説明

オルニトバクテリウムライノトラキアルサブユニットワクチン

本発明はOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸、前記核酸を含むDNAフラグメント、組換えDNA分子、生きた組換えキャリヤー及び宿主細胞に関する。本発明はOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質と前記蛋白質に対する抗体にも関する。本発明の別の態様はワクチン用としての前記蛋白質と、前記ワクチンの製造における前記蛋白質の使用に関する。更に、本発明の1態様は前記核酸、DNAフラグメント、組換えDNA分子、生きた組換えキャリヤー、宿主細胞、蛋白質又は前記蛋白質に対する抗体を含有するワクチンに関する。最後に、本発明の更に別の態様は前記ワクチンの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオルニトバクテリウム・ライノトラキアル(Ornithobacterium rhinotracheale)蛋白質をコードする核酸、前記核酸を含むDNAフラグメント、組換えDNA分子、生きた組換えキャリヤー及び宿主細胞、Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質、前記蛋白質に対する抗体、ワクチン用としての前記蛋白質、前記ワクチンの製造における前記蛋白質の使用、前記核酸、DNAフラグメント、組換えDNA分子、生きた組換えキャリヤー、宿主細胞、蛋白質又は前記蛋白質に対する抗体を含有するワクチン、並びに前記ワクチンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Ornithobacterium rhinotrachealeは比較的最近発見された細菌であり、家禽飼養場や野生鳥類にますます多発している。特に商業的養鶏場、七面鳥飼養場及びアヒル飼養場の動物に感染することが多い。商業的家禽では、感染は呼吸器疾患に関連付けられ、気嚢炎と肺炎がOrnithobacterium rhinotracheale感染の最も一般的な特徴である。これらの徴候はエアゾールによる微生物の気管内又は胸部内投与で誘導することができ、呼吸器ウイルス、細菌又は最適状態に満たない住環境等の他の因子により悪化する。静脈内投与により誘導することができる疾患としては、骨炎、脳膜炎及び関節感染がOrnithobacterium rhinotrachealeに関連付けられている。感染は水平感染と卵を介する垂直感染があり、そのために急速に世界中に広がると考えられる。Ornithobacterium rhinotrachealの詳細はvan Empel,P.C.M.ad Hafez,H.M.によりAvian Pathology 28:217−227(1999)に記載されている。ヨーロッパ特許EP0.625.190号はOrnithobacterium rhinotracheale細菌とOrnithobacterium rhinotrachealeに対するワクチンの両者に関する。
【0003】
血清学的研究の結果、Ornithobacterium rhinotracheale株には株の地理的起源と株を単離した宿主動物にある程度まで依存して種々の血清型があることが判明した。現時点では、18種の異なる血清型が存在する。
【0004】
通常の抗生物質に対する獲得免疫は属内で非常に一般的であるため、疾患の治療処置が困難になる場合がある。更に、公衆衛生と環境上の理由から食用動物で抗生物質を使用することに対する抵抗はますます強まっている。
【0005】
ワクチン接種は抗生物質による治療処置の代用であるが、これまでは弱毒生ワクチンと不活化全細胞ワクチンしか接種できなかった。
【0006】
Ornithobacterium rhinotrachealeに特異的な弱毒生ワクチンの成功は弱毒化と免疫系のトリガの適正なバランスに大きく依存している。不活化全細胞ワクチンは基本的に安全であるため、安全性の観点から好ましい型のワクチンであると思われる。
【0007】
しかし、不活化全細胞ワクチンは弱毒生ワクチンに比較して高用量を投与する必要がある。一般に、細菌に存在する蛋白質の大半は免疫系のトリガに関与せず、即ち該当免疫原ではない。このため、不活化全細胞ワクチンの場合には、ヒト又は動物に十分なレベルの該当免疫原を提供するためには多量の非防御物質を付加的且つ不可避的に投与する。これは望ましい状況ではない。
【0008】
サブユニットワクチンの使用はこの問題を解決することができるので非常に好ましいが、Ornithobacterium rhinotrachealeを防除するための免疫原性サブユニットワクチンは現時点では当分野で知られていない。
【0009】
更に、弱毒生ワクチンと不活化全細胞製剤は全Ornithobacterium rhinotracheale株に対して所定レベルの交差防御を提供することが知られているが、サブユニットワクチンは交差反応性を誘導する場合としない場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は交差反応性を誘導するOrnithobacterium rhinotrachealeサブユニットに基づくワクチンを初めて提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は防御免疫応答をトリガするのに意外にも重要な役割を果たす8種の新規Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質を提供し、これらの新規免疫原性蛋白質の1種以上を含有するワクチンを提供することにより達成される。更に驚くべきことに、これらの8種の新規蛋白質は同種防御免疫応答を誘導するのみならず、交差反応性防御免疫応答も誘導することが判明した。
【0012】
同種免疫応答は同一血清型の株に対する応答であり、交差反応性免疫応答は血清学的に同種と異種の株の両者に対する応答である。
【0013】
分子量59.8kDをもつ第1の新規蛋白質Or01は配列番号1に記載のヌクレオチド配列をもつ核酸によりコードされる。
【0014】
多数の異なるヌクレオチド配列が同一蛋白質をコードできることは当分野で周知である。この現象はアミノ酸をコードする各トリプレットの2番目、特に3番目の塩基のゆらぎとして一般に知られている。この現象の結果、同一蛋白質をコードする2種のヌクレオチド配列は約20−30%が不均一になる可能性がある。従って、約80%のヌクレオチド配列相同度をもつ2種の核酸は同一蛋白質をコードすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
従って、1態様は59.8kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部に関し、前記核酸又は前記その一部は配列番号1に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。
【0016】
前記蛋白質(及び他の7種の蛋白質)の分子量はアミノ酸配列で与えられるアミノ酸の分子量に基づいて決定される。
【0017】
好ましくは、この59.8kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする本発明の核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部は配列番号1に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつ。
【0018】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0019】
ヌクレオチド相同度レベルはwww.ncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/bl2.htmlで入手可能なサブプログラム「BLASTN」を選択することによりコンピュータープログラム「BLAST 2 SEQUENCES」を使用して決定することができる。
【0020】
このプログラムの1参考文献はTatiana A.Tatusova,Thomas L.Madden FEMS Microbiol.Letters 174:247−250(1999)である。使用するパラメーターは以下のデフォルトパラメーターである。マッチのリウォード:+1。ミスマッチのペナルティ:−2。オープンギャップ:5。伸長ギャップ:2。ギャップx_ドロップオフ:50。
【0021】
所定核酸配列が本発明の核酸配列であるか否かを決定するための別のアプローチはこの所定核酸配列が配列番号1(又は配列番号3、5、7、9、11、13又は15、下記参照)に記載のヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするか否かに関する。核酸配列が配列番号1、又は当然のことながら配列番号3、5、7、9、11、13及び15に記載のヌクレオチド配列とストリンジェント条件下でハイブリダイズするならば、本発明の核酸配列であるとみなされる。
【0022】
ストリンジェント条件の定義はMeinkothとWahl(1984.Hybridization of nucleic acids immobilized on solid supports.Anal.Biochem.138:267−284.)の式:
Tm=[81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%ホルムアミド)−500/L]−1℃/1%ミスマッチ
に従う。
【0023】
なお、上記式中、Mは1価カチオンのモル濃度であり、%GCはDNA中のグアノシン及びシトシンヌクレオチドの百分率であり、Lは塩基対におけるハイブリッドの長さである。
【0024】
ストリンジェント条件は核酸配列又はそのフラグメントが最大20%、好ましくは10%、より好ましくはこの順番ないし優先順に8、6、5、4、3、2、1又は0%のミスマッチをもつ場合にも配列番号1、3、5、7、9、11、13又は15のいずれかに記載の核酸配列とハイブリダイズする条件である。
【0025】
別の態様は58.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質Or02をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部に関し、前記核酸又は前記その一部は配列番号3に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。
【0026】
好ましくは、この58.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする本発明の核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部は配列番号3に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつ。
