説明

オレフィンオリゴマー化用触媒およびα−オレフィンの製造方法

【課題】高温条件においても、反応器の壁や攪拌機への副生ポリマーの付着を抑制しながら、エチレンのオリゴマー化反応により1−ヘキセンなどのα−オレフィンを製造することが可能なオレフィンオリゴマー化用触媒と、この触媒を用いるα−オレフィンの製造方法を提供する。
【解決手段】担体、周期律表第13族の元素を含む活性化助触媒成分、および特定の遷移金属錯体を接触して得られるオレフィンオリゴマー化用触媒。担体に、特定の遷移金属錯体、および周期律表第13族の元素を含む活性化助触媒成分が担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィンオリゴマー化用触媒およびα−オレフィンの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
α−オレフィンは金属触媒によるエチレンのオリゴマー化により製造される工業的に重要な原料モノマーである。しかしながら、エチレンのオリゴマー化は通常Schulz−Flory分布に従いα−オレフィンの混合物を与えるため、一種類のα−オレフィンを選択的に製造しうる触媒系の開発は産業的に非常に重要である。
【0003】
例えば、特許文献1には、式(Cp−B(R)Ar)TiRで示されるハーフメタロセンチタン錯体が、活性化助触媒成分で活性化することで、選択的にエチレンを三量化する触媒として働くことが報告されている。
これらの選択的エチレン三量化用触媒の中で、[1−(1−メチル−1−(3,5−ジメチルフェニル)エチル)−3−トリメチルシリルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライドなどの炭素原子でシクロペンタジエンと置換アリール基が結合されたハーフメタロセンチタン錯体(炭素架橋Cp−Ar錯体)が、活性化助触媒成分としてMAO(メチルアルミノキサン)を使用した場合、30℃の条件で効率的なエチレン三量化用触媒として働くことが報告されている(例えば非特許文献1参照)。一方で、ケイ素原子でシクロペンタジエンと置換アリール基が結合されたハーフメタロセンチタン錯体(ケイ素架橋Cp−Ar錯体)の一つである[ジメチルフェニルシリルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライドは、同じ条件下においてエチレン三量化反応の触媒活性は低く、1−ヘキセン選択性も低いことが報告されている(非特許文献1参照)。
【0004】
また、炭素架橋Cp−Ar錯体およびMAOを用いたエチレン三量化用触媒系は、80℃の高温条件では1−ヘキセン生成の触媒活性、及び、1−ヘキセンの生成選択性が30℃の場合と比べて、大きく低下することが報告されている(非特許文献2参照)。
【0005】
ところで、一般にエチレンのオリゴマー化反応では、ポリエチレンが副生し、このため工業的製造においては、反応器の壁や攪拌機などが汚れ、長期運転できない問題が生じる。特許文献1、及び非特許文献1には、炭素原子でシクロペンタジエンと置換アリール基が結合されたハーフメタロセンチタン錯体を担体に担持した触媒が報告されているが、該触媒を用いた反応は30℃の条件で行われており、工業的な生産は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2004−524959
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Organometallics 2002,21,5122−5135.
【非特許文献2】Chinese Journal of Chemistry 2006,24,1397−1401.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
かかる状況のもと、本発明が解決しようとする課題は、高温条件においても、反応器の壁や攪拌機への副生ポリマーの付着を抑制しながら、エチレンのオリゴマー化反応により1−ヘキセンなどのα−オレフィンを製造することが可能なオレフィンオリゴマー化用触媒と、この触媒を用いるα−オレフィンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の第1は、担体、周期律表第13族の元素を含む活性化助触媒成分、および下記一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される遷移金属錯体を接触して得られるオレフィンオリゴマー化用触媒にかかるものである。






[式中、Mは元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R24、R25、R26、R27、X、X及びXは、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R22(3つのR22はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR22にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R23(2つのR23はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR23にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、
10及びR11はそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R22(3つのR22はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR22にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R23(2つのR23はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR23にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、
、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R12、R13、R14、R15及びR16のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R17、R18、R19、R20及びR21のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R24、R、R25及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R12、R26、R14、R27及びR16のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R10及びR11は結合してそれらが結合しているケイ素原子と一緒になって環を形成していてもよい。]
【0010】
また、本発明の第2は、担体に、下記一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される遷移金属錯体および周期律表第13族の元素を含む活性化助触媒成分が担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒にかかるものである。







[式中、Mは元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R
12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R24、R25、R26、R27、X、X及びXは、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R22(3つのR22はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR22にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R23(2つのR23はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR23にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、
10及びR11はそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R22(3つのR22はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR22にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R23(2つのR23はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR23にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、
、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R12、R13、R14、R15及びR16のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R17、R18、R19、R20及びR21のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R24、R、R25及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R12、R26、R14、R27及びR16のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R10及びR11は結合してそれらが結合しているケイ素原子と一緒になって環を形成していてもよい。]
【0011】
また、本発明の第3は、前記オレフィンオリゴマー化用触媒の存在下、オレフィンをオリゴマー化するα−オレフィンの製造方法にかかるものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高温条件においても、反応器の壁や攪拌機への副生ポリマーの付着を抑制しながら、エチレンのオリゴマー化反応により1−ヘキセンなどのα−オレフィンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、オリゴマー化とは、オレフィンを2〜10量体にすることであり、エチレンを3〜4量体にすることが好ましく、3量体にすることが最も好ましい。本発明において「置換基」という語は、化合物や基を構成するハロゲン原子を包含したものである。さらに、本発明において、一般式(5−1)〜(5−3)のいずれかで表される置換シクロペンタジエン化合物には、各シクロペンタジエニル環の二重結合位置がそれぞれ異なる異性体が存在するが、本発明においては、該置換シクロペンタジエニル化合物は、それらのうちのいずれか、またはそれらの混合物を表わす。
【0014】
<遷移金属錯体(1−1)〜(1−3)(オレフィンオリゴマー化触媒成分)>
以下、一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される遷移金属錯体について詳述する。
遷移金属錯体(1−1)〜(1−3)において、Mは元素周期律表の第4族元素を示し、例えばチタン原子、ジルコニウム原子及びハフニウム原子等が挙げられる。これらの中でも、チタン原子が好ましい。
【0015】
前記遷移金属錯体(1−1)〜(1−3)において、置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R24、R25、R26、R27、X、X及びXは上述のとおりの定義であり、その具体例を以下に示す。
【0016】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子である。
【0017】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基の「炭素原子数1〜20のアルキル基」の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基及びn−エイコシル基などが挙げられる。これらのうち好ましいアルキル基としては、炭素原子数1〜10のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基及びアミル基等を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアルキル基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アルキル基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数1〜20の範囲であると好ましく、炭素原子数1〜10の範囲がさらに好ましい。好適なハロゲン原子を置換基として有するアルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ブロモメチル基、ジブロモメチル基、トリブロモメチル基、フルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等を挙げることができる。
【0018】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基の「炭素原子数6〜20のアリール基」の具体例としては、フェニル基、2−トリル基、3−トリル基、4−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、sec−ブチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、ネオペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−テトラデシルフェニル基、ナフチル基及びアントラセニル基などが挙げられる。これらのうち好ましいアリール基としては、炭素原子数6〜10のアリール基であり、さらに好ましはフェニル基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリール基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アリール基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は6〜20の範囲であると好ましく、6〜10の範囲がさらに好ましい。具体的に好適な、ハロゲン原子を置換基として有するアリール基は、フルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、テトラフルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ヨードフェニル基等を挙げることができる。
【0019】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基の「炭素原子数7〜20のアラルキル基」の具体例としては、ベンジル基、(2−メチルフェニル)メチル基、(3−メチルフェニル)メチル基、(4−メチルフェニル)メチル基、(2,3−ジメチルフェニル)メチル基、(2,4−ジメチルフェニル)メチル基、(2,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,6−ジメチルフェニル)メチル基、(3,4−ジメチルフェニル)メチル基、(3,5−ジメチルフェニル)メチル基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メチル基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メチル基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メチル基、(ペンタメチルフェニル)メチル基、(エチルフェニル)メチル基、(n−プロピルフェニル)メチル基、(イソプロピルフェニル)メチル基、(n−ブチルフェニル)メチル基、(sec−ブチルフェニル)メチル基、(tert−ブチルフェニル)メチル基、(n−ペンチルフェニル)メチル基、(ネオペンチルフェニル)メチル基、(n−ヘキシルフェニル)メチル基、(n−オクチルフェニル)メチル基、(n−デシルフェニル)メチル基、(n−ドデシルフェニル)メチル基、ナフチルメチル基、アントラセニルメチル基などが挙げられる。これらのうち好ましいアラルキル基としては、炭素原子数7〜10のアラルキル基であり、さらに好ましくはベンジル基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアラルキル基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アラルキル基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は7〜20の範囲であると好ましく、7〜10の範囲がさらに好ましい。
【0020】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基の「炭素原子数1〜20のアルコキシ基」の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアルコキシ基としては、炭素原子数1〜10のアルコキシ基であり、さらに好ましくはメトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアルコキシ基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アルコキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数1〜20の範囲であると好ましく、1〜10の範囲がさらに好ましい。
【0021】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルコキシ基の「炭素原子数2〜20のアルコキシ基」の具体例としては、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、n−エイコシルオキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアルコキシ基としては、炭素原子数2〜10のアルコキシ基であり、さらに好ましくはエトキシ基及びtert−ブトキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアルコキシ基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アルコキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数2〜20の範囲であると好ましく、2〜10の範囲がさらに好ましい。
【0022】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の「炭素原子数6〜20のアリールオキシ基」の具体例としては、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、2,3−ジメチルフェノキシ基、2,4−ジメチルフェノキシ基、2,5−ジメチルフェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、3,4−ジメチルフェノキシ基、3,5−ジメチルフェノキシ基、2,3,4−トリメチルフェノキシ基、2,3,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,6−トリメチルフェノキシ基、2,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,4,5−トリメチルフェノキシ基、2,3,4,5−テトラメチルフェノキシ基、2,3,4,6−テトラメチルフェノキシ基、2,3,5,6−テトラメチルフェノキシ基、ペンタメチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、n−プロピルフェノキシ基、イソプロピルフェノキシ基、n−ブチルフェノキシ基、sec−ブチルフェノキシ基、tert−ブチルフェノキシ基、n−ヘキシルフェノキシ基、n−オクチルフェノキシ基、n−デシルフェノキシ基、n−テトラデシルフェノキシ基、ナフトキシ基及びアントラセノキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアリールオキシ基としては、炭素原子数6〜10のアリールオキシ基であり、さらに好ましくはフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアリールオキシ基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アリールオキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は6〜20の範囲であると好ましく、6〜10の範囲がさらに好ましい。
【0023】
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基の「炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基」の具体例としては、ベンジルオキシ基、(2−メチルフェニル)メトキシ基、(3−メチルフェニル)メトキシ基、(4−メチルフェニル)メトキシ基、(2,3−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,6−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,4−ジメチルフェニル)メトキシ基、(3,5−ジメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,4,6−トリメチルフェニル)メトキシ基、(3,4,5−トリメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,5−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,4,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(2,3,5,6−テトラメチルフェニル)メトキシ基、(ペンタメチルフェニル)メトキシ基、(エチルフェニル)メトキシ基、(n−プロピルフェニル)メトキシ基、(イソプロピルフェニル)メトキシ基、(n−ブチルフェニル)メトキシ基、(sec−ブチルフェニル)メトキシ基、(tert−ブチルフェニル)メトキシ基、(n−ヘキシルフェニル)メトキシ基、(n−オクチルフェニル)メトキシ基、(n−デシルフェニル)メトキシ基、ナフチルメトキシ基、アントラセニルメトキシ基などが挙げられる。これらのうち好ましいアラルキルオキシ基としては、炭素原子数7〜10のアラルキルオキシ基であり、さらに好ましくはベンジルオキシ基を挙げることができる。また、「ハロゲン原子を置換基として有していてもよいアラルキルオキシ基」の「ハロゲン原子を置換基として有していてもよい」とは、アラルキルオキシ基にある水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子で置き換わっていてもよいことを意味し、該ハロゲン原子の具体例は上述のとおりである。なお、ハロゲン原子を置換基として有する場合、その炭素原子数は7〜20の範囲であると好ましく、7〜10の範囲がさらに好ましい。
【0024】
−Si(R22(3つのR22はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基又はハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR22にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基において、R22はそれぞれ独立に、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基など)、アリール基(フェニル基など)などのハイドロカルビル基;ハイドロカルビル基にある水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わったハロゲン化ハイドロカルビル基であり、3つのR22の炭素原子数の合計が1〜20の範囲である。この3つのR22の炭素原子数の合計は3〜18の範囲が好ましい。該置換シリル基の具体例としては、メチルシリル基、エチルシリル基、フェニルシリル基、これらの基においてハイドロカルビル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基などのハイドロカルビル基又はハロゲン化ハイドロカルビル基を1つ有する1置換シリル基;ジメチルシリル基、ジエチルシリル基、ジフェニルシリル基、これらの基においてハイドロカルビル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基などのハイドロカルビル基及び/又はハロゲン化ハイドロカルビル基を2つ有する2置換シリル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−プロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、トリ−n−ブチルシリル基、トリ−sec−ブチルシリル基、トリ−tert−ブチルシリル基、トリ−イソブチルシリル基、tert−ブチル−ジメチルシリル基、トリ−n−ペンチルシリル基、トリ−n−ヘキシルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、これらの基においてハイドロカルビル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基などのハイドロカルビル基及び/又はハロゲン化ハイドロカルビル基を3つ有する3置換シリル基などが挙げられる。これらのうち好ましくは3置換シリル基であり、さらに好ましくはトリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基である。
【0025】
−N(R23(2つのR23はそれぞれ独立にハイドロカルビル基又はハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR23にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基において、R23はそれぞれ独立に、ハイドロカルビル基又はハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR23の炭素原子数の合計が2〜20の範囲であり、2〜10の範囲がさらに好ましい。かかるハイドロカルビル基およびハロゲン化ハイドロカルビル基は、前記置換シリル基のハイドロカルビル基およびハロゲン化ハイドロカルビル基として説明したものと同じである。また、この2つのR23は互いに結合して、これらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成していてもよい。かかる2置換アミノ基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジ−イソブチルアミノ基、tert−ブチルイソプロピルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基、ジ−n−デシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ビストリメチルシリルアミノ基、ビス−tert−ブチルジメチルシリルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロインドリル基、ジヒドロイソインドリル基、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基などが挙げられる。これらのうち、好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置き換わった基である。
【0026】
、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する基同士は結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R10及びR11は結合してそれらが結合しているケイ素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する基同士は結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R12、R13、R14、R15及びR16のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する基同士は結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R17、R18、R19、R20及びR21のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する基同士は結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R24、R、R25及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R12、R26、R14、R27及びR16のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよい。ここでいう環とは、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換された、飽和もしくは不飽和のハイドロカルビル環、炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換された、飽和もしくは不飽和のシラハイドロカルビル環などである。その具体例としては、シクロプロパン環、シクロプロペン環、シクロブタン環、シクロブテン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロヘプタン環、シクロヘプテン環、シクロオクタン環、シクロオクテン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、シラシクロプロパン環、シラシクロブタン環、シラシクロペンタン環、シラシクロヘキサン環である。
【0027】
前記遷移金属錯体(1−1)〜(1−3)においてR、R、R及びRは、それぞれ独立に、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数7〜20のアラルキル基であり、少なくとも一つは水素以外の置換基であることが好ましい。
【0028】
、R、R及びRの具体例としては、その部分構造式(2)

