説明

オルガノポリシロキサンの製造方法

【課題】明細書の背景技術に記載した欠点を有さないオルガノポリシロキサンの製造方法を提供する。
【解決手段】第一工程で、テトラクロロシランと、1.0〜7.0モルの一価アルコール及び0〜2モルの水からなる混合物とを反応させ、第二工程で、前記工程で得られた反応混合物と、水中に不溶性の0.95kg/l未満の密度を有する有機溶剤及び式R3SiXのシランと混合し、その際、前記混合物には撹拌しながら水が、Si成分1モルあたり0.2〜100モルの水の量で計量供給され、かつ第三工程で、加水分解の水添加の完了後に、場合によりもう一度、式R3SiXのシラン又は式R3SiOSiR3のジシロキサンを添加してよいオルガノポリシロキサンの製造方法において、第二工程で添加される一官能性シランの使用量が、テトラクロロシラン1モルに対して0.43モルから2モルの間であることによって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロロシランの加水分解及び縮合によるオルガノポリシロキサンの多段階の製造方法に関する。該方法は、その方法で使用されるクロロシランがテトラクロロシラン及びモノクロロシランを含むことを特徴としている。モノクロロシランに代わって、その加水分解生成物であるジシロキサンも使用することができる。加水分解と縮合の後に得られる分岐した構造に基づき、従って、本発明によるオルガノポリシロキサンは、Q単位(四官能性のシロキシ基)及びM単位(一官能性のシロキシ基)を含むシリコーン樹脂(MQ樹脂)である。
【背景技術】
【0002】
既に、3種の根本的に異なる、MQ樹脂の製造方法が知られている。
【0003】
水溶液中での酸性化及びケイ酸ナトリウムの重合と、引き続いての一官能性のシランもしくはジシロキサンの添加による製造は、例えばUS2009093605号(そこに引用された文献を参照)に記載されている。この方法の欠点は、臨界的なプロセスパラメータを守らない場合の、粗悪な空時収量と、黄変の危険性である。更に、かなりの量のナトリウム塩が生成する。
【0004】
基本的に用いられるMQ樹脂への更なる経路(DE4216139号)は、酸及び一官能性シランもしくはジシロキサンの存在下でのアルキルシリケートの加水分解と縮合にある。この方法の欠点は、付加的に必要となるテトラクロロシランからのアルキルシリケートの製造と、その際に使用されるエタノールの後続反応における減損である。それによって付加的な費用が生ずる。
【0005】
原則的に費用がよりかからない製造方法であって、とりわけMQ樹脂が直接的にクロロシランから得られる方法は、DE102005003899号(特に例5、例6を参照)に記載される。この方法の欠点は、反応塔での難しい方法操作である;塔の(一時的な)分離作用の欠乏に際して、非常に迅速にゲル化産物が生じ、その産物は困難にのみ再び除去できるにすぎない。
【0006】
DE102007004838号A1において、クロロシランから部分アルコキシル化工程を経てシリコーン樹脂を製造することが記載されている。本発明の最も近い先行技術である前記方法では、しかしながら、クロロシランとしてテトラクロロシランを使用した場合に、かなりの量のゲル化産物が得られ、その産物は工業的な生産をかなり困難にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】US2009093605号
【特許文献2】DE4216139号
【特許文献3】DE102005003899号
【特許文献4】DE102007004838号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、前記の欠点を有さないオルガノポリシロキサンの製造方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の対象は、オルガノポリシロキサンの製造方法であって、
第一工程で、テトラクロロシランと、テトラクロロシラン1モルあたり1.0〜7.0モルの一価アルコール及びテトラクロロシラン1モルあたり0〜2モルの水、好ましくは0.8モル〜1.2モルの水からなる混合物とを反応させ、その際、反応温度が25〜60℃の範囲にあり、かつ排ガス圧力(Abgasdruck)が、好ましくは1000〜1500hPaであり、
第二工程で、前記第一工程で得られた反応混合物("部分アルコキシル化物")と、水中に不溶性の0.95kg/l未満の密度を有する有機溶剤及び式R3SiX[式中、Rは、同一もしくは異なっていてよく、かつ一価の有機基又は水素を意味し、かつXは、加水分解可能な基、例えば塩素もしくはORなどの基を意味する]の一官能性シランと混合し、その際、前記混合物には撹拌しながら水が、Si成分1モルあたり0.2〜100モルの水の量で計量供給され、かつ
第三工程で、加水分解の水添加の完了後に、場合によりもう一度、式R3SiXの一官能性シラン又は式R3SiOSiR3を有するジシロキサン[式中、R、Xは、上記の意味を有する]を添加してよい、前記オルガノポリシロキサンの製造方法において、
