説明

オリゴマー含有の置換芳香族トリアジン化合物

本発明は、(とりわけ)オリゴマー含有の置換芳香族トリアジン化合物に関する。本発明の化合物は、数多くの投与経路のうちのいずれかによって投与した時に、このオリゴマーを欠く対応する化合物を超える1つ以上の利点を呈する。本発明の1つ以上の実施形態において、投薬形態が提供され、該投薬形態は、安定したまたは分解性の結合を介して、水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した、置換芳香族トリアジンの残基を含む化合物を含み、該化合物は、投薬形態に存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の説明)
本出願は、合衆国法典35巻第119(e)の下で、2009年5月13日に出願された米国仮出願第61/177,931号の優先権の利益を主張するものであり、この開示は、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、(とりわけ)化学修飾を欠く置換芳香族トリアジンを越えるある利点を有する、化学的に修飾された置換芳香族トリアジンを含む。本明細書に記載されている化学的に修飾された置換芳香族トリアジンは、(とりわけ)創薬、薬物療法、生理学、有機化学、および高分子化学の分野における適用に関連する、および/または適用を有する。
【背景技術】
【0003】
てんかんは、再発性のいわれのない発作を特徴とする一般的な慢性神経系障害である。これらの発作は、脳中の異常な、過度の、または同期的なニューロンの活動の一過性の兆候および/または症状である。世界中で約5,000万人が、てんかんを患っており、これらのうちのほとんど90%が、発展途上国に在住する。てんかんは、幼児または65歳を超える人々に生じる可能性が高いが、いずれの年齢でも起こり得る。てんかんは、例外的な場合において、手術が必要とされる場合もあるが、通常、薬物療法を用いて制御されるが、治癒されない。疾患を制御する際の主な手法として薬物療法へ依存するにもかかわらず、てんかんを患っている30%超の人々は、利用可能な最高の医薬を用いても発作を制御することができない。全てのてんかん症候群が、生涯にわたるわけではなく、いくつかの形態は、幼児期の特定の段階に限定される。てんかんは、単一の疾患として理解されるべきではなく、むしろ、非常に異なる症状を有するが、全て一過性の異常な脳内電気活動を伴う症候群として理解されるべきである。
【0004】
発作型は、第一に、脳内の発作の源が、局在するか(部分もしくは焦点性発作起始)または分散するか(全般発作)によって分類される。部分発作は、さらに意識障害の程度により分けられる。意識障害がない場合は単純部分発作であり、そうでなければ複雑部分(精神運動性)発作である。部分発作は脳内に広がる場合があり、これは続発性全般発作として知られる過程である。全般発作は体への影響によって分けられるが、全て意識消失を含む。これらには、非存在(小発作)、ミオクローヌス発作、間代発作、強直発作、強直間代発作(大発作)、および無緊張発作が含まれる。
【0005】
40を超える異なる種類のてんかんの状態があり、これには、欠神発作、無緊張発作、良性ローランドてんかん、小児期欠神、間代発作、複雑部分発作、前頭葉てんかん、熱性発作、乳児けいれん、若年性ミオクローヌスてんかん、若年性欠神てんかん、レノックス・ガストー症候群、ランドウクレフナー症候群、ミオクローヌス発作、ミトコンドリア異常、進行性ミオクローヌスてんかん、心因発作、反射性てんかん、ラスムッセン症候群、単純部分発作、二次性全般発作、側頭葉てんかん、強直間代発作、強直発作、精神運動発作、辺縁系てんかん、部分発作起始、全般発作起始、てんかん重積症、腹部てんかん、無動発作、自律神経発作、重度の両側ミオクローヌス、月経時のてんかん、失立発作、感情的な発作、焦点性発作、笑い発作、ジャクソン型行進、ラフォーラ病、運動発作、多発性発作、新生児発作、夜間発作、感光性発作、擬似発作、知覚発作、微細発作、シルバン発作、離脱性発作、および視覚性反射発作等が含まれる。
【0006】
抗けいれん剤は、通常、てんかんを患っている、またはその傾向がある個人の治療のために処方される。置換芳香族基を含むトリアジン化合物が、このような種類の1つの化合物に相当する。また、トリアジン化合物は、双極I型障害、末梢神経障害、三叉神経痛、群発性頭痛、片頭痛、および神経因性疼痛、離人性障害、双極II型障害、統合失調性感情障害、境界性人格障害、心的外傷後ストレス障害、および難治性単極性うつ病を患っている個人の治療にも用いられる。しかしながら、このような種類の化合物による治療により、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮剥離症を含む生命にかかわる皮膚反応、頭痛、目まい、および不眠を含む、多くの副作用に悩まされる。他の副作用には、にきびおよび皮膚のかぶれ、鮮明な夢または悪夢、寝汗、体の痛みおよび筋けいれん、筋肉痛、口渇、疲労、記憶障害、認知的問題、興奮性、体重の変化、脱毛、性欲の変化、頻尿、および嘔気が含まれ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、このような治療上の置換芳香族トリアジンによる薬物療法は、それらの使用に関連するこれらおよび/または他の悪影響または副作用が減少されるなら、またはそれらの薬理学が改善され得るなら、改善される可能性がある。したがって、新規の置換芳香族トリアジン化合物を開発する大きな満たされていない必要性がある。
【0008】
本発明は、当技術分野において、これらおよび他の必要性に対処しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つ以上の実施形態において、化合物が提供され、該化合物は、安定したまたは分解性の結合を介して水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した、置換芳香族トリアジンの残基を含む。
【0010】
「置換芳香族トリアジンの残基」は、1つ以上の結合の存在によって変化する治療上活性な置換芳香族トリアジン部分の構造を有する化合物であり、これらの結合は、1つ以上の水溶性非ペプチドオリゴマーを(直接的あるいは間接的に)結合させる働きをする。
【0011】
本発明の例示的な化合物には、以下の構造
【0012】
【化1】

を有するものが含まれ、式中、
およびRに関しては、(i)Rは、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、Rは、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択されるか、あるいは(ii)RおよびRは一緒になって、ハロ、C1−4アルキル、もしくはトリフルオロメチルによって任意選択で置換されたCH=CH−CH=CH−を形成するかのいずれかであり、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである。
【0013】
本発明のさらなる例示的な化合物には、以下の構造
【0014】
【化2】

を有するものが含まれ、式中、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである。
【0015】
本発明のなおさらなる例示的な化合物には、以下の構造
【0016】
【化3】

を有するものが含まれ、式中、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである。
【0017】
本発明のなおさらなる例示的な化合物には、以下の構造
【0018】
【化4】

を有するものが含まれ、式中、
およびRに関しては、(i)Rは、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、Rは、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択されるか、あるいは(ii)RおよびRは一緒になって、ハロ、C1−4アルキル、もしくはトリフルオロメチルによって任意選択で置換されたCH=CH−CH=CH−を形成するかのいずれかであり、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである。
【0019】
この点に関して、鎮痛作用を有する任意の置換芳香族トリアジン化合物を、置換芳香族トリアジン部分として用いることができる。例示的な置換芳香族トリアジン部分は、式I
【0020】
【化5】