【0027】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0028】
更に別の態様は46.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質Or03をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部に関し、前記核酸又は前記その一部は配列番号5に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。
【0029】
好ましくは、この46.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする本発明の核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部は配列番号5に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつ。
【0030】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0031】
更に別の態様は37.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質Or04をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部に関し、前記核酸又は前記その一部は配列番号7に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。
【0032】
好ましくは、この37.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする本発明の核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部は配列番号7に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつ。
【0033】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0034】
別の態様は45.6kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質Or11をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部に関し、前記核酸又は前記その一部は配列番号9に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。
【0035】
好ましくは、この45.6kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする本発明の核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部は配列番号9に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつ。
【0036】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0037】
更に別の態様は42.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質Or77をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部に関し、前記核酸又は前記その一部は配列番号11に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。
【0038】
好ましくは、この42.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする本発明の核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部は配列番号11に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつ。
【0039】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0040】
更に別の態様は34.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質Or98Aをコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部に関し、前記核酸又は前記その一部は配列番号13に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。
【0041】
好ましくは、この34.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする本発明の核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部は配列番号13に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつ。
【0042】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0043】
別の態様は32.9kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質Or98Bをコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部に関し、前記核酸又は前記その一部は配列番号15に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。
【0044】
好ましくは、この32.9kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする本発明の核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部は配列番号15に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつ。
【0045】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0046】
配列番号1、3、5、7、9、11、13もしくは15に記載の配列に相補的なヌクレオチド配列又は本発明の配列のタンデムアレーを含むヌクレオチド配列も本発明の範囲に含まれる。
【0047】
本発明は8種の新規Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質を開示するので、これらの蛋白質を有意量で獲得することが初めて可能になった。これは例えば発現システムを使用して前記蛋白質又はその免疫原性フラグメントをコードする遺伝子全体又はその一部を発現させることにより実施することができる。
【0048】
従って、本態様の好ましい1形態において、本発明は本発明の核酸を含むDNAフラグメントに関する。DNAフラグメントは本発明の核酸のキャリヤーとして機能するヌクレオチド鎖である。このようなDNAフラグメントは例えば本発明の核酸をクローニングするプラスミドとすることができる。このようなDNAフラグメントは例えば以下に記載するようにプライマーとしてDNA量を増加させるためや、本発明の核酸を発現させるために有用である。
【0049】
核酸の発現の必須要件は核酸をプロモーターの制御下におくように適切なプロモーターが核酸に機能的に連結されていることである。当業者に自明の通り、プロモーターの選択は蛋白質発現用宿主細胞として使用される細胞で遺伝子転写を誘導することが可能な任意真核、原核又はウイルスプロモーターに及ぶ。
【0050】
従って、本態様のより好ましい形態は本発明のDNAフラグメント及び/又は核酸を含む組換えDNA分子に関し、本発明の核酸は機能的に連結されたプロモーターの制御下におかれている。これは例えば標準分子生物学技術により得られる(Maniatis/Sambrook(Sambrook,J.Molecular cloning:a laboratory manual,1989.ISBN 0−87969−309−6))。
【0051】
機能的に連結されたプロモーターとは連結されている核酸の転写を制御することが可能なプロモーターである。
【0052】
このようなプロモーターは新規遺伝子の天然プロモーター、即ち本発明の蛋白質をコードする核酸の転写に関与するプロモーター、又はプロモーターが発現に使用される細胞で機能的であるという条件でOrnithobacterium rhinotrachealeの別のプロモーターとすることができる。異種プロモーターでもよい。
【0053】
宿主細胞が細菌である場合には、使用可能な有用な発現制御配列としてはTrpプロモーター及びオペレーター(Goeddelら,Nucl.Acids Res.,8,4057,1980);lacプロモーター及びオペレーター(Changら,Nature,275,615,1978);外膜蛋白質プロモーター(Nakamura,K.and Inouge,M.,EMBO J.,1,771−775,1982);バクテリオファージλプロモーター及びオペレーター(Remaut,E.ら,Nucl.Acids Res.,11,4677−4688,1983);αアミラーゼ(枯草菌)プロモーター及びオペレーター、終結配列並びに選択された宿主細胞に適合可能な他の発現強化及び制御配列が挙げられる。宿主細胞が酵母である場合には、有用な発現制御配列としては例えばα接合因子が挙げられる。昆虫細胞には、バキュロウイルスの多核体又はp10プロモーターを使用することができる(Smith,G.E.ら.,Mol.Cell.Biol.3,2156−65,1983)。宿主細胞が脊椎動物起源の場合には、有用な発現制御配列の例としては(ヒト)サイトメガロウイルス極初期プロモーター(Seed,B.ら,Nature 329,840−842,1987;Fynan,E.F.ら.,PNAS 90,11478−11482,1993;Ulmer,J.B.ら,Science 259,1745−1748,1993)、ラウス肉腫ウイルスLTR(RSV,Gorman,C.M.ら.,PNAS 79,6777−6781,1982;Fynanら.,前出;Ulmerら.,前出)、MPSV LTR(Staceyら,J.Virology 50,725−732,1984)、SV40極初期プロモーター(Sprague J.ら.,J.Virology 45,773,1983)、SV−40プロモーター(Berman,P.W.ら,Science,222,524−527,1983)、メタロチオネインプロモーター(Brinster,R.L.ら,Nature 296,39−42,1982)、熱ショックプロモーター(Voellmyら.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82,4949−53,1985)、Ad2の主要後期プロモーター及びβアクチンプロモーター(Tangら,Nature 356,152−154,1992)が挙げられる。調節配列としては更にターミネーター及びポリアデニル化配列が挙げられる。使用可能な配列としては周知ウシ成長ホルモンポリアデニル化配列、SV40ポリアデニル化配列、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)ターミネーター及びポリアデニル化配列が挙げられる。
