オレフィンブロックインターポリマーの成形された織物品
多くの場合でバランスのとれた所望の特性の組合せを有する編織物組成が、今日見つかっている。該織物組成は、オレフィンブロックインターポリマー又は均一な分岐のエチレンポリマーの繊維或いはそれらの組合せを含む。この繊維は、該織物を成形できるような架橋の量により特徴付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
米国特許実務の目的において、2006年11月30日出願の米国特許仮出願第60/868,031号、及び2005年3月17日出願のPCT特許出願第PCT/US2005/008917号(Dow 63558D)、2006年3月15日出願の米国特許出願第11/376,873号(Dow 64405B)、及び2004年3月17日出願の米国特許仮出願第60/553,906号の内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、成形可能な改良された織物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景及び発明の概要
多くの異なる材料が、例えば、衣類用の編織物を作成する際に用いられている。多くの場合、そのような織物は、次の1又はそれ以上を含む、所望の特性の組合せを有することが望ましい。寸法安定性、ヒートセット特性、長さと幅の一方向又は両方向に伸縮可能に作成される能力、耐薬品性、耐熱性、耐摩擦性、靭性、他。また、そのような織物は、前述の特性の中の1又はそれ以上を有意に低下させることなく、手洗い又は機械洗いに耐えることができることが重要である場合が多い。さらに、不具合(例えば、繊維破断)が減少して処理量が増えることが望ましい場合もある。いくつかの衣料品用途(例えばブラジャー、水着、下着(intimate apparel)、等の衣類)には、編織物を成形することができる場合、すなわち織物の構造が大幅に膨張することなく、熱に付すと三次元成型に従う形状にする場合は、有益である。残念ながら、以前の材料は、多くの場合、1又はそれ以上の前述の特性の欠点に遭遇する。その上、以前の材料は、編む工程をいくつかの方法で制限し得る、例えば、アイレット方式(eyelet system)とは対照的に、プーリー供給方式(pulley grrfing system)により製造が制限され得る。
【発明の概要】
【0004】
多くの場合成形性を含む、所望の特性のバランスのとれた組合せを有する、改良された織物が現在見つかっている。これらの組成物はまた、いくつかの用途において改良された加工性を可能にすることができる。本発明の織物は、典型的に、弾性繊維を含む編織物である。弾性繊維は、少なくとも1種類のエチレンポリマーと少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含む。繊維は、該織物を成形できるような架橋の量により特徴付けられる。該エチレンポリマーは、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー、ここで、該エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、次の特徴の1又はそれ以上を有する。
(1)0よりも大きく約1.0以下の平均ブロックインデックス、及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mn、;又は
(2)TREFを用いて分画される場合に、該画分のブロックインデックスが少なくとも0.5であって約1以下であることにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子画分;又は
(3)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、Tmとdの数値は次の関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、に相当する);又は
(4)約1.7〜約3.5のMw/Mn、且つ、融解熱ΔH(J/g)、及び、最大DSCピークと最大CRYSTAFピークの温度差として規定されるデルタ量、ΔT(摂氏温度)により特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が次の関係、
0より大きく130J/g以下のΔHについて、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gより大きいΔHについて、ΔT≧48℃、を有し、
該CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、そのCRYSTAF温度は30℃であること;又は
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(%)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、該Re及びdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合に、次の関係、
Re>1481−1629(d)を満たす);又は
(6)TREFを用いて分画される場合に、該画分のコモノマーモル含量が、同じ温度間で溶離する比較対象となるランダムエチレンインターポリマーのコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いことにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分(ここで、該比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を有し、且つ、メルトインデックス、密度、及びエチレン/α−オレフィンインターポリマーの場合の10パーセント以内のコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する);又は
(7)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は約1:1〜約9:1である);或いは
(B)均一に分岐したエチレンポリマー;又は
(C)その混合物
である。
【0005】
上記(1)から(7)までのエチレン/α−オレフィンインターポリマーの特徴は、あらゆる有意な架橋の前の、すなわち架橋の前のエチレン/α−オレフィンインターポリマーに関して示される。本発明において有用なエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、通常所望の特性が得られる程度まで架橋される。架橋の前に測定される(1)から(7)までの特徴を用いて、該インターポリマーが架橋される必要がないことを示すためにいうものではなく、ただ、該特徴が有意な架橋がなされていないインターポリマーに関して判定されることをいう。架橋は、特定のポリマー及び架橋の程度に応じて、これらの特性の各々を変化させても変化させなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】伝統的なランダムコポリマー(丸印で表される)及びチーグラー・ナッタコポリマー(三角形で表される)と比較した、本発明のポリマー(菱形で表される)の融点/密度の関係を示す図である。
【図2】様々なポリマーに関するDSC融解エンタルピーの関数としてのデルタDSC−CRYSTAFのプロットを示す図である;正方形はポリマー実施例1〜4を表し;三角形はポリマー実施例5〜9を表し;さらに、円はポリマー実施例10〜19を表す。「X」の記号はポリマー実施例A*〜F*を表す。
【図3】本発明のインターポリマー(正方形及び円で表される)及び伝統的なコポリマー(様々なAFFINITY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyより入手可能)、三角形で表される)から作られた未延伸フィルムについての弾性回復への密度の作用を示す図である。正方形は本発明のエチレン/ブテンコポリマーを表し;円は本発明のエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図4】TREF分画されたエチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含量に対する、実施例5のポリマー(円で表される)及び比較例のポリマーE及びF(「X」の記号で表される)の画分のTREF溶離温度のプロットを示す図である。菱形は伝統的なランダムエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図5】TREF分画されたエチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含量に対する、実施例5のポリマー(曲線1)及び比較例F(曲線2)の画分の溶離温度のプロットを示す図である。正方形は実施例F*を表し;三角形は実施例5を表す。
【図6】比較例エチレン/1−オクテンコポリマー(曲線2)及びプロピレン/エチレン−コポリマー(曲線3)についての温度、及び連鎖シャトリング剤(chain shuttling agent)の量を違えて作成された本発明の2種類のエチレン/1−オクテンブロックコポリマー(曲線1)についての温度の関数とした、貯蔵弾性率の対数を示すグラフである。
【図7】TMA(1mm)に対する、いくつかの既知のポリマーと比較した、いくつかの本発明のポリマー(菱形で表される)の曲げ弾性率のプロットを示す図である。三角形は、様々なDow VERSIFY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyより入手可能)を表し;円は、様々なランダムエチレン/スチレンコポリマーを表し;且つ、正方形は様々なDow AFFINITY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyより入手可能)を表す
【図8】ブラジャー成形機の写真を示す図である。
【図9】雄型と雌型の部品の写真を示す図である。
【図10】成形機のマシンスキーム(machine scheme)を表す図である。
【図11】オレフィンブロックコポリマーに関してe−ビーム照射に対する、架橋パーセントのプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な説明
一般的定義
「繊維」とは、長さと直径の比が約10より大きい材料を意味する。繊維は、典型的にその直径に従って分類される。フィラメント繊維は、一般に個々の繊維径が1フィラメント当たり約15デニールより大きい、通常は約30デニールより大きいものとして定義される。細デニール繊維とは、一般に、直径が1フィラメント当たり約15デニールよりも小さい繊維を指す。マイクロデニール繊維は、一般に、直径が1フィラメント当たり約100ミクロンデニール未満の繊維として定義される。
【0008】
「フィラメント繊維」又は「モノフィラメント繊維」とは、規定の長さの材料の非連続ストランド(すなわち所定の長さのセグメントに切断されているか、そうでない場合は、分割されたストランド)である「ステープルファイバー」とは対照的に、不定の(すなわち予め決まっていない)長さの材料の連続するストランドを意味する。
【0009】
「弾性」とは、繊維が、100%歪み(2倍の長さ)への最初の引張りの後及び4回目の引張の後で、その伸長された長さの少なくとも約50パーセントを回復することを意味する。弾性はまた、繊維の「永久歪み」でも説明することができる。永久歪みは弾性の逆である。繊維を特定のポイントまで伸長させ、その後に伸長前の元の位置に開放させ、次に再び伸長させる。繊維が負荷を引っ張り始めるポイントを、パーセント永久歪みと呼ぶ。「弾性材料」はまた、当技術分野で「エラストマー」及び「エラストマー性」とも称される。弾性材料(弾性品と称される場合がある)としては、コポリマー自体、ならびに、限定されるものではないが、繊維、フィルム、ストリップ、テープ、リボン、シート、塗料、成形品、等の形態のコポリマーが挙げられる。好ましい弾性材料は繊維である。弾性材料は、硬化されていても未硬化であってもよく、照射されていても非照射であってもよく、且つ/又は架橋されていても未架橋であってもよい。
【0010】
「非弾性材料」とは、上に定義されるように弾性でない材料、例えば、繊維を意味する。
【0011】
「ホモフィル繊維(Homofil fiber)」とは、単一のポリマー領域又はドメインを有し、(バイコンポーネント繊維のように)他の任意な別個のポリマー領域を有さない繊維を意味する。
【0012】
「バイコンポーネント繊維」とは、2又はそれ以上の異なるポリマー領域又はドメインを有する繊維を意味する。バイコンポーネント繊維は、複合繊維又は多成分繊維としても公知である。ポリマーは通常相互に異なるが、2又はそれ以上の成分は同じポリマーを含んでよい。ポリマーは、バイコンポーネント繊維の断面にわたる実質的に異なる区域に配置され、通常バイコンポーネント繊維の長さに沿って連続的に伸びる。バイコンポーネント繊維の構成は、例えば、シース/コア配置(1種類のポリマーが別のポリマーに周囲を囲まれる)、サイド・バイ・サイド配置、パイ配置又は「アイランド・イン・ザ・シー(islands-in-the sea)」配置であってもよい。バイコンポーネント繊維は、米国特許第6,225,243号、同第6,140,442号、同第5,382,400号、同第5,336,552号、及び同第5,108,820号にさらに記載されている。
【0013】
「メルトブロー繊維」は、溶融した熱可塑性ポリマー組成物を、複数の微細な、通常は円形のダイキャピラリーを通じて、溶融したスレッド又はフィラメントとして、スレッド又はフィラメントを細くして直径を小さくするように機能する、収束する高速の気体流(例えば空気)へ押し出すことにより形成される繊維である。フィラメント又はスレッドは、高速気体流によって運ばれ、収集表面に堆積して平均径が一般に10ミクロンよりも小さな、ランダムに分散した繊維のウェブを形成する。
【0014】
「メルトスパン繊維」は、少なくとも1種類のポリマーを溶融させ、次に溶融物の繊維をダイの直径(又は他の断面の形)よりも小さな直径(又は他の断面の形)に延伸させることにより形成される繊維である。
【0015】
「スパンボンド繊維」は、溶融した熱可塑性ポリマー組成物をフィラメントとして、紡糸口金の複数の微細な、通常は円形のダイキャピラリーを通じて押出することにより形成される繊維である。押出されたフィラメントの直径は、急速に細くなり、次に、フィラメントは収集表面に堆積して平均径が一般に約7〜約30ミクロンのランダムに分散した繊維のウェブを形成する。
【0016】
「不織布」とは、個々の繊維又はスレッドがランダムに、しかし編織物の場合のように識別可能な方法で間に挟まれている(interlaid)構造を有するウェブ又は織物を意味する。本発明の実施形態に従う弾性繊維は、不織布構造ならびに非弾性材料と組み合わせた弾性不織布織物の複合構造を作製するために用いることができる。
【0017】
「糸」とは、織物又は編織物及び他の物品の製造において使用することのできる、連続した長さの撚った又は別の方法で絡み合ったフィラメントを意味する。複合糸は、典型的に従来型の被覆された糸又はコアスパン糸である。被覆された糸は、一種の複合糸であり、例えば、綿又は毛を含むフィラメント又は紡績糸を、繊維又は別の糸芯の周囲に巻きつけることにより作製される。コアスパン糸は、フィラメント芯又は既に紡糸した芯の周囲に芯を隠すために繊維を撚ることにより作製される。
【0018】
「ポリマー」とは、同じ種類か又は異なる種類のモノマーを重合させることにより作製された高分子化合物を意味する。総称「ポリマー」という総称には、用語「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」ならびに「インターポリマー」が包含される。
【0019】
「インターポリマー」とは、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合により作製されたポリマーを意味する。「インターポリマー」という総称には、用語「コポリマー」(通常、2種類の異なるモノマーから作製されたポリマーを指すために用いられる)ならびに用語「ターポリマー」(通常、3種類の異なるモノマーから作製されたポリマーを指すために用いられる)が含まれる。それは、4又はそれ以上の種類のモノマーを重合させることにより作られるポリマーも包含する。
【0020】
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」とは、一般に、エチレン及び3又はそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンを含むポリマーを指す。好ましくは、エチレンは、全ポリマーの過半数のモル分率を構成する、すなわち、エチレンは全ポリマーの少なくとも約50モルパーセントを構成する。より好ましくは、エチレンは少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、又は少なくとも約80モルパーセントを構成し、全ポリマーの実質的な残り部分は、好ましくは3又はそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンである少なくとも1種類の他のコモノマーを含む。多くのエチレン/オクテンコポリマーについて、好ましい組成物は、全ポリマーの約80モルパーセントより多くのエチレン含量と、全ポリマーの約10〜約15、好ましくは約15〜約20モルパーセントのオクテン含量を含む。いくつかの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーには、低収量で、又は微量に、又は化学工程の副生成物として製造されたものは含まれない。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、1又はそれ以上のポリマーとブレンドすることができるが、そのように製造されたエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、実質的に純粋であり、重合プロセスの反応生成物の主成分を構成する場合が多い。
【0021】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレンと、1又はそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメントにより特徴付けられる。つまり、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ブロックインターポリマー、好ましくは、マルチブロックインターポリマー又はコポリマーである。用語「インターポリマー」及び「コポリマー」は本明細書において同義的に用いられる。いくつかの実施形態では、マルチブロックコポリマーは、次式、
(AB)n
によって表すことができ、式中、nは少なくとも1、好ましくは、1よりも大きい整数、例えば2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又はそれ以上であり、「A」は、ハードブロックもしくはセグメントを表し、「B」は、ソフトブロックもしくはセグメントを表す。好ましくは、A群とB群は、実質的に分岐した、又は実質的に星型の様式とは対照的に、実質的に線形の様式で連結されている。他の実施形態では、AブロックとBブロックはポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。言い換えれば、ブロックコポリマーは、通常次のような構造を有さない。
AAA−AA‐BBB−BB
【0022】
さらに他の実施形態では、ブロックコポリマーは、通常、異なるコモノマー(1又は複数)を含む、第3の種類のブロックを有さない。さらに他の実施形態では、ブロックAとブロックBの各々は、そのブロック内に実質的にランダムに分布したモノマー又はコモノマーを有する。言い換えれば、ブロックAもブロックBも、別個の組成の2又はそれ以上の下位セグメント(又は下位ブロック)、例えばそのブロックの残部と実質的に異なる組成を有する先端セグメントを含まない。
【0023】
マルチブロックポリマーは、典型的に、様々な量の「ハード」及び「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントとは、エチレンが、ポリマーの重量に対して約95重量パーセントより多く、好ましくは約98重量パーセントより多くの量で存在する重合単位のブロックを指す。言い換えれば、ハードセグメント中のコモノマー含量(エチレン以外のモノマーの含量)は、ポリマーの重量に対して約5重量パーセント未満、好ましくは約2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態では、ハードセグメントは、全て又は実質的に全てのエチレンを含む。「ソフト」セグメントは、他方で、コモノマー含量(エチレン以外のモノマーの含量)が、ポリマーの重量に対して約5重量パーセントより多い、好ましくは約8重量パーセントより多い、約10重量パーセントより多い、又は約15重量パーセントより多い重合単位のブロックを指す。いくつかの実施形態では、ソフトセグメント中のコモノマー含量は、約20重量パーセントより多くでき、約25重量パーセントより多くでき、約30重量パーセントより多くでき、約35重量パーセントより多くでき、約40重量パーセントより多くでき、約45重量パーセントより多くでき、約50重量パーセントより多くでき、又は約60重量パーセントより多くできる。
【0024】
ソフトセグメントは、多くの場合、ブロックインターポリマー中に、ブロックインターポリマーの総重量の約1重量パーセント〜約99重量パーセントで存在でき、好ましくは、ブロックインターポリマーの総重量の約5重量パーセント〜約95重量パーセント、約10重量パーセント〜約90重量パーセント、約15重量パーセント〜約85重量パーセント、約20重量パーセント〜約80重量パーセント、約25重量パーセント〜約75重量パーセント、約30重量パーセント〜約70重量パーセント、約35重量パーセント〜約65重量パーセント、約40重量パーセント〜約60重量パーセント、又は約45重量パーセント〜約55重量パーセントで存在できる。反対に、ハードセグメントは、同様の範囲で存在できる。ソフトセグメント重量パーセント及びハードセグメント重量パーセントは、DSC又はNMRから得たデータに基づいて計算することができる。そのような方法及び計算は、Colin L.P. Shan、Lonnie Hazlittらの名で2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡される、標題「エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマー」、代理人整理番号385063999558の、同時出願の米国特許出願番号第11/376,835号に開示され、その開示内容は、参照により全文が本明細書に援用される。
【0025】
用語「結晶性」は、用いられる場合、示差走査熱量測定(DSC)又は同等の手法により判定する場合に一次転移又は結晶融点(Tm)を有するポリマーを指す。この用語は、用語「半結晶性」と同義的に用いられてもよい。用語「非晶質」とは、示差走査熱量測定(DSC)又は同等の手法により判定する場合に結晶融点を欠くポリマーを指す。
【0026】
用語「マルチブロックコポリマー」又は「セグメント化コポリマー」とは、好ましくは線形の様式で連結されている2又はそれ以上の化学的に別個の領域又はセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、つまり、重合したエチレン性官能基に関してペンダント式又はグラフト式ではなく末端と末端が結合された、化学的に区別される単位を含むポリマーを指す。好ましい実施形態では、ブロックは、その中に組み込まれているコモノマーの量又は種類、そのような組成のポリマーに帰する密度、結晶化度の量、結晶子サイズ、立体規則性の種類又は程度(アイソタクチック又はシンジオタクチック)、位置規則性又は位置不規則性、長鎖分岐又は超分岐を含む分岐の量、均質性、或いは任意の他の化学的又は物理的な特性の点で異なる。マルチブロックコポリマーは、該コポリマーを作成する特有の工程によって、両方の多分散指数(PDI又はMw/Mn)、ブロック長分布、及び/又はブロック数分布の特有の分布が特徴である。より具体的には、連続工程で製造された場合、ポリマーは、望ましくは1.7〜2.9、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.8〜2.2、最も好ましくは1.8〜2.1のPDIを有する。バッチ工程又は半バッチ工程で製造された場合、ポリマーは、1.0〜2.9、好ましくは1.3〜2.5、より好ましくは1.4〜2.0、最も好ましくは1.4〜1.8のPDIを有する。
【0027】
以下の記述において、本明細書に開示される全ての数字はそれに関連して「約」又は「およそ」という語が用いられているかどうかに関わらず近似値である。それらは1パーセント、2パーセント、5パーセント、又は、場合により、10〜20パーセント変動する可能性がある。下限RL及び上限RUを含む数値域が開示されているときには常に、その範囲内のあらゆる数字が具体的に開示される。特に、その範囲内の以下の数が具体的に開示される。R=RL+k*(RU−RL)、式中、kは1パーセントの増分で1パーセント〜100パーセントの範囲の変数である、すなわち、kは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント、・・・、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、又は100パーセントである。さらに、上記定義の2つのRの数によって定義される任意の数値域も具体的に開示される。
【0028】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー
本発明の実施形態で用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマー(「本発明のインターポリマー」又は「本発明のポリマー」とも称される)は、エチレンと、1又はそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位(ブロックインターポリマー)の複数のブロック又はセグメント、好ましくはマルチブロックコポリマーにより特徴付けられる。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、以下に記載されるような1又はそれ以上の態様により特徴付けられる。
【0029】
一態様では、本発明の実施形態で用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約1.7〜約3.5のMw/Mn及び少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)及び密度d(グラム/立法センチメートル)を有し、これら変数の数値は次の関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、好ましくは、
Tm≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)2、より好ましくは、
Tm≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)2
に相当する。
【0030】
そのような融点/密度の関係は図1に例示されている。融点が密度の低下とともに低下する、伝統的なエチレン/α−オレフィンのランダムコポリマーとは異なり、本発明のインターポリマー(菱形で表される)は、特に密度が約0.87g/cc〜約0.95g/ccの間である場合に、実質的に密度とは無関係の融点を示す。例えば、密度が0.875g/cc〜約0.945g/ccの範囲である場合、そのようなポリマーの融点は約110℃〜約130℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、密度が0.875g/cc〜約0.945g/ccの範囲である場合、そのようなポリマーの融点は約115℃〜約125℃の範囲内である。
【0031】
別の態様では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレンと1又はそれ以上のα−オレフィンを重合形態で含み、最大示差走査熱量測定(「DSC」)ピークの温度から最大結晶分析分別(「CRYSTAF」)ピークの温度を減算した温度として規定されるΔT(摂氏温度)、及び融解熱ΔH(J/g)により特徴付けられ、且つ、ΔT及びΔHは、次の関係、
130J/g以下のΔHについて、
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、より好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95
を満たす。
さらに、130J/gより大きいΔHについて、ΔTは48℃以上である。CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され(つまり、ピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを表すはずである)、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、そのCRYSTAF温度は30℃であり、ΔHは、J/gで表される融解熱の数値である。より好ましくは、最大CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも10パーセントを含む。図2は、本発明のポリマーならびに比較例のプロットされたデータを示す。積分されたピーク面積及びピーク温度は、機器製造業者より供給されるコンピュータ化された描画プログラムにより算出する。ランダムエチレンオクテン比較例ポリマーについて示される対角線は、方程式ΔT=−0.1299(ΔH)+62.81に相当する。
【0032】
さらにもう1つの態様では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、昇温溶離分別(「TREF」)を用いて分画される場合に40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、該画分は、同じ温度間で溶離する、比較対象となるランダムエチレンインターポリマーの場合よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高いコモノマーモル含量を有することにより特徴付けられ、ここで、比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を含み、且つ、該ブロックインターポリマーの場合の10パーセント以内のメルトインデックス、密度、及びコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する。好ましくは、比較対象となるインターポリマーのMw/Mnも、該ブロックインターポリマーの場合の10パーセント以内であり、且つ/又は比較対象となるインターポリマーの合計コモノマー含量は、該ブロックインターポリマーの場合の10パーセント以内である。
【0033】
さらに別の態様では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(%)により特徴付けられ、密度d(グラム/立法センチメートル)を有し、式中、Re及びdの数値はエチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合に、次の関係、
Re>1481−1629(d);好ましくは、
Re≧1491−1629(d);より好ましくは、
Re≧1501−1629(d);さらにより好ましくは、
Re≧1511−1629(d)
を満たす。
【0034】
図3は、特定の本発明のインターポリマー及び伝統的なランダムコポリマーから作られた未延伸フィルムについての弾性回復への密度の作用を示す。同じ密度について、本発明のインターポリマーは、実質的に高い弾性回復を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、10MPaを上回る引張り強さ、好ましくは11MPa以上の引張り強さ、より好ましくは13MPa以上の引張り強さ、及び/又は、11cm/分のクロスヘッド分離速度で少なくとも600パーセント、より好ましくは少なくとも700パーセント、非常に好ましくは少なくとも800パーセント、最も非常に好ましくは少なくとも900パーセントの破断点伸びを有する。
【0036】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、(1)1〜50、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の貯蔵弾性率比、G’(25℃)/G’(100℃);及び/又は(2)80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、特に60パーセント未満、50パーセント未満、又は40パーセント未満、0パーセントの圧縮永久歪みまでの、70℃圧縮永久歪みを有する。
【0037】
さらに他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、80パーセント未満、70パーセント未満、60パーセント未満、又は50パーセント未満の70℃圧縮永久歪みを有する。好ましくは、該インターポリマーの70℃圧縮永久歪みは、40パーセント未満、30パーセント未満、20パーセント未満であり、約0パーセントまで低下してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、85J/g未満の融解熱及び/又は100ポンド/フィート2(4800Pa)以下、好ましくは50ポンド/フィート2(2400Pa)以下、特に5ポンド/フィート2(240Pa)以下、及び0ポンド/フィート2(0Pa)に可能な限り近いペレットブロッキング強度を有する。
【0039】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも50モルパーセントのエチレンを重合形態で含み、80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満又は60パーセント未満、最も好ましくは40〜50パーセント未満の、さらにゼロパーセント近くまで下がった70℃圧縮永久歪みを有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、マルチブロックコポリマーは、ポアソン分布よりもシュルツ・フローリー分布に適合するPDIを有する。コポリマーは、多分散性ブロック分布及び多分散性のブロックサイズ分布の両方を有するものとしてさらに特徴付けられ、最もあり得るブロック長分布を有する。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端ブロックを含む4又はそれ以上のブロック又はセグメントを含有するコポリマーである。より好ましくは、コポリマーには、末端ブロックを含めて少なくとも5、10又は20のブロック又はセグメントが含まれる。
【0041】
コモノマー含量は、任意の適した手法を用いて測定されてもよいが、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術が好ましい。さらに、比較的広いTREF曲線を有するポリマー又はポリマーのブレンドには、ポリマーは、望ましくは最初にTREFを用いて、各々が10℃又はそれ以下の溶離温度範囲を有する画分に分画される。つまり、各々の溶離画分は、10℃又はそれ以下の収集温度枠を有する。この手法を用いて、該ブロックインターポリマーは、比較対象となるインターポリマーの対応する画分より高いコモノマーモル含量を有する、少なくとも1種類のそのような画分を有する。
【0042】
別の態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは、エチレンと1又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位(ブロック化されたインターポリマー)の複数のブロック(すなわち少なくとも2つのブロック)又はセグメント、最も好ましくはマルチブロックコポリマーにより特徴付けられ、該ブロックインターポリマーは、40℃〜130℃の間で溶離する(但し、個々の画分を収集及び/又は単離しない)ピーク(但し、単なる分子画分ではない)を有し、該ピークが、半値全幅(FWHM)面積計算を用いて拡大された場合に赤外線分光分析法により推定されるコモノマー含量を有すること、平均コモノマーモル含量が、同じ溶離温度の、半値全幅(FWHM)面積計算を用いて拡大された比較対象となるランダムエチレンインターポリマーピークの場合よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高いことにより特徴付けられ、ここで、該比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を有し、ブロック化されたインターポリマーの場合の10パーセント以内のメルトインデックス、密度、及びコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する。好ましくは、比較対象となるインターポリマーのMw/Mnも、ブロック化されたインターポリマーの場合の10パーセント以内であり、且つ/又は比較対象となるインターポリマーの総コモノマー含量は、ブロック化されたインターポリマーの場合の10重量パーセント以内である。半値全幅(FWHM)計算は、ATREF赤外線検出器からのメチル対メチレンの応答面積の比[CH3/CH2]に基づき、ここで、最大(最高)ピークはベースラインから特定され、次にFWHM面積が決定される。ATREFピークを用いて測定される分布について、FWHM面積はT1とT2との間の曲線下面積として規定され、ここで、T1とT2は、ピーク高さを2で除算し、次にATREF曲線の左部分及び右部分を横切る線をベースラインに対して水平に引くことにより、ATREFピークの左及び右に対して決定される点である。コモノマー含量についての検量線は、ランダムエチレン/α−オレフィンコポリマーを用いて、TREFピークのNMR対FWHM面積比からコモノマー含量をプロットして作成される。この赤外方法については、検量線は、目的とする同じコモノマーの種類について生成される。本発明のポリマーのTREFピークのコモノマー含量は、TREFピークのそのFWHMメチル:メチレン面積比[CH3/CH2]を用いて、この検量線を参照することによって決定することができる。
【0043】
コモノマー含量は、任意の適した手法を用いて測定されてもよく、核磁気共鳴(NMR)分光法に基づく手法が好ましい。この手法を用いて、該ブロック化されたインターポリマーは、対応する比較対象となるインターポリマーよりも高いコモノマーモル含量を有する。
【0044】
好ましくは、エチレン及び1−オクテンのインターポリマーに関して、ブロックインターポリマーは、40〜130℃の間で溶離するTREF画分のコモノマー含量を、(−0.2013)T+20.07の量以上、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量以上を有し、ここで、Tは、摂氏温度で測定される比較されるTREF画分のピーク溶離温度の数値である。
【0045】
図4は、エチレン及び1−オクテンのブロックインターポリマーの実施形態をグラフで表し、ここで、数種類の比較対象となるエチレン/1−オクテンインターポリマー(ランダムコポリマー)についてのコモノマー含量対TREF溶離温度のプロットは、(−0.2013)T+20.07(実線)を表す線に適合する。方程式(−0.2013)T+21.07についての線は破線で示される。本発明の数種類のブロックエチレン/1−オクテンインターポリマー(マルチブロックコポリマー)の画分についてのコモノマー含量も示される。ブロックインターポリマー画分は全て同等の溶離温度でいずれの線よりも有意に高い1−オクテン含量を有する。この結果は、本発明のインターポリマーの特徴であり、結晶性と非晶質性の両方の性質を有する、ポリマー鎖内の区別されるブロックの存在に起因すると考えられている。
【0046】
図5は、下に考察される実施例5及び比較例Fについてのポリマー画分のTREF曲線及びコモノマー含量をグラフで表す。両方のポリマーについて40〜130℃、好ましくは60℃〜95℃で溶離するピークを、各部分が10℃未満の温度範囲にわたって溶離する3つの部分に分画する。実施例5についての実際のデータは三角形で表される。当業者は、適切な検量線は、異なるコモノマーを含有するインターポリマーに対して作成することができ、同じモノマーの比較例のインターポリマー、好ましくは、メタロセン又は他の均一な触媒組成物を用いて作成されたランダムコポリマーから得られるTREF値に適合する線を比較として使用できることを理解し得る。本発明のインターポリマーは、同じTREF溶離温度で検量線から決定される値よりも多い、好ましくは少なくとも5パーセント多い、より好ましくは少なくとも10パーセント多い、コモノマーモル含量により特徴付けられる。
【0047】
上記の態様及び本明細書に記載される特性に加えて、本発明のポリマーは、1又はそれ以上のさらなる特徴により特徴付けることができる。一態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマー、好ましくは、エチレンと、1又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメント(ブロック化されたインターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーにより特徴付けられ、該ブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分画される場合、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、該画分が同じ温度間で溶離する、比較対象となるランダムエチレンインターポリマーの場合よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10、15、20又は25パーセント高いコモノマーモル含量を有することにより特徴付けられ、ここで、該比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を含み、好ましくは、それは同じコモノマー(1又は複数)であり、且つ、ブロック化されたインターポリマーの場合の10パーセント以内のメルトインデックス、密度、及びコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を含む。好ましくは、比較対象となるインターポリマーのMw/Mnも、ブロック化されたインターポリマーの場合の10パーセント以内であり、且つ/又は比較対象となるインターポリマーの総コモノマー含量は、ブロック化されたインターポリマーの場合の10重量パーセント以内である。
【0048】
好ましくは、上記のインターポリマーは、エチレンと少なくとも1種類のα−オレフィンのインターポリマー、特に、約0.855〜約0.935g/cm3の全ポリマー密度を有するそれらのインターポリマーであり、より特に、約1モルパーセントより多くのコモノマーを有するポリマーに関して、該ブロック化されたインターポリマーは、40℃〜130℃の間で溶離するTREF画分のコモノマー含量を、(−0.1356)T+13.89の量以上、より好ましくは、(−0.1356)T+14.93の量以上、最も好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量以上を有し、ここで、Tは、℃で測定される比較されるTREF画分のピークATREF溶離温度の数値である。
【0049】
好ましくは、エチレンと少なくとも1種類のα−オレフィンの上記のインターポリマーに関して、特に約0.855〜約0.935g/cm3の全ポリマー密度を有するそれらのインターポリマー、より特に、約1モルパーセントより多くのコモノマーを有するポリマーに関して、該ブロック化されたインターポリマーは、40℃〜130℃の間で溶離するTREF画分のコモノマー含量を、(−0.2013)T+20.07の量以上、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量以上を有し、ここで、Tは、℃で測定される比較されるTREF画分のピーク溶離温度の数値である。
【0050】
さらに別の態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは、エチレンと、1又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメント(ブロック化されたインターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーにより特徴付けられ、該ブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分画される場合、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、少なくとも約6モルパーセントのコモノマー含量を有する各画分が、約100℃より高い融点を有することにより特徴付けられる。約3モルパーセント〜約6モルパーセントのコモノマー含量を有するそれらの画分に関して、あらゆる画分が約110℃又はそれより高いDSC融点を有する。より好ましくは、少なくとも1モルパーセントのコモノマーを有する該ポリマー画分は、方程式、
Tm≧(−5.5926)(画分中のコモノマーモルパーセント)+135.90
に相当するDSC融点を有する。
【0051】
さらにもう1つの態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは、エチレンと、1又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメント(ブロック化されたインターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーにより特徴付けられ、該ブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分画される場合、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、約76℃以上のATREF溶離温度を有するあらゆる画分が、方程式、
融解熱(J/gm)≦(3.1718)(ATREF溶離温度(℃))−136.58
に対応する、DSCにより測定される融解エンタルピー(融解熱)を有することにより特徴付けられる。
【0052】
本発明のブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分画される場合、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、40℃から約76℃未満の間のATREF溶離温度を有するあらゆる画分が、方程式、
融解熱(J/gm)≦(1.1312)(ATREF溶離温度(℃))+22.97
に対応する、DSCにより測定される融解エンタルピー(融解熱)を有することにより特徴付けられる。
【0053】
赤外線検出器によるATREFピークコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成は、Polymer Char,Valencia,Spain(http://www.polymerchar.com/)より入手可能なIR4赤外線検出器を用いて測定することができる。
【0054】
検出器の「組成モード」は、2800〜3000cm−1の領域の固定された狭帯域赤外線フィルターである測定センサー(CH2)及び組成センサー(CH3)を備えている。測定センサーは、ポリマー上のメチレン(CH2)炭素(これは溶液中のポリマー濃度に直接関係する)を検出し、一方、組成センサーは、ポリマーのメチル(CH3)基を検出する。組成シグナル(CH3)を測定シグナル(CH2)で除算した数学的比は、測定される溶液中のポリマーのコモノマー含量の影響を受けやすく、その応答は、既知のエチレンα−オレフィンコポリマー標準を用いて較正される。
【0055】
検出器は、ATREF機器と共に使用した場合、TREFプロセス中に溶出したポリマーの濃度(CH2)及び組成(CH3)の両方のシグナル応答をもたらす。ポリマー特別な較正は、(好ましくはNMRで測定された)既知のコモノマー含量を有するポリマーについてCH3対CH2の面積比を測定することによってもたらすことができる。あるポリマーのATREFピークのコモノマー含量は、個々のCH3応答及びCH2応答についての面積の比の基準較正(reference calibration)(すなわちコモノマー含量に対する面積比CH3/CH2)を適用することにより予測することができる。
