説明

オレフィンの三量体化

本発明は、オレフィンの三量体化方法について記載しており、その方法は、オレフィンの供給流を遷移金属化合物およびへテロ原子配位子を含有する触媒系と接触させる工程を含み、該三量体はオレフィンであり、該へテロ原子配位子は、次の一般式(R)A−B−C(R)により表される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン三量体化方法、オレフィンの三量体化用触媒系ならびにオレフィンの三量体化用触媒系のための配位子の同定および使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
1−ヘキセンは、重要な工業製品である。特定の化学物質としてのその用途に加えて、それはまた、重合過程においてモノマーまたはコモノマーのいずれかとして幅広く使用される。本発明は、有意な量の他の高分子オリゴマーおよびポリエチレンの副生成を避けながら、エチレンからの高い選択性での1−ヘキセンの生成を促進する触媒系を明らかにする。
【0003】
これに関連して、キレート配位子の好ましくは2−ジフェニルホスフィノ安息香酸(DPPBA)、ニッケル前駆物質の好ましくはNiCl・6HO、および触媒活性化剤の好ましくはテトラフェニルホウ酸ナトリウムを含むニッケル触媒が、1−ヘキセンを含有する直線状オレフィンの混合物を生じるエチレンのオリゴマー化の触媒作用をすることが従来技術(米国特許第6184428号)により知られている。直線状Cα−オレフィンに対する選択性は、33%であると言われている。同様に、類似の触媒系を使用するシェル高分子オレフィン法(the Shell Higher Olefins Process)(SHOP法、米国特許第3676523号および第3635937号)は、生成物の混合物中に11重量%の1−ヘキセンを生じることが報告されている(Chem Systems PERPリポート、90−1、93−6および94/95S12)。
【0004】
Gulf Oil Chemicals Company(Chevron、例えば、ドイツ国特許第1443927号)およびEthyl Corporation(BP/Amoco、例えば、米国特許第3906053号)により独自に開発されたトリアルキルアンモニウム触媒に基づくチーグラータイプの技術もまた、エチレンをオリゴマー化するために工業的に使用されており、伝えられるところによれば14〜25重量%の1−ヘキセンを含有するオレフィンの混合物にしている(Chem Systems PERPリポート、90−1、93−6および94/95S12)。
【0005】
遷移金属の触媒反応によるエチレンの1−ヘキセンへの選択的三量体化は、幅広く研究され特許を受けている。これら三量体化触媒のいくつかは、さらに長鎖のオレフィンを三量体化することも可能である。より長鎖のオレフィンから誘導される三量体化生成物は、合成潤滑油(例えばポリアルファオレフィン/PAO)としてだけでなく、ボーリング泥の成分ならびに合成洗剤および可塑剤を調製するための供給原料等のさまざまな用途で利用することができるので、このことは重要な特性である。選択的エチレン三量体化のための既知の触媒の殆どは、クロム系のものである。最近、リンおよび窒素へテロ原子(WO 03/053891)ならびに硫黄および窒素へテロ原子(WO 03/053890)の両方によるへテロ原子配位子を含有するクロム系三量体化触媒系が本出願人により開発された。これらの配位子は、へテロ原子の間に少なくとも1つの炭素原子のスペーサーを含んでおり、クロムとの真の三座配位を可能にしている。三座配位錯体は、二座配位錯体より1−ヘキセンに対してより選択的であると一般に考えられている。上記エチレン三量体化のためのへテロ原子配位子の例は、ビス−(2−ジエチルホスフィノ−エチル)−アミンである。この配位子を含有する触媒系は、1−ヘキセンに対して著しく選択的ではある(96重量%を超える全体の1−ヘキセン選択性を有する)が、それは穏やかな触媒活性を示すに過ぎない。
【0006】
エチレン三量体化のためのリンおよび窒素へテロ原子の両方による上記へテロ原子配位子の他の例は、WO 02/04119に記載されている(o−メトキシフェニル)PN(Me)P(o−メトキシフェニル)である。この特許出願は、次の一般式(R)(R)X−Y−X(R)(R)(式中、Xは、リン、ヒ素またはアンチモンであり、Yは、−N(R)−等の結合基であり、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビルまたは置換ヘテロヒドロカルビル基であり、その少なくとも1つが、ホスファン、アルサンまたはスチバン基ではない極性置換基を有する)によって表される配位子の使用を開示している。(o−メトキシフェニル)PN(Me)P(o−メトキシフェニル)を含有するエチレン三量体化触媒系は、WO 03/053891に記載されている系より幾分選択性は低い(1−ヘキセンに対する申告された選択性は、75と91.5重量%の間の範囲にある)が、それはより活性である。したがって、上の記述に基づいて、この特許出願に開示されている配位子の本質的な特性は、R、R、RおよびR基の少なくとも1つが、極性、または電子供与性置換基を持たなければならないということである。公開された文献は、触媒条件下の配位子として、R、R、RおよびRの少なくとも1つに何らのそのような極性置換基のない化合物の(o−エチルフェニル)PN(Me)P(o−エチルフェニル)を使用することにより、1−ヘキセンに対する触媒活性が何らもたらされなかったことを示している(Anthea Carter等、Chem.Commun.、2002、858〜859)。上記配位子中の配位したリンへテロ原子2個は、1個の窒素原子によって相互に隔てられている。その窒素原子は、クロムとは(少なくとも活性化剤の不在下では)配位せず、配位子に任意のさらなる電子供与性原子がなければ、それは二座配位系であるものと考えられる。さらに、特にフェニル基(R、R、RおよびR)のオルト位の任意の極性もしくは電子供与性置換基は三座配位系の形成を促進するものと考えられる。この特性は、Chem.Commun.、2002、858〜859中で、「このことが、オルトメトキシ基が、懸垂供与体として作用し、クロム中心の配位の飽和を増すポテンシャルが重要な要素であるというふうにわれわれをして仮定させるように導いた。」と述べることによってあらためて示されている。
【0007】
本出願人は、Carter等の所見に反して、非極性置換基をリンと結合しているフェニル環のオルト位に含有する安価なPNP配位子を使用して優れたエチレン三量体化の活性度および選択性を得ることが実際に可能であることを今や示した。これらの配位子系を使用する場合、Carter等によって報告されたオルト位に極性置換基を有する配位子と比較して、より高度の全体的選択性が実は達成可能である。
【特許文献1】米国特許第6184428号
【特許文献2】米国特許第3676523号
【特許文献3】米国特許第3635937号
【非特許文献1】Chem Systems PERPリポート90−1
【非特許文献2】Chem Systems PERPリポート93−6
【非特許文献3】Chem Systems PERPリポート94/95S12
【特許文献4】ドイツ国特許第1443927号
【特許文献5】米国特許第3906053号
【特許文献6】WO 03/053891
【特許文献7】WO 03/053890
【特許文献8】WO 02/04119
【非特許文献4】Anthea Carter等、Chem.Commun.、2002、858〜859
【非特許文献5】D.E.Bergbreiter等、J.Am.Chem.Soc.、1987年、109、177〜179
【非特許文献6】C.Yuanyin等、Chinese J.React.Pol.、1992年、1(2)、152〜159
【非特許文献7】T.MonoiおよびY.Sasaki、J.Mol.Cat.A:Chem.、1987年、109、177〜179
【特許文献9】米国特許第5786431号
【非特許文献8】Ewart等、J.Chem.Soc.1964、1543
【非特許文献9】Dossett、S.J.等、Chem.Commun.、2001、8、699
【非特許文献10】Balakrishna,M.S.等、J.Organomet.Chem.1990、390、2、203
【非特許文献11】Casalnuovo,A.L.等、J.Am.Chem.Soc.1994、116、22、9869
【非特許文献12】Rajanbabu,T.V.等、J.Org.Chem.1997、62、17、6012
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ヘテロ原子配位子を含有する遷移金属触媒系を使用することにより、オレフィンから1−ヘキセン等の三量体生成物を選択的に生成させる方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、オレフィンの三量体化の方法が提供され、その方法は、オレフィン供給流をへテロ原子配位子および遷移金属化合物を含む触媒系と接触させる工程を含む。
【0010】
三量体化という用語は、単一のオレフィンモノマーまたはオレフィンモノマーの混合物に由来する三量体に富んだ生成物を生じさせるそれらオレフィンモノマーの触媒反応を意味する。その生成物流は、直線状および/または枝分かれしたオレフィンからなる。
【0011】
供給流は、三量体化されるべき1つのオレフィンまたは複数オレフィンの混合物を含み、連続またはバッチ方式の本発明による方法に導入することができる。
【0012】
生成物流は、三量体を含み、その三量体は、連続またはバッチ方式の本発明による方法により製造される。
【0013】
本方法は、α−オレフィンの三量体化の方法を含み、そのα−オレフィンは、末端二重結合を有するすべての炭化水素化合物を含む。この定義は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を含む。
【0014】
本方法は、三量体α−オレフィン生成物を選択的に生じるα−オレフィンの三量体化のための方法を含むことができる。
【0015】
エチレンは、触媒系と1バールg、好ましくは10バールgより大きく、より好ましくは30バールgより大きい圧力で触媒系と接触させることができる。
【0016】
ヘテロ原子配位子とは、同じかまたは異なっていても良く、リン、ヒ素、アンチモン、硫黄、窒素、酸素、ビスマスおよびセレンを含む群のいずれか1つから、独立して、選択することができる少なくとも2つのへテロ原子を含有する配位子を意味する。そのヘテロ原子配位子は、次の一般式(R)A−B−C(R)で表すことができ、式中、AおよびCは、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、ビスマス、硫黄、セレン、および窒素を含む群から選択され、Bは、AとCの間の結合基であり、Rは、ホモまたはヘテロヒドロカルビル基のいずれかから独立して選択され、nおよびmは、AおよびCのそれぞれの価数および酸化状態によって決まる。
【0017】
より具体的には、その配位子は、次の一般式(R)(R)A−B−C(R)(R)により表すことができ、式中、AおよびCは、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、窒素およびビスマスであり、Bは、AとCの間の結合基である。Aおよび/またはCは、遷移金属との配位のための潜在的供与部位である。
【0018】
電子供与体は、供与結合、共有結合を含む化学結合の形成で使用される電子を供与する実体として定義される。
【0019】
Aおよび/またはCは、独立して、S、Se、NまたはOで酸化することができる。
【0020】
Aおよび/またはCは、独立して、リンまたはSもしくはSeもしくはNもしくはOで酸化されたリンであり得る。
【0021】
