説明

オルガノポリシロキサン化合物の製造方法並びにその化合物を用いた硬化性組成物

【課題】紫外線照射によって短時間で硬化し製造安定性にも優れた光硬化性と室温硬化性を備えた硬化性組成物に好適に使用することができるオルガノポリシロキサン化合物の製造方法並びにその化合物を用いた硬化性組成物を提供する。
【解決手段】(A)式(1):


(R1は一価炭化水素基で、互いに同一でも異種の基でもよい。Rは二価炭化水素基。nは2以上)のオルガノポリシロキサンを、(B)分子内に(メタ)アクリル基とイソシアネート基を有する有機化合物と、(C)分子内にメトキシ基とイソシアネート基を有する有機化合物とを混合させてオルガノポリシロキサン化合物を製造するに際し、(A)中のアミノ基当量PNHと(B)及び(C)のイソシアネート基当量PNCOの比を0.8≦(PNCO/PNH)、かつ(B)と(C)のモル比率を0.6≦[(B)/(C)]として(A),(B),(C)を反応させるオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡便な光硬化性と室温硬化性を備えた硬化性組成物に好適なオルガノポリシロキサン化合物の製造方法並びにその化合物を用いた硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
オルガノポリシロキサンが有機過酸化物の存在下での加熱によって耐熱性、耐寒性、耐候性、電気特性の優れたシリコーンゴム弾性体となることはよく知られており、また、オルガノポリシロキサンが光開始剤の存在下に光照射によって硬化するものも知られている。
【0003】
例えば、特公昭52−40334号公報(特許文献1)及び特開昭60−104158号公報(特許文献2)には、ビニル基含有ポリシロキサンとメルカプト基含有ポリシロキサンとを含有してなり、光ラジカル付加反応によって硬化物を形成する紫外線硬化型のオルガノポリシロキサン組成物が開示されている。また特公昭53−36515号公報(特許文献3)及び特開昭60−215009号公報(特許文献4)には、アクリル基含有ポリシロキサンと増感剤とを含有してなり、光照射によって硬化物を形成する光硬化型オルガノポリシロキサン組成物が開示されている。
【0004】
また、特許第2639286号公報(特許文献5)には、末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと(メタ)アクリル官能性アルコキシシランを反応させた硬化性オルガノポリシロキサン化合物を用いた光硬化型オルガノポリシロキサン組成物が開示されている。
【0005】
更に、特許第2782405号公報(特許文献6)においては、末端加水分解性シリル基を有するオルガノポリシロキサンとアクリルオキシアルキルシラノールとを反応させた硬化性オルガノポリシロキサン化合物を用いた光硬化型オルガノポリシロキサン組成物が開示されている。
【0006】
しかしながら、ビニル基含有ポリシロキサンとメルカプト基含有ポリシロキサンとを含有している前記組成物においては、メルカプト基の臭気と金属の腐食性に問題があるためにその用途が限定されるという不利がある。
【0007】
また、アクリル基含有ポリシロキサンと増感剤とを含有している前記組成物においては、ゴム状弾性体を得るためにはアクリル基含有ポリシロキサンとして高分子量の線状ポリシロキサンを用いる必要がある。このために、該ポリシロキサンにおいては末端に位置するアクリル基量が相対的に非常に少なくなり、これに関連して、硬化性が低下する。また空気と接している表面部分が酸素による硬化阻害によって殆ど硬化しないという欠点もある。従って、この種の組成物は、比較的アクリル基量の多いポリシロキサンを使用してレジン状の硬化物を得るものしか実用化されておらず、ゴム状弾性体を得るものについては実用化されていないのが現状である。
【0008】
更に、末端ヒドロキシオルガノポリシロキサンと(メタ)アクリル官能性アルコキシシランを反応させた硬化性オルガノポリシロキサン化合物では、光照射によって硬化物とする場合、両末端を各1個の(メタ)アクリル基で変性したポリマーの硬化性は不十分であり、また深部硬化性が悪い欠点がある。
【0009】
また更に、末端加水分解性シリル基を有するオルガノポリシロキサンとアクリルオキシアルキルシラノールとを反応させたオルガノポリシロキサン化合物を用いた場合、光照射による硬化性は良好であるが、その硬化性オルガノポリシロキサン化合物を得るための原料であるアクリルオキシアルキルシラノールが不安定のため、原料供給性、製造安定性及び組成物の保存安定性に問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公昭52−40334号公報
【特許文献2】特開昭60−104158号公報
【特許文献3】特公昭53−36515号公報
【特許文献4】特開昭60−215009号公報
【特許文献5】特許第2639286号公報
【特許文献6】特許第2782405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、紫外線照射によって短時間で硬化するために、作業性に関しては、従来公知の縮合型、加熱硬化型、白金付加反応型のものに比べて有利であり、かつ硬化性に優れ、製造安定性にも優れた光硬化性と室温硬化性を備えた硬化性組成物に好適に使用することができるオルガノポリシロキサン化合物の製造方法並びにその化合物を用いた硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そこで、本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、(A)両末端にアミノ基を有するオルガノポリシロキサン化合物と、(B)下記一般式(2)又は(3):
【化1】

