説明

オレフィン系インターポリマー組成物のための電荷損失調整剤

オレフィン系インターポリマーと、遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージからの残渣と、電荷損失調整剤とを含むオレフィン系インターポリマー組成物、ならびにその製造方法。該組成物は、電荷損失調整剤で処理されていない対応するオレフィン系インターポリマー組成物よりも少なくとも50%低い損失率を有する。該組成物はワイヤおよびケーブル用途において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレフィン系インターポリマー、遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージの後反応器残渣、ならびに電荷損失調整剤(charge dissipation modifier)を含むオレフィン系インターポリマー組成物に関する。もう1つの態様では、本発明は、電荷損失調整剤をインターポリマー組成物に添加することによって、遷移金属触媒をホウ素含有活性化剤パッケージと組み合わせて用いて調製されたオレフィン系インターポリマー組成物の損失率を低下させるための方法に関する。更にもう1つの態様では、本発明は、これらのオレフィン系インターポリマー組成物を含有するワイヤおよびケーブル(W&C)製品に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン系インターポリマーの調製のための遷移金属触媒、特にメタロセン触媒および束縛形状の触媒(constrained geometry catalyst)の発見は、広範な新しい有用なオレフィン系インターポリマー組成物の合成をもたらした。これらの遷移金属触媒は、通常、ホウ素含有活性化剤パッケージにより活性化される。ポリマー形成に続いて、触媒−活性化剤系は、水、メタノールまたはその他の触媒失活剤の添加によって失活される。単離後に得られるオレフィン系インターポリマー組成物は、触媒−活性化剤系の残渣を保有しており、通常0.10よりも大きい損失率を有する。電気的用途におけるオレフィン系インターポリマー組成物では、できるだけ低い損失率が所望される。オレフィン系インターポリマー組成物を酸洗浄または蒸気ストリッピングして、触媒および活性化剤残渣を除去または低減することができ、これは更に、組成物がどのように洗浄または蒸気ストリッピングされたかに依存して、オレフィン系インターポリマー組成物の損失率を0.01以下に低下させることができる。米国特許公報(特許文献1)は酸洗浄技法の例を提供し、米国特許公報(特許文献2)および米国特許公報(特許文献3)は、蒸気ストリッピング技法の例を提供する。これらの技法は損失率を有効に低下させ得るが、酸洗浄および蒸気ストリッピングはオレフィン系インターポリマー組成物の調製に更なる工程および更なる製造コストを追加し、それぞれ、処分しなければならない更なる廃棄ストリームを形成するので環境的に望ましくない。
【0003】
【特許文献1】米国特許第3,819,591号明細書
【特許文献2】米国特許第3,076,795号明細書
【特許文献3】米国特許第3,590,026号明細書
【特許文献4】国際公開第98/49212号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5,965,756号明細書
【特許文献6】米国特許第6,160,066号明細書
【特許文献7】米国特許第6,143,682号明細書
【特許文献8】国際公開第00/02891号パンフレット
【特許文献9】米国特許第6,127,497号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
驚くことに、遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージを用いて調製されたオレフィン系インターポリマー組成物に特定の電荷損失調整剤を添加することによって、電荷損失調整剤で処理されていない対応するオレフィン系インターポリマー組成物の損失率よりも少なくとも約50%低いレベルに、損失率が低下され得ることが今発見され、従って、電気的用途、特に低電圧および中電圧ワイヤおよびケーブルの絶縁および被覆のためにより簡単で、より低コスト、環境により優しいオレフィン系インターポリマー組成物が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様は、オレフィン系インターポリマー、遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージの後反応器残渣、ならびに電荷損失調整剤を含むオレフィン系インターポリマー組成物であり、該組成物は、本発明の電荷損失調整剤を含有しない同じオレフィン系インターポリマー組成物よりも少なくとも約50%低い損失率を有し、該電荷損失調整剤は、
a)式(I)および(II)のアミン化合物
【0006】
【化1】

【0007】
(式中、xは3であり、各Rは、線状、分枝および環状ヒドロカルビル基ならびに水素から独立して選択されるか、あるいは2つ以上のR置換基が一緒になった環状ヒドロカルビル基であり、そして各R1〜5は、線状、分枝および環状ヒドロカルビル基ならびに水素から独立して選択されるか、あるいはR1〜5置換基のうちの2つ以上が一緒になった環状ヒドロカルビル基である)、
b)シリカ化合物、および
c)リン酸、
ならびにこれらの混合物から選択される。
【0008】