へテロ原子配位子は、少なくとも2つのへテロ原子を有する配位子の群から選択することができ、各へテロ原子は電子供与性置換基のないヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビル基を含有している。本出願人は、触媒系が、AまたはCに結合しているいずれかの芳香族基のオルト位の置換基による二座のへテロ原子配位錯体を含有する場合は二次的な三量体化反応の抑制によって触媒系の選択性の改良がもたらされるものと考えている。加えて、本出願人は、殆どの場合非電子供与性置換基の存在が、1−ヘキセンに対する全体的な反応の選択性に関して有利であることを意外にも見出した。
【0022】
Bは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビルおよび置換ヘテロヒドロカルビル基を含む有機結合基;単一原子結合を含む無機結合基;イオン結合基ならびに、メチレン、ジメチルメチレン、1,2−エタン、1,2−フェニレン、1,2−プロパン、1,2−カテコール、1,2−ジメチルヒドラジン、−B(R)−、−Si(R−、−P(R)−および−N(R)−(Rは、水素、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル、置換へテロ原子またはハロゲンである)を含む基のいずれか1つから選択される。好ましくは、Bは、−N(R)−であり、Rは、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル基である。Rは、水素であるかまたは、アルキル、アリール、アリールオキシ、ハロゲン、ニトロ、アルコキシカルボニル、カルボニルオキシ、アルコキシ、アミノカルボニル、カルボニルアミノ、ジアルキルアミノ、またはそれらの誘導体、およびこれら置換基のいずれかにより置換されているアリールからなる基から選択することができる。
【0023】
好ましいRの基は、メチル等のアルキル基を含む。
【0024】
Bは、(CHY(CH{ただし、Yは、−P(R)−、−N(R)−、−As(R)−、−Sb(R)−または−S−であり、xおよびyは、独立して1〜15であり、Rは、水素またはハロゲンまたはニトロ基またはヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル基である}を除外することができる。
【0025】
Bは、単一原子スペーサーであるように選択することができる。単一原子の結合スペーサーは、AおよびCに直接結合している置換または非置換原子として定義される。
【0026】
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビルまたは置換ヘテロヒドロカルビル基であり、いずれの置換基も非電子供与性である。その置換基は、非極性基であり得る。好ましくは、R、R、RおよびRは、AまたはCに結合している原子と隣接する原子に非電子供与性置換基を含有する置換芳香族基または置換複素環式芳香族基であり得る。R、R、RおよびRは、AまたはCに結合している原子と隣接する原子に非極性置換基を含有する置換芳香族基または置換複素環式芳香族基であり得る。
【0027】
非極性とは、IUPACにより、永久電気双極子モーメントのない実体と定義されている。
【0028】
適当な非極性置換基は、メチル、エチル、プロピル、プロペニル、プロピニル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、2−メチルシクロヘキシル、シクロヘキシル、シクロペンタジエニル、フェニル、ビフェニル、ナフチル、トリル、キシリル、メシチル、エテニル、およびベンジル基等であり得る。
【0029】
好ましくは、R、R、RおよびRの2つ以上は、AまたはCに結合している原子と隣接する原子に少なくとも1つの非電子供与性置換基を含有する芳香族または複素環式芳香族であり得る。より好ましくは、R、R、RおよびRは、AまたはCに結合している原子と隣接する原子に少なくとも1つの非極性置換基を含有する芳香族または複素環式芳香族であり得る。
【0030】
、R、RおよびRの適当な例としては、非限定で、メチル、エチル、エチレニル、プロピル、プロペニル、プロピニル、ブチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2−エチルシクロヘキシル、2−イソプロピルシクロヘキシル、ベンジル、フェニル、トリル、キシリル、o−メチルフェニル、o−エチルフェニル、o−イソプロピルフェニル、o−t−ブチルフェニル、クミル、メシチル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、トリルオキシ、ジメチルアミノ、チオメチル、チオフェニル、トリメチルシリル、ジメチルヒドラジル等が挙げられる。
【0031】
、R、RおよびRは、独立して、芳香族基または置換芳香族基であり得、その場合AまたはCに結合している原子と隣接する原子の置換基は、非電子供与性である。R、R、RおよびRは、独立して、芳香族基または置換芳香族基であり得、その場合AまたはCに結合している原子と隣接する原子の置換基は、極性基ではない。
【0032】
、R、RおよびRのすべてが芳香族または複素環式芳香族であり、R、R、RおよびRのそれぞれがAまたはCに結合している原子と隣接する原子の少なくとも1つで非電子供与性の基により置換されていればそれが最も好ましい。R、R、RおよびRのすべてが芳香族または複素環式芳香族であり、R、R、RおよびRのそれぞれがAまたはCに結合している原子と隣接する原子の少なくとも1つで非極性基により置換されているのもまた好ましい。
【0033】
、R、RおよびRはいずれも、独立して、相互の1つまたは複数あるいは結合基Bと連結して、AおよびC、AおよびBまたはBおよびCと共に環状構造を形成することができる。
【0034】
配位子は、また、複数の(R)A−B−C(R)単位を含有することができる。そのような配位子の非限定の例としては、デンドリマー配位子ならびに個々の単位が1つまたは複数のR基によるかまたは結合基Bのいずれかによって連結されている配位子が挙げられる。そのような配位子のより具体的な非限定の例としては、1,2−ジ−(N(P(o−エチルフェニル))−ベンゼン、1,4−ジ−(N(P(o−エチルフェニル))−ベンゼン、N(CHCHN(P(o−エチルフェニル)および1,4−ジ−(P(o−エチルフェニル)N(メチル)P(o−エチルフェニル))−ベンゼンが挙げられる。
【0035】
その配位子は、当業者に知られている手順および既刊文献に開示されている手順により調製することができる。配位子の例としては、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)、(o−イソプロピルフェニル)PN(メチル)P(o−イソプロピルフェニル)、(o−メチルフェニル)PN(メチル)P(o−メチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(フェニル)、(o−エチルフェニル)PN(イソプロピル)P(o−エチルフェニル)、(o−イソプロピル)PN(イソプロピル)P(o−イソプロピル)、(o−メチル)PN(イソプロピル)P(o−メチル)、(o−t−ブチルフェニル)PN(メチル)P(o−t−ブチルフェニル)、(o−t−ブチルフェニル)PN(イソプロピル)P(o−t−ブチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(ペンチル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(フェニル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(p−メトキシフェニル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(ベンジル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(1−シクロヘキシルエチル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(2−メチルシクロヘキシル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(シクロヘキシル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(アリル)P(o−エチルフェニル)、(3−エチル−2−チオフェニル)PN(メチル)P(3−エチル−2−チオフェニル)、(2−エチル−3−チオフェニル)PN(メチル)P(2−エチル−3−チオフェニル)および(2−エチル−4−ピリジル)PN(メチル)P(2−エチル−4−ピリジル)がある。
【0036】
本方法の条件は、触媒活性が、遷移金属のグラム当たり生成物1グラムを超えるように選択することができる。
【0037】
本方法は、α−オレフィンの三量体化方法であり得る。
【0038】
本方法は、エチレンの三量体化方法であり得る。
【0039】
本方法は、任意の順序でへテロ原子配位子を遷移金属化合物および活性化剤と合わせる工程を含む。
【0040】
本方法は、遷移金属化合物およびヘテロ原子配位子からin situでヘテロ原子配位錯体を発生させる工程を含み得る。その方法は、ヘテロ原子配位子および遷移金属化合物を使用して調製し、予め形成しておいた配位錯体を反応混合物に加える工程、または遷移金属のヘテロ原子配位錯体がin situで発生するように、ヘテロ原子配位子および遷移金属化合物を反応器に別々に加える工程を含むことができる。ヘテロ原子配位錯体がin situで発生するとは、その錯体が、触媒反応が起こる媒体中で発生することを意味する。一般的には、ヘテロ原子配位錯体は、in situで発生する。一般的には、遷移金属化合物、およびヘテロ原子配位子は、約0.01:100から10000:1、好ましくは約0.1:1から10:1の金属/配位子の比を提供するように(in situおよびex situの両方共)合わせる。
【0041】
その遷移金属は、クロム、モリブデン、タングステン、タンタル、バナジウムおよびチタンから選択することができる。好ましくはその遷移金属はクロムである。
【0042】
ヘテロ原子配位子および活性化剤と混合することにより、本発明によるエチレンの三量体化の触媒作用を及ぼす遷移金属化合物は、単一の無機塩、もしくは有機塩、例えば、ハロゲン化物、アセチルアセトン酸塩、カルボン酸塩、酸化物、窒化物、硫化物等、ならびに、配位錯体もしくは有機金属錯体、例えば、クロムトリクロリドトリス−テトラヒドロフラン錯体、(ベンゼン)−トリカルボニルクロム、ヘキサカルボニルクロム、ヘキサカルボニルモリブデン等、であり得る。好ましい遷移金属化合物は、アセチルアセトン酸クロム(III)および2−エチルヘキサン酸クロム(III)である。
【0043】
ヘテロ原子配位子は、例えば、ポリマー鎖に付着させて、それにより、得られた遷移金属のヘテロ原子配位錯体を、高温においては可溶性であるが25℃では不溶性であるように変性することができる。このアプローチにより、その錯体を再使用のために反応混合物から回収することが可能であり、D.E.Bergbreiter等により、J.Am.Chem.Soc.、1987年、109、177〜179に記載されているように他の触媒に使用されてきた。同じような脈絡で、これらの遷移金属錯体は、また、例えば、C.Yuanyin等により、Chinese J.React.Pol.、1992年、1(2)、152〜159に、白金錯体の固定について示されているように、ヘテロ原子配位子を、シリカ、シリカゲル、ポリシロキサンまたはアルミナの骨格に結合することによって固定することもできる。
【0044】
本方法で使用するための活性化剤は、原則として、ヘテロ原子配位子および遷移金属化合物と組み合わせたときに活性触媒を生成する任意の化合物であり得る。系によっては自己活性であり得る。活性化剤の混合物もまた使用することができる。適当な化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機塩(臭化メチルリチウムおよび臭化メチルマグネシウム等)、無機酸および無機塩(テトラフルオロホウ酸エーテラート、テトラフルオロホウ酸銀およびヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム等)が挙げられる。
