説明

オレフィンのエポキシドへの選択的な酸化のための方法

オレフィン(プロピレン)と、酸化剤(過酸化水素)とを、有機水混和性溶媒(メタノール)を含む溶媒系中で、ルイス酸酸化触媒(MTO)、有機塩基(ピリジンまたはそのN−オキシド)の存在下で、接触させるステップ;および圧力を増加させるために加圧ガス(窒素)を加えること、それによってオレフィンが、所望のエポキシド(プロピレンオキサイド)の選択性および収率を増加させるために、有機溶媒系中に溶解することを含むエポキシドへのオレフィンの選択的な酸化方法。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
工業スケールでのプロピレンからプロピレンオキサイド("PO")等のオレフィンへのエポキシ化は、最も挑戦的な化学的方法の一つである。プロピレンオキサイドは、プロピレングリコールおよびポリエステルの生産に主に使用され、そしてポリウレタン、不飽和樹脂、および他の製品の出発材料である。
【0002】
工業的には、クロロヒドリン法またはハルコン法のいずれかを使用して、毎年4.5百万トン以上のプロピレンオキサイドが生産される。クロロヒドリン法では、プロピレンは、塩素および水と反応して、1−クロロ−2−プロパノールおよびHClを生産し、次に塩基で処理してプロピレンオキサイドおよび塩を生産する。生産されるプロピレンオキサイド1ポンド毎に、2ボンドの塩の廃棄物がある。該方法は、最終的に不要で且つ環境汚染廃棄物に転化される大量の塩素および石灰を消費する。
【0003】
有機過酸化物が生成されるハルコン法またはヒドロペルオキシド法、およびエポキシ化は、プロピレンオキサイドおよび副産物の生産となる遷移金属触媒の存在下で行なわれる。生産されるプロピレンオキサイドの重量の3〜4倍以上の副産物が生産されるので、この方法の経済的な実行可能性は、副産物の市場価格による。酸素でのプロピレンのプロピレンオキサイドへの直接酸化は非常に望ましいであろうが、プロピレンの高反応性アリル基の水素の存在はこのアプローチをかなり困難にする。
【0004】
プロピレンのプロピレンオキサイドへの選択的酸化における廃棄物の最小化は、工業化学の重要な目的であった。いわゆるチタン置換シリカライト("TS−1")触媒は、水性過酸化水素(H22)およびガス状のO2/H2を使用して妥当な効率で触媒可能である。TS−1触媒は、高い触媒活性および選択性を有する。しかし、方法には問題がある、なぜなら触媒が急速に不活性化し、そして触媒を再生するのに高温が必要だからである。米国特許第5、155、247号明細書、Herrmannらの題名"複数のC−C結合の酸化ための有機レニウム化合物の使用、それに基づく酸化方法および新規な有機レニウム化合物"は、低温(10℃未満)条件下で、過酸化水素を酸化剤として使用するアルケン酸化のメチルトリオキソレニウム(trioxorhenium:CH3ReO3、以後"MTO"と呼ぶ)触媒を用いた。この低温法は、1:1の比でプロピレンオキサイドとプロピレングリコール("PG")とを生成した。水は加水分解によるエポキシド開環に害をなすので、Herrmannは、(好ましくは溶媒としてのtert−ブタノール中)無水過酸化水素に焦点を当てた。米国特許5、166、372号明細書の題名"エポキシ化法"で、Croccoらは、反応混合物中でアルキルアリール第二級アルコールを用いることによってプロピレンオキサイドの選択性を改善した。系から水を除くために硫酸マグネシウムが使用された。Sharplessの米国特許第5、939、568号明細書は、窒素芳香族複素環を塩化メチレン溶媒系中で"反応促進剤"として使用した。最後に、Sharplessの米国特許第6、271、400号明細書は、反応混合物中の水の濃度を減少させるために、無水酸化剤(トリアルキルシリル過酸化物)および水除去試薬を使用した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術に対して多くの利点を有するプロピレンオキサイドの生産用等のオレフィンオキサイドの合成法を対象にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、酸化剤、塩基、触媒、有機水混和性溶媒、および加圧ガスを使用したオレフィンの、対応するエポキシドへのエポキシ化ための方法を対象にする。加圧ガスは、オレフィン基質を液相に追い込むために使用され、それによって反応の収率および速度を促進させる。本発明は、60℃を超えない温度、および液相中に溶解するオレフィンの濃度を増加させる圧力で、好ましくは行われる。
【0007】
さらなる形態において、本発明は、反応混合物を対象にする。反応混合物は、有機水混和性溶媒を含む溶媒系中に、エポキシ化されるオレフィン、酸化剤、ルイス酸酸化触媒、および有機塩基を含む。加圧ガスがない場合より、有機溶媒系にオレフィンが多量に部分溶解するように、加圧ガス(例えば約230〜700psi)が加えられる。
【0008】
一つの形態では、オレフィンはエチレンまたはプロピレンであり、触媒は有機レニウムオキサイドであり、そして該酸化剤は、水溶液中に約20〜80wt%の過酸化水素を有する過酸化水素であるかまたは尿素過酸化水素である。加圧ガスは、好ましくは約230〜700psiの圧力を有する窒素等の不活性ガスである。有機塩基はまた、好ましくはピリジンおよび/またはその対応するN−オキシド等から選択される窒素を含有する化合物である。水混和性溶媒は、好ましくはメタノール等の低級アルコールである。水性過酸化水素酸化剤の場合は、過酸化水素系と関連する水は、全体の溶媒系(過酸化水素の分解の結果として生成される水と共に)の一部を形成するであろう。好ましくは、溶媒系はメタノール:水において重量比で3:1〜22:1にあるメタノールおよび水を含む。反応は、好ましくは約20〜30℃の温度で起こる。