本発明のもう1つの態様は、電荷損失調整剤をオレフィン系インターポリマー組成物に添加することによって、遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージを用いて調製されたオレフィン系インターポリマー組成物の電気特性を改善するための方法である。電荷損失調整剤は、所望の重合レベルが達成されたら直ぐに、溶液重合プロセスに添加することができる。従って、電荷損失調整剤は、連続溶液プロセスでは溶液が反応器から出た後にオレフィン系インターポリマー組成物−溶媒溶液に添加することができる。あるいは、溶液バッチプロセスが使用されている場合には、重合が所望の完了レベルに到達した後で反応容器に直接添加されてもよいし、反応器から取り出された後に溶液に添加されてもよい。更に、電荷損失調整剤は、スラリーまたは気相プロセスで調製され単離された固体オレフィン系インターポリマー組成物に添加されてもよい。電荷損失調整剤は、当該技術分野において既知の方法を用いて添加され、オレフィン系インターポリマー組成物および電荷損失調整剤は密接に混合される。
【0009】
本発明の更にもう1つの態様は、本発明のオレフィン系インターポリマー組成物を含有するワイヤおよびケーブル製品である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の電荷損失調整剤の添加後に改善された損失率を示すオレフィン系インターポリマー組成物は、遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージを用いる重合プロセスにおいて調製される。一般に、このような重合は、溶液、スラリーまたは気相プロセスにおいて、チーグラー−ナッタ(Ziegler−Natta)型またはカミンスキー−シン(Kaminsky−Sinn)型の重合反応のために当該技術分野でよく知られている条件下、すなわち、0〜250℃、好ましくは30〜200℃の温度および大気圧〜10,000気圧の圧力下で実行され得る。
【0011】
オレフィン系インターポリマーは、少なくとも1つのC2〜20α−オレフィンモノマーと、場合によっては少なくとも1つのポリエンモノマーとから調製される。α−オレフィンは、脂肪族化合物、芳香族化合物、あるいはシクロブテン、シクロペンテンまたはノルボルネン(5および6位がC1〜20ヒドロカルビル基で置換されたノルボルネンを含む)などの環状化合物でよい。α−オレフィンは、好ましくはC2〜20脂肪族化合物であり、更に好ましくはC2〜16脂肪族化合物である。好ましいα−オレフィンモノマーには、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、ノルボルナジエン、およびC2〜10脂肪族α−オレフィン(特に、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1,3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1およびスチレン)、ならびにこれらの混合物が含まれる。最も好ましいモノマーは、エチレン、ならびにエチレンと、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1およびスチレンのうちの少なくとも1つとの混合物である。
【0012】
ポリエンモノマーは、使用する場合には、架橋部位または分枝部位のいずれかもしくは両方でよい。各ポリエンモノマーはC4〜40ジエンモノマー(本明細書中では「ジオレフィン」とも呼ばれる)であるのが望ましく、より望ましくは、非共役ジオレフィンである。非共役ジオレフィンは、C6〜15直鎖、分枝鎖または環状炭化水素ジエンでよい。実例となる非共役ジエンは、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘプタジエン、および1,6−オクタジエンなどの直鎖非環式ジエンと、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、5,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンおよびジヒドロミルセンの混合異性体などの分枝鎖非環式ジエンと、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエンおよび1,5−シクロドデカジエンなどの単環の脂環式ジエンと、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン、ビシクロ−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン(ノルボルナジエン)、メチルノルボルナジエン、ならびにアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニルおよびシクロアルキリデンノルボルネン(5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、5−エチリジエン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニル−2−ノルボルネン(VNB)、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネンおよび5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネンなど)などの多環の脂環式縮合および架橋環ジエンとである。
【0013】
ジオレフィンは、共役ジエンの場合には、1,3−ペンタジエン、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、または1,3−シクロペンタジエンでよい。ジエンは、好ましくは、ENB、1,4−ヘキサジエンおよびノルボルナジエンから選択される非共役ジエンであり、より好ましくはENBである。
【0014】