(式中、R2は水素原子又は炭素数1〜3の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、またR3は炭素数1〜20の非置換又は置換の二価炭化水素基である。)
【化2】

(式中、R2、R3は上記と同様である。)
で表される有機化合物と、
(C)下記一般式(4):
【化3】

(式中、R1、R3は上記の通りであり、R4は炭素数1〜3の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R1、R3及びR4は互いに同一であっても異種の基であってもよい。またpは0又は1である。)
で表される有機化合物とを混合することで、アミノ基とイソシアネート基が常温で迅速に反応し、ウレア結合を形成し、具体的には例えば下記一般式(6)又は(7)のような構造を形成すること、
【化4】

(式中、R、R1、R2、R3、R4、n、pは上記の通りである。)
そして、上記の反応は混合することで容易に起こるため、末端に光硬化性と室温硬化性を備えた硬化性組成物に好適なオルガノポリシロキサン化合物を良好に得ることができることを見出し、その化合物を用いて良好な硬化性組成物が得られることを確認し、本発明をなすに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、
(A)下記一般式(1):
【化5】

(式中、R1は炭素数1〜10の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R1は互いに同一であっても異種の基であってもよい。Rは炭素数1〜10の二価炭化水素基である。nは2以上の整数である。)
で示されるオルガノポリシロキサンを、
(B)下記一般式(2)又は(3):
【化6】

(式中、R2は水素原子又は炭素数1〜3の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、またR3は炭素数1〜20の非置換又は置換の二価炭化水素基である。)
【化7】

(式中、R2、R3は上記と同様である。)
で表される有機化合物と、
(C)下記一般式(4):
【化8】

(式中、R1、R3は上記の通りであり、R4は炭素数1〜3の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、またpは0又は1である。)
で表される有機化合物とを混合させてオルガノポリシロキサン化合物を製造するに際し、上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比を、
0.8≦(PNCO/PNH
とし、かつ、(B)成分と(C)成分のモル比率を
0.6≦[(B)成分/(C)成分]
の範囲内として上記(A),(B),(C)成分を反応させることを特徴とするオルガノポリシロキサン化合物の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、
(D)上記の製造方法により得られたオルガノポリシロキサン化合物:100質量部、
(E)光重合開始剤:0.01〜10質量部、
(F)硬化触媒:0.01〜10質量部、
(G)下記一般式(5):
54-rSiKr (5)
(式中、R5は炭素数1〜10の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Kは加水分解性基であり、rは2〜4の整数である。)
で示されるシラン又はその部分加水分解物:1〜30質量部
を含有してなることを特徴とする硬化性組成物を提供する。
【0015】
この場合、更に(H)煙霧状シリカを(A)成分100質量部に対し0.1〜100質量部を含有することが好ましい。
【0016】
更に、本発明は、上記硬化性組成物の硬化物にて接着及び/又は封止された部品をも提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光硬化性と室温硬化性を備えた硬化性組成物に好適に使用することのできるオルガノポリシロキサン化合物の製造方法によれば、作業性は、従来公知の縮合型、加熱硬化型、白金付加反応型のものに比べて有利であり、かつ簡便に目的とするオルガノポリシロキサン化合物を製造安定性に優れ、低コストで得ることができる。本製造方法により得られるオルガノポリシロキサン化合物を用いて硬化性組成物を作製することにより、紫外線照射によって短時間で硬化すると共に、縮合型でも硬化するため、紫外線が届かないような深部も時間と共に硬化する。本発明のオルガノポリシロキサン化合物の製造方法並びにその化合物を用いた硬化性組成物を使用すれば、従来公知の縮合型、加熱硬化型、白金付加反応型のものに比べて有利であり、シール剤、コーティング剤、ポッティング剤等の用途に合わせた組成物に応用しても極めて有用である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[(A)成分]
(A)成分の両末端にアミノ基を有するポリシロキサンは下記一般式(1)で表され、末端に光硬化性と室温硬化性を備えたオルガノポリシロキサン化合物を得るためのベースオイルである。
【化9】