【0009】
別の形態では、エポキシ化製品を分離し、そして未反応の反応物を再生させる方法が提供される。例えば、一つの形態では、系の圧力は、未反応のオレフィンを含有する蒸気相およびエポキシ化オレフィン、ルイス酸酸化触媒、および溶媒系を含む液相を生成させるために、下げられてもよい。エポキシ化オレフィンを含む第1のガス流およびルイス酸化触媒、有機塩基、および溶媒系を含む第2の液体流を蒸留するために、液相は分画されてもよい。
【0010】
また別の形態では、水は、第2の液体流由来のルイス酸化触媒、該有機塩基、および有機水混和性溶媒から、逆浸透によって分離されてもよい。酸化触媒、有機塩基、および/または有機水混和性溶媒は、供給流れに再使用されてもよい。
【0011】
また別の形態では、酸化触媒、有機塩基、および/または有機水混和性溶媒は、第2の液体流から蒸留によって分離される。さらに、該酸化触媒、有機塩基、および/または有機水混和性溶媒は、供給流れに再使用されてもよい。
【0012】
それらに付属する利点および新規な特徴と共に、本発明のさらなる形態が以下の記載中の部分に記述され、そして以下を調べることにより、部分的に当業者に明らかになるであろうし、または本発明の実施から学ぶことができる。本発明の目的および利点は、特に付属の請求項中で指摘される手段および組み合わせによって理解され、そして達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、(1)ルイス酸酸化触媒、有機塩基の存在下、有機水混和性溶媒を含む溶媒系中で、オレフィンと、酸化剤とを接触させること;および(2)圧力を増加させるために、加圧ガスを加えること、それによってオレフィンが該有機溶媒系にさらに溶解すること、の各ステップを含むオレフィンのエポキシ化の方法を対象にする。
【0014】
本発明の方法中のオレフィンのエポキシ化は、少なくとも1つのエチレン性不飽和官能基(すなわち、炭素炭素二重結合)を有する任意の有機化合物であってもよく、そして、例えば、芳香族、脂肪族、混合芳香族脂肪族の(例えば、アラルキル)、環状、分枝または直鎖オレフィンであってもよい。例は、Sharplessらの米国特許第5、939、568号明細書および米国特許第6、271、400号明細書に記述されており、参照により取り込まれる。好ましくは、オレフィンは、2〜30の炭素原子(すなわち、C2〜C30のオレフィン)を含む。1超の炭素炭素二重結合がオレフィン中に存在してもよく、従って、ジエン、トリエン、および他のポリ不飽和基質を使用してもよい。好適な基質の他の例は、エステルまたはグリセリド等の不飽和脂肪酸または脂肪酸誘導体およびポリブタジエン等のオリゴマーまたはポリマー不飽和化合物を含む。オレフィンは、任意選択的にハロゲン化物、カルボン酸、エーテル、ヒドロキシ、チオール、ニトロ、シアノ、ケトン、エステル、無水物、アミノ、およびその同類のもの等の炭化水素置換基以外の置換基を含んでもよい。
【0015】
本発明の方法で好適な例示的オレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、ペンテン、イソプレン、1−ヘキセン、3−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、ジイソブチレン、1−ノネン、1−テトラデセン、ペンタミルセン、カンフェン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセンデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、プロピレンの三量体および四量体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、シクロドデカトリエン、ジシクロペンタジエン、メチレンシクロプロパン、メチレンシクロペンタン、メチレンシクロヘキサン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘキセン、メタリルケトン、アリルクロライド、アリルブロマイド、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル酢酸、クロチルクロライド、メタリルクロライド、ジクロロブテン、アリルアルコール、炭酸アリル、アリルアセテート、アルキルアクリレートおよびメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフタレート、大豆油等の不飽和トリグリセリド、およびオレイン酸、リノレン酸、リノール酸、エルカ酸、パルミトレイン酸、およびリシノール酸および(モノ−、ジ−、およびトリグリセリドエステルを含む)それらのエステル等の不飽和脂肪酸、およびスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1、2−ジヒドロナフタレン、インデン、スチルベン、シンナミルアルコール、2−メチル−1−フェニル−1−プロペン、2−メチル−3−フェニル−2−プロペン−1−オール、シンナミルアセテート、シンナミルブロマイド、シンナミルクロライド、4−スチルベンメタノール、ar−メチルスチレン、ar−エチルスチレン、ar−tert−ブチルスチレン、arクロロ(archloro)スチレン、1、1−ジフェニルエチレン、ビニル塩化ベンジル、ビニルナフタレン、ビニル安息香酸、ar−アセトキシスチレン、ar−ヒドロキシスチレン(すなわち、ビニルフェノール)、2−または3−メチルインデン、2、4、6−トリメチルスチレン、1−フェニル−1−シクロヘキセン、1、3−ジイソプロペニルベンゼン、ビニルアントラセン、ビニルアニソール等のアルケニル芳香族化合物、およびその同類のものを含む。これらの中で、プロピレンおよびエチレンが最も好ましい。オレフィンは、好ましくは約2〜20モル%の反応混合物中に存在する。当業者には当然のことながら、反応が起こる液相中のオレフィン濃度(すなわち、利用できること)が低沸点の軽質オレフィン(これは、作業圧力および温度により影響される)のために最も重要である。液相は、好ましくは、少なくともオレフィン(例えばプロピレン)のエポキシド(例えばプロピレンオキサイド)への完全な転化を可能にするのに必要な化学量論量の酸化剤を含む。
