説明

オルニチン含有組成物

【課題】褥瘡の予防、抑制、改善や術後回復等の栄養改善に有用なオルニチン含有組成物を提供する。
【解決手段】オルニチンまたはその塩、グルタミンまたはその塩、亜鉛およびビタミン類を含有する組成物。オルニチンまたはその塩が、該組成物に含有されるタンパク質量の10〜70質量%であることが好ましい。オルニチンまたはその塩が、オルニチンとして、組成物全量の5〜45質量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルニチンまたはその塩、グルタミンまたはその塩、亜鉛およびビタミン類を含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
褥瘡とは、体の接触面から受ける圧迫により組織の末梢血管が閉塞し、組織の壊死を引き起こす病態であり、その治癒には長期間を要する場合が多い。よって、長期間、寝具上に寝ている状態にある老人や長期療養患者は、褥瘡(いわゆる床擦れ)が生じやすく、看護上の大きな問題となっている。また、褥瘡は、ヒト以外の動物にも発症する疾病であり、例えばウマの鞍ずれも褥瘡のひとつである。
【0003】
褥瘡の治療剤としては、ブロイメランを含む軟膏(非特許文献1)、ブクラデシンナトリウムを含む軟膏等が用いられているが(非特許文献2)、いずれも出血、疼痛等の副作用が知られており、より安全な褥瘡の治療が求められている。オルニチンには一定の褥瘡の治療効果が認められ(非特許文献3)、グルタミンにも一定の褥瘡の治療効果が認められている(非特許文献4)。
【0004】
しかしながら、単純にオルニチンとグルタミンとを配合するとタンパク質量(アミノ酸を含む)が増大し体に窒素負荷がかかることが懸念される。そのような状況下で、一定のタンパク質量の下で窒素負荷が低減できるように、タンパク質量におけるオルニチンの割合を最適化し、グルタミンなどとの相乗効果を発揮させようとしたものはなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】診療と新薬、1971年、第8巻、p.967
【非特許文献2】Biological & Pharmaceutical Bulletin、1995年、第18巻、p.1539−1543
【非特許文献3】食品と開発2010年8月号 10〜12ページ
【非特許文献4】臨床栄養1997年Vol.91 No.4 529〜534ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、オルニチンまたはその塩、グルタミンまたはその塩、亜鉛およびビタミン類を含有する組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の(1)〜(19)に関する。
(1)オルニチンまたはその塩、グルタミンまたはその塩、亜鉛およびビタミン類を含有する組成物。
(2)オルニチンまたはその塩が、オルニチンとして、組成物に含有されるタンパク質量の10〜70質量%であることを特徴とする(1)記載の組成物。
(3)オルニチンまたはその塩が、オルニチンとして、組成物全量の5〜45質量%であることを特徴とする(1)または(2)記載の組成物。
(4)オルニチンまたはその塩がオルニチンとして800〜1700mg含まれることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の組成物。
(5)グルタミンまたはその塩がグルタミンとして100〜2000mg含まれることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の組成物。
(6)オルニチンまたはその塩とグルタミンまたはその塩との重量組成比がオルニチンおよびグルタミンとして1:4〜9:4である(1)から(5)のいずれかに記載の組成物。
(7)亜鉛が0.1〜15mg含まれることを特徴とする(1)から(6)のいずれかに記載の組成物。
(8)オルニチンまたはその塩と亜鉛との重量組成比がオルニチンおよび亜鉛として70:3〜10:1である(1)から(7)のいずれかに記載の組成物。
(9)ビタミン類がビタミンAおよびビタミンCからなる群から選ばれる1以上のビタミン類を含有する(1)から(8)のいずれかに記載の組成物。
(10)ビタミンAが10〜600μg含まれることを特徴とする(9)記載の組成物。
(11)ビタミンCが24〜500mg含まれることを特徴とする(9)記載の組成物。
(12)オルニチンまたはその塩とビタミンCとの重量組成比がオルニチンとビタミンCとして3:2〜7:2である(9)または(11)記載の組成物。
(13)組成物が粉末または顆粒であることを特徴とする(1)から(12)のいずれかに記載の組成物。
(14)酸味料を含有させる工程を含むオルニチンまたはその塩、グルタミンまたはその塩、亜鉛、ビタミン類を含有する組成物の製造方法。
(15)オルニチンまたはその塩が、組成物に含有されるタンパク質量の10〜70質量%であることを特徴とする(14)記載の製造方法。
(16)酸味料がクエン酸である(14)または(15)記載の製造方法。
(17)(1)から(13)のいずれかに記載の組成物を含有、混合、溶解させた50〜240mlの飲料。
(18)pHが3.0〜4.0であることを特徴とする(17)記載の飲料。
(19)(1)から(13)のいずれかに記載の組成物を有効成分とする栄養改善用組成物。