(式中、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
において、例えば、次のような部分構造を挙げることができる。
【0029】
シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、n−プロピルシクロペンタジエニル、イソプロピルシクロペンタジエニル、n−ブチルシクロペンタジエニル、sec−ブチルシクロペンタジエニル、tert−ブチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、トリメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、フェニルシクロペンタジエニル、ベンジルシクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニル、テトラヒドロインデニル、メチルテトラヒドロインデニル、ジメチルテトラヒドロインデニル、オクタヒドロフルオレニル
【0030】
ここに例示したシクロペンタジエニル部分構造のうち、好ましいシクロペンタジエニル部分構造はテトラメチルシクロペンタジエニルなどである。
【0031】
前記遷移金属錯体(1−1)から(1−3)においてR、R、R、R、R、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R24、R25、R26、及びR27は、それぞれ独立に、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、または炭素原子数7〜20のアラルキル基である。
【0032】
、R、R、R及びRの好ましい組み合わせ、R12、R13、R14、R15及びR16の好ましい組み合わせ、R17、R18、R19、R20及びR21の好ましい組み合わせ、R、R24、R、R25及びRの好ましい組み合わせ、ならびにR12、R26、R14、R27及びR16の好ましい組み合わせとしては、それぞれ、その部分構造式(3−1)

(式中、R、R、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
部分構造式(3−2)

(式中、R12、R13、R14、R15及びR16は前記と同じ意味を表す。)
部分構造式(3−3)

(式中、R17、R18、R19、R20及びR21は前記と同じ意味を表す。)
部分構造式(3−4)

(式中、R、R24、R、R25及びRは前記と同じ意味を表す。)
部分構造式(3−5)

(式中、R12、R26、R14、R27及びR16は前記と同じ意味を表す。)
において、例えば、次のような部分構造を挙げることができる。
【0033】
フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、テトラメチルフェニル、ペンタメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、トリエチルフェニル、テトラエチルフェニル、ペンタエチルフェニル、tert−ブチルフェニル、ジ−tert−ブチルフェニル、tert−ブチルメチルフェニル、ジ(tert−ブチル)メチルフェニル、フェニルフェニル、ジフェニルフェニル、トリフェニルフェニル、テトラフェニルフェニル、ペンタフェニルフェニル、ベンジルフェニル、ジベンジルフェニル、トリベンジルフェニル、テトラベンジルフェニル、ペンタベンジルフェニル、ナフチル、アントラセニル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、フルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニル、メトキシフェニル
【0034】
ここに例示した部分構造のうち、好ましい部分構造はフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、ジエチルフェニル、ジ−tert−ブチルフェニルなどである。
【0035】
前記遷移金属錯体(1−1)においてR10及びR11は、好ましくは水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数7〜20のアラルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基が挙げられる。
【0036】
10及びR11のうち好ましい組み合わせとしては、その部分構造式(4)

(式中、R10及びR11は前記と同じ意味を表す。)
において、次のような部分構造を挙げることができる。
【0037】
ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、エチルメチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、メチル(n−プロピル)シリレン、ジ(n−ブチル)シリレン、n−ブチルメチルシリレン、n−ヘキシルメチルシリレン、メチル(n−オクチル)シリレン、n−デシルメチルシリレン、メチル(n−オクタデシル)シリレン、シクロヘキシルメチルシリレン、シクロテトラメチレンシリレン
【0038】
その部分構造式(4)において、
10がメチル基であり、R11
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキル基、である部分構造構造式、または、
10及びR11が同一であり、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
である構造式、または、
10及びR11が同一ではなく、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
である構造式を好ましく挙げることができ、
具体的には、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、エチルメチルシリレン、n−ブチルメチルシリレン、シクロヘキシルメチルシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、などである。
【0039】
式(1−1)の遷移金属錯体として、好ましくは、R及びRがそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、または
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基である遷移金属錯体を挙げることができる。
【0040】
前記遷移金属錯体(1−2)においてR11は、好ましくは水素原子、炭素原子数1〜20のアルキル基、または炭素原子数7〜20のアラルキル基であり、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ベンジル基が挙げられる。
【0041】
式(1−2)の遷移金属錯体として、好ましくは、R、R、R13、及びR15が、それぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、または
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基である遷移金属錯体を挙げることができる。
【0042】
式(1−3)の遷移金属錯体として、好ましくは、R24、R25、R26、R27、R18及びR20がそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、または
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基である遷移金属錯体を挙げることができる。
【0043】
遷移金属錯体(1−1)〜(1−3)を具体的に例示すると、次のような錯体を挙げることができる。
【0044】
[1−ジメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−ジエチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−シクロテトラメチレン(フェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−エチルメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−n−ブチルメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−メチルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−シクロヘキシルメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−メチル(n−オクタデシル)フェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(4−n−ブチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−メチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリ(3−イソプロピルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−ジメチル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−ジメチル(3,5−ジ−n−ヘキシルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−n−ブチルメチル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジエチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジイソプロピルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジ−n−ヘキシルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−n−ブチルメチル(2,4,6−トリメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−n−ブチルメチル(ペンタメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)ビス(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)(3,5−ジエチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジフェニルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、[1−トリス(3,5−ジベンジルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド、
【0045】
などの塩素化チタン錯体が挙げられる。また、ここに例示する錯体において、「2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル」を「シクロペンタジエニル」、「2−メチルシクロペンタジエニル」、「3−メチルシクロペンタジエニル」、「2,3−ジメチルシクロペンタジエニル」、「2,4−ジメチルシクロペンタジエニル」、「2,5−ジメチルシクロペンタジエニル」、「2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル」、「2−エチルシクロペンタジエニル」、「3−エチルシクロペンタジエニル」、「2−n−プロピルシクロペンタジエニル」、「3−n−プロピルシクロペンタジエニル」、「2−イソプロピルシクロペンタジエニル」、「3−イソプロピルシクロペンタジエニル」、「2−n−ブチルシクロペンタジエニル」、「3−n−ブチルシクロペンタジエニル」、「2−sec−ブチルシクロペンタジエニル」、「3−sec−ブチルシクロペンタジエニル」、「2−tert−ブチルシクロペンタジエニル」、「3−tert−ブチルシクロペンタジエニル」、「2−フェニルシクロペンタジエニル」、「3−フェニルシクロペンタジエニル」、「2−ベンジルシクロペンタジエニル」、「3−ベンジルシクロペンタジエニル」、「インデニル」、「2−メチルインデニル」、「フルオレニル」、「テトラヒドロインデニル」、「2−メチルテトラヒドロインデニル」、「オクタヒドロフルオレニル」に置き換えた塩素化チタン錯体も同様に例示される。
【0046】
さらに、ここに例示する錯体において、「チタニウム」を「ジルコニウム」に置き換えた塩素化ジルコニウム錯体、又は「ハフニウム」に置き換えた塩素化ハフニウム錯体などの塩素化遷移金属錯体、「クロライド」を「フルオリド」に置き換えたフッ素化チタン錯体、「ブロマイド」に置き換えた臭素化チタン錯体、「アイオダイド」に置き換えたヨウ素化チタン錯体などのハロゲン化チタン錯体、「ハイドライド」に置き換えた水素化チタン錯体、「メチル」に置き換えたメチル化チタン錯体などのアルキル化チタン錯体、「フェニル」に置き換えたフェニル化チタン錯体などのアリール化チタン錯体、「ベンジル」に置き換えたベンジル化チタン錯体などのアラルキル化チタン錯体、「メトキシド」に置き換えたメトキシ化チタン錯体、「n−ブトキシド」に置き換えたn−ブトキシ化チタン錯体、「イソプロポキシド」に置き換えたイソプロポキシ化チタン錯体などのアルコキシ化チタン錯体、「フェノキシド」に置き換えたフェノキシ化チタン錯体などのアリールオキシ化チタン錯体、「ベンジロキシド」に置き換えたベンジロキシ化チタン錯体などのアラルキルオキシ化チタン錯体、「ジメチルアミド」に置き換えたジメチルアミド化チタン錯体、「ジエチルアミド」に置き換えたジエチルアミド化チタン錯体などのアミド化チタン錯体も同様に例示される。
【0047】
<遷移金属錯体(1−1)〜(1−3)の製造方法>
遷移金属錯体(1−1)は式(5−1)で表される置換シクロペンタジエン化合物から、遷移金属錯体(1−2)は式(5−2)で表される置換シクロペンタジエン化合物から、遷移金属錯体(1−3)は式(5−3)で表される置換シクロペンタジエン化合物から、それぞれ同様にして製造することができる。
(5−1)

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は前記と同義である。]
(5−2)

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16は前記と同義である。]
(5−3)

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R12、R14、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R24、R25、R26、及びR27は前記と同義である。]
以下、遷移金属錯体(1−1)を例に説明する。遷移金属錯体(1−1)は例えば、式(5−1)

[式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10及びR11は前記と同義である。]
で示される置換シクロペンタジエン化合物(以下、「置換シクロペンタジエン化合物(5−1)」という。)と、塩基とをアミン化合物の存在下に反応させる工程;
前記置換シクロペンタジエン化合物(5−1)と塩基との反応物に、
以下の一般式(6)

(式中、M、X、X及びXは前記と同義であり、XはX、X及びXと同じ定義である。mは、0または1である。)
で示される遷移金属化合物(以下、「遷移金属化合物(6)」という。)を反応させる工程を有する製造方法により製造することができる。以下、前記置換シクロペンタジエン化合物(5−1)と塩基とをアミン化合物の存在下に反応させる工程を「第1反応工程」、前記置換シクロペンタジエン化合物(5−1)と塩基との反応物に、遷移金属化合物(6)を反応させる工程を「第2反応工程」ということがある。
【0048】
前記置換シクロペンタジエン化合物(5−1)において、そのシクロペンタジエン環の二重結合の位置が異なる異性体は以下の構造異性体のことである。

