説明

オリゴペプチドチロシナーゼインヒビターおよびその使用

ペプチドであり、チロシナーゼの酵素活性を抑制するもの、ならびに皮膚色素沈着の減少におけるそれらの使用のための調剤物および方法、および局所的調剤物における抑制性ペプチドを投与する方法を開示する。開示されるペプチドシークエンスは、KFEKKFEKおよびYRSRKYSSWYを包含する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明者:Basil M. Hantash(バジル エム ハンタッシュ)
関連出願への相互参照
この出願は、2007年6月27日付け出願の米国仮特許出願第60/937392号からの優先権を請求し、それはその全体において参照することにより本明細書に組み込む。
政府支援の記述
なし
シークエンスリスティング、コンピュータープログラム、またはコンパクトディスクへの参照
本出願人は、シークエンスリスティングのペーパーコピーが添付のコンピューターのディスク装置上に見出されるコンピューター読取可能な形態におけるシークエンスリスティングと同一であることを述べる。本出願人はシークエンスリスティングの内容をその全体において参照することにより組み込む。
【0002】
本発明の背景
本発明の分野
本発明はチロシナーゼインヒビターの分野に、およびこの酵素の抑制に関与する方法および処置の組成物に関する。
関連技術
本発明は、新規な生物学的薬剤(biological agents)、特にチロシナーゼの酵素活性を減らすオリゴペプチドに関する。これらの薬剤は、基礎科学調査(investigation)において、診断的適用において研究および開発のツールとして、高色素沈着によって特徴づけられる皮膚状態の治療のための薬用化粧品として、および病態(pathological conditions)でそれらの腫瘍原性(tumorigenicity)を促すためのチロシナーゼ活性による(rely on)ものの処置のための治療学としての用途をもつ。
【背景技術】
【0003】
メラニンは、人体を紫外線の有害な影響から保護することで重要な役割を演じる。メラニンはまた、医科学および美容術における重要な因子でもある。メラニンが皮膚組織において形成され、または合成されることが知られている。メラニンの過剰量は皮膚を暗くし、そしてメラニンの不均一な分布は肝斑およびそばかす(ephelis)を引き起こし、その双方は皮膚障害である。メラニンの生合成経路には、チロシンのL-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(L-DOPA)への触媒作用による水酸化、およびL-DOPAのドパクロムへの転換が関与する。メラニンの合成を抑制する効果的なやり方は、チロシンのヒドロキシル化をブロックする(妨げる)ことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,125,572号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒドロキノン(HQ)が、商業上入手可能な店頭でのスキンライトナー(肌を美しくする)製品において1950年代から、そして、商業上入手可能な医療用品(medical product)として1960年代から用いられている。それがまた、化粧用品で、ヘアダイおよびコーティングフィンガーネイルのための製品においても用いられる。2001年から始まって、HQはEuropean Union(欧州連合)国において、化粧用皮膚ライトニング(skin lightening)調剤物(製剤)における使用のためにはもはや認可されないが、アルブチンを含む製品、HQの類似物、および植物性品(botanicals)で、自然にHQおよびアルブチンを含む植物を含有するものはヨーロッパ諸国において入手可能なままであり続ける。また、Matsubayashi(マツバヤシ)ら、“Pharmaceutical and clinical assessment of hydroquinone ointment prepared by extemporaneous nonsterile compounding(即座の非滅菌の配合によって調製されたヒドロキノン軟膏の製薬上の、および臨床上のアセスメント)”、Biol Pharm Bull. 2002年1月;25(1):92-6を参照。そこで明らかにされるように、皮膚色素脱失薬剤のヒドロキノン(HQ)の軟膏は、アメリカ合衆国およびと欧州連合において商業上入手可能な皮膚ライトニングクリームをイミテート(手本に)することによって日本国において即座の非滅菌配合によって調製されている。しかし、種々の問題が、HQ軟膏の色収差、有効性の比較的大きな変動(variability)、および望ましくない副作用を含んで観察されるが、それらは穏やかであった。HQは約700μMの公にされた(published)IC50をもつ。
【0006】
ヒドロキノンを含む療法は、アジア諸国で非合法化され、標準的なHQ処置をこの状態を患う大多数の人々にとってアクセスし難くする。実際、米国FDAは、それが国内でヒドロキノンの使用を禁止することもありうることを示す通知を発行した。さらにまた、ヒドロキノンは内臓悪性腫瘍(visceral malignancy)と関係しており、そして長期の局所配送は潜在的に有害な治療的なオプションの場合がある。状況で最高のもの(in the best of)のヒドロキノンは、高色素沈着の部分的な緩和だけに導かれる。いくらかの薬用化粧品(cosmeceutical)調剤物は、コウジ酸、アルブチン、およびビタミンCのような他の活性原材料(ingredients)を含んでいるが、したがって有効性は皮膚の適した層に対し活性なものを配送するために化学的な不安定性または不能(inability)に関する問題により、大いに失望させるものであった。より一層高い濃度が利用されているが、患者は皮膚刺激(irritation)により処置を中止することが多い。これは、活性原材料で、レチン(retin)Aおよびヒドロキノンのようなものからの刺激を減らすために、局所ステロイドの追加を導いた。肝斑および他の高色素沈着の障害が、処置するのに数ヶ月から数年かかるので、活性原材料の刺激効果(irritant effect)に抵抗する(combat)ことを要求される強さでの外見上の(on the face)局所ステロイドの使用は局所ステロイドによって誘導される副作用を引き起こすことなく可能なものではない。媒体またはより一層大きな可能性の局所ステロイドが連続的に数週間よりも長い間に顔に用いられるとき、皮膚萎縮、脆弱性およびテレンジエクタシア(telengiectasia)が普通に起こる。この副作用プロファイルは、特に、顔のようなエリアにおいて、受け入れ難い。
【0007】
赤外線レーザーが、いくらか首尾よく使われた。それらは一般に、真皮のようなより一層深い皮膚エリアに色素(顔料)を局所化させる状況にとってより一層効果的である。効果的に表皮を処置するために、切除処置が通常使用される。この療法は、受動体(患者)のための有意な休止期間と関係し、二次的バム(second-degree bum)または患者が感染を受け易いままにされる侵食の創作(creation)を含む。加えて、レーザー治療は、多くの患者に金銭的余裕がない(cannot afford)高価な処置オプションである。極端なケースでは、漂白剤が不成功であったとき、皮膚の色素脱失が選ばれた。膨大な病態は、異常に(aberrantly)皮膚中への色素の堆積に導かれることがある。例えば、ホルモンのアンバランスが顔のおよび四肢の(extremity)高色素沈着を引き起こすことがあることはよく知られており、妊娠の間、またはその後に女性において最も多く観察される。多くの場合の時、この高色素沈着は、美学的に外観を損なうこと(aesthetically disfiguring)になり、自尊心、および社会的状況における困惑に関する問題を導く。肝斑は、多くの場合の時、Fitzpatrick(フィッツパトリック)タイプIV〜VIスキンを有する個体に影響を及ぼす。これは、世界的な人口のかなりの部分を構成する。
【0008】
フィッツパトリックタイプIVからVIスキンまでを有する大多数の個体は、アジアの家系である。
【0009】
フィッツパトリックスキンタイプのスケールによって、日光暴露に対する外観および皮膚反応のテストに基づいて、個体は一般に、以下の通りに分類される。すなわち
タイプI:非常に美しい(Very fair)肌の色合い、ブロンドまたは赤毛、
タイプII:明るい肌の色合い、日焼けするが、通常の日焼け。
タイプIII:白色からオリーブ色までの肌の色合い、時々やけど。
タイプIV:中間のブラウン色の肌の色合い、珍しく(rarely)やけど。
タイプV:濃いブラウン色の肌の色合い、非常に珍しくやけど。
タイプVI:黒色の肌の色合い、非常に濃い目、日焼け抵抗性。
【0010】
肝斑に加えて、中でも、顔のような美学的に敏感な場所の高色素沈着は、にきびまたは酒さのような障害により、炎症の後に起こりうる。これらの状況は、有意な心理的不快にも導かれる。米国では、130億ドルが毎年薬用化粧品に使われる。米国市場でのヒドロキノンの予想された禁止と共に、目下市場に出ている他の非薬理学的薬剤の継続した安定性(ビタミンC)または配送(アルブチン、コウジ酸、その他)の問題と併せて、オリゴペプチドインヒビターは、この満たされてないニーズに対する解法を提供するかもしれない。
【0011】
特定の特許および出版物
Scot(スコット)ら、“Production of cyclic peptides and proteins in vivo(サイクリックペプチドおよびタンパク質の生体内生産)”Proc. Nat. Acad. Sci. Vol. 96, Issue 24, 13638-13643, 11月23日, 1999年は、細菌におけるサイクリックの、8-アミノ酸のチロシナーゼインヒビターシュードステリン(pseudostellarin)Fの生産を明らかにする。
【0012】
Verma(ヴェルマ)ら、“Modulation of agonist binding to human dopamine receptor subtypes by L-prolyl-L-leucyl-glycinamide and a peptidomimetic analog(L-プロリル-L-ロイシル-グリシンアミドおよびペプチド模倣類似物によるヒトドーパミン受容体サブタイプに結合性の作用薬の調節)”J Pharmacol Exp Ther. 2005 Dec;315(3):1228-36. Epub 2005年8月26日は、ヒトのドーパミン(DA)受容体サブタイプと結合性の調節性作用薬において、視床下部のトリペプチドL-プロリル-L-ロイシル-グリシンアミド(PLG)およびその配座固定されたアナログの3(R)-[(2(S)-ピロリジニルカルボニル)アミノ]-2-オキソ-1-ピロリジンアセトアミド(PAOPA)の役割を明らかにする。
【0013】
Yamada(ヤマダ)らへの米国特許US 6,165,982号、2000年12月26日発行、“Use of sericin as antioxidants and tyrosinase inhibitors(酸化防止剤およびチロシナーゼインヒビターとしてのセリシンの使用)”と題するものは、抗酸化剤または活性原材料として酸化防止能力を発揮するのに十分な量のセリシンを含むチロシナーゼ活性のためのインヒビター(抑制剤)として有用な組成物を明らかにする。セリシンは、絹の、高分子量の、自然な、可溶性糖タンパク質構成要素である。セリシンは皮膚および髪のケラチン(角質)と結合し、保護フィルム(薄膜)を形成する。
【0014】
Takeuchi(タケウチ)らへのUS 5,126,327、1992年6月30日発行、“Melanocyte-stimulating hormone inhibitor and external preparation containing the same(メラニン細胞刺激ホルモンインヒビターおよびそれを含有する外用調製物)”と題されたものは、一定のアミノ酸配列、1〜12個の炭素原子をもつアシル基、1〜12個の炭素原子を持つアミノ酸残基、またはそのアシル化された誘導体、2〜40のアミノ酸残基をもつペプチド残基またはそのアシル化された誘導体をもつメラニン細胞刺激ホルモンインヒビターを明らかにする。
【0015】
Arquette(アークエット)へのUS 7,025,957、2006年4月11日発行、“Composition and method to whiten skin(皮膚を白くする組成および方法)”と題するものは、皮膚を白くする薬剤として効果的な組成を明らかにする。組成には、シモンドシン(Simmondsin)が含まれ、それはホホバ(ホホバ油)ミール(Simmondsia chinensis)から抽出される配糖体である。一定の具体例において、組成物はホホバ(Simmondsia chinensis)の抽出物を含む。組成物は皮膚を白くするために効果的な量において調剤物を個体に局所適用することによって投与され、そこで組成物はホホバ抽出物を含む。
【0016】
