説明

オルニチン塩酸塩を含有する錠剤

【課題】 本発明は、オルニチン塩酸塩を高含量で含有することが可能な錠剤およびその製造方法を提供することを目的とし、オルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンを含有する錠剤、オルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンを含有する混合物を直接打錠法により圧縮成形することを特徴とするオルニチン塩酸塩を含有する錠剤の製造方法等を提供する。
【解決手段】 オルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンを含有する錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オルニチン塩酸塩を含有する錠剤およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
L−オルニチンは、下垂体を刺激し成長ホルモンを分泌させること(“クリニカル・エンドクリノロジー(Clinical Endocrinology)”,1982年,第17巻,第2号,p.119−122)、成長ホルモンの分泌を促進させることでタンパク合成を促進し筋肉合成を増強すること(“アナルズ・オブ・サーガリ(Annals of Surgery)”,1987年,第206巻,第5号,p.674−678)および肝機能障害により引き起こされる高アンモニア血症を改善し肝性脳症を予防すること(“ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・イクスペリメンタル・セラピュティクス(Journal of Pharmacology & Experimental Therapeutics)”,1997年,第283巻,第1号,p.1−6)が知られている。L−オルニチンを有効成分として含む製剤は、肥満防止と肌修復の促進を目的としたサプリメント製品や、肝臓障害用の医薬品(“アミノ・アシッズ(Amino Acids)”,1992年,第3巻,p.147−153)としても知られている。
【0003】
オルニチン塩酸塩は安価で安定なL−オルニチン原料として広く用いられている。オルニチン塩酸塩を含有する錠剤としてはこれまで、L−オルニチン塩酸塩を錠剤質量の43.5%含有する錠剤が市販されている(協和発酵工業株式会社製「リメイクオルニチン」)。
一方、例えば、微結晶セルロースのような錠剤用賦形剤とβ−シクロデキストリンのような結合剤を含む直接錠剤形成助剤(特許文献1参照)、単糖類及び二糖類並びにそれらの糖アルコールからなる糖類に、シクロデキストリン類が完全に溶解した溶液を噴霧塗布し、造粒して得られる造粒物、並びに該造粒物に由来する圧縮錠剤(特許文献2参照)等が開示され、シクロデキストリンを添加剤として錠剤の製造に用いることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−339197号公報
【特許文献2】特開2002−255796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、オルニチン塩酸塩を高含量で含有する錠剤およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下の(1)〜(9)に関する。
(1)オルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンを含有する錠剤。
(2)オルニチン塩酸塩の含有量が、錠剤質量の50%以上である前記(1)記載の錠剤。
(3)マルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンの含有量が、錠剤質量の5〜20%である前記(1)または(2)記載の錠剤。
(4)マルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンが、β−シクロデキストリンである前記(1)〜(3)のいずれかに記載の錠剤。
(5)さらにセルロースまたはセルロース誘導体を含有する前記(1)〜(4)のいずれかに記載の錠剤。
(6)セルロースまたはセルロース誘導体が、微結晶セルロースであり、その粒子径が20〜60μmである前記(5)記載の錠剤。
(7)錠剤硬度が30〜150Nである前記(1)〜(6)のいずれかに記載の錠剤。
(8)オルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンを含有する混合物を直接打錠法により圧縮成形することを特徴とするオルニチン塩酸塩を含有する錠剤の製造方法。
(9)オルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンを含有する混合物を造粒する工程およびそれに続く圧縮成形工程を含むことを特徴とするオルニチン塩酸塩を含有する錠剤の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、オルニチン塩酸塩を高含量で含有する錠剤とその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の錠剤は、オルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンを含有し、好ましくはさらにセルロースまたはセルロース誘導体を含有する。
本発明の錠剤は、所望により糖類、滑沢剤、流動化剤、甘味剤、酸味料、結合剤、抗酸化剤、着色剤、香料、崩壊剤等を含有していてもよい。
本発明におけるオルニチン塩酸塩は、L体、D体、およびL体とD体の混合物のいずれでもよく、好ましくはL−オルニチン塩酸塩((S)−2,5−diaminopentanoic acid monohydrochloride)があげられる。本発明におけるオルニチン塩酸塩は、結晶または結晶性の粉末であることが好ましく、純度は98%以上であることが好ましく、乾燥減量は0.2%以下であることが好ましい。オルニチン塩酸塩の製造方法は特に限定されず、発酵法、合成法、精製法等を含む製造法によって製造することができる。オルニチン塩酸塩の粒度分布は特に限定されない。オルニチン塩酸塩は例えば協和発酵工業株式会社、株式会社協和ウエルネス等から購入することができる(製品名:L−オルニチン塩酸塩)。本発明の錠剤では、オルニチン塩酸塩を、錠剤中に50質量%以上含有させることが可能であり、60質量%以上含有させることも可能である。
