説明

オルガノポリシロキサン水分散体の製造方法

【目的】
多量の乳化剤及び有機溶剤を使用しなくても安定に製造できるオルガノポリシロキサン水分散体の製造方法、該水分散体を含む水性樹脂組成物及び該水性樹脂組成物を含む水性塗料組成物を提供する。
【解決手段】
(A)加水分解性シリル基を含有しないオルガノポリシロキサン及び(B)重合性不飽和モノマーを含む混合物(I)を、水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させ、得られる乳化物を重合させることを特徴とするオルガノポリシロキサン水分散体の製造方法、加水分解性シリル基を含有しないオルガノポリシロキサンとしては、ポリエーテル変性シリコーンオイルであることが望ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオルガノポリシロキサン水分散体の製造方法、該水分散体を含む水性樹脂組成物及び該水性樹脂組成物を含む水性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシロキサン鎖を有するオルガノポリシロキサンとしてシリコーンオイルは、撥水性、防汚性等の機能を有することから、コーティング分野、離型分野等において広く使用されている。近年、環境問題への対策からその水性化が試みられており、例えば特許文献1には特定の乳化剤を用いて水中にシリコーンオイルを分散することにより得られるシリコーンエマルジョンが記載されている。
【0003】
しかしながら、該シリコーンエマルジョンを含む水性塗料組成物は、乳化剤を多く含むことから形成塗膜の耐水性、強度、再塗装時の塗り重ね性が不十分な場合があった。
【0004】
また、特許文献2には、特定のマクロモノマーとポリジメチルシロキサンを含むアクリル酸エステル系共重合エマルジョンを含有するトップコート剤が記載されている。かかるトップコート剤によれば、耐汚染性、耐水性等に優れる塗膜を形成することができるが、該コート剤を水中構造物に塗装した場合などにおいては、ポリジメチルシロキサンが塗膜表面に徐々に染み出していく速度が遅く、フジツボをはじめとする海中生物の付着を防止することが困難な場合があった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−188055号公報
【特許文献2】特開平5−194911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、多量の乳化剤及び有機溶剤を使用しなくても安定に製造できるオルガノポリシロキサン水分散体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記した問題点に関し鋭意検討した結果、特定のオルガノポリシロキサン及び重合性不飽和モノマーを含む混合物を水性媒体中に特定の平均粒子径となるように微分散し、得られる乳化物を重合する方法により、上記した課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
即ち本発明は
1. (A)加水分解性シリル基を含有しないオルガノポリシロキサン及び(B)重合性不飽和モノマーを含む混合物(I)を、水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させ、得られる乳化物を重合させることを特徴とするオルガノポリシロキサン水分散体の製造方法、
2. 加水分解性シリル基を含有しないオルガノポリシロキサン(A)が、ポリエーテル変性シリコーンオイルであることを特徴とする1項に記載の製造方法、
3. 重合性不飽和モノマー(B)が、シロキサン含有重合性不飽和モノマー及び/又はアルキルフッ素基含有重合性不飽和モノマー(b1)を含有する1項または2項に記載の製造方法、
4. シロキサン含有重合性不飽和モノマーが、式(1)で表される化合物である3項に記載の製造方法、
【0008】
【化1】

【0009】
式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表わし、Rは水素原子又はメチル基を表わし、nは、シロキサン単位の繰り返し数を意味しており、6〜300、好ましくは6〜130の範囲内の数である。
5. シロキサン含有重合性不飽和モノマーが、式(2)で表される化合物である3項に記載の製造方法、
【0010】
【化2】

【0011】
式中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表わし、Rは水素原子又はメチル基である。
6. シロキサン含有重合性不飽和モノマーが、トリアルコキシシラン及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーを反応させることにより得られる生成物である3項に記載の製造方法、
7. 重合性不飽和モノマー(B)が、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b2)を含有する1項ないし6項のいずれか1項に記載の製造方法、
8. 混合物(I)が、防汚剤(C)をさらに含有する1項ないし7項のいずれか1項に記載の製造方法、
9. 1項ないし8項のいずれか1項に記載の製造方法により得られるオルガノポリシロキサン水分散体、
10. 9項に記載のオルガノポリシロキサン水分散体を含有する水性樹脂組成物、
11. 10項に記載の水性樹脂組成物を含有する水性塗料組成物、
12. 被塗面に、11項に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法、
13. 被塗面が、水中構造物表面である12項に記載の塗膜形成方法、
14. 12項または13項に記載の塗膜形成方法により得られる塗装体、
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のオルガノポリシロキサン水分散体の製造方法によれば、多量の乳化剤を使用しなくても製造安定性、貯蔵安定性が共に良好な分散体を得ることができる。該分散体を含む水性樹脂組成物及びそれを含む水性塗料組成物は、防汚性、塗り重ね性に優れるものであり、被塗面の美観の維持に役立つものである。本発明のオルガノポリシロキサン水分散体を含む水性塗料組成物から形成される塗膜が硬化・乾燥する際の塗膜収縮、或いは、外部からの抵抗を受けた場合などの要因により、塗膜中のオルガノポリシロキサンが表面に滲み出すことができ、塗膜に対する異物の付着を抑制することが可能であると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、(A)加水分解性シリル基を含有しないオルガノポリシロキサン及び(B)重合性不飽和モノマーを含む混合物(I)を水性媒体中に500nm以下となるように微分散させ、得られる乳化物を重合する方法である。
