説明

オレフィン型モノマーを含有する共重合体を製造する方法

少なくとも1種のオレフィン性モノマーの残基を含む共重合体組成物およびこのような共重合体を製造する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:(a)加圧撹拌タンクを提供する工程;(b)1個またはそれ以上の撹拌タンク反応器にモノマー組成物を給送する工程であって、ここで、少なくとも1種のモノマー組成物は、構造(I)に従った1種またはそれ以上のモノマーを含有する:(c)該STRに開始剤組成物を給送する工程;(d)該STR内を液圧で満たして維持する工程;(e)(b)における該モノマー組成物および(c)における該開始剤組成物を、該STR内にて、該モノマーの共重合体組成物への変換を引き起こすのに十分な滞留時間にわたって維持する工程;および(f)該共重合体組成物を排出する工程。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、オレフィン性モノマーの共重合体を製造する方法に関する。さらに詳細には、本発明は、イソブチレン型モノマーを含有する共重合体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
容易に単独重合しないモノマーが、適当なコモノマーとの共重合反応を受けることができることは、しばしば、認められている。最も典型的な状況は、強力な電子供与性モノマーを強力な電子受容性モノマーと混合するときに起こり、そこから、フリーラジカル開始後、規則的な交互共重合体が生じる。無水マレイン酸は、電子受容性モノマーの広く使用されている例である。スチレンおよびビニルエーテルは、電子供与性モノマーの典型的な例である。無水マレイン酸−スチレンのような系は、電荷移動錯体を形成することが知られており、これは、開始前、交互配列でモノマーを配置する傾向にある。フリーラジカル開始剤を適用すると、規則正しく並べられたモノマーを共に「結びつけて」、交互共重合体を形成する(非特許文献1)。
【0003】
Hanfordの特許文献1およびSackmannらの特許文献2は、たとえ中程度の電子供与性モノマー(例えば、ジイソブチレン)を強力な電子受容性モノマー(例えば、無水マレイン酸)と共重合したときでも、交互共重合体が生じることを開示している。
【0004】
中程度の電子供与性モノマー(例えば、イソブチレン)を中程度の電子受容性モノマー(例えば、アクリル酸エステル)と共重合したとき、この電子供与性モノマーの取り込みは、乏しい。例えば、イソブチレン(IB)とアクリルモノマーとのフリーラジカル共重合体では、IBの破壊的連鎖移動に起因して、せいぜい20〜30%のIBを含み分子量が低い共重合体が生じる。IBのこのような共重合の例は、Sparksらの特許文献3およびBrubakerらの特許文献4で開示されている。
【0005】
アクリルモノマーとIB型モノマーとの共重合体を製造する能力は、当該技術分野で望まれている。例えば、多くの特許では、塗装組成物においてIB含有重合体を使用する可能性が述べられている。Vicariらの特許文献5は、以下を含有する塗装組成物を開示している:官能性アクリル樹脂結合剤;共反応剤であって、これは、このアクリル結合剤の官能性と反応できる;脱気剤;および超分枝ポリエステル流動レベリング剤。IBは、長いモノマーのリストの一部として、このアクリル結合剤中で使用できる可能性があるコモノマーとして、示唆されている。Clarkらの特許文献6は、粉体塗装組成物を開示しており、これらは、反応性官能基を有する共重合体および適当な架橋剤を含有し、この架橋剤は、この共重合体の反応性官能基と反応できる。この共重合体は、官能性モノマーを他のモノマーと共重合することにより製造され、イソブチレンは、潜在的なコモノマーとして列挙された多くのもののうちの1つである。この特許では2つだけが論及されているものの、イソブチレン型コモノマーを使用する可能性を述べた多くの特許では、このような共重合体の作用実施例を実際に示したり開示しているものはない。
【0006】
イソブチレン型モノマー含有共重合体の例を殆ど見出すことができないという事実は、イソブチレンがアクリルおよびメタクリルモノマーと一般的に非反応性であることに最も原因がありそうである。モノマーの反応性比は、the Alfrey−Price Q−e値(非特許文献2)を使用して計算できる。これらの計算は、式IおよびIIを使用して実行され得る:
I r=(Q/Q)exp{−e(e−e)}
II r=(Q/Q)exp{−e(e−e)}
ここで、rおよびrは、モノマー1および2の各反応性比であり、そしてQおよびQとeおよびeとは、各モノマーの各反応性値および極性値である(非特許文献3)。表1は、イソブチレンに対する選択モノマーの算出反応性比を示す:
【0007】
【表1】

高分子化学の当業者が理解できるように、rが0であり、そしてrが10以上の値を有するとき、モノマー2は、両方のモノマーに対して反応性であり、そしてモノマー1は、いずれのモノマーに対しても反応性ではない。言い換えれば、相当な量の両モノマーを有する共重合体を調製することは、非常に困難である。イソブチレン型モノマー含有共重合体を含む塗装組成物の例を見出すことが殆どできないことは、驚くべきことではない。なぜなら、これらのモノマーが共重合する傾向にないからである。
【0008】
プロピレン、イソブチレンおよびスチレンのようなモノマーと共重合させることにより製造されるアクリル酸エステルまたはアクリロニトリル共重合体の少数の例は、ルイス酸(例えば、ハロゲン化アルキルアルミニウム)の存在下にて達成され、1:1の交互共重合体が得られる。これらの交互共重合体は、ルイス酸とアクリル酸エステルとの濃度比が0.9でありIBの濃度がアクリル酸エステルの濃度よりも高いときに、得られた(非特許文献4)。これらのハロゲン化金属は、モノマーと錯化することにより、それらの反応性を変える。電子供与モノマー−電子受容モノマー−ハロゲン化金属の錯体は、交互共重合体を生じる(非特許文献5)。
【0009】
IBとアクリル酸メチル(MA)との共重合体はまた、開始系としてセスキ塩化アルミニウムおよび過酸化2−メチルペンタノールを使用して、得られた。得られた共重合体は、EtAlCl(MAに対して10モル%)の存在下にて、低い(非特許文献6)または高いアイソタクチシティー(非特許文献7)を備えた交互構造を有していた。
【0010】
アクリル酸エステルとのIB共重合体を製造する他の方法には、ハロゲン化アルキルホウ素(これは、交互共重合体を形成する際に、ハロゲン化アルキルアルミニウムよりもずっと活性であることが見出された)が関与していた。得られた共重合体は、高い引張り強度および高い熱分解温度を有するエラストマーであり、特に、高温で、耐油性が良好であった(非特許文献8)。
【0011】
Matyjaszewskiらの特許文献7は、原子移動ラジカル重合(ATRP)プロセスを使用してイソブチレンとアクリル酸メチルとの交互共重合体を製造する方法を開示している。この方法には、その重合プロセスの錯体レドックス開始工程および生長工程を実行するために、配位子(例えば、2,2’−ビピリジル)と共に、適当なATRP開始剤(例えば、臭化1−フェニルエチル)および適当な遷移金属塩(例えば、CuBr)が必要である。
【0012】
比較的に多い量(≧30モル%)のIBおよびアクリル酸エステルを含有する共重合体は、ルイス酸またはATRP開始系を使用するときのフリーラジカル重合によってのみ、得られている。このようなプロセスから得られる重合体には、その重合体を商業的に有用とするために、遷移金属塩および/またはルイス酸残渣を除去するという費用と時間のかかる洗浄が必要である。
【0013】
共重合体にルイス酸および/または遷移金属を混ぜ合わせて含有する共重合体組成物は、商業的に使用するとき、多数の欠点を有し得る。一部のルイス酸および遷移金属は有毒であり、それらがこの共重合体から漏出して環境に入り込むと、環境に対して有害な効果を及ぼす。コーティング用途においては、ルイス酸および遷移金属は、UV光に晒したときの安定性に乏しくする場合があり、また、単に、塗装が変色する場合がある。他の用途では、このルイス酸および遷移金属は、調合物内の他の成分と反応して望ましくない特性を生じ得る。
【0014】
上記問題を克服する1つの方法は、同時係属中の米国特許出願第10/077,559号で開示されており、これは、イソブチレン型コモノマーを含有する共重合体を製造する方法に関する。この方法は、(a)イソブチレン型モノマーを含有するモノマー組成物を提供する工程、(b)(a)における該モノマー組成物をエチレン性不飽和モノマー組成物(これは、1種またはそれ以上のアクリルモノマーを含有する)と混合する工程、および(c)フリーラジカル重合開始剤の存在下にて、工程(b)から得られた混合物を重合させる工程を包含する。この重合は、ルイス酸および/または遷移金属の実質的に非存在下にて、実行される。このイソブチレン型モノマーは、アクリルモノマーのモル濃度を基準にして、少なくとも10モル%のモル過剰で存在している。
【0015】
しかしながら、上記方法で利用される著しく過剰なイソブチレンモノマーにより、その共重合体と共に相当なレベルの未反応モノマーが存在し、これは、この共重合体を商業的に使用する前に、除去されなければならない。この未反応モノマーの除去は、時間と費用がかかり得る。さらに、この共重合体から未反応モノマーを除去できたときでも、回収されたモノマーには開始剤副生成物および残渣がしばしば混入しているので、それらのモノマーを再利用する能力は限られている。後者の状況では、もし、これらのモノマーを引き続いて捨てるなら、廃棄物が発生し、また、もし、別の分離技術を使用して重合プロセスに再利用できる純粋なモノマーを単離するなら、余分な費用がかかる。
【特許文献1】米国特許第2,378,629号明細書
【特許文献2】米国特許第4,151,336号明細書
【特許文献3】米国特許第2,411,599号明細書
【特許文献4】米国特許第2,531,196号明細書
【特許文献5】米国特許第6,114,489号明細書
【特許文献6】米国特許第5,552,487号明細書
【特許文献7】米国特許第5,807,937号明細書
【非特許文献1】Cowie,Alternating Copolymers,Plenum,New York,1985年
【非特許文献2】Robert Z.Greenley,Polymer Handbook,第4版,Brandrup,ImmergutおよびGulkeら編,Wiley & Sons,New York,NY,1999年、pp.309−319
【非特許文献3】Odian,Principals of Polymerization,第3版,Wiley−Interscience,New York,NY,1991年,第6章,pp.452−467および489−491
【非特許文献4】Hirookaら、J.Polym.Sci.Polym.Chem.,1973年,第11巻,1281
【非特許文献5】Mashitaら、Polymer,1995年,第36巻,第15号,pp.2973−2982
【非特許文献6】Kuntzら、J.Polym.Sci.Polym.Chem.,1978年,第16巻,1747
【非特許文献7】Florjanczykら、Makromol.Chem.,1982年,第183巻,1081
【非特許文献8】Mashitaら、Polymer,1995年,第36巻,2983
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、現在、オレフィン性モノマー(特に、イソブチレン型モノマー)を含有する共重合体を製造する方法であって、ルイス酸および遷移金属に依存せずに最終共重合体中の未反応モノマーの混入をなくすかできるだけ少なくして交互共重合体を得る方法が明らかに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の要旨)
本発明は、少なくとも1種のオレフィン性モノマーの残基を含む組成物を製造する方法に関し、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)少なくとも1個の入口および少なくとも1個の出口を有する少なくとも1個の加圧撹拌タンク反応器(STR)を提供する工程;
(b)該入口の少なくとも1個を経由して、STRに、1種またはそれ以上のモノマー組成物を給送する工程であって、ここで、少なくとも1種のモノマー組成物は、次の構造(I)を有する1種またはそれ以上のモノマーを含有する:
【0018】
【化9】

