説明

オレフィンオリゴマーの製造方法

【課題】 長期間連続的に、収率よく、かつ、効率的にオレフィンオリゴマーを製造する方法を提供する。
【解決手段】 細孔径9〜500Åの細孔容積に対し細孔径20〜500Åのメソポーラス部の細孔容積の存在割合が0〜20%であるスルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを触媒として、前記触媒にオレフィンを接触させることを特徴とするオレフィンオリゴマーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオレフィンオリゴマーを製造する方法に関する。詳しくは、オレフィンを特定の固体酸触媒の存在下に反応してオレフィンオリゴマーを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブテンオリゴマーの重合は従来より工業的には塩化アルミニウム、三弗化ホウ素等の均一酸触媒により行われている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0003】
しかしながら均一酸触媒を用いた場合、生成物と触媒との分離工程、廃酸処理や装置の腐食等の工業的な問題を有している。また多量の廃棄物の処理が必要となり環境に対する負荷も大きい。そのため従来より、固体酸触媒の開発が行われてきた。従来の固体酸触媒としては、V、Cr、Mo、W元素を含有する金属酸化物触媒(特許文献3)、アルミナを担体として種々の修飾を行ったアルミナ系触媒(例えば特許文献4、特許文献5)、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア等のアルミナとの複合酸化物触媒(例えば特許文献6、特許文献7)、酸化ジルコニウムと酸化モリブデンの複合酸化物触媒(例えば特許文献8、特許文献9)、活性白土(特許文献10)、ヘテロポリ酸系触媒(例えば特許文献11、特許文献12)、ガリウム化合物担持触媒(特許文献13)等が挙げられる。
【0004】
前記した特許文献はいずれも触媒活性や生成物の選択性に関するものがほとんどであるが、固体酸触媒を用いた場合における工業的に最も重要な課題は触媒寿命である。反応時間の経過と共に触媒活性が急速に低下するような触媒寿命の短い触媒を使用した場合、満足な生産性の維持が困難となり、触媒の入れ替えが必要となる。そのような場合、触媒の使用期間が短くなるため、結果的には触媒コストが増大して経済的な損失が大きくなる。また入れ替えのためには一定期間生産を停止しなければならないため、触媒寿命の短い触媒を用いることは工業的に不利である。従来の固体酸触媒に関する特許において、この重要な触媒寿命に関しての記述はほとんどない。
【0005】
触媒活性を低下させる原因として、本反応のようなカルボニウムイオンが生成する反応ではこのカルボニウムイオンを開始剤として環化、脱水素反応が進行し、多環芳香族を経由して、いわゆるコークが生成し、このコークが触媒表面を覆うために触媒活性が低下する(例えば非特許文献1)。このコークの生成速度は反応温度に強く影響を受け、高温ほどコークが生成し易い(例えば非特許文献2)。前記の特許の中で触媒寿命に言及した例はほとんどなく、特許文献4において、表面を塩素化したアルミナ触媒を用いた場合における流通試験や、特許文献10において、ヘテロポリ酸をシリカに40重量%担持した触媒を3回繰り返し使用した結果、ほとんど反応成績が変化しないとの記述がある程度である。特許文献4の場合、反応時間は約1800時間と比較的長時間の寿命評価を行っているが、反応温度を0℃から室温付近で行っており、コーク析出の影響を受け難い低い温度の結果であり、参考にならない。また、特許文献10の場合、反応温度は120℃とコークが生成し易い比較的高い温度で反応しているが、反応時間が1時間であり、また3回しか再使用しておらず、触媒寿命を評価するには不足な結果である。
【0006】
【特許文献1】米国特許2677002号公報
【特許文献2】米国特許3121125号公報
【特許文献3】特表2001−510500号公報
【特許文献4】特開昭57−82325号公報
【特許文献5】特開昭56−139428号公報
【特許文献6】特開昭56−139430号公報
【特許文献7】特開昭57−149233号公報
【特許文献8】特開昭56−139429号公報
【特許文献9】特開2005−15384号公報
【特許文献10】特開昭57−149232号公報
【特許文献11】特開昭57−102825号公報
【特許文献12】特開昭57−14538号公報
【特許文献13】特開昭52−155692号公報
【非特許文献1】J.Catal.,138,343,1992
【非特許文献2】Stud.Surf.Sci.Catal.,68,1991