(20)栄養改善が褥瘡の予防、または改善、術後回復に関する栄養改善である(19)記載の栄養改善用組成物。
(21)(1)から(13)のいずれかに記載の組成物を有効成分とする褥瘡の予防剤、抑制剤、改善剤、または術後回復剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、オルニチンまたはその塩、グルタミンまたはその塩、亜鉛およびビタミン類を含有する組成物を提供することができる。該組成物は、褥瘡の予防、抑制、改善、術後回復等として用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いられるオルニチンとしては、L−オルニチンまたはD−オルニチンがあげられるが、L−オルニチンが好ましい。本発明で用いられるオルニチンは、どのような製造法によって得られたものであってもよく、L−オルニチンの製造法としては、例えば化学合成法[Coll.Czechoslov.Chem.Commun.,24,1993(1959) ]、発酵法(特開昭53−24096号公報、特開昭61−119194号公報)等の方法があげられる。
【0010】
また、L−オルニチンおよびD−オルニチンは、シグマ−アルドリッチ社等より購入することもできる。オルニチンの塩としては、例えば酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等があげられる。酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩、カプリル酸塩等の有機酸塩があげられる。
【0011】
金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等があげられる。アンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩があげられる。有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の塩があげられる。アミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の塩があげられる。上記のオルニチンの塩のうち、塩酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、α−ケトグルタル酸塩、アスパラギン酸塩が好ましく用いられるが、他の塩、または2以上の塩を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0012】
本発明の組成物中のオルニチンまたはその塩の配合量は、適宜選択されるが、オルニチンとして、組成物に含有されるタンパク質量(アミノ酸も含む。)に対して通常は10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%、特に好ましくは30〜50質量%である。10%未満の場合はオルニチンに由来する効果が生じにくくなる可能性があり、70%より多い場合はその他のアミノ酸との相乗効果が生じにくくなる可能性がある。
【0013】
本発明の組成物中のオルニチンまたはその塩の配合量は、適宜選択されるが、オルニチンとして、組成物全量に対して通常は5〜45質量%、好ましくは15〜35質量%、特に好ましくは20〜30質量%である。5%未満の場合はオルニチンに由来する効果が生じにくくなる可能性があり、45%より多い場合はその他のアミノ酸と合計した組成物全量に対するタンパク質の割合が高くなり、体に与える窒素負荷の観点から好ましくない可能性がある。
【0014】
本発明の組成物中のオルニチンまたはその塩の配合量は、適宜選択されるが、オルニチンとして、通常は800〜1700mg、好ましくは1000〜1500mg、特に好ましくは1200〜1300mgである。800mg未満の場合はオルニチンに由来する効果が生じにくくなる可能性があり、1700mgより多い場合はその他のアミノ酸と合計した組成物中のタンパク質量が高くなり、体に与える窒素負荷の観点から好ましくない可能性がある。
【0015】
本発明で用いられるグルタミンとしては、L−グルタミンまたはD−グルタミンがあげられるが、L−グルタミンが好ましい。本発明で用いられるグルタミンは、どのような製造法によって得られたものであってもよく、L−グルタミンの製造法としては、例えばWO2007/074857等の方法があげられる。
【0016】
また、L−グルタミンおよびD−グルタミンは、シグマ−アルドリッチ社等より購入することもできる。グルタミンの塩としては、例えば酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等があげられる。酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩、カプリル酸塩等の有機酸塩があげられる。
【0017】
本発明の組成物中のグルタミンまたはその塩の配合量は、適宜選択されるが、グルタミンとして、通常は100〜2000mg、好ましくは500〜1600mg、特に好ましくは900〜1200mgである。100mg未満の場合はグルタミンに由来する効果が生じにくくなる可能性があり、2000mgより多い場合はその他のアミノ酸と合計した組成物中のタンパク質量が高くなり体に与える窒素負荷の観点から好ましくない可能性がある。