第二工程で添加される一官能性シランの使用量が、テトラクロロシラン1モルに対して0.43モルから2モルの間であることを特徴とする前記製造方法である。
【0010】
本発明の対象は、特に、場合によりなおも付加的なRR′SiO2/2単位からなるブロックを有するMQ樹脂の製造方法であって、先行技術に関して特徴付けた欠点を有さない前記方法である。
【0011】
本発明による方法では、第一工程で、テトラクロロシランと、テトラクロロシラン1モルあたり有利には1.0〜7.0モルの、好ましくは1.2〜6.4モルの、特に好ましくは1.5〜5.0モルの一価アルコール及びテトラクロロシラン1モルあたり有利には0〜2モルの、好ましくは0.5モル〜1.5モルの、特に好ましくは0.8モル〜1.2モルの水からなる混合物とを反応させる。反応操作は、好ましくは、シランとアルコール/水混合物とを同時に、好ましくは既に反応生成物を含む反応容器中に計量供給する様式で行われる。好ましいアルコールは、エタノールである。反応温度は、有利には25〜60℃の範囲であり、好ましくは30〜55℃、特に好ましくは35〜45℃である。反応温度は、場合により外部加熱によって所望の値に調整できる。排ガス圧力は、好ましくは800〜2000hPa、好ましくは1000〜1500hPa、特に好ましくは1100〜1400hPaである。
【0012】
第二工程で、前記第一工程で得られた反応混合物("部分アルコキシル化物")と、水中に不溶性の好ましくは0.95kg/l未満の密度を有する有機溶剤及び式R3SiXの一官能性シラン又は式R3SiOSiR3のジシロキサン[式中、Rは、同一もしくは異なっていてよく、かつ一価の有機基又は水素を意味し、かつXは、加水分解可能な基、例えば塩素もしくはORなどの基を意味する]とを混合する。本発明による方法については、一官能性シランとテトラクロロシランとの使用量のモル比が、好ましくは0.43〜2、有利には0.45〜1.5、特に有利には0.5〜1であり、かつ一官能性シランの添加を、好ましくは水添加の前に行わねばならないということを特徴としている。一官能性シランは、相応の(半分の)モル量の式R3SiOSiR3のジシロキサンと置き換えられてよく、その際、第二工程で添加されるジシロキサンの使用量は、テトラクロロシラン1モルに対して、好ましくは0.22〜1モル、有利には0.225〜0.75モル、特に有利には0.25〜0.5モルである。
【0013】
場合により、前記混合物には、なおも、水供給の前、その間又はその後に、式R2SiX2の二価シラン又はその加水分解産物R′(R2SiO2/2nR′[式中、R、Xは、上述の意味を有し、かつR′は、好ましくは一価の有機基、好ましくはメチル基もしくはビニル基、特に有利にはメチル基もしくは水素であり、かつnは、好ましくは3〜10000の数、有利には20〜1000の数、特に有利には50〜500の数を意味する]が添加されてよい。
【0014】
この混合物には、撹拌しながら、水が、Si成分1モルあたり、好ましくは0.2〜100モルの、有利には1〜10モルの、特に有利には2〜4モルの水の量で計量供給され、その際、場合により水の一部又は全量に、事前にアルコールが、アルコール/水の量比、好ましくは0.2/0.8〜0.8/0.2の量比で混加されている。加水分解の水の最初の半分を、同じ量のアルコールと混ぜて計量供給することが好ましい。
【0015】
第三工程で、加水分解反応の完了後に、場合によりもう一度、式R3SiXの一官能性シラン又は式R3SiOSiR3を有するジシロキサン[式中、R、Xは、上記の意味を有する]を添加してよい。それによって、最終生成物中の残りのシラノール基の含有率は、従来技術に対して更に減らすことができる。一官能性シランの使用量は、第三工程で、使用されるテトラクロロシランに対して、好ましくは0〜20モル%の、有利には0〜10モル%の、0.5〜10モル%の、特に有利には1〜5モル%の範囲である。式R3SiOSiR3を有するジシロキサンの使用量は、使用されるテトラクロロシランに対して、好ましくは0〜10モル%の、有利には0〜5モル%の、0.25〜5モル%の、特に有利には0〜2.5モル%の、0.5〜2.5モル%の範囲である。
【0016】
反応の完了のために、過剰の水を用いて、酸濃度は、水性・アルコール性相でHCl濃度が15質量%未満である範囲内で低減される。有機相を分離して中和し、そして溶剤を場合により留去する。
【0017】
本発明による方法に応じて得られる樹脂がSiH官能基を含まない場合(すなわちRが水素ではない場合)、分子量を高めるためと、シラノール含有率を更に下げるために、引き続き、後のアルカリ平衡を行ってよい。
【0018】
そのために、第三工程で得られた反応生成物を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びテトラメチルグアニジンからなる群から選択される塩基と、水不溶性の有機溶剤、特にトルエン、キシレン又はトリメチルベンゼンの存在下で、溶液の沸点で、かつ好ましくは900〜2000hPaの、有利には900〜1500hPaの、特に有利には900〜1200hPaの圧力で反応させ、その際、水とアルコールは、完全にもしくはほぼ完全に留去される。
【0019】
