説明

オメガ3脂肪酸で補強されたナッツバター及び関連製品

本開示は向上したナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物及びステアリドン酸を含有する健康に良い脂質を配合物に取り込むことによるこうした配合物の製造方法を提供する。開示の1つの実施形態において、SDA濃縮油を含むピーナッツバター配合物が開示される。開示の別の実施形態において、SDA濃縮大豆油を含むピーナッツバタースプレッド配合物が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は有益な脂肪酸を取り込むことによってナッツバター及びピーナッツバターのようなナッツバタースプレッド配合物における所望の特性の強化に関する。より具体的には本開示は、ステアリドン酸を含む多価不飽和脂肪酸を含むナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物及びバター及びそのスプレッド配合物の製造方法に関する。このような向上したナッツバター及びバタースプレッド配合物は、貯蔵寿命及び味を維持しながら従来のナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物に比べて改善された栄養価を示す。
【背景技術】
【0002】
本開示はステアリドン酸(「SDA」)又はSDA濃縮油を含むピーナッツバター及びピーナッツバタースプレッドのようなナッツバター配合物及びナッツバタースプレッド配合物に向けられる。具体的には、本開示は向上した栄養価を有するナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物及びバター及びバタースプレッドの製造方法を提供する。
【0003】
高い栄養価及び良い味によって、ナッツバター配合物、特にピーナッツバターは、多くの家庭での重要な食品となる。栄養価、味、及び歯ごたえに関するピーナッツバターの消費者へのアピールを改善する新しい方法が継続的に求められている。これには、一般的な脂肪レベル(約50〜55(重量)%)及び低い脂肪レベルを有するナッツバターの改善方法を含む。
【0004】
多くの研究によって、食事脂肪と肥満及びアテローム性動脈硬化との間の生理的関係を明らかにされた。場合によっては、脂肪の消費は医療の確立により減った。より最近では、食事脂肪とその健康効果の間の質的差異が認識されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近の研究によって、比較的単純な生物学的構造にもかかわらず、何らかの身体機能の向上をもたらすと思われるある種の脂肪があることが特定された。ある種の脂肪は、実際に、ある生理的過程に不可欠である。より広い種類の脂肪分子には脂肪酸、イソプレノール、ステロイド、その他の脂質及び脂溶性ビタミンを含む。これらの中に脂肪酸がある。脂肪酸は炭水化物構造に不飽和部位が無い又はいくつかの「主鎖」に2〜26個の炭素原子を有するカルボン酸である。これは一般に約4.5の解離定数(pKa)を有し、通常の身体状態(7.4の生理的pH)で大部分が解離状態であることを示す。
【0006】
継続的な実験で、当業者は食事内の脂肪及び特に脂肪酸の栄養必要量を理解し始めた。このため、食品業界の多くは、消費者が改良製品を消費する上での結果的な利点として、食品の新しい焦点として脂肪酸及び脂質技術に焦点を当て始めた。この焦点は、食品内へのオメガ3脂肪酸の製造及び取り込みに対し特に強い。オメガ3脂肪酸は二重結合(「不飽和」)の最初が分子のメチル末端から3番目の炭素原子から始まる長鎖多値不飽和脂肪酸(長鎖内に18〜22個の炭素原子)(LC−PUFA)である。分子が炭水化物鎖内に2つ以上の二重結合を有するので、これらは「多値不飽和」と呼ばれる。炭素主鎖が少なくとも18個の炭素原子を有するので、これらは「長鎖」脂肪酸と呼ばれる。ステアリドン酸「SDA」に加えて、オメガ3族はアルファリノレン酸(「ALA」)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイコサペンタエン酸(「EPA」)、ドコサペンタエン酸(DPA)、及びドコサヘキサエン酸(「DHA」)を含む。ALAは「塩基」オメガ3脂肪酸で、ここからSDAの生成を含む、一連の酵素反応を通じてEPA及びDHAが体内で作られると考えることが可能である。ほとんどの栄養学者は、DHA及びEPAを最も有用な効果を伴う生理的に最も大切なオメガ3脂肪酸と指摘している。しかしながら、SDAは、顕著な健康効果を有することも示されている。例えば、本明細書に参照により組み込まれる米国特許第7,163,960号を参照のこと。さらに、SDAは赤血球内のEPAレベルを容易に高めることが現在示されている。
【0007】
ALAからの合成過程は、それぞれ「伸長」(すなわち、新しい炭素原子を取り込むことで分子が長くなる)及び「不飽和化」(すなわち、新しい二重結合が作られる)と呼ばれる。自然界で、ALAは主にある植物の葉及び種(例えば、亜麻)に見られ、EPA及びDHAは冷水捕食魚(例えば、マグロ、鱒、イワシ及び鮭)の組織内及びそれらが食べるいくつかの海草や微生物内に最も発生する。
【0008】
社会的消費のためにLC−PUFAの適切な供給を単純に確保することの困難に加えて、LC−PUFAを食品内に加工するための費用によってもしばしば制限される。これらのオメガ3脂肪酸、及びその他のLC−PUFAのいくつかはすぐに酸化して不快な臭い及び風味につながることがある。それゆえ、酸化の割合を減らすために食品加工者は油を冷凍状態で流通させるか望ましい脂肪酸を封入するかのいずれかを行わねばならず、各々の処理費用を、及び消費者への結果として生じる費用を大きく増やす。この費用の増加にもかかわらず、信頼できる供給が開発可能であれば健康志向の消費者が少し高くても進んで支払うこともあると考え、食品会社はオメガ3脂肪酸及び概してより健康的な食用油を供給することに興味を持っている。
【0009】
健康的な人間の食事の重要な要素として必須の脂肪及び油を開発し、供給する食品会社の動きに伴い、政府は食事内のPUFAの摂取を後押しする法規を改革し始めた。しかしながら、増える市場の要求を満たすためにオメガ3を含有する油を十分な量開発することが不可能であったので、こうしたニーズを供給するには困難が伴った。
【0010】
さらに、既述の通りオメガ3脂肪酸は商業的に非常に高価とみなされ、海洋資源から供給されるEPA及びDHAも時間と共に非常に速く化学的に酸化し、商業的利用性を制限する。重要なことに、EPA及びDHA劣化の速い過程の間にこれらの長鎖脂肪酸は、商業的許容度の観点から多くの食材又は商品への含有を困難又は不可能にする悪臭及びひどく不快な知覚特性(例えば、魚の臭い及び味)を持つ。
【0011】