【0018】
本発明の組成物中のオルニチンまたはその塩とグルタミンまたはその塩との重量組成比がオルニチンおよびグルタミンとして、特に限定はないが、1:4〜9:4が好ましく、3:4〜7:4がさらに好ましく、5:4が特に好ましい。1:4〜9:4の組成比を外れると、オルニチンまたはグルタミンの一方に由来する効果が強くなるため相乗効果を生じにくくなる可能性があり、3:4〜7:4の組成比において相乗効果を得られやすく、5:4に近い組成比においてさらに相乗効果を得られやすい。
【0019】
本発明で用いられる亜鉛としては、組成物に亜鉛イオンを供給することができる可食性のものであれば、特に限定はないが、亜鉛を含有する塩や、亜鉛を高含有する酵母等の微生物を挙げることができる。特に好ましい亜鉛イオン添加物としては、グルコン酸亜鉛を挙げることができる。
【0020】
本発明の組成物中の亜鉛の配合量は、適宜選択されるが、通常は0.1〜15mg、好ましくは3.0〜12.0mg、特に好ましくは6.0〜9.0mgである。0.1mg未満の場合は亜鉛に由来する創傷治癒効果が生じにくくなる可能性があり、15mgより多い場合は栄養機能食品の規格基準である1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量を超えることになる。
【0021】
本発明の組成物中のオルニチンまたはその塩と亜鉛との重量組成比がオルニチンおよび亜鉛として、特に限定はないが、70:3〜10:1が好ましく、20:1〜40:3がさらに好ましく、50:3が特に好ましい。
【0022】
本発明で用いられるビタミン類としては、例えばコエンザイムQ10、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE等があげられるが、特にビタミンAやビタミンCが好ましい。ビタミンAとしては、レチノール(ビタミンA1)、3−デヒドロレチノール(ビタミンA2)、レチナール、3−デヒドロレチナール、レチノイン酸、3−デヒドロレチノイン酸、これらの酢酸エステル、パルミチン酸エステル等の誘導体をあげることができる。ビタミンCとしては、例えば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル等をあげることができる。
【0023】
本発明の組成物中のビタミンAの配合量は、適宜選択されるが、通常は10〜600μg(600μgは2000IU相当)、好ましくは100〜400μg、特に好ましくは135〜200μgである。10μg未満の場合はビタミンAに由来するコラーゲン合成や上皮生成の効果が生じにくくなる可能性があり、135μg未満の場合は栄養機能食品の規格基準である1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量450IUを下回り、600μgより多い場合は栄養機能食品の規格基準である1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量2000IUを超えることになる。
【0024】
本発明の組成物中のビタミンCとして通常は24〜1000mg、好ましくは100〜750mg、特に好ましくは150〜500mgである。24mg未満の場合は栄養機能食品の規格基準である1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量を下回りビタミンCに由来する効果が生じにくくなる可能性があり、100mgで厚生労働省が定める1日当たりの栄養所要量所要量を満たす。150〜500mgは褥瘡発生時の1日の必要量として適当である。1000mgより多い場合は栄養機能食品の規格基準である1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量を超えることになる。
【0025】
本発明の組成物中のオルニチンまたはその塩とビタミンCとの重量組成比がオルニチンおよびビタミンCとして、特に限定はないが、3:2〜7:2が好ましく、2:1〜3:1がさらに好ましく、5:2が特に好ましい。
【0026】
本発明の組成物は、例えば医薬、食品、飼料、食品添加物または飼料添加物として用いることができる。
【0027】
また、本発明の組成物は、例えば粉末、顆粒、ペレット、錠剤、各種液剤の形態に加工、製造される。特に限定はないが、粉末や顆粒が好ましい。粉末または顆粒は、所望により糖類、甘味剤、酸味料、結合剤、抗酸化剤、着色剤、香料等を含有していてもよい。
糖類としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば単糖類、二糖類、糖アルコール、オリゴ糖等があげられ、好ましくは二糖類、糖アルコールがあげられる。
【0028】
甘味剤としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等があげられる。本発明の粉末または顆粒中で甘味剤が占める割合は、一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されない。
【0029】
酸味料としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、酒石酸等があげられ、特にはクエン酸が好ましい。本発明の粉末または顆粒中で酸味料が占める割合は、一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されないが、通常は2〜16重量%、好ましくは4〜12重量%、特に好ましくは6〜10重量%である。
