説明

オレフィン異性化およびメタセシス触媒

プロピレンを製造するための方法であって、エチレンならびに、1−ブテンと2−ブテンを含む炭化水素ストリームを、二元機能異性化−メタセシス触媒と接触させ、1−ブテンを2−ブテンに異性化させると同時にプロピレンを含むメタセシス生成物を形成させる工程を含み、二元機能異性化−メタセシス触媒は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上でメタセシス活性を提供するためのタングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ニッケル、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、バナジウム、ルテニウムおよびレニウムから選択される少なくとも1つの元素を含み得る触媒化合物を含み、担体の曝露された表面領域は、1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性、および触媒化合物毒の吸着のための反応部位の両方を提供する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示した実施形態は一般に、クラッキングプロセス、例えば水蒸気または流動接触分解からのCからC炭化水素カットの、主にメタセシスを介するCオレフィン類のプロピレンへの転化のための処理に関する。本出願は、米国特許法§119(e)に従い、2009年9月4日に出願された米国特許仮出願第61/094,296号に対し優先権を主張する。この出願は全体が本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
典型的なオレフィンプラントでは、例えば米国特許第7,223,895号で説明されているように、メタンおよび水素を除去するためのフロントエンド脱メタン塔、続いてエタン、エチレンおよびCアセチレンを除去するための脱エタン塔が存在する。この脱エタン塔の塔底物は、炭素数がCからCの範囲の化合物混合物から構成される。この混合物は、典型的には分別により異なる炭素数に分離させることができる。
【0003】
カット、主にプロピレンは生成物として除去され、最終的には、ポリプロピレンの製造またはプロピレンオキシド、クメンもしくはアクリロニトリルなどの化学合成のために使用される。メチルアセチレンおよびプロパジエン(MAPD)不純物は、分別または水素化のいずれかにより除去されなければならない。水素化が好ましく、というのも、これらの高度不飽和C化合物のいくらかが結局プロピレンとなり、これにより収率が増加するからである。
【0004】
アセチレン類、ブタジエン、イソおよび直鎖ブテン類、ならびにイソおよび直鎖ブタンから構成されるCカットは多くの方法で処理することができる。典型的な水蒸気分解Cカットは下記成分を重量%で含む。
【表1】

精油所またはFCCに基づくCカットにおける成分は、パラフィン類の割合がかなり大きくなることを除き、同様である。
【0005】
典型的には、ブタジエンおよびCアセチレン類が最初に除去される。これは、水素化または抽出のいずれかにより達成できる。ブタジエンおよびCアセチレン除去により得られた生成物はラフィネートIと呼ばれる。抽出が使用される場合、残った1−ブテンおよび2−ブテンは本質的には、最初の原料と同じ割合のままである。水素化が使用される場合、ブタジエン水素化により得られた最初の生成物は1−ブテンである。その後、同じ反応系内でヒドロ異性化が起こり、1−ブテンが2−ブテンに変わる。この反応の程度は、水素化系内の触媒および反応条件に依存する。しかしながら、「過水素化」およびブテン類からのブタン類の生成を避けるために、ヒドロ異性化の程度を制限するのは一般的な方法である。これは下流操作のためのブテン原料の損失を表す。混合物中に残っているブテン類は直鎖オレフィン類(1−ブテン、2−ブテン)およびイソオレフィン類(イソブチレン)から構成される。混合物のバランスは元の供給物由来のイソおよび直鎖ブタン類の両方+水素化工程で生成されたものおよび少量の転化されていない、または回収されていないブタジエンから構成される。
【0006】
ラフィネートIストリームは多くの方法でさらに処理することができる。ラフィネートIIストリームは、定義によりイソブチレン除去後のストリームである。イソブチレンは多くの方法で除去することができる。これは分別により除去することができる。分別では、イソブタンがイソブチレンと共に除去されるであろう。さらに、1−ブテンのいくらかが同様に損失するであろう。得られたラフィネートIIは主に直鎖オレフィン類およびパラフィン類、ならびに少量のイソオレフィン類およびイソパラフィン類を含む。イソブチレンはまた、反応により除去できる。反応は、メタノールとのMTBEを形成する反応、水との3級ブチルアルコールを形成する反応またはそれ自体とのCガソリン成分を形成する反応を含む。全ての反応の場合において、パラフィン類は除去されず、そのため混合物は直鎖およびイソパラフィン類の両方を含むであろう。ラフィネートIIのパラフィン量および組成は下流の処理の選択肢に影響する。
【0007】
ブテン類は多くの用途を有する。1つのそのような用途は、メタセシスを介するプロピレンの製造のためである。別の用途は、メタセシスを介するエチレンおよびヘキセンの製造のためである。従来のメタセシスは、直鎖ブテン(1−ブテンおよび2−ブテンの両方)とエチレンとの反応を(主に2−ブテンのエチレンとのプロピレンを形成する反応)を含む。これらの反応は、担持された、または担持されていないVIAまたはVIIA族金属酸化物触媒の存在下で起こる。反応供給物のパラフィン成分は本質的には不活性であり、反応せず、典型的にはメタセシス反応器に続く分離系でパージストリームによりプロセスから除去される。メタセシスの典型的な触媒はシリカに担持された酸化タングステンまたはアルミナに担持された酸化レニウムである。オレフィン類のメタセシスに適した触媒の例は、例えば、米国特許第6,683,019号および同第6,420,619号において記載されている。イソブチレン(イソブテン)はメタセシス反応工程前に原料から除去してもよい。イソブチレンのエチレンとの反応は非生成(non-productive)反応であり、それ自体および/または他のC類との反応は過剰のエチレンの存在下では制限される。非生成反応は本質的には触媒部位を占有するが、生成物を生成しない。メタセシスユニットへの供給物中に残っていれば、この非反応種の濃度は蓄積し、能力限界を生じる。1−ブテンのエチレンとの反応もまた非生成反応である。しかしながら、1−ブテンを2−ブテンにシフトさせ、連続反応を可能にするためには、メタセシス反応器内で二重結合異性化触媒を使用することは普通である。典型的な二重結合異性化触媒としては、担持された、または担持されていない塩基性金属酸化物(IIA族)が挙げられる。酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムが、物理的にメタセシス触媒と混合されてもよい二重結合異性化触媒の例である。イソブチレンから直鎖ブテンへの骨格異性化のための、等価な共触媒は存在しない。メタセシス触媒と、共に混合された二重結合異性化触媒の両方を使用する従来のメタセシス系の場合、二重結合異性化触媒の急速な汚損を回避するために、ブタジエンを500ppm未満のレベルまで除去しなければならない。メタセシス触媒それ自体は10,000ppmまでのブタジエンレベルを許容することができる。
【0008】
場合によっては、メタセシス前にイソブチレン除去工程が使用される。選択肢としては、イソブチレンをメタノールと反応させてメチル3級ブチルエーテル(MTBE)を生成させること、またはイソブチレンをブテン類から分別により分離することが挙げられる。米国特許第6,358,482号は、メタセシス前のC混合物からのイソブチレンの除去を開示する。このスキームは米国特許第6,075,173号および同第5,898,091号においてさらに反映されている。米国特許第6,580,009号は、限られたエチレン留分からプロピレンおよびヘキセンを製造するためのプロセスを開示している。0.05から0.60のエチレンのブテン類(n−ブテン類として表される)に対するモル比では、発明者等はラフィネートIIストリームをC原料として使用する。
【0009】
ラフィネートIIを形成するために上記で記載したように、典型的なメタセシスプロセスはラフィネートI原料を使用し、分別により大部分のイソブチレンを除去する。この工程では、イソブテンは、分別条件によって、いくらかの量の直鎖ブテン類と共に除去される。ラフィネートIIがその後、エチレンと混合され、ガードベッド(guard bed)に通され毒が除去され、気化され、予熱され、メタセシス反応器に送られる。操作条件は典型的には300℃、20から30barの圧力である。熱回収後の反応器排出物が分別系で分離される。最初に、エチレンが塔頂の第1の塔に回収され、反応器系に再循環される。塔底物はその後、第2の塔に送られ、そこで、プロピレンが塔頂で回収される。転化されないC成分のほとんどを含むものが側面から引き出され、反応器に再循環される。Cおよびより重い生成物+Cオレフィン類およびパラフィン類を含む塔底物が送り出されてパージされる。パージ速度は典型的には、十分なCパラフィン類を含み、反応器再循環ストリーム内での蓄積を回避するように固定される。場合によっては、第3の塔が塔底物ストリームに対して使用され、塔頂のC成分と塔底ストリームとしてのCおよびより重い成分が分離される。