【0054】
細菌、酵母、真菌、昆虫及び脊椎動物細胞発現システムは非常によく使用されているシステムである。このようなシステムは当分野で周知であり、一般に入手可能であり、例えばClontech Laboratories,Inc.4030 Fabian Way,Palo Alto,California 94303−4607,米国から市販されている。これらの発現システムに次いで寄生虫系発現システムが魅力的な発現システムである。このようなシステムは例えば仏国特許出願公開第2714074号とUS NTIS公開第US08/043109号(Hoffman,S.and Rogers,W.:公開日1993年12月1日)に記載されている。
【0055】
本発明の本態様の更に好ましい1形態は本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質もしくはその免疫原性フラグメントをコードする核酸、本発明のDNAフラグメント又は本発明の組換えDNA分子を含む生きた組換えキャリヤー(LRC)に関する。これらのLRCは付加遺伝情報(この場合には本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質もしくはその免疫原性フラグメントをコードする核酸、DNAフラグメント又は組換えDNA分子)をクローニングした微生物又はウイルスである。このようなLRCに感染したニワトリはキャリヤーの免疫原に対してだけでなく、その遺伝コードを付加的にLRCにクローニングする蛋白質(例えば本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子)の免疫原性部分に対しても免疫応答を発生する。
【0056】
細菌LRCの1例としては、当分野で公知の弱毒サルモネラ株を非常に有利に使用することができる。
【0057】
生きた組換えキャリヤー寄生虫も例えばVermeulen,A.N.(Int.Journ.Parasitol.28:1121−1130(1998))に記載されている。
【0058】
更に、核酸を標的細胞に導入する手段としてLRCウイルスを使用することもできる。生きた組換えキャリヤーウイルスはベクターウイルスとも言う。ベクターとして使用されることが多いウイルスはワクシニアウイルス(Panicaliら;Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79:4927(1982))、ヘルペスウイルス(E.P.A.0473210A2)、及びレトロウイルス(Valerio,D.ら;in Baum,S.J.,Dicke,K.A.,Lotzova,E.and Pluznik,D.H.(Eds.),Experimental Haematology today−1988.Springer Verlag,New York:pp.92−99(1989))である。
【0059】
特に家禽で非常に適切なベクターウイルスとして当分野で使用されている公知ウイルスは鶏痘ウイルス、マレック病血清型3ウイルス、シチメンチョウヘルペスウイルス、セムリキ森林ウイルス及びニューカッスル病ウイルスである。
【0060】
生きた組換えキャリヤーは「生きたベクター」、又は簡単に「ベクター」としても当分野で公知である。従って、生きた組換えキャリヤーに基づくワクチンもベクターワクチンとして当分野で公知である。
【0061】
挿入した本発明の核酸の発現を宿主動物で誘導することが可能な選択細菌、寄生虫又はウイルスのゲノムに組換え核酸を導入するためには当分野で周知のin vivo相同組換え技術を使用することができる。
【0062】
最後に、本発明の本態様の別の形態は機能的に連結されたプロモーターの制御下に本発明の蛋白質をコードする核酸、前記核酸を含むDNAフラグメント又は前記核酸を含む組換えDNA分子を含む宿主細胞に関する。この形態は更に本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメントをコードする核酸分子を含む生きた組換えキャリヤーを含む宿主細胞にも関する。宿主細胞は細菌(例えば大腸菌、枯草菌及び乳酸菌種)起源の細胞とすることができ、細菌系プラスミド(例えばpBR322)もしくは細菌発現ベクター(例えばpGEX)、又はバクテリオファージと組み合わせる。宿主細胞は真核起源でもよく、例えば酵母細胞と酵母特異的ベクター分子の組み合わせや、高等真核細胞では昆虫細胞(Luckowら;Bio−technology 6:47−55(1988))とベクター又は組換えバキュロウイルスの組み合わせ、植物細胞と例えばTiプラスミド系ベクター又は植物ウイルスベクター(Barton,K.A.eら;Cell 32:1033(1983))の組み合わせ、Hela細胞、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)又はネコ腎由来細胞等の哺乳動物細胞と適当なベクター又は組換えウイルスの組み合わせが挙げられる。
【0063】
本発明の別の態様は本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0064】
免疫原性フラグメントの概念については以下に定義する。
【0065】
本態様の1形態は配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ59.8kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0066】
好ましい1形態において、本態様は配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列相同度をもつ前記Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0067】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0068】
蛋白質相同度レベルはwww.ncbi.nlm.nih.gov/blast/bl2seq/bl2.h tmlで入手可能なサブプログラム「BLASTP」を選択することによりコンピュータープログラム「BLAST 2 SEQUENCES」を使用して決定することができる。
【0069】
このプログラムの1参考文献はTatiana A.Tatusova,Thomas L.Madden FEMS Microbiol.Letters 174:247−250(1999)である。使用するマトリックスは「blosum62」である。使用するパラメーターは以下のデフォルトパラメーターである。オープンギャップ:11。伸長ギャップ:1。ギャップx_ドロップオフ:50。
【0070】
本態様の別の形態は配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ58.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0071】
好ましい1形態において、本態様は配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列相同度をもつ前記Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0072】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0073】
本態様の更に別の形態は配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ46.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0074】
好ましい1形態において、本態様は配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列相同度をもつ前記Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0075】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0076】
本態様の更に別の形態は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ37.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0077】
好ましい1形態において、本態様は配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列相同度をもつ前記Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0078】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0079】
本態様の更に別の形態は配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ45.6kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0080】
好ましい1形態において、本態様は配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列相同度をもつ前記Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0081】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0082】
本態様の他の1形態は配列番号12に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ42.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0083】
好ましい1形態において、本態様は配列番号12に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列相同度をもつ前記Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0084】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0085】