【0056】
ピークの面積は、適切なベースラインを適用してTREFクロマトグラムからの個々のシグナル応答を積分した後、半値全幅(FWHM)計算を用いて算出することができる。半値全幅(FWHM)計算は、ATREF赤外線検出器からのメチル対メチレンの応答面積の比[CH3/CH2]に基づき、ここで、最大(最高)ピークはベースラインから特定され、次にFWHM面積が決定される。ATREFピークを用いて測定される分布について、FWHM面積はT1とT2との間の曲線下面積として規定され、ここで、T1とT2は、ピーク高さを2で除算し、次にATREF曲線の左部分及び右部分を横切る線をベースラインに対して水平に引くことにより、ATREFピークの左及び右に対して決定される点である。
【0057】
このATREF−赤外法においてポリマーのコモノマー含量を測定するための赤外線分光法の適用は、原則として、以下の参照文献に記載されるGPC/FTIRシステムに類似する。Markovich, Ronald P.; Hazlitt, Lonnie G.; Smith, Linley; 「Development of gel-permeation chromatography-Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene-based polyolefin copolymers」. Polymeric Materials Science and Engineering (1991), 65,65, 98-100; 及びDeslauriers, PJ.: Rohlfing, D.C.; Shieh, E.T.; 「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene-1-olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier transform infrared spectroscopy (SEC-FTIR)」, Polymer(2002), 43, 59-170、これらの両方の文献は、参照によりその全文が本明細書に援用される。
【0058】
他の実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0よりも大きく約1.0以下の平均ブロックインデックスABI、及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mnにより特徴付けられる。平均ブロックインデックスABIは、5℃の増分で20℃〜110℃の分取TREFから得たポリマー画分の各々に対するブロックインデックス(「BI」)の重量平均である。
ABI=Σ(wiBIi)
〔式中、BIiは、分取TREFで得た本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目の画分についてのブロックインデックスであり、Wiは、i番目の画分の重量パーセントである〕。
【0059】
各々のポリマー画分について、BIは次の2つの方程式(その両方とも同じBI値を与える)の一方により定義される。
【数1】
式中、TXは、i番目の画分についての分取ATREF溶離温度(好ましくは、ケルビン温度で表される)であり、PXは、i番目の画分についてのエチレンモル分率であり、上記のようにNMR又はIRで測定することができる。PABは、全エチレン/α−オレフィンインターポリマー(分画前)のエチレンモル分率であり、これもNMR又はIRで測定することができる。TA及びPAは、純粋な「ハードセグメント」(インターポリマーの結晶性セグメントを指す)についてのATREF溶離温度及びエチレンモル分率である。「ハードセグメント」についての実際の値を利用できない場合、一次近似として、TA及びPA値を、高密度ポリエチレンホモポリマーの値に設定する。ここで行われる計算では、TAは372°K、PAは1である。
【0060】
TABは、同じ組成でPABというエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TABは、次の方程式から計算することができる。
Ln PAB=α/TAB+β
式中、α及びβは2つの定数であり、多数の既知のランダムエチレンコポリマーを用いる較正により決定することができる。注目すべきは、α及びβは装置ごとに変動する可能性がある場合がある。さらに、目的とするポリマー組成で、且つ該画分に類似する分子量範囲でそれら自体の検量線を作成する必要があろう。分子量効果はわずかである。検量線が類似する分子量範囲から得られる場合、そのような効果は本質的に無視することができる。いくつかの実施形態では、ランダムエチレンコポリマーは、次の関係を満たす。
Ln P=−237.83/TATREF+0.639
【0061】
TXOは、同じ組成でPXというエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOは、LnPX=α/TXO+βから計算することができる。逆に、PXOは、同じ組成でTXというATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモル分率であり、Ln PXO=α/Tx+βから計算することができる。
【0062】
ひとたび各分取TREF画分についてのブロックインデックス(BI)が得られると、全ポリマーについての重量平均ブロックインデックスABIを計算することができる。いくつかの実施形態では、ABIはゼロより大きく約0.3未満又は約0.1〜約0.3である。他の実施形態では、ABIは、約0.3より大きく約1.0以下である。好ましくは、ABIは、約0.4〜約0.7、約0.5〜約0.7、又は約0.6〜約0.9の範囲内にあるべきである。いくつかの実施形態では、ABIは、約0.3〜約0.9、約0.3〜約0.8、又は約0.3〜約0.7、約0.3〜約0.6、約0.3〜約0.5、又は約0.3〜約0.4の範囲内である。他の実施形態では、ABIは、約0.4〜約1.0、約0.5〜約1.0、又は約0.6〜約1.0、約0.7〜約1.0、約0.8〜約1.0、又は約0.9〜約1.0の範囲内である。
【0063】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの別の特徴は、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、分取TREFにより得ることのできる少なくとも1つのポリマー画分を含むことであり、該画分のブロックインデックスは約0.1より大きく約1.0以下であり、分子量分布Mw/Mnは約1.3よりも大きい。いくつかの実施形態では、ポリマー画分のブロックインデックスは、0.6より大きく約1.0以下、約0.7より大きく約1.0以下、約0.8より大きく約1.0以下、又は約0.9より大きく約1.0以下である。他の実施形態では、ポリマー画分のブロックインデックスは、約0.1より大きく約1.0以下、約0.2より大きく約1.0以下、約0.3より大きく約1.0以下、約0.4より大きく約1.0以下、又は約0.4より大きく約1.0以下である。さらに他の実施形態では、ポリマー画分のブロックインデックスは、約0.1より大きく約0.5以下、約0.2より大きく約0.5以下、約0.3より大きく約0.5以下、又は約0.4より大きく約0.5以下である。さらに他の実施形態では、ポリマー画分のブロックインデックスは、約0.2より大きく約0.9以下、約0.3より大きく約0.8以下、約0.4より大きく約0.7以下、又は約0.5より大きく約0.6以下である。
【0064】
エチレンとα−オレフィンのコポリマーについて、本発明のポリマーは、好ましくは、(1)少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5、少なくとも1.7、又は少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.6、最大値5.0まで、より好ましくは最大値3.5まで、さらに特に最大値2.7までのPDI;(2)80J/g以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含量;(4)−25℃未満、より好ましくは−30℃未満のガラス転移温度Tg;及び/又は(5)唯一のTmを有する。
【0065】
さらに、本発明のポリマーは、単独又は本明細書に開示される任意の他の特性と組み合わせて、log(G’)が100℃の温度で400kPa以上、好ましくは1.0MPa以上であるような貯蔵弾性率G’を有し得る。さらに、本発明のポリマーは0〜100℃の範囲の温度の関数として比較的平坦な貯蔵弾性率を有し(図6に図示)、それはブロックコポリマーの特徴であり、オレフィンコポリマー、特にエチレンと1又はそれ以上のC3−8脂肪族α−オレフィンのコポリマーについてはこれまで知られていない。(この文脈において「比較的平坦な」という用語は、50〜100℃、好ましくは0〜100℃の間のlogG’(パスカル)の低下が1桁未満であることを意味する)。
【0066】
本発明のインターポリマーは、少なくとも90℃の温度で1mmの熱機械的分析針入深度、ならびに3kpsi(20MPa)〜13kpsi(90MPa)の曲げ弾性率によりさらに特徴付けることができる。代替的には、本発明のインターポリマーは、少なくとも104℃の温度で1mmの熱機械的分析針入深度、ならびに少なくとも3kpsi(20MPa)の曲げ弾性率を有し得る。それらは、90mm3未満の耐摩耗性(又は容積減少)を有するものとして特徴付けることができる。図7は、他の既知ポリマーと比較した、本発明のポリマーに関するTMA(1mm)対曲げ弾性率を示す。本発明のポリマーは、他のポリマーよりも有意に良好な可撓性−耐熱性のバランスを有する。
【0067】
追加的には、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01〜2000g/10分、好ましくは0.01〜1000g/10分、より好ましくは0.01〜500g/10分、さらに特に0.01〜100g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。特定の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01〜10g/10分、0.5〜50g/10分、1〜30g/10分、1〜6g/10分又は0.3〜10g/10分のメルトインデックスI2を有する。特定の実施形態では、エチレン/α−オレフィンポリマーについてのメルトインデックスは1g/10分、3g/10分又は5g/10分である。
【0068】
ポリマーは、1,000g/モル〜5,000,000g/モル、好ましくは1000g/モル〜1,000,000、より好ましくは10,000g/モル〜500,000g/モル、さらに特に10,000g/モル〜300,000g/モルの分子量Mwを有し得る。本発明のポリマーの密度は、0.80〜0.99g/cm3、好ましくは、エチレン含有ポリマーについて、0.85g/cm3〜0.97g/cm3であってもよい。特定の実施形態では、エチレン/α−オレフィンポリマーの密度は、0.860〜0.925g/cm3又は0.867〜0.910g/cm3の範囲である。
【0069】
ポリマーを作成するプロセスは、以下の特許出願:2004年3月17日出願の米国特許仮出願第60/553,906号;2005年3月17日出願の米国特許仮出願第60/662,937号;2005年3月17日出願の米国特許仮出願第60/662,939号;2005年3月17日出願の米国特許仮出願第60/662,938号;2005年3月17日出願のPCT出願番号PCT/US2005/008916号;2005年3月17日出願のPCT出願番号PCT/US2005/008915号;及び2005年3月17日出願のPCT出願番号PCT/US2005/008917号に開示されており、それら全ては参照によりその全文が本明細書に援用される。例えば、そのような一方法は、エチレン及び所望により1又はそれ以上のエチレン以外の付加重合性モノマーを、付加重合条件下で触媒組成物と接触させることを含み、該触媒組成物は、
(A)高いコモノマー組込みインデックスを有する、第1のオレフィン重合触媒、
(B)触媒(A)のコモノマー組込みインデックスの90パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー組込みインデックスを有する第2のオレフィン重合触媒、及び
(C)連鎖シャトリング剤
を合わせる結果生じる混合物又は反応生成物を含む。
【0070】
代表的な触媒及び連鎖シャトリング剤は以下の通りである。
【0071】
触媒(A1)は、WO03/40195号、2003US0204017号、2003年5月2日出願のUSSN10/429,024、及びWO04/24740号の教示に従って調製された、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【化1】
【0072】
触媒(A2)は、WO03/40195号、2003US0204017号、2003年5月2日出願のUSSN10/429,024、及びWO04/24740号の教示に従って調製された、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【化2】
【0073】
触媒(A3)は、ビス[N,N’’’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
【化3】
【0074】
触媒(A4)は、US−A−2004/0010103号の教示に実質的に従って調製された、ビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルである。
【化4】
【0075】
触媒(B1)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ(immino))メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【化5】
【0076】
触媒(B2)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(2−メチルシクロヘキシル)−イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【化6】
【0077】
触媒(C1)は、米国特許第6,268,444号の手法に実質的に従って調製された(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタニウムジメチルである。
【化7】
【0078】
触媒(C2)は、US−A−2003/004286号の教示に実質的に従って調製された(t−ブチルアミド)ジ(4-メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタニウムジメチルである。
【化8】
【0079】
触媒(C3)は、US−A−2003/004286号の教示に実質的に従って調製された(t−ブチルアミド)ジ(4-メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−インダセン−1−イル)シランチタニウムジメチルである。
【化9】
【0080】
触媒(D1)は、Sigma−Aldrichより入手可能なビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)ジルコニウムジクロライドである。
【化10】
【0081】
シャトリング剤 用いるシャトリング剤としては、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウム ジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)、及びエチル亜鉛(t−ブトキシド)が挙げられる。
【0082】
好ましくは、前述のプロセスは、ブロックコポリマー、特にマルチブロックコポリマー、好ましくは2又はそれ以上のモノマーの、より詳細にはエチレンとC3−20オレフィン又はシクロオレフィンの、最も詳細にはエチレンとC4−20α−オレフィンの線形マルチブロックコポリマーを形成するための、相互に交換できない複数の触媒を用いる、連続溶液プロセスの形態をとる。つまり、これらの触媒は化学的に別個である。連続溶液重合条件下で、このプロセスは理想的には高いモノマー転化率でモノマーの混合物を重合するために適している。これらの重合条件下で、連鎖シャトリング剤から触媒へのシャトリングは、鎖成長と比較して有利となり、マルチブロックコポリマー、特に線形マルチブロックコポリマーが高い効率で形成される。
【0083】
本発明のインターポリマーは、逐次的なモノマー付加、流動触媒、アニオンリビング重合法又はカチオンリビング重合法によって調製された、従来型の、ランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンド、及びブロックコポリマーと区別することができる。特に、同等の結晶性又は弾性率で同じモノマー及びモノマー含量のランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、融点で測定した場合にはより優れた(より高い)耐熱性、動的機械分析によって判定した場合にはより高いTMA針入温度、より高い高温引張り強さ、及び/又はより高い高温ねじり貯蔵弾性率を有する。同じモノマー及びモノマー含量を含有するランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、より低い圧縮永久歪み(特に高温下で)、より低い応力緩和、より高い耐クリープ性、より高い引裂強度、より高い耐ブロッキング性、高い結晶化(固化)温度に起因するより急速な硬化、より高い回復(特に高温下で)、より良好な耐摩耗性、より高い収縮力、及びより良好なオイル許容性及び増量剤許容性を有する。
【0084】
本発明のインターポリマーはまた、特有の結晶化及び分岐分布関係を示す。つまり、本発明のインターポリマーは、特に同じモノマー及びモノマーレベルを含有するランダムコポリマー又は全体の密度が同等なポリマーの物理的ブレンド、例えば高密度ポリマーと低密度コポリマーのブレンドなどと比較して、融解熱の関数としてCRYSTAF及びDSCを用いて測定した最大ピーク温度間の差が比較的大きい。本発明のインターポリマーのこの独特の特徴は、ポリマー骨格内のブロック中の特有のコモノマーの分布に起因すると考えられる。特に、本発明のインターポリマーは、異なるコモノマー含量の交互ブロック(ホモポリマーブロックを含む)を含み得る。本発明のインターポリマーはまた、密度又はコモノマー含量の異なるポリマーブロックの数及び/又はブロックサイズの分布を含むことがあり、それはシュルツ・フローリー型の分布である。その上、本発明のインターポリマーはまた、ポリマー 密度、弾性率、及び形態とは実質的に無関係の、特有のピーク融点及び結晶化温度プロフィールを有する。好ましい実施形態では、ポリマーの微結晶の規則(microcrystalline order)は、特徴的な球晶及びラメラを示し、これは1.7未満、又はさらに1.5未満、1.3未満までのPDI値においてでさえ、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーとは区別できる。
【0085】
さらに、本発明のインターポリマーは、ブロッキネスの程度又はレベルに影響を及ぼす手法を用いて調製することができる。それはコモノマーの量であり、各ポリマーブロック又はセグメントの長さは、触媒及びシャトリング剤の比及び種類ならびに重合の温度及び他の重合変数を制御することにより変更することができる。この現象の驚くべき利点は、ブロッキネスの程度が増大するにつれて、得られるポリマーの光学特性、引裂強度、及び高温回復特性が改善されるという発見である。特に、ポリマー中のブロックの平均数が増加するにつれて、曇りが低下し、一方、透明度、引裂強度、及び高温回復特性が増大する。所望の連鎖移動能(低レベルの連鎖停止を伴う高速のシャトリング)を有するシャトリング剤と触媒の組合せを選択することにより、他の形態のポリマー停止が効果的に抑制される。したがって、本発明の実施形態に従うエチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合においてβ水素脱離はほとんど観察されず、得られる結晶性ブロックは高度に又は実質的に完全に線形であり、長鎖分岐をほとんど又は全く有さない。
【0086】
高結晶性鎖末端を有するポリマーは、本発明の実施形態に従って選択的に調製することができる。エラストマー用途では、非晶質ブロックで終わるポリマーの相対量を減少させることにより、結晶領域への分子間希釈効果を低下させる。この結果は、水素又は他の連鎖停止剤に対して適切な応答を有する連鎖シャトリング剤及び触媒を選択することにより得ることができる。具体的には、高結晶性ポリマーを生成する触媒が、(例えば、より高いコモノマー組込み、位置エラー、又はアタクチックポリマー形成を通じて)より低い結晶性ポリマーセグメントの生成に関与する触媒よりも、連鎖停止(例えば水素の使用によるなど)の影響を受けやすい場合、高結晶性ポリマーセグメントはポリマーの末端部分に優先的に存在する。得られる末端基が結晶性であるだけでなく、停止の際に、高結晶性ポリマー形成触媒部位はポリマー形成の再開始に再度利用可能である。したがって、最初に形成されたポリマーは、別の高結晶性のポリマーセグメントである。したがって、得られるマルチブロックコポリマーの両方の末端は、優先的に高結晶性である。
【0087】
本発明の実施形態で用いられるエチレンα−オレフィンインターポリマーは、好ましくはエチレンと少なくとも1つのC3−20α−オレフィンのインターポリマーである。エチレンとC3−20α−オレフィンのコポリマーが特に好ましい。インターポリマーは、C4−C18ジオレフィン及び/又はアルケニルベンゼンをさらに含んでもよい。エチレンとの重合に有用な適した不飽和コモノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役又は非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼン、他が挙げられる。そのようなコモノマーの例としては、C3−20α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び同類のものが挙げられる。1−ブテン及び1−オクテンが特に好ましい。他の適したモノマーとしては、スチレン、ハロ−もしくはアルキル−置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、及びナフテン酸(naphthenics)(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン及びシクロオクテン)が挙げられる。
【0088】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは好ましいポリマーであるが、他のエチレン/オレフィンポリマーを用いてもよい。本明細書においてオレフィンとは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む不飽和炭化水素系化合物のファミリーを指す。触媒の選択に応じて、任意のオレフィンを本発明の実施形態に用いてもよい。好ましくは、適したオレフィンは、ビニル不飽和を含有するC3−20脂肪族及び芳香族化合物、ならびに環状化合物、例えばシクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、及びノルボルネン(限定されるものではないが、C1−C20ヒドロカルビル基又はシクロヒドロカルビル基で5位及び6位を置換されたノルボルネンを含む)である。また、そのようなオレフィンの混合物ならびにそのようなオレフィンとC4−C40ジオレフィン化合物との混合物も含まれる。
【0089】
オレフィンモノマーの例としては、限定されるものではないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C4−C40ジエンが挙げられ、それには、限定されるものではないが、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、他のC4−C40α−オレフィン、及び同類のものが挙げられる。特定の実施形態では、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン又はそれらの組合せである。ビニル基を含有する任意の炭化水素を場合によって本発明の実施形態に用いてもよいが、実際的問題、例えばモノマーの利用可能性、コスト、及び得られるポリマーから未反応モノマーを好都合に除去する能力などが、モノマーの分子量が大きくなりすぎるにつれてさらに問題となる可能性がある。
【0090】
本明細書に記載される重合プロセスは、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、及び同類のものを含む、モノビニリデン芳香族モノマーを含むオレフィンポリマーの製造に十分適している。特に、エチレン及びスチレンを含むインターポリマーは、本明細書中の教示に従って調製することができる。所望により、エチレン、スチレン及びC3−20αオレフィンを含む、所望により、C4−C20ジエンを含む、改善された特性を有するコポリマーを調製することができる。
【0091】
適した非共役ジエンモノマーは、6〜15個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素ジエンであってもよい。適した非共役ジエンの例としては、限定されるものではないが、直鎖非環式ジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、分岐鎖非環式ジエン、例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン及びジヒドロミリセンとジヒドロオシネンの混合異性体など、単環脂環式ジエン、例えば、1,3−シクロペンタジエン;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエン及び1,5−シクロドデカジエンなど、ならびに多環脂環式脂環式融合及び架橋環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニル、アルキイリデン、シクロアルケニル及びシクロアルキリデンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、及びノルボルナジエン)などが挙げられる。EPDMを調製するために典型的に用いられるジエンのうち、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、及びジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)及び1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0092】
本発明の実施形態に従って作製することのできる望ましいポリマーの1つのクラスは、エチレン、C3−20α−オレフィン、特にプロピレン、ならびに所望により1又はそれ以上のジエンモノマーからなる弾性インターポリマーである。本発明のこの実施形態での使用に好ましいα−オレフィンは、式 CH2=CHR*によりデザインされ、式中、R*は1〜12個の炭素原子の線形もしくは分岐アルキル基である。適したα−オレフィンの例としては、限定されるものではないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、及び1−オクテンが挙げられる。特に好ましいα−オレフィンはプロピレンである。プロピレン系のポリマーは、一般に、当技術分野でEP又はEPDMポリマーと称される。そのようなポリマー、特にマルチブロックEPDM型ポリマーを調製する際の使用に適したジエンとしては、4〜20個の炭素を含む、共役もしくは非共役、直鎖もしくは分岐鎖、環状又は多環式ジエンが挙げられる。好ましいジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、及び5−ブチリデン−2−ノルボルネンが挙げられる。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0093】
ジエン含有ポリマーは、より大量もしくは少量のジエン(なしを含む)及びα−オレフィン(なしを含む)を含む交互セグメント又はブロックを含むため、ジエン及びα−オレフィンの総量は、その後のポリマー特性を失うことなく低減され得る。つまり、ジエン及びα−オレフィンモノマーは、ポリマー全体にわたって均一に又はランダムに組み込まれるよりもむしろ、1種類のポリマーのブロックに優先的に組み込まれるため、それらはより効率的に利用され、結果的にポリマーの架橋密度を、より良好に制御することができる。このような架橋可能なエラストマー及び硬化生成物は、より高い引張り強さ及びより良好な弾性回復を含む、有利な特性を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、異なる量のコモノマーを組み込んでいる2種類の触媒で作製された本発明のインターポリマーの、それから形成されるブロックの重量比は95:5〜5:95である。弾性ポリマーは、望ましくは、ポリマーの総重量に対して、20〜90パーセントのエチレン含量、0.1〜10パーセントのジエン含量、及び10〜80パーセントのα−オレフィン含量を有する。さらに好ましくは、マルチブロック弾性ポリマーは、ポリマーの総重量に対して、60〜90パーセントのエチレン含量、0.1〜10パーセントのジエン含量、及び10〜40パーセントのα−オレフィン含量を有する。好ましいポリマーは、高分子量ポリマーであって、10,000〜約2,500,000、好ましくは20,000〜500,000、より好ましくは20,000〜350,000の重量平均分子量(Mw)、及び3.5未満、より好ましくは3.0未満の多分散性、及び1〜250のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する。より好ましくは、そのようなポリマーは、65〜75パーセントのエチレン含量、0〜6パーセントのジエン含量、及び20〜35パーセントのα−オレフィン含量を有する。
【0095】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、そのポリマー構造中に少なくとも1つの官能基を組み込むことにより官能化させることができる。例示的な官能基としては、例えば、エチレン性不飽和単官能性及び二官能性カルボン酸、エチレン性不飽和単官能性及び二官能性カルボン酸無水物、その塩及びそのエステルを挙げることができる。そのような官能基は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーにグラフトされてもよいし、エチレン及び任意選択的なさらなるコモノマーと共重合されて、エチレン、該官能性コモノマー及び所望により他のコモノマー(1又は複数)のインターポリマーを形成してもよい。官能基をポリエチレンにグラフトするための手段は、例えば米国特許第4,762,890号、同第4,927,888号、及び同第4,950,541号に記載されており、これらの特許の開示は参照によりその全文が本明細書に援用される。特に有用な官能基の一つはリンゴ酸無水物である。
【0096】
官能性インターポリマー中に存在する官能基の量は、変動し得る。官能基は、典型的に、コポリマー型官能化インターポリマー中に、少なくとも約1.0重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量で存在し得る。官能基は、典型的に、コポリマー型官能化インターポリマー中に、約40重量パーセント未満、好ましくは約30重量パーセント未満、より好ましくは約25重量パーセント未満の量で存在する。
【0097】
試験方法
以下の実施例では、以下の分析法が使用される。
サンプル1〜4及びA〜CのGPC法
【0098】
160℃に設定された加熱針を備えた自動液体処理ロボットを用いて、各々の乾燥ポリマーサンプルに対して300ppmのIonolで安定化した十分な1,2,4−トリクロロベンゼンを添加して、30mg/mLmp最終濃度を得る。小型のガラス攪拌ロッドを各チューブの中に入れて、該サンプルを、250rpmで回転する加熱されたオービタルシェーカーで、160℃まで2時間加熱する。次に、濃縮されたポリマー溶液を、自動液体処理ロボット及び160℃に設定された加熱針を用いて1mg/mlに希釈する。
【0099】
Symyx Rapid GPCシステムを用いて各々のサンプルについての分子量データを決定する。2.0ml/分の流速に設定したGilson350ポンプを用いて、直列に配置され、160℃に加熱された3つのPlgel 10マイクロメーター(μm)Mixed B 300mm×7.5mmカラムを通して、移動相として、300ppmのIonolで安定化させた、ヘリウムでパージした1,2−ジクロロベンゼンをポンプで送る。Polymer Labs ELS 1000検出器を、250℃に設定したエバポレータ、165℃に設定したネブライザー、及び60〜80psi(400〜600kPa)N2の圧力で1.8SLMに設定された窒素流量とともに用いる。ポリマーサンプルを160℃に加熱し、液体処理ロボット及び加熱針を用いて各サンプルを250μlループに注入する。2つの切り換えループ及び重複注入を用いる、ポリマーサンプルの連続分析を用いる。サンプルデータを収集し、Symyx Epoch(商標)ソフトウェアを用いて分析する。ピークは手作業で分析され、報告される分子量情報はポリスチレン標準検量線に対して未補正である。
【0100】
標準的なCRYSTAF方法
分岐分布は、PolymerChar,Valencia,Spainから市販されているCRYSTAF200ユニットを用いる結晶分析分画(CRYSTAF)によって決定される。サンプルを160℃の1,2,4トリクロロベンゼン(0.66mg/mL)に1時間に溶解し、95℃にて45分間安定化させる。サンプリング温度は、0.2℃/分の冷却速度で95〜30℃の範囲である。赤外検出器を用いて、ポリマー溶液の濃度を測定する。累積溶解濃度は、温度が低下する間にポリマーが結晶化するときに測定する。累積プロフィールの分析導関数は、ポリマーの短鎖分岐分布を反映する。
【0101】
CRYSTAFピーク温度及び面積は、CRYSTAFソフトウェア(Version 2001.b、PolymerChar,Valencia,Spain)に含まれるピーク分析モジュールにより特定される。CRYSTAFピーク検出ルーチンは、ピーク温度をdW/dT曲線の最大値として特定し、導関数曲線において特定されたピークの各々の側の正の最大変曲点(largest positive inflections)間の面積を特定する。CRYSTAF曲線を算出するために、好ましい処理パラメータは、温度限界を70℃とし、温度限界より上では0.1、及び温度限界より下では0.3の平滑化パラメータを用いる。
DSC標準法(サンプル1〜4及びA〜Cを除く)
【0102】
示差走査熱量測定結果は、RCS冷却アクセサリー及びオートサンプラーを備えたTAIモデルQ1000 DSCを用いて決定される。50ml/分の窒素パージガス流を使用する。サンプルを薄膜に圧入し、プレス中で約175℃にて溶融させ、次に室温(25℃)まで空冷する。次に、3〜10mgの材料を直径6mmの円盤に切り分け、正確に秤量し、軽量アルミパン(約50mg)に入れ、次に端を圧着させて閉じる。サンプルの熱挙動を以下の温度プロフィールで調べる。以前のあらゆる熱履歴を取り除くために、サンプルを180℃まで急速に加熱し、3分間恒温に保持する。次に、サンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、−40℃で3分間保持する。次に、サンプルを10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱する。その冷却及び第2の加熱曲線を記録する。
【0103】
DSC融解ピークは、−30℃と溶融の終点との間に引いた直線のベースラインに関する熱流量(W/g)の最大値として測定される。融解熱は、直線のベースラインを用いて−30℃と溶融の終点との間の融解曲線の下の面積として測定される。
GPC法(サンプル1〜4及びA〜Cを除く)
【0104】
ゲル浸透クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210又はPolymer Laboratories Model PL−220のいずれかの装置から構成される。カラム及びカルーセル区画は140℃で操作される。3つのPolymer Laboratories10ミクロンMixed−Bカラムを使用する。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。サンプルは、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマー濃度で調製される。サンプルは、160℃で2時間、軽く攪拌することによって調製される。用いる注入容積は、100μlであり、流速は1.0ml/分である。
【0105】
GPCカラムセットの較正は、分子量が580〜8,400,000の範囲であり、個々の分子量間に少なくとも10の離隔のある6つの「カクテル」混合物に準備された、21の狭い分子量分布ポリスチレン標準品で行われる。標準品は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)より購入される。ポリスチレン標準品は、分子量1,000,000以上については50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、分子量1,000,000未満については50ミリリットルの溶媒中0.05グラムで調製される。ポリスチレン標準品を80℃にて穏やかに攪拌しながら30分間溶解させる。狭い標準品混合物を最初に流し、分解を最小にするために、最も高い分子量成分から分子量の減少する順に流す。ポリスチレン標準品ピーク分子量は、次の方程式を用いてポリエチレン分子量に変換される(Williams and Ward, J. Polym. Sci., Polym. Let., 6,621 (1968)に記載される通り):Mポリエチレン=0.431(Mポリスチレン)。
【0106】
ポリエチレン等価分子量計算は、Viscotek TriSEC ソフトウェアVersion3.0を用いて行われる。
【0107】
圧縮永久歪み
圧縮永久歪みは、ASTM D 395に従って測定される。サンプルは、厚さ3.2mm、2.0mm、及び0.25mmの直径25.4mmの丸いディスクを全厚みが12.7mmに達するまで積み重ねることにより調製する。ディスクは、熱圧プレスで次の条件、190℃で3分間ゼロ圧、後いて190℃で2分間86MP、続いてプレス内で86MPaにて冷流水で冷却、の下で成形された12.7cm×12.7cm圧縮成形プラックから切り出す。
【0108】
密度
密度測定用のサンプルは、ASTM D 1928に従って調製される。測定は、ASTM D792、方法Bを用いて1時間以内のサンプルプレスで行う。
【0109】
曲げ弾性率/割線モジュラス/貯蔵弾性率
サンプルをASTM D 1928を用いて圧縮成形する。曲げ弾性率及び2パーセント割線モジュラスは、ASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率は、ASTM D 5026−01又は同等手法に従って測定する。
【0110】
光学特性
厚さ0.4mmのフィルムを、ホットプレスを用いて圧縮成形する(Carver Model #4095−4PR1001R)。ペレットをポリテトラフルオロエチレンシートの間に置き、55psi(380kPa)にて190℃で3分間、続いて1.3MPaで3分間、その後2.6MPaで3分間加熱する。次に、フィルムをプレス内で1.3MPにて1分間冷流水で冷却する。この圧縮成形フィルムは、光学測定、引張挙動、回復、及び応力緩和に用いられる。
【0111】
透明度は、ASTM D 1746に指定されるBYK Gardner Haze−gardを用いて測定される。
【0112】
45°光沢は、ASTM D−2457に指定されるBYK Gardner Glossmeter Microgloss45°を用いて測定される。
【0113】
内部曇りは、ASTM D 1003手順Aに基づいて、BYK Gardner Haze−gardを用いて測定される。鉱油をフィルム表面に塗布して、表面の引っ掻き傷を除去する。
【0114】
機械的特性−引張、ヒステリシス、及び引裂
一軸引張における応力−歪み挙動は、ASTM D 1708微小引張試験片を用いて測定する。サンプルを、21℃にて500%分−1でInstronを用いて伸張する。引張り強さ及び破断点伸びを5つの試験片の平均から報告する。
【0115】
100%及び300%ヒステリシスは、Instron(商標)装置でASTM D 1708微小引張試験片を用いる100%及び300%歪みまでの循環荷重より決定される。サンプルに、21℃で3サイクル、267%分−1で荷重を負荷し、除荷する。300%及び80℃でのサイクル実験を、環境チャンバーを用いて行う。80℃実験では、試験の前に試験温度で45分間サンプルを平衡させる。21℃、300%歪みサイクル実験では、最初の除荷サイクルからの150%歪みでの収縮応力を記録する。全ての実験についての回復パーセントは、荷重がベースラインに戻る歪みを用いる最初の除荷サイクルから計算する。回復パーセントは、
【数2】
〔式中、εfは、サイクル荷重に対してとられた歪みであり、εsは、1回目の除荷サイクルの間に荷重がベースラインに戻る場合の歪みである〕
として定義される。
【0116】
応力緩和は、環境チャンバーを備えたInstron(商標)装置を用いて、50パーセント歪み及び37℃で12時間測定する。ゲージの形状は、76mm×25mm×0.4mmであった。環境チャンバー中で37℃にて45分間平衡化した後、サンプルを333%分−1で50%歪みまで伸張した。応力を時間の関数として12時間記録した。12時間後の応力緩和パーセントは、式、
【数3】
〔式中、L0は、0時での50%歪みの荷重であり、L12は、12時間後の50%歪みの荷重である〕
を用いて算出した。
【0117】
引張ノッチ付引裂実験(Tensile notched tear experiments)は、Instron(商標)装置を用いて0.88g/cc以下の密度を有するサンプルで行う。形状は、76mm×13mm×0.4mmのゲージ部分からなり、その試験片の長さの半分の位置に2mmの切込みがサンプルに入っている。サンプルを21℃にて508mm分−1でそれが壊れるまで伸張する。この引裂エネルギーは、最大荷重での歪みまでの応力−伸長曲線下面積として計算される。少なくとも3つの試験片の平均を報告する。
【0118】
TMA
熱機械的分析(針入温度)は、180℃及び10MPa成形圧で5分間形成され、次に空冷によりクエンチした、直径30mm×厚さ3.3mmの圧縮成形ディスクで行われる。使用される装置は、Perkin−Elmerより入手可能なブランドのTMA7である。この試験では、半径1.5mmの先端を有するプローブ(P/N N519−0416)を、1Nの力でサンプルディスクの表面に適用する。温度を25℃から5℃/分で上昇させる。プローブの針入距離は、温度の関数として測定される。プローブがサンプル中に1mm針入した時に実験は終わる。
【0119】
DMA
動的機械的分析(DMA)は、10MPaの圧力で180℃にて5分間ホットプレス中で形成され、次に90℃/分でプレス中で水冷された圧縮成形ディスクで測定する。試験は、ねじり試験のための二重の片持ち固定具を備えたARES制御歪みレオメーター(TA装置)を用いて行う。
【0120】
1.5mmのプラックをプレスし、32×12mmの寸法のバーに切断する。そのサンプルを10mm(グリップ間隔ΔL)ずつ離れた固定具の間において両端をクランプして、−100℃から200℃の逐次的温度段階(1段階当たり5℃)に供する。各々の温度でねじり弾性率G’を、10rad/sの角周波数で測定し、歪み振幅を、0.1パーセントから4パーセントの間で維持して、トルクが十分であること、測定値が線形のままであることを確実にする。
【0121】
初期の静的力である10gを維持して(自動引張モード)、熱膨張が起こる場合のサンプルのゆるみを防ぐ。結果として、グリップ間隔ΔLは、温度とともに、特にポリマーサンプルの融点又は軟化点を上回って増大する。この試験は、最大温度で、又は固定具間の間隔が65mmに達した時に停止する。
【0122】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわちI2は、ASTM D 1238、条件190℃/2.16kgに従って測定される。メルトインデックス、すなわちI10はまた、ASTM D 1238、条件190℃/10kgに従って測定される。
【0123】
ATREF
分析的昇温溶離分別(ATREF)分析は、参照によりそれらの全文が本明細書に援用される、米国特許第4,798,081号及びWilde, L.; Ryle, T.R.;Knobeloch, D.C.;Peat, I.R.; Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers, J. Polym. Sci., 20, 441-455 (1982) 、に記載される方法に従って行われる。分析するべき組成物をトリクロロベンゼンに溶かし、0.1℃/分の冷却速度で20℃まで温度を徐々に低下させることにより、不活性支持体を含有するカラム(ステンレス鋼ショット)中で結晶化させる。このカラムには赤外線検出器が備えられている。次に、溶離溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の速度で20℃から120℃までゆっくりと上昇させることにより、結晶化したポリマーサンプルをカラムから溶離することにより、ATREFクロマトグラム曲線を次に作成する。
【0124】
13C NMR分析
サンプルを、10mmNMRチューブ中で、約3gのテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を0.4gのサンプルに添加することにより調製する。チューブ及びその内容物を150℃に加熱することにより、サンプルを溶解し、均質化する。データは、100.5MHzの13Cの共振周波数に相当する、JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計又はVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を用いて収集する。データは、6秒のパルス繰り返し遅延で1データファイルについて4000のトランジェント(transient)を用いて獲得される。定量分析のための最小のシグナル対ノイズ比を達成するために、複数のデータファイルを一緒に加える。スペクトル幅は、25,000Hzであり、最小ファイルサイズは32Kデータポイントである。サンプルは10mmの広域帯プローブで130℃にて分析される。コモノマー組込みは、参照によりその全文が本明細書に援用される、Randallのトライアッド法(Randall, J.C.; JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys., C29, 201-317(1989))を用いて決定される。
【0125】
TREFによるポリマー分画
大規模なTREF分画は、15〜20gのポリマーを2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)中に160℃で4時間攪拌することによって溶解させることにより行う。このポリマー溶液を15psig(100kPa)窒素によって、30〜40メッシュ(600〜425μm)の球状の技術的品質ガラスビーズ(Potters Industries、HC 30 Box 20、Brownwood,TX,76801より入手可能)と、ステンレス鋼、直径0.028”(0.7mm)のカットワイヤーショット(Pellets,Inc.63 Industrial Drive,North Tonawanda,NY,14120より入手可能)の60:40(v:v)混合物を充填した3インチ×4フィート(7.6cm×12cm)のスチールカラム上に押し込む。カラムを、最初に160℃に設定された、熱制御されたオイルジャケットに浸す。カラムは、最初に弾道的に125℃まで冷却し、次に1分当たり0.04℃で20℃までゆっくり冷却し、1時間保持する。温度を1分当たり0.167℃で上昇させながら、新鮮なTCBを約65ml/分で導入する。
【0126】