Fotinos(フォティノス)らへのUS 7,083,781、2006年8月1日発行、“Film forming polymers, methods of use, and devices and applications thereof(フィルム形成ポリマー、使用の方法、および装置ならびにその応用)”と題するものは、対象体の皮膚に活性薬剤を配送するための、ポリマー、活性原材料および溶媒を含む組成物および方法を明らかにし、組成物は、ローリング、拡散、エアゾールによってまたは液滴において、または皮膚と接触するフィルムを形成することが可能である。この技術において既知の化粧用活性薬剤は、皮膚の外観を改善するために、フィルム形成組成物において組み込まれうる。この条件とバランスをとるために典型的に用いられる抗色素沈着過剰(Anti-hyperpigmentation)薬剤は、チロシナーゼインヒビターで、ペプチド混合物および植物抽出物(エキス)、発酵製品のようなもの、および抗酸化剤で、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸誘導体、ヒドロキノンの合成または自然な誘導体およびヒドロキノン前駆体を含めることができる。その発明の好ましい具体例では、抗色素沈着過剰薬剤は、Pentharm Ltd.(ペンターム社)のMelawhite(メラホワイト)、Basel(バーゼル)、Switzerland(スイス国);Coletica(コレチカ社)のBiowhiteTM(バイオホワイト)TM(商品名)、France(仏国);Sederma(セデルマ社)のEtioline(エチオライン)、France;Kelesima(ケルシマ社)のArbossa(アーブロッサ)、Italy(イタリア国);Gattefosse(ガテフォッセ社)のGatuline whitening(ガツラインホワイトニング)、France;Exsymol(エクシモル社)のAscorbocilan(アスコルボシラン)C、Monaco(モナコ);およびAlps Pharm.(アルプスファーマ社)のKojic acid(コウジ酸)、日本国である。
【0017】
Lee(リー)へのUS 7,125,572、2006年10月24日発行、“Tyrosinase inhibitor extract(チロシナーゼインヒビター抽出物)”と題するものは、レモンの皮からのチロシナーゼインヒビター抽出物を明らかにする。チロシナーゼインヒビターは、有利な皮膚ホワイトニング効果を提供する。その発明によると、その発明のチロシナーゼインヒビター抽出物は、280nmで主要な吸光度をもつ。このことは、チロシナーゼインヒビター抽出物がタンパク質またはペプチドを含むことを示す。タンパク質またはペプチドがチロシナーゼを抑制するための主要な活性成分であると考えられる。その抽出物の他の成分は、追加的な効果で、抗加齢(アンチエージング)および抗酸化のようなものを提供することができる。チロシナーゼインヒビター抽出物は、ローション、エマルジョン、クリーム、軟膏、スティック、溶液、パック、およびゲルを含む、種々の形態であるように調製することができる。チロシナーゼインヒビター抽出物は通常、化粧品で、油性物質、湿潤剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、医学的原材料、香水、乳化スタビライザーなどのようなものにおいて用いられる任意の原材料と混ぜられうる。
【0018】
Ramaiah(ラマイハ)へのUS 6,143,723は以下のYR配列に従うペプチドが皮膚色素沈着を、それを減らすよりはむしろ、高めることを、そこに例証するように教示する。
【0019】
種々の他の特許および出版物は、無関係なペプチドを明らかにする。例は、US 5,789,382を参照し、それはブロッキングとしてのEGF受容体のためのブロッキングペプチドのTyrArgSerArgLysTyrSerSerTrpTyr を明らかにする。
【0020】
発明の概略
以下の概略は本発明のすべての特長および局面を含むことを目的とせず、それは、本発明がこの概要において議論するすべての特長および局面を含まなければならないことを意味しない。
【0021】
本発明は、実証する一定のペプチド配列に関し、すなわち
>1配列番号1
KFEKKFEK(KF ペプチド)
>2配列番号2
YRSRKYSSWY(YRペプチド)
である。
【0022】
本発明はさらに本ペプチドを含むキットおよび組成、そしてチロシナーゼの発現に関与する状況の処置の方法に指向し、そこにおいて、本ペプチドはメラニン形成細胞活性に関与する皮膚における状況の処置のために局所に投与される。PLGペプチドが自然なアミノおよびカルボキシの末端(termini)を含むことに注目される。他の調剤物は、体の他の領域におけるチロシナーゼ活性を処置するのに有用であり、そして内部に投与されうる。
【0023】
このように、一定の局面では、本発明は、アミノ酸配列KFEKKFEKと少なくとも63%の同一性をもち、および約10mM未満のチロシナーゼのIC 50をもつ精製されたペプチドに指向する。ペプチドは、効果において、削除を含め、最高3つの位置において置換しうる。ガイダンス(指針)は、これらの変形を行い、ならびにそれらを抑制性能力について試験するために与えられる。若干の場合において、ペプチドは約5mM未満のIC 50、またはそれよりさらに低いものをもつ。若干の場合において、RまたはFで残基を置換することは、本発明の範囲内であり、そこではこれらの残基がチロシナーゼと結合するペプチドを増やすのに役立つ。そのようにして、RまたはFで置換する残基はFでなく、それがそうなら、それはRで置換されるのが好ましい。同様に、YRSRKYSSWYの場合、置換される残基は好ましくはRでない。1および3の間で残基はV、A、L、MまたはIで置換しえ、そこでは、これらの残基が抑制性機能を増加するのに役立つ。加えて、あるものは、KをLまたはRで、FをWまたはYで、EをDにより置換することができ、これらの残基が類似していることが知られているからである。また、2つの隣接した荷電されたアミノ酸をもつことは、若干の具体例においても有利である。一定の局面において、本発明は、アミノ酸のいくつか、またはすべてのためにD-アミノ酸の使用を含む。ペプチドは、調節基(modulating group)に、次に規定するように、パルミチン酸またはエステルとしてリンク(連結)しうる。国際出願の請求項1のペプチドは2つの隣接する荷電アミノ酸をもつ。
【0024】
【表1】

【0025】
一定の局面では、本発明は、皮膚ホワイトニングにおいて有用な局所調剤物を包含する。調剤物は、皮膚科学的に許容可能な原材料から作られる。調剤物は標準的なキャリヤー(担体)物質を、ならびに一定の場合において、第2の処理薬剤および、YRSRKYSSWYおよびKFEKKFEKからなる群より選ばれる配列と本質的に同一なペプチドを含みうる。これらのペプチドは上述のように変形しうる。一定の具体例において、調製物は、可能性のあるオーバーザカウンター(店頭で)の使用のために、または処方せんの使用のために適合され(adapted)うる。オーバーザカウンターの使用について、あるものは、ある調剤物を用いることができ、そこでは、ペプチドが約2倍のIC 50濃度よりも少ない濃度にある。製薬上の使用のために、あるものはペプチドが2から100倍までのIC 50濃度の濃度でありうるものでよい。
【0026】
本ペプチドはHQに対して優れた一定の局面にあり、そしてHQを実質含まないように調剤しうる。一定の調剤において、異なるペプチドを組み合わせることができ、異なるシークエンス、異なる付着基、およびその他と共にである。キャリヤーは、以下の、すなわち、水和性(hydrating)製剤、抗酸化調剤物、およびフリーラジカルスカベンジャー(遊離基捕捉剤)から選ばれる物質を含んでよい。
【0027】
一定の調剤物において、ペプチドはリポソームにおいて調剤されることによって改善された皮膚吸収(skin uptake)をもつ。
【0028】
一定の局面では、本発明は皮膚処置の方法を包含し、皮膚のライトニング(ホワイトニング)に関与する。この局面には、皮膚に、次の、すなわち、(a) KFEKKFEKまたは(b) YRSRKYSSWYの1種と本質同一のペプチドを投与することを含む皮膚の処置のための方法が含まれ、そこでは、ペプチドの前記投与は皮膚色素沈着を明るくするのに十分にチロシナーゼを抑制する。投与することには、上記に参照するように、局所的調製物を投与することを含むことができ、そしてさらに二次的処置の生成物を含みうる。
【0029】
処置の本方法はまた、マイクロ皮膚切除(microdermabrasion)プロセスからの更なる援助を用いる皮膚ホワイトニングを遂行することを含む。投与することは、マイクロ皮膚切除プロセスと同時であってよい。投与することは放射線プロセスと併せられる。そのようなプロセスは、皮膚透過性を増やすのに用いうる。さらに、投与することは、剥離装置(abrading device)(、)マイクロニードル(極微針)、エレクトロポレーション(電気穿孔)装置、またはイオントフォレーシス装置(iontophoretic device)によって遂行される物理的処置と併わせられうる。
【0030】
一定の局面では、本発明には、皮膚ホワイトニング手順を遂行するためのキットが包含され、それは、約10mM未満のチロシナーゼのIC 50をもつ精製されたペプチド、および次の、すなわち、どちらかのYRペプチドまたはKFのペプチドの配列をもつもの、およびそれと少なくとも63%同一である配列をもつペプチド;皮膚科学的に許容可能なキャリヤー;二次的な処置生成物;および使用の指示書からなる群より選ばれるもの含む。キットは、消費者または医者向けでありえ、そしてペプチドおよびキャリヤーのプレコンビネーション(予備的組合せ)で、調剤物を適用する準備がされるようなものが含まれ、またはそれは、ペプチドとキャリヤーとの混合が必要であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ペプチドKF、およびコントロールペプチドKFEFKFEF、(配列番号4)のインビトロ(試験管内)の効果を示すグラフであり、前者のペプチドだけが抑制性の活性をもつことが示される。
【図2】YRペプチド、コントロール、VLLK(配列番号3)およびポリ-L乳酸の活性のグラフであり、YRペプチドだけがチロシナーゼ上の抑制活性をもつことが示される。
【図3】コントロール、ヒドロキノン(HQ)およびYRペプチド、指定された(designated)“P4”の繁殖速度を示す棒グラフである。濃度は各ペプチドの隣に与える。YRペプチドがメラニン形成細胞の細胞の繁殖を抑制しないことが見られる。
【図4】HQおよびYRペプチド、指定された“P4”の細胞とのインキュベーション後のメラニン含量を比較する棒グラフである。濃度は各ペプチドの隣に与える。YRペプチドがヒトメラニン形成細胞においてメラニン合成を抑制しないことが見られる。
【図5】HQおよびYRペプチド、指定された“P4”とのインキュベーション後のチロシナーゼ活性を示す棒グラフである。濃度は各ペプチドの隣に与える。YRペプチドによるチロシナーゼ活性の抑制が、HQのものと比較しうる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
好適例の詳細な説明
概説
約6から12までのアミノ酸の間の短いペプチドが、明らかにされ、およびチロシナーゼに対する抑制性活性を持つことが示される。短いシークエンスのペプチドは自然に発生するアミノ酸を用いて一定の具体例において合成的に設計され、そしてしたがって、生物学的に安全である。それらは、多数の機構を通してメラニン形成細胞に配送することができ、制限されないが、リポソームが含まれ、適した皮膚層への接近が許される。これらのペプチドは酸化の問題で悩まされず、最も普通に用いられる原材料のビタミンCのようでない。これらのペプチドは肝がんを引き起こさず、ヒドロキノンのようでなく、そしてそれらは自然に発生するアミノ酸から導き出されるので、チロシナーゼの不活化により細胞内にて簡単に分解する。それらは、メラニン合成を抑制することによって皮膚のライトニングまたはホワイトニングを引き起こす。
【0033】
定義
他に定められない限り、本明細書で用いるすべての技術的な、および科学的な用語は、この発明が属する技術において通常の知識を有する者によって普通に理解されるような同じ意味をもつ。本明細書に記載するものと似た、または等価な任意の方法および物質も本発明の実践または試験において用いることができるが、好適な方法および物質が記載される。一般に、関連して利用される命名法、および技術、細胞および分子生物学および化学はよく知られるものであり、そしてこの技術において普通に用いられる。一定の実験的な技術は、特に規定されないが、一般にこの技術においてよく知られた慣習的な方法によって、そして種々の一般的な、および本明細書を通して引用し、そして議論されるより一層多くの特定の参考文献において記載されているように実行される。明快さの目的のために、以下の用語を、次に規定する。
【0034】
用語“チロシナーゼ”は、本明細書においてモノフェノールモノオキシゲナーゼ(EC 1.14.18.1;CAS番号:9002-10-2)に言及するために用い、酵素はフェノール類(チロシンのようなもの)の酸化に触媒作用を及ぼす。それは、植物および酸化によってチロシンからメラニンおよび他の色素の生産に触媒作用を及ぼす動物性組織において存在する銅含有酵素である。すべてのチロシナーゼは、それらの活性部位内で共通して二核性タイプ3銅センター(中心)をもつ。ここで、2つの銅原子は各々が3つのヒスチジン残基に合わせられる(coordinated with)。Matoba(マトバ)ら、“Crystallographic evidence that the dinuclear copper center of tyrosinase is flexible during catalysis(チロシナーゼの複核銅中心が触媒作用の間に柔軟であるという結晶学的な証拠)”、J Biol Chem. 2006年3月31日; 281 (13):8981-90。Epub 2006年1月25日は、チロシナーゼ触媒中心の3次元モデルを明らかにする。