【0014】
また、重合時に使用する水性媒体としては、水、又は水を主体としてこれに水溶性有機溶媒などの有機溶媒を混合してなる水−有機溶媒混合溶液などを挙げることができる。
【0015】
オルガノポリシロキサン(A)
本発明において、オルガノポリシロキサン(A)としては、加水分解性シリル基を含有しないオルガノポリシロキサンであり、例えば一般にシリコーンオイルとして知られているポリシロキサン鎖を有する化合物を挙げることができる。
【0016】
このようなシリコーンオイルとしては、例えば有機基及び/又は水素を含有するジアルコキシシランを原料の主成分として縮合反応することにより製造される直鎖状のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。該有機基としては、同一又は異なって炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基又はフルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、高級脂肪酸エステル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メルカプト基等を挙げることができる。
【0017】
該シリコーンオイルとして具体的には、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジエンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アルキルアラルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、アクリル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル等が挙げられ、これらは、単独で用いてもよく、また、2種以上併用してもよい。
【0018】
上記シリコーンオイルは、本発明の水分散体の製造安定性及び該分散体を含む水性塗料による塗膜の防汚性の点から、1〜2000mm/s以下、好ましくは20〜1,000mm/s程度の動粘度を有するものが適当である。動粘度は、試料の温度を25℃にし、JIS K 2283 動粘度試験方法に準拠して、キャノン−フェンスケ型粘度計ホルダーを用いて該試料の流出時間を測定することにより算出した値である。
【0019】
本発明において、本発明の水分散体を用いて形成される塗膜からの該オルガノポリシロキサン(A)の染み出し速度及び長期の防汚性の点から、上記オルガノポリシロキサン(A)としては、ポリエーテル変性シリコーンオイルであることが望ましく、中でもHLB値が0.1〜9.0、好ましくは0.1〜4.5の範囲内であるポリエーテル変性シリコーンオイルであることが望ましい。本明細書において、HLB値は、下記式に基づいて算出した値とする。
HLB値={(分子中のポリオキシアルキレン基の重量)×100}/{オルガノポリシロキサンの重量×5}。
【0020】
また、上記オルガノポリシロキサン(A)は、分子量が、200〜1,000、好ましくは300〜700の範囲内である非反応性の直鎖状又は環状のオルガノポリシロキサンであってもよい。かかるオルガノポリシロキサンとして具体的には、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン等の直鎖状ポリシロキサン;デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状ポリシロキサンなどを挙げることができ、単独でもしくは複数組み合わせて使用できる。
【0021】
重合性不飽和モノマー(B)
本発明において、重合性不飽和モノマー(B)は、本発明のオルガノポリシロキサン水分散体の壁膜となりうる成分であり、分子中に1個以上好ましくは1個の重合性不飽和基を含有する化合物を挙げることができる。重合性不飽和基としては、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられ、重合性不飽和モノマー(B)として具体的には、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基含有重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基含有重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマー;ポリシロキサン鎖含有重合性不飽和モノマー等のシロキサン含有重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のアルキルフッ素基含有重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、さらにグリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの炭素数2〜8個のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記炭素数2〜8のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー:分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基含有重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなど2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、或いは2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性官能基を有する重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基含有重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼン等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物等;脂肪酸変性重合性不飽和モノマー等が挙げられ、これらは所望の性能に応じて単独でもしくは2種以上を適宜使用される。
【0022】
本発明において、オルガノポリシロキサン水分散体の製造安定性及びそれを用いて形成される塗膜の防汚性の点から、上記オルガノポリシロキサン(A)と重合性不飽和モノマー(B)の使用割合は、オルガノポリシロキサン(A)/重合性不飽和モノマー(B)重量比で1/99〜90/10、好ましくは10/90〜90/10、さらに好ましくは10/90〜50/50の範囲内が好適である。