ここで、Rは、直鎖または分枝C〜Cアルキルであり、そしてRは、メチル、直鎖、環状または分枝C〜C20アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールおよびアラルキルから選択され、それらのいずれも、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含むことができる;
(c)該入口の1個またはそれ以上を経由して、該STRに、1種またはそれ以上の開始剤組成物を給送する工程;
(d)該STR内に空気または蒸気の空間が実質的に存在しないように、該STR内の液体レベルを維持する工程;
(e)(b)における該モノマー組成物および(c)における該開始剤組成物を、該STR内にて、該モノマーの共重合体組成物への変換を引き起こすのに十分な滞留時間にわたって維持する工程;および
(f)該出口を経由して、該共重合体組成物を排出する工程。
【0019】
本発明はまた、上記方法から得られた共重合体に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(発明の詳細な説明)
操作実施例以外、または特に明記しない限り、本明細書および請求の範囲で使用される成分の量、反応条件などを示す全ての数値または表現は、いずれの場合にも、「約」との用語により修飾されることが理解できるはずである。本特許出願では、種々の数値範囲が開示されている。これらの範囲は、連続しているので、その最低値と最高値との間のいずれの値も含む。そうではないと特に明記しない限り、本願で特定した種々の数値範囲は、概算値である。
【0021】
本明細書中で使用する「共重合体組成物」との用語は、合成共重合体だけでなく、その共重合体の合成に伴うがそこに共有結合的には組み込まれていない開始剤、触媒および他の要素に由来の残渣を含むことを意味する。この共重合体組成物の一部と見なされるこのような残渣および他の要素は、典型的には、容器間または溶媒間または分散媒体間で移動したときに共重合体と共に残るように、その共重合体と混合される。
【0022】
本明細書中で使用する「実質的に含まない」との用語は、ある物質が偶発的な不純物として存在することを意味する。言い換えれば、その物質は、指定組成物に意図的に加えられるのではなく、目的組成物の成分の一部として不純物として繰り入れられるので、少量レベルまたは僅かなレベルで存在し得る。
【0023】
「供与体モノマー」および「受容体モノマー」との用語は、本願全体にわたって使用される。本発明に関して、「供与体モノマー」との用語は、エチレン性二重結合における電子密度が比較的に高い重合可能エチレン性不飽和基を有するモノマーを意味し、また、「受容体モノマー」との用語は、エチレン性二重結合における電子密度が比較的に低い重合可能エチレン性不飽和基を有するモノマーを意味する。この概念は、Alfrey−Price Q−eスキームにより、ある程度数量化されている(Greenley,Polymer Handbook,第4版,Brandrup,ImmergutおよびGulkeら編,Wiley & Sons,New York,NY,1999年、pp.309−319)。本明細書中で列挙した全てのe値は、そうではないと特に明記しない限り、Polymer Handbookで見られるものである。
【0024】
このQ−eスキームでは、Qは、モノマーの反応性を示し、そしてeは、モノマーの極性(これは、所定モノマーの重合可能エチレン性不飽和基の電子密度を意味する)を示す。正のe値は、あるモノマーが、比較的に電子密度が低く、受容体モノマーであることを意味する。低いまたは負のe値は、比較的に電子密度が高く、供与体モノマーであることを意味する。本明細書中で言及する「受容体モノマー」とは、0.5より高いe値を備えたモノマーを含むことを意味する。逆に、「供与体モノマー」との用語とは、0.5未満のe値を備えたモノマーを含むことを意味する。
【0025】
本明細書中で使用する「溶媒」との用語は、当該技術分野で公知の通常の非プロトン性脂肪族および/または芳香族溶媒または希釈剤を意味する。溶媒の非限定的な例には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エーテル、およびC〜C20直鎖、分枝および環状脂肪族および芳香族化合物が挙げられる。
【0026】
本発明は、少なくとも1種のオレフィン性モノマーの残基を含む組成物を製造する方法を提供し、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)少なくとも1個の入口および少なくとも1個の出口を有する少なくとも1個の加圧撹拌タンク反応器(STR)を提供する工程;
(b)該入口の少なくとも1個を経由して、STRに、1種またはそれ以上のモノマー組成物を給送する工程であって、ここで、少なくとも1種のモノマー組成物は、次の構造(I)を有する1種またはそれ以上のモノマーを含有する:
【0027】
【化10】

ここで、Rは、直鎖または分枝C〜Cアルキルであり、そしてRは、メチル、直鎖、環状または分枝C〜C20アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールおよびアラルキルから選択され、それらのいずれも、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含むことができる;
(c)該入口の1個またはそれ以上を経由して、該STRに、1種またはそれ以上の開始剤組成物を給送する工程;
(d)該STR内に空気または蒸気の空間が実質的に存在しないように、該STR内の液体レベルを維持する工程;
(e)(b)における該モノマー組成物および(c)における該開始剤組成物を、該STR内にて、該モノマーの共重合体組成物への変換を引き起こすのに十分な滞留時間にわたって維持する工程;および
(f)該出口を経由して、該共重合体組成物を排出する工程。
【0028】
本発明の1実施態様では、構造(I)のモノマノーは、イソブチレン、ジイソブチレン、ジペンテン、イソプレノール(イソブチレン型モノマー)それらの混合物から選択される。
【0029】
本発明の他の実施態様では、構造(I)のモノマーのR基は、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1個またはそれ以上の官能基を含有する。
【0030】
本発明のさらに他の実施態様では、(b)における少なくとも1種のモノマー組成物は、アクリロニトリルおよび構造(III)で描写されるアクリルモノマーから選択される1種またはそれ以上のモノマーを含有する:
【0031】
【化11】