【0019】
上記式中、R1は炭素数1〜10の非置換又は置換のアルキル基、アリール基、アラルキル基等の一価炭化水素基であり、R1は互いに同一であっても異種の基であってもよい。Rは炭素数1〜10、特に1〜6のアルキレン基等の二価炭化水素基である。また、nは2以上の整数である。ここで、上記のR1は、好ましくはメチル基、エチル基、フェニル基である。また、nは、2以上の整数であり、好ましくは5以上である。nの上限は、特に限定されないが、作業性から10,000が好ましく、より好ましくは2,000、特に好ましくは1,000である。また、用いる(A)成分の粘度は25℃、オストワルド粘度計にて測定した数値が約10mm2/s以上が好ましく、より好ましくは50mm2/s以上である。粘度が低すぎると取扱いづらい上、末端基が多いため、後に反応させる(B)成分、(C)成分の添加量が多くなり、コスト的に不利となることがある。粘度の好ましい上限は、上記重合度に対応する粘度であり、液状であることが反応性、作業性の面より好ましい。
【0020】
[(B)成分]
(B)成分の分子内に(メタ)アクリル基とイソシアネート基を有する有機化合物は、(A)成分と反応させることで末端に光硬化性を備えたオルガノポリシロキサン化合物を得るための必須原料である。(B)成分は、下記一般式(2)及び下記一般式(3)で示される。
【0021】
【化10】

【0022】
式中、R2は独立に水素原子又は炭素数1〜3の非置換又は置換のアルキル基等の一価炭化水素基であり、またR3は独立に炭素数1〜20の非置換又は置換のアルキル基等の二価炭化水素基である。上記のR2としては、水素原子又はメチル基が好ましい。また、上記のR3は、好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3のアルキレン基である。
【0023】
(B)成分は市販品を使用することができ、例えば式(2)の化合物としてカレンズAOI(昭和電工(株)製、式(2)において、R2=水素原子、R3=エチレン基)、式(3)の化合物としてカレンズBEI(昭和電工(株)製、式(3)において、R2=メチル基、R3=メチレン基)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0024】
[(C)成分]
(C)成分の分子内にメトキシ基とイソシアネート基を有する有機化合物は、(A)成分と反応させることで末端に縮合硬化性を備えたオルガノポリシロキサン化合物を得るための必須原料である。(C)成分は、下記一般式(4)で示される。
【化11】

【0025】
上記式中、R1、R3は上記の通りであり、R4は炭素数1〜3の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R1、R3及びR4は互いに同一であっても異種の基であってもよい。またpは0又は1である。ここで、R4はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基から選ばれ、より好ましくはメチル基、エチル基であり、特により短時間で縮合硬化させるためにはメチル基であることが好ましい。他の加水分解性基では硬化性が不十分となる。
【0026】
本発明に係るオルガノポリシロキサン化合物は、上記(A),(B),(C)成分を混合、反応させることによって製造されるが、この場合、上記(A)成分のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比は、下記の範囲内
0.8≦(PNCO/PNH
より好ましくは、
0.9≦(PNCO/PNH)≦1.5
で反応させる。これは、(A)成分と(B)成分及び(C)成分の反応にて紫外線及び/又は縮合にて硬化することが可能なオルガノポリシロキサン化合物が得られるが、上記比率が0.8未満、すなわちアミノ基量が多いと光硬化性や室温硬化性による硬化性が悪くなり、期待する硬化性を得ることができない。また、上記比率にて1.5を超える場合、イソシアネート基化合物が過剰となり、コスト的に不利となってしまう。
【0027】
また、(B)成分と(C)成分のモル比率は下記に示す範囲内
0.6≦[(B)成分/(C)成分]
より好ましくは
0.8≦[(B)成分/(C)成分]≦1.5
で反応させる。これは、(A)成分と(B)成分及び(C)成分の反応にて紫外線及び/又は縮合反応にて硬化することができるオルガノポリシロキサン化合物が得られるが、上記モル比率が0.6未満、すなわち(C)成分が多いと紫外線照射による硬化性が悪くなり、期待する紫外線硬化性を得ることができない。また、上記モル比率にて1.5を超える場合は、光硬化性及び室温硬化性は良好であるものの、コスト的に不利となる。
【0028】
反応は、上記(A)成分と(B)成分、(C)成分を混合すれば容易に起こる。反応温度は加熱や冷却の必要のない室温でよいが、必要により100℃程度まで加熱してもよい。また、反応時間は反応が十分完結すれば特に制限されないが、通常5分〜2時間程度である。
このようにして得られるオルガノポリシロキサン化合物は、例えば下記式(6),(7):
【化12】