【0030】
結合剤としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、ゼラチン、プルラン等があげられる。本発明の造粒粉末もしくは顆粒または錠剤中で結合剤が占める割合は、一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されない。
【0031】
また、本発明の組成物は、例えば食品添加剤として用いることができる。本発明の食品添加剤として飲食品に含有、混合、溶解させることができる。本発明の組成物を含有、混合、溶解した飲食品は、一般的な飲食品の製造方法を用いることにより、加工、製造することができる。例えば水、ジュース類、清涼飲料水、茶類、乳酸菌飲料、発酵乳、冷菓、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等の乳製品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の畜肉製品、蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等の魚肉練り製品、だし巻き、卵豆腐等の卵製品、クッキー、ゼリー、チューインガム、キャンディー、スナック菓子等の菓子類、パン類、麺類、漬物類、燻製品、干物、佃煮、塩蔵品、スープ類、調味料等、いずれの形態のものであってもよい。特に限定はないが、水、ジュース類、清涼飲料水、茶類、乳酸菌飲料、発酵乳、加工乳などの飲料が好ましい。
【0032】
本発明の組成物を食品添加剤として含有、混合、溶解させた飲料のpHとしては、特に限定されないが、pH2.0〜8.0、好ましくはpH2.5〜6.0、特に好ましくはpH3.0〜4.0である。必要に応じて、有機酸、無機酸等のpH調整剤で飲料のpH調整を行うことができる。有機酸および無機酸としては、飲料の製造に用いられるものであれば特に制限されない。
【0033】
本発明の組成物を食品添加剤として含有、混合、溶解させた飲料の量としては、特に限定されないが、10〜500ml、好ましくは50〜240ml、特に好ましくは80〜120mlである。10ml未満の場合は組成物を含有、混合、溶解させにくくなる可能性があり、50ml以上は少量の水分で摂取することができ、80〜120mlでは適度な水分摂取とともに味も良好に摂取できる。500mlより多い場合は水分が多くなり摂取が難しくなる。
【0034】
本発明の組成物は、そのまま例えば粉末食品、シート状食品、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルト食品、カプセル食品、タブレット状食品、流動食品、ドリンク剤等の形態のものであってもよく、健康食品、機能性食品、栄養補助食品、特定保健用食品等の組成物としても用いることができる。
【0035】
本発明の組成物は、適宜選択されるが、組成物全量として通常は2.0g〜8.0g、好ましくは3.0〜7.0g、特に好ましくは4.0〜6.0gである。2.0g未満の場合は組成物中の有効成分が少量になるため効果が生じにくくなる可能性があり、8.0gより多い場合は組成物を適当な量の飲料などに含有、混合、溶解させにくくなる可能性がある。
【0036】
本発明において栄養改善とは、例えば、褥瘡の予防または改善、術後回復があげられる。
【0037】
本発明の組成物の摂取は、摂取形態、摂取者の年齢、体重等に応じて異なるが、通常成人一日あたり、一日一回ないし二回程度摂取する。摂取期間は特に限定はないが、通常は1日間〜1年間、好ましくは1週間〜3ヶ月間である。
【0038】
組成物の投与形態は、治療に際し最も効果的なものを使用するのが望ましく、経口投与または、例えば静脈内、腹膜内もしくは皮下投与等の非経口投与をあげることができるが、経口投与が好ましい。
【0039】
投与する剤形としては、例えば錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤、懸濁剤、乳剤、浸剤・煎剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、エリキシル剤、エキス剤、チンキ剤、流エキス剤等の経口組成物、注射剤、点滴剤、クリーム剤、坐剤等の非経口組成物のいずれでもよいが、経口組成物として好適に用いられる。
【0040】
また、本は発明の組成物は、例えば当該組成物を有効成分とする褥瘡の予防剤、抑制剤、改善剤、または術後回復剤として用いることができる。褥瘡の予防剤、抑制剤、改善剤、または術後回復剤については上述した配合、投与形態、剤形などを用いることができる。
【0041】
以下に、本発明の実施例を示す。
【実施例1】
【0042】
(オルニチン含有粉末の製造)
表1記載の処方で常法により粉末を製造した。成分の配合はA群とB群は同時に混合を行い、その後C群の成分を配合した。A群とB群を同時に混合を行うことにより、飲料などへの溶解性が良い粉末が得られることが分かった。
【表1】

【実施例2】
【0043】
(オルニチン含有飲料の製造)
実施例1で得た粉末5gを10、50、80、100、120、240、500mlの飲料水に配合し、それぞれについて溶解性および味の評価を行った。