基R、R1の例は、水素の他に、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基;アルケニル基、例えばビニル基、5−ヘキセニル基、アリル基並びにアクリルオキシアルキル基及びメタクリルオキシアルキル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基及びナフチル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基;アラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基である。
【0020】
好ましくは、基R、R1は、1〜8個の炭素原子を有する炭化水素基、特に有利にはメチル基及びビニル基並びにメタクリルオキシプロピル基である。
【0021】
本方法は、全体で使用される四官能性シロキサン単位の割合が、好ましくは10〜70モル%、有利には30〜65モル%、特に有利には50〜65モル%であり、かつM単位のQ単位に対するモル比が、第二工程の水添加の間に、好ましくは3/7〜2/1であり、かつ第三工程の完了後に、35/65〜2/1であり、有利には4/6〜1/1である点で優れている。
【0022】
本発明による方法の第一工程で使用できる一価アルコールの例は、全て、20℃の温度及び900〜1100hPaの圧力で液状のアルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノールであり、その際、メタノール、エタノール及びブタノールが好ましく、エタノールが特に好ましい。
【0023】
所望であれば、本発明による方法の第一工程において、テトラクロロシラン、水及びアルコールに加えて、更なる物質を使用してもよい。任意に使用される更なる物質の例は、水不溶性の有機溶剤、例えばトルエン又はアルコキシシラン、例えばテトラエトキシシラン又は更なるクロロシラン、例えばトリメチルクロロシランもしくはビニルジメチルクロロシランである。
【0024】
本発明による方法の第一工程において、シラン、水、アルコール及び任意の更なる物質は、任意の方法及び様式で互いに混合させ、反応させ、その際、テトラアルコキシシラン、アルコキシクロロシラン並びにその加水分解物及び縮合物と同様に、気体形の塩化水素、塩化アルキル及びジアルキルエーテルが生じる。この場合、第一工程で生じる塩化水素ガスを、他の方法で、例えばメタノールを用いたクロロメタン(これはまたメチルクロロシラン合成の際に使用される)の製造のために直接使用することができる。塩素は、環境に放出させずに、循環させることができる。
【0025】
第一工程は、断続的にもしくは連続的に実施することができ、その際、断続的な方法様式では好ましくは撹拌される。
【0026】
好ましくは、本発明による方法の第一工程は、しかしながら、連続的にループ型反応器中で実施されるが、特に好ましくは、機械的エネルギーを導入せず、すなわち自然循環のみで実施される。
【0027】
第一工程で得られた反応混合物において、ケイ素成分は、本質的に、塩素官能性の、ヒドロキシ官能性の及びアルコキシ官能性のシラン並びにオリゴシロキサンと、場合によりシクロシロキサンとからなる。更に、該反応混合物は、水、アルコール、塩化水素及び少量の塩化アルキル、ジアルキルエーテル及び任意の更なる物質を含有する。
【0028】
本発明の範囲内では、それぞれ特に記載がない限り、全ての量とパーセンテージの表記は質量に対するものであり、全てのパーセンテージの表記は、全質量に対するものであり、全ての温度は20℃であり、かつ全ての圧力は900〜1100hPa(1.013バール(絶対))である。全ての粘度は25℃で測定される。本発明の範囲内で、密度に関する表記は20℃の温度及び大気圧の圧力、つまり900〜1100hPaの圧力に対するものである。
【0029】
水中に不溶性の有機溶剤とは、本発明の範囲内で、25℃でかつ大気圧、つまり900〜1100hPaの圧力での可溶性が、1g溶剤/100g水を下回るような溶剤であるべきである。
【0030】
本発明による方法で任意に使用される水中に不溶性の有機溶剤の例は、飽和炭化水素、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン又はオクタン並びにその分岐した異性体及び前記飽和炭化水素の混合物及び芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン及びキシレンであり、その際、好ましくはトルエンである。
【0031】
本発明による方法の第二工程では、好ましくは、水不溶性の有機溶剤が使用される。使用される溶剤の量は、使用されるケイ素成分の0.2〜100倍の量、好ましくは0.5〜5倍の量、特に好ましくは0.7〜3倍の量の範囲である。
【0032】