【0035】
用語“ペプチド”は、本明細書において、その慣習的な意味内容、すなわち、モノマーがアミノ酸であり、そしてアミド結合を通して互いに結び付けられるポリマー(重合体)であり、代わりにポリペプチドとして称される。アミノ酸がαアミノ酸であるとき、L-光学異性体またはD-光学異性体のいずれも用いうる。その上、例えば、自然でないアミノ酸、β-アラニン、フェニルグリシンおよびホモアルギニンはまた、含まれることが意図される。本ペプチドは、2またはそれよりも長いアミノ酸モノマー長であり、そして最高で20個のアミノ酸モノマー長さでありうる。アミノ酸の標準的省略形が用いられる(以下に記載するようなものである)。
【0036】
用語“キャリヤー”は、普通に、治療上のチロシナーゼインヒビターの安定性、無菌性およびデリバビリティー(deliverability、配送可能性)を高めるのに用いられる製薬上の化合物の調剤物上に用いられる化合物に言及する。ペプチドデリバリーシステム(配送系)が溶液または懸濁物として調剤されるとき、デリバリーシステムは許容可能なキャリヤー、好ましくは水性キャリヤーにおいてである。多様な水性キャリヤー、例は、水、緩衝化された水、0.8%のサリン(塩水)、0.3%のグリシン、ヒアルロン酸などが用いられうる。これらの組成物は慣習的な、よく知られた滅菌技術によって殺菌されることができ、または滅菌ろ過されうる。結果として生じる水性溶液はそのまま使用のために包装されることができ、または凍結乾燥され、凍結乾燥された調製物は投与前に滅菌溶液と組合わされる。それらの組成物は、およその生理学的条件に必要な製薬上許容可能な補助的な物質で、pH調整剤および緩衝化薬剤、浸透圧調整薬剤、湿潤剤、などのようなもので、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、その他のようなものを含みうる。
【0037】
用語“局所的”または“局所的に”は。本明細書において、スポット(点、場所)に言及するようなその慣習的な意味内容において用い、それは物体の任意の部分において、またはその上にあることができ、制限されないが、表皮、他の任意の真皮、または他の任意の体組織をも含む。局所的投与または適用は、ペプチドと組織で、皮膚または膜のようなものとの直接的な接触を意味し、それにはメラニン生成細胞が含まれる。本発明の局所的薬剤を皮膚または粘膜に適用する方法には、“非定形(non-finite)”または液体または半液体のキャリヤーで、ゲル、ローション、エマルジョン、クリーム、プラスター(硬膏剤)または軟膏、または“有限の(finite)”キャリヤー、非拡散(non-spreading)物質で、それらの形態が保持され、例は、パッチ、ドレッシングおよびバンデージ(包帯)が含まれる。活性ペプチドの有限および非定形の形態のための溶媒は、非毒性の、製薬上許容可能な物質、好ましくは液体であり、それはシステムの粘着特性または可溶性にあまり否定的な影響を及ぼさないものである。溶媒は、好ましくは、多水酸基(polyhydric)アルコールまたは多水酸基アルコールの組合せである。用語の多水酸基アルコールは任意の有機多価(polyalcohol)アルコールを意味し、およびジプロピレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリプロピレングリコール、ソルビトール、エチレングリコール、などが含まれる。他の適切な溶媒には、脂肪酸で、オレイン酸、リノール酸、カプリン酸、などのようなもの、ならびに脂肪エステルまたはアルコールが含まれる。さらに適切な溶媒には、ペプチドに基づく組成物を溶解するために真皮または経皮的組成物において普通に使われる他の非毒性の、不揮発性の溶媒が含まれる。
【0038】
2つのポリペプチド配列の前後関係において、用語“シークエンス同一性”は2つのシークエンスにおける残基に言及し、最大の一致のために整列するとき、それは同じである。比較のためのシークエンスの最適アラインメント(配列決定)は、例は、Smith(スミス)およびWaterman(ウォーターマン)Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)の局所的ホモロジーアルゴリズムによって、Needleman(ニードルマン)およびWunsch(ブンシュ)J. Mol. Biol. 48:443 (1970)のホモロジーアラインメントアルゴリズムによって、Pearson(ピアソン)およびLipman(リップマン)Proc. Natl. Acad. Sci. (U.S.A.) 85: 2444 (1988)の類似法のための検索によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された履行[GAP, BESTFIT, FASTA, およびTFASTA、Wisconsin Genetics Software Package(ウィスコンシン・ジェネティック・ソフトウェア・パッケージ), Genetics Computer Group(ジェネティック・コンピューター・グループ), 575 Science Dr.(サイエンス・ドクター), Madison(マディソン), Wis.(ウィスコンシン州)]によって、または、点検(inspection)によって行うことができる。シークエンス同一性は、参照配列と同一の残基に基づいて算出されうる。例えば、KFEKKFEKについて、8つの残基をもち、あるものは、5つの同じ残基をもち、5/8まらは(すなわち)62.5(63%)のシークエンス同一性をもちうる。ペプチドの制限された長さのため、変化が本発明の教示によってなされるとき、少なくとも63%の同一性は“基本的に同一”と考えられる。あるものは、6/8(75%)または7/8(88%)のシークエンス同一性をもちうる。さらなる例として、残基が排除されることがあり、E(グルタミン酸塩)のように、V、L、MまたはIに変えられ、そしてあるものは7/8または88%の同一性をもつことになり、そしてもつ。YRペプチドの方法または調剤の場合、あるものは3/10残基を、70%同一性のために修飾しうる。
【0039】
本明細書で用いられるような用語“実質同一”は、ポリペプチド配列の特徴を表示し、そこでは、完全なペプチド長の比較ウインドウにわたり、参照配列と比較して、ポリペプチドが少なくとも60パーセントのシークエンス同一性、好ましくは少なくとも85パーセントの同一性、およびしばしば90から95パーセントまでのシークエンス同一性、より一層通常、少なくとも99パーセントのシークエンス同一性をもつシークエンスを含む。実質同一はさらに、アミノ酸の保存的な置換を包含する。用語“本質的に同一”は、本発明での8または10個の残基ペプチドの前後関係において、本発明の教示、特に置換を作る際のガイダンスの提供、および上記規定により、3つのアミノ酸置換が許されることを意味する。
【0040】
保存的アミノ酸置換は、それらの側鎖で関係があるアミノ酸のファミリー内で起こるものである。遺伝的にコード化されたアミノ酸は一般に、数ファミリーに分けられ、すなわち、(1)酸性=アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩;(2)塩基性=リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性=アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性=グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンである。より一層好ましいファミリーは次のもの、すなわち、セリンおよびトレオニンは、脂肪族化合物ヒドロキシファミリーであり;アスパラギンおよびグルタミンは、アミド含有ファミリーであり;アラニン、バリン、ロイシンおよびイソロイシンは、脂肪族のファミリーであり;フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、芳香族ファミリーであり、およびシステインおよびメチオニンは、イオウ含有側鎖ファミリーとしてである。例えば、イソロイシンまたはバリンによるロイシンの、グルタミン酸塩によるアスパラギン酸塩の、セリンによるトレオニンの分離された置き換えが予測されることは合理的であり、または構造的に関連したアミノ酸によるアミノ酸の類似した置き換えが、特に置き換えがフレームワーク部位内のアミノ酸を包含しない場合、結果として生じる分子の結合または特性上に大きな影響をもたない。好適な保存的アミノ酸置換基は、次の、すなわち、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リジン-アルギニン、アラニン-バリン、グルタミン酸-アスパラギン酸、システイン-メチオニン、およびアスパラギン-グルタミンである。
【0041】
アミノ酸置換を作ることにおける更なるガイダンスとして、あるものは所定の残基をR、またはFに、結合特性を増すために変えることによって置換され、またはそれを、抑制特性を増すためにV、A、L、MまたはIに変えることができる。あるものは、ペプチドの1部分を、チロシナーゼ酵素への結合に対し、および別の1部分を抑制の方に指向するかもしれない。一般に、FまたはRを変えること、およびKまたはEを、ならびにYまたはWを変えることがないのが好ましい。Yへの変化は、全体的な配列の前後関係で考慮するべきであり、それはtがチロシナーゼのための自然な基質(サブストレート)である残基だからである。若干の変化が実際にチロシナーゼ活性の増加を招きうる点に注目すべきである。更なるガイダンスについて、Schurink(シューリンク)ら、“Novel peptides with tyrosinase inhibitory activity(チロシナーゼ阻害活性を有する新しいペプチド)”、Peptides 28:485:495(2007年1月)参照。
【0042】
本明細書において用いるような用語“ケラチン組織”は、哺乳類(例は、ヒト、イヌ、ネコ、その他)の最も外側の保護カバーとして配置されるケラチン含有層に言及し、それには、制限されないが、皮膚、粘膜、唇、髪、足指爪、指の爪、クチクラ(角質)、蹄、その他が含まれる。
【0043】
本明細書において用いるように用語“局所適用”は、ケラチン組織の表面上に本発明の組成物を適用し、または拡げることを意味する。
【0044】
本明細書において用いるように用語“皮膚科学的に許容可能な”は、そのように記載された組成物またはその成分が哺乳類ケラチン組織と接触して用いるのに適切であり、過度な毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応、などを伴わないことを意味する。
【0045】
本明細書において用いるような用語“注入可能な調剤物”は、ヒトおよび/または動物中への注入(注射)のために適切な調剤物を意味し、そこでは、注入は皮内、皮下、筋肉内または静脈内である。これらの調剤物は無菌であり、発熱物質を含まず、そして生理的に許容可能なpHにある。
【0046】
本明細書において用いるような用語“放射線プロセス”は、対象体の皮膚または内部組織に適用されるような処置プロセスを意味し、そして美容上、または治療上の目的のために用いられる。この用語には、電磁放射装置の使用が含まれ、レーザー、LEDs、高周波、その他のようなものである。この用語にはまた、超音波装置の使用が含まれる。これらの装置のすべては、本薬剤を用いる皮膚ホワイトニングが遂行されうるプロセスにおいて用いられる。これらのプロセスの若干は角質層透過性を変動させ、およびこのペプチドを投与するプロセスにおいて有利に有用である。
【0047】
この技術において理解されるように、用語“IC50”は、インビトロ(試験管内)アッセイにおいて行われるように、チロシナーゼインヒビターペプチドの濃度がチロシナーゼ活性の50%抑制を生じさせることが要求される手段を意味し;一定の濃度“未満”の値には、IC 50値がより一層低い濃度にて含まれる。用語約には、プラスまたはマイナス10%の変動(バリエーション)が包含されえ、そしてバリエーションが異なる試薬、実験的な状況、その他から招かれる。精製されたチロシナーゼ製剤[例は、キノコ(マッシュルーム)チロシナーゼ]を使用するIC50のインビトロでの決定は、臨床的用量を定めるのに有用である。
一般的方法および物質
【0048】
本発明での物質および一般的意味内容における方法は、ペプチドであり、それはチロシナーゼ活性を抑制し、そしてヒトへの適用のために調剤されうる。それらは従って、メラニンの過剰生産に関与する条件の処置または寛解(amelioration)に有用である。
【0049】
ペプチド