に包含される構造を有し、式中、
およびRに関しては、(i)Rは、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、Rは、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択されるか、あるいは(ii)RおよびRは一緒になって、ハロ、C1−4アルキル、もしくはトリフルオロメチルによって任意選択で置換されたCH=CH−CH=CH−を形成するかのいずれかであり、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択される。
【0021】
例示的な置換芳香族トリアジン部分は、6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン−3,5−ジアミンであり、3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジンとも慣例的に称され、これは、一般名ラモトリジン(GlaxoSmithKline,London,United Kingdomから入手できる)に対応する。
【0022】
本発明の1つ以上の実施形態において、組成物が提供され、該組成物は、安定したまたは分解性の結合を介して、水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した、置換芳香族トリアジンの残基を含む化合物と、任意選択で、薬学的に許容される賦形剤と、を含む。
【0023】
本発明の1つ以上の実施形態において、投薬形態が提供され、該投薬形態は、安定したまたは分解性の結合を介して、水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した、置換芳香族トリアジンの残基を含む化合物を含み、該化合物は、投薬形態に存在する。
【0024】
本発明の1つ以上の実施形態において、方法が提供され、該方法は、水溶性非ペプチドオリゴマーを、置換芳香族トリアジン部分に共有結合させることを含む。
【0025】
本発明の1つ以上の実施形態において、方法が提供され、該方法は、化合物を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含み、該化合物は、安定したまたは分解性の結合を介して、水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した置換芳香族トリアジンの残基を含む。
【0026】
本発明の複合体、組成物、方法等のさらなる実施形態は、以下の発明を実施するための形態、実施例、および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。上述および以下の説明より理解され得るように、かかる特徴の2つ以上のそれぞれ、および全ての組み合わせは、このような組み合わせに含まれる特徴が、相互に矛盾していない限り、本開示の範囲内に含まれる。加えて、任意の特徴または特徴の組み合わせは、本発明の任意の実施形態から特に除外される場合がある。本発明の追加の態様および利点は、以下の詳細な説明、および特許請求の範囲に記述されている。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示していない限り、複数の指示物を含む。
【0028】
本発明の記載および請求においては、以下に記載されている定義に従って、以下の用語を使用する。
【0029】
「水溶性非ペプチドオリゴマー」は、室温の水において、少なくとも35重量%、好ましくは70重量%を超える、より好ましくは95重量%を超える、可溶性を有するオリゴマーを示す。一般的に、「水溶性」オリゴマーの未濾過の水溶液調製物は、濾過した後の同じ溶液によって透過される光の量の、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも95%を透過する。しかしながら、水溶性オリゴマーは、少なくとも95重量%水に溶ける、または完全に水に溶けることが最も好ましい。「非ペプチド」に関しては、オリゴマーが35重量%未満のアミノ酸残基を有する際に非ペプチドとなる。
【0030】
「モノマー」、「モノマー副単位」、および「モノマー単位」という用語は、本明細書で代替可能に使用され、ポリマーまたはオリゴマーの基本的な構造単位のうちの1つを指す。ホモオリゴマーの場合、単一の繰り返し構造単位がオリゴマーを形成する。コオリゴマーの場合、2つ以上の構造単位が(あるパターンで、またはランダムに)繰り返されて、オリゴマーを形成する。本発明に関連して使用される好適なオリゴマーは、ホモオリゴマーである。水溶性非ペプチドオリゴマーは、モノマー鎖を形成するように連続的に結合した1つ以上のモノマーを含む。オリゴマーは、単一のモノマー型(すなわち、ホモオリゴマー)または2つまたは3つのモノマー型(すなわち、コオリゴマーである)から形成することができる。
【0031】
「オリゴマー」は、約1〜約30個のモノマーを有する分子である。本発明に使用する特定のオリゴマーは、以下に詳述する、直線、分岐、または叉状等の、種々の形状を有するものを含む。
【0032】
「PEG」または「ポリエチレングリコール」は、本明細書で使用する場合、いかなる水溶性ポリ(エチレンオキシド)をも包含するように意図される。別途明記しない限り、「PEGオリゴマー」またはオリゴエチレングリコールは、実質的に全ての(好ましくは、全ての)モノマー副単位がエチレンオキシド副単位であるものであるが、オリゴマーは、例えば複合化のための、はっきりと異なる末端封止または官能基を含み得る。本発明で用いるPEGオリゴマーは、2つの以下の構造「−(CHCHO)−」または「−(CHCHO)n−1CHCH−」のうちの1つを含み、これは、例えば合成変換中に末端酸素が置き換えられたかどうかに依存する。上記のように、PEGオリゴマーについて、変数(n)は、約1〜30の範囲であり、末端基およびPEG全体の構成は変化し得る。PEGが、例えば小分子薬物にリンクするための官能基Aをさらに備える時には、その官能基は、PEGオリゴマーに結合する際、(i)酸素−酸素結合(−O−O−、過酸化物結合)、または(ii)窒素−酸素結合(N−O、O−N)の形成をもたらさない。
【0033】
「末端封止された(end−capped)」または「末端封止された(terminally capped)」という用語は、本明細書において代替可能に使用され、末端封止部分を有するポリマーの末端または端点を指す。典型的に、必ずしもそうではないが、末端封止部分は、ヒドロキシまたはC1−20アルコキシ基を含む。故に、末端封止部分の例には、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、およびベンジルオシ)、およびアリール、ヘテロアリール、シクロ、ヘテロシクロ等が含まれる。加えて、上述のもののそれぞれの飽和、不飽和、置換、および非置換形態が想定される。さらに、末端封止基はまた、シランでもあり得る。末端封止基はまた、検出可能な標識を有利に含むこともできる。ポリマーが検出可能な標識を含む末端封止基を有する場合、ポリマーおよび/またはポリマーが結合する対象となる部分(例えば、活性剤)の量または位置は、好適な検出器を使用して特定することができる。このような標識には、発光物質、化学発光物質、酵素標識化に使用される部分、比色標識(例えば、染料)、金属イオン、および放射性部分等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な検出器には、光度計、フィルム、分光計等が含まれる。加えて、末端封止基は、標的部分を含み得る。
【0034】
「標的部分」という用語は、本発明の複合体が、標的領域に局在するのを支援する、例えば、細胞が侵入するか、あるいは受容体に結合するのを支援する分子構造を指すために、本明細書において使用される。好ましくは、標的部分は、ビタミン、抗体、抗原、受容体、DNA、RNA、シアリルルイスX抗原、ヒアルロン酸、糖、細胞特異的レクチン、ステロイド、もしくはステロイド誘導体、RGDペプチド、細胞表面受容体のリガンド、血清部分、または様々な細胞内もしくは細胞外受容体に対して行われる組み合わせ分子から成る。標的部分はまた、脂質またはリン脂質を含み得る。例示的なリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルグリセロール、およびホスファチジルエタノールアミンが挙げられるが、これらに限定されない。これらの脂質は、ミセルまたはリポソーム等の形態であってもよい。標的部分は、検出可能な標識をさらに含むことができるか、または代替的に、検出可能な標識は、標識部分として機能してもよい。
【0035】
「分岐」とは、オリゴマーの形状または全体的な構造に関して、分岐点から伸びる、「腕」を表す2つ以上のポリマーを有するオリゴマーを指す。
【0036】
「叉状」とは、オリゴマーの形状または全体的な構造に関して、(一般的に1つ以上の原子を通じて)分岐点から伸びる2つ以上の官能基を有するオリゴマーを指す。
【0037】
「分岐点」とは、オリゴマーが直線構造から1つ以上のさらなる腕に分岐する、または叉状になる1つ以上の原子を含む分岐点を指す。
【0038】
「反応性」または「活性」という用語は、有機合成の慣習的な条件下で、容易に、または実用的な速度で反応する官能基を指す。これは、反応しないか、または反応するために強力な触媒または非実用的な条件を必要とする基(すなわち、「非反応性」または「不活性」基)とは対照的である。
【0039】
「容易に反応しない」とは、反応混合物中の分子上に存在する官能基に関して、基が、反応混合物中の所望の反応を生成するのに有効である条件下で、大部分がそのままの状態であることを示す。
【0040】
「保護基」は、ある反応条件下で、分子中の特定の化学反応性官能基の反応を妨げる、または阻止する部分である。保護基は、保護される化学反応基の型、および用いられる反応条件、ならびに分子中におけるさらなる反応基または保護基の存在によって異なり得る。保護され得る官能基には、例として、カルボン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基、チオール基、カルボニル基等が挙げられる。カルボン酸に対する代表的な保護基には、エステル(p−メトキシベンジルエステル等)、アミド、およびヒドラジド、アミノ基に対しては、カルバメート(tert−ブトキシカルボニル等)およびアミド、ヒドロキシル基に対しては、エーテルおよびエステル、チオール基に対しては、チオエーテルおよびチオエステル、カルボニル基に対しては、アセタールおよびケタール、等が挙げられる。このような保護基は当業者に知られており、例えば、T.W.Green and G.M.Wuts,Protecting Groups in Organic Synthesis,Third Edition,Wiley,New York,1999、およびそこに引用される参照文献に記載されている。
【0041】
「保護形態」にある官能基とは、保護基を担持する官能基を指す。本明細書で使用する場合、「官能基」またはそのあらゆる同義語は、その保護形態を包含する。
【0042】
「生理学的に開裂可能な」、「加水分解性」、または「分解性」の結合は、生理学的条件下で水と反応する(すなわち、加水分解される)、比較的不安定な結合である。水中で加水分解するように結合する傾向は、2つの中央の原子を接続する結合の一般的な型だけでなく、これらの中央の原子に結合される置換基に依存し得る。適切な加水分解的に不安定な、または弱い結合には、カルボン酸エステル、リン酸エステル、無水物、アセタール、ケタール、アシルオキシアルキルエーテル、イミン、オルトエステル、ペプチド、オリゴヌクレオチド、チオエステル、および炭酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
「酵素分解性結合」は、1つ以上の酵素によって分解を受ける結合を意味する。
【0044】
「安定した」連結または結合とは、水中で実質的に安定している、すなわち生理学的条件下で、長期間にわたっていかなる感知され得る程度まで加水分解されることがない、化学結合を指す。加水分解的に安定した連結の例には、(例えば、脂肪族鎖における)炭素−炭素結合、エーテル、アミド、ウレタン、アミン等が挙げられるが、これらに限定されない。概して、安定した連結は、生理学的条件下で、1日あたり約1〜2%未満の加水分解速度を呈するものである。代表的な化学結合の加水分解速度は、大部分の標準的な化学書に見出すことができる。
【0045】
「実質的に」または「基本的に」とは、ほぼ完全に、または完全にという意味であり、例えば、所与の分量のうちの95%以上、より好ましくは97%以上、さらに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上、さらに好ましくは99.9%以上、最も好ましくは99.99%以上を意味する。
【0046】
「単分散」とは、組成物中の実質的に全てのオリゴマーが、明確な単一の分子量、およびクロマトグラフィーまたは質量分析によって定められる規定数のモノマーを有する、オリゴマー組成物を指す。単分散オリゴマー組成物は、ある意味においては純粋である。すなわち、大きい分布ではなく、単一で定義可能な数(整数として)のモノマーを実質的に有する。単分散オリゴマー組成物は、1.0005以下のMW/Mn値、より好ましくは、1.0000のMW/Mn値を有する。ひいては、単分散複合体から成る組成物は、組成物中の全ての複合体の実質的に全てのオリゴマーが、大きい分布ではなく、単一で定義可能な数(整数として)のモノマーを有し、オリゴマーが治療部分に結合されなかった場合に、1.0005のMW/Mn値、より好ましくは、1.0000のMW/Mn値を有するであろうことを意味する。しかしながら、単分散複合体から成る組成物は、溶媒、試薬、賦形剤等の1つ以上の非複合体物質を含み得る。
【0047】
「二峰性」とは、オリゴマー組成物に関連して、組成物中の実質的に全てのオリゴマーが、大きい分布ではなく、2つのうち1つの定義可能で異なる数(整数として)のモノマーを有し、その分子量の分布が、数分率対分子量でプロットした時に、2つの識別可能な別のピークとして現れる、オリゴマー組成物を指す。本明細書に記載された二峰性オリゴマー組成物について、2つのピークが異なる場合があるが、各ピークは、概して、その平均に関して対称であることが好ましい。理想的には、二峰性分布内の各ピークの多分散性指数Mw/Mnは、1.01以下、より好ましくは1.001以下、さらに好ましくは1.0005以下、最も好ましくは1.0000のMW/Mn値である。ひいては、二峰性複合体から成る組成物は、組成物中の全ての複合体の実質的に全てのオリゴマーが、大きい分布ではなく、2つのうち1つの定義可能な異なる数(整数として)のモノマーを有し、オリゴマーが治療部分に結合していなかった場合に、1.01以下、より好ましくは、1.001以下、さらに好ましくは1.0005以下のMW/Mn値、最も好ましくは1.0000のMW/Mn値を有するであろうことを意味する。しかしながら、二峰性複合体から成る組成物は、溶媒、試薬、賦形剤等の1つ以上の非複合体物質を含み得る。
【0048】
「置換芳香族トリアジン部分」とは、本明細書において、約1000ダルトン未満の分子量を有し、抗けいれん剤および/または鎮痛剤としてある程度の活性を有する、有機、無機、または有機金属化合物を指すように、広義で使用される。当業者に知られているアッセイを用いて、所与の置換芳香族トリアジン部分(ならびに本明細書に提供される化合物)が、抗けいれん剤および/または鎮痛剤として活性を有するかどうかを判定することができる。
【0049】
「生体膜」は、少なくともいくつかの外来物質あるいはそうでなければ他の望ましくない材料に対する関門として機能する細胞または組織から作られる任意の膜である。本明細書で使用する場合、「生体膜」は、生理学的な保護関門に関連する膜を含み、例えば、血液脳関門(BBB)、血液脳脊髄液関門、血液胎盤関門、血液乳関門、血液精巣関門、および膣粘膜、尿道粘膜、肛門粘膜、頬粘膜、舌下粘膜、直腸粘膜等を含む粘膜関門を含む。文脈が明らかに異なるように述べていない限り、「生体膜」という用語は、中間の胃腸管(例えば、胃および小腸)に関連する膜を含まない。
【0050】
「生体膜通過率」は、化合物が血液脳関門(「BBB」)等の生体膜を通過する能力の尺度を提供する。多岐にわたる方法を用いて、あらゆる所与の生体膜を通過する分子の輸送を評価することができる。あらゆる所与の生体関門(例えば、血液脳脊髄液関門、血液胎盤関門、血液乳関門、腸関門等)に関連する生体膜通過率を評価する方法は、当技術分野において知られており、本明細書および/または関連する文献に記載の、および/または当業者によって決定され得る。
【0051】
「代謝率低下」とは、水溶性オリゴマーに結合していない小分子薬物(すなわち、小分子薬物自体)、または参照標準材料の代謝率と比較した、水溶性オリゴマー小分子薬物複合体の代謝率の測定可能な低下を指す。「初回通過代謝率低下」の特殊な場合においては、小分子薬物(または参照標準材料)および対応する複合体が経口投与されることを除いては、同一の「代謝率低下」が必要である。経口投与された薬物は、胃腸管から門脈循環へ吸収され、体循環に到達する前に、肝臓を通過することもある。肝臓は、薬物代謝または生体内変化が最初に生じる部位であるため、相当量の薬物が、体循環に到達する前に代謝されることがある。初回通過代謝の程度、ひいては、そのいかなる低下も、いくつかの異なる手法で測定することができる。例えば、動物の血液試料は、代謝物レベルに対して、定められた間隔で、液体クロマトグラフィー/質量分析によって分析される血漿または血清で収集することができる。初回通過代謝および他の代謝性プロセスに関連する「代謝率低下」を測定するための他の技術は、当技術分野において知られており、本明細書および/または関連する文献に記載されており、および/または当業者によって決定することができる。本発明の化合物は、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、および少なくとも約90%の値のうちの少なくとも1つを満たす、[あらゆる水溶性非ペプチドオリゴマーを欠く化合物と比較して]代謝率低下を提供し得ることが好ましい。「経口的に生物学的に利用可能な」化合物(小分子薬物またはその複合体等)は、好ましくは、経口投与される際、25%を超える、好ましくは70%を超える生物学的利用能を有するものであり、化合物の生物学的利用能は、非代謝形態で体循環に到達する投与薬物の割合である。
【0052】
「アルキル」とは、長さが約1〜20個の原子の範囲である炭化水素鎖を指す。このような炭化水素鎖は、必ずしもそうではないが、飽和されることが好ましく、また、分岐鎖または直鎖であってもよい。例示的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、2−メチルブチル、2−エチルプロピル、3−メチルペンチル等が挙げられる。本明細書で使用する場合、「アルキル」は、3つ以上の炭素原子が言及される時には、シクロアルキルを含む。「アルケニル」基は、少なくとも1つの炭素−炭素の二重結合を有する2〜20個の炭素原子のアルキルである。
【0053】
「置換アルキル」またはqおよびrがアルキル基に含まれる炭素原子の範囲を表す整数である「置換Cq−rアルキル」は、1つ、2つ、または3つのハロ(例えば、F、Cl、Br、I)、トリフルオロメチル、ヒドロキシ、C1−7アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル等)、C1−7アルコキシ、C1−7アシルオキシ、C3−7複素環、アミノ、フェノキシ、ニトロ、カルボキシ、カルボキシ、アシル、シアノによって置換された、上述のアルキル基を意味する。置換アルキル基は、同じまたは異なる置換基で、1回、2回、または3回置換され得る。
【0054】
「低級アルキル」は、メチル、エチル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチルによって例示されるような、1〜6個の炭素原子を含むアルキル基を指し、直鎖または分岐であってもよい。「低級アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、2〜6個の炭素原子の低級アルキル基を指す。
【0055】
「非干渉置換基」は、分子中に存在する場合、一般的に、分子内に含まれる別の官能基と非反応性である基である。
【0056】
「アルコキシ」とは、−O−R基を指し、Rは、アルキルまたは置換アルキルであって、好ましくはC−C20アルキル(例えば、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、ベンジル等)、好ましくはC−Cである。
【0057】
「薬学的に許容される賦形剤」または「薬学的に許容される担体」とは、本発明の組成物内に含まれ得る成分を指し、それは、患者に対して著しく有害な毒物学的影響を生じさせない。
【0058】
「アリール」という用語は、最高で14個の炭素原子を有する芳香族基を意味する。アリール基には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフタセニル等が挙げられる。「置換フェニル」および「置換アリール」はそれぞれ、ハロ(例えば、F、Cl、Br、I)、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アルキル(例えば、C1−6アルキル)、アルコキシ(例えば、C1−6アルコキシ)、ベンジルオキシ、カルボキシ、アリール等より選択された、1つ、2つ、3つ、4つ、または5つ(例えば、1〜2個、1〜3個、または1〜4個の置換基)によって置換されたフェニル基およびアリール基を意味する。
【0059】
化学的部分は、本書全体を通じて、主に一価の化学的部分(例えば、アルキル、アリール等)として定義され、それを指す。しかしながら、このような用語は、当業者には明らかである適切な構造的環境下で、対応する多価部分を伝えることにも使用される。例えば、「アルキル」部分は、概して、一価ラジカル(例えば、CH−CH−)を指すが、ある種の環境においては、二価連結部分を「アルキル」とすることができ、その場合、当業者は、アルキルが、二価ラジカル(例えば、−CH−CH−)となり、「アルキレン」という用語と同等であると理解するであろう。(同様に、二価部分が必要とされ、かつ「アリール」と述べられる環境においては、当業者は、「アリール」という用語が、対応する多価部分である、アリーレンを指すと理解するであろう)。全ての原子は、結合形成のためのそれらの通常の原子価数(すなわち、水素については1、炭素については4、窒素については3、酸素については2、および硫黄については、硫黄の酸化状態に応じて2、4、または6)を有するものと理解されたい。
【0060】
「薬理学的有効量」、「生理学的有効量」、および「治療有効量」は、血流中または標的組織内において、所望のレベルの化合物(または所望のその代謝物)を提供するのに必要な、組成物中に存在する、本発明の化合物の量を意味するように、本明細書に代替可能に使用される。正確な量は、例えば、特定の活性剤、組成物の成分および物理特性、対象とする患者集団、患者上の問題等の数多くの要因に依存し、本明細書に提供された情報および関連する文書中の利用可能な情報に基づいて、当業者によって容易に決定され得る。
【0061】
「二官能性」オリゴマーは、典型的にその末端において、2つの官能基がその中に含まれるオリゴマーである。官能基が同じものである時には、該オリゴマーは、ホモ二官能性であると言われる。官能基が異なる時には、該オリゴマーは、ヘテロ二官能性であると言われる。
【0062】
本明細書に記述されている塩基性反応物質または酸性反応物質は、中性、荷電、およびあらゆる対応するその塩形態を含む。
【0063】
「患者」という用語は、本明細書に記載の本発明の化合物の投与によって予防、または治療することができる状態にある、またはその傾向がある、生きた組織を指し、ヒトおよび動物の両者を含む。
【0064】
「任意選択」または、「任意選択で」とは、その後に記述される状況が、必ずしも生じるわけではなく、その説明は、その状況が生じる場合、および生じない場合を含むことを意味する。
【0065】
上述のように、本発明は、(とりわけ)安定したまたは分解性の結合を介して、水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した、置換芳香族トリアジンの残基を含む化合物を対象にする。
【0066】
「置換芳香族トリアジンの残基」は、1つ以上の結合の存在によって変化する置換芳香族トリアジン部分の構造を有する化合物であり、これらの結合は、1つ以上の水溶性非ペプチドオリゴマーを(直接的あるいは間接的に)結合する働きをする。例示的な置換芳香族トリアジン部分は、式I
【0067】
【化6】