【0016】
本発明中で使用される酸化剤は過酸化水素を含む。過酸化水素は典型的には固体尿素(無水)形の形で、市販されており、または典型的には30〜50wt%水溶液で市販されている。従って、既に述べ、下記にさらに充分に述べるように、水は好適な有機水混和性溶媒と共に、反応混合物の全体的な溶媒系の一部を形成できる。酸化剤は、好ましくは約4〜16mol%の濃度で反応混合物中に存在する。上に記載したように、酸化剤は、オレフィンの完全エポキシ化{例えばプロピレンからプロピレンオキサイド)が起こるための化学量論量で存在する。
【0017】
本発明中で使用される塩基は、好ましくは飽和または不飽和アミンまたは対応するN−オキシドを含む。例は、Sharplessの米国特許第5、939、568号明細書および米国特許第6、271、400号明細書に記載され、参照により取り込まれる。好適な有機窒素塩基は、例えばメチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、オクチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルドデシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N、N−トリブチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、モルホリン、ピペリジン、ピリジン、置換ピリジン類、2、2'−ビピリジンおよび2、2'、2"−トリピリジンおよびそれらの置換誘導体、イミダゾールおよびトリアジン、および対応するN−オキシドである。これらの中で、ピリジンおよびピリジンN−オキシドが最も好ましい。塩基の量は触媒濃度によって決定されてもよく、そして塩基のモル量は、少なくとも触媒のモル当量であることが好ましい。典型的には、塩基の量は、約0.1〜0.56モル%であり、0.2%が好ましい。
【0018】
本発明中で使用される触媒は、好ましくは有機レニウムオキサイド触媒{例えば、メチルトリオキソレニウム)、または他の高原子価のレニウム含有化合物等のルイス酸酸化触媒である。他の好適であるがより好ましくない触媒は、タングステン{例えば、タングステン酸塩)、モリブデン{例えば、モリブデン酸塩)、およびチタン(IV)化合物およびバナジウム(IV)またはバナジウム(V)化合物に基づくものを含む。そうした化合物は当業者に公知であり、そして例は米国特許第5、166、372号明細書;米国特許第5、155、247号明細書;米国特許第5、939、568号明細書および米国特許第6、271、400号明細書に記述されており、参照により取り込まれる。典型的には、約0.05〜0.08モル%のMTOおよび他の触媒が使用される。好ましいオレフィン:触媒のモル比は、約40:1〜400:1である。
【0019】
本発明のエポキシ化法で使用される有機水混和性溶媒は、好ましくは低級アルコール(C1〜C4)、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、およびその同類のものである。他の例示的溶媒は、米国特許第5、939、568号明細書および米国特許第6、271、400号明細書に記述されているものであり、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、およびトルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素が好ましい。これらの中で、メタノールが特に好ましい。一つの形態では、メタノール:水の重量比は3:1〜22:1(水に対するメタノール)の範囲にあり、13:1〜22:1の重量比が好ましい。当然のことながら、水は、(例えば水性過酸化水素から)最初の反応混合物中に存在してもよく、そしてまた反応それ自体の間に過酸化水素の分解によって生産されてもよい。
【0020】
本発明中で使用される加圧ガスは、好ましくは(窒素、アルゴン、ネオン、ヘリウム、およびその同類のもの等の)不活性ガスである。約230〜700psiの圧力が最も好ましいが、圧力は約100〜1000psiの範囲にある。
【0021】
以下の例では、一般的に図1に記述されているような円筒型のセル反応器(cylindrical view cell reactor)が組み立てられた。反応器はチタンでできており、そして図1に示すように2つのサファイア窓、ガス入口弁、およびガス出口弁を取り付けた2つの終端キャップを有する。反応器は、圧力変換器、熱電対、および圧力逃し弁で接続されている。圧力および温度は、反応の間にコンピューター監視された。固定された時間のバッチ実験において、反応器は、バンドヒーターで、1、3、6、および12時間の反応期間加熱された。
【0022】