ホウ素含有活性化剤パッケージと組み合わされて、通常0.10よりも大きい損失率を有するオレフィン系インターポリマー組成物を生成する遷移金属触媒の例は、(特許文献4)、米国特許公報(特許文献5)、米国特許公報(特許文献6)、米国特許公報(特許文献7)、(特許文献8)、(特許文献8)、および米国特許公報(特許文献9)(後周期遷移金属触媒)に記載されており、その内容は参照によって援用される。これらの触媒は、単独で使用されてもよいし、組み合わせて(二重触媒系)使用されてもよく、単一または多数の反応器を用いる連続またはバッチ反応器プロセスにおいて使用され得る。
【0015】
遷移金属触媒は、ホウ素含有活性化剤パッケージによって触媒的に活性にされる。活性化剤パッケージは、ホウ素化合物と、場合によってアルミニウム化合物とを含有する。活性化剤パッケージで使用することができるホウ素化合物の例には、それぞれのヒドロカルビルまたはフッ素化ヒドロカルビル基中に1〜10個の炭素原子を有するフッ素化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物(その過フッ素化誘導体を含む)が含まれるが、これらに限定されない。過フッ素化トリ(アリール)ホウ素化合物が好ましい。最も好ましいのは、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(以下、「FAB」)である。上記のように、これらのホウ素化合物は、活性化剤パッケージの単独成分として使用することができる。あるいは、これらは、好ましくは、アルミニウム化合物と組み合わせて使用することができる。アルミニウム化合物の例には、それぞれのアルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するトリアルキルアルミニウム化合物、もしくは高分子またはオリゴマーのアルモキサンが含まれるが、これらに限定されない。好ましい活性化剤パケージは、各ヒドロカルビル基中に1〜20個の炭素原子を有するフッ素化トリ(ヒドロカルビル)ホウ素化合物、最も好ましくはFABと、各アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有するトリアルキルアルミニウム化合物とを組み合わせる。もう1つの好ましい活性化剤パッケージは、FABと、トリイソブチルアルミニウム変性メチルアルモキサン(MMAO)とを組み合わせる。好ましい活性化剤パッケージは両方とも、本発明で使用されるオレフィン系インターポリマーの生成に効率的な組み合わせであるが、得られるオレフィン系インターポリマー組成物は、通常0.10よりも大きい損失率を有する。
【0016】
ホウ酸塩は、本発明の活性化剤パッケージで使用されるホウ素化合物ではなく、本発明のホウ素種ではない。
【0017】
これらの遷移金属触媒および活性化剤パッケージを溶液プロセスで使用してオレフィン系インターポリマー組成物を調製する場合、これらの溶液重合に適切な不活性溶媒としては、例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンならびにケロシンおよびイソパラフィンを含むアルカン混合物などの直鎖および分枝鎖炭化水素と、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタン、およびこれらの混合物などの環状および脂環式炭化水素と、ベンゼン、トルエン、キシレンおよびエチルベンゼンなどの芳香族およびアルキル置換芳香族化合物とが挙げられる。また、適切な溶媒には、モノマーまたはコモノマーの役割を果たすことができる液体オレフィンも含まれ、ブタジエン、シクロペンテン、1−へキセン、4−ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1,4−ヘキサジエン、1−オクテン、1−デセン、スチレン、ジビニルベンゼン、アリルベンゼン、およびビニルトルエン(全ての異性体を単独または混合物で含む)が含まれる。上記のものの混合物も適切である。所望される場合には、通常は気体のオレフィンを加圧して液体に転換させ、不活性液体として使用することもできる。
【0018】
遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージを用いて調製されたオレフィン系インターポリマー組成物に本発明の電荷損失調整剤を添加することによって、本発明の電荷損失調整剤で処理されていない同じオレフィン系インターポリマー組成物と比較して、損失率を少なくとも約50%低下させることができる。好ましくは、酸洗浄または蒸気ストリッピングによるオレフィン系インターポリマー組成物の後処理を行なうことなく、損失率を0.12未満、好ましくは0.10未満、より好ましくは0.05未満、最も好ましくは0.01未満まで低下させるのに十分な量の本発明の電荷損失調整剤が、オレフィン系インターポリマー組成物に添加される。
【0019】
特定の理論により束縛されることは望まないが、電荷損失調整剤が適切に機能するためには、重合反応からの活性化剤/触媒残渣と物理的に相互作用または接触して、対応する未処理のオレフィン系インターポリマー組成物よりも約50%低い損失率を有するオレフィン系インターポリマー組成物を形成できなければならないと考えられる。このような相互作用は、オレフィン系インターポリマー組成物および電荷損失調整剤が、例えば溶液中または溶融状態で、密接に混合される場合にだけ生じることができる。
【0020】
電荷損失調整剤をオレフィン系インターポリマー組成物に添加するための好ましい方法は、溶液重合プロセスの結果得られるオレフィン系インターポリマー組成物−溶媒溶液に電荷損失調整剤を添加することである。
【0021】