一般式(5−1)で表される化合物には、各シクロペンタジエニル環の二重結合位置がそれぞれ異なる異性体が存在するが、本発明においてはそれらのうちのいずれか、またはそれらの混合物を表わす。
【0049】
前記遷移金属化合物(6)において、置換基Xは上述のとおりの定義であり、その具体例としてはX、X及びXで挙げたものと同様のものを挙げることができる。
【0050】
前記遷移金属化合物(6)としては、例えば、四塩化チタン、三塩化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタンなどのハロゲン化チタン;テトラキス(ジメチルアミノ)チタン、ジクロロビス(ジメチルアミノ)チタン、トリクロロ(ジメチルアミノ)チタン、テトラキス(ジエチルアミノ)チタンなどのアミドチタン;テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、ジクロロジイソプロポキシチタン、トリクロロイソプロポキシチタンなどのアルコキシチタンなどが挙げられる。また、これらの各化合物の「チタン」を「ジルコニウム」又は「ハフニウム」に置き換えた化合物などが挙げられる。これらのうち、好ましい遷移金属化合物(6)は四塩化チタンである。
【0051】
前記第1反応工程において、置換シクロペンタジエン化合物(5−1)と反応させる塩基としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムトリメチルシリルアセチリド、リチウムアセチリド、トリメチルシリルメチルリチウム、ビニルリチウム、フェニルリチウム及びアリルリチウムなどの有機リチウム化合物に代表される有機アルカリ金属化合物などが挙げられる。
【0052】
塩基の使用量は、置換シクロペンタジエニル化合物(5−1)1モルあたり、0.5〜5モルの範囲であればよい。
【0053】
前記第1反応工程における置換シクロペンタジエン化合物(5−1)と塩基との反応においては、アミン化合物が用いられる。かかるアミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−オクチルアミン、n−デシルアミン、アニリン、エチレンジアミンなどの第1級アミン化合物;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−デシルアミン、ピロリジン、ヘキサメチルジシラザン、ジフェニルアミンなどの第2級アミン化合物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリフェニルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N−メチルピロリジン、4−ジメチルアミノピリジンなどの第3級アミン化合物;が挙げられる。かかるアミン化合物の使用量は、塩基1モルあたりに、10モル以下であると好ましく、0.5〜10モルの範囲であるとより好ましく、1〜5モルの範囲であるとさらに好ましい。
【0054】
前記第1反応工程において、置換シクロペンタジエン化合物(5−1)と塩基とを反応させる際には溶媒の存在下で反応させることが好ましい。また、溶媒を用いるときには、該溶媒中で置換シクロペンタジエン化合物(5−1)及び塩基を反応させた後、この反応混合物中に遷移金属化合物(6)を加えることにより、置換シクロペンタジエン化合物(5−1)及び塩基の反応物に、遷移金属化合物(6)をさらに反応させることができる。なお、置換シクロペンタジエン化合物(5−1)及び塩基を反応させた反応混合物には固体が析出することがあるが、この場合には、析出した固体が溶解するまで溶媒を追加したり、析出した固体をろ過等により、一旦分離してもよく、分離した固体に溶媒を加えて溶解させたり、懸濁させた後で、遷移金属化合物(6)を加えてもよい。また、溶媒を用いる場合、該溶媒に置換シクロペンタジエン化合物(5−1)、塩基及び遷移金属化合物(6)を同時に加えることにより、第1反応工程と第2反応工程とを略同時に実施することもできる。
【0055】
第1反応工程又は、第1反応工程及び第2反応工程に用いる溶媒は、これらの工程に係る反応の進行を著しく妨げない不活性な溶媒が用いられる。かかる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどの芳香族ハイドロカルビル系溶媒;ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族ハイドロカルビル系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒;ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの極性溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒といった非プロトン性溶媒などが例示される。かかる溶媒は単独もしくは2種以上を混合して用いることができ、その使用量は、置換シクロペンタジエン化合物(5−1)1重量部にあたり、1〜200重量部が好ましく、3〜50重量部がさらに好ましい。
【0056】
遷移金属化合物(6)の使用量は、置換シクロペンタジエン化合物(5−1)1モルあたり、0.5〜3モルの範囲が好ましく、0.7〜1.5モルの範囲がさらに好ましい。
【0057】
第1反応工程及び第2反応工程における反応温度は、−100℃以上、溶媒の沸点以下であればよく、好ましくは−80〜100℃の範囲である。
【0058】
かくして第1反応工程及び第2反応工程を経て得られた反応混合物からは各種公知の精製方法により、生成した遷移金属錯体(1−1)を取り出すことができる。例えば、第1反応工程及び第2反応工程の後に、生成した沈殿を濾別後、濾液を濃縮して遷移金属錯体を析出させた後、これを濾取する方法などによって目的の遷移金属錯体(1−1)を得ることができる。
【0059】
また、遷移金属錯体(1−1)〜(1−3)のX、XおよびXの一部が、水素原子、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基などである化合物は、遷移金属錯体(1−1)〜(1−3)のX、XおよびXがハロゲン原子である化合物と、対応するアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、またはアラルキルオキシ基をもつリチウム化合物、ナトリウム化合物、カリウム化合物またはマグネシクム化合物との反応によっても得ることができる。
【0060】
<置換シクロペンタジエン化合物(5−1)〜(5−3)>
【0061】
置換シクロペンタジエン化合物(5−1)〜(5−3)において、置換基R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R24、R25、R26及びR27は上述のとおりの定義である。
【0062】
置換シクロペンタジエン化合物(5−1)を具体的に例示すると、次のような置換シクロペンタジエン化合物を挙げることができる。
【0063】
1−ジメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジエチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニルジ(n−プロピル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジイソプロピルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジ(n−ブチル)フェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジ(イソブチル)フェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジ(sec−ブチル)フェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジ(tert−ブチル)フェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−エチルメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(n−プロピル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(イソプロピル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−n−ブチルメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−イソブチルメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−sec−ブチルメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−tert−ブチルメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−シクロヘキシルメチルフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(n−オクタデシル)フェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、
【0064】
1−ジメチル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジエチル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−(3,5−ジメチルフェニル)ジ(n−プロピル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジイソプロピル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジ(n−ブチル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジ(イソブチル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジ(sec−ブチル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジ(tert−ブチル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−エチルメチル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(3,5−ジメチルフェニル)(n−プロピル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(3,5−ジメチルフェニル)(イソプロピル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−n−ブチルメチル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−イソブチルメチル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−sec−ブチルメチル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−tert−ブチルメチル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−シクロヘキシルメチル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(n−オクタデシル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、
【0065】
などの置換シクロペンタジエン化合物が挙げられる。また、ここに例示する置換シクロペンタジエン化合物において「2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン」を「シクロペンタジエン」、「2−メチルシクロペンタジエン」、「3−メチルシクロペンタジエン」、「2,3−ジメチルシクロペンタジエン」、「2,4−ジメチルシクロペンタジエン」、「2,5−ジメチルシクロペンタジエン」、「2,3,5−トリメチルシクロペンタジエン」、「2−エチルシクロペンタジエン」、「3−エチルシクロペンタジエン」、「2−n−プロピルシクロペンタジエン」、「3−n−プロピルシクロペンタジエン」、「2−イソプロピルシクロペンタジエン」、「3−イソプロピルシクロペンタジエン」、「2−n−ブチルシクロペンタジエン」、「3−n−ブチルシクロペンタジエン」、「2−sec−ブチルシクロペンタジエン」、「3−sec−ブチルシクロペンタジエン」、「2−tert−ブチルシクロペンタジエン」、「3−tert−ブチルシクロペンタジエン」、「2−フェニルシクロペンタジエン」、「3−フェニルシクロペンタジエン」、「2−ベンジルシクロペンタジエン」、「3−ベンジルシクロペンタジエン」、「インデン」、「2−メチルインデン」、「フルオレン」、「テトラヒドロインデン」、「2−メチルテトラヒドロインデン」、「オクタヒドロフルオレン」に置き換えた、置換シクロペンタジエン化合物も同様に例示される。
【0066】
置換シクロペンタジエン化合物(5−2)を具体的に例示すると、次のような置換シクロペンタジエン化合物を挙げることができる。
【0067】
1−メチルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−エチルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−n−プロピルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−イソプロピルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−n−ブチルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−イソブチルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−sec−ブチルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−tert−ブチルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−シクロヘキシルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−n−オクタデシルジフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(2−メチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(3−メチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(4−メチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(2,3−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(2,4−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(2,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(2,6−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(3,4,5−トリメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、
【0068】
1−エチルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−n−プロピルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−イソプロピルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−n−ブチルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−イソブチルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−sec−ブチルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−tert−ブチルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−シクロヘキシルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−n−オクタデシルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(2−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(3−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(4−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(2,3−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(2,4−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(2,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルフェニル(2,6−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチルビス(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−メチル(3,5−ジメチルフェニル)(3,4,5−トリメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、
【0069】
などの置換シクロペンタジエン化合物が挙げられる。また、ここに例示する置換シクロペンタジエン化合物において「2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン」を「シクロペンタジエン」、「2−メチルシクロペンタジエン」、「3−メチルシクロペンタジエン」、「2,3−ジメチルシクロペンタジエン」、「2,4−ジメチルシクロペンタジエン」、「2,5−ジメチルシクロペンタジエン」、「2,3,5−トリメチルシクロペンタジエン」、「2−エチルシクロペンタジエン」、「3−エチルシクロペンタジエン」、「2−n−プロピルシクロペンタジエン」、「3−n−プロピルシクロペンタジエン」、「2−イソプロピルシクロペンタジエン」、「3−イソプロピルシクロペンタジエン」、「2−n−ブチルシクロペンタジエン」、「3−n−ブチルシクロペンタジエン」、「2−sec−ブチルシクロペンタジエン」、「3−sec−ブチルシクロペンタジエン」、「2−tert−ブチルシクロペンタジエン」、「3−tert−ブチルシクロペンタジエン」、「2−フェニルシクロペンタジエン」、「3−フェニルシクロペンタジエン」、「2−ベンジルシクロペンタジエン」、「3−ベンジルシクロペンタジエン」、「インデン」、「2−メチルインデン」、「フルオレン」、「テトラヒドロインデン」、「2−メチルテトラヒドロインデン」、「オクタヒドロフルオレン」に置き換えた、置換シクロペンタジエン化合物も同様に例示される。
【0070】
置換シクロペンタジエン化合物(5−3)を具体的に例示すると、次のような置換シクロペンタジエン化合物を挙げることができる。
【0071】
1−トリフェニルシリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニルジ(2−メチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニルジ(3−メチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニルジ(4−メチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニルビス(2,3−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニルビス(2,4−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニルビス(2,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニルビス(2,6−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニルビス(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニルビス(3,4,5−トリメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、
【0072】
1−ジフェニル(2−メチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジフェニル(3−メチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジフェニル(4−メチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジフェニル(2,3−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジフェニル(2,4−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジフェニル(2,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジフェニル(2,6−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジフェニル(3,4,5−トリメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、
【0073】
1−フェニル(2−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニル(3−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニル(4−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニル(2,3−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニル(2,4−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニル(2,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニル(2,6−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−フェニル(3,5−ジメチルフェニル)(3,4,5−トリメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、
【0074】
1−ジ(2−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジ(3−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ジ(4−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ビス(2,3−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ビス(2,4−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ビス(2,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−ビス(2,6−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、1−(3,5−ジメチルフェニル)ビス(3,4,5−トリメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン、
【0075】
などの置換シクロペンタジエン化合物が挙げられる。また、ここに例示する置換シクロペンタジエン化合物において「2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン」を「シクロペンタジエン」、「2−メチルシクロペンタジエン」、「3−メチルシクロペンタジエン」、「2,3−ジメチルシクロペンタジエン」、「2,4−ジメチルシクロペンタジエン」、「2,5−ジメチルシクロペンタジエン」、「2,3,5−トリメチルシクロペンタジエン」、「2−エチルシクロペンタジエン」、「3−エチルシクロペンタジエン」、「2−n−プロピルシクロペンタジエン」、「3−n−プロピルシクロペンタジエン」、「2−イソプロピルシクロペンタジエン」、「3−イソプロピルシクロペンタジエン」、「2−n−ブチルシクロペンタジエン」、「3−n−ブチルシクロペンタジエン」、「2−sec−ブチルシクロペンタジエン」、「3−sec−ブチルシクロペンタジエン」、「2−tert−ブチルシクロペンタジエン」、「3−tert−ブチルシクロペンタジエン」、「2−フェニルシクロペンタジエン」、「3−フェニルシクロペンタジエン」、「2−ベンジルシクロペンタジエン」、「3−ベンジルシクロペンタジエン」、「インデン」、「2−メチルインデン」、「フルオレン」、「テトラヒドロインデン」、「2−メチルテトラヒドロインデン」、「オクタヒドロフルオレン」に置き換えた、置換シクロペンタジエン化合物も同様に例示される。
【0076】
<置換シクロペンタジエン化合物(5−1)〜(5−3)の製造方法>
置換シクロペンタジエン化合物(5−1)は、式(7)で示される置換シクロペンタジエン化合物(以下「置換シクロペンタジエン化合物(7)」と略す)と、塩基とを反応させる工程;
前記置換シクロペンタジエン化合物(7)と塩基との反応物に、式(8−1)で示されるハロゲン化ケイ素化合物(以下「ハロゲン化ケイ素化合物(8−1)」と略す)を反応させる工程により、
置換シクロペンタジエン化合物(5−2)は、置換シクロペンタジエン化合物(7)と、塩基とを反応させる工程;
前記置換シクロペンタジエン化合物(7)と塩基との反応物に、式(8−2)で示されるハロゲン化ケイ素化合物(以下「ハロゲン化ケイ素化合物(8−2)」と略す)を反応させる工程により、
置換シクロペンタジエン化合物(5−3)は、置換シクロペンタジエン化合物(7)と、塩基とを反応させる工程;
前記置換シクロペンタジエン化合物(7)と塩基との反応物に、式(8−3)で示されるハロゲン化ケイ素化合物(以下「ハロゲン化ケイ素化合物(8−3)」と略す)を反応させる工程により、
それぞれ同様にして製造することができる。


[式中、R、R、R及びRは前記と同義であり



[式中、R、R、R、R、R、R10及びR11は前記と同義であり、Xはハロゲン原子である。]


[式中、R、R、R、R、R、R11、R12、R13、R14、R15、及びR16は前記と同義であり、Xはハロゲン原子である。]


[式中、R、R、R、R12、R14、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R24、R25、R26、及びR27は前記と同義であり、Xはハロゲン原子である。]
以下、置換シクロペンタジエン化合物(5−1)を例に説明する。
【0077】
置換シクロペンタジエン化合物(7)は、下記のとおりである。