以下の例で述べるように、加圧された不活性ガスの導入は、反応を激しくし、高収率の所望のエポキシド生成物を生成する。不活性ガスは、優先的にオレフィン(例えば、プロピレン)を液相中に分配する。収率は、プロピレンオキサイドで50%超、またさらに好ましくは75%超、またさらに好ましくは90%超、そして最も好ましくは95%超そしてさらに99%超である。
【実施例】
【0023】
例1:加圧ガスとして二酸化炭素でのプロピレンの酸化
この例では、密度の高い二酸化炭素を反応混合物に加える効果を、種々の有機溶媒系および塩基において調べた。さらに具体的に言うと、この例では、反応器に、0.0120g(0.049mmol)のMTO、有機溶媒としての4.14mlメタノールまたは4.0mlアセトニトリルのいずれか中0.610mlの水性過酸化水素(水中で50wt%、密度1.18g/ml)(10.58mmol)と、塩基としての0.40ml(4.965mmol)ピリジンまたは0.049g(0.51mmol)ピリジンN−オキシドとを充填した。
【0024】
100mg(2.376mmol)プロピレンの導入後、反応器中で単一の液相を生成させるために、選択された所定の圧力(700psi)で液体を通してバブリングさせることによって、二酸化炭素(2.37ml、25℃で約700psi)を次に反応器に加えた。二酸化炭素の圧力に加えて、反応器中で単一の液相を生成させるために、反応混合物組成物を選択した。反応を約40℃で約3時間監視した。
【0025】
反応期間が終了すると、単蒸留法によってプロピレンオキサイドを分離し、そしてガスクロマトグラフィー("GC")または質量分析計と組み合わせたGC("GC/MS")によってプロピレンオキサイドの量を決定した。
【0026】
下の表1に示すように、溶媒系としてメタノール/水および塩基としてピリジンN−オキシドで最も高いプロピレンオキサイドの収率を生じる。留意すべきは、溶媒系の一部を形成する水は、水性過酸化水素反応物溶液中の水と、反応の間に過酸化水素の分解の一部として形成された水の両者を含むことである。メタノール中のプロピレンの高い溶解度は、アセトニトリルで得られる収率より高い収率のプロピレンオキサイドを生じる。選択性は、有機溶媒としてメタノールを使用する全ての場合で、95%超で生成物としてのプロピレンオキサイドに有利である。CO2/アセトニトリルの例で微量のプロピレングリコールまたはCO2/メタノールの例で1−メトキシ−2−プロパノールが、反応(示されていないデータ)の間に生成された。
表1:CO2での膨張液体溶媒系でのプロピレン酸化
【0027】
【表1】

【0028】
例2:異なる圧力におけるメタノール/水溶媒系中でのプロピレンの溶解度
この例では、メタノール/水溶媒系中でのプロピレン溶解度を、異なる圧力で調べた。6:1のメタノール/水の重量比をこの例で使用した。この例では、プロピレンの量を調整することによって種々の系圧力に到達するように、プロピレンを反応器に供給した。液相中でのプロピレンの溶解度を毛管および充填カラムの両者を備えたGCで測定した。40℃において、液相中でプロピレンのモル分率を図2に示し、そして予想したように掛けられたプロピレンの圧力により増加する。
【0029】
例3:プロピレンオキサイドの収率および選択性における異なる塩基の効果
この例では、収率および選択性への効果を決定するために、幾つかの異なる有機窒素を含有する塩基を調べた。さらに具体的に言うと、この例では、反応器を、0.0120g(0.049mmol)のMTO、有機溶媒としての4.14mlメタノール中0.610mlの水性過酸化水素(H2O中で50wt%)および下記表2に記載の塩基で充填した。二酸化炭素(700psi)を例1に示すように加えた。ピリジン、ピリジンN−オキシド、4、4'−ジピリジル、2、2'−ジピリジルN、N'−二酸化物、2、2'−6、2"−ターピリジン、2、4、6−トリ(4−ピリジル)−1、3、5−トリアジン、およびジフェニルアミンを含んだテストされる塩基を、プロピレン酸化の最適な共同因子を探すために研究した。下の表に示すように、ピリジン−N−オキシドは、40℃、700psiの二酸化炭素の存在下で、メタノール中で最も高い収率を生じた。
表2:炭素二酸化物での膨張液体中で3時間の反応でのMTOによるプロピレン酸化への塩基の効果
【0030】
【表2】

【0031】
例4:収率および選択性への加圧ガスとしての窒素の効果
この例では、加圧ガスとして窒素を使用する効果を調べた。さらに具体的に言うと、この例では、反応器に、0.0120g(0.049mmol)のMTO、有機溶媒としての4.14mlメタノール中0.27mlの水性過酸化水素(H2O中で50wt%)(4.685mmol)、および塩基として0.049g(0.512mmol)のピリジンN−オキシドを充填した。
【0032】
二酸化炭素加圧系(700psi)を使用する前記反応に等しい圧力を掛けるために、プロピレン(100mg)を反応器に加えた後、加圧窒素を加えた。種々の窒素圧力を下の表に示すように調べた。それぞれの実験では、反応時間は、約3時間(誤差+−5%)であり、そして温度を約40℃で維持した。
表3:プロピレンの酸化での窒素および圧力の効果
【0033】
【表3】

*PG=プロピレングリコール;1M2P=1−メチル−2−プロパノール
【0034】
例5:基質の溶解度への加圧ガスとしての窒素の効果
プロピレン(100mg)および水を有する反応器の圧力は約90psi(データは示されていない)であった。上の表3に示すように、(水単独の代わりに)メタノールが共溶媒として使用される場合、メタノールを有する反応器の圧力が、メタノール/水溶媒系中でのプロピレンの溶解度のために、約55psi低下してわずか35psiに低下した。
【0035】