【0010】
米国特許第6,271,430号は、プロピレン製造のための2段階プロセスを開示する。第1の工程は、自動メタセシス反応においてラフィネートIIストリーム中の1−ブテンおよび2−ブテンを反応させ、プロピレンおよび2−ペンテンを形成させることから構成される。その後、生成物は第2の工程で分離される。第3の工程は特異的に、2−ペンテンをエチレンと反応させプロピレンと1−ブテンを形成させる。このプロセスはイソブチレンを含まないラフィネートIIストリームを使用する。再循環され、エチレンと反応させられるペンテン類は直鎖ペンテン(2−ペンテン)である。
【0011】
ストリームからのイソブチレン除去もまた、1−ブテンを2−ブテンに公知の異性化触媒を用いて異性化し、これにより揮発度差を増加させることにより、イソブチレンを除去し、n−ブテン類を高効率で回収するための、組み合わせ触媒蒸留ヒドロ異性化脱イソブチレン塔系を使用することにより達成することができる。この技術は、イソブチレンのための従来の分別を触媒蒸留塔内でのヒドロ異性化と組み合わせている。アルガンブライト(Arganbright)への米国特許第5,087,780号では、2−ブテンは分別が起きた時に、1−ブテンにヒドロ異性化される。これにより、混合物が分離されると、平衡量よりも大きな量の1−ブテンが形成可能となる。同様に、1−ブテンは触媒蒸留塔で2−ブテンにヒドロ異性化され得る。イソブチレン、1−ブテンおよび2−ブテン(+パラフィン類)を含むCストリームの分離では、沸点が非常に近いのでイソブチレンを1−ブテンから分離することは困難である。イソブチレンの分別と1−ブテンから2−ブテンへの同時ヒドロ異性化を使用することにより、イソブチレンは高効率で直鎖ブテン類から分離することができる。
【0012】
上記で説明したメタセシス反応は当モルであり、すなわち、1モルのエチレンが1モルの2−ブテンと反応し2モルのプロピレンを生成する。しかしながら、商業的には、多くの場合、入手可能なブテン類の量に対し、入手可能なエチレンの量は限られている。さらに、エチレンは高価な原料であり、使用するエチレン量を制限することが望ましい。エチレンのブテン類に対する比が減少するにつれ、ブテン類がそれら自体と反応する傾向が大きくなり、これによりプロピレンへの全体的な選択性が低減する。
【0013】
メタセシス触媒および二重結合異性化触媒は毒に対しかなり感受性が高い。毒としては、水、CO、酸素化物(例えばMTBE)、硫黄化合物、窒素化合物、および重金属が挙げられる。これらの毒を確実に除去するために、メタセシス反応系の上流にガードベッドを使用することが普通である。これらのガードベッドがメタセシス反応系の直前にあるか、さらに上流にあるかは、毒が除去され、新たな毒がその後導入されない限り問題ではない。
【0014】
メタセシス反応はオレフィン二重結合の位置および個々の分子の立体構造に非常に敏感である。反応中、オレフィン類の各対上の二重結合は表面に吸着し、二重結合のいずれかの側の炭素基と二重結合位置を交換する。メタセシス反応は生成、半生成または非生成に分類することができる。上記のように、非生成反応では、本質的には反応が起こらない。二重結合がメタセシス反応によりシフトしても、新規分子は元の吸着分子と同じであり、このため生成反応は起こらない。これは、対称オレフィン類の間の反応またはエチレンとαオレフィン類の間の反応では典型的である。完全生成反応が起こる場合、新規生成物は、分子がどの配向で部位を占有しているかに関係なく生成される。エチレンと2−ブテンとの2つのプロピレン分子を形成する反応は完全生成反応である。半生成反応は立体的に阻害される。オレフィン類の対が1つの配向で(典型的には結合されたR基に対しシス位)吸着された場合、二重結合がシフトすると、新規生成物が形成される。また、それらが異なる立体配座(トランス位)で吸着された場合、結合がシフトすると、同一のオレフィン類が形成され、よって、新規生成物が形成されない。様々なメタセシス反応が異なる速度で進行する(完全生成反応は通常、半生成反応よりもずっと速い)。表2はエチレンと様々なブテン類との間の反応およびブテン類自体間の反応をまとめたものである。
【0015】
表2で列挙した反応は、エチレンとの基本反応(反応1、4および5)ならびに様々なCオレフィン類間の反応を表す。総Cオレフィン類(イソブチレンを含む)からプロピレンへの選択性と反応に関連する直鎖Cオレフィン類からプロプレンへの選択性との間で区別することがとりわけ重要である。イソブチレンの2−ブテンとの反応(反応6)はプロピレンおよび分枝C分子を生成する。この理由のために、プロピレンは総Cから50モル%での選択性で生成される(反応2と同様)が、直鎖C(2−ブテン)からは100モル%の選択性で生成される。定義のために、従来のメタセシスはCオレフィンストリームのエチレンとの反応と規定する。しかしながら、Cストリームはまた原料としてエチレンが存在しなくても反応することができる。この反応は自動または自己メタセシスと呼ばれる。この場合、反応2、3、6および7は唯一の可能な反応であり、原料組成に依存する速度で起こる。
【表2】

【0016】
従来のメタセシスでは、焦点はプロピレンを生成する反応1を最大とすることである。これはプロピレンへの選択性を最大とするであろう。そのようなものとして、ブテン類のそれ自体との反応(反応2、3、6および7)の程度を減少させるために過剰エチレンが使用される。理論比は1/1モルまたは0.5重量比のエチレン対ブテン類であるが、従来のメタセシスでは、反応2、3、6および7を最小に抑えるために、著しく大きな比、典型的には1.3以上のモル比を使用するのが普通である。過剰エチレンの条件下では、イソブチレンおよび1−ブテンのどちらもエチレンと反応することはない(反応4および5を参照されたい)という事実のために、2つのプロセス順序が使用される。第1に、イソブチレンがメタセシスの前に除去される。イソブチレンは除去されないと、高収率を達成するためにn−ブテンが再循環されるため蓄積してしまう。第2に、メタセシス触媒と混合された酸化マグネシウムなどの二重結合異性化触媒を含ませることにより、1−ブテンが2−ブテンに異性化される。この触媒は骨格異性化(イソブチレンから直鎖ブチレン類へ)を引き起こさず、直鎖ブテン類に対し二重結合を1位から2位にシフトさせるにすぎないことに注意されたい。このように、過剰エチレンを用いて操作し、反応前にメタセシス供給物からイソブチレンを除去し、二重結合異性化触媒を使用することにより、反応1を最大化させる。しかしながら、イソブチレンを除去することにより、プロピレンまたは他の生成物の生成の可能性が失われることに注意されたい。
【0017】
新たなエチレン(または使用可能なエチレンのための過剰なブチレン類)が制限され、またはない場合、現在のところプロピレン製造のために有効な2つの選択肢が存在する。これらの場合、第1の選択肢は、最初に、イソブチレンを除去し、その後、直鎖ブテン類を、エチレンを使用可能とするものを用いて処理する。全てのn−ブテン類のみの混合物が使用可能なエチレンとのメタセシスに供せられる。最終的に、使用可能な新たなエチレンが存在しない場合、C類はそれ自体と反応する(自動メタセシス)。低エチレン条件下では、反応2、3、6および7が起こり、全てにおいてより低いプロピレン選択性に至ってしまう(反応1で100%に対し50%以下)。選択性が低くなると、プロピレン製造が低くなる。イソブチレン除去(低レベルまでであるが、必ずしも0である必要はない)の結果、反応6および7は最小に抑えられることに注意されたい。また、エチレンおよびブテン類のモル流は、ブテン類の流れを制限することにより適合させることができ、その場合、直鎖ブテン類の反応1を介するプロピレンへの選択性が高くなる。エチレンを適合させるためにn−ブテン類の流れを制限することにより、ブテン類流の減少によりプロピレン製造が制限される。
【0018】
従来のメタセシスの場合、低エチレンを用いると反応2および3を介して、ペンテン類およびいくらかのヘキセン類がある程度まで形成される。これらの成分の体積は、エチレン/n−ブテン類の比に依存し、比が低いほど、より多くのCおよびC成分が生成される。イソブチレンがいずれかのメタセシスの前に除去される従来の先行技術の場合、これらのCおよびCオレフィン類は、骨格異性化が起こらないので直鎖オレフィン類である。これらのオレフィン類は、例えば、エチレンおよび2−ペンテンとの反応が起こりプロピレンと1−ブテンが得られるメタセシス工程に戻して再循環させることができる。1−ブテンは回収され再循環される。しかしながら、制限されたエチレンを用いると、反応1はエチレン利用率の限界までしか起こらないことに注意されたい。最終的には、これらの非選択性副産物、ペンテン類およびヘキセン類は系からパージさせなければならない。
【0019】