(式中、R、R1、R2、R3、R4、n、pは上記の通りである。)
で示されるもので、このオルガノポリシロキサン化合物は、硬化性組成物のベースポリマーとして好適に用いることができる。
【0029】
この場合、この硬化性組成物は、下記(D)〜(G)、更に必要により(H)成分を含むものとすることができる。
(D)上記製造方法により得られたオルガノポリシロキサン化合物:100質量部、
(E)光重合開始剤:0.01〜10質量部、
(F)硬化触媒:0.01〜10質量部、
(G)架橋剤(後述する式(5)のシラン又はその部分加水分解物):1〜30質量部、
任意に
(H)煙霧状シリカ:0.1〜100質量部
【0030】
以下、硬化性組成物の(E)成分以下を詳述する。
【0031】
[(E)成分]
(E)成分の光重合開始剤は、(A)成分と(B)成分、(C)成分が反応することにより得られた光硬化性と室温硬化性を備えたオルガノポリシロキサン化合物(D)中のアクリル基の光重合を促進させるためのものである。これは当業界でよく知られているもの、例えば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、アンスラキノン、トリフェニルアミン、4−メチルアセトフェノン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセトフェノン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセトフェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4−ジメトキシベンゾフェノン、4−クロロ−4−ベンジルベンゾフェノン、3−クロロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメトキシケタール、2−クロロチオキサントーン、ジエチルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]2−モルフォリノ−1−プロパノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン等を使用することができる。
【0032】
この光重合開始剤は、(A)成分と(B)成分、(C)成分の反応より得られたオルガノポリシロキサン化合物(D)100質量部に対し、0.01〜10質量部、特に0.1〜5質量部の量で使用される。0.01質量部未満とすると、その添加効果がないため、光による硬化性が悪くなり、10質量部より多くすると、これから得られるシリコーンゴムが強度の低いものとなって硬化物の物理特性が悪くなるほか、コスト的にも不利となる。
【0033】
[(F)成分]
(F)成分の硬化触媒は、(A)成分と(B)成分、(C)成分が反応することにより得られたオルガノポリシロキサン化合物(D)中のアルコキシ基の硬化を促進させるために使用されるものである。これは当業界でよく知られている湿分の存在下で硬化するシリコーン樹脂組成物に使用されているものと同様の成分の使用が好ましい。(F)成分としては、スズ系触媒、ビスマス系触媒、チタン系触媒が例示され、より好ましくはスズ系触媒、ビスマス系触媒を使用することが好ましい。スズ系触媒の具体例としては、ナフテン酸スズ、カプリル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジオレート、ジフェニルスズジアセテート、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジメトキサイド、ジブチルビス(トリエトキシシロキシ)スズ、ジブチルスズベンジルマレート等を挙げることができ、またビスマス系触媒としてはビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)又はビスマストリス(ネオデカノエート)が好ましい。ここで、チタン系触媒を(F)成分として選択した場合、縮合硬化において問題は起こらないが、光硬化させた場合、チタン原子は紫外線を吸収するため、外観不良が起こることがある。チタン系触媒の具体例としては、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラビス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジプロポキシビス(アセチルアセトナ)チタン、チタンイソプロポキシオクチレングリコール等の、チタン酸エステルやチタンキレート化合物を挙げることができる。
【0034】
これらの硬化触媒の使用量はごく微量の触媒量でよい。例えば(A)成分と(B)成分、(C)成分が反応することにより得られたオルガノポリシロキサン化合物(D)100質量部に対し、0.01〜10質量部、特に0.1〜5質量部の範囲で使用される。
【0035】
[(G)成分]
(G)成分の下記一般式(5)で示されるシラン又はその部分加水分解物は、本発明の組成物において架橋剤として作用するものである。
54-rSiKr (5)
(式中、R5は炭素数1〜10の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Kは加水分解性基であり、rは2〜4の整数である。)
【0036】