電荷損失調整剤は、オレフィン系インターポリマー組成物−溶媒溶液に添加されると、失活剤および電荷損失調整剤の両方の役割を果たす能力を有する。電荷損失調整剤が失活剤でもある場合、オレフィン系インターポリマー組成物−溶媒溶液に更なる失活剤を添加する必要はない。しかしながら、電荷損失調整剤と組み合わせて、通常、水またはメタノールなどの別個の失活剤が溶液に添加される。電荷損失調整剤は、連続およびバッチ反応器プロセスの両方において、ならびに単一または多数の反応器を直列または並列で用いるプロセスにおいて使用することができる。連続プロセスでは、失活剤および電荷損失調整剤の組み合わせで添加される場合でも、電荷損失調整剤だけが添加される場合でも、いずれにしても電荷損失調整剤は、好ましくは、反応器からの出口ストリームに添加される。
【0022】
単一反応器の連続プロセスにおいて失活剤/電荷損失調整剤の組み合わせまたは電荷損失調整剤のみのいずれかで使用される場合、電荷損失調整剤は、好ましくは、溶液が反応器から出た後、インターポリマー組成物がまだ溶液状態にある任意の時点でインターポリマー組成物−溶媒溶液に添加される。2つの反応器または多数の反応器の直列の連続プロセスを用いる場合、電荷損失調整剤は、好ましくは、インターポリマー組成物−溶媒溶液が最後の反応器を出た後、インターポリマー組成物がまだ溶液状態にあるときに添加される。連続プロセスが多数の反応器の並列プロセスである場合、電荷損失調整剤は、溶液が各反応器を出た後、あるいは全ての反応器の出口ストリームが合わせられた後に、添加することができる。バッチ溶液プロセスでは、電荷損失調整剤は、好ましくは、反応がその所望の完了レベルに到達したときに反応容器に添加される。
【0023】
別個の失活剤が使用される場合、重合反応が所望の完了レベルに到達している限り、失活剤は、電荷損失調整剤と同じ時点、電荷損失調整剤がインターポリマー組成物−溶媒溶液に添加される前、あるいは電荷損失調整剤がインターポリマー組成物−溶媒溶液に添加された後に、電荷損失調整剤と組み合わせて添加することができ、好ましくは、オレフィン系インターポリマー組成物−溶媒溶液から溶媒が除去される前である。
【0024】
別個の失活剤がオレフィン系インターポリマー組成物に添加される場合、損失率は、通常約0.10よりも大きい。約0.10未満のレベルは、通常、水およびメタノールなどの失活剤の使用によっては得られない。
【0025】
一般に、遷移金属触媒および活性化剤パッケージの効率が高いほど、得られるオレフィン系インターポリマーの損失率は低くなることに注意すべきである。触媒/活性化剤効率が高い状況(例えば、ポリマー1000万グラム以上/遷移金属1グラムの効率)では、いくつかの電気的用途で使用される予定の材料に対しては電荷損失調整剤の添加は必要でないかもしれない。しかしながら、電荷損失調整剤が使用されると、損失率が改善される可能性は最も高いだろうが、改善は50%レベルに到達し得ない。
【0026】
オレフィン系インターポリマー組成物に電荷損失調整剤を添加するためのもう1つの方法は、溶液、スラリーまたは気相プロセスから固体として単離した後に、電荷損失調整剤をオレフィン系インターポリマー組成物に添加することである。この電荷損失調整剤添加方法が使用される場合、電荷損失調整剤および触媒/活性化剤残渣が互いに十分な物理的接触をして、インターポリマー組成物の損失率を少なくとも約50%低下させるように、オレフィン系インターポリマー組成物および電荷損失調整剤は一緒に密接に混合されなければならない。これを達成するための方法の例には、押出機または他の溶融ブレンド装置内でオレフィン系インターポリマーと電荷損失調整剤とを溶融ブレンドすること、あるいはオレフィン系インターポリマーを適切な溶媒中に再溶解させ、オレフィン系インターポリマーを含有する溶液を電荷損失調整剤で処理することが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
更に、電荷損失調整剤をオレフィン系インターポリマー組成物に添加するためのもう1つの方法は、過剰の電荷損失調整剤で処理されたオレフィン系インターポリマー組成物と、電荷損失調整剤で処理されていないオレフィン系インターポリマー組成物とをブレンドすることである。組成物は、押出機中での溶融ブレンドなどの当該技術分野において既知の方法でブレンドすることができる。
【0028】
オレフィン系インターポリマー組成物に添加されたときに組成物の損失率を少なくとも約50%低下させる電荷損失調整剤には、
a)式(I)および(II)のアミン化合物
【0029】
【化2】

【0030】
(式中、xは3であり、各Rは、線状、分枝および環状ヒドロカルビル基ならびに水素から独立して選択されるか、あるいは2つ以上のR置換基が一緒になった環状ヒドロカルビル基であり、そして各R1〜5は、線状、分枝および環状ヒドロカルビル基ならびに水素から独立して選択されるか、あるいはR1〜5置換基のうちの2つ以上が一緒になった環状ヒドロカルビル基である)、
b)シリカ化合物、および
c)リン酸、
ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0031】
本発明において電荷損失調整剤として使用されるアミン化合物は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミンまたはアンモニアでよい。RおよびR1〜5基は、線状、分枝、または環状脂肪族または芳香族化合物、好ましくはC〜C50脂肪族化合物、より好ましくはC〜C20脂肪族化合物などのヒドロカルビル基でよい。アミン化合物の例としては、アニリン、イソプロピルアミン、アンモニア、ピリジン、最も好ましくはN,N−オクタデシルメチルアミン(本明細書中では「ビス−タローアルキルメチルアミン(bis−tallowalkyl methyl amine)」とも称される)が挙げられる。
【0032】
本発明において電荷損失調整剤として使用されるシリカ化合物は、任意の形態のSiOを含む。好ましいのは、表面修飾シリカおよび高表面積シリカである。最も好ましいのは疎水性シリカである。
【0033】