本態様の更に別の形態は配列番号14に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ34.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0086】
好ましい1形態において、本態様は配列番号14に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列相同度をもつ前記Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0087】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0088】
最後に本態様の別の形態は配列番号16に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ32.9kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0089】
好ましい1形態において、本態様は配列番号16に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の配列相同度をもつ前記Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質とその免疫原性フラグメントに関する。
【0090】
98%、99%又は100%の相同度レベルが更に好ましい。
【0091】
本態様の別の形態は本発明の核酸によりコードされる本発明の前記Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質と前記蛋白質の免疫原性フラグメントに関する。
【0092】
当然のことながら、本発明の特定蛋白質には、個々のOrnithobacterium rhinotracheale株間に天然変異が存在し得る。これらの変異としては全長配列のアミノ酸変異や、前記配列中の1又は複数のアミノ酸の欠失、置換、挿入、逆位又は付加が挙げられる。生物及び免疫活性を本質的に変化させないアミノ酸置換は例えばNeurathらにより“The Proteins”Academic Press New York(1979)に記載されている。同族アミノ酸間のアミノ酸置換又は進化において頻発する置換は特にSer/Ala、Ser/Gly、Asp/Gly、Asp/Asn、Ile/Val(Dayhof,M.D.,Atlas of protein sequence and structure,Nat.Biomed.Res.Found.,Washington D.C.,1978,vol.5,suppl.3参照)である。他のアミノ酸置換としてはAsp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Thr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Leu/Ile、Leu/Val及びAla/Gluが挙げられる。この情報に基づき、LipmanとPearsonは相同蛋白質間の機能的類似度を決定する迅速で高感度な蛋白質比較法を開発した(Science,227,1435−1441,1985)。得られる蛋白質がその免疫反応性を維持する限り、本発明の典型的態様のこのようなアミノ酸置換と、欠失及び/又は挿入をもつ変異も本発明の範囲に含まれる。
【0093】
これは、本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質が異なるフィールド単離株から単離した場合に同一免疫特徴をもつ同一蛋白質でありながら約80%の相同度レベルでよいことを説明するものである。Ornithobacterium rhinotracheale感染又は少なくとも前記感染の臨床徴候に対する免疫応答を誘導することが可能な蛋白質を提供する本発明の所定蛋白質のアミノ酸配列の前記変異は「免疫原性に本質的に影響を与えない」とみなされる。
【0094】
しかし、蛋白質を例えばワクチン接種目的又は抗体生産に使用する場合には、全長蛋白質を使用する必要はない。単独又は例えばKLH等のキャリヤーと結合して該当蛋白質に対する免疫応答を誘導することが可能な該当蛋白質のフラグメント、即ち所謂免疫原性フラグメントを使用することも可能である。「免疫原性フラグメント」とは脊椎動物宿主に免疫応答を誘導する能力を維持している全長蛋白質のフラグメント、例えばB又はT細胞エピトープを含むフラグメントを意味する。つまり、免疫原性フラグメントとは本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質に対する免疫応答を誘導することが可能なフラグメントである。現在、抗原フラグメント(決定基)をコードするDNAフラグメントを容易に同定するための各種技術が入手可能である。Geysenら(特許出願WO84/03564、特許出願WO86/06487、米国特許第4,833,092号、Proc.Natl Acad.Sci.81:3998−4002(1984),J.Imm.Meth.102,259−274(1987))により記載されている方法、即ち所謂PEPSCAN法は蛋白質の免疫学的に重要な領域であるエピトープの検出方法として、実施し易い迅速な定着方法である。この方法は世界中で使用されており、それ自体当業者に周知である。この(経験的)方法はB細胞エピトープの検出に特に適している。また、任意蛋白質をコードする遺伝子の配列が分かっているならば、コンピューターアルゴリズムにより、現在公知のエピトープとの配列及び/又は構造一致に基づいて特定蛋白質フラグメントを免疫学的に重要なエピトープとして指定することができる。これらの領域の決定はHoppとWoods(Proc.Natl.Acad.Sci.78:38248−3828(1981))による親水性基準と、ChouとFasman(Advances in Enzymology 47:45−148(1987)及び米国特許第4,554,101号)による二次構造側面の組み合わせに基づく。T細胞エピトープもBerzofskyの両親媒性基準(Science 235,1059−1062(1987)及び米国特許出願NTIS US07/005,885)を使用してコンピューターにより配列から同様に予測することができる。概要は一般原理についてShan Lu,Tibtech 9:238−242(1991)、マラリアエピトープについてGoodら,Science 235:1059−1062(1987)、総論についてLu,Vaccine 10:3−7(1992)、HIVエピトープについてBerzowsky,The FASEB Journal 5:2412−2418(1991)に夫々記載されている。免疫原性フラグメントは通常8アミノ酸、好ましくは9アミノ酸以上、例えば9、10、12、15又は20アミノ酸の最短長をもつ。従って、このようなフラグメントをコードする核酸は少なくとも24、好ましくは27、30、36、45又は60核酸長をもつ。
【0095】
従って、本発明の更に別の態様の1形態は医薬的に許容可能なキャリヤーと共に上記のような本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメントを含有するOrnithobacterium rhinotracheale感染の防除用ワクチンに関する。
【0096】
本発明の更に別の態様はワクチン用としての本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメントに関する。
【0097】
本発明の更に別の態様はOrnithobacterium rhinotracheale感染の防除用ワクチンの製造における本発明の核酸、DNAフラグメント、組換えDNA分子、生きた組換えキャリヤー、宿主細胞又は蛋白質もしくはその免疫原性フラグメントの使用に関する。
【0098】
本発明のワクチンの製造方法の1例は細菌を増殖させた後にOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメントを細菌から生化学的に精製する方法である。しかし、この方法は非常に時間のかかるワクチン製造方法である。
【0099】
従って、Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメントをコードする遺伝子の発現産物をワクチンで使用するほうが著しく簡便である。本発明ではOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸が提供されるので、この方法が初めて可能になった。
【0100】
これらの遺伝子の発現産物に基づくワクチンは下記のように本発明の蛋白質又は本発明のその免疫原性フラグメントを医薬的に許容可能なキャリヤーと混合することにより容易に製造することができる。
【0101】
あるいは、本発明のワクチンは本発明の蛋白質又はその免疫原性フラグメントを発現することが可能な上記のような生きた組換えキャリヤーを含むことができる。例えばサルモネラキャリヤー又はウイルスキャリヤー(例えばヘルペスウイルスベクター)に基づくこのようなワクチンはOrnithobacterium rhinotrachealeの自然感染方法によく似ているという点でサブユニットワクチンよりも有利である。更に、組換えキャリヤーは免疫に必要な量が非常に少量ですむのでその自己増殖も利点である。
【0102】
ワクチンは本発明の蛋白質又はその免疫原性フラグメントを含む上記のような宿主細胞に基づくこともできる。
【0103】
上記全ワクチンは能動的ワクチン接種に利用され、即ち宿主の防御系をトリガする。
【0104】
あるいは、抗体を例えばウサギで生産することもできるし、下記のように抗体産生細胞株から得ることもできる。その後、このような抗体をニワトリに投与することができる。このワクチン接種方法即ち受動的ワクチン接種は動物が既に感染しており、自然免疫応答をトリガさせる時間がない場合の選択ワクチン接種である。これは急激に高い感染圧を受け易い動物にワクチン接種する場合にも好適な方法である。投与した本発明の蛋白質又はその免疫原性フラグメントに対する抗体はこれらの場合にはOrnithobacterium rhinotrachealeと直接結合することができる。これはOrnithobacterium rhinotracheale増殖を低下又は停止させるという利点がある。
【0105】
従って、本発明の本態様の他の1形態は本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメントに対する抗体と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有するOrnithobacterium rhinotracheale感染の防除用ワクチンに関する。
【0106】
本発明の更に別の態様は本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントに対する抗体に関する。
【0107】