に包含される構造を有し、式中、
およびRに関しては、(i)Rは、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(および好ましくは塩素、臭素、C1−4アルキル、またはトリフルオロメチルから成る群から選択され、そしてさらに好ましくは塩素である)、Rは、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択される(ならびに好ましくは水素、クロロ、およびブロモから成る群から選択される)か、あるいは(ii)RおよびRは一緒になって、ハロ、C1−4アルキル、もしくはトリフルオロメチルによって任意選択で置換された−CH=CH−CH=CH−を形成するかのいずれかであり、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、ブロモ、ヨード、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、そしてさらに好ましくは水素およびブロモから成る群から選択され)、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、クロロ、およびブロモから成る群から選択され)、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、フルオロ、およびメチルから成る群から選択され)、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択される。
【0068】
本発明の1つ以上の実施形態において、化合物が提供され、該化合物は、安定したまたは分解性の結合を介して、水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した、置換芳香族トリアジンの残基を含み、(水溶性非ペプチドオリゴマーが存在しない形態での)該置換芳香族トリアジンの残基は、ラモトリジンである。以下の一覧は、ラモトリジンおよび他の例示的な置換芳香族トリアジン部分の化学構造を提供する。
【0069】
【化7】

3,5−ジアミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン(「ラモトリジン」とも称される)、
【0070】
【化8】

3,5−ジアミノ−6−(2,5−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0071】
【化9】

3,5−ジアミノ−6−(4−ブロモ−2−クロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0072】
【化10】

3,5−ジアミノ−6−(5−ブロモ−2−クロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0073】
【化11】

3,5−ジアミノ−6−(2,3,5−トリクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0074】
【化12】

3,5−ジアミノ−6−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0075】
【化13】

3,5−ジアミノ−6−(2−メチルフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0076】
【化14】

3,5−ジアミノ−6−(2−トリフルオロメチルフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0077】
【化15】

3,5−ジアミノ−6−(2−ブロモフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0078】
【化16】

3,5−ジアミノ−6−(2−ヨードフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0079】
【化17】

3,5−ジアミノ−6−(2−5−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0080】
【化18】

3,5−ジアミノ−6−(1−ナフチル)−1,2,4−トリアジン、
【0081】
【化19】

5−アセトアミド−3−アミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−1,2,4−トリアジン、
【0082】
【化20】

3−アミノ−6−(2,3−ジクロロフェニル)−5−ジメチルアミノメチレンアミノ−1,2,5−トリアジン、
【0083】
【化21】

3,5−ジアミノ−6−(2−メチル−1−ナフチル)−1,2,4−トリアジン、および
【0084】
【化22】

3,5−ジアミノ−6−(3−クロロ−1−ナフチル)−1,2,4−トリアジン。
【0085】
場合によっては、本発明の化合物を合成する時に、出発材料または中間体として有用な置換芳香族トリアジン部分は、商業的供給源から入手することができる。加えて、置換芳香族トリアジン部分は、化学合成を通して得ることができる。置換芳香族トリアジン部分のさらなる例、ならびに置換芳香族トリアジン部分を調製するための合成手法は、文献、および例えば、米国特許第4,602,017号に記載されている。これらの(および他の)置換芳香族トリアジン部分のそれぞれは、本明細書に記載される技術および手法に従って、(直接または1つ以上の原子を通じて)水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合させることができる。
【0086】
本発明の例示的な化合物には、以下の構造
【0087】
【化23】

を有するものが含まれ、式中、
およびRに関しては、(i)Rは、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(および好ましくは塩素、臭素、C1−4アルキル、またはトリフルオロメチルから成る群から選択され、そしてさらに好ましくは塩素である)、Rは、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択される(ならびに好ましくは水素、クロロ、およびブロモから成る群から選択される)か、あるいは(ii)RおよびRは一緒になって、ハロ、C1−4アルキル、もしくはトリフルオロメチルによって任意選択で置換された−CH=CH−CH=CH−を形成するかのいずれかであり、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、ブロモ、ヨード、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、そしてさらに好ましくは水素およびブロモから成る群から選択され)、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、クロロ、およびブロモから成る群から選択され)、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、フルオロ、およびメチルから成る群から選択され)、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである。
【0088】
本発明のさらなる例示的な化合物には、以下の構造
【0089】
【化24】

を有するものが含まれ、式中、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、クロロ、およびブロモから成る群から選択され)、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、ブロモ、ヨード、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、そしてさらに好ましくは水素およびブロモから成る群から選択され)、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、クロロ、およびブロモから成る群から選択され)、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、フルオロ、およびメチルから成る群から選択され)、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである。
【0090】
本発明のなおさらなる例示的な化合物には、以下の構造
【0091】
【化25】

を有するものが含まれ、式中、
は、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、塩素、臭素、ヨウ素、C1−4アルキル、またはトリフルオロメチルから成る群から選択され、そしてさらに好ましくは、塩素である)、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、ブロモ、ヨード、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、そしてさらに好ましくは水素およびブロモから成る群から選択され)、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、クロロ、およびブロモから成る群から選択され)、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、フルオロ、およびメチルから成る群から選択され)、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである。
【0092】
本発明のなおさらなる例示的な化合物には、以下の構造
【0093】
【化26】