【0045】
適当な有機アルミニウム化合物としては、式AlR(式中、各Rは、独立して、C〜C12のアルキル、酸素を含有する部分またはハロゲン化物である)の化合物、およびLiAlH等の化合物等が挙げられる。例としては、トリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアルミニウム(TEA)、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)、トリ−n−オクチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、塩化ジメチルアルミニウム、塩化ジエチルアルミニウム、アルミニウムイソプロポキシド、エチルアルミニウムセスキクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド、およびアルミノキサンが挙げられる。アルミノキサンは、一般的には、アルキルアルミニウム化合物、例えばトリメチルアルミニウムに水を制御しながら添加することにより調製することができるオリゴマー化合物として当技術分野でよく知られている。該化合物は、直線状、環状、かご型またはそれらの混合物であり得る。異なるアルミノキサンの混合物もまた本方法で使用することができる。
【0046】
適当な有機ホウ素化合物の例としては、ボロキシン、NaBH、トリエチルホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ホウ酸トリブチル等がある。
【0047】
活性化剤は、また、例えばナトリウムまたは亜鉛金属等の還元剤、あるいは酸素等の酸化剤として作用する化合物であるかまたはそれらを含有することができる。
【0048】
活性化剤は、メチルアルミノキサン(MAO)およびエチルアルミノキサン(EAO)等のアルキルアルミノキサンならびに変性メチルアルミノキサン(MMAO)等の変性アルキルアルミノキサンから選択することができる。変性メチルアルミノキサン(Akzo Nobel社からの市販製品)は、メチル基に加えてイソブチル基またはn−オクチル基等の変性基を含有している。
【0049】
遷移金属化合物およびアルミノキサンは、約1:1から10000:1、好ましくは、約1:1から1000:1、より好ましくは1:1から300:1のAl/金属の比を提供する割合で合わせることができる。
【0050】
本方法は、触媒系に、アルキルアルミノキサン1モル当たり0.01から100モルの間の量のトリアルキルアルミニウム化合物を添加する工程を含むことができる。
【0051】
アルミノキサンが、一般に、それらの調製に使用される対応するトリアルキルアルミニウム化合物の相当量を同じく含有することは注目すべきである。アルミノキサン中のこれらのトリアルキルアルミニウム化合物の存在は、それらの水との不完全な加水分解に起因するものと考えられる。この開示の中で示されるどのような量のトリアルキルアルミニウム化合物も、アルミノキサンに包含されるアルキルアルミニウム化合物に加えられるものである。
【0052】
本方法は、触媒系の成分を、オレフィンの存在下、−20℃と250℃の間の任意の温度で混合する工程を含む。本出願人は、オレフィンの存在により触媒系を安定化させ得ることを見出した。
【0053】
本明細書に記載した触媒系の個々の成分は、同時にまたは任意の順序で連続的に、溶媒の存在下または不在下で、活性な触媒を生じさせるために合わせることができる。その触媒成分の混合は、−20℃と250℃の間の任意の温度で行うことができる。触媒成分を混合する途中のオレフィンの存在は、一般に改良された触媒性能をもたらす保護効果を提供する。好ましい温度範囲は、20℃と100℃の間である。
【0054】
本発明による触媒系またはその個々の成分は、また、それを担体材料、例えば、シリカ、アルミナ、MgCl、ジルコニアまたはそれらの混合物に、あるいはポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、またはポリ(アミノスチレン)に担持させることによって固定することもできる。その触媒は、担体材料の存在下in situで形成させることができ、またはその担体に、同時もしくは連続して、1つもしくは複数の触媒成分を予め含侵させるかまたは混合することができる。場合によっては、その担体材料は、活性化剤としてまたは活性化剤の成分として作用させることもできる。このアプローチは、また、反応混合物からの再使用のための触媒の回収を容易にする。その概念は、T.MonoiおよびY.Sasakiにより、J.Mol.Cat.A:Chem.、1987年、109、177〜179に、クロム系のエチレン三量体化触媒での成功例が示されている。場合によっては、その担体は、また、例えば、上記担体がアルミノキサン官能基を含有する場合またはその担体がアルミノキサンと同様の化学的機能を果たすことが可能な場合は触媒成分として作用することができ、それは例えばIOLA(商標)(Grace Davison社製製品)の場合である。
【0055】
本明細書に記載されている反応生成物、または言い換えるとオレフィンオリゴマーは、開示されている触媒系での不活性溶媒の存在下または不在下の均一液相反応により、および/または触媒系があるかなしかの溶解性を示す形であるスラリー反応、および/または2相液/液反応、および/または試薬そのものおよび/または生成物のオレフィンが主要な媒体としての役割を果たすバルク相反応、および/または気相反応により、従来の装置および接触技術を使用して調製することができる。
【0056】
本方法は、したがって、また、不活性溶媒中で行うことができる。活性化剤と反応しない任意の不活性溶媒を使用することができる。これらの不活性溶媒としては、任意の飽和脂肪族および不飽和脂肪族炭化水素と芳香族炭化水素ならびにハロゲン化炭化水素を挙げることができる。代表的な溶媒としては、非限定で、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、ヘプタン、シクロヘキサン、1−ヘキセン、イオン性液体等を挙げることができる。
【0057】
本方法は、大気圧から500バールgの圧力で行うことができる。10から100バールgの範囲のエチレン圧が好ましい。特に好ましい圧力は、30から50バールgの範囲である。触媒活性度および/または選択性が、1バールgより上の圧力により好転する。
【0058】
本方法は、−20℃から250℃の範囲の温度で行うことができる。0から120℃の範囲の温度が好ましい。特に好ましい温度は、25℃から100℃の範囲である。
【0059】
触媒、その個々の成分、試薬、溶媒および反応生成物は、一般にワンススルーベースで採用されているが、これらの材料はいずれも、生産コストを最低限にするために、ある程度リサイクルすることが可能であるし、実際に好ましい。
【0060】
本方法は、任意のタイプの反応器を含む工場設備で行うことができる。上記反応器の例としては、非限定で、バッチ式反応器、半バッチ式反応器および連続式反応器が挙げられる。その工場設備は、a)反応器と、b)オレフィン反応物および触媒系のためのこの反応器への少なくとも1つの吸い込み管路と、c)オリゴマー化反応生成物のためのこの反応器からの放流管路と、d)触媒系が、本明細書に記載した遷移金属化合物および活性化剤のヘテロ原子配位錯体を含んでいる所望のオリゴマー化反応生成物を分離するための少なくとも1つの分離器とを組み合わせて含むことができる。
【0061】
本方法の他の実施形態においては、反応器と分離器とを組み合わせて、同時に起こる反応生成物の形成およびこれら化合物の反応器からの分離を容易にすることができる。この工程原理は、一般に反応蒸留として知られている。触媒系が溶媒または反応生成物中で溶解性を示さず、反応器の生成物、溶媒および未反応オレフィンと共に反応器から出ないように反応器中に固定される場合、その工程原理は一般に触媒蒸留として知られている。
【0062】
本明細書に記載されている三量体化方法は、エチレンの三量体化と共重合が同時に起こりコポリマー中への三量体化生成物の組み込みをもたらす方法に使用することができる。このタイプの方法の1例が米国特許第5786431号に記載されている。
【0063】
本発明のさらなる態様によれば、上で記したようにオレフィンの三量体化のための触媒系が提供される。その触媒系は、上で記したヘテロ原子配位子および遷移金属化合物を含む。その触媒系は、また、上で記した活性化剤も含むことができる。
【0064】
ヘテロ原子配位子は、次の一般式(R)A−B−C(R)(式中、AおよびCは、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、ビスマス、硫黄、セレン、および窒素を含む群から選択され、Bは、AとCの間の結合基であり、Rは、独立してホモまたはヘテロヒドロカルビル基のいずれかから選択され、nおよびmは、それぞれの価数ならびにAおよび/またはCの酸化状態により決まる)によって表される。
【0065】
より具体的には、その配位子は、次の一般式(R)(R)A−B−C(R)(R)により表すことができ、式中、AおよびCは、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、窒素およびビスマスであり、Bは、AとCの間の結合基である。Aおよび/またはCは、遷移金属との配位のための潜在的供与部位である。
【0066】
Aおよび/またはCは、独立して、S、Se、NまたはOで酸化することができる。
【0067】
AおよびCは、独立して、リンまたはSもしくはSeもしくはNもしくはOで酸化されたリンであり得る。
【0068】
へテロ原子配位子は、少なくとも2つのへテロ原子を有する配位子の群から選択することができ、各へテロ原子は電子供与性置換基のないヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビル基を含有している。本出願人は、触媒系が、AまたはCに結合しているいずれかの芳香族基のオルト位の置換基による二座のへテロ原子配位錯体を含有する場合は二次的な三量体化反応の抑制によって触媒系の選択性の改良がもたらされるものと考えている。本出願人は、それ故、殆どの場合非電子供与性置換基の存在が、1−ヘキセンに対する全体的な反応の選択性に関して有利であるものと考える。
【0069】
Bは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビルおよび置換ヘテロヒドロカルビル基を含む有機結合基;単一原子結合を含む無機結合基;イオン結合ならびに、メチレン、ジメチルメチレン、1,2−エタン、1,2−フェニレン、1,2−プロパン、1,2−カテコール、1,2−ジメチルヒドラジン、−B(フェニル)−、−Si(CH−、−P(フェニル)−および−N(R)−(Rは、水素、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル、置換へテロ原子またはハロゲンである)を含む基のいずれか1つから選択することができる。好ましくは、Bは、−N(R)−であり、Rは、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル基である。Rは、水素であるかまたは、アルキル、アリール、アリールオキシ、ハロゲン、ニトロ、アルコキシカルボニル、カルボニルオキシ、アルコキシ、アミノカルボニル、カルボニルアミノ、ジアルキルアミノ、またはそれらの誘導体、およびこれら置換基のいずれかにより置換されているアリールからなる基から選択することができる。
【0070】
好ましいRの基は、メチル等のアルキル基を含む。
【0071】
Bは、(CHY(CH(Yは、−P(R)−、−N(R)−、−As(R)−、−Sb(R)−、または−S−であり、xおよびyは、独立して1〜15であり、Rは、水素またはハロゲンまたはニトロ基またはヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである)を除外することができる。