【0023】
また、形成塗膜の防汚性及び汚れ除去性の点から、重合性不飽和モノマー(B)が、シロキサン含有重合性不飽和モノマー及び/又はアルキルフッ素基含有重合性不飽和モノマー(b1)を含有することが望ましい。
【0024】
上記シロキサン含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば式(1)で表される化合物を挙げることができる。
【0025】
【化3】

【0026】
式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表わし、Rは水素原子又はメチル基を表わし、nは、シロキサン単位の繰り返し数を意味しており、6〜300、好ましくは6〜130の範囲内の数である。また、上式(1)で表されるポリシロキサン鎖含有重合性不飽和モノマーの数平均分子量としては、約23,000以下程度、特に700〜10,000の範囲内であることができる。該モノマーを使用する場合はその使用量としては、重合性不飽和モノマー(B)中、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲内が好適である。
【0027】
本明細書において、数平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィにより測定した数平均分子量をポリスチレンの数平均分子量を基準にして換算したときの値である。ゲルパーミュエーションクロマトグラフィに用いるカラムとしては、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)を挙げることができる。
【0028】
また、シロキサン含有重合性不飽和モノマーとして、式(2)であらわされる化合物を挙げることができる。
【0029】
【化4】

【0030】
式中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表わし、Rは水素原子又はメチル基である。該モノマーを使用する場合はその使用割合としては、重合性不飽和モノマー(B)中、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲内が好適である。
【0031】
また、シロキサン含有重合性不飽和モノマーとして、トリアルコキシシラン及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーを反応させることにより得られる生成物も挙げることができる。トリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン等が挙げられ、アルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーとしては、γ−メタクリロイルオキプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシブチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0032】
上記反応生成物において、トリアルコキシシラン及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーの使用割合は、トリアルコキシシラン及びアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマーの合計量にもとづいて、トリアルコキシシランが70〜99.999モル%、好ましくは90〜99.9モル%、より好ましくは95〜99モル%、アルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマーが30〜0.001モル%、好ましくは10〜0.1モル%、より好ましくは5〜1モル%の範囲内であることが望ましい。反応は、必要に応じて触媒、重合禁止剤、有機溶媒、水性媒体を用いて加熱攪拌することにより行われる。上記の通り得られる反応生成物は400〜100000、好ましくは1000〜20000の範囲内の数平均分子量を有することができる。該モノマーを使用する場合はその使用割合は、重合性不飽和モノマー(B)中、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲内が好適である。
【0033】
また、重合性不飽和モノマー(b1)において、アルキルフッ素基含有重合性不飽和モノマーとしては、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等、フルオロオレフィン等を挙げることができる。該モノマーを使用する場合はその使用割合としては、重合性不飽和モノマー(B)中、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲内が好適である。
【0034】
本発明においては、重合性不飽和モノマー(B)は、その成分の一部として脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b2)を含むことが好適である。
【0035】
上記脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b2)としては、混合物(I)の乳化時の微粒化を容易にし、また、重合段階において微粒化後の乳化物を安定化させ、混合物(I)中の成分が重合場である乳化物から水性媒体中へ拡散するのを抑制させるため、そして、製造される水分散体を用いて形成される塗膜を軟質化させ、溶出速度を調整させることができ、また、オルガノポリシロキサン水分散体を用いて形成される塗膜に酸化硬化性を付与させる場合においては、酸化硬化基を導入するために使用されるものであり、脂肪酸由来の炭化水素鎖の末端に重合性不飽和基を有する重合性不飽和モノマーが包含される。ここで、重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などを挙げることができ、特に(メタ)アクリロイル基が好適である。
【0036】
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b2)としては、例えば、脂肪酸とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー又は水酸基含有重合性不飽和モノマーとの反応生成物を挙げることができる。
【0037】