を有するものが含まれ、式中、
およびRに関しては、(i)Rは、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(および好ましくは塩素、臭素、C1−4アルキル、またはトリフルオロメチルから成る群から選択され、そしてさらに好ましくは塩素である)、Rは、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択される(ならびに好ましくは水素、クロロ、およびブロモから成る群から選択される)か、あるいは(ii)RおよびRは一緒になって、ハロ、C1−4アルキル、もしくはトリフルオロメチルによって任意選択で置換された−CH=CH−CH=CH−を形成するかのいずれかであり、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、クロロ、およびブロモから成る群から選択され)、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され(ならびに好ましくは、水素、フルオロ、およびメチルから成る群から選択され)、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである。
【0094】
オリゴマー含有の化合物を形成するための別々のオリゴマーの使用(例えば、比較的不純な組成物とは対照的に、オリゴマーの単分散またはニ峰性組成物からの)が好ましい。例えば、本発明の化合物は、非経口、経口、経皮、口腔内、経肺、または経鼻等の、いくつかの好適な投与経路のうちのいずれかにより投与されると、血液脳関門浸透性の低下を呈する。本発明の化合物は、減速した、最小限の血液脳関門の通過を呈するか、または事実上それを通過しないが、それでもなお、経口送達が意図される場合、胃腸(GI)壁を通過して体循環に入ることが好ましい。さらに、本発明の化合物は、オリゴマーを全く含まない化合物の生物活性および生物学的利用能と比較して、ある程度の生物活性ならびに生物学的利用能を維持する。
【0095】
血液脳関門(「BBB」)について、この関門は、薬物の血液から脳への輸送を制限する。この関門は、密着接合により連結される、独特の内皮細胞の連続層から成る。BBBの全表面積の95%超を占める脳毛細血管は、ほとんどの溶質および薬物の中枢神経系への主要な侵入経路である。
【0096】
血液脳関門通過能力の程度が容易に分からない化合物について、このような能力は、本明細書に記載される原位置ラット脳灌流(「RBP」)モデル等の、好適な動物モデルを使用して、決定することができる。手短に述べると、RBP法は、頚動脈のカニューレ挿入、その後の管理された条件下での、化合物溶液での灌流、次いで、脈管性間隙に残存する化合物を除去するための洗い流し段階を含む。(このような分析は、例えば、Absorption Systems,Exton,PA等の委託研究機関により行われ得る)。RBPモデルの一例において、左頚動脈にカニューレを配置し、側枝を縛る。分析物を含有する生理緩衝液(典型的には、5ミクロモルの濃度レベルであるが、必ずしもこれに限らない)を、単回通過灌流実験で、約10mL/分の流速で灌流させる。30秒後、灌流を停止し、さらに30秒間、化合物を含まない緩衝液で脳血管内容物を洗い流す。その後、脳組織を取り出し、タンデム質量分析検出(LC/MS/MS)を用いて、液体クロマトグラフィーにより化合物濃度を分析する。代替的に、血液脳関門透過性は、分子における極性原子(通常、酸素、窒素、および結合水素)の表面の寄与の合計として定義される、化合物の分子極性表面積(「PSA」)の計算に基づき、推定され得る。PSAは、血液脳関門輸送等の化合物輸送特性と相関することが示されている。化合物のPSAを決定するための方法は、例えば、Ertl et al.(2000)J.Med.Chem.43:3714−3717およびKelder et al.(1999)Pharm.Res.16:1514−1519において見出すことができる。
【0097】
血液脳関門に関して、本発明の水溶性非ペプチドオリゴマー含有の化合物は、水溶性非ペプチドオリゴマーに結合されない小分子薬物の通過率と比較して、血液脳関門通過率の低下を呈する。本明細書に記載される化合物の、例示的な血液脳関門通過率の低下は、水溶性非ペプチドオリゴマーを欠く対応する化合物の血液脳関門通過率と比較した場合、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の低下を含む。本発明の複合体にとって好ましい血液脳関門通過率の低下は、少なくとも約20%である。
【0098】
所与の化合物(化合物が、水溶性非ペプチドオリゴマーであるかどうかに関わらず)が、置換芳香族トリアジン部分として機能し得るかどうかを判定するためのアッセイは、当業者により知られているか、および/または調製され得、これらはさらに下述される。
【0099】
手短に述べると、所与の置換芳香族トリアジン部分が抗けいれん活性を有するかどうか(最大電気ショック試験を通して明らかなように)を試験するための1つの手法は、L.A.Woodbury and V.D.Davenport(1952)Design and Use of a New Electroshock Seizure Apparatus,and Analysis of Factors Altering Seizure Threshold and Pattern Arch Int Pharmacodyn Ther 92:97−104に記載されている。
【0100】
これらの(および他の)置換芳香族トリアジン部分のそれぞれは、(直接または1つ以上の原子を通じて)水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合させることができる。
【0101】
小分子置換芳香族トリアジン部分の例示的な分子量(例えば、水溶性非ペプチドオリゴマーへの複合化前)は、約950ダルトン未満、約900ダルトン未満、約850ダルトン未満、約800ダルトン未満、約750ダルトン未満、約700ダルトン未満、約650ダルトン未満、約600ダルトン未満、約550ダルトン未満、約500ダルトン未満、約450ダルトン未満、約400ダルトン未満、約350ダルトン未満、および約300ダルトン未満の分子量を含む。
【0102】
キラルの場合、本発明に使用される小分子薬物は、ラセミ混合物、または単一の光学活性エナンチオマー等の光学活性形態、あるいはあらゆる組み合わせまたは比率のエナンチオマー(例えば、スケールミックおよびラセミ混合物)から得ることができる。加えて、小分子薬物は、1つ以上の幾何異性体を有し得る。幾何異性体に関して、組成物は、単一の幾何異性体、または2つ以上の幾何異性体の混合物を含むことができる。本発明に使用する小分子薬物は、その通例の活性形態とすることができ、またはある程度の修飾があってもよい。例えば、小分子薬物は、オリゴマーの共有結合の前または後に、標的薬剤、タグ、またはそれに結合させた輸送体を有し得る。代替的に、小分子薬物は、リン脂質(例えば、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン、すなわち「DSPE」、またはジパルミトイルジホスファチジルエタノールアミン、すなわち「DPPE」等)、または小脂肪酸等の、それに結合させた親油性部分を有し得る。しかしながら、場合によっては、小分子薬物部分は、親油性部分への結合を含まないことが好ましい。
【0103】
水溶性非ペプチドオリゴマーに結合させるための置換芳香族トリアジン部分は、オリゴマーへの共有結合に好適な、遊離ヒドロキシル、カルボキシル、チオ、アミノ基等(すなわち、「ハンドル」)を有する。加えて、置換芳香族トリアジン部分は、反応基の導入によって、好ましくはその既存の官能基のうちの1つから、オリゴマーと薬物との間に安定した共有結合を形成するのに好適な官能基への変換によって、修飾され得る。
【0104】
各オリゴマーは、エチレンオキシドまたは酸化プロピレン等のアルキレンオキシド、ビニルアルコール、1−プロペノールまたは2−プロペノール等のオレフィンアルコール、ビニルピロリドン、好ましくはアルキルがメチルであるヒドロキシアルキルメタクリルアミドまたはメタクリル酸ヒドロキシアルキル、乳酸またはグリコール酸等のα−ヒドロキシ酸、ホスファゼン、オキサゾリン、アミノ酸、単糖類等の炭水化物、マンニトール等のアルジトール、およびN−アクリロイルモルホリンから成る群より選択される、最高で3つの異なるモノマー型で構成される。好適なモノマー型には、アルキレンオキシド、オレフィンアルコール、ヒドロキシアルキルメタクリルアミド、またはメタクリレート、N−アクリロイルモルホリン、およびα−ヒドロキシ酸が含まれる。各オリゴマーは、独立して、この群から選択される2つのモノマー型のコオリゴマーであることが好ましく、または、この群から選択される1つのモノマー型のホモオリゴマーであることがより好ましい。
【0105】
コオリゴマーにおける2つのモノマー型は、同じモノマー型であり得、例えば、エチレンオキシドおよび酸化プロピレン等の2つのアルキレンオキシドであり得る。オリゴマーは、エチレンオキシドのホモオリゴマーであることが好ましい。通常、必ずではないが、小分子に共有結合されていないオリゴマーの末端(または複数の末端)は、それを不活性にするように封止される。代替的に、末端は、反応基を含み得る。末端が反応基である時、反応基は、最終的なオリゴマーの形成条件下で、またはオリゴマーの小分子薬物への共有結合中に不活性となるように、または必要に応じて保護されるように選択される。1つのよく使用される末端官能基は、特にオリゴエチレン酸化物に対して、ヒドロキシルまたは−OHである。
【0106】
水溶性非ペプチドオリゴマー(例えば、本明細書に提供される様々な構造における「POLY」)は、いくつかの異なる形状のうちのいずれをも有することができる。例えば、水溶性非ペプチドオリゴマーは直線、分岐、または叉状であり得る。最も典型的には、水溶性非ペプチドオリゴマーは、直線または、例えば1つの分岐点を有する分岐である。本明細書における考察の多くが、例示的なオリゴマーとしてポリ(エチレンオキシド)に注目しているが、本明細書に示される考察および構造は、上述したあらゆる水溶性非ペプチドオリゴマーを包含するように、容易に拡張することができる。
【0107】
水溶性非ペプチドオリゴマーの分子量は、リンカー部分を除いて、概して、比較的低い。水溶性高分子の分子量の例示的な値は、約1500ダルトン未満、約1450ダルトン未満、約1400ダルトン未満、約1350ダルトン未満、約1300ダルトン未満、約1250ダルトン未満、約1200ダルトン未満、約1150ダルトン未満、約1100ダルトン未満、約1050ダルトン未満、約1000ダルトン未満、約950ダルトン未満、約900ダルトン未満、約850ダルトン未満、約800ダルトン未満、約750ダルトン未満、約700ダルトン未満、約650ダルトン未満、約600ダルトン未満、約550ダルトン未満、約500ダルトン未満、約450ダルトン未満、約400ダルトン未満、約350ダルトン未満、約300ダルトン未満、約250ダルトン未満、約200ダルトン未満、および約100ダルトン未満を含む。
【0108】
水溶性非ペプチドオリゴマー(リンカー以外)の分子量の例示的な範囲は、約100〜約1400ダルトン、約100〜約1200ダルトン、約100〜約800ダルトン、約100〜約500ダルトン、約100〜約400ダルトン、約200〜約500ダルトン、約200〜約400ダルトン、約75〜1000ダルトン、および約75〜約750ダルトンを含む。
【0109】
水溶性非ペプチドオリゴマー中のモノマーの数は、約1〜約30(1および30を含む)の間、約1〜約25の間、約1〜約20の間、約1〜約15の間、約1〜約12の間、約1〜約10の間のうちの1つ以上の範囲内にあることが好ましい。ある場合には、オリゴマー(および対応する複合体)中の連続するモノマーの数は、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、または8個のうちの1つである。追加的な実施形態において、オリゴマー(および対応する複合体)は、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、または20個のモノマーを含む。なおさらなる実施形態において、オリゴマー(および対応する複合体)は、連続する21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、または30個のモノマーを有する。したがって、例えば、水溶性非ペプチドオリゴマーが、CH−(OCHCH−を含む時には、「n」を、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30とすることができ、また、約1〜約25の間、約1〜約20の間、約1〜約15の間、約1〜約12の間、約1〜約10の間のうちの1つ以上の範囲内とすることができる整数である。
【0110】
水溶性非ペプチドオリゴマーが1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、または10個のモノマーを有する時には、これらの値は、それぞれ、約75、119、163、207、251、295、339、383、427、および471ダルトンの分子量を有する、メトキシで末端封止されたオリゴ(エチレンオキシド)に対応する。オリゴマーが11個、12個、13個、14個、または15個のモノマーを有する時には、これらの値は、それぞれ、約515、559、603、647、および691ダルトンに対応する分子量を有する、メトキシで末端封止されたオリゴ(エチレンオキシド)に対応する。
【0111】
水溶性非ペプチドオリゴマーが、(置換芳香族トリアジン上へ有効にオリゴマーを「成長させる」ように、1つ以上のモノマーを段階的に付加するのとは対照的に)置換芳香族トリアジン部分に結合される時には、水溶性非ペプチドオリゴマーの活性形態を含む組成物が単分散であることが好ましい。しかしながら、それらの場合においては、二峰性の組成物を用いた場合に、該組成物は、上述の数のモノマーのうちのいずれか2つを中心とする二峰性分布を有することになる。例えば、二峰性オリゴマーは、1−2、1−3、1−4、1−5、1−6、1−7、1−8、1−9、1−10等、2−3、2−4、2−5、2−6、2−7、2−8、2−9、2−10等、3−4、3−5、3−6、3−7、3−8、3−9、3−10等、4−5、4−6、4−7、4−8、4−9、4−10等、5−6、5−7、5−8、5−9、5−10等、6−7、6−8、6−9、6−10等、7−8、7−9、7−10等、および8−9、8−10等の、モノマー副単位の例示的な組み合わせのうちのいずれをも有し得る。
【0112】
場合によっては、水溶性非ペプチドオリゴマーの活性形態を含む組成物は、三峰性、あるいは四峰性でもあり、上述のようなモノマー単位の範囲を有する。オリゴマーの明確な混合物を有するオリゴマー組成物は(すなわち、二峰性、三峰性、四峰性等)は、所望のプロファイルのオリゴマー(モノマーの数だけが異なる2つのオリゴマーの混合物は、二峰性であり、モノマーの数だけが異なる3つのオリゴマーの混合物は、三峰性であり、モノマーの数だけが異なる4つのオリゴマーの混合物は、四峰性である)を得るように、精製された単分散オリゴマーを混合することによって得ることができ、または代替的に、所望の定義された分子量範囲にあるオリゴマーの混合物を得るように、「センターカット」を復元することによって、多分散オリゴマーのカラムクロマトグラフィーから得ることができる。
【0113】
水溶性非ペプチドオリゴマーは、好ましくは単分子または単分散である組成物から得られることが好ましい。すなわち、組成物中のオリゴマーは、分子量の分布ではなく、同じ別の分子量値を有する。いくつかの単分散オリゴマーは、Sigma−Aldrich社から入手できるもの等の商業的供給源から購入することができ、または、代替的に、Sigma−Aldrich社等の市販の出発材料から直接調製することができる。水溶性非ペプチドオリゴマーは、Chen Y.,Baker,G.L.J.Org.Chem.,6870−6873(1999)、国際特許第WO02/098949号、および米国特許出願公開第2005/0136031号に記載されているように調製することができる。
【0114】
スペーサ部分(それを介して水溶性非ペプチドポリマーが置換芳香族トリアジン部分に結合される)は、単結合、酸素原子もしくは硫黄原子等の、単一原子、2個の原子、またはいくつかの原子であり得る。スペーサ部分は、必ずではないが、典型的には、直線である。スペーサ部分「X」は、加水分解的に安定していて、酵素的にも安定していることが好ましい。好ましくは、スペーサ部分「X」は、約12個未満の原子鎖長、好ましくは約10個未満の原子鎖長、より好ましくは約8個未満の原子鎖長、さらに好ましくは約5個未満の原子鎖長を有するものであり、ここで、長さは、置換基を数に入れない、単一の鎖内の原子数を意味する。例えば、このRオリゴマー−NH−(C=O)−NH−R′薬物等の尿素結合は、3つの原子(−H−(O)−H−)の鎖長を有すると見なされる。選択された実施形態において、この結合は、さらなるスペーサ基を含まない。
【0115】
場合によっては、スペーサ部分「X」は、エーテル、アミド、ウレタン、アミン、チオエーテル、尿素、または炭素−炭素結合を含む。以下に論じられ、実施例に示されている官能基が、典型的に、結合の形成に使用される。スペーサ部分はまた、以下にさらに記載するように、それほど好ましくはないが、他の原子を含む(または、隣接する、あるいは側面に位置する)場合がある。
【0116】
