説明

オルガノポリシロキサン組成物、塗料添加剤および防汚塗料組成物

【課題】 水中移動物や水中構造物の塗工膜表面に水中生物が付着生育する事態を長期間防止し、塗工膜表面に付着した汚れを容易に水洗洗浄できる塗料添加剤および防汚塗料組成物を提供する。
【解決手段】(A)HLBが0.2〜1.5であり片末端にポリオキシエチレン鎖が結合したジメチルポリシロキサンと(B)HLBが13〜18であるポリオキシエチレン化合物からなる塗料添加剤、成分(A)と成分(B)と(C)HLBが0.4〜1.5であり両末端にポリオキシエチレン鎖が結合したジメチルポリシロキサンとからなる塗料添加剤、該塗料添加剤を含む防汚塗料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシエチレン基結合ジオルガノポリシロキサンとポリオキシエチレン化合物等からなるオルガノポリシロキサン組成物、塗工膜表面に持続的に微親水性を付与することができる塗料添加剤および硬化後に優れた防汚性能、特には水中生物に対する防汚性能を長期間にわたって発揮する防汚塗料組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海、河川、湖沼などの水中には、例えばフジツボ、ホヤ、セルプラ、ムラサキガイ、カラスガイ、フサコケムシ、アオノリ、アオサなどの生物が多数生息しており、このような水中、特に海水中に船舶、潜水艦、魚網(以下、「水中移動物」と総称する)や港湾施設、ブイ、パイプライン、橋梁の橋桁、テトラポット、発電所の導水路管、海底基地、海底油田掘削設備、養殖網、定置網(以下、「水中構造物」と総称する)が長期間浸っていると、その飛沫部から没水部表面にかけてこれらの生物が無数に付着生育して種々の被害が発生するという問題がある。
【0003】
従来、上記水中移動物や水中構造物の生物付着防止には、有機錫化合物などの毒性防汚剤を含有する防汚塗料が用いられてきたが、環境保全や安全衛生の面から、無毒性の防汚塗料として、非シリコーン系皮膜系製剤とHLBが3〜12のオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサンを含有する防汚塗料(特公平6−104793[特許文献1])、HLBが2〜12のポリオキシアルキレン基含有鎖状オルガノポリシロキサンを含有する室温硬化性シリコーンゴム組成物からなる防汚塗料(特開平4−142373[特許文献2])、シリコーンオイルを含有する室温硬化性シリコーンゴム組成物からなる防汚塗料組成物(特開平10−316933[特許文献3])、ポリオキシアルキレン基含有鎖状ポリオルガノシロキサンを含有する室温加硫性ポリオルガノシロキサン組成物からなる防汚コーテイング剤(特開平11−12541[特許文献4])、極性基を有するオルガノポリシロキサンフルイド含有室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物からなる防汚塗料組成物(特開平2002−291456[特許文献5])、およびHLBが1〜8でありポリオキシアルキレン基を有するオルガノポリシロキサンを含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物からなる水中構造物用防汚塗料(特開平2004−143331[特許文献6])が提案されている。
【0004】
しかしながら、特許文献3の防汚塗料はジメチルシリコーンオイルとポリエチレングリコール変性シリコーンオイルを併用しているが、ジメチルシリコーンオイルは疎水性が著しく大きいのでシリコーンゴムからきわめて溶出しにくく、ポリエチレングリコール変性シリコーンオイルのみを含有している防汚塗料と変わらないという問題がある。
特許文献3以外の特許文献の防汚塗料は、特定HLBのポリオキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサンを1種類しか含有しておらず、HLBが大であり親水性の高いポリオキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサンを含有する場合は、シリコーンゴムとの相溶性が悪いため、塗工膜形成後、ポリオキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサン接触した水中に速やかに溶出してしまうので、防汚効果の持続性に欠けるという問題がある。逆に、HLBが小さく親水性の低いポリオキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサンを含有する場合には、ポリオキシアルキレン基含有オルガノポリシロキサンが塗工膜表面へブリードアウトするまでに長時間を要するため、初期の防汚効果が乏しいという問題がある。
【0005】
【特許文献1】特公平6−104793号公報
【特許文献2】特開平4−142373号公報
【特許文献3】特開平10−316933号公報
【特許文献4】特開平11−12541号公報
【特許文献5】特開2002−294156号公報
【特許文献6】特開2004−143331号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記問題点を解決するべくなされたものであり、塗工膜表面にその形成初期から長期間に渡って持続的に防汚性を付与することができるオルガノポリシロキサン組成物および塗料添加剤、その製造方法を提供することを目的としている。また、水中移動物や水中構造物の塗工膜表面に水中生物が付着生育する事態を長期間防止でき、地上建築物等の塗工膜表面に付着した汚れを容易に水洗洗浄できる防汚塗料組成物を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは,上記目的を達成するために検討を重ねた結果、
〔1〕(A)常温で液状であり、HLBが0.2〜1.5であり、一般式(1):
O−(EtO)−R−(SiMeO)−SiMe (1)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Etはエチレン基、Meはメチル基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、nは2〜20、mは10〜100の整数である)
100重量部、
(B)HLBが13〜18であり、一般式(2):
−O−(EtO)−R (2)
で表されるポリオキシエチレン化合物(式中、Etはエチレン基であり、Rは同一または異なって炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基または水素原子であり、nは2〜20の整数である)1〜20重量部からなり、25℃における粘度が20〜1000mPa・sであることを特徴とするオルガノポリシロキサン組成物。
〔2〕(A)常温で液状であり、HLBが0.2〜1.5であり、一般式(1):
O−(EtO)−R−(SiMeO)−SiMe (1)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Etはエチレン基、Meはメチル基、Rは炭素原子数が1〜4のアルキル基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、nは2〜20、mは10〜100の整数である)
100重量部、
(B)HLBが13〜18であり、一般式(2):
−O−(EtO)−R (2)
で表されるポリオキシエチレン化合物(式中、Etはエチレン基であり、Rは同一または異なって炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基または水素原子であり、nは2〜20の整数である) 1〜20重量部、
(C)常温で液状であり、HLBが0.4〜1.5であり、一般式(3):
O−(EtO)−R−(SiMeO)−R−O−(EtO)−R (3)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Etはエチレン基、Meはメチル基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、nは2〜20、mは10〜100の整数である) 1〜400重量部からなり、25℃における粘度が20〜1000mPa・sであることを特徴とするオルガノポリシロキサン組成物。