本ペプチドには、細胞内でのチロシナーゼ活性を抑制する能力を保持するペプチド類似物またはペプチド誘導体またはペプチド模倣薬(peptidomimetics)が含まれる。例えば、本発明の抑制性ペプチド(inhibitory peptide)チロシナーゼモジュレーター(修飾因子)は、その安定性、生物学的利用能、可溶性、その他を増すために修飾されうる。その用語“ペプチド類似物”、“ペプチド誘導体”、および“ペプチド模倣薬”が本明細書において用いられ、あるペプチドの化学構造を模倣する分子が含まれ、そしてペプチドの機能的特性を保持する。ペプチドの類似物を設計するアプローチは、この技術において知られている。例えば、Farmer(ファーマー)、Drug Design[E. J. Ariens(アリエンス)、ed.(編)]、Academic Press(アカデミック・プレス社), New York(ニューヨーク), 1980年, vol. 10, pp.119-143; Ball.(ボール)J. B.およびAlewood(アレウッド), P. F. (1990) J. Mol. Recognition 3:55; Morgan(モーガン), B. A.およびGainor(ゲイナー), J. A. (1989) Ann. Rep. Med. Chem. 24:243;およびFreidinger(フレイディンガー), R. M. (1989) Trends Pharmacol. Sci. 10:270を参照。ペプチド類似物、誘導体および模倣薬の例には、1種またはそれよりも多くのベンゾジアゼピン分子で置換されたペプチド[例は、James(ジェームズ)、G. L.ら、(1993) Science 260:1937-1942]、メチル化されたアミド連結を有するペプチドおよび“レトロ-インバーソ(inverso)”ペプチド[Sisto(シスト)による米国特許第4,522,752号を参照]を有するペプチドが含まれる。ペプチド類似物、ペプチド誘導体およびペプチド模倣薬は更に詳細に次に記載する。
【0050】
本発明のペプチドは、自然に発生するアミノ酸の任意のものから、または非自然に(non-naturally)発生するアミノ酸からの残基を包含しうる。これらの自然に発生するもの、および非自然に発生するアミノ酸は、DまたはL配置であってよい。用語DおよびLは、それらがこの技術において用いられることが知られているように本明細書において用いる。本発明のペプチドには、単一のアミノ酸およびアミノ酸の短いスパン(例は、1-10)が含まれる。加えて、本発明の修飾されたペプチドはまた、モノマーまたはダイマー(二量体)を包含する。
【0051】
【表2】

【0052】
上述のように、示された残基は自然に発生するLアミノ酸、またはその修飾でありえ、つまり、化学的修飾、光学異性体、または修飾基(modifying group)への連結である。特定の修飾が特定の修飾はペプチド内でなされ、それはチロシナーゼの活性を特異的に抑制する本ペプチドの能力を維持しうると考えられ、それによってそれは色素合成のために経路における最初の2つの工程に触媒作用を及ぼし:ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA)へのアミノ酸チロシンのヒドロキシル化および/またはドーパキノンへのその後の酸化である。
【0053】
特定の修飾が、ペプチドに若干の追加的な望ましい特性を与えるために、特定の配列においてなされうることも考えられる。一定のアミノ酸は、ペプチド活性の相当な損失なしに、タンパク質構造における他のアミノ酸のために置換されうる。それが、そのペプチドの生物学的な機能的活性を規定するペプチドの相互作用能力および性質であるので、一定のアミノ酸配列の置換は短いペプチド配列においてさえ作成することができ、そしてそれでも似た特性を有するペプチドが得られる。したがって、本発明者によって、種々の変化が生物学的有用性または活性の相当な損失なしでこのチロシナーゼインヒビターの配列においてなされえ、そしておそらく望ましい活性を高めうると考えられる。
【0054】
例えば、チロシナーゼ抑制性特性を有するペプチド構築物を設計する際に、置換が用いられ、それは分子の1種またはそれよりも多くの特性を調節する。そのような変形は典型的に、ペプチド内で1種またはそれよりも多くの部位にて別のもののために1種のアミノ酸の交換が含まれる。例えば、一定のアミノ酸は、構造の相互作用の結合能力を高めるために、ペプチド構造において他のアミノ酸のために置換されうる。あるものはまた、L-アミノ酸のためにD-を置換し、また一定の側鎖の共有結合修飾を含みうる。
【0055】
そのような変化をもたらす際に、アミノ酸のヒドロパシー(hydropathic)の指標(インデックス)が考慮されうる。
【0056】
タンパク質上に相互作用の生物学的機能を与えることでのヒドロパシーのアミノ酸指標の重要性は、一般に、この技術において理解される[Kyte(カイト)およびDoolittle(ドゥーリトル)(1982)]。アミノ酸の相対的なヒドロパシーの特質が結果として生じるタンパク質の二次構造に寄与することが認められ、それはタンパク質と、他の分子、例えば、酵素、基質、受容体、DNA、抗体、抗原、などとの相互作用を順番に定める。
【0057】
各アミノ酸はそれらの疎水性および電荷特徴(KyteおよびDoolittle, 1982)に基づいてヒドロパシー指標を割り当てられ、これらは、次の通りである、すなわち、イソロイシン(+4.5);バリン(+4.2);ロイシン(+3.8);フェニルアラニン(+2.8);システイン/シスチン(+2.5);メチオニン(+1.9);アラニン(+1.8);グリシン(-0.4);トレオニン(-0.7);セリン(-0.8);トリプトファン(-0.9);チロシン(-1.3);プロリン(-1.6);ヒスチジン(-3.2);グルタミン酸塩(-3.5);グルタミン(-3.5);アスパラギン酸塩(-3.5);アスパラギン(-3.5);リジン(-3.9);そして、アルギニン(-4.5)。
【0058】
修飾において、目下実証されたシークエンス、一定のアミノ酸は、同様なヒドロパシー指標またはスコア(得点)をもつ他のアミノ酸によって置換され、およびさらに似た生物活性を有するタンパク質を招き、すなわち、まだ生物学的機能的に等しいタンパク質が得られる。そのような変化をもたらす際に、ヒドロパシー指標が±2内であるアミノ酸の置換が好適であり、±1内であるものは特に好まれ、そして±0.5内のものがさらに特に好ましい。
【0059】
似たアミノ酸の置換はまた、親水性に基づいて有効にされることがある。U.S. Pat. No. 4,554,101は、参照により本明細書に組み込み、タンパク質の最大の局所平均(greatest local average)親水性が、その隣接するアミノ酸の親水性によって支配され(governed)、タンパク質の生物学的特性と関連がある。U.S. Pat. No. 4,554,101に詳述されるように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられる、すなわち、アルギニン(+3.0); リジン(+3.0); アスパラギン酸塩(+3.0 ±1); グルタミン酸塩(+3.0 ±1); セリン(+0.3); アスパラギン (+0.2); グルタミン (+0.2); グリシン(0); トレオニン (-0.4); プロリン (-0.5 ±1); アラニン (-0.5); ヒスチジン (-0.5); システイン (-1.0); メチオニン (-1.3); バリン (-1.5); ロイシン (-1.8); イソロイシン (-1.8); チロシン (-2.3); フェニルアラニン (-2.5); トリプトファン (-3.4)。
【0060】
実証されたシークエンスの修飾において、アミノ酸置換はまた、一般的にアミノ酸側鎖置換の相対的な類似性に基づいてよく、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズ(大きさ)、などであるが、それでも、ペプチドの特定の特性をハイライトさせられるかもしれない。考慮される前述の種々の特徴を取得する模範的な置換は、この技術における熟練者によく知られ、そして次のものが含まれる、すなわち、アルギニンおよびリジンであり、それは、ヒスチジンと共に生理的pHで塩基性である;グルタミン酸塩およびアスパラギン酸塩(それらは酸性である);セリンおよびトレオニン;グルタミンおよびアスパラギン;そして、バリン、ロイシンおよびイソロイシンである。
【0061】
自然に生じるアミノ酸側鎖は下で例示され、そこでは、*は化合物のバックボーンに対する付着点を表す、すなわち
【化1】

【0062】
アミノ基がアシル化、アルキル化またはアリール化されうるように、本発明のペプチドのアミノ酸を修飾することができる。ベンジル基はハロゲン化、ニトロシル化(nitrosylated)、アルキル化、スルホン化またはアシル化されうる。
【0063】
種々の化学的に修飾されたアミノ酸は、このペプチドに組み込まれうる。これらの例には、次のものが含まれる、すなわち
アセチル化
N-アセチル-L-アラニン、N-アセチル-L-アルギニン;N-アセチル-L-アスパラギン;N-アセチル-L-アスパラギン酸; N-アセチル-L-システイン;N-アセチル-L-グルタミン;N-アセチル-L-グルタミン酸;N-アセチルグリシン;N-アセチル-L-ヒスチジン;N-アセチル-L-イソロイシン;N-アセチル-L-ロイシン;N2-アセチル-L-リジン;N6-アセチル-L-リジン;N-アセチル-L-メチオニン;N-アセチル-L-フェニルアラニン;N-アセチル-L-プロリン;N-アセチル-L-セリン;N-アセチル-L-トレオニン;N-アセチル-L-トリプトファン;N-アセチル-L-チロシン;N-アセチル-L-バリン。
アミド化
L-アラニンアミド、L-アルギニンアミド
ホルミル化
N-ホルミル-L-メチオニン
水酸化
4-ヒドロキシ-L-プロリン
脂質で修飾された(LIPID MODIFIED)
S-ファルネシル-L-システイン、S-ゲラニルゲラニル-L-システイン、N-パルミトイル-L-システイン、S-パルミトイル-L-システイン、N-ミリストイル-グリシン、N6-ミリストイル-L-リジン
【0064】
メチル化
Nメチル-L-アラニン、N,N,N-トリメチル-L-アラニン、オメガ-N,オメガ-N-ジメチル-L-アルギニン(、)L-ベータ-メチルチオアスパラギン酸、N5-メチル-L-グルタミン、L-グルタミン酸5-メチルエステル(、)3'-メチル-L-ヒスチジン、N6-メチル-L-リジン、N6,N6-ジメチル-L-リジン、N6,N6,N6-トリメチル-L-リジン、N-メチル-L-メチオニン、N-メチル-L-フェニルアラニン
リン酸化
オメガ-N-ホスホ-L-アルギニン、Lアスパラギン酸4-無水リン酸、S-ホスホ-L-システイン、1'-ホスホ-L-ヒスチジン、3'-ホスホ-L-ヒスチジン、O-ホスホ-L-セリン、O-ホスホ-L-トレオニン、O4'-ホスホ-L-チロシン
その他
L-セレノシステイン、L-セレノメチオニン、L-3-オキソアラニン、2-ピロリドン-5-カルボン酸、L-グルタミル5-グリセリルホスホリルエタノールアミン、2'-[3-カルボキサミド-3-トリメチルアンモニオ]プロピル]-L-ヒスチジン(ジフタミド)、N6-ビオチニル-L-リジン、N6-(4-アミノ-2-ヒドロキシブチル)-L-リジン(ハイプシン)、N6-レチナール-L-リジン
【0065】
このペプチドにおいて含まれるアミノ酸への他の修飾はこの技術において知られ、そして記述され、例えば、Kuhner(キューナー)らにおいて、US 6,858,581で、それは化学的に修飾された抗微生物性ペプチドを記述する。
【0066】
調節基(Modulating Group)
上記の式をもつ本発明のチロシナーゼモジュレータにおいて、改善された細胞取り込みまたは有効性または調剤のための調節基は、直接または間接にチロシナーゼインヒビターのペプチドに付着しうる。例えば、調節基は共有結合(covalent coupling)によってペプチドに直接付着することができ、または調節基は安定した非共有結合的な会合(non-covalent association)によって間接的に付着することができる。本発明の1種の具体例において、調節基は、モジュレータのペプチドのアミノ末端に付着する。あるいはまた、本発明の別の具体例において、調節基は、モジュレータのペプチドのカルボキシ末端に付着される。
【0067】
さらに別の具体例において、調節基は、化合物(例は、リジル残基(群)のエプシロンアミノ基を通して、アスパラギン酸残基(群)またはグルタミン酸残基(群)のカルボキシル基を通して、チロシル残基(群)、セリン残基(群)またはトレオニン残基(群)のヒドロキシ基またはアミノ酸側鎖の上の他の適切な反応性基を通してのもの)のペプチドの少なくとも1種のアミノ酸残基の側鎖に付着される。そのような調節基を調製することでの更なるガイダンスは、US Pat. 5,854,204において見出される。
【0068】
このペプチドは、コウジ酸(C6H6O4;5-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-4-ピロン)またはグネトール(gnetol)のような他のチロシナーゼインヒビターに共役されうる(Biosci Biotechnol Biochem. 2003年3月;67(3):663-5参照)。
【0069】
細胞透過性を高めるための別の調節基はアミノ酸配列であり、それはメラニン形成細胞によって認識され、そして取り上げられる。D'Ursi(ディウルシ)ら、“A Membrane-Permeable Peptide Containing the Last 21 Residues of the GS Carboxyl Terminus Inhibits GS-Coupled Receptor Signaling in Intact Cells: Correlations between Peptide Structure and Biological Activity(GSカルボキシル末端の最後の21の残基を含む膜透過性ペプチドは、無傷の細胞におけるGS結合受容体シグナリングを抑制する:ペプチド構造および生物学的活性の間の相関関係)”、Mol Pharmacol 69:727-736、2006年は、共有結合的に付着されたカーゴ(荷物)で、細胞膜を横切る内在性タンパク質のペプチドまたはポリペプチド断片のようなものを輸送することができる細胞透過性ペプチドを明らかにする。著者はそれらのペプチドを16-残基の断片のペネトラチンに接合させ、そしてそのような断片はここで明らかにされるペプチドに接合しうる。