より具体的には、選択された実施形態において、スペーサ部分、「X」は、「−」(すなわち、安定したまたは分解性であり得る、置換芳香族トリアジンの残基と、水溶性非ペプチドオリゴマーとの間の共有結合)、−O−、−NH−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−OC(O)−、−CH−C(O)O−、−CH−OC(O)−、−C(O)O−CH−、−OC(O)−CH−、C(O)−NH、NH−C(O)−NH、O−C(O)−NH、−C(S)−、−CH−、−CH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−O−、−O−CH−CH−CH−CH−、−CH−O−CH−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−、−CH−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−CH−CH−O−、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−、−C(O)−NH−CH−CH−CH−CH−、−CH−C(O)−NH−CH−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−、−CH−CH−CH−CH−C(O)−NH −、−NH−C(O)−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−、−CH−CH−NH−C(O)−CH−、−NH−C(O)−CH−CH−、−CH−NH−C(O)−CH−CH、−CH−CH−NH−C(O)−CH−CH、−C(O)−NH−CH−、−C(O)−NH−CH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−、−O−C(O)−NH−CH−CH−、−NH−CH−、−NH−CH−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−CH−NH−CH−、−C(O)−CH−、−C(O)−CH−CH−、−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−、−CH−CH−C(O)−CH−CH−、−CH−CH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−、−CH−CH−CH−C(O)−NH−CH−CH−NH−C(O)−CH−、二価シクロアルキル基、Rが、H、またはアルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、および置換アリールから成る群より選択される有機ラジカルである−N(R)、のうちのいずれか1つであり得る。さらなるスペーサ部分には、アシルアミノ、アシル、アリールオキシ、1〜5個の炭素原子を含むアルキレン架橋、アルキルアミノ、約2〜4個の炭素原子を含むジアルキルアミノ、ピペリジノ、ピロリジノ、N−(低級アルキル)−2−ピペリジル、モルホリノ、1−ピペリジニル、4−(低級アルキル)−1−ピペリジニル、4−(ヒドロキシル−低級アルキル)−1−ピペリジニル、4−(メトキシ−低級アルキル)−1−ピペリジニル、およびグアニジンが含まれる。場合によっては、薬物化合物の一部または官能基は、オリゴマーの結合を促進するように修飾されるか、または完全に除去され得る。場合によっては、Xは、アミド、すなわち、−CONR−および−RNCO−ではないことが好ましい。
【0117】
しかしながら、本発明の目的のために、原子の群は、オリゴマーセグメントに直接隣接している時には、結合とみなされず、また、この原子の群は、その群が単にオリゴマー鎖の拡張を表すため、オリゴマーのモノマーと同じとされる。
【0118】
水溶性非ペプチドオリゴマーと小分子との間のスペーサ部分「X」は、オリゴマー(または、置換芳香族トリアジン上へオリゴマーを「成長させる」ことが望まれる時には、新生オリゴマー)の末端上の官能基と、置換芳香族トリアジンの対応する官能基との反応によって形成される。以下、例示的な反応を簡潔に説明する。例えば、オリゴマー上のアミノ基は、アミド結合を生成するように、小分子上のカルボン酸または活性カルボン酸誘導体と反応させる、またはその逆に反応させてもよい。代替的に、オリゴマー上のアミンと、薬物上の活性炭酸塩(例えば、スクシンイミジルまたは炭酸ベンゾトリアゾイル)、またはその逆の反応は、カルバメート結合を形成する。オリゴマー上のアミンと、薬物上のイソシアネート(R−N=C=O)、またはその逆の反応は、尿素結合(R−NH(C=O)−NH−R′)を形成する。さらに、オリゴマー上のアルコール(アルコキシド)基と、薬物内のハロゲン化アルキル、またはハロゲン化基、またはその逆の反応は、エーテル結合を形成する。さらに別の結合手法においては、アルデヒド機能を有する小分子は、還元的アミノ化によってオリゴマーアミノ基に結合し、オリゴマーと小分子との間の第2級アミン結合の形成をもたらす。
【0119】
特に好適な水溶性非ペプチドオリゴマーは、アルデヒド官能基を担持するオリゴマーである。この点に関して、オリゴマーは、以下の構造を有する。CHO−(CH−CH−O)−(CH−C(O)H、式中、(n)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10のうちの1つであり、(p)は、1、2、3、4、5、6、および7のうちの1つである。好適な(n)の値は、3、5、および7を含み、好適な(p)の値は、2、3、および4である。
【0120】
官能基を担持していない水溶性非ペプチドオリゴマーの末端は、それを不活性にするように封止され得る。オリゴマーが、複合体の形成を目的とする場合以外の、末端にさらなる官能基を含む時には、その基は、スペーサ部分(例えば、「X」)の形成条件下で不活性であるか、またはスペーサ部分(例えば、「X」)の形成中に保護されるように選択される。
【0121】
上述のように、水溶性非ペプチドオリゴマーは、複合化の前に少なくとも1つの官能基を含む。官能基は、小分子内に含有する、または小分子内へ導入される反応基に依存して、小分子への共有結合のための求電子または求核基を含む。オリゴマーまたは小分子内に存在し得る求核基の例には、ヒドロキシル、アミン、ヒドラジン(−NHNH)、ヒドラジド(−C(O)NHNH)、およびチオールが含まれる。好適な求核剤には、アミン、ヒドラジン、ヒドラジド、およびチオール、特にアミンが含まれる。オリゴマーへの共有結合のための大部分の小分子薬物は、遊離ヒドロキシル、アミノ、チオ、アルデヒド、ケトン、またはカルボキシル基を有する。
【0122】
オリゴマーまたは小分子内に存在し得る求電子官能基の例には、カルボン酸、カルボン酸エステル、特にイミドエステル、オルトエステル、炭酸塩、イソシアネート、イソチオシアネート、アルデヒド、ケトン、チオン、アルケニル、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、スルホン、マレイミド、ジスルフィド、ヨード、エポキシ、スルホネート、チオスルホネート、シラン、アルコキシシラン、およびハロシランが含まれる。これらの基のより具体的な例には、スクシンイミジルエステルまたは炭酸塩、イミダゾイルエステルまたは炭酸塩、ベンゾトリアゾールエステルまたは炭酸塩、ビニルスルホン、クロロエチルスルホン、ビニルピリジン、ピリジルジスルフィド、ヨードアセトアミド、グリオキサール、ジオン、メシラート、トシラート、およびトレシレート(2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート)が含まれる。
【0123】
また、チオン、チオン水和物、チオケタール、2−チアゾリジンチオン等のこれらの基のうちのいくつかの硫黄類似体、ならびに上述の部分のうちのいずれかの水和物または保護誘導体(例えば、アルデヒド水和物、ヘミアセタール、アセタール、ケトン水和物、ヘミケタール、ケタール、チオケタール、チオアセタール)も含まれる。
【0124】
カルボン酸の「活性誘導体」とは、概して、非誘導体化カルボン酸よりも極めて容易に、求核原子と容易に反応するカルボン酸誘導体を指す。活性カルボン酸には、例えば、酸性ハロゲン化物(酸塩化物等)、無水物、炭酸塩、およびエステルが含まれる。このようなエステルには、一般的な形態が−(CO)O−N[(CO)−]であるイミドエステル、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステルまたはN−ヒドロキシフタルイミジルエステルが含まれる。また、イミダゾリルエステルおよびベンゾトリアゾールエステルも好ましい。共同所有の米国特許第5,672,662号に記載の、活性プロピオン酸またはブタン酸エステルが特に好ましい。これらは、−(CH2−3C(=O)O−Qの形態の基を含み、Qは、N−スクシンイミド、N−スルホスクシンイミド、N−フタルイミド、N−グルタルイミド、N−テトラヒドロフタルイミド、N−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、ベンゾトリアゾール、7−アザベンゾトリアゾール、およびイミダゾールから選択されることが好ましい。
【0125】
他の好適な求電子基には、スクシンイミジル炭酸塩、マレイミド、ベンゾトリアゾール炭酸塩、グリシジルエーテル、イミダゾイル炭酸塩、p−ニトロフェニル炭酸塩、アクリレート、トレシレート、アルデヒド、およびオルトピリジルジスルフィドが含まれる。
【0126】
これらの求電子基は、例えば、ヒドロキシ、チオ、アミノ基等の求核原子との反応を受けて、種々の結合型を生成する。本発明には、加水分解的に安定した結合を形成し易い反応が好ましい。例えば、オルトエステル、スクシンイミジルエステル、イミダゾリルエステル、およびベンゾトリアゾールエステルを含むカルボン酸およびその活性誘導体は、上述した型の求核原子と反応して、それぞれエステル、チオエステル、およびアミドを形成し、それらのうち、アミドが最も加水分解的に安定している。スクシンイミジル、イミダゾリル、およびベンゾトリアゾール炭酸塩を含む炭酸塩は、アミノ基と反応してカルバメートを形成する。イソシアネート(R−N=C=O)は、ヒドロキシルまたはアミノ基と反応して、それぞれ、カルバメート(RNH−C(O)−OR′)または尿素(RNH−C(O)−NHR′)結合を形成する。アルデヒド、ケトン、グリオキサール、ジオン、およびそれらの水和物またはアルコール付加物(すなわち、アルデヒド水和物、ヘミアセタール、アセタール、ケトン水和物、ヘミケタール、およびケタール)は、アミンと反応することが好ましく、その後に、結果として生じたイミンの還元を行い、必要に応じて、アミン結合(還元的アミノ化)を提供する。
【0127】
求電子官能基のうちのいくつかは、例えばチオエーテル結合を形成するように、チオール等の求核基を添加することができる求電子二重結合を含む。これらの基には、マレイミド、ビニルスルホン、ビニルピリジン、アクリレート、メタクリレート、およびアクリルアミドが含まれる。他の基は、求核原子によって置き換えることができる離脱基を含み、これらには、クロロエチルスルホン、ピリジルジスルフィド(開裂可能なS−S結合を含む)、ヨードアセトアミド、メシラート、トシラート、チオスルホネート、およびトレシレートが含まれる。エポキシドは、求核原子による開環によって反応して、例えばエーテルまたはアミン結合を形成する。オリゴマーおよび小分子上に上述したような相補的な反応基を伴う反応を利用して、本発明の複合体を調製する。
【0128】
場合によっては、置換芳香族トリアジン部分は、複合化に適した官能基を持たなくてもよいことがある。この場合、複合化に適した官能基を有するように、「元々の」置換芳香族トリアジン部分を修飾(または「官能化する」)ことが可能である。例えば、置換芳香族トリアジン部分がアミド基を有するが、アミン基が望まれる場合は、Hofmann転位、Curtius転位(アミドが1回アジドに変換される)、またはLossen転位(アミドが1回ヒドロキシアミドに変換され、その後に、トルエン−2−スルホニルクロリド/塩基により処理する)を経て、アミド基をアミン基に修飾することが可能である。
【0129】
置換芳香族トリアジン部分をオリゴマーに共有結合させるアミド基を有する複合体を提供するように、カルボキシル基を担持する置換芳香族トリアジン部分が、アミノ末端オリゴマーエチレングリコールに結合されるカルボキシル基を担持する、置換芳香族トリアジン部分の複合体を調製することが可能である。これは、例えば、無水の有機溶剤中で、結合試薬(ジシクロヘキシルカルボジイミド、すなわち「DCC」)の存在下で、カルボキシル基を担持する置換芳香族トリアジン部分を、アミノ末端オリゴマーエチレングリコールと結合させることによって行うことができる。
【0130】
さらに、エーテル(−O−)結合の複合体をもたらすように、ヒドロキシル基を担持する置換芳香族トリアジン部分が、オリゴマーエチレングリコールハロゲン化物に結合されるヒドロキシル基を担持する、置換芳香族トリアジン部分の複合体を調製することが可能である。これは、例えば、水素化ナトリウムを使用してヒドロキシル基を脱プロトン化し、その後に、ハロゲン化末端のオリゴマーエチレングリコールと反応させることによって行うことができる。
【0131】
さらに、ヒドロキシル基を担持する置換芳香族トリアジン部分は、カーボネート[−O−C(O)−O−]結合の複合体をもたらすように、ハロギ酸エステル基[例えば、CH(OCHCHOC(O)−ハロ、ここで、ハロは、クロロ、ブロモ、ヨードである]を担持するオリゴマーエチレングリコールに結合されるヒドロキシル基を担持する、置換芳香族トリアジン部分の複合体を調製することが可能である。これは、求核触媒(4−ジメチルアミノピリジン、すなわち「DMAP」)の存在下で、置換芳香族トリアジン部分と、ハロギ酸エステル基を担持するオリゴマーエチレングリコールを混合することによって行うことができ、それによって、対応するカーボネート結合の複合体をもたらす。
【0132】
別の例において、まずケトン基を還元して対応するヒドロキシル基を形成することで、ケトン基を担持する置換芳香族トリアジン部分の複合体を調製することが可能である。その後、その段階でヒドロキシル基を担持するようになった置換芳香族トリアジン部分を、本明細書に記載されているように結合することができる。
【0133】
さらに別の例において、アミン基を担持する置換芳香族トリアジン部分の複合体を調製することが可能である。一手法においては、アミン基を担持する置換芳香族トリアジン部分、およびアルデヒドを担持するオリゴマーを、好適な緩衝液中に溶解し、その後に、好適な還元剤(例えば、NaCNBH)を添加する。還元した後、結果として、アミン基含有の置換芳香族トリアジン部分のアミン基と、アルデヒドを担持するオリゴマーのカルボニル炭素との間にアミン結合が形成される。
【0134】
アミン基を担持する置換芳香族トリアジン部分の複合体を調製するための別の手法においては、カルボン酸を担持するオリゴマーと、アミン基を担持する置換芳香族トリアジン部分とを、結合試薬(例えば、DCC)の存在下で、混合する。その結果として、アミン基含有の置換芳香族トリアジン部分のアミン基と、カルボン酸を担持するオリゴマーのカルボニルとの間にアミド結合が形成される。
【0135】
本明細書において開示される全ての範囲の化合物が記載されるような挙動を呈すると考えられるが、最適な大きさのオリゴマーを、以下の通り特定することができる。
【0136】
まず、単分散または二峰性の水溶性オリゴマーから得られたオリゴマーが、置換芳香族トリアジン部分に複合化される。該薬物は、好ましくは、経口で生物学的に利用可能であり、それ自体では、無視できない血液脳関門通過率を呈する。次に、複合体の血液脳関門を通過する能力が、適切なモデルを使用し、無修飾の親薬物のものと比較して、決定される。結果が好ましければ、つまり、例えば通過率が有意に低下した場合、複合体の生物活性をさらに評価する。本発明による化合物は、親薬物に対して有意な程度の生物活性、すなわち、親薬物の生物活性の約30%を上回ることが好ましく、さらに好ましくは親薬物の生物活性の約50%を超えて維持する。
【0137】
上記のステップを、同一モノマー型であるが、異なる数の副単位を有するオリゴマーを使用して、1回以上繰り返し、その結果を比較する。
【0138】
血液脳関門を通過する能力が、非複合化小分子薬物と比較して低下する個々の複合体に関して、その経口生物学的利用能を評価する。これらの結果に基づき、つまり、異なる大きさのオリゴマーの複合体の、小分子内の所与の位置または場所における所与の小分子との比較に基づき、生体膜通過性の低下、経口生物学的利用能、および生物活性の間の最適なバランスを有する複合体の提供において最も有効なオリゴマーの大きさを決定することができる。オリゴマーが小さいので、そのようなスクリーニングが可能になり、結果として生じる複合体の特性を効率よく調節することが可能になる。オリゴマーの大きさを少しずつ、漸増的に変化させ、実験計画法を利用し、生体膜通過率の低下、生物活性、および経口生物学的利用能の間の好ましい均衡を有する複合体を、効果的に特定することができる。場合によっては、本明細書に記載されるオリゴマーの結合が、薬物の生物学的利用能を実際に高めるために有効である。
【0139】
例えば、日常的に実験を使用する当業者は、最初に、異なる重量および官能基を有する一連のオリゴマーを調製し、次いで、患者に複合体を投与し、定期的な血液および/または尿の試料採取を行うことによって必要なクリアランスプロファイルを得て、経口生物学的利用能の改善に最適な分子の大きさおよび結合を決定することができる。試験を行った複合体ごとに、一連のクリアランスプロファイルが得られると、好適な複合体を特定することができる。
【0140】
また、動物モデル(齧歯類およびイヌ)を使用して、経口薬輸送を研究することもできる。加えて、非体内方法には、齧歯類反転腸切除組織、およびCaco−2細胞単層組織培養モデルが含まれる。これらのモデルは、経口薬の生物学的利用能の予測において有用である。
【0141】
置換芳香族トリアジン部分または本発明の化合物(例えば、置換芳香族トリアジン部分および水溶性非ペプチドオリゴマーの複合体)が、治療上、置換芳香族トリアジン部分として活性を有するかどうかを判定するために、このような化合物を試験することが可能である。対象となる化合物は、製薬業界において日常的であり、本明細書に記載されるこれらの受容体を発現する様々な細胞株を用いた、受容体へのインビトロ結合試験を用いて試験され得る。
【0142】