さらに、アルファリノレン酸(ALA)のような伝統的なオメガ3脂肪酸は十分効率的に有用な形に変換されないので、こうした脂肪酸を取り込もうとする試みは実用的ではない。栄養学的研究で、ALAに比べてSDAは人間の生体内でEPAに3倍〜4倍より効率的に変換されることが示された(Ursin、2003)。
【0012】
供給、安定性及び調達におけるこれらの制限は費用を非常に増大させ、それに応じて食餌性オメガ3脂肪酸の有用性を制限する。それにより、食材及び、特にピーナッツバターのようなナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物の栄養価及び貯蔵寿命を増やす必要が存在する。本開示のSDA含有配合物は特定の消費者のための必要な食事脂肪を提供するのみならず、ナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物の商業製品のための他の食餌の改善も提供する。
【0013】
加えて、商業的に許容可能なやり方でナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物内のEPA及びDHA又は重大な前駆体を提供する消費者に許容可能な手段を提供する必要性が存在する。本開示は有益なオメガ3脂肪酸を含むナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物の形の魚又は微生物が供給するオメガ3脂肪酸の代替物を提供し、改善された費用効率の良い製品を提供する源としての比較的化学的に安定したオメガ3脂肪酸、SDA及び遺伝子導入植物から得られるものとしての豊かな供給を用いて提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は結果として生じる配合物及び/又は末端消費者の健康における脂肪酸の特性を向上するためのナッツバター配合物及びナッツバタースプレッド配合物での使用のための顕著な量のステアリドン酸(18:4ω3)(SDA)を含有するように作られた遺伝子導入植物の取り込みを含む。本開示の実施形態によると、SDAを含有する油は亜麻仁のような伝統的なオメガ3代替物に比べて高い栄養価を提供し、嫌な味及び魚の油に関連する低い安定特性に乏しい。それゆえ、この開示の好ましい実施形態はより高いレベルのSDAのような有益な多価不飽和脂肪酸を含むナッツバター配合物を含む。ナッツバター配合物はSDA濃縮油及び少なくとも90(重量)%のナッツ調合物を含む。
【0015】
本開示の別の実施形態において、より高いレベルのSDAのような有益な多価不飽和脂肪酸を含むナッツバタースプレッド配合物が提供される。ナッツバタースプレッド配合物はSDA濃縮油及び90(重量)%未満のナッツ調合物を含む。
【0016】
本開示の別の実施形態において、SDA濃縮大豆油を含む低炭水化物のピーナッツバター配合物が提供される。
【0017】
本開示の別の実施形態において、SDA濃縮大豆油を含む低脂肪のピーナッツバター配合物が提供される。
【0018】
本開示の別の実施形態において、SDA濃縮大豆油を含む低炭水化物のピーナッツバタースプレッド配合物が提供される。
【0019】
本開示の別の実施形態において、SDA濃縮大豆油を含む低脂肪のピーナッツバタースプレッド配合物が提供される。
【0020】
さらに、上記のナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物の製造方法が開示される。こうした方法はSDA濃縮ナッツ製品を作るためのSDA濃縮油と挽いてローストしたナッツとの混合;ナッツバター配合物を製造するためのSDA濃縮ナッツ製品の製粉;及びナッツバター配合物の冷却を含んで良い。いくつかの実施形態において、製粉前に安定剤、甘味料、風味料、増量剤、フィリング及び小片のような少なくとも1つの追加成分がSDA濃縮ナッツ製品に加えられて良い。
【0021】
ステアリドン酸濃縮油を得るための典型的なステアリドン酸源は遺伝子組み替え大豆、遺伝子組み替え大豆油、遺伝子組み替えキャノーラ、遺伝子組み替えキャノーラ油、エキウム及びエキウム油を含んで良い。追加のステアリドン酸源は大豆、紅花、キャノーラ、エキウム及びコーンを含んでよい。
【0022】
少なくとも1つの実施形態において、SDA濃縮油は(重量で)約10(重量)%〜約60(重量)%のSDAを含む。別の実施形態において、SDA濃縮油は、約10(重量)%〜約30(重量)%のSDAを含む。さらに特に好ましい実施形態において、SDA濃縮油は約20(重量)%のSDAを含む。
【0023】
少なくとも1つの実施形態において、SDA濃縮油を含むスプレッド配合物は、スプレッド配合物一回分32グラムに約375mgのSDA濃縮油を含む。この量はJames等(2003)に基づく組織内のEPAを濃縮するのに必要な一日あたりの最低量のSDAを末端消費者に供給することを確実にする。濃縮油内のSDAの量は遺伝資質、環境影響等によって変わることがある。しかしながら、一般的にSDA濃縮油は、約10(重量)%〜約60(重量)%のSDA、より好ましくは、約10(重量)%〜約30(重量)%、さらにより好ましくは、約20(重量)%のSDAを提供する。
【0024】
本開示のその他の特長及び利点は、添付の図面を参照して本開示の好ましい実施形態の以下の詳細な記述から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】SDA濃縮油を含む配合物を作るための本開示の1つの実施形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
定義
以下の定義は、当業者が本開示の全容を容易に理解し評価することを助けるためのものである。しかしながら、以下の定義に示されるように、示される定義は別途示されない限り限定することを意図するものではない。むしろ、当業者が開示の様々な例示的実施形態に焦点を当てるための好ましい定義である。
【0027】
本明細書で用いられるように、「ナッツバター」という用語は少なくとも90(重量)%のナッツ調合物を含むナッツを含有するバター配合物を指し、21CFR164.150の米国識別基準に定義されるピーナッツバターのようなバター配合物を含んで良い。ピーナッツ調合物として本明細書に記載されるが、ナッツ調合物は本開示の範囲から逸脱しないカシュー、アーモンド、クルミ、ペカン、ハシバミ、マカダミアナッツ、ブラジル、ヘーゼルナッツ、ひまわりの種、ゴマ種子、かぼちゃの種、大豆及びその組み合わせを含んで良いことを理解いただきたい。さらに、ナッツ調合物はナッツ全体、割ったナッツ、挽いたナッツ、ナッツスラリー、ナッツ粉、ナッツ油及びその組み合わせの形であって良い。例えば、1つの特定の実施形態において、ナッツバター配合物が塊の配合物(例えば塊のピーナッツバター又は塊のピーナッツバタースプレッド)の場合、ナッツ調合物は少なくとも1つの全体のナッツ及び約10(重量)%〜約25(重量)%の量の割ったナッツを含む。さらにより好ましい実施形態において、塊のナッツバター配合物は、約18(重量)%の全体のナッツ及び割ったナッツの少なくとも1つを含む。