【0070】
このように、用語の調節基は、その活性に影響を及ぼすためにペプチドに連結される小さな有機分子を意味し、それは、その安定性の取り込みまたはその他のものを改善することによって、または追加的なチロシナーゼ抑制を提供することによってのいずれでものものである。
【0071】
好ましい具体例において、修飾基(群)(modifying group(s))は、サイクリック(環式)、複素環式、または多環式基を包含する。本明細書において用いる用語“環式基”は、約3から10まで、好ましくは約4から8まで、そしてより一層好ましくは約5から7までの炭素原子をもつ環式飽和の、または不飽和の(すなわち、芳香族の)基を包含することを意図する。模範的な環式基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロオクチルが含まれる。環式基は未置換または1種またはそれよりも多くのリング位置にて置換されてよい。このように、環式基は、例えば、次のもので置換されてよい、すなわち、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、複素環、ヒドロキシル基、アミノ、ニトロ、チオール(、)アミン、イミン、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、チオエーテル、スルホニル、スルホン酸塩、セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、--CF3、--CN、またはその他のもの。
【0072】
別の好適例において、調節基は、皮膚を通して取り込みを増やすために、ペプチドに結合される脂肪酸を含む。適切な脂肪酸(それは、対応するエステルを含むことを意味する)には、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、乳酸ラウリルおよび乳酸セチルからなる群より選ばれる脂肪酸エステル皮膚軟化薬(緩和剤)が含まれる。
【0073】
用語“複素環式基”は、約3から10まで、好ましくは約4から8まで、およびより一層好ましくは約5から7までの、炭素原子をもち、リング構造が約1から4までのヘテロ原子を含む、環式の飽和した、または不飽和の(すなわち、芳香族の)基を含むことが意図される。複素環式基には、ピロリジン、オキソラン、チオラン(thiolane)、イミダゾール、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンが含まれる。複素環式リングは、1種またはそれよりも多くの位置で置換され、そのような置換基として、例えば、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、他の複素環、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、チオール、アミン、イミン、アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、チオエーテル、スルホニル、セレノエーテル、ケトン、アルデヒド、エステル、−CF3−CN、またはその他のものがある。複素環はまた、他の環式基に対し架橋され、または融合することがある。
【0074】
調剤物
本発明のペプチドは、皮膚科学的に許容可能なキャリヤーを含む局所的組成物中に調剤されるのが好ましい。語句“皮膚科学的に許容可能なキャリヤー”は、本明細書で用いるように、キャリヤーが、ケラチン組織への局所適用に適切であり、そして良好な美的特性をもち、本発明および他の任意の成分の活性と適合性であり、そして少しの厄介な安全または毒性懸念も引き起こさないことを意味する。キャリヤーの安全で、また有効な量は、組成物の約50%から約99.99%まで、好ましくは約80%から約99.9%まで、より一層好ましくは約90%から約98%まで、そしてさらにより一層好ましくは約90%から約95%までである。
【0075】
キャリヤーは、多種多様な形態であることができる。例えば、エマルジョンキャリヤーは、制限されないが、オイルインウォーター(水中油型)、ウォーターインオイル(油中水型)、ウオーターインオイルインウォーター、およびオイルインウォーターインシリコーンのエマルジョンが含まれ、ここで有用である。
【0076】
好適なキャリヤーは、オイルインウォーターエマルジョン、ウォーターインオイルエマルジョン、およびウォーターインシリコーンエマルジョンのようなエマルジョンを包含する。
【0077】
本発明に従うエマルジョンは、一般に上記したような溶液および脂質または油を包含する。脂質および油は、動物、植物、または石油から誘導しえ、自然または合成的(すなわち、人工のもの)であってよい。好適なエマルジョンはまた、湿潤剤、グリセリンのようなものを包含する。エマルジョンは好ましくは、キャリヤーの重さに基づいて、乳化剤のおよそ0.01%からおよそ10%まで、より一層好ましくは、およそ0.1%からおよそ5%を含有する。乳化剤は、非イオン性、陰イオン性または陽イオン性でありうる。たとえば、適切な乳化剤は、米国特許第3,755,560号、1973年8月28日発行、Dickert(ディッカート)ら;米国特許第4,421,769号、1983年12月20日発行、Dixon(ディクソン)ら;およびMcCutcheon's Detergents and Emulsifiers(マカッチャンの洗浄剤および乳化剤)、North American Edition(北アメリカエディション)、317-324頁(1986年)に明らかにされる。
【0078】
エマルジョンはまた、ケラチン組織への適用の際に、発泡を最小にするために、消泡剤を含みうる。消泡剤には、高分子量シリコーンおよびそのような使用のためにこの技術においてよく知られる他の物質が含まれる。
【0079】
適切なエマルジョン類は、望ましい生産物の形態に従い、広範囲にわたる粘性をもちうる。模範的な低粘性エマルジョン類は、それが好ましいが、およそ50センチストークまたはそれよりも少ない、より好ましくはおよそ10センチストークまたはそれよりも少ない、なお一層好ましくは、およそ5センチストークまたはそれよりも少ない粘性をもつ。
【0080】
好ましいウォーターインシリコーンおよびオイルインウォーターのエマルジョン類は、Bissett(ビセット)らによる米国PGPUB 20060188462、2006年8月24日に出版された“Skin care compositions containing a sugar amine(糖アミンを含有するスキンケア組成物)” と題するものに詳細に記述される。
【0081】
このペプチドは、リポソームにおいて調剤されうる。このペプチドは、Uster(ウスター)らへのUS 4,944,948で、“EGF/Liposome gel composition and method(EGF/リポソームゲル組成物および方法)”と題されるものに記述されるような方法に従いリポソームにおいて含有されることができ、そこでは、あるものが抑制性ペプチドをそこで用いられるEGFに取り換える。そこで記述されるように、負に荷電されたリポソームの高い粘性の水性分散物はリポソームエントラップペプチドと共に調製されうる。ペプチド/リポソーム組成物は、典型的に、中性の、そして負に荷電するリン脂質(phopholipids)の等モルの量およびペプチドを含有する低伝導率水性媒体におけるコレステロールおよびゲル様の組成物を形成するために等電点がpH 5.5および8.5の間にある双性イオンの化合物を含む脂質混合物を懸濁させることによって形成される。さらに模範的なガイダンスは、Mezei(メゼイ)らへのUS 4,485,054で、“Method of encapsulating biologically active materials in multilamellar lipid vesicles (MLV)(生物学的に活性な物質を多層脂質小胞(MLV)においてカプセル化する方法)”と題するものにおいて見出されうる。
【0082】
このペプチドチロシナーゼインヒビターはまた、経口か、または注入可能な調剤物として調製されうる。注入可能な調剤物のpHは、特に注入の間の安全性および快適さに関し、重要であり、そして特に調製物が液体の調剤物において供給される場合である。適切な調剤物は、防腐剤(保存料)で、安息香酸ナトリウム、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、その他のようなものを含有することができ、および25℃で6.8-8.0のpHをもちうる。このpHは緩衝剤(バッファ)によって維持されるのが好ましい。適切な緩衝剤には、アセテートバッファ、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、グリシンバッファ、リン酸塩バッファ(トリス>ヒドロキシメチル-アミノメタン)(TRIS)バッファ、(2->N-モルホリノ-エタンスルホン酸)、その他が含まれる。調剤物はまた典型的に、上記で規定するようなキャリヤーを含むものである。注入可能な調剤物は、黒色腫および他のガンで、チロシナーゼを発現している細胞、例は、神経膠芽腫から導き出されるものの処置での使用に適する。さらに詳細は、Bouchard(ブーシャード)らへのUS 5,773,291で、1998年6月30日発行、“Non-melanotytic mammalian cell constitutively expressing biologically active human tyrosinase and use thereof(構成的に生物学的に活性なヒトチロシナーゼを発現している非黒色性哺乳類細胞およびその使用)”と題されるものにおいて見出されうる。これらの調剤物は、局所適用で、非ケラチン組織において見出されるメラニン形成細胞のようなものによって近づき易くないメラニン形成細胞で有用である。メラニン形成細胞は、表皮の基底層において、ならびに毛包、網膜、ぶどう膜(眼球血管膜)、および軟髄膜(leptomeninges)において見出される。これらの細胞は、黒色腫の起源の部位である。経口調剤物に関して、模範的な調剤物は、US 2007/0134279において見だされうる。
【0083】
このペプチドチロシナーゼインヒビターが、単独または互いに併用して用いうる。それらはまた、他の生物学的に活性な薬物または薬用化粧品と併用して使われうる。それらはリポソームまたは他の経皮的配送機構で、破壊的な装置、その他のようなものによって配送されうる。脂肪酸鎖は、角質層への脂質分割を介して非リポソームのものに基づく配送を促すために、ペプチドのC末端またはN末端に共役されうる。他の致命的または自殺的薬剤は、致命的または自殺的薬剤が高レベルで、黒色腫細胞のようなものでチロシナーゼを発現するそれらの細胞へ配送されるようにするペプチドに共役されうる。
【0084】
このペプチドの脂質ペプチド調剤物は、さらに、Dasseux(ダッセウ)へのUS 6,287,590で、2001年9月11日発行、“Peptide/lipid complex formation by co-lyophilization(同時凍結乾燥によるペプチド/脂質複合体形成)”と題されるもの;Yatvin(ヤテビン)らへのUS 5,543,389で、1996年8月6日発行、“Covalent polar lipid-peptide conjugates for use in salves(膏薬で使用するための共有結合性の極性脂質-ペプチド共役物)”と題されるもの、および他の参考文献に記述される。
【0085】
本明細書に記載するオリゴペプチドの長さは、すなわち、20、または好ましくは12またはそれよりも少ないアミノ酸で、チロシナーゼに対し生物学的抑制活性を有するものは、以前には説明されていない。現在まで、チロシナーゼ酵素活性ビボを抑制するのに用いられるすべての薬剤は非ペプチドに基づくと信じられる。
【0086】
このペプチドを調剤する際の更なるガイダンスは、Chaudhuri(チャウドゥーリー)らによるUS 20040086560で、2004年5月6日出版、“Skin-lightening(皮膚ライトニング)”と題するものにおいて見出しうる。
【0087】