[式中、R、R、R及びRは前記と同義であり

【0078】
前記置換シクロペンタジエン化合物(7)としては、例えば、次のような化合物を挙げることができる。
【0079】
シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、1,2−ジメチルシクロペンタジエン、1,3−ジメチルシクロペンタジエン、1,2,3−トリメチルシクロペンタジエン、1,2,4−トリメチルシクロペンタジエン、1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,2−ジエチルシクロペンタジエン、1,3−ジエチルシクロペンタジエン、1,2,3−トリエチルシクロペンタジエン、1,2,4−トリエチルシクロペンタジエン、1,2,3,4−テトラエチルシクロペンタジエン、n−プロピルシクロペンタジエン、イソプロピルシクロペンタジエン、n−ブチルシクロペンタジエン、sec−ブチルシクロペンタジエン、tert−ブチルシクロペンタジエン、n−ペンチルシクロペンタジエン、ネオペンチルシクロペンタジエン、n−ヘキシルシクロペンタジエン、n−オクチルシクロペンタジエン、フェニルシクロペンタジエン、ナフチルシクロペンタジエン、トリメチルシリルシクロペンタジエン、トリエチルシリルシクロペンタジエン、tert−ブチルジメチルシリルシクロペンタジエン、インデン、2−メチルインデン、テトラヒドロインデン、2−メチルテトラヒドロインデン、3−メチルテトラヒドロインデン、2,3−ジメチルテトラヒドロインデン、2−エチルテトラヒドロインデン、2−n−プロピルテトラヒドロインデン、2−イソプロピルテトラヒドロインデン、2−n−ブチルテトラヒドロインデン、2−sec−ブチルテトラヒドロインデン、2−tert−ブチルテトラヒドロインデン、2−n−ペンチルテトラヒドロインデン、2−ネオペンチルテトラヒドロインデン、2−アミルテトラヒドロインデン、2−n−ヘキシルテトラヒドロインデン、2−シクロヘキシルテトラヒドロインデン、2−n−オクチルテトラヒドロインデン、2−n−デシルテトラヒドロインデン、2−フェニルテトラヒドロインデン、2−ベンジルテトラヒドロインデン、2−ナフチルテトラヒドロインデン、2−メトキシテトラヒドロインデン、2−フェノキシテトラヒドロインデン、2−ベンジルオキシテトラヒドロインデン、2−ジメチルアミノテトラヒドロインデン、2−トリメチルシリルテトラヒドロインデン、フルオレン、オクタヒドロフルオレン
【0080】
ここに例示する置換シクロペンタジエン化合物(7)において、シクロペンタジエン環の二重結合の位置が異なる異性体が存在する場合、これらの異性体混合物であってもよい。
【0081】
ハロゲン化ケイ素化合物(8−1)は、下記の通りである。