【0028】
本明細書で用いられるように、「ナッツバタースプレッド配合物」という用語は(重量で)90%未満のナッツ調合物を含むスプレッド配合物を指し、ピーナッツバタースプレッドを含んで良い。2003年1月1日の米国FDA規制の下、ナッツバタースプレッド配合物、特にピーナッツバタースプレッド配合物は、例えばナッツ、ペースト及び/又はスラリーの様々な形で添加可能な、少なくとも40%のナッツ(ピーナッツ)調合物を有する塗ることができる製品を指す。本配合物内のナッツの重量による割合は特に55〜80%、より具体的には、60〜75%、及び標準ナッツバタースプレッド配合物用にさらに高い範囲であって良い。
【0029】
本明細書で使用されるとき、「SDA濃縮油」という用語は、少なくとも約10(重量)%のSDAを含む油を指す。
【0030】
開示の詳細な説明
SDAの生産:
本開示は、ステアリドン酸の植物ベースの生産における向上した方法及び人の健康を向上しようとする努力におけるその食事への取り込みのためのシステムに関する。この生産は食品内への商業的取り込みを可能にするために十分高い収量でSDAを生産するための遺伝子導入植物の使用によって可能になる。本開示の目的のために、脂肪酸の酸及び塩の形、例えば酪酸、酪酸塩、アラキドン酸及びアラキドン酸塩は可換な化学形態と考えられる。
【0031】
全ての高等植物は、主な18の炭素PUFA、LA及びALA及び場合によってSDA(C18:4n3、SDA)を合成する能力を有するが、さらにこれらを伸長及び不飽和化してアラキドン酸(AA)、EPA又はDHAを生成できるものはほとんど無い。高等植物におけるEPA及び/又はDHAの合成は、それゆえLAをAAに、又はALAをEPA及びDHAに変換するのに必要な全ての生合成酵素をコード化するいくつかの遺伝子の導入を必要とする。人の健康におけるPUFAの重要性を考慮すると、本開示による遺伝子組み換え油糧種子内のPUFA(特にn−3クラス)の生成成功が食餌使用のためのこうした必須脂肪酸の持続可能な源を供給可能にする。ほとんどのPUFA合成真核生物内で働く「従来の」好気経路はLA及ぶALAの両方のΔ6不飽和化で始まりγ−リノレン酸(GLA、18:3n6)及びSDAを生じる。
【0032】
表1を参照し、本開示の油成分に対して何が油成分の「標準」範囲を成すかの基準を提供することが大切である。主として重要な食用油及び脂肪の基本組成基準の策定に用いられた顕著なデータ源は農漁食料省(MAFF)及び英国のレザーランド食料国際施設の油、種子及び脂肪協会連合(FOSFA)である。
【0033】
意義のある標準データを策定するために、代表的な地理的起源から十分な試料が集められ、こうした油が純粋であることが望ましい。MAFF/FOSFAの研究では概ね10の異なる地理的起源の、既知の故事来歴の植物性油料種子の600を超える信頼のおける商業試料が11の植物性油料種子の各々について調べられた。脂肪酸組成物(「FAC」)の全体を特定するために抽出油が分析された。トリグリセリド、ステロール及びトコフェロール組成物の2の位置にあるFAC、トリグリセリドの炭素数及びヨウ素価、油内のタンパク価、融点及び必要に応じて固形脂肪含有量が特定される。
【0034】
十分な質のデータが入手できなかったので、1981年より前、FACデータは公開基準に含まれなかった。1981年にFAC範囲を含む基準が必須組成物標準として採用された。MAFF/FOSFA研究がこうした範囲の後の改定の基礎をなした。
【0035】
一般に、より多くのデータが入手可能になるにつれて脂肪酸範囲をより狭く提示することが可能で、それゆえ1981年に採用されたものに対してより具体的となった。表1は1981年に国際食品規格委員会(CAC)に採用された油のFAC及び1993年に開かれたコーデックス油脂部会(CCFO)会合で提案された同じ油の範囲の例を示す。
【0036】
【表1】

出典:国際食品規格委員会、1983年及び1993年
【0037】
より最近、遺伝子導入植物からの油が作られた。本開示のいくつかの実施形態は遺伝子組み替え大豆油のような遺伝子導入植物の製品を組み込んでよい。遺伝子導入植物及びそうした遺伝子導入植物をつくるための方法は文献内に見受けられる。例えば国際特許第2005/021761A1号を参照のこと。表2に示されるように、遺伝子組み換え大豆油の組成物は大豆油のための認可基準のものとは実質的に異なる。
【0038】
【表2】

【0039】
本開示の実施形態によると、適度に需要を満たすように修正可能な好ましい植物種は:大豆、キャノーラ、及びエキウムであるが、必要に応じて及び科学的に実行可能なものとして多くの他の植物も含まれて良い。本開示では、SDAの好ましい源は高レベルのSDAを生成するように作られた遺伝子組み替え大豆である。大豆は油処理施設で処理されて良く、油は米国特許出願第2006/0111578A1号、同第2006/0110521A1号、及び同第2006/0111254A1号に記載される方法に則り抽出されてよい。
【0040】
一旦生成されると、開示のSDAは非常に多様なナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物の健康特性を向上するために使用可能である。この製品は赤血球及び他の組織内のEPAを濃縮するオメガ3脂肪酸の持続可能な穀物ベースの源を提供し、今日入手可能な多くの代替オメガ3脂肪酸源と比べて向上した風味及び安定性を有する。
【0041】
ナッツバター/ナッツバタースプレッド配合物:
上記のように、本開示のナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物はSDA濃縮油を含む。SDA濃縮油に加え、ナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物はさらに水素化油及び半硬化油のような油を含む安定剤を含んで良い。こうした典型的な付加油は50°Fで約19%〜25.5%、70°F(21℃)で約10.5%〜約15.5%、及び92°F(33℃)で約0.5%〜約4.0%の固体脂指数を有する半硬化油を含む。この固体脂指数を有する水素化油は所望の塑性特性を含むナッツバター又はナッツバタースプレッド配合物を提供するだろう。さらに、これらの油は配合物の分離を防ぎ、配合物に所望されるように食品上に適切に配合物が広がることを可能にする。適切な安定剤は水素化油又は半硬化大豆油、キャノーラ油、菜種油、綿実油、亜麻仁油、ココナッツ油、クルミ油、又は挽いたりローストしたナッツ付きのヤシ油及びSDA濃縮油及びその組み合わせを含む。配合物に一般的に用いられる市販の水素化油又は半硬化油はローデルス・クロックラーン(イリノイ州、シャナホン)から入手可能である。具体的に、特に好ましい安定剤はローデルス・クロックラーン(イリノイ州、シャナホン)から入手可能なStaSet RC又はStaSet RCSを含む。
【0042】