本発明の抗体の大規模製造方法も当分野で公知である。このような方法は本発明の蛋白質をコードする遺伝情報(のフラグメント)をファージディスプレイ用繊維状ファージにクローニングすることに依存している。このような技術は例えばhttp://aximtl.imt.uni−marburg.de/〜rek/aepphage.html.で“Antibody Engineering Page”に“filamentous phage display” の項目で記載されており、更にCortese,R.ら,(1994)Trends Biotechn.12:262−267、Clackson,T.& Wells,J.A.(1994)Trends Biotechn.12:173−183、Marks,J.D.ら,(1992)J.Biol.Chem.267:16007−16010、Winter,G.ら,(1994)Annu.Rev.Immunol. 12:433−455、及びLittle,M.ら,(1994)Biotechn.Adv.12:539−555の各論文に記載されている。その後、ファージを使用してラクダ科動物重鎖抗体を発現するラクダ科動物発現ライブラリーをスクリーニングする。(Muyldermans,S.and Lauwereys,M.,Journ.Molec.Recogn.12:131−140(1999)及びGhahroudi,M.A.ら,FEBS Letters 414:512−526(1997))。所望抗体を発現するライブラリーに由来する細胞を複製した後、抗体の大規模発現に使用することができる。
【0108】
更に別の態様は本発明の抗体と医薬的に許容可能なキャリヤーを混合する段階を含む本発明のワクチンの製造方法に関する。
【0109】
効率的な代替ワクチン接種方法は該当抗原をコードするDNAの直接ワクチン接種である。蛋白質をコードするDNAの直接ワクチン接種は多種多様の蛋白質で成功している。(例えばDonnellyら,The Immunologist 2:20−26(1993)参照)。このワクチン接種方法はOrnithobacterium rhinotracheale感染に対するニワトリのワクチン接種に非常に魅力的な方法である。
【0110】
従って、本発明の本態様の更に他の形態は本発明の蛋白質もしくはその免疫原性フラグメントをコードする核酸、前記核酸を含むDNAフラグメント、又は本発明の組換えDNA分子と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有するワクチンに関する。
【0111】
本発明のDNAワクチンで使用するのに適したDNAプラスミドの例は細菌、真核及び酵母宿主細胞用の従来のクローニング又は発現プラスミドであり、前記プラスミドの多くは市販されている。このようなプラスミドの周知例はpBR322とpcDNA3(Invitrogen)である。本発明のDNAフラグメント又は組換えDNA分子はヌクレオチド配列の蛋白質発現を誘導できなければならない。DNAフラグメント又は組換えDNA分子は本発明の1種以上のヌクレオチド配列を含むことができる。更に、DNAフラグメント又は組換えDNA分子は非メチル化CpGジヌクレオチドをもつ免疫刺激オリゴヌクレオチドや、他の抗原蛋白質又はアジュバント用サイトカインをコードするヌクレオチド配列等の他のヌクレオチド配列を含むことができる。
【0112】
本発明のワクチンで使用する本発明のヌクレオチド配列又は本発明のヌクレオチド配列を含むDNAプラスミドは転写調節配列に機能的に連結することが好ましく、裸でもよいし、送達システムにパッケージングしてもよい。適切な送達システムは脂質小胞体、iscom、デンドロマー、ニオソーム、多糖マトリックス等(詳細については下記参照)であり、いずれも当分野で周知である。上記のようなサルモネラ種等の生きた弱毒細菌や、ヘルペスウイルスベクター等の生きた弱毒ウイルスも送達システムとして非常に適切である。
【0113】
DNAワクチンは例えば無針注射器の使用等の皮内投与により簡単に投与することができる。この投与方法はワクチン接種すべき動物の細胞にDNAを直接送達する。10pg〜1000μgのDNA量で良好な結果が得られる。1〜100μgのμg範囲の量を使用することが好ましい。
【0114】
別の態様では、本発明のワクチンは家禽に病原性のウイルスもしくは微生物に由来する1種以上の付加抗原、前記抗原に対する抗体又は前記抗原をコードする遺伝情報を含有する。
【0115】
当然のことながら、前記抗原は例えば他のOrnithobacterium rhinotracheale抗原とすることができる。本発明の蛋白質もしくはその免疫原性フラグメント、前記蛋白質もしくはその免疫原性フラグメントに対する抗体、又は前記蛋白質もしくはその免疫原性フラグメントをコードする遺伝情報の2種以上を同一ワクチンで併用すると有益である。
【0116】
これに次いで、家禽に病原性の別の微生物もしくはウイルスに由来する抗原、前記抗原に対する抗体又は前記抗原をコードする遺伝情報を本発明のワクチンに加えると有益である。
【0117】
前記ウイルス又は微生物は鶏痘ウイルス、伝染性気管支炎ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病(ガンボロ病)ウイルス、マレック病ウイルス、ニワトリ貧血ウイルス、トリレオウイルス、Mycoplasma gallisepticum、シチメンチョウ鼻気管炎ウイルス、Haemophilus paragallinarum(コリーザ)、ニワトリポックスウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、アヒルペストウイルス、ニューカッスル病ウイルス、産卵低下症候群ウイルス、伝染性喉頭気管炎ウイルス、シチメンチョウヘルペスウイルス、エイメリア種、Ornithobacterium rhinotracheale、Pasteurella multocida、Mycoplasma synoviae、サルモネラ種及び大腸菌から構成される群から選択することが好ましい。
【0118】
本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質に基づくワクチンはマーカーワクチンとしても非常に適切である。マーカーワクチンは例えば野生型感染により誘導される抗体パネルと異なる特徴的抗体パネルに基づいてワクチン接種済みニワトリとフィールド感染ニワトリを区別することができるワクチンである。例えば野生型細菌に存在する免疫原性蛋白質がワクチンに存在しない場合に異なる抗体パネルが誘導され、その場合、宿主はワクチン接種後に該当蛋白質に対する抗体を産生しない。従って、Ornithobacterium rhinotrachealeの野生型生ワクチン、弱毒生ワクチン又は不活化全細胞ワクチンは細菌蛋白質の全部又は大半に対する抗体を誘導するが、本発明のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質に基づくワクチンはこの蛋白質に対する抗体しか誘導しない。
【0119】
ニワトリ由来血清を試験し、ニワトリが本発明のサブユニットワクチンを接種されているか又はOrnithobacterium rhinotrachealeフィールド感染しているかを調べるためには、本発明の1種の蛋白質を添加したウェルと本発明の別の蛋白質を添加したウェルとを使用する単純ELISA試験で十分であり、本発明の1種の蛋白質を含有するワクチンを接種したニワトリは本発明の別の蛋白質に対する抗体をもたない。他方、Ornithobacterium rhinotrachealeのフィールド感染を受けたニワトリは全免疫原性Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質に対する抗体をもち、従って、本発明の別の蛋白質に対する抗体ももつ。
【0120】
本発明の全ワクチンは医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する。医薬的に許容可能なキャリヤーは例えば滅菌水又は滅菌生理食塩水とすることができる。より複雑な形態では、キャリヤーは例えば緩衝液とすることができる。
【0121】
ワクチンの製造方法は本発明の蛋白質もしくはその免疫原性フラグメント、及び/又は前記蛋白質もしくはその免疫原性フラグメントに対する抗体、及び/又は本発明の核酸及び/又はDNAフラグメント、組換えDNA分子、生きた組換えキャリヤーもしくは宿主細胞と、医薬的に許容可能なキャリヤーを混合する段階を含む。
【0122】
本発明のワクチンは好ましい形態では更に免疫刺激物質(所謂アジュバント)を加えることができる。アジュバントは一般に非特異的に宿主の免疫応答を刺激する物質を含む。多種多様のアジュバントが当分野で公知である。ニワトリワクチンで多用されているアジュバントの例はムラミルジペプチド、リポ多糖、数種のグルカン及びグリカン並びにCarbopol(登録商標)(ホモポリマー)である。
【0123】
ワクチンは更に所謂「ビークル」を加えることができる。ビークルは蛋白質が共有結合せずに接着する化合物である。このようなビークルは例えばバイオマイクロカプセル、アルギン酸マイクロカプセル、リポソーム及びマクロゾルであり、いずれも当分野で公知である。
【0124】
抗原をビークルに部分的に埋込んだこのようなビークルの特殊形が所謂ISCOM(EP 109.942,EP 180.564,EP 242.380)である。更に、ワクチンは1種以上の適切な表面活性化合物又は乳化剤(例えばSpan又はTween)を添加することができる。
【0125】
多くの場合には、例えば易分解性蛋白質を分解から保護するため、ワクチンの保存期間を延ばすため、又は凍結乾燥効率を改善するためにワクチンを安定剤と混合する。有用な安定剤は例えばSPGA(Bovarnikら;J.Bacteriology 59:509(1950))、炭水化物(例えばソルビトール、マンニトール、トレハロース、澱粉、スクロース、デキストラン又はグルコース)、蛋白質(例えばアルブミン又はカゼインもしくはその分解物)、及び緩衝液(例えばアルカリ金属リン酸塩)である。
【0126】
更に、ワクチンを生理的に許容可能な希釈剤に懸濁してもよい。言うまでもなく、他のアジュバント添加、ビークル化合物もしくは希釈剤添加、蛋白質乳化又は安定化方法も本発明で実施される。
【0127】
本発明の蛋白質又はその免疫原性フラグメントに基づく本発明のワクチンは動物1頭当たり蛋白質1〜100μgを投与すると非常に適切であるが、一般にもっと少量を使用することもできる。100μgを上回る用量は免疫学的には非常に適切であるが、商業的理由からあまり魅力的ではない。
【0128】
上記LRC−ウイルス及び細菌等の生きた弱毒組換えキャリヤーに基づくワクチンは感染中に自己増殖するので著しく低用量を投与することができる。従って、非常に適切な量は細菌/ウイルスで夫々10〜10CFU/PFUである。
【0129】
本発明のワクチンは例えば皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、又は粘膜表面(例えば経口又は鼻腔内)投与することができる。
【0130】