ここで、Yは、−NR、−O−R−O−C(=O)−NRおよび−ORから選択される;Rは、H、直鎖または分枝C〜C20アルキルおよび直鎖または分枝C〜C20アルキロールから選択される;Rは、H、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、直鎖または分枝C〜C20アルキル、アルキロール、アリール、アルカリールおよびアラルキル、直鎖または分枝C〜C20フルオロアルキル、フルオロアリールおよびフルオロアラルキル、シロキサン、ポリシロキサン、アルキルシロキサン、エトキシル化トリメチルシリルシロキサンおよびプロポキシル化トリメチルシリルシロキサンから選択される;Rは、二価直鎖または分枝C〜C20アルキル連結基である。必要に応じて、そしてRおよび/またはRは、1個またはそれ以上の官能基を含み得る。
【0032】
本発明の追加実施態様では、構造IIIのY基は、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩から選択される1種またはそれ以上の少なくとも1個の官能基を含む。本発明の他の実施態様では、(b)における少なくとも1種のモノマー組成物は、スチレン、置換スチレン、メチルスチレン、置換メチルスチレン、ビニルエーテルおよびビニルピリジンから選択される1種またはそれ以上のモノマーを含有する。
【0033】
本発明の特定の実施態様では、このモノマー組成物のいずれかは、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリルアミド、クロロトリフルオロエチレン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびn−ブトキシメチルアクリルアミドから選択されるモノマーの1種またはそれ以上を含有する。
【0034】
本発明の代替実施態様では、本発明の方法から得られる共重合体組成物は、1個またはそれ以上の官能基が該共重合体に取り込まれるように、反応される。この共重合体には、任意の適当な官能基を取り込むことができる。この共重合体に取り込むことができる適当な官能基には、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本発明の1実施態様では、前記開始剤組成物は、熱フリーラジカル開始剤、および必要に応じて、1種またはそれ以上の溶媒を含有する。本発明の方法では、任意の適当な熱フリーラジカル開始剤が使用できる。適当な熱フリーラジカル開始剤には、過酸化物化合物、アゾ化合物、過硫酸塩化合物、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本発明では、重合を開始できる任意の適当な過酸化物化合物が使用できる。非限定的な例として、この過酸化物化合物は、過酸化水素、過酸化メチルエチルケトン、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジ−t−アミル、過酸化ジクミル、過酸化ジアシル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、過酸化ジアルキル、ヒドロペルオキシドおよびペルオキシケタールから選択できる。
【0037】
本発明では、重合を開始できる任意の適当なアゾ化合物が使用できる。非限定的な例として、このアゾ化合物は、4−4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1−1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2−2’−アゾビスイソブチロニトリル、2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2−2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2−2’−アゾビス(プロピオニトリル)、2−2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−2’−アゾビス(バレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)二塩酸塩および2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリルから選択できる。
【0038】
本発明の実施態様は、図1で示されており、これは、一般に、本発明に従って、装置アセンブリ10を使用して共重合体を製造する方法を描写している。装置アセンブリ10では、モノマー供給タンク12および16(これらは、上記のように、モノマー組成物を含有する)は、それぞれ、排出パイプ11および13(これらは、それぞれ、ポンプ14および18に至る)に給送される。これらのポンプ14および18は、コンピューターで制御できる。本発明の実施態様では、これらのタンクの1個は、揮発性モノマー(非限定的な例は、イソブチレンである)を含有でき、例えば、窒素または他の不活性ガスを加えることにより加圧され、その結果、このモノマーは、液体として給送できる。供給タンク12および16からのモノマー流は、非限定的な例として、それらをインラインミキサー15に通すことにより、混合できる。ポンプ14および18は、コンピューターで制御した給送ポンプであり得る。
【0039】
上記開始剤は、液体形状または開始剤−溶媒の溶液で、供給タンク20に含有され、これは、ポンプ22に至る排出パイプ19を有し、コンピューターで制御できる。ポンプ14、18および22を出ていくラインは、共通の給送ライン24に至り、これは、入口28(これは、一般に、撹拌タンク反応器(STR)26の下部に位置している)にて、STR 26に入る。代替実施態様として、ポンプ22からのラインは、開始剤−モノマーがSTR26に給送されるまで両者の混合が起こらないように、別々に、STR26に接続できる。本発明の実施態様では、入口28は、STR26の容量の下部に、いくつかの場合では、下部3分の1に、他の場合では、下部10分の1に注ぐ。しかしながら、入口28は、パイプを含むことができ、これは、STR26において、任意のレベルで、モノマーおよび開始剤を流入させる高さまで、STR26に伸長している。さらに、入口28におけるパイプの高さは、調整可能であり得る。揮発性モノマーを使用するとき、ポンプ14、18および22は、典型的には、高圧ポンプである。
【0040】
本発明の実施態様では、供給タンク12および16からのモノマーは、STR26に給送される前に、供給タンク20からの開始剤と混合される。この実施態様に加えて、このモノマー組成物および開始剤組成物は、スタティックミキサー(図示せず)を使用して混合できる。
【0041】
STR26は、加圧でき、典型的には、タービン付きミキサー(図示せず)、入口28および出口30を含む。そのタービンは、一般に、STR26において、底部から頂部および頂部から底部への良好な混合を与えることができる。それらの反応物の性質に依存して、混合の適用は任意であり、いくつかの反応では適用され、また、他の反応では、適用されない。本発明の実施態様では、STR26は、このプロセス中にて、液圧で満たされる。排出ライン34は、出口10にて、STR26から出ていく。STR26は、加熱目的および/または冷却目的のためにジャケットを付けることができ、また、加熱目的および/または冷却目的のために内部コイルを有し得る。
【0042】
本明細書中で使用する「液圧で満たす」との用語は、STRの容量の100%が液体を含有していて、この反応器内に空気または蒸気の空間が実質的に存在しない状況を意味する。
【0043】
STR26の容量は、本発明の方法において所望の処理能力および滞留時間を与える任意の容量であり得る。STR26の容量は、少なくとも0.1リットル、ある状況では、少なくとも1リットル、いくつかの場合では、少なくとも2リットル、他の場合では、少なくとも3リットル、いくつかの状況では、少なくとも5リットル、他の状況では、少なくとも10リットル、他の状況では、少なくとも15リットルであり得る。また、STR26の容量は、250リットルまで、いくつかの場合では、200リットルまで、他の場合では、150リットルまで、いくつかの状況では、100リットルまで、他の状況では、50リットルまで、特定の状況では、30リットルまでであり得る。STR26の容量は、ここで述べた値のいずれかであり得、また、上で列挙した値のいずれかの間の範囲であり得る。
【0044】
そのプロセス流における圧力は、排出ライン34に位置している背圧弁36により、制御される。典型的には、この反応器内の全ての成分を液体状態で保つために、所定の圧力が維持される。
【0045】
STR26内の圧力は、典型的には、全ての成分を液体状態で維持するのに十分な任意の圧力であり、通常、全ての成分の沸点がSTR26で操作温度より高い場合の圧力である。STR内の圧力は、少なくとも300psi、いくつかの場合では、少なくとも350psi、他の場合では、少なくとも400psiであり得る。また、STR内の圧力は、1,000psiまで、いくつかの場合では、800psiまで、他の場合では、700psiまで、いくつかの状況では、600psiまでであり得る。STR26内の圧力は、この反応器に対する評点により限定される。STR26内の圧力は、上で列挙した値の任意のセットの間の値または範囲であり得る。
【0046】
STR26内の温度は、全ての成分の沸点が、操作圧力で、STR26内の操作温度よりも高い場合の温度で維持される。STR26内の温度は、少なくとも50℃、いくつかの場合では、少なくとも100℃、他の場合では、少なくとも150℃であり得る。また、STR26内の温度は、300℃まで、いくつかの場合では、250℃まで、他の場合では、230℃まで、いくつかの状況では、200℃までであり得る。STR26内の温度は、使用するモノマー、得られる共重合体の所望の分子量、および反応器の圧力評点に基づいて、変えることができる。STR26内の温度は、上で列挙した値の任意のセットの間の値または範囲であり得る。
【0047】
本明細書中で使用する「滞留時間」との用語は、このモノマー、開始剤および他の反応物がそれらの反応形状または未反応形状でSTR内に存在している平均時間を意味する。
【0048】
反応しているモノマーおよび最終生成物共重合体は、少なくとも1分間、いくつかの場合では、少なくとも5分間、他の場合では、少なくとも10分間、いくつかの状況では、少なくとも15分間、他の状況では、少なくとも20分間のSTR26内での滞留時間を有する。また、STR26内での滞留時間は、6時間まで、いくつかの場合では、5時間まで、他の場合では、4時間まで、いくつかの状況では、3時間まで、他の状況では、2時間まで、特定の状況では、1時間までであり得る。この滞留時間は、使用するモノマー、所望の分子量、所望の転化率、およびSTR26内の温度に基づいて、変わる。STR26内での反応しているモノマーおよび最終生成物共重合体の滞留時間は、上で列挙した値の任意のセットの間の値または範囲であり得る。
【0049】
STR26内の変換(すなわち、モノマーから共重合体への化学変換)は、使用される所望のプロセスパラメータおよび特性(分子量、共重合体組成物など)に基づいて、変えることができる。多くの場合、未反応モノマーは、このプロセスの後で、除去できる。STR26内での転化率は、使用されるモノマーの全重量に基づいて共重合体の重量%として計算したとき、少なくとも50%、いくつかの場合では、少なくとも55%、他の場合では、少なくとも60%、いくつかの状況では、少なくとも65%、他の状況では、少なくとも75%であり得る。また、STR26内での転化率は、使用されるモノマーの全重量に基づいて共重合体の重量%として計算したとき、100%まで、いくつかの場合では、99.9%まで、他の場合では、99%まで、いくつかの状況では、96%まで、他の状況では、95%まで、特定の状況では、90%までであり得る。STR26内での転化率は、上で列挙した値の任意のセットの間の値または範囲であり得る。
【0050】
本発明の実施態様では、この共重合体組成物をSTR26から排出した後、この共重合体組成物は、必要に応じて、第二STR(図示せず)に給送される。第二STRは、使用するとき、反応物の全体的な滞留時間を長くして、モノマーの共重合体への高い変換をもたらす。第二STR内の転化率は、最初に使用されるモノマーの全重量に基づいて共重合体の重量%として計算したとき、100%まで、いくつかの場合では、99.9%まで、他の場合では、99%まで、いくつかの状況では、96%まで、他の状況では、95%まで、特定の状況では、90%までであり得る。
【0051】
本発明の実施態様では、この共重合体組成物を第二STR26から排出した後、この共重合体組成物は、必要に応じて、第三STR(図示せず)に給送される。第三STRは、使用するとき、反応物の全体的な滞留時間を長くして、モノマーの共重合体への高い変換をもたらす。第三STR内の転化率は、最初に使用されるモノマーの全重量に基づいて共重合体の重量%として計算したとき、100%まで、いくつかの場合では、99.9%まで、他の場合では、99%まで、いくつかの状況では、96%まで、他の状況では、95%まで、特定の状況では、90%までであり得る。
【0052】
STR26から、この重合反応から得られる本発明の共重合体組成物、必要に応じて、未反応モノマーおよび他の副生成物を含有する反応混合物は、連続して排出され、そしてフラッシュタンク38に移される。第二STRを使用するとき、または第二STRと第三STRとを使用するとき、この共重合体組成物は、第二STRまたは第三STRから、それぞれ、フラッシュタンク38へと連続して排出される。フラッシュタンク38は、少なくとも140℃、いくつかの場合では、少なくとも150℃、他の場合では、少なくとも160℃で維持される。また、フラッシュタンク38は、250℃まで、いくつかの場合では、230℃まで、他の場合では、210℃まで、いくつかの状況では、200℃まで、他の状況では、190℃まで、特定の状況では、180℃までの温度で維持される。フラッシュタンク38内の温度は、そこに移された反応混合物の組成に基づいて、決定される。フラッシュタンク38内の温度は、上で列挙した値の任意のセットの間の値または範囲であり得る。
【0053】
フラッシュタンク38内で維持される真空は、この反応混合物の組成およびフラッシュタンク38内の温度に基づいて、決定される。フラッシュタンク38内の真空は、少なくとも30mmHg、いくつかの場合では、少なくとも50mmHg、他の場合では、少なくとも100mmHgであり得る。また、フラッシュタンク38内で維持される真空は、300mmHgまで、いくつかの場合では、250mmHgまで、他の場合では、200mmHgまでであり得る。フラッシュタンク38内の真空は、上で列挙した値の任意のセットの間の値または範囲であり得る。フラッシュタンク38の真空は、真空装置40(これは、真空蒸留装置であり得る)により、維持される。
【0054】
フラッシュタンク38の容量は、典型的には、STR26の容量に依存している。フラッシュタンク38の容量は、STR26の容量より大き、いくつかの場合では、STR26の容量の少なくとも2倍、他の場合では、STR26の容量の少なくとも3倍、いくつかの状況では、STR26の容量の少なくとも4倍であり得る。また、フラッシュタンク38の容量は、STR26の容量の少なくとも10倍まで、いくつかの場合では、STR26の容量の少なくとも8倍まで、他の場合では、STR26の容量の少なくとも7倍までであり得る。フラッシュタンク38の容量は、上で列挙した値の任意のセットの間の値または範囲であり得る。
【0055】
一旦、この反応混合物がフラッシュタンク38に入ると、その揮発性成分は、蒸発されて、蒸気相を形成する。特定の実施態様では、この未反応モノマー(非限定的な例として、構造(I)のモノマー)は、フラッシュタンク38に真空を適用することにより、この共重合体組成物から実質的に回収される。モノマーおよび他の揮発性物質は、真空蒸留ユニット40で示されるように、当該技術分野で公知の真空蒸留装置を使用して、回収される。
【0056】
本発明の実施態様では、回収された構造(I)の未反応モノマーは、(b)におけるモノマー組成物の一部を構成するように、または供給タンク12および/または16のモノマーとして、使用される。
【0057】
この共重合体組成物は、ギアポンプ44(これはまた、真空封着を与え)を使用して、排出ライン42を経由して、フラッシュタンク38から連続して回収される。それゆえ、この共重合体組成物は、フラッシュタンク38から排出される。本発明の実施態様では、フラッシュタンク38における液体レベルおよびそこからの排出速度は、差圧(DP)セル(これは、フラッシュタンク38内の液体の高さを測定する)を使用して、制御される。
【0058】
本発明の実施態様では、この共重合体組成物をフラッシュタンク38から排出した後、この共重合体組成物は、溶媒と混合される。この実施態様では、溶媒タンク50内の溶媒は、インラインミキサー47のすぐ前で、ポンプ48を経由して、移動パイプ46に移される。この共重合体組成物は、ポンプ44を使用して移され、そしてインラインミキサー47にて、溶媒と混合され、その後、溶媒中の本発明の共重合体組成物の最終生成物溶液および/または分散体は、包装および/または他の処理のために、プロセス52を出ていく。
【0059】
本発明の他の実施態様では、この共重合体組成物は、弁70を適当に方向付けることにより、ポンプ44および移動パイプ54を経由して、フラッシュタンク38からワイプドフィルムエバポレーター(wiped film evaporator)(WFE)56へと移動される。真空蒸留装置58は、WFE56と液体接触され、WFE56内の真空を維持し、この共重合体組成物から揮発性液体を除去して、このプロセスから液体としてそれらを排出する。WFE56内の真空は、少なくとも2mmHg、いくつかの場合では、少なくとも25mmHg、他の場合では、少なくとも50mmHgである。また、WFE56内の真空は、500mmHgまで、いくつかの場合では、200mmHgまで、他の場合では、100mmHgまでであり得る。WFE56内の真空は、上で列挙した値の任意のセットの間の値または範囲であり得る。WFE56の真空は、真空装置58(これは、真空蒸留装置であり得る)により、維持される。
【0060】
WFE56内の温度は、少なくとも120℃、いくつかの場合では、少なくとも140℃、他の場合では、少なくとも170℃である。また、WFE56内の温度は、250℃まで、いくつかの場合では、200℃まで、他の場合では、190℃までであり得る。WFE56内の温度は、上で列挙した値の任意のセットの間の値または範囲であり得る。
【0061】
この重合体組成物は、WFE56から、ポンプ66および移動パイプ60を経由して、フレーカー62へと移され、そこから、この重合体組成物は、乾燥薄片物質として、このプロセスから排出され(64)、これは、包装またはさらに処理できる。
【0062】
それゆえ、本発明の実施態様は、連続プロセスとして操作される方法を提供し、この場合、そのモノマーおよび開始剤は、この共重合体または共重合体組成物がSTR26から引き出され構造(I)の任意の未反応モノマーが共重合または共重合体組成物から除去される速度と事実上同じ速度で導入され、そして(b)におけるモノマー組成物の少なくとも1種の一部として、使用される。
【0063】
本発明の実施態様では、設備、配管、ポンプなどの個々の品目は、任意の適当な材料から製造できる。適当な材料は、上で列挙した組成物および処理条件に晒されたとき、故障、腐食および/または不必要に摩耗しないものである。非限定的な例としては、設備、配管、ポンプなどの個々の品目は、Hastelloy、Monel、アルミニウム、炭素、セラミックス、クロム、K−Monel、M−50、プラスチック、302 Stainless、304 Stainless、316 Stainless、316L Stainless、420 Stainless、440 Stainless、炭化タングステン、および当該技術分野で公知のそれらの組み合わせから作製できる。
【0064】
本発明の実施態様では、構造(I)に従ったモノマーは、(b)におけるモノマー組成物中のモノマーの全モル数に基づいて、50モル%、いくつかの場合では、50モル%より多いレベルで、含有される。また、構造(I)に従ったモノマーの量は、(b)におけるモノマー組成物中のモノマーの60モル%を超えず、いくつかの場合では、55モル%を超えず、他の場合では、54モル%を超えず、いくつかの状況では、53モル%を超えず、他の状況では、52モル%を超えず、特定の状況では、51モル%を超えず、選択した状況では、50.5モル%を超えない。構造(I)に従ったモノマーの量は、任意の指示されたレベルで含まれ得るか、または上で列挙した任意の値の間の範囲であり得る。
【0065】
特定の実施態様では、構造(I)のモノマーは、(b)におけるモノマー組成物の他のモノマーよりもモル過剰で存在している。本明細書中で使用する「モル過剰」との用語は、モノマー組成物中に含有されるモノマーの量が、得られる共重合体中で所望される量よりも多いことを意味する。非限定的な例として、もし、モノマーAが、共重合体の25モル%で要求され、モノマー組成物中で30モル%で含有されているなら、それは、5モル%のモル過剰で存在している。この実施態様では、構造(I)のモノマーは、10モル%まで、いくつかの場合では、5モル%まで、他の場合では、3モル%まで、いくつかの状況では、2モル%まで、他の状況では、1モル%まで、特定の状況では、0.5モル%まで、(b)におけるモノマー組成物の他のモノマーよりもモル過剰で存在している。構造(I)のモノマーは、上で示した任意のモル過剰で、(b)におけるモノマー組成物の他のモノマーよりもモル過剰で存在できるか、または上で列挙した任意の値の間の範囲であり得る。
【0066】
いずれの理論によっても束縛するつもりはないが、構造(I)に従ったモノマーの必要な過剰量は、1個またはそれ以上のSTRが液圧で満たして維持されるので、本発明の方法を使用すると、実質的に少ないと考えられる。このようにして、構造(I)に従った揮発性モノマーが滞留できる蒸気の空間が実質的に存在せず、それらが重合反応に関与するのを防止する。さらに、液圧で満たしたSTRにより、成分の良好で密接な混合が得られ、効率および高い変換を促す。
【0067】
本発明の実施態様では、(b)における前記モノマー組成物は、一般構造(IV)の他のエチレン性不飽和モノマーを含有する:
【0068】
【化12】