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記固体酸触媒を用いる方法は収率よく効率的にオレフィンオリゴマーを製造することができるが、反応に使用すると連続的に活性が低下してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決して、固体酸触媒を繰り返し再使用しても活性の低下および選択率の低下が殆ど見られない方法について鋭意探索し本発明を完成した。即ち本発明は、固体酸触媒の存在下にオレフィンからオレフィンオリゴマーを製造する方法において固体酸触媒として細孔径9〜500Åの細孔容積に対し細孔径20〜500Åのメソポーラス部の細孔容積の存在割合が0〜20%である有機スルホン酸基を有するポリシロキサンを用いることを特徴とするオレフィンオリゴマーの製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の方法を実施することで長期間連続的にオレフィンオリゴマーを製造することができ、固体酸触媒を繰返し利用しても活性および選択性の低下が見られず工業的に極めて価値がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に用いる特定の固体酸触媒(有機スルホン酸基を有するポリシロキサン)について製造法を詳細に示すことで本発明をさらに説明する。
【0011】
本発明で用いるスルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン触媒は特開2004−190021号明細書に記述されている。スルホン酸基を有する炭化水素基は、少なくとも1個のスルホン酸基を有する炭化水素基であれば、いかなる炭化水素基であっても本発明に使用することが可能である。スルホン酸基を有する炭化水素としては、好ましくはスルホン酸基含有炭化水素基を少なくとも1個有する、炭素数1以上20以下の炭化水素基があげられる。より好ましくは炭素数6以上20以下、更に好ましくは炭素数6以上15以下の、少なくとも1個のスルホン酸基を有する置換ないしは無置換の芳香族炭化水素基(芳香族基に直接スルホン酸基が置換された基でも、芳香族基に置換された炭化水素基にスルホン酸基が置換された基でもよい)、また好ましくは少なくとも1個のスルホン酸基を有する炭素数1以上15以下、更に好ましくは炭素数1以上10以下の置換ないしは無置換の脂肪族および脂環式炭化水素基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の炭化水素基があげられる。
【0012】
このようなスルホン酸基含有炭化水素基を有する炭化水素基の例としては、少なくとも1個のスルホン酸基により核置換されたフェニル基、トリル基、ナフチル基、メチルナフチル基等の芳香族基、ベンジル基、ナフチルメチル基等の芳香族置換アルキル基等、少なくとも1個のスルホン酸基で置換された、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、直鎖または分枝のペンチル基、直鎖または分枝のヘキシル基、直鎖または分枝のヘプチル基、直鎖または分枝のオクチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等があげられる。さらにこれらの芳香族炭化水素基、または飽和・不飽和の脂肪族炭化水素(脂環式化合物を含む)基は、スルホン酸基の他にハロゲン原子、アルコキシ基、ニトロ基、ヒドロキシ基等の置換基を有する炭化水素基であってもよい。
【0013】
このような有機高分子シロキサンの調製法としては以下の方法で調製が可能である。実施しやすい調製方法として、例えば、(1)スルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランとテトラアルコキシシランとを任意の割合で混合し、加水分解、共縮合する調製法、(2)水溶性のスルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランの加水分解物とテトラアルコキシシランとを任意の割合で混合し加水分解させて共縮合する調製法、といったいわゆるアルコキシシランのゾル−ゲル法による調製法や、(3)スルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランを有機高分子シロキサンに存在するシラノール基にシリル化しスルホン酸基を固定する、いわゆるシリル化による調製法が知られている。
【0014】
これらの有機高分子シロキサンは多孔性物質であり、多孔性物質の細孔分布測定は窒素吸着法により測定可能である。本発明では測定装置としてMicromeritics社製のASAP2000測定装置を用い、細孔分布測定結果より表面積、及び細孔径が9〜500Åである容積と20〜500Åである容積を算出した。
【0015】
9〜500Åの細孔の比表面積は500〜1500m2/gと非常に高く、本発明で重要なのは、この多孔性物質である有機高分子シロキサンの細孔径9〜500Åの細孔容積に対し、細孔径20〜500Å(メソポーラス部)の細孔容積の存在割合が0〜20%の有機高分子シロキサン触媒がオレフィンのオリゴメリゼーション反応において触媒寿命の長い触媒であることを見出したことである。