上記一般式(5)のR5は、同一又は異種の非置換又は置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基等の一価炭化水素基である。R5としてはビニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基が好ましい。また、Kは加水分解性基である。その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、イソプロペノキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシム基等のアルケニルオキシム基、ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、メチルイソブチルケトオキシム基等のケトオキシム基などが例示される。また、アセトキシ基、プロピオノキシ基、ブチロイロキシ基、ベンゾイルオキシム基等のアシロキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアミノ基、ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基、N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基などで例示される加水分解性基が挙げられる。rは2〜4の整数である。その中でも好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が挙げられ、更に好ましくはメトキシ基が挙げられる。この(G)成分の架橋剤はシラン、この部分加水分解で得られたシロキサンのいずれでもよいし、このシロキサンは直鎖状、分岐状、環状のいずれであってもよく、これらは1種に限定されず、その2種以上を使用してもよい。
【0037】
この(G)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分、(C)成分が反応することにより得られたオルガノポリシロキサン化合物(D)100質量部に対し、1〜30質量部が好ましく、より好ましくは3〜15質量部である。(G)成分が1質量部未満では、この組成物の製造時あるいは保存中にこれがゲル化を起こしたり、この組成物から得られる弾性体が目的とする物性を示さなくなり、逆に30質量部より多くすると、この組成物の硬化時における収縮率が大きくなり、この硬化物の弾性も低くなるので、1〜30質量部の範囲とする必要がある。
【0038】
[(H)成分]
(H)成分の煙霧状シリカは、本組成物に適度な流動性、ゴム物性、接着性を付与するための成分である。
(H)成分は表面が無処理のものでも、処理剤(シラン、シラザン等)にて処理されているものでも、どちらを使用してもよい。しかしながら、(A)成分へ添加し、紫外線が透過しないような煙霧状シリカは、紫外線による硬化を阻害してしまうため、使用しないほうがよい。この(H)成分の配合量は、(A)成分と(B)成分、(C)成分が反応することにより得られたオルガノポリシロキサン化合物(D)100質量部に対し、0.1〜100質量部が好ましく、より好ましくは1〜30質量部、特に好ましくは2〜15質量部である。(H)成分が0.1質量部未満では補強性向上効果が不十分となることがあり、100質量部より多くするとこの組成物の粘度が高くなるため、作業性が低下することがある。
【0039】
[その他の配合剤]
本発明の硬化性組成物は、上述した(D)〜(H)成分以外にも、その硬化性が損なわれない範囲において、それ自体公知の種々の添加剤を配合することができる。例えば、物性を調節する目的においてチクソトロピー付与剤、耐熱性向上剤、着色剤等を添加することもできる。また、接着性を付与させる目的として、公知であるシランカップリング剤を添加し、接着性を付与させることも可能である。シランカップリング剤としては、(メタ)アクリルシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、メルカプトシランカップリング剤等が例示され、具体的には、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が例示される。
【0040】
本発明の硬化性組成物は、上記の各成分を均一に混合することによって得られ、紫外線照射すると1〜20秒間という短時間で容易に硬化してシリコーンゴムとなる。更に大気中の湿分の存在により硬化し、例えば紫外線が届かないような深部も時間と共に硬化する。本発明のオルガノポリシロキサン化合物の製造方法、並びにその化合物を用いた硬化性組成物は、製造が容易かつ安定であるため、得られるオルガノポリシロキサン化合物の製造も容易かつ安定した光硬化性と室温硬化性との両方を備えた硬化性組成物に好適に使用することができるオルガノポリシロキサン化合物を提供できる。この得られるオルガノポリシロキサン化合物を用いた組成物、例えば、シール剤、コーティング剤、ポッティング剤等の用途に合わせた組成物に応用しても極めて有用である。
【実施例】
【0041】