ここで、R11、R12およびR14は、別個に、以下からなる群から選択される:H、CF、1個〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル、アリール、2個〜10個の炭素原子を有する不飽和直鎖または分枝アルケニルまたはアルキニル、2個〜6個の炭素原子を有する不飽和直鎖または分枝置換アルケニルであって、該置換アルケニルは、ハロゲン、C〜Cシクロアルキル、ヘテロシクリルおよびフェニルで置換されている;R13は、以下からなる群から選択される:H、C〜Cアルキル、COOR15であって、ここで、R15は、H、アルカリ金属、C〜Cアルキル基、グリシジルおよびアリールからなる群から選択され、これらは、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含むことができる。特定の実施態様では、他のエチレン性不飽和モノマーは、アクリルモノマー、メタクリルモノマーおよびアリルモノマーからなる群から選択される1種またはそれ以上である。
【0069】
本発明の特定の実施態様では、1種またはそれ以上のモノマー組成物は、その入口の少なくとも1個を経由して、STR26に給送され、これらのモノマー組成物は、以下の(i)および(ii)を含有する:(i)構造(I)に従った1種またはそれ以上のモノマーを含有する供与体モノマー組成物および(ii)1種またはそれ以上のエチレン性不飽和受容体モノマーを含有するモノマー組成物。従って、これらのモノマーは、上記プロセス工程を経由して、交互共重合体に変換される。この実施態様に加えて、構造(I)のモノマーは、R基を有し得、これは、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩から選択される1個またはそれ以上の官能基を含有でき、また、イソブチレン、ジイソブチレン、ジペンテン、イソプレノール、それらの混合物から選択されるモノマーを含有できる。この実施態様に加えて、(b)における少なくとも1種のモノマー組成物は、アクリロニトリルおよび構造(III)で描写されるアクリルモノマーから選択される1種またはそれ以上の受容体モノマーを含有し、ここで、Yは、必要に応じて、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1種またはそれ以上の少なくとも1個の官能基を含有できる。
【0070】
追加実施態様では、(b)における少なくとも1種のモノマー組成物は、スチレン、置換スチレン、メチルスチレン、置換メチルスチレン、ビニルエーテルおよびビニルピリジンから選択される1種またはそれ以上のモノマーであり得る。
【0071】
本発明の実施態様では、この方法は、その重合プロセスが実質的に完了した後、1個またはそれ以上の官能基が共重合体に取り込まれるように、さらに反応される。特定の実施態様では、この共重合体に取り込まれる官能基は、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩から選択される1種またはそれ以上である。
【0072】
本発明はまた、本発明に方法により調製される共重合体に関する。このような共重合体は、受容体モノマーに由来の残基とその重合体鎖に沿って交互である構造(I)に従ったモノマーに由来の残基を有するとして、記述できる。本発明の実施態様では、これらの受容体モノマーは、構造(III)に従った1種またはそれ以上のモノマーであり得る。本発明の方法で他のモノマーを使用するとき、その重合体鎖の一部は、本発明の方法で使用されるモノマーからランダムに取り込まれた残基を含有できる。本発明の実施態様により、構造(I)に従ったモノマーおよび受容体モノマーに由来の交互残基を含むセグメントは、得られた共重合体の少なくとも30重量%、いくつかの場合では、少なくとも40重量%、他の場合では、少なくとも50重量%を構成する。また、構造(I)に従ったモノマーおよび受容体モノマーに由来の交互残基を含むセグメントは、得られた共重合体の100重量%まで、いくつかの場合では、95重量%まで、他の場合では、90重量%まで、いくつかの状況では、80重量%まで、他の状況では、75重量%まで、特定の状況では、70重量%までを構成できる。構造(I)に従ったモノマーおよび受容体モノマーに由来の交互残基を含むセグメントは、上で示したように共重合体の任意の一部を構成でき、また、上で列挙したいずれか2つの値の間の範囲であり得る。
【0073】
本発明の実施態様では、本発明の方法から得られる共重合体組成物は、遷移金属およびルイス酸(これらは、上で述べたように、中程度の供与体モノマーおよび中程度の受容体モノマの交互共重合体を製造するために、従来技術で使用されている)を実質的に含まない。本発明はまた、本発明の共重合体組成物を調製する際に、遷移金属またはルイス酸補助剤を利用しない;従って、それらを重合後に除去する必要はなく、得られた共重合体組成物は、遷移金属またはルイス酸を含有するものに固有の欠点がない。
【0074】
本発明の他の実施態様では、得られた共重合体は、少なくとも250、多くの場合、少なくとも500、典型的には、少なくとも1,000、ある場合には、少なくとも2,000の分子量を有する。本発明の共重合体は、1,000,000まで、多くの場合、500,000まで、典型的には、100,000まで、ある場合には、50,000までの分子量を有する。特定の用途には、本発明の共重合体の分子量が25,000を超えない、他の場合には、20,000を超えない、特定の場合には、16,000を超えないことが必要である。この共重合体の分子量は、その共重合体組成物に組み込まれる特性に基づいて、選択される。この共重合体の分子量は、上で述べた値を含めた任意の範囲の値で、変わり得る。
【0075】
本発明の特定の実施態様では、本発明の方法を使用して生成された共重合体の多分散指数(PDI)は、典型的には、4未満、多くの場合、3.5未満、典型的には、3.0未満、ある場合には、2.5未満である。本明細書中および請求の範囲で使用する「多分散指数」は、以下の等式から決定される:(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))。単分散重合体は、1.0のPDIを有する。さらに、本明細書中で使用するMおよびMは、ポリスチレン標準を使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィーから決定される。
【0076】
本発明の方法から生じる共重合体は、当該技術分野で公知の方法による官能基変換を使用することにより、他の重合体の調製用の出発物質として、利用され得る。これらの方法により導入できる官能基には、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩があり得る。
【0077】
例えば、アクリル酸メチルを含む本発明の方法の共重合体は、カルボメトキシ基を含有する。これらのカルボメトキシ基は、カルボキシル基に加水分解できるか、アルコールとエステル交換してアルコールの対応するエステルを形成できる。アンモニアを使用して、上述のアクリル酸メチル共重合体は、アミドに変換でき、または第一級または第二級アミンを使用して、対応するN−置換アミドに変換できる。同様に、エチレンジアミンのようなジアミンを使用して、本発明の方法の上述の共重合体をN−アミノエチルアミドに変換でき、またはエタノールアミンを使って、N−ヒドロキシエチルアミドに変換できる。このN−アミノエチルアミド官能性は、さらに、脱水により、オキサゾリンに変換できる。このN−アミノエチルアミドは、さらに、炭酸プロピレンのような炭酸エステルと反応されて、対応するウレタン官能性共重合体を形成できる。これらの変換は、そのカルボメトキシ基の全てを変換するように実行できるか、一部には、それらのカルボキシメチル基の一部をそのままにして、実行できる。
【0078】
本発明の方法の共重合体には、その共重合体の調製においてアクリル酸グリシジルを使用することにより直接的に、または官能基変換により間接的に、エポキシ基が導入できる。間接方法の一例には、この共重合体中の残留不飽和を、過酸(例えば、過酢酸)を使用して、エポキシ基に酸化することがある。あるいは、上記のような加水分解によりカルボキシ官能性共重合体を形成し、そのカルボキシ官能性共重合体をエピクロロヒドリンで処理し、次いでアルカリで処理して、このエポキシ官能性共重合体を生成できる。これらの変換はまた、完全にまたは部分的に実行できる。得られたエポキシ官能性共重合体は、さらに、適当な活性水素含有試薬と反応されて、アルコール、アミンまたはスルフィドを形成できる。
【0079】
本発明の共重合体では、ヒドロキシ官能性モノマー(例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル)を使用して、または官能基変換により、水酸基が導入できる。上記カルボキシ官能性共重合体をエポキシで処理することにより、ヒドロキシル官能性重合体が生成できる。適当なエポキシドには、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドおよびグリシジルネオデカノエートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
上記ヒドロキシル官能性共重合体は、さらに、反応されて、他の共重合体を形成できる。例えば、ヒドロキシエチル基を含有する共重合体は、カルバミル化剤(例えば、カルバミン酸メチル)で処理されて、対応するカーバメート官能性共重合体を生成できる。ジケテンまたはアセト酢酸t−ブチルを使って、これらの水酸基はまた、アセト酢酸エステルに変換できる。
【0081】
イソシアネート官能性共重合体もまた、生成できる。本発明の方法の共重合体(これは、2個またはそれ以上の水酸基を含有する)は、ジイソシアネート(例えば、イソホロンジイソシアネート)で処理されて、イソシアネート官能性重合体を生成できる。上記の第一級アミン官能性共重合体は、ホスゲン化されて、イソシアネート官能性を生じることができる。
【0082】
本発明の方法の共重合体には、当業者に公知の任意の手段により、イオン官能性が導入できる。この共重合体中のエステル基を加水分解することに続いて塩基と反応させることにより、カルボキシレート基が導入できる。本発明の共重合体をアミン官能性アクリレートで調製することに続いてアミノ基を酸でプロトン化することにより、アミン塩が導入できる。また、グリシジル官能性共重合体をアンモニアまたは活性水素含有アミンと反応させることに続いて酸でプロトン化することにより、アミン塩が導入できる。本発明の方法のエポキシ官能性共重合体を、プロトン酸の存在下にて、それぞれ、第三級アミンまたはスルフィドで処理することにより、四級アミン官能基または三級スルホニウム基が導入できる。
【0083】
本発明は、さらに具体的に以下の実施例で記述されているが、これらの実施例は、多くの改良および変更が当業者に明らかであるので、例示にすぎないと解釈される。特に明記しない限り、全ての部およびパーセントは、重量基準である。
【実施例】
【0084】
(実施例1〜4)
以下の実施例は、本発明の方法を使用するイソブチレン/アクリル酸ヒドロキシプロピル/アクリル酸ブチルの25/20/55(w/w/w)共重合体の調製を示す。
【0085】
供給タンク2および3は、ロードセル上のかき混ぜ容器であり、これらは、液体より上の大気のための窒素パージシステムを備え付けていた。これらのタンクから、Pulsafeeder(登録商標) Diaphragm Pump(Pulsafeeder Inc.,Rochester,NY)(これは、800psiの出力圧が可能である)を経由して、反応容器へと液体をポンプ輸送した。その給送速度は、このタンク上のロードセルからの重量損失信号に応答して、このポンプのストローク頻度を変えることにより、制御した。
【0086】
供給タンク1は、LPG型シリンダーであった。Nを使用して圧力を70psiに維持した。Pulsafeeder(登録商標) Diaphragm Pumpにより、この容器から液体をポンプ輸送した。このタンクは、ロードセル上にあり、その速度は、ロードセルからの重量損失信号に応答して、このポンプのストローク頻度を変えることにより、制御した。
【0087】
この反応器は、5ガロンのステンレス鋼圧力容器(Pressure Products Industries,Inc.,Warminster,PA)であり、これは、完全ジャケットおよび内部コイルを備え付けていた。この容器は、2000psiの圧力評点を有し、そして磁気ドライブかき混ぜ機(これは、2枚のタービンかき混ぜ機ブレードを有する)を備え付けていた。このジャケットは、循環している加圧水系を使用して、加熱/冷却した。この内部コイルは、井戸水で冷却するか蒸気で加熱するのに使用した。供給原料は、この反応器の底部に入り、そして頂部から出ていった。この反応器を、その内容物の沸点よりも高い内部圧に設定するために、背圧制御弁(Nupro Valve,Swagelok Company,Solon,OH)を使用して背圧を保持することにより、液圧で満たした。それらの成分の蒸気圧および給送ポンプにより、圧力を供給した。
【0088】
このフラッシュタンクは、ステンレス鋼容器であり、十分な真空および50psi圧力が可能である。それは、ジャケットを付け、加熱/冷却に利用できる蒸気/水を有していた。それに、かき混ぜ機と、冷却器によって十分な真空を引き出すことができるシステムを備え付けた。差圧セルを使用して、液体のレベルをモニターした。Viking Jacket Gear Pump(Viking Pump,Inc.,Cedar Falls,Iowa)(これは、溶融した重合体を取り扱うように設計されている)を使用して、この容器から重合体をポンプ輸送した。このポンプはまた、この容器に対して真空シールを維持し、そしてワイプドフィルムエバポレーターに物質を移動した。
【0089】
このワイプドフィルムエバポレーターであるLUWA Filmtruder(5.4平方フィート)(これは、LCI Corp.,Charlotte,NCから製造された)は、必要なときに、樹脂から揮発分を除去するのに使用した。このワイプドフィルムエバポレーターは、完全ジャケット(これは、蒸気で加熱される)を有し、そして十分な真空が可能であった。残渣は、真空ポンプを経由して、冷却器システムへと引き入れた。その生成物は、MAAG(登録商標)Pump(Maag Pump Systems Textron Inc.,Charlotte,NC)(これは、高粘度重合体溶融物を取り扱うように設計され、そのユニットに真空シールを与える)を通って、このエバポレーターの底部から出ていった。この重合体は、冷却し固化するために、冷却されたベルトフレーカーにポンプ輸送された。
【0090】
これらの供給タンクの内容物は、次の表で記述したように物質を含有させて、調製した。
【0091】
【表2】