脂肪酸としては、炭化水素鎖の末端にカルボキシル基が結合した構造を有しているものが挙げられ、例えば、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸、不乾性油脂肪酸を挙げることができる。乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸は、厳密に区別できるものではないが、通常、乾性油脂肪酸はヨウ素化が130以上の不飽和脂肪酸であり、半乾性油脂肪酸はヨウ素化が100以上かつ130未満の不飽和脂肪酸である。他方、不乾性油脂肪酸は、通常、ヨウ素価が100未満である脂肪酸である。
【0038】
乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸等が挙げられ、また、不乾性油脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。さらに、これらの脂肪酸は、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等と併用することができる。
【0039】
本発明において、形成塗膜の硬化性を向上させる目的から、該脂肪酸としては乾性油脂肪酸及び/又は半乾性油脂肪酸であることが望ましい。
【0040】
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b2)を製造するために上記脂肪酸と反応させうるエポキシ基含有重合性不飽和モノマーとしては、1分子中に1個のエポキシ基と1個の重合性不飽和基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β一メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0041】
上記脂肪酸とエポキシ基含有重合性不飽和モノマーは、脂肪酸中のカルボキシル基とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー中のエポキシ基との当量比が0.75:1〜1.25:1、好ましくは0.8:1〜1.2:1の範囲内となるような割合で反応させることができる。
【0042】
上記脂肪酸とエポキシ基含有重合性不飽和モノマーとの反応は、通常、重合禁止剤の存在下に、ゲル化などの反応上の問題を起こすことなく、脂肪酸成分中のカルボキシル基とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー中のエポキシ基とが円滑に反応できる条件下で行うことができ、通常、約100〜約180℃の温度で約0.5〜約10時間加熱することにより行うのが適している。
【0043】
この反応において、N,N−ジメチルアミノエタノール等の3級アミン、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩等のエステル化反応触媒を用いることができ、さらに、反応に対して不活性な有機溶剤を使用してもよい。
【0044】
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロカテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのヒドロキシ化合物;ニトロベンゼン、ニトロ安息香酸、o−,m−又はp−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、2,4−ジニトロフェノール、トリニトロベンゼン、ピクリン酸などのニトロ化合物;p−ベンゾキノン、ジクロロベンゾキノン、クロルアニル、アンスラキノン、フェナンスロキノンなどのキノン化合物;ニトロソベンゼン、ニトロソ−β−ナフトールなどのニトロソ化合物等のそれ自体既知のラジカル重合禁止剤が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0045】
また、脂肪酸変性重合性モノマー(b2)は、上記脂肪酸を水酸基含有重合性不飽和モノマーとエステル化反応させることによっても得ることができる。かかる水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、1分子中に1個の水酸基と1個の重合性不飽和基を有する化合物が包含され、具体的には例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記炭素数2〜8のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基含有(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0046】
上記脂肪酸と水酸基含有重合性不飽和モノマーは、通常、該脂肪酸中のカルボキシル基対水酸基含有モノマー中の水酸基との当量比が0.4:1〜1.25:1、好ましくは0.5:1〜1.2:1の範囲内となるような割合で反応させることができる。
【0047】
上記脂肪酸と水酸基含有重合性不飽和モノマーとの反応は、通常、重合禁止剤の存在下に、ゲル化などの反応上の問題を起こすことなく、脂肪酸成分中のカルボキシル基と水酸基含有重合性不飽和モノマー中の水酸基とが円滑に反応できる条件下で行うことができ、通常、エステル化触媒の存在下に、約100〜約180℃の温度で約0.5〜約10時間加熱することにより行うのが適している。エステル化触媒としては、例えば、硫酸、硫酸アルミニウム、硫酸水素カリウム、アルキル置換ベンゼン、塩酸、硫酸メチル、リン酸等が挙げられ、これらの触媒は、通常、反応させる上記脂肪酸と水酸基含有重合性不飽和モノマーの合計量を基準にして、約0.001〜約2.0重量%の範囲内で使用することができる。さらに、反応に対して不活性な有機溶剤を使用することもできる。
【0048】
上記重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロカテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのヒドロキシ化合物;ニトロベンゼン、ニトロ安息香酸、o−,m−又はp−ジニトロベンゼン、2,4−ジニトロトルエン、2,4−ジニトロフェノール、トリニトロベンゼン、ピクリン酸などのニトロ化合物;p−ベンゾキノン、ジクロロベンゾキノン、クロルアニル、アンスラキノン、フェナンスロキノンなどのキノン化合物;ニトロソベンゼン、ニトロソ−β−ナフトールなどのニトロソ化合物等のそれ自体既知のラジカル重合禁止剤が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0049】