米国特許第6,777,582号は、プロピレンおよびヘキセンを製造するためのオレフィン類の自動メタセシスのためのプロセスを開示する。その中で、メタセシス触媒存在下の混合直鎖ブテン類供給物の自動メタセシスは、メタセシス反応器への供給混合物中にエチレンがなくても機能する。2−ブテン供給物のいくらかの部分は1−ブテンに異性化される可能性があり、形成された1−ブテンと供給反応物中の1−ブテンは迅速に2−ブテンと反応し、プロピレンおよび2−ペンテンを形成する。反応器への供給物はまた、さらなるプロピレンおよびヘキセンを同時に形成させるため、反応器中で形成された2−ペンテンと未反応ブテン類の再循環を含む。反応で形成された3−ヘキセンは1−ヘキサンに異性化され得る。
【0020】
米国特許第6,727,396号では、ブテン−1のメタセシス、およびその中で生成されたヘキセン−3のヘキセン−1への異性によりブテン−1からエチレンおよびヘキセン−1が生成される。最初の開始材料は混合ブテンストリームであり、その場合、ブテン−1がブテン−2に異性化され、イソブチレンがそれらから分離され、続いて、ブテン−2−がブテン−1に異性化され、ブテン−1がメタセシスへの供給物とされる。
【0021】
米国特許第7,214,841号では、炭化水素クラッキングプロセスから得られたCカットは最初に、イソブチレン除去前に、エチレン添加なしで自動メタセシスに供せられ、プロピレンおよびペンテン類が生成する反応が促進される。生成したエチレンおよびプロピレンがその後、除去され、サブCおよびより重い成分のストリームが残される。サブCおよびより重い成分がその後除去され、1−ブテン、2−ブテン、イソブチレンならびにイソ−および直鎖ブタン類の混合物が残される。好ましくは、触媒蒸留ヒドロ異性化脱イソブチレン塔により、イソブチレンが次に除去される。イソブチレンを含まないCストリームをその後、自動メタセシス生成物から除去された生成物エチレンと、必要とされる新たな外部エチレンと共に混合させ、さらなるプロピレンを生成する従来のメタセシスに供する。
【0022】
オレフィンストリームの別の使用は、オレフィンクラッキングプロセスへの原料としてであり、ここで、オレフィン類はゼオライト触媒上でそれら自体と反応し、エチレン、プロピレンおよび芳香族(例えばベンゼン)を含む混合物を生成する。メタセシスプロセスと同様に、パラフィン類はこのクラッキングプロセスで不活性であり、プロセスからパージストリームを介して除去されなければならない。米国特許第6,307,117号および米国特許出願公開第2005/0080307号はどちらも、そのようなプロセスを記載している。典型的にはC〜Cオレフィン類ならびにパラフィン類の混合物は、気化され、結晶ゼオライト触媒で充填され、450から600℃の間の温度および10から70psiaの圧力で動作する反応器に送られる。反応器排出物は最初に圧縮工程に送られる。クラッキング反応器系は比較的低い圧力で動作し、クラッキング反応器内での触媒の汚損が回避される。その後の分離系での冷蔵によるエネルギーコストを減少させるために、圧力は典型的には12から25barg程度の圧力まで増加される。これによりその後の分別塔で、塔頂凝縮工程での冷蔵の代わりに、冷却水を使用することが可能になる。圧縮排出物はその後、分離系に送られ、そこで、エチレンおよびプロピレンが芳香族ストリームと共に回収される。エチレンおよびプロピレンは第1の塔内の塔頂で回収される。メタセシスとは異なり、これらの生成物は十分な量のエタンおよびプロパンを含み、このストリームのさらなる精製が必要となる。これは、さらなる分別により、またはオレフィンプラントなどの隣接設備の回収系を使用することにより達成することができる。塔底物はC、CおよびC6+パラフィン類および芳香族類を含む。これは、第2の塔に送られる。塔頂はC/Cストリームであり、より高級な芳香族C6+ストリームが塔底生成物である。転化されていないCおよびC生成物は典型的には再循環される。クラッキングプロセスはイソおよび直鎖オレフィン類を等価な効率で取り扱うことができる。プロピレン製造を最大にするために、例えば、供給物からイソブチレンを除去する必要はない。
【0023】
上記プロセスにおけるオレフィン類の異性化およびメタセシスは現在2つの触媒を使用する。例えば、WO/SiO触媒はメタセシス反応を実施することができ、MgO触媒はオレフィン異性化反応を実施することができる。MgO触媒はまた、反応ガードベッドとしても機能し、毒がWO/SiO(メタセシス)触媒上に吸着するのを阻止し、そのため、そのサイクル長を延長させる。
【0024】
2触媒系は典型的には、2つの触媒の物理的混合物から構成される。1つは錠剤化MgOであり、もう一方は顆粒形態のシリカ担持WO/である。MgO触媒は、反応性ガードベッドとして機能すると共に、2−ブテンのエチレンとの最終的には2つのプロピレン原子を形成する反応のために1−ブテンの2−ブテンへの異性化を提供するために存在する。これらの触媒は、上部のMgOベッドを有する(MgO:WO/SiO)ベッドまたは全体の(MgO:WO/SiO)混合ベッドとして装填される(load)と、いくつかの問題を提示する。例えば、MgOは著しい焼結および触媒再生を超える表面積損失を受け、表面積の損失は異性化のためおよび毒の吸着材としてのMgO活性の損失となる。別の例として、混合共触媒系は不均一混合、ベッド非均質性、流路形成(フローチャネリング:flow channeling)、およびベッド内の不均一な温度分布を受ける可能性があり、これらはまたさらに触媒性能に影響する。さらに、動力学に基づく物理混合物の反応効率は、機能がごく近接している単一触媒よりも低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許第7,223,895号
【特許文献2】米国特許第6,683,019号
【特許文献3】米国特許第6,420,619号
【特許文献4】米国特許第6,358,482号
【特許文献5】米国特許第6,075,173号
【特許文献6】米国特許第5,898,091号
【特許文献7】米国特許第6,580,009号
【特許文献8】米国特許第6,271,430号
【特許文献9】米国特許第5,087,780号
【特許文献10】米国特許第6,777,582号
【特許文献11】米国特許第6,727,396号
【特許文献12】米国特許第7,214,841号
【特許文献13】米国特許第6,307,117号
【特許文献14】米国特許出願公開第2005/0080307号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
上記のように、より軽質のオレフィン類、例えばプロピレンを生成するためのC、Cおよびより重質のオレフィンストリームの処理にはかなりの関心が寄せられている。したがって、高純度プロピレンをそのようなオレフィン含有ストリームから低コスト、低エネルギーで製造するための直鎖ブテン類の効率的な異性化およびメタセシスが得られる触媒およびプロセスが著しく必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0027】
1つの観点では、本明細書で開示した実施形態は、プロピレンを製造するためのプロセスであって、エチレンならびに、1−ブテンと2−ブテンを含む炭化水素ストリームを、二元機能異性化−メタセシス触媒と接触させ、1−ブテンを2−ブテンに異性化させると同時にプロピレンを含むメタセシス生成物を形成させる工程を含み、二元機能異性化−メタセシス触媒は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上でメタセシス活性を提供するためのタングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ニッケル、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、バナジウム、ルテニウムおよびレニウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含み、担体の曝露された表面領域は1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性および触媒化合物毒の吸着のための反応部位の両方を提供するプロセスに関する。また、メタセシス活性を有する材料および異性化および毒吸着活性を有する材料を、顕微鏡スケールで混合させ、その後、結合剤の存在下錠剤化、または押出成形させ、二元機能触媒を形成させることができる。
【0028】
別の観点では、本明細書で開示した実施形態は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上でメタセシス活性を提供するためのタングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ニッケル、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、バナジウム、ルテニウムおよびレニウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含み、担体の曝露された表面領域は1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性および触媒化合物毒の吸着のための反応部位の両方を提供する、混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒に関する。また、メタセシス活性を有する材料および異性化および毒吸着活性を有する材料を、顕微鏡スケールで混合させ、その後、結合剤の存在下錠剤化、または押出成形させ、二元機能触媒を形成させることができる。