供給タンク1、2および3内の組成物を指示した速度で給送し、そして5ガロン撹拌タンク反応器(STR)(これは、パルスフィーダーポンプで500psiに加圧し、そして熱電対を備え付けた)に加える直前に、給送ラインにて混ぜ合わせた。この反応器を、指示した温度および圧力で維持し、一旦、STRが液圧で満たされると、供給タンク1、2および3からの組成物は、STRを出ていく流速に基づいて、指示した滞留時間を有していた。
【0092】
このSTRからの反応混合物をフラッシュタンク(これは、10ガロンを容量を有し、そして150mmHgの圧力および345℃の温度で維持した)に給送した。このフラッシュタンクに連結された真空蒸留装置から回収された液体は、検出可能なイソブチレンを含有していなかった。このフラッシュタンクから回収された重合体組成物は、100重量%の樹脂固形分を含んでいた。得られた共重合体は、NMR分析により、21重量%のイソブチレン、27重量%のアクリル酸ヒドロキシプロピルおよび52重量%のアクリル酸ブチルの組成を有していた。分子量は、ポリスチレン標準を使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、決定した。
【0093】
(実施例5および6)
以下の実施例は、本発明の方法を使用するイソブチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸およびイソブチレン/アクリル酸t−ブチルの共重合体の調製を示す。この方法は、600cc反応器(これには、先の実施例で記述したようにして、装置を備え付けた)を使用して、実験室規模で実行した。これらの供給タンクの内容物は、次の表で記述したように物質を含有させて、調製した。
【0094】
【表3】