以下の実施例において、反応原料の粘度は、25℃においてオストワルド粘度計にて測定した値、得られたオルガノポリシロキサン化合物の粘度は25℃において回転粘度計にて測定した値を、不揮発分は105℃,3時間の条件に曝した後の質量変化から算出した値を示したものである。また、得られたオルガノポリシロキサン化合物の色調外観を目視にて確認した。得られた光硬化性と室温硬化性を備えたオルガノポリシロキサン化合物の光硬化性を確認する方法は、光硬化性と室温硬化性を備えたオルガノポリシロキサン化合物100質量部に対し、ジエトキシアセトフェノン(光重合開始剤)2質量部を加えて混合した後、紫外線照射装置・ASE−20(日本電池(株)製商品名)を用いて、紫外線を1m/minのスピードで3回照射(照射エネルギー量は約1,500mJ/cm2)させた後、JIS K6249に準じてゴム硬度の測定を行った。また、得られた光硬化性と室温硬化性を備えたオルガノポリシロキサン化合物の縮合硬化性を確認する方法は、密閉条件下にて光硬化性と室温硬化性を備えたオルガノポリシロキサン化合物100質量部に対し、ジブチル錫ジメトキサイド0.1質量部を加えて混合した後、空気中に放置し、JIS A5758に規定する方法に準じてタックフリータイム(指触乾燥時間)を測定した。使用可能な範囲は紫外線照射後の硬度をデュロメーターAで10以上、タックフリータイムを30分間以下と定めて評価を行った。
【0042】
[実施例1]
(A)成分として25℃の粘度が12mm2/sの両末端がアミノ基で封鎖されたオルガノポリシロキサン(商品名;KF−8010、信越化学工業(株)製、式(1)においてR1=メチル基、R=プロピレン基。nは平均で14)100質量部に対し、(B)成分である分子内に1つのアクリル基と分子内に1つのイソシアネート基を有する有機化合物(商品名;カレンズAOI、昭和電工(株)製)16.4質量部と、(C)成分である3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−9007A、信越化学工業(株)製)23.8質量部とを予備混合した後に加え、室温で30分間撹拌し、目的とするオルガノポリシロキサン化合物(1)を得た(以下、ポリシロキサン(1)とよぶ)。
上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比が(PNCO/PNH)=1.0、(B)成分と(C)成分のモル比率は[(B)成分/(C)成分]=1.0である。
【0043】
[実施例2]
(A)成分として25℃の粘度が90mm2/sの両末端がアミノ基で封鎖されたオルガノポリシロキサン(商品名;KF−8012、信越化学工業(株)製、式(1)においてR1=メチル基、R=プロピレン基。nは平均で60)100質量部に対し、(B)成分である分子内に1つのアクリル基と分子内に1つのイソシアネート基を有する有機化合物(商品名;カレンズAOI、昭和電工(株)製)3.2質量部と、(C)成分である3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−9007A、信越化学工業(株)製)4.7質量部とを予備混合した後に加え、室温で30分間撹拌し、目的とするオルガノポリシロキサン化合物(2)を得た(以下、ポリシロキサン(2)とよぶ)。
上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比が(PNCO/PNH)=1.0、(B)成分と(C)成分のモル比率は[(B)成分/(C)成分]=1.0である。
【0044】
[実施例3]
(A)成分として25℃の粘度が90mm2/sの両末端がアミノ基で封鎖されたオルガノポリシロキサン(商品名;KF−8012、信越化学工業(株)製)100質量部に対し、(B)成分である分子内に2つのアクリル基と分子内に1つのイソシアネート基を有する有機化合物(商品名;カレンズBEI、昭和電工(株)製)5.4質量部と、(C)成分である3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−9007A、信越化学工業(株)製)4.7質量部とを予備混合した後に加え、室温で30分間撹拌し、目的とするオルガノポリシロキサン化合物(3)を得た(以下、ポリシロキサン(3)とよぶ)。
上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比が(PNCO/PNH)=1.0、(B)成分と(C)成分のモル比率は[(B)成分/(C)成分]=1.0である。
【0045】
[実施例4]
(A)成分として25℃の粘度が90mm2/sの両末端がアミノ基で封鎖されたオルガノポリシロキサン(商品名;KF−8012、信越化学工業(株)製)100質量部に対し、(B)成分である分子内に1つのアクリル基と分子内に1つのイソシアネート基を有する有機化合物(商品名;カレンズAOI、昭和電工(株)製)2.6質量部と、(C)成分である3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−9007A、信越化学工業(株)製)5.6質量部とを予備混合した後に加え、室温で30分間撹拌し、目的とするオルガノポリシロキサン化合物(4)を得た(以下、ポリシロキサン(4)とよぶ)。
上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比が(PNCO/PNH)=1.0、(B)成分と(C)成分のモル比率は[(B)成分/(C)成分]=0.67である。
【0046】
[実施例5]