一般的に、配合物は約0(重量)%〜約2.5(重量)%の量のこれらの安定剤を含む。より具体的には、配合物は、約0.3(重量)%〜約2.0(重量)%の量のこうした安定剤を含んでよい。1つの特に好ましい実施形態において、配合物は、約1.2(重量)%の量のこうした安定化油を含む。
【0043】
配合物に用いられて良い、特に配合物がピーナッツバター配合物又はピーナッツバタースプレッドの場合、別の特に好ましい液体油はピーナッツ油である。市販のピーナッツ油はGolden Peanut Company(ジョージア州、アルファレッタ)から入手可能である。一般的に、配合物は、約0(重量)%〜約8(重量)%の量のピーナッツ油を含んでよい。
【0044】
上記の油の混合物とは別に配合物は乳化剤、香味剤、及びその組み合わせのような少量の脂溶性成分を含んで良い。
【0045】
配合物に含むことが可能な典型的な乳化剤は、モノグリセリド及びジグリセリドを含む。モノグリセリド及びジグリセリドはさらに配合物の安定化が可能である。典型的なモノグリセリド及びジグリセリドはChemical Company(テネシー州、キングスポート)及びDanisco(カンザス州、ニューセンチュリー)からの市販のものを含む。特に適切なモノグリセリドはDanisco(カンザス州、ニューセンチュリー)からの市販のDimodan蒸留モノグリセリドである。
【0046】
一般的に、使用時に、配合物は、約0.1(重量)%〜約1.0(重量)%の量のモノグリセリド及びジグリセリドを含む。1つの特定の実施形態において、配合物は、約0.3(重量)%の量のモノグリセリド及びジグリセリドを含む。
【0047】
本開示の多くのナッツバター及びバタースプレッド配合物において、風味料の強化が望ましい。例えば、いくつかの実施形態において、配合物に甘味料を含むことが望ましい。配合物の成分として添加可能な甘味料は、例えば、蔗糖、右旋糖、果糖、蜂蜜、糖蜜、コーンシロップ、ブラウンシュガー、及びその組み合わせを含む。
【0048】
一般的なナッツバター配合物又はナッツバタースプレッド配合物は、約0.01(重量)%〜約20(重量)%を含む。いくつかの実施形態において、配合物は、約3.0(重量)%〜約8.0(重量)%を含む。
【0049】
追加の香味剤は塩又は塩代替物、シーズニングソルト、天然ナッツ香味剤等、及びその組み合わせを含んで良い。一般的に、こうした追加の香味剤は、約0(重量)%〜約3.0(重量)%の量で使用されてよい。
【0050】
使用されるとき、香味剤として機能するために塩化ナトリウム及び塩化カリウムのような塩は、一般的に、約1.0(重量)%〜約3.0(重量)%の量で含まれる。より適切には、塩は、約1.0(重量)%〜約1.5(重量)%の、そしてさらにより適切には、約1.2(重量)%の量で含まれてよい。
【0051】
向上した栄養価を提供するために、具体的には配合物内のタンパク質レベルを高めるために植物タンパク質が配合物内に含まれて良い。典型的な植物タンパク質は大豆タンパク質分離物及び大豆タンパク質濃縮物のような大豆タンパク質を含む。
【0052】
使用されるとき、追加のタンパク質は(重量で)約1%から(重量で)約10%の量で配合物内に含まれる。1つの特定の実施形態において、配合物は、約6.0(重量)%〜約8.0(重量)%の量の少なくとも1つのタンパク質を含む。
【0053】
少なくとも1つの実施形態において、減らされた脂肪含有量が望ましい。具体的には、近年減脂肪製品及び低脂肪製品が増え、より良い低脂肪製品を得るために徹底的な研究が加工及び成分に対してなされている。こうした実施形態において、配合物はさらにポリデキストロース、マルトデキストリン、コーンシロップ固体、(微結晶性セルロースのような)メトセルロース誘導体及びその組み合わせのような増量剤を含んで良い。
【0054】
一般的に、配合物での使用時に、増量剤は配合物の最高約60(重量)%に相当することがある。いくつかの特定の実施形態において、配合物は。約1.0(重量)%〜約60(重量)%の、そしてさらにより適切には、約10(重量)%〜約60(重量)%の量の1つ以上の増量剤を含む。
【0055】
ナッツバター配合物及びナッツバタースプレッド配合物に含まれることがある他の追加成分は、例えば、フィリング及び小片である。フィリングは食品に詰めるのに用いられる甘い又はおいしい食品の混合物として定義されうる。フィリングの例は:ナッツ片、果実、チョコレート、ジャム/ゼリー、杏、サクランボウ、ブルーベリー、グアバ、レモン、マンゴー、ラズベリー、イチゴ、パパイヤ、マシュマロ、及びバナナを含む。しばしば、フィリングはペクチン及びカラギナンのようなゲル材料を含む。グアーのようなガム基礎剤もまた一般的である。フィリングは一般に水分活性が低い。フィリングは一般に食品(すなわち、ナッツバター配合物及びナッツバタースプレッド配合物)に風味及び/又は固形物及び/又は特性を与える。
【0056】
グラハム粉、パフトライス、ナッツ片、及びチョコチップのような小片もまた配合物に使用されて良い。小片は配合物に特性及び/又は風味を与えることがある。
【0057】
ナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物の製造方法:
加えて、本開示はSDAを含む配合物の製造方法を対象にする。一般に、本開示の配合物は概ね:SDA濃縮ナッツ製品を作るためのSDA濃縮油と挽いてローストしたナッツとの混合;ナッツバター配合物を製造するためのSDA濃縮ナッツ製品の製粉;及びナッツバター配合物の冷却(図1参照)によって製造される。
【0058】
一般的に、最初に、生のナッツは約290°F(143℃)〜約370°F(188℃)の温度で、より適切には、約320°F(160℃)の温度でローストされる。ローストすることはナッツの風味、色をもたらし、生のナッツ内に存在する細菌を殺す。いくつかの実施形態において、ナッツはゆがかれる。従来のロースと及びゆがきのいかなるの技術もさらなる加工のためにナッツを処理するために使用されて良い。ローストした全脂肪ナッツがそれから選別され、アフラトキシンで汚染されている可能性がある損傷したナッツが除かれる。
【0059】
ローストされ選別されたナッツは約140°F(60℃)〜約180°F(82℃)の温度で、より適切には、約155°F(68℃)〜約170°F(77℃)の温度でバウアーミルのような製粉機を用いて挽かれてコースペーストにされる。プロセスの残りを通じて、この温度は適切な混合を可能にし、安定剤を溶けたままにして、及び追加のロースト又は異臭の進行を制御するために保持される。
【0060】
それからSDA濃縮油のような残りの成分、及び追加成分は挽いてローストした全脂肪ナッツのスラリーに配合物に応じて加えられ完全に混合される。
【0061】
いくつかの実施形態において、ナッツバター製品は従来の真空ケトル又は薄いフィルムversator内で脱気され製品から残りの空気が除かれる。脱気は結果として生じるナッツバター及びナッツバタースプレッド配合物内に存在するトリグリセリドの酸敗臭を最小化する。