本発明においては、脂肪酸のカルボキシル基とエポキシ基含有重合性不飽和モノマーのエポキシ基が反応することにより2級水酸基が生成することから、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b2)としては、脂肪酸とエポキシ基含有重合性不飽和モノマーとの反応生成物であることが望ましい。このようにして生成された該2級水酸基により形成塗膜における基材との付着性を向上させることができるものである。
【0050】
上記脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b2)を使用する場合はその使用割合は、重合性不飽和モノマー(B)中0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%が好適である。
【0051】
オルガノポリシロキサン水分散体
本発明において、混合物(I)はオルガノポリシロキサン(A)及び重合性不飽和モノマー(B)を必須成分として含有するものであり、オルガノポリシロキサン水分散体を含む水性塗料組成物を例えば水中構造物などに適用する場合などはさらに防汚剤(C)を含有することもできる。これにより、該防汚剤(C)がオルガノポリシロキサン(A)と共に塗膜から溶出あるいは染み出し、形成塗膜に付着した海中生物などの異物を忌避せしめることができるものである。該防汚剤(C)としては、例えば、トリフェニルボロン・アミン錯体、テトラフェニルボロン・アンモニウム塩、トリフェニルボロンピリジン塩等のボロン系化合物;ジンクピリチオン、銅ピリチオン等の金属ピリチオン系化合物;テトラメチルチウラムジスルファイド等の含窒素硫黄系化合物;ジンクジメチルジチオカーバメート、マンガン−2−エチレンビスジチオカーバメート等の金属ジチオカルバミン酸化合物;2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル等のニトリル系化合物;N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素等の尿素系化合物、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾリン系化合物;2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド等のマレイミド系化合物;2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン等のトリアジン系化合物;塩基性酢酸銅、亜鉛化銅、チオシアン銅、銅粉末等の銅系防汚剤;ベンゾチアゾール系化合物等が挙げられ、単独でもしくは2種以上併用して使用することができる。
【0052】
上記防汚剤(C)を使用する場合はその使用量としては、オルガノポリシロキサン(A)および重合性不飽和モノマー(B)の合計重量に対して、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%が好適である。
【0053】
上記混合物(I)は、水性媒体に分散されるが、必要に応じて乳化剤を含んでいてもよい。該乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤が好適であり、該アニオン性乳化剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられる。またこれらアニオン性基とポリオキシアルキレン鎖等のノニオン性基を1分子中に有するアニオン性乳化剤や該アニオン性基と重合性不飽和基とを1分子中に有する反応性アニオン性乳化剤を使用してもよい。該乳化剤の量は重合性不飽和モノマー(B)に対して0.5〜10重量%程度である。
【0054】
また、上記混合物(I)は、重合性不飽和モノマー(B)からなる(共)重合体の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤を含むことができる。該連鎖移動剤としては、メルカプト基を有する化合物が挙げられ、具体的にはラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、メルカプトエタノ−ル、チオグリセロ−ル、メルカプト酢酸(チオグリコ−ル酸)、メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0055】
また、混合物(I)には上記成分以外に、紫外線吸収剤及び/又は紫外線安定剤等の添加剤;金属ドライヤー等の硬化触媒;顔料、染料等の着色剤;イソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂等の硬化剤;ヘキサデカン等の長鎖飽和炭化水素系溶剤、ヘキサデカノール等の長鎖アルコール系溶剤、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、グリセリン等の有機溶剤;等を含んでいてもよい。
【0056】
上記混合物(I)は、水性媒体中に微分散されることによりオルガノポリシロキサン(A)及び重合性不飽和モノマー(B)を含有する粒子分散物である乳化物(以下「乳化物」と略称することがある)が形成される。得られる乳化物の平均粒子径は500nm以下であり、好ましくは100〜300nmの範囲内が好適である。500nmを超えると、乳化物の重合安定性が不十分になり、得られるオルガノポリシロキサン分散体粒子の親水−疎水組成分布の不均一性が極端になるので好ましくない。
【0057】
本明細書において平均粒子径は「SALD−3100」(商品名、島津製作所社製、レーザー回折式粒度分布測定装置)にて、試料を脱イオン水にて希釈して、20℃にして測定した値とし、また、微粒化された混合物(I)の乳化物又は樹脂分散体の平均粒子径の測定は、それぞれ製造後30分経過した時点で行うものとする。
【0058】
上記乳化物において、平均粒子径が上記範囲内であれば、分散方法に制限はないが、例えば、該乳化物を高エネルギーせん断能力を有する分散機により分散することが望ましい。該分散機としては高圧乳化装置、超音波乳化機、高圧コロイドミル、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。ここでいう高圧とは例えば、10〜1000MPa、好ましくは50〜300MPa程度である。また、該機械にて乳化を行う前に該モノマー乳化物をあらかじめディスパー等で予備乳化してもよい。
【0059】
上記乳化物の重合方法としては、例えば微分散後の乳化物を撹拌機を備えた反応器に全量仕込み、重合開始剤を一括であるいは滴下で添加し、攪拌しながら適当な温度に加熱する方法が挙げられる。
【0060】
