ビームを調整するためのシステムへの例示的な適用を例示する。入射放射ビーム510が、フィールドファセットミラー22aに入射すると、ビーム510内のEUV放射は、フィールドファセットミラー22aによって反射され、ビーム510内のDUV放射は、フィールドファセットミラー22a上の層320によって散乱される。上述したように、各フィールドファセットミラーは、関連付けられた瞳ファセットミラーと協働して、放射をマスクMA上の照明領域Eに向けて誘導するように構成される。例えばフィールドファセットミラー22aは、関連付けられた瞳ファセットミラー24aを有する。これらの素子は、フィールドファセットミラー22aによって瞳ファセットミラー24aへと反射された放射が、照明領域E上へと誘導されるように設計かつ配置される。
【0074】
[0089] 所定の波長を有するEUV放射530は、フィールドファセットミラー22aによって散乱はされないが、フィールドファセットミラー22aによって反射されて瞳ファセットミラー24a上に合焦され、放射530は、瞳ファセットミラー24aによって照明領域E上に誘導される。しかし、不所望の波長を有するDUV放射は、断面散乱プロファイル540で、フィールドファセットミラー22aによって散乱される。この散乱DUV放射の少量の部分520だけが、関連付けられた瞳ファセットミラー24aに当たる。例えば光線550を含むDUV放射の残りの大部分は、瞳ファセットミラーの間に入るか、または、隣接する瞳ファセットミラー24b等のうちの1つの瞳ファセットミラーに当たる。この部分は、依然として、瞳ミラーデバイス240の全体としては当たっているが、照明領域E以外の場所へと反射されるので、この部分は効果的に抑制される。必要であれば、「ダンプ(dump)」場所を、隣接する瞳ファセットミラーからのDUV放射を受けるように配置することもできる。そうしなければ、DUV放射は、単に照明領域E以外の装置筐体内の位置に当たってしまうことになる。
【0075】
[0090] フィールドファセットミラー22aと瞳ファセットミラー24aとの間の距離Rが与えられる場合、3次元領域520のサイズは、瞳ファセットミラー24aの反射面の面積によって決定される。図5に示される一般的なフライアイイルミネータシステムの形状によって、瞳ファセットミラー24aは、距離Rに比べて非常に小型でありうる。EUVリソグラフィデバイスにおける周知のミラーデバイス24は、5mmから10mmの範囲内、例えば7mmの寸法の瞳ファセットを有し、その一方でミラーデバイス22と24との間の距離Rは、1メートル程度(例えば80センチメートルより大きい)である。将来のデバイスは、5mmよりもさらに小さい瞳ファセットを有しうる。いわゆる弾性イルミネータでは、可動フィールドファセットミラーが、2つ以上の関連付けられた瞳ファセットミラーに光を反射することができる。ここで、各フィールドファセットミラーに関連付けられたN個の瞳ファセットミラーがあると仮定すると、瞳ファセットの面積、したがってそれにより範囲が定まる立体角は、1/Nに対応する。したがって、Nが大きいほど、DUV抑制はより効果的となる。式5によって与えられる抑制因子Sは、Nに対応する。
【0076】
[0091] フィールドファセットミラーおよびその関連付けられた瞳ファセットミラーによって不所望の波長を有する放射を抑制するために、フィールドファセットミラー上の散乱層320の組成および厚さをその関連付けられた瞳ファセットミラーのサイズに応じて調整して、所望の抑制因子を達成する一方で所望のEUV放射の減衰を最小限にすることができる。距離Rにおいて個々の瞳ファセットミラーによって範囲が定まる非常に小さい角度によって、照明領域Eに到達するDUVの抑制の所望の程度を得るためには、従来技術において提案されるよりも、フィールドファセットミラー22aの散乱層320をより薄く作ることができ、また、より小さい角度で放射を散乱させることができる。具体的には、フィールドファセットミラー22aの散乱層320は、不所望の波長を有する放射を瞳ミラーデバイス24全体から外れるように実質的に散乱させる必要がない。代わりに、不所望の波長を有する放射は、図12に示されるように、瞳ミラーデバイス24の隣接する瞳ファセットミラーに入射することが可能にされ、マスクMA外の領域に誘導される。一例として、散乱層320は、1〜100mradの範囲内のDUV放射に対する散乱角を与えるように設計されうる。散乱層320は、20から100ナノメートルの厚さを有する層、また、例えばシリコン粒子の単分子層でありうる。最小のEUV減衰(例えば10%未満の損失または5%未満の損失)で、20倍、50倍または100倍の抑制因子を達成しうる(DUV透過5%、2%または1%)。散乱は、ランバート(Lambertian)散乱より数桁弱くてよく(例えば10倍または100倍または500倍弱い)、それでも依然としてDUV放射の20倍または100倍の抑制を達成する。