【0044】
溶解性の評価は、1:溶解せず沈殿が生じる、2:ある程度溶解しているが、若干溶け残りがある、3:溶解しており、特に問題にならない、4:溶解している。5:極めて良好に溶解している、の5段階で評価した。
【0045】
味の評価は、1:極めて良くない、2:良くない、3:普通であり、特に問題でない、4:良好である。5:極めて良好である、の5段階で評価した。
【表2】

【0046】
表2に示すように、10ml未満の場合は組成物を溶解させにくくなり、50ml以上は問題なく溶解した。また、味の観点からは80〜240mlにおいて良好に摂取できた。
【実施例3】
【0047】
(オルニチン含有清涼飲料の製造)
実施例1で得た粉末5gを100mlのスポーツドリンク、紅茶(ストレートティー)に配合した。それぞれについて、溶解性・味は良好であり(実施例2と同様の評価で、スポーツドリンクは溶解性3、味3、紅茶は溶解性3、味3、であった。)、特に問題なく清涼飲料水に配合して摂取することができた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明により、褥瘡の予防、抑制、改善や術後回復等の栄養改善に有用な、オルニチンまたはその塩、グルタミンまたはその塩、亜鉛およびビタミン類を含有する組成物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルニチンまたはその塩、グルタミンまたはその塩、亜鉛およびビタミン類を含有する組成物。
【請求項2】
オルニチンまたはその塩が、オルニチンとして、組成物に含有されるタンパク質量の10〜70質量%であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
オルニチンまたはその塩が、オルニチンとして、組成物全量の5〜45質量%であることを特徴とする請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
オルニチンまたはその塩がオルニチンとして800〜1700mg含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
グルタミンまたはその塩がグルタミンとして100〜2000mg含まれることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
オルニチンまたはその塩とグルタミンまたはその塩との重量組成比がオルニチンおよびグルタミンとして1:4〜9:4である請求項1から5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
亜鉛が0.1〜15mg含まれることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
オルニチンまたはその塩と亜鉛との重量組成比がオルニチンおよび亜鉛として70:3〜10:1である請求項1から7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
ビタミン類がビタミンAおよびビタミンCからなる群から選ばれる1以上のビタミン類を含有する請求項1から8のいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
ビタミンAが10〜600μg含まれることを特徴とする請求項9項記載の組成物。
【請求項11】
ビタミンCが24〜500mg含まれることを特徴とする請求項9項記載の組成物。
【請求項12】
オルニチンまたはその塩とビタミンCとの重量組成比がオルニチンとビタミンCとして3:2〜7:2である請求項9または11記載の組成物。
【請求項13】
組成物が粉末または顆粒であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項記載の組成物。
【請求項14】
酸味料を含有させる工程を含むオルニチンまたはその塩、グルタミンまたはその塩、亜鉛、ビタミン類を含有する組成物の製造方法。
【請求項15】
オルニチンまたはその塩が、組成物に含有されるタンパク質量の10〜70質量%であることを特徴とする請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
酸味料がクエン酸である請求項14または15記載の製造方法。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか1項記載の組成物を含有、混合、溶解させた50〜240mlの飲料。
【請求項18】
pHが3.0〜4.0であることを特徴とする請求項17記載の飲料。
【請求項19】
請求項1から13のいずれか1項記載の組成物を有効成分とする栄養改善用組成物。
【請求項20】
栄養改善が褥瘡の予防または改善、術後回復に関する栄養改善である請求項19記載の栄養改善用組成物。

【公開番号】特開2013−40142(P2013−40142A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178937(P2011−178937)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(308032666)協和発酵バイオ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】