生きた組換えキャリヤーワクチン又はベクターワクチンは噴霧、エアゾール又は飲料水投与により最も効率的に投与することができる。
(実施例)
【実施例1】
【0131】
ライブラリー構築、血清及びスクリーニング。
【0132】
Ornithobacterium rhinotracheale血清型G株O−95029 nr.16279の発現ライブラリーの構築のために、Maniatis/Sambrook(Sambrook,J.ら.Molecular cloning:a laboratory manual.ISBN 0−87969−309−6)に記載の方法に従って100rpmシェーカーでTodd Hewittブロス(THB)中にて24時間37℃で増殖させた細胞からゲノムDNAを単離した。制限酵素消化により1−4kbのDNAフラグメントを得、λTriplExベクターアーム(Clontech,Palo Alto,CA,米国)にライゲーションした。次にStratagene(La Jolla,CA,米国)in vitroパッケージングエキストラクトを使用してパッケージングを実施した。10mM MgSOと0.2%マルトースを補充したLuria Bertani(LB)ブロスで増殖させた大腸菌XL1 Blue細胞をトランスフェクションに使用した。構築した発現ライブラリーの複雑度を試験した処、6.9であり、組換え細胞97%を含んでいた。
【0133】
Ornithobacterium rhinotracheale血清型G発現ライブラリーを数種のOrnithobacterium rhinotracheale血清型の完全生体に対するポリクローナル抗血清でスクリーニングした。血清型B(GGD 1261株)、血清型G(O−95029 nr.16279株)又は血清型M(TOP 98036 4500株)の生きたOrnithobacterium rhinotracheale菌を2週齢でエアゾール噴霧することによりワクチン接種したブロイラーニワトリから血清を採取した。3週間後にOrnithobacterium rhinotracheale血清型A(B3263/91株)でニワトリに静脈内攻撃した。攻撃から1週間後に血清を採取した。ワクチン接種した全ニワトリはワクチン接種しない対照ニワトリに比較して病状の緩和(10%〜60%)を示した。発現ライブラリースクリーニングで使用する前に、非特異的バックグラウンドシグナルを低減するためにManiatis/Sambrook(Sambrook,J.ら.Molecular cloning:a laboratory manual.ISBN 0−87969−309−6)に記載されているように大腸菌XL1 Blue細胞溶解液に抗血清を吸着させた。
【0134】
プラーク約20,000個の初期スクリーニングを使用してプラークリフトにより発現ライブラリーをスクリーニングした。操作は製造業者(Clontech,Palo Alto,CA,米国)のハンドブックに記載されているように実施した。全ライブラリースクリーニングは天然条件下で実施した。要約すると、いずれも10mM MgSOを補充したLB寒天プレートのLB上層寒天にファージ感染大腸菌XL1 Blue細胞をプレーティングした。次にプレートを42℃で4時間インキュベートした。クローニングしたOrnithobacterium rhinotrachealeインサートによりコードされる蛋白質の発現を誘導するために、10mM IPTGに予め浸しておいたニトロセルロースフィルターディスク(Schleicher and Schuell,Dassel,ドイツ)を各プレートに載せた。37℃で4時間インキュベーション後に全フィルターをプレートから取出した。洗浄とブロッキング後にフィルターをニワトリ抗血清(10羽からプール、250倍希釈)と共にインキュベートした。最初のスクリーニングで使用した抗血清はOrnithobacterium rhinotracheale血清型Gの生ワクチンを接種した後にOrnithobacterium rhinotracheale血清型Aで攻撃したニワトリから取得した。二次抗体としてウサギ抗ニワトリIgGペルオキシダーゼ(Nordic,Tilburg,オランダ)を1000倍に希釈して使用した。基質溶液としてVector SG(Vector,Burlingame,CA,米国)を使用した。
【0135】
プラーク20,000個の初期スクリーニングから、反応性プラーク200個を寒天プレート上に確認し、単離した。上記のようなプラークリフトとスクリーニングを2回繰返した結果、純反応性シングルプラーク175個が得られた。次に純クローンを大腸菌XL1 Blue上層寒天に2回スポットし、直径約5mmのコンフルエントプラークを得た。再びプラークリフトを実施し、Ornithobacterium rhinotracheale血清型B又は血清型Mの生ワクチンを接種後にOrnithobacterium rhinotracheale血清型Aで攻撃したニワトリから取得した抗血清と共にフィルターをインキュベートした。反応性プラーク175個から、Ornithobacterium rhinotracheale血清型B、血清型G、又は血清型Mの生ワクチンを接種し、Ornithobacterium rhinotracheale血清型Aで攻撃したニワトリからの血清に対して交差反応性であるプラーク30個を選択した。
【実施例2】
【0136】
抗原蛋白質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)の同定と大腸菌における発現。
【0137】
抗原蛋白質をコードするオープンリーディングフレームを同定するために、選択した30個のプラークのDNAインサートを分析した。λTriplExベクターアーム用に設計したオリゴヌクレオチドプライマーをPCR増幅と配列決定の両方に使用した。dNTP(Promega,WI,米国)50μM、両者プライマー10pmol、Supertaq plusポリメラーゼ20U/ml及び10倍Supertaq緩衝液(いずれもHT Biotechnology Ltd,Cambridge,英国)を水中に含有する最終反応容量50μl中でPCRを実施した。新たにプレーティングしたプラークを爪楊枝で釣菌し、このDNAを爪楊枝から反応ミックスに移すことによりファージDNAを加えた。94℃で3分間変性後、94℃で1分間変性、50℃で2分間アニーリング及び68℃で2分30秒間伸長を30サイクル後に68℃で10分間最終伸長の条件を使用した。増幅したDNAインサートのヌクレオチド配列を決定するために、20μl反応容量中でBig dye Terminator Ready反応ミックス(Qiagen Inc.,CA,米国)、鋳型DNA(PCR産物)50ng及びプライマー2.4pmolを使用してシーケンス反応を実施した(94℃10秒;50℃5秒;60℃2分間を25サイクル)。
【0138】
配列分析後、クローン30個が8種の異なる遺伝子に相当すると思われた。大半のオープンリーディングフレームはλTriplExベクターのlacZ遺伝子との融合体であったので、この遺伝子の5’末端は欠損していた。このため、内部プライマーと鋳型としてOrnithobacterium rhinotracheale血清型Gの染色体DNAを使用してシーケンス反応を実施し、欠損5’ギャップを配列決定した。
【0139】
Ornithobacterium rhinotracheale血清型G株0−95029 nr.16279のゲノムDNAに由来する8種の交差反応性抗原(Or01、Or02、Or03、Or04、Or11、Or77、Or98A及びOr98B)をコードする全長オープンリーディングフレームを増幅するようにオリゴヌクレオチドプライマーを設計した(表1参照)。5’オリゴヌクレオチドプライマーは制限部位(下線部)とこれに先行するATG開始コドン(太字)と後続する該当遺伝子に由来する配列(斜体)を含む。3’オリゴヌクレオチドはコーディング配列(斜体)と後続する制限部位(下線部)を含む。PCR産物を該当発現ベクターにクローニングした。蛋白質発現のために、ライゲーション産物を大腸菌BL21(DE3)コドンRIL pLysS宿主(Novagen,Madison,WI,米国)に形質転換した。pETプラスミドベクター(pET22b)とT7 RNAポリメラーゼ発現システム(Novagen,Madison,WI,米国)を使用することにより、組換え蛋白質を大腸菌で発現させ、大腸菌pelBリーダーペプチドを蛋白質のアミノ末端部分に融合(蛋白質Or02、Or03、Or11、及びOr77のOrnithobacterium rhinotrachealeリーダーペプチドを置換)し、カルボキシ末端に6ヒスチジン残基を融合した。pETシステムマニュアル(Novagen,Madison,WI,米国)に記載されているようにIPTG誘導中に高レベル発現のために大腸菌株BL21(DE3)コドンRIL pLysS(Novagen,Madison,WL,米国)を使用した。
【実施例3】
【0140】
抗原の精製、ワクチン製剤化及び血清学的分析。
【0141】
大腸菌で発現された組換え抗原を上清から単離し(Or77)、talon樹脂(Clontech Inc.,Palo Alto,CA,米国)を製造業者により記載されているように使用する金属アフィニティークロマトグラフィー(Or03,Or04,Or98A及びOr98B)、又は凍結解凍、音波処理、及び遠心サイクルの反復(Or01,Or02及びOr11)により精製した。ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)後にクーマシーブリリアントブルー染色を使用して組換え蛋白質の純度を評価した。ウシ血清アルブミンを標準として使用して蛋白質濃度を推定した。
【0142】
全精製組換え蛋白質(Or01,Or02,Or03,Or04,Orl1,Or77,Or98A及びOr98B)を油中水エマルションに個々に製剤化した。更に、8種の組換え抗原のうちの異なる組成物を含有する5種の異なるサブユニットワクチン(A,B,C,D及びE)を製剤化した(表2)。5種の併用ワクチンのクーマシー染色の結果、組換え蛋白質Or01、Or02及びOr77に対応するはっきり識別可能な蛋白質バンドが確認された。Or03、Or04及びOr11の分子量とOr98A及びOr98Bの分子量はほぼ同一であるので、個々の蛋白質バンドを区別することはできなかった(図1)。全蛋白質は50mg/抗原/l(25μg/用量)のほぼ等濃度で存在する。従って、ワクチンA〜Dの合計抗原含有量は200mg/lである。ワクチンEの抗原濃度は400mg/lである。蛋白質バックグラウンドは組換えOrnithobacterium rhinotracheale抗原を発現させるために使用した大腸菌株に由来する残留物である。
【0143】