〔3〕さらに、成分(A)100重量部当たり(D)常温で液状であり、一般式(4):
−(SiMeO)−SiMe (4)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Meはメチル基、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、mは10〜100の整数である)10〜100重量部を含有することを特徴とする〔2〕記載のオルガノポリシロキサン組成物。
〔4〕一般式(1)においてRが炭素数4〜18のアルキル基であり、一般式(2)においてRの一方が炭素原子数2〜4のアルケニル基であり、他方が炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることを特徴とする〔1〕記載のオルガノポリシロキサン組成物。
〔5〕一般式(1)および一般式(4)においてRが炭素原子数4〜18のアルキル基であり、一般式(2)においてRの一方が炭素原子数2〜4のアルケニル基であり、他方が炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることを特徴とする〔1〕、〔2〕または〔3〕記載のオルガノポリシロキサン組成物。
〔6〕ヘキサメチルシクロトリシロキサンを脱水した溶媒中で、金属アルキル開始剤(ただし、アルキル基はRである)を用いてリビング重合し、ジメチルハロシランで重合停止して得られた一般式(5): H−(SiMeO)−SiMe (5)
(式中、Meはメチル基、Rは炭素原子数4〜18のアルキル基、mは10〜100の整数である)で示される片末端官能性ジメチルポリシロキサンと、過剰量の
一般式(6): R−O−(EtO)−R (6)
(式中、Rの一方が炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子、Rの他方が炭素原子数2〜4のアルケニル基、nは2〜20の整数である)で示される片末端アルケニル基封鎖ポリオキシエチレン化合物とを白金系触媒存在下でヒドロシリル化反応させることを特徴とする、〔4〕記載のオルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
〔7〕ジメチルシクロポリシロキサンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとを酸性触媒で平衡重合して得た一般式(7):
H−(SiMeO)−SiMeH (7)
(式中、Meはメチル基、mは10〜100の整数である)で示される両末端官能性ジメチルポリシロキサンに、一般式(6)で示される片末端アルケニル基封鎖ポリオキシエチレン化合物と炭素原子数4〜18のα−オレフィンとを、同時または段階的に、白金触媒存在下でヒドロシリル化反応させることを特徴とする、〔5〕記載のオルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
〔8〕〔1〕〜〔5〕のいずれか記載のオルガノポリシロキサン組成物からなることを特徴とする塗料添加剤。
〔9〕〔8〕記載の塗料添加剤を含むことを特徴とする防汚塗料組成物。
〔10〕防汚塗料組成物中の皮膜形成性成分が室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物(E)であることを特徴とする〔9〕記載の防汚塗料組成物。
〔11〕(E)室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物100重量部、〔8〕記載の塗料添加剤10〜80重量部、および(F)沸点が100℃〜200℃である有機溶剤4〜100重量部からなることを特徴とする〔10〕記載の防汚塗料組成物。
〔12〕成分(E)が、(a)25℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであり、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水酸基もしくはケイ素原子結合加水分解性基を有するジオルガノポリシロキサン 100重量部、(b)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解可能性基を有する有機ケイ素化合物 5〜100重量部および(c)硬化触媒 0〜10重量部からなる組成物であることを特徴とする〔10〕または〔11〕記載の防汚塗料組成物;によって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物および塗料添加剤は、塗料組成物、特には塗膜形成性成分が室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物である塗料組成物に配合すると、塗工膜表面にその形成初期から長期間に渡って持続的に微親水性を付与することができ、その結果水中移動物や水中構造物の塗工膜表面に水中生物が付着生育する事態を長期間防止することができる。また、それ以外の塗装物の塗工膜表面にその形成初期から長期間に渡って持続的に微親水性を付与することができ、その結果塗工膜表面に付着した汚れを容易に水洗洗浄できる。
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、ゴムやプラスチック、特にはシリコーンゴムに配合すると、それらの表面に初期から長期間に渡って持続的に微親水性を付与することができ、その結果長期間汚れの付着や帯電を防止することができる。
本発明の防汚塗料組成物、特には塗膜形成性成分が室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物である防汚塗料組成物は、塗工膜表面にその形成初期から長期間に渡って持続的に微親水性を付与することができ、その結果水中移動物や水中構造物の塗工膜表面に水中生物が付着生育する事態を長期間防止することができる。また、それ以外の塗装物の塗工膜表面にその形成初期から長期間に渡って持続的に微親水性を付与することができ、その結果塗工膜表面に付着した汚れを容易に水洗洗浄できる。
本発明の防汚塗料組成物は、トリブチル錫化合物や金属錯体のような毒性の強い防汚剤を実質的に含有しておらず、塗工直後から長期間に渡って優れた防汚性を示す無毒性の防汚塗料であるから、環境保全上および安全衛生上の点からも非常に有用、有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、
(A)常温で液状であり、HLBが0.2〜1.5であり、一般式(1):
O−(EtO)−R−(SiMeO)−SiMe (1)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Etはエチレン基、Meはメチル基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、nは2〜20、mは10〜100の整数である)
100重量部、
(B)HLBが13〜18であり、一般式(2):
−O−(EtO)−R (2)
で表されるポリオキシエチレン化合物(式中、Etはエチレン基であり、Rは同一または異なって炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基または水素原子であり、nは2〜20の整数である)1〜20重量部からなり、25℃における粘度が20〜1000mPa・sの範囲にある。
【0010】
成分(A)は、成分(B)とともに塗料組成物、特には塗膜形成性成分が室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物である塗料組成物に配合すると、成分(A)と成分(B)が塗工膜からブリードアウトするまでの期間が異なるために、塗工膜の形成直後から長期にわたって塗工膜の表面に微親水性を付与することができ、かつその微親水性が長期間に渡って持続する。また、ゴムやプラスチック、特にはシリコーンゴムに配合すると、成分(A)と成分(B)がブリードアウトする期間が異なるためにゴムやプラスチック、特にはシリコーンゴムの表面に適度な微親水性を持続的に付与する。