先の例は、より高い窒素圧力での増加した転化が、メタノール中での高められたプロピレンの溶解度に一部依存することを示唆する。実際、図3に示されるように、攪拌された容器中でのin situのReactIR(商標)による研究は、液体メタノール/水相中におけるプロピレンの濃度が漸次窒素圧力を増加させることを示す。
【0036】
これをテストするために、実験的測定は、適度ではあるが増加した窒素圧力下における、液相中への増加したプロピレン溶解度を開示する。実験を6:1重量メタノール/水液相混合物でテストした。温度を40℃に保ち、そしてガス相でのプロピレンの分圧を、44psi近くで一定に維持した。系の全圧を、次に窒素の種々の分圧を掛けることによって増加させ、次に液相中での平衡プロピレン溶解度を測定した。結果を表4に示す。
表4;40℃でメタノール/水(6:1の重量比)媒体中のプロピレンの溶解度
【0037】
【表4】

【0038】
加圧窒素増加下での高められたプロピレンの溶解度は、二酸化炭素加圧系における反応または追加されたガスのない反応の収率よりプロピレンオキサイドの収率を高める。
【0039】
例6:生成物の収率への溶媒の効果
この例では、生成物の収率への種々の有機溶媒の効果を調べた。メタノール、イソプロパノールおよびtert−ブタノール、およびアセトニトリル(CH3CN)を含む幾つかの異なるアルコール類を触媒の安定性をテストするために使用した。反応器を、MTO(0.0120g、0.049mmol)、ピリジン−N−オキシド(0.0144g、0.151mmol)および4.14mlの該有機溶媒の一種中0.27mlの水性過酸化水素(H2O中で50wt%)(4.684mmol)で充填した。プロピレン(100mg、2.376mmol)を、反応器に充填し、次に30℃で、250psiにN2で加圧した。反応を繰り返すために、新たなプロピレンおよびH22を最初の1時間の反応後に反応器に加えた。生成物を各1時間周期の最後にGCで分析した。次に触媒安定性の順番を生成物の累積収率で判断し、図4に示すように、イソプロパノール<アセトニトリル<tert−ブタノール<メタノールとなった。
【0040】
例7:生成物の収率への温度の効果
この例では、生成物の収率への反応温度の効果を調べた。さらに具体的に言うと、MTOでのプロピレン酸化を20、30、および40℃で行った。反応器に、MTO(0.0120g、0.049mmol)、ピリジンN−オキシド(0.0144g、0.151mmol)および有機溶媒として4.14mlのメタノール中0.27ml水性過酸化水素(H2O中50wt%)(4.684mmol)を充填した。プロピレン(100mg、2.376mmol)を、反応器に充填し、次に250psi、N2に加圧した。新たなプロピレンおよびH22を1時間反応ごとに加え、そして生成物をGCで監視した。
【0041】
結果を図5に示す。これらの反応のタイムスケールにおいて、最適な反応温度は、約20〜30℃である。これらの研究の過程で、溶液の色が触媒の状態の強力な指標であることが明らかになった。文献(M.Abu−Omar、P. J. Hansen、 J. H。Espenson、 J. Am. Chem. Soc、1996、4966〜4974)を踏まえると、MTOのダイパーオキソ(diperoxo)誘導体が溶液中で優占種である限り、溶液は黄色である。この色が安定である限り、触媒の性能は安定である。意義深いことに、生成物の累積収率が30℃で行われる系の収率より一様に少し低くても、20℃で観察した溶液の色は、強い黄色のままであった。30℃での溶液が約12時間後に無色になったことに注意することは重要である。これらの結果は、触媒がより高い温度でより高いプロピレンオキサイドの生成活性を示す一方で、これらの温度でさらに急速に不活性化することも示す。温度を下げることは、プロピレンオキサイドの累積収率によって現されるように、MTO触媒の安定性に明らかに有益な効果を有する。
【0042】
例8:過酸化物原料の生成物の収率への効果
50%水溶液の、過酸化水素源の性質によって、上記の観察は全て、部分的な水性媒体中で行われた。溶媒系の水成分の方法への効果についての評価を与えるために、固体尿素過酸化水素を反応の間過酸化水素源として使用した。反応器を、MTO(0.0120g、0.049mmol)、ピリジンN−オキシド(0.0144g、0.151mmol)および固体尿素過酸化水素(4.684mmol)または4.14mlのメタノールもしくはtert−ブタノール中0.27ml水性過酸化水素(50wt%水)(4.684mmol)で充填した。プロピレン(100mg、2.376mmol)を、反応器に充填し、次にN2(約250psi)で加圧し、そして30℃で加熱した。
【0043】
本願中に記載された大部分の実験では、系は、水中50wt%過酸化水素の使用によって、かなりの量の水を含んだ。メタノール/水の比は、収率(データは示されていない)に有意に影響しなかったが、メタノール中で過酸化水素(尿素過酸化水素)の乾燥源を使用した反応中では、図6に示すように、POの収率は実質的に増加した。
【0044】
1−メトキシ−2−プロパノール副生成物の量は、メタノール/水の比によって影響された。図7は、5つの連続的な1時間の反応期間での連続的な反応データを示す。先の例に示すように、反応物を反応器中に入れ、そして反応を30℃で1時間期間進ませた。生成物を次にGCで分析した。新たなプロピレンおよび50wt%過酸化水素を、同一の反応器に加え、そして反応をさらに1時間続けた。それぞれの反応期間の間過酸化水素分解から追加の水の生成により、水が蓄積された。図7は、溶媒系中の水の量を増加させることで、1−メトキシ−2−プロパノールの好ましからざる生成による濃度の増加を明白に示す。従って、プロピレンオキサイド生成の選択性は、より長い反応時間ではわずかに低下した。