【0077】
[0092] 既に述べたように、フィールドミラーデバイス22の各フィールドファセットミラー22a〜dは、瞳ミラーデバイス24の2以上の関連付けられた瞳ファセットミラーを有してよい。フィールドミラーデバイス22のフィールドファセットミラーは、様々なときに、その関連付けられた瞳ファセットミラーの様々な瞳ファセットミラーと協働するように制御可能である。例えば、図13に示されるように、フィールドファセットミラー22aは、2つの関連付けられた瞳ファセットミラー24aおよび24a’を有する。これらは、イルミネータ20の異なる照明モードで使用される。したがって、フィールドファセットミラー22aは、第2のモードで制御されて、EUV放射を、瞳ファセットミラー24aではなく瞳ファセットミラー24a’に向けて誘導する一方で、DUV放射といった不所望の波長を有する放射を散乱させて24c、24d、24b’または24c’といった隣接する瞳ファセットミラーに当たるように制御されうる。一部の実施形態では、瞳ファセットミラーも制御可能な向きを有しうる。ここでも、関連付けられたミラーを最も接近して取り囲む瞳ファセットミラーが散乱DUV放射をターゲット(照明領域E)から離れるように誘導するような設計にすることができる。
【0078】
[0093] 次に図14および図15を参照するに、光学素子(例えばフィールドファセットミラー22a〜22d)に更なる変更を行い、上述した技術によって散乱されたDUV放射よりかなり長い波長の不所望の放射を偏向する機能を追加しうる。一部のEUV装置における特定の問題は、EUV放出プラズマ210(上記図3を参照)を形成するためのエネルギー源としてレーザを使用することから生じる。このレーザは、プラズマによって放出された放射と混合される放射ビームを放出する。周知の装置におけるこのレーザは、通常、CO2レーザであり、10.6μmの波長における赤外線(IR)を放出する。したがって、IR放射を吸収または反射するように調整されたスペクトル純度フィルタ、並びに不所望のDUV放射を減少する手段が周知の装置において必要となる。1μmより長い赤外波長は、例えば500倍以上長いといったように、所望のEUV放射の波長よりも明らかに何倍も長い。IR波長は、散乱層320によって散乱されるには長すぎる。
【0079】
[0094] 図14の変更された素子1310は、先の例における素子310と同じEUV反射構造を含み、これは、上述した層320と似た薄いDUV散乱層1320でコーティングされている。図に概略的に示されるように、反射されたDUV放射350は、反射されたDUV放射のほんの少量が関連付けられた瞳ファセットミラー24a等に衝突するのに十分な範囲の角度で拡散する。この機能は、図6から図13を参照して説明した機能と同一である。
【0080】
[0095] 変更された素子にはさらに、ピッチPを有する位相格子を形成するために、反射面の交互のストリップが高さhで変位しているように一連の段1322が設けられている。IRレーザ放射の波長(比較的狭帯域で、明確に定義されている)に合うように段1322の高さおよびピッチを設計することによって、IR波長における実質的にすべてのエネルギーを、+1次回折ビーム1350+および−1次回折ビーム1350−に転換させることができる。所望のEUV放射340と同じ方向を指し示す0次ビーム(IR(0))におけるIR放射は、ゼロ近くに減少することができる。
【0081】
[0100] 段1322の高さhは、0次放射の最大抑制を達成するために、例えばIR波長の4分の1でありうる。つまり、10.6μmの波長のレーザと、反射素子1310に垂直にビームが入射する場合、2.65μmの段の高さが適切でありうる。格子のピッチPは、周知の原理に従ってビーム1350+および1350−を所望の場所に偏向するように選択されうる。EUV反射素子といった多層ミラー構造(MLM)における段の製造には、様々なプロセスが可能である。第1の方法では、MLM構造は、平らな基板上に製造され、次に選択的にエッチングされて段が形成される。この方法におけるMLM構造は、最初は通常よりもかなり深く作られる(より多くの層対)。それによりエッチングの際の高さhの損失を補償する。或いは、段を有する基板を形成して、次にMLM構造が、所望の数の層対でその上に形成されてよい。これらのプロセスは共に、理論的には同じ結果を生成するが実際には、段が付けられた基板上に高品質のMLMを形成することは、平らな基板上に形成されたMLMに比べて難しい。
【0082】