オレフィン系インターポリマー組成物に添加される電荷損失調整剤の量は、遷移金属触媒の量によって、あるいはインターポリマーを調製するために使用されるホウ素含有化合物の量によって決定することができる。触媒効率が低いほど、所与の量のインターポリマーを調製するために必要とされる触媒の量は多くなり、インターポリマー組成物の損失率を少なくとも約50%低下させるのに必要とされる電荷損失調整剤は多くなる。好ましくは、添加される電荷損失調整剤の量は、損失率を0.12未満、より好ましくは0.10未満に低下させるのに十分である。本発明のために、インターポリマー組成物中の遷移金属触媒からの金属原子の量を用いて、必要とされる電荷損失調整剤の量を決定することができる。好ましくは、電荷損失調整剤に対する遷移金属原子(例えば、チタン、ジルコニウムおよびハフニウム)の比率は、少なくとも1:1000であり、より好ましくは少なくとも1:100であり、最も好ましくは少なくとも1:10である。
【0034】
遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージを用いて調製されたオレフィン系インターポリマーの融点、ガラス転移温度、および分子量分布などの物理特性は、本発明の電荷損失調整剤の添加によって影響を受けないようである。本発明の電荷損失調整剤で処理されたオレフィン系インターポリマー組成物は、ほとんどのワイヤおよびケーブルの絶縁および被覆用途で使用するために十分に低い損失率を有する。ほとんどの低電圧用途では、約0.10以下の損失率が必要とされる。中電圧用途では、約0.01以下の損失率が必要とされる。これらの損失率は絶対的ではなく、低電圧および中電圧ワイヤおよびケーブルの絶縁および被覆において特定の生成物を使用できるかどうかの決定的要因は、その生成物が長期間の水中試験に合格するかどうかである。通常、約0.10未満の損失率を有さない生成物はこのような試験に失敗する。
【0035】
以下の実施例は本発明を説明するが、明白にでも暗にでも本発明を限定しない。別に記載しない限りは、全ての割合および百分率は全重量を基準とし、重量によるものである。数字の範囲は、別に記載されない限りは端点を含む。本発明の実施例はアラビア数字により識別され、比較例はアルファベット文字によって表される。
【実施例】
【0036】
以下に特に記載される場合を除いて、(特許文献4)で実施例4〜7の調製に対して記載されるような連続重合プロセスを使用して、本発明の実施例および比較例で使用するオレフィン系インターポリマー組成物−溶媒溶液を調製した。反応物の連続添加およびポリマー溶液の連続除去、溶媒および未反応モノマーの揮発分除去、ならびにポリマーの回収のためにプロセスを設計した。エチレン、プロピレンおよびENBモノマーと、チタン[N−(1,1−ジメチルエチル)−1,1−ジメチル−1−(1,2,3,3a,8a−eta)−1,5,6,7−テトラヒドロ−2−メチル−s−インダセン−1−イル]シランアミナト(2−)−.kappa.N][(1,2,3,4−eta)−1,3−ペンタジエン触媒((t−ブチルアミド)ジメチル(5−2−メチル−s−インダセン−1−イル)シランチタン(II)1,3−ペンタジエン触媒とも称される)と、FABおよびMMAOの組み合わせからなるホウ素含有活性化剤パッケージと、アイソパーE溶媒とを、単一の反応器へ連続的に添加および/またはリサイクルした。
【0037】
実施例では、電荷損失調整剤溶液をアイソパーE溶媒により調製し、熱いオレフィン系インターポリマー組成物−溶媒溶液中に、溶液が反応器を出た後に導入した。触媒効率に基づいて電荷損失調整剤溶液の濃度を手動で調整し、電荷損失調整剤に対するチタン金属のモル比を1:1000に保持した。インターポリマー組成物を捕集する前に、オレフィン系インターポリマー組成物−溶媒溶液の流れを少なくとも2時間保持した。電荷損失調整剤を含有するオレフィン系インターポリマー組成物−溶媒溶液をスタティックミキサーおよび後反応器ヒーターを介してポンピングした。後反応器ヒーターの温度を150℃に維持した。インターポリマー組成物を分離器内にポンピングし、そこで、未反応コモノマー、未反応水素、未反応ENB、および溶媒を揮発させ、エチレン/プロピレン/ジエンインターポリマー(「EPDM」)、電荷損失調整剤、ならびに触媒および活性化剤の残渣を含む溶融インターポリマー組成物をもたらした。インターポリマー組成物の捕集が完了したら、電荷損失調整剤溶液の流れを遮断し、未処理のインターポリマー組成物でシステムを少なくとも2時間パージし、分離器から電荷損失調整剤で処理された材料を取り除いた。新しい電荷損失調整剤溶液を添加する前に、電荷損失調整剤添加タンクに新たな溶媒を流し、電荷損失調整剤の相互汚染を防止した。捕集した後、インターポリマー組成物を真空オーブン内で、115℃で少なくとも8時間乾燥させて、溶媒の完全な揮発化を確実にした。
【0038】
後で明確に説明される場合を除いて、電荷損失調整剤の代わりに失活剤を添加した点を除いて前節で説明したのと同じ方法で、比較例の組成物を製造した。比較例における失活剤は、入手した状態で更なる精製を行なわずに使用した。水およびメタノールは、フィッシャー・サイエンティフィック・インターナショナル社(Fisher Scientific International Inc.)から購入した。PEP−Qは、クラリアント社(Clariant Corp.)から入手した。リン酸トリプロピルおよびリン酸は、アルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company)(現在は、シグマ−アルドリッチ・カンパニー(Sigma−Aldrich Company))から入手した。シリカ(アエロジル(AEROSIL)(登録商標)R972、疎水性ヒュームドシリカ)は、デグサ社(Degussa Corp.)から入手した。ビス−タローアルキルメチルアミン(アーミン(Armeen)M2HT)は、アクゾ・ノーベル社(Akzo Nobel Inc.)から入手した。