本発明の化合物は、それ自体、または薬学的に許容される塩の形態で投与することができ、本明細書における本発明の化合物へのいかなる言及も、薬学的に許容される塩を含むことを意図している。使用される場合、本明細書に記載の化合物の塩は、薬理学的および薬学的の両方で許容されるべきであるが、薬学的に許容されない塩が、遊離活性化合物またはその薬学的に許容される塩を調製するために簡便に使用される場合があり、本発明の範囲から除外されるものではない。このような薬理学的かつ薬学的に許容される塩は、文献中に詳述される標準的な方法を用いて、当該化合物を有機または無機酸と反応させることによって調製することができる。有用な塩の例としては、塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、およびベンゼンスルホン酸等の酸から調製されるものが含まれるが、これらに限定されない。また、薬学的に許容される塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類塩、例えば、カルボン酸基のナトリウム、カリウム、またはカルシウム塩として調製することができる。
【0143】
本発明はまた、医薬品賦形剤と組み合わせた、本明細書において提供される化合物を含む医薬品も含む。概して、化合物自体は、固体の形態(例えば、沈殿物)となり、固体または液体のいずれかの形態となり得る好適な医薬品賦形剤と結合させることができる。
【0144】
例示的な賦形剤には、炭水化物、無機塩、抗菌剤、酸化防止剤、界面活性剤、緩衝液、酸、塩基およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
糖、アルジトール等の誘導体化糖、アルドン酸、エステル化糖、および/または糖ポリマー等の炭水化物が、賦形剤として存在し得る。具体的な炭水化物賦形剤には、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、ブドウ糖、D−マンノース、ソルボース等の単糖類、乳糖、ショ糖、トレハロース、セロビオース等の二糖類、ラフィノース、メレチトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン等の多糖類、およびマンニトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、ソルビトール、ミオイノシトール等のアルジトールが含まれる。
【0146】
賦形剤には、クエン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩基性リン酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせ等の、無機塩または緩衝液も含まれる。
【0147】
調製物は、微生物成長を妨げる、または阻止するための抗菌剤を含んでもよい。本発明に好適な抗菌剤の非限定的な例には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0148】
酸化防止剤を、調製時に存在させることもできる。酸化防止剤は、酸化の防止に使用され、それによって、複合体または製剤の別の成分の劣化を防止する。本発明に使用する好適な酸化防止剤には、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、プロピルガレート、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0149】
界面活性剤が、賦形剤として存在し得る。例示的な界面活性剤には、「Tween20」および「Tween80」等のポリソルベート、ならびにF68およびF88(どちらも、BASF,Mount Olive,New Jerseyから入手することができる)等のプルロニック、ソルビタンエステル、レシチンおよび他のホスファチジルコリン等のリン脂質、ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸、および脂肪酸エステル等の脂質、コレステロール等のステロイド、およびEDTA、亜鉛、および他のこのような好適なカチオン等のキレート薬が含まれる。
【0150】
薬学的に許容される酸または塩基が、製剤中に賦形剤として存在し得る。使用できる酸の非限定的な例には、塩酸、酢酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、ギ酸、トリクロロ酢酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、フマル酸、およびそれらの組み合わせから成る群より選択されるものが挙げられる。好適な塩基の例には、水酸化ナトリウム、ナトリウム酢酸塩、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、フマル酸カリウム、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される塩基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0151】
本発明の化合物の量は、いくつかの要因に応じて変化するが、組成物が単位用量容器内に貯蔵される際に治療有効用量であることが最適である。治療有効用量は、どの量が臨床的に所望の終了点を実現するのかを決定するために、化合物の量を増加させて繰り返し投与することによって実験的に決定することができる。
【0152】
組成物中のいかなる個々の賦形剤の量も、賦形剤の活性および組成物の特定の必要性に応じて変化する。いかなる個々の賦形剤の最適な量も、日常的実験を通じて、すなわち、種々の量の賦形剤(少量から多量まで)を含有する組成物を調製し、安定性および他のパラメータを検査し、次いで、いかなる重大な悪影響も生じずに最適な性能が得られる範囲を決定することによって決定される。
【0153】
しかしながら、概して、賦形剤は、約1〜約99重量%、好ましくは約5〜98重量%、より好ましくは約15〜95重量%の量、最も好ましくは30重量%未満の濃度の賦形剤として、組成物中に存在する。
【0154】
他の賦形剤とともに、これらの上述の医薬品賦形剤、および医薬組成物に関する一般的な教示は、「Remington:The Science & Practice of Pharmacy」,19th ed.,Williams & Williams,(1995)、「Physician’s Desk Reference」,52nd ed.,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)、およびKibbe,A.H.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,3rd Edition,American Pharmaceutical Association,Washington,D.C.,2000に記載されている。
【0155】
医薬組成物は複数の形態を取ることができ、本発明は、この点に関しては制限されない。例示的な製剤は、錠剤、カプレット、カプセル、ゲルキャップ、トローチ、分散体、懸濁液、溶液、エリキシル、シロップ、菓子錠剤(lozenge)、経皮的パッチ、スプレー、坐剤、および粉末等の、経口投与に好適な形態であることが最も好ましい。
【0156】
経口投与形態は、経口で有効な複合体に好適であり、錠剤、カプレット、カプセル、ゲルキャップ、懸濁液、溶液、エリキシル、およびシロップが挙げられ、また、任意選択でカプセル化された、複数の顆粒、ビーズ、粉末、またはペレットを含むこともできる。このような投薬形態は、医薬製剤の分野で知られている、および関連する文書に記載されている従来の方法を使用して調製される。
【0157】
錠剤およびカプレットは、例えば、標準的な錠剤処理手順および装置を使用して製造することができる。本明細書に記載される複合体を含む錠剤またはカプレットを調製する時には、直接圧縮および粒状化技術が好ましい。複合体に加えて、錠剤およびカプレットは、概して、結合剤、滑剤、崩壊剤、充填剤、安定剤、界面活性剤、着色剤等の、不活性の薬学的に許容される担体材料を含有する。結合剤は、粘着性を錠剤に与え、したがって、錠剤がそのままの状態を保つように使用される。好適な結合剤材料には、デンプン(トウモロコシデンプンおよびアルファ化デンプンを含む)、ゼラチン、糖(蔗糖、ブドウ糖、ブドウ糖、および乳糖を含む)、ポリエチレングリコール、ワックス、および天然および合成ガム、例えば、アカシアアルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、セルロースポリマー(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等を含む)、およびVeegumが挙げられるが、これらに限定されない。滑剤は、錠剤製造を容易にし、粉末の流れを促進して、圧力が減じられた時の粒子の冠着(すなわち粒子の破砕)を防止するのに使用される。有用な滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、カルシウムステアリン酸塩、およびステアリン酸である。崩壊剤は、錠剤の崩壊を容易にするために使用され、概して、デンプン、クレイ、セルロース、アルギン、ガムまたは架橋ポリマーである。充填剤には、例えば、二酸化シリコン、二酸化チタン、アルミナ、タルク、カオリン、粉末セルロース、および微結晶性セルロース等の材料、ならびにマンニトール、尿素、蔗糖、乳糖、ブドウ糖、塩化ナトリウム、およびソルビトール等の可溶性材料が挙げられる。安定剤は、当技術分野において知られているように、一例として、酸化的反応を含む薬物分解反応を抑制または妨害するのに使用される。
【0158】
カプセルは、好適な経口投与形態でもあり、その場合、複合体含有組成物は、液体またはゲル(例えば、ゲルキャップの場合)、または固体(顆粒、ビーズ、粉末、またはペレット等の粒状物を含む)の形態にカプセル化することができる。好適なカプセルには、硬質および軟質カプセルが挙げられ、概して、ゼラチン、デンプン、またはセルロース材料で作製される。ツーピースの硬質ゼラチンカプセルは、ゼラチン帯等で封止されることが好ましい。
【0159】
実質的に乾燥形態の非経口製剤(粉末またはケーキの形態とすることができる、凍結乾燥物または沈殿物として)、および液体であり、乾燥形態の非経口製剤を再構成するステップを必要とする、注射用に調製された製剤が挙げられる。注射の前に固体組成物を再構成するための好適な希釈剤の例には、注射用静菌水、5%ブドウ糖水、リン酸緩衝食塩水、リンガー溶液、生理食塩水、無菌水、脱イオン水、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0160】
場合によっては、非経口投与を対象とする組成物は、通常、無菌である、非水溶液、懸濁液、または乳濁液の形態を取ることができる。非水性溶媒または媒体の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油またはコーン油等の植物油、ゼラチン、およびオレイン酸エチル等の、注射可能な有機エステルが挙げられる。
【0161】
本明細書に記載されている非経口製剤はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤等の補助剤を含有することもできる。製剤は、滅菌剤、バクテリアを保持したフィルタによる濾過、照射、または熱の導入によって無菌化される。
【0162】
本発明の化合物はまた、従来の経皮的パッチまたは他の経皮的送達系を使用して、皮膚を通じて投与することもでき、複合体は、皮膚に固定される薬物送達装置として機能する積層構造内に含有される。このような構造においては、化合物は、上部支持体層の下側にある層、すなわち「貯蔵器」内に収容される。積層構造は、単一の貯蔵器を収容することができ、または複数の貯蔵器を収容することができる。
【0163】
本発明の化合物はまた、直腸投与用の坐剤に処方することもできる。坐剤に関して、化合物は、コカバター(カカオ脂)、ポリエチレングリコール、グリセリン処理したゼラチン、脂肪酸、およびそれらの組み合わせ等の(例えば、室温では固体であるが、体温で軟化、融解、または溶解する賦形剤)坐剤基剤材料と混合される。坐剤は、例えば、坐剤基剤材料を融解させて融解物を形成するステップと、化合物を(坐剤基剤材料の融解前または後に)組み込むステップと、溶解物を金型に注入するステップと、融解物を冷却し(例えば、融解物含有金型を室温環境中に置く)、それによって坐剤を形成するステップと、金型から坐剤を取り出すステップと、を行うことによって調製することができる(必ずしも示された順序ではない)。
【0164】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の化合物を含む組成物は、さらに、好適な送達ビヒクルに組み込まれてもよい。このような送達ビヒクルは、化合物の制御および/または連続的放出を提供することができ、標的部分としても機能することができる。送達ビヒクルの非限定的な例には、アジュバント、合成アジュバント、マイクロカプセル、微小粒子、リポソーム、および酵母細胞壁粒子が含まれる。酵母細胞壁は、様々に処理することで、タンパク質成分、グルカン、またはマンナン層を選択的に取り除くことができ、全グルカン粒子(WGP)、酵母βグルカンマンナン粒子(YGMP)、酵母グルカン粒子(YGP)、ロドトルラ属(Rhodotorula)酵母細胞粒子(YCP)と称される。S.セレビシエ(S.cerevisiae)およびロドトルラ種(Rhodotorula species)等の酵母細胞が好ましいが、いずれの酵母細胞が用いられてもよい。これらの酵母細胞は、流体力学的容積の観点から異なる特性を呈し、また、それらがその内容物を放出し得る標的器官も異なる。これらの粒子を製造し、特徴付ける方法は、米国特許第5,741,495号、同第4,810,646号、同第4,992,540号、同第5,028,703号、同第5,607,677号、および米国特許出願公開第2005/0281781号および同第2008/0044438号に記載されている。
【0165】
本発明はまた、本明細書において提供される本発明の化合物を、化合物による治療に応答する病状に苦しむ患者に投与するための方法も提供する。本方法は、概して、経口的に、治療有効量の化合物(医薬品の一部として提供されることが好ましい)を投与することを含む。また、肺、鼻腔、口腔、直腸、舌下、経皮、非経口等の、別の投与様式も企図される。本明細書で使用する場合、「非経口」という用語は、皮下、静脈内、動脈内、腹膜内、心臓内、髄腔内、および筋肉内注射、ならびに注入注射を含む。
【0166】
非経口投与が利用される事例においては、上述したものよりも幾分大きい、分子量が約500〜30Kダルトンの範囲にある(例えば、分子量が、約500、1000、2000、2500、3000、5000、7500、10000、15000、20000、25000、30000、またはそれ以上である)オリゴマーを用いることが必要となり得る。
【0167】
この投与方法を用いて、本発明の特定の化合物の投与によって治す、または予防することが可能ないかなる状態も治療し得る。当業者は、どの状態を特定の化合物が有効的に治療することができるのかを認識している。例示的な病状には、抗けいれん療法および/または予防法を必要とする病状および疼痛が含まれる。実際の用量は、対象の年齢、体重、および全般の状態、ならびに治療されるべき状態の重篤度、医療関係者の判断、および投与されている複合体によって異なる。治療有効量は、当業者に知られており、および/または関連する参考文書および文献に記載されている。通常、治療有効量は、約0.001mg〜1000mg、好ましくは0.01mg/日〜750mg/日の用量、より好ましくは0.10mg/日〜500mg/日の用量の範囲である。
【0168】
本発明のいかなる所与の化合物(同じく、医薬品の一部として提供されることが好ましい)の単位投与量も、臨床医の判断、患者の要求等に応じて、多岐にわたる投薬スケジュールで投与することができる。特定の投薬スケジュールは、当業者に知られており、または日常的方法を使用して実験的に決定することができる。例示的な投薬スケジュールには、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、週3回、週2回、週1回、月2回、月1回、およびあらゆるそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。臨床的な終了点が達成されると、組成物の投薬は停止される。
【0169】
本明細書に引用される全ての記事、本、特許、特許公報、および他の刊行物は、参照することによりその全体が組み込まれる。本明細書の教示と参照することにより組み込まれる従来技術との間に矛盾が生じた場合には、本明細書の教示の意味および定義を優先するものとする(特に、本明細書に添付される特許請求の範囲に使用される用語に関して)。例えば、本出願および参照することにより組み込まれる刊行物が、同じ用語を異なって定義する場合、その用語の定義は、その定義が位置する文書の教示内に保たれるものとする。
【実施例】
【0170】
実験
本発明は、ある種の好適な特定の実施形態に関して記載されているが、上述の説明およびそれに続く実施例は、例示することを意図したものであり、本発明の範囲を制限するものではないことを理解されたい。本発明の範囲内の他の態様、利点、および改変は、本発明に関係する当業者に明らかである。
【0171】
別途明記しない限り、添付の実施例内に引用される全ての非PEG化学試薬は、市販のものである。PEG−merの調製は、例えば、米国特許出願公開第2005/0136031号に記載されている。
【0172】
H NMR(核磁気共鳴)データは、NMRスペクトロメータにより作成された。
【0173】
実施例1〜5の概要
本発明の例示的な化合物(10、18、22、23、および24、ここでnは、本明細書において定義される通り、例えば、2〜11である)は、実施例1〜5に記載の一般的な手法に従って調製することができる。
【0174】
【化27】