【0072】
Bは、単一原子スペーサーであるように選択することができる。単一原子の結合スペーサーは、AおよびCに直接結合している置換または非置換原子として定義される。
【0073】
、R、RおよびRは、それぞれ独立して、いずれの置換基も非電子供与性である、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビルまたは置換ヘテロヒドロカルビル基である。その置換基は、非極性基であり得る。好ましくは、R、R、RおよびRは、AまたはCに結合している原子と隣接する原子に非電子供与性置換基を含有する置換芳香族基または置換複素環式芳香族基であり得る。R、R、RおよびRは、AまたはCに結合している原子と隣接する原子に非極性置換基を含有する置換芳香族基または置換複素環式芳香族基であり得る。
【0074】
非極性とは、IUPACにより、永久電気双極子モーメントのない実体と定義されている。
【0075】
適当な非極性置換基は、メチル、エチル、プロピル、プロペニル、プロピニル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、2−メチルシクロヘキシル、シクロヘキシル、シクロペンタジエニル、フェニル、ビフェニル、ナフチル、トリル、キシリル、メシチル、エテニル、およびベンジル基等であり得る。
【0076】
好ましくは、R、R、RおよびRの2つ以上は、AまたはCに結合している原子と隣接する原子に少なくとも1つの非電子供与性置換基を含有する芳香族または複素環式芳香族であり得る。より好ましくは、R、R、RおよびRは、AまたはCに結合している原子と隣接する原子に少なくとも1つの非極性置換基を含有する芳香族または複素環式芳香族であり得る。
【0077】
、R、RおよびRの適当な例としては、非限定で、メチル、エチル、エチレニル、プロピル、プロペニル、プロピニル、ブチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2−エチルシクロヘキシル、2−イソプロピルシクロヘキシル、ベンジル、フェニル、トリル、キシリル、o−メチルフェニル、o−エチルフェニル、o−イソプロピルフェニル、o−t−ブチルフェニル、クミル、メシチル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、トリルオキシ、ジメチルアミノ、チオメチル、チオフェニル、トリメチルシリル、ジメチルヒドラジル基等が挙げられる。
【0078】
、R、RおよびRは、独立して、芳香族基または置換芳香族基であり得、その場合AまたはCに結合している原子と隣接する原子の置換基は、非電子供与性である。R、R、RおよびRは、独立して、芳香族基または置換芳香族基であり得、その場合AまたはCに結合している原子と隣接する原子の置換基は、極性基ではない。
【0079】
、R、RおよびRのすべてが芳香族または複素環式芳香族であり、R、R、RおよびRのそれぞれがAまたはCに結合している原子と隣接する原子の少なくとも1つで非電子供与性の基により置換されていればそれが最も好ましい。R、R、RおよびRのすべてが芳香族または複素環式芳香族であり、R、R、RおよびRのそれぞれがAまたはCに結合している原子と隣接する原子の少なくとも1つで非極性基により置換されているのもまた好ましい。
【0080】
、R、RおよびRのいずれもが、独立して、相互の1つまたは複数あるいは結合基Bと連結して、AおよびC、AおよびBまたはBおよびCと共に環状構造を形成することができる。
【0081】
配位子は、また、複数の(R)A−B−C(R)単位を含有することができる。上記配位子の非限定の例としては、デンドリマー配位子ならびに個々の単位が1つまたは複数のR基によるかまたは結合基Bのいずれかによって連結されている配位子が挙げられる。上記配位子のより具体的な非限定の例としては、1,2−ジ−(N(P(o−エチルフェニル))−ベンゼン、1,4−ジ−(N(P(o−エチルフェニル))−ベンゼン、N(CHCHN(P(o−エチルフェニル)および1,4−ジ−(P(o−エチルフェニル)N(メチル)P(o−エチルフェニル))−ベンゼンが挙げられる。
【0082】
その配位子は、当業者に知られている手順および既刊文献に開示されている手順により調製することができる。配位子の例としては、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)、(o−イソプロピルフェニル)PN(メチル)P(o−イソプロピルフェニル)、(o−メチルフェニル)PN(メチル)P(o−メチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(フェニル)、(o−エチルフェニル)PN(イソプロピル)P(o−エチルフェニル)、(o−イソプロピル)PN(イソプロピル)P(o−イソプロピル)、(o−メチル)PN(イソプロピル)P(o−メチル)、(o−t−ブチルフェニル)PN(メチル)P(o−t−ブチルフェニル)、(o−t−ブチルフェニル)PN(イソプロピル)P(o−t−ブチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(ペンチル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(フェニル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(p−メトキシフェニル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(ベンジル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(1−シクロヘキシルエチル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(2−メチルシクロヘキシル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(シクロヘキシル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(アリル)P(o−エチルフェニル)、(3−エチル−2−チオフェニル)PN(メチル)P(3−エチル−2−チオフェニル)、(2−エチル−3−チオフェニル)PN(メチル)P(2−エチル−3−チオフェニル)および(2−エチル−4−ピリジル)PN(メチル)P(2−エチル−4−ピリジル)がある。
【0083】
その触媒系は、遷移金属のグラム当たり1を超える触媒活性を有することができる。
【0084】
その遷移金属は、クロム、モリブデン、タングステン、タンタル、バナジウムおよびチタンから選択することができる。好ましくはその遷移金属はクロムである。
【0085】
ヘテロ原子配位子および活性化剤と混合することにより、本発明によるエチレンの三量体化の触媒作用を及ぼす遷移金属化合物は、単一の無機塩、もしくは有機塩、例えば、ハロゲン化物、アセチルアセトン酸塩、カルボン酸塩、酸化物、窒化物、硫化物等、ならびに、配位錯体もしくは有機金属錯体、例えば、クロムトリクロリドトリス−テトラヒドロフラン錯体、(ベンゼン)−トリカルボニルクロム、ヘキサカルボニルクロム、ヘキサカルボニルモリブデン等、であり得る。好ましい遷移金属化合物は、アセチルアセトン酸クロム(III)および2−エチルヘキサン酸クロム(III)である。
【0086】
活性化剤は、原則として、ヘテロ原子配位子および遷移金属化合物と組み合わせたときに活性触媒を生成する任意の化合物であり得る。活性化剤の混合物もまた使用することができる。適当な化合物としては、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機塩(臭化メチルリチウムおよび臭化メチルマグネシウム等)、無機酸および無機塩(テトラフルオロホウ酸エーテラート、テトラフルオロホウ酸銀およびヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム等)が挙げられる。
【0087】
活性化剤は、メチルアルミノキサン(MAO)およびエチルアルミノキサン(EAO)等のアルキルアルミノキサンならびに変性メチルアルミノキサン(MMAO)等の変性アルキルアルミノキサンから選択することができる。変性メチルアルミノキサン(Akzo Nobel社からの市販製品)は、メチル基に加えてイソブチル基またはn−オクチル基等の変性基を含有している。
【0088】
遷移金属化合物およびアルミノキサンは、約1:1から10000:1、好ましくは、約1:1から1000:1、より好ましくは1:1から300:1のAl/金属の比を提供する相互に対する割合であることができる。
【0089】
本触媒系は、また、アルミノキサン1モル当たり0.01から100モルの間の量のトリアルキルアルミニウム化合物を添加する工程を含むことができる。
【0090】
本発明のさらなる態様によれば、オレフィンの三量体化のための上で記した触媒系のための上で記した配位子が提供される。
【0091】
本発明は、また、オレフィンの三量体化の方法および触媒系での使用に適する配位子の同定および使用にも及ぶ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0092】
[実施例]
本発明を、ここで本発明の範囲を限定することを決して意図するものではない以下の実施例に関して説明する。実施例の個々の成分は、多分省略または置き換えることができ、必ずしも理想的ではないけれども本発明を多分なおも実施することができ、よって、これらの成分は、本発明の機能に必須であるとみなすべきではない。
【0093】
以下の実施例において、すべての手順は、予め乾燥した試薬を使用して不活性条件下で行った。化学物質は、他に記述がない限り、Sigma−AldrichまたはStrem Chemicalsから入手した。トリアルキルアルミニウムおよびアルミノキサン化合物ならびにそれらの溶液は、すべてCrompton Gmbh、Akzo NobelおよびAlbemarle Corporationから入手した。すべての実施例において、下の実施例に記載した触媒の調製で使用したMAOのモル量を計算するために、メチルアルミノキサン(MAO)のモル質量は、(CH−Al−O)単位に対応して、58.016g/モルであるとみなした。同様に、エチルアルミノキサン(EAO)のモル質量は、(CHCH−Al−O)成分に対応して、72.042g/モルであり、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムの70:30の混合物から調製された変性メチルアルミノキサンのそれは、(Me0.70isonBu0.30−Al−O)単位に対応して70.7g/モルとみなした。エチレンオリゴマー化生成物は、GC−MSおよびGC−FIDにより分析した。
【0094】
混合へテロ原子PNP配位子は、(a)Ewart等、J.Chem.Soc.1964、1543、(b)Dossett、S.J.等、Chem.Commun.、2001、8、699、(c)Balakrishna,M.S.等、J.Organomet.Chem.1990、390、2、203)に記載されているようにして、アミンとホスフィンクロリドRPClとを反応させることによって合成した。それぞれのホスフィンクロリドRPClは、文献(Casalnuovo,A.L.等、J.Am.Chem.Soc.1994、116、22、9869、Rajanbabu,T.V.等、J.Org.Chem.1997、62、17、6012)に記載されているようにして調製した。
【実施例1】
【0095】
(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)配位子の調製
実施例1a):o−エチルフェニル−マグネシウムブロミドの調製