【0045】
例9:他のオレフィンの基質
この例では、MTO系を、オレフィンとしてのエチレンの酸化に適用した。反応器を、MTO(0.0204g、0.082mmol)、ピリジンN−オキシド(0.02g、0.210mmol)および有機溶媒としての4.0mlのメタノール中0.27ml水性過酸化水素(H2O中50wt%)(4.684mmol)を充填した。エチレン(100mg、2.376mmol)を反応器に充填し、次に約300psiの窒素で加圧し、そして反応器を30℃で加熱した。3時間のバッチ反応後、エチレンオキサイドを、エチレングリコール等の副生成物の痕跡無く生成物として見出した。
【0046】
例10:他の触媒系
先の研究は、タングステネート触媒がアルケンエポキシ化で優れた転化および選択性を得たことを見出した。Satoらの、A "Green Route to Adipic Acid: Direct Oxidation of Cyclohexenes with 30 percent Hydrogen Peroxyide、 J. Org. Chem. 1996、 61、 8310〜8311;Maheswariらの、A Na2WO4/ H2WO4−Based Highly Efficient Biphasic Catalyst towards Alkene Epoxidation、 using Dihydrogen Peroxide as Oxidant、 Adv. Synth. Cata.2005347、1759〜1764を参照のこと。W(VI)はまた高酸化状態であるので、強ルイス酸の触媒作用が期待される。無機タングステネートアニオンはまた、酸化剤の存在下、および高い反応温度で非常に安定である。容易に回収されそして再使用される後反応であることが好ましい。Na2WO42H2OおよびH2WO4を表6に示すように種々の条件下でプロピレン酸化に適用した。
表6:タングステート触媒の研究での化学組成
【0047】
【表5】

【0048】
タングステン酸を有機溶媒に溶かすことは挑戦を示し、そして表6中でデータによって示される遅い反応の原因となる場合がある。触媒の溶解度の問題は、酸を溶解させるためのNH4OHの使用、続いて溶液に所望の低いpHを提供するための強い鉱酸の添加によって解決された。
【0049】
反応器を、表6に示すように0.0522gNa2WO4.2H2O(0.158mmol)、H2WO4(0.052mg、0.207mmol)または0.026gNa2WO42H2O(0.078mmol)/0.022gH2WO4(0.087mmol)の混合物、0.0602mgのクロロ酢酸ClCH2COOHおよび4mlのメタノール中1.0ml水性過酸化水素(H2O中50wt%)で充填した。プロピレン(100mg、2.376mmole)を反応器に充填し、次に約300psi窒素で加圧し、そして40〜90℃に加熱した。過酸化物は、60℃より上で急速に分解した。触媒は、実験1で完全に溶解し、透明な黄色を示した。触媒混合物は、実験3〜5のCH3OH/ClCH2COOH媒体中に部分的にだけ溶解した。触媒の混合物を、溶解度を改善させるためにNH4OHを有するCH3OH中に溶解し、そして酸性状態に戻すために、限定された量のH2SO4を、系4および5中に加えた。
表7:Na2WO42H2O/H2WOでのプロピレン酸化条件
【0050】
【表6】

【0051】
従ってこの例はエポキシ化が非常に異なる触媒、および非常に温和な条件で起こることができることを示す。当然のことながら、当業者は、本明細書中に記載された触媒の性能を更に改善させるために、条件を最適化できるであろう。
【0052】
例11:触媒塩基および共溶媒の再使用
この例では、2つの方法を、MTO触媒の再使用を評価するために適用した。第1の方法は、以下に示す3時間の反応後に、単蒸留を50℃で行った。反応器を、MTO(0.0240g、0.098mmol)、ピリジン−N−オキシド(0.3g、0.315mmol)、および1ml水性過酸化水素(H2O中50wt%)(17.35mmol)で充填し、そして4.14mlメタノール溶媒系中0.3mlプロピレン(7.13mmol)および250psi窒素で充填した。反応器を大気圧まで減圧し、続いて反応混合物を加熱した。約40〜50℃で、プロピレンオキサイドが沸騰し、大部分の水、メタノールおよび溶解した触媒を含有する残りの液体反応混合物から出た。蒸気相のプロピレンオキサイドを凝縮させ、そしてドライアイス中のアセトントラップ内に集めた。GCクロマトグラムは、一段の蒸留ステップの後における反応器(図8)からのプロピレンオキサイドの効率的な分離を示す。分離された生成物は、いくらかのメタノールを含むが、複数段の蒸留は、分離を改善するであろう。次に、全ての液体化学試薬および回収した触媒を乾燥させた。回収した触媒を次の反応で再使用した。
【0053】
触媒の安定性を複数周期の反応で調べた。第1の反応を40℃で3時間行い、そして生成物を単蒸留法によって分離した。そして同量の新たなプロピレンを、第2の反応周期で充填した。第2の反応を、第1の反応と同一の条件で行ったが、過酸化水素およびメタノールを全く加えなかった。2つの逐次的な反応は、ほとんど同一であるので、図9に示すように反応器圧力の低下が観察された。圧力変化に影響するガス状物質のみが、プロピレンになると考えられ、そして、これに基づいて、プロピレンの消費が、2つの逐次反応の間ほとんど同じであると判断した。
【0054】