実施例1
mPEGn−O−ラモトリジン(化合物10)の合成
【0175】
【化28】

概略的に、mPEGn−O−ラモトリジン(化合物10)を調製するための手法を以下に提供する。
【0176】
【化29】

記述的に、この手法は、以下の通り、段階的に実行することができる。
【0177】
1−ブロモ−2.3−ジクロロ−5−メトキシベンゼン(化合物2)の合成
【0178】
【化30】

1−ブロモ−2,3−ジクロロ−5−フルオロベンゼン(5.1453g、21.10mmol)を、室温でTHF(25mL)中に溶解し、0℃まで冷却した。次いで、5.1gの水素化ナトリウム(60%、128mmol)を添加し、2.0mLのメタノールをゆっくり添加した。さらにTHF(5mL)を添加した。混合物を、室温で10分間撹拌し、次いで、75℃で4時間加熱し、室温まで冷却した。混合物を、一部のNHCl飽和水溶液とともに、氷中に注ぎ入れ、EtOAc(3×100mL)で抽出した。有機溶液を、ブラインで洗浄し、NaSO上で乾燥させ、乾燥するまで濃縮した。残渣を、溶媒としてヘキサンを用いて、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、収率87%で、白色固体として、生成物(4.6727g)を得た。H−NMR(CDCl):δ7.109(d,J=3.0Hz,1H),6.988(d,J=3.0Hz,1H),3.786(s,3H)。また、生成物を、THF中の1−ブロモ−2,3−ジクロロ−5−フルオロベンゼンおよびナトリウムメトキシドから合成した。最終生成物を、ヘキサンからの再結晶によって精製した。
【0179】
2−(2,3−ジクロロ−5−メトキシフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3−2−ジオキサボロラン(化合物3)の合成
【0180】
【化31】

無水DMSO(100mL)中の1−ブロモ−2,3−ジクロロ−5−メトキシベンゼン(9.3601g、36.6mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(13.3339g、52.0mmol)、酢酸カリウム(10.7268g、109mmol)、および1,1’−[ビス(ビスフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.32g、1.804mmol)の混合物を、95℃で5.5時間撹拌した。混合物を、室温まで冷却し、氷中に注ぎ入れた。混合物を、EtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機溶液を、飽和NaCl溶液(3×150mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、EtOAc/ヘキサンを用いることによって、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、収率88%で、9.6970gの生成物を得た。H−NMR(CDCl):δ7.092(d,J=3.0Hz,1H),7.050(d,J=3.0Hz,1H),3.794(s,3H),1.368(s,9H)。
【0181】
3,5−N,N−ジベンジルアミノ−6−クロロ−1,2,4−トリアジン(化合物6)の合成
【0182】
【化32】

3,5,6−トリクロロ−1,2,4−トリアジン(10.0967g、53.16mmol)を、室温で、ジオキサン(250mL)中に溶解して、黄色溶液を得た。ベンジルアミン(27mL、246mmol)を添加し、白色懸濁液が観察された。結果として生じた混合物を、115℃で5.5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、濾過して、白色固体を除去した。結果として生じた白色固体を、EtOAcで洗浄した。この溶液を濃縮して、17.6979gの粗生成物を得た。粗生成物を、EtOAcで再結晶して、収率94%で、最終生成物として、16.3413gの薄黄色固体を得た。H−NMR(CDCl):δ7.377−7.279(m,10H),5.840(s,1H,NH),5.620(br,1H,NH),4.620(d,J=5.5Hz,4H)。13C−NMR(DMSO):δ151.01,140.09,138.56,128.24,128.11,127.41,127.16,126.85,126.52,43.97,43.04。LC−MS:326.10(MH/z)。
【0183】
N,N−ジベンジル−5−メトキシ−ラモトリジン(化合物7)の合成
【0184】
【化33】

ジオキサン/水(180mL/30mL)中のボロン酸エステル(14.1461g、46.69mmol)、3,5−ジベンジルアミノ−6−クロロ−1,2,4−トリアジン(13.3252g、40.90mmol)、炭酸セシウム(20.3912g、62.0mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.6929g、2.33mmol)の混合物を、85℃で19時間加熱した。混合物を、減圧下で、乾燥するまで濃縮した。残渣を、水と混合し、DCM(約600mL)で抽出した。この時点で、一部の沈殿物が混合物中に残留したため、この混合物を濾過した。固体を少量のアセトンおよびエーテルで洗浄した。固体を、高真空下で乾燥させ、第1の産出の生成物(8.9986g)を得た。母液を、分液漏斗に移した。有機溶液を分離し、水で洗浄し、濃縮して、60%のDCMを除去した。いくらかの沈殿物が観察された。混合物を、ヒートガンを用いて温め、次いで、冷却した。固体を収集して、第2の産出の生成物(5.185g)を得た。H−NMR(CDCl):δ7.368−7.229(m,10H),7.102(d,J=3.0Hz,1H),6.912(d,J=3.0Hz,1H),5.500(br,1H,NH),4.959(br,1H,NH),4.660−4.548(m,4H),3.795(s,3H,OMe)。LC−MS:466.1(MH/z)。
【0185】
N,N−ジベンジル−5−ヒドロキシ−ラモトリジン(化合物8)の合成
【0186】
【化34】

N,N−ジベンジル−5−メトキシラモトリジン(0.5479g、1.175mmol)をDCM(40mL)で混合して、白色懸濁液を得た。混合物を、0℃まで冷却し、次いで、DCM(1.0M溶液)中の三臭化ホウ素(1.75mL、1.75mmol)を添加して、透明な薄黄色溶液を得た。結果として生じた溶液を、室温で4.5時間撹拌した。DCM溶液中の追加量のBBr(2.0mL、2.0mmol)を添加した。混合物を、室温でさらに2時間撹拌した。メタノールを添加して、反応を停止し、反応物を濃縮した。結果として生じた残渣を、DCM中に溶解し、5% NaHCO水溶液を添加した。白色懸濁液を得た。白色懸濁液を含む下層を分離し、上層をDCM(2×15mL)で抽出した。合わせた有機溶液を、飽和NHClで洗浄し、濃縮して、白色残渣を高真空下で一晩乾燥させた。残渣は、いくらかの無機塩を含有するように思われ、その後、EtOAC中に溶解し、水で洗浄した。層の分離は、非常に困難であったが、この時点で、NaHCO水溶液を添加した。有機層を分離し、NaSO上で乾燥させ、濃縮して、0.5322gの粗生成物を得た。TLCに基づき、生成物はなお、不純物を含有していたが、さらに精製せずに、この材料を、次のステップに進めることができる。H−NMR(CDCl):δ7.309−7.234(m,10H),7.096(d,J=1.5Hz,1H),6.987(s,1H),5.767(br,1H,NH),5.294(s,1H,NH),4.700−4.505(m,4H)。LC−MS:450.1(MH/z)。
【0187】
N,N′−ジベンジル−mPEGn−O−ラモトリジン(化合物9)の合成
【0188】
【化35】