【0062】
次に、こうして生成されたSDA濃縮ナッツ製品は当技術分野で周知の製粉装置を用いて製粉される。いくつかの実施形態において、最終配合物の風味及び色に悪影響を与えることがある製粉中の過剰な熱を防ぐためにSDA濃縮ナッツ製品はボテーター冷却などで製粉前に125°F(51.7℃)に冷却されて良い。
【0063】
いくつかの実施形態において、例えばUrschel製粉機内で、ナッツ製品はさらに細かく製粉され、約150マイクロメートルの粒子サイズを有するナッツバター配合物(又はナッツバタースプレッド配合物)が製造される。
【0064】
細かい製粉の代替として、ナッツ製品はさらに均質化処理されて良い。均質化は比較的高圧、すなわち約4,000psig〜約14,000psig、好ましくは、約6,000psig〜約8,000psigで起きることが重要である。約10,000psigより高い圧力はよるスムーズでより広がりやすい配合物をうむ。
【0065】
加えて、上記のように、いくつかの実施形態において、低脂肪のナッツバター/ナッツバタースプレッド配合物を有することが望ましい。上記のように増量剤を取り込み、配合物の粘度を減らすためにさらに中間高圧均質化手順を用いることで全脂肪相当物の味及び調和を有する低脂肪のナッツバター配合物が製造されることが発見されている。
【0066】
いくつかの実施形態において、結果として生じるSDA濃縮ナッツ製品はナッツ製品内に存在することがある遊離ナッツオイルの生成と同時に、製品の成分がより密接に混ざるように、任意選択で、2軸押出機のような押出機ミキサーを通すことでさらに処理されて良い。例えば、Readcoによって製造された2軸押出機は本開示による方法の実践に有益である。
【0067】
2軸押出機は軸の壁に適合する攪拌機を包含する2つの平行な軸を有する。軸と攪拌機との間の近接した隙間は意外に有効な混合及び清掃作動をもたらす。攪拌機が回転するにつれて、ナッツスラリー(すなわち、挽いてローストしたナッツ)及び他の成分の組み合わせの漸進運動に伴い前後の動きが起きる。混合動作はせん断、泡立て、折りたたみ、伸長及び結果として生じる配合物の味及び調和に悪影響を与えること無しにナッツバター配合物内に増量剤のような、比較的大量の脱脂乾燥固形物の組み込みを可能にする圧縮の組み合わせを生むことが発見されている。
【0068】
代替方法として、増量剤の添加中に、中間処理手順を加えてさらにブレンドしてナッツ製品の粘性を減らしてさらなる処理を可能にしても良い。具体的に、ホモジナイザー又は固定子及び遠心力を生み出しながらナッツ製品の破砕が可能な環状に回転するローターを含む特殊粉砕機が用いられて良い。こうした追加手順は米国特許第7,235,277号に記載され、本明細書と一致する限りにおいて本明細書に参照により組み込まれる。
【0069】
成分の組み合わせを密接に混合するための特定の条件は具体的なナッツバター配合物次第である。しかしながら、一般に実質的にゼロ〜約5mm、好ましくは、約1mm〜約2mmの隙間が適切であると分かっている。隙間、混合率及び滞留時間の具体的な組み合わせは押出機のサイズ及び所望の混合の種類次第である。具体的なナッツバター配合物のための特定の条件は過度な実験無しに当業者が容易に特定できるであろう。
【0070】
一旦徹底的に混ぜられ粉砕されると、ナッツバター又はナッツバタースプレッド配合物は市販のCherry Burrell Votator(Waukesha Cherry Burrell、 Delavan、 Wisconsin)のようなキサゲ面熱交換器を用いて冷却される。冷却は適切な脂肪結晶配合物(β’)の定着を助ける。一般的に、配合物は配合物内に存在する安定剤及び上記処理に用いられる装置に応じて約85°F(29℃)〜約120°F(49℃)の温度に冷却される。
【0071】
驚くべきことに、発明者は上記のようにナッツバター及びバタースプレッド配合物内の遺伝子導入植物源からのSDA組成物を含むことがEPA(エイコサペンタエン酸)に後に変換するオメガ3脂肪酸レベルのSDA(18:4)の増加に非常に効果的であることを発見した。
【0072】
さらに、オメガ3脂肪酸無しの従来のピーナッツバター及びピーナッツバタースプレッド配合物に比べてSDA(例えば、ピーナッツバター及びピーナッツバタースプレッド配合物)を含むナッツバター及びバタースプレッド配合物の風味、特性、又は消費者受容性全体にほとんど違いが無いことが発見された。具体的には、以下の実施例に示すように、SDA包含ピーナッツバタースプレッド配合物はオメガ3脂肪酸無しの従来のピーナッツバタースプレッド配合物と比べて同様な基本的味覚属性を有した。
【0073】
さらに、代替オメガ3脂肪酸を含むピーナッツバタースプレッド配合物と比べて、SDAを含むピーナッツバタースプレッド配合物の基本的味は従来のピーナッツバターに最も類似していた。
開示の例示的実施形態
【0074】
次の実施例は開示の概要の実施形態を示すために含められる。以下の実施例に開示される技術は開示の実践でよく機能するために発明者によって発見された技術を表し、かくして実践のための好ましい様式を成すと考えられうることを当業者に理解いただきたい。しかしながら、本開示に照らして、開示される特定の実施形態に多くの変更が可能で開示から逸脱すること無しに似た又は同様の結果を得ることが可能であることを当業者に理解いただきたい。
【0075】
本明細書で開示され請求される配合物及び方法の全ては本開示に照らして過度な実験無しに実行可能である。本開示の配合物及び方法は好ましい実施形態に置いて記載されるが、開示の概念及び範囲から逸脱すること無しに変形が適用されうることは当業者には明らかである。
【0076】
以下の実施例において、SDAを含有する遺伝子組み替え大豆油が用いられる/用いられた。トウモロコシやキャノーラのような他の遺伝子導入植物から得られる油を用いても同様な結果が得られるであろう。
実施例1:86%ピーナッツバタースプレッド
【0077】
この実施例において、SDA濃縮大豆油が86(重量)%のピーナッツバタースプレッド配合物内のピーナッツ油の代わりとされた。それから対照ピーナッツバタースプレッド配合物(すなわち、SDAなしの従来のピーナッツバタースプレッド配合物)及び市販のピーナッツバタースプレッド配合物と比べてSDAを含有するピーナッツバタースプレッド配合物が相当する官能特性を有するかを特定するために官能的研究が行われた。
【0078】
SDAを含むピーナッツバタースプレッド配合物が表3に示される。対照スプレッド配合物はSDAの代わりに配合物に大豆油を加えた以外はSDA付きのピーナッツバタースプレッド配合物と同じ配合物で作られた。市販のピーナッツバタースプレッド配合物はJif Peanut Butter Spread (The J.M. Smucker Co., Orrville, Ohio)及びSmart Balanceオメガ3ピーナッツバタースプレッド(Smart Balance, Inc., Paramus, New Jersey)を含む。