【0029】
別の観点では、本明細書で開示した実施形態は、混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒を調製するプロセスであって、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体を焼成させる工程、焼成担体にタングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ニッケル、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、バナジウム、ルテニウムおよびレニウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含浸させる工程を含み、触媒化合物元素はメタセシス活性を提供し、担体の曝露された表面領域は1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性および触媒化合物毒の吸着のための反応部位の両方を提供するプロセスに関する。また、メタセシス活性を有する材料および異性化および毒吸着活性を有する材料の粒子を、顕微鏡スケールで混合させ、その後、結合剤の存在下錠剤化、または押出成形させ、二元機能触媒を形成させる。
【0030】
別の観点では、本明細書で開示した実施形態は、プロピレンを製造するためのプロセスであって、エチレンならびに、1−ブテンと2−ブテンを含む炭化水素ストリームを、二元機能異性化−メタセシス触媒と接触させ、1−ブテンを2−ブテンに異性化させると同時にプロピレンを含むメタセシス生成物を形成させる工程を含み、二元機能異性化−メタセシス触媒は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む触媒と顕微鏡スケールで混合された、あるいは元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上で、メタセシス活性を提供するためのアルミニウム、ガリウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、リン、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびバナジウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含み、混合された触媒粒子または担体の曝露された表面領域は1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性および供給物中の触媒毒の吸着のための反応部位の両方を提供するプロセスに関する。
【0031】
別の観点では、本明細書で開示した実施形態は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む触媒と顕微鏡スケールで混合された、あるいは元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上で、メタセシス活性を提供するためのアルミニウム、ガリウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、リン、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびバナジウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含み、担体の曝露された表面領域は1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性および供給物中の触媒毒の吸着のための反応部位の両方を提供する、混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒に関する。
【0032】
別の観点では、本明細書で開示した実施形態は、混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒を調製するプロセスであって、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体を、アルミニウム、ガリウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、リン、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびバナジウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物で含浸させる工程を含み、触媒化合物元素はメタセシス活性を提供し、担体の曝露された表面領域は1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性および触媒化合物毒の吸着のための反応部位の両方を提供するプロセスに関する。
【0033】
別の観点では、本明細書で開示した実施形態は、混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒を調製するプロセスであって、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む第1の化合物を、アルミニウム、ガリウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、リン、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびバナジウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物と混合し、混合物を形成させる工程と、混合物を成形して触媒粒子とする工程とを含み、触媒化合物元素はメタセシス活性を提供し、第1の化合物元素は1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性および供給物中の触媒毒の吸着のための反応部位の両方を提供するプロセスに関する。
【0034】
他の観点および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本明細書で開示した実施形態によるプロピレンを製造するためのプロセスの簡略化したプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
1つの観点では、本明細書における実施形態は、より軽質のオレフィン類、例えばエチレンおよびプロピレンを形成するためのCからCの炭化水素の処理に関する。別の観点では、本明細書で開示した実施形態は、同時の、1−オレフィン類、例えば1−ブテンの2−オレフィン類、例えば2−ブテンへの異性化ならびにプロピレンおよびエチレンを形成するための2−オレフィン類のメタセシスに関する。他の観点では、本明細書で開示した実施形態は、同時異性化−メタセシスのための二元機能触媒および二元機能触媒を調製する方法に関する。
【0037】
より特定的な観点では、本明細書で開示した実施形態は、プロピレンを製造するためのプロセスであって、エチレンならびに、1−ブテンを含む炭化水素ストリームを、二元機能異性化−メタセシス触媒と接触させ、1−ブテンを2−ブテンに異性化させると同時にプロピレンを含むメタセシス生成物を形成させる工程を含むプロセスに関する。
【0038】
いくつかの実施形態では、1−ブテンを含む炭化水素ストリームは混合Cストリームとして供給してもよい。本明細書で開示されているプロセスへの混合C供給物はC〜C6+炭化水素類、例えば、水蒸気分解装置または流動接触分解装置(FCC)ユニットからなどのC、CからCおよびCからCの分解装置排出物を含んでもよい。他のCオレフィン類混合物を含む他の精油所炭化水素ストリームを使用してもよい。C、Cおよび/またはC成分が供給物中に存在する場合、ストリームは予め分別され、主なCカット、CからCのカット、またはCからCのカットが得られる。
【0039】
供給ストリーム中に含まれるC成分はn−ブタン、イソブタン、イソブテン、1−ブテン、2−ブテンおよびブタジエンを含む可能性がある。いくつかの実施形態では、混合C供給物を前処理して、メタセシス反応のための1−ブテン供給物を提供する。例えば、ブタジエンがC供給物中に存在する場合、ブタジエンは水素化または抽出により除去してもよい。他の実施形態では、ブタジエン水素化後、またはブタジエン水素化と併用した混合ブタジエン類供給物を、ヒドロ異性化条件に供し、1−ブテンを2−ブテンに転化させてもよく、イソブチレンは分別により2−ブテンストリームから分離される。2−ブテンストリームはその後、本明細書で開示したプロセスのメタセシス部分への供給物として使用するために、その後の工程で1−ブテンに異性化して戻してもよい。