本明細書中で示された結果に基づいて、最も好ましい反応混合物は、メタノール、ピリジンN−オキシド、水、過酸化水素、プロピレンオキサイド、およびMTO触媒を含むであろう。反応後、反応器の圧力が大気圧まで低下して、未反応のプロピレンを蒸気として放出させる。プロピレンオキサイドを、次に液相から約40℃で蒸留によって分離し、"底の生成物"、溶媒、触媒、および水/過酸化物酸化試薬から蓄積された水を残した。メタノールおよび触媒が再使用される場合、主題は過剰に蓄積された水の分離である。逆浸透は、図10に示すようなこの特異的な系にとって特に魅力的であるようである。あるいは、一般的に図11に示されるように、蒸留を触媒および溶媒の回収のために使用できる。
【0055】
以下は、これらの方法への追加の考察である。第一に、プロピレン供給位置は優先的に系の底部にあり、そしてタンクの底にある液相に導かれる。プロピレンの吸収を補助するために、溶媒再使用/補給を反応器に戻す供給位置はより高いことができる。しかし、プロピレンオキサイドはまた、吸収されるであろう。したがって、供給位置は、おそらくより低い場所であることが好ましい。第2に、トップ/コンデンサーの大体の温度は約30℃で、冷却水の温度がPOの縮合を可能にするであろう。底の温度は、蒸留を促進させるために、50〜60℃の範囲であろう。最後に、逆浸透("RO")ろ過は、水からH22を分化させそうもない。一般的に、小さいアルコール分子を、透過から排除するのは困難である。したがって、分枝アルコール類は、好ましいことが可能である。
【0056】
上記より、この発明は、明らかで且つ本発明に固有の他の利点と共に、本明細書中において上記で説明したすべての目標および目的を達成するために充分に適応されたものであることがわかるであろう。多くの可能な態様が、本発明の範囲を離れることなく、本発明でなされることができるので、当然のことながら、本明細書中で説明したまたは添付図面に示された全てのことは、具体的に説明し、そして限定的な意味でないと解されるべきである。具体的な実施形態が示されそして議論されたが、種々の改変を行うことはもちろん可能であり、そして本発明は、以下の請求項中に含まれるそうした制限の場合を除き、特異的な形態または部分の配置および本願中に記載されたステップに限定されない。さらに、当然のことながら、ある特徴および下位の組み合わせは、有用であり、そして他の特徴および下位の組み合わせを参照することなく使用できる。これは、請求の範囲内で熟考され、または範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、本発明の例2以外の全ての例中で使用される反応器の図式である。
【図2】図2は、メタノール/水(6:1重量比)媒体中での、プロピレンの圧力の関数としてのプロピレン溶解度を示す。
【図3】図3は、種々の圧力での3000cm-1の辺りのアルケンC−H伸張振動のバンドを示す。圧力増加によるスペクトルの変化は、プロピレンの増加した溶解度を示す。
【図4】図4は、プロピレン酸化における溶媒の効果を示す(:CH3OH;?:tert−BuOH;?:CH3CN;?:イソプロパノール)。
【図5】図5は、プロピレン酸化における温度の効果を示す(:30℃−pyNO:12時間後に色が消えた;?:20℃pyNO;?:40℃pyNO:3回目以降に色が消えた)。
【図6】図6は、水性vs乾燥反応条件を示す(:50wt%H2O中でH22を用いた;?:尿素過酸化水素を用いた)。
【図7】図7は新たなプロピレンおよび酸化剤供給ごとの1時間反応期間での連続的な反応データで、メタノール/水比を減少させた、1−メトキシ−2−プロパノール副生成物の量を示す。
【図8】図8は、単蒸留によって、例11から分離されたプロピレンオキサイドのガスクロマトグラフの結果を示す。
【図9】図9は、2つの連続した反応周期の間の圧力変化を示す。最初の3時間の反応の後に新しいプロピレンを充填した。
【図10】図10は、逆浸透水除去系を使用したプロピレンオキサイド法の略図である。
【図11】図11は、水分離および溶媒回収ための蒸留を使用するプロピレンオキサイド生産法の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機水混和性溶媒を含む溶媒系中で、ルイス酸酸化触媒および有機塩基の存在下、オレフィンと酸化剤とを接触させること、および
圧力を高めそれによって、該オレフィンをさらに該有機溶媒系中に溶解させるために、加圧ガスを加えること、
を含んで成るオレフィンのエポキシ化する方法。
【請求項2】
該オレフィンが、エチレンまたはプロピレンである、請求項1の方法。
【請求項3】
該触媒が、有機レニウムオキサイドである、請求項1の方法。
【請求項4】
該酸化剤が、水溶液中に約20〜80wt%の過酸化水素を有する過酸化水素である、請求項1の方法。
【請求項5】
該酸化剤が、尿素過酸化水素である、請求項1の方法。
【請求項6】
該加圧ガスが、不活性ガスである、請求項1の方法。
【請求項7】
該加圧ガスが、約230〜700psiの圧力を有する窒素である、請求項1の方法。
【請求項8】
該有機塩基が、メチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、オクチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルドデシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N、N−トリブチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、モルホリン、ピペリジン、ピリジン、2、2'−ビピリジンおよび2、2'、2"−トリピリジンならびに対応するN−オキシドから選択される窒素含有化合物である、請求項1の方法。