【0079】
【表3】

【0080】
SDA付きのスプレッド配合物を作るために、脱穀した生のピーナッツは細菌汚染を除き所望の色を得るために約290°F(143℃)〜約370°F(188℃)の温度でローストされた。ローストされたピーナッツはそれから選別され粗挽きローストピーナッツを作るために挽かれた。塩、甘味料、安定剤、及び油を含む追加成分がそれから加えられ約140°F(60℃)から約180°F(82℃)の温度で混合された。徹底的な混合の後、ナッツ製品はさらにUrschel Mill (Urschel Laboratories, Inc., Valparaiso, Indiana)を用いて製粉され、それからキサゲ面熱交換器(例えば、Votator)を用いて約85°F(29℃)〜約120°F(49℃)の温度で冷却され、梱包された。
【0081】
官能的研究のために、訓練された試験官(7)の一団が配合物の間の十分差が出る主要な記述的属性を識別し特定するために討論会及び講習会に参加した。それに続く評価会で一団は特定の属性の知覚された強度を評価するための言語に焦点を置いたGillette及びBeckley (Beckley & Kroll, 1996)に開発された、修正された官能的品質システム(SQS)結果を用いた。具体的に、試験官は各試料を対照配合物と異なる度合いに基づく質を測定する、所定の5段階評価に基づいて評価した。評価は4つのカテゴリーに分けられる。具体的に、4〜5の点は適合に等しい;すなわち試料は外観、芳香、風味料、及び特性で対照と実質同一の官能特性を有する。3点は許容可能に等しく、試料は製品の定義を満たすが、対照と並べて比べると相違が簡単に分かることを意味する。2点は許容できないに等しく、試料は製品の定義を満たさないが、場合によって改変可能であることを意味する。1点は不合格に等しく、試料は明らかな欠陥を有し製品として出荷不能となる。
【0082】
各試験官は各試料の1つの再現をテストした。プレーンクラッカー及びミネラルウォーターが試料の間の味覚洗浄剤として用いられた。試料は味見され、噛まれ、それから飲み込まれずに吐き出された。配合物のためにつくられた官能特性及び定義は:



【0083】
官能分析の結果は7人の試験官の評点の平均として計算され表4に示される。
【0084】
【表4】

【0085】
結論:SDA付きスプレッド配合物の基本味覚属性は対照スプレッド配合物と密接に似ていた。Smart Balanceオメガ3ピーナッツバタースプレッド配合物は質においてずっと低く評価された。こうした結果はSDAが他のオメガ3源に比べて食品の風味の質を維持する能力があることを示す。
実施例2:90%ピーナッツバター
【0086】
この机上の実施例において、SDA濃縮大豆油が(重量で)90%のピーナッツバター配合物内のピーナッツ油及び甘味料の代わりとされる。
【0087】
SDAを含むピーナッツバター配合物が表5に示される。
【0088】
【表5】

【0089】
ピーナッツバタースプレッド配合物は実施例1に示されるように作られ官能試験されてよい。
実施例3:低炭水化物ピーナッツバタースプレッド
【0090】
この机上の実施例において、SDA濃縮大豆油は所望の炭水化物レベルを含むピーナッツバタースプレッド配合物を提供するために低減されたレベルのピーナッツ及び蔗糖の除去の状態で用いられて良い。
【0091】
製造されて良い低炭水化物ピーナッツバタースプレッド配合物が表6に示される。追加成分は標準ピーナッツバタースプレッドと同等のタンパク質レベルを提供するために増量剤としての微結晶性セルロース及び大豆タンパク質分離物を含む。
【0092】
【表6】

【0093】
ピーナッツバタースプレッド配合物は実施例1に示されるように作られ官能試験されてよい。
実施例4:減脂肪ピーナッツバタースプレッド
【0094】
この机上の実施例において、SDA濃縮大豆油は減らされた脂肪レベルを含むピーナッツバタースプレッド配合物を提供するために低減されたレベルのピーナッツと共に用いられて良い。
【0095】
製造されて良い減らされた脂肪のピーナッツバタースプレッド配合物が表7に示される。一般的に、減らされた脂肪ピーナッツバタースプレッド配合物は、約60(重量)%のピーナッツを含む。さらに、塩、甘味料、安定剤等を含む一般的なピーナッツバタースプレッド成分に加え、減らされた脂肪ピーナッツバタースプレッド配合物はマルトデキストリン、コーンシロップ固体又はポリデキストロースさえも含むことがある増量剤を含有する。ピーナッツバターに栄養等価を設けるために、大豆タンパク質及び特定のビタミンが一般的に又追加される。
【0096】
【表7】

【0097】
ピーナッツバタースプレッド配合物は、増量剤の添加中に、中間処理手順を加えてさらにブレンドしてナッツ製品の粘性を減らしてさらなる処理を可能にする以外は実施例3に記載されるとおりに製造されても良い。具体的に、ホモジナイザー又は固定子及び遠心力を生み出しながらナッツ製品の破砕が可能な環状に回転するローターを含む特殊粉砕機のみならず、上記の様な押出機が用いられて良い。こうした追加手順は米国特許第7,235,277号に記載され、本明細書と一致する限りにおいて本明細書に参照により組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリドン酸(SDA)濃縮油及び少なくとも90(重量)%のナッツ調合物を含むナッツバター配合物。
【請求項2】
SDA濃縮油がSDA濃縮大豆油、SDA濃縮キャノーラ油、SDA濃縮エキウム油、及びその組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載のナッツバター配合物。
【請求項3】
SDA濃縮油がSDA濃縮大豆油である、請求項2のナッツバター配合物。
【請求項4】
SDA濃縮大豆油が約10(重量)%〜約30(重量)%のSDAを含む、請求項3に記載のナッツバター配合物。
【請求項5】
SDA濃縮大豆油が約20(重量)%のSDAを含む、請求項3に記載のナッツバター配合物。
【請求項6】
32グラムのナッツバター配合物1回分に約375mgのSDA濃縮大豆油を含む請求項3のナッツバター配合物。
【請求項7】
ナッツ調合物がピーナッツ、カシュー、アーモンド、クルミ、ペカン、ハシバミ、マカダミアナッツ、ブラジル、ヘーゼルナッツ、ひまわりの種、ゴマ種子、かぼちゃの種、大豆及びその組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載のナッツバター配合物。
【請求項8】
配合物がピーナッツバター配合物である、請求項1に記載のナッツバター配合物。
【請求項9】
ナッツ調合物がナッツ全体、割ったナッツ、挽いたナッツ、ナッツスラリー、ナッツ粉、ナッツ油及びその組み合わせからなる群から選択される請求項7に記載のナッツバター配合物。
【請求項10】