(A)成分として25℃の粘度が90mm2/sの両末端がアミノ基で封鎖されたオルガノポリシロキサン(商品名;KF−8012、信越化学工業(株)製)100質量部に対し、(B)成分である分子内に1つのアクリル基と分子内に1つのイソシアネート基を有する有機化合物(商品名;カレンズAOI、昭和電工(株)製)3.8質量部と、(C)成分である3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−9007A、信越化学工業(株)製)3.7質量部とを予備混合した後に加え、室温で30分間撹拌し、目的とするオルガノポリシロキサン化合物(5)を得た(以下、ポリシロキサン(5)とよぶ)。
上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比が(PNCO/PNH)=1.0、(B)成分と(C)成分のモル比率は[(B)成分/(C)成分]=1.5である。
【0047】
[実施例6]
(A)成分として25℃の粘度が90mm2/sの両末端がアミノ基で封鎖されたオルガノポリシロキサン(商品名;KF−8012、信越化学工業(株)製)100質量部に対し、(B)成分である分子内に1つのアクリル基と分子内に1つのイソシアネート基を有する有機化合物(商品名;カレンズAOI、昭和電工(株)製)2.6質量部と、(C)成分である3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−9007A、信越化学工業(株)製)3.8質量部とを予備混合した後に加え、室温で30分間撹拌し、目的とするオルガノポリシロキサン化合物(6)を得た(以下、ポリシロキサン(6)とよぶ)。
上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比が(PNCO/PNH)=0.81、(B)成分と(C)成分のモル比率は[(B)成分/(C)成分]=1.0である。
【0048】
[実施例7]
(A)成分として25℃の粘度が90mm2/sの両末端がアミノ基で封鎖されたオルガノポリシロキサン(商品名;KF−8012、信越化学工業(株)製)100質量部に対し、(B)成分である分子内に1つのアクリル基と分子内に1つのイソシアネート基を有する有機化合物(商品名;カレンズAOI、昭和電工(株)製)4.7質量部と、(C)成分である3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−9007A、信越化学工業(株)製)7.0質量部とを予備混合した後に加え、室温で30分間撹拌し、目的とするオルガノポリシロキサン化合物(7)を得た(以下、ポリシロキサン(7)とよぶ)。
上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比が(PNCO/PNH)=1.48、(B)成分と(C)成分のモル比率は[(B)成分/(C)成分]=1.0である。
【0049】
[比較例1]
実施例2において、(A)成分の代りに25℃の粘度が100mm2/sの両末端が水酸基で封鎖されたオルガノポリシロキサン100質量部に変更し、(B)成分である分子内に1つのアクリル基と分子内に1つのイソシアネート基を有する有機化合物(商品名;カレンズAOI、昭和電工(株)製)3.4質量部と、(C)成分である3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−9007A、信越化学工業(株)製)4.8質量部とを予備混合した後に加え、室温で30分間撹拌し、目的とするオルガノポリシロキサン化合物(8)を得た(以下、ポリシロキサン(8)とよぶ)。
上記(A)成分中の水酸基当量;POHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比が(PNCO/POH)=1.0、(B)成分と(C)成分のモル比率は[(B)成分/(C)成分]=1.0である。
【0050】
[比較例2]
実施例2において、(B)成分である分子内に1つのアクリル基と分子内に1つのイソシアネート基を有する有機化合物(商品名;カレンズAOI、昭和電工(株)製)を1.6質量部と、(C)成分である3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−9007A、信越化学工業(株)製)を2.4質量部に変更したほかは実施例2と同様にして、目的とするオルガノポリシロキサン化合物(9)を得た(以下、ポリシロキサン(9)とよぶ)。
上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比が(PNCO/PNH)=0.50、(B)成分と(C)成分のモル比率は[(B)成分/(C)成分]=1.0である。
【0051】
[比較例3]
実施例2において、(B)成分である分子内に1つのアクリル基と分子内に1つのイソシアネート基を有する有機化合物(商品名;カレンズAOI、昭和電工(株)製)を2.0質量部と、(C)成分である3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン(商品名;KBM−9007A、信越化学工業(株)製)を6.5質量部に変更したほかは実施例2と同様にして、目的とするオルガノポリシロキサン化合物(10)を得た(以下、ポリシロキサン(10)とよぶ)。
上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比が(PNCO/PNH)=1.0、(B)成分と(C)成分のモル比率は[(B)成分/(C)成分]=0.45である。
【0052】
上記実施例及び比較例における試験結果について表1,2にまとめた。
【0053】
【表1】