【0011】
一般式(1)において、Rは炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基およびブチル基があるが、好ましくはメチル基である。Rは炭素原子数が2〜4のアルキレン基であるが、好ましくはプロピレン基である。Rは炭素原子数が1〜20のアルキル基であるが、好ましくは炭素原子数が4〜18のアルキル基である。
成分(A)は、常温で液状である。成分(A)は、そのHLBが前記上限よりも大きいと、塗工膜からのブリードアウトが早く、適度な微親水性付与効果の持続性が低下する。逆に、そのHLBが前記下限未満であると、成分(A)は塗工膜から十分にブリードアウトしないため、塗工膜に十分な微親水性を付与することができない。ジメチルポリシロキサンの一方の末端に結合している式R−(EtO)n−O−R−で示される基は親水性基であり、その重合度が20を超えると、塗工膜の均一性が不十分になりやすい。ジメチルポリシロキサンの他方の末端に結合しているRは、疎水性基であり、炭素原子数4〜18であることが好ましい。
【0012】
成分(B)は、ポリオキシエチレン鎖を有し、HLBが13〜18であるので、成分(A)との相溶性に優れ、かつ成分(A)に比して速やかに塗工膜表面からブリードアウトするため、塗工膜の形成直後からその表面に微親水性を付与する作用がある。成分(B)は、常温で液状であることが好ましい。
両末端のRは、本成分の製造の容易さとHLBの点で、一方が炭素原子数2〜4のアルケニル基であり、他方が炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0013】
成分(B)の配合量は、成分(A)100重量部に対して1〜20重量部であり、好ましくは1〜15重量部であり、より好ましくは1〜10重量部である。20重量部を超えると、塗料組成物、特には室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物との相溶性や分散性が低下し、塗膜の基材への密着性、接着性が阻害されやすくなる。1重量部未満では形成直後の塗工膜の表面に微親水性を付与することが困難である。
【0014】
成分(A)と成分(B)とからなるオルガノポリシロキサン組成物は、例えば周知の方法で成分(A)と成分(B)を別々に合成し、均一に混合すること等の方法によって容易に製造することができる。しかし、一般式(1)においてRが炭素原子数4〜18のアルキル基であり、一般式(2)においてRの一方が炭素原子数2〜4のアルケニル基であり、他方が炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であるオルガノポリシロキサン組成物は、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを脱水した溶媒中で、金属アルキル開始剤(ただし、アルキル基は炭素原子数4〜18である)を用いてリビング重合し、ジメチルハロシランで重合停止して得られた一般式(5): H−(SiMeO)−SiMe (5)
(式中、Meはメチル基、Rは炭素原子数4〜18のアルキル基、mは10〜100の整数である)で示される片末端ヒドロシリル基含有ジメチルポリシロキサンと、過剰量の
一般式(6): R−O−(EtO)−R (6)
(式中、Rの一方が炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子、Rの他方が炭素原子数2〜4のアルケニル基、nは2〜20の整数である)で示される片末端アルケニル基封鎖ポリオキシエチレン化合物とを白金系触媒存在下でヒドロシリル化反応させることにより、容易に製造することができる。この製造方法で製造されたオルガノポリシロキサン組成物は、成分の均一性および配合時の分散性が良好であるので、好ましい。
【0015】
上記オルガノポリシロキサン組成物は、さらに(C)常温で液状であり、HLBが0.4〜1.5であり、一般式(3):
O−(EtO)−R−(SiMeO)−R−O−(EtO)−R (3)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Etはエチレン基、Meはメチル基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、nは2〜20、mは10〜100の整数である)1〜400重量部を含有していてもよい。すなわち、
(A)常温で液状であり、HLBが0.2〜1.5であり、一般式(1):
O−(EtO)−R−(SiMeO)−SiMe (1)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Etはエチレン基、Meはメチル基、Rは炭素原子数が1〜4のアルキル基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、nは2〜20、mは10〜100の整数である)
100重量部、
(B)HLBが13〜18であり、一般式(2):
−O−(EtO)−R (2)
で表されるポリオキシエチレン化合物(式中、Etはエチレン基であり、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基または水素原子であり、nは2〜20の整数である) 1〜20重量部、
(C)常温で液状であり、HLBが0.4〜1.5であり、一般式(3):
O−(EtO)−R−(SiMeO)−R−O−(EtO)−R (3)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Etはエチレン基、Meはメチル基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、nは2〜20、mは10〜100の整数である)1〜400重量部からなり、25℃における粘度が20〜1000mPa・sの範囲にあるオルガノポリシロキサン組成物である。
【0016】
成分(C)は、ポリオキシエチレンブロックとジメチルポリシロキサンブロックを有するので、成分(A)および成分(B)との相溶性に優れ、かつ、成分(B)よりもゆっくりと、成分(A)よりも速やかに塗工膜表面からブリードアウトすることにより、塗工膜表面に長期間微親水性を付与する。
成分(C)は、常温で液状である。成分(C)のHLBは、塗工膜表面への微親水性付与効果の持続性の点から0.4〜1.5であることが望ましい。成分(C)は、両末端に重合度が2〜20であるポリオキシエチレン鎖(R−(EtO)n−O−R−)を有する。ポリオキシエチレン鎖は親水性基であり、塗工膜の均一性の点から、重合度が2〜20であることが望ましい。成分(C)の配合量は、成分(A)100重量部に対して1〜400重量部であり、30〜100重量部であることが好ましい。
【0017】
成分(A)、成分(B)および成分(C)からなるオルガノポリシロキサン組成物は25℃における粘度が適度な微親水性を付与の点から20〜1000mPa・sであることが望ましい。
【0018】
成分(A)、成分(B)および成分(C)からなるオルガノポリシロキサン組成物は、例えば周知の方法で各成分を別々に合成し、均一に混合することによって製造することができる。しかし、一般式(1)および一般式(4)においてにおいてRが炭素原子数4〜18のアルキル基であり、一般式(2)においてRの一方が炭素原子数2〜4のアルケニル基であり、他方が炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であるオルガノポリシロキサン組成物は、ジメチルシクロポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン)と1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとを酸性触媒(例えば、酸性白土)で平衡重合して得た一般式(7):
H−(SiMeO)−SiMeH (7)
(式中、Meはメチル基、mは10〜100の整数である)で示される両末端ヒドロシリル基含有ジメチルポリシロキサンに、一般式(6)で示される片末端アルケニル基封鎖ポリオキシエチレン化合物と炭素原子数4〜18のα−オレフィンとを、同時または段階的に、白金系触媒存在下でヒドロシリル化反応させることによって容易に製造することができる。この製造方法で製造されたオルガノポリシロキサン組成物は、成分の均一性および配合時の分散性が良好であるので、好ましい。