【請求項9】
該水混和性溶媒が、アセトニトリル、イソプロパノール、tert−ブタノール、メタノール、および他の低級アルコールからなる群から選択される、請求項1の方法。
【請求項10】
該溶媒系が、有機水混和性溶媒からなり、そして水を含まない、請求項1の方法。
【請求項11】
該溶媒系が、メタノール:水において重量比で3:1〜22:1にあるメタノールおよび水を含む、請求項1の方法。
【請求項12】
該エポキシ化する方法が約20〜30℃で起こる、請求項1の方法。
【請求項13】
該オレフィンがエチレンまたはプロピレンであり、該酸化剤が過酸化水素であり、該溶媒系がメタノールを含み、該塩基がピリジンまたはピリジンN−オキシドであり、該ルイス酸酸化触媒がメチルトリオキソレニウムであり、そして該加圧ガスが全系に与えるように約230〜700psiの圧力を有する窒素である、請求項1の方法。
【請求項14】
該溶媒系が、有機水混和性溶媒からなり、そして水を含まない、請求項13の方法。
【請求項15】
該溶媒系が、メタノールからなり、そして水を含まない、請求項13の方法。
【請求項16】
水をさらに含む請求項13の方法。
【請求項17】
未反応のオレフィンを含有する蒸気相、ならびにエポキシ化されたオレフィン、ルイス酸酸化触媒および溶媒系を含む液相を作り出すために、圧力を低下させるステップをさらに含む請求項1の方法。
【請求項18】
該液相を分画するステップをさらに含み、それによって該エポキシ化オレフィンを含む第1のガス流を蒸留で除き、そして該ルイス酸化触媒、該有機塩基ならびに水および該有機水混和性溶媒を含む該溶媒系を含む第2の液体流を生成させる請求項17の方法。
【請求項19】
該蒸留が大気圧でそして約50℃より下の温度で起こる、請求項18の方法。
【請求項20】
該第2の液体流由来の、該ルイス酸化触媒、該有機塩基および該有機水混和性溶媒から、逆浸透によって水を分離するステップをさらに含む請求項18の方法。
【請求項21】
該接触ステップへ該酸化触媒を再使用するステップをさらに含む請求項20の方法。
【請求項22】
該再使用ステップがまた、該有機塩基および該有機水混和性溶媒を、該接触ステップに再使用するステップも含む、請求項21の方法。
【請求項23】
蒸留によって該第2の流れから、該酸化触媒、該有機塩基、および該有機水混和性溶媒を分離するステップをさらに含む請求項18の方法。
【請求項24】
該分離された酸化触媒を該接触ステップに再使用するステップをさらに含む請求項23の方法。
【請求項25】
エポキシ化されるオレフィン;
有機水混和性溶媒を含む溶媒系中の酸化剤、ルイス酸酸化触媒、および有機塩基;ならびに
約100〜700psiの加圧ガス、
それによって該オレフィンが、該加圧ガスがない場合より多量に該有機溶媒系中に部分的
に溶解する、
を含む閉鎖系中の反応混合物
【請求項26】
該オレフィンが、エチレンまたはプロピレンである、請求項25の反応混合物。
【請求項27】
該加圧ガスが、不活性ガスである、請求項25の反応混合物。
【請求項28】
該有機塩基が、メチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、オクチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルドデシルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、アミノエタノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N、N−トリブチルエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、モルホリン、ピペリジン、ピリジン、2、2'−ビピリジン、および2、2'、2"−トリピリジンおよび対応するN−オキシドから選択される、請求項25の反応混合物。
【請求項29】
該水混和性溶媒が、イソプロパノール、アセトニトリル、tert−ブタノール、およびメタノールからなる群から選択される、請求項25の反応混合物。
【請求項30】
該溶媒系が、有機水混和性溶媒からなり、そして水を含まない、請求項25の反応混合物。
【請求項31】
該溶媒系が、メタノール:水において重量比で3:1〜22:1を有するメタノールおよび水を含む、請求項25の反応混合物。
【請求項32】
約20〜30℃の反応温度を有する請求項25の反応混合物。
【請求項33】
該オレフィンがエチレンまたはプロピレンであり、該酸化剤が過酸化水素であり、該溶媒系がメタノールを含み、該塩基がピリジンまたはピリジンN−オキシドであり、該ルイス酸酸化触媒作用がメチルトリオキソレニウムであり、そして該加圧ガスが約230〜700psiの窒素である、請求項25の反応混合物。
【請求項34】
該溶媒系が、有機水混和性溶媒からなり、そして水を含まない、請求項33の反応混合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−513648(P2009−513648A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537905(P2008−537905)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/041617
【国際公開番号】WO2007/050678
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(508176441)ユニバーシティ・オブ・カンザス (9)
【Fターム(参考)】