【0040】
1−ブテンをその後、二元機能異性化−メタセシス触媒と接触させ、同時に1−ブテンの少なくとも一部を2−ブテンに異性化させると共に2−ブテンの少なくとも一部をメタセシスさせ、エチレン、プロピレン、およびCからCのメタセシス生成物を含む1つ以上のメタセシス生成物を形成させてもよい。いくつかの実施形態では、2−ブテンは従来のメタセシスに供してもよく、その場合、エチレンが2−ブテンと共にメタセシス反応器に供給される。
【0041】
メタセシス反応器は、いくつかの実施形態では2から40気圧の間、他の実施形態では5から15気圧の間の圧力で動作し得る。メタセシス反応器は、反応温度が約50℃から約600℃の範囲、他の実施形態では約200℃から約450℃の範囲、さらに他の実施形態では約250℃から約400℃の範囲内にあるように動作させてもよい。メタセシス反応はいくつかの実施形態では約3から約200、他の実施形態では約6から約40の範囲の重量空間速度(WHSV)で実施してもよい。
【0042】
反応は、オレフィン(類)を二元機能異性化−メタセシス触媒と、オレフィン(類)の構造および分子量によって液相または気相中で接触させることにより実施してもよい。反応が液相で実施される場合、反応のための溶媒または希釈剤を使用することができる。脂肪族飽和炭化水素類、例えばペンタン類、ヘキサン類、シクロヘキサン類、ドデカン類、および芳香族炭化水素類、例えばベンゼンおよびトルエンが適している。反応が気相で実施される場合、希釈剤、例えば飽和脂肪族炭化水素類、例えばメタン、エタン、および/または実質的に不活性なガス類、例えば窒素およびアルゴンが存在してもよい。高い生成物収率のためには、反応は有意の量の非活性化材料、例えば水および酸素なしで実施してもよい。
【0043】
メタセシス反応生成物の所望の収率を得るために必要とされる接触時間は、触媒活性、温度、圧力、およびメタセシスさせるオレフィン(類)の構造などのいくつかの要因に依存する。オレフィン(類)が触媒と接触させられる時間の長さは、都合よく、0.1秒から4時間の間で、好ましくは0.5秒から約0.5時間までで変動させることができる。メタセシス反応は固定触媒床、スラリー触媒、流動床を用いて、または任意の他の従来の接触技術を用いてバッチ式で、あるいは連続して実施してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、同時異性化−メタセシス反応は、水素の存在下で実施してもよい。水素の存在下では、二元機能異性化−メタセシス触媒は反応中、市販の混合床触媒系に比べ95%以上、1,3−ブタジエン生成を減少させることができる。1,3−ブタジエンは反応条件下で触媒コーキングを引き起こす可能性があり、水素を使用した場合1,3−ブタジエンの生成がより低くなり、1,3−ブタジエンによる触媒汚損が劇的に低減される。二元機能異性化−メタセシス触媒と共に水素を使用すると、このように混合床触媒系上でのサイクル長が増加する。
【0045】
いくつかの実施形態では、二元機能異性化−メタセシス触媒は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上で、メタセシス活性を提供するためのアルミニウム、ガリウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、リン、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびバナジウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含むことができる。他の実施形態では、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上でメタセシス活性を提供するためのタングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ニッケル、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、バナジウム、ルテニウムおよびレニウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含むことができる。担体材料は、担体の曝露された表面領域がa)1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性およびb)触媒化合物毒の吸着のための反応部位の両方を提供するように選択される。
【0046】
いくつかの実施形態では、担体は元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素の酸化物、硫化物、窒化物、または水素化物を含んでもよい。例えば、担体は1−ブテンの2−ブテンへの異性化のために適した塩基性金属酸化物、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウムおよび酸化カリウム、ならびにそれらの混合物を含んでもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、担体はマグネシア−アルミナヒドロタルサイトを含んでもよい。異性化および毒吸着を実施するのに適したヒドロタルサイト化合物としては、米国特許第4,675,307号で開示されているヒドロタルサイト化合物が挙げられ、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0048】
混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒は、最初に、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体を焼成させることにより調製してもよい。触媒をその後、焼成担体上に装填してもよく、その場合、触媒化合物は、いくつかの実施形態ではアルミニウム、ガリウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、リン、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびバナジウムから、他の実施形態ではタングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ニッケル、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、バナジウム、ルテニウムおよびレニウムから選択される少なくとも1つの元素を含む。触媒または触媒前駆物質は、含浸法、初期湿潤法、またはイオン交換法を含む任意の公知の方法により担体上に装填してもよい。
【0049】
例えば、二元機能異性化−メタセシス触媒は、ヒドロタルサイトを少なくとも350℃の温度で焼成させることにより調製してもよい。焼成ヒドロタルサイトをその後、メタセシス触媒前駆物質、例えばメタタングステン酸アンモニウムで含浸させてもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロタルサイトを焼成させ、市販の反応器に適した形状に成形させ、その後に触媒または触媒前駆物質で含浸させてもよい。市販の反応器に適した形状としては、粉末、ペレット、押出成形物などが挙げられる。
【0050】
いくつかの実施形態では、含浸触媒をアルカリ金属プロモータと接触させてもよい。例えば、アルカリ金属プロモータは、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、および希土類元素の少なくとも1つを含むことができる。アルカリ金属プロモータは、触媒の酸性度および/または担体の曝露表面積を減少させることができる。他の実施形態では、メタセシス触媒および異性化触媒を顕微鏡スケールで混合し、触媒粒子に成形する(例えば、結合剤の存在下で錠剤化または押出成形する)。混合は、ブレンダーまたは他の粉末混合装置を用いて達成する。いくつかの実施形態では、ブレンド材料を水、酸または塩基ならびに結合剤様シリカ、粘土、チタニア、ジルコニア、アルミナなどと混合させ、押出成形可能な混合物を形成させる。この混合物は、適した機械的手段により、押出成形することができ、および/または、円筒、立方体、星、3葉、4葉、ペレット、ピル、球、または様々な直径の中空コアを包含する形状を含む任意の適した形状に成形することができる。
【0051】
上記二元機能異性化−メタセシス触媒のいくつかでは、焼成は触媒含浸前に実施しなければならないことが見出されている。例えば、ヒドロタルサイトをメタタングステン酸アンモニウム溶液で含浸させ、その後に、粉末を焼成させると、不活性触媒が得られる。ヒドロタルサイトは、350℃を超える温度での焼成で放出される水酸化物類およびカーボネート類の断続層を有する。しかしながら、ヒドロタルサイトを最初に焼成した場合、得られたMgO/Al溶液は高い表面積を有し、非常に安定である。この材料を同じメタタングステン酸アンモニウム溶液で含浸させると、高いメタセシス活性を有する触媒が得られる。さらに、ヒドロタルサイト材料は、いったん焼成されると、多くの再生にわたり高い表面積/gを保持する。このように、MgO部分の表面積は減少せず、高い異性化活性および毒吸着(ガードベッド活性)が維持される。