【0039】
55rpmのミキシング速度を用いて、100℃のカムミキシングブレードを備えたハーケ(Haake)ミキサー内で、50gのインターポリマー組成物を1gの過酸化ジクミルと3分間ブレンドすることによって、実施例および比較例の両方において、電気試験のために乾燥オレフィン系インターポリマー組成物を調製した。12グラムのインターポリマー組成物/過酸化物ブレンドを、モールド内で2つのマイラー(Mylar)(登録商標)ポリエステルシート(デュポン・カンパニー(DuPont Company))の間に押圧し、直径3.5インチおよび厚さ約0.17cmの飾り板(plaque)を作製した。プレスおよびモールドを375°F(191℃)で少なくとも3分間予熱することによって飾り板を架橋させた。モールドにインターポリマー組成物を搭載し、四面体プレス内で20トンの圧力で3分間押圧し、プレス速度の設定240を用いて120°F(49℃)に冷却し、これらの条件下に3分間保持した。厚さ0.17cmの架橋された直径3.5インチの飾り板が得られた。
【0040】
テテックス(Tettex)モデル2914固体絶縁体材用試験セルを用いて、130℃において、ASTM D150に従って飾り板の損失率を測定した。テテックス(Tettex)モデル5283電源変圧器によって試験セルに電圧を供給した。テテックス(Tettex)モデル2966温度制御装置によって試験セル電極を加熱した。テテックス(Tettex)モデル5476A抵抗ブリッジで抵抗を測定した。(テテックス・コーポレーション(Tettex Corporation)からのテテックス(Tettex)装置)。
【0041】
(実施例1〜3および比較例A〜H)
70重量%のエチレン、29.5重量%のプロピレン、0.5重量%のENB、40のムーニー粘度、およびインターポリマー130万グラム(1.3MMg)/チタン1gを有するインターポリマー組成物、EPDM−1を調製した。この組成物を実施例1〜3および比較例A〜Gで用いた。実施例1〜3では、様々な電荷損失調整剤を添加した。比較例Aでは、電荷損失調整剤も失活剤も添加しなかった。比較例B〜Gでは、様々な失活剤を添加した。それぞれの損失率を測定した。表1は、電荷損失調整剤(実施例)および失活剤(比較例)の型および量、ならびに各組成物の損失率を示す。EPDM−Aを用いた比較例Hもこの表に包含される。EPDM−Aは、ノーデル(Nordel)(登録商標)2722E(本願特許出願人)であり、電気的用途において商業的に使用されるEPDM組成物であった。これは、72重量%のエチレン、23.6重量%のプロピレン、4.4重量%のENB、27のムーニー粘度を有し、従来のチーグラー−ナッタ触媒および蒸気ストリッピングで製造されたものである。この表において、およびこの後のいくつかの表においても、電荷損失調整剤は「CDM」と指定され、失活剤は「DEA」と指定されている。
【0042】
【表1】

【0043】
失活剤で処理したものを含む比較例A〜Gは全て、商業的に用いられる組成物およびコントロールの比較例HのEPDM−A(蒸気ストリッピング済み)よりも高い損失率を有した。失活剤を用いずに製造した比較例Aは、試験した全てのインターポリマー組成物の最も高い損失率(0.454)を有した。失活剤として水を使用すると(比較例B)、損失率は0.454から0.125に低下した。同様に、失活剤としてメタノールを使用すると(比較例F)、損失率は0.149に低下した。したがって、水およびメタノールはそれぞれ、オレフィン系インターポリマー組成物の損失率を低下させるのにいくらか有効である。しかしながら、これらの比較例の損失率は、ほとんどの電気的用途で使用するための組成物にとっては、依然として高すぎる大きさである。
【0044】
比較例Cでは失活剤としてイルガノックス(IRGANOX)(登録商標)1010および水を添加し、比較例DではPEP−Qが失活剤であった。これらの失活剤は、ポリマーの分解に対する添加剤および安定剤として一般に使用される。イルガノックス(IRGANOX)(登録商標)1010は、本発明の電荷損失調整剤ではない。PEP−Qは、リンを含有する官能基化された分子であるが、これも本発明の電荷損失調整剤ではない。表1に示されるように、比較例Dは0.341の損失率を有した。比較例Cはより低い損失率、0.156を有した。比較例Cのより低い損失率は、主に、水の影響のためであると考えられる。この場合もやはり、これらの添加剤は、インターポリマー組成物の損失率を、0.10より低い所望のレベルに低下させることができなかった。
【0045】
比較例Dの場合と同様、比較例Gで使用した失活剤もリン原子を含有したが、本発明の電荷損失調整剤ではない。比較例Gは、比較例Dで測定された損失率と同様の、かなり高い損失率(0.334)を与えた。比較例DおよびGの両方の失活剤はリンを含有するが、本発明の電荷損失調整剤であるリン酸(実施例3)とは化学的に異なる。
【0046】
比較例Eは0.195の損失率を有した。この比較例の失活剤は、酸官能性を含むステアリン酸であったが、オレフィン系インターポリマー組成物の損失率を、ほとんどの電気的用途で使用するために望ましいレベルに低下させることができなかった。
【0047】
驚くことに、実施例1〜3のインターポリマー組成物は、化学構造および組成が全く異なる電荷損失調整剤で処理したが、それぞれ、比較例A〜Gに対して大幅に改善された損失率を有した。表1に示されるように、実施例1〜3は、それぞれ0.031、0.021、および0.061の損失率を有した。これらの損失率は、比較例A〜Gから得られる損失率よりもほとんど一桁優れている。更に、実施例1および実施例2の損失率は、未処理のインターポリマー組成物(比較例A)と比べて、93〜95%の損失率の低下を表し、実施例3では87%の損失率の低下であった。更に、これら3つの実施例の損失率は、比較例Bの水で処理されたインターポリマー組成物と比べて、51〜83%の損失率の低下を表した。実施例1〜3は比較例Hの損失率ほど低い損失率は有さないが、実施例の損失率は、比較例Hに関連する蒸気ストリッピングおよび蒸気ストリッピングの廃棄蒸気の処分という更なる工程の不都合を有することなく、ほとんどの低電圧用途の電気的な要件を満たすのに十分低い。