【0009】
本発明におけるマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンは、ピラノース型のグルコース2〜数十分子がα−1,4結合で直鎖状または環状に結合した骨格を有する糖のことであり、該直鎖状または環状に結合した骨格にグルコース1〜3分子による分岐鎖や、該骨格上の1個以上の水酸基の水素が、炭素数1〜6のアルキル、ヒドロキシル化された炭素数1〜6のアルキル、カルボキシル化された炭素数1〜6のアルキルまたは炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル化された炭素数1〜6のアルキルによって置換されて形成されているエーテルを含んでいてもよい。マルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンは、自然界から得られるもの、化学合成法により得られるもののいずれでもよく、市販のものを用いることもでき、精製品でも粗精製品でもよい。
【0010】
本発明における直鎖状または環状のデキストリンとしては、例えばマルトデキストリン、デキストロース、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等があげられ、好ましくはα−シクロデキストリン、β−シクロデキストリンまたはγ−シクロデキストリンがあげられ、より好ましくはβ−シクロデキストリンがあげられる。マルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンの平均粒子径は、例えば1〜150μm、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜80μm、特に好ましくは30〜60μmである。平均粒子径は、例えばレーザー回折型粒度分布測定装置(HEROS&RODOS、日本電子社製)を用いて測定することができる。
【0011】
マルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンの水分含量は0〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることがより好ましい。
本発明におけるマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンの平均粒子径および水分含量の前記の値は、錠剤が褐色化して錠剤の品質が低下することをより防止する作用においても好ましい。また、マルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンのうち、例えば環状のデキストリンを用いた場合は、錠剤がより褐色化しにくく、錠剤の品質に関する点において環状のデキストリンを選択することがより好ましい。
【0012】
本発明の錠剤中でマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンが占める割合は、1〜50質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
本発明におけるセルロースまたはセルロース誘導体としては、例えば、微結晶セルロース、粉末セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等があげられ、好ましくは微結晶セルロース等があげられる。セルロースまたはセルロース誘導体の粒子径は特に限定されないが、約20〜60μmであることが好ましい。セルロースまたはセルロース誘導体の粒子は、錠剤の硬度、崩壊性等をより高めるために、嵩密度が0.15〜0.4g/cm3の粒子であることが好ましく、また、錠剤の含量均一性や製造速度等をより高めるために、安息角が40〜50度の粒子であることが好ましい。セルロースまたはセルロース誘導体の製造方法は特に限定されないが、例えば微結晶セルロースは、例えばパルプ繊維等を加水分解し、非微結晶セルロースを除去して粉砕、乾燥して製造することができる。
【0013】
本発明の錠剤中でセルロースまたはセルロース誘導体が占める割合は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されないが、1〜30質量%であることが好ましく、10〜25質量%であることがより好ましい。
糖類としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば単糖類、二糖類、糖アルコール、オリゴ糖等があげられ、好ましくは糖アルコールがあげられる。
【0014】
単糖類としては、例えばグルコース、キシロース、ガラクトース、フラクトース等があげられる。二糖類としては、例えばトレハロース、蔗糖、乳糖、パラチノース等があげられる。糖アルコールとしては、例えばマルチトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール等があげられる。オリゴ糖としては、例えばラフィノース、イヌロオリゴ糖(チコリオリゴ糖)、パラチノースオリゴ糖等があげられる。
【0015】
糖類の形状は特に制限されないが、微結晶または微粒子の形態が好ましく、その平均粒子径は、例えば1〜100μm、好ましくは5〜80μm、より好ましくは10〜60μm、特に好ましくは30〜50μmである。本発明の錠剤中で糖類が占める割合は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されない。
滑沢剤としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸またはその金属塩、ショ糖脂肪酸エステルまたはグリセリン脂肪酸エステル、硬化油脂、二酸化ケイ素、リン酸カルシウム等があげられる。滑沢剤は、錠剤の表面のみにあっても、錠剤内部に分散していてもよい。本発明の錠剤中で滑沢剤が占める割合は、0.01〜20質量%であることが好ましく、0.3〜5質量%であることがより好ましい。