【0052】
使用前に、上記のように形成させた二元機能異性化−メタセシス触媒を、例えば、メタセシス触媒前駆物質の酸化により、または当業者に知られている他の技術により活性化させてもよい。
【0053】
本明細書で開示した二元機能異性化−メタセシス触媒は約30重量%までの、メタセシス活性を有する金属酸化物を含んでもよい。他の実施形態では、二元機能異性化−メタセシス触媒は1から25重量%の間の、メタセシス活性を有する金属酸化物、他の実施形態では6から7重量%の間の、メタセシス活性を有する金属酸化物、例えば酸化タングステンを含んでもよい。
【0054】
例えば、本明細書で開示した実施形態による二元機能触媒は70%のMgOと、6〜7%の酸化タングステン(WO)を担持する30%のアルミナ担体とを含んでもよい。WO装填は市販の一元機能メタセシス触媒に関するものと等価である。しかしながら、異性化触媒と混合した時のメタセシス反応器内での体積装填のために、本明細書で開示した二元機能触媒は同様の量の異性化/ガードベッド触媒が反応器に添加されるのを可能にし、メタセシス触媒の量が実質的に増加する。例えば、市販の混合床触媒系に比べ、二元機能触媒では、最大5倍まで高いタングステン重量/単位体積を達成することができる。このより高いタングステン装填により、より長い触媒サイクル寿命を得ることができる。
【0055】
さらに、単一の二元機能触媒は、製造プロセス中、相違する形態の2つの異なる触媒のブレンド工程を除外する。ブレンドにより、反応器内での別々の触媒の混合、輸送および装填中に微粒子が発生する可能性がある。反応器内での微粒子発生により、圧力降下が増加する。これらの全てが単一触媒を使用することにより除外される。
【0056】
上記のように、エチレンおよび1−ブテンを含む炭化水素ストリームを、水素の存在下、または不存在下で二元機能異性化−メタセシス触媒と接触させ、1−ブテンを2−ブテンに異性化させると同時に、プロピレンを含むメタセシス生成物を形成させてもよい。異性化−メタセシス反応器からの排出物はまた、未反応成分(エチレン、ブテン類、水素など)および他のメタセシス副産物を含み得る。
【0057】
メタセシス反応器からの排出物を、分離系に送り、当技術分野でよく知られた技術により炭素数群に排出物を分離させてもよい。例えば、分離系の生成物はエチレンストリーム、プロピレンストリーム、Cストリーム、およびC5+ストリームを含み得る。プロピレンストリームは生成物ストリームとして回収してもよく、これらはまた、さらなる精製工程を受け高純度プロピレン生成物を得てもよい。Cストリームは再循環されてメタセシス反応器または前処理段階、例えば異性化または分別に戻され得る。エチレンストリームは、生成物ストリームとして回収されてもよく、または従来のメタセシス反応のためのエチレン原料として使用するためにメタセシス反応器に再循環されて戻されてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、従来のメタセシス反応器へのオレフィン供給物は本質的に純粋な直鎖ブテン類を含み得る。これは、1−ブテンおよび2−ブテンの任意の混合物とすることができ、供給希釈剤としてCパラフィン類を含んでもよい。いくつかの実施形態では、イソブテン量は、供給混合物中のオレフィン類の合わせた量に基づき、10%未満であってもよく、他の実施形態では5%未満、他の実施形態では2%未満、さらに他の実施形態では1%未満であってもよい。
【0059】
他の実施形態では、イソブテン供給物の明細は緩和してもよく、このように、メタセシス反応器へのエチレン供給物に対してはある程度融通が利く。例えば、メタセシス反応器へ、いくらかのイソブテン、例えば最大約15%までの、混合C供給物中のイソブテン濃度を送ると、分別要求が減少するので、全体のエネルギーコストの減少が可能となり得る。この柔軟性によって好都合なことに、緩和された分離要求、ならびに本発明で開示された実施形態によるメタセシスプロセスが低いエチレン消費で動作する可能性のために、より低い資本コストが可能になり得る。いくつかの実施形態では、従来のメタセシス反応器供給物中のエチレンのブテン類に対する比は約0.1から約2.5の範囲であってもよい。他の実施形態では、従来のメタセシス反応器供給物中のエチレンのブテン類に対する比は約0.8から約2.0の範囲であってもよく、さらに他の実施形態では約1.5から約2.0の範囲であってもよい。
【0060】
図1について説明すると、本明細書で開示されている実施形態によるプロピレンを製造するためのプロセスの簡略化したプロセスフロー図が示されている。n−ブテン類、イソブチレンおよびパラフィン類を含む混合Cストリームを、フローライン10を介して分別器12に送ってもよく、そこで、C類は、イソブチレンを含有する軽C留分と、n−ブテン類を含有する重C留分を含む少なくとも2つの留分に分別され得る。軽C留分は分別装置12から、フローライン14を介して塔頂留分として回収し得る。分別装置12は従来の分別塔であってもよく、あるいは、触媒を使用して、1−ブテンを2−ブテンに異性化させ、ブタジエンを1−ブテンまたは2−ブテンに水素化しながら、同時にCストリームを軽C留分と重C留分に分離する触媒蒸留分別塔であってもよい。
【0061】
重C留分は塔底留分としてフローライン16を介して回収し、異性化−メタセシス反応器18に送ってもよい。使用される場合、エチレンはフローライン20および/または22を介して反応器18に共に送られてもよい。メタセシス反応器18は、1−ブテンの少なくとも一部を2−ブテンに異性化すると同時に、メタセシスにより重C留分中の直鎖ブテン類の少なくとも一部を、共に供給されたエチレンと共に、またはそれなしで、エチレンとプロピレンに転化させるのに適した、本明細書で開示した実施形態による二元異性化−メタセシスの1つ以上の床24を含んでもよい。使用される場合、水素はフローライン23を介して送られてもよく、あるいは直接反応器18の長さに沿って1つ以上の位置に送られてもよい。
【0062】
メタセシス反応器18からの排出物は、フローライン26を介して分離系28に送られてもよく、分離系は、例えば、排出物を炭素数群に分離するための蒸留装置を含んでもよい。図示されるように、分離系28はメタセシス生成物を、フローライン30を介して回収されたエチレン含有留分、フローライン32を介して回収されたプロピレン含有留分、フローライン34を介して回収されたC留分、およびフローライン36を介して回収されたC5+留分を含む少なくとも4つの留分に分別してもよい。C留分36はCおよびより重質な成分に加えてC成分を含み得る。
【0063】
フローライン30を介して回収されたC留分の一部を系からフローライン38を介してパージさせてもよい。ライン38からのパージは主に、エチレンストリーム中に存在し得る微量成分、例えば限定はされないが水素、メタンおよび/またはエタンをパージするために使用される。所望であれば、フローライン30を介して回収されたエチレンの少なくとも一部は、フローライン22を介してメタセシス反応器18へのエチレン供給物として再循環させてもよい。
【0064】
フローライン34を介して回収されたC留分は、フローライン40を介してメタセシス反応器18へ再循環させてもよい。いくつかの実施形態では、C留分の少なくとも一部は、フローライン41を介して分別器12に再循環させてもよい。いくつかの実施形態では、C留分の少なくとも一部は必要であれば、フローライン42を介してパージさせてもよい。ライン42を介するパージは、再循環が増加してCオレフィン類の高い全体転化率が得られるので、そうでなければ相当なレベルまで蓄積し得るCパラフィン類を系からパージさせるように機能し得る。図示していないが、フローライン34から回収されたC留分はその代わりに、2008年8月12日に出願された米国特許仮出願第61/088,221号で記載されているように、下流のクラッキングユニットに送られてもよく、この出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【0065】
上記のように、本明細書で開示した実施形態は、二元機能触媒を使用したC〜C供給物の同時異性化−メタセシスを提供する。本明細書で開示した実施形態による二元機能触媒は、メタセシスおよび異性化反応において、触媒サイクル時間の延長を含む改善された性能を示し得る。ヒドロタルサイト担体材料の使用により、本明細書で開示した二元機能触媒は多くの触媒再生サイクルにわたって高い表面積/gを保持することができ、高い異性化およびガードベッド活性を維持することができる。本明細書で開示した実施形態による触媒はまた、好都合なことに、混合床触媒系に比べ、一反応器体積あたりより多くの量のメタセシス触媒を装填させることができ、この場合、追加のメタセシス触媒材料により延長された床サイクル寿命が可能になる。さらに、単一の二元機能触媒は製造プロセス中、相違する形態の2つの異なる触媒のブレンド工程を除外することができ、反応器内での触媒の混合、輸送および装填中の発生微粒子の量が減少する。
【0066】