[式中、R、R、R、R、R、R10及びR11は前記と同義であり、Xはハロゲン原子である。]
【0082】
ハロゲン化ケイ素化合物(8−1)を具体的に例示すると、次のようなハロゲン化ケイ素化合物を挙げることができる。
【0083】
クロロジメチルフェニルシラン、クロロジエチルフェニルシラン、クロロフェニルジ(n−プロピル)シラン、クロロジイソプロピルフェニルシラン、ジ(n−ブチル)クロロフェニルシラン、ジ(イソブチル)クロロフェニルシラン、ジ(sec−ブチル)クロロフェニルシラン、ジ(tert−ブチル)クロロフェニルシラン、クロロエチルメチルフェニルシラン、クロロメチルフェニル(n−プロピル)シラン、クロロメチルフェニル(イソプロピル)シラン、n−ブチルクロロメチルフェニルシラン、イソブチルクロロメチルフェニルシラン、sec−ブチルクロロメチルフェニルシラン、tert−ブチルクロロメチルフェニルシラン、クロロシクロヘキシルメチルフェニルシラン、クロロメチル(n−オクタデシル)フェニルシラン、
【0084】
クロロジメチル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロジエチル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロ(3,5−ジメチルフェニル)ジ(n−プロピル)シラン、クロロジイソプロピル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、ジ(n−ブチル)クロロ(3,5−ジメチルフェニル)シラン、ジ(イソブチル)クロロ(3,5−ジメチルフェニル)シラン、ジ(sec−ブチル)クロロ(3,5−ジメチルフェニル)シラン、ジ(tert−ブチル)クロロ(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロエチルメチル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチル(3,5−ジメチルフェニル)(n−プロピル)シラン、クロロメチル(3,5−ジメチルフェニル)(イソプロピル)シラン、n−ブチルクロロメチル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、イソブチルクロロメチル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、sec−ブチルクロロメチル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、tert−ブチルクロロメチル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロシクロヘキシルメチル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチル(n−オクタデシル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、
【0085】
ここに例示する化合物において、「クロロ」を「フルオロ」、「ブロモ」、「ヨード」に置き換えたものも同様に例示される。
【0086】
ハロゲン化ケイ素化合物(8−2)を具体的に例示すると、次のようなハロゲン化ケイ素化合物を挙げることができる。
【0087】
クロロメチルジフェニルシラン、クロロエチルジフェニルシラン、クロロ−n−プロピルジフェニルシラン、クロロイソプロピルジフェニルシラン、n−ブチルクロロジフェニルシラン、イソブチルクロロジフェニルシラン、sec−ブチルクロロジフェニルシラン、tert−ブチルクロロジフェニルシラン、クロロシクロヘキシルジフェニルシラン、クロロ−n−オクタデシルジフェニルシラン、クロロメチルフェニル(2−メチルフェニル)シラン、クロロメチルフェニル(3−メチルフェニル)シラン、クロロメチルフェニル(4−メチルフェニル)シラン、クロロメチルフェニル(2,3−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチルフェニル(2,4−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチルフェニル(2,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチルフェニル(2,6−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチルフェニル(3,4,5−トリメチルフェニル)シラン、
【0088】
クロロエチルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロ−n−プロピルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロイソプロピルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、n−ブチルクロロフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、イソブチルクロロフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、sec−ブチルクロロフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、tert−ブチルクロロフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロシクロヘキシルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロ−n−オクタデシルフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチル(2−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチル(3−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチル(4−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチル(2,3−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチル(2,4−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチル(2,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチルフェニル(2,6−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチルビス(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロメチル(3,5−ジメチルフェニル)(3,4,5−トリメチルフェニル)シラン、
【0089】
ここに例示する化合物において、「クロロ」を「フルオロ」、「ブロモ」、「ヨード」に置き換えたものも同様に例示される。
【0090】
ハロゲン化ケイ素化合物(8−3)を具体的に例示すると、次のようなハロゲン化ケイ素化合物を挙げることができる。
【0091】
クロロトリフェニルシラン、クロロフェニルジ(2−メチルフェニル)シラン、クロロフェニルジ(3−メチルフェニル)シラン、クロロフェニルジ(4−メチルフェニル)シラン、クロロフェニルビス(2,3−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニルビス(2,4−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニルビス(2,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニルビス(2,6−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニルビス(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニルビス(3,4,5−トリメチルフェニル)シラン、
【0092】
クロロジフェニル(2−メチルフェニル)シラン、クロロジフェニル(3−メチルフェニル)シラン、クロロジフェニル(4−メチルフェニル)シラン、クロロジフェニル(2,3−ジメチルフェニル)シラン、クロロジフェニル(2,4−ジメチルフェニル)シラン、クロロジフェニル(2,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロジフェニル(2,6−ジメチルフェニル)シラン、クロロジフェニル(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロジフェニル(3,4,5−トリメチルフェニル)シラン、
【0093】
クロロフェニル(2−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニル(3−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニル(4−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニル(2,3−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニル(2,4−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニル(2,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニル(2,6−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロフェニル(3,5−ジメチルフェニル)(3,4,5−トリメチルフェニル)シラン、
【0094】
クロロジ(2−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロジ(3−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロジ(4−メチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロビス(2,3−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロビス(2,4−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロビス(2,5−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロビス(2,6−ジメチルフェニル)(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロトリス(3,5−ジメチルフェニル)シラン、クロロ(3,5−ジメチルフェニル)ビス(3,4,5−トリメチルフェニル)シラン、
【0095】
ここに例示する化合物において、「クロロ」を「フルオロ」、「ブロモ」、「ヨード」に置き換えたものも同様に例示される。
【0096】
置換シクロペンタジエン化合物(7)と反応させる塩基としては、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムなどのアルカリ金属水素化物、水素化カルシウムなどのアルカリ土類金属水素化物、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムトリメチルシリルアセチリド、リチウムアセチリド、トリメチルシリルメチルリチウム、ビニルリチウム、フェニルリチウム及びアリルリチウムなどの有機リチウム化合物に代表される有機アルカリ金属化合物などが挙げられ、その使用量は置換シクロペンタジエン化合物(7)に対して通常0.5〜3モル倍、好ましくは0.9〜2モル倍の範囲である。水素化ナトリウム、水素化カリウムについては、通常市販されているミネラルオイル含有品をそのまま使用できるが、もちろんヘキサン等のハイドロカルビル系溶媒でミネラルオイルを洗浄除去後使用してもよい。
【0097】
置換シクロペンタジエン化合物(7)と、塩基とを反応させる工程においては、アミン化合物を用いてもよい。かかるアミン化合物としては、例えば、アニリン、クロロアニリン、ブロモアニリン、フルオロアニリン、ジクロロアニリン、ジブロモアニリン、ジフルオロアニリン、トリクロロアニリン、トリブロモアニリン、トリフルオロアニリン、テトラクロロアニリン、テトラブロモアニリン、テトラフルオロアニリン、ペンタクロロアニリン、ペンタフルオロアニリン、ニトロアニリン、ジニトロアニリン、ヒドロキシアニリン、フェニレンジアミン、アニシジン、ジメトキシアニリン、トリメトキシアニリン、エトキシアニリン、ジエトキシアニリン、トリエトキシアニリン、n−プロポキシアニリン、イソプロポキシアニリン、n−ブトキシアニリン、sec−ブトキシアニリン、イソブトキシアニリン、t−ブトキシアニリン、フェノキシアニリン、メチルアニリン、エチルアニリン、n−プロピルアニリン、イソプロピルアニリン、n−ブチルアニリン、sec−ブチルアニリン、イソブチルアニリン、t−ブチルアニリン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ジ−n−プロピルアニリン、ジイソプロピルアニリン、ジ−n−ブチルアニリン、ジ−sec−ブチルアニリン、ジイソブチルアニリン、ジ−t−ブチルアニリン、トリメチルアニリン、トリエチルアニリン、ジイソプロピルアニリン、フェニルアニリン、ベンジルアニリン、アミノ安息香酸、アミノ安息香酸メチルエステル、アミノ安息香酸エチルエステル、アミノ安息香酸n−プロピルエステル、アミノ安息香酸イソプロピルエステル、アミノ安息香酸n−ブチルエステル、アミノ安息香酸イソブチルエステル、アミノ安息香酸sec−ブチルエステル、アミノ安息香酸t−ブチルエステル等の1級アニリン類、さらにナフチルアミン、ナフチルメチルアミン、ベンジルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン等も含む1級アミン、
【0098】
N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジフェニルアミン、N−メチルクロロアニリン、N−メチルブロモアニリン、N−メチルフルオロアニリン、N−メチルアニシジン、N−メチルメチルアニリン、N−メチルエチルアニリン、N−メチル−n−プロピルアニリン、N−メチルイソプロピルアニリン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、モルホリン、ピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピロリジン、2−メチルアミノピリジン、3−メチルアミノピリジン、4−メチルアミノピリジン、等の2級アミン、
【0099】
N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルクロロアニリン、N,N−ジメチルブロモアニリン、N,N−ジメチルフルオロアニリン、N,N−ジメチルアニシジン、N,N−ジメチルエチルアニリン、N,N−ジメチル−n−プロピルアニリン、N,N−ジメチルイソプロピルアニリン、1、4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1、5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、1、8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、2−ジメチルアミノピリジン、3−ジメチルアミノピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリフェニルアミン等の3級アミンが挙げられ、好ましくは1級アミンまたは2級アミン、より好ましくは1級アニリン類が使用される。
【0100】
かかるアミン化合物の使用量は塩基に対して通常0.001〜2モル倍、好ましくは0.01〜0.5モル倍の範囲である。反応は通常、反応に対して不活性な溶媒中で行われる。かかる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族ハイドロカルビル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族ハイドロカルビル系溶媒、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒といった非プロトン性溶媒が挙げられる。これらの溶媒はそれぞれ単独もしくは2種以上を混合して用いられ、その使用量はシクロペンタジエン化合物に対して通常1〜200重量倍、好ましくは3〜30重量倍の範囲である。
【0101】
反応に際しては、例えば溶媒中で置換シクロペンタジエン化合物(7)、塩基、アミン化合物を同時に混合してもよいし、予め塩基とアミン化合物を混合した後に置換シクロペンタジエン化合物(7)を添加してもよい。反応温度は特に制限はないが、低温設備を必要としない温度領域が工業的には良く、例えば0〜70℃、好ましくは10〜60℃の範囲である。かかる反応によって置換シクロペンタジエン化合物(7)の金属塩が効率よく生成する。かくして得られた置換シクロペンタジエン化合物(7)の金属塩は、反応混合物のまま用いてもよいし、該反応混合物から取り出して用いてもよいが、通常前者で充分である。
【0102】
置換シクロペンタジエン化合物(5−1)を得る反応は通常、反応に対して不活性な溶媒中で行われる。かかる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族ハイドロカルビル系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族ハイドロカルビル系溶媒、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル系溶媒、ヘキサメチルホスホリックアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒といった非プロトン性溶媒が挙げられる。これらの溶媒はそれぞれ単独もしくは2種以上を混合して用いられ、その使用量は置換シクロペンタジエン化合物(7)に対して通常1〜200重量倍、好ましくは3〜30重量倍の範囲である。本反応は、例えば溶媒中で塩基、アミン化合物および置換シクロペンタジエン化合物(7)を混合した後、ハロゲン化ケイ素化合物(8−1)を添加することによって行われるのが通常であるが、一度に混合する方法を採用しても目的の置換シクロペンタジエン化合物(5−1)は生成する。反応温度は特に制限はないが、低温設備を必要としない温度領域が工業的には有利であり、例えば0〜70℃、好ましくは10〜60℃の範囲である。
【0103】
置換シクロペンタジエン化合物(7)の使用量はハロゲン化ケイ素化合物(8−1)に対して通常0.5〜5モル倍、好ましくは0.8〜3モル倍の範囲である。
【0104】
反応終了後、得られた反応混合物に水、炭酸水素ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、塩化アンモニウム水溶液、または塩酸などの水溶液などを加えたのち、有機層と水層とに分液し、有機層として置換シクロペンタジエン化合物(5−1)の溶液が得られる。反応において水と相溶性の溶媒を用いた場合や反応における溶媒の使用量が少ないために有機層と水層とを容易に分液できない場合には、必要により該反応混合物にトルエン、酢酸エチル、クロロベンゼンなどの水に不溶の有機溶媒を加えた後に分液すればよい。得られた有機層を濃縮すれば置換シクロペンタジエン化合物(5−1)が得られるが、必要により、蒸留、カラムクロマトグラフ処理などの方法によって精製してもよい。
【0105】
<活性化助触媒成分>
活性化助触媒成分は、周期律表第13族の元素を含む活性化助触媒成分であり、次の化合物(A)、化合物(B)または化合物(C)を挙げることができ、これらを併用してもよい。
化合物(A):下記化合物(A1)、(A2)および(A3)からなる化合物群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1):一般式 (EAl(G)3−aで表される有機アルミニウム化合物
(A2):一般式 {−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3):一般式 E{−Al(E)−O−}Al(Eで表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、Eは、炭素原子数1〜8のハイドロカルビル基を表し、EおよびEは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜8のハイドロカルビル基、電子吸引性基を含有するアルコキシ基または電子吸引性基を含有するアリーロキシ基を表し、Gは、水素原子またはハロゲン原子を表し、aは1〜3の整数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。Eが複数ある場合、複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。Gが複数ある場合、複数のGは互いに同じであっても異なっていてもよい。複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
化合物(B):下記化合物(B1)、(B2)および(B3)からなる化合物群から選ばれる1種以上のホウ素化合物
(B1):一般式 BQで表されるホウ素化合物
(B2):一般式 T(BQで表されるボレート化合物
(B3):一般式 (L−H)(BQ1011で表されるボレート化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Q、Q、Q、Q、Q、Q、Q、Q、Q、Q10およびQ11は、それぞれ同一または相異なり、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビルシリル基、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数2〜20のジハイドロカルビルアミノ基を表し、Tは無機または有機のカチオンを表し、(L−H)はブレンステッド酸を表す。)
化合物(C):下記化合物(C1)および(C2)からなる化合物群から選ばれる1種以上のボレート化合物
(C1):一般式T(BYで表されるボレート化合物
(C2):一般式(L−H)(BYで表されるボレート化合物
(式中、Bは3価の原子価状態のホウ素原子を表し、Y、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、それぞれ同一または相異なり、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜100のハイドロカルビル基、炭素原子数1〜100のハイドロカルビルシリル基、炭素原子数1〜100のアルコキシ基または炭素原子数2〜100のジハイドロカルビルアミノ基を表し、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つと、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つは、それぞれ一般式(U−H)(式中、UはO、S、NRまたはPRを表し、Rは、ハイドロカルビル基、トリハイドロカルビルシリル基、トリハイドロカルビルゲルミル基または水素を表す。)で表される活性水素部位を有する。Tは無機または有機のカチオンを表し、(L−H)はブレンステッド酸を表す。)
【0106】
化合物(A1)〜(A3)において、E、EおよびEにおける炭素原子数1〜8のハイドロカルビル基としては、例えば、炭素原子数1〜8のアルキル基などが挙げられ、炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。
【0107】
およびEは、電子吸引性基を含有するアルコキシ基または電子吸引性基を含有するアリーロキシ基であってもよい。電子吸引性の指標としては、ハメット則の置換基定数σ等が知られている。ハメット則の置換基定数σが正である官能基が電子吸引性基として挙げられる。
【0108】
電子吸引性基の具体例として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホン基、フェニル基等が挙げられる。
【0109】
およびEにおける、電子吸引性基を含有するアルコキシ基としては、例えば、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、ジクロロメトキシ基、ジブロモメトキシ基、ジヨードメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、トリブロモメトキシ基、トリヨードメトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、2,2,2−トリクロロエトキシ基、2,2,2−トリブロモエトキシ基、2,2,2−トリヨードエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、ペンタクロロエトキシ基、ペンタブロモエトキシ基、ペンタヨードエトキシ基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロポキシ基、2,2,3,3,3−ペンタブロモプロポキシ基、2,2,3,3,3−ペンタヨードプロポキシ基、ヘプタフルオロプロポキシ基、ヘプタクロロプロポキシ基、ヘプタブロモプロポキシ基、ヘプタヨードプロポキシ基、2,2,2−トリフルオロ−1−トリフルオロメチルエトキシ基、2,2,2−トリクロロ−1−トリクロロメチルエトキシ基、2,2,2−トリブロモ−1−トリブロモメチルエトキシ基、2,2,2−トリヨード−1−トリヨードメチルエトキシ基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ基、1,1−ビス(トリクロロメチル)−2,2,2−トリクロロエトキシ基、1,1−ビス(トリブロモメチル)−2,2,2−トリブロモエトキシ基、1,1−ビス(トリヨードメチル)−2,2,2−トリヨードエトキシ基、1H,1H−パーフルオロブトキシ基、1H,1H−パーフルオロペントキシ基、1H,1H−パーフルオロヘキサノキシ基、1H,1H−パーフルオロオクタノキシ基などが挙げられる。好ましくは、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ基などが挙げられる。
【0110】