【0054】
【表2】

【0055】
また、実施例1,2及び比較例2,3により得られたオルガノポリシロキサン化合物の組成物化を以下の手順にて行った。
【0056】
[実施例8]
実施例1にて得られたポリシロキサン(1)140.2質量部に対し、(E)成分であるジエトキシアセトフェノン(光重合開始剤)0.3質量部、(F)成分であるジブチルスズジオクトエート0.2質量部、及び(D)成分であるビニルトリメトキシシラン4質量部を添加し、均一に混合してシロキサン組成物(a)を調製した。
【0057】
[実施例9]
実施例2にて得られたポリシロキサン(2)107.9質量部に対し、(E)成分であるジエトキシアセトフェノン(光重合開始剤)0.3質量部、(F)成分であるジブチルスズジオクトエート0.2質量部、及び(D)成分であるビニルトリメトキシシラン4質量部を添加し、均一に混合してシロキサン組成物(b)を調製した。
【0058】
[実施例10]
実施例2にて得られたポリシロキサン(2)107.9質量部に対し、(E)成分であるジエトキシアセトフェノン(光重合開始剤)0.3質量部、(F)成分であるビスマストリス(ネオデカノエート)0.3質量部、及び(D)成分であるビニルトリメトキシシラン4質量部を添加し、均一に混合してシロキサン組成物(c)を調製した。
【0059】
[比較例4]
比較例2にて得られたポリシロキサン(9)104質量部に対し、(E)成分であるジエトキシアセトフェノン(光重合開始剤)0.3質量部、(F)成分であるジブチルスズジオクトエート0.2質量部、及び(D)成分であるビニルトリメトキシシラン4質量部を添加し、均一に混合してシロキサン組成物(d)を調製した。
【0060】
[比較例5]
比較例3にて得られたポリシロキサン(10)108.5質量部に対し、(E)成分であるジエトキシアセトフェノン(光重合開始剤)0.3質量部、(F)成分であるジブチルスズジオクトエート0.2質量部、及び(D)成分であるビニルトリメトキシシラン4質量部を添加し、均一に混合してシロキサン組成物(e)を調製した。
【0061】
得られたシロキサン組成物(a)〜(e)に紫外線照射装置・ASE−20(日本電池(株)製商品名)を用いて、紫外線を1m/minのスピードで3回照射(照射エネルギー量は約1,500mJ/cm2)し硬化させ(紫外線硬化)、更に23±2℃,50±5%RHの条件で7日間硬化を行い(RTV硬化)、ゴム物性をJIS K6249に準拠して測定した。また、未硬化状態での保存性を確認するために、上記の各未硬化物を70℃で7日間保存した後に同様の手法にて硬化させ、同様にゴム物性を測定した。また、得られたゴムに対し、各種耐久試験を行い、ゴム物性の確認を行った。耐久条件試験は下記に示す条件で行った。
耐熱試験;150℃×1,000時間
耐湿試験;85℃,85%RH×1,000時間
【0062】
上記の結果を表3に示す。
【0063】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1):
【化1】


(式中、R1は炭素数1〜10の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、R1は互いに同一であっても異種の基であってもよい。Rは炭素数1〜10の二価炭化水素基である。nは2以上の整数である。)
で示されるオルガノポリシロキサンを、
(B)下記一般式(2)又は(3):
【化2】

(式中、R2は水素原子又は炭素数1〜3の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、またR3は炭素数1〜20の非置換又は置換の二価炭化水素基である。)
【化3】

(式中、R2、R3は上記と同様である。)
で表される有機化合物と、
(C)下記一般式(4):
【化4】

(式中、R1、R3は上記の通りであり、R4は炭素数1〜3の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、またpは0又は1である。)
で表される有機化合物とを混合させてオルガノポリシロキサン化合物を製造するに際し、上記(A)成分中のアミノ基当量;PNHと(B)成分及び(C)成分のイソシアネート基当量;PNCOの比を、
0.8≦(PNCO/PNH
とし、かつ、(B)成分と(C)成分のモル比率を
0.6≦[(B)成分/(C)成分]
の範囲内として上記(A),(B),(C)成分を反応させることを特徴とするオルガノポリシロキサン化合物の製造方法。
【請求項2】
(D)請求項1記載の製造方法により得られたオルガノポリシロキサン化合物:100質量部、
(E)光重合開始剤:0.01〜10質量部、
(F)硬化触媒:0.01〜10質量部、
(G)下記一般式(5):
54-rSiKr (5)
(式中、R5は炭素数1〜10の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、Kは加水分解性基であり、rは2〜4の整数である。)
で示されるシラン又はその部分加水分解物:1〜30質量部
を含有してなることを特徴とする硬化性組成物。
【請求項3】
更に、(H)煙霧状シリカを(A)成分100質量部に対し0.1〜100質量部を含有することを特徴とする請求項2記載の硬化性組成物。
【請求項4】
上記請求項2又は3記載の硬化性組成物の硬化物にて接着及び/又は封止された部品。

【公開番号】特開2013−112750(P2013−112750A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260559(P2011−260559)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】