【0019】
成分(A)、成分(B)および成分(C)からなるオルガノポリシロキサン組成物は、さらに(D)常温で液状であり、一般式(4):
−(SiMeO)−SiMe (4)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Meはメチル基、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、mは10〜100の整数である)を含有していてもよい。好ましい配合量は、成分(A)100重量部当たり10〜100重量部である。
【0020】
本発明の成分(A)と成分(B)とからなるオルガノポリシロキサン組成物および成分(A)、成分(B)および成分(C)からなるオルガノポリシロキサン組成物は、例えば塗料添加剤として有用である。添加対象となる防汚塗料組成物は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂もしくはゴム等の樹脂もしくはゴム及び必要に応じて配合される架橋剤を塗膜形成性成分とする防汚塗料組成物を挙げることができ、塗工膜表面にその形成初期から長期間に渡って持続的に微親水性を付与することができ、その結果塗工膜表面に汚れ等の異物の付着を長期間防止し、また、塗工膜表面に付着した汚れを容易に水洗洗浄できる。好ましくは、防汚塗料組成物の塗膜形成性成分が室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物であると、塗膜がゴム変形する性質を有し、水中生物が付着しにくいので好適である。上記成分(A)と成分(B)とからなるオルガノポリシロキサン組成物である塗料添加剤および成分(A)、成分(B)および成分(C)からなるオルガノポリシロキサン組成物である塗料添加剤の防汚塗料組成物への配合量は、目的とする防汚効果が得られる量であればよく特に限定されないが、防汚塗料組成物の塗膜形成性成分100重量部当たり、10〜80重量部であることが好ましい。
【0021】
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物(E)には、室温硬化性シリコーン樹脂組成物と室温硬化性シリコーンゴム組成物があるが、塗膜特性の点で後者が好ましい。室温硬化性シリコーンゴム組成物は、硬化性と塗膜形成性と硬化塗膜の物性の点で、(a)25℃における粘度が20〜100,000mPa・sであり、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水酸基もしくはケイ素原子結合加水分解性基を有するジオルガノポリシロキサン 100重量部、(b)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解可能性基を有する有機ケイ素化合物 5〜100重量部及び(c)硬化触媒 0〜10重量部からなる組成物からなることが好ましい。
【0022】
室温硬化性シリコーンゴム組成物は、室温で空気中の湿気により縮合反応が開始して硬化してシリコーンゴムを形成するものであり、例えば、脱アルコール型、脱オキシム型、脱酢酸型、脱ケトン型、脱アミン型、脱アミド型および脱ヒドロキシアミン型の室温硬化性シリコーンゴム組成物が挙げられる。
【0023】
成分(a)は、室温硬化性シリコーンゴム組成物の主成分であり、分子鎖末端ケイ素原子結合加水分解性基としては、ジメチルケトオキシム基,メチルエチルケトオキシム基などのジアルキルケトオキシム基;メトキシ基,エトキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基などのアシロキシ基;N,N−ジエチルアミノ基、N−ブチルアミノ基などのアルキルアミノ基;メチルアセトアミド基などのN−アルキルアシルアミド基;N,N−ジエチルアミノキシ基などのN、N−ジアルキルアミノキシ基;プロペノキシ基などのアルケニロキシが挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基が好ましい。このジオルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合する有機基としては、メチル基,エチル基,プロピル基などのアルキル基;ビニル基,アリル基などのアルケニル基;フェニル基などのアリール基等の非置換一価炭化水素基や、3,3,3-トリフルオロプロピル基,ノナフルオロヘキシル基などのパーフロロアルキル基が例示される。このようなジオルガノポリシロキサンのうちでは、分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサンおよび分子鎖両末端がメチルジメトキシシロキシ基もしくはトリメトキシシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサンが好ましい。25℃における粘度は20〜100,000mPa・sであるが、40〜15,000mPa・sであることが好ましい。なお、異なる粘度のジオルガノポリシロキサンを2種類以上併用してもよい。
【0024】
成分(b)は、成分(a)の架橋剤であり、代表例は一般式:RaSiX4-aで表される加水分解性基含有オルガノシランである。Rは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基であり、メチル基,エチル基,プロピル基,tert-ブチル基,2−エチルヘキシル基などのアルキル基;ビニル基,アリル基などのアルケニル基;フェニル基などのアリール基が例示される。これらの中でもアルキル基やアルケニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。Xは加水分解性基であり、ジメチルケトオキシム基,メチルエチルケトオキシム基などのジアルキルケトオキシム基;メトキシ基,エトキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基などのアシロキシ基;N,N−ジエチルアミノ基、N−ブチルアミノ基などのアルキルアミノ基;メチルアセトアミド基などのN−アルキルアシルアミド基;N,N−ジエチルアミノキシ基などのN、N−ジアルキルアミノキシ基;プロペノキシ基などのアルケニロキシ基が例示される。aは0〜2の整数であり、好ましくは1、ついで0である。このような成分(b)としては、例えばテトラキス(メチルエチルケトキシム)シラン,メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン,ビニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン,メチルトリメトキシシラン,メチルトリエトキシシラン,ジメチルジメトキシシラン,ジメチルジエトキシシラン,メチルトリアセトキシシラン,テトラメトキシシラン,テトラエトキシシラン,メチルトリ(イソプロペノキシ)シラン,テトラ(イソプロペノキシ)シラン,メチルトリ(N,N−ジエチルアミノ)シランが挙げられる。成分(b)は、2個以上、好ましくは3個以上のケイ素原子結合加水分解性基を有するオルガノシロキサンであってもよい。成分(b)の配合量は、成分(a)が架橋するのに十分な量であるが、目安として成分(a)100重量部に対して5〜100重量部であり、硬化性面から好ましくは8〜40重量部の範囲である
【0025】