[0101] 図15は、図5に示されたEUV光学システムのフライアイイルミネータへの、フィールドファセットミラー22aとしての図14の変更された反射素子の適用を示す。散乱層1320によるDUV散乱の機能は、図12に示されるように存在するが、明確にするために図15には示されない。光線530は、前と同様に、フィールドファセットミラー22aから関連付けられた瞳ファセットミラー24aに直接に反射されて、ターゲット領域Eに誘導される所望のEUV放射を表す。光線1550+および1550−は、ミラー22a上に設けられた位相格子によって回折された不所望のIR放射の+1および−1次ビームを示す。格子(図14)のピッチPを制御することによって、これらのビームは、図15に示されるように隣接する瞳ファセットミラーに誘導されてもよいし、または他の場所に誘導されてもよい。他の場所とは、例えば瞳ファセットミラーデバイス24の完全に外の場所か、または、瞳ファセットミラー24a、24b等の間の空間における「ダンプ」場所でありうる。設計者は、回折ビームに含まれる熱エネルギーを吸収しかつ失くす適切な手段が適当な位置に置かれている限り、これらの場所から自由に選択することができる。
【0083】
[0102] IR放射の波長は、EUV放射の波長よりもかなり長いので、格子を形成するストリップは、EUV放射に対しては事実上平らなミラーであり、短い波長では回折格子は見られない。EUV波長における唯一の不利点は、段の潜在的なシャドーイング効果と、段1322自体の場所におけるEUV光の損失である。これらの損失は、格子の向きの適切な選択によって最小限にすることが可能である。フィールドファセットミラー22a等は、図13に示されるように様々な角度に傾斜可能でありうることも留意すべきである。格子の向きは、傾斜軸に関連して選択されることができ、それにより、シャドーイング効果が、あらゆる設定において最小限にされる、1つの好適な設定において最小限にされる、或いは、複数の設定間で少なくとも一定である。スキャン動作モードを実施するEUVリソグラフィ装置におけるフィールドファセットミラーの例では、個々のファセットミラー22a等は、例えば数mmの幅で数センチメートルの長さを有し細長い形態でありうる。位相格子の線が、ファセットミラーの長さ方向に整列される場合、例えば10未満といったように必要とされる段1322はほんの数段でありうる。これらの検討事項は、適切な実際の実施形態が実現できるように、上述した解説および例の検討から当業者には明らかとなろう。
【0084】
[0103] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者には当然のことであるがそのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0085】
[0104] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明の実施形態は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0086】
[0105] 「レンズ」という用語は、文脈によって、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指しうる。
【0087】
[0106] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。上記説明は、限定ではなく例示的あることを意図している。したがって、当業者であれば、以下に記載される特許請求の範囲から逸脱することなく本発明に変更を行いうることは明らかであろう。
【0088】
[0107] 発明の概要および要約の項目は、発明者が想定するような本発明の1つまたは複数の例示的実施形態について述べることができるが、全部の例示的実施形態を述べることはできず、したがって本発明および請求の範囲をいかなる意味でも制限しないものとする。
【0089】
[0108] 本発明は、特定の機能の実施とそれらの関係を示す機能的構成要素を用いて上に説明された。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上任意に定義されている。特定の機能およびそれらの関係が適切に行われる限り別の境界が定義されてもよい。
【0090】
[0109] 特定の実施形態の上記の説明は、本発明の一般的性質を十分に明らかにし、それにより、当業者の知識を適用することによって、他の人が、必要以上の実験を行うことなく、本発明の一般的な概念から逸脱することなく、特定の実施形態の様々な適用を容易に修正および/または適応することができるようにする。したがって、このような適応および修正は、本明細書に提示する教示および指導内容に基づいて、開示された実施形態の等価物の意味および範囲内であることを意図するものである。なお、本明細書における表現および用語は、説明のためであって限定を目的とせず、したがって、本明細書の用語および表現は教示および指導内容を鑑みて当業者によって解釈されるべきであることを理解すべきである。