2週齢SPFブロイラーニワトリにワクチン0.5mlを皮下注射することにより、各種サブユニットワクチンが体液性免疫系を刺激して蛋白質特異的抗体を産生できるかどうを試験した。ワクチン接種から4週間後に血清サンプルを採取し、組換え蛋白質に対して反応性の抗体が存在するか否かを試験した。Towbin,H.,Staehlin,T.,and Gordon,J.(1979)Proc.Nat.Acad.Sci.76:43−50に従ってセミドライ式ウェスタンブロッティングを実施した。ワクチンの蛋白質相をブロットし、ワクチンを接種したニワトリと接種していないニワトリからプールした血清(100倍希釈)と共にインキュベートした。8種の各ワクチンOr01〜Or98Bを接種したニワトリから得られた血清は蛋白質特異的反応性を示した(図2)。図3はサブユニットワクチンA〜E(表2及び図1参照)を接種したニワトリから得られた抗血清のウェスタンブロットにおける同一ワクチンに対する反応性を示す。例えば、ブロットAはワクチンA、B、C、D、及びE(レーンA〜Eに対応)を添加している。一次抗体結合に使用した血清はワクチンA(ブロット番号に対応)を接種したニワトリから得られたものである。このため、この血清にはα−Or01、α−Or02、α−Or03及びα−Or04抗体が存在する。ブロットAでは、これらの4種の蛋白質はレーンA、D、及びE即ちこれらの抗原(A、D、及びE)を含有する3種のワクチンを添加したレーンで染色される。ブロットBはブロットAと同様に添加し、使用した血清はワクチンBを接種したニワトリから得られたものである。α−Or77、α−Or11、α−Or03、及びα−Or04抗体はブロットB上のレーンB、C、及びEで対応する抗原を染色する。ワクチンBに存在しない他の抗原はこのブロットで検出することができなかった。ワクチンEは全8種のOrnithobacterium rhinotracheale抗原を含有しているので、ブロットEでは全蛋白質が染色される。ウェスタンブロットFで使用した血清は負の対照として使用したワクチンを接種していないニワトリから採取したものである。この血清を使用した場合には組換えOrnithobacterium rhinotracheale抗原を検出することはできなかった。
【実施例4】
【0144】
防御試験
異なるサブユニットワクチン(併用ワクチンA、B、C、D、E、及び単独ワクチンOr77)により誘導される抗体応答の交差防御能を評価するために、動物実験を実施した。SPFブロイラーに上記のように2週齢でワクチンを接種した。5週齢でニワトリをエアゾール噴霧によりND LaSota(用量:1羽当たり1*10E.I.D.)でプライミングした。6週齢でニワトリをOrnithobacterium rhinotracheale血清型A株B3263/91で攻撃した(異種攻撃)。攻撃はTHB1ml当たり8.5*10コロニー形成単位(CFU)を含有する新鮮な細菌培養液のエアゾール噴霧により実施した。エアゾール攻撃中に約1.5mのアイソレーターで商業用塗料吹き付け器を使用して細菌培養液を微細スプレーとしてニワトリに投与した。アイソレーター内で発生したミストを空気循環の遮断により少なくとも10分間維持した。攻撃対照群とNDプライミング群も試験に加えた。攻撃から1週間後に7週齢でニワトリを屠殺し、呼吸器疾患に関する以下のOrnithobacterium rhinotrachealeスコアリングシステムを使用して臓器病変を肉眼採点した。胸部気嚢について、0=異状なし、1=一方の気嚢が重度線維素性気嚢炎を発症又は両方の気嚢に線維素性浸出液の限定的帽針頭大病巣、2=両方の気嚢が重度線維素性気嚢炎を発症;腹部気嚢について、0=異状なし、1=線維素性浸出液の帽針頭大病巣又は軽度びまん性線維素性気嚢炎、2=重度線維素性気嚢炎。気嚢炎スコアは両方のスコアの和とする。肺について、0=異状なし、1=片側肺炎、2=両側肺炎。平均群スコアは可能な最高スコアの百分率とする。Kruskal−Wallisノンパラメトリック一元配置ANOVAを使用して統計分析を実施した。図4は5種の異なるサブユニットワクチンA〜Eの交差防御能を示す。攻撃対照群はワクチン接種せず、プライミングと攻撃を行なったものであり、最高スコアを示した。ワクチンE(全8種の抗原を含有)を接種したニワトリはワクチン接種と攻撃を行わずにニューカッスル病ウイルスでプライミングした群の結果と同等のほぼ完全な防御を示した。ワクチンA、B及びCを接種したニワトリでは程度は多少劣るが、依然として有意な交差防御(P<0.05)を観察することができた。併用ワクチンDは有意性の低い(p=0.19)の交差防御を示した。未処置ニワトリは臓器病変を示さなかった。
【0145】
図5から明らかなように、Or77(=血清型G株)ワクチンを接種し、血清型Aで攻撃した動物もワクチンを接種しない対照群に比較して呼吸器病変の有意(p<0.05)低下を示す。
【0146】
【表1】

【0147】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】5種類の併用ワクチン(A〜E)のクーマシー染色。各ワクチンは8種の精製組換え蛋白質の異なる組成物を含有する。サブユニットワクチンAはレーンAに対応し、サブユニットワクチンBはレーンBに対応し、サブユニットワクチンCはレーンCに対応し、サブユニットワクチンDはレーンDに対応し、サブユニットワクチンEはレーンEに対応する。ほぼ等しい分子量をもつ組換え蛋白質を矢印で示す。
【図2】単独組換えサブユニットワクチンを接種したニワトリから得られた1価抗血清のウェスタンブロットにおける同一蛋白質に対する反応性。反応性ワクチン蛋白質を黒い矢印で示す。
【図3】サブユニットワクチンA〜Eを接種したニワトリから得られた抗血清のウェスタンブロットにおける反応性。各ブロットにワクチンA、B、C、D、及びE(レーンA〜Eに対応)の蛋白質を添加する。スクリーニングに使用した血清はワクチンA(ブロットA)、ワクチンB(ブロットB)、ワクチンC(ブロットC)、ワクチンD(ブロットD)又はワクチンE(ブロットE)を接種したニワトリから得られたものである。ウェスタンブロットFで使用した血清はワクチンを接種していないニワトリから得られたものである。反応性ワクチン蛋白質を黒線で示す。
【図4】攻撃及びNDV対照群に比較して可能な最高呼吸器病変スコアとして表したサブユニットワクチンA〜Eの交差防御能。
【図5】攻撃及びNDV対照群に比較して可能な最高呼吸器病変スコアとして表したサブユニットワクチンOr77の交差防御能。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
59.8kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部(前記核酸又は前記その一部は配列番号1に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。)。
【請求項2】
配列が配列番号1に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつことを特徴とする請求項1に記載の核酸又はその一部。
【請求項3】
58.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部(前記核酸又は前記その一部は配列番号3に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。)。
【請求項4】
配列が配列番号3に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつことを特徴とする請求項3に記載の核酸又はその一部。
【請求項5】
46.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部(前記核酸又は前記その一部は配列番号5に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。)。
【請求項6】
配列が配列番号5に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつことを特徴とする請求項5に記載の核酸又はその一部。
【請求項7】
37.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部(前記核酸又は前記その一部は配列番号7に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。)。
【請求項8】
配列が配列番号7に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつことを特徴とする請求項7に記載の核酸又はその一部。
【請求項9】
45.6kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部(前記核酸又は前記その一部は配列番号9に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。)。
【請求項10】
配列が配列番号9に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつことを特徴とする請求項9に記載の核酸又はその一部。
【請求項11】
42.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部(前記核酸又は前記その一部は配列番号11に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。)。
【請求項12】
配列が配列番号11に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつことを特徴とする請求項11に記載の核酸又はその一部。
【請求項13】
34.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部(前記核酸又は前記その一部は配列番号13に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。)。
【請求項14】
配列が配列番号13に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつことを特徴とする請求項13に記載の核酸又はその一部。
【請求項15】
32.9kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質をコードする核酸又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントをコードする前記核酸の一部(前記核酸又は前記その一部は配列番号15に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも80%の相同度をもつ。)。
【請求項16】
配列が配列番号15に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質遺伝子の核酸に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%の相同度をもつことを特徴とする請求項15に記載の核酸又はその一部。
【請求項17】
請求項1から16に記載の核酸を含むDNAフラグメント。
【請求項18】