マグネシウムの削ったもの(9.11g、0.375mol)を、THF(200ml)中の1−ブロモ−2−エチル−ベンゼン(10.37ml、0.075mol)で処理した。激しい反応が起こり、それを氷浴で冷却した。反応が終息したところでその反応混合物を還流下で2時間加熱しグリニャール試薬を生じさせた。
実施例1b):ビス(o−エチルフェニル)塩化リンの調製
前記グリニャール試薬を、PCl(2.62ml、0.03mol)のTHF(200ml)中の−78℃の溶液に攪拌しながら2時間かけて滴下しながら添加した。添加が完了した後、ドライアイス/アセトンの浴を取り外し、反応物を室温まで温めた。その反応物を一晩攪拌したままにし、溶媒を減圧下で除去した。その粗生成物は、ホスフィンの塩化物と臭素化物の混合物であることが分かった。この粗生成物は単離せずにすべて次の工程で使用した。
実施例1c):(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)の調製
前記ビス(o−エチルフェニル)塩化リン(粗反応混合物からの30mmol)を、メチルアミン(THF中の2.0M溶液、6.5ml、13.0mmol)のDCM(80ml)およびトリエチルアミン(15ml)中の0℃の溶液に加えた。その反応物を30分間攪拌し、その後氷浴を取り外した。全部で14時間攪拌した後、その溶液を濾過して形成されたトリエチルアンモニウム塩を取り出した。その生成物を結晶化した後85%の収率で単離した。31P{H}NMR:57.45ppm(s)。
【実施例2】
【0096】
CrCl−(テトラヒドロフラン)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、33.7mgの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(0.066mmol)の5mlのトルエン中の溶液を、12.4mgのCrCl−(テトラヒドロフラン)(0.033mmol)の15mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とMAO(メチルアルミノキサン、9.9mmol)の35℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を45℃に維持し、一方エチレン圧を15分間にわたって徐々に45バールgまで上昇させた。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、15分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のワックス状ポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、0.4358gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、68.91gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例3】
【0097】
CrCl−(テトラヒドロフラン)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、22.5mgの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(0.044mmol)の5mlのトルエン中の溶液を、8.3mgのCrCl−(テトラヒドロフラン)(0.022mmol)の15mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とMAO(メチルアルミノキサン、6.6mmol)の35℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を45℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、30分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、0.5033gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、102.60gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例4】
【0098】
アセチルアセトン酸クロム(III)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、33.7mgの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(0.066mmol)の5mlのトルエン中の溶液を、11.5mgのアセチルアセトン酸クロム(III)(0.033mmol)の15mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とMAO(メチルアルミノキサン、9.9mmol)の45℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を55℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、10分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、0.3665gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、41.72gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例5】
【0099】
アセチルアセトン酸クロム(III)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、33.7mgの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(0.066mmol)の5mlのトルエン中の溶液を、11.5mgのアセチルアセトン酸クロム(III)(0.033mmol)の15mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とMAO(メチルアルミノキサン、4.95mmol)の45℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を45℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、10分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、2.03gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、15.63gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例6】
【0100】
アセチルアセトン酸クロム(III)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、11.1mgの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(0.022mmol)の5mlのトルエン中の溶液を、4mgのアセチルアセトン酸クロム(III)(0.012mmol)の15mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とMAO(メチルアルミノキサン、3.3mmol)の45℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を45℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、10分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、1.1gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、32.16gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例7】
【0101】
(2−エチルヘキサン酸)クロム(III)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、33.7mgの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(0.066mmol)の5mlのトルエン中の溶液を、22.7mgの(2−エチルヘキサン酸)クロム(III)(鉱物油中70重量%、0.033mmol)の15mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とMAO(メチルアルミノキサン、9.9mmol)の35℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を55℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、10分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、0.8270gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、86.57gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例8】
【0102】
(2−エチルヘキサン酸)クロム(III)、(o−メチルフェニル)PN(メチル)P(o−メチルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、30.1mgの(o−メチルフェニル)PN(メチル)P(o−メチルフェニル)(0.066mmol)の5mlのトルエン中の溶液を、22.7mgの(2−エチルヘキサン酸)クロム(III)(鉱物油中70重量%、0.033mmol)の15mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とMAO(メチルアルミノキサン、9.9mmol)の55℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を60℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、10分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、0.5009gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、70.18gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例9】
【0103】
アセチルアセトン酸クロム(III)、(o−メチルフェニル)PN(メチル)P(o−メチルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、30.1mgの(o−メチルフェニル)PN(メチル)P(o−メチルフェニル)(0.066mmol)の5mlのトルエン中の溶液を、11.5mgのアセチルアセトン酸クロム(III)(0.033mmol)の15mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とMAO(メチルアルミノキサン、9.9mmol)の45℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を45℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、13分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、0.9579gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、70.89gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例10】