本開示は限定された数の実施形態を含むが、本開示の利益を得る当業者は、本開示の範囲から逸脱しない他の実施形態が考案され得ることを認識するであろう。したがって、範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンを製造するための方法であって、
エチレンならびに、1−ブテンと2−ブテンを含む炭化水素ストリームを、二元機能異性化−メタセシス触媒と接触させ、1−ブテンを2−ブテンに異性化させると同時にプロピレンを含むメタセシス生成物を形成させる工程を含み、
前記二元機能異性化−メタセシス触媒は、
元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上でメタセシス活性を提供するためのタングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ニッケル、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、バナジウム、ルテニウムおよびレニウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含み、
前記担体の曝露された表面領域は、
1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性、および
触媒化合物毒の吸着のための反応部位
の両方を提供する、方法。
【請求項2】
前記担体は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素の酸化物、硫化物、窒化物、または水素化物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記担体は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムの少なくとも1つを含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記担体は、マグネシア−アルミナヒドロタルサイトを含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記触媒化合物は、酸性度を減少させるためにアルカリ金属プロモータをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記アルカリ金属プロモータは、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、および希土類元素の少なくとも1つを含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記接触は水素の存在下で実施される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記二元機能異性化−メタセシス触媒は6から7重量%の間の酸化タングステンを含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上でメタセシス活性を提供するためのタングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ニッケル、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、バナジウム、ルテニウムおよびレニウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含み、
前記担体の曝露された表面領域は1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性および
触媒化合物毒の吸着のための反応部位
の両方を提供する、混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒。
【請求項10】
前記担体は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素の酸化物、硫化物、窒化物、または水素化物を含む、請求項9記載の触媒。
【請求項11】
前記担体は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムの少なくとも1つを含む、請求項9記載の触媒。
【請求項12】
前記担体は、マグネシア−アルミナヒドロタルサイトを含む、請求項9記載の触媒。
【請求項13】
前記触媒化合物は、酸性度を減少させるためにアルカリ金属プロモータをさらに含む、請求項9記載の触媒。
【請求項14】
前記アルカリ金属プロモータは、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、および希土類元素の少なくとも1つを含む、請求項13記載の触媒。
【請求項15】
前記二元機能異性化−メタセシス触媒は6から7重量%の間の酸化タングステンを含む、請求項9記載の触媒。
【請求項16】
混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒を調製する方法であって、
元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体にタングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ニッケル、パラジウム、オスミウム、イリジウム、ロジウム、バナジウム、ルテニウムおよびレニウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含浸させる工程を含み、
前記触媒化合物元素はメタセシス活性を提供し、
前記担体の曝露された表面領域は、
1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性、および
触媒化合物毒の吸着のための反応部位
の両方を提供する、方法。
【請求項17】
前記担体を前記含浸前に焼成させる工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記担体は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素の酸化物、硫化物、窒化物、または水素化物を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記担体は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムの少なくとも1つを含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記担体は、マグネシア−アルミナヒドロタルサイトを含む、請求項16記載の方法。
【請求項21】
前記含浸触媒をアルカリ金属プロモータと接触させる工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】
前記アルカリ金属プロモータは、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、および希土類元素の少なくとも1つを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記二元機能異性化−メタセシス触媒は6から7重量%の間の酸化タングステンを含む、請求項16記載の方法。
【請求項24】
前記触媒化合物はメタタングステン酸アンモニウムを含む、請求項16記載の方法。
【請求項25】
前記二元機能異性化−メタセシス触媒を活性化させる工程をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項26】
プロピレンを製造するための方法であって、
エチレンならびに、1−ブテンと2−ブテンを含む炭化水素ストリームを、二元機能異性化−メタセシス触媒と接触させ、1−ブテンを2−ブテンに異性化させると同時にプロピレンを含むメタセシス生成物を形成させる工程を含み、
前記二元機能異性化−メタセシス触媒は、
元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む触媒と顕微鏡スケールで混合された、あるいは
元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上で、
メタセシス活性を提供するためのアルミニウム、ガリウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、リン、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびバナジウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含み、
前記混合された触媒粒子または前記担体の曝露された表面領域は1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性、および
供給物中の触媒毒の吸着のための反応部位
の両方を提供する、方法。
【請求項27】