実施例6について、得られた共重合体は、NMR分析により、41モル%のイソブチレンおよび59モル%のアクリル酸t−ブチルを有していた。分子量は、ポリスチレン標準を使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、決定した。
【0095】
本発明は、その特定の実施態様の具体的な詳細に関連して、記述されている。このような詳細は、添付の請求の範囲に含まれる範囲を除いて、本発明の範囲の限定と見なすとは解釈されない。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のオレフィン性モノマーの残基を含む共重合体組成物を製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)少なくとも1個の入口および少なくとも1個の出口を有する少なくとも1個の加圧撹拌タンク反応器(STR)を提供する工程;
(b)該入口の少なくとも1個を経由して、STRに、1種またはそれ以上のモノマー組成物を給送する工程であって、ここで、少なくとも1種のモノマー組成物は、次の構造(I)を有する1種またはそれ以上のモノマーを含有する:
【化1】

ここで、Rは、直鎖または分枝C〜Cアルキルであり、そしてRは、メチル、直鎖、環状または分枝C〜C20アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールおよびアラルキルからなる群から選択され、それらのいずれも、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含むことができる;
(c)該入口の1個またはそれ以上を経由して、該STRに、1種またはそれ以上の開始剤組成物を給送する工程;
(d)該STR内に空気または蒸気の空間が実質的に存在しないように、該STR内の液体レベルを維持する工程;
(e)(b)における該モノマー組成物および(c)における該開始剤組成物を、該STR内にて、該モノマーの共重合体組成物への変換を引き起こすのに十分な滞留時間にわたって維持する工程;および
(f)該出口を経由して、該共重合体組成物を排出する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
(b)における少なくとも1種のモノマー組成物が、スチレン、置換スチレン、メチルスチレン、置換メチルスチレン、ビニルエーテルおよびビニルピリジンからなる群から選択される1種またはそれ以上のモノマーを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(b)における少なくとも1種のモノマー組成物が、アクリロニトリルおよび構造(III)で描写されるアクリルモノマーからなる群から選択される1種またはそれ以上のモノマーを含有する、請求項1に記載の方法:
【化2】

ここで、Yは、−NR、−O−R−O−C(=O)−NRおよび−ORからなる群から選択される;Rは、H、直鎖または分枝C〜C20アルキルおよび直鎖または分枝C〜C20アルキロールからなる群から選択される;Rは、H、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、直鎖または分枝C〜C20アルキル、アルキロール、アリール、アルカリールおよびアラルキル、直鎖または分枝C〜C20フルオロアルキル、フルオロアリールおよびフルオロアラルキル、シロキサン、ポリシロキサン、アルキルシロキサン、エトキシル化トリメチルシリルシロキサンおよびプロポキシル化トリメチルシリルシロキサンからなる群から選択される;Rは、二価直鎖または分枝C〜C20アルキル連結基である;そしてRおよび/またはRは、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含む、
方法。
【請求項4】
構造(I)の前記モノマーが、イソブチレン、ジイソブチレン、ジペンテン、イソプレノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
構造(I)の前記モノマーのR基が、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1個またはそれ以上の官能基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
Yが、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1種またはそれ以上の少なくとも1個の官能基を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
モノマーの共重合体組成物への変換が実質的に完了した後、前記得られた共重合体組成物が、1個またはそれ以上の官能基が該共重合体に取り込まれるように、さらに反応される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記共重合体に取り込まれた前記官能基が、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記開始剤組成物が、熱フリーラジカル開始剤を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記熱フリーラジカル開始剤が、過酸化物化合物、アゾ化合物、過硫酸塩化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記過酸化物化合物が、過酸化水素、過酸化メチルエチルケトン、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジ−t−アミル、過酸化ジクミル、過酸化ジアシル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、過酸化ジアルキル、ヒドロペルオキシドおよびペルオキシケタールからなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記アゾ化合物が、4−4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1−1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2−2’−アゾビスイソブチロニトリル、2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2−2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2−2’−アゾビス(プロピオニトリル)、2−2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−2’−アゾビス(バレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)二塩酸塩および2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリルからなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記モノマー組成物のいずれかが、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリルアミド、クロロトリフルオロエチレン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびn−ブトキシメチルアクリルアミドからなる群から選択されるモノマーの1種またはそれ以上を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が、フラッシュタンクに給送される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
構造(I)の未反応モノマーが、前記フラッシュタンクに真空を付与することにより、前記得られた共重合体組成物から実質的に回収される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記共重合体組成物が、前記フラッシュタンクから排出される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が溶媒と混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
構造(I)の前記回収した未反応モノマーが、(b)における前記モノマー組成物の一部を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
(e)における前記STR内の前記滞留時間が、5分間〜6時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
(e)における前記STR内の前記滞留時間が、構造(I)の前記モノマーの少なくとも75モル%を前記共重合体組成物に取り込むのに十分な時間である、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
混合が、(e)において前記STRに適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
混合が、(e)において適用されない、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
背圧制御弁が、前記出口に位置している、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記STR内の圧力が、(b)における前記モノマー組成物のいずれかの任意のモノマーの蒸気圧よりも高い圧力で維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記STR内の圧力が、300〜1,000psiである、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
(b)における前記モノマー組成物および(c)における前記開始剤組成物が、高圧ポンプを経由して、前記STRに給送される、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
(b)における前記モノマー組成物および(c)における前記開始剤組成物が、前記STRに給送される前に、混合される、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記入口が、前記STRの底部に注ぐ、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
(b)における前記モノマー組成物および(c)における前記開始剤組成物が、スタティックミキサーを使用して混合される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記反応器内の温度が、50℃〜300℃の温度に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が、第二STRに給送される、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記共重合体組成物が、前記第二STRから第三STRに給送され、そこから排出される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記共重合体組成物が、前記第二STRからフラッシュタンクに排出される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記共重合体組成物が、前記第三STRからフラッシュタンクに排出される、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が、ワイプフィルムエバポレーターに給送される、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記共重合体組成物が、ワイプフィルムエバポレーターからフレーカーに排出され、乾燥形態の該共重合体組成物を提供する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
(b)における前記モノマー組成物が、該モノマー組成物内のモノマーの全モル数を基準にして、50モル%より多い構造(I)のモノマーを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
構造(I)の前記モノマーの量が、55モル%を超えない、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
(b)における前記モノマー組成物が、一般構造(IV)の他のエチレン性不飽和モノマーから誘導された1個またはそれ以上の残基を含有する、請求項1に記載の方法:
【化3】