分取TREFカラムからの約2000ml分の溶離液を、16のステーションの加熱されたフラクションコレクター(fraction collector)に収集する。このポリマーを、約50から100mlのポリマー溶液が残るまで、ロータリーエバポレータを用いて各々の画分中で濃縮させる。この濃縮溶液を、一晩放置させてから、過剰メタノールを添加し、濾過し、すすぐ(最終すすぎを含めて約300〜500mlのメタノール)。濾過工程は、5.0μmのポリテトラフルオロエチレンコートされた濾紙(Osmonics Inc.より入手可能、カタログ番号Z50WP04750)を用いて3位の真空利用濾過ステーション(3 position vacuum assisted filtering station)で行う。濾過された画分を、60℃の真空オーブン中で一晩乾燥させて、さらなる試験の前に化学天秤で秤量する。
【0127】
溶融強度
溶融強度(MS)は、2.1mmの直径、約45度の入口角をもつ20:1ダイを装備したキャピラリーレオメータを用いることにより測定される。サンプルを190℃で10分間平衡化した後、ピストンを1インチ/分(2.54cm/分)の速度で動かす。標準試験温度は190℃である。サンプルを、2.4mm/秒2の加速度でダイの100mm下に位置する1セットの加速ニップに単軸状に延伸する。必要な張力を、ニップロールの巻取速度の関数として記録する。試験の間に達成される最大張力が、溶融強度として規定される。延伸共振を示すポリマー溶融の場合、延伸共振の開始前の張力を溶融強度とした。溶融強度は、センチニュートン(「cN」)で記録される。
【0128】
触媒
用語「一晩」とは、用いられる場合、およそ16〜18時間の時間を指し、用語「室温」とは、20〜25℃の温度を指し、用語「混合アルカン」とは、Isopar E(登録商標)の商品名でExxon Mobil Chemical Companyより入手可能な、市販品として得られるC6−9脂肪族炭化水素の混合物を指す。本明細書中の化合物の名称がその構造図に一致しない場合には、構造図が支配するものとする。全ての金属錯体の合成及び全てのスクリーニング実験の準備は、ドライボックス手法を用いて乾燥窒素雰囲気下で行った。使用した溶媒は全てHPLC等級であり、使用前に乾燥させた。
【0129】
MMAOとは、Akzo−Noble Corporationより市販されている修飾メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサンを指す。
【0130】
触媒(B1)の調製は、以下のように行われる。
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メチルイミンの調製
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を10mLのイソプロピルアミンに添加する。溶液は急速に鮮黄色に変わる。周囲温度にて3時間攪拌した後、揮発性物質を真空除去して、鮮黄色の結晶性固体を得る(収率97パーセント)。
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製
5mLトルエン中、(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2mmol)の溶液を、50mLトルエン中、Zr(CH2Ph)4(500mg、1.1mmol)の溶液にゆっくりと添加する。得られる暗黄色の溶液を30分間攪拌する。溶媒を減圧下で除去して目的生成物を赤褐色の固体として得る。
【0131】
触媒(B2)の調製は、以下のように行われる。
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調製
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)をメタノール(90mL)に溶かし、ジ−t−ブチルサリカルデヒド(butylsalicaldehyde)(10.00g、42.67mmol)を添加する。反応混合物を3時間攪拌し、次に−25℃まで12時間かけて冷却する。得られる黄色の固体沈殿物を濾過により回収し、冷メタノール(2×15mL)で洗浄し、次に減圧下で乾燥させる。収量は11.17gの黄色の固体である。1H NMRは、異性体の混合物として所望の生成物に一致する。
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製
200mLトルエン中、(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)の溶液を、600mLトルエン中、Zr(CH2Ph)4(5.28g、11.6mmol)の溶液にゆっくりと添加する。得られる暗黄色の溶液を25℃にて1時間攪拌する。溶液をさらに680mLのトルエンで希釈して、濃度0.00783Mの溶液を得る。
【0132】
共触媒1 実質的に米国特許第5,919,9883号、実施例2に開示される、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Inc.より入手可能)、HCl及びLi[B(C6F5)4]の反応により調製される、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(以降、アルメエニウムボレート(armeenium borate))のメチルジ(C14−18アルキル)アンモニウム塩の混合物。
【0133】
共触媒2 米国特許第6,395,671号、実施例16に従って調製された、 ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマン(alumane))−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C14−18アルキルジメチルアンモニウム塩。
【0134】
シャトリング剤 用いたシャトリング剤としては、」ジエチル亜鉛(DEZ、SA1)、ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアルミニウム(TEA、SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウム(SA6)、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(SA7)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)(SA14)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)(SA15)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)(SA19)、及びエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が挙げられる。
【0135】
実施例1〜4、比較例A〜C
一般的なハイスループット並列重合条件
重合は、Symyx Technologies,Inc.より入手可能なハイスループット、並列重合反応器(PPR)を用いて行われ、米国特許第6,248,540号、同第6,030,917号、同第6,362,309号、同第6,306,658号、及び同第6,316,663号に実質的に従って操作される。エチレン共重合を、用いた全触媒に対して1.2等量の共触媒1(MMAOが存在する場合1.1等量)を用いて、必要に応じてエチレンを用いて130℃及び200psi(1.4MPa)にて行う。一連の重合は、事前に秤量したガラス管を備えた、6×8の配列の48個の個々の反応器セルを収容した並列式圧力反応器(PPR)でわれる。各反応器セル中の作業容積は6000μLである。各セルは個々の攪拌パドルにより攪拌しながら、温度及び圧力が制御される。モノマーガス及びクエンチガスを、PPRユニットの中に直接配管して、自動バルブにより制御する。液体試薬はロボットによりシリンジにより各反応器セルに添加され、リザーバ溶媒は混合アルカンである。添加の順序は、混合アルカン溶媒(4ml)、エチレン、1−オクテンコモノマー(1ml)、共触媒1又は共触媒1/MMAO混合物、シャトリング剤、及び触媒又は触媒混合物である。共触媒1とMMAOの混合物又は2種類の触媒の混合物を用いる場合、試薬は反応器へ添加する直前に小さいバイアル中で事前に混合する。実験で試薬を省略する場合、上記の添加順序はそのほかの点で維持される。重合は、所定のエチレン消費に達するまで、およそ1〜2分間行われる。COでクエンチした後、反応器を冷却し、ガラス管を取り外す。管を遠心分離/真空乾燥ユニットに移し、60℃にて12時間乾燥させる。乾燥ポリマーを含有する管を秤量し、この重量と風袋重量との差により正味のポリマー収量を得る。結果は表1に記載される。表1及び本願の他の場所において、比較化合物はアスタリスク(*)で示される。
【0136】
実施例1〜4は、本発明による線形ブロックコポリマーの合成を証明しており、極めて狭いMWDの形成、基本的にDEZが存在する場合の単峰性(monomodal)コポリマー、及びDEZの存在しない場合の二峰性(bimodal)の広い分子量分布生成物(別々に生成されたポリマーの混合物)により明らかにされるとおりである。触媒(A1)は触媒(B1)よりも多くのオクテンを組み込むことが分かっているという事実に起因して、結果として得られる本発明のコポリマーの異なるブロック又はセグメントは、分岐又は密度に基づいて識別可能である。
【表1】
11000炭素あたりのC6又はそれ以上の鎖含量
2二峰性分子量分布
【0137】
本発明に従って作製されたポリマーは、シャトリング剤の非存在下で調製されたポリマーよりも比較的狭い多分散性(Mw/Mn)及び比較的多いブロック−コポリマー含量(三量体、四量体、又はそれ以上)を有することが示され得る。
【0138】
表1のポリマーのさらなる特徴付けとなるデータは、図を参照することにより決定される。より具体的には、DSC及びATREFの結果は、以下を示す。
【0139】
実施例1のポリマーのDSC曲線は、115.7℃の融点(Tm)と158.1J/gの融解熱を示す。対応するCRYSTAF曲線は、34.5℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は52.9パーセントである。DSC TmとTcrystafとの間の差は81.2℃である。
【0140】
実施例2のポリマーのDSC曲線は、109.7℃の融点(Tm)と214.0J/g融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、46.2℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は57.0パーセントである。DSC TmとTcrystafとの間の差は63.5℃である。
【0141】
実施例3のポリマーのDSC曲線は、120.7℃の融点(Tm)と160.1J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、66.1℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は71.8パーセントである。DSC TmとTcrystafとの間の差は54.6℃である。
【0142】
実施例4のポリマーのDSC曲線は、104.5℃の融点(Tm)と170.7J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は18.2パーセントである。DSC TmとTcrystafとの間の差は74.5℃である。
【0143】
比較例AのDSC曲線は、90.0℃の融点(Tm)と86.7J/gの融解熱を示す。対応するCRYSTAF曲線は、48.5℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は29.4パーセントである。これらの値の両方が、密度の低い樹脂に一致する。DSC TmとTcrystafとの間の差は41.8℃である。
【0144】
比較例BのDSC曲線は、129.8℃の融点(Tm)と237.0J/gの融解熱を示す。対応するCRYSTAF曲線は、82.4℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は83.7パーセントである。これらの値の両方が、密度の高い樹脂に一致する。DSC TmとTcrystafとの間の差は47.4℃である。
【0145】
比較例CのDSC曲線は、125.3℃の融点(Tm)と143.0J/gの融解熱を示す。対応するCRYSTAF曲線は、81.8℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は34.7パーセントであり、さらに52.4℃で低いほうの結晶ピークを示す。2つのピーク間の分離は、高結晶性ポリマー及び低結晶性ポリマーの存在に一致する。DSC TmとTcrystafとの間の差は43.5℃である。
【0146】
実施例5〜19、比較例D〜F、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
連続溶液重合は、内部攪拌機を装備したコンピュータ制御されたオートクレーブ反応器中で実施される。精製した混合アルカン溶媒(Exxon Mobil Chemical Companyより入手可能なIsopar(商標)E)、2.70ポンド/時(1.22kg/時)のエチレン、1−オクテン、及び水素(使用される場合)を、温度制御用ジャケット及び内部熱電対を装備した3.8L反応器に供給する。反応器への溶媒の供給は、マスフロー制御装置によって測定される。可変速度ダイアフラムポンプによって、反応器への溶媒の流速及び圧力が制御される。ポンプの吐出時に、副流をとって触媒及び共触媒1の注入ライン、並びに反応器攪拌機にフラッシュフローを供給する。これらの流れは、マイクロ−モーション(Micro-Motion)マスフローメーターによって測定され、制御弁によって、又はニードル弁を手で調節することによって制御される。残りの溶媒は、1−オクテン、エチレン、及び水素(使用される場合)と混合されて、反応器に供給される。マスフロー制御装置は、必要に応じて水素を反応器に送達するために用いられる。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に熱交換器を用いることにより制御される。この流れは、反応器の底部に入る。触媒成分溶液は、ポンプ及びマスフローメーターを用いて計量されて、触媒フラッシュ溶媒と混合され、反応器の底部に導入される。反応器は液体が満たされた状態で、500psig(3.45MPa)で激しく攪拌しながら運転される。生成物は、反応器上部の出口ラインから取り出される。反応器からのすべての出口ラインは蒸気トレースが行われ、断熱される。重合は、任意の安定剤又は他の添加剤とともに少量の水を出口ラインに添加することにより停止され、混合物をスタティックミキサーに通す。次に、生成物流を、熱交換器に通すことによって加熱してから脱揮する。ポリマー生成物は、脱揮押出機及び水冷ペレタイザーを用いる押出により回収される。プロセスの詳細及び結果を表2に記載する。選択されたポリマー特性を表3に示す。
【表2】
*比較例であり、本発明の実施例ではない
1標準cm3/分
2[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル
3ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジル
4反応器中のモル比
5ポリマー生成速度
6リアクター中のエチレン転化率
7効率、ポリマー(kg)/M(g)(式中、M(g)=Hf(g)+Zr(g))
【表3】
【0147】
結果として得られるポリマーを以前の実施例のようにDSC及びATREFにより試験する。結果は以下の通りである。
【0148】
実施例5のポリマーのDSC曲線は、119.6℃の融点(Tm)と60.0J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、47.6℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は59.5パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは72.0℃である。
【0149】
実施例6のポリマーのDSC曲線は、115.2℃の融点(Tm)と60.4J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、44.2℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は62.7パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは71.0℃である。
【0150】
実施例7のポリマーのDSC曲線は、121.3℃融点と69.1J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、49.2℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は29.4パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは72.1℃である。
【0151】
実施例8のポリマーのDSC曲線は、123.5℃の融点(Tm)と67.9J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、80.1℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は12.7パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは43.4℃である。
【0152】
実施例9のポリマーのDSC曲線は、124.6℃の融点(Tm)と73.5J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、80.8℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は16.0パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは43.8℃である。
【0153】
実施例10のポリマーのDSC曲線は、115.6℃の融点(Tm)と60.7J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、40.9℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は52.4パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは74.7℃である。
【0154】
実施例11のポリマーのDSC曲線は、113.6℃の融点(Tm)と70.4J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、39.6℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は25.2パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは74.1℃である。
【0155】
実施例12のポリマーのDSC曲線は、113.2℃の融点(Tm)と48.9J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上でピークを示さない。(したがって、前の計算の目的のためのTcrystafは30℃に設定する)。DSC TmとTcrystafの間のデルタはで83.2℃ある。
【0156】
実施例13のポリマーのDSC曲線は、114.4℃の融点(Tm)と49.4J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、33.8℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は7.7パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは84.4℃である。
【0157】
実施例14のポリマーのDSCは、120.8℃の融点(Tm)と127.9J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、72.9℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は92.2パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは47.9℃である。
【0158】
実施例の15ポリマーのDSC曲線は、114.3℃の融点(Tm)と36.2J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、32.3℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は9.8パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは82.0℃である。
【0159】
実施例16のポリマーのDSC曲線は、116.6℃の融点(Tm)と44.9J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、48.0℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は65.0パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは68.6℃である。
【0160】
実施例17のポリマーのDSC曲線は、116.0℃の融点(Tm)と47.0J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、43.1℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は56.8パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは72.9℃である。
【0161】
実施例18のポリマーのDSC曲線は、120.5℃の融点(Tm)と141.8J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、70.0℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は94.0パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは50.5℃である。
【0162】
実施例19のポリマーのDSC曲線は、124.8℃の融点(Tm)と174.8J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、79.9℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は87.9パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは45.0℃である。
【0163】
比較例DのポリマーのDSC曲線は、37.3℃の融点(Tm)と31.6J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上でピークを示さない。これらの値の両方が、密度の低い樹脂に一致する。DSC TmとTcrystafの間のデルタは7.3℃である。
【0164】
比較例EのポリマーのDSC曲線は、124.0℃の融点(Tm)と179.3J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、79.3℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は94.6パーセントである。これらの値の両方が、密度の高い樹脂に一致する。DSC TmとTcrystafの間のデルタは44.6℃である。
【0165】
比較例FのポリマーのDSC曲線は、124.8℃の融点(Tm)と90.4J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、77.6℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は、19.5パーセントである。2つのピーク間の分離は、高結晶性ポリマー及び低結晶性ポリマーの両方の存在に一致する。DSC TmとTcrystafの間のデルタは47.2℃である。
【0166】
物理的特性試験
ポリマーサンプルは、物理的特性、例えばTMA温度試験により証明される耐熱特性、ペレットブロッキング強度、高温回復、高温圧縮永久歪み及び貯蔵弾性率比、G’(25℃)/G’(100℃)などについて評価される。数種類の市販のポリマーがこの試験に含まれる。比較例G*は、実質的に線形のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)、The Dow Chemical Companyより入手可能)であり、比較例H*は、弾性の実質的に線形のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)EG8100、The Dow Chemical Companyより入手可能)であり、比較例Iは、実質的に線形のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)PL1840、The Dow Chemical Companyより入手可能)であり、比較例Jは、水素化スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー(KRATON(商標)G1652、KRATON Polymersより入手可能)、比較例Kは、熱可塑性加硫物(TPV、その中に分散した架橋エラストマーを含有するポリオレフィンブレンド)である。結果を表4に示す。
【表4】
【0167】
表4において、比較例F(触媒A1及びB1を用いる同時重合の結果得られる2種類のポリマーの物理的ブレンド)の1mm針入温度は約70℃であり、一方、実施例5〜9の1mm針入温度は100℃又はそれ以上である。さらに、実施例10〜19はいずれも85℃を上回る1mm針入温度を有し、大部分の1mmTMA温度は90℃を上回るか又はさらに100℃を上回る。このことは、新規なポリマーが、物理的ブレンドと比較してより高い温度でより良好な寸法安定性を有することを示す。比較例J(市販のSEBS)は約107℃の良好な1mm TMA温度を有するが、約100パーセントという非常に不十分な(高温70℃)圧縮永久歪みを有し、また、高温(80℃)300パーセント歪みの回復の間に回復することができなかった(サンプルが破損)。したがって、例示されるポリマーは、いくつかの市販の高性能熱可塑性エラストマーにおいてさえ得ることのできない特有の特性の組合せを有する。
【0168】
同様に、表4は、本発明のポリマーについて、6又はそれ以下の低い(良好な)貯蔵弾性率比、G’(25℃)/G’(100℃)を示すが、物理的ブレンド(比較例F)の貯蔵弾性率比は9であり、同様の密度のランダムエチレン/オクテンコポリマー(比較例G)の貯蔵弾性率比は1桁大きい(89)。ポリマーの貯蔵弾性率比は、可能な限り1に近いことが望ましい。そのようなポリマーは、比較的温度に影響を受けない、さらに、そのようなポリマーから作成される二次加工製品は、広い温度範囲にわたって有用に使用され得る。この低い貯蔵弾性率比及び温度不依存という特徴は、エラストマー用途、例えば感圧接着剤処方物において特に有用である。
【0169】
表4中のデータはまた、本発明のポリマーが、改良されたペレットブロッキング強度を有することを証明する。特に、実施例5のペレットブロッキング強度は0MPaであり、それが試験された条件下で、相当なブロッキングを示す比較例F及びGと比較して自由に流動していることを意味する。大きなブロッキング強度を有するポリマーのバルク輸送は、貯蔵又は出荷の際に生成物の凝集又は粘着をもたらし、取り扱い特性が劣る場合があり得るため、ブロッキング強度は重要である。
【0170】
本発明のポリマーの高温(70℃)圧縮永久歪みは、一般に良好であり、一般に未満約80パーセント、好ましくは約70パーセント未満、さらに特に約60パーセント未満を意味する。対照的に、比較例F、G、H及びJは全て100パーセント(最大可能値、回復がないことを示す)の70℃圧縮永久歪みを有する。良好な高温圧縮永久歪み(低い数値)は、ガスケット、窓枠、o−リング、等の用途に特に必要とされる。
【表5】
152cm/分で試験
238℃にて12時間測定
【0171】
表5は、周囲温度での新規なポリマーの、ならびに様々な比較ポリマーの機械的特性の結果を示す。本発明のポリマーは、ISO 4649に従って試験した場合、非常に良好な耐摩耗性を有すると見做されてもよく、一般に約90mm3未満、好ましくは約80mm3未満、特に約50mm3未満の容積減少を示す。この試験では、数字が大きいほど容積減少が大きく、結果的に耐摩耗性が低いことが示される。
【0172】
本発明のポリマーの引張ノッチ引裂強度により測定される引裂強度は、表5に示されるように、一般に1000mJ又はそれ以上である。本発明のポリマーの引裂強度は、3000mJ程度、又はさらに5000mJ程度の高さであり得る。比較例のポリマーは、一般に750mJ以下の引裂強度を有する。
【0173】
また、表5により、本発明のポリマーが、いくつかの比較例サンプルよりも、150パーセント歪みで良好な収縮応力を有する(より高い収縮応力値により証明される)ことが示される。比較例F、G及びHの150パーセント歪みでの収縮応力値は400kPa以下であるが、一方、本発明のポリマーの150パーセント歪みでの収縮応力値は500kPa(実施例11)から約1100kPa程度の高い値(実施例17)である。150パーセント収縮応力値より高い値を有するポリマーは、弾性用途、例えば弾性繊維及び織物、特に不織布織物に極めて有用である。他の用途としては、オムツ、衛生、及び医用衣類のウエストバンド用途、例えばタブ及び弾性バンドが挙げられる。
【0174】
また、表5により、(50パーセント歪みでの)応力緩和も、例えば比較例Gと比較して、本発明のポリマーについて改良された(少ない)ことが示される。応力緩和がより低いとは、長期間にわたって体温での弾性特性の保持が望ましいオムツ及び他の衣類などの用途において、ポリマーがその力をより良好に保持することを意味する。
光学的試験
【表6】
【0175】
表6に報告される光学特性は、実質的に配向を欠く圧縮成形フィルムに基づく。ポリマーの光学特性は、重合において用いられる連鎖シャトリング剤の質の変化によりもたらされる結晶子サイズの変動に起因して広範囲にわたって変動する可能性がある。
マルチブロックコポリマーの抽出
【0176】
実施例5、7及び比較例Eのポリマーの抽出調査を行う。この実験では、ポリマーサンプルをガラス円筒濾紙の中に秤量し、Kumagawa型抽出機に取り付ける。サンプルを含む抽出機を窒素でパージし、500mLの丸底フラスコに350mLのジエチルエーテルを充填する。次に、フラスコを抽出機に取り付ける。エーテルを加熱しながら攪拌する。エーテルが濾紙に凝集し始める時間を書き留めて、窒素下で24時間抽出を進行させる。この時点で加熱を停止させ、溶液を放冷する。抽出機に残っているあらゆるエーテルをフラスコに戻す。フラスコ中のエーテルを周囲温度にて真空蒸発させ、結果として得られる固体を窒素でパージ乾燥させる。ヘキサンの連続洗浄を用いてあらゆる残渣を秤量瓶に移す。次に、合わせたヘキサン洗浄液を別の窒素パージで蒸発させ、残渣を40℃にて一晩真空乾燥させる。抽出機に残っている全てのエーテルを窒素でパージ乾燥させる。
【0177】
350mLのヘキサンを充填した第2の清浄な丸底フラスコを、次に抽出機に接続する。ヘキサンが円筒濾紙に凝集していることに最初に気付いてから、ヘキサンを攪拌しながら還流まで加熱し、還流にて24時間維持する。次に、加熱を停止し、フラスコを放冷する。抽出機に残っているあらゆるヘキサンをフラスコに戻す。ヘキサンを周囲温度での真空蒸発により除去し、フラスコに残っているあらゆる残渣を連続するヘキサン洗浄を用いて秤量瓶に移す。フラスコ中のヘキサンを窒素パージにより蒸発させ、残渣を40℃にて一晩真空乾燥させる。
【0178】
抽出後、円筒濾紙に残っているポリマーサンプルを、円筒濾紙から秤量瓶に移し、40℃にて一晩真空乾燥させる。結果は表7に記載される。
【表7】
113C NMRにより測定
さらなるポリマー実施例19A〜J、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
実施例19A−Iについて
【0179】
連続溶液重合は、コンピュータ制御された十分に混合された反応器で実行される。精製された混合アルカン溶媒(Exxon Mobil,Inc.より入手可能なIsopar(商標)E)、エチレン、1−オクテン、及び水素(使用され
る場合)を合わせ、27ガロン反応器に供給する。反応器への供給量は、マスフローコントローラーにより測定される。供給流の温度は、反応器に入る前にグリコール冷却熱交換器を用いて制御される。触媒成分溶液は、ポンプ及びマスフローメーターを用いて測定される。反応器は液体が満たされた状態で、およそ550psigの圧力で運転される。反応器を出る際に、水及び添加剤をポリマー溶液に注入する。水は触媒を加水分解し、重合反応を終了させる。次に、反応器後の溶液を2段階脱揮の準備のために加熱する。溶媒及び未反応モノマーは脱揮プロセスの間に除去される。ポリマーメルトはポンプで水中ペレット切断用のダイに送られる。
実施例19Jについて
【0180】
連続溶液重合は、内部攪拌機を装備したコンピュータ制御されたオートクレーブ反応器中で実施される。精製した混合アルカン溶媒(Exxon Mobil Chemical Companyより入手可能なIsopar(商標)E)、2.70ポンド/時(1.22kg/時)のエチレン、1−オクテン、及び水素(使用される場合)を、温度制御用ジャケット及び内部熱電対を装備した3.8L反応器に供給する。反応器への溶媒の供給は、マスフロー制御装置によって測定される。可変速度ダイアフラムポンプによって、反応器への溶媒の流速及び圧力が制御される。ポンプの吐出時に、副流をとって触媒及び共触媒の注入ライン、並びに反応器攪拌機にフラッシュフローを供給する。これらの流れは、マイクロ−モーション(Micro-Motion)マスフローメーターによって測定され、制御弁によって、又はニードル弁を手で調節することによって制御される。残りの溶媒は、1−オクテン、エチレン、及び水素(使用される場合)と混合されて、反応器に供給される。マスフロー制御装置は、必要に応じて水素を反応器に送達するために用いられる。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に熱交換器を用いることにより制御される。この流れは、反応器の底部に入る。触媒成分溶液は、ポンプ及びマスフローメーターを用いて計量されて、触媒フラッシュ溶媒と混合され、反応器の底部に導入される。反応器は液体が満たされた状態で、500psig(3.45MPa)で激しく攪拌しながら運転される。生成物は、反応器上部の出口ラインから取り出される。反応器からのすべての出口ラインは蒸気トレースが行われ、断熱される。重合は、任意の安定剤又は他の添加剤とともに少量の水を出口ラインに添加することにより停止され、混合物をスタティックミキサーに通す。次に、生成物流を、熱交換器に通すことによって加熱してから脱揮する。ポリマー生成物は、脱揮押出機及び水冷ペレタイザーを用いる押出により回収される。
【0181】
プロセスの詳細及び結果を表8に記載する。選択されたポリマー特性を表9A〜Cに示す。
【0182】
表9Bにおいて、本発明の実施例19F及び19Gは、500%伸長後に65〜70%前後の歪みという低い直後残留歪みを示す。
【表8】
1標準cm3/分
2[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル
3ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジメチル
4質量バランスにより計算される最終生成物のppm
5ポリマー生成速度
6リアクター中のエチレン転化重量パーセント
7効率、ポリマー(kg)/M(g)(式中、M(g)=Hf(g)+Z(g))
【表9】
【表10】
【表11】
1様々なポリマーのブロックインデックスの計算に関するさらなる情報は、Colin L.P. Shan、Lonnie Hazlittらの名で2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡される、標題「エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマー」の米国特許出願番号第11/376,835号に開示されており、その開示内容は、参照により全文が本明細書に援用される。
2Zn/C2*1000=(Zn供給流*Zn濃度/1000000/ZnのMw)/(総エチレン供給流*(1−エチレンの部分転化率)/エチレンのMw)*1000 「Zn/C1*1000」中の「Zn」が、重合プロセスに用いられるジエチル亜鉛(「DEZ」)中の亜鉛の量を指し、「C2」が、重合プロセスに用いられるエチレンの量を指すことに注意されたい。
実施例20及び21
【0183】
実施例20及び21のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、下の表11に示される重合条件を用いて、上記実施例19A〜Iと実質的に同様の方法で作成した。これらのポリマーは表10に示される特性を示した。表10にはまた、ポリマーへの添加剤も示される。
【表12】
【0184】
Irganox1010は、テトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)メタンである。Irganox1076は、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートである。Irgafos168は、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである。Chimasorb2020は、1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)と2,3,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンの重合体であって、N−ブチル−1−ブタンアミンとN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンの反応生成物である。
【表13】
*比較例であり、本発明の実施例ではない
1標準cm3/分
2[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル
3ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジル
4質量バランスにより計算される最終生成物の亜鉛ppm
5ポリマー生成速度
6リアクター中のエチレン転化重量パーセント
7効率、ポリマー(kg)/M(g)(式中、M(g)=Hf(g)+Z(g))
成形可能な織物に適した繊維及び繊維物品
【0185】
本発明は、成形に適した織物に関する。そのような織物は、繊維物品又は衣類、例えばブラジャー、水着、下着、靴の甲部分、中敷、自動車部品、スポーツ用品、例えばダイビングスーツ、ならびにサッカー、ホッケー、及びフットボール用の防具、例えばすね当てなどとして有用である場合が多い。例えば、ブラジャーに関して、本発明の織物は、例えば、参照により本明細書に援用される、米国特許第3,981,310号;同第4,551,892号に記載される従来の織物と同じように用いることができる。
【0186】
織物は弾性繊維からなり、弾性繊維は少なくとも1種類のエチレンポリマーと少なくとも1種類の適した架橋剤の反応生成物を含む。本明細書において、「架橋剤」は、1又はそれ以上、好ましくは大部分の繊維を架橋するあらゆる手段を指す。従って、架橋剤は、化学物質であってもよいが、そうである必要はない。本明細書において用いられる架橋剤にはまた、架橋触媒を用いる又は用いない、電子ビーム照射、β線照射、γ線照射、コロナ照射、シラン、過酸化物、アリル化合物及び紫外線も含まれる。米国特許第6,803,014号及び同第6,667,351号には、本発明の実施形態で用いることのできる電子ビーム照射法が開示される。典型的には、織物が成形可能な量で十分な繊維が架橋される。この量は特定のポリマー及び所望の成形性の程度によって変動する。しかし、いくつかの実施形態では、架橋されたポリマーのパーセントは、実施例28に記載される方法に従って形成されたゲルの重量パーセントにより測定した場合に、少なくとも約5パーセント、好ましくは少なくとも約10、より好ましくは少なくとも約15重量パーセントから、多くて約65、好ましくは多くて約50パーセント、より好ましくは多くて約40パーセントである。
【0187】
繊維は、典型的に、該繊維の破断点伸びが、ASTM D2653−01(第1のフィラメントの破断点伸び試験)に従って、約200%より大きく、好ましくは約210%より大きく、好ましくは約220%より大きく、好ましくは約230%より大きく、好ましくは約240%より大きく、好ましくは約250%より大きく、好ましくは約260%より大きく、好ましくは約270%より大きく、好ましくは約280%より大きく、600%程度に大きくてもよいフィラメントを有する。本発明の繊維は、(1)200%伸びの付加/100%伸びの付加の比が、ASTM D2731−01に従って(完成した繊維形態での指定された伸びでの力の下で)、約1.5以上、好ましくは約1.6以上、好ましくは約1.7以上、好ましくは約1.8以上、好ましくは約1.9以上、好ましくは約2.0以上、好ましくは約2.1以上、好ましくは約2.2以上、好ましくは約2.3以上、好ましくは約2.4以上であり、4程度に大きくてもよい、としてさらに特徴付けられる。
【0188】
ポリオレフィンは、任意の適したポリオレフィン又はポリオレフィンのブレンドより選択してもよい。そのようなポリマーとしては、例えば、ランダムエチレンホモポリマー及びコポリマー、エチレンブロックホモポリマー及びコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー及びコポリマー、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。特に望ましいポリオレフィンは、均一に分岐したエチレンポリマーであり、例えばThe Dow Chemical Companyにより販売されているAFFINITY(商標)と呼ばれるものである。別の特に望ましいポリオレフィンは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーであり、ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、架橋の前の以下の特徴、
(1)0よりも大きく約1.0以下の平均ブロックインデックス、及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mn、;又は
(2)TREFを用いて分画される場合に、該画分のブロックインデックスが少なくとも0.5であって約1以下であることにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子画分;又は
(3)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、Tmとdの数値は次の関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、に相当する);又は
(4)約1.7〜約3.5のMw/Mn、且つ、融解熱ΔH(J/g)、及び、最大DSCピークと最大CRYSTAFピークの温度差として規定されるデルタ量、ΔT(摂氏温度)により特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が次の関係、
0より大きく130J/g以下のΔHについて、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gより大きいΔHについて、ΔT≧48℃、を有し、
該CRYSTAFピークが、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、そのCRYSTAF温度は30℃であること;又は
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(%)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、該Re及びdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合に、次の関係、
Re>1481−1629(d)を満たす);又は
(6)TREFを用いて分画される場合に、該画分のコモノマーモル含量が、同じ温度間で溶離する比較対象となるランダムエチレンインターポリマーのコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いことにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分(ここで、該比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を有し、且つ、メルトインデックス、密度、及びエチレン/α−オレフィンインターポリマーの場合の10パーセント以内のコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する);又は
(7)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は約1:1〜約9:1である);
の中の1又はそれ以上を有する。
【0189】
繊維は、所望の用途に応じて、任意の望ましい大きさ及び断面形状に製造されてもよい。多くの用途には、摩擦の少ないほぼ円形の断面が望ましい。しかし、他の形状、例えば三つに分かれた形状、又は平坦な(すなわち「リボン」様の)形状を用いてもよい。デニールは、その繊維の長さ9000メートルあたりの繊維のグラム数として定義される織物用語である。好ましい大きさには、少なくとも約1、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50から、多くて約180、好ましくは多くて約150、好ましくは多くて約100デニール、好ましくは多くて約80デニールまでのデニールが含まれる。
【0190】
用途に応じて、繊維は、ステープルファイバー又はバインダーファイバーを含む、任意の適した形態をとってもよい。典型的な実施例としては、ホモフィル繊維、バイコンポーネント繊維、メルトブロー繊維、メルトスパン繊維、又はスパンボンド繊維を挙げることができる。バイコンポーネント繊維の場合、それはシース・コア構造;シー・アイランド構造;サイド・バイ・サイド構造;マトリックス・フィブリル構造;又はセグメント化パイ構造を有し得る。有利には、従来の繊維形成プロセスを用いて前述の繊維を製造することができる。そのようなプロセスとしては、例えば、米国特許第4,340,563号;同第4,663,220号;同第4,668,566号;同第4,322,027号;及び同第4,413,110号に記載されるものが挙げられる。
【0191】
その組成に応じて、この繊維は、加工が促進されるように作成され、他の繊維と同じに、又は他の繊維よりも良好にスプールから巻き出すことができる。円形の断面図の普通の繊維の場合は、そのベースポリマーの過剰な応力緩和に起因して、満足の行く巻き出し性能を提供することができない場合が多い。この応力緩和は、スプールの期間に比例し、スプールのごく表面に位置するフィラメントの表面へのグリップを失わせるため、緩んだフィラメント鎖となる。後に、従来の繊維を含有するそのようなスプールがポジティブフィーダー(positive feeders)、すなわちMemminger−IROのロールの上に置かれ、工業的速度、すなわち100〜300回転/分で回転を始める時に、緩んだ繊維はスプール表面の脇に飛ばされ、最終的にスプールの端から離れ落ちる。この不具合は脱線として知られ、梱包の肩部又は端部から滑り落ちる従来の繊維の傾向を示し、巻き出しプロセスを妨害し、最終的に機械の停止を引き起こす。上記の繊維は同じ、又は場合によりより多くの処理量を可能にする、はるかに低い有意な程度の脱線を示し得る。
【0192】
この繊維の別の利点は、織物及び弾性フィラメントの欠点又は繊維破断などの不具合が、従来の繊維と比較して同等であるか又は減少し得ることである。つまり、上記繊維の使用により、繊維断片の針床への堆積を低下させることができる、これは、ポリマー残留物が針表面へ付着する場合に丸編み機に多く起こる問題である。従って、この繊維は、繊維が例えば丸編み機での織物となる場合に、残留物により引き起こされる、対応する織物の破損を減らすことができる。
【0193】