本発明による方法については、十分な量の、式R3SiXの一官能性シラン又は式R3SiOSiR3のジシロキサンを、加水分解反応の開始前に添加することを特徴としている。この添加は、また、既に第一の工程の間に行われていてよい。これは、第一工程で使用されるテトラクロロシラン1モルに対して、好ましくは0.43〜2モルの一官能性シランもしくは0.22〜1モルのジシロキサン、有利には0.45〜1.5モルの一官能性シランもしくは0.225〜0.75モルのジシロキサン、特に好ましくは0.5〜1モルの一官能性シランもしくは0.25〜0.5モルのジシロキサンの量である。一官能性シランは、好ましくはクロロシランもしくはアルコキシシランである。Rは、上述の意味を有する。
【0033】
好ましくは、本発明による方法では、モノアルキルシランは、好ましくは0〜20モル%の、有利には0〜10モル%の量で使用され、特に好ましくはモノアルキルシランは使用されない。
【0034】
本発明による方法の好ましい一実施態様においては、第二工程において、第一工程で得られた反応混合物を、一官能性シランの添加後に、場合によりトルエンと混合し、かつ水を所定の時間にわたり計量供給し、その際、この混合工程は機械的エネルギーの導入により、例えば撹拌機によって実施される。
【0035】
所望であれば、本発明による方法の第二工程において、更なる物質を使用してもよい。任意に使用される更なる物質の例は、特に式R′O(R2SiO)nR′[式中、R′は、上述のRの意味を有するか、又はR3SiO基であり、かつnは、好ましくは3〜10000の範囲であり、有利には5〜5000、特に有利には50〜5000である]のポリシロキサンである。R′の特に好ましい意味は、水素基又はトリメチルシリル基である。
【0036】
第二工程で更なる物質が使用される場合に、第一工程で使用されるケイ素成分100質量部に対して、好ましくは0.01〜1000質量部、特に有利には10〜50質量部の量である。
【0037】
第二工程で添加できる更なる物質としては、アクリレート官能性シランもしくはメタクリレート官能性シランが好ましい。このための例は、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、アクリルオキシプロピルトリメトキシシランである。前記物質は、好ましくは、テトラクロロシランに対して、1〜20モル%の、特に有利には2〜15モル%の、好ましくは5〜15モル%の、殊に有利には5〜10モル%の量で使用される。
【0038】
本発明による方法の更なる特に好ましい一実施態様においては、第二工程で使用される水は、上方から反応器中に供給され、その際、同時に撹拌される。
【0039】
本発明による方法の第二工程は、好ましくは0〜100℃で、特に20〜80℃で、特に有利には20〜60℃で、かつ好ましくは500〜2000hPaの、特に好ましくは600〜1500hPaの、特に有利には800〜1400hPaの圧力で実施される。
【0040】
本発明による方法の第三工程において、場合により式R3SiXの一官能性シランもしくは式R3SiOSiR3のジシロキサン[式中、R、Xは、上述の意味を有する]の更なる添加後に、加水分解/縮合反応は、公知の方法によって、例えば過剰の水での希釈によって又は反応混合物の苛性ソーダ液での中和によって止められる。
【0041】
本発明による方法の第三工程において、場合により溶剤含有のシロキサン相と、水性・アルコール性の塩化水素相との分離が行われる。それは、当業者に公知の方法に従って、例えば反応混合物を、相分離がなされるまで5〜60分間の撹拌させることによって行うことができる。それらの相を、次いで別々に排出し、そして後処理する。
【0042】
こうして得られたシロキサン相は、任意のかつ自体公知の方法に従って、例えば中和、濾過又は全ての易揮発性成分の分離により、有利に蒸留により後処理することができる。易揮発性成分は、本質的に、0.95kg/l未満の密度を有する水中に不溶性の有機溶剤である。更に、例えばシロキサン相から、溶剤の除去により、例えば薄層蒸発器中での蒸留により、濃度を高め、こうしてオルガノポリシロキサン溶液を製造するか又は溶剤を完全に除去して溶剤不含のシロキサンを得ることもできる。
【0043】
本発明による方法により、M単位とQ単位の他になおも多数の別の構造単位を有してよい所定の特性を有するシロキサン樹脂を再現的に製造することができる。他の構造単位としては、好ましくはアルケニル基並びにSi−水素基が該当する。
【0044】
本発明による方法に従って、MQ単位のブロックとD単位("PDMS"ブロック)から構成されているシロキサン樹脂も得ることができる。前記のMQ−PDMS−ブロックコポリマーは、例えばシリコーン接着剤(例えばEP0816463号を参照)において又はいわゆるCRA類("制御放出接着剤樹脂(controlled release additives)")において剥離性(Dehaesiv)被覆で使用される。PDMSは、この関連で、式R(R2SiO)nR[式中、R及びnは、上記意味を有する]を有するポリシロキサンを意味する。
【0045】
コポリマー中のPDMSブロックの長さと組成は、本方法の第二工程("加水分解工程")で使用されるPDMS成分によって決定される。ここで、短鎖PDMS成分によってコポリマー中に短いPDMSブロックが形成され、長いPDMS成分は、同じ反応条件下で、より長いPDMSブロックをもたらす。その他に、第二の反応工程の過程において添加の時点が重要である:
PDMS成分が加水分解の水添加の開始前又は開始時に反応媒体に入れられる場合に、D単位のブロックは、PDMS成分が加水分解の終わりにはじめて過剰の水の添加による反応の中断直前に添加される場合よりも短い鎖へと平衡する。
【0046】
該PDMS成分は、式(R2SiO)nにより、0〜100%の割合が、RHSiO単位からなってよい。
【0047】
有機溶液の形で存在する、場合によりPDMSブロックを含むポリオルガノシロキサン樹脂は、第四工程において、塩基性に反応する化合物の添加によって7より大きいpH値に調整され、アルコール/水/溶剤の混合物の分離下に縮合されうる。得られた生成物は、更に、酸及び/又は開裂して酸を出す化合物の添加によって中和することができる。引き続き、場合によりなおも含まれる水及び溶剤の一部を除去すると同様に、不溶性の成分を分離除去してよい。前記縮合は、好ましくは8〜14の、有利には8〜12の、特に有利には8〜10のpH範囲で、かつトルエン、キシレン又はトリメチルベンゼンの還流温度で、例えば100〜180℃の、有利には120〜180℃の、特に有利には140〜160℃の範囲で、かつ900〜2000hPa、好ましくは900〜1500hPa、特に有利には900〜1300hPaの圧力で実施される。触媒としては、前記反応のために公知のあらゆる化合物を使用してよく、アルカリ水酸化物、例えば水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウム又はアミノ化合物、例えばテトラメチルグアニジンなどの化合物が好ましい。後続の中和のために、通常は、塩酸が使用される。
【0048】
この第四工程は、アミノ官能性シランを反応混合物に加えるという変更が加えられてよい。先に記載した反応条件下で、前記のシランは、樹脂構造中にアミノ官能性シロキサン単位として組み込まれる。
【0049】
前記のアミノ官能性シランは、ポリオルガノシロキサン樹脂に対して、好ましくは0.5〜25質量%、有利には1〜20質量%、特に有利には5〜15質量%の量で使用される。アミノ官能性シランの例は、N−(2−アミノエチル)−N′−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−(2−アミノエチル)−N′−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、3−(トリエトキシシリル)プロピルアミンである。
【0050】
好ましくは、中和の後に、もう一度、共沸的に水を除去し、そして不溶性成分を、大抵は中和により形成された塩が除去される。引き続き、樹脂溶液を溶剤を用いて所望の濃度に調整してよく、それにより使用準備ができる。MQブロックもしくはPDMSブロックの好適な選択によって、溶剤不含の液状樹脂を得ることができる。
【0051】
本発明により製造されるオルガノポリシロキサンは、20℃でかつ900〜1100hPaの圧力で固形又は液状であってよく、ポリスチレン標準に対して測定して好ましくは200〜100000g/モル、特に好ましくは800〜20000g/モルの平均分子量を有する。
【0052】
本発明による方法によって、まず、非常に狭い分子量分布を有するMQ樹脂が、工業的に、すなわち追加の分別法、例えば超臨界二酸化炭素中でのクロマトグラフィーを行わずに得ることができる。前記樹脂は、それによって好ましくはシリコーン接着剤樹脂("Si感圧性接着剤")へと更に加工することができる(それについてはEP0255226号を参照)。第四工程(アルカリ性の後縮合)の後に得られる分子量分布の多分散性(Mw/Mn)は、2.0未満である。
【0053】
好ましくは、本発明により製造されるオルガノポリシロキサンは、式
[(R2SiO)na[R3SiO1/2b[R11/2d[HO1/2e[SiO4/24-b-c-d
[式中、Rは、水素基、メチル基、イソオクチル基又はビニル基であり、R1は、メチル基、エチル基又はブチル基であり、nは、2〜10000であり、aは、0〜2であり、bは、1.4〜2.1であり、dは、0〜0.5であり、eは、0〜0.5であり、その際、1.4<b+c+dである]のオルガノポリシロキサンである。
【0054】
本発明により製造されるオルガノポリシロキサンは、これまでにもMQ樹脂が使用されていたあらゆる目的のために使用することができる。ここで、本発明によるオルガノポリシロキサン樹脂もしくはオルガノポリシロキサン濃縮物は、例えば気泡安定剤として、消泡剤、トナー、塗料系及び被覆系、例えば紙塗工材料などの被覆系への添加剤として使用できる。しかしながら、それらは、疎水化された高分散性ケイ酸に代えて、充填剤として、プラスチック中で、特にシリコーンゴム中で使用することもできる。
【0055】
本発明による方法は、その実施が簡単であり、かつMQ樹脂を高い収率でかつ非常に廉価に製造することができるという利点を有する。
【0056】
本発明による方法は、任意に使用される水不溶性の有機溶剤、塩化水素並びにアルコールを簡単に回収することができるという利点を有する。
【0057】
本発明による方法を用いて、高い貯蔵安定性を有しかつ非常に塩化物が少ないオルガノポリシロキサンが得られる。