機能的に連結されたプロモーターの制御下に請求項1から16に記載の核酸又は請求項17に記載のDNAフラグメントを含む組換えDNA分子。
【請求項19】
請求項1から16に記載の核酸、請求項17に記載のDNAフラグメント又は請求項18に記載の組換えDNA分子を含む生きた組換えキャリヤー。
【請求項20】
請求項1から16に記載の核酸、請求項17に記載のDNAフラグメント、請求項18に記載の組換えDNA分子又は請求項19に記載の生きた組換えキャリヤーを含む宿主細胞。
【請求項21】
配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ59.8kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項22】
配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%のアミノ酸配列相同度をもつ請求項21に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項23】
請求項1又は2に記載の核酸によりコードされることを特徴とする59.8kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメント。
【請求項24】
配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ58.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項25】
配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%のアミノ酸配列相同度をもつ請求項24に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項26】
請求項3又は4に記載の核酸によりコードされることを特徴とする58.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメント。
【請求項27】
配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ46.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項28】
配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%のアミノ酸配列相同度をもつ請求項27に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項29】
請求項5又は6に記載の核酸によりコードされることを特徴とする46.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメント。
【請求項30】
配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ37.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項31】
配列番号8に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%のアミノ酸配列相同度をもつ請求項30に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項32】
請求項7又は8に記載の核酸によりコードされることを特徴とする37.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメント。
【請求項33】
配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ45.6kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項34】
配列番号10に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%のアミノ酸配列相同度をもつ請求項33に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項35】
請求項9又は10に記載の核酸によりコードされることを特徴とする45.6kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメント。
【請求項36】
配列番号12に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ42.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項37】
配列番号12に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%のアミノ酸配列相同度をもつ請求項36に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項38】
請求項11又は12に記載の核酸によりコードされることを特徴とする42.2kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメント。
【請求項39】
配列番号14に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ34.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項40】
配列番号14に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%のアミノ酸配列相同度をもつ請求項39に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項41】
請求項13又は14に記載の核酸によりコードされることを特徴とする34.0kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメント。
【請求項42】
配列番号16に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸配列相同度をもつ32.9kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項43】
配列番号16に記載のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、好ましくは90%、より好ましくは95%のアミノ酸配列相同度をもつ請求項42に記載のOrnithobacterium rhinotracheale蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメント。
【請求項44】
請求項15又は16に記載の核酸によりコードされることを特徴とする32.9kD Ornithobacterium rhinotracheale蛋白質又はその免疫原性フラグメント。
【請求項45】
ワクチン用としての請求項1から16に記載の核酸、請求項17に記載のDNAフラグメント、請求項18に記載の組換えDNA分子、請求項19に記載の生きた組換えキャリヤー、請求項20に記載の宿主細胞又は請求項21から44に記載の蛋白質もしくはその免疫原性フラグメント。
【請求項46】
Ornithobacterium rhinotracheale感染の防除用ワクチンの製造のための、請求項1から16に記載の核酸、請求項17に記載のDNAフラグメント、請求項18に記載の組換えDNA分子、請求項19に記載の生きた組換えキャリヤー、請求項20に記載の宿主細胞又は請求項21から44に記載の蛋白質もしくはその免疫原性フラグメントの使用。
【請求項47】
請求項1から16に記載の核酸、請求項17に記載のDNAフラグメント、請求項18に記載の組換えDNA分子、請求項19に記載の生きた組換えキャリヤー、請求項20に記載の宿主細胞又は請求項21から44に記載の蛋白質もしくはその免疫原性フラグメントと、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有することを特徴とするOrnithobacterium rhinotracheale感染の防除用ワクチン。
【請求項48】
請求項21から44に記載の蛋白質又は前記蛋白質の免疫原性フラグメントに対する抗体と、医薬的に許容可能なキャリヤーを含有することを特徴とするOrnithobacterium rhinotracheale感染の防除用ワクチン。
【請求項49】
アジュバントを含有することを特徴とする請求項47に記載のワクチン。
【請求項50】
家禽に対して病原性のウイルスもしくは微生物に由来する付加抗原、前記抗原に対する抗体又は前記抗原をコードする遺伝情報を含有することを特徴とする請求項47から49に記載のワクチン。
【請求項51】
ニワトリに対して病原性のウイルス又は微生物が鶏痘ウイルス、伝染性気管支炎ウイルス、伝染性ファブリキウス嚢病(ガンボロ病)ウイルス、マレック病ウイルス、ニワトリ貧血ウイルス、トリレオウイルス、Mycoplasma gallisepticum、シチメンチョウ鼻気管炎ウイルス、Haemophilus paragallinarum(コリーザ)、ニワトリポックスウイルス、トリ脳脊髄炎ウイルス、アヒルペストウイルス、ニューカッスル病ウイルス、産卵低下症候群ウイルス、伝染性喉頭気管炎ウイルス、シチメンチョウヘルペスウイルス、エイメリア種、Ornithobacterium rhinotracheale、Pasteurella multocida、Mycoplasma synoviae、サルモネラ種及び大腸菌から構成される群から選択されることを特徴とする請求項50に記載のワクチン。
【請求項52】
請求項1から16に記載の核酸、請求項17に記載のDNAフラグメント、請求項18に記載の組換えDNA分子、請求項19に記載の生きた組換えキャリヤー、請求項20に記載の宿主細胞、請求項21から44に記載の蛋白質もしくはその免疫原性フラグメント、又は請求項21から44に記載の蛋白質に対する抗体と、医薬的に許容可能なキャリヤーを混合する段階を含む請求項47から51に記載のワクチンの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−537723(P2007−537723A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552621(P2006−552621)
【出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/050577
【国際公開番号】WO2005/077972
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506196247)インターベツト・インターナシヨナル・ベー・ベー (85)
【Fターム(参考)】