【0091】
[0110] 本発明の広さおよび範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきでなく、以下の特許請求の範囲およびそれらの等価物によってのみ定義されるべきである。
【0092】
[0111] 本発明はさらに、以下の節を使用してさらに説明されうる。
【0093】
[0112] 第1節:第1の波長範囲にある放射を含む放射の放射ビームを調整するための光学装置であって、主反射型素子と、主反射型素子をターゲット位置上に投影するように構成された関連付けられた副反射型素子を含む副反射型素子のアレイと、を含み、主反射型素子は、放射源からの放射ビームの一部を受取り、放射の一部を、関連付けられた副反射型素子に反射するように構成され、放射ビームはさらに第2の波長範囲にある放射を含み、主反射型素子は、第2の波長範囲にある、放射の一部の放射が、ある程度の散乱を受けるように形成され、ある程度の散乱は、第2の波長範囲にある、放射の一部の放射の大部分が、関連付けられた副反射型素子とは異なる複数の副反射型素子のうちの1つまたは複数の素子に誘導されるように設定される。
第2節:第1節に記載された光学装置であって、主反射型素子は、主反射型素子のアレイのうちの1つであり、各主反射型素子は、主反射型素子をターゲット位置上に投影するように構成された対応する副反射型素子に関連付けられており、放射源からの放射ビームの対応する部分を受取り、放射の対応する部分を、対応する関連付けられた副反射型素子に反射するように構成され、また、第2の波長範囲にある、放射の対応する部分の放射が、ある程度の散乱を受けるように形成され、ある程度の散乱は、第2の波長範囲にある、放射の対応する部分の放射の大部分が、関連付けられた対応する副反射型素子とは異なる複数の副反射型素子のうちの1つまたは複数の素子に誘導されるように設定される。
第3節:第1または第2節に記載される光学装置であって、ある程度の散乱は、第2の波長範囲にある放射の25%未満、任意選択的に15%、5%、または1%未満が、主反射型素子から関連付けられた副反射型素子または関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに誘導されるような程度の散乱である。
第4節:第3節に記載される光学装置であって、主反射型素子は、第3の波長範囲にある放射の、ターゲット位置に向かう反射を抑制するように構成された位相格子構造を組み込み、第3の波長範囲にある波長は、1μmより長い。
第5節:第1から第4節のいずれかに記載される光学装置であって、第1の波長範囲は、EUV波長範囲5〜20nm内、または範囲13〜14nm内、または範囲6.5〜7nm内である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射ビームを調整するための光学装置であって、
放射源から前記放射ビームを受取り、前記放射ビームを第2の反射型コンポーネントに反射するように構成され、主反射型素子を含む第1の反射型コンポーネントと、
前記ビームをターゲット位置に反射するように構成され、副反射型素子のアレイを含む前記第2の反射型コンポーネントと、
を含み、
前記主反射型素子は、第1の波長範囲にある放射を、関連付けられた副反射型素子、または、関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに反射するように構成され、前記主反射型素子は、第2の波長範囲にある放射が、ある程度の散乱を受けるように形成され、前記散乱の程度は、前記第2の波長範囲にある前記放射の大部分が、前記第2の反射型コンポーネントに向けて誘導されるが、前記関連付けられた副反射型素子に向けてまたは前記関連付けられた副反射型素子のサブセットに向けて誘導されないように設定される、光学装置。
【請求項2】