【0048】
(実施例4〜8および比較例I)
70重量%のエチレン、29.5重量%のプロピレン、0.5重量%のENB、22のムーニー粘度、およびインターポリマー53万グラム(0.53MMg)/チタン1gを有するインターポリマー組成物、EPDM−2を、触媒失活剤として水を用いて調製した。この組成物を実施例4〜8および比較例Iで用いた。
【0049】
実施例4〜8では、様々な電荷損失調整剤をEPDM−2とブレンドした。カムミキシングブレードを備えたハーケ(Haake)ミキサー内で、70℃の温度および55rpmの混合速度で5分間、各電荷損失調整剤を50グラムのEPDM−2とブレンドした。次に過酸化ジクミル(1.0g)を添加し、100℃および55rpmの混合速度においてハーケミキサー内でブレンドを更に3分間混合した。次に、ブレンドしたサンプルを押圧して飾り板にし、上記手順に従って硬化させた。次に飾り板をASTM D150にしたがって130℃で試験した。添加した調整剤の型および量ならびに得られたブレンド実施例の損失率は、表2に示される。
【0050】
【表2】

【0051】
(実施例9および10ならびに比較例J)
70重量%のエチレン、29.5重量%のプロピレン、0.5重量%のENB、22のムーニー粘度、およびインターポリマー56万グラム(0.56MMg)/チタン1gを有するインターポリマー組成物、EPDM−3を、実施例9では溶媒を除去する前に電荷損失調整剤をインターポリマー溶液に添加した点を除いてEPDM−2と同じ方法で調製した。調整剤が存在しないEPDM−3組成物を比較例Jで使用した。ハーケミキサーを用いて25グラムのEPDM−3を25gの実施例9の組成物と5分間ブレンドした後、過酸化物で処理して飾り板を作成することによって、実施例10のインターポリマー組成物を調製した。結果は表3に示される。
【0052】
実施例9の損失率は、同じ組成物であるが電荷損失調整剤で処理されていない比較例Jよりも50%を超えて低かった。更に、実施例9の組成物を等量の比較例Jとブレンドすることによって、損失率が一桁低下された(実施例10)。従って、インターポリマー組成物の損失率は、過剰の電荷損失調整剤を含有する組成物と十分に接触させることによって、低下させることができる。
【0053】
【表3】

【0054】
(比較例KおよびL)
ホウ素含有活性化剤パッケージが、N,N−ビス(タローアルキル)−N−メチルアンモニウムテトラキス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ボラート(ボールダー・サイエンティフィック・カンパニー(Boulder Scientific Company)およびMMAO(アクゾ−ノーベル(Akzo−Nobel))の組み合わせであった点を除いて、実施例部分の初めに上記で記載したプロセスによって、EPDM−4を調製した。プロセスは、70重量%エチレン、29.5重量%プロピレン、0.5重量%ENB、ムーニー粘度20、およびインターポリマー214万グラム(2.14MMg)/チタン1gを有するインターポリマー組成物をもたらした。この組成物、EPDM−4は、比較例KおよびLで用いた。比較例Lでは、EPDM−4を表4の電荷損失調整剤とブレンドし、損失率を測定した。
【0055】
表4が示すように、本発明の電荷損失調整剤を、ホウ酸塩活性化剤で調製したEPDMに添加することは、損失率を低下させる上で有効ではない。実際、損失率は増大した。
【0056】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.少なくとも1つのC〜C20α−オレフィンモノマーをそれぞれ含み、少なくとも1つのポリエンを任意選択的に含むオレフィン系インターポリマーまたはオレフィン系インターポリマーの混合物と、
b.少なくとも1つの遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージの後重合反応器残渣と、
c.i)一般式(I)および(II):
【化1】

(式中、xは3であり、各Rは、線状、分枝および環状ヒドロカルビル基ならびに水素から独立して選択されるか、あるいは2つ以上のR置換基が一緒になった環状ヒドロカルビル基であり、そして各R1〜5は、線状、分枝および環状ヒドロカルビル基ならびに水素から独立して選択されるか、あるいはR1〜5置換基のうちの2つ以上が一緒になった環状ヒドロカルビル基である)のアミン化合物、
ii)シリカ化合物、および
iii)リン酸、
ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの電荷損失調整剤と、
を含むオレフィン系インターポリマー組成物であって、
前記オレフィン系インターポリマー組成物が、電荷損失調整剤で処理されていない同じオレフィン系インターポリマー組成物の損失率よりも少なくとも50%低い損失率を有することを特徴とするオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項2】
前記電荷損失調整剤が、アニリン、イソプロピルアミン、ピリジン、およびN,N−オクタデシルメチルアミンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項3】
前記電荷損失調整剤がN,N−オクタデシルメチルアミンであることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項4】