前記担体は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素の酸化物、硫化物、窒化物、または水素化物を含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記担体は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムの少なくとも1つを含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記担体は、マグネシア−アルミナヒドロタルサイトを含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記触媒化合物は、酸性度を減少させるためにアルカリ金属プロモータをさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項31】
前記アルカリ金属プロモータは、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、および希土類元素の少なくとも1つを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記接触は水素の存在下で実施される、請求項26記載の方法。
【請求項33】
前記二元機能異性化−メタセシス触媒は1から25重量%の間の酸化タングステンを含む、請求項26記載の方法。
【請求項34】
元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む触媒と顕微鏡スケールで混合された、あるいは
元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体上で、
メタセシス活性を提供するためのアルミニウム、ガリウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、リン、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびバナジウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物を含み、
前記担体の曝露された表面領域は
1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性、および
供給物中の触媒毒の吸着のための反応部位
の両方を提供する、混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒。
【請求項35】
前記担体は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素の酸化物、硫化物、窒化物、または水素化物を含む、請求項34記載の触媒。
【請求項36】
前記担体は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムの少なくとも1つを含む、請求項34記載の触媒。
【請求項37】
前記担体は、マグネシア−アルミナヒドロタルサイトを含む、請求項34記載の触媒。
【請求項38】
前記触媒化合物は、酸性度を減少させるためにアルカリ金属プロモータをさらに含む、請求項34記載の触媒。
【請求項39】
前記アルカリ金属プロモータは、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、および希土類元素の少なくとも1つを含む、請求項38記載の触媒。
【請求項40】
前記二元機能異性化−メタセシス触媒は1から25重量%の間の酸化タングステンを含む、請求項34記載の触媒。
【請求項41】
混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒を調製する方法であって、
元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む担体を、アルミニウム、ガリウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、リン、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびバナジウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物で含浸させる工程を含み、
前記触媒化合物元素はメタセシス活性を提供し、
前記担体の曝露された表面領域は、
1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性、および
触媒化合物毒の吸着のための反応部位
の両方を提供する、方法。
【請求項42】
前記担体を前記含浸前に焼成させる工程をさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記担体は、元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素の酸化物、硫化物、窒化物、または水素化物を含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
前記担体は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウムの少なくとも1つを含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
前記担体は、マグネシア−アルミナヒドロタルサイトを含む、請求項41記載の方法。
【請求項46】
前記含浸触媒をアルカリ金属プロモータと接触させる工程をさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項47】
前記アルカリ金属プロモータは、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウム、および希土類元素の少なくとも1つを含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記二元機能異性化−メタセシス触媒は1から25重量%の間の酸化タングステンを含む、請求項41記載の方法。
【請求項49】
前記触媒化合物はメタタングステン酸アンモニウムを含む、請求項41記載の方法。
【請求項50】
前記二元機能異性化−メタセシス触媒を活性化させる工程をさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項51】
混合ブテン供給物の同時異性化−メタセシスのための二元機能異性化−メタセシス触媒を調製する方法であって、
元素周期表のIA、IIA、IIB、およびIIIA族からの少なくとも1つの元素を含む第1の化合物を、アルミニウム、ガリウム、イリジウム、鉄、モリブデン、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、リン、レニウム、ロジウム、ルテニウム、タンタル、チタン、タングステン、およびバナジウムから選択される少なくとも1つの元素を含む触媒化合物と混合し、混合物を形成させる工程と、
前記混合物を成形して触媒粒子とする工程と、
を含み、
前記触媒化合物元素はメタセシス活性を提供し、
前記第1の化合物元素は、
1−ブテンの2−ブテンへの異性化のための異性化活性、および
前記供給物中の触媒毒の吸着のための反応部位
の両方を提供する、方法。
【請求項52】
前記成形は、押出成形、成型、および錠剤化の少なくとも1つを含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記混合物はシリカ、粘土、チタニア、ジルコニア、およびアルミナからなる群より選択される少なくとも1つの結合剤をさらに含む、請求項51記載の方法。
【請求項54】
前記混合物は水、酸、および塩基の少なくとも1つをさらに含む、請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記二元機能異性化−メタセシス触媒は1から25重量%の間の酸化タングステンを含む、請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記触媒化合物はメタタングステン酸アンモニウムを含む、請求項51記載の方法。
【請求項57】
前記二元機能異性化−メタセシス触媒を活性化させる工程をさらに含む、請求項51記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−502057(P2012−502057A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526237(P2011−526237)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/056076
【国際公開番号】WO2010/028267
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(509110884)ラムス テクノロジー インク (6)
【出願人】(507282635)バスフ・コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】