室温硬化性シリコーンゴム組成物は、加水分解性基の加水分解反応およびシラノール基と加水分解性基間の縮合反応硬化性を向上するため(c)硬化触媒を含有することが好ましい。具体例としては、ジブチルスズジアセテ−ト,ジブチルスズジオクテ−ト,ジブチルスズジラウレート,ジブチルスズジマレート,ジオクチルスズジラウレート,ジオクチルスズジマレート,オクチル酸スズなどの有機スズ化合物;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート,イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート,テトラアルキルチタネートなどの有機チタネート化合物;テトラブチルジルコネート,テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム,テトライソブチルジルコネート,ブトキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム,ナフテン酸ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム,トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;ナフテン酸亜鉛,ナフテン酸コバルト,オクチル酸コバルトなどのカルボン酸金属塩;ジエタノ−ルアミン,トリエタノ−ルアミン等の有機ケイ素化合物を含まないアミン系触媒が挙げられる。縮合反応用触媒の配合量は、成分(a)100重量部に対して0〜10重量部であり、硬化性の面から0.1〜5重量部の範囲が好ましい。
【0026】
上記シリコーンゴム組成物は、塗膜強度の点から補強性シリカフィラー(d)を含むことができる。(d)補強性シリカフィラーは、室温硬化性シリコーンゴム組成物の補強性充填剤であり、乾式法シリカフィラーが代表的である。そのBET法比表面積が50〜400m/gのものが好ましい。補強性シリカフィラーはヘキサメチルジシラザン,ジメチルジクロロシラン,環状ジメチルシロキサンなどの有機ケイ素化合物で表面疎水化処理されたものが好ましい。成分(d)の配合量は、組成物の粘度と硬化物の物性の点から成分(a)100重量部に対して4〜30重量部が好ましい。
【0027】
上記シリコーンゴム組成物は、硬化途上で接触している基材への接着性の向上のために、有機珪素化合物系の接着促進剤を含有することができる。具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン,γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン,3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン,3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノアルキルアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン,3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のエポキシアルキルアルコキシシランなどのシランカップリング剤および上記アミノアルキルアルコキシシシランとエポキシアルキルアルコキシシランの反応物が例示される。接着促進剤の配合量は、成分(a)100重量部に対して0.1〜6重量部であり、好ましくは0.5〜4重量部の範囲である。
【0028】
室温硬化性シリコーンゴム組成物は、非反応性のシリコーンフルイドを含有していてもよい。このシリコーンフルイドは、上記本発明のオルガノポリシロキサン組成物以外の分子中にシラノール基や加水分解性基等の縮合反応性基を含有しない常温で液状のオルガノポリシロキサンである。具体例としては、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサンフルイド,ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体フルイド,ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体フルイド,ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体フルイドが挙げられる。25℃における粘度は好ましくは10〜10000mPa・sの範囲であるが、50〜5000mPa・sの範囲がより好ましい。かかる非反応性のシリコーンフルイドの配合量は、成分(a)100重量部に対して1〜50重量部であり、好ましくは5〜40重量部である。
【0029】
(F)沸点が100℃〜200℃である有機溶剤は、防汚塗料組成物が液状となるのに十分な量配合すればよく、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物(E)が低粘度であり、塗工性に問題がないときは配合不要である。しかし、塗工性を良好にするために、通常は配合することが好ましい。成分(F)は、成分(E)を溶解ないし分散するものであればよく、具体的には、トルエン,キシレン,ナフテン(商品名ナフテゾールLL;日本石油化学製)等の芳香族系炭化水素;2−ペンタノン,4−メチル−2−ペンタノン等のケトン類;イソパラフィン,ノルマルパラフィン(商品名アイソゾール200,300,ノルマルパラフィンSL;日本石油化学製)等の脂肪族系炭化水素;酢酸ブチル,酢酸イソブチル等のカルボン酸エステル類;ヘキサメチルジシロキサン,オクタメチルトリシロキサンのような低分子量メチルポリシロキサンが例示される。成分(F)の配合量は、成分(E)の粘稠性や塗装する基材の種類により異なるので、規定しにくいが、一例を挙げれば成分(E)100重量部に対して4〜100重量部であり、好ましくは10〜50重量部である。
【0030】
上記防汚塗料組成物は、顔料、例えば、酸化チタン,群青,紺青,亜鉛華,ベンガラ,黄鉛,鉛白,カーボンブラック,酸化鉄,アルミニウム粉などの無機顔料;アゾ系顔料,トリフェニルメタン系顔料,キノリン系顔料,アントラキノン系顔料,フタロシアニン系顔料などの有機顔料;石英微粉末,炭酸カルシウム粉末,けいそう土粉末,水酸化アルミニウム粉末,微粒状アルミナ,マグネシア粉末,酸化亜鉛粉末,中空充填剤などの増量充填剤;白金化合物,煙霧質二酸化チタン,炭酸亜鉛粉末、炭酸マンガン粉末などの難燃剤等を含有していてもよい。
【0031】
本発明の防汚塗料組成物は、成分(A)と成分(B)とからなるオルガノポリシロキサン組成物または成分(A)、成分(B)および成分(C)からなるオルガノポリシロキサン組成物、成分(E)、および、必要に応じて成分(F)からなるが、さらに必要に応じて防錆剤,紫外線吸収剤,光安定剤,タレ防止剤,レベリング剤などの添加剤を含有していてもよい。
【0032】
本発明の防汚塗料組成物は、成分(A)と成分(B)とからなるオルガノポリシロキサン組成物または成分(A)、成分(B)および成分(C)からなるオルガノポリシロキサン組成物、成分(E)または本成分の構成成分、および、必要に応じて成分(F)等を、周知の混練装置、例えば、ロスミキサー,ホバートミキサー,トレロミキサー,ヘンシェルミキサー,ニーダミキサー,フロージェットミキサー,ボールミル,振動ミル,パドルミキサー,リボンミキサー等の混練装置に投入して、好ましくは密閉下で混練することにより容易に製造することができる。混練時に加熱してもよく、加熱温度は30〜200℃であることが好ましい。各成分を混練する順序は任意であるが、全成分を同時に混練する方法、および、成分(E)と成分(F)を混練してA液を調製し、別途、成分(A)と成分(B)または成分(A)〜成分(C)を混練してB液を調製し、最後にA液とB液を混合する方法が挙げられる。
【0033】
本発明の防汚塗料組成物の塗工方法は、例えば、浸漬、吹付け、刷毛塗り、ブレードコーテイング等の従来公知の方法が挙げられ、1回塗りだけでなく、複数回塗り重ねてもよい。塗工後は、通常、常温で放置してそのまま硬化させる。塗工膜の厚さは任意であるが、1〜500μmとすることが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。実施例中、部とあるのは重量部を示す。また、BET比表面積とは、BET法による窒素吸着法によって測定された比表面積を表す。
[化学構造]
合成反応により得られた成分(A)〜成分(D)の化学構造式は、重クロロホルム溶液にして日本電子株式会社製JNM−EX400により29Si−NMRを測定することにより同定した。
[ポリオキシエチレン変性ポリジメチルシロキサンとポリオキシエチレンの存在比]
重クロロホルム溶液にして日本電子株式会社製JNM−EX400により13C−NMRを測定し、ケイ素と結合した炭素のピークと、未反応ビニル基のピークとの積分比により算出した。
[HLB]