別の利点は、この繊維を、スプールから針までずっとフィラメントを駆動させている弾性のガイドが静止している、例えばセラミック製又は金属製のアイレットなどである、円形の機械で編成することができる点である。対照的に、いくつかの従来の弾性オレフィン繊維は、丸編みプロセスの間の機械の停止又はフィラメントの破断を避けることができるように、機械部品、例えばアイレットなどが加熱される時の摩擦を最小限にするために、これらのガイドがプーリーなどの回転する要素から作られていることを必要とする。つまり、機械のガイド要素に対する摩擦は、本発明の繊維を用いることにより低減される。丸編みに関するさらなる情報は、例えば、参照によりその全文が本明細書に援用される、Bamberg Meisenbach, 「Circular Knitting: Technology Process, structures, Yarns, Quality」、1995に見出すことができる。
添加剤
【0194】
抗酸化薬、例えば、Ciba Geigy Corp.製のIRGAFOS(登録商標)168、IRGANOX(登録商標)1010、IRGANOX(登録商標)3790、及びCHIMASSORB(登録商標)944を、エチレンポリマーに添加して、成形又は二次加工作業の間の分解取り消し(undo degradation)から保護する、且つ/又はグラフト又は架橋の程度をより良く制御する(すなわち過剰なゲル化を阻害する)ことができる。製造過程の添加剤、例えば、ステアリン酸カルシウム、水、フッ素重合体、他もまた、残留触媒の非活性化及び/又は改良された加工性などの目的のために用いてもよい。TINUVIN(登録商標)770(Ciba−Geigy製)は、光安定剤として用いることができる。
【0195】
コポリマーは充填剤を入れても入れなくてもよい。充填剤を入れた場合、存在する増量剤の量は、高い温度で耐熱性か又は弾性のいずれかに悪影響を及ぼし得る量を超えるべきではない。存在する場合、典型的に、増量剤の量は、コポリマーの総重量(或いは、コポリマーと1又はそれ以上の他のポリマーのブレンドの場合、ブレンドの総重量)に対して、0.01〜80重量%の間である。代表的な増量剤としては、カオリン粘度、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、シリカ及び炭酸カルシウムが挙げられる。増量剤の存在する、好ましい実施形態では、増量剤は、そうでない場合は、増量剤が架橋反応を妨げたあらゆる傾向を防ぐか又は阻害する材料でコーティングされる。ステアリン酸がそのような増量剤コーティングの例である。
【0196】
繊維の摩擦係数を低下させるために、様々なスピン仕上げ配合物、例えば繊維油中に分散された金属石鹸(例えば米国特許第3,039,895号又は米国特許第6,652,599号参照)、基油中の界面活性剤(例えば米国特許出願第2003/0024052号参照)及びポリアルキルシロキサン(例えば米国特許第3,296,063号又は米国特許第4,999,120号参照)を用いることができる。米国特許出願第10/933,721号(US20050142360号として公開)には、同様に用いることのできるスピン仕上げ組成物が開示されている。
【0197】
編織物
本発明は、ポリオレフィンポリマーを含む改良された編物繊維物品に関する。本発明の目的において、「繊維物品」には、織物ならびに物品、すなわち織物から製造される衣類が含まれ、それには、例えば、ブラジャー及び成形性を必要とする他の品目が挙げられる。編成するとは、ヤーン又はスレッドを一連の連結したループの中に編み針を用いて手で、又は機械でのいずれかで織り合わせることを意味する。本発明はどのような種類の編物にも適用することができ、それには、例えば、ワープニット又はウェフトニット、平編み、及び丸編みが挙げられる。特に好ましいワープニットとしては、トリコット、ラッセルパワーネット、及びレースが挙げられ、一方、好ましいウェフトニットとしては、丸編み、平編み、ならびに、通常丸編みの一部と考えられるシームレスが挙げられる。しかし、本発明は、輪針の用いられる、丸編み、すなわち、円形に編成することに用いられる場合に特に有利である。
【0198】
本発明の編織物は、好ましくは、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーであって、ここで、該エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、以下の特徴の1又はそれ以上を有する。
(1)0よりも大きく約1.0以下の平均ブロックインデックス、及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mn;又は
(2)TREFを用いて分画される場合に、該画分のブロックインデックスが少なくとも0.5であって約1以下であることにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子画分;又は
(3)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、Tmとdの数値は次の関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、に相当する);又は
(4)約1.7〜約3.5のMw/Mn、且つ、融解熱ΔH(J/g)、及び、最大DSCピークと最大CRYSTAFピークの温度差として規定されるデルタ量、ΔT(摂氏温度)により特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が次の関係、
0より大きく130J/g以下のΔHについて、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gより大きいΔHについて、ΔT≧48℃、を有し、
該CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、そのCRYSTAF温度は30℃であること;又は
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(%)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、該Re及びdの数値が、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合に、次の関係、
Re>1481−1629(d)を満たす);又は
(6)TREFを用いて分画される場合に、該画分のコモノマーモル含量が、同じ温度間で溶離する比較対象となるランダムエチレンインターポリマーのコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いことにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分(ここで、該比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を有し、且つ、メルトインデックス、密度、及びエチレン/α−オレフィンインターポリマーの場合の10パーセント以内のコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する);又は
(7)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は約1:1〜約9:1である);或いは
(B)均一に分岐したエチレンポリマー;又は
を含む。
【0199】
編織物中のポリマーの量は、ポリマー、用途及び所望の特性によって変動する。織物は、典型的に少なくとも約1、好ましくは少なくとも約2、好ましくは少なくとも約5、好ましくは少なくとも約7重量パーセントのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。織物は、典型的に約50未満、好ましくは約40未満、好ましくは約30未満、好ましくは約20未満、より好ましくは約10重量パーセント未満のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、繊維の形態であってもよく、さらに、別の適したポリマー、例えばポリオレフィン、例えばランダム エチレンコポリマー、HDPE、LLDPE、LDPE、ULDPE、ポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、プラストマー及びエラストマーなど、ラストール、ポリアミド、等とブレンドしてもよい。
【0200】
織物のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは任意の密度を有してもよいが、通常少なくとも約0.85、好ましくは少なくとも約0.865g/cm3である(ASTM D 792)。相応して、密度は、通常約0.93未満、好ましくは約0.92g/cm3未満である(ASTM D 792)。織物のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約0.1〜約10g/10分の未架橋のメルトインデックスにより特徴付けられる。架橋が望ましい場合は、架橋ポリマーの率は多くの場合、形成されたゲルの重量パーセントに対して、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約25重量パーセント〜多くて約90、好ましくは多くて約75である。
【0201】
繊維は、直接編成して織物にしてもよいし、ハードヤーンで覆ってから編成して織物にしてもよく、次にその織物は成形される。覆った場合、それは典型的に、レーヨン、ビスコース、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、他の合成繊維、及びそれらの混合物からなる群より選択される材料によって覆われる。弾性繊維(覆われていても裸であっても)は、以前に記載した、さらに、場合により、セルロース、綿、亜麻、ラミー、麻、毛、絹、リネン、竹、テンセル、モヘア、他の天然繊維、及びそれらの混合物からなる群より選択される別の材料の繊維をさらに含む、合成繊維とともに編成してもよい。多くの場合、他の材料がその織物の大部分を構成する。そのような場合、他の材料は、織物の少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、好ましくは少なくとも約70重量%、好ましくは少なくとも約80重量%、場合により90〜95重量%程度を構成することが好ましい。
【0202】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー、該他の材料又はその両方は、繊維の形態であってもよい。好ましいサイズとしては、少なくとも約1、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50デニールから、多くて約180、好ましくは多くて約150、好ましくは多くて約100、好ましくは多くて約80デニールまでが含まれる。
【0203】
所望により、さらなるストレッチ材料をエチレン/α−オレフィンインターポリマーに加えて用いてもよい。例えば、エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維は、第2のストレッチ材料とともに用いることができる。適したさらなる ストレッチ材料としては、ポリブチレンテレフタラート、スパンデックス、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、又はそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーからなる弾性繊維が挙げられる。そのような混合物としては、ポリ(エチレンテレフタラート)/ポリ(トリメチレンテレフタラート)、例えば、T−400(商標)繊維のようなバイコンポーネント繊維が挙げられる。他のバイコンポーネント繊維としては、二成分ポリエステル及び二成分ポリアミドを挙げることができる。織布には、エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維は、縦又は横方向のどちらで用いてもよく、そして、さらなるストレッチ材料は、縦又は横方向のどちらで用いてもよい。
【0204】
特に好ましい丸編織物は、繊維の形態のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを織物の約5〜約20(重量)パーセントの量で含む。特に好ましいワープニット織物は、繊維の形態のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを、繊維の形態の織物の約10〜約30(重量)パーセントの量で含む。他のそのようなワープニット及び丸編織物はまた、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、綿、又はそれらの混合物も含む。
【0205】
この編織物は、典型的に、AATCC 135に従って、水平方向、垂直方向、又はその両方のいずれかの洗浄後の収縮パーセントが、約5未満、好ましくは4未満、好ましくは3未満、好ましくは2未満、好ましくは1未満、好ましくは0.5未満、好ましくは0.25未満である。より具体的には、この織物(ヒートセット後)は、多くの場合、あらゆる成形の前の寸法安定性が、AATCC 135 IVAiに従って、縦方向に、横方向に、又はその両方に、約7%〜約+7%、好ましくは−5%〜約+5%、好ましくは約−3%〜約+3%、好ましくは−2%〜約+2%、より好ましくは−1%〜約+1%である。その上、この織物は多くの場合ATCC 135 IVAiに従う洗濯の後、架橋の量のより多い、比較対象となる弾性繊維の織物よりもの収縮が少ない。
【0206】
この編織物は、所望によりエチレン/α−オレフィンインターポリマー及び他の材料の種類及び量を制御することにより、その2方向に多少伸縮性に製造することができる。同様に、この織物は、伸びを制御することができるように製造することができる。何よりも伸びを制御することにより、約180未満、好ましくは約170未満、好ましくは約160未満、好ましくは約150℃未満の温度から本発明の織物をそれでもサイズを制御しながらヒートセットさせることができる。
【0207】
有利には、本発明の編織物は、相当な数の破断なく、アイレットフィーダーシステム、プーリーシステム、又はその組合せを含む編機を用いて製造することができる。従って、改良された成形性を有すると同時に、許容される寸法安定性(縦方向及び横方向)、許容される伸び及び収縮、サイズを制御しながら低温でヒートセットされる能力、低い水分率、を有する、丸編みされたストレッチ織物を有意な破断なくハイスループットでさらに多種多様な丸編み機で脱線することなく製造することができる。
【0208】
有利には、本発明の編織物は、成形されることができる、すなわち、織物の構造を実質的に膨張させることなく、熱に付された場合に三次元成型に従う形状に固まる。従来の織物成形装置を用いてもよい。
【0209】
WO2001081443号に述べられるように、「商業運転で用いられる典型的なヒートセットヒートセット温度は、スパンデックス及び6,6−ナイロンを含む織物に関して195℃、織物が6ナイロンを含む場合は190℃、さらに織物が綿を含む場合は180℃である。綿とスパンデックスを含む織物をヒートセットすることが望ましいが、もしそのスパンデックスがナイロンを含む織物に使用される温度でのみ適当なヒートセット効率を有する場合は、そのスパンデックスは綿を含む織物で適切にヒートセットされることができない、それは必要な高温に曝されることにより損傷を受ける」。幸いにも、本発明の織物は、低い温度で成形することができる。このことは、多くの場合、エネルギー消費の減少及び/又は成形時間の低下をもたらす。成形された本発明の織物はまた、従来のスパンデックスを含む成形された織物よりも、変色、すなわち黄変又は焼けによる白色度の低下が少ない場合が多い。成形された本発明の織物の他の利益としては、多くの場合、任意の適用された染料の色彩堅牢度及び洗濯堅牢度が挙げられる。その点において、成形された本発明の織物は、多くの場合、b値が下の実施例30〜31に記載されるように決定される、成形前の織物のb値の、CIELAB単位で用いられる、4以内のb値、好ましくは3位内、より好ましくは2以内のb単位を示すことが見出された。
【0210】
スパンデックスのみからなる先行技術の織物に反して、弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーの架橋繊維を含む本発明の織物は、220℃程度の高温で、織物の特性を実質的に低下させることなく、より厳しい化学物質処理を用いて加工することができる。本発明の大部分の織物の成形のために、より高い温度を用いることができるが、従来のスパンデックス成形温度よりも低い温度で成形を行うことができる。具体的な成形時間及び温度は、具体的な織物、成形装置、及び所望の特性に応じて変動する。しかし、典型的に、織物は約220℃未満、好ましくは約210℃未満、好ましくは約200℃未満、好ましくは約190℃未満、好ましくは約180℃未満、より好ましくは約170℃未満の温度で成形され得る。相応して、温度は、通常少なくとも約120℃、好ましくは少なくとも約130度である。織物を伸長している間又はその直後に成形された織物の急速な冷却を可能にする成形装置が有利である。成形滞留時間の量は変動するが、通常約3分未満、好ましくは約2分未満、好ましくは約1分未満である。相応して、温度を増加させた成形滞留時間の量は、通常少なくとも約3秒、いくつかの例では少なくとも約10秒、さらにいくつかの例では少なくとも約30秒である。
実施例
実施例22−高架橋の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーの繊維
【0211】
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いてほぼ円形の断面を有する40デニールのモノフィラメント繊維を製造した。繊維を製造する前に、次の添加剤をポリマーに加えた。7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]及び0.5重量% TiO2。繊維の溶融紡糸の間、特定のスピンパック溶融フィルター(spin pack melt filter)が使用され、それは三つの(3)篩構成部品からなる。(1)500ミクロンの10層POROSTAR(登録商標)XLフィルター、(2)公称寸法100ミクロンの不織布、及び(3)100ミクロンの10層POROSTAR XL。最初の清浄なフィルターdPは、典型的に45barであったが、運転の過程で90〜100barの範囲に増加し、その時点でフィルター要素が清浄なフィルターに交換され、そのサイクルが再び繰り返された。この配置は、繊維の破断を最小化し、清浄なスピンパックを導入するためのシャットダウンの時間間隔を最大化することに関して良好な性能を示した。繊維は、円形の直径0.8mmのダイ断面形状、スピン温度299℃、ワインダー速度1000m/分、スピン仕上げ2%、常温延伸(cold draw)6%、及びスプール重量150gを用いて製造した。次に、スプールの温度を約30℃より低く維持しながら合計176.4kGyの照射を架橋剤として用いて、繊維を架橋した。
実施例23−低架橋の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーの繊維
【0212】
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いてほぼ円形の断面を有する40デニールのモノフィラメント繊維を製造した。繊維を製造する前に、次の添加剤をポリマーに加えた。7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]及び0.5重量% TiO2。繊維は、円形の直径0.8mmのダイ断面形状、スピン温度299℃、ワインダー速度1000m/分、スピン仕上げ2%、常温延伸(cold draw)2%、及びスプール重量150gを用いて製造した。次に、スプールの温度を約30℃より低く維持しながら合計70.4kGyの照射を架橋剤として用いて、繊維を架橋した。
実施例24−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーとポリエステルの繊維の織物
【0213】
2種類の丸編織物を実施例22の繊維から製造し(織物22−A及び織物22−B)、2種類の丸編織物を実施例23の繊維から製造した(織物23−A及び織物23−B)。用いたハードヤーンは、150デニール、96フィラメントのポリエステルであった。織物含量、編成条件、仕上げ工程、及び加工織物特性は次の通りである。
編機の種類
【表14】
【0214】
これらの4種類の織物の生繊維材料を乾燥させ、従来の方法で仕上げた。精練工程は不連続の噴流中で行い、130℃の乾燥温度を用いた。ヒートセットは165℃の温度で行った。速度は15ヤード/分まで減速され、20%の過剰供給が行われる。
【0215】
生繊維材料及び乾燥させた織物の織物幅及び1ヤードあたりの重量を下に示す。織物22−A及び織物22−Bは、テンターフレームでのヒートセット工程中に53インチから57インチまで伸ばされた。織物幅は、ヒートセット後には57インチとなった。
生繊維材料及び加工品の織物幅
【表15】
【0216】
これらの4種類の織物を、水分率重量(moisture regain weight)に対するAATCC 20A−2000により分析して織物の繊維組成を決定した。ポリエステルの水分率は0.4%であり、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの水分率は0%である。
編織物の繊維組成(AATCC 20A−2000)
【表16】
【0217】
ヒートセット後の寸法安定性を測定するために、寸法変化試験のためにこれらの4種類の織物の各々にAATCC 135−2003 IVAを行った。3回目の洗浄の後の長さと幅の寸法変化の比率が下に記録される。
寸法安定性の結果
【表17】
実施例25−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーとポリエステルの繊維の織物からなる成形されたブラジャー
【0218】
実施例24に記載されるこれらの4種類の織物を成形して、ブラジャーに適したカップをNew Pad Industry成形機を用いて製造した。図8は、ブラジャー成形機の写真を示す。図9は、雄型の直径が128mm、雌型の直径が129mmのカップサイズ36Bの成形部品を示す。下の表は、機械での成形後のカップの深さ、機械から外した20秒後のカップの深さならびに洗濯及びタンブル乾燥後のカップの深さを示す。AATCC 135洗濯法をこの研究に適用した。160℃、180℃及び190℃の成形温度での結果は、典型的な顧客のカップ深さの要件である75mmにほぼ適う。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、成形試験で用いた213g/m2重量の織物は、従来のカップに成形される織物が130g/m2〜180g/m2の重量範囲であるため、下着用途には重すぎると思われる。従って、より軽い編織物が75mmのカップ深さに達し得る。
成形、硬化及び洗濯でのカップ深さ
【表18】
実施例26−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーとポリアミドの繊維の織物
【0219】
たて編織物(織物22−C)を、実施例22の繊維、及びDEFIBER,S.A.,SPAINより供給される40デニール/13フィラメントのマルチフィラメントポリアミド6.6の繊維から製造した。たて編織物(織物23−C)を、実施例23の繊維、及びDEFIBER,S.A.,SPAINより供給される40デニール/13フィラメントのマルチフィラメントポリアミド6.6の繊維から製造した。たて編織物(織物26)を、176.4Kgyの架橋用量の、40デニールフィラメントのXUS10066.04に基づくAFFINITY(商標)(The Dow Chemical Companyより入手可能)、及びDEFIBER,S.A.,SPAINより供給される40デニール/13フィラメントのマルチフィラメントポリアミド6.6から製造した。
【0220】
織物22−C、織物23−C及び織物26の編成条件は以下の通りであった。
Machine 36G、LIBA
ロックニット(Locknit)構造
ポリアミド編み目長−1100mm/ラック−別名、供給速度
弾性織物編み目長−545mm/ラック
送り率(Run in ratio)=1.33
ビームドラフト(Beam Dfart)=1.65
弾性ドラフト(Elastic Dfart)=2.5X;次式による。(ビームドラフト*PAのmm/ラック)/(送り率*弾性織物のmm/ラック)
弾性含量=23.1%;次式による。((弾性デニール*弾性織物のmm/ラック)*100%)/((PAデニール*PAのmm/ラック*ビームドラフト)+(弾性デニール*弾性織物のmm/ラック)
【0221】
織物22−C、織物23−C及び織物26の仕上げ条件は以下の通りであった。
噴流による精練:
最大70℃の精練浴
持続時間=40分
精練浴の主な成分:石鹸と炭酸ナトリウム(ソーダ灰)の水溶液
ポリアミドのプレヒートセット
テンターフレーム速度:16m/分
過剰供給:15%
セット幅:155cm
最大テンターフレーム設定温度:最大180℃
加熱チャンバー内部の滞留時間:60秒
ビーム染色
処理:染色をビームに分散させる
染色サイクル:最大温度105℃
色:黒色
乾燥
テンターフレーム速度:16m/分
過剰供給:15%
セット幅:150cm
最大テンターフレーム設定温度:最大160℃
加熱チャンバー内部の滞留時間:60秒
【0222】
織物22−C、織物23−C及び織物26についての加工織物特性は、伸びを特定するための方法:M&S15A(負荷を15Nの代わりに36Nに修正したもの)及び寸法安定性を特定するための方法ISO5077:1984(41℃で洗濯;70℃1時間のタンブル乾燥)を用いて、以下の通りであった。
織物23−C
幅 144cm
密度 155g/m2
縦方向の伸長:106%
縦方向の寸法安定性:−2.7%
織物22−C
幅 143cm
密度 176g/m2
縦方向の伸長:107%
縦方向の寸法安定性:−2.1%
織物26
幅 143cm
密度 155g/m2
縦方向の伸長:92%
縦方向の寸法安定性:−9.9%
実施例27−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーとポリアミドの繊維の織物からなる成形されたブラジャー
【0223】
3種類の加工織物(織物22−C、織物23−C及び織物26)を、ブラジャーのカップの製造のための伝統的な成形機で用いた。この機械の概要を図10に示す。成形されたカップは少なくとも30mmである。
【0224】
機械の凸面及び凹面の部品は両方とも金属製で加熱される。上に特定される3種類の加工織物のサンプルを、次に該部品の間に入れ、170℃の一定温度で、凸/凹の部品の間での滞留時間(すなわち型の中の時間)を変えてプレスした。後に、それらを室温(約27℃)まで冷却させた。少なくとも72時間待ってから、そして洗濯をする前に、成形後のカップの高さを各々の滞留時間(70、50及び35秒)に照らして測定した。結果を下の表に示す。
成形後の高さ寸法(mm)
【表19】
【0225】
この表は、弾性繊維の種類によるカップの高さの違いを明らかにする。低架橋レベルの繊維から製造されている織物23−Cは、より高い架橋レベルの他の2種類の弾性繊維から製造されている織物22−C及び織物26の場合よりも約50%高いカップ高さを達成し得る。
【0226】
カップを寸法安定性試験[ISO5077:1984(41℃で洗濯;70℃1時間のタンブル乾燥)]にとり、試験洗濯法の後のそれらの高さをそれらの形状の保持を調べるためにとった。最初のカップ高さからの変化%の点での、結果を下の表に示す。
洗濯後の高さの収縮(%)
【表20】
【0227】
またしても、織物23−Cは、おそらくその弾性繊維の低い架橋レベルによる、約50%を上回って安定しているという点で織物22−C及び織物26を凌ぐ。
実施例28−異なる量の繊維の架橋
【0228】
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いて、ほぼ円形の断面を有する40デニールのモノフィラメント繊維を製造した。繊維を製造する前に、次の添加剤をポリマーに加えた、7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]及び0.5重量% TiO2。繊維は、円形の直径0.8mmのダイ断面形状、スピン温度299℃、ワインダー速度650m/分、スピン仕上げ2%、常温延伸(cold draw)6%、及びスプール重量150gを用いて製造した。次に、変動する量の電子ビームからの照射を架橋剤として用いて、繊維を架橋した。
【0229】
照射の量に対するゲル含有量を、図11に示す。ゲル含有量は、およそ25mgの繊維サンプルを4つの極めて正確な数値に秤量することにより決定した。次に、蓋付きの2ドラムバイアル中でサンプルを7ml キシレンと合わせる。バイアルを、15分おきに反転混合(すなわちバイアルの上下を反転させる)しながら125℃〜135℃で90分加熱して、本質的に全ての非架橋ポリマーを抽出する。バイアルがおよそ25℃まで冷めたところで、キシレンをゲルからデカントする。ゲルをバイアル中で少量の新鮮なキシレンで濯ぐ。濯ぎ洗いされたゲルを、風袋を差し引いたアルミニウム秤量パンに移す。風袋を差し引いた、ゲルを含む皿を125℃にて30分間真空乾燥して蒸発によりキシレンを除去する。乾燥したゲルを含むパンを化学天秤で秤量する。ゲル含有量は、抽出されたゲル重量及び最初の繊維重量に対して計算される。図11は、電子ビーム線量が増加するにつれて、架橋の量(ゲル含有量)が増加することを示す。当業者であれば、架橋の量と電子ビーム線量との間の正確な関係が、所与ポリマーの特性、例えば、分子量又はメルトインデックスの影響を受け得ることを理解する。
実施例29−雄型のみの成形機を用いる成形
【0230】
4種類の丸編み加工織物(織物F1、織物F2、織物F3及び織物F4)を、下に指定されるフィラメント繊維Y1、Y2、Y3、Y4及びY5を用いて編成した。繊維Y5は、全ての織物の中にハードヤーン成分として存在し、Y1、Y2、Y3及びY4はY5をかぶせた(plated with)弾性繊維である。
【0231】
上の4種類の織物についての編成条件は次の通りである。
織物F1
Machine 28G、Mayer & Cie Relanit
平編みシングルジャージー
弾性織物=繊維実施例Y1
ポリアミド=繊維実施例Y5
ポリアミド供給=3mm/針
弾性供給速度=1.1mm/針
弾性ドラフト=2.7X;次式による、(ポリアミド供給速度)/(弾性供給速度)
弾性含量=7.3%;次式による。(弾性デニール/弾性ドラフト)/[(ポリアミドドラフト)+(弾性デニール/弾性ドラフト)]
織物F2
Machine 28G、Mayer & Cie Relanit
平編みシングルジャージー
弾性織物=繊維実施例Y2
ポリアミド=繊維実施例Y5
ポリアミド供給=3mm/針
弾性供給速度=1.1mm/針
弾性ドラフト=2.7X;次式による。(ポリアミド供給速度)/(弾性供給速度)
弾性含量=10.0%;次式による。(弾性デニール/弾性ドラフト)/[(ポリアミドドラフト)+(弾性デニール/弾性ドラフト)]
織物F3
Machine 28G、Mayer & Cie Relanit
平編みシングルジャージー
弾性織物=繊維実施例Y3
ポリアミド=繊維実施例Y5
ポリアミド供給=3mm/針
弾性供給速度=1.1mm/針
弾性ドラフト=2.7X;次式による。(ポリアミド供給速度)/(弾性供給速度)
弾性含量=10.0%;次式による。(弾性デニール/弾性ドラフト)/[(ポリアミドドラフト)+(弾性デニール/弾性ドラフト)]
織物F4
Machine 28G、Mayer & Cie Relanit
平編みシングルジャージー
弾性織物=繊維実施例Y4
ポリアミド=繊維実施例Y5
ポリアミド供給=3mm/針
弾性供給速度=1.1mm/針
弾性ドラフト=2.7X;次式による。(ポリアミド供給速度)/(弾性供給速度)
弾性含量=9.5%;次式による。(弾性デニール/弾性ドラフト)/[(ポリアミドドラフト)+(弾性デニール/弾性ドラフト)]
【0232】
上の4種類の織物についての仕上げ条件は同一であり、次の通りである。
連続精練:
最大80℃での精練浴
持続時間=1分
精練浴の主な成分:石鹸と炭酸ナトリウム(ソーダ灰)の水溶液
ポリアミドのプレヒートセット
テンターフレーム速度:16m/分
過剰供給:30%
セット幅:170、170、160、160cm
最大テンターフレーム設定温度:最大180℃
加熱チャンバー内部の滞留時間:60秒
処理:ロープでのジェット染色
染色サイクル:最大温度105℃
色:黒色、酸性染料
乾燥
テンターフレーム速度:16m/分
過剰供給:15%
セット幅:170、170、160、160cm
最大テンターフレーム設定温度:最大160℃
加熱チャンバー内部の滞留時間:60秒
【0233】
繊維Y1、Y2及びY3:実施例20のものに類似の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いてほぼ円形の断面のモノフィラメント繊維を製造した。上記の繊維を製造する前に、次の添加剤をポリマーに加えた。7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]]]]イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]及び5000ppmのCrodamide EBO。繊維は、円形の直径0.8mmのダイ断面形状、2%のスピン仕上げ含量、常温延伸0%、及びスプール重量300gを用いて製造した。Y1、Y2及びY3に関する紡糸のその他の詳細は次の通りである。
【表21】
繊維Y4
種類:Creora H250(Spandex)
線密度:40デニール
供給源:Hyosung,Korea
繊維Y5
種類:ポリアミド66
線密度:140デニール(70デニール/68フィラメント/2層)テクスチャード(textured)
供給源:Defiber S.A.,Spain
【0234】
織物F1、F2、F3及びF4は、完成した形で次の特性を示した。
【表22】
*縦及び横方向のAATCC135 IVAi
**M&SP15A:負荷を36Nに修正
【0235】
これらの4種類の織物(F1〜F4)を、雄型だけが存在する(凸状の型部分のみ)成形機にかけた。織物を平面と見做すと、織物の下から上に型が完全に挿入されたところで、直径100mmの円周が作成され、織物面から雄型の先端までの距離(使用時にはその深さ)は70mmである。下の表は、行った試験及び観察された結果を記録する。前述のデータは、架橋が少ないと、成形時により良好なカップの深さがもたらされ得ることを示唆する。
【表23】
実施例30−成形されたたて編織物
【0236】
3種類のたて編織物(たて編織物1、2及び3)を、たて編機及び以下のパラメータを用いて3つの異なる弾性繊維及び40Dテクスチャードナイロンから製造した。構造:トリコットロックニット(lockknit)、ニードルゲージ36G、編み目長1200、およいドラフト3.0。たて編織物1は、該繊維が68デニールであることを除いて実施例29の繊維Y2と同様の方法で製造された68デニールの弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維から構成された。たて編織物2は、一般名AFFINITY(商標)KC8852G(The Dow Chemical Companyより入手可能)のランダムコポリマーを用いることを除いて実施例21と同様の方法で製造された40デニールの弾性ポリマー繊維から構成された。AFFINITY(商標)KC8852Gは、3g/10分のメルトインデックス及び0.875g/cm3の密度を有することを特徴とする。たて編織物3は、実施例29の繊維Y3と同様の方法で製造された55デニールの弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維から構成された。
【0237】
これらの3種類の織物を、ASTM D 3776−96により分析して織物の重量を決定した。「万能試験機INSTRON 5564」装置で、織物を36Nに達するまで2つの連続した負荷サイクルに供し、一定速度で除荷する、修正されたMarks and Spencer P15A試験法を用いて伸長分析を行った。たて編織物は次の特性を示した。
【表24】
【0238】
この実施例の3種類のたて編織物のサンプルを、160℃及び205℃で60秒及び120秒間、バレット型(雄型のみ)、Crouzet時間設定ゲージ及びHoneywell熱設定ゲージを用いて成形した。織物を平面と見做すと、織物の下から上に型が完全に挿入されるとすぐに、直径100mmの円周が作成され、織物面から雄型の先端までの距離(使用時にはその深さ)は70mmである。成形中の織物温度は、Fluke Corporationより入手可能なIR Minithermometer「Fluke 62」を用いて−30℃〜500℃の温度範囲及び精度+1.5%で測定した。温度測定範囲が報告される。
【0239】
カップ高さ(洗濯の前後)及び織物変色(洗濯前)を含む、織物サンプルの様々な特性を測定した。キャリパーA−23 Pie de rey PREISSER(95%より大きい信頼区間で不確かさ+/−0.01mm)を用いてカップ高さを決定した。織物を、可能な限り均一に成形された成形されたカップ面とともに平坦な表面の上に置き、成形された織物の先端と平坦な表面との間の差を測定した。成形された織物をSiemens IQ 1433洗濯機で一度60℃+/−4℃にて90分間、6kgの負荷とともに洗濯し、室温にてフラットに乾燥させた。このようにして製造され、成形された織物の色を、D65/10度の光源/観測装置を用いるKONICA MINOLTA分光光度計2600dを用いて測定した。「L」、「a」、「b」結果は3回の測定の平均値として報告される。織物変色を、CIELAB単位に報告されるように、「b」値の変化により決定した。より小さいマイナスのb値は、物品のより大きい黄変に関連する結果である。結果を下に記載する。
【表25】
【表26】
実施例31−成形された丸編織物
【0240】
3種類の丸編織物(丸編織物1、2及び3)を、3つの異なる弾性繊維と、丸編織物1及び2には36cc/lの綿、丸編織物3には40cc/lの綿から製造した。Fukuhuraオープン幅編機を次のパラメータとともに用いた。構造:プレーティングされた(plated)シングルジャージー、ニードルゲージ24G、シリンダー34インチ、及び90フィーダー。丸編織物1及び2は、42デニール弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維から構成された。丸編織物1は、実施例29の繊維Y3と同様の方法で製造された繊維から構成され、一方、丸編織物2は実施例29の繊維Y2と同様の方法で製造された繊維から構成された。丸編織物3は、30デニールスパンデックス繊維から構成された。
【0241】
これらの3種類の織物を、ASTM D3776−96により分析して織物の重量を決定した。「万能試験機INSTRON 5564」装置で、織物を36Nに達するまで2つの連続した負荷サイクルに供し、一定速度で除荷する、修正されたMarks and Spencer P15A試験法を用いて伸長分析を行った。たて編織物は次の特性を示した。これらの3種類の織物を、水分率重量に対するAATCC 20A−2005により分析して、織物の繊維組成を決定した。綿の水分率は8.0%であり、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの水分率は0%である(ASTM D1909−1996(2001)に基づく)。結果は下に記載される。
【表27】
【0242】
この実施例の3種類の丸編織物のサンプルを、140℃、160℃、195℃及び205℃で30秒、60秒及び120秒間、バレット型(雄型のみ)、Crouzet時間設定ゲージ及びHoneywell熱設定ゲージを用いて成形した。織物を平面と見做すと、織物の下から上に型が完全に挿入されるとすぐに、直径100mmの円周が作成され、織物面から雄型の先端までの距離(使用時にはその深さ)は70mmである。成形中の織物温度は、Fluke Corporationより入手可能なIR Minithermometer「Fluke 62」を用いて−300℃〜500℃の温度範囲及び精度+1.5%で測定した。温度測定範囲が報告される。
【0243】
カップ高さ(洗濯の前後)及び織物変色(洗濯前)を含む、織物サンプルの様々な特性を測定した。キャリパーA−23 Pie de rey PREISSER(95%より大きい信頼区間で不確かさ+/−0.01mm)を用いてカップ高さを決定した。織物を、可能な限り均一に成形されたカップ面とともに平坦な表面の上に置き、成形された織物の先端と平坦な表面との間の差を測定した。成形された織物をSiemens IQ 1433洗濯機で一度60℃+/−4℃にて90分間、6kgの負荷とともに洗濯し、室温にてフラット乾燥させた。このようにして製造され、成形された織物の色を、D65/10度の光源/観測装置を用いるKONICA MINOLTA分光光度計2600dを用いて測定した。「L」、「a」、「b」結果は3回の測定の平均値として報告される。織物変色を、CIELAB単位に報告されるように、「b」値の変化により決定した。より小さなマイナスのb値は、物品のより大きな黄変に関連する結果である。結果を下に記載する。
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
米国特許実務の目的において、2006年11月30日出願の米国特許仮出願第60/868,031号、及び2005年3月17日出願のPCT特許出願第PCT/US2005/008917号(Dow 63558D)、2006年3月15日出願の米国特許出願第11/376,873号(Dow 64405B)、及び2004年3月17日出願の米国特許仮出願第60/553,906号の内容は、参照によりその全文が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、成形可能な改良された織物に関する。
【背景技術】
【0003】
背景及び発明の概要
多くの異なる材料が、例えば、衣類用の編織物を作成する際に用いられている。多くの場合、そのような織物は、次の1又はそれ以上を含む、所望の特性の組合せを有することが望ましい。寸法安定性、ヒートセット特性、長さと幅の一方向又は両方向に伸縮可能に作成される能力、耐薬品性、耐熱性、耐摩擦性、靭性、他。また、そのような織物は、前述の特性の中の1又はそれ以上を有意に低下させることなく、手洗い又は機械洗いに耐えることができることが重要である場合が多い。さらに、不具合(例えば、繊維破断)が減少して処理量が増えることが望ましい場合もある。いくつかの衣料品用途(例えばブラジャー、水着、下着(intimate apparel)、等の衣類)には、編織物を成形することができる場合、すなわち織物の構造が大幅に膨張することなく、熱に付すと三次元成型に従う形状にする場合は、有益である。残念ながら、以前の材料は、多くの場合、1又はそれ以上の前述の特性の欠点に遭遇する。その上、以前の材料は、編む工程をいくつかの方法で制限し得る、例えば、アイレット方式(eyelet system)とは対照的に、プーリー供給方式(pulley grrfing system)により製造が制限され得る。
【発明の概要】
【0004】
多くの場合成形性を含む、所望の特性のバランスのとれた組合せを有する、改良された織物が現在見つかっている。これらの組成物はまた、いくつかの用途において改良された加工性を可能にすることができる。本発明の織物は、典型的に、弾性繊維を含む編織物である。弾性繊維は、少なくとも1種類のエチレンポリマーと少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含む。繊維は、該織物を成形できるような架橋の量により特徴付けられる。該エチレンポリマーは、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマー、ここで、該エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、次の特徴の1又はそれ以上を有する。
(1)0よりも大きく約1.0以下の平均ブロックインデックス、及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mn、;又は
(2)TREFを用いて分画される場合に、該画分のブロックインデックスが少なくとも0.5であって約1以下であることにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子画分;又は
(3)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、Tmとdの数値は次の関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、に相当する);又は
(4)約1.7〜約3.5のMw/Mn、且つ、融解熱ΔH(J/g)、及び、最大DSCピークと最大CRYSTAFピークの温度差として規定されるデルタ量、ΔT(摂氏温度)により特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が次の関係、
0より大きく130J/g以下のΔHについて、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gより大きいΔHについて、ΔT≧48℃、を有し、
該CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、そのCRYSTAF温度は30℃であること;又は
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(%)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、該Re及びdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合に、次の関係、
Re>1481−1629(d)を満たす);又は
(6)TREFを用いて分画される場合に、該画分のコモノマーモル含量が、同じ温度間で溶離する比較対象となるランダムエチレンインターポリマーのコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いことにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分(ここで、該比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を有し、且つ、メルトインデックス、密度、及びエチレン/α−オレフィンインターポリマーの場合の10パーセント以内のコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する);又は
(7)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は約1:1〜約9:1である);或いは
(B)均一に分岐したエチレンポリマー;又は
(C)その混合物
である。
【0005】
上記(1)から(7)までのエチレン/α−オレフィンインターポリマーの特徴は、あらゆる有意な架橋の前の、すなわち架橋の前のエチレン/α−オレフィンインターポリマーに関して示される。本発明において有用なエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、通常所望の特性が得られる程度まで架橋される。架橋の前に測定される(1)から(7)までの特徴を用いて、該インターポリマーが架橋される必要がないことを示すためにいうものではなく、ただ、該特徴が有意な架橋がなされていないインターポリマーに関して判定されることをいう。架橋は、特定のポリマー及び架橋の程度に応じて、これらの特性の各々を変化させても変化させなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】伝統的なランダムコポリマー(丸印で表される)及びチーグラー・ナッタコポリマー(三角形で表される)と比較した、本発明のポリマー(菱形で表される)の融点/密度の関係を示す図である。
【図2】様々なポリマーに関するDSC融解エンタルピーの関数としてのデルタDSC−CRYSTAFのプロットを示す図である;正方形はポリマー実施例1〜4を表し;三角形はポリマー実施例5〜9を表し;さらに、円はポリマー実施例10〜19を表す。「X」の記号はポリマー実施例A*〜F*を表す。