本発明方法で使用される重合開始剤としては、油溶性、水溶性のいずれであってもよく、油溶性の開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、α,α'−アゾビス−メチルブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。水溶性の開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、 tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4'−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられ、単独でも、2種以上組み合わせて用いても良い。また、上記重合開始剤に必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。
【0061】
本発明においては、上記水分散体の粒子の機械安定性を向上させるために、該水分散体が酸性基を有する場合には、これを中和剤により中和をすることが望ましい。該中和剤としては、酸性基を中和できるものであれば特に制限はないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール、トリエチルアミン、ジエタノールアミン、アンモニア水などが挙げられる。中和後の水性樹脂分散体のpHが6.5〜9.0程度となるように中和することが望ましい。
【0062】
上記の通り得られるオルガノポリシロキサン水分散体の分散樹脂粒子の平均粒子径は、500nm以下、特に100〜300nmの範囲内とすることができる。
【0063】
水性樹脂組成物
本発明により提供される水性樹脂組成物は以上に述べた如くして得られるオルガノポリシロキサン水分散体を含んでなるものである。
【0064】
本発明の水性樹脂組成物を被膜形成成分として適用する場合は、上記オルガノポリシロキサン水分散体単独でも被膜を形成することも可能であるが、上記オルガノポリシロキサン水分散体以外の水性樹脂をさらに含有することもできる。かかる水性樹脂としては、従来公知のものが制限なく使用でき、例えば、アクリルエマルション、アクリル−スチレンエマルション、酢酸ビニルエマルション、エチレン−酢酸ビニルエマルション等のエマルション;フロアーポリッシュエマルション「AE175」(日本合成ゴム社製)等の亜鉛アンモニア錯塩を含む高酸価エマルション等、水性アルキド樹脂;水性シリコン樹脂;水性フッ素樹脂;水性エポキシ樹脂;水性ウレタン樹脂;水性ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0065】
本発明の水性樹脂組成物において、上記オルガノポリシロキサン水分散体以外の水性樹脂を併用する場合は、上記オルガノポリシロキサン水分散体及び水性樹脂の配合割合として、造膜性及び防汚性の点から、オルガノポリシロキサン水分散体及び水性樹脂固形分重量比で1/99〜99/1、好ましくは5/95〜90/10の範囲内であることができる。
【0066】
また、本発明の水性樹脂組成物を用いて形成される塗膜の防汚性の点から、上記水性樹脂としては、トリオルガノシリル基含有重合性不飽和モノマーを共重合成分として含有する数平均分子量1,000〜50,000、好ましくは5,000〜50,000の範囲内の樹脂を水性媒体中に分散することにより得られる水性樹脂が好適である。
【0067】
上記トリオルガノシリル基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えばトリイソプロピルシリル(メタ)アクリレート、トリノルマルプロピルシリル(メタ)アクリレート、ジメチルブチルシリル(メタ)アクリレート、ジメチルヘキシルシリル(メタ)アクリレート、ジメチルオクチルシリル(メタ)アクリレート、ジメチルデシルシリル(メタ)アクリレート、ジメチルドデシルシリル(メタ)アクリレート、ジメチルシクロヘキシルシリル(メタ)アクリレート、ジメチルフェニルシリル(メタ)アクリレート、ジメチルブチルシリル(メタ)アクリレート、エチルジブチルシリル(メタ)アクリレート、ジブチルヘキシルシリル(メタ)アクリレート、ジブチルフェニルシリル(メタ)アクリレート、トリブチルシリル(メタ)アクリレート、トリフェニルシリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上用いることができる。
【0068】
上記トリオルガノシリル基含有水性樹脂は、トリオルガノシリル基含有重合性不飽和モノマー単独又はこれと共重合可能な重合性不飽和モノマーを含む混合物を、アルコール系溶剤を5重量%以上、好ましくは15〜45重量%含有する有機溶剤中で、それ自体既知のラジカル重合法に従って共重合させて得られる樹脂を乳化剤を用いて水分散することにより製造することができる。
【0069】
上記トリオルガノシリル基含有重合性不飽和モノマーの使用割合は、重合性不飽和モノマー中に10重量%以上、好ましくは10〜95重量%、さらに好ましくは20〜70重量%の範囲内が適当である。
【0070】
共重合に際して用いうるアルコール系溶剤としては、例えばイソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、グリセリンなどが挙げられる。該アルコール系溶剤と併用し得る他の有機溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤;ミネラルスピリツト、芳香族石油ナフサなどの石油系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの非プロトン系極性溶剤;或いはこれら溶剤の2種もしくはそれ以上の混合物が挙げられる。
【0071】
本発明において上記水性樹脂組成物は、上記成分以外に必要に応じて、湿潤剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、有機溶剤、増粘剤、防腐剤、防かび剤、pH調整剤、硬化触媒、表面調整剤、金属ドライヤー、紫外線吸収剤、紫外線安定剤を適宜組み合わせて使用することができる。
【0072】
上記水性樹脂組成物は、離型分野、建築用、自動車外板用、自動車部品用等の塗料用途や印刷インキ等の被覆材、繊維、皮等、塗装面等に対する表面処理剤、塗料用添加剤、化粧品、整髪剤等の種々の用途に使用することができる。
【0073】
水性塗料組成物
本発明はまた、上記の水性樹脂組成物を含んでなる水性塗料組成物を提供するものである。
【0074】
上記水性塗料組成物は、クリヤー塗料として又はエナメル塗料として使用することができる。
【0075】