ナッツ調合物約10(重量)%〜約25(重量)%の量のナッツ全体及び割ったナッツの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のナッツバター配合物。
【請求項11】
水素化油、半硬化油、及びその組み合わせからなる群から選択された油をさらに含む、請求項1のナッツバター配合物。
【請求項12】
モノグリセリド、及びジグリセリドの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のナッツバター配合物。
【請求項13】
さらにピーナッツ油を含む、請求項1に記載のナッツバター配合物。
【請求項14】
さらに甘味料を含む、請求項1に記載のナッツバター配合物。
【請求項15】
甘味料が蔗糖、右旋糖、果糖、蜂蜜、糖蜜、コーンシロップ、ブラウンシュガー、及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載のナッツバター配合物。
【請求項16】
さらに増量剤を含む、請求項1に記載のナッツバター配合物。
【請求項17】
増量剤がポリデキストロース、マルトデキストリン、コーンシロップ固形物、メトセルロース誘導体、及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載のナッツバター配合物。
【請求項18】
塩又は塩代替物、シーズニングソルト、天然ナッツ香味剤、及びその組み合わせからなる群から選択された香味剤をさらに含む、請求項1に記載のナッツバター配合物。
【請求項19】
フィリング及び小片からなる群から選択された少なくとも1つの追加配合をさらに含む、請求項1に記載のナッツバター配合物。
【請求項20】
請求項1のナッツバター配合物を製造するための方法において:
SDA濃縮ナッツ製品を作るための挽いてローストしたナッツとステアリドン酸(SDA)濃縮油とを混合すること;
ナッツバター配合物を製造するためにSDA濃縮ナッツ製品を製粉すること;
ナッツバター配合物を冷却することとを含む方法。
【請求項21】
SDA濃縮油と混合するために挽いてローストしたナッツを形成するために全脂肪ナッツのロースト及び製粉機内でのローストした全脂肪ナッツの破砕をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ローストされたナッツが挽いてローストしたナッツをSDA濃縮油と混合する前に約140°F〜約180°Fの温度で挽かれる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
挽いてローストしたナッツが約140°F〜約180°Fの温度条件の下でSDA濃縮油と混合される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
SDA濃縮油がSDA濃縮大豆油、SDA濃縮キャノーラ油、SDA濃縮エキウム油、及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項20の方法。
【請求項25】
SDA濃縮油がSDA濃縮大豆油である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
SDA濃縮大豆油が約10(重量)%〜約30(重量)%のSDAを含む、請求項25の方法。
【請求項27】
SDA濃縮大豆油が約20(重量)%のSDAを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
挽いてローストしたナッツがピーナッツ、カシュー、アーモンド、クルミ、ペカン、ハシバミ、マカダミアナッツ、ブラジル、ヘーゼルナッツ、ひまわりの種、ゴマ種子、かぼちゃの種、大豆及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
水素化油、半硬化油、大豆油、キャノーラ油、菜種油、綿実油、亜麻仁油、ココナッツ油、クルミ油、又はヤシ油の少なくとも1つと、挽いて、ローストしたナッツ及びSDA濃縮油とを混合することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
甘味料、香味剤、又は増量剤の少なくとも1つを、挽いてローストしたナッツ及びSDA濃縮油とを混合することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
SDA濃縮ナッツ製品が約155°F〜約170°Fの温度で製粉される、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
製粉前にSDA濃縮ナッツ製品を約125°Fの温度に冷却することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
製粉されたSDA濃縮ナッツ製品の脱気をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
さらに冷却されたナッツバター配合物の梱包を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項35】
梱包中にフィリング及び小片からなる群から選択された少なくとも1つの追加配合を冷却されたナッツバター配合物と混合することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
ステアリドン酸(SDA)濃縮油及び90(重量)%未満のナッツ調合物を含むナッツバタースプレッド配合物。
【請求項37】
SDA濃縮油がSDA濃縮大豆油、SDA濃縮キャノーラ油、SDA濃縮エキウム油、及びその組み合わせからなる群から選択される請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項38】
SDA濃縮油がSDA濃縮大豆油である、請求項37に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項39】
SDA濃縮大豆油が約10(重量)%〜約30(重量)%のSDAを含む、請求項38に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項40】
SDA濃縮大豆油が約20(重量)%のSDAを含む、請求項38に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項41】
32グラムのナッツバタースプレッド配合物1回分に約375mgのSDA濃縮大豆油を含む請求項38に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項42】
ナッツ調合物がピーナッツ、カシュー、アーモンド、クルミ、ペカン、ハシバミ、マカダミアナッツ、ブラジル、ヘーゼルナッツ、ひまわりの種、ゴマ種子、かぼちゃの種、大豆及びその組み合わせからなる群から選択される請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項43】