実施例中におけるHLB(親水性新油性バランス)は、グリフィンのHLBである。
HLBは、界面活性剤の親水性を表す数値であり、以下の式によって算出した値を表す。
HLB=(親水基部分の分子量/全体の分子量)×(100 /5)
={親水基重量/(疎水基重量+親水基重量)}×(100 /5)
なお、親水基が全くないものはHLB=0である。
[BET比表面積]
実施例中におけるBET比表面積は、BET法を用いて窒素吸着法によって測定された比表面積を表す。
[粘度]
E型粘度計(TOKIOMEC社製DIGITAL VISCOMETER)を用いて、25℃で測定した。
[水の接触角]
ガラス板上に防汚塗料組成物を塗布し、室温で一週間放置して硬化させることにより直径5cmの均一な塗工膜を形成させ、塗工膜上に水を一滴たらして、滴下から1分後に25℃における水の接触角をCA−P(協和界面科学社製)を用いて測定した。
【0035】
[塗工膜表面の微親水性]
塗工膜表面の水の接触角を測定して水の接触角が65〜75°である場合に、微親水性と判断した。
[塗工膜の浸漬試験]
450ccのガラス瓶中に塩化ナトリウム3.5重量%水溶液を満たし、塗工膜を有するアルミ板を浸漬して6ヶ月間静置した。6ヶ月後、塗工膜を有するアルミ板を取り出して室温で乾燥させ、塗工膜について水の接触角を測定した。
[防汚性]
大きさ100mm×300mm×3mmのサンドブラスト処理板に、ジンクリッチエポキシ系ショッププライマーを乾燥膜厚が15μmとなるように塗装し、次いでエポキシ樹脂系重防食塗料を乾燥膜厚が200μmとなるように塗装した。この塗膜表面に、各防汚塗料組成物を乾燥膜厚が約150μmとなるように刷毛塗りし乾燥させることにより、防汚性塗板を作成した。得られた防汚性塗板について折戸湾(静岡県清水市)にて懸垂浸海試験を24ヶ月間実施し、その間6ヶ月毎にその防汚性を目視により観察した。
【0036】
[実施例1]
撹拌機と温度計付きフラスコに脱水したテトラヒドロフラン100mlとヘキサメチルシクロトリシロキサン100gを投入し、シリンジによりブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液12.5mlを添加して、室温で3時間攪拌した。次いで、ジメチルクロロシラン2gを添加して重合を停止させた。次いで、減圧下100℃で2時間ストリッピングして揮発分を除去した後、冷却してろ過した。ろ液を撹拌機と温度計付きフラスコに入れ、式(8)で示されるポリオキシエチレン化合物(但し、重合度4は平均値)
CH2=CHCH2-O-(C24O)4-CH3 (8)
10gを投入し、ついで白金・1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(白金金属量4重量%)0.2gを添加して90℃まで昇温して1時間攪拌した。減圧下130℃で2時間ストリッピングすることにより揮発分を除去した。残渣であるフルイドの粘度は95mPa・sであった。
得られたフルイドを13C−NMR及び29Si−NMRにより分析したところ、このものは、片末端にケイ素原子結合の式-CHCHCH-O-(CO)-CHで示されるポリオキシエチレン鎖(重合度4)を有し、他末端にケイ素原子結合ブチル基を有するジメチルポリシロキサン(HLB=0.8、重合度50)及び式(8)で示されるポリオキシエチレン化合物(HLB=17.6)からなり、重量比が順に94:6である組成物であることが判明した。得られたフルイドをオルガノポリシロキサン組成物Aとした。
【0037】
[実施例2]
撹拌機と温度計付きフラスコに重合度60の両末端ケイ素原子結合水素原子を有するジメチルポリシロキサン100gと式(8)で示されるポリオキシエチレン化合物(但し、重合度4は平均値)
CH=CHCH-O-(CO)-CH (8)
5.3gを投入し、白金・1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(白金金属量4重量%)0.2gを添加して90℃まで昇温して1時間攪拌した。1−オクテン4gを添加し、ついで白金・1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(白金金属量4重量%)0.2gを添加して120℃まで昇温して1時間攪拌した。減圧下130℃で2時間ストリッピングすることにより揮発分を除去した。残渣であるフルイドの粘度は100mPa・sであった。得られたフルイドを13C−NMR及び29Si−NMRにより分析したところ、このものは、片末端にケイ素原子結合の式-CHCHCH-O-(CO)-CHで示されるポリオキシエチレン鎖(重合度4)を有し、他末端にケイ素原子結合オクチル基を有するジメチルポリシロキサン(重合度60、HLB=0.7)、式(8)で示されるポリオキシエチレン化合物(HLB=17.6)、両末端にケイ素原子結合の式-CHCHCH-O-(CO)-CHで示されるポリオキシエチレン鎖(重合度4)を有するジメチルポリシロキサン(重合度60、HLB=1.3)が24重量%、両末端にケイ素原子結合オクチル基を有するジメチルポリシロキサン(重合度60)からなり、重量比が順に48:4:24:24である組成物であることが判明した。得られたフルイドをオルガノポリシロキサン組成物Bとした。
【0038】
[比較例1]
実施例2で得られたオルガノポリシロキサン組成物Aをトルエンに溶解し、分子量分別GPC(ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー)で、式(8)で示されるポリオキシエチレン化合物を分別除去し、得られた溶液からトルエンをストリッピングした。得られたフルイドの粘度は110mPa・sであった。
得られたフルイドを13C−NMR及び29Si−NMRにより分析したところ、このものは、片末端にケイ素原子結合の式-CHCHCH-O-(CO)-CHで示されるポリオキシエチレン鎖(重合度4)を有し、他末端にケイ素原子結合オクチル基を有するジメチルポリシロキサン(重合度60、HLB=0.7)が50重量%、両末端にケイ素原子結合の式-CHCHCH-O-(CO)-CHで示されるポリオキシエチレン鎖(重合度4)を有するジメチルポリシロキサン(重合度60、HLB=1.3)が25重量%、両末端にケイ素原子結合オクチル基を有するジメチルポリシロキサン(重合度60)が25重量%からなる組成物であることが判明した。得られたフルイドをオルガノポリシロキサン組成物Cとした。
【0039】
[比較例2]
撹拌機と温度計付きフラスコに重合度60の両末端ケイ素原子結合水素原子含有ジメチルポリシロキサン100gと式(9)で示されるポリオキシエチレン化合物(但し、重合度10は平均値)
CH2=CHCH2-O-(C24O)10-CH3 (9)
13.5gを加え、白金・1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(白金金属量4重量%)0.2gを添加して90℃まで昇温して1時間攪拌した。次いで、1−オクテン4gを添加し、白金・1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体(白金金属量4重量%)0.2gを添加して120℃まで昇温して1時間攪拌した。さらに減圧下130℃で2時間ストリッピングすることにより揮発分を除去した。残渣であるフルイドの粘度は120mPa・sであった。得られたフルイドを13C−NMR及び29Si−NMRにより分析したところ、このものは、片末端にケイ素原子結合の式-CHCHCH-O-(CO)10-CHで示されるポリオキシエチレン鎖(重合度10)を有し、他末端にケイ素原子結合オクチル基を有するジメチルポリシロキサン(重合度60、HLB=2.0)が48重量%、式(9)で示されるポリオキシエチレン化合物(HLB=17.1)が4重量%、両末端にケイ素原子結合の式-CHCHCH-O-(CO)10-CHで示されるポリオキシエチレン鎖(重合度10)を有するジメチルポリシロキサン(重合度60、HLB=3.0)が24重量%、両末端にケイ素原子結合オクチル基を有するジメチルポリシロキサン(重合度60)が24重量%からなる組成物であることが判明した。得られたフルイドをオルガノポリシロキサン組成物Dとした。
【0040】
[実施例3]