このペプチドはさらに、皮膚状態を処置または寛解において有用な他の原材料と共に、またはペプチドが研磨(abrasive)手法と併用して投与されるときに、刺激を減らす原材料と共に調剤されうる。これらの付加的な原材料、ここでは“二次的処理薬剤(secondary treatment agent)”と名づけられ、その例には、1パーセントのビタミンK、および1パーセントの水性塩基でのヒドロコルチゾン;にきび処置調剤物(例は、サリチル酸、マンサク(ウィッチへーゼル)によって緩衝化されるアルコールベース、その他);微細な境界線(fine lines)/しわ処置調剤物(例は、ヒアルロン酸は水性ベースである);水和性調剤物(hydrating formulations)(例は、キンセンカ属、ビタミンA、D、またはE、または任意の組合せ、鉱油ベースにおいて);抗酸化剤調剤物/遊離基;スカベンジャー(例は、鉱油ベースにおけるビタミンA、EおよびK)。他の化合物の単独またはそれとの併用で採用されうる製品カテゴリーの他の例には、消毒剤、アストリンゼン、クレンザー、細孔(ポア)うっ血除去剤、香油、植物性薬品、コラーゲン刺激物(collagen stimulators)、ハーブ、マイクロ乳化剤、酸素配送ビークル、タンパク質、血清、皮膚安定剤(skin firming agents)、トナー(化粧水)、および局所麻酔剤が含まれる。用いられうるような個々に挙げられた製品(補足的に指示される関連する利益と共に)は、以下のものを含み、すなわち、キュラソーアロエ(沈静する(calming));アルファヒドロキシ酸(剥離(ピール));アルファリポ酸(抗酸化剤);ベンゾイル(benzoil)および他の過酸化物(にきび);セラミド(水和(ハイドレーター));銅(調色(トーニング));銅ペプチド(トーニング);CoQ-10(補酵素Q-10)および他の酵素(トーニング);コーチゾン(沈静);グリコール酸(ピール);ヒアルロン酸(コラーゲン刺激);ハイドロ脂質(ハイドレーター);乳酸(ピール);マグネシウムリン酸アスコルビル(ascorbic phosphate)(遊離基捕捉剤、コラーゲン刺激物、漂白);ナイアシン(脈管拡張);リン脂質(加湿);カリウム(トーニング、乾癬)、およびサリチル酸(にきび)である。上記の原材料は、Karasiuk(カラシウク)へのUS PGPUB 20070088371、2007年4月19日出版、“Microdermabrasion System and Method of Use(マイクロ皮膚剥離システムおよび使用の方法)”と題されるものとの関連での使用について教示される。
【0088】
さらに二次的な処置剤として、チロシナーゼ抑制剤ペプチドおよび本発明の調剤物は互いに、随意に、そして処置、すなわち、皮膚ライトニングまたはホワイトニングの目的のために、他の皮膚ホワイトニング薬剤(skin whitening agent)と共に混合することもできる。たとえば、組み合わせることができる皮膚ホワイトニング製品には、制限されないが、システイン、4-チオレゾルシン、3-アミノチロシン、5-ヒドロキシ-2-ヒドロキシメチル-γ-ピリドン、フォーメスヤポニカス(fomesjaponicus)およびガノダーマ(マンネンタケ属、ganoderma)抽出物、コウジ酸、グラブリジン(glabridin)、カンゾウエキス、グリチルリジン酸、catharanthus roseus(ニチニチソウ)抽出物、プロテオグリカン、プロテイナーゼ抑制剤、オリゴペプチド、ベタイン、およびメチル4-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシベンゾアート、4-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシ安息香酸、その他が含まれる。このペプチドはまた、組み合わせて、または他のチロシナーゼ抑制剤、isoliquiritigenin(イソリクイリチゲニン)カルコン(ILC)または4,4'-ジヒドロキシビフェニル(44'-BP)のようなもの(Kim(キム)ら、“4,4'-Dihydroxybiphenyl as a new potent tyrosinase inhibitor (新しい有力なチロシナーゼ抑制剤としての4,4'-ジヒドロビフェニル)”、Biol Pharm Bull.、2005年2月;28(2):323-7)と組み合わせうる。
【0089】
用量
用語“治療上効果的な量”は、メラニン形成細胞に対して適用されるチロシナーゼ抑制性効果を生成するのに十分な薬物の量を意味することを意図し、メラニンの生産の減少または排除を招く。これらの量は、この技術において既知であり、またはこの技術において既知の方法によって定められうるもので、および典型的にヒト成体あたりおよそ1から20,000mgまでに、および好ましくは、およそ10から10,000mgまでにおよび、そして、もっとも好ましくは、選ばれる調剤物により、および組織で、皮膜または粘膜のようなものが、作用のサイトであるかどうかにより、適用につき抑制性薬剤のおよそ20から5,000mgまでにおよぶ。組成物における麻酔剤の量上の唯一の上限は、調製物が抑制性薬剤の結晶を実質含まないことで、そして用いられる溶媒の量は、有限な組成物の特性がそれを適用の望ましい部位に付着し過ぎるようにさせように望ましくない影響を及ぼすのに十分でないものである。このように、単一の原材料の抑制性ペプチドは、前述の範囲内で薬剤の治療上効果的な量を含む。IC 50から推定されるとき、ペプチドのその濃度が実験的に適切であると見出された。一般に、およそ2倍のIC 50より上の濃度が処方使用に適切であることが示唆され、およそ2倍のIC 50より低いものは、店頭使用のために適する。しかし、皮膚の取り込みの不足または他の損失の不足を考慮に入れるため、あるものは100倍のIC 50までにいくことがあった。2倍のIC 50にて、95%のチロシナーゼ抑制が達成されなければならない。以下の表が典型的である、すなわち
【0090】
【表3】

【0091】
【表4】

【0092】
濃度ならびに単位エリアあたり、すなわち正方形または立方センチメートルあたりの抑制性ペプチドの量は、望ましい効果を達成するため、独立して変動させることができる。減少した厚さの剤形において含まれる抑制性ペプチドベースのより一層高い濃度は、短期間の適用を招く。増加した厚さの剤形に含まれる抑制性ペプチドベースの高濃度は(平方または立方センチメートルあたりの抑制性ペプチドのより一層高いmg)、速やかな発現および長期間での有力な抑制を招く。減少した厚さの剤形の抑制性ペプチドベースの低い濃度は、より一層長い発現および短期間での軽い抑制を招く。増加した厚さの剤形に含まれる抑制性ペプチドの低い濃度は、より一層長い発現およびより一層長期間での軽い抑制をもつ。上記の説明で示すように、合計組成物の非常に低いもの(およそ1%)から高いもの(40%またはそれよりも多く)までの抑制性ペプチドの濃度を変動させる能力は、薄いもの(およそ0.001インチ)または厚いもの(およそ0.500またはそれよりも厚いインチ)をコート(被覆)する能力と共に組み合わさられるとき、本発明の実務者は、関心のある特定の解剖学的な部位のために必要に応じてシステムの投与量を変動させることができる。
【0093】
通例、所定の組織の場合、例は、上皮下層、選ばれるペプチド薬物、濃度および厚さおよび適用の持続期間は、組織、たとえば、表皮または粘膜の基底層を透過し、およそ2から30分までの内にピーク効果があるようにペプチドの能力に基づいて決定される。選ばれる薬剤、抑制性ペプチドの濃度および適用の厚さに応じて、抑制性ペプチドの組織、たとえば表皮に対する効果の期間は、およそ2から240分までの間におよぶべきである。より一層長いか、またはより一層短い継続期間はまた、必要により選ぶことができ、それはこの技術における熟練者(当業者)にとって明らかである。
【0094】
処置の方法
このペプチドは、上述のように調剤し、および/または修飾され、いろいろな処置様式(treatment modalities)において用いられうる。たとえば、それらはレーザー処置または皮膚剥離/マイクロ皮膚剥離とともに摂取され、注射され、または適用されうる。皮膚剥離は、皮膚の表面が剥離(研磨)によって取り除かれる化粧医学技法(cosmetic medical procedure)である。太陽による損傷を受けた皮膚を取り出し、および皮膚上の傷跡および暗い点を取り除くか、または少なくすることが用いられる。アルミニウムの結晶も使われるが、皮膚剥離単位は典型的に、ダイヤモンドチップにされる。1種のアプローチで、“SilkPeel(シルクピール)”と名付けられるものは、ダイヤモンドチップのマイクロ皮節を溶液の深い配送と共に組み合わせ、それは皮膚を改善し、そして甦らせるために白くするもの(ホワイトナー)を含みうる。好ましい方法では、ペプチドはマイクロ皮膚剥離の間に、届けられる溶液の1部分として投与される。皮膚剥離が流体の流れで遂行され、それがマイクロ剥離された皮膚のエリアを囲む場合、皮膚は前処理、およびビタミン、ローション、その他、ならびに好ましい方法で、このチロシナーゼ抑制剤ペプチド(群)を伴うポスト処理の双方をうける。前処理はマイクロ剥離される皮膚処置のエリアを柔らかくすることができ、それによって、治療後処置が取り残される皮膚組織のストリーキングおよび赤みを減らすのを助ける一方、剥脱(exfoliation)をより一層完全で、取り残される皮膚組織へのより少ない外傷を伴って達成するのがより一層簡単にされる。処置のこの方法に関する詳細は、KarasiukへのUS 6,695,853で、2004年2月24日発行、“Microdermabrasion system and method of use”と題されるものに見出されうる。
【0095】
このペプチドはまた、レーザー処置とともにも用いられうる。エルビウムレーザーのようなレーザー処置は、障害を受けた皮膚組織の種々の深さを蒸発させる。エルビウムレーザーは、米国の特許3,978,427においてさらに記述される。エルビウムレーザー手順は局所的な麻酔溶液を使って実行され、そして治癒は通常、レーザーエネルギー侵入の深さに従って2から5日までである。メラニンの吸収スペクトルに基づき、Qスイッチされたルビーのレーザー(694nm)およびQスイッチされたNd:Yagレーザー(1064nm)は、黒子(ほくろ)および炎症後色素過剰のような色素過剰の病変の治療のためにこのペプチドと組み合わせて選択される余地のレーザーである。
【0096】
このペプチドは、レーザー処置で、Rf装置による放射エネルギーの投与、LEDs、または超音波のようなものに加えて、様々な放射線処置と併用して使われうる。このペプチドは、マイクロニードル(極微針)処置、エレクトロポーレーションまたはイオントフォレーシス(イオン導入)である場合もある。適切なマイクロニードルは、US 6256533、“Apparatus and method for using an intracutaneous microneedle array(皮内極微針アレイを用いるための器具および方法)”と題される、Garstein(ガースティン)らに2001年7月3日に発行されたものに記述される。エレクトロポレーションは、高電圧パルスを一時的な孔の形成を誘導するために提案された皮膚への適用を含む。高電圧および短い処置継続期間(数ミリ秒)が採用されることが最も多い。配送に影響を及ぼす他の電気パラメータは、波形、速度および数のようなパルス特性が含まれ、そして更に多数の出版物で記述される。この技術は、異なっている親油性およびサイズ(すなわち、小分子、タンパク質、ペプチドおよびオリゴヌクレオチド)を伴う分子の皮膚透過性を高めるのに首尾よく用いられた。イオン導入は、局所適用の治療上の薬剤の浸透性を高めるために、皮膚に直接、または間接的に剤形によってのいずれかで、低レベル電流の適用が包含される。この方法論の結果としての増加した薬物浸透性は、以下の機構のいずれか1種または組合せでも寄与することができ、すなわち、電子反発(Electro-repulsion)(荷電溶質について)、電気浸透(非荷電溶質について)および電子動揺(electro-perturbation)(荷電および非荷電のものの双方について)である。いくつかのイオン注入での(iontophoretic)システムは目下商業上開発中である。
【0097】
上述の障害に加え、またはこれと共に含まれるものにおいて、この発明が役立つものは制限されないが、すなわち、そばかす縮小、アジア人皮膚上の黄色のマストーン(mass-tone)の縮小および皮膚の抑制、老化プロセスに関連した逆クロミア(dischromia)、ならびに静脈障害とリンクした赤みの縮小および紫外線誘導された色素形成における縮小である。
【0098】
上述したように、処置の好ましい方法には、皮膚のライトニング(明るくすること)が包含される。この抑制剤は、他の処置のためにも用いられうる。チロシナーゼは黒色腫を有する患者の免疫療法上の処置のための魅力的な標的抗原であり、それがいくつかの他のメラニン形成細胞の分化抗原、MART-1、gp100、またはgp75のようなものより一層均一に発現されるからである。2つの別々の調査において、チロシナーゼは、免疫組織化学または逆転写ポリメラーゼ連鎖反応によって評価される新鮮黒色腫標本の100%において発現されると見出された。これらのデータは、チロシナーゼが本質的に黒色腫を有するすべての患者について優れた標的でありえることを指し示す(Riley(ライリー)ら、J. Immunother.、2001、24、212-220)。
【0099】
チロシナーゼはまた、Vogt-Koyanagi-Harada(フォークト-コヤナギ-ハラダ)(VKH)病にも結び付いた。VKHは、中枢神経系、聴覚の、および外皮の徴候と関連した両側性の肉芽腫性汎ぶどう膜炎(bilateral granulomatous panuveitis)である。それは通常、アスセプティックな(asceptic、懐疑的でない)髄膜炎に先駆類似物と共に現れ、次いで滲出性網膜剥離およびディスク充血を有する後側のぶどう膜炎が続く。VKH病を有する患者から確立され、チロシナーゼファミリーペプチドで刺激されたT細胞クローンは、主に炎症促進性、Th1-タイプT細胞反応を例示した。Read(リード)らはVKH様の症候群がチロシナーゼおよび他のチロシナーゼファミリータンパク質から誘導されたペプチドで免疫化することによってラットにおいて誘導可能であることを例証した(Read et al.、Curr. Opin. Ophthalmol.、2000、11、437-442)。

【0100】
デザインおよび試験管内テスト