およびEにおける、電子吸引性基を含有するアリーロキシ基としては、例えば、2−フルオロフェノキシ基、3−フルオロフェノキシ基、4−フルオロフェノキシ基、2,3−ジフルオロフェノキシ基、2,4−ジフルオロフェノキシ基、2,5−ジフルオロフェノキシ基、2,6−ジフルオロフェノキシ基、3,4−ジフルオロフェノキシ基、3,5−ジフルオロフェノキシ基、2,3,4−トリフルオロフェノキシ基、2,3,5−トリフルオロフェノキシ基、2,3,6−トリフルオロフェノキシ基、2,4,5−トリフルオロフェノキシ基、2,4,6−トリフルオロフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、2,3,4,5−テトラフルオロフェノキシ基、2,3,4,6−テトラフルオロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロフェノキシ基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ基、2−クロロフェノキシ基、3−クロロフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、2,3−ジクロロフェノキシ基、2,4−ジクロロフェノキシ基、2,5−ジクロロフェノキシ基、2,6−ジクロロフェノキシ基、3,4−ジクロロフェノキシ基、3,5−ジクロロフェノキシ基、2,3,4−トリクロロフェノキシ基、2,3,5−トリクロロフェノキシ基、2,3,6−トリクロロフェノキシ基、2,4,5−トリクロロフェノキシ基、2,4,6−トリクロロフェノキシ基、3,4,5−トリクロロフェノキシ基、2,3,4,5−テトラクロロフェノキシ基、2,3,4,6−テトラクロロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラクロロフェノキシ基、2,3,4,5,6−ペンタクロロフェノキシ基、2,3,5,6−テトラクロロ−4−トリクロロメチルフェノキシ基、2−ブロモフェノキシ基、3−ブロモフェノキシ基、4−ブロモフェノキシ基、2,3−ジブロモフェノキシ基、2,4−ジブロモフェノキシ基、2,5−ジブロモフェノキシ基、2,6−ジブロモフェノキシ基、3,4−ジブロモフェノキシ基、3,5−ジブロモフェノキシ基、2,3,4−トリブロモフェノキシ基、2,3,5−トリブロモフェノキシ基、2,3,6−トリブロモフェノキシ基、2,4,5−トリブロモフェノキシ基、2,4,6−トリブロモフェノキシ基、3,4,5−トリブロモフェノキシ基、2,3,4,5−テトラブロモフェノキシ基、2,3,4,6−テトラブロモフェノキシ基、2,3,5,6−テトラブロモフェノキシ基、2,3,4,5,6−ペンタブロモフェノキシ基、2,3,5,6−テトラブロモ−4−トリブロモメチルフェノキシ基、2−ヨードフェノキシ基、3−ヨードフェノキシ基、4−ヨードフェノキシ基、2,3−ジヨードフェノキシ基、2,4−ジヨードフェノキシ基、2,5−ジヨードフェノキシ基、2,6−ジヨードフェノキシ基、3,4−ジヨードフェノキシ基、3,5−ジヨードフェノキシ基、2,3,4−トリヨードフェノキシ基、2,3,5−トリヨードフェノキシ基、2,3,6−トリヨードフェノキシ基、2,4,5−トリヨードフェノキシ基、2,4,6−トリヨードフェノキシ基、3,4,5−トリヨードフェノキシ基、2,3,4,5−テトラヨードフェノキシ基、2,3,4,6−テトラヨードフェノキシ基、2,3,5,6−テトラヨードフェノキシ基、2,3,4,5,6−ペンタヨードフェノキシ基、2,3,5,6−テトラヨード−4−トリブロモメチルフェノキシ基などが挙げられる。好ましくは、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ基などが挙げられる。
【0111】
一般式 (EAl(G)3−aで表される有機アルミニウム化合物(A1)としては、例えば、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムクロライド、アルキルアルミニウムジクロライド、ジアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられ、トリアルキルアルミニウムとしては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウムなどが挙げられ、ジアルキルアルミニウムクロライドとしては、例えば、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジプロピルアルミニウムクロライド、ジイソブチルアルミニウムクロライド、ジヘキシルアルミニウムクロライドなどが挙げられ、アルキルアルミニウムジクロライドとしては、例えば、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、プロピルアルミニウムジクロライド、イソブチルアルミニウムジクロライド、ヘキシルアルミニウムジクロライドなどが挙げられ、ジアルキルアルミニウムハイドライドとしては、例えば、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジヘキシルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0112】
式 {−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン(A2)又は式 E{−Al(E)−O−}AlEで表される構造を有する線状のアルミノキサン(A3)におけるE及びEとしては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、ノルマルペンチル基及びネオペンチル基等のアルキル基、トリフルオロメトキシ基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエトキシ基などの電子吸引性基を含有するアルコキシ基、4−フルオロフェノキシ基、3,4,5−トリフルオロフェノキシ基、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェノキシ基などの電子吸引性基を含有するアリーロキシ基があげられる。bは2以上の整数であり、cは1以上の整数である。好ましくは、E及びEはそれぞれ独立にメチル基、イソブチル基、又は3,4,5−トリフルオロフェノキシ基であり、bは2〜40であり、cは1〜40である。
【0113】
上記のアルミノキサンは各種の方法で作られる。その方法については特に制限はなく、公知の方法に準じて作ればよい。例えば、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を適当な有機溶剤(ベンゼン、脂肪族ハイドロカルビルなど)に溶かした溶液を水と接触させて作る。また、トリアルキルアルミニウム(例えば、トリメチルアルミニウムなど)を結晶水を含んでいる金属塩(例えば、硫酸銅水和物など)に接触させて作る方法、およびこのようにして得られた化合物を電子吸引性基を含有するアルコール、電子吸引性基を含有するフェノールを接触させて作る方法が例示できる。
【0114】
化合物(B1)〜(B3)において、Q、Q、Q、Q、Q、Q、Q、Q、Q、Q10およびQ11は、好ましくは、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基である。Tにおける無機のカチオンとしては、例えば、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが挙げられ、有機のカチオンとしては、例えば、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。(BQおよび(BQ1011としては、例えば、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボレート、テトラキス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリス(ペンタフルオロフェニル)ボレ−ト、テトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどが挙げられる。ブレンステッド酸である(L−H)としては、例えば、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられる。
【0115】
一般式 BQで表されるホウ素化合物(B1)としては、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4,5−テトラフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,4,5−トリフルオロフェニル)ボラン、トリス(2,3,4−トリフルオロフェニル)ボラン、フェニルビス(ペンタフルオロフェニル)ボランなどが挙げられる。
【0116】
一般式T(BQで表されるボレート化合物(B2)としては、例えば、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1,1’−ビス−トリメチルシリルフェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、銀テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルメチルテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレートなどを挙げられる。
【0117】
一般式(L−H)(BQ1011で表されるボレート化合物(B3)としては、例えば、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ビス−トリメチルシリルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ビス−トリメチルシリルアニリニウムテトラキス(3,5−ビストリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(ビス−トリメチルシリルフェニル)ホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0118】
化合物(C1)〜(C2)において、Y、Y、Y、Y、Y、Y、YおよびYは、好ましくは、ハロゲン原子またはハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜100のハイドロカルビル基であり、Y、Y、YおよびYの少なくとも一つおよびY、Y、YおよびYの少なくとも一つは、それぞれ一般式(U−H)(式中、UはO、S、NRまたはPRを表し、Rは、ヒドロカルビル基、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルミル基または水素を表す。)で表される活性水素部位を有する。Tは無機または有機のカチオンを表し、(L−H)はブレンステッド酸を表す。)。Tにおける無機のカチオンとしては、例えば、フェロセニウムカチオン、アルキル置換フェロセニウムカチオン、銀陽イオンなどが挙げられ、有機のカチオンとしては、例えば、トリフェニルメチルカチオンなどが挙げられる。(BY1234および(BYとしては、例えば、
トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオロメチル−フェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシシクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−(4’−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレートなどが挙げられ、好ましくは、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレートである。他の好ましいアニオンは、ヒドロキシ官能基がアミノNHR官能基によって置換されている上記のボレートである。ただしRは好ましくはメチル、エチル又はt−ブチルである。
ブレンステッド酸である(L−H)としては、例えば、トリアルキル置換アンモニウム、N,N−ジアルキルアニリニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアリールホスホニウムなどが挙げられる。
【0119】
一般式T(BYで表されるボレート化合物(C1)としては、例えば、フェロセニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、銀トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニルメチルトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0120】
一般式(L−H)(BYで表されるボレート化合物(C2)としては、例えば、トリエチルアンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(ノルマルブチル)アンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、ジイソプロピルアンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート、などが挙げられる。
【0121】
化合物(C)は、特表平11−503113に記載の方法に準拠して合成することができる。
【0122】
(担体)
担体としては、多孔質物質が好適に用いられ、無機物質または有機ポリマーがより好適に用いられ、無機物質がさらに好適に用いられる。
担体に用いられる無機物質の例としては、無機酸化物、マグネシウム化合物等が挙げられ、粘土、粘土鉱物、およびゼオライト等も使用可能である。これらは混合して用いてもかまわない。
【0123】
担体に用いられる無機酸化物の具体例としては、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等、およびこれらの混合物、例えば、SiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgOなどを例示することができる。これらの無機酸化物の中では、SiO、Alが好ましく、SiOがより好ましい。なお、上記無機酸化物は少量のNaCO、KCO、CaCO、MgCO、NaSO、Al(SO、BaSO、KNO、Mg(NO、Al(NO、NaO、KO、LiO等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有してもかまわない。
【0124】
また、無機酸化物には通常、表面に水酸基が存在しているが、無機酸化物としてはその表面水酸基の活性水素を種々の置換基で置換した改質無機酸化物を使用してもよい。該置換基としては、置換基はシリル基が好ましい。改質無機酸化物として具体的には、トリメチルクロロシランやtert−ブチルジメチルクロロシラン等のトリアルキルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン等のトリアリールクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のジアルキルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン等のジアリールジクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のアルキルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン等のアリールトリクロロシラン、トリメチルメトキシシラン等のトリアルキルアルコキシシラン、トリフェニルメトキシシラン等のトリアリールアルコシキシラン、ジメチルジメトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のジアリールジアルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアリールトリアルコキシシラン、テトラメトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン等のアルキルジシラザン、テトラクロロシランなどと接触処理した無機酸化物が挙げられる。
【0125】
担体に用いられるマグネシウム化合物としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムなどのアルコキシマグネシウムハライド; フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムなどのアリロキシマグネシウムハライド; エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n−オクトキシマグネシウム、2−エチルヘキソキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムなどのアリロキシマグネシウム;ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカルボン酸塩などを例示することができる。これらの中で好ましくは、ハロゲン化マグネシウムまたはアルコキシマグネシウムであり、さらに好ましくは塩化マグネシウムまたはブトキシマグネシウムである。
【0126】
担体に用いられる粘土または粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、バイロフィライト、タルク、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト等が挙げられる。これらの中で好ましくは、スメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ラポナイトまたはサポナイトであり、さらに好ましくはモンモリロナイトまたはヘクトライトである。
【0127】
担体に用いられるゼオライトとしては、CFI、AFI、MAZ、AET、DON、FAU、CLO、VFI、ABW、ACO、AEI、AEL、AEN、AFG、AFN、AFO、AFR、AFS、AFT、AFX、AFY、AHT、ANA、APC、APD、AST、ASV、ATN、ATO、ATS、ATT、ATV、AWO、AWW型のゼオライトなどが例示される。
【0128】
担体に用いられる無機物質としては、無機酸化物が好ましい。
【0129】
担体に用いられるこれらの無機物質としては、加熱処理により乾燥させたものが好ましく用いられる。該加熱処理の温度は、通常100〜1500℃であり、好ましくは100〜1000℃であり、さらに好ましくは200〜800℃である。該加熱処理の時間は特に限定されるものではないが、好ましくは10分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。該加熱処理の方法としては、無機物質を加熱した上で、例えば、乾燥された不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で数時間以上流通させる方法、あるいは、数時間減圧する方法等が挙げられるが、その方法は限定されることはない。
【0130】
無機物質からなる担体の平均粒子径は、好ましくは5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmであり、さらに好ましくは10〜100μmである。無機物質からなる担体の細孔容量は、好ましくは0.1ml/g以上であり、より好ましくは0.3〜10ml/gである。無機物質からなる担体の比表面積は、好ましくは10〜1000m/gであり、より好ましくは100〜500m/gである。
【0131】
担体に用いられる有機ポリマーとしては、特に制限はなく、また2種以上の有機ポリマーを混合物として用いても構わない。活性水素を有する基および/または非プロトン供与性のルイス塩基性基を有する重合体が好ましい。
【0132】
活性水素を有する基としては、活性水素を有しておれば特に制限はなく、具体例としては1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、ヒドラジド基、アミジノ基、ヒドロキシ基、ヒドロペルオキシ基、カルボキシル基、ホルミル基、カルバモイル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン酸基、チオール基、チオホルミル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピペリジル基、インダゾリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシ基、ホルミル基、カルボキシル基、スルホン酸基またはチオール基である。特に好ましくは、1級アミノ基、2級アミノ基、アミド基またはヒドロキシ基である。なお、これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されていてもよい。
【0133】
非プロトン供与性のルイス塩基性基としては、活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する基であれば特に制限はなく、具体例としてはピリジル基、N−置換イミダゾリル基、N−置換インダゾリル基、ニトリル基、アジド基、N−置換イミノ基、N,N−置換アミノ基、N,N−置換アミノオキシ基、N,N,N−置換ヒドラジノ基、ニトロソ基、ニトロ基、ニトロオキシ基、フリル基、カルボニル基、チオカルボニル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、N,N−置換カルバモイル基、チオアルコキシ基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、置換スルホン酸基等が挙げられる。好ましくは、複素環基であり、さらに好ましくは、酸素原子および/または窒素原子を環内に有する芳香族複素環基であり、特に好ましくは、ピリジル基、N−置換イミダゾリル基またはN−置換インダゾリル基であり、最も好ましくはピリジル基である。なお、これらの基はハロゲン原子や炭素原子数1〜20のハイドロカルビル基で置換されていてもよい。
【0134】
重合体中のかかる活性水素を有する基および非プロトン供与性のルイス塩基性基の量としては、重合体単位グラム当りの該基のモル量は、好ましくは0.01〜50mmol/gであり、より好ましくは0.1〜20mmol/gである。
【0135】
かかる基を有する重合体は、例えば、活性水素を有する基および/または非プロトン供与性のルイス塩基性基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーを単独重合することにより、またはこれと重合性不飽和基を1個以上有する他のモノマーとを共重合することにより得ることができる。また、該他のモノマーの少なくとも1種に、重合性不飽和基を2個以上有する架橋重合性モノマーを用いることが好ましい。
【0136】
かかる活性水素を有する基および/または非プロトン供与性のルイス塩基性基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーとしては、上記の活性水素を有する基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマー、上記の活性水素原子を有しないルイス塩基部分を有する基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーなどを挙げることができる。かかる重合性不飽和基の例としては、ビニル基、アリル基等のアルケニル基;エチン基等のアルキニル基等が挙げられる。
【0137】
活性水素を有する基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーの例としては、ビニル基含有1級アミン、ビニル基含有2級アミン、ビニル基含有アミド化合物、ビニル基含有ヒドロキシ化合物等を挙げることができる。具体例としては、N−(1−エテニル)アミン、N−(2−プロペニル)アミン、N−(1−エテニル)−N−メチルアミン、N−(2−プロペニル)−N−メチルアミン、1−エテニルアミド、2−プロペニルアミド、N−メチル−(1−エテニル)アミド、N−メチル−(2−プロペニル)アミド、ビニルアルコール、2−プロペン−1−オール、3−ブテン−1−オール等が挙げられる。
【0138】
非プロトン供与性のルイス塩基性基と1個以上の重合性不飽和基とを有するモノマーの具体例としては、ビニルピリジン、ビニル(N−置換)イミダゾール、ビニル(N−置換)インダゾール等を挙げることができる。
【0139】
重合性不飽和基を1個以上有する他のモノマーとしては、オレフィン、芳香族ビニル化合物等が例示され、具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、スチレンなどが挙げられる。好ましくはエチレンまたはスチレンである。これらのモノマーは2種以上を用いてもよい。また、重合性不飽和基を2個以上有する架橋重合性モノマーの具体例としては、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0140】
有機ポリマーからなる担体の平均粒子径は、好ましくは5〜1000μmであり、より好ましくは10〜500μmである。有機ポリマーからなる担体の細孔容量は、好ましくは0.1ml/g以上であり、より好ましくは0.3〜10ml/gである。有機ポリマーからなる担体の比表面積は、好ましくは10〜1000m/gであり、より好ましくは50〜500m/gである。
【0141】
担体に用いられるこれらの有機ポリマーとしては、加熱処理により乾燥させたものが好ましく用いられる。該加熱処理の温度は、通常30〜400℃であり、好ましくは50〜200℃であり、さらに好ましくは70〜150℃である。該加熱処理の時間は特に限定されるものではないが、好ましくは10分間〜50時間、より好ましくは1時間〜30時間である。該加熱処理の方法としては、有機ポリマーを加熱した上で、例えば、乾燥された不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン等)を一定の流速で数時間以上流通させる方法、あるいは、数時間減圧する方法等が挙げられるが、その方法は限定されることはない。
【0142】
担体の粒径の体積基準の幾何標準偏差は、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.0以下であり、さらに好ましくは1.7以下である。
【0143】
担体としては、無機物質が好ましく、さらに無機酸化物が好ましく、SiOがもっとも好ましい。
【0144】
(オレフィンオリゴマー化用触媒)
本発明のオレフィンオリゴマー化用触媒とは、担体、一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される遷移金属錯体、および周期律表第13族の元素を含む活性化助触媒成分を接触して得られるものであり、オレフィンからオリゴメリゼーションによりα−オレフィンを製造でき、好ましくはエチレンから1−ヘキセンを選択的に製造することができる触媒である。
【0145】
本発明において、担体に、遷移金属錯体および活性化助触媒成分が担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒とは、溶媒中、担体、遷移金属錯体、および活性化助触媒成分を接触させた後、ろ過、デカンテーションまたは溶媒の減圧留去など、適当な処理を行って溶媒を除去し、固体の状態として得られる触媒のことを指す。
【0146】
反応器の壁や攪拌機への副生ポリマーの付着を抑制するために、遷移金属錯体および活性化助触媒成分が担体に担持された、オレフィンオリゴマー化用触媒を用いることが好ましい。さらに、1−ヘキセン合成の触媒活性を高めるためには、担体に活性化助触媒成分が担持された固体成分と遷移金属錯体とを、溶媒中で接触させた後、溶媒を除去して得られる担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒を用いることがより好ましい。
【0147】
以下、活性化助触媒成分として、活性化助触媒成分(A)および/または活性化助触媒成分(B)を用いる場合について説明する。
【0148】
本発明のオレフィンオリゴマー化用触媒は、担体、一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される遷移金属錯体、及び活性化助触媒成分(A)および/または化合物(B)を接触させることにより得られるが、この接触方法は、特に限定されるものではない。この時に、活性化助触媒成分(A)として、(A1)〜(A3)のうちの複数の成分を用いてもよい。
例えば、以下の接触方法が挙げられるが、好ましくは方法2である。
方法1:遷移金属錯体と、活性化助触媒成分(A)および/または(B)とを接触させた接触物に、担体を接触させる方法
方法2:活性化助触媒成分(A)および/または(B)と、担体とを接触させた接触物に、遷移金属錯体を接触させる方法
方法3:遷移金属錯体と担体とを接触させた接触物に、活性化助触媒成分(A)および/または(B)を接触させる方法
方法4:三成分を同時に接触させる方法