【0104】
アセチルアセトン酸クロム(III)、(o−イソプロピルフェニル)PN(メチル)P(o−イソプロピルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、37.5mgの(o−イソプロピルフェニル)PN(メチル)P(o−イソプロピルフェニル)(0.066mmol)の5mlのトルエン中の溶液を、11.5mgのアセチルアセトン酸クロム(III)(0.033mmol)の15mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とMAO(メチルアルミノキサン、9.9mmol)の45℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を45℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、13分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、1.3748gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、56.30gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例11】
【0105】
アセチルアセトン酸クロム(III)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)およびMMAO−3Aを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、6.9mgの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(0.0135mmol)の10mlのトルエン中の溶液を、3.5mgのCr(アセチルアセトン酸)(0.01mmol)の10mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(77ml)とMMAO−3A(変性メチルアルミノキサン、Akzo Nobel、3.0mmol)の35℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を45℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、30分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、2.931gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、48.29gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例12】
【0106】
アセチルアセトン酸クロム(III)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)およびEAO/TMAを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、33.7mgの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(0.066mmol)の10mlのトルエン中の溶液を、11.5mgのCr(アセチルアセトン酸)(0.033mmol)の10mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とEAO(エチルアルミノキサン、33mmol)およびTMA(トリメチルアルミニウム、0.80ml、8.3mmol)の40℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を45℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、46分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、1.0gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、45.27gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例13】
【0107】
Cr(オクタン酸)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、16.0mgの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(0.031mmol)の5mlのトルエン中の溶液を、14.5mgのCr(オクタン酸)(0.021mmol)の15mlのトルエン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてトルエン(80ml)とMAO(メチルアルミノキサン、4.0mmol)の35℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を45℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、30分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、0.331gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、18.56gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例14】
【0108】
溶媒としてのシクロヘキサン中で、アセチルアセトン酸クロム(III)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)およびMAOを使用するエチレンの三量体化反応
シュレンク管内で、33.9mgの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(0.066mmol)の5mlのシクロヘキサン中の溶液を、11.7mgのアセチルアセトン酸クロム(III)(0.033mmol)の15mlのシクロヘキサン中の溶液に加えた。その混合物を周囲温度で5分間攪拌し、続いてシクロヘキサン(71ml)とトルエン(9ml)中のMAO(メチルアルミノキサン、9.9mmol)の45℃の混合物を含有する300mlの圧力反応器(オートクレーブ)に移した。その圧力反応器にエチレンを充填し、その後反応器の温度を45℃に維持し、一方エチレン圧を45バールgに保った。ガス同伴攪拌機を使用し、1100RPMの混合速度により初めから終わりまで完全な混合を確保した。反応は、10分後にエチレンの反応器への供給を打ち切ることによって終了し、反応器を20℃より下まで冷却した。過剰のエチレンをオートクレーブから解放したのち、オートクレーブ中の反応混合物をエタノールで、続いて水中の10%の塩酸で急冷した。液相のGC−FIDによる分析のための内部標準としてノナンを加えた。有機層の少量の試料を無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、続いてGC−FIDにより分析した。有機層の残りを濾過して固体のポリマー生成物を単離した。これらの固体生成物を一晩100℃のオーブンで乾燥し、続いて重量を測定し、3.2gのポリエチレンの収量を得た。GC分析により、反応混合物は、37.53gのオリゴマーを含有することが示された。この実施例の生成物の分布は、表1にまとめられている。
【実施例15】
【0109】
Cr(アセチルアセトン酸)/(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)、シクロペンタジエニルジメチルシリルチタンジクロシドおよびMAOを使用するタンデム三量体化および共重合
この実施例においては、0.025gの(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)[0.06mmol]をシュレンク管中のCr(アセチルアセトン酸)[0.03mmol]の10mlのトルエン溶液中にアルゴン雰囲気下で添加し、完全に溶解するまで5分間攪拌を続けた。同時に、シクロペンタジエニルジメチルシリルチタンジクロシドの10mlのトルエン溶液(0.03mmol)を、10mlの無水トルエンと共に外部補助タンクに入れた。その外部補助タンクをHPLCポンプの入口につないだ。この後、300mlのParrオートクレーブに、60mlの無水トルエンならびに前に不活性条件下で攪拌しておいたCr(アセチルアセトン酸)/(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)配位子の溶液を仕込んだ。約600当量のメチルアルミノキサン(MAO)を不活性条件下でオートクレーブに加えた。そのオートクレーブをHPLCポンプの出口とつないで45℃に加熱し、密閉してエチレンで630PSIまで加圧し、一方攪拌を1200rpmで開始した。同時に重合触媒の溶液を、HPLCポンプを通してオートクレーブに加えた。その重合触媒は、0.33ml/分の割合で60分間にわたって加え、その後反応容器を冷まし、エタノールで急冷した。そのオートクレーブを開けて分析のため内容物を集めた。集めたポリマーをアセトン中で洗浄し、真空オーブン中60℃で12時間乾燥した。乾燥したポリマーの量は12.5gであった。ポリマーの分析により2つの融点、96℃(幅があって、始まりが114.92℃)と、120.48℃に1つとが明らかとなった。組み込まれた1−ヘキセンの全体量は、7モル%であった(13C NMR)。
【0110】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィンの三量体方法であって、オレフィン供給流を遷移金属化合物およびへテロ原子配位子を含む触媒系と接触させる工程を含み、前記三量体がオレフィンであり、前記へテロ原子配位子が次の一般式(R)A−B−C(R){式中、AおよびCは、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、ビスマス、硫黄、セレン、および窒素を含む群から選択され、Bは、AとCの間の結合基であり且つ(CHY(CH(Yは、−P(R)−、−N(R)−、−As(R)−、−Sb(R)−、または−S−であり、xおよびyは、独立して1〜15であり、Rは、水素またはハロゲンまたはニトロ基またはヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである)を除外するように選択され、そして各Rは、独立して非芳香族、芳香族または複素環式芳香族基のいずれかから選択され、いずれのRにおけるいずれの置換基も電子供与性置換基を含有しておらず、nおよびmは、AとCのそれぞれの価数および酸化状態により決まる}によって表される、オレフィンの三量体化方法。
【請求項2】
前記配位子が、次の一般式(R)(R)A−B−C(R)(R)により表され、式中、AおよびCが、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスおよび窒素を含む群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、R、RおよびRが、独立して、複素環式芳香族を包含する芳香族から選択され、そのR、R、RおよびRの2つ以上の基はAまたはCに結合している原子と隣接する原子において置換されており、いずれの置換基も非電子供与性である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
、R、RおよびRのすべてが、AおよびCに結合している原子と隣接する原子に非電子供与性置換基を有する請求項2に記載の方法。
【請求項5】
いずれの非電子供与性置換基も非極性である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