【図3】本発明のインターポリマー(正方形及び円で表される)及び伝統的なコポリマー(様々なAFFINITY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyより入手可能)、三角形で表される)から作られた未延伸フィルムについての弾性回復への密度の作用を示す図である。正方形は本発明のエチレン/ブテンコポリマーを表し;円は本発明のエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図4】TREF分画されたエチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含量に対する、実施例5のポリマー(円で表される)及び比較例のポリマーE及びF(「X」の記号で表される)の画分のTREF溶離温度のプロットを示す図である。菱形は伝統的なランダムエチレン/オクテンコポリマーを表す。
【図5】TREF分画されたエチレン/1−オクテンコポリマー画分のオクテン含量に対する、実施例5のポリマー(曲線1)及び比較例F(曲線2)の画分の溶離温度のプロットを示す図である。正方形は実施例F*を表し;三角形は実施例5を表す。
【図6】比較例エチレン/1−オクテンコポリマー(曲線2)及びプロピレン/エチレン−コポリマー(曲線3)についての温度、及び連鎖シャトリング剤(chain shuttling agent)の量を違えて作成された本発明の2種類のエチレン/1−オクテンブロックコポリマー(曲線1)についての温度の関数とした、貯蔵弾性率の対数を示すグラフである。
【図7】TMA(1mm)に対する、いくつかの既知のポリマーと比較した、いくつかの本発明のポリマー(菱形で表される)の曲げ弾性率のプロットを示す図である。三角形は、様々なDow VERSIFY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyより入手可能)を表し;円は、様々なランダムエチレン/スチレンコポリマーを表し;且つ、正方形は様々なDow AFFINITY(商標)ポリマー(The Dow Chemical Companyより入手可能)を表す
【図8】ブラジャー成形機の写真を示す図である。
【図9】雄型と雌型の部品の写真を示す図である。
【図10】成形機のマシンスキーム(machine scheme)を表す図である。
【図11】オレフィンブロックコポリマーに関してe−ビーム照射に対する、架橋パーセントのプロットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の詳細な説明
一般的定義
「繊維」とは、長さと直径の比が約10より大きい材料を意味する。繊維は、典型的にその直径に従って分類される。フィラメント繊維は、一般に個々の繊維径が1フィラメント当たり約15デニールより大きい、通常は約30デニールより大きいものとして定義される。細デニール繊維とは、一般に、直径が1フィラメント当たり約15デニールよりも小さい繊維を指す。マイクロデニール繊維は、一般に、直径が1フィラメント当たり約100ミクロンデニール未満の繊維として定義される。
【0008】
「フィラメント繊維」又は「モノフィラメント繊維」とは、規定の長さの材料の非連続ストランド(すなわち所定の長さのセグメントに切断されているか、そうでない場合は、分割されたストランド)である「ステープルファイバー」とは対照的に、不定の(すなわち予め決まっていない)長さの材料の連続するストランドを意味する。
【0009】
「弾性」とは、繊維が、100%歪み(2倍の長さ)への最初の引張りの後及び4回目の引張の後で、その伸長された長さの少なくとも約50パーセントを回復することを意味する。弾性はまた、繊維の「永久歪み」でも説明することができる。永久歪みは弾性の逆である。繊維を特定のポイントまで伸長させ、その後に伸長前の元の位置に開放させ、次に再び伸長させる。繊維が負荷を引っ張り始めるポイントを、パーセント永久歪みと呼ぶ。「弾性材料」はまた、当技術分野で「エラストマー」及び「エラストマー性」とも称される。弾性材料(弾性品と称される場合がある)としては、コポリマー自体、ならびに、限定されるものではないが、繊維、フィルム、ストリップ、テープ、リボン、シート、塗料、成形品、等の形態のコポリマーが挙げられる。好ましい弾性材料は繊維である。弾性材料は、硬化されていても未硬化であってもよく、照射されていても非照射であってもよく、且つ/又は架橋されていても未架橋であってもよい。
【0010】
「非弾性材料」とは、上に定義されるように弾性でない材料、例えば、繊維を意味する。
【0011】
「ホモフィル繊維(Homofil fiber)」とは、単一のポリマー領域又はドメインを有し、(バイコンポーネント繊維のように)他の任意な別個のポリマー領域を有さない繊維を意味する。
【0012】
「バイコンポーネント繊維」とは、2又はそれ以上の異なるポリマー領域又はドメインを有する繊維を意味する。バイコンポーネント繊維は、複合繊維又は多成分繊維としても公知である。ポリマーは通常相互に異なるが、2又はそれ以上の成分は同じポリマーを含んでよい。ポリマーは、バイコンポーネント繊維の断面にわたる実質的に異なる区域に配置され、通常バイコンポーネント繊維の長さに沿って連続的に伸びる。バイコンポーネント繊維の構成は、例えば、シース/コア配置(1種類のポリマーが別のポリマーに周囲を囲まれる)、サイド・バイ・サイド配置、パイ配置又は「アイランド・イン・ザ・シー(islands-in-the sea)」配置であってもよい。バイコンポーネント繊維は、米国特許第6,225,243号、同第6,140,442号、同第5,382,400号、同第5,336,552号、及び同第5,108,820号にさらに記載されている。
【0013】
「メルトブロー繊維」は、溶融した熱可塑性ポリマー組成物を、複数の微細な、通常は円形のダイキャピラリーを通じて、溶融したスレッド又はフィラメントとして、スレッド又はフィラメントを細くして直径を小さくするように機能する、収束する高速の気体流(例えば空気)へ押し出すことにより形成される繊維である。フィラメント又はスレッドは、高速気体流によって運ばれ、収集表面に堆積して平均径が一般に10ミクロンよりも小さな、ランダムに分散した繊維のウェブを形成する。
【0014】
「メルトスパン繊維」は、少なくとも1種類のポリマーを溶融させ、次に溶融物の繊維をダイの直径(又は他の断面の形)よりも小さな直径(又は他の断面の形)に延伸させることにより形成される繊維である。
【0015】
「スパンボンド繊維」は、溶融した熱可塑性ポリマー組成物をフィラメントとして、紡糸口金の複数の微細な、通常は円形のダイキャピラリーを通じて押出することにより形成される繊維である。押出されたフィラメントの直径は、急速に細くなり、次に、フィラメントは収集表面に堆積して平均径が一般に約7〜約30ミクロンのランダムに分散した繊維のウェブを形成する。
【0016】
「不織布」とは、個々の繊維又はスレッドがランダムに、しかし編織物の場合のように識別可能な方法で間に挟まれている(interlaid)構造を有するウェブ又は織物を意味する。本発明の実施形態に従う弾性繊維は、不織布構造ならびに非弾性材料と組み合わせた弾性不織布織物の複合構造を作製するために用いることができる。
【0017】
「糸」とは、織物又は編織物及び他の物品の製造において使用することのできる、連続した長さの撚った又は別の方法で絡み合ったフィラメントを意味する。複合糸は、典型的に従来型の被覆された糸又はコアスパン糸である。被覆された糸は、一種の複合糸であり、例えば、綿又は毛を含むフィラメント又は紡績糸を、繊維又は別の糸芯の周囲に巻きつけることにより作製される。コアスパン糸は、フィラメント芯又は既に紡糸した芯の周囲に芯を隠すために繊維を撚ることにより作製される。
【0018】
「ポリマー」とは、同じ種類か又は異なる種類のモノマーを重合させることにより作製された高分子化合物を意味する。総称「ポリマー」という総称には、用語「ホモポリマー」、「コポリマー」、「ターポリマー」ならびに「インターポリマー」が包含される。
【0019】
「インターポリマー」とは、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合により作製されたポリマーを意味する。「インターポリマー」という総称には、用語「コポリマー」(通常、2種類の異なるモノマーから作製されたポリマーを指すために用いられる)ならびに用語「ターポリマー」(通常、3種類の異なるモノマーから作製されたポリマーを指すために用いられる)が含まれる。それは、4又はそれ以上の種類のモノマーを重合させることにより作られるポリマーも包含する。
【0020】
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」とは、一般に、エチレン及び3又はそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンを含むポリマーを指す。好ましくは、エチレンは、全ポリマーの過半数のモル分率を構成する、すなわち、エチレンは全ポリマーの少なくとも約50モルパーセントを構成する。より好ましくは、エチレンは少なくとも約60モルパーセント、少なくとも約70モルパーセント、又は少なくとも約80モルパーセントを構成し、全ポリマーの実質的な残り部分は、好ましくは3又はそれ以上の炭素原子を有するα−オレフィンである少なくとも1種類の他のコモノマーを含む。多くのエチレン/オクテンコポリマーについて、好ましい組成物は、全ポリマーの約80モルパーセントより多くのエチレン含量と、全ポリマーの約10〜約15、好ましくは約15〜約20モルパーセントのオクテン含量を含む。いくつかの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーには、低収量で、又は微量に、又は化学工程の副生成物として製造されたものは含まれない。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、1又はそれ以上のポリマーとブレンドすることができるが、そのように製造されたエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、実質的に純粋であり、重合プロセスの反応生成物の主成分を構成する場合が多い。
【0021】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレンと、1又はそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメントにより特徴付けられる。つまり、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、ブロックインターポリマー、好ましくは、マルチブロックインターポリマー又はコポリマーである。用語「インターポリマー」及び「コポリマー」は本明細書において同義的に用いられる。いくつかの実施形態では、マルチブロックコポリマーは、次式、
(AB)n
によって表すことができ、式中、nは少なくとも1、好ましくは、1よりも大きい整数、例えば2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又はそれ以上であり、「A」は、ハードブロックもしくはセグメントを表し、「B」は、ソフトブロックもしくはセグメントを表す。好ましくは、A群とB群は、実質的に分岐した、又は実質的に星型の様式とは対照的に、実質的に線形の様式で連結されている。他の実施形態では、AブロックとBブロックはポリマー鎖に沿ってランダムに分布している。言い換えれば、ブロックコポリマーは、通常次のような構造を有さない。
AAA−AA‐BBB−BB
【0022】
さらに他の実施形態では、ブロックコポリマーは、通常、異なるコモノマー(1又は複数)を含む、第3の種類のブロックを有さない。さらに他の実施形態では、ブロックAとブロックBの各々は、そのブロック内に実質的にランダムに分布したモノマー又はコモノマーを有する。言い換えれば、ブロックAもブロックBも、別個の組成の2又はそれ以上の下位セグメント(又は下位ブロック)、例えばそのブロックの残部と実質的に異なる組成を有する先端セグメントを含まない。
【0023】
マルチブロックポリマーは、典型的に、様々な量の「ハード」及び「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントとは、エチレンが、ポリマーの重量に対して約95重量パーセントより多く、好ましくは約98重量パーセントより多くの量で存在する重合単位のブロックを指す。言い換えれば、ハードセグメント中のコモノマー含量(エチレン以外のモノマーの含量)は、ポリマーの重量に対して約5重量パーセント未満、好ましくは約2重量パーセント未満である。いくつかの実施形態では、ハードセグメントは、全て又は実質的に全てのエチレンを含む。「ソフト」セグメントは、他方で、コモノマー含量(エチレン以外のモノマーの含量)が、ポリマーの重量に対して約5重量パーセントより多い、好ましくは約8重量パーセントより多い、約10重量パーセントより多い、又は約15重量パーセントより多い重合単位のブロックを指す。いくつかの実施形態では、ソフトセグメント中のコモノマー含量は、約20重量パーセントより多くでき、約25重量パーセントより多くでき、約30重量パーセントより多くでき、約35重量パーセントより多くでき、約40重量パーセントより多くでき、約45重量パーセントより多くでき、約50重量パーセントより多くでき、又は約60重量パーセントより多くできる。
【0024】
ソフトセグメントは、多くの場合、ブロックインターポリマー中に、ブロックインターポリマーの総重量の約1重量パーセント〜約99重量パーセントで存在でき、好ましくは、ブロックインターポリマーの総重量の約5重量パーセント〜約95重量パーセント、約10重量パーセント〜約90重量パーセント、約15重量パーセント〜約85重量パーセント、約20重量パーセント〜約80重量パーセント、約25重量パーセント〜約75重量パーセント、約30重量パーセント〜約70重量パーセント、約35重量パーセント〜約65重量パーセント、約40重量パーセント〜約60重量パーセント、又は約45重量パーセント〜約55重量パーセントで存在できる。反対に、ハードセグメントは、同様の範囲で存在できる。ソフトセグメント重量パーセント及びハードセグメント重量パーセントは、DSC又はNMRから得たデータに基づいて計算することができる。そのような方法及び計算は、Colin L.P. Shan、Lonnie Hazlittらの名で2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡される、標題「エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマー」、代理人整理番号385063999558の、同時出願の米国特許出願番号第11/376,835号に開示され、その開示内容は、参照により全文が本明細書に援用される。
【0025】
用語「結晶性」は、用いられる場合、示差走査熱量測定(DSC)又は同等の手法により判定する場合に一次転移又は結晶融点(Tm)を有するポリマーを指す。この用語は、用語「半結晶性」と同義的に用いられてもよい。用語「非晶質」とは、示差走査熱量測定(DSC)又は同等の手法により判定する場合に結晶融点を欠くポリマーを指す。
【0026】
用語「マルチブロックコポリマー」又は「セグメント化コポリマー」とは、好ましくは線形の様式で連結されている2又はそれ以上の化学的に別個の領域又はセグメント(「ブロック」と呼ばれる)を含むポリマー、つまり、重合したエチレン性官能基に関してペンダント式又はグラフト式ではなく末端と末端が結合された、化学的に区別される単位を含むポリマーを指す。好ましい実施形態では、ブロックは、その中に組み込まれているコモノマーの量又は種類、そのような組成のポリマーに帰する密度、結晶化度の量、結晶子サイズ、立体規則性の種類又は程度(アイソタクチック又はシンジオタクチック)、位置規則性又は位置不規則性、長鎖分岐又は超分岐を含む分岐の量、均質性、或いは任意の他の化学的又は物理的な特性の点で異なる。マルチブロックコポリマーは、該コポリマーを作成する特有の工程によって、両方の多分散指数(PDI又はMw/Mn)、ブロック長分布、及び/又はブロック数分布の特有の分布が特徴である。より具体的には、連続工程で製造された場合、ポリマーは、望ましくは1.7〜2.9、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.8〜2.2、最も好ましくは1.8〜2.1のPDIを有する。バッチ工程又は半バッチ工程で製造された場合、ポリマーは、1.0〜2.9、好ましくは1.3〜2.5、より好ましくは1.4〜2.0、最も好ましくは1.4〜1.8のPDIを有する。
【0027】
以下の記述において、本明細書に開示される全ての数字はそれに関連して「約」又は「およそ」という語が用いられているかどうかに関わらず近似値である。それらは1パーセント、2パーセント、5パーセント、又は、場合により、10〜20パーセント変動する可能性がある。下限RL及び上限RUを含む数値域が開示されているときには常に、その範囲内のあらゆる数字が具体的に開示される。特に、その範囲内の以下の数が具体的に開示される。R=RL+k*(RU−RL)、式中、kは1パーセントの増分で1パーセント〜100パーセントの範囲の変数である、すなわち、kは、1パーセント、2パーセント、3パーセント、4パーセント、5パーセント、・・・、50パーセント、51パーセント、52パーセント、・・・、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、99パーセント、又は100パーセントである。さらに、上記定義の2つのRの数によって定義される任意の数値域も具体的に開示される。
【0028】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー
本発明の実施形態で用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマー(「本発明のインターポリマー」又は「本発明のポリマー」とも称される)は、エチレンと、1又はそれ以上の共重合可能なα−オレフィンコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位(ブロックインターポリマー)の複数のブロック又はセグメント、好ましくはマルチブロックコポリマーにより特徴付けられる。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、以下に記載されるような1又はそれ以上の態様により特徴付けられる。
【0029】
一態様では、本発明の実施形態で用いられるエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約1.7〜約3.5のMw/Mn及び少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)及び密度d(グラム/立法センチメートル)を有し、これら変数の数値は次の関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、好ましくは、
Tm≧−6288.1+13141(d)−6720.3(d)2、より好ましくは、
Tm≧858.91−1825.3(d)+1112.8(d)2
に相当する。
【0030】
そのような融点/密度の関係は図1に例示されている。融点が密度の低下とともに低下する、伝統的なエチレン/α−オレフィンのランダムコポリマーとは異なり、本発明のインターポリマー(菱形で表される)は、特に密度が約0.87g/cc〜約0.95g/ccの間である場合に、実質的に密度とは無関係の融点を示す。例えば、密度が0.875g/cc〜約0.945g/ccの範囲である場合、そのようなポリマーの融点は約110℃〜約130℃の範囲内である。いくつかの実施形態では、密度が0.875g/cc〜約0.945g/ccの範囲である場合、そのようなポリマーの融点は約115℃〜約125℃の範囲内である。
【0031】
別の態様では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレンと1又はそれ以上のα−オレフィンを重合形態で含み、最大示差走査熱量測定(「DSC」)ピークの温度から最大結晶分析分別(「CRYSTAF」)ピークの温度を減算した温度として規定されるΔT(摂氏温度)、及び融解熱ΔH(J/g)により特徴付けられ、且つ、ΔT及びΔHは、次の関係、
130J/g以下のΔHについて、
ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+64.38、より好ましくは、
ΔT≧−0.1299(ΔH)+65.95
を満たす。
さらに、130J/gより大きいΔHについて、ΔTは48℃以上である。CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され(つまり、ピークは累積ポリマーの少なくとも5パーセントを表すはずである)、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、そのCRYSTAF温度は30℃であり、ΔHは、J/gで表される融解熱の数値である。より好ましくは、最大CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも10パーセントを含む。図2は、本発明のポリマーならびに比較例のプロットされたデータを示す。積分されたピーク面積及びピーク温度は、機器製造業者より供給されるコンピュータ化された描画プログラムにより算出する。ランダムエチレンオクテン比較例ポリマーについて示される対角線は、方程式ΔT=−0.1299(ΔH)+62.81に相当する。
【0032】
さらにもう1つの態様では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、昇温溶離分別(「TREF」)を用いて分画される場合に40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、該画分は、同じ温度間で溶離する、比較対象となるランダムエチレンインターポリマーの場合よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高いコモノマーモル含量を有することにより特徴付けられ、ここで、比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を含み、且つ、該ブロックインターポリマーの場合の10パーセント以内のメルトインデックス、密度、及びコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する。好ましくは、比較対象となるインターポリマーのMw/Mnも、該ブロックインターポリマーの場合の10パーセント以内であり、且つ/又は比較対象となるインターポリマーの合計コモノマー含量は、該ブロックインターポリマーの場合の10パーセント以内である。
【0033】
さらに別の態様では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムで測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(%)により特徴付けられ、密度d(グラム/立法センチメートル)を有し、式中、Re及びdの数値はエチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合に、次の関係、
Re>1481−1629(d);好ましくは、
Re≧1491−1629(d);より好ましくは、
Re≧1501−1629(d);さらにより好ましくは、
Re≧1511−1629(d)
を満たす。
【0034】
図3は、特定の本発明のインターポリマー及び伝統的なランダムコポリマーから作られた未延伸フィルムについての弾性回復への密度の作用を示す。同じ密度について、本発明のインターポリマーは、実質的に高い弾性回復を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、10MPaを上回る引張り強さ、好ましくは11MPa以上の引張り強さ、より好ましくは13MPa以上の引張り強さ、及び/又は、11cm/分のクロスヘッド分離速度で少なくとも600パーセント、より好ましくは少なくとも700パーセント、非常に好ましくは少なくとも800パーセント、最も非常に好ましくは少なくとも900パーセントの破断点伸びを有する。
【0036】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、(1)1〜50、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の貯蔵弾性率比、G’(25℃)/G’(100℃);及び/又は(2)80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満、特に60パーセント未満、50パーセント未満、又は40パーセント未満、0パーセントの圧縮永久歪みまでの、70℃圧縮永久歪みを有する。
【0037】
さらに他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、80パーセント未満、70パーセント未満、60パーセント未満、又は50パーセント未満の70℃圧縮永久歪みを有する。好ましくは、該インターポリマーの70℃圧縮永久歪みは、40パーセント未満、30パーセント未満、20パーセント未満であり、約0パーセントまで低下してもよい。
【0038】
いくつかの実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、85J/g未満の融解熱及び/又は100ポンド/フィート2(4800Pa)以下、好ましくは50ポンド/フィート2(2400Pa)以下、特に5ポンド/フィート2(240Pa)以下、及び0ポンド/フィート2(0Pa)に可能な限り近いペレットブロッキング強度を有する。
【0039】
他の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、少なくとも50モルパーセントのエチレンを重合形態で含み、80パーセント未満、好ましくは70パーセント未満又は60パーセント未満、最も好ましくは40〜50パーセント未満の、さらにゼロパーセント近くまで下がった70℃圧縮永久歪みを有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、マルチブロックコポリマーは、ポアソン分布よりもシュルツ・フローリー分布に適合するPDIを有する。コポリマーは、多分散性ブロック分布及び多分散性のブロックサイズ分布の両方を有するものとしてさらに特徴付けられ、最もあり得るブロック長分布を有する。好ましいマルチブロックコポリマーは、末端ブロックを含む4又はそれ以上のブロック又はセグメントを含有するコポリマーである。より好ましくは、コポリマーには、末端ブロックを含めて少なくとも5、10又は20のブロック又はセグメントが含まれる。
【0041】
コモノマー含量は、任意の適した手法を用いて測定されてもよいが、核磁気共鳴(「NMR」)分光法に基づく技術が好ましい。さらに、比較的広いTREF曲線を有するポリマー又はポリマーのブレンドには、ポリマーは、望ましくは最初にTREFを用いて、各々が10℃又はそれ以下の溶離温度範囲を有する画分に分画される。つまり、各々の溶離画分は、10℃又はそれ以下の収集温度枠を有する。この手法を用いて、該ブロックインターポリマーは、比較対象となるインターポリマーの対応する画分より高いコモノマーモル含量を有する、少なくとも1種類のそのような画分を有する。
【0042】
別の態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは、エチレンと1又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位(ブロック化されたインターポリマー)の複数のブロック(すなわち少なくとも2つのブロック)又はセグメント、最も好ましくはマルチブロックコポリマーにより特徴付けられ、該ブロックインターポリマーは、40℃〜130℃の間で溶離する(但し、個々の画分を収集及び/又は単離しない)ピーク(但し、単なる分子画分ではない)を有し、該ピークが、半値全幅(FWHM)面積計算を用いて拡大された場合に赤外線分光分析法により推定されるコモノマー含量を有すること、平均コモノマーモル含量が、同じ溶離温度の、半値全幅(FWHM)面積計算を用いて拡大された比較対象となるランダムエチレンインターポリマーピークの場合よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10パーセント高いことにより特徴付けられ、ここで、該比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を有し、ブロック化されたインターポリマーの場合の10パーセント以内のメルトインデックス、密度、及びコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する。好ましくは、比較対象となるインターポリマーのMw/Mnも、ブロック化されたインターポリマーの場合の10パーセント以内であり、且つ/又は比較対象となるインターポリマーの総コモノマー含量は、ブロック化されたインターポリマーの場合の10重量パーセント以内である。半値全幅(FWHM)計算は、ATREF赤外線検出器からのメチル対メチレンの応答面積の比[CH3/CH2]に基づき、ここで、最大(最高)ピークはベースラインから特定され、次にFWHM面積が決定される。ATREFピークを用いて測定される分布について、FWHM面積はT1とT2との間の曲線下面積として規定され、ここで、T1とT2は、ピーク高さを2で除算し、次にATREF曲線の左部分及び右部分を横切る線をベースラインに対して水平に引くことにより、ATREFピークの左及び右に対して決定される点である。コモノマー含量についての検量線は、ランダムエチレン/α−オレフィンコポリマーを用いて、TREFピークのNMR対FWHM面積比からコモノマー含量をプロットして作成される。この赤外方法については、検量線は、目的とする同じコモノマーの種類について生成される。本発明のポリマーのTREFピークのコモノマー含量は、TREFピークのそのFWHMメチル:メチレン面積比[CH3/CH2]を用いて、この検量線を参照することによって決定することができる。
【0043】
コモノマー含量は、任意の適した手法を用いて測定されてもよく、核磁気共鳴(NMR)分光法に基づく手法が好ましい。この手法を用いて、該ブロック化されたインターポリマーは、対応する比較対象となるインターポリマーよりも高いコモノマーモル含量を有する。
【0044】
好ましくは、エチレン及び1−オクテンのインターポリマーに関して、ブロックインターポリマーは、40〜130℃の間で溶離するTREF画分のコモノマー含量を、(−0.2013)T+20.07の量以上、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量以上を有し、ここで、Tは、摂氏温度で測定される比較されるTREF画分のピーク溶離温度の数値である。
【0045】
図4は、エチレン及び1−オクテンのブロックインターポリマーの実施形態をグラフで表し、ここで、数種類の比較対象となるエチレン/1−オクテンインターポリマー(ランダムコポリマー)についてのコモノマー含量対TREF溶離温度のプロットは、(−0.2013)T+20.07(実線)を表す線に適合する。方程式(−0.2013)T+21.07についての線は破線で示される。本発明の数種類のブロックエチレン/1−オクテンインターポリマー(マルチブロックコポリマー)の画分についてのコモノマー含量も示される。ブロックインターポリマー画分は全て同等の溶離温度でいずれの線よりも有意に高い1−オクテン含量を有する。この結果は、本発明のインターポリマーの特徴であり、結晶性と非晶質性の両方の性質を有する、ポリマー鎖内の区別されるブロックの存在に起因すると考えられている。
【0046】
図5は、下に考察される実施例5及び比較例Fについてのポリマー画分のTREF曲線及びコモノマー含量をグラフで表す。両方のポリマーについて40〜130℃、好ましくは60℃〜95℃で溶離するピークを、各部分が10℃未満の温度範囲にわたって溶離する3つの部分に分画する。実施例5についての実際のデータは三角形で表される。当業者は、適切な検量線は、異なるコモノマーを含有するインターポリマーに対して作成することができ、同じモノマーの比較例のインターポリマー、好ましくは、メタロセン又は他の均一な触媒組成物を用いて作成されたランダムコポリマーから得られるTREF値に適合する線を比較として使用できることを理解し得る。本発明のインターポリマーは、同じTREF溶離温度で検量線から決定される値よりも多い、好ましくは少なくとも5パーセント多い、より好ましくは少なくとも10パーセント多い、コモノマーモル含量により特徴付けられる。
【0047】
上記の態様及び本明細書に記載される特性に加えて、本発明のポリマーは、1又はそれ以上のさらなる特徴により特徴付けることができる。一態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマー、好ましくは、エチレンと、1又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメント(ブロック化されたインターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーにより特徴付けられ、該ブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分画される場合、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、該画分が同じ温度間で溶離する、比較対象となるランダムエチレンインターポリマーの場合よりも高い、好ましくは少なくとも5パーセント高い、より好ましくは少なくとも10、15、20又は25パーセント高いコモノマーモル含量を有することにより特徴付けられ、ここで、該比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を含み、好ましくは、それは同じコモノマー(1又は複数)であり、且つ、ブロック化されたインターポリマーの場合の10パーセント以内のメルトインデックス、密度、及びコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を含む。好ましくは、比較対象となるインターポリマーのMw/Mnも、ブロック化されたインターポリマーの場合の10パーセント以内であり、且つ/又は比較対象となるインターポリマーの総コモノマー含量は、ブロック化されたインターポリマーの場合の10重量パーセント以内である。
【0048】
好ましくは、上記のインターポリマーは、エチレンと少なくとも1種類のα−オレフィンのインターポリマー、特に、約0.855〜約0.935g/cm3の全ポリマー密度を有するそれらのインターポリマーであり、より特に、約1モルパーセントより多くのコモノマーを有するポリマーに関して、該ブロック化されたインターポリマーは、40℃〜130℃の間で溶離するTREF画分のコモノマー含量を、(−0.1356)T+13.89の量以上、より好ましくは、(−0.1356)T+14.93の量以上、最も好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量以上を有し、ここで、Tは、℃で測定される比較されるTREF画分のピークATREF溶離温度の数値である。
【0049】
好ましくは、エチレンと少なくとも1種類のα−オレフィンの上記のインターポリマーに関して、特に約0.855〜約0.935g/cm3の全ポリマー密度を有するそれらのインターポリマー、より特に、約1モルパーセントより多くのコモノマーを有するポリマーに関して、該ブロック化されたインターポリマーは、40℃〜130℃の間で溶離するTREF画分のコモノマー含量を、(−0.2013)T+20.07の量以上、より好ましくは、(−0.2013)T+21.07の量以上を有し、ここで、Tは、℃で測定される比較されるTREF画分のピーク溶離温度の数値である。
【0050】
さらに別の態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは、エチレンと、1又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメント(ブロック化されたインターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーにより特徴付けられ、該ブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分画される場合、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、少なくとも約6モルパーセントのコモノマー含量を有する各画分が、約100℃より高い融点を有することにより特徴付けられる。約3モルパーセント〜約6モルパーセントのコモノマー含量を有するそれらの画分に関して、あらゆる画分が約110℃又はそれより高いDSC融点を有する。より好ましくは、少なくとも1モルパーセントのコモノマーを有する該ポリマー画分は、方程式、
Tm≧(−5.5926)(画分中のコモノマーモルパーセント)+135.90
に相当するDSC融点を有する。
【0051】
さらにもう1つの態様では、本発明のポリマーは、オレフィンインターポリマーであり、好ましくは、エチレンと、1又はそれ以上の共重合可能なコモノマーを重合形態で含み、化学的又は物理的特性の異なる2又はそれ以上の重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメント(ブロック化されたインターポリマー)、最も好ましくはマルチブロックコポリマーにより特徴付けられ、該ブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分画される場合、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、約76℃以上のATREF溶離温度を有するあらゆる画分が、方程式、
融解熱(J/gm)≦(3.1718)(ATREF溶離温度(℃))−136.58
に対応する、DSCにより測定される融解エンタルピー(融解熱)を有することにより特徴付けられる。
【0052】
本発明のブロックインターポリマーは、TREF増分を用いて分画される場合、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、40℃から約76℃未満の間のATREF溶離温度を有するあらゆる画分が、方程式、
融解熱(J/gm)≦(1.1312)(ATREF溶離温度(℃))+22.97
に対応する、DSCにより測定される融解エンタルピー(融解熱)を有することにより特徴付けられる。
【0053】
赤外線検出器によるATREFピークコモノマー組成測定
TREFピークのコモノマー組成は、Polymer Char,Valencia,Spain(http://www.polymerchar.com/)より入手可能なIR4赤外線検出器を用いて測定することができる。
【0054】
検出器の「組成モード」は、2800〜3000cm−1の領域の固定された狭帯域赤外線フィルターである測定センサー(CH2)及び組成センサー(CH3)を備えている。測定センサーは、ポリマー上のメチレン(CH2)炭素(これは溶液中のポリマー濃度に直接関係する)を検出し、一方、組成センサーは、ポリマーのメチル(CH3)基を検出する。組成シグナル(CH3)を測定シグナル(CH2)で除算した数学的比は、測定される溶液中のポリマーのコモノマー含量の影響を受けやすく、その応答は、既知のエチレンα−オレフィンコポリマー標準を用いて較正される。
【0055】
検出器は、ATREF機器と共に使用した場合、TREFプロセス中に溶出したポリマーの濃度(CH2)及び組成(CH3)の両方のシグナル応答をもたらす。ポリマー特別な較正は、(好ましくはNMRで測定された)既知のコモノマー含量を有するポリマーについてCH3対CH2の面積比を測定することによってもたらすことができる。あるポリマーのATREFピークのコモノマー含量は、個々のCH3応答及びCH2応答についての面積の比の基準較正(reference calibration)(すなわちコモノマー含量に対する面積比CH3/CH2)を適用することにより予測することができる。
【0056】
ピークの面積は、適切なベースラインを適用してTREFクロマトグラムからの個々のシグナル応答を積分した後、半値全幅(FWHM)計算を用いて算出することができる。半値全幅(FWHM)計算は、ATREF赤外線検出器からのメチル対メチレンの応答面積の比[CH3/CH2]に基づき、ここで、最大(最高)ピークはベースラインから特定され、次にFWHM面積が決定される。ATREFピークを用いて測定される分布について、FWHM面積はT1とT2との間の曲線下面積として規定され、ここで、T1とT2は、ピーク高さを2で除算し、次にATREF曲線の左部分及び右部分を横切る線をベースラインに対して水平に引くことにより、ATREFピークの左及び右に対して決定される点である。
【0057】
このATREF−赤外法においてポリマーのコモノマー含量を測定するための赤外線分光法の適用は、原則として、以下の参照文献に記載されるGPC/FTIRシステムに類似する。Markovich, Ronald P.; Hazlitt, Lonnie G.; Smith, Linley; 「Development of gel-permeation chromatography-Fourier transform infrared spectroscopy for characterization of ethylene-based polyolefin copolymers」. Polymeric Materials Science and Engineering (1991), 65,65, 98-100; 及びDeslauriers, PJ.: Rohlfing, D.C.; Shieh, E.T.; 「Quantifying short chain branching microstructures in ethylene-1-olefin copolymers using size exclusion chromatography and Fourier transform infrared spectroscopy (SEC-FTIR)」, Polymer(2002), 43, 59-170、これらの両方の文献は、参照によりその全文が本明細書に援用される。
【0058】
他の実施形態では、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0よりも大きく約1.0以下の平均ブロックインデックスABI、及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mnにより特徴付けられる。平均ブロックインデックスABIは、5℃の増分で20℃〜110℃の分取TREFから得たポリマー画分の各々に対するブロックインデックス(「BI」)の重量平均である。
ABI=Σ(wiBIi)
〔式中、BIiは、分取TREFで得た本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーのi番目の画分についてのブロックインデックスであり、Wiは、i番目の画分の重量パーセントである〕。
【0059】
各々のポリマー画分について、BIは次の2つの方程式(その両方とも同じBI値を与える)の一方により定義される。
【数1】
式中、TXは、i番目の画分についての分取ATREF溶離温度(好ましくは、ケルビン温度で表される)であり、PXは、i番目の画分についてのエチレンモル分率であり、上記のようにNMR又はIRで測定することができる。PABは、全エチレン/α−オレフィンインターポリマー(分画前)のエチレンモル分率であり、これもNMR又はIRで測定することができる。TA及びPAは、純粋な「ハードセグメント」(インターポリマーの結晶性セグメントを指す)についてのATREF溶離温度及びエチレンモル分率である。「ハードセグメント」についての実際の値を利用できない場合、一次近似として、TA及びPA値を、高密度ポリエチレンホモポリマーの値に設定する。ここで行われる計算では、TAは372°K、PAは1である。
【0060】
TABは、同じ組成でPABというエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TABは、次の方程式から計算することができる。
Ln PAB=α/TAB+β
式中、α及びβは2つの定数であり、多数の既知のランダムエチレンコポリマーを用いる較正により決定することができる。注目すべきは、α及びβは装置ごとに変動する可能性がある場合がある。さらに、目的とするポリマー組成で、且つ該画分に類似する分子量範囲でそれら自体の検量線を作成する必要があろう。分子量効果はわずかである。検量線が類似する分子量範囲から得られる場合、そのような効果は本質的に無視することができる。いくつかの実施形態では、ランダムエチレンコポリマーは、次の関係を満たす。
Ln P=−237.83/TATREF+0.639
【0061】
TXOは、同じ組成でPXというエチレンモル分率を有するランダムコポリマーについてのATREF温度である。TXOは、LnPX=α/TXO+βから計算することができる。逆に、PXOは、同じ組成でTXというATREF温度を有するランダムコポリマーについてのエチレンモル分率であり、Ln PXO=α/Tx+βから計算することができる。
【0062】
ひとたび各分取TREF画分についてのブロックインデックス(BI)が得られると、全ポリマーについての重量平均ブロックインデックスABIを計算することができる。いくつかの実施形態では、ABIはゼロより大きく約0.3未満又は約0.1〜約0.3である。他の実施形態では、ABIは、約0.3より大きく約1.0以下である。好ましくは、ABIは、約0.4〜約0.7、約0.5〜約0.7、又は約0.6〜約0.9の範囲内にあるべきである。いくつかの実施形態では、ABIは、約0.3〜約0.9、約0.3〜約0.8、又は約0.3〜約0.7、約0.3〜約0.6、約0.3〜約0.5、又は約0.3〜約0.4の範囲内である。他の実施形態では、ABIは、約0.4〜約1.0、約0.5〜約1.0、又は約0.6〜約1.0、約0.7〜約1.0、約0.8〜約1.0、又は約0.9〜約1.0の範囲内である。
【0063】
本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーの別の特徴は、本発明のエチレン/α−オレフィンインターポリマーが、分取TREFにより得ることのできる少なくとも1つのポリマー画分を含むことであり、該画分のブロックインデックスは約0.1より大きく約1.0以下であり、分子量分布Mw/Mnは約1.3よりも大きい。いくつかの実施形態では、ポリマー画分のブロックインデックスは、0.6より大きく約1.0以下、約0.7より大きく約1.0以下、約0.8より大きく約1.0以下、又は約0.9より大きく約1.0以下である。他の実施形態では、ポリマー画分のブロックインデックスは、約0.1より大きく約1.0以下、約0.2より大きく約1.0以下、約0.3より大きく約1.0以下、約0.4より大きく約1.0以下、又は約0.4より大きく約1.0以下である。さらに他の実施形態では、ポリマー画分のブロックインデックスは、約0.1より大きく約0.5以下、約0.2より大きく約0.5以下、約0.3より大きく約0.5以下、又は約0.4より大きく約0.5以下である。さらに他の実施形態では、ポリマー画分のブロックインデックスは、約0.2より大きく約0.9以下、約0.3より大きく約0.8以下、約0.4より大きく約0.7以下、又は約0.5より大きく約0.6以下である。
【0064】
エチレンとα−オレフィンのコポリマーについて、本発明のポリマーは、好ましくは、(1)少なくとも1.3、より好ましくは少なくとも1.5、少なくとも1.7、又は少なくとも2.0、最も好ましくは少なくとも2.6、最大値5.0まで、より好ましくは最大値3.5まで、さらに特に最大値2.7までのPDI;(2)80J/g以下の融解熱;(3)少なくとも50重量パーセントのエチレン含量;(4)−25℃未満、より好ましくは−30℃未満のガラス転移温度Tg;及び/又は(5)唯一のTmを有する。
【0065】
さらに、本発明のポリマーは、単独又は本明細書に開示される任意の他の特性と組み合わせて、log(G’)が100℃の温度で400kPa以上、好ましくは1.0MPa以上であるような貯蔵弾性率G’を有し得る。さらに、本発明のポリマーは0〜100℃の範囲の温度の関数として比較的平坦な貯蔵弾性率を有し(図6に図示)、それはブロックコポリマーの特徴であり、オレフィンコポリマー、特にエチレンと1又はそれ以上のC3−8脂肪族α−オレフィンのコポリマーについてはこれまで知られていない。(この文脈において「比較的平坦な」という用語は、50〜100℃、好ましくは0〜100℃の間のlogG’(パスカル)の低下が1桁未満であることを意味する)。
【0066】