酵素の反応のためのキノコチロシナーゼ、L-チロシンおよび他の化学物質は、Sigma-Aldrich(シグマアルドリッチ)から入手した。短いシークエンスペプチド1-7は、既知のチロシナーゼ基質との潜在的ホモロジー(相同関係)に基づいて設計した。すべての合成ペプチドは長さ3および10の間のアミノ酸であり、tBocおよび/またはFmoc固相化学を使って合成した。ペプチドは、すべての場合で、研究等級(>80%の純度)であることが確認された。研究等級の試薬が便宜のために使われたと理解され、そしてペプチドが製薬上の等級純度に、そして90%より高く、好ましくは99%より高く純粋であるように調製されることが好ましい。
【0101】
実験的なペプチドによるチロシナーゼの抑制は、ドパクロム、基質L-チロシンの反応生成物の比色検出によって定めた。キノコチロシナーゼ、L-チロシン、およびリン酸カリウムバッファ(pH 6.8)は、5%DMSOにおいて溶解される短いシークエンスペプチドを含む96ウェルプレートに加えられ、そして37℃でインキュベート(温置)した。475nmの吸光度は反応開始後の30分にBIO-TEKプレートリーダーを使用して測定した。各々の実験は、3つの別々の機会に3通りで実行した。プロトコルは、更に詳細には、Piao(ピアオ)ら、“Mushroom Tyrosinase Inhibition Activity of Some Chromones(若干のクロモンのキノコチロシナーゼ抑制活性)”、Chem. Pharm. Bull. 56(3):309-311 (2002)、およびPomerants(ポメランツ)、J. Biol. Chem 238:2351-2357 (1963)において記載される。
【0102】
酵素動力学は、反応速度の変化を、0.5、1、2、および4mMのL−チロシンの基質濃度を伴って観察することによってミカエリス-メンテン(Michaelis-Menton)の式を使用して算出した。一旦最初の反応速度が得られたら、ラインウィーバー-バークプロット(Lineweaver-Burke plots)を、Km、Vmaxを算出し、そして酵素の抑制のモードを定めるために作り出した。
【0103】
IC50結果
321から1,556ツゥーの分子量において変動した7つの合成ペプチドを次に表示する。選別される7つのペプチドのうち、5つが様々な抑制的効果を所有することが見出され、一方で2つはチロシナーゼに対して活性が維持されなかった。これらのペプチドのためのIC50値は、~40μMから8mMにまでおよんだ。結果を次の表に与える。すなわち
【0104】
【表5】

【0105】
高濃度(15-50mM)で、KFEFKFEFは、比色検出を妨げるゲル様物質を作り出すことにより、吸光度を正常な反応値よりも高く異常に増加させた。ラインウィーバー-バークプロットを用い、我々はすべての5つの活性ペプチドがチロシナーゼを競争的に抑制したことを見出した。これは、抑制性ペプチドの存在および不存在および増加する基質濃度の添加によるチロシナーゼ活性のレスキューにおいて観察された定数Vmaxによって支持された。
【0106】
結論として、我々はチロシナーゼ基質の観察された特性に対するそれらの類似性に基づく合成の短いシークエンスペプチドを設計した。驚くべきことに、我々はチロシナーゼに対して抑制の様々な程度を所有するペプチドを見出した。
【0107】
この知見の1つの局面は、上記に与えられるガイダンスを含む可能性があるペプチドの修飾についての知識に関する。2つのペプチドを比較する際に
【0108】
【表6】

【0109】
小さなfによって表されるPhe残基が不活性なペプチドにおけるものであり、および対応する位置でのLysが活性を与えることが見られる。これは、下線を付けたKK、さらに他のペプチドにおけるSRおよびRNシークエンスによって例示されつ特性によって示されるように、互いの隣にある正に荷電された残基をもつ上記モティーフにおける望ましさを示す。あるものはまた、YRSRKYSSWYにおいて荷電残基を観察する。加えて、Tyrまたは似た残基(例は、PheまたはTrp)の1またはそれよりも多くのアミノ酸の存在が望ましい。これらの観察は、実証されるそれらに類似したシークエンスを設計する際に、更なるガイダンスを提供する。また、ペプチドは自己集合された二次構造を形成するように設計することができ、それによって、多重のチロシナーゼ分子が単一の複合体によって束縛される場合がある。これは、多重のチロシン残基をもつシークエンスに有利である。
【0110】
IC50値は、40μMほど低く測定され、目下商業上の使用のために入手可能な有効なチロシナーゼ抑制剤の若干と一致している値である。抑制のモードは、すべての場合で競争的であると定められた。特定の酵素に対する活性を有する短いシークエンスペプチドの発見は、将来的な製薬上の治療法の開発に対する重要な戦略を表す。短いシークエンスペプチドは、増加した皮膚侵入、リポソームのカプセル封入への従順さ、または脂質共役、減少した毒性を含む伝統的な薬理学的薬物および成長因子を超えるいくつかの利点を与えた。我々の知る限りでは、これはチロシナーゼに対して短いシークエンスペプチドの重要な抑制性効果を示す最初のレポートである。
【0111】
安定性試験
ペプチド、すなわち、5つのペプチド、このYRSRKYSSWY、(配列番号2)、およびKFEKKFEK(配列番号1)を含むものは、商業上の供給元、NeoMPS(ネオMPS)に注文した。第6のペプチド、VLLKが、他のペプチド安定性の量的評価のための内部標準として使われた。
【0112】
HPLC/MS、すなわち、1%の溶液を、ペプチドごとに調製し、そしてチューブに封入し、それを周囲の環境に保った。高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)および質量分析(MS)は、30日のおよその時間範囲で、定期的にテストした。内部標準として用いる新鮮1%VLLK溶液は、各々のテストで同じ日に調製した。各々のペプチドの量は、VLLKのそれと比較して、そのピークのエリアによって定めた。
【0113】
YRSRKYSSWYおよびKFEKKFEKを含む4つのペプチドは、HPLCまたはMSのいずれかから4ヵ月の間、分解を示さなかった。しかし、1つのペプチドが最初の月の間に分解し始めたようであり、それはMSでより一層小さな種のピークエリアの増加によって示され、一方で、その後、およびそのような分解はシステインに関係があるかもしれない。
【0114】
細胞アッセイ
色素細胞でのメラニン形成抑制活性は、Cancer Research, Vol. 42, pp. 1994-2002 (1982)において記述される方法に従うが、わずかな修飾を伴ってアッセイした。4つ×104のB-16細胞、マウス黒色腫の株を、10v/vの%胎仔ウシ血清を含む10mlのEagle’s(イーグルの)MEMの中に懸濁させ、25cm2のRoux's(ルーの)フラスコへ移し、そして5v/v% CO2の存在において、37℃で培養する。培養を、5日間続け、その一方、追加的に開始および第3日目にテスト標本を含む新鮮なものを伴って培養基を新たにする。0.8w/v%塩水を含んでいるリン酸塩バッファ(pH 7.2)において洗浄した後、細胞をトリプシンおよびEDTAを含む溶液で引き離し(detached)、そしてろ過によって回復させた。ろ紙上の細胞は、ついで乾燥し、デンシトメトリーを使って、500nmで反射光の強さについて定める。
【0115】
他のアッセイをこのペプチドをテストする際に使いうる。あるものは、Orlow(オルロー)らによる米国のPGPUB 2004/0175767、2004年9月9日出版、“Methods and compositions that affect melanogenesis(メラニン形成に影響を及ぼす方法および組成)”と題されるものに記述されるようなチロシナーゼ活性についてのアッセイを使うメラニン形成の抑制剤のために選抜されうる。そこに記述されるように、あるものはチロシナーゼをテストのための細胞性媒体中に分泌させる場合がある。それらが生体内で行うように、試験管内培養において増殖する野生タイプのメラニン形成細胞はメラノソームの内側にメラニンを合成する。これらの培養細胞において、チロシナーゼは主にメラノソームの膜において見出されるが、しかし、いくつかのチロシナーゼも分泌される。メラノソームの膜で見出されるチロシナーゼは、C末端の貫膜ドメインによって適切な状態に保たれ、メラノソームのルーメンを欲しているその活性部位をもつ。対照的に、Pタンパク質における変異か、またはPタンパク質機能を抑制する化合物を通してメラニン形成について抑制されたメラニン形成性の細胞では、チロシナーゼは誤った場所に局在化される。細胞のチロシナーゼの著しく大きな画分(フラクション)は、増殖または温置(インキュベーション)媒体中に細胞から分泌される。その上、分泌されたチロシナーゼポリペプチドはそれが野生タイプ細胞で見出されたものより短く、それは、そのC末端膜アンカーが欠如しているからである。分泌されたチロシナーゼは、しかし、増殖またはインキュベーション媒体において酵素的に活性であり、そこで、それが細胞外チロシンからメラニンを合成することができる。結果として、メラニン形成のために抑制されたメラニン形成性の細胞からのチロシン含有の増殖またはインキュベーション媒体は、黒くなる(turn dark)。媒体中のチロシンのより一層高い濃度は、媒体をより一層黒くし、そして媒体中のチロシナーゼのより一層高い濃度は、媒体をより一層速く黒くする。メラニン形成について抑制されないメラニン形成性細胞が著しく少ないチロシナーゼしか分泌しないので、それらが培養されるチロシン含有の増殖またはインキュベーション媒体は黒いようにならない。
【0116】
生体内アッセイ
試験管内で有意にチロシナーゼ抑制をみせるペプチドはさらに、生体内でそれらの皮膚ホワイトニング活性について試験されうる。
【0117】
このアッセイでは、健康な雄性および雌性のボランティア(20-50年齢)は、3日間毎日1度、それらの上腕エリア、それぞれ2.25cm2において2つの異なるスポット(点)で、およそ0.6Jの紫外線照射を受け、そして抑制性ペプチドを、24日にわたり毎日3回、いずれかの照射されたスポット上ででも適用される。その後、皮膚ホワイトニング薬剤を伴う照射を受けたスポットを、メラニン形成の抑止(サプレッション)、すなわち、皮膚ホワイトニング効果の程度を推定するために、コントロールと比較する。
【0118】
そのようなアッセイのための皮膚ホワイトニング薬剤は、エタノールの重量により10部、およびメチルp-ヒドロキシベンゾエートの重量により0.18部を、いずれかの以下のものと一緒に、重量による0(コントロール)、4、10、16または40部のいずれかの活性ペプチドまたは誘導体の50 w/w %で、その混合物が10w/wの水性クエン酸溶液でpH 5.5に調整され、および重量によって100部の総量を与えるために混合物に精製された水が注がれることで調製しうる。
【0119】
皮膚ホワイトニング薬剤におけるペプチドの濃度は、したがって、0w/w %(コントロール)、2w/w %、5w/w %、8w/w %または20w/w %である。
【0120】
皮膚ホワイトニング薬剤は、最初にそれをガーゼにおいて浸すこと、そして密封包帯(occlusive dressing)の技術に従って照射されたスポット上にガーゼを付けることによって適用される。
【0121】
皮膚ホワイトニング効果は、メラニン形成抑止、すなわち、皮膚ホワイトニング効果;皮膚ホワイトニング効果のいずれかの“優れた”、“変化なし”または“劣る”への類別(grading);および“優れる”と答えるボランティアを数えること(各々のグループにおいて20のボランティア)のために、コントロールと、処置されたスポットを比較することによって定める。
【0122】
臨床研究
不応性の(recalcitrant)肝斑を有する患者(店頭の製品、6ヵ月間HQ4%、または6ヵ月間のTri-luma(R)(トリ-ルナ(商標))クリームに対して失敗したもの)は、ランダム化され、および2つの処置群に盲検された(ビークルとペプチド、下記のすべての調査のために、キノコチロシナーゼ、L-チロシン、ヒドロキノンおよびL-ドーパは、Sigma Aldrichから購入した。YRペプチド(“P4”、(アミノ酸配列YRSRKYSSWY 、純度94%)を、NeoMPS Inc(ネオMPS社、San Diego(サンディエゴ)、カリフォルニア、USA)によって合成した)。
【0123】
一次ヒトメラニン形成細胞、継代3をDr. Todd Ridky(トッドリドキィー博士)in the department of dermatology(皮膚科学)、Stanford University(スタンフォード大学)から快く入手できた。細胞は、Human Melanocyte Growth Supplement (ヒトメラニン形成細胞増殖補助剤、HMGS, Cascade Biologics(カスケードバイオロジックス社))で補われるMedium(媒体)254(Cascade Biologics)において培養された。それらは、5%のCO2で37℃にて湿らされた雰囲気において増殖させた。細胞の平板培養密度(plating densities)を、それらの細胞が試験試料と共にインキュベーションする継続期間の間、増殖の対数期にあることを手配した。細胞のサブカルチャーを、4×104細胞/cm2の密度で平板培養した。およそ24h後、新鮮な媒体および試験試料を添加した。細胞を試験試料追加の7d後に収集し、2日おきに新鮮媒体および試験試料を入れ替えた。
【0124】