スプレッド配合物がピーナッツバタースプレッド配合物である、請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項44】
ナッツ調合物がナッツ全体、割ったナッツ、挽いたナッツ、ナッツスラリー、ナッツ粉、ナッツ油及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項42に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項45】
ナッツ調合物が約10(重量)%〜約25(重量)%の量のナッツ全体及び割ったナッツの少なくとも1つを含む、請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項46】
水素化油、半硬化油、及びその組み合わせからなる群から選択された油をさらに含む、請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項47】
モノグリセリド及びジグリセリドの少なくとも1つをさらに含む、請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項48】
さらにピーナッツ油を含む、請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項49】
さらに甘味料を含む、請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項50】
甘味料が蔗糖、右旋糖、果糖、蜂蜜、糖蜜、コーンシロップ、ブラウンシュガー、及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項49に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項51】
さらに増量剤を含む、請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項52】
増量剤がポリデキストロース、マルトデキストリン、コーンシロップ固形物、メトセルロース誘導体、及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項51に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項53】
塩又は塩代替物、シーズニングソルト、天然ナッツ香味剤、及びその組み合わせからなる群から選択された香味剤をさらに含む、請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項54】
フィリング及び小片からなる群から選択された少なくとも1つの追加要素をさらに含む、請求項36に記載のナッツバタースプレッド配合物。
【請求項55】
請求項36のナッツバタースプレッド配合物を製造するための方法において:
SDA濃縮ナッツ製品を作るための挽いてローストしたナッツとステアリドン酸(SDA)濃縮油とを混合すること;
ナッツバター配合物を製造するためのSDA濃縮ナッツ製品を製粉すること;
ナッツバター配合物を冷却することとを含む方法。
【請求項56】
SDA濃縮油と混合するために挽いてローストしたナッツを形成するために全脂肪ナッツのロースト及び製粉機内でのローストした全脂肪ナッツの破砕をさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
ローストされたナッツが挽いてローストしたナッツをSDA濃縮油と混合する前に約140°F〜約180°Fの温度で挽かれる、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
挽いてローストしたナッツが約140°F〜約180°Fの温度条件の下でSDA濃縮油と混合される、請求項55の方法。
【請求項59】
SDA濃縮油がSDA濃縮大豆油、SDA濃縮キャノーラ油、SDA濃縮エキウム油、及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項55の方法。
【請求項60】
SDA濃縮油がSDA濃縮大豆油である、請求項59の方法。
【請求項61】
SDA濃縮大豆油が約10(重量)%〜約30(重量)%のSDAを含む、請求項60の方法。
【請求項62】
SDA濃縮大豆油が約20(重量)%のSDAを含む、請求項60の方法。
【請求項63】
挽いてローストしたナッツがピーナッツ、カシュー、アーモンド、クルミ、ペカン、ハシバミ、マカダミアナッツ、ブラジル、ヘーゼルナッツ、ひまわりの種、ゴマ種子、かぼちゃの種、大豆及びその組み合わせからなる群から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項64】
水素化油、半硬化油、大豆油、キャノーラ油、菜種油、綿実油、亜麻仁油、ココナッツ油、クルミ油、又はヤシ油の少なくとも1つと挽いて、ローストしたナッツ及びSDA濃縮油とを混合することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項65】
甘味料、香味剤、又は増量剤の少なくとも1つと、挽いてローストしたナッツ及びSDA濃縮油とを混合することをさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項66】
SDA濃縮ナッツ製品が約155°F〜約170°Fの温度で製粉される、請求項55に記載の方法。
【請求項67】
製粉前にSDA濃縮ナッツ製品を約125°Fの温度に冷却することをさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項68】
製粉されたSDA濃縮ナッツ製品の脱気をさらに含む、請求項55に記載の方法。
【請求項69】
さらに冷却されたナッツバター配合物の梱包を含む、請求項55に記載の方法。
【請求項70】
梱包中にフィリング及び小片からなる群から選択された少なくとも1つの追加要素を冷却されたナッツバター配合物と混合することをさらに含む、請求項69に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−531911(P2012−531911A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−518554(P2012−518554)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/039747
【国際公開番号】WO2011/002658
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(501231613)モンサント テクノロジー エルエルシー (71)
【Fターム(参考)】