【0058】
以下に記載される実施例では、部及びパーセンテージで示される全ての表示は、特に記載がない限り、質量に対するものである。他に記載がない限り、以下の実施例は、周囲大気の圧力で、従って約1000hPaで、かつ室温で、従って約20℃で、もしくは反応物を室温で追加の加熱又は冷却をせずに合わせる場合に生じる温度で実施される。例に挙げられた全ての粘度の記載は、25℃の温度を基準とするものである。
【実施例】
【0059】
例1
撹拌機と、冷媒が−20℃に冷却される強力還流冷却器と、2つの供給導管を備えた3つ口フラスコに、撹拌しながら15分の経過において、同時に236gのテトラクロロシラン及び291gのエタノール(8質量%の含水率を有する)を計量供給する。遊離したHClは冷却器(−20℃)を介して気化(ausgasen)し、凝縮可能分を、反応媒体中に返送し、該反応混合物はアルコキシル化の過程で38℃に温まる。更に10分間にわたり気化させ、次いで300gのトルエン、80gのトリメチルクロロシラン並びに100gのポリジメチルシロキサン(約60のシロキサン単位の鎖長とシラノール末端基を有する)を添加する。引き続き、35分の間に42gのエタノール及び42gの水からなる混合物を添加し、次いで更に15分の間に44gの水を添加する。30分の後反応時間の後に、13.5gのトリメチルクロロシランを入れ、次いで更に5分後に200gの水を添加する。二相の反応混合物の有機相を分離し、活性炭(0.25質量%)、炭酸水素ナトリウム(0.4質量%)並びに濾過助剤と混合して濾過する。濾液から、回転蒸発器で175℃で、10ミリバールで、溶剤を除去する。組成M(0.61)QD(0.88)の、0.61モルのトリメチルシロキシ基("M")と、1モルのシロキシ基("Q")と、0.88モルのジメチルシロキシ基("D")のモル割合からなる、粘度130cStを有する無色の液体220gが得られる(Mw 2400g/モル;Mn 1600g/モル;Dブロックの鎖長:約3のジメチルシロキシ単位;M/Q単位の比率0.6)。
【0060】
例2
撹拌機と、冷媒が−20℃に冷却される強力還流冷却器と、2つの供給導管を備えた3つ口フラスコに、撹拌しながら15分の経過において、同時に236gのテトラクロロシラン及び291gのエタノール(8質量%の含水率を有する)を計量供給する。遊離したHClは冷却器(−20℃)を介して気化し、凝縮可能分を、反応媒体中に返送し、該反応混合物はアルコキシル化の過程で38℃に温まる。更に10分にわたり気化させ、次いで300gのトルエン並びに80gのトリメチルクロロシランを添加する。
【0061】
引き続き、25分で、42gのエタノール及び42gの水からなる混合物を添加し、次いで更に25分の間に44gの水を、次いで100gのポリジメチルシロキサン(約60のシロキサン単位の鎖長とシラノール末端基を有する)を添加する。5分の後反応時間の後に、6.75gのトリメチルクロロシラン及び7.5gのビニルジメチルクロロシランからなる混合物を添加する。更に15分の反応時間の後に、加水分解反応並びに縮合反応を、200gの水の迅速な添加によって中断する。二相の反応混合物の有機相を分離し、活性炭(0.25質量%)、炭酸水素ナトリウム(0.4質量%)並びに濾過助剤と混合して濾過する。濾液から、回転蒸発器で175℃で、10ミリバールで、溶剤を除去する。組成M(0.59)Mvi(0.033)QD(0.93)の、粘度365mPa・s(25℃)、Mw 4600g/モル;Mn 2300g/モル;Dブロックの鎖長:約36のジメチルシロキシ単位を有する無色の液体224gが得られる。
【0062】
例3
撹拌機と、冷媒が−20℃に冷却される強力還流冷却器と、2つの供給導管を備えた3つ口フラスコに、撹拌しながら15分の経過において、同時に236gのテトラクロロシラン及び291gのエタノール(8質量%の含水率を有する)を計量供給する。遊離したHClは冷却器(−20℃)を介して気化し、凝縮可能分を、反応媒体中に返送し、該反応混合物はアルコキシル化の過程で50℃に温まる。更に10分にわたり気化させ、次いで300gのトルエン並びに90gのトリメチルクロロシランを添加する。
【0063】
そこに、引き続き、25分で、42gのエタノール及び42gの水からなる混合物を計量供給し、次いで更に25分の間に44gの水を計量供給する。引き続き、更に3.3gのトリメチルクロロシランの添加を行う。40℃で30分の反応時間の後に、該反応を200gの水の添加により中断し、生じた相を分離する。有機相に、0.25質量%の活性炭、0.4質量%の炭酸水素ナトリウム並びに0.33質量%の濾過助剤を加え、濾過し、そして10ミリバールの真空まで175℃で5分間にわたり蒸発させる。組成M(0.71)Qの、粘度512000mPa・s(40℃)、Mw 1600g/モル、Mn 1300g/モルを有する粘性のあるシリコーン樹脂143gが得られる。
【0064】
例4(例3のアルカリ性の後処理)