前記散乱の程度は、前記第2の波長範囲にある前記放射の25%未満、任意選択的に15%、5%、または1%未満が、前記主反射型素子から前記関連付けられた副反射型素子または関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに誘導されるような程度である、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記主反射型素子から前記関連付けられた副反射型素子または関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つまでの距離は、前記関連付けられた副反射型素子または関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つの最小横寸法の10倍より大きく、任意選択的に20倍より大きい、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記第1の波長範囲は、EUV波長範囲5〜20nm内、または範囲13〜14nm内、または範囲6.5〜7nm内である、請求項1から3のいずれかに記載の光学装置。
【請求項5】
前記第2の波長範囲は、DUV波長範囲100〜400nm、任意選択的には110〜300nm内である、請求項1から4のいずれかに記載の光学装置。
【請求項6】
前記主反射型素子の向きは、様々な時間において、前記関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに向けて放射を誘導するように制御可能であり、前記関連付けられた副反射型素子の各々は、副反射型素子の前記アレイにおいて、前記主反射型素子から受け取った放射を前記ターゲット位置から離れる方向に誘導する副反射型素子によって取り囲まれている、請求項1から5のいずれかに記載の光学装置。
【請求項7】
前記主反射型素子は、前記第1の波長範囲にある前記放射を反射するためのミラー構造と、前記第2の波長範囲にある前記放射に前記ある程度の散乱を与えるための、前記ミラー構造上のコーティングとを含む、請求項1から6のいずれかに記載の光学装置。
【請求項8】
前記コーティングは、30nm未満の厚さの層を含む、請求項7に記載の光学装置。
【請求項9】
前記コーティングは、100nm未満、任意選択的に30nm未満の寸法のシリコン粒子の層を含む、請求項7に記載の光学装置。
【請求項10】
前記シリコン粒子の層は、実質的に単分子層である、請求項9に記載の光学装置。
【請求項11】
前記コーティングは、波形付き層を含む、請求項7から10のいずれかに記載の光学装置。
【請求項12】
前記主反射型素子は、第3の波長範囲にある放射の、前記ターゲット位置に向かう反射を抑制するように構成された位相格子構造を組み込み、前記第3の波長範囲にある波長は、1μmより長い、請求項1から11のいずれかに記載の光学装置。
【請求項13】
前記主反射型素子は、主反射型素子のアレイのうちの1つであり、前記副反射型素子の各々は、その関連付けられた主反射型素子の像をフィールド面にまたはその付近に形成するように構成され、各像は実質的に重なり合う、請求項1から12のいずれかに記載の光学装置。
【請求項14】
照明システムと、
パターニングデバイスを支持するように構成されたサポートであって、前記パターニングデバイスは、前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成可能である、サポートと、
基板を保持するように構成された基板テーブルと、
前記パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、
前記照明システムにおける、前記放射ビームを調整するように構成された請求項1から13のいずれかに記載の光学装置と、
を含むリソグラフィ装置。
【請求項15】
パターン付き放射ビームを基板上に投影することを含むデバイス製造方法であって、前記パターン付きビームは、請求項1から13のいずれかに記載の光学装置によって調整された放射ビームから形成される、デバイス製造方法。
【請求項1】
放射ビームを調整するための光学装置であって、
放射源から前記放射ビームを受取り、前記放射ビームを第2の反射型コンポーネントに反射するように構成され、主反射型素子を含む第1の反射型コンポーネントと、
前記ビームをターゲット位置に反射するように構成され、副反射型素子のアレイを含む前記第2の反射型コンポーネントと、
を含み、
前記主反射型素子は、第1の波長範囲にある放射を、関連付けられた副反射型素子、または、関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに反射するように構成され、前記主反射型素子は、第2の波長範囲にある放射が、ある程度の散乱を受けるように形成され、前記散乱の程度は、前記第2の波長範囲にある前記放射の大部分が、前記第2の反射型コンポーネントに向けて誘導されるが、前記関連付けられた副反射型素子に向けてまたは前記関連付けられた副反射型素子のサブセットに向けて誘導されないように設定される、光学装置。
【請求項2】