本発明のインターポリマーは、少なくとも90℃の温度で1mmの熱機械的分析針入深度、ならびに3kpsi(20MPa)〜13kpsi(90MPa)の曲げ弾性率によりさらに特徴付けることができる。代替的には、本発明のインターポリマーは、少なくとも104℃の温度で1mmの熱機械的分析針入深度、ならびに少なくとも3kpsi(20MPa)の曲げ弾性率を有し得る。それらは、90mm3未満の耐摩耗性(又は容積減少)を有するものとして特徴付けることができる。図7は、他の既知ポリマーと比較した、本発明のポリマーに関するTMA(1mm)対曲げ弾性率を示す。本発明のポリマーは、他のポリマーよりも有意に良好な可撓性−耐熱性のバランスを有する。
【0067】
追加的には、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01〜2000g/10分、好ましくは0.01〜1000g/10分、より好ましくは0.01〜500g/10分、さらに特に0.01〜100g/10分のメルトインデックスI2を有し得る。特定の実施形態では、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、0.01〜10g/10分、0.5〜50g/10分、1〜30g/10分、1〜6g/10分又は0.3〜10g/10分のメルトインデックスI2を有する。特定の実施形態では、エチレン/α−オレフィンポリマーについてのメルトインデックスは1g/10分、3g/10分又は5g/10分である。
【0068】
ポリマーは、1,000g/モル〜5,000,000g/モル、好ましくは1000g/モル〜1,000,000、より好ましくは10,000g/モル〜500,000g/モル、さらに特に10,000g/モル〜300,000g/モルの分子量Mwを有し得る。本発明のポリマーの密度は、0.80〜0.99g/cm3、好ましくは、エチレン含有ポリマーについて、0.85g/cm3〜0.97g/cm3であってもよい。特定の実施形態では、エチレン/α−オレフィンポリマーの密度は、0.860〜0.925g/cm3又は0.867〜0.910g/cm3の範囲である。
【0069】
ポリマーを作成するプロセスは、以下の特許出願:2004年3月17日出願の米国特許仮出願第60/553,906号;2005年3月17日出願の米国特許仮出願第60/662,937号;2005年3月17日出願の米国特許仮出願第60/662,939号;2005年3月17日出願の米国特許仮出願第60/662,938号;2005年3月17日出願のPCT出願番号PCT/US2005/008916号;2005年3月17日出願のPCT出願番号PCT/US2005/008915号;及び2005年3月17日出願のPCT出願番号PCT/US2005/008917号に開示されており、それら全ては参照によりその全文が本明細書に援用される。例えば、そのような一方法は、エチレン及び所望により1又はそれ以上のエチレン以外の付加重合性モノマーを、付加重合条件下で触媒組成物と接触させることを含み、該触媒組成物は、
(A)高いコモノマー組込みインデックスを有する、第1のオレフィン重合触媒、
(B)触媒(A)のコモノマー組込みインデックスの90パーセント未満、好ましくは50パーセント未満、最も好ましくは5パーセント未満のコモノマー組込みインデックスを有する第2のオレフィン重合触媒、及び
(C)連鎖シャトリング剤
を合わせる結果生じる混合物又は反応生成物を含む。
【0070】
代表的な触媒及び連鎖シャトリング剤は以下の通りである。
【0071】
触媒(A1)は、WO03/40195号、2003US0204017号、2003年5月2日出願のUSSN10/429,024、及びWO04/24740号の教示に従って調製された、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【化1】
【0072】
触媒(A2)は、WO03/40195号、2003US0204017号、2003年5月2日出願のUSSN10/429,024、及びWO04/24740号の教示に従って調製された、[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−メチルフェニル)(1,2−フェニレン−(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチルである。
【化2】
【0073】
触媒(A3)は、ビス[N,N’’’−(2,4,6−トリ(メチルフェニル)アミド)エチレンジアミン]ハフニウムジベンジルである。
【化3】
【0074】
触媒(A4)は、US−A−2004/0010103号の教示に実質的に従って調製された、ビス((2−オキソイル−3−(ジベンゾ−1H−ピロール−1−イル)−5−(メチル)フェニル)−2−フェノキシメチル)シクロヘキサン−1,2−ジイルジルコニウム(IV)ジベンジルである。
【化4】
【0075】
触媒(B1)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ(immino))メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【化5】
【0076】
触媒(B2)は、1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(2−メチルシクロヘキシル)−イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルである。
【化6】
【0077】
触媒(C1)は、米国特許第6,268,444号の手法に実質的に従って調製された(t−ブチルアミド)ジメチル(3−N−ピロリル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタニウムジメチルである。
【化7】
【0078】
触媒(C2)は、US−A−2003/004286号の教示に実質的に従って調製された(t−ブチルアミド)ジ(4-メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,7a−η−インデン−1−イル)シランチタニウムジメチルである。
【化8】
【0079】
触媒(C3)は、US−A−2003/004286号の教示に実質的に従って調製された(t−ブチルアミド)ジ(4-メチルフェニル)(2−メチル−1,2,3,3a,8a−η−インダセン−1−イル)シランチタニウムジメチルである。
【化9】
【0080】
触媒(D1)は、Sigma−Aldrichより入手可能なビス(ジメチルジシロキサン)(インデン−1−イル)ジルコニウムジクロライドである。
【化10】
【0081】
シャトリング剤 用いるシャトリング剤としては、ジエチル亜鉛、ジ(i−ブチル)亜鉛、ジ(n−ヘキシル)亜鉛、トリエチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリエチルガリウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)、エチルアルミニウム ジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)、及びエチル亜鉛(t−ブトキシド)が挙げられる。
【0082】
好ましくは、前述のプロセスは、ブロックコポリマー、特にマルチブロックコポリマー、好ましくは2又はそれ以上のモノマーの、より詳細にはエチレンとC3−20オレフィン又はシクロオレフィンの、最も詳細にはエチレンとC4−20α−オレフィンの線形マルチブロックコポリマーを形成するための、相互に交換できない複数の触媒を用いる、連続溶液プロセスの形態をとる。つまり、これらの触媒は化学的に別個である。連続溶液重合条件下で、このプロセスは理想的には高いモノマー転化率でモノマーの混合物を重合するために適している。これらの重合条件下で、連鎖シャトリング剤から触媒へのシャトリングは、鎖成長と比較して有利となり、マルチブロックコポリマー、特に線形マルチブロックコポリマーが高い効率で形成される。
【0083】
本発明のインターポリマーは、逐次的なモノマー付加、流動触媒、アニオンリビング重合法又はカチオンリビング重合法によって調製された、従来型の、ランダムコポリマー、ポリマーの物理的ブレンド、及びブロックコポリマーと区別することができる。特に、同等の結晶性又は弾性率で同じモノマー及びモノマー含量のランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、融点で測定した場合にはより優れた(より高い)耐熱性、動的機械分析によって判定した場合にはより高いTMA針入温度、より高い高温引張り強さ、及び/又はより高い高温ねじり貯蔵弾性率を有する。同じモノマー及びモノマー含量を含有するランダムコポリマーと比較して、本発明のインターポリマーは、より低い圧縮永久歪み(特に高温下で)、より低い応力緩和、より高い耐クリープ性、より高い引裂強度、より高い耐ブロッキング性、高い結晶化(固化)温度に起因するより急速な硬化、より高い回復(特に高温下で)、より良好な耐摩耗性、より高い収縮力、及びより良好なオイル許容性及び増量剤許容性を有する。
【0084】
本発明のインターポリマーはまた、特有の結晶化及び分岐分布関係を示す。つまり、本発明のインターポリマーは、特に同じモノマー及びモノマーレベルを含有するランダムコポリマー又は全体の密度が同等なポリマーの物理的ブレンド、例えば高密度ポリマーと低密度コポリマーのブレンドなどと比較して、融解熱の関数としてCRYSTAF及びDSCを用いて測定した最大ピーク温度間の差が比較的大きい。本発明のインターポリマーのこの独特の特徴は、ポリマー骨格内のブロック中の特有のコモノマーの分布に起因すると考えられる。特に、本発明のインターポリマーは、異なるコモノマー含量の交互ブロック(ホモポリマーブロックを含む)を含み得る。本発明のインターポリマーはまた、密度又はコモノマー含量の異なるポリマーブロックの数及び/又はブロックサイズの分布を含むことがあり、それはシュルツ・フローリー型の分布である。その上、本発明のインターポリマーはまた、ポリマー 密度、弾性率、及び形態とは実質的に無関係の、特有のピーク融点及び結晶化温度プロフィールを有する。好ましい実施形態では、ポリマーの微結晶の規則(microcrystalline order)は、特徴的な球晶及びラメラを示し、これは1.7未満、又はさらに1.5未満、1.3未満までのPDI値においてでさえ、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーとは区別できる。
【0085】
さらに、本発明のインターポリマーは、ブロッキネスの程度又はレベルに影響を及ぼす手法を用いて調製することができる。それはコモノマーの量であり、各ポリマーブロック又はセグメントの長さは、触媒及びシャトリング剤の比及び種類ならびに重合の温度及び他の重合変数を制御することにより変更することができる。この現象の驚くべき利点は、ブロッキネスの程度が増大するにつれて、得られるポリマーの光学特性、引裂強度、及び高温回復特性が改善されるという発見である。特に、ポリマー中のブロックの平均数が増加するにつれて、曇りが低下し、一方、透明度、引裂強度、及び高温回復特性が増大する。所望の連鎖移動能(低レベルの連鎖停止を伴う高速のシャトリング)を有するシャトリング剤と触媒の組合せを選択することにより、他の形態のポリマー停止が効果的に抑制される。したがって、本発明の実施形態に従うエチレン/α−オレフィンコモノマー混合物の重合においてβ水素脱離はほとんど観察されず、得られる結晶性ブロックは高度に又は実質的に完全に線形であり、長鎖分岐をほとんど又は全く有さない。
【0086】
高結晶性鎖末端を有するポリマーは、本発明の実施形態に従って選択的に調製することができる。エラストマー用途では、非晶質ブロックで終わるポリマーの相対量を減少させることにより、結晶領域への分子間希釈効果を低下させる。この結果は、水素又は他の連鎖停止剤に対して適切な応答を有する連鎖シャトリング剤及び触媒を選択することにより得ることができる。具体的には、高結晶性ポリマーを生成する触媒が、(例えば、より高いコモノマー組込み、位置エラー、又はアタクチックポリマー形成を通じて)より低い結晶性ポリマーセグメントの生成に関与する触媒よりも、連鎖停止(例えば水素の使用によるなど)の影響を受けやすい場合、高結晶性ポリマーセグメントはポリマーの末端部分に優先的に存在する。得られる末端基が結晶性であるだけでなく、停止の際に、高結晶性ポリマー形成触媒部位はポリマー形成の再開始に再度利用可能である。したがって、最初に形成されたポリマーは、別の高結晶性のポリマーセグメントである。したがって、得られるマルチブロックコポリマーの両方の末端は、優先的に高結晶性である。
【0087】
本発明の実施形態で用いられるエチレンα−オレフィンインターポリマーは、好ましくはエチレンと少なくとも1つのC3−20α−オレフィンのインターポリマーである。エチレンとC3−20α−オレフィンのコポリマーが特に好ましい。インターポリマーは、C4−C18ジオレフィン及び/又はアルケニルベンゼンをさらに含んでもよい。エチレンとの重合に有用な適した不飽和コモノマーとしては、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役又は非共役ジエン、ポリエン、アルケニルベンゼン、他が挙げられる。そのようなコモノマーの例としては、C3−20α−オレフィン、例えば、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び同類のものが挙げられる。1−ブテン及び1−オクテンが特に好ましい。他の適したモノマーとしては、スチレン、ハロ−もしくはアルキル−置換スチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、及びナフテン酸(naphthenics)(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン及びシクロオクテン)が挙げられる。
【0088】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは好ましいポリマーであるが、他のエチレン/オレフィンポリマーを用いてもよい。本明細書においてオレフィンとは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む不飽和炭化水素系化合物のファミリーを指す。触媒の選択に応じて、任意のオレフィンを本発明の実施形態に用いてもよい。好ましくは、適したオレフィンは、ビニル不飽和を含有するC3−20脂肪族及び芳香族化合物、ならびに環状化合物、例えばシクロブテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、及びノルボルネン(限定されるものではないが、C1−C20ヒドロカルビル基又はシクロヒドロカルビル基で5位及び6位を置換されたノルボルネンを含む)である。また、そのようなオレフィンの混合物ならびにそのようなオレフィンとC4−C40ジオレフィン化合物との混合物も含まれる。
【0089】
オレフィンモノマーの例としては、限定されるものではないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、及び1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,6−ジメチル−1−ヘプテン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、エチリデンノルボルネン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、シクロオクテン、C4−C40ジエンが挙げられ、それには、限定されるものではないが、1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、他のC4−C40α−オレフィン、及び同類のものが挙げられる。特定の実施形態では、α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン又はそれらの組合せである。ビニル基を含有する任意の炭化水素を場合によって本発明の実施形態に用いてもよいが、実際的問題、例えばモノマーの利用可能性、コスト、及び得られるポリマーから未反応モノマーを好都合に除去する能力などが、モノマーの分子量が大きくなりすぎるにつれてさらに問題となる可能性がある。
【0090】
本明細書に記載される重合プロセスは、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、及び同類のものを含む、モノビニリデン芳香族モノマーを含むオレフィンポリマーの製造に十分適している。特に、エチレン及びスチレンを含むインターポリマーは、本明細書中の教示に従って調製することができる。所望により、エチレン、スチレン及びC3−20αオレフィンを含む、所望により、C4−C20ジエンを含む、改善された特性を有するコポリマーを調製することができる。
【0091】
適した非共役ジエンモノマーは、6〜15個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖又は環状炭化水素ジエンであってもよい。適した非共役ジエンの例としては、限定されるものではないが、直鎖非環式ジエン、例えば、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、分岐鎖非環式ジエン、例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン及びジヒドロミリセンとジヒドロオシネンの混合異性体など、単環脂環式ジエン、例えば、1,3−シクロペンタジエン;1,4−シクロヘキサジエン;1,5−シクロオクタジエン及び1,5−シクロドデカジエンなど、ならびに多環脂環式脂環式融合及び架橋環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニル、アルキイリデン、シクロアルケニル及びシクロアルキリデンノルボルネン(例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、及びノルボルナジエン)などが挙げられる。EPDMを調製するために典型的に用いられるジエンのうち、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、及びジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)及び1,4−ヘキサジエン(HD)である。
【0092】
本発明の実施形態に従って作製することのできる望ましいポリマーの1つのクラスは、エチレン、C3−20α−オレフィン、特にプロピレン、ならびに所望により1又はそれ以上のジエンモノマーからなる弾性インターポリマーである。本発明のこの実施形態での使用に好ましいα−オレフィンは、式 CH2=CHR*によりデザインされ、式中、R*は1〜12個の炭素原子の線形もしくは分岐アルキル基である。適したα−オレフィンの例としては、限定されるものではないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、及び1−オクテンが挙げられる。特に好ましいα−オレフィンはプロピレンである。プロピレン系のポリマーは、一般に、当技術分野でEP又はEPDMポリマーと称される。そのようなポリマー、特にマルチブロックEPDM型ポリマーを調製する際の使用に適したジエンとしては、4〜20個の炭素を含む、共役もしくは非共役、直鎖もしくは分岐鎖、環状又は多環式ジエンが挙げられる。好ましいジエンとしては、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、及び5−ブチリデン−2−ノルボルネンが挙げられる。特に好ましいジエンは、5−エチリデン−2−ノルボルネンである。
【0093】
ジエン含有ポリマーは、より大量もしくは少量のジエン(なしを含む)及びα−オレフィン(なしを含む)を含む交互セグメント又はブロックを含むため、ジエン及びα−オレフィンの総量は、その後のポリマー特性を失うことなく低減され得る。つまり、ジエン及びα−オレフィンモノマーは、ポリマー全体にわたって均一に又はランダムに組み込まれるよりもむしろ、1種類のポリマーのブロックに優先的に組み込まれるため、それらはより効率的に利用され、結果的にポリマーの架橋密度を、より良好に制御することができる。このような架橋可能なエラストマー及び硬化生成物は、より高い引張り強さ及びより良好な弾性回復を含む、有利な特性を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、異なる量のコモノマーを組み込んでいる2種類の触媒で作製された本発明のインターポリマーの、それから形成されるブロックの重量比は95:5〜5:95である。弾性ポリマーは、望ましくは、ポリマーの総重量に対して、20〜90パーセントのエチレン含量、0.1〜10パーセントのジエン含量、及び10〜80パーセントのα−オレフィン含量を有する。さらに好ましくは、マルチブロック弾性ポリマーは、ポリマーの総重量に対して、60〜90パーセントのエチレン含量、0.1〜10パーセントのジエン含量、及び10〜40パーセントのα−オレフィン含量を有する。好ましいポリマーは、高分子量ポリマーであって、10,000〜約2,500,000、好ましくは20,000〜500,000、より好ましくは20,000〜350,000の重量平均分子量(Mw)、及び3.5未満、より好ましくは3.0未満の多分散性、及び1〜250のムーニー粘度(ML(1+4)125℃)を有する。より好ましくは、そのようなポリマーは、65〜75パーセントのエチレン含量、0〜6パーセントのジエン含量、及び20〜35パーセントのα−オレフィン含量を有する。
【0095】
エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、そのポリマー構造中に少なくとも1つの官能基を組み込むことにより官能化させることができる。例示的な官能基としては、例えば、エチレン性不飽和単官能性及び二官能性カルボン酸、エチレン性不飽和単官能性及び二官能性カルボン酸無水物、その塩及びそのエステルを挙げることができる。そのような官能基は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーにグラフトされてもよいし、エチレン及び任意選択的なさらなるコモノマーと共重合されて、エチレン、該官能性コモノマー及び所望により他のコモノマー(1又は複数)のインターポリマーを形成してもよい。官能基をポリエチレンにグラフトするための手段は、例えば米国特許第4,762,890号、同第4,927,888号、及び同第4,950,541号に記載されており、これらの特許の開示は参照によりその全文が本明細書に援用される。特に有用な官能基の一つはリンゴ酸無水物である。
【0096】
官能性インターポリマー中に存在する官能基の量は、変動し得る。官能基は、典型的に、コポリマー型官能化インターポリマー中に、少なくとも約1.0重量パーセント、好ましくは少なくとも約5重量パーセント、より好ましくは少なくとも約7重量パーセントの量で存在し得る。官能基は、典型的に、コポリマー型官能化インターポリマー中に、約40重量パーセント未満、好ましくは約30重量パーセント未満、より好ましくは約25重量パーセント未満の量で存在する。
【0097】
試験方法
以下の実施例では、以下の分析法が使用される。
サンプル1〜4及びA〜CのGPC法
【0098】
160℃に設定された加熱針を備えた自動液体処理ロボットを用いて、各々の乾燥ポリマーサンプルに対して300ppmのIonolで安定化した十分な1,2,4−トリクロロベンゼンを添加して、30mg/mLmp最終濃度を得る。小型のガラス攪拌ロッドを各チューブの中に入れて、該サンプルを、250rpmで回転する加熱されたオービタルシェーカーで、160℃まで2時間加熱する。次に、濃縮されたポリマー溶液を、自動液体処理ロボット及び160℃に設定された加熱針を用いて1mg/mlに希釈する。
【0099】
Symyx Rapid GPCシステムを用いて各々のサンプルについての分子量データを決定する。2.0ml/分の流速に設定したGilson350ポンプを用いて、直列に配置され、160℃に加熱された3つのPlgel 10マイクロメーター(μm)Mixed B 300mm×7.5mmカラムを通して、移動相として、300ppmのIonolで安定化させた、ヘリウムでパージした1,2−ジクロロベンゼンをポンプで送る。Polymer Labs ELS 1000検出器を、250℃に設定したエバポレータ、165℃に設定したネブライザー、及び60〜80psi(400〜600kPa)N2の圧力で1.8SLMに設定された窒素流量とともに用いる。ポリマーサンプルを160℃に加熱し、液体処理ロボット及び加熱針を用いて各サンプルを250μlループに注入する。2つの切り換えループ及び重複注入を用いる、ポリマーサンプルの連続分析を用いる。サンプルデータを収集し、Symyx Epoch(商標)ソフトウェアを用いて分析する。ピークは手作業で分析され、報告される分子量情報はポリスチレン標準検量線に対して未補正である。
【0100】
標準的なCRYSTAF方法
分岐分布は、PolymerChar,Valencia,Spainから市販されているCRYSTAF200ユニットを用いる結晶分析分画(CRYSTAF)によって決定される。サンプルを160℃の1,2,4トリクロロベンゼン(0.66mg/mL)に1時間に溶解し、95℃にて45分間安定化させる。サンプリング温度は、0.2℃/分の冷却速度で95〜30℃の範囲である。赤外検出器を用いて、ポリマー溶液の濃度を測定する。累積溶解濃度は、温度が低下する間にポリマーが結晶化するときに測定する。累積プロフィールの分析導関数は、ポリマーの短鎖分岐分布を反映する。
【0101】
CRYSTAFピーク温度及び面積は、CRYSTAFソフトウェア(Version 2001.b、PolymerChar,Valencia,Spain)に含まれるピーク分析モジュールにより特定される。CRYSTAFピーク検出ルーチンは、ピーク温度をdW/dT曲線の最大値として特定し、導関数曲線において特定されたピークの各々の側の正の最大変曲点(largest positive inflections)間の面積を特定する。CRYSTAF曲線を算出するために、好ましい処理パラメータは、温度限界を70℃とし、温度限界より上では0.1、及び温度限界より下では0.3の平滑化パラメータを用いる。
DSC標準法(サンプル1〜4及びA〜Cを除く)
【0102】
示差走査熱量測定結果は、RCS冷却アクセサリー及びオートサンプラーを備えたTAIモデルQ1000 DSCを用いて決定される。50ml/分の窒素パージガス流を使用する。サンプルを薄膜に圧入し、プレス中で約175℃にて溶融させ、次に室温(25℃)まで空冷する。次に、3〜10mgの材料を直径6mmの円盤に切り分け、正確に秤量し、軽量アルミパン(約50mg)に入れ、次に端を圧着させて閉じる。サンプルの熱挙動を以下の温度プロフィールで調べる。以前のあらゆる熱履歴を取り除くために、サンプルを180℃まで急速に加熱し、3分間恒温に保持する。次に、サンプルを10℃/分の冷却速度で−40℃まで冷却し、−40℃で3分間保持する。次に、サンプルを10℃/分の加熱速度で150℃まで加熱する。その冷却及び第2の加熱曲線を記録する。
【0103】
DSC融解ピークは、−30℃と溶融の終点との間に引いた直線のベースラインに関する熱流量(W/g)の最大値として測定される。融解熱は、直線のベースラインを用いて−30℃と溶融の終点との間の融解曲線の下の面積として測定される。
GPC法(サンプル1〜4及びA〜Cを除く)
【0104】
ゲル浸透クロマトグラフィーシステムは、Polymer Laboratories Model PL−210又はPolymer Laboratories Model PL−220のいずれかの装置から構成される。カラム及びカルーセル区画は140℃で操作される。3つのPolymer Laboratories10ミクロンMixed−Bカラムを使用する。溶媒は、1,2,4トリクロロベンゼンである。サンプルは、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する50ミリリットルの溶媒中0.1グラムのポリマー濃度で調製される。サンプルは、160℃で2時間、軽く攪拌することによって調製される。用いる注入容積は、100μlであり、流速は1.0ml/分である。
【0105】
GPCカラムセットの較正は、分子量が580〜8,400,000の範囲であり、個々の分子量間に少なくとも10の離隔のある6つの「カクテル」混合物に準備された、21の狭い分子量分布ポリスチレン標準品で行われる。標準品は、Polymer Laboratories(Shropshire,UK)より購入される。ポリスチレン標準品は、分子量1,000,000以上については50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、分子量1,000,000未満については50ミリリットルの溶媒中0.05グラムで調製される。ポリスチレン標準品を80℃にて穏やかに攪拌しながら30分間溶解させる。狭い標準品混合物を最初に流し、分解を最小にするために、最も高い分子量成分から分子量の減少する順に流す。ポリスチレン標準品ピーク分子量は、次の方程式を用いてポリエチレン分子量に変換される(Williams and Ward, J. Polym. Sci., Polym. Let., 6,621 (1968)に記載される通り):Mポリエチレン=0.431(Mポリスチレン)。
【0106】
ポリエチレン等価分子量計算は、Viscotek TriSEC ソフトウェアVersion3.0を用いて行われる。
【0107】
圧縮永久歪み
圧縮永久歪みは、ASTM D 395に従って測定される。サンプルは、厚さ3.2mm、2.0mm、及び0.25mmの直径25.4mmの丸いディスクを全厚みが12.7mmに達するまで積み重ねることにより調製する。ディスクは、熱圧プレスで次の条件、190℃で3分間ゼロ圧、後いて190℃で2分間86MP、続いてプレス内で86MPaにて冷流水で冷却、の下で成形された12.7cm×12.7cm圧縮成形プラックから切り出す。
【0108】
密度
密度測定用のサンプルは、ASTM D 1928に従って調製される。測定は、ASTM D792、方法Bを用いて1時間以内のサンプルプレスで行う。
【0109】
曲げ弾性率/割線モジュラス/貯蔵弾性率
サンプルをASTM D 1928を用いて圧縮成形する。曲げ弾性率及び2パーセント割線モジュラスは、ASTM D−790に従って測定する。貯蔵弾性率は、ASTM D 5026−01又は同等手法に従って測定する。
【0110】
光学特性
厚さ0.4mmのフィルムを、ホットプレスを用いて圧縮成形する(Carver Model #4095−4PR1001R)。ペレットをポリテトラフルオロエチレンシートの間に置き、55psi(380kPa)にて190℃で3分間、続いて1.3MPaで3分間、その後2.6MPaで3分間加熱する。次に、フィルムをプレス内で1.3MPにて1分間冷流水で冷却する。この圧縮成形フィルムは、光学測定、引張挙動、回復、及び応力緩和に用いられる。
【0111】
透明度は、ASTM D 1746に指定されるBYK Gardner Haze−gardを用いて測定される。
【0112】
45°光沢は、ASTM D−2457に指定されるBYK Gardner Glossmeter Microgloss45°を用いて測定される。
【0113】
内部曇りは、ASTM D 1003手順Aに基づいて、BYK Gardner Haze−gardを用いて測定される。鉱油をフィルム表面に塗布して、表面の引っ掻き傷を除去する。
【0114】
機械的特性−引張、ヒステリシス、及び引裂
一軸引張における応力−歪み挙動は、ASTM D 1708微小引張試験片を用いて測定する。サンプルを、21℃にて500%分−1でInstronを用いて伸張する。引張り強さ及び破断点伸びを5つの試験片の平均から報告する。
【0115】
100%及び300%ヒステリシスは、Instron(商標)装置でASTM D 1708微小引張試験片を用いる100%及び300%歪みまでの循環荷重より決定される。サンプルに、21℃で3サイクル、267%分−1で荷重を負荷し、除荷する。300%及び80℃でのサイクル実験を、環境チャンバーを用いて行う。80℃実験では、試験の前に試験温度で45分間サンプルを平衡させる。21℃、300%歪みサイクル実験では、最初の除荷サイクルからの150%歪みでの収縮応力を記録する。全ての実験についての回復パーセントは、荷重がベースラインに戻る歪みを用いる最初の除荷サイクルから計算する。回復パーセントは、
【数2】
〔式中、εfは、サイクル荷重に対してとられた歪みであり、εsは、1回目の除荷サイクルの間に荷重がベースラインに戻る場合の歪みである〕
として定義される。
【0116】
応力緩和は、環境チャンバーを備えたInstron(商標)装置を用いて、50パーセント歪み及び37℃で12時間測定する。ゲージの形状は、76mm×25mm×0.4mmであった。環境チャンバー中で37℃にて45分間平衡化した後、サンプルを333%分−1で50%歪みまで伸張した。応力を時間の関数として12時間記録した。12時間後の応力緩和パーセントは、式、
【数3】
〔式中、L0は、0時での50%歪みの荷重であり、L12は、12時間後の50%歪みの荷重である〕
を用いて算出した。
【0117】
引張ノッチ付引裂実験(Tensile notched tear experiments)は、Instron(商標)装置を用いて0.88g/cc以下の密度を有するサンプルで行う。形状は、76mm×13mm×0.4mmのゲージ部分からなり、その試験片の長さの半分の位置に2mmの切込みがサンプルに入っている。サンプルを21℃にて508mm分−1でそれが壊れるまで伸張する。この引裂エネルギーは、最大荷重での歪みまでの応力−伸長曲線下面積として計算される。少なくとも3つの試験片の平均を報告する。
【0118】
TMA
熱機械的分析(針入温度)は、180℃及び10MPa成形圧で5分間形成され、次に空冷によりクエンチした、直径30mm×厚さ3.3mmの圧縮成形ディスクで行われる。使用される装置は、Perkin−Elmerより入手可能なブランドのTMA7である。この試験では、半径1.5mmの先端を有するプローブ(P/N N519−0416)を、1Nの力でサンプルディスクの表面に適用する。温度を25℃から5℃/分で上昇させる。プローブの針入距離は、温度の関数として測定される。プローブがサンプル中に1mm針入した時に実験は終わる。
【0119】
DMA
動的機械的分析(DMA)は、10MPaの圧力で180℃にて5分間ホットプレス中で形成され、次に90℃/分でプレス中で水冷された圧縮成形ディスクで測定する。試験は、ねじり試験のための二重の片持ち固定具を備えたARES制御歪みレオメーター(TA装置)を用いて行う。
【0120】
1.5mmのプラックをプレスし、32×12mmの寸法のバーに切断する。そのサンプルを10mm(グリップ間隔ΔL)ずつ離れた固定具の間において両端をクランプして、−100℃から200℃の逐次的温度段階(1段階当たり5℃)に供する。各々の温度でねじり弾性率G’を、10rad/sの角周波数で測定し、歪み振幅を、0.1パーセントから4パーセントの間で維持して、トルクが十分であること、測定値が線形のままであることを確実にする。
【0121】
初期の静的力である10gを維持して(自動引張モード)、熱膨張が起こる場合のサンプルのゆるみを防ぐ。結果として、グリップ間隔ΔLは、温度とともに、特にポリマーサンプルの融点又は軟化点を上回って増大する。この試験は、最大温度で、又は固定具間の間隔が65mmに達した時に停止する。
【0122】
メルトインデックス
メルトインデックス、すなわちI2は、ASTM D 1238、条件190℃/2.16kgに従って測定される。メルトインデックス、すなわちI10はまた、ASTM D 1238、条件190℃/10kgに従って測定される。
【0123】
ATREF
分析的昇温溶離分別(ATREF)分析は、参照によりそれらの全文が本明細書に援用される、米国特許第4,798,081号及びWilde, L.; Ryle, T.R.;Knobeloch, D.C.;Peat, I.R.; Determination of Branching Distributions in Polyethylene and Ethylene Copolymers, J. Polym. Sci., 20, 441-455 (1982) 、に記載される方法に従って行われる。分析するべき組成物をトリクロロベンゼンに溶かし、0.1℃/分の冷却速度で20℃まで温度を徐々に低下させることにより、不活性支持体を含有するカラム(ステンレス鋼ショット)中で結晶化させる。このカラムには赤外線検出器が備えられている。次に、溶離溶媒(トリクロロベンゼン)の温度を1.5℃/分の速度で20℃から120℃までゆっくりと上昇させることにより、結晶化したポリマーサンプルをカラムから溶離することにより、ATREFクロマトグラム曲線を次に作成する。
【0124】
13C NMR分析
サンプルを、10mmNMRチューブ中で、約3gのテトラクロロエタン−d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物を0.4gのサンプルに添加することにより調製する。チューブ及びその内容物を150℃に加熱することにより、サンプルを溶解し、均質化する。データは、100.5MHzの13Cの共振周波数に相当する、JEOL Eclipse(商標)400MHz分光計又はVarian Unity Plus(商標)400MHz分光計を用いて収集する。データは、6秒のパルス繰り返し遅延で1データファイルについて4000のトランジェント(transient)を用いて獲得される。定量分析のための最小のシグナル対ノイズ比を達成するために、複数のデータファイルを一緒に加える。スペクトル幅は、25,000Hzであり、最小ファイルサイズは32Kデータポイントである。サンプルは10mmの広域帯プローブで130℃にて分析される。コモノマー組込みは、参照によりその全文が本明細書に援用される、Randallのトライアッド法(Randall, J.C.; JMS-Rev. Macromol. Chem. Phys., C29, 201-317(1989))を用いて決定される。
【0125】
TREFによるポリマー分画
大規模なTREF分画は、15〜20gのポリマーを2リットルの1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)中に160℃で4時間攪拌することによって溶解させることにより行う。このポリマー溶液を15psig(100kPa)窒素によって、30〜40メッシュ(600〜425μm)の球状の技術的品質ガラスビーズ(Potters Industries、HC 30 Box 20、Brownwood,TX,76801より入手可能)と、ステンレス鋼、直径0.028”(0.7mm)のカットワイヤーショット(Pellets,Inc.63 Industrial Drive,North Tonawanda,NY,14120より入手可能)の60:40(v:v)混合物を充填した3インチ×4フィート(7.6cm×12cm)のスチールカラム上に押し込む。カラムを、最初に160℃に設定された、熱制御されたオイルジャケットに浸す。カラムは、最初に弾道的に125℃まで冷却し、次に1分当たり0.04℃で20℃までゆっくり冷却し、1時間保持する。温度を1分当たり0.167℃で上昇させながら、新鮮なTCBを約65ml/分で導入する。
【0126】
分取TREFカラムからの約2000ml分の溶離液を、16のステーションの加熱されたフラクションコレクター(fraction collector)に収集する。このポリマーを、約50から100mlのポリマー溶液が残るまで、ロータリーエバポレータを用いて各々の画分中で濃縮させる。この濃縮溶液を、一晩放置させてから、過剰メタノールを添加し、濾過し、すすぐ(最終すすぎを含めて約300〜500mlのメタノール)。濾過工程は、5.0μmのポリテトラフルオロエチレンコートされた濾紙(Osmonics Inc.より入手可能、カタログ番号Z50WP04750)を用いて3位の真空利用濾過ステーション(3 position vacuum assisted filtering station)で行う。濾過された画分を、60℃の真空オーブン中で一晩乾燥させて、さらなる試験の前に化学天秤で秤量する。
【0127】
溶融強度
溶融強度(MS)は、2.1mmの直径、約45度の入口角をもつ20:1ダイを装備したキャピラリーレオメータを用いることにより測定される。サンプルを190℃で10分間平衡化した後、ピストンを1インチ/分(2.54cm/分)の速度で動かす。標準試験温度は190℃である。サンプルを、2.4mm/秒2の加速度でダイの100mm下に位置する1セットの加速ニップに単軸状に延伸する。必要な張力を、ニップロールの巻取速度の関数として記録する。試験の間に達成される最大張力が、溶融強度として規定される。延伸共振を示すポリマー溶融の場合、延伸共振の開始前の張力を溶融強度とした。溶融強度は、センチニュートン(「cN」)で記録される。
【0128】
触媒
用語「一晩」とは、用いられる場合、およそ16〜18時間の時間を指し、用語「室温」とは、20〜25℃の温度を指し、用語「混合アルカン」とは、Isopar E(登録商標)の商品名でExxon Mobil Chemical Companyより入手可能な、市販品として得られるC6−9脂肪族炭化水素の混合物を指す。本明細書中の化合物の名称がその構造図に一致しない場合には、構造図が支配するものとする。全ての金属錯体の合成及び全てのスクリーニング実験の準備は、ドライボックス手法を用いて乾燥窒素雰囲気下で行った。使用した溶媒は全てHPLC等級であり、使用前に乾燥させた。
【0129】
MMAOとは、Akzo−Noble Corporationより市販されている修飾メチルアルモキサン、トリイソブチルアルミニウム修飾メチルアルモキサンを指す。
【0130】
触媒(B1)の調製は、以下のように行われる。
a)(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)メチルイミンの調製
3,5−ジ−t−ブチルサリチルアルデヒド(3.00g)を10mLのイソプロピルアミンに添加する。溶液は急速に鮮黄色に変わる。周囲温度にて3時間攪拌した後、揮発性物質を真空除去して、鮮黄色の結晶性固体を得る(収率97パーセント)。
b)1,2−ビス−(3,5−ジ−t−ブチルフェニレン)(1−(N−(1−メチルエチル)イミノ)メチル)(2−オキソイル)ジルコニウムジベンジルの調製
5mLトルエン中、(1−メチルエチル)(2−ヒドロキシ−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(605mg、2.2mmol)の溶液を、50mLトルエン中、Zr(CH2Ph)4(500mg、1.1mmol)の溶液にゆっくりと添加する。得られる暗黄色の溶液を30分間攪拌する。溶媒を減圧下で除去して目的生成物を赤褐色の固体として得る。
【0131】
触媒(B2)の調製は、以下のように行われる。
a)(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミンの調製
2−メチルシクロヘキシルアミン(8.44mL、64.0mmol)をメタノール(90mL)に溶かし、ジ−t−ブチルサリカルデヒド(butylsalicaldehyde)(10.00g、42.67mmol)を添加する。反応混合物を3時間攪拌し、次に−25℃まで12時間かけて冷却する。得られる黄色の固体沈殿物を濾過により回収し、冷メタノール(2×15mL)で洗浄し、次に減圧下で乾燥させる。収量は11.17gの黄色の固体である。1H NMRは、異性体の混合物として所望の生成物に一致する。
b)ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジルの調製
200mLトルエン中、(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミン(7.63g、23.2mmol)の溶液を、600mLトルエン中、Zr(CH2Ph)4(5.28g、11.6mmol)の溶液にゆっくりと添加する。得られる暗黄色の溶液を25℃にて1時間攪拌する。溶液をさらに680mLのトルエンで希釈して、濃度0.00783Mの溶液を得る。
【0132】
共触媒1 実質的に米国特許第5,919,9883号、実施例2に開示される、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo−Nobel,Inc.より入手可能)、HCl及びLi[B(C6F5)4]の反応により調製される、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(以降、アルメエニウムボレート(armeenium borate))のメチルジ(C14−18アルキル)アンモニウム塩の混合物。
【0133】
共触媒2 米国特許第6,395,671号、実施例16に従って調製された、 ビス(トリス(ペンタフルオロフェニル)−アルマン(alumane))−2−ウンデシルイミダゾリドの混合C14−18アルキルジメチルアンモニウム塩。
【0134】
シャトリング剤 用いたシャトリング剤としては、」ジエチル亜鉛(DEZ、SA1)、ジ(i−ブチル)亜鉛(SA2)、ジ(n−ヘキシル)亜鉛(SA3)、トリエチルアルミニウム(TEA、SA4)、トリオクチルアルミニウム(SA5)、トリエチルガリウム(SA6)、i−ブチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキサン)(SA7)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(トリメチルシリル)アミド)(SA8)、n−オクチルアルミニウムジ(ピリジン−2−メトキシド)(SA9)、ビス(n−オクタデシル)i−ブチルアルミニウム(SA10)、i−ブチルアルミニウムビス(ジ(n−ペンチル)アミド)(SA11)、n−オクチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシド)(SA12)、n−オクチルアルミニウムジ(エチル(1−ナフチル)アミド)(SA13)、エチルアルミニウムビス(t−ブチルジメチルシロキシド)(SA14)、エチルアルミニウムジ(ビス(トリメチルシリル)アミド)(SA15)、エチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA16)、n−オクチルアルミニウムビス(2,3,6,7−ジベンゾ−1−アザシクロヘプタンアミド)(SA17)、n−オクチルアルミニウムビス(ジメチル(t−ブチル)シロキシド(SA18)、エチル亜鉛(2,6−ジフェニルフェノキシド)(SA19)、及びエチル亜鉛(t−ブトキシド)(SA20)が挙げられる。
【0135】
実施例1〜4、比較例A〜C
一般的なハイスループット並列重合条件
重合は、Symyx Technologies,Inc.より入手可能なハイスループット、並列重合反応器(PPR)を用いて行われ、米国特許第6,248,540号、同第6,030,917号、同第6,362,309号、同第6,306,658号、及び同第6,316,663号に実質的に従って操作される。エチレン共重合を、用いた全触媒に対して1.2等量の共触媒1(MMAOが存在する場合1.1等量)を用いて、必要に応じてエチレンを用いて130℃及び200psi(1.4MPa)にて行う。一連の重合は、事前に秤量したガラス管を備えた、6×8の配列の48個の個々の反応器セルを収容した並列式圧力反応器(PPR)でわれる。各反応器セル中の作業容積は6000μLである。各セルは個々の攪拌パドルにより攪拌しながら、温度及び圧力が制御される。モノマーガス及びクエンチガスを、PPRユニットの中に直接配管して、自動バルブにより制御する。液体試薬はロボットによりシリンジにより各反応器セルに添加され、リザーバ溶媒は混合アルカンである。添加の順序は、混合アルカン溶媒(4ml)、エチレン、1−オクテンコモノマー(1ml)、共触媒1又は共触媒1/MMAO混合物、シャトリング剤、及び触媒又は触媒混合物である。共触媒1とMMAOの混合物又は2種類の触媒の混合物を用いる場合、試薬は反応器へ添加する直前に小さいバイアル中で事前に混合する。実験で試薬を省略する場合、上記の添加順序はそのほかの点で維持される。重合は、所定のエチレン消費に達するまで、およそ1〜2分間行われる。COでクエンチした後、反応器を冷却し、ガラス管を取り外す。管を遠心分離/真空乾燥ユニットに移し、60℃にて12時間乾燥させる。乾燥ポリマーを含有する管を秤量し、この重量と風袋重量との差により正味のポリマー収量を得る。結果は表1に記載される。表1及び本願の他の場所において、比較化合物はアスタリスク(*)で示される。
【0136】