N,N−ジベンジル−5−ヒドロキシ−ラモトリジン8(3.05mmol)およびmPEG−Br(3.65mmol、1.2当量)の混合物を、ジクロロメタン中の炭酸カリウム(16.83mmol)の存在下で、室温で17時間撹拌する。混合物を室温まで冷却し、次いで、濾過し、アセトンおよびDCMで洗浄する。溶液を濃縮する。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって精製して、純生成物(化合物9)を得る。
【0189】
mPEGn−O−ラモトリジン(化合物10)の合成
【0190】
【化36】

EtOAc(10mL)中のN,N′−ジベンジル−mPEGn−O−ラモトリジン(0.74mmol)の溶液に、Pd/C(10%)を添加する。混合物を、H雰囲気(30psi)下で、室温で、4.0時間撹拌する。反応混合物をセライト上で濾過し、濾過ケーキをEtOAcで洗浄する。減圧下で溶媒を除去して、対応する芳香族アミン(化合物10)を得る。
【0191】
実施例2
mPEGn−N−ラモトリジン(化合物22)およびmPEGn−N−ラモトリジン(化合物18)の合成
【0192】
【化37】

概略的に、それぞれのmPEGn−N−ラモトリジン(化合物22)およびmPEGn−N−ラモトリジン(化合物18)を調製するための手法を以下に提供する。
【0193】
【化38】

記述的に、mPEGn−N−ラモトリジン(化合物22)を調製するための手法を、以下の通り、段階的に実行することができる。
【0194】
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3−2−ジオキサボロラン(化合物16)の合成
【0195】
【化39】

無水DMSO(88mL)中の1,2−ジクロロ−3−ヨードベンゼン(7.9229g、28.50mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(12.8674g、50.20mmol)、酢酸カリウム(8.0214g、82mmol)、および1,1′−[ビス(ビスフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(1.010g、1.38mmol)の混合物を、室温で10分間、85℃(油浴温度)で4.5時間撹拌した。混合物を、室温まで冷却し、氷中に注ぎ入れた。混合物をEtOAc(3×150mL)で抽出した。合わせた有機溶液を、飽和NaCl(3×100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濃縮した。結果として生じた残渣を、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、収率74.5%で、白色固体として、5.7869gの所望の生成物を得た。H−NMR(CDCl):δ7.557(dd,J=7.0−8.0Hzおよび1.5Hz,1H),7.050(dd,J=7.5−8.0Hzおよび1.5Hz,1H),7.172(d,J=7.5−8.0Hz,1H),1.368(s,9H)。
【0196】
5−N−ベンジルアミノ−3,6−ジクロロ−1,2,4−トリアジン(化合物19)の合成
【0197】
【化40】

3,5,6−トリクロロ−1,2,4−トリアジン(11.6191g、61.2mmol)を、室温でTHF(150mL)中に溶解して、黄色溶液を得た。トリエチルアミン(13.0mL、93mmol)を添加した。溶液を約−10℃(氷/NaCl)まで冷却し、ベンジルアミン(6.6166g、61.4mmol)を添加した。反応混合物を、この温度で30分間、次いで、0℃で30分間撹拌した。混合物を濾過して、固体を除去し、これをEtOAcで洗浄した。合わせた溶液を、乾燥するまで濃縮した。結果として生じた茶色固体を真空下で乾燥させた。粗生成物(17.2841g)を、EtOHから再結晶して、生成物として、13.8653gのピンク色の針状固体を得た。収率は、89%であった。H−NMR(CDCl):δ7.416−7.351(m,5H),6.151(s,1H,NH),4.724(d,J=5.5Hz,2H)。13C−NMR(CDCl),161.79,152.38,142.83,135.79,129.06,128.41,128.32,45.37。LC−MS:255.1(MH/z)。参照:Nyffenegger,C.;Fournet,G.;Joseph,B.Tetrahedron Letters,48,5069−5072,2007。
【0198】
5−N−ベンジルアミノ−3−N−mPEG−6−クロロ−1,2,4−トリアジン(化合物20)の合成
【0199】
【化41】

5−ベンジルアミノ−3,5−ジクロロ−1,2,4−トリアジン(641mg、2.51mmol)を、室温で、ジオキサン(15mL)中に溶解した。トリエチルアミン(0.7mL、5.02mmol)を添加し、その後、mPEG−NH(581.7mg、3.56mmol)を添加した。結果として生じた混合物を、85℃で23時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、濾過し、白色固体を除去し、固体をEtOAcで洗浄した。合わせた有機溶液を濃縮し、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、生成物(0.960g)を得た。H−NMR(CDCl):δ7.395−7.317(m,5H),5.765(s,1H,NH),5.550(br,1H),3.668−3.555(m,12H),3.383(s,3H,OMe)。LC−MS:382.2(MH/z)。
【0200】
5−N−ベンジルアミノ−3−mPEG−N−ラモトリジン(化合物21)の合成
【0201】
【化42】

ジオキサン/水(180mL/30mL)中のボロン酸エステル(46.69mmol)、5−N−ベンジルアミノ−3−N−mPEG−6−クロロ−1,2,4−トリアジン(40.90mmol)、炭酸セシウム(62.0mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.33mmol)の混合物を、85℃で19時間加熱する。混合物を、減圧下で、乾燥するまで濃縮する。残渣を、水と混合し、DCM(約600mL)で抽出する。この時点で、一部の沈殿物が混合物中に残留する場合があるため、この混合物を濾過することができる。固体を少量のアセトンおよびエーテルで洗浄する。次いで、固体を、高真空下で乾燥させて、第1の産生の生成物を得る。母液を、分液漏斗に移す。有機溶液を分離し、水で洗浄し、濃縮して、60%のDCMを除去する。いくらかの沈殿物が観察される場合がある。混合物を、ヒートガンを用いて温め、次いで、冷却することができる。固体を収集して、第2の産生の生成物を得る。
【0202】
mPEG−N−ラモトリジン(化合物22)の合成
【0203】
【化43】

EtOAc(10mL)中の化合物21(0.74mmol)の溶液に、Pd/C(10%)を添加する。混合物を、H雰囲気(30psi)下で、室温で、4.0時間撹拌する。反応混合物をセライト上で濾過し、濾過ケーキをEtOAcで洗浄する。減圧下で溶媒を除去して、対応する芳香族アミン(化合物22)を得る。
【0204】
実施例3
mPEG−N−ラモトリジン(化合物18)の合成のための一般的な手順
【0205】
【化44】

CHOH(10mL)中のラモトリジン(98mg、0.20mmol)(保護されたトリアジン環の3位での−NH基を有する)、およびmPEG−CHO(n=3、5、または7)(0.30mmol)の溶液を、共沸条件下で、85℃で90分間撹拌する(4.0mLのCHOHを除去する)。この期間後、反応混合物を室温まで冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(20当量)を部分的に添加する。混合物を、50℃で2時間撹拌し、次いで、反応を重炭酸ナトリウムで停止させる。150mLのDCMを添加する。溶液をHO(3×150ml)で洗浄する。有機相を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで、減圧下で、濃縮する。残渣を、シリカゲル上でカラムクロマトグラフィーによって精製する。
【0206】
実施例4
mPEG−OCN−ラモトリジン(化合物23)の合成のための一般的な手順
【0207】
【化45】

mPEG−OH炭酸塩活性化:50mLのフラスコの中に、mPEG−OH(約2mmol)を、新たに蒸留されたDCM(3mL)中に溶解する。4−ニトロフェニルクロロギ酸エステルを添加し、均質な溶液を得た後、TEA(1.5当量)を添加する。反応物を、周囲温度で水浴中に保持し、完了するまで分析HPLCによって、反応を観察する。反応を、塩化アンモニウムで停止させ、DCM(20mL×3)で抽出する。混合した有機層を、NaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、生成混合物を得る。残渣は、高真空下で30分間乾燥させた後の反応に、さらに精製せずに使用する。
【0208】
mPEG−OCN−ラモトリジン:上記の炭酸塩前駆体を、アセトニトリル(8mL)および水(8mL)中に懸濁する。ラモトリジン(1当量)(トリアジン環の3位で、保護された−NH基を有する)、およびNaCO(2当量)を添加し、反応物を周囲温度で一晩保持する。完了時に、反応を塩化アンモニウム(50mL)で停止し、塩基性溶液を、10%のHOAcを用いて、pH=6〜7に中和する。次いで、結果として生じた溶液を、DCM(20mL×3)で抽出し、混合した有機層をNaSO上で乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、Biotageフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製する。
【0209】
実施例5
mPEG−O−ラモトリジン(化合物24)の合成のための一般的な手順
【0210】
【化46】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定したまたは分解性の結合を介して、水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した、置換芳香族トリアジンの残基を含む、化合物。
【請求項2】

【化47】

に包含される構造を有し、式中、
およびRに関しては、(i)Rは、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、Rは、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択されるか、あるいは(ii)RおよびRは一緒になって、ハロ、C1−4アルキル、もしくはトリフルオロメチルによって任意選択で置換されたCH=CH−CH=CH−を形成するかのいずれかであり、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】

【化48】

に包含される構造を有し、式中、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】

【化49】

に包含される構造を有し、式中、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】

【化50】

に包含される構造を有し、式中、
およびRに関しては、(i)Rは、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、Rは、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択されるか、あるいは(ii)RおよびRは一緒になって、ハロ、C1−4アルキル、もしくはトリフルオロメチルによって任意選択で置換されたCH=CH−CH=CH−を形成するかのいずれかであり、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択され、
Xは、スペーサ部分であり、
POLYは、水溶性非ペプチドオリゴマーである、請求項1に記載の化合物。

【請求項6】
前記置換芳香族トリアジンの残基は、式
【化51】

に包含される構造を有する置換芳香族トリアジン部分の残基であり、式中、
およびRに関しては、(i)Rは、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、Rは、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択されるか、あるいは(ii)RおよびRは一緒になって、ハロ、C1−4アルキル、もしくはトリフルオロメチルによって任意選択で置換されたCH=CH−CH=CH−を形成するかのいずれかであり、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
10は、水素、ハロ、C1−4アルキル、およびトリフルオロメチルから成る群から選択され、
11は、アミノ、C1−10アシルアミノ、および二置換アミノメチレンアミノから成る群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記置換芳香族トリアジンの残基は、ラモトリジンの残基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記水溶性非ペプチドオリゴマーは、ポリ(アルキレンオキシド)である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
前記ポリ(アルキレンオキシド)は、ポリ(エチレンオキシド)である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
前記水溶性非ペプチドオリゴマーは、約1個〜30個のモノマーを有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
前記水溶性非ペプチドオリゴマーは、約1個〜10個のモノマーを有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
前記ポリ(アルキレンオキシド)は、アルコキシまたはヒドロキシの末端封止部分を含む、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
単一の水溶性非ペプチドオリゴマーが、前記置換芳香族トリアジンの残基に共有結合される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
2つの水溶性非ペプチドオリゴマーが、前記置換芳香族トリアジンの残基に共有結合される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
前記結合は、安定した結合である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
前記結合は、分解性結合である、請求項1〜14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
前記結合は、共有結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
安定したまたは分解性の結合を介して、水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した置換芳香族トリアジンの残基を含む化合物と、任意選択で、薬学的に許容される賦形剤と、を含む、組成物。
【請求項19】
安定したまたは分解性の結合を介して、水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した置換芳香族トリアジンの残基を含む化合物を含む組成物であって、前記化合物が投薬形態で存在する、組成物。
【請求項20】
複合体を作製する方法であって、水溶性非ペプチドオリゴマーを置換芳香族トリアジン部分に共有結合することを含む、方法。
【請求項21】
安定したまたは分解性の結合を介して、水溶性非ペプチドオリゴマーに共有結合した、置換芳香族トリアジンの残基を含む化合物を、哺乳動物に投与することを含む、方法。

【公表番号】特表2012−526847(P2012−526847A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511017(P2012−511017)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/034770
【国際公開番号】WO2010/132691
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(500138043)ネクター セラピューティックス (32)
【Fターム(参考)】