例3からのシリコーン樹脂100gを、50gのキシレン中に溶解させ、その溶液に、25%のKOH水溶液0.4gを加え、引き続き常圧下で175℃の温度まで蒸発させ、そしてこの温度で30分間保持する。残留物を引き続き50gのキシレン中に溶解させ、そこに、まず2gの20%HCl水溶液を、次いで0.25質量%の活性炭、0.4質量%の炭酸水素ナトリウム並びに0.33質量%の濾過助剤を加え、最終的に濾過する。溶剤の蒸発除去の後に、95gの無色の固体が得られる。組成M(0.7)QのMQ樹脂は、ゲル透過クロマトグラフィーによれば、以下の分子量:Mw 4400g/モル、Mn 2400g/モルを有する。
【0065】
例5
撹拌機と、冷媒が−20℃に冷却される強力還流冷却器と、2つの供給導管を備えた3つ口フラスコに、撹拌しながら15分の経過において、同時に236gのテトラクロロシラン及び291gのエタノール(8質量%の含水率を有する)を計量供給する。遊離したHClは冷却器(−20℃)を介して気化し、凝縮可能分を、反応媒体中に返送し、該反応混合物はアルコキシル化の過程で50℃に温まる。更に10分にわたり気化させ、次いで300gのトルエン並びに80gのトリメチルクロロシランを添加する。
【0066】
そこに、引き続き、25分で、42gのエタノール及び42gの水からなる混合物を計量供給し、次いで更に25分の間に44gの水を計量供給する。該反応混合物を引き続き30分間反応させ、次いで15gのビニルジメチルクロロシランを添加する。15分(50℃)の反応時間の後に、200gの水を添加し、そして生じた相を分離する。有機相を、活性炭(0.25質量%)、炭酸水素ナトリウム(0.4質量%)並びに濾過助剤と混合して濾過する。濾液から、回転蒸発器で175℃で、10ミリバールで、溶剤を除去する。組成(NMR)M(0.78)Mvi(0.14)Q及び以下の分子量(GPC):Mw 800g/モル、Mn 700g/モルを有する粘性のあるシリコーン樹脂148gが得られる。
【0067】
例6(例5の生成物のアルカリ性の後処理)
例5からのシリコーン樹脂100gを、50gのキシレン中に溶解させ、その溶液に、25%のKOH水溶液0.4gを加え、引き続き常圧下で175℃の温度まで蒸発させ、そしてこの温度で30分間保持する。残留物を引き続き50gのキシレン中に溶解させ、そこに、まず2gの20%HCl水溶液を、次いで0.25質量%の活性炭、0.4質量%の炭酸水素ナトリウム並びに0.33質量%の濾過助剤を加え、最終的に濾過する。溶剤の蒸発除去の後に、93gの無色の固体が得られる。この固体は、NMR分析によれば、組成(NMR)M(0.75)Mvi(0.15)Q及びGPCによる以下の分子量:Mw 4200;Mn 2600を有する。
【0068】
例7
撹拌機と、冷媒が−20℃に冷却される強力還流冷却器と、2つの供給導管を備えた3つ口フラスコに、撹拌しながら15分の経過において、同時に236gのテトラクロロシラン及び291gのエタノール(8質量%の含水率を有する)を計量供給する。遊離したHClは冷却器(−20℃)を介して気化し、凝縮可能分を、反応媒体中に返送し、該反応混合物はアルコキシル化の過程で38℃に温まる。更に5分にわたり気化させ、次いで300gのトルエン、20gの3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Geniosil(登録商標)GF31)並びに80gのトリメチルクロロシランを添加する。
【0069】
そこに、引き続き、10分で、22gのエタノール及び45gの水からなる混合物を計量供給し、次いで更に10分の間に66gの水を計量供給する。次いで、13.5gのトリメチルクロロシラン及び100gのポリジメチルシロキサン(約60のシロキサン単位の鎖長とシラノール末端基を有する)を添加する。30分(40℃)の反応時間の後に、200gの水を添加し、そして生じた相を分離する。有機相を、活性炭(0.25質量%)、炭酸水素ナトリウム(0.4質量%)並びに濾過助剤と混合して濾過する。濾液に、0.1質量%のBHTを加え、そして回転蒸発器で175℃で、10ミリバールで、溶剤を除去する。組成(NMR)M(0.63)D(0.95)T′(0.056)Q(その際、T′はメタクリルオキシプロピルシロキシ基を意味する)の、GPCによれば以下の分子量:Mw 4600g/モル、Mn 2200g/モルを有するメタクリル官能性MQ樹脂253gが得られる。
【0070】
例8
撹拌機と、冷媒が−20℃に冷却される強力還流冷却器と、2つの供給導管を備えた3つ口フラスコに、撹拌しながら15分の経過において、同時に236gのテトラクロロシラン及び291gのエタノール(8質量%の含水率を有する)を計量供給する。遊離したHClは冷却器(−20℃)を介して気化し、凝縮可能分を、反応媒体中に返送し、該反応混合物はアルコキシル化の過程で48℃に温まる。更に10分にわたり気化させ、次いで300gのトルエン並びに120gのトリメチルクロロシランを加え、更に10分にわたり熱を導入せずに(温度32℃)撹拌する。引き続き、10分の間に45gのエタノール及び22gの水からなる混合物を添加し、次いで更に10分の間に65gの水を添加する。次いで、400gのポリジメチルシロキサン(約60のシロキサン単位の鎖長及びシラノール末端基を有する)を添加する。30分の反応時間後に、13.5gのトリメチルクロロシラン並びに更なる400gのポリジメチルシロキサンを添加する。更に5分後に、200gの水を用いて反応を中断する。二相の反応混合物の有機相を分離し、活性炭(0.25質量%)、炭酸水素ナトリウム(0.4質量%)並びに濾過助剤と混合して濾過する。濾液から、回転蒸発器で175℃で、10ミリバールで、溶剤を除去する。組成M(0.88)QD(7.5)の、Mw 7900g/モル;Mn 3700g/モルを有する無色の液体880gが得られる。