前記電荷損失調整剤がシリカ化合物であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項5】
前記電荷損失調整剤がリン酸であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項6】
少なくとも1つのα−オレフィンモノマーが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、および4−メチル−1−ペンテンからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項7】
少なくとも1つのオレフィン系インターポリマーが、2つのα−オレフィンモノマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項8】
前記α−オレフィンモノマーが、エチレンおよびオクテンであることを特徴とする請求項7に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項9】
前記α−オレフィンモノマーが、エチレンおよびブテンであることを特徴とする請求項7に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項10】
エチレン、プロピレン、ブテンおよびオクテンから選択される2つまたは3つのα−オレフィンモノマーをそれぞれ含むオレフィン系インターポリマーの混合物を含むことを特徴とする請求項6に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項11】
少なくとも1つのオレフィン系インターポリマーが、少なくとも1つのポリエンを含むことを特徴とする請求項1に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項12】
各ポリエンが、5−エチリデン−2−ノルボルネンおよび5−ビニル−2−ノルボルネンから選択されることを特徴とする請求項11に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項13】
前記組成物が、約0.10以下の損失率を有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項14】
a.溶媒中に全て溶解されるオレフィン系インターポリマーまたはオレフィン系インターポリマーの混合物、少なくとも1つの遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージの後重合反応器残渣を含むインターポリマー組成物−溶媒溶液と、
i)一般式(I)および(II):
【化2】

(式中、xは3であり、各Rは、線状、分枝および環状ヒドロカルビル基ならびに水素から独立して選択されるか、あるいは2つ以上のR置換基が一緒になった環状ヒドロカルビル基であり、そして各R1〜5は、線状、分枝および環状ヒドロカルビル基ならびに水素から独立して選択されるか、あるいはR1〜5置換基のうちの2つ以上が一緒になった環状ヒドロカルビル基である)のアミン化合物、
ii)シリカ化合物、および
iii)リン酸、
ならびにこれらの混合物からなる群から選択される電荷損失調整剤とを接触させる工程と、
b.処理されたインターポリマー組成物を単離する工程と
を含むことを特徴とする、オレフィン系インターポリマー組成物の損失率を低下させるための方法。
【請求項15】
オレフィン系インターポリマーまたはオレフィン系インターポリマーの混合物、少なくとも1つの遷移金属触媒およびホウ素含有活性化剤パッケージの後重合反応器残渣を含む固体オレフィン系インターポリマー組成物の損失率を低下させるための方法であって、
a.前記オレフィン系インターポリマー組成物を加熱して溶融状態にする工程と、
b.前記オレフィン系インターポリマー組成物を、
i)一般式(I)および(II):
【化3】

(式中、xは3であり、各Rは、線状、分枝および環状ヒドロカルビル基ならびに水素から独立して選択されるか、あるいは2つ以上のR置換基が一緒になった環状ヒドロカルビル基であり、そして各R1〜5は、線状、分枝および環状ヒドロカルビル基ならびに水素から独立して選択されるか、あるいはR1〜5置換基のうちの2つ以上が一緒になった環状ヒドロカルビル基である)のアミン化合物、
ii)シリカ化合物、および
iii)リン酸、
ならびにこれらの混合物から選択される電荷損失調整剤と接触させる工程と、
c.失活剤を前記触媒および活性化剤残渣と物理的に十分に相互作用させて、損失率の調整を可能にする工程と、
d.処理されたインターポリマー組成物を回収する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14または15に記載の方法により調製されるオレフィン系インターポリマー組成物。
【請求項17】
導電体と、請求項1〜13のいずれか一項に記載の電気絶縁性オレフィン系インターポリマー組成物とを含むことを特徴とするケーブル。

【公表番号】特表2006−503964(P2006−503964A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547225(P2004−547225)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/034109
【国際公開番号】WO2004/037909
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(597035953)デュポン ダウ エラストマーズ エルエルシー (44)
【氏名又は名称原語表記】DuPont Dow Elastomers L.L.C
【Fターム(参考)】