【0016】
流動化剤としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、微粒二酸化ケイ素等があげられる。本発明の錠剤中で流動化剤が占める割合は、0〜20質量%であるのが好ましく、0.01〜10質量%であるのがより好ましく、0.05〜5質量%であるのが特に好ましい。
甘味剤としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチン等があげられる。本発明の錠剤中で甘味剤が占める割合は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されない。
【0017】
酸味料としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等があげられる。本発明の錠剤中で酸味料が占める割合は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されない。
結合剤としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、ゼラチン、プルラン等があげられる。本発明の錠剤中で結合剤が占める割合は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されない。
【0018】
抗酸化剤としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、トコフェロール、アスコルビン酸、塩酸システイン、L−アスコルビン酸ステアリン酸エステル等があげられる。本発明の錠剤中で抗酸化剤が占める割合は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されない。
着色剤としては、食品等に使用できるものであれば特に制限はされないが、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号、カロチノイド色素、トマト色素等があげられる。本発明の錠剤中で着色剤が占める割合は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されない。
【0019】
香料としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、レモンフレーバー、レモンライムフレーバー、グレープフルーツフレーバー、アップルフレーバー等があげられる。本発明の錠剤中で香料が占める割合は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されない。
崩壊剤としては、食品等に使用できるものであれば特に制限されないが、例えば、コーンスターチ、バレイショデンプン等があげられる。本発明の錠剤中で崩壊剤が占める割合は、製剤における一般的な使用の量の範囲内であれば特に限定されない。
【0020】
本発明の錠剤は、例えばかけ、くずれ等が生じない硬度を有しているのが好ましい。錠剤の硬度は、一般的に錠剤硬度計で錠剤の直径方向の破壊強度として測定されるが、その値は20〜200Nであるのが好ましく、30〜150Nであるのがより好ましく、40〜100Nであるのが特に好ましい。錠剤の硬度は、市販の錠剤破壊強度測定機、例えば、富山産業製TH−203CP型等により測定できる。
【0021】
本発明の錠剤の形状は、特に制限されないが、例えば丸錠、三角錠、砲丸錠等が好ましい。本発明の錠剤の大きさは、特に制限されないが、例えば質量で0.1〜2g、直径で0.3〜2.0cmであるのが好ましい。
本発明の錠剤は、例えば上述した該錠剤の各構成成分を粉末のまま混合するか、該構成成分の一部を造粒物とした後に残りの成分を混合するか、該構成成分の全てを造粒する工程、次いで得られた混合物または造粒物を圧縮成形することにより錠剤を製造する工程を含む製造方法で製造することができる。より具体的には、オルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリン、好ましくはさらにセルロースまたはセルロース誘導体を含有する該錠剤の各構成成分を混合し、得られた混合物を直接打錠法により圧縮成形する製造方法でも、所望の硬度を有する錠剤を製造することができ、またオルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリン、好ましくはさらにセルロースまたはセルロース誘導体を含有する該錠剤の各構成成分のうち、少なくともオルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンを含有する混合物を造粒した後、残りの構成成分と混合して圧縮成形する製造方法(間接打錠法により圧縮成形する製造方法)でも、所望の硬度を有する錠剤を製造することができる。圧縮成形に用いる機器は、特に限定されず、例えばロータリー圧縮成形機、油圧プレス機等の圧縮機を用いることができる。前記の直接打錠法により圧縮成形する製造方法は、錠剤の各構成成分をただ単に混合するだけで圧縮成形に付する極めて簡便な製造方法であるので好ましく、製造工程中に該構成成分に水分等の添加をしていないので、錠剤の構成成分の安定性等においても好ましい。
【0022】
本発明の錠剤は、圧縮成形機の杵臼にあらかじめ極微量の滑沢剤を塗布し、滑沢剤が塗布された杵臼を有する圧縮成形機で滑沢剤を含有しない混合物を圧縮成形する、いわゆる外部滑沢圧縮成形方法を用いて製造してもよい。
本発明の錠剤の各構成成分の全てまたは該構成成分の一部を造粒する場合(例えば前記の間接打錠法により圧縮成形する製造方法等)においての造粒方法としては、例えば精製水、エタノール等を用いた湿式造粒法、乾式造粒法等をあげることができる。造粒に用いる機器は、特に限定されず、例えば流動層造粒機、転動撹拌造粒機、押し出し造粒機等を用いることができる。前記間接打錠法により圧縮成形する製造方法は、錠剤質量中50%以上のオルニチン塩酸塩、マルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリン、およびセルロースまたはセルロース誘導体の含量を均一にするためにおいて好ましい。また、造粒時にできるだけ水分等の添加を減らすことは、錠剤の構成成分の安定性等において好ましい。