また、これらの接触の一部または全てを反応器中で行ってもよく、その際の投入順序は、特に限定されるものではない。
【0149】
溶媒中で、担体、遷移金属錯体、及び活性化助触媒成分を接触させることが好ましい。溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族ハイドロカルビル、ベンゼン、トルエン等の芳香族ハイドロカルビル、又はメチレンジクロライド等のハロゲン化ハイドロカルビルなどが例示される。かかる溶媒は単独もしくは2種以上を混合して用いることができ、その使用量は、担体1重量部にあたり、1〜200重量部が好ましく、3〜50重量部がさらに好ましい。
【0150】
担体、遷移金属錯体、及び活性化助触媒成分を接触させる際の温度は、通常、−30℃〜溶媒の沸点であり、好ましくは−10℃〜120℃である。反応時間は特に制限されることはない。
【0151】
担体、遷移金属錯体、及び活性化助触媒成分(A)を接触させる際の、各成分の比率は、担体100重量部にあたり、遷移金属錯体0.01〜20重量部、活性化助触媒成分(A)10〜300重量部、好ましくは担体100重量部にあたり遷移金属錯体0.05〜10重量部、活性化助触媒成分(A)20〜200重量部である。
【0152】
担体、遷移金属錯体、及び活性化助触媒成分(B)を接触させる際の、各成分の比率は、担体100重量部にあたりに対して、遷移金属錯体0.01〜20重量部、活性化助触媒成分(B)0.1〜60重量部、好ましくは遷移金属錯体0.05〜10重量部、活性化助触媒成分(B)0.2〜30重量部である。
【0153】
次に、活性化助触媒成分として、活性化助触媒成分(C)を用いる場合について説明する。
オレフィンオリゴマー化用触媒は、担体、遷移金属錯体、及び活性化助触媒成分(C)を接触させることにより得られるが、さらに活性化助触媒成分(A)を併用する方法が好ましい。この接触方法は、特に限定されるものではない。この時に、活性化助触媒成分(A)として、(A1)〜(A3)のうちの複数の成分を用いてもよい。担体、遷移金属錯体、活性化助触媒成分(C)及び活性化助触媒成分(A)を同時に接触させてもよく、それらの内の任意の2つの成分を予め接触させて、その後、残りの2つの成分を任意の順序で、または予め接触させてから、接触させてもよく、それらの内の任意の3つの成分を予め接触させて、その後、もう一つの成分を接触させてもよく、それらの内の各成分を任意の順序で接触させてもよい。
例えば、以下の接触方法が挙げられる。
方法5:活性化助触媒成分(A)と担体とを接触させた接触物に、活性化助触媒成分(C)を接触させ、さらに遷移金属錯体を接触させる方法
方法6:活性化助触媒成分(A)と活性化助触媒成分(C)とを接触させた接触物に、担体を接触させ、さらに遷移金属錯体を接触させる方法
方法7:担体と活性化助触媒成分(A)とを接触させた接触物に、遷移金属錯体を接触させ、さらに活性化助触媒成分(C)を接触させる方法
方法8:担体と活性化助触媒成分(A)とを接触させた接触物に、活性化助触媒成分(C)を接触させた後、遷移金属錯体を接触させる方法
好ましくは、方法6、方法7および方法8であり、より好ましくは方法6および方法8である。
また、これらの接触の一部または全てを反応器中で行ってもよく、その際の投入順序は、特に限定されるものではない。
【0154】
溶媒中で、担体、遷移金属錯体、活性化助触媒成分(A)、及び活性化助触媒成分(C)を接触させることが好ましい。溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族ハイドロカルビル、ベンゼン、トルエン等の芳香族ハイドロカルビル、又はメチレンジクロライド等のハロゲン化ハイドロカルビルなどが例示される。かかる溶媒は単独もしくは2種以上を混合して用いることができ、その使用量は、担体1重量部にあたり、1〜200重量部が好ましく、3〜50重量部がさらに好ましい。
【0155】
担体、遷移金属錯体、活性化助触媒成分(A)、及び活性化助触媒成分(C)を接触させる際の温度は、通常、−30℃〜溶媒の沸点であり、好ましくは−10℃〜120℃である。反応時間は特に制限されることはない。
【0156】
担体、遷移金属錯体、活性化助触媒成分(A)、及び活性化助触媒成分(C)を接触させる際の、各成分の比率は、担体100重量部にあたり、遷移金属錯体0.01〜20重量部、活性化助触媒成分(A)10〜300重量部、活性化助触媒成分(C)1〜30重量部、好ましくは遷移金属錯体0.05〜10重量部、活性化助触媒成分(A)20〜200重量部、活性化助触媒成分(C)2〜15重量部である。
【0157】
<α−オレフィンの製造方法>
本発明のα−オレフィンの製造方法とは、オレフィンオリゴマー化用触媒の存在下、オレフィンのオリゴマー化により2〜10量体を製造する方法であり、好ましくは、エチレンから3〜4量体を製造する方法であり、もっとも好ましくは、エチレンを三量化して1−ヘキセンを製造する方法である。
【0158】
エチレンのオリゴマー化反応は、特に限定されるものではないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族ハイドロカルビル、ベンゼン、トルエン等の芳香族ハイドロカルビル、又はメチレンジクロライド、クロロベンゼン等のハロゲン化ハイドロカルビルを溶媒として用いるオリゴマー化反応、又はスラリー状態でのオリゴマー化反応、又は、ガス状のエチレン中でのオリゴマー化反応等が可能である。
【0159】
エチレンのオリゴマー化反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれかの方法において行うことができる。
【0160】
エチレンの圧力は、通常、常圧〜10MPaであるが、好ましくは常圧〜5MPaの範囲である。
【0161】
エチレンのオリゴマー化反応の温度は、通常−50℃〜220℃の範囲を取り得る。好ましくは0℃〜170℃の範囲であり、より好ましくは50℃〜120℃の範囲である。
【0162】
エチレンのオリゴマー化反応の時間は、一般的に、目的とする反応装置により適宜決定されるが、通常、1分間〜20時間である。
【0163】
オリゴマー化反応を溶媒中で行う場合、触媒成分として使用する遷移金属錯体の濃度は、通常0.0001〜5ミリモル/リットルであり、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルである。活性化助触媒成分(A)の濃度は、アルミニウム原子換算で、通常0.01〜500ミリモル/リットルで、好ましくは、0.1〜100ミリモル/リットルである。活性化助触媒成分(B)の濃度は、通常0.0001〜5ミリモル/リットルであり、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルである。活性化助触媒成分(C)の濃度は、通常0.0001〜5ミリモル/リットルであり、好ましくは、0.001〜1ミリモル/リットルである。
【0164】
<オレフィン重合用触媒成分>
本発明のオリゴマー化用触媒をオレフィン重合用触媒成分と併用することにより、分岐を有するオレフィン重合体を製造することができる。オレフィン重合用触媒成分としては、オリゴマー化用触媒を被毒しなければどのようなものでも良く、多くの重合用触媒成分が使用可能である。例えば、チーグラーナッタ型の固体触媒成分、メタロセン錯体などを挙げることができ、メタロセン錯体の中でも、シクロペンタジエン環を1つ有し、かつ幾何拘束構造を有するメタロセン錯体、シクロペンタジエン環を2つ有するメタロセン錯体、シクロペンタジエン環を3つ有するメタロセン錯体などを挙げることができる。α―オレフィンの共重合性が高い、シクロペンタジエン環を1つ有し、かつ幾何拘束構造を有するメタロセン錯体やシクロペンタジエン環を2つ有するメタロセン錯体を、好ましい重合錯体として挙げることができる。さらに好ましい重合錯体としては、シクロペンタジエン環を1つ有し、かつ幾何拘束構造を有するメタロセン錯体と2つのシクロペンタジエン環が架橋されているメタロセン錯体を挙げることが出来る。
なお、オレフィン重合とは、オレフィンを重合体に変えることであり、当該重合体の分子量は、オリゴマーの分子量よりも大きく、一般に1万以上である。
【0165】
重合用触媒成分の具体例としては、例えば、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(tert−ブチルアミド)(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(tert−ブチルアミド)(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルアミド)(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、メチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロライドなどが挙げられ、好ましくは、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(フルオレニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(フルオレニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、メチレン(tert−ブチルアミド)(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(tert−ブチルアミド)(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルアミド)(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、メチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロライドであり、さらに好ましくは、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(テトラメチルシクロペンタジエニル)(3−tert−ブチル−5−メチル−2−フェノキシ)チタニウムジクロライド、ジメチルシリレン(tert−ブチルアミド)(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライドである。
【0166】
上記の重合用触媒成分は、活性化助触媒成分(A)および活性化助触媒成分(B)とあわせて用いることができる。
【0167】
上述のオレフィンオリゴマー化用触媒成分とオレフィン重合用触媒成分と併用した触媒の存在下、エチレンを重合することにより、エチレン系重合体を製造することができる。重合では、原料モノマーとしてエチレンのみを供給して重合を行ってもよく、エチレンと共重合可能なモノマーとエチレンとを供給して重合を行ってもよい。
【実施例】
【0168】
以下、参考例、実施例および比較例により本発明を説明する。
<遷移金属錯体の製造>
物性測定は次の方法で行った。
(1)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)
装置:日本電子社製 EX270
試料セル:5mmφチューブ
測定溶媒:CDCl
試料濃度:10mg/0.5mL(CDCl
測定温度:室温(約25℃)
測定パラメータ:5mmφプローブ、EXMOD NON、OBNUC 1H、積算回数16回以上
繰り返し時間:ACQTM 6秒、PD 1秒
内部標準:CDCl(7.26ppm)
【0169】
(2)カーボン核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)
装置:日本電子社製 EX270
試料セル:5mmφチューブ
測定溶媒:CDCl
試料濃度:30mg/0.5mL(CDCl
測定温度:室温(約25℃)
測定パラメータ:5mmφプローブ、EXMOD BCM、OBNUC 13C、積算回数256回以上
繰り返し時間:ACQTM 1.79秒、PD 1.21秒
内部標準:CDCl(77.0ppm)
【0170】
(3)質量スペクトル
[電子イオン化質量分析(EI−MS)]
装置:日本電子社製 JMS−T100GC
イオン化電圧:70eV
イオン源温度:230℃
加速電圧:7kV
MASS RANGE:m/z 35−800
【0171】
[参考例1]
「[1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド(以下、「錯体1」という。)の合成」
【0172】
「1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエンの合成」
窒素雰囲気下、ミネラルオイル中に分散した水素化ナトリウム(水素化ナトリウムとして0.49g、20.45mmol)、テトラヒドロフラン(23mL)を加えた。この混合物を50℃に昇温し、アニリン(0.13g、1.36mmol)を加え、50℃で1時間攪拌した。ここに1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタ−1,3−ジエン(1.83g、15.00mmol)をテトラヒドロフラン(6mL)に溶解させた溶液を滴下し、50℃で3時間半攪拌した。これを0℃に冷却し、この溶液にクロロトリス(3,5−ジメチルフェニル)シラン(5.17g、13.64mmol)をトルエン(6mL)に溶解させた溶液を滴下し、室温で3時間攪拌した後、50℃で22時間攪拌した。得られた混合物を0℃で10%炭酸ナトリウム水溶液(40mL)に滴下した。トルエン(50mL)を加えて分液し、油相を水(50mL)で2回洗浄し、さらに飽和食塩水(50mL)で洗浄した。油相を硫酸ナトリウムで乾燥した後、濾過して溶媒を減圧下で濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製後、得られた固体に50℃のヘキサンを加えて濾過することにより不溶物を除去し、濾液から溶媒を減圧下で濃縮した。得られた固体を少量のヘキサンで洗浄した後、減圧乾燥することにより、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエンを得た(1.49g、収率23.4%)。
H−NMR(CDCl、δppm):1.54(s、6H)、1.60(s、6H)、2.27(s、18H)、3.73(s、1H)、6.98(s、3H)、7.17(s、6H)
質量スペクトル(EI−MS、m/z):464(M
【0173】
「錯体1の合成」
窒素雰囲気下、1−トリス(3,5−ジメチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエン(0.93g、2.00mmol)、トリエチルアミン(1.01g、10.00mmol)のトルエン溶液(20mL)に、−78℃でn−ブチルリチウムの1.67Mヘキサン溶液(1.32mL、2.20mmol)を滴下し、徐々に室温まで昇温させた後、室温で5時間攪拌した。得られた混合物を−78℃になるまで冷却し、同温度で四塩化チタン(0.42g、2.20mmol)をトルエン(2mL)に溶解させた溶液を滴下した。徐々に室温まで昇温させた後、室温で終夜攪拌した。反応後、溶媒を減圧下で濃縮した後、残渣にヘプタンを加えて濾過することにより不溶物を除去し、濾液から溶媒を減圧下で濃縮した。さらに、得られた残渣にジエチルエーテルを加えて濾過することにより不溶物を除去し、濾液から溶媒を減圧下で濃縮した。ペンタンを加え−20℃に冷却し、得られた固体を濾過して少量のペンタンで洗浄した後、減圧乾燥することにより、錯体1(0.03g、収率2.7%)をオレンジ色固体として得た。
H−NMR(CDCl、δppm):2.03(s、6H)、2.27(s、18H)、2.36(s、6H)、7.06(s、3H)、7.20(s、6H)
13C−NMR(CDCl、δppm):14.52、17.83、21.41、131.63、132.93、134.60、137.03、142.26、146.34
質量スペクトル(EI−MS、m/z):616(M
【0174】
<1−ヘキセンの製造>
(1)1−ヘキセン活性
ガスクロマトグラフィー(島津GC−2010、DB−1カラム)を用いて分析した。
(2)ファウリング状態の評価
ファウリング状態の評価は、反応後にオートクレーブを開放し、攪拌翼に付着する不定形の固体付着量から判断した。攪拌翼全面に不定形の固体が付着した状態(×)、攪拌翼の一部(半分以上)に不定形の固体が付着した状態(△)、攪拌翼の一部(半分以下)に不定形の固体が付着した状態(○)、攪拌翼に不定形の固体の付着がほとんど認められない状態(◎)に分けて判定した。結果を表1に示す。
【0175】
[参考例(SiO/MAO調製例)]
窒素雰囲気下、乾燥したシリカ1g(デビソン社製 Sylopol948;50%体積平均粒子径=55μm;細孔容量=1.67ml/g;比表面積=325m2/g)を200mLフラスコに秤量し、これに脱水トルエン15mLを添加した。氷浴で0℃に冷却した後、トルエンで希釈した3.5mol/L MAO(東ソー社製)5.0mL(17.5mmol)をゆっくり30分かけて攪拌しながら滴下漏斗を用いて添加した。滴下後、95℃に昇温し、4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、上澄み液をデカンテーションにより除去した。さらにこれにトルエン15mLを添加して攪拌し、この後静置して再度上澄み液をデカンテーションで除去した。この洗浄操作を3回行い、最後に100℃で1時間減圧乾燥して目的の固体(SiO/MAOということもある。)を得た。収量は1.2gであり、元素分析(重量%)の結果、Si:24%であり、Al:19%であった。
【0176】
[実施例1]
減圧乾燥後、窒素で置換した0.4リットルの攪拌機付きオートクレーブに、トルエンを90mL、濃度が0.93mmol/mLであるトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン溶液2.2mLを仕込み、系内の温度を80℃まで昇温した後、エチレンを2.0MPaまで導入し、系内を安定させた。これに、錯体1のトルエン溶液(1μmol/mL)1.0mLを投入し、続いて参考例で得られたSiO/MAO 95.3mgを投入した。反応中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、80℃で30分反応し、エタノールを2.0mL投入して反応を停止した。その後、エチレンをパージして、オートクレーブ内の内容物をエタノール−塩酸で脱灰し、ろ過した。1−ヘキセンが1.8×10g/mol錯体/hの活性で得られ、重合体が0.21×10g/mol錯体/hの活性で得られた。
【0177】
[実施例2]
窒素雰囲気下、フラスコにトルエン5mLを添加し、錯体1 2.5μmol及び参考例で得られたSiO/MAO 247mgを添加し、5分間攪拌した。溶媒トルエンを減圧留去することにより、担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒を得た。
減圧乾燥後、窒素で置換した0.4リットルの攪拌機付きオートクレーブに、トルエンを90mL、濃度が0.93mmol/mLであるトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン溶液2.2mLを仕込み、系内の温度を80℃まで昇温した後、エチレンを2.0MPaまで導入し、系内を安定させた。これに、上記で得られた担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒152mgを投入した。反応中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、80℃で30分反応し、エタノールを2.0mL投入して反応を停止した。その後、エチレンをパージして、オートクレーブ内の内容物をエタノール−塩酸で脱灰し、ろ過した。1−ヘキセンが2.01×10g/mol錯体/hの活性で得られ、重合体が0.34×10g/mol錯体/hの活性で得られた。
【0178】
[実施例3]
窒素雰囲気下、フラスコにトルエン5mLを添加し、[1−トリス(3,5−ジエチルフェニル)シリル−2,3,4,5−テトラメチルシクロペンタジエニル]チタニウムトリクロライド(以下、「錯体2」という。) 2μmol及び参考例で得られたSiO/MAO 183mgを添加し、5分間攪拌した。溶媒トルエンを減圧留去することにより、担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒を得た。
減圧乾燥後、窒素で置換した0.4リットルの攪拌機付きオートクレーブに、トルエンを90mL、濃度が0.93mmol/mLであるトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン溶液2.2mLを仕込み、系内の温度を80℃まで昇温した後、エチレンを2.0MPaまで導入し、系内を安定させた。これに、上記で得られた担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒120mgを投入した。反応中は全圧を一定に維持するようにエチレンガスを連続的に供給しながら、80℃で30分反応し、エタノールを2.0mL投入して反応を停止した。その後、エチレンをパージして、オートクレーブ内の内容物をエタノール−塩酸で脱灰し、ろ過した。1−ヘキセンが2.02×10g/mol錯体/hの活性で得られ、重合体が0.48×10g/mol錯体/hの活性で得られた。
【0179】
[実施例4]
窒素雰囲気下、フラスコにトルエン5mLを添加し、錯体2 0.2μmol及び参考例で得られたSiO/MAO 210mgを添加し、5分間攪拌した。溶媒トルエンを減圧留去することにより、担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒を得た。
減圧乾燥後、窒素で置換した0.4リットルの攪拌機付きオートクレーブに、トルエンを90mL、濃度が0.93mmol/mLであるトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン溶液2.2mLを仕込み、系内の温度を40℃まで昇温した後、エチレンを2.0MPaまで導入し、系内を安定させた。これに、上記で得られた担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒132mgを投入した。反応中は全圧を一定に維持するようにエチレンガスを連続的に供給しながら、40℃で60分反応し、エタノールを2.0mL投入して反応を停止した。その後、エチレンをパージして、オートクレーブ内の内容物をエタノール−塩酸で脱灰し、ろ過した。1−ヘキセンが27.9×10g/mol錯体/hの活性で得られ、重合体が2.46×10g/mol錯体/hの活性で得られた。
【0180】
[実施例5]
窒素雰囲気下、フラスコにトルエン5mLを添加し、錯体1 0.2μmol及び参考例で得られたSiO/MAO 194mgを添加し、5分間攪拌した。溶媒トルエンを減圧留去することにより、担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒を得た。
減圧乾燥後、窒素で置換した0.4リットルの攪拌機付きオートクレーブに、トルエンを90mL、濃度が0.93mmol/mLであるトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン溶液2.2mLを仕込み、系内の温度を40℃まで昇温した後、エチレンを2.0MPaまで導入し、系内を安定させた。これに、上記で得られた担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒106mgを投入した。反応中は全圧を一定に維持するようにエチレンガスを連続的に供給しながら、40℃で60分反応し、エタノールを2.0mL投入して反応を停止した。その後、エチレンをパージして、オートクレーブ内の内容物をエタノール−塩酸で脱灰し、ろ過した。1−ヘキセンが38.1×10g/mol錯体/hの活性で得られ、重合体が2.56×10g/mol錯体/hの活性で得られた。
【0181】
[実施例6]
窒素雰囲気下、フラスコにトルエン5mLを添加し、錯体1 2μmol及び参考例で得られたSiO/MAO 220mgを添加し、5分間攪拌した。溶媒トルエンを減圧留去することにより、担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒を得た。
減圧乾燥後、窒素で置換した0.4リットルの攪拌機付きオートクレーブに、ヘプタンを90mL、濃度が0.93mmol/mLであるトリイソブチルアルミニウム(TIBA)のヘキサン溶液2.2mLを仕込み、系内の温度を80℃まで昇温した後、エチレンを2.0MPaまで導入し、系内を安定させた。これに、上記で得られた担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒123mgを投入した。反応中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、80℃で30分反応し、エタノールを2.0mL投入して反応を停止した。その後、エチレンをパージして、オートクレーブ内の内容物をエタノール−塩酸で脱灰し、ろ過した。1−ヘキセンが2.28×10g/mol錯体/hの活性で得られ、重合体が1.45×10g/mol錯体/hの活性で得られた。
【0182】
[実施例7]
窒素雰囲気下、フラスコにトルエン5mLを添加し、錯体1 2μmol及び参考例で得られたSiO/MAO 220mgを添加し、5分間攪拌した。溶媒トルエンを減圧留去することにより、担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒を得た。
5Lのオートクレーブに乾燥したNaCl 50gを入れ、オートクレーブ内をアルゴンで置換した。内部温度を40℃に調整し、エチレン圧が2MPaとなるようにオートクレーブ内にエチレンを供給した。次に、オートクレーブ内にトリイソブチルアルミニウム1mmolを添加し、上記で得られた担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒118mgを添加し、40℃で60分間気相重合を行った。反応後、オートクレーブ内にエタノールを添加して反応を停止させ、オートクレーブ内の温度を室温まで冷却し、さらにトルエン60mLを加圧投入した。脱圧した後オートクレーブを開放し、系内に残留したトルエン溶液をガスクロマトグラフィーにより分析した。さらに、NaClと重合体の混合物を取り出し、当該混合物に水を添加してNaClを除去し、得られた固体を加熱乾燥した後に固体収量を測定した。その結果、1−ヘキセンが3.6×10g/mol錯体/hの活性で得られ、重合体が0.18×10g/mol錯体/hの活性で得られた。
【0183】
[比較例1]
減圧乾燥後、窒素で置換した0.4リットルの攪拌機付きオートクレーブに、トルエンを90mL、Al濃度が3.6mmol/mLであるメチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製 TMAO−s)0.35mLを仕込み、系内の温度を80℃まで昇温した後、エチレンを2.0MPaまで導入し、系内を安定させた。これに、錯体1のトルエン溶液(1μmol/mL)0.25mLを投入した。反応中は全圧を一定に維持するように、エチレンガスを連続的に供給しながら、80℃で60分反応し、エタノールを2.0mL投入して反応を停止した。その後、エチレンをパージして、オートクレーブ内の内容物をエタノール−塩酸で脱灰し、ろ過した。1−ヘキセンが16.9×10g/mol錯体/hの活性で得られ、重合体が0.65×10g/mol錯体/hの活性で得られた。
【0184】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体、周期律表第13族の元素を含む活性化助触媒成分、および下記一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される遷移金属錯体を接触して得られるオレフィンオリゴマー化用触媒。