実施例1〜4は、本発明による線形ブロックコポリマーの合成を証明しており、極めて狭いMWDの形成、基本的にDEZが存在する場合の単峰性(monomodal)コポリマー、及びDEZの存在しない場合の二峰性(bimodal)の広い分子量分布生成物(別々に生成されたポリマーの混合物)により明らかにされるとおりである。触媒(A1)は触媒(B1)よりも多くのオクテンを組み込むことが分かっているという事実に起因して、結果として得られる本発明のコポリマーの異なるブロック又はセグメントは、分岐又は密度に基づいて識別可能である。
【表1】
11000炭素あたりのC6又はそれ以上の鎖含量
2二峰性分子量分布
【0137】
本発明に従って作製されたポリマーは、シャトリング剤の非存在下で調製されたポリマーよりも比較的狭い多分散性(Mw/Mn)及び比較的多いブロック−コポリマー含量(三量体、四量体、又はそれ以上)を有することが示され得る。
【0138】
表1のポリマーのさらなる特徴付けとなるデータは、図を参照することにより決定される。より具体的には、DSC及びATREFの結果は、以下を示す。
【0139】
実施例1のポリマーのDSC曲線は、115.7℃の融点(Tm)と158.1J/gの融解熱を示す。対応するCRYSTAF曲線は、34.5℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は52.9パーセントである。DSC TmとTcrystafとの間の差は81.2℃である。
【0140】
実施例2のポリマーのDSC曲線は、109.7℃の融点(Tm)と214.0J/g融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、46.2℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は57.0パーセントである。DSC TmとTcrystafとの間の差は63.5℃である。
【0141】
実施例3のポリマーのDSC曲線は、120.7℃の融点(Tm)と160.1J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、66.1℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は71.8パーセントである。DSC TmとTcrystafとの間の差は54.6℃である。
【0142】
実施例4のポリマーのDSC曲線は、104.5℃の融点(Tm)と170.7J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は18.2パーセントである。DSC TmとTcrystafとの間の差は74.5℃である。
【0143】
比較例AのDSC曲線は、90.0℃の融点(Tm)と86.7J/gの融解熱を示す。対応するCRYSTAF曲線は、48.5℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は29.4パーセントである。これらの値の両方が、密度の低い樹脂に一致する。DSC TmとTcrystafとの間の差は41.8℃である。
【0144】
比較例BのDSC曲線は、129.8℃の融点(Tm)と237.0J/gの融解熱を示す。対応するCRYSTAF曲線は、82.4℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は83.7パーセントである。これらの値の両方が、密度の高い樹脂に一致する。DSC TmとTcrystafとの間の差は47.4℃である。
【0145】
比較例CのDSC曲線は、125.3℃の融点(Tm)と143.0J/gの融解熱を示す。対応するCRYSTAF曲線は、81.8℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は34.7パーセントであり、さらに52.4℃で低いほうの結晶ピークを示す。2つのピーク間の分離は、高結晶性ポリマー及び低結晶性ポリマーの存在に一致する。DSC TmとTcrystafとの間の差は43.5℃である。
【0146】
実施例5〜19、比較例D〜F、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
連続溶液重合は、内部攪拌機を装備したコンピュータ制御されたオートクレーブ反応器中で実施される。精製した混合アルカン溶媒(Exxon Mobil Chemical Companyより入手可能なIsopar(商標)E)、2.70ポンド/時(1.22kg/時)のエチレン、1−オクテン、及び水素(使用される場合)を、温度制御用ジャケット及び内部熱電対を装備した3.8L反応器に供給する。反応器への溶媒の供給は、マスフロー制御装置によって測定される。可変速度ダイアフラムポンプによって、反応器への溶媒の流速及び圧力が制御される。ポンプの吐出時に、副流をとって触媒及び共触媒1の注入ライン、並びに反応器攪拌機にフラッシュフローを供給する。これらの流れは、マイクロ−モーション(Micro-Motion)マスフローメーターによって測定され、制御弁によって、又はニードル弁を手で調節することによって制御される。残りの溶媒は、1−オクテン、エチレン、及び水素(使用される場合)と混合されて、反応器に供給される。マスフロー制御装置は、必要に応じて水素を反応器に送達するために用いられる。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に熱交換器を用いることにより制御される。この流れは、反応器の底部に入る。触媒成分溶液は、ポンプ及びマスフローメーターを用いて計量されて、触媒フラッシュ溶媒と混合され、反応器の底部に導入される。反応器は液体が満たされた状態で、500psig(3.45MPa)で激しく攪拌しながら運転される。生成物は、反応器上部の出口ラインから取り出される。反応器からのすべての出口ラインは蒸気トレースが行われ、断熱される。重合は、任意の安定剤又は他の添加剤とともに少量の水を出口ラインに添加することにより停止され、混合物をスタティックミキサーに通す。次に、生成物流を、熱交換器に通すことによって加熱してから脱揮する。ポリマー生成物は、脱揮押出機及び水冷ペレタイザーを用いる押出により回収される。プロセスの詳細及び結果を表2に記載する。選択されたポリマー特性を表3に示す。
【表2】
*比較例であり、本発明の実施例ではない
1標準cm3/分
2[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル
3ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジル
4反応器中のモル比
5ポリマー生成速度
6リアクター中のエチレン転化率
7効率、ポリマー(kg)/M(g)(式中、M(g)=Hf(g)+Zr(g))
【表3】
【0147】
結果として得られるポリマーを以前の実施例のようにDSC及びATREFにより試験する。結果は以下の通りである。
【0148】
実施例5のポリマーのDSC曲線は、119.6℃の融点(Tm)と60.0J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、47.6℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は59.5パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは72.0℃である。
【0149】
実施例6のポリマーのDSC曲線は、115.2℃の融点(Tm)と60.4J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、44.2℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は62.7パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは71.0℃である。
【0150】
実施例7のポリマーのDSC曲線は、121.3℃融点と69.1J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、49.2℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は29.4パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは72.1℃である。
【0151】
実施例8のポリマーのDSC曲線は、123.5℃の融点(Tm)と67.9J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、80.1℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は12.7パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは43.4℃である。
【0152】
実施例9のポリマーのDSC曲線は、124.6℃の融点(Tm)と73.5J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、80.8℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は16.0パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは43.8℃である。
【0153】
実施例10のポリマーのDSC曲線は、115.6℃の融点(Tm)と60.7J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、40.9℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は52.4パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは74.7℃である。
【0154】
実施例11のポリマーのDSC曲線は、113.6℃の融点(Tm)と70.4J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、39.6℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は25.2パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは74.1℃である。
【0155】
実施例12のポリマーのDSC曲線は、113.2℃の融点(Tm)と48.9J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上でピークを示さない。(したがって、前の計算の目的のためのTcrystafは30℃に設定する)。DSC TmとTcrystafの間のデルタはで83.2℃ある。
【0156】
実施例13のポリマーのDSC曲線は、114.4℃の融点(Tm)と49.4J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、33.8℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は7.7パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは84.4℃である。
【0157】
実施例14のポリマーのDSCは、120.8℃の融点(Tm)と127.9J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、72.9℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は92.2パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは47.9℃である。
【0158】
実施例の15ポリマーのDSC曲線は、114.3℃の融点(Tm)と36.2J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、32.3℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は9.8パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは82.0℃である。
【0159】
実施例16のポリマーのDSC曲線は、116.6℃の融点(Tm)と44.9J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、48.0℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は65.0パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは68.6℃である。
【0160】
実施例17のポリマーのDSC曲線は、116.0℃の融点(Tm)と47.0J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、43.1℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は56.8パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは72.9℃である。
【0161】
実施例18のポリマーのDSC曲線は、120.5℃の融点(Tm)と141.8J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、70.0℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は94.0パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは50.5℃である。
【0162】
実施例19のポリマーのDSC曲線は、124.8℃の融点(Tm)と174.8J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、79.9℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は87.9パーセントである。DSC TmとTcrystafの間のデルタは45.0℃である。
【0163】
比較例DのポリマーのDSC曲線は、37.3℃の融点(Tm)と31.6J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、30℃以上でピークを示さない。これらの値の両方が、密度の低い樹脂に一致する。DSC TmとTcrystafの間のデルタは7.3℃である。
【0164】
比較例EのポリマーのDSC曲線は、124.0℃の融点(Tm)と179.3J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、79.3℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は94.6パーセントである。これらの値の両方が、密度の高い樹脂に一致する。DSC TmとTcrystafの間のデルタは44.6℃である。
【0165】
比較例FのポリマーのDSC曲線は、124.8℃の融点(Tm)と90.4J/gの融解熱でピークを示す。対応するCRYSTAF曲線は、77.6℃で最も高いピークを示し、ピーク面積は、19.5パーセントである。2つのピーク間の分離は、高結晶性ポリマー及び低結晶性ポリマーの両方の存在に一致する。DSC TmとTcrystafの間のデルタは47.2℃である。
【0166】
物理的特性試験
ポリマーサンプルは、物理的特性、例えばTMA温度試験により証明される耐熱特性、ペレットブロッキング強度、高温回復、高温圧縮永久歪み及び貯蔵弾性率比、G’(25℃)/G’(100℃)などについて評価される。数種類の市販のポリマーがこの試験に含まれる。比較例G*は、実質的に線形のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)、The Dow Chemical Companyより入手可能)であり、比較例H*は、弾性の実質的に線形のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)EG8100、The Dow Chemical Companyより入手可能)であり、比較例Iは、実質的に線形のエチレン/1−オクテンコポリマー(AFFINITY(登録商標)PL1840、The Dow Chemical Companyより入手可能)であり、比較例Jは、水素化スチレン/ブタジエン/スチレントリブロックコポリマー(KRATON(商標)G1652、KRATON Polymersより入手可能)、比較例Kは、熱可塑性加硫物(TPV、その中に分散した架橋エラストマーを含有するポリオレフィンブレンド)である。結果を表4に示す。
【表4】
【0167】
表4において、比較例F(触媒A1及びB1を用いる同時重合の結果得られる2種類のポリマーの物理的ブレンド)の1mm針入温度は約70℃であり、一方、実施例5〜9の1mm針入温度は100℃又はそれ以上である。さらに、実施例10〜19はいずれも85℃を上回る1mm針入温度を有し、大部分の1mmTMA温度は90℃を上回るか又はさらに100℃を上回る。このことは、新規なポリマーが、物理的ブレンドと比較してより高い温度でより良好な寸法安定性を有することを示す。比較例J(市販のSEBS)は約107℃の良好な1mm TMA温度を有するが、約100パーセントという非常に不十分な(高温70℃)圧縮永久歪みを有し、また、高温(80℃)300パーセント歪みの回復の間に回復することができなかった(サンプルが破損)。したがって、例示されるポリマーは、いくつかの市販の高性能熱可塑性エラストマーにおいてさえ得ることのできない特有の特性の組合せを有する。
【0168】
同様に、表4は、本発明のポリマーについて、6又はそれ以下の低い(良好な)貯蔵弾性率比、G’(25℃)/G’(100℃)を示すが、物理的ブレンド(比較例F)の貯蔵弾性率比は9であり、同様の密度のランダムエチレン/オクテンコポリマー(比較例G)の貯蔵弾性率比は1桁大きい(89)。ポリマーの貯蔵弾性率比は、可能な限り1に近いことが望ましい。そのようなポリマーは、比較的温度に影響を受けない、さらに、そのようなポリマーから作成される二次加工製品は、広い温度範囲にわたって有用に使用され得る。この低い貯蔵弾性率比及び温度不依存という特徴は、エラストマー用途、例えば感圧接着剤処方物において特に有用である。
【0169】
表4中のデータはまた、本発明のポリマーが、改良されたペレットブロッキング強度を有することを証明する。特に、実施例5のペレットブロッキング強度は0MPaであり、それが試験された条件下で、相当なブロッキングを示す比較例F及びGと比較して自由に流動していることを意味する。大きなブロッキング強度を有するポリマーのバルク輸送は、貯蔵又は出荷の際に生成物の凝集又は粘着をもたらし、取り扱い特性が劣る場合があり得るため、ブロッキング強度は重要である。
【0170】
本発明のポリマーの高温(70℃)圧縮永久歪みは、一般に良好であり、一般に未満約80パーセント、好ましくは約70パーセント未満、さらに特に約60パーセント未満を意味する。対照的に、比較例F、G、H及びJは全て100パーセント(最大可能値、回復がないことを示す)の70℃圧縮永久歪みを有する。良好な高温圧縮永久歪み(低い数値)は、ガスケット、窓枠、o−リング、等の用途に特に必要とされる。
【表5】
152cm/分で試験
238℃にて12時間測定
【0171】
表5は、周囲温度での新規なポリマーの、ならびに様々な比較ポリマーの機械的特性の結果を示す。本発明のポリマーは、ISO 4649に従って試験した場合、非常に良好な耐摩耗性を有すると見做されてもよく、一般に約90mm3未満、好ましくは約80mm3未満、特に約50mm3未満の容積減少を示す。この試験では、数字が大きいほど容積減少が大きく、結果的に耐摩耗性が低いことが示される。
【0172】
本発明のポリマーの引張ノッチ引裂強度により測定される引裂強度は、表5に示されるように、一般に1000mJ又はそれ以上である。本発明のポリマーの引裂強度は、3000mJ程度、又はさらに5000mJ程度の高さであり得る。比較例のポリマーは、一般に750mJ以下の引裂強度を有する。
【0173】
また、表5により、本発明のポリマーが、いくつかの比較例サンプルよりも、150パーセント歪みで良好な収縮応力を有する(より高い収縮応力値により証明される)ことが示される。比較例F、G及びHの150パーセント歪みでの収縮応力値は400kPa以下であるが、一方、本発明のポリマーの150パーセント歪みでの収縮応力値は500kPa(実施例11)から約1100kPa程度の高い値(実施例17)である。150パーセント収縮応力値より高い値を有するポリマーは、弾性用途、例えば弾性繊維及び織物、特に不織布織物に極めて有用である。他の用途としては、オムツ、衛生、及び医用衣類のウエストバンド用途、例えばタブ及び弾性バンドが挙げられる。
【0174】
また、表5により、(50パーセント歪みでの)応力緩和も、例えば比較例Gと比較して、本発明のポリマーについて改良された(少ない)ことが示される。応力緩和がより低いとは、長期間にわたって体温での弾性特性の保持が望ましいオムツ及び他の衣類などの用途において、ポリマーがその力をより良好に保持することを意味する。
光学的試験
【表6】
【0175】
表6に報告される光学特性は、実質的に配向を欠く圧縮成形フィルムに基づく。ポリマーの光学特性は、重合において用いられる連鎖シャトリング剤の質の変化によりもたらされる結晶子サイズの変動に起因して広範囲にわたって変動する可能性がある。
マルチブロックコポリマーの抽出
【0176】
実施例5、7及び比較例Eのポリマーの抽出調査を行う。この実験では、ポリマーサンプルをガラス円筒濾紙の中に秤量し、Kumagawa型抽出機に取り付ける。サンプルを含む抽出機を窒素でパージし、500mLの丸底フラスコに350mLのジエチルエーテルを充填する。次に、フラスコを抽出機に取り付ける。エーテルを加熱しながら攪拌する。エーテルが濾紙に凝集し始める時間を書き留めて、窒素下で24時間抽出を進行させる。この時点で加熱を停止させ、溶液を放冷する。抽出機に残っているあらゆるエーテルをフラスコに戻す。フラスコ中のエーテルを周囲温度にて真空蒸発させ、結果として得られる固体を窒素でパージ乾燥させる。ヘキサンの連続洗浄を用いてあらゆる残渣を秤量瓶に移す。次に、合わせたヘキサン洗浄液を別の窒素パージで蒸発させ、残渣を40℃にて一晩真空乾燥させる。抽出機に残っている全てのエーテルを窒素でパージ乾燥させる。
【0177】
350mLのヘキサンを充填した第2の清浄な丸底フラスコを、次に抽出機に接続する。ヘキサンが円筒濾紙に凝集していることに最初に気付いてから、ヘキサンを攪拌しながら還流まで加熱し、還流にて24時間維持する。次に、加熱を停止し、フラスコを放冷する。抽出機に残っているあらゆるヘキサンをフラスコに戻す。ヘキサンを周囲温度での真空蒸発により除去し、フラスコに残っているあらゆる残渣を連続するヘキサン洗浄を用いて秤量瓶に移す。フラスコ中のヘキサンを窒素パージにより蒸発させ、残渣を40℃にて一晩真空乾燥させる。
【0178】
抽出後、円筒濾紙に残っているポリマーサンプルを、円筒濾紙から秤量瓶に移し、40℃にて一晩真空乾燥させる。結果は表7に記載される。
【表7】
113C NMRにより測定
さらなるポリマー実施例19A〜J、連続溶液重合、触媒A1/B2+DEZ
実施例19A−Iについて
【0179】
連続溶液重合は、コンピュータ制御された十分に混合された反応器で実行される。精製された混合アルカン溶媒(Exxon Mobil,Inc.より入手可能なIsopar(商標)E)、エチレン、1−オクテン、及び水素(使用され
る場合)を合わせ、27ガロン反応器に供給する。反応器への供給量は、マスフローコントローラーにより測定される。供給流の温度は、反応器に入る前にグリコール冷却熱交換器を用いて制御される。触媒成分溶液は、ポンプ及びマスフローメーターを用いて測定される。反応器は液体が満たされた状態で、およそ550psigの圧力で運転される。反応器を出る際に、水及び添加剤をポリマー溶液に注入する。水は触媒を加水分解し、重合反応を終了させる。次に、反応器後の溶液を2段階脱揮の準備のために加熱する。溶媒及び未反応モノマーは脱揮プロセスの間に除去される。ポリマーメルトはポンプで水中ペレット切断用のダイに送られる。
実施例19Jについて
【0180】
連続溶液重合は、内部攪拌機を装備したコンピュータ制御されたオートクレーブ反応器中で実施される。精製した混合アルカン溶媒(Exxon Mobil Chemical Companyより入手可能なIsopar(商標)E)、2.70ポンド/時(1.22kg/時)のエチレン、1−オクテン、及び水素(使用される場合)を、温度制御用ジャケット及び内部熱電対を装備した3.8L反応器に供給する。反応器への溶媒の供給は、マスフロー制御装置によって測定される。可変速度ダイアフラムポンプによって、反応器への溶媒の流速及び圧力が制御される。ポンプの吐出時に、副流をとって触媒及び共触媒の注入ライン、並びに反応器攪拌機にフラッシュフローを供給する。これらの流れは、マイクロ−モーション(Micro-Motion)マスフローメーターによって測定され、制御弁によって、又はニードル弁を手で調節することによって制御される。残りの溶媒は、1−オクテン、エチレン、及び水素(使用される場合)と混合されて、反応器に供給される。マスフロー制御装置は、必要に応じて水素を反応器に送達するために用いられる。溶媒/モノマー溶液の温度は、反応器に入る前に熱交換器を用いることにより制御される。この流れは、反応器の底部に入る。触媒成分溶液は、ポンプ及びマスフローメーターを用いて計量されて、触媒フラッシュ溶媒と混合され、反応器の底部に導入される。反応器は液体が満たされた状態で、500psig(3.45MPa)で激しく攪拌しながら運転される。生成物は、反応器上部の出口ラインから取り出される。反応器からのすべての出口ラインは蒸気トレースが行われ、断熱される。重合は、任意の安定剤又は他の添加剤とともに少量の水を出口ラインに添加することにより停止され、混合物をスタティックミキサーに通す。次に、生成物流を、熱交換器に通すことによって加熱してから脱揮する。ポリマー生成物は、脱揮押出機及び水冷ペレタイザーを用いる押出により回収される。
【0181】
プロセスの詳細及び結果を表8に記載する。選択されたポリマー特性を表9A〜Cに示す。
【0182】
表9Bにおいて、本発明の実施例19F及び19Gは、500%伸長後に65〜70%前後の歪みという低い直後残留歪みを示す。
【表8】
1標準cm3/分
2[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル
3ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジメチル
4質量バランスにより計算される最終生成物のppm
5ポリマー生成速度
6リアクター中のエチレン転化重量パーセント
7効率、ポリマー(kg)/M(g)(式中、M(g)=Hf(g)+Z(g))
【表9】
【表10】
【表11】
1様々なポリマーのブロックインデックスの計算に関するさらなる情報は、Colin L.P. Shan、Lonnie Hazlittらの名で2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡される、標題「エチレン/α−オレフィンブロックインターポリマー」の米国特許出願番号第11/376,835号に開示されており、その開示内容は、参照により全文が本明細書に援用される。
2Zn/C2*1000=(Zn供給流*Zn濃度/1000000/ZnのMw)/(総エチレン供給流*(1−エチレンの部分転化率)/エチレンのMw)*1000 「Zn/C1*1000」中の「Zn」が、重合プロセスに用いられるジエチル亜鉛(「DEZ」)中の亜鉛の量を指し、「C2」が、重合プロセスに用いられるエチレンの量を指すことに注意されたい。
実施例20及び21
【0183】
実施例20及び21のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、下の表11に示される重合条件を用いて、上記実施例19A〜Iと実質的に同様の方法で作成した。これらのポリマーは表10に示される特性を示した。表10にはまた、ポリマーへの添加剤も示される。
【表12】
【0184】
Irganox1010は、テトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)メタンである。Irganox1076は、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートである。Irgafos168は、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトである。Chimasorb2020は、1,6−ヘキサンジアミン、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)と2,3,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンの重合体であって、N−ブチル−1−ブタンアミンとN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンの反応生成物である。
【表13】
*比較例であり、本発明の実施例ではない
1標準cm3/分
2[N−(2,6−ジ(1−メチルエチル)フェニル)アミド)(2−イソプロピルフェニル)(α−ナフタレン−2−ジイル(6−ピリジン−2−ジイル)メタン)]ハフニウムジメチル
3ビス−(1−(2−メチルシクロヘキシル)エチル)(2−オキソイル−3,5−ジ(t−ブチル)フェニル)イミノ)ジルコニウムジベンジル
4質量バランスにより計算される最終生成物の亜鉛ppm
5ポリマー生成速度
6リアクター中のエチレン転化重量パーセント
7効率、ポリマー(kg)/M(g)(式中、M(g)=Hf(g)+Z(g))
成形可能な織物に適した繊維及び繊維物品
【0185】
本発明は、成形に適した織物に関する。そのような織物は、繊維物品又は衣類、例えばブラジャー、水着、下着、靴の甲部分、中敷、自動車部品、スポーツ用品、例えばダイビングスーツ、ならびにサッカー、ホッケー、及びフットボール用の防具、例えばすね当てなどとして有用である場合が多い。例えば、ブラジャーに関して、本発明の織物は、例えば、参照により本明細書に援用される、米国特許第3,981,310号;同第4,551,892号に記載される従来の織物と同じように用いることができる。
【0186】
織物は弾性繊維からなり、弾性繊維は少なくとも1種類のエチレンポリマーと少なくとも1種類の適した架橋剤の反応生成物を含む。本明細書において、「架橋剤」は、1又はそれ以上、好ましくは大部分の繊維を架橋するあらゆる手段を指す。従って、架橋剤は、化学物質であってもよいが、そうである必要はない。本明細書において用いられる架橋剤にはまた、架橋触媒を用いる又は用いない、電子ビーム照射、β線照射、γ線照射、コロナ照射、シラン、過酸化物、アリル化合物及び紫外線も含まれる。米国特許第6,803,014号及び同第6,667,351号には、本発明の実施形態で用いることのできる電子ビーム照射法が開示される。典型的には、織物が成形可能な量で十分な繊維が架橋される。この量は特定のポリマー及び所望の成形性の程度によって変動する。しかし、いくつかの実施形態では、架橋されたポリマーのパーセントは、実施例28に記載される方法に従って形成されたゲルの重量パーセントにより測定した場合に、少なくとも約5パーセント、好ましくは少なくとも約10、より好ましくは少なくとも約15重量パーセントから、多くて約65、好ましくは多くて約50パーセント、より好ましくは多くて約40パーセントである。
【0187】
繊維は、典型的に、該繊維の破断点伸びが、ASTM D2653−01(第1のフィラメントの破断点伸び試験)に従って、約200%より大きく、好ましくは約210%より大きく、好ましくは約220%より大きく、好ましくは約230%より大きく、好ましくは約240%より大きく、好ましくは約250%より大きく、好ましくは約260%より大きく、好ましくは約270%より大きく、好ましくは約280%より大きく、600%程度に大きくてもよいフィラメントを有する。本発明の繊維は、(1)200%伸びの付加/100%伸びの付加の比が、ASTM D2731−01に従って(完成した繊維形態での指定された伸びでの力の下で)、約1.5以上、好ましくは約1.6以上、好ましくは約1.7以上、好ましくは約1.8以上、好ましくは約1.9以上、好ましくは約2.0以上、好ましくは約2.1以上、好ましくは約2.2以上、好ましくは約2.3以上、好ましくは約2.4以上であり、4程度に大きくてもよい、としてさらに特徴付けられる。
【0188】
ポリオレフィンは、任意の適したポリオレフィン又はポリオレフィンのブレンドより選択してもよい。そのようなポリマーとしては、例えば、ランダムエチレンホモポリマー及びコポリマー、エチレンブロックホモポリマー及びコポリマー、ポリプロピレンホモポリマー及びコポリマー、エチレン/ビニルアルコールコポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。特に望ましいポリオレフィンは、均一に分岐したエチレンポリマーであり、例えばThe Dow Chemical Companyにより販売されているAFFINITY(商標)と呼ばれるものである。別の特に望ましいポリオレフィンは、エチレン/α−オレフィンインターポリマーであり、ここで、エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、架橋の前の以下の特徴、
(1)0よりも大きく約1.0以下の平均ブロックインデックス、及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mn、;又は
(2)TREFを用いて分画される場合に、該画分のブロックインデックスが少なくとも0.5であって約1以下であることにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子画分;又は
(3)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、Tmとdの数値は次の関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、に相当する);又は
(4)約1.7〜約3.5のMw/Mn、且つ、融解熱ΔH(J/g)、及び、最大DSCピークと最大CRYSTAFピークの温度差として規定されるデルタ量、ΔT(摂氏温度)により特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が次の関係、
0より大きく130J/g以下のΔHについて、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gより大きいΔHについて、ΔT≧48℃、を有し、
該CRYSTAFピークが、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、そのCRYSTAF温度は30℃であること;又は
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(%)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、該Re及びdの数値は、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合に、次の関係、
Re>1481−1629(d)を満たす);又は
(6)TREFを用いて分画される場合に、該画分のコモノマーモル含量が、同じ温度間で溶離する比較対象となるランダムエチレンインターポリマーのコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いことにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分(ここで、該比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を有し、且つ、メルトインデックス、密度、及びエチレン/α−オレフィンインターポリマーの場合の10パーセント以内のコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する);又は
(7)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は約1:1〜約9:1である);
の中の1又はそれ以上を有する。
【0189】
繊維は、所望の用途に応じて、任意の望ましい大きさ及び断面形状に製造されてもよい。多くの用途には、摩擦の少ないほぼ円形の断面が望ましい。しかし、他の形状、例えば三つに分かれた形状、又は平坦な(すなわち「リボン」様の)形状を用いてもよい。デニールは、その繊維の長さ9000メートルあたりの繊維のグラム数として定義される織物用語である。好ましい大きさには、少なくとも約1、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50から、多くて約180、好ましくは多くて約150、好ましくは多くて約100デニール、好ましくは多くて約80デニールまでのデニールが含まれる。
【0190】
用途に応じて、繊維は、ステープルファイバー又はバインダーファイバーを含む、任意の適した形態をとってもよい。典型的な実施例としては、ホモフィル繊維、バイコンポーネント繊維、メルトブロー繊維、メルトスパン繊維、又はスパンボンド繊維を挙げることができる。バイコンポーネント繊維の場合、それはシース・コア構造;シー・アイランド構造;サイド・バイ・サイド構造;マトリックス・フィブリル構造;又はセグメント化パイ構造を有し得る。有利には、従来の繊維形成プロセスを用いて前述の繊維を製造することができる。そのようなプロセスとしては、例えば、米国特許第4,340,563号;同第4,663,220号;同第4,668,566号;同第4,322,027号;及び同第4,413,110号に記載されるものが挙げられる。
【0191】
その組成に応じて、この繊維は、加工が促進されるように作成され、他の繊維と同じに、又は他の繊維よりも良好にスプールから巻き出すことができる。円形の断面図の普通の繊維の場合は、そのベースポリマーの過剰な応力緩和に起因して、満足の行く巻き出し性能を提供することができない場合が多い。この応力緩和は、スプールの期間に比例し、スプールのごく表面に位置するフィラメントの表面へのグリップを失わせるため、緩んだフィラメント鎖となる。後に、従来の繊維を含有するそのようなスプールがポジティブフィーダー(positive feeders)、すなわちMemminger−IROのロールの上に置かれ、工業的速度、すなわち100〜300回転/分で回転を始める時に、緩んだ繊維はスプール表面の脇に飛ばされ、最終的にスプールの端から離れ落ちる。この不具合は脱線として知られ、梱包の肩部又は端部から滑り落ちる従来の繊維の傾向を示し、巻き出しプロセスを妨害し、最終的に機械の停止を引き起こす。上記の繊維は同じ、又は場合によりより多くの処理量を可能にする、はるかに低い有意な程度の脱線を示し得る。
【0192】
この繊維の別の利点は、織物及び弾性フィラメントの欠点又は繊維破断などの不具合が、従来の繊維と比較して同等であるか又は減少し得ることである。つまり、上記繊維の使用により、繊維断片の針床への堆積を低下させることができる、これは、ポリマー残留物が針表面へ付着する場合に丸編み機に多く起こる問題である。従って、この繊維は、繊維が例えば丸編み機での織物となる場合に、残留物により引き起こされる、対応する織物の破損を減らすことができる。
【0193】
別の利点は、この繊維を、スプールから針までずっとフィラメントを駆動させている弾性のガイドが静止している、例えばセラミック製又は金属製のアイレットなどである、円形の機械で編成することができる点である。対照的に、いくつかの従来の弾性オレフィン繊維は、丸編みプロセスの間の機械の停止又はフィラメントの破断を避けることができるように、機械部品、例えばアイレットなどが加熱される時の摩擦を最小限にするために、これらのガイドがプーリーなどの回転する要素から作られていることを必要とする。つまり、機械のガイド要素に対する摩擦は、本発明の繊維を用いることにより低減される。丸編みに関するさらなる情報は、例えば、参照によりその全文が本明細書に援用される、Bamberg Meisenbach, 「Circular Knitting: Technology Process, structures, Yarns, Quality」、1995に見出すことができる。
添加剤
【0194】
抗酸化薬、例えば、Ciba Geigy Corp.製のIRGAFOS(登録商標)168、IRGANOX(登録商標)1010、IRGANOX(登録商標)3790、及びCHIMASSORB(登録商標)944を、エチレンポリマーに添加して、成形又は二次加工作業の間の分解取り消し(undo degradation)から保護する、且つ/又はグラフト又は架橋の程度をより良く制御する(すなわち過剰なゲル化を阻害する)ことができる。製造過程の添加剤、例えば、ステアリン酸カルシウム、水、フッ素重合体、他もまた、残留触媒の非活性化及び/又は改良された加工性などの目的のために用いてもよい。TINUVIN(登録商標)770(Ciba−Geigy製)は、光安定剤として用いることができる。
【0195】
コポリマーは充填剤を入れても入れなくてもよい。充填剤を入れた場合、存在する増量剤の量は、高い温度で耐熱性か又は弾性のいずれかに悪影響を及ぼし得る量を超えるべきではない。存在する場合、典型的に、増量剤の量は、コポリマーの総重量(或いは、コポリマーと1又はそれ以上の他のポリマーのブレンドの場合、ブレンドの総重量)に対して、0.01〜80重量%の間である。代表的な増量剤としては、カオリン粘度、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、シリカ及び炭酸カルシウムが挙げられる。増量剤の存在する、好ましい実施形態では、増量剤は、そうでない場合は、増量剤が架橋反応を妨げたあらゆる傾向を防ぐか又は阻害する材料でコーティングされる。ステアリン酸がそのような増量剤コーティングの例である。
【0196】
繊維の摩擦係数を低下させるために、様々なスピン仕上げ配合物、例えば繊維油中に分散された金属石鹸(例えば米国特許第3,039,895号又は米国特許第6,652,599号参照)、基油中の界面活性剤(例えば米国特許出願第2003/0024052号参照)及びポリアルキルシロキサン(例えば米国特許第3,296,063号又は米国特許第4,999,120号参照)を用いることができる。米国特許出願第10/933,721号(US20050142360号として公開)には、同様に用いることのできるスピン仕上げ組成物が開示されている。
【0197】
編織物
本発明は、ポリオレフィンポリマーを含む改良された編物繊維物品に関する。本発明の目的において、「繊維物品」には、織物ならびに物品、すなわち織物から製造される衣類が含まれ、それには、例えば、ブラジャー及び成形性を必要とする他の品目が挙げられる。編成するとは、ヤーン又はスレッドを一連の連結したループの中に編み針を用いて手で、又は機械でのいずれかで織り合わせることを意味する。本発明はどのような種類の編物にも適用することができ、それには、例えば、ワープニット又はウェフトニット、平編み、及び丸編みが挙げられる。特に好ましいワープニットとしては、トリコット、ラッセルパワーネット、及びレースが挙げられ、一方、好ましいウェフトニットとしては、丸編み、平編み、ならびに、通常丸編みの一部と考えられるシームレスが挙げられる。しかし、本発明は、輪針の用いられる、丸編み、すなわち、円形に編成することに用いられる場合に特に有利である。
【0198】
本発明の編織物は、好ましくは、
(A)エチレン/α−オレフィンインターポリマーであって、ここで、該エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、以下の特徴の1又はそれ以上を有する。
(1)0よりも大きく約1.0以下の平均ブロックインデックス、及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mn;又は
(2)TREFを用いて分画される場合に、該画分のブロックインデックスが少なくとも0.5であって約1以下であることにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子画分;又は
(3)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、Tmとdの数値は次の関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、に相当する);又は
(4)約1.7〜約3.5のMw/Mn、且つ、融解熱ΔH(J/g)、及び、最大DSCピークと最大CRYSTAFピークの温度差として規定されるデルタ量、ΔT(摂氏温度)により特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が次の関係、
0より大きく130J/g以下のΔHについて、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gより大きいΔHについて、ΔT≧48℃、を有し、
該CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、そのCRYSTAF温度は30℃であること;又は
(5)エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(%)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)(ここで、該Re及びdの数値が、エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合に、次の関係、
Re>1481−1629(d)を満たす);又は
(6)TREFを用いて分画される場合に、該画分のコモノマーモル含量が、同じ温度間で溶離する比較対象となるランダムエチレンインターポリマーのコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いことにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分(ここで、該比較対象となるランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマー(1又は複数)を有し、且つ、メルトインデックス、密度、及びエチレン/α−オレフィンインターポリマーの場合の10パーセント以内のコモノマーモル含量(全ポリマーに対する)を有する);又は
(7)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)(ここで、G’(25℃)対G’(100℃)の比は約1:1〜約9:1である);或いは
(B)均一に分岐したエチレンポリマー;又は
を含む。
【0199】
編織物中のポリマーの量は、ポリマー、用途及び所望の特性によって変動する。織物は、典型的に少なくとも約1、好ましくは少なくとも約2、好ましくは少なくとも約5、好ましくは少なくとも約7重量パーセントのエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。織物は、典型的に約50未満、好ましくは約40未満、好ましくは約30未満、好ましくは約20未満、より好ましくは約10重量パーセント未満のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを含む。エチレン/α−オレフィンインターポリマーは、繊維の形態であってもよく、さらに、別の適したポリマー、例えばポリオレフィン、例えばランダム エチレンコポリマー、HDPE、LLDPE、LDPE、ULDPE、ポリプロピレンホモポリマー、コポリマー、プラストマー及びエラストマーなど、ラストール、ポリアミド、等とブレンドしてもよい。
【0200】
織物のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは任意の密度を有してもよいが、通常少なくとも約0.85、好ましくは少なくとも約0.865g/cm3である(ASTM D 792)。相応して、密度は、通常約0.93未満、好ましくは約0.92g/cm3未満である(ASTM D 792)。織物のエチレン/α−オレフィンインターポリマーは、約0.1〜約10g/10分の未架橋のメルトインデックスにより特徴付けられる。架橋が望ましい場合は、架橋ポリマーの率は多くの場合、形成されたゲルの重量パーセントに対して、少なくとも10パーセント、好ましくは少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約25重量パーセント〜多くて約90、好ましくは多くて約75である。