ここで、R11、R12およびR14は、別個に、以下からなる群から選択される:H、CF、1個〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル、アリール、2個〜10個の炭素原子を有する不飽和直鎖または分枝アルケニルまたはアルキニル、2個〜6個の炭素原子を有する不飽和直鎖または分枝置換アルケニルであって、該置換アルケニルは、ハロゲン、C〜Cシクロアルキル、ヘテロシクリルおよびフェニルで置換されている;R13は、以下からなる群から選択される:H、C〜Cアルキル、COOR15であって、ここで、R15は、H、アルカリ金属、C〜Cアルキル基、グリシジルおよびアリールからなる群から選択され、これらは、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含むことができる、
方法。
【請求項40】
前記他のエチレン性不飽和モノマーが、メタクリルモノマーおよびアリルモノマーからなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
連続工程で操作され、ここで、前記モノマーおよび開始剤が、前記共重合体が前記STRから引き出され構造(I)の任意の未反応モノマーが該共重合体から除去されるのと事実上同じ速度で、該STRに導入され、そして(b)における前記モノマー組成物の少なくとも1種の一部として使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
少なくとも1種のオレフィン性モノマーの残基を含む共重合体組成物を製造する方法であって、該方法は、以下の工程:
(a)1個またはそれ以上の入口および少なくとも1個の出口を有する少なくとも1個の加圧撹拌タンク反応器(STR)を提供する工程;
(b)該入口の少なくとも1個を経由して、STRに、1種またはそれ以上のモノマー組成物を給送する工程であって、ここで、該モノマー組成物は、以下の(i)および(ii)を含有する:
(i)次の構造(I)を有する1種またはそれ以上のモノマーを含有する供与体モノマー組成物:
【化4】

ここで、Rは、直鎖または分枝C〜Cアルキルであり、そしてRは、メチル、直鎖、環状または分枝C〜C20アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールおよびアラルキルからなる群から選択され、それらのいずれも、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含むことができる;および
(ii)1種またはそれ以上のエチレン性不飽和受容体モノマーを含有するモノマー組成物;
(c)該入口の1個またはそれ以上を経由して、該STRに、1種またはそれ以上の開始剤組成物を給送する工程;
(d)該STR内に空気または蒸気の空間が実質的に存在しないように、該STR内の液体レベルを維持する工程;
(e)(b)における該モノマー組成物および(c)における該開始剤組成物を、該STR内にて、該モノマーの共重合体組成物への変換を引き起こすのに十分な滞留時間にわたって維持する工程;および
(f)該出口を経由して、該共重合体組成物を排出する工程、
を包含する、方法。
【請求項43】
(b)における少なくとも1種のモノマー組成物が、スチレン、置換スチレン、メチルスチレン、置換メチルスチレン、ビニルエーテルおよびビニルピリジンからなる群から選択される1種またはそれ以上のモノマーを含有する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
(b)における少なくとも1種のモノマー組成物が、アクリロニトリルおよび構造(III)で描写されるアクリルモノマーからなる群から選択される1種またはそれ以上の受容体モノマーを含有する、請求項42に記載の方法:
【化5】

ここで、Yは、−NR、−O−R−O−C(=O)−NRおよび−ORからなる群から選択される;Rは、H、直鎖または分枝C〜C20アルキルおよび直鎖または分枝C〜C20アルキロールからなる群から選択される;Rは、H、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、直鎖または分枝C〜C20アルキル、アルキロール、アリール、アルカリールおよびアラルキル、直鎖または分枝C〜C20フルオロアルキル、フルオロアリールおよびフルオロアラルキル、シロキサン、ポリシロキサン、アルキルシロキサン、エトキシル化トリメチルシリルシロキサンおよびプロポキシル化トリメチルシリルシロキサンからなる群から選択される;Rは、二価直鎖または分枝C〜C20アルキル連結基である;そしてRおよび/またはRは、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含む、
方法。
【請求項45】
構造(I)の前記モノマーが、イソブチレン、ジイソブチレン、ジペンテン、イソプレノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
構造(I)の前記モノマーのR基が、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1個またはそれ以上の官能基を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
Yが、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1種またはそれ以上の少なくとも1個の官能基を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記得られた共重合体組成物が、1個またはそれ以上の官能基が該共重合体に取り込まれるように、反応される、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記共重合体に取り込まれた前記官能基が、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記開始剤組成物が、熱フリーラジカル開始剤を含有する、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
前記熱フリーラジカル開始剤が、過酸化物化合物、アゾ化合物、過硫酸塩化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記過酸化物化合物が、過酸化水素、過酸化メチルエチルケトン、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジ−t−アミル、過酸化ジクミル、過酸化ジアシル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、過酸化ジアルキル、ヒドロペルオキシドおよびペルオキシケタールからなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記アゾ化合物が、4−4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1−1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2−2’−アゾビスイソブチロニトリル、2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2−2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2−2’−アゾビス(プロピオニトリル)、2−2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−2’−アゾビス(バレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)二塩酸塩および2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリルからなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記モノマー組成物のいずれかが、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリルアミド、クロロトリフルオロエチレン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびn−ブトキシメチルアクリルアミドからなる群から選択されるモノマーの1種またはそれ以上を含有する、請求項42に記載の方法。
【請求項55】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が、フラッシュタンクに給送される、請求項42に記載の方法。
【請求項56】
構造(I)の未反応モノマーが、前記フラッシュタンクに真空を付与することにより、前記得られた共重合体組成物から実質的に回収される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記共重合体組成物が、前記フラッシュタンクから排出される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が溶媒と混合される、請求項42に記載の方法。
【請求項59】
構造(I)の前記回収した未反応モノマーが、(b)における前記モノマー組成物の一部を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
(e)における前記STR内の前記滞留時間が、5分間〜6時間である、請求項42に記載の方法。
【請求項61】
(e)における前記STR内の前記滞留時間が、構造(I)の前記モノマーの少なくとも75モル%を前記共重合体組成物に取り込むのに十分な時間である、請求項42に記載の方法。
【請求項62】
混合が、(e)において前記STRに適用される、請求項42に記載の方法。
【請求項63】
混合が、(e)において適用されない、請求項42に記載の方法。
【請求項64】
背圧制御弁が、前記出口に位置している、請求項42に記載の方法。
【請求項65】
前記STR内の圧力が、(b)における前記モノマー組成物のいずれかの任意のモノマーの蒸気圧よりも高い圧力で維持される、請求項42に記載の方法。
【請求項66】
前記STR内の圧力が、300〜1,000psiである、請求項42に記載の方法。
【請求項67】
(b)における前記モノマー組成物および(c)における前記開始剤組成物が、高圧ポンプを経由して、前記STRに給送される、請求項42に記載の方法。
【請求項68】
(b)における前記モノマー組成物および(c)における前記開始剤組成物が、前記STRに給送される前に、混合される、請求項42に記載の方法。
【請求項69】
(b)における前記モノマー組成物および(c)における前記開始剤組成物が、スタティックミキサーを使用して混合される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記反応器内の温度が、50℃〜300℃の温度に維持される、請求項42に記載の方法。
【請求項71】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が、第二STRに給送される、請求項42に記載の方法。
【請求項72】
前記共重合体組成物が、前記第二STRから第三STRに給送され、そこから排出される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記共重合体組成物が、前記第二STRからフラッシュタンクに排出される、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記共重合体組成物が、前記第三STRからフラッシュタンクに排出される、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が、ワイプフィルムエバポレーターに給送される、請求項42に記載の方法。
【請求項76】
前記共重合体組成物が、ワイプフィルムエバポレーターからフレーカーに排出され、乾燥形態の該共重合体組成物を提供する、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
(b)における前記モノマー組成物が、モル過剰の構造(I)の前記供与体モノマーを含有する、請求項42に記載の方法。
【請求項78】
構造(I)の前記モノマーが、10モル%までのモル過剰で、存在している、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
構造(I)の前記モノマーが、5モル%以下のモル過剰で、存在している、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
構造(I)の前記モノマーの量が、(b)における前記モノマー組成物の55モル%を超えない、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
連続工程で操作され、ここで、前記モノマーおよび開始剤が、前記共重合体が前記STRから引き出され構造(I)の任意の未反応モノマーが該共重合体から除去されるのと事実上同じ速度で、該STRに導入され、そして(b)における前記モノマー組成物の少なくとも1種の一部として使用される、請求項42に記載の方法。
【請求項82】
少なくとも1種のオレフィン性モノマーの残基を含む共重合体組成物を製造する連続方法であって、該方法は、以下の工程を包含する:
(a)少なくとも1個の入口および少なくとも1個の出口を有する少なくとも1個の加圧撹拌タンク反応器(STR)を提供する工程;
(b)該入口の少なくとも1個を経由して、STRに、1種またはそれ以上のモノマー組成物を給送する工程であって、ここで、少なくとも1種のモノマー組成物は、次の構造(I)を有する1種またはそれ以上のモノマーを含有する:
【化6】