【0023】
本発明の錠剤は、さらに、防湿性、保存安定性等の向上のため、例えば糖、糖アルコール等によりコーティングされた糖衣錠又はコーティング錠であってもよい。
本発明の錠剤は、食品、医薬品等として、摂取することができ、日々の栄養摂取を目的に錠剤食品の形態で摂取する場合、オルニチン塩酸塩としての摂取量は100mg〜2gであることが好ましい。本発明の錠剤では、オルニチン塩酸塩を、錠剤中に50質量%以上含有させることで服用する錠剤数を減らすことが可能であり、好ましくは60質量%以上含有させて、服用する錠剤数をさらに減らすことが可能であり、1日に服用する錠剤の個数は、1〜15個となるようにすることが好ましい。
【0024】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
L−オルニチン塩酸塩68.1g(製品名:L−オルニチン塩酸塩(協和発酵社製))、微結晶セルロース18.0g(製品名:アビセルFD101(旭化成ケミカルズ社製)、以下同様)、ショ糖脂肪酸エステル3.3g(製品名:DKエステルF−20W(第一工業製薬社製)、以下同様)、リン酸カルシウム0.6g(製品名:リン酸三カルシウム(太平化学産業社製)、以下同様)およびβ−シクロデキストリン10.0g(製品名:セルデックスB−100(日本食品化工社製)、以下同様)を、ポリエチレン袋内で十分に混合した後、単発式圧縮成形機(竪型成形機6B−2M(菊水製作所))で、錠剤硬度(測定機器:硬度測定器KHT−20N(藤原製作所製)、以下同様)が80Nになるように圧縮成形することで、直径8mm、250mgの錠剤を得た。
【0026】
本錠剤は、打錠障害を起こすこと無く製造できた。また該錠剤を40℃で1ヶ月保存しても、外観および性状に変化は見られなかった。
【実施例2】
【0027】
実施例1におけるβ−シクロデキストリン10.0gをマルトース10.0g(製品名:サンマルトミドリ(林原商事社製))にし、実施例1と同様に錠剤を得た。
本錠剤は、打錠障害を起こすこと無く製造できた。
比較例1
実施例1におけるβ−シクロデキストリン10.0gを除き、微結晶セルロース18.0gを28.4gにし、ショ糖脂肪酸エステル3.3gを3.0gにし、リン酸カルシウム0.6gを0.5gにして、実施例1と同様に圧縮成形した。
【0028】
成形中にラミネーションが発生し、錠剤は製造できなかった。
比較例2〜4
実施例1におけるβ−シクロデキストリン10.0gを、それぞれ乳糖10.0g(製品名:TABLETTOSE 80(MEGGLE社製))、D−マンニトール10.0g(製品名:D−マンニトール(経口用)(日研化成社製))および部分α化デンプン10.0g(製品名:PCS FC−30(旭化成ケミカル社製))にし、実施例1と同様に圧縮成形した。
【0029】
いずれも成形中にラミネーションが発生し、十分な硬度の錠剤を得ることはできなかった。
【0030】
【表1】

【実施例3】
【0031】
連続打錠機を用いた錠剤の製造例(直打)
オルニチン塩酸塩136.2kg、微結晶セルロース36.0kg、ショ糖脂肪酸エステル6.6kg、リン酸カルシウム1.2kgおよびβ−シクロデキストリン20.0kgを、コニカルブレンダー(CB−1200ブレンダー(日本乾燥機株式会社製)、以下同様)を用いて混合した。得られた混合物をロータリー圧縮成形機(VIRGO524SS1AY(菊水制作所社製)、以下同様)を用いて、圧縮成形圧10kNで圧縮成形して、直径8mm、250mgの錠剤を製造した。圧縮成形障害は認められず、錠剤硬度は81N(n=20の平均値)であった。
【実施例4】
【0032】
連続打錠機を用いた錠剤の製造例(造粒)
オルニチン塩酸塩81.7kgと、β−シクロデキストリン12.0kgとの混合物を、プルラン0.6kg(製品名プルランPI−20(林原社製))を水に溶かして5%水溶液にしたものを用い流動層造粒機(FLO−120型(フロイント産業社製))で造粒する。得られる造粒物(78.6kg)に微結晶セルロース17.5kg、ショ糖脂肪酸エステル3.3kgおよびリン酸カルシウム0.6kgを加え、コニカルブレンダーを用いて混合する。得られる混合物をロータリー圧縮成形機を用いて、圧縮成形圧10kNで圧縮成形して、直径8mm、250mgの錠剤を製造する。









【特許請求の範囲】
【請求項1】
オルニチン塩酸塩、およびマルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンを含有する錠剤。
【請求項2】
オルニチン塩酸塩の含有量が、錠剤質量の50%以上である請求項1記載の錠剤。
【請求項3】
マルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンの含有量が、錠剤質量の5〜20%である請求項1または2記載の錠剤。
【請求項4】
マルトースまたは直鎖状もしくは環状のデキストリンが、β−シクロデキストリンである請求項1〜3のいずれかに記載の錠剤。
【請求項5】
さらにセルロースを含有する請求項1〜4のいずれかに記載の錠剤。
【請求項6】
セルロースが、微結晶セルロースであり、その粒子径が20〜60μmである請求項5記載の錠剤。
【請求項7】
錠剤硬度が30〜150Nである請求項1〜6のいずれかに記載の錠剤。

【公開番号】特開2012−121925(P2012−121925A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−56634(P2012−56634)
【出願日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【分割の表示】特願2007−500628(P2007−500628)の分割
【原出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(308032666)協和発酵バイオ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】