撹拌機付きミキサーに粘度4,000mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、BET法比表面積160m/gの表面疎水化処理乾式法シリカ(製品名:アエロジル200BS(日本アエロジル(株))20部、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン18部、3−アミノプロピルトリエトキシシラン1.5部、ジブチルスズジラウレート0.5部、キシレン38部を投入して密閉下で均一に混合して室温硬化性シリコーンゴム組成物のキシレンデイスパージョンを調製した。これに実施例1で得られたオルガノポリシロキサン組成物A40部を投入し、さらに混合して室温硬化性防汚塗料組成物を調製した。この組成物をアルミ板に塗布し、室温で1週間放置し硬化させて塗工膜を形成させた。この塗工膜について水の接触角を測定したところ、70°であった。この塗工膜付アルミ板を6ヶ月間水に浸漬した後、乾燥させてから塗工膜について水の接触角を測定したところ、接触角は70°を維持していた。
【0041】
[実施例4]
撹拌機付きミキサーに粘度2,000mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、BET法比表面積160m/gの表面疎水化処理乾式法シリカ(製品名:アエロジル200BS(日本アエロジル(株))20部、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン18部、ジブチルスズジラウレート0.4部、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1.5部、粘度100mPa・sの両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンフルイド10部、キシレン14部を投入し密閉下で均一に混合して室温硬化性シリコーンゴム組成物のキシレンデイスパージョンを調製した。これに、実施例1で得られたオルガノポリシロキサン組成物A30部を投入し、さらに混合して室温硬化性防汚塗料組成物を調製した。この組成物をアルミ板に塗布した後、室温で1週間放置し硬化させて塗工膜を形成させた。この塗工膜について水の接触角を測定したところ、70°であった。この塗工膜付アルミ板を6ヶ月間水に浸漬した後、乾燥させてから塗工膜について水の接触角を測定したところ、接触角は70°を維持していた。
【0042】
[実施例5]
撹拌機付きミキサーに粘度4,000mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、BET法比表面積160m/gの表面疎水化処理乾式法シリカ(製品名:アエロジル200BS(日本アエロジル(株))20部、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン18部を投入し密閉下で均一に混合した。これに、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1.5部、ジブチルスズジラウレート0.5部、キシレン38部、実施例2で得られたオルガノポリシロキサン組成物B30部を密閉下で投入し、さらに混合して室温硬化性防汚塗料組成物を調製した。この組成物をアルミ板に塗布した後、室温で1週間放置し硬化させて塗工膜を形成させた。この塗工膜について水の接触角を測定したところ、70°であった。この塗工膜付アルミ板を6ヶ月間水に浸漬した後、乾燥させてから塗工膜について水の接触角を測定したところ、接触角は70°を維持していた。
【0043】
[実施例6]
撹拌機付きミキサーに粘度4,000mPa・sの分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン100部、BET法比表面積160m/gの表面疎水化処理乾式法シリカ(製品名:アエロジル200BS(日本アエロジル(株))20部、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン18部を投入して密閉下で均一に混合した。これに3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン1.5部、ジブチルスズジラウレート0.5部、キシレン38部、実施例2で得られたオルガノポリシロキサン組成物B30部を密閉下で投入し、さらに混合して室温硬化性防汚塗料組成物を調製した。この組成物をアルミ板に塗布し、室温で1週間放置し硬化させて塗工膜を形成させた。この塗工膜について水の接触角を測定したところ、70°であった。この塗工膜付アルミ板を6ヶ月間水に浸漬した後、乾燥させてから塗工膜について水の接触角を測定したところ、接触角は70°を維持していた。
【0044】
[比較例3]
実施例3において、実施例1で得られたオルガノポリシロキサン組成物Aを添加しない以外は同様の条件で室温硬化性防汚塗料組成物を調製した。この組成物をアルミ板に塗布し、室温で1週間放置し硬化させて塗工膜を形成させた。この塗工膜について水の接触角を測定したところ、接触角は100°であり、撥水性を示した。
【0045】
[比較例4]
実施例3において、実施例1で得られたオルガノポリシロキサン組成物Aの代わりに、比較例1で得られたオルガノポリシロキサン組成物C30部を添加した以外は同様の条件で室温硬化性防汚塗料組成物を調製した。
この組成物をアルミ板に塗布し、室温で1週間放置し硬化させて塗工膜を形成させた。この塗工膜について水の接触角を測定したところ、接触角は90°であり、撥水性を示した。
【0046】
[比較例5]
実施例3において、実施例1で得られたオルガノポリシロキサン組成物Aの代わりに、比較例2で得られたオルガノポリシロキサン組成物D30部を添加した以外の成分は同様の条件で室温硬化性防汚塗料組成物を調製した。この組成物をアルミ板に塗布し、室温で1週間放置し硬化させて塗工膜を形成させた。この塗工膜について水の接触角を測定したところ、接触角は70°であった。この塗工膜付アルミ板を6ヶ月間水に浸漬した後、乾燥させてから塗工膜について水の接触角を測定したところ、接触角は90°であり、親水性が低下していた。
【0047】
【表1】

【0048】
[実施例7]
大きさ100mm×300mm×3mmのサンドブラスト処理板に、ジンクリッチエポキシ系ショッププライマーを乾燥膜厚が15μmとなるように塗装し、次いでエポキシ樹脂系重防食塗料を乾燥膜厚が200μmとなるように塗装した。この塗装面に実施例3で調製した防汚塗料組成物を乾燥膜厚が約150μmとなるように刷毛塗りして乾燥させ、防汚性塗板を作成した。得られた塗板について折戸湾(静岡県清水市)にて懸垂浸海試験を24ヶ月間実施し、その間6ヶ月毎にその防汚性を目視により測定した。その結果を表2に示した。
【0049】
[実施例8]
実施例7において、実施例3で調製した防汚塗料組成物を塗装する代わりに、実施例4で調製した防汚塗料組成物を塗装する以外は同様の条件で懸垂浸海試験を行った。その結果を表2に示した。
【0050】
[実施例9]
実施例7において、実施例3で調製した防汚塗料組成物を塗装する代わりに、実施例5で調製した防汚塗料組成物を塗装する以外は同様の条件で懸垂浸海試験を行った。その結果を表2に示した。
【0051】
[実施例10]
実施例7において、塗布した実施例3で調整した防汚塗料組成物を塗布する代わりに、実施例6で調整した防汚塗料組成物を塗布する以外は同様の条件で懸垂浸海試験を行った。その結果を表2に示した。
【0052】
[比較例6]
比較例7において、実施例3で調製した防汚塗料組成物を塗装する代わりに、比較例3で調製した防汚塗料組成物を塗装する以外は同様の懸垂浸海試験を行った。その結果を表2に示した。
【0053】
[比較例7]
比較例7において、実施例3で調製した防汚塗料組成物を塗装する代わりに、比較例4で調製した防汚塗料組成物を塗装する以外は同様の懸垂浸海試験を行った。その結果を表2に示した。
【0054】
[比較例8]
比較例7において、実施例3で調製した防汚塗料組成物を塗装する代わりに、比較例5で調製した防汚塗料組成物を塗装する以外は同様の条件で懸垂浸海試験を行った。その結果を表2に示した。
【0055】
【表2】

【0056】