エチレンを、10バールgを超える圧力で前記触媒系と接触させる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
Bが、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビルおよび置換ヘテロヒドロカルビルを含有する有機結合基;単一原子結合を含む無機結合基;イオン結合ならびにメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エタン、1,2−フェニレン、1,2−プロパン、1,2−カテコール、1,2−ジメチルヒドラジン、−B(R)−、−Si(R−、−P(R)−および−N(R)−(Rは、水素、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル、置換へテロ原子もしくはハロゲンである)を含む基のいずれか1つの基から選択される請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
Bを単一原子スペーサーであるように選択する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
Bを−N(R)−(Rは、水素であるかまたはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、ニトロ、アルコキシカルボニル、カルボニルオキシ、アルコキシ、アミノカルボニル、カルボニルアミノ、ジアルキルアミノ、シリル基もしくはそれらの誘導体、およびこれら置換基のいずれかにより置換されているアリールからなる群から選択される)であるように選択する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
Aおよび/またはCを、独立して、S、Se、NまたはOで酸化する(Aおよび/またはCの価数は、上記酸化が可能である)請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
AおよびCが、独立して、リンまたはSもしくはSeもしくはNもしくはOで酸化されたリンである請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
、R、RおよびRを、独立して、メチル、エチル、エチレニル、プロピル、プロペニル、プロピニル、ブチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2−エチルシクロヘキシル、2−イソプロピルシクロヘキシル、ベンジル、フェニル、トリル、キシリル、o−メチルフェニル、o−エチルフェニル、o−イソプロピルフェニル、o−t−ブチルフェニル、クミル、メシチル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、トリルオキシ、ジメチルアミノ、チオメチル、チオフェニル、トリメチルシリルおよびジメチルヒドラジル基を含む群から選択する請求項1乃至9および11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
、R、RおよびRを、独立して、o−メチルフェニル、o−エチルフェニル、o−イソプロピルフェニル、o−t−ブチルフェニル、フェニル、トリル、ビフェニル、およびナフチル基を含む群から選択する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記配位子を、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)、(o−イソプロピルフェニル)PN(メチル)P(o−イソプロピルフェニル)、(o−メチルフェニル)PN(メチル)P(o−メチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(フェニル)、(o−エチルフェニル)PN(イソプロピル)P(o−エチルフェニル)、(o−イソプロピル)PN(イソプロピル)P(o−イソプロピル)、(o−メチル)PN(イソプロピル)P(o−メチル)、(o−t−ブチルフェニル)PN(メチル)P(o−t−ブチルフェニル)、(o−t−ブチルフェニル)PN(イソプロピル)P(o−t−ブチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(ペンチル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(フェニル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(p−メトキシフェニル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(ベンジル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(1−シクロヘキシルエチル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(2−メチルシクロヘキシル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(シクロヘキシル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(アリル)P(o−エチルフェニル)、(3−エチル−2−チオフェニル)PN(メチル)P(3−エチル−2−チオフェニル)、(2−エチル−3−チオフェニル)PN(メチル)P(2−エチル−3−チオフェニル)および(2−エチル−4−ピリジル)PN(メチル)P(2−エチル−4−ピリジル)を含む群のいずれか1つから選択する請求項1乃至9および11乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記方法が、へテロ原子配位子を遷移金属化合物および活性化剤と任意の順序で合わせる工程を含む請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
遷移金属化合物およびへテロ原子配位子からin situでへテロ原子配位錯体を発生させる工程を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、前記へテロ原子配位子および前記遷移金属化合物を用いて調製した予め形成された配位錯体を、活性化剤を含有する反応混合物に加える工程を含む請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記遷移金属を、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、バナジウムおよびジルコニウムを含む群のいずれか1つから選択する請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記遷移金属がクロムである請求項16乃至18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記遷移金属化合物を、無機塩または有機塩、配位錯体または有機金属錯体から選択する請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記遷移金属化合物を、クロムトリクロリドトリス−テトラヒドロフラン錯体、(ベンゼン)トリカルボニルクロム、オクタン酸クロム(III)、アセチルアセトン酸クロム(III)、ヘキサカルボニルクロムおよび2−エチルヘキサン酸クロム(III)を含む群のいずれか1つから選択する請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記遷移金属を、アセチルアセトン酸クロム(III)および2−エチルヘキサン酸クロム(III)から選択される錯体から選択する請求項16乃至21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記遷移金属化合物とへテロ原子配位子とを、約0.01:100から10000:1の金属/配位子の比を提供するように合わせた請求項16乃至22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記遷移金属化合物とへテロ原子配位子とを、約0.1:1から10:1の金属/配位子の比を提供するように合わせた請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記活性化剤を、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機塩(臭化メチルリチウムおよび臭化メチルマグネシウム等)、無機酸および無機塩(テトラフルオロホウ酸エーテラート、テトラフルオロホウ酸銀およびヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム等)からなる群のいずれか1つから選択する請求項15乃至24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記活性化剤をアルキルアルミノキサン類から選択する請求項15乃至25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
アルキルアルミノキサン、またはその混合物を、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン(EAO)および変性アルキルアルミノキサン類(MMAO)からなる群から選択する請求項26に記載の方法。
【請求項28】
約1:1から10000:1のAl/金属の比を提供する割合で前記遷移金属化合物に由来する前記遷移金属と前記アルミノキサンとを合わせる請求項26または請求項27に記載の方法。
【請求項29】
約1:1から1000:1のAl/金属の比を提供する割合で前記遷移金属化合物と前記アルミノキサンとを合わせる請求項28に記載の方法。
【請求項30】
約1:1から300:1のAl/金属の比を提供する割合で前記遷移金属化合物と前記アルミノキサンとを合わせる請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記触媒系に、アルキルアルミノキサン1モル当たり0.01と100モルの間の量のトリアルキルアルミニウム化合物を加える工程を含む請求項26乃至30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
オレフィンの存在下、−20℃と250℃の間の任意の温度で前記触媒系の成分を混合する工程を含む請求項1乃至31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記温度範囲が20℃と100℃の間である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記方法を、0〜120℃の範囲の温度で行う請求項1乃至33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法を、25〜100℃の温度範囲で行う請求項1乃至33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
オレフィンおよび三量体化生成物を同時に前記三量体化触媒および重合触媒と接触させ、その結果同時に共重合が起こって前記三量体化生成物がコポリマー中に組み込まれるようにする工程を含む請求項1乃至35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