【0016】
細孔径20〜500Å(メソポーラス部)の細孔容積の存在割合を減少させる方法として以下の方法で調製することが可能であるが、本発明で用いる有機高分子シロキサンはこれらの調製法のみに限定されることはない。実施しやすい調製法としては、スルホン酸基含有炭化水素基を調製する際のスルホン化の収率を向上させ、さらに「テトラエトキシシランのモル量」と「スルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランのモル量」との比を調整することにより調製が可能である。具体的に説明すると、フェニルスルホン酸を有するアルコキシシランの合成において、原料であるフェニルトリクロロシランに対し、スルホン化剤の無水硫酸を2.5当量と過剰に加え、反応温度を上げスルホン化する。さらにアルコールによりアルコキシ化したものをゾル−ゲル調製の原料として用いる。アルコールとしては特に限定されることがないが、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基を有する直鎖飽和炭素を有するアルコールがあげられる。有機高分子シロキサンのゾル−ゲル調製法としては、上記したスルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランとテトラエトキシシランを混合し、エタノール等を用い均一な混合溶媒とする。この際、「スルホン酸基含有炭化水素基を有するアルコキシシランのモル量」:「テトラエトキシシランのモル量」が1:3〜7であることが重要である。これに加水分解基量に対して1当量の水を加えた後、加熱攪拌し、酸性条件下で濃縮する。得られた高粘度の液体は一般にシリカゾルと呼ばれるものである。上記したシリカゾルに、加水分解基量に対して過剰の水とアンモニア水等を加え、塩基性条件下でゲル化させる。また、この時必要であるならば、加熱し長時間熟成させることもできる。得られたゲルは、溶媒を留去することにより単離できる。このゲルはスルホン酸がアンモニウム塩型であるため、固体酸触媒として用いるために酸処理により酸型に戻す必要がある。
【0017】
本発明の製造法において、原料のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン類(イソブテン、1−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン)、ペンテン類、ヘキセン類、等を単独でまたは混合して使用することができる。またナフサ分解で生成したC4留分(BB留分)を用いることができ、さらにBB留分からブタジエンを抽出したスペント−BB留分を用いることもできる。反応温度は触媒の使用量等によって変化するが、通常−20〜150℃が適当であり、特に好ましくは−15〜140℃である。反応温度が−20℃以下ではブテン重合体の収率が低下する。反応温度が150℃以上では反応槽内の圧力が3Mpa以上となり、装置が複雑な高圧装置となる。反応圧力は通常、1〜10Mpa、好ましくは液相反応を可能とする圧力であり、1〜5Mpaの範囲で実施する。反応時間は触媒の使用量、反応温度等によって変化するが、通常5〜180分間が適当である。反応には溶媒を使用しても無溶媒で実施してもよい。溶媒を用いる場合、通常はn−ヘキサン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素を使用する。反応方式はバッチ式あるいは連続式の公知のいずれの方式によっても実施することができる。本発明に用いる触媒は反応終了後、ろ過により回収し、そのまま再使用することができる。本発明の製造法はAlCl3法のように反応装置の腐食の問題がなく、さらに反応生成物をアルカリ洗浄、水洗する必要がないので、後の精製が非常に容易にできる。
【実施例】
【0018】
以下、本発明を実施例、および比較例により具体的に説明する。しかしながら、この実施例は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、細孔径9〜500Åの細孔容積に対し、細孔径20〜500Å(メソポーラス部)の細孔容積の存在割合をメソ孔存在割合(20〜500Åの細孔容積の値を、9〜500Åの細孔容積の値で除した値)として表わした。
【0019】
また触媒寿命評価はバッチ試験により、触媒を繰り返し使用することで評価した。この時の触媒寿命の尺度として、初期から繰り返し反応試験の最終回までのイソブテン転化率の低下度合いを劣化率{劣化率(%)=(初期転化率−最終転化率)÷初期転化率×100}として算出し、触媒寿命の尺度として用いた。
【0020】
[実施例1]
特開2004−190021号明細書の実施例に従い、有機高分子シロキサン触媒を調整した。
【0021】
(1)スルホン酸基含有アルコキシシランの合成