ここで、Rは、直鎖または分枝C〜Cアルキルであり、そしてRは、メチル、直鎖、環状または分枝C〜C20アルキル、アルケニル、アリール、アルカリールおよびアラルキルからなる群から選択され、それらのいずれも、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含むことができる;
(c)該入口の1個またはそれ以上を経由して、該STRに、1種またはそれ以上の開始剤組成物を給送する工程;
(d)該反応器内に空気または蒸気の空間が実質的に存在しないように、該STR内の液体レベルを維持する工程;
(e)(b)における該モノマー組成物および(c)における該開始剤組成物を、該STR内にて、該モノマーの共重合体組成物への変換を引き起こすのに十分な滞留時間にわたって維持する工程;および
(f)該出口を経由して、該共重合体組成物を排出する工程;ここで、該モノマーおよび開始剤は、該共重合体が前記STRから引き出され、そして構造(I)の任意の未反応モノマーが該共重合体から除去されるのと事実上同じ速度で、該STRに導入され、そして(b)における該モノマー組成物の少なくとも1種の一部として使用される、
方法。
【請求項83】
(b)における少なくとも1種のモノマー組成物が、スチレン、置換スチレン、メチルスチレン、置換メチルスチレン、ビニルエーテルおよびビニルピリジンからなる群から選択される1種またはそれ以上のモノマーを含有する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
(b)における少なくとも1種のモノマー組成物が、アクリロニトリルおよび構造(III)で描写されるアクリルモノマーからなる群から選択される1種またはそれ以上のモノマーを含有する、請求項82に記載の方法:
【化7】

ここで、Yは、−NR、−O−R−O−C(=O)−NRおよび−ORからなる群から選択される;Rは、H、直鎖または分枝C〜C20アルキルおよび直鎖または分枝C〜C20アルキロールからなる群から選択される;Rは、H、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、直鎖または分枝C〜C20アルキル、アルキロール、アリール、アルカリールおよびアラルキル、直鎖または分枝C〜C20フルオロアルキル、フルオロアリールおよびフルオロアラルキル、シロキサン、ポリシロキサン、アルキルシロキサン、エトキシル化トリメチルシリルシロキサンおよびプロポキシル化トリメチルシリルシロキサンからなる群から選択される;Rは、二価直鎖または分枝C〜C20アルキル連結基である;そしてRおよび/またはRは、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含む、
方法。
【請求項85】
構造(I)の前記モノマーが、イソブチレン、ジイソブチレン、ジペンテン、イソプレノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項82に記載の方法。
【請求項86】
構造(I)の前記モノマーのR基が、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1個またはそれ以上の官能基を含む、請求項82に記載の方法。
【請求項87】
Yが、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1種またはそれ以上の少なくとも1個の官能基を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記得られた共重合体組成物が、1個またはそれ以上の官能基が該共重合体に取り込まれるように、反応される、請求項82に記載の方法。
【請求項89】
前記共重合体に取り込まれた前記官能基が、エポキシ、カルボン酸、ヒドロキシ、アミド、オキサゾリン、アセトアセテート、イソシアネート、カーバメート、アミン、アミン塩、四級化アミン、チオール、メチロール、メチロールエーテルおよびスルホニウム塩からなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記開始剤組成物が、熱フリーラジカル開始剤を含有する、請求項82に記載の方法。
【請求項91】
前記熱フリーラジカル開始剤が、過酸化物化合物、アゾ化合物、過硫酸塩化合物、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記過酸化物化合物が、過酸化水素、過酸化メチルエチルケトン、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジ−t−アミル、過酸化ジクミル、過酸化ジアシル、過酸化デカノイル、過酸化ラウロイル、ペルオキシジカーボネート、ペルオキシエステル、過酸化ジアルキル、ヒドロペルオキシドおよびペルオキシケタールからなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記アゾ化合物が、4−4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、1−1’−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、2−2’−アゾビスイソブチロニトリル、2−2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2−2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2−2’−アゾビス(プロピオニトリル)、2−2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−2’−アゾビス(バレロニトリル)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチロアミジン)二塩酸塩および2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリルからなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記モノマー組成物のいずれかが、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリルアミド、クロロトリフルオロエチレン、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびn−ブトキシメチルアクリルアミドからなる群から選択されるモノマーの1種またはそれ以上を含有する、請求項82に記載の方法。
【請求項95】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が、フラッシュタンクに給送される、請求項82に記載の方法。
【請求項96】
構造(I)の未反応モノマーが、前記フラッシュタンクに真空を付与することにより、前記得られた共重合体組成物から実質的に回収される、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記共重合体組成物が、前記フラッシュタンクから排出される、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が溶媒と混合される、請求項82に記載の方法。
【請求項99】
構造(I)の前記回収した未反応モノマーが、(b)における前記モノマー組成物の一部を含む、請求項96に記載の方法。
【請求項100】
(e)における前記STR内の前記滞留時間が、5分間〜6時間である、請求項82に記載の方法。
【請求項101】
(e)における前記STR内の前記滞留時間が、構造(I)の前記モノマーの少なくとも75モル%を前記共重合体組成物に取り込むのに十分な時間である、請求項82に記載の方法。
【請求項102】
混合が、(e)において前記STRに適用される、請求項82に記載の方法。
【請求項103】
混合が、(e)において適用されない、請求項82に記載の方法。
【請求項104】
背圧制御弁が、前記出口に位置している、請求項82に記載の方法。
【請求項105】
前記STR内の圧力が、(b)における前記モノマー組成物のいずれかの任意のモノマーの蒸気圧よりも高い圧力で維持される、請求項82に記載の方法。
【請求項106】
前記STR内の圧力が、300〜1,000psiである、請求項82に記載の方法。
【請求項107】
(b)における前記モノマー組成物および(c)における前記開始剤組成物が、高圧ポンプを経由して、前記STRに給送される、請求項82に記載の方法。
【請求項108】
(b)における前記モノマー組成物および(c)における前記開始剤組成物が、前記STRに給送される前に、混合される、請求項82に記載の方法。
【請求項109】
前記入口が、前記STRの底部に注ぐ、請求項82に記載の方法。
【請求項110】
(b)における前記モノマー組成物および(c)における前記開始剤組成物が、スタティックミキサーを使用して混合される、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記反応器内の温度が、50℃〜300℃の温度に維持される、請求項82に記載の方法。
【請求項112】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が、第二STRに給送される、請求項82に記載の方法。
【請求項113】
前記共重合体組成物が、前記第二STRから第三STRに給送され、そこから排出される、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記共重合体組成物が、前記第二STRからフラッシュタンクに排出される、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
前記共重合体組成物が、前記第三STRからフラッシュタンクに排出される、請求項113に記載の方法。
【請求項116】
(f)において前記共重合体組成物を排出した後、該共重合体組成物が、ワイプフィルムエバポレーターに給送される、請求項82に記載の方法。
【請求項117】
前記共重合体組成物が、前記ワイプフィルムエバポレーターからフレーカーに排出され、乾燥形態の該共重合体組成物を提供する、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
(b)における前記モノマー組成物が、該モノマー組成物内のモノマーの全モル数を基準にして、50モル%より多い構造(I)のモノマーを含有する、請求項82に記載の方法。
【請求項119】
構造(I)の前記モノマーの量が、55モル%を超えない、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
(b)における前記モノマー組成物が、一般構造(IV)の他のエチレン性不飽和モノマーから誘導された1個またはそれ以上の残基を含有する、請求項82に記載の方法:
【化8】

ここで、R11、R12およびR14は、別個に、以下からなる群から選択される:H、CF、1個〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル、アリール、2個〜10個の炭素原子を有する不飽和直鎖または分枝アルケニルまたはアルキニル、2個〜6個の炭素原子を有する不飽和直鎖または分枝アルケニルであって、該アルケニルは、ハロゲン、C〜Cシクロアルキル、ヘテロシクリルおよびフェニルで置換されている;R13は、以下からなる群から選択される:H、C〜Cアルキル、COOR15であって、ここで、R15は、H、アルカリ金属、C〜Cアルキル基、グリシジルおよびアリールからなる群から選択され、これらは、必要に応じて、1個またはそれ以上の官能基を含むことができる、
方法。
【請求項121】
前記他のエチレン性不飽和モノマーが、メタクリルモノマーおよびアリルモノマーからなる群から選択される1種またはそれ以上である、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
請求項1に記載の方法により調製される、共重合体。
【請求項123】
請求項42に記載の方法により調製される、共重合体。
【請求項124】
請求項82に記載の方法により調製される、共重合体。

【公表番号】特表2007−512418(P2007−512418A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541255(P2006−541255)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/037525
【国際公開番号】WO2005/054305
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ, インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】