【0201】
繊維は、直接編成して織物にしてもよいし、ハードヤーンで覆ってから編成して織物にしてもよく、次にその織物は成形される。覆った場合、それは典型的に、レーヨン、ビスコース、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、他の合成繊維、及びそれらの混合物からなる群より選択される材料によって覆われる。弾性繊維(覆われていても裸であっても)は、以前に記載した、さらに、場合により、セルロース、綿、亜麻、ラミー、麻、毛、絹、リネン、竹、テンセル、モヘア、他の天然繊維、及びそれらの混合物からなる群より選択される別の材料の繊維をさらに含む、合成繊維とともに編成してもよい。多くの場合、他の材料がその織物の大部分を構成する。そのような場合、他の材料は、織物の少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、好ましくは少なくとも約70重量%、好ましくは少なくとも約80重量%、場合により90〜95重量%程度を構成することが好ましい。
【0202】
エチレン/α−オレフィンインターポリマー、該他の材料又はその両方は、繊維の形態であってもよい。好ましいサイズとしては、少なくとも約1、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50デニールから、多くて約180、好ましくは多くて約150、好ましくは多くて約100、好ましくは多くて約80デニールまでが含まれる。
【0203】
所望により、さらなるストレッチ材料をエチレン/α−オレフィンインターポリマーに加えて用いてもよい。例えば、エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維は、第2のストレッチ材料とともに用いることができる。適したさらなる ストレッチ材料としては、ポリブチレンテレフタラート、スパンデックス、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、又はそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーからなる弾性繊維が挙げられる。そのような混合物としては、ポリ(エチレンテレフタラート)/ポリ(トリメチレンテレフタラート)、例えば、T−400(商標)繊維のようなバイコンポーネント繊維が挙げられる。他のバイコンポーネント繊維としては、二成分ポリエステル及び二成分ポリアミドを挙げることができる。織布には、エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維は、縦又は横方向のどちらで用いてもよく、そして、さらなるストレッチ材料は、縦又は横方向のどちらで用いてもよい。
【0204】
特に好ましい丸編織物は、繊維の形態のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを織物の約5〜約20(重量)パーセントの量で含む。特に好ましいワープニット織物は、繊維の形態のエチレン/α−オレフィンインターポリマーを、繊維の形態の織物の約10〜約30(重量)パーセントの量で含む。他のそのようなワープニット及び丸編織物はまた、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、綿、又はそれらの混合物も含む。
【0205】
この編織物は、典型的に、AATCC 135に従って、水平方向、垂直方向、又はその両方のいずれかの洗浄後の収縮パーセントが、約5未満、好ましくは4未満、好ましくは3未満、好ましくは2未満、好ましくは1未満、好ましくは0.5未満、好ましくは0.25未満である。より具体的には、この織物(ヒートセット後)は、多くの場合、あらゆる成形の前の寸法安定性が、AATCC 135 IVAiに従って、縦方向に、横方向に、又はその両方に、約7%〜約+7%、好ましくは−5%〜約+5%、好ましくは約−3%〜約+3%、好ましくは−2%〜約+2%、より好ましくは−1%〜約+1%である。その上、この織物は多くの場合ATCC 135 IVAiに従う洗濯の後、架橋の量のより多い、比較対象となる弾性繊維の織物よりもの収縮が少ない。
【0206】
この編織物は、所望によりエチレン/α−オレフィンインターポリマー及び他の材料の種類及び量を制御することにより、その2方向に多少伸縮性に製造することができる。同様に、この織物は、伸びを制御することができるように製造することができる。何よりも伸びを制御することにより、約180未満、好ましくは約170未満、好ましくは約160未満、好ましくは約150℃未満の温度から本発明の織物をそれでもサイズを制御しながらヒートセットさせることができる。
【0207】
有利には、本発明の編織物は、相当な数の破断なく、アイレットフィーダーシステム、プーリーシステム、又はその組合せを含む編機を用いて製造することができる。従って、改良された成形性を有すると同時に、許容される寸法安定性(縦方向及び横方向)、許容される伸び及び収縮、サイズを制御しながら低温でヒートセットされる能力、低い水分率、を有する、丸編みされたストレッチ織物を有意な破断なくハイスループットでさらに多種多様な丸編み機で脱線することなく製造することができる。
【0208】
有利には、本発明の編織物は、成形されることができる、すなわち、織物の構造を実質的に膨張させることなく、熱に付された場合に三次元成型に従う形状に固まる。従来の織物成形装置を用いてもよい。
【0209】
WO2001081443号に述べられるように、「商業運転で用いられる典型的なヒートセットヒートセット温度は、スパンデックス及び6,6−ナイロンを含む織物に関して195℃、織物が6ナイロンを含む場合は190℃、さらに織物が綿を含む場合は180℃である。綿とスパンデックスを含む織物をヒートセットすることが望ましいが、もしそのスパンデックスがナイロンを含む織物に使用される温度でのみ適当なヒートセット効率を有する場合は、そのスパンデックスは綿を含む織物で適切にヒートセットされることができない、それは必要な高温に曝されることにより損傷を受ける」。幸いにも、本発明の織物は、低い温度で成形することができる。このことは、多くの場合、エネルギー消費の減少及び/又は成形時間の低下をもたらす。成形された本発明の織物はまた、従来のスパンデックスを含む成形された織物よりも、変色、すなわち黄変又は焼けによる白色度の低下が少ない場合が多い。成形された本発明の織物の他の利益としては、多くの場合、任意の適用された染料の色彩堅牢度及び洗濯堅牢度が挙げられる。その点において、成形された本発明の織物は、多くの場合、b値が下の実施例30〜31に記載されるように決定される、成形前の織物のb値の、CIELAB単位で用いられる、4以内のb値、好ましくは3位内、より好ましくは2以内のb単位を示すことが見出された。
【0210】
スパンデックスのみからなる先行技術の織物に反して、弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーの架橋繊維を含む本発明の織物は、220℃程度の高温で、織物の特性を実質的に低下させることなく、より厳しい化学物質処理を用いて加工することができる。本発明の大部分の織物の成形のために、より高い温度を用いることができるが、従来のスパンデックス成形温度よりも低い温度で成形を行うことができる。具体的な成形時間及び温度は、具体的な織物、成形装置、及び所望の特性に応じて変動する。しかし、典型的に、織物は約220℃未満、好ましくは約210℃未満、好ましくは約200℃未満、好ましくは約190℃未満、好ましくは約180℃未満、より好ましくは約170℃未満の温度で成形され得る。相応して、温度は、通常少なくとも約120℃、好ましくは少なくとも約130度である。織物を伸長している間又はその直後に成形された織物の急速な冷却を可能にする成形装置が有利である。成形滞留時間の量は変動するが、通常約3分未満、好ましくは約2分未満、好ましくは約1分未満である。相応して、温度を増加させた成形滞留時間の量は、通常少なくとも約3秒、いくつかの例では少なくとも約10秒、さらにいくつかの例では少なくとも約30秒である。
実施例
実施例22−高架橋の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーの繊維
【0211】
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いてほぼ円形の断面を有する40デニールのモノフィラメント繊維を製造した。繊維を製造する前に、次の添加剤をポリマーに加えた。7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]及び0.5重量% TiO2。繊維の溶融紡糸の間、特定のスピンパック溶融フィルター(spin pack melt filter)が使用され、それは三つの(3)篩構成部品からなる。(1)500ミクロンの10層POROSTAR(登録商標)XLフィルター、(2)公称寸法100ミクロンの不織布、及び(3)100ミクロンの10層POROSTAR XL。最初の清浄なフィルターdPは、典型的に45barであったが、運転の過程で90〜100barの範囲に増加し、その時点でフィルター要素が清浄なフィルターに交換され、そのサイクルが再び繰り返された。この配置は、繊維の破断を最小化し、清浄なスピンパックを導入するためのシャットダウンの時間間隔を最大化することに関して良好な性能を示した。繊維は、円形の直径0.8mmのダイ断面形状、スピン温度299℃、ワインダー速度1000m/分、スピン仕上げ2%、常温延伸(cold draw)6%、及びスプール重量150gを用いて製造した。次に、スプールの温度を約30℃より低く維持しながら合計176.4kGyの照射を架橋剤として用いて、繊維を架橋した。
実施例23−低架橋の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーの繊維
【0212】
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いてほぼ円形の断面を有する40デニールのモノフィラメント繊維を製造した。繊維を製造する前に、次の添加剤をポリマーに加えた。7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]及び0.5重量% TiO2。繊維は、円形の直径0.8mmのダイ断面形状、スピン温度299℃、ワインダー速度1000m/分、スピン仕上げ2%、常温延伸(cold draw)2%、及びスプール重量150gを用いて製造した。次に、スプールの温度を約30℃より低く維持しながら合計70.4kGyの照射を架橋剤として用いて、繊維を架橋した。
実施例24−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーとポリエステルの繊維の織物
【0213】
2種類の丸編織物を実施例22の繊維から製造し(織物22−A及び織物22−B)、2種類の丸編織物を実施例23の繊維から製造した(織物23−A及び織物23−B)。用いたハードヤーンは、150デニール、96フィラメントのポリエステルであった。織物含量、編成条件、仕上げ工程、及び加工織物特性は次の通りである。
編機の種類
【表14】
【0214】
これらの4種類の織物の生繊維材料を乾燥させ、従来の方法で仕上げた。精練工程は不連続の噴流中で行い、130℃の乾燥温度を用いた。ヒートセットは165℃の温度で行った。速度は15ヤード/分まで減速され、20%の過剰供給が行われる。
【0215】
生繊維材料及び乾燥させた織物の織物幅及び1ヤードあたりの重量を下に示す。織物22−A及び織物22−Bは、テンターフレームでのヒートセット工程中に53インチから57インチまで伸ばされた。織物幅は、ヒートセット後には57インチとなった。
生繊維材料及び加工品の織物幅
【表15】
【0216】
これらの4種類の織物を、水分率重量(moisture regain weight)に対するAATCC 20A−2000により分析して織物の繊維組成を決定した。ポリエステルの水分率は0.4%であり、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの水分率は0%である。
編織物の繊維組成(AATCC 20A−2000)
【表16】
【0217】
ヒートセット後の寸法安定性を測定するために、寸法変化試験のためにこれらの4種類の織物の各々にAATCC 135−2003 IVAを行った。3回目の洗浄の後の長さと幅の寸法変化の比率が下に記録される。
寸法安定性の結果
【表17】
実施例25−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーとポリエステルの繊維の織物からなる成形されたブラジャー
【0218】
実施例24に記載されるこれらの4種類の織物を成形して、ブラジャーに適したカップをNew Pad Industry成形機を用いて製造した。図8は、ブラジャー成形機の写真を示す。図9は、雄型の直径が128mm、雌型の直径が129mmのカップサイズ36Bの成形部品を示す。下の表は、機械での成形後のカップの深さ、機械から外した20秒後のカップの深さならびに洗濯及びタンブル乾燥後のカップの深さを示す。AATCC 135洗濯法をこの研究に適用した。160℃、180℃及び190℃の成形温度での結果は、典型的な顧客のカップ深さの要件である75mmにほぼ適う。特定の理論に拘束されることを望むものではないが、成形試験で用いた213g/m2重量の織物は、従来のカップに成形される織物が130g/m2〜180g/m2の重量範囲であるため、下着用途には重すぎると思われる。従って、より軽い編織物が75mmのカップ深さに達し得る。
成形、硬化及び洗濯でのカップ深さ
【表18】
実施例26−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーとポリアミドの繊維の織物
【0219】
たて編織物(織物22−C)を、実施例22の繊維、及びDEFIBER,S.A.,SPAINより供給される40デニール/13フィラメントのマルチフィラメントポリアミド6.6の繊維から製造した。たて編織物(織物23−C)を、実施例23の繊維、及びDEFIBER,S.A.,SPAINより供給される40デニール/13フィラメントのマルチフィラメントポリアミド6.6の繊維から製造した。たて編織物(織物26)を、176.4Kgyの架橋用量の、40デニールフィラメントのXUS10066.04に基づくAFFINITY(商標)(The Dow Chemical Companyより入手可能)、及びDEFIBER,S.A.,SPAINより供給される40デニール/13フィラメントのマルチフィラメントポリアミド6.6から製造した。
【0220】
織物22−C、織物23−C及び織物26の編成条件は以下の通りであった。
Machine 36G、LIBA
ロックニット(Locknit)構造
ポリアミド編み目長−1100mm/ラック−別名、供給速度
弾性織物編み目長−545mm/ラック
送り率(Run in ratio)=1.33
ビームドラフト(Beam Dfart)=1.65
弾性ドラフト(Elastic Dfart)=2.5X;次式による。(ビームドラフト*PAのmm/ラック)/(送り率*弾性織物のmm/ラック)
弾性含量=23.1%;次式による。((弾性デニール*弾性織物のmm/ラック)*100%)/((PAデニール*PAのmm/ラック*ビームドラフト)+(弾性デニール*弾性織物のmm/ラック)
【0221】
織物22−C、織物23−C及び織物26の仕上げ条件は以下の通りであった。
噴流による精練:
最大70℃の精練浴
持続時間=40分
精練浴の主な成分:石鹸と炭酸ナトリウム(ソーダ灰)の水溶液
ポリアミドのプレヒートセット
テンターフレーム速度:16m/分
過剰供給:15%
セット幅:155cm
最大テンターフレーム設定温度:最大180℃
加熱チャンバー内部の滞留時間:60秒
ビーム染色
処理:染色をビームに分散させる
染色サイクル:最大温度105℃
色:黒色
乾燥
テンターフレーム速度:16m/分
過剰供給:15%
セット幅:150cm
最大テンターフレーム設定温度:最大160℃
加熱チャンバー内部の滞留時間:60秒
【0222】
織物22−C、織物23−C及び織物26についての加工織物特性は、伸びを特定するための方法:M&S15A(負荷を15Nの代わりに36Nに修正したもの)及び寸法安定性を特定するための方法ISO5077:1984(41℃で洗濯;70℃1時間のタンブル乾燥)を用いて、以下の通りであった。
織物23−C
幅 144cm
密度 155g/m2
縦方向の伸長:106%
縦方向の寸法安定性:−2.7%
織物22−C
幅 143cm
密度 176g/m2
縦方向の伸長:107%
縦方向の寸法安定性:−2.1%
織物26
幅 143cm
密度 155g/m2
縦方向の伸長:92%
縦方向の寸法安定性:−9.9%
実施例27−弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーとポリアミドの繊維の織物からなる成形されたブラジャー
【0223】
3種類の加工織物(織物22−C、織物23−C及び織物26)を、ブラジャーのカップの製造のための伝統的な成形機で用いた。この機械の概要を図10に示す。成形されたカップは少なくとも30mmである。
【0224】
機械の凸面及び凹面の部品は両方とも金属製で加熱される。上に特定される3種類の加工織物のサンプルを、次に該部品の間に入れ、170℃の一定温度で、凸/凹の部品の間での滞留時間(すなわち型の中の時間)を変えてプレスした。後に、それらを室温(約27℃)まで冷却させた。少なくとも72時間待ってから、そして洗濯をする前に、成形後のカップの高さを各々の滞留時間(70、50及び35秒)に照らして測定した。結果を下の表に示す。
成形後の高さ寸法(mm)
【表19】
【0225】
この表は、弾性繊維の種類によるカップの高さの違いを明らかにする。低架橋レベルの繊維から製造されている織物23−Cは、より高い架橋レベルの他の2種類の弾性繊維から製造されている織物22−C及び織物26の場合よりも約50%高いカップ高さを達成し得る。
【0226】
カップを寸法安定性試験[ISO5077:1984(41℃で洗濯;70℃1時間のタンブル乾燥)]にとり、試験洗濯法の後のそれらの高さをそれらの形状の保持を調べるためにとった。最初のカップ高さからの変化%の点での、結果を下の表に示す。
洗濯後の高さの収縮(%)
【表20】
【0227】
またしても、織物23−Cは、おそらくその弾性繊維の低い架橋レベルによる、約50%を上回って安定しているという点で織物22−C及び織物26を凌ぐ。
実施例28−異なる量の繊維の架橋
【0228】
実施例20の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いて、ほぼ円形の断面を有する40デニールのモノフィラメント繊維を製造した。繊維を製造する前に、次の添加剤をポリマーに加えた、7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]及び0.5重量% TiO2。繊維は、円形の直径0.8mmのダイ断面形状、スピン温度299℃、ワインダー速度650m/分、スピン仕上げ2%、常温延伸(cold draw)6%、及びスプール重量150gを用いて製造した。次に、変動する量の電子ビームからの照射を架橋剤として用いて、繊維を架橋した。
【0229】
照射の量に対するゲル含有量を、図11に示す。ゲル含有量は、およそ25mgの繊維サンプルを4つの極めて正確な数値に秤量することにより決定した。次に、蓋付きの2ドラムバイアル中でサンプルを7ml キシレンと合わせる。バイアルを、15分おきに反転混合(すなわちバイアルの上下を反転させる)しながら125℃〜135℃で90分加熱して、本質的に全ての非架橋ポリマーを抽出する。バイアルがおよそ25℃まで冷めたところで、キシレンをゲルからデカントする。ゲルをバイアル中で少量の新鮮なキシレンで濯ぐ。濯ぎ洗いされたゲルを、風袋を差し引いたアルミニウム秤量パンに移す。風袋を差し引いた、ゲルを含む皿を125℃にて30分間真空乾燥して蒸発によりキシレンを除去する。乾燥したゲルを含むパンを化学天秤で秤量する。ゲル含有量は、抽出されたゲル重量及び最初の繊維重量に対して計算される。図11は、電子ビーム線量が増加するにつれて、架橋の量(ゲル含有量)が増加することを示す。当業者であれば、架橋の量と電子ビーム線量との間の正確な関係が、所与ポリマーの特性、例えば、分子量又はメルトインデックスの影響を受け得ることを理解する。
実施例29−雄型のみの成形機を用いる成形
【0230】
4種類の丸編み加工織物(織物F1、織物F2、織物F3及び織物F4)を、下に指定されるフィラメント繊維Y1、Y2、Y3、Y4及びY5を用いて編成した。繊維Y5は、全ての織物の中にハードヤーン成分として存在し、Y1、Y2、Y3及びY4はY5をかぶせた(plated with)弾性繊維である。
【0231】
上の4種類の織物についての編成条件は次の通りである。
織物F1
Machine 28G、Mayer & Cie Relanit
平編みシングルジャージー
弾性織物=繊維実施例Y1
ポリアミド=繊維実施例Y5
ポリアミド供給=3mm/針
弾性供給速度=1.1mm/針
弾性ドラフト=2.7X;次式による、(ポリアミド供給速度)/(弾性供給速度)
弾性含量=7.3%;次式による。(弾性デニール/弾性ドラフト)/[(ポリアミドドラフト)+(弾性デニール/弾性ドラフト)]
織物F2
Machine 28G、Mayer & Cie Relanit
平編みシングルジャージー
弾性織物=繊維実施例Y2
ポリアミド=繊維実施例Y5
ポリアミド供給=3mm/針
弾性供給速度=1.1mm/針
弾性ドラフト=2.7X;次式による。(ポリアミド供給速度)/(弾性供給速度)
弾性含量=10.0%;次式による。(弾性デニール/弾性ドラフト)/[(ポリアミドドラフト)+(弾性デニール/弾性ドラフト)]
織物F3
Machine 28G、Mayer & Cie Relanit
平編みシングルジャージー
弾性織物=繊維実施例Y3
ポリアミド=繊維実施例Y5
ポリアミド供給=3mm/針
弾性供給速度=1.1mm/針
弾性ドラフト=2.7X;次式による。(ポリアミド供給速度)/(弾性供給速度)
弾性含量=10.0%;次式による。(弾性デニール/弾性ドラフト)/[(ポリアミドドラフト)+(弾性デニール/弾性ドラフト)]
織物F4
Machine 28G、Mayer & Cie Relanit
平編みシングルジャージー
弾性織物=繊維実施例Y4
ポリアミド=繊維実施例Y5
ポリアミド供給=3mm/針
弾性供給速度=1.1mm/針
弾性ドラフト=2.7X;次式による。(ポリアミド供給速度)/(弾性供給速度)
弾性含量=9.5%;次式による。(弾性デニール/弾性ドラフト)/[(ポリアミドドラフト)+(弾性デニール/弾性ドラフト)]
【0232】
上の4種類の織物についての仕上げ条件は同一であり、次の通りである。
連続精練:
最大80℃での精練浴
持続時間=1分
精練浴の主な成分:石鹸と炭酸ナトリウム(ソーダ灰)の水溶液
ポリアミドのプレヒートセット
テンターフレーム速度:16m/分
過剰供給:30%
セット幅:170、170、160、160cm
最大テンターフレーム設定温度:最大180℃
加熱チャンバー内部の滞留時間:60秒
処理:ロープでのジェット染色
染色サイクル:最大温度105℃
色:黒色、酸性染料
乾燥
テンターフレーム速度:16m/分
過剰供給:15%
セット幅:170、170、160、160cm
最大テンターフレーム設定温度:最大160℃
加熱チャンバー内部の滞留時間:60秒
【0233】
繊維Y1、Y2及びY3:実施例20のものに類似の弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマーを用いてほぼ円形の断面のモノフィラメント繊維を製造した。上記の繊維を製造する前に、次の添加剤をポリマーに加えた。7000ppm PDMSO(ポリジメチルシロキサン)、3000ppm CYANOX 1790(1,3,5−トリス−(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び3000ppm CHIMASORB 944 ポリ−[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル]]]]イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]及び5000ppmのCrodamide EBO。繊維は、円形の直径0.8mmのダイ断面形状、2%のスピン仕上げ含量、常温延伸0%、及びスプール重量300gを用いて製造した。Y1、Y2及びY3に関する紡糸のその他の詳細は次の通りである。
【表21】
繊維Y4
種類:Creora H250(Spandex)
線密度:40デニール
供給源:Hyosung,Korea
繊維Y5
種類:ポリアミド66
線密度:140デニール(70デニール/68フィラメント/2層)テクスチャード(textured)
供給源:Defiber S.A.,Spain
【0234】
織物F1、F2、F3及びF4は、完成した形で次の特性を示した。
【表22】
*縦及び横方向のAATCC135 IVAi
**M&SP15A:負荷を36Nに修正
【0235】
これらの4種類の織物(F1〜F4)を、雄型だけが存在する(凸状の型部分のみ)成形機にかけた。織物を平面と見做すと、織物の下から上に型が完全に挿入されたところで、直径100mmの円周が作成され、織物面から雄型の先端までの距離(使用時にはその深さ)は70mmである。下の表は、行った試験及び観察された結果を記録する。前述のデータは、架橋が少ないと、成形時により良好なカップの深さがもたらされ得ることを示唆する。
【表23】
実施例30−成形されたたて編織物
【0236】
3種類のたて編織物(たて編織物1、2及び3)を、たて編機及び以下のパラメータを用いて3つの異なる弾性繊維及び40Dテクスチャードナイロンから製造した。構造:トリコットロックニット(lockknit)、ニードルゲージ36G、編み目長1200、およいドラフト3.0。たて編織物1は、該繊維が68デニールであることを除いて実施例29の繊維Y2と同様の方法で製造された68デニールの弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維から構成された。たて編織物2は、一般名AFFINITY(商標)KC8852G(The Dow Chemical Companyより入手可能)のランダムコポリマーを用いることを除いて実施例21と同様の方法で製造された40デニールの弾性ポリマー繊維から構成された。AFFINITY(商標)KC8852Gは、3g/10分のメルトインデックス及び0.875g/cm3の密度を有することを特徴とする。たて編織物3は、実施例29の繊維Y3と同様の方法で製造された55デニールの弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維から構成された。
【0237】
これらの3種類の織物を、ASTM D 3776−96により分析して織物の重量を決定した。「万能試験機INSTRON 5564」装置で、織物を36Nに達するまで2つの連続した負荷サイクルに供し、一定速度で除荷する、修正されたMarks and Spencer P15A試験法を用いて伸長分析を行った。たて編織物は次の特性を示した。
【表24】
【0238】
この実施例の3種類のたて編織物のサンプルを、160℃及び205℃で60秒及び120秒間、バレット型(雄型のみ)、Crouzet時間設定ゲージ及びHoneywell熱設定ゲージを用いて成形した。織物を平面と見做すと、織物の下から上に型が完全に挿入されるとすぐに、直径100mmの円周が作成され、織物面から雄型の先端までの距離(使用時にはその深さ)は70mmである。成形中の織物温度は、Fluke Corporationより入手可能なIR Minithermometer「Fluke 62」を用いて−30℃〜500℃の温度範囲及び精度+1.5%で測定した。温度測定範囲が報告される。
【0239】
カップ高さ(洗濯の前後)及び織物変色(洗濯前)を含む、織物サンプルの様々な特性を測定した。キャリパーA−23 Pie de rey PREISSER(95%より大きい信頼区間で不確かさ+/−0.01mm)を用いてカップ高さを決定した。織物を、可能な限り均一に成形された成形されたカップ面とともに平坦な表面の上に置き、成形された織物の先端と平坦な表面との間の差を測定した。成形された織物をSiemens IQ 1433洗濯機で一度60℃+/−4℃にて90分間、6kgの負荷とともに洗濯し、室温にてフラットに乾燥させた。このようにして製造され、成形された織物の色を、D65/10度の光源/観測装置を用いるKONICA MINOLTA分光光度計2600dを用いて測定した。「L」、「a」、「b」結果は3回の測定の平均値として報告される。織物変色を、CIELAB単位に報告されるように、「b」値の変化により決定した。より小さいマイナスのb値は、物品のより大きい黄変に関連する結果である。結果を下に記載する。
【表25】
【表26】
実施例31−成形された丸編織物
【0240】
3種類の丸編織物(丸編織物1、2及び3)を、3つの異なる弾性繊維と、丸編織物1及び2には36cc/lの綿、丸編織物3には40cc/lの綿から製造した。Fukuhuraオープン幅編機を次のパラメータとともに用いた。構造:プレーティングされた(plated)シングルジャージー、ニードルゲージ24G、シリンダー34インチ、及び90フィーダー。丸編織物1及び2は、42デニール弾性エチレン/α−オレフィンインターポリマー繊維から構成された。丸編織物1は、実施例29の繊維Y3と同様の方法で製造された繊維から構成され、一方、丸編織物2は実施例29の繊維Y2と同様の方法で製造された繊維から構成された。丸編織物3は、30デニールスパンデックス繊維から構成された。
【0241】
これらの3種類の織物を、ASTM D3776−96により分析して織物の重量を決定した。「万能試験機INSTRON 5564」装置で、織物を36Nに達するまで2つの連続した負荷サイクルに供し、一定速度で除荷する、修正されたMarks and Spencer P15A試験法を用いて伸長分析を行った。たて編織物は次の特性を示した。これらの3種類の織物を、水分率重量に対するAATCC 20A−2005により分析して、織物の繊維組成を決定した。綿の水分率は8.0%であり、エチレン/α−オレフィンインターポリマーの水分率は0%である(ASTM D1909−1996(2001)に基づく)。結果は下に記載される。
【表27】
【0242】
この実施例の3種類の丸編織物のサンプルを、140℃、160℃、195℃及び205℃で30秒、60秒及び120秒間、バレット型(雄型のみ)、Crouzet時間設定ゲージ及びHoneywell熱設定ゲージを用いて成形した。織物を平面と見做すと、織物の下から上に型が完全に挿入されるとすぐに、直径100mmの円周が作成され、織物面から雄型の先端までの距離(使用時にはその深さ)は70mmである。成形中の織物温度は、Fluke Corporationより入手可能なIR Minithermometer「Fluke 62」を用いて−300℃〜500℃の温度範囲及び精度+1.5%で測定した。温度測定範囲が報告される。
【0243】
カップ高さ(洗濯の前後)及び織物変色(洗濯前)を含む、織物サンプルの様々な特性を測定した。キャリパーA−23 Pie de rey PREISSER(95%より大きい信頼区間で不確かさ+/−0.01mm)を用いてカップ高さを決定した。織物を、可能な限り均一に成形されたカップ面とともに平坦な表面の上に置き、成形された織物の先端と平坦な表面との間の差を測定した。成形された織物をSiemens IQ 1433洗濯機で一度60℃+/−4℃にて90分間、6kgの負荷とともに洗濯し、室温にてフラット乾燥させた。このようにして製造され、成形された織物の色を、D65/10度の光源/観測装置を用いるKONICA MINOLTA分光光度計2600dを用いて測定した。「L」、「a」、「b」結果は3回の測定の平均値として報告される。織物変色を、CIELAB単位に報告されるように、「b」値の変化により決定した。より小さなマイナスのb値は、物品のより大きな黄変に関連する結果である。結果を下に記載する。
【表28】
【表29】
【表30】
【表31】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性繊維を含む織物であって、前記弾性繊維が、少なくとも1種類のエチレンポリマーと少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含み、前記繊維が前記織物を成形できるような架橋の量により特徴付けられる、織物。
【請求項2】
前記ポリマーが、そのゲル含有量が約65重量パーセント以下となるように架橋されている、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項3】
前記ポリマーが、そのゲル含有量が約50重量パーセント以下となるように架橋されている、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項4】
前記繊維が、ASTM D3107に従って測定して少なくとも10パーセントの伸びにより特徴付けられる、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項5】
前記エチレンポリマーが、架橋より前に、次の特徴、
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)を有し、Tmとdの数値が次の関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、に相当すること、又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、融解熱ΔH(J/g)、及び、最大DSCピークと最大CRYSTAFピークの温度差として規定されるデルタ量、ΔT(摂氏温度)により特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が次の関係、
0より大きく130J/g以下のΔHについて、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gより大きいΔHについて、ΔT≧48℃、を有し、
前記CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、前記ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、前記CRYSTAF温度は30℃であること;又は
(c)前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(%)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)により特徴付けられ、前記Re及びdの数値が、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合に、次の関係、
Re>1481−1629(d)を満たすこと;又は
(d)TREFを用いて分画される場合に、前記画分のコモノマーモル含量が、同じ温度間で溶離する比較対象となるランダムエチレンインターポリマーのコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いことにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、前記比較対象となるランダムエチレンインターポリマーが、同じコモノマー及びメルトインデックス、密度、ならびに前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのコモノマーモル含量の(全ポリマーに対して)10パーセント以内のコモノマーモル含量を有すること;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)により特徴付けられ、G’(25℃)対G’(100℃)の比が約1:1〜約10:1であること;又は
(f)TREFを用いて分画される場合に40℃〜130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子画分であって、前記画分が、少なくとも0.5であって約1以下のブロックインデックス及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mnを有することにより特徴付けられること、又は
(g)0よりも大きく約1.0以下の平均ブロックインデックス、及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mn、
の1又はそれ以上により特徴付けられる、エチレン/α−オレフィンインターポリマーである、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項6】
前記エチレンポリマーが、均一に分岐したエチレンポリマーである、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項7】
前記弾性繊維が約2〜約30重量パーセントの織物を含む、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項8】
前記織物が、前記織物を成形できるような別の材料をさらに含む、請求項1に記載の織物。
【請求項9】
前記織物が、レーヨン、ビスコース、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、他の合成繊維、及びそれらの混合物からなる群より選択される材料をさらに含む、請求項8に記載の織物。
【請求項10】
前記織物が、セルロース、綿、亜麻、ラミー、麻、毛、絹、リネン、竹、テンセル、モヘア、他の天然繊維、及びそれらの混合物からなる群より選択される別の材料をさらに含む、請求項9に記載の織物。
【請求項11】
前記織物が、AATCC 135 IVAiに従う洗濯の後、架橋の量のより多い比較対象となる弾性繊維の織物よりも収縮が少ない、請求項1に記載の織物。
【請求項12】
ポリブチレンテレフタラート、スパンデックス、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、ポリアミド、ポリエステル、及びそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーからなる弾性繊維を含む、請求項1に記載の織物。
【請求項13】
請求項1に記載の織物を含む衣類。
【請求項14】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが別のポリマーとブレンドされている、請求項5に記載の織物。
【請求項15】
均一に分岐したエチレンポリマーが、別のポリマーとブレンドされている、請求項6に記載の織物。
【請求項16】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約0.865〜約0.92g/cm3(ASTM D 792)の密度及び約0.1〜約10g/10分の未架橋のメルトインデックスにより特徴付けられる、請求項5に記載の織物。
【請求項17】
大部分の繊維のデニールが約1デニール〜約180デニールである、請求項1に記載の織物。
【請求項18】
前記織物が、ワープニット、又はウェフトニットである、請求項1に記載の織物。
【請求項19】
前記織物が、トリコット及びラッセルからなる群より選択されるワープニットである、請求項18に記載の織物。
【請求項20】
前記織物が、丸編み及び平編みからなる群より選択されるウェフトニットである、請求項18に記載の織物。
【請求項21】
あらゆる成形の前の、AATCC 135 IVAiに従う前記織物の寸法安定性が、縦方向に約−7%〜約+7%である、請求項1に記載の織物。
【請求項22】
あらゆる成形の前の、AATCC 135 IVAiに従う前記織物の寸法安定性が、横方向に約−7%〜約+7%である、請求項1に記載の織物。
【請求項23】
あらゆる成形の前の、AATCC 135 IVAiに従う前記織物の寸法安定性が、横方向に約−5%〜約+5%である、請求項1に記載の織物。
【請求項24】
前記織物の少なくとも一部分が成形されている、請求項に1記載の織物。
【請求項25】
前記織物の少なくとも一部分が成形されており、前記成形された織物のb値が、成形前の織物のb値のCIELAB単位に用いられる4b単位の範囲内である、請求項1に記載の織物。
【請求項1】
弾性繊維を含む織物であって、前記弾性繊維が、少なくとも1種類のエチレンポリマーと少なくとも1種類の架橋剤の反応生成物を含み、前記繊維が前記織物を成形できるような架橋の量により特徴付けられる、織物。
【請求項2】
前記ポリマーが、そのゲル含有量が約65重量パーセント以下となるように架橋されている、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項3】
前記ポリマーが、そのゲル含有量が約50重量パーセント以下となるように架橋されている、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項4】
前記繊維が、ASTM D3107に従って測定して少なくとも10パーセントの伸びにより特徴付けられる、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項5】
前記エチレンポリマーが、架橋より前に、次の特徴、
(a)約1.7〜約3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)を有し、Tmとdの数値が次の関係、
Tm>−2002.9+4538.5(d)−2422.2(d)2、に相当すること、又は
(b)約1.7〜約3.5のMw/Mnを有し、融解熱ΔH(J/g)、及び、最大DSCピークと最大CRYSTAFピークの温度差として規定されるデルタ量、ΔT(摂氏温度)により特徴付けられ、ΔT及びΔHの数値が次の関係、
0より大きく130J/g以下のΔHについて、ΔT>−0.1299(ΔH)+62.81、
130J/gより大きいΔHについて、ΔT≧48℃、を有し、
前記CRYSTAFピークは、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを用いて決定され、前記ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、前記CRYSTAF温度は30℃であること;又は
(c)前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復Re(%)、及び密度d(グラム/立法センチメートル)により特徴付けられ、前記Re及びdの数値が、前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが実質的に架橋相を含まない場合に、次の関係、
Re>1481−1629(d)を満たすこと;又は
(d)TREFを用いて分画される場合に、前記画分のコモノマーモル含量が、同じ温度間で溶離する比較対象となるランダムエチレンインターポリマーのコモノマーモル含量よりも少なくとも5パーセント高いことにより特徴付けられる、40℃〜130℃の間で溶離する分子画分を有し、前記比較対象となるランダムエチレンインターポリマーが、同じコモノマー及びメルトインデックス、密度、ならびに前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーのコモノマーモル含量の(全ポリマーに対して)10パーセント以内のコモノマーモル含量を有すること;又は
(e)25℃での貯蔵弾性率G’(25℃)、及び100℃での貯蔵弾性率G’(100℃)により特徴付けられ、G’(25℃)対G’(100℃)の比が約1:1〜約10:1であること;又は
(f)TREFを用いて分画される場合に40℃〜130℃の間で溶離する少なくとも1つの分子画分であって、前記画分が、少なくとも0.5であって約1以下のブロックインデックス及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mnを有することにより特徴付けられること、又は
(g)0よりも大きく約1.0以下の平均ブロックインデックス、及び約1.3よりも大きい分子量分布Mw/Mn、
の1又はそれ以上により特徴付けられる、エチレン/α−オレフィンインターポリマーである、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項6】
前記エチレンポリマーが、均一に分岐したエチレンポリマーである、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項7】
前記弾性繊維が約2〜約30重量パーセントの織物を含む、請求項1に記載の弾性繊維を含む織物。
【請求項8】
前記織物が、前記織物を成形できるような別の材料をさらに含む、請求項1に記載の織物。
【請求項9】
前記織物が、レーヨン、ビスコース、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレン、他の合成繊維、及びそれらの混合物からなる群より選択される材料をさらに含む、請求項8に記載の織物。
【請求項10】
前記織物が、セルロース、綿、亜麻、ラミー、麻、毛、絹、リネン、竹、テンセル、モヘア、他の天然繊維、及びそれらの混合物からなる群より選択される別の材料をさらに含む、請求項9に記載の織物。
【請求項11】
前記織物が、AATCC 135 IVAiに従う洗濯の後、架橋の量のより多い比較対象となる弾性繊維の織物よりも収縮が少ない、請求項1に記載の織物。
【請求項12】
ポリブチレンテレフタラート、スパンデックス、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(トリメチレンテレフタラート)、ポリアミド、ポリエステル、及びそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーからなる弾性繊維を含む、請求項1に記載の織物。
【請求項13】
請求項1に記載の織物を含む衣類。
【請求項14】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが別のポリマーとブレンドされている、請求項5に記載の織物。
【請求項15】
均一に分岐したエチレンポリマーが、別のポリマーとブレンドされている、請求項6に記載の織物。
【請求項16】
前記エチレン/α−オレフィンインターポリマーが、約0.865〜約0.92g/cm3(ASTM D 792)の密度及び約0.1〜約10g/10分の未架橋のメルトインデックスにより特徴付けられる、請求項5に記載の織物。
【請求項17】
大部分の繊維のデニールが約1デニール〜約180デニールである、請求項1に記載の織物。
【請求項18】
前記織物が、ワープニット、又はウェフトニットである、請求項1に記載の織物。
【請求項19】
前記織物が、トリコット及びラッセルからなる群より選択されるワープニットである、請求項18に記載の織物。
【請求項20】
前記織物が、丸編み及び平編みからなる群より選択されるウェフトニットである、請求項18に記載の織物。
【請求項21】
あらゆる成形の前の、AATCC 135 IVAiに従う前記織物の寸法安定性が、縦方向に約−7%〜約+7%である、請求項1に記載の織物。
【請求項22】
あらゆる成形の前の、AATCC 135 IVAiに従う前記織物の寸法安定性が、横方向に約−7%〜約+7%である、請求項1に記載の織物。
【請求項23】
あらゆる成形の前の、AATCC 135 IVAiに従う前記織物の寸法安定性が、横方向に約−5%〜約+5%である、請求項1に記載の織物。
【請求項24】
前記織物の少なくとも一部分が成形されている、請求項に1記載の織物。
【請求項25】
前記織物の少なくとも一部分が成形されており、前記成形された織物のb値が、成形前の織物のb値のCIELAB単位に用いられる4b単位の範囲内である、請求項1に記載の織物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−511802(P2010−511802A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539517(P2009−539517)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/086116
【国際公開番号】WO2008/067545
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/086116
【国際公開番号】WO2008/067545
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】
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