エナメル塗料として使用する場合には、顔料分として、塗料分野で既知の着色顔料,光輝性顔料、体質顔料、防錆顔料等を配合することができる。
【0076】
また上記水性塗料組成物を、水中構造物に適用する場合などは、水中における生物など異物付着防止効果を向上させるために防汚剤を含有することができる。
該防汚剤としては、上記防汚剤(C)で説明したものと同様のものを使用することができる。
【0077】
上記防汚剤の配合量は、水性塗料組成物の樹脂固形分に対して200重量%以下好ましくは10〜50重量%とすることが適当である。
【0078】
本発明の水性塗料組成物には、さらに必要に応じて、顔料分散剤、界面活性剤、表面調整剤、可塑剤、沈降防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、硬化触媒、分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤、フラッシュラスト抑止剤、アルデヒド捕捉剤、層状粘度鉱物、粉状もしくは微粒子状の活性炭、光触媒酸化チタン、アルキレングリコール変性アルキルシリケート等の低汚染化剤、等の添加剤を単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
【0079】
本発明方法は、被塗面に上記水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法である。
【0080】
本発明の塗膜形成方法が適用される被塗面としては、特に制限されるものではなく、各種基材面及び該基材に塗膜が形成された塗装面が挙げられ、基材としては、例えば鉄、亜鉛、鉄/亜鉛合金等の金属;木材、コンクリート、石膏ボード、スレート、サイディング材、磁器タイル壁面、軽量気泡コンクリート、モルタル、レンガ、石材、ガラス等の無機基材;プラスチック;皮革;繊維等を挙げることができる。
【0081】
本発明方法において被塗面としては、水中構造物(例えば、船舶、港湾施設、ブイ、パイプライン、橋梁、海底基地、養殖網、定置網等)等の基材面及び該基材に塗膜が形成された塗装面などの水中構造物表面が適している。
【0082】
上記水性塗料組成物を用いて塗膜を形成する方法としては、特に制限されるものではなく従来公知の方法が用いられる。
【0083】
特に上記水中構造物表面等に適用する場合において、直接、または基材又は塗装面にウォッシュプライマー、ジンクエポキシ系ショッププライマー等のプライマー類;ビニルタール系、油性サビ止め、塩化ゴム系、エポキシ系等の下塗りプライマー類;塩化ゴム系、エポキシ系等の中塗り塗料類をそれぞれ塗布して形成させた単層塗膜、プライマー及び下塗りプライマーの塗料を塗布して形成させた複層塗膜、及びプライマー、下塗りプライマー、中塗り塗料を順次塗装して形成させた複層塗膜面に、上記水性塗料組成物を刷毛塗り、吹付け塗り、ローラー塗り、浸漬等の手段で塗布することができる。その塗布量は、一般的に、乾燥膜厚として40〜500μm、好ましくは80〜300μmの範囲内が適当である。また、乾燥方法としては、加熱乾燥、強制乾燥、常温乾燥のいずれであってもよく、組成に応じて適宜調整することができる。本明細書では、40℃未満の乾燥条件を常温乾燥とし、40℃以上で且つ80℃未満の乾燥条件を強制乾燥とし、80℃以上の乾燥条件を加熱乾燥とする。
【実施例】
【0084】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」である。
【0085】
オルガノポリシロキサン水分散体の製造
実施例1
ガラスビーカーに下記成分を入れ、ディスパーで2000rpmで15分間攪拌し、予備乳化液を製造した後、この予備乳化液を高圧エネルギーを加えて流体同士を衝突させる高圧乳化装置にて100MPaで高圧処理することにより平均粒子径が200nmのモノマー乳化物を得た。
モノマー乳化物組成
「KF−945」(注1) 20部
メチルメタクリレート 20部
エチルアクリレート 20部
スチレン 10部
2−エチルヘキシルメタクリレート 20部
「サイラプレーンFM−0711」(注2) 30部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 0.5部
「エレミノールES−70」(注3) 1部
脱イオン水 139.2部
次いで、上記モノマー乳化物をフラスコへ移し、その後85℃まで昇温させ過硫酸アンモニウム1.0部を脱イオン水25部に溶解させた開始剤水溶液をフラスコへ投入し、該温度を保持しながら3時間攪拌した。その後過硫酸アンモニウム0.3部を脱イオン水12部へ溶解させた開始剤水溶液をフラスコに添加し、該温度を保持しながら1時間攪拌した後40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整し、固形分濃度40%、分散樹脂の平均粒子径が210nmのオルガノポリシロキサン水分散体(Em−1)を得た。
【0086】
(注1)「KF−945」:商品名、信越化学工業株式会社製、ポリオキシアルキレン鎖を側鎖に有するポリエーテル変性シリコーンオイル、HLB値4、動粘度140mm/s
(注2)「サイラプレーンFM−0711」:商品名、チッソ社製、前記式(1)にてRは炭素数1〜8のアルキル基、Rはプロピレン基、Rがメチル基、nは約70、数平均分子量約5,000であるポリシロキサンマクロモノマー
(注3)「エレミノールES−70」:商品名、三洋化成社製、アニオン性乳化剤。
【0087】
実施例2〜7及び比較例1〜2
上記実施例1において、モノマー乳化物組成を下記表1に記載の通りとする以外は実施例1と同様にして水分散体(Em−2)〜(Em−9)を製造した。
【0088】
【表1】

【0089】
(注4)「X−22−2404」:商品名、信越化学社製、前記式(2)においてRがプロピレン基、Rがメチル基であるポリシロキサンマクロモノマー
(注5)ポリシロキサンマクロモノマーA:メチルトリメトキシシラン2720g(20モル)、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン256g(1モル)、脱イオン水1134g、60%塩酸2g及びハイドロキノン1gの混合物を80℃、5時間反応させてシロキサンマクロモノマーAを得た。得られたポリシロキサン系マクロモノマーの数平均分子量は2000であった。
(注6)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー:反応容器に亜麻仁油脂肪酸280部及びグリシジルメタクリレート142部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃で5時間反応させ、脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを得た。