滴下ロートを取り付けた2口の300mlの丸底フラスコに塩化メチレンを100ml入れ、これにフェニルトリクロロシラン39.1g(0.19mol)を加え、氷冷した。これに無水硫酸37.3g(0.47mol)の塩化メチレン溶液20mlを、1時間かけて滴下した。滴下後外温を60℃にし、還流下2時間反応を行いスルホン化反応を行った。次に、外温60℃でエタノール46.0gを塩化水素を除きながら1時間かけて滴下し、ついで外温を100℃にし、塩化メチレンを留去した。さらに、エタノール46.0gを滴下し、外温100℃で2時間還流してエトキシ化反応を行った。得られた不純物を含むスルホン酸基含有エトキシシランのエタノール溶液162.7gを、スルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンのゾル−ゲル調製におけるスルホン酸成分の原料として用いた。この際、スルホン酸基含有アルコキシシランとテトラエトキシシランを任意の割合で混合し、ゾル−ゲル調製によりスルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを調製し、その固体酸量を測定する。その求めた酸量から得られる、仕込時のスルホン酸基含有アルコキシシランの濃度から、スルホン化収率(仕込みフェニルトリクロロシランに対する、生成したスルホン酸基含有エトキシシランの収率)を求めた。スルホン酸基含有アルコキシシランでのスルホン化収率は70%であった。
【0022】
(2)触媒Aの調製
攪拌棒を取り付けた2口の1000mlの丸底フラスコに上記したスルホン酸基含有アルコキシシランを138.0g(0.11mol)、テトラエトキシシランを119.0g(0.57mol)、エタノール100mlを入れて混合した。これに水24.0gを15分かけて滴下し、60℃で3時間攪拌した。放冷後、水120.0gを1分間かけて滴下し、さらに28%アンモニア水35mlを滴下すると反応液は急速に固形化した。これを室温で4時間放置した後、60℃で3日間熟成させた。熟成後10mmHgの減圧下100℃で溶媒留去し、乾燥固体を得た。ついで2Nの塩酸300mlを加え、室温で30分間攪拌する操作を2回繰り返し、スルホン酸基をH型にもどした。酸処理後、イオン交換水500mlで洗浄し、これを10mmHgの減圧下100℃で10時間乾燥させた。以上の操作により、スルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン55.1gを得、触媒Aとした。この固体酸量を測定したところ、1.42meq/gであった。また、窒素ガス吸着法により測定した比表面積は464m/g、細孔径9〜500Åの細孔容積は0.21cc/g、細孔径20〜500Åでは細孔の存在は認められず、メソ孔存在割合は0%であった。
【0023】
(3)イソブテンのオリゴメリゼーション反応
内容積100ccのステンレス製反応器に上記触媒A500mg、溶媒としてn−ヘキサン14.00g、原料オレフィンとしてイソブテン(アルドリッチ社製)5.10gを仕込み、100rpmの攪拌下、100℃で1時間反応させた。反応終了後、氷冷し、放圧後、反応液を回収して触媒と分離した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。回収した触媒は再度反応器に装入し、同様な試験を繰り返し行った。結果は表1に示したように繰り返し触媒を使用する過程における触媒活性の低下は大きく抑制されていた。
【0024】
[比較例1]
(1)触媒Bの調製
J.Mol.Cata1.,43,41(1987)記載の方法にしたがって、スルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを調製した。攪拌棒を取り付けた2口の1000mlの丸底フラスコに、フェニルトリエトキシシラン72.0g(0.30mol)、テトラエトキシシラン145.6g(0.70mol)、エタノール125mlを入れて混合した。これに0.01Nの塩酸35mlを滴下したのち、混合溶液の体積が120mlとなるまで加熱攪拌した。放冷後、エタノール60mlとシクロヘキサン90mlを加え混合した。ついで、水270gを滴下し、さらにアンモニア水50mlを滴下した。これを室温で4時間攪拌した後、濾別した。ついで水洗し、これを減圧下120℃で乾燥させ、フェニル基を有する有機高分子シロキサン80.0gを得た。500mlの2口の丸底フラスコに、上記で得たフェニル基を有する有機高分子シロキサン10.0g、モル比でクロロスルホン酸:クロロホルム=1:4の混合溶液200mlを混合し、還流下で3時間スルホン化を行いスルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサン8.5gを得、触媒Bとした。この固体酸量を測定したところ、1.10meq/gであった。また、窒素ガス吸着法により測定した比表面積は772m/gであり、細孔径9〜500Åの細孔容積は0.21cc/g、細孔径20〜500Åの細孔容積は0.06cc/gでありメソ孔存在割合は30%であった。
【0025】