本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、塗料添加剤、特に防汚塗料の添加剤、ゴムやプラスチック、特にはシリコーンゴムの添加剤、各種材料の表面処理剤として有用である。
本発明の塗料添加剤は、防汚塗料の添加剤として有用である。
本発明の防汚塗料組成物は、水中移動物や水中構造物、特に海の水中移動物や水中構造物に塗装するための防汚塗料として特に有用であり、金属,モルタル,スレート,コンクリート,木材,プラスチック,ガラス,セラミックス等からなる建築物や土木構築物、車両、工業製品の低汚染性塗料、耐汚染性塗料として有用である。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)常温で液状であり、HLBが0.2〜1.5であり、一般式(1):
O−(EtO)−R−(SiMeO)−SiMe (1)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Etはエチレン基、Meはメチル基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、nは2〜20、mは10〜100の整数である)
100重量部、
(B)HLBが13〜18であり、一般式(2):
−O−(EtO)−R (2)
で表されるポリオキシエチレン化合物(式中、Etはエチレン基であり、Rは同一または異なって炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基または水素原子であり、nは2〜20の整数である)1〜20重量部からなり、25℃における粘度が20〜1000mPa・sであることを特徴とするオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
(A)常温で液状であり、HLBが0.2〜1.5であり、一般式(1):
O−(EtO)−R−(SiMeO)−SiMe (1)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Etはエチレン基、Meはメチル基、Rは炭素原子数が1〜4のアルキル基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、nは2〜20、mは10〜100の整数である)
100重量部、
(B)HLBが13〜18であり、一般式(2):
−O−(EtO)−R (2)
で表されるポリオキシエチレン化合物(式中、Etはエチレン基であり、Rは同一または異なって炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数2〜20のアルケニル基または水素原子であり、nは2〜20の整数である) 1〜20重量部、
(C)常温で液状であり、HLBが0.4〜1.5であり、一般式(3):
O−(EtO)−R−(SiMeO)−R−O−(EtO)−R (3)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Etはエチレン基、Meはメチル基、Rは炭素原子数1〜4のアルキル基、Rは炭素原子数2〜4のアルキレン基、nは2〜20、mは10〜100の整数である) 1〜400重量部からなり、25℃における粘度が20〜1000mPa・sであることを特徴とするオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
さらに、成分(A)100重量部当たり(D)常温で液状であり、、一般式(4):
−(SiMeO)−SiMe (4)
で表されるジオルガノポリシロキサン(式中、Meはメチル基、Rは炭素原子数1〜20のアルキル基、mは10〜100の整数である)10〜100重量部を含有することを特徴とする請求項2記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
一般式(1)においてRが炭素数4〜18のアルキル基であり、一般式(2)においてRの一方が炭素原子数2〜4のアルケニル基であり、他方が炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることを特徴とする請求項1記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
一般式(1)および一般式(4)においてRが炭素原子数4〜18のアルキル基であり、一般式(2)においてRの一方が炭素原子数2〜4のアルケニル基であり、他方が炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載のオルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
ヘキサメチルシクロトリシロキサンを脱水した溶媒中で、金属アルキル開始剤(ただし、アルキル基は炭素原子数4〜18である)を用いてリビング重合し、ジメチルハロシランで重合停止して得られた一般式(5): H−(SiMeO)−SiMe (5)
(式中、Meはメチル基、Rは炭素原子数4〜18のアルキル基、mは10〜100の整数である)で示される片末端ヒドロシリル基含有ジメチルポリシロキサンと、過剰量の
一般式(6): R−O−(EtO)−R (6)
(式中、Rの一方が炭素原子数1〜4のアルキル基または水素原子、Rの他方が炭素原子数2〜4のアルケニル基、nは2〜20の整数である)で示される片末端アルケニル基封鎖ポリオキシエチレン化合物とを白金系触媒存在下でヒドロシリル化反応させることを特徴とする、請求項4記載のオルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項7】
ジメチルシクロポリシロキサンと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンとを酸性触媒で平衡重合して得た一般式(7):
H−(SiMeO)−SiMeH (7)
(式中、Meはメチル基、mは10〜100の整数である)で示される両末端ヒドロシリル基含有ジメチルポリシロキサンに、一般式(6)で示される片末端アルケニル基封鎖ポリオキシエチレン化合物と炭素原子数4〜18のα−オレフィンとを、同時または段階的に、白金触媒存在下でヒドロシリル化反応させることを特徴とする、請求項5記載のオルガノポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項記載のオルガノポリシロキサン組成物からなることを特徴とする塗料添加剤。
【請求項9】
請求項8記載の塗料添加剤を含むことを特徴とする防汚塗料組成物。
【請求項10】
防汚塗料組成物中の塗膜形成性成分が室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物(E)であることを特徴とする請求項9記載の防汚塗料組成物。
【請求項11】
(E)室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物100重量部、請求項8記載の塗料添加剤10〜80重量部、および(F)沸点が100℃〜200℃である有機溶剤4〜100重量部からなることを特徴とする請求項10記載の防汚塗料組成物。
【請求項12】
成分(E)が、(a)25℃における粘度が20〜100,000mPa・sであり、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水酸基もしくはケイ素原子結合加水分解性基を有するジオルガノポリシロキサン 100重量部、(b)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合加水分解性基を有する有機ケイ素化合物 5〜100重量部および(c)硬化触媒 0〜10重量部からなる組成物であることを特徴とする請求項10または11記載の防汚塗料組成物。

【公開番号】特開2007−56052(P2007−56052A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239459(P2005−239459)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】