前記散乱の程度は、前記第2の波長範囲にある前記放射の25%未満、任意選択的に15%、5%、または1%未満が、前記主反射型素子から前記関連付けられた副反射型素子または関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに誘導されるような程度である、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記主反射型素子から前記関連付けられた副反射型素子または関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つまでの距離は、前記関連付けられた副反射型素子または関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つの最小横寸法の10倍より大きく、任意選択的に20倍より大きい、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記第1の波長範囲は、EUV波長範囲5〜20nm内、または範囲13〜14nm内、または範囲6.5〜7nm内である、請求項1から3のいずれかに記載の光学装置。
【請求項5】
前記第2の波長範囲は、DUV波長範囲100〜400nm、任意選択的には110〜300nm内である、請求項1から4のいずれかに記載の光学装置。
【請求項6】
前記主反射型素子の向きは、様々な時間において、前記関連付けられた副反射型素子のサブセットのうちの1つに向けて放射を誘導するように制御可能であり、前記関連付けられた副反射型素子の各々は、副反射型素子の前記アレイにおいて、前記主反射型素子から受け取った放射を前記ターゲット位置から離れる方向に誘導する副反射型素子によって取り囲まれている、請求項1から5のいずれかに記載の光学装置。
【請求項7】
前記主反射型素子は、前記第1の波長範囲にある前記放射を反射するためのミラー構造と、前記第2の波長範囲にある前記放射に前記ある程度の散乱を与えるための、前記ミラー構造上のコーティングとを含む、請求項1から6のいずれかに記載の光学装置。
【請求項8】
前記コーティングは、30nm未満の厚さの層を含む、請求項7に記載の光学装置。
【請求項9】
前記コーティングは、100nm未満、任意選択的に30nm未満の寸法のシリコン粒子の層を含む、請求項7に記載の光学装置。
【請求項10】
前記シリコン粒子の層は、実質的に単分子層である、請求項9に記載の光学装置。
【請求項11】
前記コーティングは、波形付き層を含む、請求項7から10のいずれかに記載の光学装置。
【請求項12】
前記主反射型素子は、第3の波長範囲にある放射の、前記ターゲット位置に向かう反射を抑制するように構成された位相格子構造を組み込み、前記第3の波長範囲にある波長は、1μmより長い、請求項1から11のいずれかに記載の光学装置。
【請求項13】
前記主反射型素子は、主反射型素子のアレイのうちの1つであり、前記副反射型素子の各々は、その関連付けられた主反射型素子の像をフィールド面にまたはその付近に形成するように構成され、各像は実質的に重なり合う、請求項1から12のいずれかに記載の光学装置。
【請求項14】
照明システムと、
パターニングデバイスを支持するように構成されたサポートであって、前記パターニングデバイスは、前記放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付き放射ビームを形成可能である、サポートと、
基板を保持するように構成された基板テーブルと、
前記パターン付き放射ビームを前記基板のターゲット部分上に投影するように構成された投影システムと、
前記照明システムにおける、前記放射ビームを調整するように構成された請求項1から13のいずれかに記載の光学装置と、
を含むリソグラフィ装置。
【請求項15】
パターン付き放射ビームを基板上に投影することを含むデバイス製造方法であって、前記パターン付きビームは、請求項1から13のいずれかに記載の光学装置によって調整された放射ビームから形成される、デバイス製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−227526(P2012−227526A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−88448(P2012−88448)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88448(P2012−88448)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】
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