【0071】
例9
例8からのシリコーン樹脂300gを、30gのGeniosil(登録商標)GF95及び0.3gの25質量%KOH水溶液と一緒に180gのトルエン中に溶解させる。該溶液を、常圧下で30分にわたり125℃の温度に加熱し、その際、約100mlの液体が留去する。残留物を、引き続き100gのトルエン中に取り、次いでそこに、0.25質量%の活性炭、0.4質量%の炭酸水素ナトリウム並びに0.33質量%の濾過助剤を加え、最終的に濾過する。溶剤を濾液から蒸発除去(175℃まで、10ミリバール、5分)した後に、288gの無色の液体が得られる。この液体は、NMR分析によれば、以下の組成:M(0.85)QD(0.72)DDAEAP(0.21)を有する。その際、DDAEAPは、ジメチルアミノエチレンアミノプロピルメチルシロキシ基を指す。GPCによれば、以下の分子量:Mw 6500;Mn 2800が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルガノポリシロキサンの製造方法であって、
第一工程で、テトラクロロシランと、テトラクロロシラン1モルあたり1.0〜7.0モルの一価アルコール及びテトラクロロシラン1モルあたり0〜2モルの水からなる混合物とを反応させ、
第二工程で、前記第一工程で得られた反応混合物("部分アルコキシル化物")と、水中に不溶性の0.95kg/l未満の密度を有する有機溶剤及び式R3SiX[式中、Rは、同一もしくは異なっていてよく、かつ一価の有機基又は水素を意味し、かつXは、加水分解可能な基を意味する]の一官能性シランと混合し、その際、前記混合物には撹拌しながら水が、Si成分1モルあたり0.2〜100モルの水の量で計量供給され、かつ
第三工程で、加水分解の水添加の完了後に、場合によりもう一度、式R3SiXの一官能性シラン又は式R3SiOSiR3を有するジシロキサン[式中、R、Xは、上記の意味を有する]を添加してよい、前記オルガノポリシロキサンの製造方法において、
第二工程で添加される一官能性シランの使用量が、テトラクロロシラン1モルに対して0.43モルから2モルの間であることを特徴とする前記製造方法。
【請求項2】
第二工程で、前記第一工程で得られた反応混合物("部分アルコキシル化物")と、水中に不溶性の0.95kg/l未満の密度を有する有機溶剤及び式R3SiOSiR3[式中、Rは、同一もしくは異なっていてよく、かつ一価の有機基又は水素を意味する]のジシロキサンと混合し、その際、前記混合物には撹拌しながら水が、Si成分1モルあたり0.2〜100モルの水の量で計量供給され、かつ第二工程で添加されるジシロキサンの使用量が、テトラクロロシラン1モルに対して0.22モルから1モルの間であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第二工程で、上述の使用物質に加えて、水供給の前に、その間に又はその後に、式R2SiX2の二価のシラン又はその加水分解産物R′(R2SiO2/2nR′[式中、R、Xは、上述の意味を有し、かつR′は、一価の有機基もしくは水素であり、かつnは、2〜10000の数を意味する]を添加することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
第二工程で、アクリレート官能性シラン又はメタクリレート官能性シランを、第一工程で使用されるテトラクロロシランに対して1〜20モル%の量で使用することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
第三工程で得られる反応生成物を、8〜14のpHで、塩基及び水不溶性の有機溶剤の存在下で、120℃〜180℃の温度でかつ900〜2000hPaの圧力で反応させ、その際、水とアルコールがほぼ完全に留去されることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
反応生成物が2未満の多分散性を有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
反応を、塩基並びに、第三工程で得られるポリオルガノシロキサン樹脂に対して0.5〜25質量%の量で使用されるアミノ官能性シランの存在下で実施することを特徴とする、請求項5に記載の方法。

【公開番号】特開2013−14764(P2013−14764A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−146376(P2012−146376)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】