[式中、Mは元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R24、R25、R26、R27、X、X及びXは、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R22(3つのR22はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR22にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R23(2つのR23はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR23にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、
10及びR11はそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R22(3つのR22はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR22にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R23(2つのR23はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR23にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、
またはR、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R12、R13、R14、R15及びR16のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R17、R18、R19、R20及びR21のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R24、R、R25及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R12、R26、R14、R27及びR16のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R10及びR11は結合してそれらが結合しているケイ素原子と一緒になって環を形成していてもよい。]
【請求項2】
担体に、下記一般式(1−1)〜(1−3)のいずれかで表される遷移金属錯体、および周期律表第13族の元素を含む活性化助触媒成分が担持されたオレフィンオリゴマー化用触媒。






[式中、Mは元素周期律表の第4族の遷移金属原子を表し、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R24、R25、R26、R27、X、X及びXは、それぞれ独立に、
水素原子、ハロゲン原子、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R22(3つのR22はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR22にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R23(2つのR23はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR23にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、
10及びR11はそれぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルコキシ基
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキル基、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数7〜20のアラルキルオキシ基、
−Si(R22(3つのR22はそれぞれ独立に、水素原子、ハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、3つのR22にある炭素原子数の合計が1〜20である。)で示される置換シリル基、
または−N(R23(2つのR23はそれぞれ独立にハイドロカルビル基またはハロゲン化ハイドロカルビル基を表し、2つのR23にある炭素原子数の合計が2〜20である。)で示される2置換アミノ基を表し、
またはR、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R、R、R及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R12、R13、R14、R15及びR16のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R17、R18、R19、R20及びR21のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R、R24、R、R25及びRのうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R12、R26、R14、R27及びR16のうち、隣接した2つの炭素原子に結合する2つの基は結合して、該2つの基が結合している2つの炭素原子と一緒になって環を形成していてもよく、R10及びR11は結合してそれらが結合しているケイ素原子と一緒になって環を形成していてもよい。]
【請求項3】
活性化助触媒成分が下記化合物(A)である、請求項1または2に記載のオレフィンオリゴマー化用触媒。
化合物(A):下記化合物(A1)、(A2)および(A3)からなる化合物群から選ばれる1種以上のアルミニウム化合物
(A1):一般式 (EAl(G)3−aで表される有機アルミニウム化合物
(A2):一般式 {−Al(E)−O−}で表される構造を有する環状のアルミノキサン
(A3):一般式 E{−Al(E)−O−}Al(Eで表される構造を有する線状のアルミノキサン
(式中、Eは、炭素原子数1〜8のハイドロカルビル基を表し、EおよびEは、それぞれ独立に、炭素原子数1〜8のハイドロカルビル基、電子吸引性基を含有するアルコキシ基または電子吸引性基を含有するアリーロキシ基を表し、Gは、水素原子またはハロゲン原子を表し、aは1〜3の整数を表し、bは2以上の整数を表し、cは1以上の整数を表す。Eが複数ある場合、複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。Gが複数ある場合、複数のGは互いに同じであっても異なっていてもよい。複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。複数のEは互いに同じであっても異なっていてもよい。)
【請求項4】
一般式(1−1)〜(1−3)におけるMがチタン原子である請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィンオリゴマー化用触媒。
【請求項5】
一般式(1−1)〜(1−3)におけるR、R、R及びRがメチル基である請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィンオリゴマー化用触媒。
【請求項6】
遷移金属錯体が一般式(1−3)で表される請求項1〜5のいずれかに記載のオレフィンオリゴマー化用触媒。
【請求項7】
一般式(1−3)におけるR24、R25、R26、R27、R18及びR20が、それぞれ独立に、
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基、または
ハロゲン原子を置換基として有していてもよい炭素原子数6〜20のアリール基
である請求項6に記載のオレフィンオリゴマー化用触媒。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のオレフィンオリゴマー化用触媒の存在下、オレフィンをオリゴマー化するα−オレフィンの製造方法。

【公開番号】特開2012−213765(P2012−213765A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−71303(P2012−71303)
【出願日】平成24年3月27日(2012.3.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】