三量体化触媒系であって、遷移金属化合物および次の一般式(R)A−B−C(R){式中、AおよびCは、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、酸素、ビスマス、硫黄、セレン、および窒素を含む群から選択され、Bは、AとCの間の結合基であり、(CHY(CH(Yは、−P(R)−、−N(R)−、−As(R)−、−Sb(R)−、または−S−であり、xおよびyは、独立して1〜15であり、Rは、水素またはハロゲンまたはニトロ基またはヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである)を除外するように選択し、各Rは、独立して非芳香族、芳香族または複素環式芳香族基のいずれかから選択され、いずれのRのいずれの置換基も電子供与性置換基を含有しておらず、nおよびmは、AとCのそれぞれの価数および酸化状態により決まる}によって表されるへテロ原子配位子を含む触媒系。
【請求項38】
前記配位子が、次の一般式(R)(R)A−B−C(R)(R)により表され、式中、AおよびCが、独立して、リン、ヒ素、アンチモン、ビスマスおよび窒素を含む群から選択される請求項37に記載の触媒系。
【請求項39】
、R、RおよびRが、独立して、複素環式芳香族を含む芳香族基から選択され、そのR、R、RおよびRの2つ以上がAまたはCに結合している原子と隣接する原子が置換されており、いずれの置換基も非電子供与性である請求項38に記載の触媒系。
【請求項40】
、R、RおよびRのすべてが、AまたはCに結合している原子と隣接する原子に非電子供与性置換基を有する請求項37に記載の触媒系。
【請求項41】
いずれの非電子供与性置換基も非極性である請求項37乃至40のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項42】
Bが、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロヒドロカルビルおよび置換ヘテロヒドロカルビルを含有する有機結合基;単一原子結合を含む無機結合基;イオン結合ならびにメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エタン、1,2−フェニレン、1,2−プロパン、1,2−カテコール、1,2−ジメチルヒドラジン、−B(R)−、−Si(R−、−P(R)−および−N(R)−(Rは、水素、ヒドロカルビルもしくは置換ヒドロカルビル、置換へテロ原子もしくはハロゲンである)を含む基のいずれか1つの基から選択される請求項37乃至41のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項43】
Bを単一原子スペーサーであるように選択する請求項37乃至42のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項44】
Bを−N(R)−(Rは、水素であるかまたはアルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、ニトロ、アルコキシカルボニル、カルボニルオキシ、アルコキシ、アミノカルボニル、カルボニルアミノ、ジアルキルアミノ、シリル基もしくはそれらの誘導体、およびこれら置換基のいずれかにより置換されているアリールからなる群から選択される)であるように選択する請求項37乃至43のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項45】
Aおよび/またはCを、独立して、S、Se、NまたはOで酸化する(Aおよび/またはCの価数は、上記酸化が可能である)請求項37乃至44のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項46】
AおよびCが、独立して、リンまたはSもしくはSeもしくはNもしくはOで酸化されたリンである請求項37乃至45のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項47】
、R、RおよびRを、独立して、メチル、エチル、エチレニル、プロピル、プロペニル、プロピニル、ブチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2−エチルシクロヘキシル、2−イソプロピルシクロヘキシル、ベンジル、フェニル、トリル、キシリル、o−メチルフェニル、o−エチルフェニル、o−イソプロピルフェニル、クミル、メシチル、ビフェニル、ナフチル、アントラセニル、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、トリルオキシ、ジメチルアミノ、チオメチル、チオフェニル、トリメチルシリルおよびジメチルヒドラジル基を含む群から選択する請求項37乃至44および46のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項48】
、R、RおよびRを、独立して、o−メチルフェニル、o−エチルフェニル、o−イソプロピルフェニル、フェニル、トリル、ビフェニル、およびナフチル基を含む群から選択する請求項47に記載の触媒系。
【請求項49】
配位子を、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)、(o−イソプロピルフェニル)PN(メチル)P(o−イソプロピルフェニル)、(o−メチルフェニル)PN(メチル)P(o−メチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(メチル)P(o−エチルフェニル)(フェニル)、(o−エチルフェニル)PN(イソプロピル)P(o−エチルフェニル)、(o−イソプロピル)PN(イソプロピル)P(o−イソプロピル)、(o−メチル)PN(イソプロピル)P(o−メチル)、(o−t−ブチルフェニル)PN(メチル)P(o−t−ブチルフェニル)、(o−t−ブチルフェニル)PN(イソプロピル)P(o−t−ブチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(ペンチル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(フェニル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(p−メトキシフェニル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(ベンジル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(1−シクロヘキシルエチル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(2−メチルシクロヘキシル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(シクロヘキシル)P(o−エチルフェニル)、(o−エチルフェニル)PN(アリル)P(o−エチルフェニル)、(3−エチル−2−チオフェニル)PN(メチル)P(3−エチル−2−チオフェニル)、(2−エチル−3−チオフェニル)PN(メチル)P(2−エチル−3−チオフェニル)および(2−エチル−4−ピリジル)PN(メチル)P(2−エチル−4−ピリジル)を含む群のいずれか1つから選択する請求項37乃至44および46乃至48のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項50】
前記遷移金属を、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、タンタル、バナジウムおよびジルコニウムを含む群のいずれか1つから選択する請求項37乃至49のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項51】
前記遷移金属がクロムである請求項37乃至50のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項52】
前記遷移金属が、無機塩、有機塩、配位錯体および有機金属錯体からなる群から選択される遷移金属化合物から誘導されるものである請求項50または請求項51に記載の触媒系。
【請求項53】
前記遷移金属化合物が、クロムトリクロリドトリス−テトラヒドロフラン錯体、(ベンゼン)トリカルボニルクロム、オクタン酸クロム(III)、アセチルアセトン酸クロム(III)、ヘキサカルボニルクロムおよび2−エチルヘキサン酸クロム(III)を含む群から選択されるものである請求項52に記載の触媒系。
【請求項54】
前記遷移金属化合物が、アセチルアセトン酸クロム(III)および2−エチルヘキサン酸クロム(III)から選択される錯体から選択されるものである請求項52または請求項53に記載の触媒系。
【請求項55】
前記遷移金属化合物とへテロ原子配位子とが、約0.01:100から10000:1の金属/配位子の比を有する請求項52乃至54のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項56】
前記遷移金属化合物とへテロ原子配位子とが、約0.1:1から10:1の金属/配位子の比を提供するように合わされている請求項55に記載の触媒系。
【請求項57】
活性化剤を含む請求項37乃至56のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項58】
前記活性化剤を、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機塩(臭化メチルリチウムおよび臭化メチルマグネシウム等)、無機酸および無機塩(テトラフルオロホウ酸エーテラート、テトラフルオロホウ酸銀およびヘキサフルオロアンチモン酸ナトリウム等)からなる群のいずれか1つから選択する請求項57に記載の触媒系。
【請求項59】
前記活性化剤をアルキルアルミノキサン類から選択する請求項58に記載の触媒系。
【請求項60】
前記アルキルアルミノキサン、またはその混合物を、メチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン(EAO)および変性アルキルアルミノキサン類(MMAO)からなる群から選択する請求項59に記載の触媒系。
【請求項61】
前記遷移金属化合物と前記アルミノキサンとが、約1:1から10000:1のAl/金属の比を提供するような互いに対する割合である請求項59または請求項60に記載の触媒系。
【請求項62】
前記遷移金属化合物と前記アルミノキサンとが、約1:1から1000:1のAl/金属の比を提供する割合で合わされている請求項61に記載の触媒系。
【請求項63】
前記遷移金属化合物と前記アルミノキサンとが、約1:1から300:1のAl/金属の比を提供する割合で合わされている請求項62に記載の触媒系。
【請求項64】
トリアルキルアルミニウム化合物を、アルミノキサン1モル当たり0.01と100モルの間の量で含む請求項59乃至63のいずれか1項に記載の触媒系。
【請求項65】
請求項37乃至64のいずれか1項に記載の三量体化触媒系のオレフィンの四量体化のための使用。
【請求項66】
請求項37乃至64のいずれか1項に記載の三量体化触媒系のエチレンの四量体化のための使用。
【請求項67】
請求項1乃至36のいずれか1項に記載の三量体化方法のための配位子の使用。
【請求項68】
請求項37乃至64のいずれか1項に記載の三量体化触媒系のための配位子の使用。
【請求項69】
実質的に本明細書に記載されているオレフィンの三量体化方法。
【請求項70】
実質的に本明細書に記載されているオレフィンの三量体化触媒系。

【公表番号】特表2006−516265(P2006−516265A)
【公表日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511967(P2005−511967)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/ZA2003/000185
【国際公開番号】WO2004/056477
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505232829)サソル テクノロジー (ピーティーワイ) リミテッド (4)
【Fターム(参考)】