(注7)「SEANINE211」:商品名、ロームアンドハース社製、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを主成分とする。
【0090】
水性防汚塗料の製造
実施例8
容器に脱イオン水25部、顔料分散剤「BYK−190」(注8)1部、「SEANINE」(注7)26.6部、チタン白20部、「バリタST」(注11)5部、「タルクMS」(注12)5部を仕込み、ペイントコンディショナーにて混合分散して顔料分散ペーストを調製し、その中に上記で作成した固形分が40%であるオルガノポリシロキサン水分散体(Em−1)278部を添加し、攪拌混合して水性防汚塗料(P−1)を得た。
【0091】
実施例9〜17及び比較例3〜4
上記実施例1において、配合組成を表2に示す通りとする以外は実施例8と同様にして各水性防汚塗料(P−2)〜(P−12)を得た。
【0092】
【表2】

【0093】
(注8):「BYK190」:商品名、Byk−Chemie社製、顔料分散剤
(注9):「PK」:商品名、北興化学工業社製、ピリジン−トリフェニルボラン
(注10):「ブルーAD2」:商品名、東洋インキ製造社製、銅フタロシアニンブルー
(注11):「バリタST」:商品名、バライト工業社製、硫酸バリウム
(注12):「タルクMS」:商品名、日本タルク社製、タルク
(注13)水性樹脂:
攪拌機、コンデンサー、温度計、滴下装置、加熱・冷却ジャケットを備えた反応容器にキシレン42部、ブタノール42部を仕込み、窒素気流下で90℃の温度条件に加熱攪拌を行った。同温度を保持しつつ滴下装置より、上記反応容器内に、トリn−ブチルシリルメタクリレート50部、メチルメタクリレート50部、nブチルアクリレート20部および重合開始剤としてアゾビス(2−メチルブチロニトリル)2部の混合物を4時間かけて滴下した。その後、同温度で4時間攪拌を続けて無色透明の樹脂溶液を得た。この樹脂のGPC測定による数平均分子量(Mn)は12,000であった。次いで上記樹脂溶液83.3部に、「エレミノールES−70」(注2)6.3部、脱イオン水70部を添加し、攪拌して水性樹脂を得た。平均粒子径は250nmであった。
【0094】
塗装試験
エポキシ樹脂系塗料により防食塗装を施した100×300×3.2mmの大きさの試験板に、上記で得た各水性防汚塗料を乾燥厚膜で100μmとなるように塗装し、常温で乾燥して各試験塗板を得、下記試験に供した。結果を表2に併せて示した。
(*1)防汚性:各試験塗板を大阪湾の海水中深さ1mのところに浸漬し、6ヶ月及び12ヶ月後の防汚性を生物付着面積比率(%)で評価した。値が低いほど良好である。
(*2)初期密着性:各試験塗板に素地に達するまでX字状に切り込みを入れ、該切り込みに粘着テープを貼り付けて瞬時に剥がし、外観を目視で評価した。
○:良好、△:一部剥離、×:粘着テープ全面に塗膜が付着
(*3)リコート付着性
上記防汚性評価で使用した6ヶ月海水浸漬後の各試験塗板を水道水で洗浄、乾燥後、同じ水性防汚塗料を夫々該各試験塗板に膜厚100μmになるようにハケ塗りし、常温で乾燥した後、上記初期密着性試験と同様の評価方法基準にて評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)加水分解性シリル基を含有しないオルガノポリシロキサン及び(B)重合性不飽和モノマーを含む混合物(I)を、水性媒体中に平均粒子径が500nm以下となるように微分散させ、得られる乳化物を重合させることを特徴とするオルガノポリシロキサン水分散体の製造方法。
【請求項2】
加水分解性シリル基を含有しないオルガノポリシロキサン(A)が、ポリエーテル変性シリコーンオイルであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
重合性不飽和モノマー(B)が、シロキサン含有重合性不飽和モノマー及び/又はアルキルフッ素基含有重合性不飽和モノマー(b1)を含有する請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
シロキサン含有重合性不飽和モノマーが、式(1)で表される化合物である請求項3に記載の製造方法。
【化1】

式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表し、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表わし、Rは水素原子又はメチル基を表わし、nは、シロキサン単位の繰り返し数を意味しており、6〜300、好ましくは6〜130の範囲内の数である。
【請求項5】
シロキサン含有重合性不飽和モノマーが、式(2)で表される化合物である請求項3に記載の製造方法。
【化2】

式中、Rは、炭素数1〜6のアルキレン基を表わし、Rは水素原子又はメチル基である。
【請求項6】
シロキサン含有重合性不飽和モノマーが、トリアルコキシシラン及びアルコキシシリル基含有重合性不飽和モノマーを反応させることにより得られる生成物である請求項3に記載の製造方法。
【請求項7】
重合性不飽和モノマー(B)が、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(b2)を含有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
混合物(I)が、防汚剤(C)をさらに含有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項に記載の製造方法により得られるオルガノポリシロキサン水分散体。
【請求項10】
請求項9に記載のオルガノポリシロキサン水分散体を含有する水性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の水性樹脂組成物を含有する水性塗料組成物。
【請求項12】
被塗面に、請求項11に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法。
【請求項13】
被塗面が、水中構造物表面である請求項12に記載の塗膜形成方法。
【請求項14】
請求項12または13に記載の塗膜形成方法により得られる塗装体。

【公開番号】特開2006−52283(P2006−52283A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234116(P2004−234116)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】