細胞生存能力を、WST-1 Cell Proliferation Kit(細胞増殖キット)(Roche(ロシュ社))を用いて定めた。細胞は、1×105/well(24ウェルプレート)で平板培養された。播種の24時間後に、試験試料を加え、そして培養物をさらに7d培養した。処置期間の終わりに、50μl WST-1を各ウェルに加えた。プレートを暗所に4h の間37℃で置き、そして450nmでの吸光度をマイクロプレートを使って読んだ。通常、3つの反復ウェルを、試験されるグループごとに測定した。媒体を含むウェルだが細胞がないものは、コントロールとしての役目を果たした。細胞生存能力は、次の式によって算出された。すなわち
細胞生存能力=吸光度(試験される試料)/吸光度(媒体だけ)×100%。
【0125】
メラニン形成細胞の上で試験したHQの濃度は、1、10、100、および1000μMであり、一方、YRペプチドのそれらは、1、10、および100μMであった。メラニン形成細胞は100または1000μMのいずれかでもHQの添加後の24時間での死を見出され、HQの細胞傷害性が確かめられた。細胞は、10μMおよび下記のHQ処置に耐えるのが見出された。毒性は、7日間処置後、最高100μMの濃度でのP4ペプチドで観察されなかった。
【0126】
P4のメラニン形成に対する抑制性の効果が細胞増殖の抑制によって引き起こされるかもしれないという可能性を排除するために、我々は試験試料の存在および不存在で増殖する細胞の数を比較した。結果を図3に示す。我々は、メラニン形成細胞の増殖率に対するそのペプチドの何らかの抑制性効果を観察しなかった。ヒドロキノンも10μMまで抑制性効果を示さないが、しかし、より一層高い濃度は100%の細胞毒性のため試験することができなかった。
【0127】
メラニン含量測定
ヒトメラニン形成細胞を、6ウェルプレートで培養し、そして7d間、個々の試験試料で処置した。PBSでの洗浄後、細胞をトリプシン/EDTA(PBSでの0.25%/0.1%)で、短いインキュベーションによってはがした。アリコート(一定分量)を、細胞カウントのために使った。残部の細胞を超音波処理し、37℃で500μlの1MのNaOHで一昼夜インキュベートし、光を避けた。メラニン濃度を、合成メラニンで取得した検量線で、未知試料の475nmでのODの比較によって算出した。
【0128】
YRペプチドがメラニン形成を妨げるというより一層直接的な証拠を提供するために、我々は、メラニン形成細胞でのメラニンの産生上のその効果を定めた。7日間の、添加なし、YRペプチド(P4)またはHQで処置するメラニン形成細胞におけるメラニンの含量は、分光光度計で定め、そしてメラニン検量線と比較した。メラニン含量での減少は図4に示された。10μMのHQ(非毒性の用量)による処置は、わずかにメラニン含有量を減らした。他方、ペプチドの同程度の濃度は、十分に、HQよりも大きな範囲にまでメラニン含有量を減らした。
【0129】
YRペプチド上のキノコチロシナーゼの酵素アッセイ
チロシナーゼ抑制活性は、基質としてL-チロシンを使って試験管内で、Piao(ピアオ)LZ、Park(パーク)HR、Park YK、Lee SK、Park JH、Park MK. 2002。Mushroom Tyrosinase Inhibition Activity of Some Chromones(若干のクロモンのキノコチロシナーゼ抑制活性). Chem Pharm Bull 50(3): 309-311)からの変更された方法を用いて定めた。
【0130】
酵素、基質および抑制剤の濃度は、それぞれ、[E]、[S]および[I]として表示した。80マイクロリットルの0.067Mのリン酸カリウムバッファ(pH 6.8)、0.067Mのリン酸カリウムバッファ(pH 6.8)の40マイクロリットルのL-チロシン、5%のDMSO溶液中の40マイクロリットルの抑制剤、および40マイクロリットルのキノコチロシナーゼ溶液を、96ウェルマイクロプレートに加え、以下の通りに各々の試薬の最終濃度にした:0.2mg/ml[S]、および96単位/ml[E]、様々な[I]。抑制剤溶液の代わりに5%のDMSO溶液を、ブランクの溶液に加え、そしてコントロールとして200マイクロリットルの合計容量に合わせた。アッセイ混合物を37℃でインキュベートした。反応混合物において生成したドパクロムの量を、異なる時間期間でのマイクロプレートリーダーにおいて475nmにて測定した。チロシナーゼ活性の抑制のパーセンテージは、以下の通りに算出された。すなわち
抑制(%)=[(A−B)−(C−D)]/(A−B)×100
A:インキュベーション後のブランク溶液の吸光度
B:インキュベーション前のブランク溶液の吸光度
C:インキュベーション後の試料溶液の吸光度
D:インキュベーション前の試料溶液の吸光度
【0131】
基質としてL-ドーパを使い細胞チロシナーゼ活性を、Cheng(チェン)KT, Hsu(スウ)FL, Chen SH, Hsieh(シエ)PK, Huang(ホワン)HS, Lee(リー)CK, Lee MH. 2007. New Constituent from Podocarpus macrophyllus var. macrophyllus Shows Anti-tyrosinase Effect and Regulates Tyrosinase-Related Proteins and mRNA in Human Epidermal Melanocytes(イヌマキ変種マクロフィラスからの新しい成分は抗チロシナーゼ効果を示し、およびヒト表皮メラニン形成細胞においてチロシナーゼ関連タンパク質およびmRNAを規制する)。Chem Pharm Bull 55(5): 757-761.)の方法によって分析した。
【0132】
ヒトメラニン形成細胞を、6ウェルのプレートにおいて培養した。7d間、個々の試験試料による処置の後、細胞をリン酸塩バッファ塩水(PBS)で洗い、リン酸塩バッファ、pH 6.8で、1%のトリトンX-100を含有するもので溶解させた。超音波処理後、溶解物を、10分間の10000gでの遠心分離によって澄ませた。Bio-Rad protein assay kit(バイオラドのタンパク質アッセイキット)でのタンパク質含量の決定後、溶解物をタンパク質(40μg)の等しい量を含む96ウェル培養プレートに添加し、そして各々のウェルで150μlにとどくように溶解バッファで調整した。溶解バッファで溶かされた10mMのL-DOPAの75μlを、各ウェルに加えた。培養プレートを30分間37℃でインキュベートし、そして475nmにて分光光度計を用いて読み取った。
【0133】
チロシナーゼ阻害活性を、以下の式で算出した。すなわち、チロシナーゼ抑制(%)=[1-(試料のO.D.(光学濃度)475/コントロールのO.D.475)]×100%。
【0134】
遠心分離およびタンパク質計算の後、一定の各々の試料のための上澄み量を、各ウェルで一定のタンパク質含量を補償することによって96ウェルプレートに移し、0.067Mのリン酸塩バッファ(pH 6.8)で、各ウェルの容量を150μlに合わせた。リン酸塩バッファ(pH 6.8)で溶解された10mMのL-DOPAの75μlを、各ウェルに加えた。培養プレートを、30分間37℃でインキュベートし、そして、475nmにて分光光度計を用いて読み取った。結果を図5に示す。10μMのヒドロキノンによるメラニン形成細胞の処置は、28.8%によって細胞チロシナーゼ活性を減らし;いずれかのペプチド単独による処置は、細胞チロシナーゼ活性の用量依存的な減少に導いた。1μMで、YRペプチド(P4)は、14.5%だけ酵素活性を減らし;10μMでは、P4は24.1%だけ減少した。最後に、100μMでは、P4は37.4%だけ酵素活性を減少させた。
【0135】
結論
上記の特定の説明は本発明を実証し、そして例示することを意図され、および本発明の範囲を制限するとみてはならない。この明細書において言及する何らかの特許または出版物も、特許または出版物がその日付の時点で関係する当業者の水準を示し、そしてはっきりと述べられないかもしれないが、その分野において労働者によって理解される発明の詳細を伝達することを目的とする。言及される方法または物質を記述し、そして可能にする目的で必要であるように、そのような特許または出版物は各々が参照によって詳しく、そして個々に組み込まれたかのように、その同程度に、参照によって本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸シークエンスKFEKKFEKと本質的に同一の配列をもち、および約10mMよりも少ないIC50をもつ精製されたペプチド。
【請求項2】
約5mMよりも少ないIC50をもつ、請求項1のペプチド。
【請求項3】
1および2つの間の残基はRまたはFで置換される、請求項1のペプチド。
【請求項4】
1および3つの間の残基は、V、A、L、MまたはIで置換される、請求項1のペプチド。
【請求項5】
1つの残基はRまたはFで置換され、規定されるようなアミノ酸配列において2から3までの置換の合計が存在する、請求項4のペプチド。
【請求項6】
次の欄1において挙げるような1および3つの間のアミノ酸は、以下の表の欄2において挙げるアミノ酸で置換され、1から3つまでの置換の合計が存在する、請求項1のペプチド。
【表1】

【請求項7】
Dアミノ酸を含む、請求項1のペプチド。
【請求項8】
調節基に連結される、請求項1のペプチド。
【請求項9】
配列はKFEKKFEKである、請求項1のペプチド。
【請求項10】
2つの隣接する荷電アミノ酸をもつ、請求項1のペプチド。
【請求項11】
Y、FおよびWから選ばれる少なくとも1種の残基をもつ、請求項1のペプチド。
【請求項12】
請求項1に従うペプチドを含む、局所的な、経口または注入可能な調剤物。
【請求項13】
配列はKFEKKFEKである、請求項12の調剤物。
【請求項14】
二次的処理薬剤およびYRSRKYSSWYおよびKFEKKFEKからなる群より選ばれる配列と本質的に同一のペプチドを含む、皮膚科学的に許容可能な調剤物。
【請求項15】
ペプチドは少なくとも2つの隣接する荷電アミノ酸をもつ、請求項14の調剤物。
【請求項16】
1から3までのアミノ酸置換が規定された配列において含まれ、置換はFまたはRにおいてなく、置換は、(i)FまたはRへの変化、および(ii)V、A、L、M、Iへの変化の1から3つまでの変化から選ばれる、請求項14の調剤物。
【請求項17】
ペプチドは約2倍のIC50濃度よりも少ない濃度である、請求項14の調剤物。
【請求項18】
ペプチドは2から100倍までのIC50濃度の濃度である、請求項14の調剤物。
【請求項19】
HQが実質含まれない、請求項14の調剤物。
【請求項20】
二次的処理薬剤は、請求項14内の2種の異なる構造をもつ2つのペプチドが存在するようなペプチドである、請求項14の調剤物。
【請求項21】
さらに、水和性調剤物、抗酸化物質調剤物、およびフリーラジカルスカベンジャー(遊離基消去剤)から選ばれる物質を含む、請求項14の調剤物。
【請求項22】
ペプチドはリポソームにおいて含有される、請求項14の調剤物。
【請求項23】
(a)KFEKKFEKまたは(b)YRSRKYSSWYの1種と本質的に同一のペプチドを投与することを含み、ペプチドの前記投与は軽減された皮膚色素沈着に対して十分にチロシナーゼを抑制する、皮膚の処置のための方法。
【請求項24】
ペプチドはYRSRKYSSWYの配列をもつ、請求項23の方法。
【請求項25】
ペプチドYRSRKYSWSWYは、1および3つの間の置換を、残基がRまたはKに変化し、またはV、A、L、MまたはIの1つに変化するのにしたがってもつ、請求項24の方法。
【請求項26】
ここで、投与は、局所調製物を投与することを含む、請求項23の方法。
【請求項27】
投与は、二次的処理生産物とともに投与されることを含む、請求項23の方法。
【請求項28】
投与はマイクロ皮膚切除プロセスと併用する投与を含む、請求項23の方法。
【請求項29】
投与はマイクロ皮膚切除プロセスを伴い同時である、請求項23の方法。
【請求項30】
投与は放射プロセスとの併用である、請求項23の方法。
【請求項31】
投与は、剥離装置マイクロニードル(極微針)、エレクトロポレーション(電気穿孔)装置、またはイオントフォレーシス装置によって遂行する物理的処置との併用である、請求項23の方法。
【請求項32】
約10mMよりも少ないチロシナーゼのIC50をもち、およびYRペプチドまたはKFペプチドのいずれかの配列をもつペプチドおよびその配列と本質的に同一の配列からなる群より選ばれる精製されたペプチド、皮膚科学的に許容可能な担体、二次的処理生成物、および使用のための指示を含む、皮膚ホワイトニング手順を遂行するためのキット。
【請求項33】
ペプチドおよび担体は予備的組合せがされる、請求項32のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−504165(P2011−504165A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515076(P2010−515076)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2008/068181
【国際公開番号】WO2009/003034
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(503115205)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リランド スタンフォード ジュニア ユニヴァーシティ (69)
【Fターム(参考)】