(2)イソブテンのオリゴメリゼーション
内容積100ccのステンレス製反応器に上記触媒B500mg、溶媒としてn−ヘキサン14.00g、原料オレフィンとしてイソブテン(アルドリッチ社製)5.10gを仕込み、100rpmの攪拌下、100℃で1時間反応させた。反応終了後、氷冷し、放圧後、反応液を回収して触媒と分離した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。回収した触媒は再度反応器に装入し、同様な試験を繰り返し行った。結果は表1に示した。
【0026】
[比較例2]
(1)イソブテンのオリゴメリゼーション
内容積100ccのステンレス製反応器にY型ゼオライト(東ソー製:HSZ−331HSA)500mg、溶媒としてn−ヘキサン14.00g、原料オレフィンとしてイソブテン(アルドリッチ社製)5.10gを仕込み、100rpmの攪拌下、100℃で1時間反応させた。反応終了後、氷冷し、放圧後、反応液を回収して触媒と分離した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。回収した触媒は再度反応器に装入し、同様な試験を繰り返し行った。結果は表1に示した。
【0027】
【表1】

【0028】
[実施例2]
(1)イソブテンのオリゴメリゼーション反応
内容積100ccのステンレス製反応器に実施例1で用いた触媒A150mg、溶媒としてn−ヘキサン14.00g、原料オレフィンとしてイソブテン(アルドリッチ社製)12.90gを仕込み、100rpmの攪拌下、150℃で3時間反応させた。反応終了後、氷冷し、放圧後、反応液を回収して触媒と分離した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。回収した触媒は再度反応器に装入し、同様な試験を繰り返し行った。結果は表2に示したように繰り返し触媒を使用した結果、繰り返し試験時における触媒活性の低下の割合は小さかった。
【0029】
[比較例3]
(1)触媒Cの調製
特開昭57−102825号明細書実施例3に従って、ヘテロポリ酸を約40重量%担持したシリカ担持触媒、触媒Cを調製した。1000mlのビーカーにタングストリン酸40%水溶液75g、シリカゲル(Aerosil 300)50g、水50gを加え油浴上で100℃で混合しつつ、水を蒸発させた後、乾燥した固体粉末を取り出し、350℃で4時間焼成した。
【0030】
(2)イソブテンのオリゴメリゼーション
内容積100ccのステンレス製反応器に上記触媒C150mg、溶媒としてn−ヘキサン14.00g、原料オレフィンとしてイソブテン(アルドリッチ社製)12.90gを仕込み、100rpmの攪拌下、150℃で1時間反応させた。反応終了後、氷冷し、放圧後、反応液を回収して触媒と分離した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。回収した触媒は再度反応器に装入し、同様な試験を繰り返し行った。結果は表2に示した。
【0031】
【表2】

【0032】
[実施例3]
(1)イソブテンのオリゴメリゼーション反応
内容積100ccのステンレス製反応器に実施例1で用いた触媒A250mg、溶媒としてn−ヘキサン14.00g、原料オレフィンとしてイソブテン(アルドリッチ社製)12.90gを仕込み、100rpmの攪拌下、100℃で3時間反応させた。反応終了後、氷冷し、放圧後、反応液を回収して触媒と分離した後、ガスクロマトグラフィーで分析した。回収した触媒は再度反応器に装入し、同様な試験を繰り返し行った。結果は表3に示したように繰り返し触媒を使用したが触媒活性の低下はほとんどなかった。
【0033】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の方法によれば、長期間連続的にオレフィンオリゴマーを製造することができ、固体酸触媒を繰返し利用しても活性および選択性の低下がないので、工業的に極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細孔径9〜500Åの細孔容積に対し細孔径20〜500Åのメソポーラス部の細孔容積の存在割合が0〜20%であるスルホン酸基含有炭化水素基を有する有機高分子シロキサンを触媒として、前記触媒にオレフィンを接触させることを特徴とするオレフィンオリゴマーの製造方法。
【請求項2】
オレフィンがイソブテン、1−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテンのうちの少なくとも1種を含むブテン類である請求項1記載の製造方法。

【公開番号】特開2006−241423(P2006−241423A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63090(P2005−63090)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】